Z 2323:2017 (ISO 3059:2012)
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目 次
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序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 安全予防措置 ··················································································································· 2
5 色調コントラストによる方法 ······························································································ 2
5.1 光源 ···························································································································· 2
5.2 測定 ···························································································································· 2
5.3 要求事項 ······················································································································ 2
6 蛍光による方法 ················································································································ 2
6.1 紫外線 ························································································································· 2
6.2 測定 ···························································································································· 3
6.3 要求事項 ······················································································································ 3
7 試験技術者の必要視力 ······································································································· 4
8 校正······························································································································· 4
Z 2323:2017 (ISO 3059:2012)
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まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本
非破壊検査協会(JSNDI)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規
格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規
格である。これによって,JIS Z 2323:2012は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
日本工業規格 JIS
Z 2323:2017
(ISO 3059:2012)
非破壊試験−
浸透探傷試験及び磁粉探傷試験−観察条件
Non-destructive testing-
Penetrant testing and magnetic particle testing-Viewing conditions
序文
この規格は,2012年に第3版として発行されたISO 3059を基に,技術的内容及び構成を変更すること
なく作成した日本工業規格である。
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適用範囲
この規格は,浸透探傷試験及び磁粉探傷試験を行う場合の照度及びA領域紫外線の放射照度並びにそれ
らの測定に関する最小要求事項を含めた,主に目視による観察条件について規定する。ただし,青色光源
については適用しない。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 3059:2012,Non-destructive testing−Penetrant testing and magnetic particle testing−Viewing
conditions(IDT)
なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”こ
とを示す。
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引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS C 1609-1 照度計 第1部:一般計量器
注記 対応国際規格:IEC 60050-845,International Electrotechnical Vocabulary−Lighting(MOD)
JIS Z 2305 非破壊試験技術者の資格及び認証
注記 対応国際規格:ISO 9712,Non-destructive testing−Qualification and certification of NDT personnel
(MOD)
ISO 12706,Non-destructive testing−Penetrant testing−Vocabulary
ISO 12707,Non-destructive testing−Magnetic particle testing−Vocabulary
EN 1330-1,Non-destructive testing−Terminology−Part 1: List of general terms
EN 1330-2,Non-destructive testing−Terminology−Part 2: Terms common to the non-destructive testing
methods
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用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,ISO 12706,ISO 12707,EN 1330-1及びEN 1330-2による。
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安全予防措置
健康及び安全に関する我が国の法規,条例などは,全て考慮しなければならない。A領域紫外線を人体
が受ける量は最低限に抑えるように注意し,波長330 nm以下の紫外線は,避けなければならない(例 損
傷したり,ひび割れたフィルタの使用に起因するもの)。さらに,潜在的に有害な可能性のある高強度の照
射(例 ブラックライトからの波長365 nmの紫外線,又は高い割合で青色光線が含まれている白色LED
による可視光線)は,最小限に抑えなければならない。特に,目には注意が必要である。
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色調コントラストによる方法
5.1
光源
目視による観察は,昼光又は人工の白色光の下で行う。人工光を用いる場合,色温度は2 500 Kを下回
ってはならない。また,3 300 Kを超える照明が推奨される。色温度の確認は製造業者の情報を参照する。
照明の条件は検出性に影響を与える。最もよい状況として適度なバックグラウンドがある方がよい。光
源又は他光源の不十分な遮光に起因する光が直接,又は間接的に試験技術者の目に入ることを避けなけれ
ばならない。
照明光は定常状態に達し安定してから使用する。また,光の出力は,光源の経時変化,反射板の劣化な
どによって変動する。さらに,照明光は,試験面を均一に照らし,グレア及び反射がないようにしなけれ
ばならない。
注記 LEDアレイ(配列)の一部が損傷すると照明が不均一になるため,注意が必要である。
5.2
測定
試験面の照度は,使用環境下で照度計を用いて測定しなければならない。照度計の応答特性は,明所視
標準比視感度に似たものでなければならない[JIS C 1609-1の5.3(可視域相対分光応答度特性)による]。
注記 照度計のさらなる情報は,ISO/CIE 19476,Characterization of the performance of illuminance meters
and luminance metersに与えられている。
5.3
要求事項
余剰浸透液の除去処理は,350 lx以上で実施しなければならない。
観察時の試験面の照度は,500 lx以上でなければならない。場合によって,1 000 lx以上が要求されるこ
ともある。
着色した遮光保護具などは試験環境を暗くするため,使用してはならない。ただし,白のバックグラウ
ンド,又は非常に明るい日差し(一般に20 000 lx以上)がある場合には,きずの検出性が低下するため遮
光保護具を使用してもよいが,その場合には特に注意が必要である。
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蛍光による方法
6.1
紫外線
試験は,公称最大強度が365 nm±5 nm,かつ,LED光源の場合は半値全幅(FWHM)が30 nm以下のA
領域紫外線光源を用いて,実施しなければならない。
ブラックライトから直接に,又は他光源からの不十分な遮蔽のために,可視(背景)光線が試験体に入
射したり,試験員の目に入るのを最小限に抑えなければならない。光源はすぐには安定しないことがある
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ため,使用前に安定状態にしておかなければならない。A領域紫外線の放射照度は,例えば,ランプの経
年劣化,反射鏡又はフィルタの劣化によって時間とともに変化する。
試験面は,均一に照射されなければならない。
注記 LEDアレイ(配列)の一部が損傷すると照明が不均一になるため,注意が必要である。
光源の代表例としては,水銀ランプ,ハロゲンランプ,キセノンランプ及びLEDアレイがある。
6.2
測定
試験面におけるA領域紫外線の放射照度は,図1に規定した応答特性をもつA領域紫外線強度計を用い,
使用環境下で測定しなければならない。測定に当たっては,ランプの出力が安定(高圧水銀灯の場合は,
点灯後10分以上)してから行う。照度の測定は,5.2による。照度計の読み値は,A領域紫外線の放射照
度の影響を受けてはならない。
適正なセンサの比応答特性曲線は,図中のハッチングした範囲に入ってはならない。
図の曲線は,適正なA領域紫外線強度計の波長応答特性の例である。
図のA,B,C及びDは,次の限界点を示す。
A 全ての波長において比応答特性は,105 %を超えてはならない。
B ピーク値は,波長355 nm〜375 nmの間とする。
C 波長313 nmにおける値は,10 %未満とする。
D 波長405 nmにおける値は,2 %未満とする。
注記 比応答特性は,それぞれの波長における応答を,波長365 nmの値に対する比率で表したものである。
図1−A領域紫外線強度計の波長応答特性
6.3
要求事項
余剰浸透液の除去時におけるA領域紫外線の放射照度は少なくとも1 W/m2(100 μW/cm2)で,照度は
100 lxより小さくなければならない。
試験時における試験面のA領域紫外線の放射照度は,10 W/m2(1 000 μW/cm2)以上で,試験面の照度
は,20 lx以下でなければならない。測定は,試験環境の下で,ブラックライトを点灯し,安定してから行
う。
試験環境を暗くする着色した遮光保護具などは使用してはならない。
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Z 2323:2017 (ISO 3059:2012)
浸透探傷試験においては,高レベルの紫外線[一般に50 W/m2(5 000 μW/cm2)を超えるものをいう。]
を長時間照射することは避けることが望ましい。
試験員の視界内には,グレア,他の可視光線又はA領域紫外線が入り込まないようにしなければならな
い。また,周囲の照度は20 lx以下とする。
7
試験技術者の必要視力
試験技術者の視力は,非破壊試験を実施する上において十分であり,かつ,JIS Z 2305に規定する必要
条件を満足しなければならない。
8
校正
紫外線強度計及び照度計の特性は,国家標準又は国際標準にトレーサブルな装置及びシステムを用いて
製造業者の推奨する頻度で校正しなければならない。
この期間は,12か月間を超えてはならない。A領域紫外線強度計の校正は,波長分布が365 nm付近を
中心とする狭帯域のA領域紫外線による。また,計器を整備したり又は修理した場合には,校正を行わな
ければならない。
取外し可能なセンサ及び読取り装置を使用した場合,検証は,システム全体(読取り装置及びセンサ)
で行わなければならない。
さらに,校正結果は,文書化しなければならない。
参考文献
[1] ISO/CIE 19476,Characterization of the performance of illuminance meters and luminance meters
[2] JIS Z 2300 非破壊試験用語