Z 2300:2020
(1)
目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 分類······························································································································· 1
2.1 一般 ···························································································································· 1
2.2 試験方法別の分類 ·········································································································· 1
2.3 内容分類 ······················································································································ 1
3 一般事項························································································································· 2
3.1 番号の付け方 ················································································································ 2
3.2 括弧の使い方 ················································································································ 2
3.3 対応英語 ······················································································································ 2
4 用語及び定義··················································································································· 2
4.1 共通及び一般 ················································································································ 2
4.2 放射線透過試験 ············································································································ 15
4.3 超音波探傷試験 ············································································································ 31
4.4 アコースティック・エミッション試験 ·············································································· 59
4.5 磁気探傷試験 ··············································································································· 64
4.6 浸透探傷試験 ··············································································································· 68
4.7 渦電流試験 ·················································································································· 70
4.8 漏れ(リーク)試験 ······································································································ 73
4.9 ひずみゲージ試験 ········································································································· 77
4.10 外観試験 ···················································································································· 80
4.11 赤外線サーモグラフィ試験 ···························································································· 82
Z 2300:2020
(2)
まえがき
この規格は,産業標準化法第16条において準用する同法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人
日本非破壊検査協会(JSNDI)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,産業標準原案を添えて日本産
業規格を改正すべきとの申出があり,日本産業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本産
業規格である。これによって,JIS Z 2300:2009は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
日本産業規格 JIS
Z 2300:2020
非破壊試験用語
Terms and definitions of nondestructive testing
1
適用範囲
この規格は,工業分野において用いる非破壊試験に関する主な用語及びその定義について規定する。
2
分類
2.1
一般
非破壊試験用語は,試験方法によって2.2のように大分類する。さらに,それぞれの試験方法に関する
用語に対して,基本的に2.3に示す内容によって分類し,それぞれをa)〜f)に細分類して示す。
箇条4の用語に付した記号は,次の手順による。
− 2.2のa)〜k)の試験に関する用語を,それぞれ4.1〜4.11に記載する。
− 2.2のa)〜k)のそれぞれの試験に関する用語を,内容によって2.3のa)〜f)に分類する。ただし,2.2 b)
の放射線透過試験の分類は,そのほかに“放射線管理”,“デジタルラジオグラフィ”,“X線CT”及び
“中性子ラジオグラフィ”に関する用語に分類する。
2.2
試験方法別の分類
非破壊試験用語の試験方法に内容によって,次のとおり分類する。
a) 共通及び一般
b) 放射線透過試験
c) 超音波探傷試験
d) アコースティック・エミッション試験
e) 磁気探傷試験
f)
浸透探傷試験
g) 渦電流試験
h) 漏れ(リーク)試験
i)
ひずみゲージ試験
j)
外観試験
k) 赤外線サーモグラフィ試験
2.3
内容分類
非破壊試験用語の属性によって,次のとおり分類する。
a) 一般(物理現象など)
b) 機器・材料
c) 標準試験片・対比試験片
d) 試験方法
2
Z 2300:2020
e) 判定・評価
f)
その他
3
一般事項
3.1
番号の付け方
通常,番号は4桁とし,1000の位の数字が試験方法による大分類を表し,100の位の数字が細分類を表
す。大分類の1番目の“共通及び一般”の用語は0001から,2番目の大分類の“放射線透過試験用語”は
1001から始める[例えば,2345の“2”は,2.2(大分類)の3番目の“超音波探傷試験”,“3”は,2.3(内
容分類)の細分類4番目の“試験方法”,“45”はその45番目に記載した用語を表す。]。その他の用語も,
順次,1000ずつ増やした番号から始める。ただし,赤外線サーモグラフィ用語は,大分類が“10”となる
ため,例外的に5桁とする。また,細分類による用語数が100以上となった場合は,大分類の桁数を一つ
上げて10000の位とし,この場合も5桁とする。
3.2
括弧の使い方
用語に対して特定の修飾語を付けて表現することがある場合には,用語の前に丸括弧“( )”を用いて
修飾語を付けた用語を記載する。
3.3
対応英語
対応英語は,ISO規格に規定されている用語を優先し,参考として示す。
4
用語及び定義
4.1
共通及び一般
a) 一般
番号
用語
定義
対応英語(参考)
0001
溶接部,
溶接継手
溶接金属及び熱影響部を含んだ部分の総称(JIS Z 3001-1参
照)。
welded part,
welded joint
0002
割れ,
亀裂,
クラック
熱的又は機械的応力のために引き起こされる局部的な破断に
よって生じる隙間又は不連続部。
crack,
cracking
0003
溶接割れ
冷却又は応力の影響で発生する固相の局部破壊による不連続
部(JIS Z 3001-4参照)。
weld crack
3
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
0004
縦割れ
溶接線に平行方向に対して生じる割れ(JIS Z 3001-4参照)。
注記 溶接金属,ボンド部,熱影響部,母材などに存在する。
longitudinal crack
0005
横割れ
溶接線に対して直角方向に生じる割れ(JIS Z 3001-4参照)。
注記 溶接金属,熱影響部,母材などに存在する。
transverse crack
0006
ビード下割れ
ビードの下側に発生する割れ(JIS Z 3001-4参照)。
underbead crack
0007
ルート割れ
溶接のルートの切欠きによる応力集中部分から生じる割れ
(JIS Z 3001-4参照)。
root crack
0008
高温割れ
溶接部の凝固温度範囲又はその直下の温度のような高温で発
生する割れ(JIS Z 3001-4参照)。
hot crack
0009
低温割れ
溶接後,溶接部の温度が常温付近に低下してから発生する割
れの総称。ルート割れ,ビード下割れ,止端割れなどはこの
割れに属する(JIS Z 3001-4参照)。
cold crack
0010
再熱割れ
溶接部の再加熱において発生する割れ(JIS Z 3001-4参照)。 reheat crack
0011
止端割れ(したん
われ)
溶接部の止端から発生する割れ(JIS Z 3001-4参照)。
toe crack
4
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番号
用語
定義
対応英語(参考)
0012
クレータ割れ
溶接部終端部のクレータに生じる割れ(JIS Z 3001-4参照)。
注記 溶接線方向に沿ったもの,溶接線に直交方向のもの,
放射状(スタークラック)のものなどがある。
crater crack
0013
スラグ巻込み
溶接金属に巻き込まれたスラグ(JIS Z 3001-4参照)。
注記 その形成状況によって線状,孤立状,群れ状などがあ
る。
slag inclusion
0014
パイプ
鋼の凝固収縮過程で発生する収縮孔又は熱間加工時に発生し
た割れが,完全に圧着されず,内部にその跡をとどめたもの
(JIS G 0553参照)。
pipe
0015
クレータ収縮孔
溶接ビード端部の収縮孔で,後続ビード(パス)の溶接前又
は溶接中には消滅しないもの(JIS Z 3001-4参照)。
注記 クレータパイプともいう。
crater pipe
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番号
用語
定義
対応英語(参考)
0016
溶込み不良
設計溶込みに比べ実溶込みが不足していること(JIS Z 3001-4
参照)。
lack of penetration,
incomplete penetration
0017
融合不良
溶接境界面が互いに十分に溶け合っていないこと(JIS Z
3001-4参照)。
lack of fusion,
incomplete fusion
0018
コールドラップ,
コールドウェルド,
冷接
融合不良の一種で,両金属面は接触しているが融合していな
い状態。
cold lap,
cold weld
0019
アンダカット
母材又は既溶接の上に溶接して生じた止端の溝(JIS Z 3001-4
参照)。
undercut
0020
オーバラップ
溶接金属が止端で母材に融合しないで重なった部分(JIS Z
3001-4参照)。
overlap
0021
酸化物の巻込み
溶接中に金属酸化物が巻き込まれて溶融せずに溶接金属部に
残ること。
oxide inclusion
6
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番号
用語
定義
対応英語(参考)
0022
ブローホール
溶接金属中に生じる球状の空洞(JIS Z 3001-4参照)。
gas pore,
blow hole
0023
ウォームホール
ガス放出で溶接金属に発生する筒状の空洞(JIS Z 3001-4参
照)。
注記 ウォームホールの形状及び位置は,凝固の形態及びガ
ス源によって決まる。一般に群集し,魚骨状に分布す
る。溶接表面まで達し,開口する場合もある。
worm-hole
0024
異種金属巻込み
溶接部に巻き込まれた異種金属(JIS Z 3001-4参照)。
注記 タングステン,銅,その他の金属などがある。
metallic inclusion
0025
開先(かいさき),
グルーブ
溶接する母材間に設ける溝(JIS Z 3001-1参照)。
注記 I形開先,V形開先,X形開先,レ形開先,K形開先,
J形開先,U形開先,H形開先などの名称がある。
groove
0026
裏当て
開先溶接において,片面から溶接施工するため,又は溶落ち,
欠陥の発生などを防止するために,開先の底部に裏から当て
る金属板及び粒状フラックス(JIS Z 3001-7参照)。
注記 金属板であって,母材とともに溶接される場合は,裏
当て金ともいう。
backing
0027
裏はつり
開先溶接で,開先底部の欠陥部又は第1層目の溶接部分を裏
面からはつり取る操作(JIS Z 3001-7参照)。
back chipping,
back gouging
0028
たれ
片面溶接の場合,開先を突き抜けて,また,両面溶接の場合,
既に肉盛りされた側の溶接金属を突き抜けて飛び出した余分
な溶接金属。
excessive penetration
0029
ラメラテア
十字型突合せ継手及びすみ肉多層盛継手のように,母材表面
に直角方向の強い引張拘束応力が生じる継手において,熱影
響部及びその隣接部に母材表面と平行に生じる割れ(JIS Z
3001-4参照)。
lamellar tear
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番号
用語
定義
対応英語(参考)
0030
溶落ち(とけおち) 開先の反対側に溶け落ちた溶融金属(JIS Z 3001-4参照)。
burn through
0031
内部きず
試験体の内部に存在するきず。
internal flaw
0032
ピット
溶接部の表面まで達し,開口した気孔(JIS Z 3001-4参照)。
pit,
pitting,
surface pore,
0033
余盛
開先又はすみ肉溶接で,必要寸法以上に表面から盛り上がっ
た溶接金属。
weld reinforcement,
excess weld metal,
weld cap,
weld crown
0034
スパッタ
アーク溶接,ガス溶接,ろう接などにおいて,溶接中に飛散
し,付着した金属粒(JIS Z 3001-4参照)。
spatter
0035
ナゲット
重ね抵抗溶接において,溶接部に生じる溶融凝固した部分
(JIS Z 3001-6参照)。
nugget
0036
熱影響部,
HAZ
溶接,切断などの熱で組織,冶金的性質,機械的性質などが
変化を生じた,溶融していない母材の部分(JIS Z 3001-1参
照)。
heat-affected zone,
HAZ
0037
湯境い
鋳造条件が不適切なとき,鋳型内で二つの溶融金属(湯)の
流れが合流する所に生じる融合していない境界面。
cold shut
0038
湯回り不良
鋳込み温度が低いなどの原因によって,鋳型を完全に満たす
前に溶湯が凝固して,不完全な鋳物を作ってしまう不良現象。
misrun
0039
砂かみ
鋳造時に鋳型から落ちた砂の鋳物への混入。
sand inclusion,
sand patches
0040
引け巣
鋳型に注入した溶湯が凝固するとき,先に凝固収縮した部分
に引っ張られて,ロート状に陥入した部分。
shrinkage cavity
0041
ポロシティ
ガスを巻き込むことによって生じた空洞(JIS Z 3001-4参照)。 gas cavity,
porosity
0042
インゴットパター
ン
鋼の凝固過程における結晶状態の変化又は成分の偏りのた
め,輪郭状に濃度差が現れたもの(JIS G 0553参照)。
ingot pattern
0043
スリバー
素材中の異物(ガスを含む。)又はきずのために,材料の表面
が皮をかぶったようになったもの,及びこの皮が剝がれたも
の。
sliver
0044
気孔
溶融金属中に発生した気泡が,凝固時に離脱できずに溶接部
又はインゴットに残留したもの。
gas cavity,
cavity
0045
サルファバンド
鋼材において硫黄を多量に含有する部分が帯状に偏析した
層。
sulphur band
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番号
用語
定義
対応英語(参考)
0046
サルファ割れ
硫黄の偏析が層状に存在している鋼材を溶接した場合に,低
融点の硫化鉄共晶が原因となって溶接金属内に生じる一次晶
粒界割れ。
sulphur crack
0047
(鋼材の)収縮割
れ,
ひけ割れ
加熱又は溶湯の凝固過程において冷却速度が各部で異なると
きに起こる割れ。
shrinkage crack
0048
(鋼の)清浄度
鋼中において,非金属介在物が含まれる度合い。顕微鏡視野
内で,非金属介在物が占める面積百分率で表す。
index of cleanliness of
steel
0049
中心部偏析
溶融金属の凝固において最後に凝固する中央部に,ある種の
合金元素又は不純物が,濃化して偏在する現象又はその状態。
center segregation
0050
熱間割れ
材料の半製品及びスラブの熱間加工時に発生する割れ。
注記 長さ,幅及び深さが一定でなく,方向性がない。
hot tears,
hot crack
0051
白点(はくてん)
鋼材の破面に現れる白色の光沢をもった斑点(JIS G 0201参
照)。
flake,
white spot
0052
非金属介在物
鋼の凝固過程において,鋼中に析出又は巻き込まれる非金属
の介在物(JIS G 0202参照)。
non-metallic inclusion
0053
研磨割れ
熱処理した鋼のグラインダ加工において,研磨中に熱応力に
よって発生する割れ。
grinding crack
0054
しま状組織,
層状組織
圧延又は鍛伸方向に平行に並んだ偏析組織。
banded structure
0055
シームきず
圧延によって,圧延方向に平行に生じる線状きず。
Seam flaw
0056
孔食
局部腐食が金属内部に向かって孔状に進行する局部腐食現
象。
pitting corrosion
0057
延性破壊
材料が外力によって,塑性変形(永久変形)を生じて破壊す
る現象。
ductile fracture
0058
応力亀裂
プラスチックの表面又は内部に破壊強さよりも小さい応力に
よって生じる亀裂。
stress cracking
0059
応力腐食割れ
腐食と引張応力との相乗作用によって生じる割れ。
stress corrosion cracking
0060
置割れ,
自然割れ
焼入れ又は焼入焼戻しした金属材料が放置中に生じる割れ
(JIS G 0201参照)。
season cracking
0061
遅れ割れ
引張応力のかかった状態の材料が,ある程度の時間が経過し
た後に,ほとんど塑性ひずみを生じることなく発生する割れ。
delayed crack
0062
クリープ破壊
材料が長時間にわたって外力を受け,時間とともに塑性変形
が増大して生じる破壊現象。
creep fracture
0063
残留応力
外力又は温度勾配がない状態で,物体内部に残っている応力
(JIS B 0190,JIS G 0202及びJIS Z 3001-1参照)。
residual stress
0064
残留ひずみ
外力又は温度勾配がない状態で,材料内部に残っているひず
み。
residual strain
0065
シグマ(σ)ぜい
(脆)性
シグマ(σ)相の析出分離によって起こるぜい化現象(JIS G
0201参照)。
注記 シグマ(σ)相とは,クロムを20 %以上含む高クロム鋼,
高クロムニッケル鋼などに現れる金属間化合物であ
る。
sigma embrittlement
0066
照射ぜい(脆)性
放射線などの照射を受けることによって,その物質がもろく
なる性質。
irradiation embrittleness
0067
水素侵食
200 ℃以上の温度で水素の圧力が高いときに,鋼中に拡散し
た水素原子が,炭化物と反応して脱炭を生じ,メタンの気泡
が成長して割れを生じる現象。
hydrogen attack
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番号
用語
定義
対応英語(参考)
0068
低温ぜい(脆)性
室温付近又はそれ以下の低温で,鉄鋼の衝撃値が急激に低下
してもろくなる性質。
cold shortness
0069
水素ぜい(脆)性
鋼中に吸収された水素によって鋼材に生じる延性又はじん
(靭)性が低下する性質。
注記 酸素を含む銅が水素などの還元雰囲気の中で高温加熱
されたとき,酸化銅の還元によって生じるボイドによ
って,延性又はじん性が低下する。
hydrogen embrittlement
0070
水素誘起割れ
おおよそ70 ℃以下の温度で,硫化水素と水とが存在すると
きに生じる水素原子が,鋼中に拡散して水素の気泡となって
発生する割れ。
hydrogen induced crack
0071
スケールきず
圧着してかみ込んだもの又は脱落してあばた状になった表面
のきず。
scale mark
0072
スピルきず
不規則で剝離状の微細な不連続表面きず。
注記 圧延方向に延ばされ,圧下率に影響されるが,母材に
つながっている。
spills
0073
スポーリング
圧延ロールなどの外表面に生じる剝がれ。陽極酸化皮膜の密
着性が局部的に失われて,剝離を伴う現象をいう。
spalling
0074
すりきず
取扱い中に表面にできた連続又は断続した線状のきず。
scratch
0075
ぜい(脆)性破壊
材料が外力によって,ほとんど塑性変形を生じることなく破
壊すること。
brittle fracture
0076
青熱ぜい(脆)性
200 ℃〜300 ℃付近で鋼の引張強さ又は硬さが常温の場合よ
りも増加し,伸び及び絞りが減少してもろくなる性質。
blue shortness
0077
赤熱ぜい(脆)性
熱間加工の温度範囲で鋼がもろくなる性質。
red shortness
0078
全硬化層深さ
硬化層の表面から硬化層と生地との物理的又は化学的性質の
差異が,区別できない位置までの距離。
depth of hardening
0079
層割れ,
層間剝離
積層品の層間が剝離すること。
delamination
0080
ダイマーク
押出(引抜)材表面の押出(引抜)方向に現れる線状の細か
い凹凸。
die mark
0081
脱炭層
熱間加工又は熱処理によって,表層部の炭素濃度が減少した
部分(JIS G 0202参照)。
decarburized layer
0082
地きず
鋼の仕上面における,そのまま肉眼によって認められるピン
ホール,ブローホールなどが連なった線状のきず,非金属介
在物による線状のきず,及び砂などの異物の介在による線状
のきず。
streak fissure,
macro-streak-flaw
0083
軟点
焼入れで局部的に生じる完全には硬化しない部分。
soft spot
0084
剝離
皮覆,めっき層の素地若しくはアンダコートからの剝がれ,
又はコンクリート相互間,コンクリートと鋼材との間,コン
クリートと仕上げ材との間若しくは仕上げ材相互間に生じる
剝がれ若しくは空隙。
delamination,
peeling,
flaking
0085
ハードスポット
局所的な焼入れなどによって周囲の硬さよりもかなり高い硬
さをもった部分。
hard spot
0086
ピックアップ,
汚れ
重ね抵抗溶接において,電極と母材との接触部が過熱され,
その結果,電極材と母材とが相互に付着したり,合金層を作
ったりして生じる電極先端面又は母材表面の汚損。
pick up
0087
ひび割れ,
ひび
材料・製品の表面又は内部に,外力又は内部応力によって生
じたごく細かい亀裂。
crazing
0088
疲労破壊
材料が繰返し負荷を受けて発生した割れが進展して破壊に至
る現象。
fatigue fracture
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番号
用語
定義
対応英語(参考)
0089
ピンホール
製品にできた微細な孔。溶射皮膜を貫いて素地までに達する
微細孔をいう。
pinhole
0090
膨れ,
ブリスタ
金属内部に紡すい(錘)状に膨れ,皮膜が素地若しくはアン
ダコートから又は皮膜内で局部的に浮いている状態。
blister
0091
フッククラック
電気抵抗溶接管において,鋼帯中の表面に平行な非金属介在
物,偏析などが溶接部に生じて,きずとなったもの。
hook crack
0092
ヘアークラック,
毛割れ
表面に現れる微細な割れ。
hair crack
0093
ペネトレータ,
フラットスポット
フラッシュ溶接及び電縫管の溶接において,不適切な溶接条
件のため,接合端面が酸化した状態で圧接されることで生じ
る内部きず(JIS Z 3001-4参照)。
penetrator,
flat spot
0094
ミクロ割れ
光学顕微鏡(約50倍以上)で拡大して初めて検出されるよう
な微小な割れ。
micro crack
0095
溝きず
表面にできた種々の幅,深さ及び長さをもった機械的なきず。
注記 圧延方向に平行か直角で,介在物を含むことがある。
grooves
0096
もみ割れ
不適切な鍛造又は圧延作業によって,中心部に生じた割れ。
forging crack
0097
焼戻ぜい(脆)化
焼入れした鉄鋼を,ある焼戻温度に保持した場合又は焼戻温
度から徐冷した場合,ぜい性破壊が生じやすくなる現象。
temper brittleness
0098
焼戻割れ
焼入れした組織を焼戻しするとき,急熱,急冷又は組織変化
のために生じる割れ(JIS G 0201参照)。
tempering crack
0099
焼割れ
焼入応力によって生じる割れ。
quenching crack
00100
焼け
皮膜の表面の色調が熱によって著しく変化している状態。
burn,
burned
00101
ラミネーション
圧延鋼材において,内部きず,非金属介在物,気泡,不純物
などが圧延方向に沿って平行に伸ばされ,層状になったもの。
lamination
00102
粒界割れ
結晶粒界に発生又は結晶粒界を通過した割れ。
注記 いわゆる高温割れは,このタイプが多い。
intercrystalline crack,
intergranular crack
00103
アルカリ骨材反応
アルカリとの反応性をもつ骨材が,セメント,その他のアル
カリ分と長期にわたって反応し,コンクリートに膨張ひび割
れ,ポップアウトを生じさせる現象(JIS A 0203参照)。
alkali silica reaction
00104
(コンクリートの)
塩害
塩化物イオンによるコンクリート中の鋼材の腐食によって,
コンクリートにひび割れ,剝離,剝落などの損傷が生じる現
象(JIS A 0203参照)。
damage by salt attack,
damage by chloride attack
00105
(鋼材の)かぶり
厚さ
鋼材,シースなどの表面とそれらを覆うコンクリートの外側
表面までの最短距離(JIS A 0203参照)。
cover (reinforcement)
00106
(コンクリートの)
乾燥収縮ひび割
れ
乾燥収縮によって生じるコンクリートのひび割れ。
drying shrinkage crack
00107
グラウト
空隙,目地,ひび割れなど細かい隙間を充塡するために,注
入用材料として用いるセメントペースト又はモルタル。
注記1 グラウトには,セメント系材料,セメント以外の無
機系材料,有機系材料などが用いられる。
注記2 充塡する作業は“グラウティング”という(JIS A 0203
参照)。
grout
00108
(コンクリートの)
中性化,
炭素化
硬化したコンクリートが空気中の炭酸ガスの作用を受けて次
第にアルカリ性を失っていく現象(JIS A 0203参照)。
neutralization,
carbonation
00109
(コンクリートの)
表面気泡
硬化コンクリート表面に残った気泡の跡。
crater
11
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
00110
(コンクリートの)
ポップアウト
コンクリート表層の小部分が円すい形のくぼみ状に破壊され
た状態。
pop-out
00111
豆板(まめいた)
モルタル又はセメントペーストの不足した粗骨材が蜂の巣状
に集積し,充塡不十分な部分。
honeycomb,
rock pocket
00112
損傷
使用環境によって,物理的性質に永久変化が起こって性能が
変化すること。
注記 放射線の照射を受けることによって,その物質の諸特
性に好ましくない変化が起こることを,放射線損傷又
は照射損傷という。
deterioration,
damage,
radiation damage,
irradiation damage
00113
劣化
材料又は製品が,応力,熱,光などの使用環境によって,次
第に本来の機能に有害な変化を起こすこと。
deterioration,
degradation
00114
SN比
信号に対するノイズ(雑音)の量を対数で表した比。
signal-to-noise ratio
00115
表皮効果
試験体に加えた磁界又は電流が時間的に変動した場合,磁束
密度,電流及び渦電流の強さが表面に集中し,内部に向かっ
て指数関数的に減少する現象。
skin effect
00116
表皮深さ,
浸透深さ
磁束密度,電流及び渦電流の強さが,表面の値の約37 %にな
る表面からの深さ。表面深さδは,次の式によって計算され
る。
1
f
δ
πσμ
=
ここに, f: 試験周波数
σ: 導電率
μ: 透磁率
注記 プローブの形状による実効的な表皮深さを“実効表皮
深さ”という。
skin depth,
standard depth of
penetration
00117
磁気飽和
強磁性体において,磁界が増加しても,磁束密度が顕著に増
加しない現象。
注記 この現象を用いて試験体の磁性の不均一による雑音を
抑制することができる。
magnetic saturation
b) 試験方法
番号
用語
定義
対応英語(参考)
0301
非破壊評価,
NDE
非破壊試験で得られた情報を,試験体の性質又は使用性能の
面から総合的に解析・評価すること。
nondestructive evaluation,
NDE
0302
非破壊検査,
NDI
非破壊試験の結果から,規格などによる基準に従って合否を
判定する方法。
nondestructive inspection,
NDI
0303
非破壊試験,
NDT
素材又は製品を破壊せずに,品質又はきず,埋設物などの有
無及びその存在位置,大きさ,形状,分布状態などを調べる
試験。
注記 材質試験などに応用されることもある。放射線透過試
験,超音波探傷試験,磁気探傷試験,浸透探傷試験,
渦電流試験などがある(将来の有用さ及び役割を損な
うことなく,きずを検出し,位置の推定,寸法測定及
び評価を行うために,材料又は部品を試験する技術的
方法の開発及び適用,本来の状態,特性及び組成を評
価すること,並びに幾何学的形状を測定することも含
まれる。)。
nondestructive testing,
NDT,nondestructive
examination
0304
放射線透過試験,
RT
放射線を試験体に照射し,透過した放射線の強さの変化から,
試験体内部のきず及び/又は状態を調べる非破壊試験。
radiography,
radiographic testing,
RT
12
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
0305
超音波探傷試験,
UT
超音波を試験体中に伝搬させたときに試験体の示す音響的性
質を利用して試験体内部のきず又は材質を調べる非破壊試
験。
ultrasonic testing,
UT
0306
アコースティッ
ク・エミッショ
ン試験,
AE
AE信号波を利用する非破壊試験方法及び材料評価方法。
acoustic emission testing,
AE testing
0307
磁気探傷試験,
MT
磁性粉末を含む適切な試験媒体を利用し,漏えい(洩)磁界
によって表面及び表面近傍のきずを検出する非破壊試験。
magnetic testing,
magnetic particle testing,
MT
0308
浸透探傷試験,
PT
一般に浸透処理,余剰浸透液の除去処理,及び現像処理で構
成される表面に開口したきずを指示模様として検出する非破
壊試験。
penetrant testing,
PT
0309
渦電流試験,
渦電流探傷試験,
ET
対象物を検査するために誘導渦電流の電磁効果を用いる非破
壊試験。
eddy current testing,
ET
0310
漏れ試験,
リーク試験,
LT
漏れの有無,漏れ箇所の検出,漏れ量の測定などを行う試験。 leak testing,
LT
0311
ひずみ試験,
ひずみゲージ試験,
ST
負荷を与えた試験体に生じるひずみゲージの状態を調べる試
験。
注記 JIS Z 2305:2013ではひずみゲージ試験が規定されてい
るが,ISO 9712:2012では“Strain gauge Testing”(略語
ST)が規定されている。
strain gauge testing,
ST
0312
赤外線サーモグラ
フィ試験,
TT
赤外線放射エネルギーを検出し,その分布を画像表示する方
法を応用した試験。
infrared thermographic
testing,
TT
0313
(技術者の)資格
非破壊試験業務を適切に遂行するために要求される身体的特
性,知識,技能,訓練及び経験に関する実証(JIS Z 2305参
照)。
qualification of personnel
0314
(技術者の)認証
非破壊試験方法,資格レベル及び分野に関する資格要件を満
たしたことを確認するために,認証機関が用いる資格証明書
の発行を前提とする手順(JIS Z 2305参照)。
certification of personnel
0315
技術検定
技術者の試験技術が規定された水準に達しているかどうかを
確認すること。
performance qualification
0316
標準試験片
装置の校正及び評価に用いる,規定された材質,形状及び寸
法の試験片。一つ以上の人工きずを付与してもよい。
standard test block
0317
試験体
試験の対象物又は試験中の対象物。
test object,
test block,
test piece,
specimen,
test specimen
0318
試験片
欠陥検出性をチェックするために用いられる人工きず又は自
然きずのある試料。
test piece,
specimen,
test specimen
0319
対比試験片
装置の感度調整及び検査実施のプロセスの調整に使用する規
定された不連続部を含む試験片。
reference test piece,
reference block
0320
ボス供試体,
BOSS
ボス型枠を用いて,構造体コンクリートと一体で成型される
直方体の供試体。
Broken Off Specimens by
Splitting,
BOSS
13
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
0321
きず検出能,
きず検出限界
どれだけ小さいきずまで検出できるかを表す能力の尺度。
detectability
0322
外観試験
目視及び寸法検査によって外観の良否を検査する試験(JIS Z
3001-1参照)。
注記 目視試験は,試験体の表面性状(形状,色,粗さ,き
ずの有無など)を,直接又は拡大鏡を用いて肉眼で調
べる試験をいう。
appearance test,
appearance testing,
visual testing
0323
回送試験,
ラウンドロビンテ
スト
標準試験法又は標準試験片の決定などの場合,あらかじめ試
験方案を決めて特定の試験片をワーキング・グループのメン
バーの間で,順次,回送して行う試験。
round robin test
0324
材質試験
“材料の種類”,“不純物又は合金成分”,“熱処理”などによ
って物理的特性が変化するのを利用して材料の性質を調べる
試験。
identification of materials,
material test
0325
サルファプリント
試験
硫酸を含有する腐食液の中に前もって浸せきした黒白写真印
画紙に材料を密着させることによって,様々な化学的形態で
材料の中に存在する硫化物の位置及び面積を検出する試験
(JIS G 0560参照)。
注記 ISO 4968では,写真印画紙に代えて,フラット・フィ
ルムの適用を認めている。
sulphur print examination
0326
スンプ試験
レプリカ法の一種で鋼の表面を仕上げ研磨して,その上に酢
酸メチルを滴下し,アセチルセルローズ膜をはって乾燥した
後これを剝がし取り,その膜を透過形光学顕微鏡で観察して,
鋼の性状を判定する試験。
Suzukiʼs Universal Micro
Printing examination
0327
耐圧試験
ボンベ,ボイラなどの圧力容器及び配管が,使用中の圧力に
十分耐えるかどうかを検証することを目的に行われる試験。
pressure test
0328
断面試験
試験体を切断し,断面について内部きず,金属組織などを調
べる試験。
section testing
0329
破面試験
試験体を外力によって破断し,破面を観察して内部のきずな
どを調べる試験。
fractography,
fracture testing
0330
膜厚試験
めっき,塗装,酸化皮膜などの皮膜厚さを測定する試験。
注記 膜厚試験には,化学的方法のほか,次の方法がある。
a) 直接,マイクロメータ,顕微鏡などを利用するもの。
b) 電気磁気的方法,放射線などを利用するもの。
coating thickness testing
0331
マクロ組織試験
断面又は表面のきず,性状及び組織を検査する目的で,研磨
された断面又は表面を,塩酸,塩化銅アンモニウム,王水な
どを用いて腐食し,肉眼で判定する試験。
macroscopic test,
macro structure
examination
0332
レプリカ法
追従性のよい有機材料皮膜を試験部の表面に貼付し,表面の
凹凸を忠実に皮膜上に再現し,この皮膜を剝がして観察する
方法。
replica method
0333
異材判別,
異材の鑑別
異材混入のおそれがある試験体を試験して,異材を判別する,
又は異材の混入を確認すること。
sorting of materials,
discrimination of foreign
materials
0334
(鋼の)火花試験
鋼塊,鋼片,鋼材及びその他の鋼製品をグラインダを使用し
て研削し,発生する火花の特徴を観察することによって,鋼
種の推定又は異材の鑑別を行う試験。
spark test (for steel)
0335
打音試験
試験体を打撃体で打撃することによって発生する放射音を利
用した非破壊試験。
注記 打音による変状の検出,材質試験,厚さ測定などの試
験が含まれる。
impact acoustics test
14
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
0336
応力発光法
応力発光を示す材料を用い,力学的刺激によって発光する応
力発光強度を観察又は計測することによって,試験体の応力
分布,ひずみ分布,きずなどに相当する情報を求める方法。
mechanoluminescent
method
0337
(コンクリートの)
衝撃弾性波試験
物理的な衝撃で発生させた弾性波を,コンクリート表面又は
内部の振動として,振動センサによって受信する非破壊試験。
impact elastic wave test
0338
(コンクリートの)
電磁波レーダ試
験
媒質中を伝搬する電磁波が比誘電率の異なる境界で反射する
性質を利用した非破壊試験。
注記 電磁波レーダによる配筋状態,コンクリートの変状,
部材厚さ測定などの試験が含まれる。
radar test
0339
(渦電流試験の)
バランス
出力値を0にするための信号の補正。
balance
c) 判定・評価
番号
用語
定義
対応英語(参考)
0401
判定基準
非破壊試験によって検出した結果を用いて,要求水準を満足
しているかを決める基準。
注記 試験体の検査を実施して,それを合格とし決定するた
めに用いられる場合は,“合格基準”という。
acceptance criteria
0402
合格品質レベル
抜取検査において合格とする,処理平均として満足すると考
えられる欠陥品が発生する割合。
acceptable quality level
0403
合格レベル
合否のためのしきい値として事前に決定された一連のパラメ
ータ値。
acceptance level
0404
疑似指示
不連続部又は不完全部以外の状況に起因すると解釈される
NDT指示。
false indication
0405
きず
非破壊試験の結果から判断される不完全部又は不連続部。
注記 “きず”には合格となるものと,不合格となるものと
がある。
flaw
0406
きず高さ
きずの板厚方向の寸法。
注記 開口きずの場合,“きず深さ”ということもある。
flaw height
0407
きず深さ
きずから探傷面(基準面)までの最短距離[“きず高さ(0406)”
の図参照]。
注記 開口きずの場合,“きず高さ”を指すこともある。
flaw depth
0408
欠陥
規格,仕様書などで規定された合格基準を満たさず,不合格
となるきず。
注記 総合した大きさ,形状,方向性,位置又は特性が規定
された合格基準を満足しない,一つ以上のきずを指し,
不合格とみなされる。
defect
0409
欠陥高さ
欠陥の板厚方向の寸法[“きず高さ(0406)”の図参照]。
注記 開口欠陥の場合,“欠陥深さ”ということもある。
defect height
15
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
0410
欠陥深さ
欠陥から探傷面(基準面)までの最短距離[“きず高さ(0406)”
の図参照]。
注記 開口欠陥の場合,“欠陥高さ”を指すこともある。
defect depth
0411
検出感度
試験体の品質又は不連続部を検出できる非破壊試験手法の能
力。
注記 検出感度が高いほど,小さい不連続部の検出能力が高
くなる。
detection sensitivity
0412
検出レベル
指示を検出するしきい値。
disregard level
0413
検証
非破壊試験の結果として得られたデータ又は証拠に対して系
統的に調査を行い,指示が実在するか否かを確証すること。
注記 放射線透過試験,磁気探傷試験及び浸透探傷試験の場
合は,“観察”を意味する。
viewing,
0414
観察条件
観察を実施する際の周囲の環境状況の詳細。
viewing conditions
0415
判定
きずが規定の判定基準を満足しているか否かを決定するこ
と。
evaluation
0416
判別
指示が評価の対象となるか,評価対象外か又は疑似的なもの
かの判断を下すこと。
interpretation
0417
指示模様
非破壊試験において,装置上に表示された画像,数値又は試
験体上に出現された模様。
indication
0418
評価対象指示
きずによる指示であって試験体の使用可能性について評価対
象となる指示。
注記 浸透探傷試験では,“評価対象指示模様”ともいう。
relevant indication
0419
評価対象外指示
きずによる指示であって試験体の使用可能性について評価対
象とならない指示。
注記 浸透探傷試験では,“評価対象外指示模様”ともいう。
nonrelevant indication
0420
健全部
異常がないと判断される部分。
sound area
0421
不完全部
品質特性が意図する状態から逸脱している部分。
imperfection
0422
不連続部
組織,材質又は形状の連続性が途切れる部分。意図的な場合
とそうでない場合との両方が含まれる。
discontinuity
0423
ノイズ
試験対象物の表面状態若しくは組織,又は装置若しくは試験
条件に起因する本来的でない指示。
noise
0424
人工きず
穴,溝,ノッチなどの機械加工又はその他の手法で試験片に
加工したもの。
artificial flaw
0425
(装置の)校正
既知の対比きずによって,装置を比較すること又は装置の調
整を行うこと。
calibration of instrument
0426
(きずの)特性化
NDT応答に基づいて,きずの寸法,方向性,成長又は他の特
性を定量化する手順。
flaw characterization
4.2
放射線透過試験
a) 一般
番号
用語
定義
対応英語(参考)
1001
放射線
電磁波又は粒子の運動エネルギーが,空間又は物質を通して
放射されるエネルギーの伝搬。
注記 電磁放射線と粒子放射線とがある。
radiation
1002
γ線,
ガンマ線
特定の放射性物質から発生する電磁波(放射線)。
gamma rays
1003
X線,
エックス線
電子が金属ターゲットに高速で衝突したとき発生する透過力
のある電磁波(放射線)。
X-rays
1004
白色X線
連続スペクトルをもつX線。
white X-ray
16
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
1005
(X線の)連続ス
ペクトル
X線発生装置から生じるX線の波長又は光子エネルギーの連
続した分布。
continuous spectrum
1006
軟X線
長波長(低エネルギー)の成分を多く含むX線。
注記 一般的に,100 kV以下の管電圧で発生するX線をいう。
soft X-ray
1007
特性X線
ターゲット元素固有の線スペクトルをもつX線。
characteristic X-ray
1008
透過線
試験体に照射された一次放射線が相互作用を起こすことなく
透過した放射線[“後方散乱線(1011)”の図参照]。
penetrated radiation,
transmitted radiation
1009
散乱線
物質内を通過するとき,物質との相互作用によって方向が変
化する放射線[“後方散乱線(1011)”の図参照]。
注記 エネルギー変化を伴うものと伴わないものとがある。
scattered radiation
1010
前方散乱線
散乱角が90°未満の散乱線[“後方散乱線(1011)”の図参照]。 forward scattered
radiation
1011
後方散乱線
入射線の方向に対して90°以上の角度で散乱するX線又はγ
線の一部。
back scatter,
back scattered radiation
1012
散乱比
放射線が試験体を透過したとき,任意の点における散乱線量
率と透過線線量率との比。
intensity ratio of scattered
to penetrated radiation
1013
コンプトン散乱
X線又はγ線の光子と電子との相互作用であり,光子エネル
ギーの減衰を伴い,散乱線は入射線の入射角とは異なる角度
で放出される現象。
compton scattering
1014
二次放射線
入射放射線と物質との相互作用によって生じる放射線(JIS Z
4001参照)。
secondary radiation
1015
再生係数,
ビルドアップ係数
広い線束の場合,コンプトン散乱によってエネルギーの低く
なった散乱線の一部が入射線に加わるため,物質中での減弱
を求める際に必要な補正係数。
build-up factor
1016
放射能
放射性同位元素が壊変を起こして別の元素に変化する性質
(能力)。単位時間当たりの放射性壊変の数で表し,単位はベ
クレル(Bq)。
radioactivity
1017
比放射能
放射性同位元素を含有する物質の単位質量当たりの放射能の
強さ。
specific activity
1018
壊変曲線
放射性同位元素の放射能の時間変化を表した曲線。
decay curve
1019
半減期
放射性物質の放射能の強さが半分になるまでの時間。半減期
の長さは,核種で固有である。
half-life
1020
(放射線の)吸収
光子(放射線)が物質を通過するとき,その数が減少するこ
と又はその過程。
absorption
1021
減弱
X線又はγ線が物質を通過するとき,物質との相互作用によ
って照射線束の線量率が減少すること。
attenuation
1022
減弱曲線
吸収体を透過する一次放射線の透過割合を透過厚さの関数と
して図示したもの。
attenuation curve
17
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
1023
減弱係数,
μ
X線又はγ線が物質を通過するとき,物質との相互作用(光
電効果,コンプトン散乱及び電子対生成)によって減弱する
程度を表す係数。入射光子の数(強度)をI0とし,物質の深
さxで入射光子の数(強度)がIとなったとすると,I=I0×e
−μxなる関係式が導かれる。この式において,μが(線)減弱
係数で,単位は長さの逆数(mm-1又はcm-1)。
なお,(線)減弱係数を物質の密度で除したものが質量減弱係
数である。
attenuation coefficient
1024
放射線エネルギー
X線,γ線などの電磁波の場合は,光子のエネルギー。
注記 α線,β線などの粒子線の場合は,粒子のエネルギー。
単位は,電子ボルト(eV)。
radiation energy
1025
(放射線束の)線
質
放射線の透過力に関わる放射線のエネルギー分布[“半価層
(1026)”参照]。
注記 線質は,半価層として表現することもある。
radiation quality
1026
半価層,
HVT
X線又はγ線が物質との相互作用によって放射線量(率)を
二分の一に減弱する物質の厚さ。
注記 ここで,放射線量(率)は,単位時間当たりの放射線
量である。
half value thickness,
HVT
1027
1/10価層,
TVL
X線又はγ線が物質との相互作用によって放射線量(率)を
十分の一に減弱する物質の厚さ。
注記 ここで,放射線量(率)は,単位時間当たりの放射線
量である。
tenth-value layer,
TVL
1028
実効エネルギー
白色X線の線質を,白色X線の半価層と等しい半価層をもつ
単色X線のエネルギーで表したもの。
effective energy
1029
固有ろ過
一次線束(ビーム)が通過するX線管の部品,取付具又は線
源カプセルによって生じる放射線束(ビーム)のろ過。
inherent filtration
1030
照射線量
電離放射線によって,空気中に生成される電荷量。単位は,
クーロン毎キログラム(C/kg)。
radiation dose,
exposure dose
1031
空気カーマ
X線又はγ線を空気に照射したとき,空気1 kg当たり放出さ
れた荷電粒子の初期運動エネルギーの総和。単位は,グレイ
(Gy)(1 Gy=1 J/kg)。
air kerma
1032
吸収線量
放射線が当たった物質が吸収したエネルギーで表される放射
線量。単位は,グレイ(Gy)(1 Gy=1 J/kg)。
absorbed dose
1033
シーベルト
放射線の種類による生体に対する影響の違いを加味した実効
線量,等価線量及び線量当量のSI単位。単位記号はSv。
Sievert
1034
階調度,
G
規定された濃度におけるX線フィルムの特性曲線への接線の
勾配(JIS K 7627参照)。
注記 階調度(G)は,フィルムシステムのコントラストの指
標となる。
film gradient
1035
フィルムコントラ
スト,
γ
フィルムの特性曲線の任意の濃度における接線の傾き。
film contrast
1036
フィルムシステム
の感度
規定の露出条件における(放射線の照射量に対する)フィル
ムシステムの定量的感度。
注記 フィルムシステムとは,フィルム並びにフィルム製造
業者及び/又は処理薬品業者の推奨する処理条件を組
み合わせたもの(JIS K 7627参照)。
film system speed
1037
(X線検出器の)
露出
X線フィルム及びCR,DDAなどのデジタル検出器に放射線
を照射すること。
exposure
1038
一次放射線
減弱することなく,線源から検出体に直接向かう放射線。
primary radiation
18
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
1039
輝尽発光
ある種の物質にX線などの放射線を照射(刺激)した後,照
射された所に可視光又は赤外線を照射すると,この光よりも
波長が短く,かつ,放射線の照射量に対応した蛍光が発する
発光現象及びその光。
photostimulated
luminescence
b) 機器・材料
番号
用語
定義
対応英語(参考)
1101
線源
(電離)放射線を放出することができる機器(例えば,X線
管又はγ線源)。
radiation source
1102
(X線管の)焦点
X線管の陽極上におけるX線を放射している場所。
focal spot
1103
(X線発生装置の)
絞り
X線管の先端又はチューブシールドに固定することによって
放射する線束を制限する器具。
diaphragm
1104
(X線発生装置の)
シャッター
X線の照射を制御する器具。
注記 一般に鉛製で,チューブシールドに取り付けられ,リ
モート操作によってX線の照射をコントロールするた
めの器具である。
tube shutter
1105
(X線管の)ター
ゲット
電子ビームが衝突し,一次放射線束が放出されるX線管の陽
極面。
target
1106
中心指示器
X線発生器の放射口に取り付け照射野の中心を示す器具。
centering rod
1107
チューブシールド
放射線漏れを所定の値以下に制限するためのX線管容器。
tube shield
1108
チューブヘッド
X線装置の一部で,X線管を保護する容器。
tube head
1109
(X線装置の)定
格出力
X線装置において,X線管に加わる最大端子電圧[定格電圧。
単位はキロボルト(kV)]と,その電圧における最大管電流[定
格管電流。単位はミリアンペア(mA)]とで表した数値。
rated output
1110
等価X線管電圧
特定のγ線源によって撮影したγ線透過写真に対して,等価
な像質の透過写真が得られるX線管の管電圧。
equivalent X-ray tube
voltage
1111
コーンビーム
円すい状に広がる放射線のビーム。
注記 ビームの縁の形状によらず二次元検出器で測定すると
きの放射線のビームをいう。
cone beam
1112
ファンビーム
ほぼ平面内にX線焦点を頂点とする扇状に広がる放射線のビ
ーム。
fan beam
1113
入射線束軸
焦点及び管窓で形成される円すい状線束の軸。
incident beam axis
1114
(X線管の)陽極
電流
X線管内を陰極から陽極に移動する電子の流れ。
anode current
1115
ロッドアノード管
筒状の陽極の先端にターゲットを置いた,放射線を全周照射
できるX線管。
rod anode tube
1116
管電圧
X線管の陽極と陰極との間に印加される高電圧。
tube voltage
1117
一体形X線装置,
携帯式X線装置
高電圧発生器及びX線管を一体としたX線発生器と制御器と
を低電圧ケーブルで接続するX線装置。
mono-tank type X-ray
apparatus,
portable type X-ray
apparatus
1118
分離形X線装置,
据置式X線装置
X線管装置,X線管冷却器,高電圧発生器,X線制御器,高
電圧ケーブル,低電圧ケーブルなどによって構成されるX線
装置。
separate type X-ray
apparatus
1119
コンスタントポテ
ンシャル(方式)
X線管に一定した電圧を印加し,一定したX線を出力するX
線発生装置。
constant potential X-ray
generator
1120
γ線源
金属カプセル内に密封された放射性物質。
注記 イッテルビウム169,イリジウム192,セレン75,コバ
ルト60などが非破壊試験に使用される。
gamma-ray source
19
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
1121
γ線透過試験装置,
γ線装置
密封放射γ線源から放出された放射線を工業用γ線透過試験
用に設計された,線源容器及び線源アセンブリに加え,仕様
に応じて,遠隔操作装置,レリーズワイヤ,伝送管,操作管
及び先端棒又はコリメータで構成される装置(JIS Z 4560参
照)。
gamma-ray apparatus for
radiography
1122
照射容器,
線源容器
γ線源から放出される放射線量を低減でき,安全に取扱いがで
きるだけの十分な壁厚をもつ高密度の材料で作られた容器。
radiation source container
1123
密封放射線源
放射性物質の散逸及び他の物質との接触を避けるため,カプ
セルに密閉,又はカバーを接着した放射性の線源[“非密封放
射線源(1124)”参照]。
sealed source,
gamma ray source
1124
非密封放射線源
密封されていない,又は密封性能が不十分な線源[“密封放射
線源(1123)”参照]。
unsealed source
1125
線源アセンブリ
線源ホルダに内蔵,又は取り付けられたγ線源のアセンブリ
(JIS Z 4560参照)。
source assembly
1126
線源ホルダ
γ線源を直接線源容器に取り付ける器具,又はγ線源を遠隔操
作装置のレリーズワイヤ端部に保持するために取り付ける器
具。
source holder
1127
伝送管
線源容器からγ線源及びレリーズワイヤを誘導する可とう
(撓)性をもつ管。
projection sheath
1128
放射口
放射線ビームを通過させることを目的とした放射線源の防護
遮蔽体の開口部。
radiation aperture
1129
漏れ放射線
X線装置の放射口又はγ線装置の照射口を透過してくるもの
ではなく,X線源又は放射線源の防護遮蔽物を透過してくる
放射線。
leakage radiation
1130
(γ線装置の)遠隔
操作装置
γ線源容器から離れた位置で,線源アセンブリを使用位置へ移
動するための操作を行う装置。
remote control
1131
収納管
線源アセンブリを接続していない側のレリーズワイヤを収納
する中空の可とう(撓)性をもつ管。
注記 収納管の代わりにレリーズワイヤをワイヤドラムに収
納する方式もある。
reserve sheath
1132
照射筒
放射線源の放射口に取り付ける筒状の照射野を限定する器
具。
tubular diaphragm
1133
先端棒
伝送管の先端に閉止の目的で取り付けられ,その先端でγ線
源を照射する器具。
exposure head
1134
操作管
線源容器と遠隔操作装置との間の操作用レリーズワイヤを誘
導する可とう(撓)性をもつ管。
control cable sheath
1135
コントロールケー
ブル,
レリーズワイヤ
線源容器から線源ホルダを遠隔操作によって当該位置まで出
し入れするために接続するケーブル。
control cable,
release wire
1136
直線加速器,
リニアック
導波管の内部又は多数の整列したキャビティ間に作られた高
周波電界によって,荷電粒子を直線的に加速する装置。
注記 イオン又は電子を加速するものをそれぞれイオン直線
加速器又は電子直線加速器という。線形加速器ともい
う。
LINAC,
linear accelerator
1137
ベータトロン
円形の交流電磁石の磁束を変化させ,円周軌道に生じる電界
によって電子を加速する装置。
betatron
1138
微小焦点X線管
焦点寸法が100 µm未満のX線管。
注記 拡大撮影法に用いられる。
micro focus tube
1139
複焦点X線管
異なる二つの焦点寸法をもつX線管。
dual focus tube
20
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
1140
(放射線発生装置
の)イコライザ
高エネルギー放射線透過試験の一次X線束の放射線量率を均
一化させ,それによって有効照射域を拡大するための器具。
equalizing filter,
beam flattener
1141
(検出器の前に置
いた)フィルタ
長波長(低エネルギー)の放射線を吸収するように,線源と
X線フィルム又は検出器との間に置かれた,一般に試験体の
原子番号よりも上位の原子番号をもつ材料の均一層。
filter
1142
固定マスク
透過写真の周囲からの強い光を防ぐための透過写真観察器の
附属品。
viewing mask
1143
スクリーン形フィ
ルム
蛍光増感紙と一緒に使用することを目的とした透過写真(試
験)用X線フィルム。
screen type film
1144
ノンスクリーン形
フィルム
蛍光増感紙を使用しないで,放射線に対する感度を大きくし
た透過写真(X線)フィルム。金属増感紙又は金属蛍光増感
紙と組み合わせるか,増感紙なしで直接使用する。
non-screen type film
1145
写真乳剤
ハロゲン化銀の微細な結晶粒子を保護コロイドの溶液(例え
ば,ゼラチン水溶液)に分散させたもの。
photographic emulsion
1146
(X線フィルム
の)フィルムベ
ース
感光乳(液)剤を塗布する支持体。
filmbase
1147
輝尽性蛍光体
放射線のエネルギーを潜像として記録し,適切な波長の赤色
光の刺激によって,吸収された放射線のエネルギーに比例し
た蛍光を生じる発光材料。
photostimulable phosphor,
photostimulable
luminescent material
1148
増感紙
放射線エネルギーの一部を光(光子)又は電子に変換し,記
録媒体と接触したときに,透過写真の像質を改善するか,透
過撮影に必要な時間を短縮するか,又はその両方を達成でき
るような物質[“金属増感紙(1149)”,“蛍光増感紙(1150)”
及び“金属蛍光増感紙(1151)”参照]。
intensifying screen
1149
金属増感紙
X線又はγ線を照射したとき,放射線をろ過して電子を放出
する高密度の金属(通常は鉛)から成る増感紙。
metal screen
1150
蛍光増感紙
X線又はγ線に露出したとき蛍光を発する蛍光体を塗布した
増感紙。
fluorescent intensifying
screen
1151
金属蛍光増感紙
X線又はγ線に露出したとき蛍光を放出する材料を金属はく
(通常は鉛)に塗布した増感紙。
fluorometallic
intensifying screen
1152
イメージングプレ
ート,
IP
輝尽性蛍光体をシート状の支持体に塗布したコンピューティ
ッド・ラジオグラフィ(CR)用の放射線検出器。
imaging plate,
IP
1153
(X線フィルム
の)カセット
露出中,撮影用X線フィルム又はIPを収納するための遮光性
容器(袋)。
注記 剛性のあるもの,フレキシブルなもの,及び増感紙の
あるものとないものとがある。
cassette
1154
真空カセット
真空状態にして,放射線照射中X線フィルムと増感紙とを高
い密着状態に保持する遮光性のケース。
vacuum cassette
1155
コントラスト調整
材
撮影する対象物に適用して,その放射線コントラストの全部
又は一部を改善するための適切な固体又は液体の材料。
contrast medium
1156
遮蔽材料
X線フィルム又は検出器への散乱線の影響を軽減するために
用いる材料。
blocking medium,
shielding material
1157
端部遮蔽材
試験体の周囲又は空洞の内側に配置して,より均一性の高い
吸収が行われるようにし,過度の散乱放射線を低減して局部
的な露光過多を防ぐための,細かな粒状鉛などの遮蔽材料
[“遮蔽材料(1156)”参照]。
edge-blocking material
1158
遮蔽ボックス
内部にX線管装置又はX線発生器を設置するX線防護用の
箱。
X-ray shield box
21
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
1159
(校正済み)基準
濃度ステップタ
ブレット
基準濃度として使用できるように種々の光学濃度値を段階的
にもつフィルム。
density step tablet
1160
ステップウエッジ
同材質で厚さが階段状に並んだ試験体。
step wedge
1161
透過写真観察器
透過写真を観察するための,光源と半透明の拡散板とをもつ
器具。
film illuminator,
film viewer
1162
像質計,
IQI
像質を定量的に測定することができるゲージ。
注記 ISO規格などでは有孔形透過度計,有孔階段形透過度
計,針金形透過度計及び複線形像質計を含めて“像質
計”というが,国内では透過度計という呼称が一般化
していることから,有孔形透過度計,有孔階段形透過
度計及び針金形透過度計を“透過度計”とし,複線形
像質計だけを“像質計”としている。
image quality indicator,
IQI
1163
透過度計
透過画像の像質を定量的に管理するためのゲージ[“像質計
(1162)”参照]。
image quality indicator,
penetrameter
1164
針金形透過度計
金属線で構成した透過度計。
注記 JIS Z 2306では,直径の異なる7本の針金を用いた一般
形と,同一直径の9本の針金を用いた帯形の2種類を
規定している。
wire type image quality
indicator,wire type
penetrameter
1165
有孔形透過度計
板に貫通孔を設けた透過度計。
注記 く(矩)形の板に直径の異なる3個の貫通孔を設けた
方形と,円形の板に直径の異なる2個の貫通孔を設け
た円形との2種類がある。
hole type image quality
indicator,
hole type penetrameter
1166
有孔階段形透過度
計
各段に板の厚さと同じ直径の貫通口を設けた階段状の透過度
計。
step/hole-type image
quality indicator
1167
複線形像質計
像の不鮮鋭度を評価するために用いられる,高密度の金属で
作られた線対の系列からなる像質計(JIS Z 2307参照)。
duplex wire type image
quality indicator
1168
階調計
透過写真の像質を評価するためのゲージ。透過写真の撮影条
件の定量的確認のために用いる。
contrast indicator,
contrastmeter
1169
肉厚補償くさび
すみ肉溶接部の透過写真撮影において,母材と溶接部のX線
又はγ線の吸収が大きく異なる試験体の撮影に使用する肉厚
補償用のブロック。
compensating wedge
1170
フィルムマーカ
透過写真に識別用の文字又は記号を写し込むためのマーカ。
film marker
1171
濃度計
透過写真(X線)フィルムの透過濃度又は印画紙の反射濃度
を測定するための装置。
densitometer
1172
マイクロデンシト
メータ
高分解能の顕微鏡光学系と微弱測光機能とを備え,微小面積
の光学濃度を連続的に測定する装置。
microdensitometer
1173
X線蛍光増倍管
入射したX線(像)を光(像)に変換し輝度を増倍する機能
をもつ電子管。X線透視法に用いる。
X-ray image intensifier
c) 試験方法
番号
用語
定義
対応英語(参考)
1301
X線透過試験,
X線ラジオグラフ
ィ
X線を用いた放射線透過試験。
X-ray radiography
1302
γ線透過試験,
γ線ラジオグラフィ
γ線を用いた放射線透過試験。
gamma-ray radiography
1303
直接撮影方法
試験体を透過した放射線を,直接,透過写真(X線)フィル
ムに受けて記録する撮影方法。
direct radiography
22
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
1304
間接撮影方法
試験体を透過した放射線を,蛍光板又は蛍光増倍管で受け,
蛍光面上の透視像をカメラなどで記録する撮影方法。
indirect radiography
1305
X線透視法
蛍光板,蛍光増倍管などの放射線検出体上に電離放射線によ
って可視像を作り,テレビモニターに表示する方法。
radioscopy
1306
蛍光板透視法
放射線によって蛍光板上へ可視像を作り,その像を直接観察
すること。
fluoroscopy
1307
リアルタイムラジ
オグラフィ
X線透視法のうち,可視像をテレビカメラで撮像し,動く試
験体の透視画像を表示する手法。X線ラインセンサを用いる
手法もこれに該当する。
real-time radiography
1308
フラッシュラジオ
グラフィ
極めて短時間にX線を放射する装置を用いて,高速な現象を
撮影する方法。
flash radiography
1309
マイクロフォーカ
ス放射線透過試
験
100 µm未満の極めて小さい焦点寸法をもつX線管を使用した
放射線透過試験。
注記 一般に,拡大撮影方法に用いられる[“拡大撮影方法
(1325)”参照]。
microfocus radiography
1310
ラミノグラフィ,
トモシンセシス
X線源及び検出器が試験体に対して相対的な運動をする場合
に,X線源走査面と検出器走査面との間の任意の断面画像を
撮影する方法。
注記 直線軌道走査,円軌道走査などがある。
laminography,
tomosynthesis
1311
立体撮影法
2枚の透過写真を撮影し,きずなどの相対位置を立体的に観
察できる撮影方法。
stereo radiography
1312
焦点寸法
X線管の焦点の寸法。
注記 熱電子が衝突している場所の寸法を示す実焦点寸法と
X線フィルム又は検出器上から見た焦点の寸法を示す
実効焦点寸法とがある[“実効焦点寸法(1313)”参照]。
focal spot size
1313
実効焦点寸法
X線フィルム又は検出器から見た焦点の寸法。
注記 照射野の中心位置から見た焦点寸法でピンホール法,
解像力法などによって測定する(JIS Z 4615参照)。
effective focal spot
1314
線源とフィルム間
の距離,
線源と検出器間の
距離
線源からX線フィルム又は検出器までの距離。線源と試験体
との距離に,試験体とフィルム又は検出器までとの距離を加
えたものをいう。
注記 JIS Z 3104,JIS Z 3105及びJIS Z 3106における二重壁
撮影方法は,フィルム面に対して直角な方向の距離と
している。
source-to-film distance,
source-to-detector
distance
1315
焦点とフィルム間
の距離,
焦点と検出器間の
距離
X線管の焦点からX線フィルム又は検出器までの距離。
focus-to-film distance,
focus-to-detector distance
1316
線源と試験体間の
距離,
焦点と試験体間の
距離
線源又はX線管の焦点と試験体の線源側表面との距離。
注記 JIS Z 3104,JIS Z 3105及びJIS Z 3106における二重壁
撮影方法は,フィルム面に対して直角な方向の距離と
している。
source-to-object distance,
focus-to-object distance
1317
試験体とフィルム
間の距離,
試験体と検出器間
の距離
試験体の照射側とX線フィルム又は検出器との距離。
注記 JIS Z 3104,JIS Z 3105及びJIS Z 3106における二重壁
撮影方法は,フィルム面に対して直角な方向の距離と
している。
object-to-film distance,
object-to-detector
distance
1318
試験部の有効長さ
1回の撮影できずの像の分類ができる試験部の長さ。
effective length of test part
23
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
1319
内部線源撮影方法
管の内部に線源を置き,管の外側にX線フィルム又は検出器
を取り付けて撮影する方法。
注記 全周同時撮影方法と分割撮影方法とがある。
internal source technique
1320
内部フィルム撮影
方法,
内部検出器撮影法
管の外部に線源を置き,管の内側にX線フィルム又は検出器
を取り付けて,全周を分割して撮影する方法。
internal film technique,
internal detector
technique
1321
二重壁片面撮影方
法
管の円周突合せ溶接部を撮影する場合,線源及びX線フィル
ム又は検出器を溶接部を含む平面と適切な角度をとって配置
し,管壁を二重に透過して撮影する方法。
注記 X線フィルム又は検出器を取り付けた側の溶接部だけ
を試験の対象とする。
double wall single image
technique
1322
二重壁両面撮影方
法
比較的小径管の円周突合せ溶接部を,管壁を二重に透過して
撮影する方法。
注記 X線フィルム又は検出器を取り付けた側の溶接部及び
線源側の溶接部の両側を試験の対象とする。
double wall double image
technique
24
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
1323
パノラマ照射
γ線の多方向特性又はX線のパノラマセットを利用した放射
線透過試験の構成。
注記 例えば,複数の試験体を同時に透過撮影したり,又は
円筒形試験体の全周を撮影したりすることができる
[“全周同時撮影方法(1324)”参照]。
panoramic exposure
1324
全周同時撮影方法
線源を管の中心に置き,X線フィルム又は検出器(IP)を管
の外周に取り付けて,全周を同時に撮影する方法[“パノラマ
照射(1323)”参照]。
simultaneous radiography
of the full
circumference
1325
拡大撮影方法
幾何学的拡大を利用したX線透過法又はX線透視法[“マイ
クロフォーカス放射線透過試験(1309)”及び“幾何学的拡大
率(1329)”参照]。
注記 デジタルラジオグラフィでは,検出器の空間分解能を
補償する方法として用いられる。
projective magnification
technique
1326
狭照射野撮影方法
照射野を局部的に絞り,X線フィルム又は検出器を試験体か
ら適切な距離を離して散乱比を低減させることによって,き
ずの像のコントラストを上げる撮影方法。
narrow area radiation
technique
1327
複合フィルム撮影
方法,
複合検出器撮影法
肉厚の異なる部分をもつ試験体の撮影で,同種又は感度の異
なるX線フィルム又は検出器を組み合わせて撮影する方法。
multiple film technique,
multiple detector
technique
1328
(モニタ表示の)
拡大率
観察時の画像の拡大の度合い。
注記 デジタルラジオグラフィでは,試験体の寸法を基準に
した幾何学的拡大率と,モニタに表示する画素を基準
とした拡大率とがある。
magnification
1329
(放射線源装置の)
幾何学的拡大率
線源と試験体との距離に対する線源とX線フィルム又は検出
器との距離の比率。拡大撮影方法(1325)参照。
geometrical magnification
1330
解像力法
解像力チャート又は数種類のワイヤーグリッドによって,実
効焦点の解像力的寸法を測定する方法。
wire grid method
1331
(フィルムの)特
性曲線
露出量の常用対数log Kと光学濃度Dとの関係を示した曲線。 characteristic curve of
film
1332
(フィルムの)ラ
チチュード
フィルム乳剤の光学濃度有効範囲に対応する露出範囲。
exposure latitude
1333
露出因子
透過撮影でX線フィルム又は検出器に到達するX線量又はγ
線量を表す因子。
X線では,露出因子=管電流(mA)×露出時間(min)/距離
の二乗(cm2)で,γ線では,露出因子=線源の強さ(Bq)×
露出時間(min)/距離の二乗(cm2)で求める。
exposure factor
1334
露出時間
記録媒体を放射線に露出する過程の時間。
exposure time
1335
露出線図
材料の厚さに対する,管電圧及び線源の種類と照射時間との
関係を表した線図
exposure chart
1336
クリアリング時間
フィルム定着においてハロゲン化銀が溶出して未露光部分が
透明になるまでの時間。
clearing time
1337
経時かぶり
長時間の保管をすることによって放射線を照射していないフ
ィルムを写真処理した場合に認められるフィルムの濃度の増
加。
aging fog
1338
潜像
放射線によってX線フィルム又はIPに作られた目に見えない
像で,処理することで可視像に変換できるもの。
注記 IPの場合,読出し又は消去しきれていない像が現れる
こともある。
latent image
1339
増感係数,
増感率
他の条件が同じとき,同一の光学濃度を得るのに必要な増感
紙を使わない場合と使った場合との露出時間の比。
intensifying factor
25
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
1340
(X線フィルムの)
定着
現像後に,写真乳剤からハロゲン化銀を化学的に除去するこ
と。
fixing
1341
フィルムデジタイ
ザ
透過写真(X線フィルム)の画像をデジタル信号に変換する
装置。
film digitizer
1342
放射線透過写真
X線フィルム上に,直接又は間接放射線の透過線によって作
られた写真処理後の可視像。
radiograph
d) 評価・判定
番号
用語
定義
対応英語(参考)
1401
画像のコントラス
ト
画像中の隣り合った二つの場所の濃度又は画素値の相対的差
異。
注記 画像中の見かけの相対的差異は,“視覚コントラスト
(1412)”参照。
image contrast
1402
像質,
画質
放射線透過画像の質。
image quality
1403
像質指数,
IQI感度,
IQI値
透過度計又は像質計の透過画像において要求又は達成された
像質の値。
image quality value,
IQI sensitivity,
IQI value
1404
識別最小線径
透過写真の試験部で識別できる透過度計の最小線径。
minimum perceptible
wire diameter
1405
写真濃度
写真の黒さの程度を表す尺度。
注記 透過濃度と反射濃度とがある。濃度Dは,次の式によ
って計算できる。
D=log10(L0/L)
ここに,L0は入射光の強さ,Lは透過光又は反射光の強さ。
film density
1406
階調計の値
透過写真のコントラストの定量的な表示方法で,階調計の濃
度差を階調計に近接した母材の部分の濃度で除したもの。
evaluation value of
contrastmeter
1407
階調計の濃度差
透過写真の像質を表す尺度の一つで,透過写真上の階調計の
中央の部分と近接する母材部分との濃度の差。
density difference of
contrastmeter
1408
粒状度,
粒状性
均一に照射したフィルムにおける濃度変動。拡散濃度の標準
偏差で表す。
注記 粒状度の視覚的外観を“粒状性”ということもある。
granularity,
graininess
1409
試験視野
きずの像の分類において,きず点数を求めるための視野。
注記 例えば,JIS Z 3104では,母材の厚さによって,10 mm
×10 mm,10 mm×20 mm又は10 mm×30 mmの試験視
野を用いる。
test field of vision
1410
きず点数
きずの長径,又はきずの大きさに応じて規定した点数。
注記 試験視野に存在するきず点数の合計によって,きずの
像の分類を行う。
flaw mark
1411
関心領域,
ROI,
AOI
画像データの観察,測定又は画像処理をする対象領域。
region of interest,
ROI,
area of interest,
AOI
1412
視覚コントラスト
観察器上の透過写真における隣接した2か所の部分の間の見
かけのコントラスト。
visual contrast
1413
識別限界コントラ
スト
透過写真上で識別できず,透過度計の針金又は孔の像として
識別できる最小の濃度差。
注記 透過度計の線,孔の寸法,透過写真の濃度,観察方法,
X線フィルムの粒状性,個人差などの影響を受ける。
minimum perceptible
contrast
26
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
1414
被写体コントラス
ト
照射試験体の二つの場所の放射線透過線量率の相対的差異。
注記 試験体内部の放射線透過率の変化に注目した放射線量
のコントラストは,“放射線コントラスト(1416)”参
照。
object contrast
1415
コントラスト識別
度,
厚さ識別度
X線透過(又は透視)画像において,認識できる程度の光学
濃度変化を生じる試験体の厚さの最小変化。試験体全厚に対
する百分率で表す。
contrast sensitivity,
thickness sensitivity
1416
放射線コントラス
ト
照射される試験体内部の放射線透過率の変化による放射線量
の相対的差異。
注記 試験体を透過した放射線透過線量率に注目したコント
ラストは,“被写体コントラスト(1414)”参照。
radiation contrast
1417
鮮鋭度
写真像の輪郭の明瞭さを表すもの。
注記 鮮鋭度に与える影響を大別すると,幾何学的条件によ
る半影,放射線の線質,フィルムの粒状性,及び増感
紙などがある。
definition,
sharpness
1418
(画像の)不鮮鋭
度,
(像の)不鮮鋭度,
(検出器の)不鮮
鋭度
ぼけによる画像の鮮鋭度の低下。幾何学的不鮮鋭度,固有不
鮮鋭度及び動的不鮮鋭度の総称をいう。
注記 画像の不鮮鋭度は,試験体の表面に複線形像質計を置
いて計測される不鮮鋭度で,像の不鮮鋭度ともいう。
検出器の不鮮鋭度は,検出器の表面に複線形像質計を
置いて計測される不鮮鋭度で,検出器自体に起因する
画像のぼけで,固有不鮮鋭度とも呼ばれる。
unsharpness,
unsharpness of the image,
unsharpness of the
detector
1419
幾何学的不鮮鋭度
線源の有限寸法に起因する画像の不明瞭さ。
注記 線源と試験体間の距離及び試験体と検出器又はX線フ
ィルム間の距離に依存し,幾何学的ぼけ又は半影とも
いう。
geometric unsharpness
1420
固有不鮮鋭度
X線フィルム又は検出器に起因する画像のぼけ。
注記 X線フィルムでは,放射線の光子による画像のぼけを,
デジタルラジオグラフィでは,検出器自体に起因する
画像のぼけをいう。
inherent unsharpness
1421
透過像の解像度
透過画像の詳細輪郭の鮮明さ。
image definition
1422
動的不鮮鋭度
線源,試験体又は放射線検出体の相対的な動きによる画像の
ぼけ。
movement unsharpness
1423
きず検出感度
特定の試験条件下で最小きず寸法を検出する能力。
flaw detection sensitivity
1424
空間周波数
単位長さ当たりに存在する等しい幅をもつ明暗の線対の組
数。単位は,通常,センチメートル当たり線対数(LP/cm)又
はミリメートル当たり線対数(LP/mm)を用いる(JIS Z 4917
参照)。
spatial frequency
1425
空間周波数最大値
ナイキストのサンプリング定理によって決定される,識別可
能な空間周波数の最大値。次の式によって求める。
fc=1/(2×P)
ここに, fc: 空間周波数最大値(LP/mm)
P: 線幅及び線間の寸法(mm)
spatial frequency
maximum value
1426
空間分解能
位置的に接近した2点を独立した2点として識別できる能力。 spatial resolution
1427
変調伝達関数,
(X線フィルム
の)MTF
結像システムの空間周波数応答関数。
modulation transfer
function,
MTF
1428
回折異常像
材料の結晶構造による放射線回折現象に起因する透過画像上
の多重パターン。
diffraction mottle
27
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
1429
アーチファクト,
偽画像
フィルムの製造,取扱,照射,処理の過程などで損傷を受け
ることによって透過写真に現れる画像。
注記 CTでは,CT特有のデータ収集,画像再構成などによ
って現れる画像を指す。
artifact (false indication)
1430
圧力マーク
X線フィルムに作用する局部的圧力が原因で,状況によって
明るく又は暗く表出する濃度の変動。
pressure mark
1431
かぶり濃度
透過像を形成する放射線照射の直接的作用以外による,処理
フィルムの光学的濃度。
注記 これには,経時かぶり,化学かぶり,二色かぶり,露
光かぶり及び固有かぶりがある。
fog density
1432
平均階調
写真感光材料の特性曲線上の特定の2点間を結んだ直線の傾
き。
average gradient
1433
有効濃度範囲
透過写真の観察に必要な光学濃度範囲。
注記 その上限は,透過写真観察器の輝度によって,下限は,
きずの検出性の低下によって決定される。
useful density range
e) 放射線管理
番号
用語
定義
対応英語(参考)
1501
管理区域
外部放射線の実効線量が3か月当たり1.3 mSvを超えるおそ
れがある区域。
controlled area
1502
立入禁止区域
X線管の焦点又は放射線源及び被試験体から5 m以内の場所。
ただし,実効線量が1週間につき1 mSv以下の場所を除く。
no admittance area
1503
実効線量
被ばくした組織又は臓器の等価線量に,その“組織加重(荷
重)係数”を乗じて合計した値。単位はシーベルト(Sv)。
effective dose
1504
等価線量
組織又は臓器に対する被ばくの効果を評価するために使用さ
れる量で,組織又は臓器における平均吸収線量に放射線に対
する“放射線加重(荷重)係数”を乗じた値。単位はシーベ
ルト(Sv)。
equivalent dose
1505
線量当量,
線量当量率
放射線の人体への影響を表す量。吸収線量と線質係数との積
で表す。単位はシーベルト(Sv)。
注記 線量当量(率)には,1センチメートル線量当量(率)
及び70マイクロメートル線量当量(率)がある。
dose equivalent (rate)
1506
組織加重(荷重)
係数
実効線量を計算するときに各組織・臓器の等価線量に乗じる
係数。放射線被ばくによる各組織・臓器の確率的影響の損害
割合を身体の全損害に対して算定する。
tissue weighting factor
1507
放射線加重(荷重)
係数
健康への影響に対する種類の異なる放射線の効果の違いを考
慮するためのもので,吸収線量に乗じられる相対的係数(JIS
Z 4001参照)。
radiation weighting factor
1508
電離放射線
直接又は間接的に電離作用をもつ放射線。紫外線は除外する。 ionizing radiation
1509
光刺激ルミネセン
ス線量計,
OSL
放射線検出用輝尽性蛍光体を支持体に塗布し,数種類のフィ
ルタをもつケースに入れた個人被ばく線量計。
注記 その輝尽発光量から装着した部位の被ばくを推定す
る。
Optically Stimulated
Luminescence
dosimeter,
OSL
1510
熱ルミネセンス線
量計,
TLD
放射線の照射を受けた物質が励起状態となり,物質が加熱さ
れたとき,励起状態が解放されて発する光を測定する線量計
(JIS Z 4345参照)。
thermoluminescence
dosimeter,
TLD
1511
サーベイメータ
放射性物質の有無,レベル又は線量当量率を測定するポータ
ブル放射線測定器。
survey meter
1512
ポケット線量計
万年筆大の大きさと形をもつ電離箱形個人線量計(JIS Z 4001
及びJIS Z 9212参照)。
pocket chamber,
pocket dosimeter
28
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
1513
蛍光ガラス線量計
線量に比例した蛍光を発生する特殊ガラス製の個人被ばく線
量計。
fluoroglass dosimeter
1514
電子式線量計
被ばく線量がデジタルで直読でき,警報機能,測定記録の通
信機能などをもつ半導体検出器を使用した線量計。
electronic personal
dosimeter
1515
電離箱
電離放射線によって作られた電荷を,気体増幅が起こらない
程度の電界を印加して電極に集めることを利用した放射線検
出器。
ionization chamber
1516
半導体検出器
放射線による半導体中の余剰自由電荷キャリアの生成及びそ
の電極への移動を利用する放射線検出器(JIS Z 4001参照)。
semiconductor detector,
silid-state detector,
SSD
1517
線量(率)計
X線又はγ線の線量率を測定する計器。
dose (rate) meter,
dosimeter
1518
エネルギー依存性
線量計の指示値及びX線フィルム又は検出器の感度が,放射
線の線質によって異なる現象。
energy dependency
1519
方向依存性
線量計の指示値などが,入射する放射線の方向によって異な
る現象。
direction dependency
1520
鉛当量
同一照射条件において,対象にしている物質と等しい遮蔽能
力をもつ鉛の厚さ(単位記号:mmPb)
lead equivalent
f)
デジタルラジオグラフィ
番号
用語
定義
対応英語(参考)
1601
デジタルラジオグ
ラフィ
放射線透過試験において,透過画像をデジタル信号に変換す
る系を含む試験方法。
注記 X線を用いる透過試験では,デジタルX線撮影法ともい
う。
digital radiography
1602
コンピューティッ
ド・ラジオグラ
フィ,
CR
イメージングプレート(IP)にレーザビームを照射して,放
射線の照射線量に比例した発光からデジタル画像を得る試験
方法。
computed radiography,
CR
1603
デジタル検出器,
DDA
平面状に隙間なく並べられたセンサによって,入射した放射
線の線量分布をデジタル画像に変換する検出器。
注記 医用では,フラットパネル検出器(FPD)という。
digital detector array,
DDA
1604
グレイ値,
GV
デジタル放射線画像における画素の数値。検出器の露光線量
と直線的に比例し,検出器が露光されていないときに0(ゼ
ロ)値となる画素の数値である線形化グレイ値(GVlin)が用
いられる。
注記 グレイ値(grey value, GV)を画素値(pixel value, PV)
と表すこともある。
grey value,
GV (linearized grey
value)
1605
基本空間分解能,
SRb(画像の)基本
空間分解能,
(検出器の)基本
空間分解能
線源側表面に置いた複線形像質計によって決定される空間分
解能。
注記 画像の基本空間分解能(SRb画像)は,試験体の表面
に複線形像質計を置き測定する。また,検出器の基本
空間分解能(SRb検出器)は,検出器の表面に複線形
像質計を置き測定する。
basic spatial resolution,
basic spatial resolution of
the image,
basic spatial resolution of
the detector
29
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
1606
(正規化された)
信号対ノイズ比,
SNR
指定されたデジタル画像の関心領域における線形化グレイ値
(GVlin)の標準偏差(ノイズ)に対する平均値の比。正規化
された信号対ノイズ比(SNRN)は,デジタル画像から測定し
た信号対ノイズ比(SNR)及び基本空間分解能(SRb)を用い
て,次の式によって求める。
N
b
88.6μm
SNR
SNR
SR
=
×
測定値
signal to noise ratio,
(normalized signal to
noise ratio)
1607
(正規化された)
コントラスト対
ノイズ比,
CNR
二つの画像領域間における信号レベルの標準偏差(ノイズ)
の平均値に対する信号レベル平均値の差の比。正規化された
コントラスト対ノイズ比(CNRN)は,デジタル画像から測定
したコントラスト対ノイズ比(CNR)及び基本空間分解能
(SRb)を用いて,次の式によって求める。
N
b
88.6μm
CNR
CNR
SR
=
×
測定値
contrast to noise ratio,
(normalized contrast to
noise ratio)
1608
画素,
ピクセル
デジタルラジオグラフィの画像を構成する最小の要素(JIS Z
8120参照)。
pixel
1609
画素寸法
読取画像の横列又は縦列の隣同士のピクセル中心間の幾何学
的な距離。横列の場合は横方向間隔,縦列の場合は縦方向間
隔をいう。
pixel size
1610
原画像
デジタル検出器によって取り込まれた画像処理をしていない
画像。
raw image
1611
画像強調
識別性を向上させるための処理。コントラスト強調,鮮鋭度
改善,ノイズ低減などがある。
image enhancement
1612
合計不鮮鋭度,
総合不鮮鋭度
検出器の不鮮鋭度及び幾何学的不鮮鋭度の合計値。
total image unsharpness
1613
イメージングプレ
ートの構造ノイ
ズ,
IPの構造ノイズ
イメージングプレート(IP)の受光層及び表面の不均一性に
起因するノイズ。
structure noise of imaging
plate
1614
デジタル検出器の
構造ノイズ,
DDAの構造ノイズ
検出器を構成する各画素の特性が異なることに起因するノイ
ズ。
structure noise of digital
detector array,
structure noise of DDA
1615
補償原理,
CP
デジタルラジオグラフィにおいて,目的の像質を得ることが
できない場合,SNRを増加させ像質を改善する方法。CPI,
CPII及びCPIIIの3種類がある(JIS Z 3110参照)。
compensation principle,
CP
1616
CKP
五つ以上の良好な周辺画素をもたない連続した不良画素(JIS
Z 3110参照)
cluster kernel pixel,
CKP
1617
エイリアシング
入力された画像の空間周波数がデジタル画像の出力可能な空
間周波数よりも高い場合に現れる画像の乱れ(JIS Z 3110参
照)。
注記 エイリアシングは,通常,直線におけるぎざぎざ,階
段状の絵柄,又はモアレパターンとして現れる。
aliasing
1618
ブルーミング
CCDなどの電子デバイスにおいて,非常に強いX線によって
過剰に発生した信号電荷が,画素からあふれ周囲の画素に流
れ込んだ状態。周囲の画素には光が入射していないにもかか
わらず,光がにじ(滲)み出した画像として観察される。
blooming
1619
フィルタ関数,
画像フィルタ
画像空間で,ノイズ除去,特徴抽出,周波数強調などの処理
を行う関数。
注記 フィルタ関数を変えることで画像の特性を変えること
ができる。
filter function,
image filter
30
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
1620
DICOM®規格
医用画像のフォーマット及びそれらの画像を扱う通信プロト
コルを定義した規格(ISO 12052参照)。
注記 “DICOM”は,米国電気工業会(NEMA)の医用情報
のデジタル通信に関する規格刊行物の登録商標であ
る。
digital imaging and
communication in
medicine
1621
DICONDE規格
DICOM®規格を非破壊検査画像に拡張した画像交換の規格
(ASTM E2339参照)。
digital imaging and
communication in
nondestructive
evaluation
1622
IP用カセット
撮影時にIP(イメージングプレート)を収納する遮光性の容
器。
注記 散乱線影響の軽減を目的に金属増感紙を内在させる場
合がある。
IP cassette
g) X線CT
番号
用語
定義
対応英語(参考)
1701
コンピュータ断層
撮影,
CT
試験体断面の全周方向から得た放射線投影データを画像再構
成して断面画像を得る手法。一般的には,得られたX線線吸
収係数の分布を輝度変調した画像として表示する。
computed tomography,
CT
1702
画像再構成
試験体の全周方向の放射線透過データ(投影データ)から,
被検体の放射線吸収の度合いを示す画像(断面画像)を求め
る処理。
image reconstruction
1703
トモグラム,
断面画像
CTで撮影した断面画像。被検体断面の全周方向から得た放射
線投影データを画像再構成して得られる。一般的には得られ
たX線線吸収係数の分布を輝度変調した画像として表す。
tomogram
1704
ボクセル
二次元断面画像のピクセルとスライス厚とで構成される立体
の体積要素。
voxel
1705
スライス厚
断面画像の放射線の測定ビーム厚さ。
注記 断面画像は,スライス厚内の放射線吸収の度合いの平
均を示す画像となる。
slice width
1706
コントラスト分解
能,
濃度分解能
放射線吸収の度合いの違い(密度差など)が断面画像上で差
として識別できるの能力。
contrast resolution
1707
CT値
断面画像の各画素における線減弱係数µ(cm-1)を水の線減弱
係数µを用いて変換した値。
CT number
1708
スキャンエリア,
撮影領域
CTで撮影する領域で,試験体断面画像を再構成するためのデ
ータが収集され,画像再構成される領域。
scan area,
field of view
1709
ウインドウ処理,
ウインドウ
デジタル画像のデータ幅がモニタで表示できるデータ幅より
も大きい場合,モニタで表示できる範囲をウインドウレベル
及びウインドウ幅で設定する処理。
window gradation
processing
h) 中性子ラジオグラフィ
番号
用語
定義
対応英語(参考)
1801
中性子ラジオグラ
フィ
中性子線を用いる透過試験。
注記 撮影には転写法又は直接法が用いられる。
neutron radiography
1802
中性子線源
中性子ラジオグラフィに用いる中性子を得るための装置又は
放射性物質。
注記 装置の例として,原子炉又は加速器がある。
neutron source
1803
直接法
中性子線によって透過像を直接フィルムに撮影する方法。
注記 コンバータとしては,ガドリニウム板がよく使われる。
direct method
31
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
1804
転写法
中性子照射によって放射化する物質を,X線フィルムの代わ
りに置いて中性子線を照射し,放射化した物質とX線フィル
ムとを密着させて,X線フィルムに転写する方法。
注記 放射化物質としては,ジスプロシウム板がよく使われ
る。
transfer method
1805
中性子コンバータ
中性子線を照射することによって,α線又は電子線を放出す
る物質。
neutron converter
1806
熱中性子
周囲の媒質と熱平衡にあるか又はほぼ熱平衡に近い状態にあ
る中性子。通常,エネルギーが0.01 eV〜0.5 eVの範囲のもの
をいう(JIS Z 4001参照)。
thermal neutron
1807
(中性子線の)線
質計,
BPI
中性子線のビーム中に含まれる熱中性子成分,散乱中性子成
分,γ線成分及び電子対成分の割合を評価するゲージ。
beam purity indicator,
BPI
1808
(中性子線ラジオ
グラフィの)識
別度計,
SI
中性子ラジオグラフィによる透過写真の分解能を定性的に評
価するゲージ。
sensitivity indicator,
SI
1809
減速材
顕著な捕獲なしに速中性子のエネルギーを吸収して中性子エ
ネルギーを低下させる材料。
注記 黒鉛,ポリエチレン,パラフィンなどが使われる。
moderator
1810
速中性子
ある特定の値よりも大きい運動エネルギーをもつ中性子。通
常,エネルギーが10 keV〜20 MeVの範囲のものをいう。
fast neutron
1811
冷中性子
熱中性子より低い運動エネルギーをもつ中性子。通常,エネ
ルギーが0.01 eV未満のものをいう。
cold neutron
1812
L/D比
中性子ラジオグラフィ装置の解像度を示すもので,コリメー
タ入口の直径Dとコリメータ入口からX線フィルム又は検出
器までの距離Lとの比。
L/D ratio of neutron
1813
n-γ比
中性子束密度とγ線量率との比。単位は,平方センチメート
ル・クーロン当たり中性子数n[n/(cm2×C)]。
ratio of n to γ
1814
カドミウム比
中性子検出器の測定値と同じ条件の下で,特定の厚さのカド
ミウムで覆った場合の測定値との比。
cadmium ratio
1815
中性子捕獲断面積
中性子と原子核との相互作用のうち,原子核が中性子を捕獲
しγ線を放出して原子核が基底状態に戻る反応の確率。
neutron capture cross
section
4.3
超音波探傷試験
a) 一般
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2001
超音波
超音波探傷試験に用いる縦波,横波などの波の総称。
注記 一般的には20 kHz以上とされる。
ultrasonic wave
32
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2002
音場
超音波発生源から発信された音波の媒質内における分布の様
子[“遠距離音場(2006)”の図参照]。
sound field
2003
近距離音場
振動子に近い領域で超音波の音場が複雑である範囲[“音場
(2002)”及び“遠距離音場(2006)”の図参照]。
注記 “音場(2002)の図に示している近距離音場限界距離
領域内の音場である。
near field,
fresnel zone
2004
近距離音場限界距
離
超音波信号源から近距離音場限界点までの距離[“音場
(2002)”及び“遠距離音場(2006)”の図参照]。
near field length
2005
近距離音場限界点
ビーム軸上の音圧が,最後の極大となるビーム軸上の位置
[“音場(2002)”の図参照]。
near field point
2006
遠距離音場
ビーム軸上音圧の最後の極大点以遠の領域[“音場(2002)”
の図参照]。
far field
2007
超音波ビーム
媒質中で超音波の大部分のエネルギーが伝搬する領域[“音場
(2002)”及び“遠距離音場(2006)”の図参照]。
ultrasonic beam,
sound beam
2008
ビーム軸,
ビーム中心軸
遠距離音場の最大音圧点を通り,音源まで延長した線[“遠距
離音場(2006)”の図参照]。
beam axis
2009
ビームエッジ
超音波の音圧がビーム中心軸上の値よりも所定の値だけ低下
した遠距離音場における超音波ビームの境界[“遠距離音場
(2006)”の図参照]。
beam edge
2010
ビーム形状
ビームエッジによって定められた超音波ビームの形状。
beam profile
2011
ビームの広がり
超音波が媒質中を伝搬するときの,超音波ビームの拡散。
beam spread
2012
指向角
超音波の指向性の鋭さを表す,遠距離音場における振幅が所
定のレベルまで低下するビームエッジとビーム中心軸との間
の角度[“遠距離音場(2006)”の図参照]。
divergence angle
2013
指向性
媒質中に超音波が一つの方向に進行する場合の超音波の広が
りの程度。
directivity
2014
音響インピーダン
ス
媒質の密度ρと音速cとの積で表される媒質固有の値。音圧
反射率及び音圧通過率の算出に用いられる。
acoustical impedance
2015
音圧
音波によって生じる圧力。
sound pressure
2016
音圧往復通過率,
音圧往復透過率
境界面に入射する音波の音圧と,透過して再び同じ境界面を
通過して戻った音波の音圧との比。
echo transmission
coefficient
33
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2017
音圧通過率
境界面に入った音波の音圧と通過した音波の音圧との比。
transmission coefficient
2018
音圧反射率
超音波が境界面で反射するときの反射音圧と入射音圧との
比。
reflection coefficient
2019
エネルギー通過率
超音波が境界面で通過するときの,通過エネルギーと入射エ
ネルギーとの比。
transmission coefficient
of sound energy
2020
エネルギー反射率
超音波が境界面で反射するときの,反射エネルギーと入射エ
ネルギーとの比。
reflection coefficient of
sound energy
2021
音速
超音波探傷試験に用いる縦波,横波などの波が媒質中を伝搬
する速度。
sound velocity,
velocity of propagation,
sound wave velocity
2022
群速度
音のエネルギーが伝搬する速度。
group velocity
2023
伝搬時間
超音波がある点から別の点に伝搬するのに要する時間。
propagation time,
time of flight
2024
試験周波数
試験に用いる超音波の実質的な周波数。
注記 通常,受信エコーで測定する。減衰及び伝達損失が大
きい試験体の場合には,試験周波数が公称周波数より
も低下する場合がある。
test frequency
2025
伝達損失
探触子と試験体との接触状態によって生じる超音波の伝搬の
損失。
transmission loss
2026
伝達特性
探触子と試験体との接触状態による超音波の伝搬状態を示す
性質。
transmission factor,
transmission
characteristics
2027
拡散損失,
拡散減衰
音源から発信された音波のエネルギーが伝搬に伴い拡散する
ために生じる音圧低下。
注記 音圧低下には,ほかに,音波の散乱によるもの及び音
波の粘性減衰によるものがある。
diffusion damping,
diffusion loss
2028
減衰
超音波が媒質中を伝搬するとき,吸収又は散乱で生じる音圧
の減少。
注記 拡散による音圧低下も減衰に含めることがある。
attenuation,
sound attenuation
2029
減衰係数
単位伝搬距離当たりの減衰を示す係数。
注記 媒質の特性,波長及び波のモードに支配される。
attenuation coefficient
2030
散乱
超音波伝搬経路中の微小反射源及び/又は結晶によって生じ
る方向性のない反射。
scattering
2031
音響異方性
超音波の音速などの超音波伝搬特性が,超音波伝搬方向に依
存して変化する性質。
acoustical anisotropy
2032
STB音速比
探傷する材料の横波音速(V)を標準試験片(STB-A,STB-A2
又はSTB-A3)の横波音速(VSTB)で除した比。
注記 探傷材料の横波音速は,使用する横波垂直探触子の振
動方向が,試験体の探傷する方向と一致するようにし
て測定する。
ratio of sound velocity of
test object to that of
standard test block
(STB)
2033
横波音速比
圧延鋼板において,板厚方向に横波を伝搬させた場合に,横
波の振動方向を主圧延方向にした場合の音速CSLを横波の振
動方向を主圧延方向に直交する方向にした場合の音速CSCで
除した比。
ratio of shear wave
velocity in rolling
direction to that in
cross direction
2034
音速比
二つの異なる超音波の音速の比。
注記 例えば,縦波音速と横波音速との比。
ratio of sound velocities
34
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2035
音響的かげ
試験体の幾何学的形状又はきずによって,超音波エネルギー
が届かない試験体中の領域。
acoustic shadow,
shadow zone
2036
探傷面
探触子を走査する試験体の表面[“入射角(2059)“及び“き
ずエコー,F(2075)”の図参照]。
test surface,
scanning surface
2037
底面
パルス反射・垂直探傷法における探傷面の反対側の面[“きず
エコー,F(2075)”の図参照]。
back wall,
bottom,
back surface
2038
境界面
異なった音響インピーダンスをもち,音響的に接触している
二つの媒質の境界。
interface
2039
反射源
超音波ビームが音響インピーダンスの不連続によって,反射
される境界面。
reflector
2040
コーナー反射
2面又は3面が直交する部分における超音波ビームの反射。
corner reflection
2041
端部効果
反射源の端部による超音波の干渉に起因する現象。
edge effect
2042
デシベル
二つの超音波信号の振幅の比の底が10の対数の20倍で表し
た数値。単位はデシベル(dB)(JIS Z 8106参照)。
注記 20 log10(振幅比)。
decibel
2043
波頭
伝搬する音波の先頭の同一位相点をつないだ連続面。
wave front
35
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2044
波長
1サイクルの間に波が伝搬した距離。
wave length
2045
縦波
媒質粒子の振動方向と振動の伝搬方向とが同じ波のモード。
注記 固体中で,音速が最も速い。
compressional wave,
longitudinal wave
2046
横波
媒質が固体で,媒質粒子の振動方向と波の伝搬方向が直角の
波のモード。
shear wave,
transverse wave
2047
表面波
浸透深さ1波長程度で媒質の表面に沿って伝搬する波のモー
ド。
surface wave,
Rayleigh wave
2048
板波,
ラム波
薄い板状の固体を板表面に沿って伝搬する波。
注記 板中の振動の様子によって,対称モードと非対称モー
ドとに分類される。超音波周波数と板厚との積及びモ
ードによって位相速度及び群速度が異なる。
plate wave,
Lamb wave
2049
対称モード
薄い板状固体及び薄膜を伝搬する板波の振動モードの一つで
あり,前記物体の厚さの中央を通る表裏面に平行な面に対し
て対称の変位,位相で振動するモード。
symmetric mode
36
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2050
非対称モード
薄い板状固体及び薄膜を伝搬する板波の振動モードの一つで
あり,前記物体の厚さの中央を通る表裏面に平行な面に対し
て非対称の変位,位相で振動するモード[“対称モード(2049)”
の図参照]。
asymmetric mode
2051
クリーピング波
試験体の表面に沿って伝搬する縦波。
注記 縦波が縦波臨界角(第1臨界角)で試験体に入射した
場合に発生する。
creeping wave
2052
SH波
媒質粒子の振動方向が探傷面と平行な横波。
注記 外力を探傷面に平行に加えることによって発生する。
SH wave
2053
SV波
媒質粒子の振動方向が探傷面に垂直な成分をもつ横波。
注記 外力を媒質に垂直に加えることによって発生する。
SV wave
2054
波のモード
波の振動の姿態(様式)[“縦波(2045)”,“横波(2046)”及
び“対称モード(2049)”の図参照]。
wave mode
2055
ガイド波
細長い,又は薄い板状の試験体を長手方向に伝搬する超音波。
注記 配管を管軸に平行な方向に伝搬する超音波について使
われることが多い。振動の様子が異なる多数のモード
が存在し,位相速度及び群速度が周波数と板厚との積
及びモードによって異なる。
guided wave
2056
球面波
球状の波頭をもつ波。
spherical wave
2057
円筒波
円柱面状の波頭をもつ波。
cylindrical wave
2058
モード変換
音波が境界面で反射又は屈折によって他のモードに変換する
こと。
mode conversion,
mode transformation,
wave conversion
2059
入射角
境界面に入射する超音波の進行方向と境界面の法線とが成す
角度。
angle of incidence
37
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2060
反射角
境界面で反射した超音波の進行方向と境界面の法線とが成す
角度(JIS Z 8120参照)。
angle of reflection
2061
屈折角
境界面に入射し屈折した超音波の進行方向と境界面の法線と
が成す角度。
angle of refraction
2062
STB屈折角
JIS Z 2345-1,JIS Z 2345-2及びJIS Z 2345-4に規定する標準
試験片(STB-A1,STB-A7963,STB-A3,STB-A31又はSTB-A32)
を用いて測定した屈折角。
注記 STBは,“標準試験片(2201)”参照。
angle of refraction in STB
2063
探傷屈折角
試験体又は対比試験片を用いて,探傷方向において測定した
屈折角。
angle of refraction in test
object
2064
屈折角度差
圧延した材料における,主圧延方向の探傷屈折角と主圧延方
向に直角な方向の探傷屈折角との差。
注記 音響異方性がある圧延材では,大きな差が発生するこ
とがある。
difference of refraction
angle between two
different propagating
direction
2065
臨界角
境界面に入射した超音波の屈折角が90°になるときの入射
角。
critical angle
2066
パルス
超音波探傷試験で用いる極めて短い時間だけ持続する信号。
pulse
2067
パルスエネルギー
超音波探傷器において,探触子の振動子に加えられるパルス
状の電気エネルギー。
pulse energy
2068
パルス繰返し周波
数
単位時間当たりに発生させられる送信パルスの数。
注記 通常,1秒間当たりの送信パルスの数(Hz)で表示さ
れる。
pulse repetition frequency
(prf),
pulse repetition rate
2069
パルス波形
時間領域におけるパルスの形状[“ピーク数(20103)”の図参
照]。
pulse shape,
pulse wave form
2070
パルス振幅,
エコー振幅
超音波パルス(エコー)の最大振幅。基本表示が用いられた
場合は,通常基線(時間軸)からパルスのピークまでの高さ
をいう。
pulse amplitude,
echo amplitude
2071
パルス幅,
エコー幅
所定のレベルで測定されたパルスの前端点と後端点との時間
間隔[“ピーク数(20103)”の図参照]。
pulse length,
pulse width,
pulse duration
38
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2072
連続波
時間に途切れなく単一周波数で振動する波。
continuous wave
2073
探傷図形
超音波探傷器の表示器に現れた図形又はその記録。
testing diagram
2074
エコー
試験体のきず,底面,境界面などから反射して受信された超
音波パルス及びそれが探傷器の表示器に現れた指示。
echo
2075
きずエコー,
F
試験体健全部の音響インピーダンスときずの音響インピーダ
ンスとの違いによってきずから反射したエコー。
flaw echo,
defect echo
2076
底面エコー,
B
超音波ビーム中心軸に対して垂直な試験体の底面から反射し
たエコー。
注記 通常,垂直探触子で平行な面をもつ試験体を探傷して
いるときの裏面からのエコーに用いる[“きずエコー,
F(2075)”の図参照]。
back wall echo,
bottom echo,
back reflection
2077
表面エコー,
S
超音波ビーム中心軸に対して垂直な試験体の表面から反射し
たエコー。
注記 通常,水浸法又は遅延材付き探触子を用いた直接接触
法で現れる。
surface echo
2078
送信パルス
超音波パルスを発生させるために,探触子の振動子に印加す
る電気パルス。
transmitter pulse
2079
送信パルス指示,
T
基本表示で用いられる送信パルスに対応する超音波探傷器の
表示器上の指示[“きずエコー,F(2075)”の図参照]。
transmission pulse
indication
2080
透過パルス
二探触子法において,媒質中を通過し,受信探触子によって
受信された超音波パルス及び探傷図形上の指示。
transmitted pulse,
through path pulse
39
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2081
V透過パルス
V走査の探触子の配置で受信した試験体裏面からの反射によ
る超音波パルス。
through vee path
2082
境界面エコー
音響インピーダンスの異なる境界面からのエコー。
interface echo
2083
多重エコー
2個以上の境界面又はきずの間で繰り返される超音波パルス
の多重反射によって生じるエコー。
multiple echo,
multiple reflection
2084
円柱面エコー
円形断面の試験体を円柱面から探傷したとき,底面エコーと
底面エコーとの間に,断面内において三角形,星形五角形な
どの経路を伝搬した超音波によって現れるエコー。
cylindrical surface echoes
2085
遅れエコー
同一反射源からのエコーのうち,伝搬経路が異なるため又は
途中でモード変換したため遅れて探触子に受信されたエコ
ー。
delayed echo
2086
側面エコー
試験体の側面(探傷面及び底面を除いた面)からの反射によ
るエコー。
side wall echo
2087
端面エコー
斜角及び板波探傷法において,板の端面に超音波が当たり戻
ってくるエコー。
edge echo
2088
残留エコー
パルス反射法において,多重エコーが,次の送信パルスが送
信された後も残留し,探傷図形に現れるエコー。
ghost echo,
phantom echo,
wrap around
2089
妨害エコー
探傷図形上のきずエコーが現れる部位に現れ,探傷の妨害と
なるエコー。
注記 くさび内エコー,残留エコー,林状エコー,形状エコ
ーなどを含めた総称である。
spurious echo,
parasitic echo
2090
くさび内エコー
斜角探触子において,振動子から送信された超音波がくさび
内で複雑に反射し,振動子に戻るエコー。
注記 妨害エコーの一種である。
wedge echo
2091
林状エコー
試験体内部にある多くの微小の反射源(主として結晶粒界)
によるエコー。
注記 きずエコーは,含まない。
glass echo,
structural echoes,
noise echo
2092
振動子の公称寸法
探触子に表示された振動子の寸法。
nominal transducer size,
transducer size,
element size
2093
振動子の実効寸法
波長と近距離音場限界距離とから算出された振動子の寸法。
注記 機械的寸法よりも狭い場合がある。
effective transducer size
2094
公称屈折角
探触子に表示されている屈折角。
nominal angle of probe
2095
入射点
斜角探触子においてビーム軸が探傷面に入射する点[“入射角
(2059)”の図参照]。
注記 斜角探触子は,この点が測定できるように,通常,探
触子の側面に目盛が描かれている。
probe index
2096
公称周波数
探触子に表示されている周波数。
nominal frequency
2097
周波数スペクトル
超音波波形に含まれる周波数成分の分布[“中心周波数
(2099)”の図参照]。
frequency spectrum
2098
周波数帯域
周波数スペクトラムにおいて特定の振幅を超える周波数の上
限と下限との間隔。
bandwidth
40
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2099
中心周波数
周波数分析結果の振幅スペクトルにおいて,ピーク周波数を
挟んだ所定の振幅における二つの周波数の算術平均値。透過
試験法では,ピーク周波数を挟んでピーク振幅よりも3 dB低
い振幅となる二つの周波数の算術平均値,パルス反射試験法
では,ピーク周波数を挟んでピーク振幅よりも6 dB低い振幅
となる二つの周波数の算術平均値をいう。
center frequency
20100
帯域幅
周波数スペクトルにおける半値幅[“中心周波数(2099)”の
図参照]。
frequency band width
20101
比帯域幅
帯域幅を中心周波数で除した値。
fractional band width
20102
Q値
比帯域幅の逆数。
quality factor
20103
ピーク数
受信信号の波形周期内の最大振幅の20 %(−14 dB)よりも
大きな振幅をもつサイクルの数。
注記 この数値の逆数を,“探触子ダンピング係数”という。
次の例では,ピーク数(PN)は8となる。
peak number
20104
探触子ダンピング
係数
ピーク数の逆数をとることにより,探触子受信信号の減衰特
性を表す係数[“ピーク数(20103)”の図参照]。
probe damping factor
20105
A1感度
STB-A1のR100面からのエコーを使用して規定した感度。
注記 探傷装置の性能確認に使用する(JIS Z 2352参照)。
A1 sensitivity
20106
A2感度
STB-A2試験片のφ1.5 mm貫通穴を使用して規定した探傷感
度。
注記 探傷装置の性能確認に使用する(JIS Z 2352参照)。
A2 sensitivity
20107
公称集束範囲
集束探触子などに表示されている超音波ビームの集束範囲。
nominal focal range
41
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
20108
集束距離
集束探触子の音源から集束点までの距離。
focal length
20109
集束点
超音波ビームが集束され最大音圧を示す点[“集束距離
(20108)”の図参照]。
focal point,
focus
20110
集束範囲
超音波ビームが集束される深さ方向の範囲[“集束距離
(20108)”の図参照]。
depth of field,
focal zone,
focal range
20111
交束点
二振動子探触子における送信・受信ビームの中心軸が交差す
る点[“交束距離(20112)”の図参照]。
convergence point
20112
交束距離
二振動子探触子において,交束範囲と試験体の探傷面との間
の最も短い距離[“二振動子探触子(2114)”参照]。
convergence distance
20113
交束範囲
二振動子探触子における送信・受信ビームの交差する領域
[“二振動子探触子(2114)”及び交束距離(20112)”の図参
照]。
convergence zone,
convergence point
20114
音響隔離面
二振動子探触子の送信用振動子と,受信用振動子とを音響的
に遮断するためのシールド面[“二振動子探触子(2114)”及
び“交束距離(20112)”の図参照]。
acoustic separator
20115
ルーフ角
二振動子探触子において,2個の振動子の垂線間の角度を2
で除した角度[“交束距離(20112)”の図参照]。
roof angle,
toe-in-semi-angle
20116
最小入射点間距離
2個の斜角探触子を同方向に向けて配置し,両者を可能な限
り接近させたときの互いの入射点の間の距離。
注記 タンデム探傷法の場合に用いる。
minimum distance
between probe indexes
of two angle probes
42
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
20117
接近限界長さ
斜角探触子の入射点から探触子の先端までの探傷面上の距
離。
distance between probe
index and front end of
probe housing
20118
遅延路程
試験体の超音波入射点と振動子との距離を試験体の音速で換
算した値。
delay path
20119
偏り角
探触子の設計上の超音波ビーム中心軸と実際の超音波ビーム
中心軸との角度差。
squint angle
20120
ビーム中心軸の偏
り
探触子の実測したビーム中心軸と設計値との角度の差異。
deviation of beam axis
20121
増幅直線性
受信器への入力信号の振幅と超音波探傷器の表示器又は附属
の表示器に表示される信号の振幅との比例関係の程度。
注記 測定方法は,JIS Z 2351及びJIS Z 2352を参照。
amplitude linearity
20122
ダイナミックレン
ジ
ひずみを伴わない信号の最大値と識別可能な信号の最小値と
の比率。
dynamic range
20123
感度余裕,
感度余裕値
超音波探傷装置において,特定の標準反射源を所定のレベル
で検出できるきず検出感度と,探触子を試験体に接触しない
状態で表示器のノイズレベルが10 %となる感度との差で,感
度の余裕の度合いを示す値。
注記 最大となるきず検出感度の測定方法は,JIS Z 2352参
照。
margin of detection
sensitivity
20124
追い込み
交流増幅器が送信パルス又は大きなエコーを受信した後しば
らくの間だけ感度の低下又は不感を起こす現象。
recovery time after
transmitted pulse (or
large echo),
dead time after
transmitted pulse (or
large echo)
20125
時間軸
時間又はビーム路程で校正された表示器の横軸。
time base,
sweep
20126
時間軸調整
探傷器の時間軸を調整するための機能。
time base control,
sweep control
20127
時間軸直線性
表示器への入力信号の時間軸値と,表示された信号の時間軸
の表示値又は距離の表示値との比例関係の程度。
注記 測定方法はJIS Z 2351及びJIS Z 2352を参照。
time base linearity
20128
時間軸の部分拡大
試験体の長さ又は厚さ以内の選択した領域内のエコーを,よ
り詳細に探傷図形中に表示させるための時間軸拡大機能。
expanded time base sweep,
scale expansion,
zoom
20129
時間軸範囲
時間軸上に表示される特定の超音波ビーム路程範囲。
time base range,
test range
20130
掃引遅延
送信パルス又は基準エコーに対して設定された遅延時間後か
ら信号を表示させる機能。
delayed time base,
correction of zero point
43
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
20131
ゲートレベル
きずエコーなど必要なエコーだけを取り出す目的で,表示器
上で時間的に限定した範囲に設定した所定の振幅レベル。
gate level,
threshold level
20132
調度
ゲイン,パルス幅,リジェクションなどの,探傷図形に影響
を与える全ての機能の設定値。
setting,
20133
探傷図形表示応答
性
瞬間的な探傷信号入力に対するデジタル探傷器の探傷図形の
表示応答能力を表す指標。
displaying response on
testing diagram
20134
リジェクション
超音波探傷器において,所定の振幅レベル(しきい値)以下
の全ての指示を消すことによって,雑音の指示(林状エコー
など)を消去する機能。
rejection,
suppression,
reject,
grass cutting
20135
警報機能
表示器上で時間的に限定した範囲に出現するきずエコー,底
面エコーなどの高さが所定のしきい値を超えたとき又は所定
のしきい値を下回ったとき,光及び/又は音によって警報を
出す機能。
alarm function
20136
DAC(だっく),
DAC曲線,
距離振幅補正曲線,
距離振幅特性曲線
ビーム路程にかかわりなくきずの重要度を評価するために用
いられる,異なる路程にある標準反射体(等しい基準反射源)
のエコー高さを結んだ線[“距離振幅補正(2406)”の図参照]。
注記 線を直線とするか曲線とするかは適用規格による。
distance-amplitude curve,
distance-amplitude
correction curve,
DAC
20137
EDAC
距離振幅補正を電子回路が自動的に機能。
electronic
distance-amplitude
correction,
EDAC
20138
分解能
探触子から距離又は方向の異なる接近した2個の反射源を,
それぞれ別の反射源として識別できる性能。
注記 分解能には,近距離分解能,遠距離分解能及び方位分
解能がある。
resolution
20139
近距離分離能
垂直探傷において,探傷面に接近した反射源を送信パルス及
び/又は表面エコーと識別できる超音波探傷装置の能力。
注記 測定方法は,JIS Z 2352を参照。
near field resolution
20140
遠距離分離能
探傷面から離れた所にある2個の反射源を別個の反射源と時
間軸上で識別できる超音波探傷装置の能力。
far field resolution,
20141
方位分解能
探傷面から同じ距離にあり,方位の異なる2個の反射源を別
個の反射源と識別できる超音波探傷装置の能力。
angular resolution
20142
クロストーク
設置された音響的又は電気的隔離面を漏えいする信号。
cross talk
20143
基準感度
基準反射源のエコー高さを所定の値に調整したときの超音波
探傷装置の感度。
specified sensitivity,
reference gain
20144
探傷感度
探傷目的に応じて適切に調整された超音波探傷装置の感度。
注記 探傷試験に適用する規格及び/又は手順書に定められ
ることが多い。
working sensitivity
20145
きず検出感度,
きずの検出能
検出可能な最も小さなきずによって定義される超音波探傷装
置の能力。
flaw detection sensitivity
20146
音響結合
超音波の媒質境界面における音響的結び付き。
acoustic coupling
20147
音響結合損失
超音波が探触子と試験体との間の境界面を通過するときの超
音波エネルギーの損失。
coupling losses,
20148
接触媒質路程
探触子入射点とビーム入射点との間の接触媒質の距離を試験
体中のビーム路程に換算した値[“接触媒質(2137)”及び“音
響結合媒質(2137)”の図参照”]。
couplant path
20149
ゲイン補正
標準試験片又は対比試験片と試験体との間の感度の補正。
注記 音響結合,反射及び減衰による損失も含む。
transfer correction
44
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
20150
超音波特性
試験体において,超音波の伝搬に影響を与える特性。
注記 超音波の音速,減衰,音響インピーダンスなどを指す。
ultrasonic characteristics
20151
基本記号
探傷図形上の各指示の内容を示すための記号。
basic symbols for
ultrasonic testing
20152
付帯記号
基本記号を補うための記号。
注記 JIS Z 2344では,多重反射,底面エコー,遅れエコー,
くさび内エコー及び板波について規定している。
supplemental symbols for
ultrasonic testing
20153
エコー高さ
受信された超音波パルス(エコー)の最大振幅。
注記 基本表示では,振幅を高さといい,百分率(%)で表す
か,又は基準レベルとの比をデシベル(dB)で表す。
echo height,
pulse (echo) amplitude
20154
基本表示,
Aスコープ表示
表示器上の横軸を時間,縦軸を振幅とする超音波信号の表示
方法[“きずエコー,F(2075)”の図参照]。
A-scan display,
A-scan presentation
20155
断面表示,
Bスコープ表示
探触子の一方向走査による試験体断面探傷におけるきずの断
面位置に対応した表示。例えば,探触子位置が横軸に表示さ
れ,反射源の探傷面からの深さ位置が縦軸に表示され,その
断面内にエコー高さが階調などで表示されるものも含む。
注記 試験体の厚さ方向の情報を表す。
B-scan display,
B-scan presentation
20156
平面表示,
Cスコープ表示
探傷面から選択した深さ範囲の反射源位置の縦横軸上の探触
子位置に対応した表示。エコー高さが階調などで表示される
ものも含む。
C-scan display,
C-scan presentation
20157
横断面表示,
Dスコープ表示
溶接部の方形走査情報を集積した結果から作製された溶接部
の横断面情報の表示。
D-scope presentation,
45
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
20158
立体表示,
3Dスコープ表示
探傷結果を立体的に把握できるようにした反射源位置表示。
注記 平面画像と断面画像との組合せ表示又は立体的な透視
画像として表現される。
3-dimentional scope
display
20159
MA表示
探触子ときずが相対移動する場合の複数の基本表示図形の重
畳表示。
multiple A-scope
presentation
20160
階調表示
平面表示又は断面表示などにおいて,エコー高さに対応した
階調を,色,濃淡又はドット密度で示した表示。
tone presentation
b) 機器・材料
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2101
探触子
超音波の送信及び/又は受信を行うために,1個以上の振動
子を組み込んでいる電気−音響変換器。
probe,
search unit,
transducer
2102
垂直探触子
探傷面に対して垂直に超音波を送信及び/又は受信する探触
子。
normal probe,
straight beam probe,
straight beam search unit
2103
斜角探触子
探傷面に対して斜めに超音波を送信及び/又は受信する探触
子。
angle probe,
angle beam search unit
2104
表面波探触子
表面波を送信及び/又は受信する探触子。
surface wave probe
2105
縦波探触子
縦波を送信及び/又は受信する探触子。
compressional wave probe
2106
縦波斜角探触子
試験体に縦波を斜めに伝搬させて探傷するための探触子。
longitudinal wave angle
probe
2107
横波探触子
横波を送信及び/又は受信する探触子。
shear wave probe
2108
横波垂直探触子
探傷面に対して垂直方向に横波を送信及び/又は受信するこ
とのできる探触子。
注記 接触媒質は,粘度が高い専用のものを用いる必要があ
る。
shear wave normal probe
46
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2109
広帯域探触子
1サイクル又は2サイクル程度の極く短い超音波パルスを発
生する探触子。
注記 通常,帯域幅が広い。
broad band probe
2110
集束探触子
集束点又は集束ビームを得るために,曲面振動子,音響レン
ズなどによって超音波ビームを集束させた探触子。
focusing probe
2111
水浸探触子
液体(水)中で使用するために設計された縦波探触子。
immersion probe
2112
可変角探触子
入射角を機械的に連続して変えることのできる探触子。
variable angle probe
2113
曲面探触子
曲面の探傷面をもつ試験体を探傷するために,それに合った
曲面をもたせた探触子。
shaped probe
2114
二振動子探触子
1個のケースの中に音響的に隔離された二つの振動子を内蔵
した探触子。一つは超音波送信用で,もう一つは受信用であ
る[“交束距離(20112)”の図参照]。
double transducer probe,
twin transducer probe,
dual search unit
2115
軟質保護膜付き探
触子
探触子の前面を軟質の保護膜で覆った探触子。
soft-faced probe
2116
タイヤ探触子
液体を満たした柔らかいタイヤの中に一つ以上の振動子を組
み込んだ探触子。
注記 超音波ビームは,タイヤの回転する接触部分を通して
試験体と音響結合する。
wheel probe,
wheel search unit
2117
フェーズドアレイ
探触子
超音波ビームの角度及び/又は集束距離の電子的な制御のた
め,複数個の振動子で構成され,それらが異なった振幅又は
位相で独立して作動するように作られた探触子。
phased array probe
2118
配列形探触子
多数個の振動子を配列した探触子。
array probe
2119
電磁超音波探触子,
EMAT
電磁誘導効果と磁界との相互作用によって電気的エネルギー
を音響エネルギーに変換又はその逆ができる変換素子。
注記 接触媒質を必要としないので,高温又は極低温の試験
体の探傷に用いることができる。
electro-magnetic acoustic
transducer,
EMAT,electro dynamic
transducer
2120
圧電素子
圧電効果(電圧を印加すると機械的にひずみ,機械的な圧力
を印加すると電圧が発生する現象)をもち,超音波の送信及
び/又は受信を行うために用いられる素子。
piezoelectric transducer,
piezoelectric element
2121
振動子
電気エネルギーを音響エネルギーに変換する,又はその逆を
する素子[“垂直探触子(2102)”及び“斜角探触子(2103)”
の図参照]。
注記 圧電セラミックス,圧電セラミックスと樹脂とから成
るコンポジット材及びポリマー(高分子圧電材料)が
広く用いられている。
transducer,
element
2122
振動子背面材
背面への音の伝達を防止するため及び/又はダンピングを増
加させるために,振動子の背面側に音響結合させたもの[“垂
直探触子(2102)”及び“斜角探触子(2103)”の図参照]。
transducer backing
2123
音響レンズ
超音波ビームを集束又は拡散させる目的で使用するレンズ。
acoustical lens
2124
音響遅延材
音響遅延,音響結合の向上,表面不感帯の低減及び振動子保
護を目的として探触子と試験体との間に挿入する固体又は液
体の部材。
delay shoe
2125
くさび
超音波を探傷面に対して斜めに送信及び/又は受信する目的
で振動子の前面に付けるくさび状の合成樹脂又は金属。
注記 斜角探触子,二振動子探触子などに使用される[“斜角
探触子(2103)及び“交束距離(20112)”の図参照]。
wedge,
refracting prism
2126
探触子シュー
音響結合状態の改善又は探触子の保護の目的のために,探触
子と試験体との間に挟む適切な形状の部材。
probe shoe
47
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2127
不感帯
送信パルス,表面エコー及び/又はくさび内エコーのために,
目的とするエコーを検出することのできない探傷面直下の領
域。
dead zone
2128
保護膜
探触子に組み込めるような構造で,試験体への直接接触によ
る磨耗などから振動子を保護するための薄い層状の部材[“垂
直探触子(2102)”の図参照]。
wear plate,
diaphragm
2129
超音波探傷器
超音波探傷試験のために探触子に接続して使用し,超音波を
送信し,受信したエコー又は超音波を表示する機能をもつ測
定器。
ultrasonic test instrument
2130
超音波探傷装置
主に超音波探傷器,探触子,ケーブルなどから構成され,超
音波探傷の目的のために使用される全ての機器から構成され
る装置。
ultrasonic test equipment
2131
ゲイン調整器
通常,デシベル(dB)で校正され,信号を適切な高さに増幅
調整するための超音波探傷器の構成要素。
gain controls,
dB controls,
gain adjustment
2132
減衰器
通常,デシベル(dB)で表示され,エコーの高さを定量的に
低下させる装置。
attenuator
2133
ゲート
きずエコーなど必要なエコーだけを取り出す目的で,表示器
上で時間的に限定した範囲。
gate,
time gate
2134
表示器
超音波探傷図形を表示するための機器。
display
2135
超音波厚さ計
超音波によって試験体の厚さを測定する装置。
注記 JIS Z 2355-1及びJIS Z 2355-2参照。
ultrasonic thickness meter
2136
探触子ケーブル
超音波探傷器と探触子とを接続するケーブル。
注記 探傷結果への影響を防ぐために,高周波同軸ケーブル
が用いられる。
probe cable
2137
接触媒質,
音響結合媒質
超音波エネルギーが効率よく通過できるようにするための探
触子と試験体との間に挿入する媒質。
注記 水,グリセリン,グリセリンぺースト,マシン油など
が使用される。
couplant,
coupling medium,
coupling film
2138
(超音波探傷試験
の)グリセリン
ペースト
グリセリンに少量の界面活性剤及び増粘剤を添加した接触媒
質。
glycerin paste
c) 標準試験片・対比試験片
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2201
標準試験片,
STB
材質・形状・寸法が規定され,音響特性も検定された試験片。
注記 超音波探傷装置の性能試験又は感度調整などに使用さ
れる(JIS Z 2345-1〜JIS Z 2345-4参照)。
standard test block,
STB
2202
(超音波探傷用)
対比試験片
超音波探傷装置の感度,測定範囲の調整などに使用され,試
験体と同材質又は同等の材質で作製された試験片。
reference block
48
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2203
基準反射源
探傷感度の校正又はきずの評価のために使用される標準試験
片又は対比試験片に加工された形状,寸法及び探傷面からの
距離が既知の反射源。
reference flaw (defect),
reference reflector
2204
標準穴
超音波探傷装置の感度調整を行うとき,標準の反射源として
用いるために,試験片の所定位置に加工される所定の形状及
び寸法の穴。
reference hole
2205
円形平面きず,
円形平面反射源
基準として使用する円板状の反射源。
注記 DGS線図などで理論的取扱いによく用いられる。
disk type flaw
2206
平底穴,
FBH
標準試験片又は対比試験片に設けられた底が平らな穴。
flat bottom hole,
FBH
2207
円柱反射源
基準として使用する円柱状の反射源。
注記 通常,試験体に横穴をドリルで加工したものが用いら
れる。
cylindrical reflector
2208
横円柱穴,
横穴
探傷面に平行に作られた円柱状の反射源。
side drilled hole (SDH),
side cylindrical hole
2209
角溝
対比試験片に規定されている人工きずの一種で,角形状の溝
(JIS G 0582及びJIS G 0584参照)。
square notch
2210
V溝,
Vノッチ
対比試験片に規定されている人工きずの一種で,溝底の角度
がほぼ60°のV形状の溝(JIS G 0582参照)。
Vee notch
d) 試験方法
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2301
パルス反射法
超音波パルス法を用い,試験体の内部又は底面の反射波を検
知して,内部のきず,材質などを調べる方法。
注記 最も一般的な超音波探傷方法である。
pulse echo technique,
reflection technique
2302
超音波パルス法
超音波パルスを用いる超音波探傷試験方法。
ultrasonic pulse technique
2303
透過法
試験体を透過し受信用探触子に入射した超音波エネルギーの
強さ及び/又は超音波の特性から,材料の品質を評価する方
法。
transmission technique,
through transmission
technique
2304
V透過法
送信用及び受信用の2個の斜角探触子を1スキップの距離を
隔てて対向させて配置し,超音波を送受信する方法[“V操作
(2081)”の図参照]
vee path technique
2305
反射板法
水浸法において,探触子と反射板との間に試験体を位置させ,
反射板による透過波の反射を利用して行う透過法。
注記 特に薄い試験体の探傷に利用される。
reflection plate method
2306
多重エコー法
試験体の面又はきずから繰り返して受信されるエコーを使用
する測定方法。
注記 この方法は,次のように使用される。
a) 振幅による評価:材料又は接着部分の品質評価のた
めに,底面又は接合面から繰り返して受信されるエ
コーの高さを測定する。
b) ビーム路程による評価:肉厚測定の精度を向上させ
るために,多重エコー間の時間差を測定する。
multiple-echo technique
2307
垂直法
試験体の探傷面に垂直に超音波を入射させて探傷する方法
[“きずエコー,F(2075)”の図参照]。
注記 ほぼ垂直に超音波を入射する二振動子型垂直探触子に
よる方法も含む。
normal beam technique,
straight beam technique
49
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2308
斜角法
探傷面に対して試験体内に超音波を斜めに入射させ,探傷す
る方法。
注記 主に溶接部の探傷に使用する。
angle beam technique
2309
間接探傷法
試験体のある面(一つ以上の面)での反射を用いて試験体の
探傷領域に超音波ビームを投射する探傷方法。
indirect scan technique,
indirect scan
2310
共振法
試験体に加える連続波の周波数を変化させて共振を起こさ
せ,その共振状態から厚さを測定したり,きずの有無などを
知る方法。
resonance technique
2311
板波法
板波(ラム波)を使用する探傷方法。主に薄板の探傷に使用
する。
plate wave technique
2312
表面波法
表面波を用いる方法。
注記 主に表面近傍のきずの検出に使用する。
surface wave technique
2313
直接接触法
探触子を試験体に直接接触させて探傷する方法。
contact testing technique,
contact method,
contact scanning
2314
水浸法
探触子と探傷面との間に,水などの液体を比較的長い距離介
在させて探傷する方法[“表面エコー(2077)”の図参照]。
注記 水ジェットを用いた方法を含む。
immersion technique,
immersion testing
2315
水距離
水浸法において探触子の前面から試験体の探傷面までの距離
[“表面エコー(2077)”の図参照]。
water path length,
water distance
2316
ギャップ走査
探触子を試験体に直接接触せずに,探触子と試験体との間に
数波長以内の厚さの水膜を介させて,探触子と試験体とを音
響結合させる探傷方法[“接触媒質(2137)”の図参照]。
gap scanning,
gap scanning technique
2317
局部水浸法
探触子と探傷面との間だけ局部的に水などの液体を介在させ
て探傷する方法。
local immersion
technique
2318
直射法
超音波ビームを途中で反射させることなく直接に試験体の探
傷領域に投射する方法[“斜角法(2308)”の図参照]。
direct scanning technique,
single traverse technique
2319
一回反射法
斜角法において,探触子の探傷面と反対の面で反射させた後,
超音波ビームを試験体の探傷領域に入射させる探傷方法。
double traverse technique
50
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2320
多数回反射法
試験体の表裏面で二回以上の反射の後,試験体の探傷領域に
超音波ビームを投射する探傷方法[“スキップ距離(2341)”
の図参照]。
注記 二回反射法などがある。
multiple traverse
technique
2321
一探触子法
超音波の送信及び受信を1個の探触子を用いて行う探傷方
法。
single probe technique
2322
端部エコー法
一つの斜角探触子を用いて,きず上端部及びきず下端部,又
はルートエッジ部から得られる端部エコーのビーム路程と屈
折角とから幾何学的にきず高さを求める方法。
tip echo technique,
tip diffraction technique
2323
二探触子法
送信用及び受信用の2個の探触子を用いる超音波探傷法。
double probe technique,
pitch and catch technique
2324
斜角二探触子法
送信及び受信の二つの斜角探触子を使用して,対象とするき
ずの形状・方向性を考慮した適切な配置で探傷する方法。
注記 広義には,“タンデム探傷法(2326)”も含まれる。
double angle probe
technique
2325
TOFD法(とふど
ほう)
きずの検出及び寸法測定のために,探触子の位置及び入射角
を変化させ,きず端部からの回折波を利用する超音波探傷方
法。
time of flight diffraction
(TOFD) technique
51
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2326
タンデム走査,
タンデム探傷法,
タンデム走査探傷
法
探傷面に垂直なきずを検出するために,2個の探触子を前後
に配置し,一方を送信用に,他方を受信用にして行う探傷方
法。
tandem scanning,
tandem technique,
tandem scanning
technique
2327
タンデム基準線
タンデム探傷において,探触子を移動するときの基準となる
線。
注記 通常,探傷断面から0.5スキップ距離の位置に設ける。
tandem base line,
2328
タンデム参照線
タンデム探傷のため,溶接に先立ち,I形開先の開先面から一
定の距離の探傷面上に印した線。
注記 タンデム基準線を決定するときの基準となる。
tandem reference line,
2329
探傷断面
探傷の対象とする試験体の断面。
test cross-section
2330
探傷方向
探傷面に投影した超音波ビームの伝搬方向又は探触子から放
射された超音波ビームが伝搬していく方向。
test direction
2331
走査
探傷の目的に応じて,探傷面上で探触子を移動させる動作又
は試験体における超音波ビームの方向及び位置を移動させる
動作。
scanning
2332
走査範囲
探傷の目的に応じて探触子の走査を行う範囲。
scanning zone
2333
走査方向
探傷面上で探触子を走査する方向。
scanning direction
2334
走査速度
探傷面上で探触子を移動させる相対的速さ。
scanning speed
2335
走査ピッチ,
走査間隔
探傷面上で探触子を走査する線の間隔[“方形走査(2350)”
及び“ジグザグ走査(2353)”の図参照]。
scanning interval
2336
ビーム入射点
超音波ビーム軸が試験体に入射する探傷面上の点[“接触媒質
(2137)”の図参照]。
beam index
52
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2337
エコー受信点
超音波ビームが受信される探傷面上の点。
echo receiving point
2338
ビーム路程
超音波が入射点から反射源まで試験体中を伝搬した距離。
sound path length,
beam path length
2339
投影ビーム路程
探傷面に投影されたビーム路程[“偏り角(20119)”の図参照]。 projected beam path,
projected path length
2340
肉厚半値ビーム路
程
探傷方向に曲率をもつ試験体の斜角法において,肉厚の中央
に存在するきずに対するビーム路程。
path length to flaw in
thickness center of
curved test object
2341
スキップ距離
斜角探触子の入射点からスキップ点までの探傷面上の距離。1
スキップの距離は,1Sというように表記してもよい。
skip distance
2342
スキップ点
斜角法において,超音波ビームが探傷面又は探傷面と反対側
の面で反射する点[“スキップ距離(2341)”の図参照]。
skip point
2343
探触子きず距離
斜角法において,斜角探触子の入射点から,きずまでの探傷
面上に投影された距離[“屈折角(2061)”及び“きずエコー,
F(2075)”図参照]。
probe to flaw distance
2344
肉厚半値探触子距
離
探傷方向に曲率をもつ試験体の斜角法において,肉厚の中央
に存在するきずに対する探触子きず距離。
distance from probe to
flaw in thickness center
of curved test object
2345
探触子溶接部距離
斜角探触子の入射点から,溶接部の基準線までの探傷面上の
距離。
probe to weld distance
2346
探触子オリエンテ
ーション
探触子の走査中に探傷面上において,ビーム軸の投影線と基
準線との間で維持されている角度[“走査方向(2333)”の図
参照]。
probe orientation
2347
探傷不能領域
斜角探触子の接近限界長さ及び最小入射点間距離のために,
試験体の形状に依存して発生する,探傷断面上で超音波ビー
ムの中心軸が通過しない領域。
shadow zone of angle
beam technique
53
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2348
左右走査,
横方向走査
斜角法において,探傷面上で超音波の進行方向に対して直交
する方向に探触子を移動する走査[“走査方向(2333)”の図
参照]。
注記 溶接部探傷の場合は,探触子と溶接線との距離を一定
にする走査をいう。
lateral scanning,
lateral scanning technique
2349
前後走査,
縦方向走査
斜角法において,探傷面上で超音波の進行方向に沿って,探
触子を移動する走査[“走査方向(2333)”の図参照]。
注記 溶接部探傷の場合は,溶接線に対して直交する走査を
いう。
depth scanning
2350
方形走査
斜角法において,探触子を溶接線と直角方向又は平行方向に
移動させて行う走査に加え,溶接線に平行又は垂直に一定の
間隔で送り,これを繰り返す走査。
注記 縦方形走査と横方形走査とがある。
square scanning,
square scanning technique
2351
首振り走査
斜角探触子の入射点を通り,探傷面に垂直な軸を中心に探触
子を回転させる走査。
swivel scanning
2352
振子走査
斜角法において,きずを中心とする円周上の中心点に向けて
時計の振子のように探触子を移動させて行う走査。
orbital scanning,
orbital scanning technique
54
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2353
ジグザグ走査
斜角法において,多少の首振り走査を交えて,前後走査しな
がら,溶接線に平行に探触子を移動する走査。
zig-zag scanning,
zig-zag scanning
technique
2354
またぎ走査
斜角法において,2個の探触子を溶接線の両側に1個ずつ配
置し,これらを同時に移動させて行う走査。
注記 溶接線に直角方向のきずを検出するために使用する。
straddle scanning
2355
K走査
斜角二探触子法において,試験体の両面に探傷方向が同じに
なるように斜角探触子を配置し,これらの超音波ビームの交
束範囲で探傷を行う走査。
K-scan technique
55
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2356
斜め平行走査
斜角法において,1個の探触子だけを用い溶接線に対して,
ある角度αをもたせておき,これを溶接線に平行に移動させ
て行う走査。
parallel scanning with a
probe slanted,
parallel scanning
technique with a probe
slanted
2357
溶接線上走査
斜角法において,横割れなどのきずを検出するため,余盛が
削除された溶接部及び熱影響部の上に探触子を置いて,超音
波ビームを溶接線方向に向け,溶接線方向に移動させて行う
走査。
longitudinal scanning on
weld surface
2358
線上走査
全面探傷を必要としない厚板の探傷において,規定された一
定間隔に描いた線上に沿って探触子を移動する走査。
scanning on lines
2359
格子点探傷法,
交点探傷法
鋼板などの探傷面に一定間隔で縦横の線を引き,その交点の
箇所を垂直探傷する方法。
specified cross point
testing
2360
スパイラル走査
試験体がパイプ状又は円柱状の形状の場合に,超音波ビーム
の試験体上における入射点の軌跡がスパイラル状となる走
査。
注記 探触子を回転させながら試験体の軸方向へ移動させる
又は試験体を回転させながら探触子を軸方向に移動さ
せる走査形態がある。
spiral scanning
56
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2361
セクタ走査
超音波ビームの軌跡が扇形となる走査。
注記 フェーズドアレイ探触子を用いた超音波ビームの走査
方式の一つである。
sector scanning,
sectorial electronic
scanning
2362
リニア走査
超音波ビームを振動子の配列方向に沿って平行に移動させる
電子的走査。
注記 フェーズドアレイ探触子を用いた超音波ビームの走査
方式の一つである。
linear scanning,
linear electronic scanning
2363
手動走査法,
手動探傷法
探触子を手で動かして探傷する方法。
manual scanning
2364
自動走査法
超音波ビームを試験体に対して自動的に相対移動させること
によって探傷を行う方法。
automatic scanning
2365
自動探傷法
超音波ビームを試験体に対して自動的に相対移動させること
によって探傷を行い,探傷結果の記録を自動的に行う方法。
注記 超音波ビームの走査は,探触子の機械的走査によって
行われるだけでなく,フェーズドアレイ探触子を用い
て電子的に行う走査もある。
automatic scanning
2366
フェーズドアレイ
法
複数の振動子から放射する音波の位相(時間)を電子的に制
御して超音波ビームを形成し,受信においては複数の振動子
で受信した信号の位相(時間)を電子的に制御して受信波形
を形成する方法。
phased array technique
2367
開口合成,
SAFT
広がりの大きい指向性をもつ開口の小さい探触子を用いて,
複数の異なる位置で超音波を送受信することで収集した超音
波信号を利用し,同じ反射源からの複数の超音波エコーが一
点に重なるように加算する信号合成処理を行うことによっ
て,開口の大きい集束探触子による探傷と同等の空間分解能
及び信号品質を得る方法。
synthetic aperture
focusing technique,
SAFT
2368
シングアラウンド
法
試験体を伝搬した超音波パルスを受信したタイミングで次の
超音波パルスの送信を行うようにし,この動作を繰り返し行
うことによって,その周期から音速を求める方法。
sing around technique
57
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2369
パルスオーバーラ
ップ法
試験体からの多重エコーのうち,2個のエコーを選び,一方
のエコーの表示時間を遅延させ,他方のエコーと同時に表示
させ,両者の位相が合い,互いに重なり合うよう遅延時間を
調整し,その遅延時間から音速を求める方法。
pulse overlap technique
2370
空気結合超音波法
空気を音響結合媒質として超音波を送受信して,試験体のき
ず又は材質を調べる方法。
air-cupuld ultrasonic
technique
2371
非線形超音波法
超音波を試験体中に伝搬させたときの,きず又は組織の非線
形弾性特性に起因する応答を利用して,試験体内部のきず又
は材料特性を調べる非破壊試験方法。
注記 主に通常の超音波法では困難な探傷及び材料特性評価
に利用される。
nonlinear ultrasonic
method
e) 判定・評価
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2401
試験片方式
標準試験片又は対比試験片における既知の反射源からのエコ
ー高さと,きずからのエコー高さとを比較することによって,
きずを評価する探傷方法。
reference block method
2402
底面エコー方式
試験体の健全部の底面エコー高さBGを基準として,きずから
のエコー高さFを検出し,F/BGで評価する探傷方法。
注記 きずを含んだ部分の底面エコー高さBFを用いたF/BF
で評価する探傷方法,及びBF/BGで評価する探傷方法も
ある。“試験片方式(2401)”と対比して用いられる。
back wall echo method
2403
基準エコー
一定の反射源から得られる評価の基準となるエコー。
注記 底面エコーなどの境界面エコー又は平底,横穴などか
らの人工きずエコーがこのエコーとして用いられる。
reference echo
2404
基準レベル
探傷感度の調整及びきずエコー高さの評価の際に基準とする
エコー高さ。
reference level
2405
DAC法
反射源からのエコー高さを距離振幅特性(補正)曲線(DAC
曲線)と関連付けて評価する方法(JIS Z 3060参照)[“距離
振幅補正(2406)”の図参照]。
DAC method
2406
距離振幅補正
同一きずの評価が,探触子からの距離によって変化すること
がないように行う補正。
distance-amplitude
correction
58
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2407
エコー高さ区分線
きずエコー高さを領域で区分して評価するための線。
注記 一般的には,数本の距離振幅特性曲線によって構成さ
れる。
DAC for evaluating flaw
echo,
DAC curves for
evaluating flaw echo
2408
エコー高さの領域
きずを評価するために,ビーム路程に応じてエコー高さを区
分した範囲(JIS Z 3060参照)。
region of echo height
2409
走査グラフ
探触子位置とエコー高さとの関係を直角座標などに描いたグ
ラフ。
scanning graph of echo
height
2410
検出レベル,
評価レベル
欠陥として評価するために定めたきずエコー高さのレベル。
detection level
2411
合否判定レベル
基準感度を基にして定めたきずエコーの合否判定を行う基準
となるレベル。
acceptance level
2412
警報レベル
警報を行うためにゲート装置によって設定されたレベル。
alarm/trigger level
2413
DGS法
DGS線図を用いて,反射源エコー高さを等価な円形平面きず
の寸法として評価する方法。
DGS method,
2414
DGS線図
異なる寸法の円形平面反射源と無限大反射源に関し,振動子
から反射源までの距離と相対的なエコー高さとの関係を表す
曲線群。
DGS diagram,
AVG diagram
2415
等価きず直径
DGS線図によって求めた円形平面きずの直径。
equivalent flaw diameter,
equivalent reflector size
2416
デシベルドロップ
法,
デシベル低下法
反射源の寸法(長さ,高さ及び幅)を,最大エコー高さを示
す位置からそのエコーの高さが最大エコー高さより所定のデ
シベル値になるまで探触子を移動させて評価する方法。
注記 6 dB低下法又は20 dB低下法がよく用いられる。
a) 6 dB低下法:反射源の寸法(長さ,高さ及び幅)
を,最大エコー高さを示す位置からそのエコーの高
さが,半分(−6 dB)の値になるまで探触子を移動
させ,その移動距離で評価する方法である。
b) 20 dB低下法:反射源の寸法(長さ,高さ及び幅)
を,最大エコー高さを示す位置からそのエコーの高
さが,1/10(−20 dB)の値になるまで探触子を移
動させてその移動距離で評価する方法である。
decibel drop method
2417
きずの指示高さ
探触子の移動距離によって推定したきずの板厚方向の寸法。
apparent flaw height
2418
きずの指示長さ
探触子の移動距離によって推定したきずの探傷面に平行な方
向の長さ。
apparent flaw length
59
Z 2300:2020
4.4
アコースティック・エミッション試験
a) 一般
番号
用語
定義
対応英語(参考)
3001
アコースティッ
ク・エミッショ
ン,
AE
ある材料の内部の局部的音源の急速なエネルギー放出によっ
て非定常的な弾性波が発生する事象。a)〜c)の類似の用語があ
るが,一般的用語としては,この“アコースティック・エミ
ッション”を使用するのがよい。
a) 弾性波放出(stress wave emission)
b) ミクロサイズミック・アクティビティ(microseismic
activity)
c) 他の限定詞による修飾を伴う,エミッション又はアコー
スティック・エミッション
acoustic emission,
AE
3002
AE波
AEによって生じる弾性波。
AE wave
3003
AE特性
定められた試験条件の下で所定の計測システムによって観測
される,個々の試験体に関わるAE信号の再現可能な一連の
特性。
AE signature,
signature
3004
有効音速
人為的に発生させたAEによって得られた到着時間と伝搬距
離とから計算される速度。
注記 計算による位置標定に用いる。
effective velocity
3005
AE減衰
振幅値の単位長さ当たりの低下。
注記 通常は,単位長さ当たりのデシベル(dB)値で表す。
UTの減衰は,“音圧の減少”として定義されるが,AE
試験においては,“振幅値の減少”と定義される。
AE attenuation
3006
AE信号,
エミッション信号
一つ以上のAE事象を検出して得られる電気信号。
AE signal,
emission signal
3007
AE事象,
エミッション事象
AEを生じさせる,材料の局部変化。
AE event,
emission event
3008
AE事象のエネル
ギー
一つのエミッション事象によって放出される弾性エネルギー
の全量。
AE event energy
3009
突発形AE
材料内に起きる個々のAE事象に関連する,単発性が認めら
れる信号の定性的表現。AE信号の様相を定性的にいう場合に
だけ用いる。
注記 次の図は,2種類の掃引時間で得られた突発形AEのオ
シロスコープ表示例である。
burst emission
60
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
3010
連続形AE
次々と急速に起きるAE事象によって生じる持続性信号の定
性的表現。AE信号の様相を定性的にいう場合にだけ用いる。
注記 次の図は,2種類の掃引時間で得られた連続形AEのオ
シロスコープ表示例である。
continuous emission
3011
AE信号の開始
システム・プロセッサによって認識されたAE信号の開始。
注記 通常は,振幅が最初にしきい値を超えることによって
定義される。
AE signal start
3012
AE信号の終了
AE信号の認識された終了を意味し,通常は,当該信号がしき
い値を最終的に通過すること。
AE signal end
3013
疑似AE源
AEセンサ又は計測装置の校正,感度設定などの目的に使用さ
れるAE波を模擬した弾性波の発生源。
artificial AE source
3014
カイザー効果
応力を負荷してAEを発生させた材料に,再び応力を負荷す
ると,前に使用した応力レベルを超えるまでの間,あらかじ
め設定した感度レベルで検出可能なAEが発生しない現象。
Kaiser effect
3015
フェリシティ効果
あらかじめ設定した感度で検出可能なAEが,再び応力を負
荷したときに前に使用した応力よりも低いレベルで検出され
ること。
Felicity effect
3016
音響・超音波法,
AU法
弾性波を発生させて,供試構造体のきず分散状態,損傷状況
及び機械的特性変化を検出し評価する非破壊検査方法。
注記 このAU法は,AE信号による解析手法と,超音波を用
いた材料特性検査手法とを組み合わせたものである。
acousto-ultrasonics,
AU
b) 機器・材料
番号
用語
定義
対応英語(参考)
3101
AEチャンネル
次の機器の組合せによって構成されるAEを計測するシステ
ム。
a) センサ
b) 前置増幅器又はインピーダンス整合トランス
c) フィルタ二次増幅器及びその他の必要機器
d) 接続ケーブル
e) 検出器又はプロセッサ
AE channel
3102
AE信号発生器
AE計測器に,設定した過渡信号を繰り返して入力できる装
置。
AE signal generator
3103
AEウェーブガイ
ド
AEモニタリングのときに,構造体又はその他の試験体から発
せられる弾性波を,遠隔点に置かれたセンサに結合するため
の装置。
例 線又は棒端を監視すべき試験体に結合し,他方の端をセ
ンサに結合した装置。
AE waveguide
61
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
3104
接触媒質
AE計測のときに,音響エネルギーの伝搬をよくする目的で,
構造体とセンサとの境界部分に使用する材料。
couplant
3105
AEセンサ,
AE変換子
弾性波を電気信号に変換するための,通常,圧電方式の検出
器。
AE sensor
3106
AE変換素子
AEセンサーに使われる,通常,圧電式の変換素子。
AE transducer
3107
絶対感度校正法
AEセンサの受波感度又は送波感度を定量的に求める校正方
法。
absolute calibration
3108
相互校正法
AEセンサについて校正媒体を介して送受波の組合せを構成
し,送波の電流及び受波の電圧の電気測定だけを行って絶対
感度を求める校正方法。
reciprocity technique
3109
相反定数
AEセンサを受波に用いたときと送波に用いたときとの感度
の比。
reciprocity parameter
3110
受波電圧感度
受波に用いたAEセンサの出力開放電圧と,その位置にセン
サを置かない状態での変位速度の垂直成分との比。
reception voltage
sensitivity
3111
AE表面波校正法
送受波にレイリー表面波を用いて表面波感度を求める校正。
Rayleigh wave calibration
3112
縦波校正法
送受波に縦波を用いて縦波感度を求める校正。
longitudinal wave
calibration
c) 試験方法
番号
用語
定義
対応英語(参考)
3301
システム検査しき
い値
データが検出される電子計測器のしきい値[“評価しきい値
(3303)”参照]。
system examination
threshold
3302
電圧しきい値
振幅の信号が認識される比較器の電圧レベル。
注記 この電圧しきい値は,ユーザが調整,固定することが
でき,また,自動浮動型とすることもできる。
voltage threshold
3303
評価しきい値
検査データの解析に用いるしきい値。
注記 データは,この評価しきい値よりも低いシステム検査
しきい値でだけ,記録される。解析では,システム検
査しきい値が測定データに与える影響を考慮する必要
がある。
evaluation threshold
3304
浮動型しきい値
入力信号の時間平均振幅で設定されるしきい値。
floating threshold
3305
不感時間
データ取得中に,計測器又は装置が新たなデータを受け入れ
得ない時間。
dead time
3306
ヒット
しきい値を上回り,システム・チャンネルのデータを加算す
る信号。
hit
3307
事象計数
一つ以上のセンサで検出されたAE信号(ヒット)から,一
つのAE事象と認識されたものを数えて得られた数値で,位
置標定を行った場合は,位置標定されたAE発生数[“評価し
きい値(3303)”及び“位置標定(3401)”参照]。
event count located event
count
3308
事象計数率
事象計数を単位時間で積分した時間率。
event count rate
3309
AE計数,
エミッション計数
ある試験期間において,AE信号が,あらかじめ設定したしき
い値を超える回数。
AE count,
ringdown count
3310
AE計数率,
エミッション率
AE計数を単位時間で積分した時間率。
hit rate,
count rate
3311
AE信号の持続時
間,
AE信号の継続時
間
AE信号の開始から終結に至るまでの時間。
AE signal duration
62
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
3312
AE信号の立上が
り時間
AE信号の開始から,そのAE信号が最大振幅に至るまでの時
間。
AE signal rise time
3313
信号過負荷点
そのポイントで,出力と入力との比が所定の直線動作範囲内
にあるとみられる,入力信号振幅の最大値。
signal overload point
3314
信号過負荷レベル
信号がゆがんだり,オーバヒートしたり,損傷が起きて,満
足な動作が行われなくなる信号レベル。
signal overload level
3315
過負荷回復時間
信号の振幅が測定器の直線動作範囲を超えることによって起
きる測定器の非直線動作の時間で,線形性が崩れた状態から
線形性を示す状態に戻るまでの時間。
overload recovery time
3316
ダイナミックレン
ジ
システム又はセンサにおいて,過負荷レベルと最小信号レベ
ル(通常は,雑音レベル,低レベルひずみ,干渉又は分解能
の一つ以上の組合せによって決まる。)との差を,デシベル
(dB)で表した値。
dynamic range
3317
AE信号振幅
一つのエミッション事象における信号波形の最大電圧。
AE signal amplitude
3318
dBAE(でしべるえ
ーいー)
1 µV(マイクロボルト)を基準に取ったときの,AE信号振幅
の対数値。信号の最大振幅値[(dBAE)=20 log10(A1/A0)]で表
され,センサ出力端電圧比に対応する。
ここに, A0: 1µV
A1: センサ出力端(増幅される前)において
測定されたAE信号電圧の最大値
dBAE値及び前置増幅器の入力端電圧
dBAE値
センサ出力端電圧
0
1 µV
20
10 µV
40
100 µV
60
1 mV
80
10 mV
100
100 mV
dB AE
3319
平均信号レベル
整流され,かつ,時間平均された対数AE信号であり,dBAE
単位で報告された値。ただし,前置増幅器の入力端で1 µV(マ
イクロボルト)を0 dBAEとする。
average signal level
3320
AE RMS値
AE信号の実効値。
AE root mean square value
3321
AEセンサ配置
音源を検出し,かつ,その位置を標定する目的で構造物に配
置された2個以上のAEセンサの群。
注記 音源は,通常,アレイ内にある。
AE sensor array
3322
到着時間差
複数の異なる位置に設置されたセンサで検出された,AE波の
順番がi番目とj番目とのAE波の到着の時間差。
arrival time interval
3323
(AE試験の)処理
速度
データ移動のための割込みを掛けなくても,システムによる
AE信号の連続処理が可能である1秒当たりに取り込む信号の
数(hits/s)。
注記 パラメータ集合及び活動チャンネル数によるデータ量
の関数である。
processing speed
3324
AE平均周波数,
Fa
カウントを継続時間で除した値。見かけの平均的周波数で,
しきい値に依存した値である。
average frequency
3325
RA値
立上がり時間を最大振幅値で除した値で,波形の初期勾配の
逆数。
ratio of rise time to
amplitude (RA) value
63
Z 2300:2020
d) 判定・評価
番号
用語
定義
対応英語(参考)
3401
位置標定
AEデータを評価し,試験体上の音源の位置を決定する方法。
注記 位置標定へのアプローチとして,ゾーン標定,計算標
定,連続標定などがある。
source location
3402
位置標定精度
AE源(又は人為的に発生させたAE源)と,計算位置標定と
の比較。
source location accuracy
3403
クラスター位置標
定
指定された長さ又は面積の範囲内に位置標定された,事象計
数のある量をもって位置を標定する方法(例えば,305 mmの
線分内又は305 mm2の面積内に5事象)。
cluster source location
3404
計算ロケーション,
計算位置標定
AEセンサ間の到着時間差から解析して行う位置標定の方法。
注記 計算位置標定には,直線位置標定,平面位置標定,立
体位置標定,複合位置標定などがある。
computed source location
3405
ゾーン標定
AE源の発生した領域を判定する方法(例えば,事象計数,
AE事象のエネルギー,ヒットなどの総数を用いる方法があ
る。)。
注記 ゾーン標定へのアプローチとしては,独立チャンネ
ル・ゾーン標定,第1ヒット・ゾーン標定,到着順位
ゾーン標定などがある。
zone source location
3406
独立チャンネル・
ゾーン標定
各チャンネルのヒットの総量を比較するゾーン標定方法。
independent channel zone
source location
3407
第1ヒット・ゾー
ン標定
チャンネル群のうち,第1ヒット・チャンネルからのヒット
だけを比較するゾーン標定方法。
first-hit zone source
location
3408
到着順位ゾーン標
定
AEセンサへの到着順位で比較するゾーン標定方法。
arrival sequence zone
source location
3409
直線位置標定
二つ以上のチャンネルを必要とする一次元の位置の標定。
linear source location
3410
平面位置標定
三つ以上のチャンネルを必要とする二次元の位置の標定。
planar source location
3411
立体位置標定
四つ以上のチャンネルを必要とする三次元の位置の標定。
3-D source location
3412
信号減衰による位
置標定
AE信号の距離と減衰との対応関係を利用する位置標定方法。
注記 対象物上の様々な箇所で,連続信号のAE信号強度を監
視すれば,その信号強度の最大値から,又は複数の測
定値を内挿又は外挿することによって,音源位置を決
定することができる。
signal attenuation-based
source location
3413
連続AE信号標定
ヒット又は到着時間差による方法と異なり,連続AE信号を
用いて行う位置の標定方法。
注記 このタイプの位置標定は,連続形AEが発生するリーク
の位置標定に広く用いられる。連続信号位置標定方法
の一般的なタイプとして,信号減衰解析法,信号相関
解析法などがある。
continuous AE signal
source location
3414
累積しきい値通過
分布,
累積AEしきい値
通過分布
任意のしきい値電圧(V)を上回るAE信号の数の,しきい値
電圧(V)による変化。
cumulative threshold
crossing distribution,
cumulative AE
threshold,crossing
distribution
3415
累積振幅分布,
累積AE振幅分布
任意の振幅(dBAE)を上回るAE信号の数の,振幅(dBAE)
による変化。
cumulative amplitude
distribution,
cumulative AE amplitude
distribution
64
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
3416
微分振幅分布,
微分AE振幅分布
振幅(dBAE)と増分振幅(dBAE+・dBAE)との間のAE信
号の数の,振幅による変化。微分振幅分布の勾配f(dBAE)
は,累積振幅分布の導関数F(dBAE)の絶対値で示す。
differential amplitude
distribution,
differential AE amplitude
distribution
3417
微分しきい値通過
分布,
微分AEしきい値
通過分布
しきい値電圧(V)と増分しきい値電圧(V+ΔV)との間の
AE信号の数の,増分しきい値電圧による変化。微分しきい値
通過分布の勾配ft(V)は,累積しきい値通過分布の導関数Ft
(V)の絶対値で示す。
differential threshold
crossing amplitude
distribution,
differential AE threshold
crossing amplitude
distribution
3418
対数振幅分布,
対数AE振幅分布
振幅(dBAE)と増分振幅(dBAE+・dBAE)との間のAE信
号の数を対数で表した,振幅による変化。
logarithmic amplitude
distribution,
logarithmic AE amplitude
distribution
3419
フェリシティ比
フェリシティ効果が起きるときの応力と,併用時の最大応力
との比。
注記 感度レベルは,通常は,前回の定期試験などで実施し
た感度と同じである。
Felicity ratio
4.5
磁気探傷試験
a) 一般
番号
用語
定義
対応英語(参考)
4001
反磁界
磁界の中に置かれた強磁性体に形成される磁極によって生じ
る逆向きの磁界。
diamagnetic field,
demagnetizing field
4002
反磁界係数
反磁界の大きさを表す係数。
注記 試験体の長さ(L)と径(D)との比L/Dによって決定
される。
demagnetization field
coefficient
4003
漏えい(洩)磁束
磁気回路の不連続部又は断面形状の変化部で,試験体表面に
出入りする磁束。
magnetic flux leakage
4004
探傷有効範囲
1回の探傷操作(検出媒体の適用)で試験できる範囲。
effective testing region
4005
磁化電流,
励磁電流
試験体を磁化するために用いる電流。
magnetizing current,
exciting current
4006
軸方向磁化
試験体の長手軸と平行な磁界を用いて帯磁させること。
axial magnetization
4007
多軸磁化
試験体に異なる方向の磁界を同時に適用する磁化方法。
multidirectional,magnetiz
ation
4008
パルス磁化
瞬間的に大電流(衝撃流)を用いて帯磁させること。
pulsed magnetization
4009
円形磁化
電流の周りに形成される円形磁界を用いた磁化方法。
circular magnetization
4010
間接磁化
試験体に直接電流を流さずに間接的に帯磁させること。
indirect magnetization
4011
局部磁化
試験体の限定された体積又は表面を帯磁させること。
local magnetization
4012
起磁力,
アンペアターン
コイルの巻き数とコイルを流れる電流(アンペア)との積。
magnetomotive force,
ampere-turn
4013
アークストライク
放電による部材の局部的焼損。
arc strikes
4014
円形磁界
電流が試験体又は貫通導体を流れるときに電流を取り囲むよ
うに生じる円形の磁界。
circular magnetic field
4015
蛍光安定性
検出媒体が安定して蛍光性能を維持する能力。
fluorescent stability
4016
残留磁束密度,
残留磁気
外部磁界が取り去られた後に強磁性材料に残った磁束密度。
residual magnetic flux
density,
residual magnetism
65
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
4017
磁気履歴,
磁気ヒステリシス
強磁性材料における磁界の変化に起因する,磁化の強さ又は
磁束密度の履歴。
magnetic hysteresis,
hysteresis
4018
磁粉濃度
検出媒体のある体積の中に含まれる磁粉の量。
magnetic particle,
concentration
4019
パルス電流,
衝撃流,
衝撃電流
瞬間的に衝撃的に流れる電流。
impulse current,
pulsed current,
4020
磁力線
磁界内において,その点の磁界の接線方向と一致し,その密
度が磁界の強さを表している曲線。
lines of force,
flux lines
4021
脱磁
残留磁気を必要な限度まで減少させること。
demagnetization,
degauss
4022
通電時間
励磁するために電流を流し続ける時間。
magnetization time
4023
保磁力
磁化曲線において,磁束密度がゼロに等しいところの磁界の
強さ。単位はアンペア毎メートル(A/m)。
coercive force
4024
リフティングパワ
ー試験
極間式磁化器の吸引力による性能確認試験。
lift test
4025
暗順応
人が明るい所から暗い所へ移ったときに目が行う順応。
dark adaptation
4026
暗順応時間
暗順応に要する時間。最小で10分,最大で30分。
dark adaptation time
4027
(磁粉の)凝集
検査液中又は空気中に懸濁させた磁粉が集まり固まる現象。
coagulation
4028
検出媒体の機械的
安定性
作業下において検出媒体が機械的に安定して性能を維持する
能力。
mechanical stability
4029
合成磁界
複数の磁界を同じ場所に加えた場合の合成された磁界。
resultant magnetic field,
resultant field
4030
バイポーラ磁界
きずの両端などに生じる両極性の磁界。
bipolar field
b) 機器・材料
番号
用語
定義
対応英語(参考)
4101
磁粉探傷装置
試験体に磁束を投入して磁化する極間式磁化器,通電によっ
て磁化するプロッド又は磁化,検査液供給,観察などの機能
を備えた定置式磁粉探傷装置など磁粉探傷試験に用いられる
装置。
magnetic particle flaw
detector
4102
極間式磁化器,
ヨーク
磁石によって試験体に磁束を投入して磁化する装置。
注記 極間式磁化器は,永久磁石,又は電磁石で構成される。
yoke,
magnetic yoke,
portable electromagnet
(yoke)
4103
定置式磁粉探傷装
置
磁化,検査液供給,観察などの機能を備えた定置式の磁粉探
傷装置。
fixed installation
4104
磁化コイル
試験体に磁界を印加するコイル。
magnetizing coil
4105
電流貫通棒
試験体の開口部中心を貫通するように配置された導体。
central conductor
4106
プロッド
試験体を通電によって磁化する可搬型の電極。
prods
4107
磁化電源
磁化に用いる電流の発生装置。
current generator
4108
脱磁コイル
磁化した試験体を脱磁するためのコイル。
demagnetization coil
4109
接触器ヘッド
通電法において,電流を試験体に流すために,試験体を固定
したり,支えたりする電極。
contact head
4110
接触パッド
電気的接触をよくするために電極に取り付けた交換可能な金
属パッド。
注記 それによって試験体への機械的な損傷(焼損)を防止
する。
contact pad
66
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
4111
継鉄棒
反磁界を低減するため,試験体の両端に接触する強磁性体。
magnetic extender,
pole piece
4112
磁粉散布器
乾式法において試験体表面に磁粉を適用するために用いられ
る器具。
powder blower
4113
定置式磁化台
通電法及び/又は磁束投入法を用いて試験を行う定置式の汎
用装置。
magnetic bench
4114
検査液
分散媒に磁粉を懸濁した湿式検出媒体。
magnetic ink,
examination medium,
magnetic suspension,
inspection medium
4115
検出媒体
検査に使える状態になっている,液体に磁粉を分散したもの
(湿式検出媒体)又は空気中に磁粉を分散したもの(乾式検
出媒体)。
detection media
4116
非蛍光検出媒体
可視光を用いた試験に使用される検出媒体。
colored detection media,
non-fluorescent detection
medium
4117
蛍光検出媒体
A領域紫外線を用いた検査に使用される検出媒体。
fluorescent detection
media
4118
蛍光磁粉
A領域紫外線を照射すると蛍光を発する磁粉。
fluorescent magnetic
particles
4119
非蛍光磁粉
可視光を用いた試験に使用される磁粉。
colored magnetic particles,
non-fluorescent magnetic
particles
4120
湿式磁粉
液体に懸濁・分散して用いる磁粉。
wet magnetic particles
4121
乾式磁粉
空気を分散媒として用いる磁粉。
dry powder,
powder,
dry magnetic particle
4122
濃縮磁粉
使用前に希釈を要する,高濃度に濃縮された液状又はペース
ト状で供給される磁粉。
concentrate,
concentrated magnetic
particles
4123
分散媒
磁粉を分散(懸濁)させる液体又は気体。
carrier fluid,
suspension vehicle
4124
分散剤
適度のぬれ性,分散性又は防食性のような特殊な特性を与え
るため,水性の検査液に添加する物質。
conditioning agent
4125
磁束指示器
人工きずによる磁束の検出器(試験面に接触して使用する。)。 flux indicator
4126
コントラストペイ
ント
磁粉模様の識別性をよくするために表面に適用するコーティ
ング又はフィルム。
contrast aid paint
c) 標準試験片・対比試験片
番号
用語
定義
対応英語(参考)
4201
A型標準試験片
試験方法の適否などを調べる試験片であって,薄板に標準溝
を加工した試験片。
type A standard test piece
4202
C型標準試験片
試験部分が狭くてA型標準試験片の使用が困難な場合に,代
わりに用いる試験片。
type C standard test piece
4203
B型対比試験片
装置,磁粉,及び検査液の性能を調べるためのリング状試験
片。
type B reference test
piece
4204
対比試験片タイプ
1
検出媒体の性能を調べる試験片であって,自然割れをもつデ
ィスク状の永久磁石。
reference block type 1
67
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
4205
対比試験片タイプ
2
閉磁気回路を構成する永久磁石と2本の平行な強磁性体(狭
い空隙あり)からなる検出媒体の性能を調べる試験片。
注記 検出媒体を適用すると,空隙間の漏えい(洩)磁界に
沿って磁粉が並び,性能がよい場合,その範囲(強磁
性体端部からの距離)が広くなる。
reference block type 2
4206
シムタイプ試験片
磁粉探傷試験の検査性能を確認するための試験片であって,
薄板の試験片を指し,標準溝として線,円,十字などの溝が
ある試験片。
shim-type test piece
d) 試験方法
番号
用語
定義
対応英語(参考)
4301
蛍光磁粉探傷試験
蛍光磁粉と紫外線照射装置とを用いる磁粉探傷試験方法。
fluorescent magnetic
particle testing
4302
通電法
軸通電法,直角通電法,プロッド法,磁束貫通法などがあり,
プロッド又は接触ヘッドなどを通じ,検査部分に電流を流す
ことによって探傷する方法。
current flow technique
4303
軸通電法
電極の間に試験体を挟んで軸方向に電流を流して探傷する方
法。
longitudinal direct contact
technique
4304
直角通電法
試験体の軸に対して直角な方向に直接電流を流して探傷する
方法。
cross current flow
technique
4305
プロッド法
試験体の表面に2個の電極(プロッド)を押し当て,電流を
流して探傷する方法。
prods technique
4306
磁束貫通法
リング状試験体の空洞部に配置した磁性体(磁束貫通棒など)
に外部から交番磁界を供給し,試験体内に誘導される環状電
流によって試験体を探傷する方法。
induced current flow
technique
4307
磁束投入法
電流貫通法,隣接電流法,極間法,コイル法など外部から試
験体に直接,磁束を投入する探傷方法。
magnetic flow technique
4308
電流貫通法
試験体の孔部又は開口部を貫通する,棒(電流貫通棒)又は
ケーブルによって探傷する方法。
threading conductor
technique
4309
隣接電流法
試験体表面に近接させて配置した,棒状導体又はケーブルに
通電して試験体を探傷する方法。
adjacent conductor
technique
4310
極間法,
ヨーク法
極間式磁化器(ヨーク)を用いて探傷する方法。
yoke technique
4311
コイル法
コイルに流した電流によって試験体に磁束を投入し,探傷す
る方法。
注記 固定式及びケーブル式がある。
coil technique
4312
固定式コイル法
試験体を形状の固定したコイルの中に入れて探傷する方法。
rigid coil technique
4313
ケーブル式コイル
法
試験体の周りに近接して巻きつけた,柔軟性のある導体を用
いて探傷する方法。
flexible coil technique
4314
急速遮断法
電流を瞬間的に遮断することによって試験体を磁化する探傷
方法。
quick break technique
4315
連続法
磁化しながら,磁粉の適用を行う磁粉探傷試験方法。
continuous magnetization
technique
4316
残留法
磁化終了後に磁粉を適用する磁粉探傷試験方法。
residual technique
4317
湿式法
液体の分散媒中に分散された磁粉を用いる磁粉探傷試験方
法。
wet technique,
wet magnetic particles
technique
68
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
4318
乾式法
空気を分散媒として粉状の磁粉を適用する磁粉探傷試験方
法。
dry powder technique,
dry magnetic particle
technique
e) 判定・評価
番号
用語
定義
対応英語(参考)
4401
磁粉模様
試験体上に出現した磁粉によって生じる模様。
indication,
magnetic particle
indication
4402
きず磁粉模様
きずによって生じる磁粉模様。
flaw indication
4403
評価対象磁粉模様
磁粉探傷試験における評価対象となる磁粉模様。
relevant indication
4404
評価対象外磁粉模
様
磁粉探傷試験における評価対象外となる磁粉模様。
nonrelevant indication
4405
疑似模様
きず以外の原因によって生じる磁粉模様。
false indication
4406
すりきず指示
試験面に生じたすりきず及び打痕のうち,有害ではないきず
によって生じる疑似模様。
false indications due to
scratches
4407
磁気ペン跡
磁化された試験体が,他の強磁性体と接触したときに局所的
な磁化によって生じる疑似模様。
magnetic writing
4408
断面急変指示
試験体の磁束の流れる断面が,急激に変化したところに生じ
る疑似模様。
false indications due to
changes of section
4409
電流指示
大電流の流れている磁化ケーブルが試験面に接触又は近接し
た箇所に生じる疑似模様。
false indications due to
electric cables
4410
電極指示
プロッド法などの電極周辺に生じる疑似模様。
false indications due to
electrodes
4411
磁極指示
極間法で磁極周辺部の漏えい(洩)磁束によって生じる疑似
模様。
false indications due to
magnetic poles
4412
表面粗さ指示
試験面の肌の粗い所に生じる疑似模様。
false indications due to
surface roughness
4413
材質境界指示
透磁率の異なる材質の境界に生じる疑似模様。
false indications due to
changes in permeability
4414
表面近傍不連続部
幅広く,不明瞭な磁粉模様が形成される,表面近傍で開口し
ていない不連続部。
near surface discontinuity
4.6
浸透探傷試験
a) 一般
番号
用語
定義
対応英語(参考)
5001
蛍光光度
A領域紫外線(UV-A)によって励起されたときに浸透液から
放出される明るさ。
注記 非破壊試験分野では,蛍光輝度ともいう。
fluorescent intensity,
luminance brightness
b) 機器・材料
番号
用語
定義
対応英語(参考)
5101
浸透探傷剤
浸透探傷試験に使用する浸透液,乳化剤,除去剤及び現像剤
の総称。
penetrant materials,
5102
浸透液
試験体に塗布されると,きず内部に浸透し,その後に余剰な
浸透液を表面から除去する間,検出可能な量がそこにとどま
るような性質をもつ液体。
penetrant
5103
蛍光浸透液
A領域紫外線の下で蛍光を発する浸透液。
fluorescent penetrant
5104
染色浸透液
液体に染料(一般に赤色)を溶解させた浸透液。
color contrast penetrant
69
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
5105
水洗性浸透液
直接水洗ができる浸透液。
water-washable penetrant
5106
後乳化性浸透液
水洗性を付与するため浸透処理後に乳化剤を適用する浸透
液。
post emulsifiable
penetrant
5107
溶剤除去性浸透液
探傷面から余剰な浸透液を除去するために使用する適切な溶
剤。
solvent-removable
penetrant
5108
二元性浸透液
可視光の下でもA領域紫外線の下でも見ることのできる指示
模様が得られる浸透液。
dual purpose penetrant
5109
除去剤
探傷面から余剰な浸透液を除去するために使用する溶剤。
solvent remover
5110
乳化剤
後乳化性浸透液に水洗性を付与するために使用する探傷剤。
emulsifier
5111
油ベース乳化剤
親油性の界面活性剤を主成分とし,そのまま使用する乳化剤。 lipophilic emulsifier
5112
水ベース乳化剤
親水性の界面活性剤を主成分とし,水で希釈して使用する乳
化剤。
hydrophilic emulsifier
5113
現像剤
浸透液をきずから吸出し,きずより大きな指示模様を形成さ
せることによって,よりきずを検出しやすくする作用をもつ
探傷剤。
developer
5114
乾式現像剤
蛍光浸透探傷試験に使用する乾燥した微粉末状の現像剤。
dry developer
5115
水懸濁性湿式現像
剤
乾燥すると現像剤塗膜を形成する水に微粉末を懸濁させた現
像剤。
water suspendable
developer
5116
水溶性湿式現像剤
乾燥すると現像剤塗膜を形成する水に粉末を溶解させた現像
剤。
water soluble developer
5117
速乾式現像剤,
非水湿式現像剤
揮発性溶剤中に微粒子を懸濁させた現像剤。
solvent based developer,
nonaqueous wet
developer
5118
剝離性現像剤
指示模様を固定し薄膜の複製として得るために用いる液体現
像剤。
peelable developer
c) 標準試験片・対比試験片
番号
用語
定義
対応英語(参考)
5201
(浸透探傷用)対
比試験片
浸透探傷剤の感度の性能の比較及び探傷工程の適不適を調べ
るために使用する人工的な既知のきずを含んでいる試験片。
reference block
d) 試験方法
番号
用語
定義
対応英語(参考)
5301
蛍光浸透探傷試験
蛍光浸透液を使用する浸透探傷試験方法。
fluorescent penetrant
testing
5302
染色浸透探傷試験
染色浸透液を使用する浸透探傷試験方法。
visible dye penetrant
testing
5303
浸透指示模様
浸透探傷試験における浸透液による指示模様。
penetrant indication
5304
浸透時間
浸透液が試験面をぬらしている時間。
penetration time
5305
静電塗布法
帯電した探傷剤粒子を接地した探傷面に適用する方法。
electrostatic spraying
5306
余剰浸透液の除去
きずに入った浸透液以外の浸透液を探傷面から除去する操
作。
excess penetrant removal
5307
浸せき洗浄処理
余剰浸透液を除去するために試験体を水タンク中に入れる処
理。水タンクは,かくはんさせてもよい。
dip rinse
5308
浸透液の乳化処理
後乳化性浸透液に水洗性を付与するため,浸透処理後に乳化
剤を適用する処理。
emulsification of
penetrant
5309
乳化時間
後乳化性浸透液に水洗性を付与するために乳化剤を適用して
いる時間。
emulsification time
70
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
5310
乳化停止
乳化時間経過後に試験体を水に浸せきするか又は水をかけて
乳化剤の作用を停止させる操作。
emulsification stop
5311
(浸透探傷の)現
像時間
速乾式現像法及び湿式現像法の場合は,塗膜が乾いてから観
察を開始するまでの時間,乾式現像法の場合は,現像剤が適
用されている時間。
development time
5312
無現像法
現像剤を使用しないで観察を行う浸透探傷試験。
self development technique
5313
感度レベル
浸透探傷試験の微細なきずに対する検出感度の程度。
sensitivity level
5314
浸透探傷試験感度
浸透探傷試験においてきずを検出できる能力の尺度。
sensitivity
5315
水分許容量
水洗性浸透液及び油ベース乳化剤が所定の温度において含有
が許容される水の量(質量分率%又は体積分率%)。
water tolerance
e) 判定,評価
番号
用語
定義
対応英語(参考)
5401
ワイプオフ法
指示模様を溶剤を湿らせた綿棒,筆などで拭き取った後,そ
の部分に再度現像剤を適用して指示模様の再出現の有無を見
る技法。
注記 指示模様がきずに起因するか,疑似指示かの判断に役
立つ情報を得るための技法で,場合によっては現像剤
を使用しないこともある。
wipe-off technique
4.7
渦電流試験
a) 一般
番号
用語
定義
対応英語(参考)
6001
渦電流
時間的に変化する磁束によって導体中に誘導される電流。
eddy currents
6002
渦電流分布
渦電流の方向及び強さの分布。
eddy current distribution
6003
増分透磁率,
変分透磁率,
インクリメンタル
透磁率,
Δμ
作用する直流磁界に小さな交流磁界が重畳したときの,交流
磁界の変化に伴う磁束密度の変化量ΔBを交流磁界の変化量
ΔHで除した値(Δμ)。
incremental permeability
6004
励磁電流
磁界を発生するためにコイルに流す電流。
excitation current
6005
試験周波数,
励磁周波数
プローブに印加する励磁電流の周波数。
excitation frequency
6006
特性周波数
試験体の物性値と寸法とを考慮した周波数fc。貫通プローブ
の場合,次の式によって計算される。
2
2
cf
b
πμσ
=
ここに, μ: 透磁率
σ: 導電率
b: 試験体の半径
characteristic frequency
6007
同期検波
プローブ信号から励磁周波数と同期した成分を取り出す手
法。
synchronous
demodulation
6008
インピーダンス解
析
試験に及ぼす影響因子によって試験コイルのインピーダンス
がどのように変化するかを,インピーダンス平面図を用いて
解析する方法。
impedance analysis
6009
インピーダンス平
面図
試験条件による試験コイルのインピーダンス変化の軌跡を描
画した図。
impedance plain diagram
6010
位相角
複素平面上で信号ベクトルと基準とする参照ベクトルとのな
す角度。
phase angle of a signal,
signal phase
71
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
6011
正規化インピーダ
ンス
正規化抵抗と正規化リアクタンスとを合成したインピーダン
ス。
normalized impedance
6012
正規化抵抗
試験体の存在しない試験コイルの抵抗をR0,リアクタンスを
ωL0,試験コイルの抵抗をRとしたとき,(R−R0)をωL0で
除した値。
normalized resistance
6013
正規化リアクタン
ス
試験コイルのリアクタンスωLを,試験体の存在しないコイ
ルのリアクタンスωL0で除した値。
normalized reactance
6014
正規化インピーダ
ンス平面図
試験条件による試験コイルの正規化インピーダンス変化の軌
跡を描画した図。
normalized
impedanceplain diagram
b) 機器・材料
番号
用語
定義
対応英語(参考)
6101
渦電流試験器
渦電流試験で用いられる装置。発信器,信号増幅器,移相器,
検波器,フィルタ,表示器などから構成される。
eddy current instrument
6102
渦電流試験システ
ム
渦電流試験器,プローブ,附属装置を含み,渦電流試験又は,
渦電流を用いた測定のためのシステム。
eddy current testing
system
6103
渦電流プローブ,
プローブ
導体に渦電流を発生させ,その変化を検出するトランスジュ
ーサ(変換器)。同軸プローブ及び上置プローブがある。
eddy current probe,
probe
6104
自己誘導形プロー
ブ
励磁と検出を兼ねたコイルで構成されたプローブ。
self induction type probe,
combined transmit
receive probe
6105
相互誘導形プロー
ブ
交流磁界を発生する励磁コイルと磁界の検出を行う検出コイ
ルとで構成されたプローブ。
mutual induction type
probe,
separate transmit receive
probe
6106
励磁コイル,
一次コイル
相互誘導形プローブにおいて励磁を行うコイル。すなわち,
磁界を発生して試験体内に渦電流を誘起するために用いられ
るコイルをいう。
primary coil,
excitation coil
6107
検出コイル,
二次コイル
相互誘導形プローブにおいて,励磁を行う励磁コイルに対し
て磁界を検出するコイル。
secondary coil,
receiving coil,
detection coil
6108
絶対値プローブ
絶対値測定用のプローブ。
absolute probe
6109
差動プローブ
差動測定用のプローブ。
differential probe
6110
空心プローブ
磁性体のコアがないコイルを用いたプローブ。
air cored probe
6111
上置プローブ
一般的に,試験体の表面に垂直軸をもち,局所的な影響範囲
を与えるプローブ。
surface probe
6112
同軸プローブ
丸棒,管などの試験体と同軸なコイルを用いたプローブ。
coaxial probe
6113
貫通プローブ
丸棒,管などの試験体の外側に置かれた円筒形の同軸プロー
ブ。
encircling coil
6114
内挿プローブ
管又は孔(穴)を内面側から試験するため,内部に挿入して
用いるプローブ。
internal coaxial probe
6115
回転プローブ
試験体の周囲を回転する形式のプローブ。丸棒,管及び孔の
探傷試験に用いる。
rotating probe
6116
磁気飽和コイル
強磁性体の探傷における磁気ノイズの影響を減らすために使
われる磁気飽和領域の磁界を発生するコイル。
saturation coil
6117
磁化プローブ
強磁性体の試験体の磁気ノイズを軽減するために,磁化コイ
ル又は永久磁石を組み込んだプローブ。
magnetizing probe
6118
アレイプローブ
試験コイルを周期的に配列したプローブ。
array probe
72
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
6119
(探傷用同軸プロ
ーブの)充塡率
同軸プローブを用いた試験における試験体の断面積(内挿の
場合は内面積)とコイルの内面積(内挿の場合は外面積)と
の比。コイルの平均径を用いる。
coil fill factor,
probe fill factor
6120
プローブポジショ
ンマーク
プローブが参照欠陥を走査したとき,信号中心を示す渦電流
プローブにつけるマーク。
probe position mark
6121
バランス補正信号
信号のアンバランスを補正するために入力される電気信号。
compensating signal
6122
複素平面表示器
渦電流信号の同相復調結果を水平軸,直交復調結果を垂直軸
とした表示。
complex plane display
c) 試験方法
番号
用語
定義
対応英語(参考)
6301
絶対値測定
標準比較コイル,又は単一コイルを用いて,試験体における
材料諸因子の変化を測定する方法。
absolute measurement
6302
差動測定
同じ距離で同じ場所を走査させた二つの測定の差を検出する
方法。
differential measurement
6303
標準比較方式
絶対値測定の一種で,同一の二つのプローブを用いて片方を
基準とする標準試験片に,他方を検査する試験体にあてがい,
両者の差を検出する方式。
standard comparison coil
technique
6304
ブリッジバランス
渦電流変化を検出するために用いるブリッジの調整。
bridge balance
6305
リジェクション
ある電圧レベル以下の信号又は表示を電気的に除く処理。
rejection
6306
(プローブ走査方
向の)応答長さ
試験体におけるプローブの走査方向の影響範囲。
注記 定量化のための測定手法は,JIS Z 2316-3参照。
length of coverage
6307
(プローブ走査方
向と直交方向
の)応答幅
試験体における走査経路に対し直交方向のプローブの影響発
生範囲。
注記 定量化のための測定手法は,JIS Z 2316-3参照。
width of coverage
6308
幾何学的効果
プローブと試験体間との相対位置,形状によって生じる渦電
流信号への影響。
geometric effect
6309
ガタ信号
プローブの振動又は試験体の振動によって生じる幾何学的効
果。
wobble
6310
プローブクリアラ
ンス
プローブと試験体表面との間の設定された空間。
probe clearance
6311
リフトオフ効果
プローブと試験体との間の距離の変化によって生じる幾何学
的効果。
lift-off
6312
エッジ効果
渦電流試験において,試験体の端によってプローブに生じる
幾何学的効果。
edge effect
6313
エッジ不感帯
エッジ効果によって探傷が不可能となる試験体の領域。
untested edge dead zone
6314
端末効果
同軸プローブの使用において,試験体の端部によって生じる
幾何学的効果。
end effect
6315
端末不感帯
端末効果によって探傷が不可能となる試験体の領域。
untested ends dead zone
6316
速度効果
試験体とプローブとの相対的な動きによって生じる渦電流分
布の信号への効果。
drag effect,
speed effect
6317
電磁誘導試験
電磁誘導現象による渦電流(誘導電流)の変化を用いた試験
方法。材質試験,膜厚測定などが含まれる。
electromagnetic induction
testing
6318
多重周波数法
プローブに複数の周波数の交流電流を重ね合わせて又は時分
割して印加し,各々の周波数での検波出力を演算してノイズ
成分を除去する方法。
multi-frequency technique
6319
パルス渦電流試験
励磁電流にパルス波,く(矩)形波などを用いる渦電流試験
方法。
pulsed eddy current
testing
73
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
6320
リモートフィール
ド法
励磁コイルが作り出す間接磁場を利用した渦電流試験方法。
一般的に強磁性体の管の内挿試験に用いられる。
remote field technique
d) 判定・評価
番号
用語
定義
対応英語(参考)
6401
複素平面解析
復調された渦電流信号の振幅及び位相情報を利用する解析方
法。
complex plane analysis
4.8
漏れ(リーク)試験
a) 一般
番号
用語
定義
対応英語(参考)
7001
漏れ,
リーク
壁の両側の圧力差又は濃度差によって液体又は気体が通過す
る現象。孔,多孔質などの透過性要素が原因となる。
leak
7002
漏れ量,
リーク量
ある条件下で漏れ箇所を通過する,定められた液体又は気体
の流量。
leak rate
7003
標準空気換算リー
ク量
種々の条件(ガスの種類,温度及び圧力)で測定したリーク
量を“標準空気リーク量”に換算した値。
equivalent standard air
leak rate
7004
標準空気リーク量
標準条件の下で−25 ℃より低い露点をもつ空気がリーク部
を通過する流量。
標準条件とは,入口の圧力は100 kPa±5 kPa,出口の圧力は1
kPa未満,温度は23 ℃±7 ℃である(JIS Z 8754参照)。
standard air leak rate
7005
総リーク量
試験体のリーク量の総和。
total leak rate,
integral leak rate
7006
仮想リーク
系内の気体又は蒸気の放出による見かけのリーク。
virtual leak
7007
許容リーク量
実用上影響しない小さなリーク量で,仕様書に規定されてい
るリーク量。
allowable leak rate
7008
最小可検リーク量
リークディテクタによって,検出できる最小リーク量。
minimum detectable leak
rate
7009
コンダクタンスリ
ーク
流体が通ることができる一つ又は複数個の分離した経路(多
孔質構造も含む。)からなるリーク。
conductance leak
7010
粘性流リーク
通過する気体の質量流量が,粘性係数の逆数に実質的に比例
するリーク。
viscous leak
7011
分子流リーク
通過する気体の質量流量が,分子質量の平方根の逆数に実質
的に比例するリーク。
molecular leak
7012
キャピラリーリー
ク
直径が,リーク経路長に比べて小さい形状のリーク。一つの
経路をもつチャンネルリークと同義である。
capillary leak
7013
メンブレンリーク,
メンブランリーク,
透過リーク
非多孔性の壁をガスが透過することによってガスの流れを作
るリーク。
membrane leak,
permeation leak
7014
透過係数
透過率と障壁の厚さとの積を障壁の面積で除した値。
permeability coefficient
7015
透過率
障壁を通過する気体の流量を壁の両側における圧力の関数で
除した値。
permeability
7016
チャンネルリーク
長いキャピラリーとして概念的に扱われる一つ以上の分離し
た経路をもつリーク。
channel leak
74
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
7017
応答時間
ゼロ若しくは小さな漏れ量の表示から正若しくはより大きな
漏れ量の表示へ変化したとき,又は正の漏れ量の表示からあ
る小さな若しくはゼロの漏れ量表示へ変化したときの時間
で,前者の場合は最大値の90 %,後者の場合は最大値の10 %
になるまでの時間。
注記 時定数で考えるときは,前者の場合は最大値の63 %,
後者の場合は最大値の37 %になるまでの時間が多い。
response time,
7018
クリーンアップ時
間,
クリアリング時間
正のリーク量表示から,ある小さな又はゼロのリーク量表示
へ変化したときの時間。
cleanup time,
clearing time
7019
イオン化ポテンシ
ャル
原子又は分子を電離するのに必要な最小エネルギー。単位は
電子ボルト(eV)。
ionization potential
7020
外部トレーサガス
ドリフト
吹き付け法において,吹き付け箇所以外の漏れ箇所から侵入
したサーチガスによるドリフト。
external tracer gas drift
7021
(圧力変化漏れ試
験の)等価内容
積
圧力変化試験において,試験体又は試験回路の内容積が,加
圧,減圧及び/又は漏れによる圧力変化に伴い,膨張又は収
縮して検出中に変化する場合に,その容積変化を包括して漏
れ量の計算を行うための見かけの内容積。
Equivalent inner capacity
7022
背圧側空間,
バッキングスペー
ス
主ポンプ(拡散ポンプ,ターボ分子ポンプなど)と補助ポン
プ(前段ポンプ)との間の空間。
backing space
7023
排気時間
系を大気圧から所定の圧力まで排気するのに要する時間。
pump-down time,
7024
フォアプレッシャ,
前段圧力,
背圧(はいあつ)
高真空ポンプの吐出側における全圧。
fore pressure,
backing pressure
b) 機器・材料
番号
用語
定義
対応英語(参考)
7101
発泡液
発泡漏れ試験で塗布する発泡性の優れた試験液。
bubble solution
7102
指示材料
サーチ流体と作用して漏れの存在を示す物質。
indicating material
7103
発泡液試験片
発泡液の発泡性能を確認するための試験片。
test piece of bubble
solution
7104
発色現像剤
試験体表面に塗布し,漏れ部の液体を毛管現象で吸い出し,
識別性のよい色調の漏れ指示模様形成させる薬剤。
coloring developer
7105
真空箱
漏れ試験に使用する一端に開口部を要し,内部を減圧できる
容器。発泡漏れ試験では,のぞき窓がある。
vacuum box
7106
マスタ容器
マスタ容器対比法及び差圧法で,試験体と同時に測定し,測
定値を比較するための,試験体と同じ内容積の漏れのない容
器。
master chamber
7107
気密チャンバ
試験体を容器内に入れて試験をするための気密容器。
tight chamber
7108
リークディテクタ,
リーク検出器
漏れの有無,漏れ箇所又は漏れ量を検出する装置。
leak detector
7109
ヘリウムリークデ
ィテクタ
サーチガスとしてヘリウムを使用するリークディテクタ。
helium leak detector
7110
スプレイガン,
スプレイプローブ
サーチガスを試験体に吹き付ける器具。
spray gun,
spray probe
75
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
7111
サーチガス,
トレーサガス
漏れを検出するために用いる特定の気体。
注記1 真空法の場合は,漏れ試験をする試験体の外表面に
吹き付け,漏れ箇所を通して試験体に導入される。
注記2 加圧試験の場合は,漏れ試験をする試験体の中に導
入して,漏れ箇所から外部に放出される。
search gas,
tracer gas
7112
トレーサ流体
漏れ試験に使われる気体又は液体。
tracer fluid
7113
混合ガスプローブ,
プロポーショニン
グスプレイガン
希釈気体(乾燥空気又は窒素)に対するサーチガスの割合を
可変できる器具。
proportioning spray gun,
proportioning probe
7114
サンプリングプロ
ーブ,
スニッファプロー
ブ
試験体の漏れ箇所からサーチガスを吸引してリークディテク
タに供給する器具。
sampling probe,sniffing
probe, sniffer probe
7115
圧力プローブ
試験体にサーチガスを吹き付ける器具。
pressure probe
7116
サクションカップ
試験体に押し当て漏れてきたサーチガスを収集するカップ。
suction cup
7117
順方向リークディ
テクト
試験体が高真空ポンプの高真空側に接続される漏れ測定法。
直接導入法ともいう。
direct flow leak detect
7118
超音波リークディ
テクタ
超音波を利用して漏れを検出するリークディテクタ。
ultrasonic leak detector
7119
ハロゲンリークデ
ィテクタ
ハロゲンガスをサーチガスとして用いるリークディテクタ。
halogen leak detector
7120
放電形リークディ
テクタ
放電の変化で漏れを検出するリークディテクタ。
electron discharge leak
detector
7121
電子捕獲形リーク
ディテクタ
負イオンを形成する傾向のあるサーチガスを検出するリーク
ディテクタ。
electron capture leak
detector
c) 標準試験片・対比試験片
番号
用語
定義
対応英語(参考)
7201
校正リーク
機器の校正に当たって流量を供給するために使用するリー
ク。
calibrated leak,
calibration leak
7202
標準リーク
国家標準又は国際標準と切れ目のない比較の連鎖によって結
び付けられるリーク量を供給するリーク。
standard leak,
d) 試験方法
番号
用語
定義
対応英語(参考)
7301
発泡漏れ試験
気体の漏れを発泡現象で検出する漏れ試験。
bubble test
7302
液圧試験,
水圧試験
試験体に水又は他の液体を一杯に充塡する圧力試験。液体が
水の場合,特に,水圧試験という。
注記 必要があれば,所要時間の間,液体に圧力を加え,漏
れがないか,試験体の外面を目視する検査が行われる。
hydraulic pressure test,
hydrostatic test
7303
加圧浸透漏れ試験
加圧して行う浸透漏れ試験法[“浸透液漏れ試験(7304)”参
照]。
pressure dye test,
7304
浸透液漏れ試験
試験体の片側に浸透性のよい赤色又は蛍光色の浸透液を適用
し,反対側に白い現像剤を適用するなどで漏れ箇所を明瞭な
指示模様で検出する漏れ試験方法[“加圧浸透漏れ試験
(7303)”参照]。
penetrant leak test
7305
気密試験
装置内部の気体の漏れ,真空の場合は外部からの流入の有無,
及びその箇所を調べる試験。気体を対象とした漏れ試験と同
意語である。
airtight test
76
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
7306
液浸法
液体の中に,内部を加圧した試験体を沈めて行う漏れ試験方
法。用いる液体が水の場合,水没試験ともいう[“発泡漏れ試
験(7301)”参照]。
liquid immersion test
7307
(圧力変化漏れ試
験の)流量測定
法
試験体外部又は内部を加圧又は減圧し,安定した後に漏れに
よって移動する気体の流量を測ることで気体の漏れ量を測定
する漏れ試験。
flow measurement test
7308
差圧漏れ試験
同条件で加圧又は減圧したマスタ容器と試験体との一定時間
後の圧力差を差圧計で測定することによって漏れを検出する
漏れ試験。
differential pressure test
7309
マスタ容器対比法
試験体とマスタ容器とを同時に圧力変化試験を行い,測定値
を対比させることで,温度及び/又は気圧の変化影響を軽減
する試験(技法)。
master chamber
comparison test
(technique)
7310
ライズアップ法
圧力変化漏れ試験で排気後に試験体を排気系から隔離し,圧
力上昇速度によって漏れの有無及び漏れ量を調べる方法。
pressure rise up
technique,
7311
ヘリウム漏れ試験
ヘリウムをサーチガスとして用いる漏れ試験。
helium leak test
7312
カウンタフロー法,
逆拡散法
リークディテクタの主ポンプの背圧側に漏れたトレーサガス
を,主ポンプを逆拡散させてセンサ部に導入して行う試験方
法。
counter flow technique,
back diffusion technique,
back diffusion method
7313
スニッファ法
試験体の内部をサーチガスで加圧して行う漏れ試験。漏れ箇
所から漏れるサーチガスをスニッファプローブで吸引して検
出する。
sniffing test,
sniffer method
7314
(ヘリウム漏れ試
験の)スプレー
法
スプレーガンを使う漏れ試験方法。
spray test
7315
蓄積試験
サーチガスを既知の容積に蓄積させて行う漏れ試験。
注記 漏れによる分圧上昇を校正リークと比較するか濃度の
分かっているガスと比較することによって求めること
が可能である。
accumulation test
7316
真空チャンバ法
ヘリウム漏れ試験で試験体の一部又は全部にサーチガスを充
塡し,その試験体を真空チャンバ又は真空容器内に入れて漏
れを検出する試験。
vacuum chamber test
7317
外覆法試験
試験体の一部又は全部を覆って行う漏れ試験。
注記1 対象物が真空下にある場合は覆いにサーチガスを充
塡し,リークディテクタを対象物の内部容積部に接
続する。
注記2 対象物がサーチガスによって加圧される場合は,プ
ローブを覆いの内部に挿入した状態で試験を実施す
る。
hood test
7318
標準リーク対比法
標準リークを用いた疑似漏れの試験結果と対比することで,
試験条件による差異を軽減し,測定精度を向上させる試験(技
法)。
standard leak comparison
test (technique)
7319
ボンビング
密閉した試験対象物を高圧の試験ガス(通常はヘリウム)に
さらす操作。
bombing
7320
ボンビング法漏れ
試験
真空チャンバ内での試験に先立ち,密閉した試験体に対して
“ボンビング”を行う漏れ試験。
pressurizing evacuation
test,
pressure-evacuation test
7321
ハロゲン漏れ試験
ハロゲンガスをサーチガスとして用いる漏れ試験。
halogen leak test
7322
アンモニア漏れ試
験
サーチガスとしてアンモニアガスを用い,指示薬としてアン
モニアと化学的に反応する物質を使用する漏れ試験方法。
ammonia leak test
77
Z 2300:2020
4.9
ひずみゲージ試験
a) 一般
番号
用語
定義
対応英語(参考)
8001
ひずみゲージ,
電気抵抗ひずみゲ
ージ
電気抵抗体にひずみを与えたとき,その抵抗値が変化する現
象を応用して,ひずみを測定するために使用するセンサ。
strain gauge,
electric resistance strain
gauge
8002
静ひずみ
大きさが時間的に変化しない単位長さ当たりの変形量又は変
化しないとみなすことができる単位長さ当たりの変形量。
static strain
8003
動ひずみ
大きさが時間的に変化する単位長さ当たりの変形量。
dynamic strain
8004
ピエゾ抵抗効果
導体又は半導体の比抵抗が応力によって変化する現象。
piezoresistance effect
8005
圧力効果
取り付けたひずみゲージにおいて,圧力が加わった場合にひ
ずみが発生する現象。
effect of pressure on
strain gauge
8006
磁気抵抗効果
取り付けたひずみゲージの電気抵抗が,磁気によって変化す
る現象。
magneto-resistance effect
8007
ピエゾ抵抗係数
ひずみゲージによる測定時の単位応力当たりの比抵抗の変化
率。
piezoresistive coefficient
8008
ゲージ受感部
ひずみゲージの抵抗素子で,ひずみを受けて抵抗変化を生じ
る部分。
sensitive element
8009
ゲージ長,
ゲージ長さ
ゲージ受感部のゲージ軸方向の長さ。ただし,折返し部分の
長さは除き,折返し部分をもたないものでは,ひずみゲージ
の電極間の内側長さである。
gauge length
8010
ゲージ幅
ゲージ受感部のゲージ軸と直交する方向の長さ。
gauge width
8011
ゲージ軸
ゲージ受感部の測定方向の中心軸。
gauge axis
8012
ゲージベース
ゲージ受感部の形状を保ち,ひずみの伝達,電気絶縁などの
役目を果たす薄い膜状又は板状の部分。
gauge matrix,
gauge base,
gauge backing
8013
ゲージ基準線
ゲージ受感部の中心位置,方向などを示すために,ゲージベ
ースに表示された線又は記号。
gauge guide line,
gauge guide mark
8014
ゲージリード
ゲージ受感部又はゲージタブから引き出された細い導線。
gauge lead
8015
ゲージタブ
はく(箔)ひずみゲージにおいて,ゲージリード又は導線を
取り付けるためにはく(箔)が広くなった部分。
gauge tab
8016
折返しタブ
はく(箔)ひずみゲージにおいて,ひずみ受感部の折返し部
分。
turning tab,
end tab
8017
リード線
ゲージリードとひずみ測定器又はブリッジボックスとを電気
的に接続する電線。
lead wire
8018
ゲージ端子
ゲージリードとリード線とを接続するための端子。
gauge terminal
8019
ゲージ形式
ひずみゲージの形状,特性などの識別記号。
gauge type
8020
単軸ゲージ
1方向のひずみを測定するためのひずみゲージ。
uni-axial strain gauge
8021
2軸直交ゲージ
二つの受感部が直交する方向に配置されたひずみゲージ。
two-element rosette,
two-element stacked
rosette
8022
多軸ゲージ
二つ以上の方向のひずみを測定するために,二つ以上の受感
部が配置されたひずみゲージ。
multi-axial strain gauge
8023
ロゼットゲージ
三つの受感部が特定の3方向に配置されたひずみゲージ。
rosette strain gauge
8024
大ひずみゲージ,
塑性域ゲージ,
塑性ゲージ
通常のひずみゲージに比べて大きなひずみに追従できるひず
みゲージ。
large-elongation strain
gauge,
post yield strain gauge
8025
シールドゲージ
電界による影響を低減したひずみゲージ。
shielded gauge
78
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
8026
自己温度補償ゲー
ジ
規定された温度範囲で温度変化による見かけのひずみを低減
したひずみゲージ。
self-temperature
compensated strain
gauge
8027
抗磁性ゲージ
磁気抵抗効果による影響を低減したひずみゲージ。
non-magnetoresistive
strain gauge
8028
無誘導ゲージ
誘導電圧の影響を低減したひずみゲージ。
non-inductive strain gauge
8029
はく(箔)ひずみ
ゲージ
ゲージ受感部に,はく(箔)状の金属抵抗体を用いたひずみ
ゲージ。
foil strain gauge
8030
半導体ひずみゲー
ジ,
半導体ゲージ
ゲージ受感部に半導体を用いたひずみゲージ。
semiconductor strain
gauge,
semiconductor gauge
8031
応力ゲージ
任意方向の応力を直接測定できる形状のひずみゲージ。
stress gauge
8032
応力集中測定用ゲ
ージ
ひずみ分布が急激に変化する部分のひずみを測定するため
に,複数の受感部を近接配置した多連ひずみゲージ。
multiple-strain gauge for
stress concentration
8033
温度測定用ゲージ
ひずみゲージと同様な構造で,温度による抵抗変化を利用し
て温度を測定するゲージ。
temperature sensor gauge
8034
クラックゲージ
クラックの進展距離及びその速度を測定するゲージ。
crack gauge
8035
摩擦形ゲージ
摩擦によってひずみを受感部に伝達させるゲージ。
frictional strain gauge
8036
ダイヤフラムゲー
ジ
圧力変換器などのダイヤフラムに生じるひずみを検出できる
ひずみゲージ。
diaphragm gauge
8037
ダブルデッキゲー
ジ,
曲げひずみゲージ
試験体の片面に接着し,軸ひずみと曲げひずみとを分離して
検出するひずみゲージ。
double deck strain gauge,
flexa gauge
8038
埋込みゲージ
モルタル,コンクリートなどに埋め込んで,内部のひずみを
測定するひずみゲージ。
mould gauge,
embeddable strain gauge
b) 機器・材料
番号
用語
定義
対応英語(参考)
8101
ひずみ測定器
電気抵抗ひずみゲージを用いて,ひずみを測定するための機
器。
strain measuring
instrument
8102
静ひずみ測定器
ブリッジ回路からの微小電圧信号を増幅して,指示器にひず
み値を表示する機器。
static strain measuring
instrument
8103
動ひずみ測定器
ブリッジ回路からの時間的に変化する微小電圧信号を増幅し
て,ひずみ値を出力する機器。
dynamic strain measuring
instrument
8104
交流式動ひずみ測
定器
ブリッジ電源に交流を用い,ノイズに強く感度が高い特徴を
もつ動ひずみ測定器。
AC type dynamic strain
measuring instrument
8105
直流式動ひずみ測
定器
ブリッジ電源に直流を用い,応答周波数が高く直線性に優れ
た特徴をもつ動ひずみ測定器。
DC type dynamic strain
measuring instrument
8106
ブリッジボックス
ブリッジ回路を構成するための機器。
bridge box
8107
スイッチボックス
1台のひずみ測定器で多数点のひずみ測定を行うため,ひず
みゲージの切換えを行う機器。
switching box
8108
ひずみ測定器用コ
ネクタ
電気抵抗ひずみゲージ用測定器及びその周辺機器に,入出力
ケーブルを接続するためのコネクタ。
connector for strain
measuring instrument
8109
ひずみゲージ試験
の適用限界
ひずみゲージ,接着剤,コーティング剤,リード線などのひ
ずみゲージを構成する全ての要素の適用範囲が満たされる条
件。
limit of application
79
Z 2300:2020
c) 試験方法
番号
用語
定義
対応英語(参考)
8301
R(抵抗)バランス ブリッジ回路を構成する4辺の抵抗分のばらつきによって生
じる出力をゼロにした状態。
resistance equilibrium,
resistance balance
8302
C(容量)バランス ブリッジ回路内に浮遊する電気容量によって生じる出力をゼ
ロにした状態。
capacitance equilibrium,
capacitance balance
8303
初期不平衡
無負荷状態又は基準状態におけるブリッジ回路の出力。
initial bridge unbalance
8304
平衡調整方式
ブリッジ回路の抵抗偏差及び容量偏差を補正する方式。
balancing method
8305
平衡調整範囲
ブリッジ回路の抵抗偏差及び容量偏差を補正できる範囲。
balancing range
8306
搬送波周波数
交流式ブリッジ電源を励振させる電圧の周波数。
carrier wave frequency
8307
指示ひずみ
ひずみ測定器に表示されるひずみ。
indicated strain
8308
ひずみ入力
ひずみで示したひずみ測定器への入力。
strain input
8309
校正ひずみ
ひずみ測定器を校正するために加えるひずみ信号。
注記 ひずみ入力として示される。
reference strain,
equivalent strain for
calibration
8310
アクティブゲージ
ひずみを測定する部分に取り付けたひずみゲージ。
active gauge
8311
ダミーゲージ
ブリッジ回路を構成する抵抗としてだけ用いるひずみゲー
ジ。温度補償の目的のものも含まれる。
dummy gauge
8312
アクティブ・ダミ
ーゲージ法
ブリッジ回路の1辺がアクティブゲージ,その隣辺がダミー
ゲージで構成される測定法。
active-dummy gauge
technique
8313
1ゲージ法
ブリッジ回路の1辺がひずみゲージで構成される測定法。
注記 このほかに,不要なひずみ成分を除去するために2辺
がひずみゲージで構成される2ゲージ法,及び必要な
ひずみ成分を大きく出力するために4辺がひずみゲー
ジで構成される4ゲージ法がある。
quarter bridge technique,
one arm technique
8314
2アクティブゲー
ジ法
ブリッジ回路の相隣る2辺がアクティブゲージで構成される
測定法。
注記 このほかに,相対する2辺がアクティブゲージで構成
される対辺2アクティブゲージ法,及び4辺がアクテ
ィブゲージで構成される4アクティブゲージ法がある。
two active gauge
technique,
half bridge technique
8315
3線式結線法
温度によるリード線の抵抗変化の影響を避けるため,リード
線を3本用いる測定法。
three wire system,
three lead system
8316
リモートセンシン
グ
ブリッジ回路の入力側に1対のケーブルを追加して印加電圧
を監視することによって,ケーブル抵抗による電圧降下を補
正する方法。
remote-sensing method
8317
ゲージの直線性
ひずみゲージに与えられたひずみと抵抗変化とが正比例する
性質。
linearity of strain gauge
8318
ひずみ限界
ひずみゲージが測定できるひずみの最大値。
strain limit
8319
ゲージゼロドリフ
ト
取り付けたひずみゲージにおいて,温度が一定かつひずみが
加えられない状態で指示ひずみが時間とともに変動する現
象。
gauge zero drift
8320
ゲージクリープ
環境が一定の状態で,ひずみゲージにある一定の大きさのひ
ずみを加えたとき,指示ひずみが時間とともに変化する現象。
gauge creep
8321
ゲージヒステリシ
ス
ひずみゲージにひずみを加えたとき,ひずみの増加過程と減
少過程とにおいて,ひずみ及び温度が同一であるにもかかわ
らず指示ひずみが一致しない現象。
gauge hysteresis
8322
見かけひずみ,
熱出力
試験体が自由膨張できる状態で,ひずみゲージと試験体との
温度を一様に変化させたときに生じる指示ひずみ。
apparent strain caused by
temperature change
8323
適合線膨張係数
自己温度補償ゲージに適合する試験体の線膨張係数。
applicable linear
expansion coefficient
80
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
8324
負荷抵抗
仕様を満足してひずみ測定器に負荷し得る抵抗。
load resistance
8325
温度補償
温度変化による試験体の形状変化,ケーブルの抵抗変化など
によって生じる見かけひずみの補正。
temperature compensation
8326
応答周波数範囲
変動するひずみ入力に対し,出力が仕様を満足する範囲で応
答できるひずみ測定器の周波数範囲。
frequency range
d) 判定,評価
番号
用語
定義
対応英語(参考)
8401
ゲージ抵抗
ひずみゲージの電気抵抗値。
gauge resistance
8402
ゲージ率
接着されたひずみゲージのゲージ軸方向に加えられた1軸応
力によって生じる抵抗変化率ΔR/Rと,ゲージ軸方向のひずみ
εとの比[(ΔR/R)/ε]。
gauge factor
8403
縦感度
ひずみゲージのゲージ軸方向に加えた1軸ひずみεlによって
生じた抵抗変化率ΔRl/Rとεlとの比[(ΔR1/R)/εl]。
longitudinal sensitivity
8404
横感度
ひずみゲージのゲージ軸と直角な方向に加えた1軸ひずみεt
によって生じた抵抗変化率ΔRt/Rとεtとの比[(ΔRt/R)/εt]。
transverse sensitivity
8405
横感度比
ひずみゲージの横感度Ktと縦感度Klとの比(Kt/Kl)。
transverse sensitivity ratio
8406
等価ひずみ
ブリッジ回路を構成するひずみゲージにひずみが加わって生
じる出力電圧を,同じ出力電圧を与える1辺のひずみゲージ
のひずみに換算した値。
注記 変換式は,次のとおりである。
4e
KE
ε=
ここに,ε:等価ひずみ
K: ゲージ率
e: ブリッジ回路の出力電圧
E: ブリッジ回路の入力電圧
equivalent strain
8407
ロゼット解析
ロゼットゲージを用いた主ひずみ及び主方向の解析。
rosette analysis
4.10 外観試験
a) 一般
番号
用語
定義
対応英語(参考)
9001
近方視力,
近距離視力
近くの対象を見分ける能力。検査距離は,使用される指標ご
とに定められているが,一般に30 cm〜40 cmである。
near vision acuity
9002
遠方視力,
遠距離視力
遠くの対象を見分ける能力。検査距離は,使用される指標ご
とに定められているが,一般に5 m〜6 mである。
distance vision acuity,
far vision acuity
9003
動体視力,
DVA
観察者が静止した状態で,移動する目標物を連続して追い続
ける眼の能力。
dynamic vision acuity,
DVA
9004
動態視力,
KVA
観察者が動いている状態で移動する一つの目標物を連続して
追い続ける眼の能力。
kinetic vision acuity,
KVA
9005
色覚
色を識別する能力。
color vision
9006
ジャガーチャート
番号
米国非破壊試験協会(American Society for Nondestructive
Testing,ASNT)のSNT-TC-1Aに規定する近方視力確認用ジ
ャガーチャートの指標番号。
Jaeger eye chart number
9007
色温度
色覚に関する光源の格付け。
定量的に表すために,黒体から放射される光の色と対応させ,
ある色の光を発するときの黒体の温度を熱力学温度であるケ
ルビン(K)で表す。
color temperature
9008
グレア
明瞭な視覚,重要な観察及び/又は適正な判断を妨げる過度
な明るさ。
glare
81
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
9009
視野
頭部及び眼を固定したときに視覚できる空間位置。
注記 レンズの場合は,画面に映り得る最大限の対角線範囲
の基準点からの角度範囲をいう。
field of view
9010
視野角
光源及び光の強度が最大値の10 %となる光線の相対する両端
間とのなす角度。
field angle
9011
視認性
眼によって把握される内容の質及び/又は状態。
注記 視認性は,標準試験体を用いて標準化された観察条件
の下で観察したときのコントラスト又は大きさで決定
される。
visibility
9012
被写界深度
特定の距離で最適に焦点を合わせたときの結像系が要求を満
たす解像度を与える距離の範囲。
depth of field
9013
観察条件,
目視試験条件
表面状態の目視試験を実施するために備える環境。
viewing condition
b) 機器・材料
番号
用語
定義
対応英語(参考)
9101
目視補助具
各種の材科,加工品,製品,設備及び装置の目視試験を実施
する場合に使用する補助具。
注記 一般的な測長器具及び観察用の照明器具のほかに,限
界ゲージ,溶接ゲージなどの特殊測定器具も含まれる。
visual assistant tool,
mechanical aids
9102
光学的補助具
各種の材料,加工品,製品,設備及び装置の目視試験を実施
する場合に,拡大又は遠隔観察するために使用する補助具。
注記 鏡,拡大鏡,双眼鏡,ボアスコープ,TVカメラ,写真
機などが含まれる。
optical assistant tool,
optical aids
9103
ボアスコープ
遠隔の直接目視の補助具として用いられる柔軟性のある又は
硬質のチューブ状の器具。
注記 ボアスコープは,複数の鏡,プリズム,レンズ,光フ
ァイバーなどの組合せで構成されるか,又は対物側先
端に取り付けられた小型CCDカメラとそれに電気ケー
ブルで結合された表示器又は記録媒体とで構成され
る。光ファイバーを使用したボアスコープは,ファイ
バスコープと呼ばれる。
borescope
9104
溶接ゲージ
溶接部の余盛高さ,目違いなどの寸法を計測するために用い
るゲージ。
measuring gauge of welds
c) 標準試験片・対比試験片
番号
用語
定義
対応英語(参考)
9201
カラーチャート,
色標(しきひょう)
色を表示するための色見本を配したチャート。
color chart
9202
グレースケール,
無彩色スケール
白色と黒色及びその間の何段階かの明度の異なる色とを配し
たチャート。
gray scale
82
Z 2300:2020
d) 試験方法
番号
用語
定義
対応英語(参考)
9301
(溶接の)外観試
験
目視及び寸法測定によって外観の良否を調べるための試験
(JIS Z 3001-1参照)。
appearance test,
visual testing
9302
直接目視
直接又は光学的補助具(ただし,TVカメラ,写真機などの画
像機器を除く。)を用いて観察する方法。
direct viewing
9303
間接目視
CCD,TVカメラ,写真機などの画像機器を用いて間接的に観
察する方法。
indirect viewing
9304
遠隔目視
観察者から直接目視では観察できない試験対象を,ボアスコ
ープのように二つ以上のレンズ系を介して形成される光の像
又はCCDカメラのように電気信号を介して変換される光の
像で観察する方法。
remote viewing
9305
型取法
型取ゲージ又は型取材(印象材)を使って表面状態を測定す
る方法。
impression technique
9306
写真測量法
写真画像から対象部の幾何学的特性を二次元的(平面的)又
は三次元的(立体的)に取得する方法。
photogrammetry
4.11 赤外線サーモグラフィ試験
a) 一般
番号
用語
定義
対応英語(参考)
10001
赤外線放射エネル
ギー
赤外線,すなわち,波長が可視光の波長より長く,1 mmより
も短い電磁波として放射・伝搬するエネルギー。単位は,ジ
ュール(J)。
infrared radiant energy
10002
吸収率,
α
物体で吸収され熱に変わる赤外線放射エネルギーと,物体に
入射したエネルギーとの比。
absorptivity,
10003
透過率,
τ
物体で吸収されずに通過していく赤外線放射エネルギーと,
物体に入射したエネルギーとの比。
transmissivity,
10004
反射率,
ρ
物体から反射された赤外線放射エネルギーと,物体に入射す
る全エネルギーとの比。
reflectivity,
10005
放射率,
ε
物体の赤外線放射エネルギーと,その物体と同一温度である
黒体の放射エネルギーとの比。
Emissivity
10006
黒体
入射する赤外線放射エネルギーを,波長,入射方向及び偏光
状態に関係なく全て吸収し,放射する物体で,放射率が1と
なる理想的な熱放射体。
black body
10007
灰色体
放射率が波長によらず,1より小さい一定値をもつ物体。
gray body
10008
見かけの温度
放射率を1と仮定した場合に,測定した赤外線放射エネルギ
ーから求められる物体の温度。単位は,ケルビン(K)。
apparent temperature
10009
大気の窓
赤外線の波長帯域において大気による吸収の少ない帯域。
atmospheric window
10010
背景放射
赤外線検出器が測定対象面以外の面から検出する赤外線放
射。
background radiation
10011
熱弾性効果
物体の断熱的な弾性変形に伴って温度変動が生じる現象。温
度変動は,主応力和の変動に比例し,一般的に引張りによる
温度降下と圧縮による温度上昇とが見られる。温度変動ΔT
と主応力和Δσとの関係は,次の式で示される。
ΔT=−k×T×Δσ
ここに, ΔT: 温度変動(K)
k: 熱弾性係数(Pa-1)
T: 物体温度(K)
Δσ: 主応力和の変動(Pa)
thermoelastic effect
83
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
10012
熱弾性係数
熱弾性効果における温度変動と,物体温度と主応力和の変動
との積との比例係数。熱弾性係数kは,物質定数で,次の式
で示される。
a
k
Cp
ρ
=
×
ここに, k: 熱弾性係数(Pa-1)
a: 線膨張係数(K-1)
ρ: 密度(kg/m3)
Cp: 定圧比熱[J/(kg・K)]
thermoelastic coefficient
10013
精度定格
定められた使用環境条件で許容される計測値の最大誤差。
accuracy rating
10014
温度ドリフト
周囲温度の変化によって生じる赤外線放射計の出力変動。
temperature drift
10015
面積効果
測定対象物の面積に依存して,赤外線放射計の出力が変化す
ること。
area effect
10016
画像加算平均
S/N(信号レベル/ノイズレベル)改善のため,画像を重ね合
わせて,それを総数で除すること。
frame averaging
10017
赤外線画像
赤外線放射エネルギーの強度分布をコントラスト又はカラー
パターンに当てはめた画像。
infrared image
10018
熱画像
赤外線放射エネルギーを見かけの温度分布としてコントラス
ト又はカラーパターンに当てはめた温度画像。
thermogram,
thermal image
10019
(赤外線サーモグ
ラフィの)空間
分解能
二次元センサを使用した赤外線放射計において映像化できる
最小視野角であり,二次元に配列された検出素子のピッチ間
隔を結像レンズの焦点距離で除した値。
spatial resolution
10020
有効画素数
二次元センサ(赤外線アレイセンサ)の総素子のうち,装置
設計上,実際に測定に使用する素子によって撮像される画素
数。
注記 有効画素数は,その装置によって撮像される画像の解
像度を表す指標となる。
effective number of pixels
10021
瞬時視野角,
IFOV
走査装置において個々の検出素子が映像化できる視野角。
instantaneous field of view,
IFOV
10022
表示画素数
モニター上で表示される熱画像又は赤外線画像を構成する最
小単位(画素)の数。
number of pixels
10023
フレームタイム
熱画像又は赤外線画像を連続して計測するときの画像計測周
期。
frame time
10024
温度分解能
識別可能な見かけの最小温度差。
temperature resolution
10025
最小検知温度差,
MDTD
ある大きさの測定対象物を検出するのに必要な対象物と背景
との最小温度差。
minimum detectable
temperature difference,
MDTD
10026
最小検知寸法,
MDD
測定可能な,最も小さな測定対象物の寸法又は長さ。
minimum detectable
dimension,
MDD
10027
最小分解温度差,
MRTD
標準スリットパターンを識別するのに必要な標準試験片と背
景との最小温度差。
minimum resolvable
temperature difference,
MRTD
10028
雑音等価温度差,
NETD
検出信号が雑音のレベルに等しくなるときの測定対象物と背
景との最小温度差。
noise equivalent
temperature difference,
NETD
10029
測定周波数帯域
熱弾性応力測定が可能な負荷周波数の帯域。
load frequency range
10030
応力分解能
熱弾性応力測定法において,測定可能な主応力和変動の最小
値。
stress resolution
84
Z 2300:2020
番号
用語
定義
対応英語(参考)
10031
(赤外線サーモグ
ラフィの)エッ
ジ効果
熱弾性応力測定法において変動荷重を負荷するときに,測定
対象物の変位又は変形のために,エッジ部で測定誤差が生じ
ること。
edge effect
10032
位置補正
測定対象物の変位・変形のために生じる位置の測定誤差を補
正すること。
motion compensation
10033
ロックイン方式
温度変動の時系列データから,参照信号と同一周波数の温度
変動だけを抽出することによって主応力和の変動幅の分布画
像を作成する信号処理方式。
注記 変動幅とは,いわゆる全振幅を意味する。
lock-in technique
10034
温度差画像方式
周期変動する温度が最大及び最小となるときの温度分布画像
を測定し,それらから温度変動幅の画像を作ることによって
主応力和の変動幅の分布画像を作成する信号処理方式。
注記 変動幅とは,いわゆる全振幅を意味する。
temperature difference
imaging technique
10035
位相合わせ
測定対象物への熱又は荷重負荷に同期した信号と,実際に発
生している温度変動の位相とを調整すること。
phase adjustment
b) 機器・材料
番号
用語
定義
対応英語(参考)
10101
赤外線放射計
赤外線放射エネルギーを測定する機器。
注記 赤外線カメラも含まれる。
infrared radiometer
10102
赤外線カメラ
赤外線放射エネルギーを検出し,その強度分布を画像表示す
る装置。
注記 熱赤外線カメラともいう。
infrared camera,
thermal infrared camera
10103
赤外線サーモグラ
フィ
赤外線放射エネルギーを検出し,見かけの温度に変換し,そ
の分布を画像表示する方法。
注記 装置を示すこともある。
infrared thermography
10104
赤外線サーモグラ
フィ装置
赤外線カメラのうち,赤外線放射エネルギーを見かけの温度
に変換し,その分布を画像表示する装置。
infrared thermographic
instrument
10105
赤外線検出器
赤外線放射エネルギーを検出し,電気信号に変換するセンサ。 infrared detector
10106
多素子形センサ
赤外線検出素子を一次元又は二次元に複数個配列したセン
サ。
multi-elements sensor
10107
単素子形センサ
1個の赤外線検出素子から成るセンサ。
single element sensor
10108
非冷却形センサ
冷却器を用いなくても動作するセンサ。
uncooled sensor
10109
冷却形センサ
赤外線放射エネルギーの検出感度を上げるために,熱雑音の
影響を軽減するための冷却を必要とするセンサ。
cooled sensor
10110
熱弾性応力測定装
置
熱弾性効果に基づき測定対象物の応力分布を測定するための
装置。
thermoelastic stress
measurement apparatus
c) 標準試験片・対比試験片
番号
用語
定義
対応英語(参考)
10201
標準スリットパタ
ーン
最小分解温度差(MRTD)を評価するために用いる標準試験
片に存在する貫通スリットのパターン。
standard slit pattern
d) 試験方法
番号
用語
定義
対応英語(参考)
10301
熱弾性応力測定法,
熱弾性法
熱弾性効果による測定対象物の表面温度変化の分布を赤外線
サーモグラフィ装置で測定し,表面主応力和変動の分布へ換
算・表示する方法。
thermoelastic stress
measuring method
85
Z 2300:2020
参考文献 JIS A 0203 コンクリート用語
JIS B 0190 圧力容器の構造に関する共通用語
JIS G 0201 鉄鋼用語(熱処理)
JIS G 0202 鉄鋼用語(試験)
JIS G 0553 鋼のマクロ組織試験方法
JIS G 0560 鋼のサルファプリント試験方法
JIS G 0582 鋼管の自動超音波探傷検査方法
JIS G 0584 アーク溶接鋼管の超音波探傷検査方法
86
Z 2300:2020
JIS K 7627 工業用X線写真フィルム−第1部:工業用X線写真フィルムシステムの分類
JIS Z 2305 非破壊試験技術者の資格及び認証
JIS Z 2306 放射線透過試験用透過度計
JIS Z 2307 放射線透過試験用複線形像質計による像の不鮮鋭度の決定
JIS Z 2316-3 非破壊試験−渦電流試験−第3部:プローブの特性及び検証
JIS Z 2344 金属材料のパルス反射法による超音波探傷試験方法通則
JIS Z 2345-1 超音波探傷試験用標準試験片−第1部:A1形標準試験片
JIS Z 2345-2 超音波探傷試験用標準試験片−第2部:A7963形標準試験片
JIS Z 2345-3 超音波探傷試験用標準試験片−第3部:垂直探傷試験用標準試験片
JIS Z 2345-4 超音波探傷試験用標準試験片−第4部:斜角探傷試験用標準試験片
JIS Z 2351 超音波探傷器の電気的性能測定方法
JIS Z 2352 超音波探傷装置の性能測定方法
JIS Z 2355-1 非破壊試験−超音波厚さ測定−第1部:測定方法
JIS Z 2355-2 非破壊試験−超音波厚さ測定−第2部:厚さ計の性能測定方法
JIS Z 3001-1 溶接用語−第1部:一般
JIS Z 3001-2 溶接用語−第2部:溶接方法
JIS Z 3001-4 溶接用語−第4部:溶接不完全部
JIS Z 3001-6 溶接用語−第6部:抵抗溶接
JIS Z 3001-7 溶接用語−第7部:アーク溶接
JIS Z 3060 鋼溶接部の超音波探傷試験方法
JIS Z 3104 鋼溶接継手の放射線透過試験方法
JIS Z 3105 アルミニウム溶接継手の放射線透過試験方法
JIS Z 3106 ステンレス鋼溶接継手の放射線透過試験方法
JIS Z 3110 溶接継手の放射線透過試験方法−デジタル検出器によるX線及びγ線撮影技術
JIS Z 4001 原子力用語
JIS Z 4345 X・γ線及びβ線用受動形個人線量計測装置並びに環境線量計測装置
JIS Z 4560 工業用γ線装置
JIS Z 4615 工業用X線装置の実効焦点寸法測定方法
JIS Z 4917 X線変調度伝達関数測定用テストチャート
JIS Z 8106 音響用語
JIS Z 8120 光学用語
JIS Z 8754 真空技術−質量分析計形リークディテクター校正方法
JIS Z 9211 エネルギー管理用語(その1)
JIS Z 9212 エネルギー管理用語(その2)
ISO 4968,Steel−Macrographic examination by sulfur print (Baumann method)
ISO 9712,Non-destructive testing−Qualification and certification of NDT personnel
ISO 12052,Health informatics−Digital imaging and communication in medicine (DICOM) including
workflow and data management
ASTM E2339,Standard Practice for Digital Imaging and Communication in Nondestructive Evaluation
(DICONDE)