Z 2293:2004
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日
本工業規格である。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会
は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新
案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。
Z 2293:2004
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 引用規格 ························································································································ 1
3. 試験装置 ························································································································ 1
4. 塩 ································································································································· 2
4.1 塩の種類 ······················································································································ 2
5. 試験片 ··························································································································· 2
6. 試験 ······························································································································ 2
6.1 試験片の設置方法 ·········································································································· 2
6.2 加熱 ···························································································································· 3
6.3 試験時間 ······················································································································ 3
6.4 冷却 ···························································································································· 3
7. 腐食量の定量的評価 ········································································································· 3
8. 記録及び報告 ·················································································································· 3
8.1 記載事項 ······················································································································ 3
8.2 付記事項 ··················································································································· 4
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日本工業規格 JIS
Z 2293:2004
金属材料の塩浸せき及び塩埋没高温腐食試験方法
Methods for high-temperature corrosion test of metallic materials by dipping
and embedding in molten salts
1. 適用範囲 この規格は,高温溶融塩による金属材料の腐食を定量的に評価するための試験方法につい
て規定する。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の一部を構成する。こ
れらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS Z 2290 金属材料の高温腐食試験方法通則
JIS Z 2291 金属材料の高温ガス腐食試験方法
3. 試験装置 試験装置は,通常,試験片を一様,かつ,一定に加熱するための温度調節装置,加熱装置
及び試験片を外気から隔離する試験部から構成し,また,試験の目的によって所定の雰囲気ガスを連続し
て試験部に供給するための雰囲気ガス供給装置を付加する。
試験装置の基本構成の例を図1に示す。
図 1 試験装置の基本構成の例
a) 温度調節装置 温度調節装置は,温度制御器及び温度計で構成する。
1) 温度制御器 温度制御器は,JIS Z 2290の5.1(温度制御器)に規定するものとする。
2) 温度計 温度計は,JIS Z 2290の5.2(温度計)に規定するものとする。
b) 加熱装置 加熱装置は,温度調節装置を備えた加熱炉を用い,試験中は常に,試験部の全範囲にわた
雰囲気ガス供給装置
試験管
るつぼ
試験片
塩
熱電対
加熱装置
出力
制御計
計測器
排
ガ
ス
処
理
混
合
器
ガ
ス
ボ
ン
ベ
流
量
計
温度調節装置
試験部
雰囲気ガス供給装置
試験管
るつぼ
試験片
塩
熱電対
加熱装置
出力
制御計
計測器
排
ガ
ス
処
理
混
合
器
ガ
ス
ボ
ン
ベ
流
量
計
温度調節装置
試験部
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って一様,かつ,一定に試験片を加熱することができるものとする。
c) 試験部 試験部は,次による。
1) 試験片単位表面積当たり一定量の雰囲気ガスを連続して流せるように,外気から遮へいされた構造
とする。
2) 使用する塩に対して耐高温腐食性の優れた材料で構成する。
3) 熱電対の測温接点を試験部の中央に配置し,試験部温度の確認ができるようにする。
d) 雰囲気ガス供給装置 JIS Z 2291の4.2.4(雰囲気ガス供給装置)に規定する雰囲気ガス供給装置を使
用する。
試験条件によっては試験片の腐食減量に対してガス流量の多少が影響する場合もあることから,ガ
ス流量は,事前検討によって,設置する試験片数(るつぼの数)が異なっても同材質の試験片の腐食
量が変化しない流量を,あらかじめ決めておく。
e) るつぼ るつぼの材質は,塩と反応しない材質のものを予備実験などによって選定して用いる。
4. 塩
4.1
塩の種類 試験に使用する塩は,試験対象となる腐食環境に応じて選定する。塩は,目的に応じて,
実際プラントから採取した灰をそのまま使用するか,試薬を調合して調製するが,いずれの場合も十分混
合して均一にしたものを使用する。塩の調製に用いる試薬は,通常,特級を用いる。塩の融点は,あらか
じめ測定しておくことが望ましい。
5. 試験片 試験片は,JIS Z 2290の6.(試験片)による。ただし,JIS Z 2290の6.a)に規定する形状及
び寸法の試験片を採取することができない場合は,全体の表面積が200 mm2以上の試験片を用いることが
望ましい。
6. 試験
6.1
試験片の設置方法 試験片の設置は,次のいずれかによる。
a) 塩浸せき試験の場合 試験片の設置方法の例を,図2に示す。溶融塩の量は試験片の表面積100 mm2
当たり20 ml以上とし,溶融塩表面から試験片表面までの深さが一定(5 mm)となるように,るつぼ
内に設置する。
図 2 溶融塩中への試験片の設置方法の例(塩浸せき試験の場合)
b) 塩埋没試験の場合 試験片の設置方法の例を,図3に示す。埋設された試験片上の塩が所定の厚さに
なるよう,必要な下部塩量を求めた後,下部塩をるつぼに入れ,ジグで均等圧(40kPa程度)をかけ
5 mm
溶融塩
試験片
試験片支持台
るつぼ
5 mm
溶融塩
試験片
試験片支持台
るつぼ
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平らにする。試験片を下部塩上にセットした後,残りの塩を試験片上に載せ,ジグで均等圧(40 kPa
程度)をかけ,るつぼ上端に沿って塩表面を平らにする。試験片までの深さを測り,塩表面から試験
片表面までの深さを一定(3 mm)とする。また,試験条件によっては塩が完全溶融し,試験片の沈下
が生じるので,不活性な粉末(例えば,アルミナ粉末など)で希釈した塩を使用するのがよい場合も
ある。
図 3 合成塩中への試験片の設置方法の例(塩埋没試験の場合)
6.2
加熱 試験部に試験片をセットし,試験部温度が423 Kになるまで不活性ガス雰囲気中で加熱した
後,雰囲気ガスに置換し,423 Kで1時間加熱して脱水する。その後,所定の試験温度まですみやかに昇
温し,試験片の温度がJIS Z 2290の5.3(試験片温度の許容範囲)に規定する許容範囲の上限を超えない
ようにしながら所定の時間加熱する。
6.3
試験時間 試験時間は,試験部温度がJIS Z 2290の5.3(試験片温度の許容範囲)に規定する許容範
囲の下限を超えた時点から積算し,通常20時間以上とする。
6.4
冷却 試験条件によっては冷却中に塩酸や硫酸が結露して試験片を腐食させることがあるため,試
験終了後,試験部内を不活性ガスで置換し,結露を防止しながら冷却する。
7. 腐食量の定量的評価 腐食試験後の試験片について,JIS Z 2290の7.(腐食の定量的評価方法)によ
る腐食減量の算出,断面組織の観察及びJIS Z 2290の3.b)5)(侵食深さ)による侵食深さの測定を行って
腐食量を定量的に評価する。
8. 記録及び報告
8.1
記載事項 試験結果報告書には,次の項目を記載する。
a) 試験材料
1) 材料の名称
2) 種類又は記号
3) 化学組成
b) 試験片
1) 数
2) 寸法,質量及び表面積
3) 表面仕上げ状態
3 mm
試験片
るつぼ
塩
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4) 脱脂方法
c) 試験条件
1) 試験温度,試験中の最高温度及び最低温度
2) 試験時間
3) 塩の種類及び化学組成,薬品の等級及び混合割合,塩の融点及び使用量
4) 雰囲気ガスの組成又は純度
5) 雰囲気ガスの試験片表面積当たり及び時間当たりの流量
6) 脱スケール方法
d) 試験結果
1) 腐食減量
2) 腐食部断面組織及び腐食形態の特徴
3) 侵食深さ
4) 変質層などの特異部の有無及び寸法
8.2
付記事項 試験結果報告には,次の項目についての記録を付記することが望ましい。
a) 試験材料
1) 製造加工条件
2) 熱処理条件及び組織の特徴
b) 素材からの試験片採取条件
c) 試験装置の概要
d) 試験条件
1) 昇温条件
2) 冷却(降温)条件
3) 雰囲気ガスの供給方法
e) 試験結果
1) 試験後の試験片外観写真
2) 試験後の試験片中央表層を含む断面写真
3) 試験後の試験片特異部の断面写真