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Z 2286:2003 

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日

本工業規格である。 

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解 -1 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格           JIS 

Z 2286:2003 

金属材料の高温回転曲げ疲労試験方法 

Method for high temperature rotating bending fatigue testing 

 of metallic materials 

1. 適用範囲 この規格は,高サイクル疲労領域を対象として,1,000℃以下の高温大気中で行う標準試験

片による金属材料の回転曲げ疲労試験方法について規定する。 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

  JIS Z 2274 金属材料の回転曲げ疲れ試験方法 

  JIS Z 8401 数値の丸め方  

3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次による。 

a) 回転曲げ 曲げモーメントの面内に軸をもつ試験片が回転し,試験片に繰返し応力が与えられる荷重

方法。 

b) 高サイクル疲労 破壊までの回転曲げ繰返し数,いわゆる疲労寿命が,およそ104回以上となる疲労。 

c) 応力振幅 最大の応力が生じる断面での曲げモーメントを断面係数で除した値。 

d) S−N線図(応力−繰返し数線図) 縦軸に応力振幅,横軸に破壊までの回転曲げ繰返し数(破壊せ 

  ずに試験を終了した場合の繰返し数を含む。)をとって描いた線図。 

e) 疲労限度 無限回の繰返しに耐えると考えられる応力振幅の上限値。 

f) 

時間強度 指定された回数の繰返し数に耐える応力振幅の上限値。 

g) 疲労強度 疲労限度及び時間強度の総称。 
 

4. 試験片 試験片は,次による。        

a) 標準試験片は,断面が円形の丸棒試験片とし,その形状によって1号(平行部付き)試験片及び2号(砂

時計形)試験片に区分し,それらの標準寸法はそれぞれ図1及び図2による。 

記号 

mm 

1−4 

4 

3d以上 

2d以上 

1−5 

5 

1−6 

6 

1−8 

8 

1−10 

10 

図1 1号試験片 

記号 

mm 

2−4 

4 

5d以上 

2−5 

5 

2−6 

6 

2−8 

8 

2−10 

10 

図2 2号試験片 

R

d直径

L

並行部

Rd最小直径

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Z 2286:2003 

解 0 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

b) 切欠き試験片を含め,a) の標準寸法以外の試験片による試験が必要な場合の試験片の形状は,受渡当

事者間の協定による。 

c) 試験片の加工方法,仕上げ精度,仕上げた後の試験片の取扱い,試験片直径の測定方法などについて

は,JIS Z 2274の3.2〜3.7による。 

5. 試験機 試験機は,次による。 

a) 試験機は,試験片の試験部分に,図3に示す曲げモーメントを与えることができるものを用いる。 
 

         図 3 曲げモーメントの分布 

b) 試験機は,試験片に軸方向の荷重及びねじりモーメントが作用しないような構造でなければならない。

また,試験機には,試験片が破断するまでの繰返し数が求められる装置及び停電その他の理由で試験機

が停止したときに,自動的に再起動することを防止する機構を備えなければならない。 

c) 試験機の耐久性及び精度は,JIS Z 2274の4.3〜4.6による。 

d) 加熱装置は,加熱炉及び温度制御装置から成り,試験片試験部分(図3でTと指示してある部分)の

温度が6.3の許容温度範囲内で均一となり,かつ,経時変化がないように自動制御できるものでなけれ

ばならない。また,加熱炉は,回転する試験片試験部分の近傍の雰囲気温度を測定できる構造とし,加

熱炉の中心を,回転する試験片の中心軸の位置に移動させることのできる調節機構を備えなければな 

  らない。 
 

6. 試験方法  

6.1 

繰返し速度 繰返し速度は受渡当事者間の協定による。一連の試験は,同一の繰返し速度で行わな

ければならない。 

 なお,繰返し速度が速く,応力振幅が大きいために,試験片が著しく発熱する場合は,繰返し速度を遅

くしなければならない。このような場合は,試験した繰返し速度を記録しておく。 

6.2 

試験温度 試験温度は受渡当事者間の協定による。 

6.3 

試験温度測定方法 試験温度は試験片試験部分の表面温度とする。回転する試験片表面温度の直接

測定が不可能な場合には,試験片表面温度は,次に示す予備試験によって得られる雰囲気温度からの換算

値を用いて測定し,疲労試験中は,回転する試験片試験部分の近傍の雰囲気温度を測定し,換算値を用いて

換算した表面温度が試験温度となるよう温度を制御する。 

 予備試験は次のように行う。予備の試験片を用いて回転する試験片試験部分近傍の雰囲気温度と,回転

を停止した直後の試験片試験部分の表面温度とを,熱電対を用いて測定して両者の温度差を求め,雰囲気

温度に対応する試験片表面温度を求める。この場合,試験片を回転させる際の繰返し速度は,6.1の繰返し

速度条件と同じとし,雰囲気温度を測定する熱電対と試験片表面との距離は,疲労試験の場合と同じにす

P

P

λ

P

P

T

λ

M=Pλ

P:試験荷重 

λ:支点間距離 

T:試験片の試験部分 

M:曲げモーメント 

Z 2286:2003 

解 1 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

る。 

6.4 

温度許容範囲 試験温度及びその経時的変化は,試験温度の±5℃になるようにしなければならな

い。 

6.5 

試験 試験は,次による。 

a) 試験片は,偏心を避け,かつ,試験中緩むことのないよう強固に試験機に取り付け,取り付けた試験

片を緩やかに回したとき,試験片中央において心振れが0.05mm以内となるように取り付けなければ

ならない。また,取付けに際し,試験片の試験部分に大きな応力を与えないよう,かつ,工具などに

よってきずを付けないよう注意しなければならない。 

b) 試験片の昇温は,無負荷状態で,所定の繰返し速度の条件のもとで回転させながら行う。試験温度に

到達後は,試験温度が6.4の温度許容範囲に納まっていることを一定の時間確認する。確認のための

時間は,一連の試験において同一の時間とする。 

c) 試験荷重は,温度が6.4の温度許容範囲に納まることを確認した後,衝撃なく,速やかに加える。試

験を休止するか又は打切るときは,荷重を除去し,試験片の温度が室温近くまで下がった後,回転を

停止する。 

d) 試験は,通常,同一の試験片について開始から終了まで休止することなく行う。試験を途中で休止し

た場合は,休止までの繰返し数及び休止時間を記録しておく。 

e) 試験は,試験片が破壊に至る以前に,打ち切ってもよい。ただし,試験打切りの繰返し数は,次のいず

れかを指定する。 

   106,2×106,5×106,107,2×107,5×107,108 

f) 

破壊しなかった試験片は,再使用してはならない。 

参考 応力条件の設定 S−N線図を求めるため,多くの応力段階において試験を行う場合の応力振

幅の設定には,JIS Z 2274の5.4又は関連規格を参考にすることが望ましい。 

7. 試験結果の取扱い 試験結果の取扱いは、次による。 

a) 応力の単位は MPa 又は N/mm2 とし,応力値はJIS Z 8401によって,有効数字3けたに丸める。 

b) 繰返し数は,試験片への負荷が所定の試験荷重に達したときから数え始める。 

c) 破壊までの繰返し数には,通常,破断までの繰返し数をとる。これ以外の場合には,破壊までの繰返

し数の定め方を,試験結果の報告に付記しなければならない。 

d) 試験結果の繰返し数は,例えば 2.34×107 のように,10n の倍数で表し,有効数字3けたに丸める。 

e) S−N線図において,横軸の目盛は対数目盛とし,縦軸の目盛は対数目盛又は実数目盛とする。 

f) 

S−N線図において,試験を打切った結果を表す点には,右向きの矢印を付ける。 

g) 時間強度を求める場合の繰返し数は,次のいずれかを指定する。 
  104,2×104,5×104,105,2×105,5×105,106,2×106,5×106,107,2×107,5×107,  

  108 

h) 時間強度又は疲労限度を決めるに際しては,JIS Z 2274の6.11,6.12又は関連規格を参考にすること

が望ましい。 

   なお,必要な場合には,受渡当事者間の協定によって,疲労強度の決め方を予め定めておく。 

i) 

疲労強度が,指定された値以上であることを保証すればよい場合には,その指定された繰返し応力で

3個の試験片を試験し,いずれの試験片も所定の繰返し数で未破壊であることを示せばよい。 

7.1 

試験結果の報告 試験結果の報告には,次の事項について,詳細な記録を付記することが望ましい。  

Z 2286:2003 

解 2 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

a) 材料の製造業者名 

b) 材料の種類 

c) 化学成分 

d) 素材からの試験片採取条件 

e) 熱処理条件 

f) 

疲労試験温度における引張性質(引張強さ,耐力,伸び及び絞り) 

g) 試験片の形状,寸法及び仕上げ条件 

h) 試験機の名称,構造及び容量 

i) 

加熱装置の種類及び温度測定方法  

j) 

試験条件(試験温度,繰返し速度) 

k) 試験年月日,試験場所及び試験者名 

l) 

試験結果の一覧表(応力振幅,破壊の有無,破壊までの繰返し数,試験打切り繰返し数) 

m) S−N線図 

n) 疲労限度又は時間強度 

o) その他 
 

関連規格 日本機械学会基準 JSME S 002 統計的疲労試験方法