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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 1 

4 品質······························································································································· 2 

4.1 外観 ···························································································································· 2 

4.2 品質保持性能 ················································································································ 2 

5 材料及び容器の機能 ·········································································································· 2 

6 試験方法························································································································· 2 

6.1 アスコルビン酸を用いた品質保持性能試験 ·········································································· 2 

6.2 試験結果の表し方 ·········································································································· 5 

6.3 数値の丸め方 ················································································································ 5 

7 表示······························································································································· 5 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づき,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本

工業規格である。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

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包装−液体用高機能容器 

Packaging-High functional containers for liquid 

序文 

食品包装用に用いる液体用容器は,これまで様々な進歩を遂げ,生命維持に必要な液体飲料の持ち運び

を可能としたことによって,生活向上に大きく貢献してきた。 

さらに,開封後も密封状態が維持できる機能をもつ液体用高機能容器は,液体飲料,調味料などの品質

を開封前状態に近い形で保持することができる。このため,内容物の品質保持及び省資源・省エネルギー

化に資する目的でこの規格を制定した。 

適用範囲 

この規格は食品,化粧水,洗剤などの液状物の開封後の酸化を抑制するため,注出口に逆止機能をもつ

液体用高機能容器(以下,容器という。)について規定する。ただし,医薬品に用いる容器は除く。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS K 0124 高速液体クロマトグラフィー通則 

JIS K 7126-2 プラスチック−フィルム及びシート−ガス透過度試験方法−第2部:等圧法 

JIS K 9007 りん酸二水素カリウム(試薬) 

JIS K 9502 L(+)-アスコルビン酸(試薬) 

JIS Z 0108 包装−用語 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS Z 0108によるほか,次による。 

3.1 

液状物 

飲料,液体調味料,化粧水,洗剤などの液状の被包装物。 

3.2 

逆止機能 

容器内に充塡された液状物を繰り返し注ぎ出しても外気が容器内に侵入することを防ぎ,注ぎ出た液状

物が再び容器内に戻らない機能。 

3.3 

品質保持 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

容器本体が逆止機能を備えることで,液状物の収納後に所定の部位を開封して繰り返し注ぎ出した後も,

容器内液状物が所定の期間,一定の品質(酸化の抑制など)を維持していることが認められること。 

品質 

4.1 

外観 

容器には,きず,異物混入などの欠点があってはならない。 

4.2 

品質保持性能 

品質保持性能は,箇条6による試験を行ったとき,試験開始から35日目の試験開始日(0日目)に対す

る逆止機能による酸化防止性能[アスコルビン酸の残存率(%)]とし,箇条7で表示するアスコルビン酸

の残存率以上とする。 

材料及び容器の機能 

材料及び容器のもつ機能は,次による。 

なお,容器の形状の例を図1に示す。 

a) 容器を構成する材料は,食品用途に用いるものにあっては,食品衛生法に適合する素材とする。 

b) 逆止機能を備える容器とする。 

a) タイプ1 

b) タイプ2 

図1−容器の形状例 

試験方法 

6.1 

アスコルビン酸を用いた品質保持性能試験 

6.1.1 

原理 

アスコルビン酸は,酸素によって速やかに酸化されてデヒドロアスコルビン酸に変化する。この性質を

利用して,容器にアスコルビン酸溶液を充塡し,一定の条件下で試験後,充塡液内に残存しているアスコ

ルビン酸含量を求め,酸化の影響を評価する。 

アスコルビン酸含量は,容器に充塡した溶液の一部を注ぎ出し,適宜希釈した後,紫外可視吸光光度検

出器付き高速液体クロマトグラフ法によって求める。この測定方法を使用することによって,開封後に注

ぎ出しを繰り返した場合の充塡溶液内のアスコルビン酸の残存率を求める。これによって,容器の逆止機

能に対する一定の品質保持(酸化防止)性能を求めることができる。 

6.1.2 

試験環境条件 

試験環境は,JIS K 7126-2に規定する温度23±2 ℃,相対湿度60±10 %とする。 

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6.1.3 

試薬 

試薬は,次のとおりとする。 

6.1.3.1 

L(+)-アスコルビン酸(特級) JIS K 9502に規定するもの。 

6.1.3.2 

メタりん酸(特級) 分析用として認められるもの。 

6.1.3.3 

5 %(w/v)メタりん酸溶液 メタりん酸50 gを蒸留水に溶解し,1 Lとしたもの。 

6.1.3.4 

アセトニトリル 高速液体クロマトグラフ(HPLC)用。 

6.1.3.5 

りん酸二水素カリウム JIS K 9007に規定する特級,又はこれと同等以上のもの。 

6.1.3.6 

高速液体クロマトグラフ用移動相 アセトニトリル及び0.14 mol/Lりん酸二水素カリウム試液の

混液(1:1)。 

りん酸二水素カリウム19.05 gを蒸留水に溶解して1 Lとし,0.45 μm以下のメンブランフィルターでろ

過したもの(0.14 mol/Lりん酸二水素カリウム試液)に,同量のアセトニトリルを加え,混合したもの。 

6.1.4 

試験装置 

試験装置は,JIS K 0124に規定する高速液体クロマトグラフ(紫外可視吸光光度検出器付き)とする。 

6.1.5 

標準溶液の調製 

標準溶液の調製は,次による。 

a) 標準原液 L(+)-アスコルビン酸0.1 g±0.01 gを全量フラスコ100 mLに量りとり,5 %(w/v)メタりん

酸溶液を加えて溶かし,定容したものを標準原液とする。標準原液は用時調製とし,共栓容器に密封

し,測定時まで保存する。 

b) 検量線用標準溶液 標準原液を5 %(w/v)メタりん酸溶液で5 μg/mL,10 μg/mL,20 μg/mL,50 μg/mL

及び100 μg/mLに希釈し,標準溶液とする。いずれも用時調製とする。 

6.1.6 

試料及び試験手順 

6.1.6.1 

試料の作製 

試料の作製は,次による。 

a) アスコルビン酸濃度が0.1 %(w/v)±0.01 %(w/v)の範囲となるよう充塡溶液を作製する。 

b) この充塡溶液を試験対象の容器に充塡して,空気を除き,密閉したものを試料とする。 

c) 試料数(N)は,同一種類のものを5個とする。 

ここで,“同一種類”とは,容器の逆止機能の構造,形状・寸法及び容量が同じ容器をいう。 

6.1.6.2 

保存開始時の測定及び試料の保存 

保存開始時の測定及び試料の保存は,次による。 

a) 作成した試料(N=5)の容器の注ぎ口を開封し,それぞれ充塡容量の1/30の容量を注ぎ出した試料溶

液を,速やかに5 %(w/v)メタりん酸溶液で20倍に希釈した後,高速液体クロマトグラフに注入して測

定し,開始時(0日目)のアスコルビン酸濃度を6.1.6.4によって求める。 

b) 以後,6.1.2に従って遮光下で試料を保存し,当初の充塡容量の1/30の容量を注ぎ出す操作を1回/

日,5回/週の頻度で実施し,35日間(5週間)で,計25回繰り返す。 

6.1.6.3 

保存期間終了時の試料溶液の調製及び測定 

35日目に注ぎ出した溶液について,速やかに5 %(w/v)メタりん酸溶液で20倍に希釈した後,高速液体

クロマトグラフに注入して測定し,終了時(35日目)のアスコルビン酸濃度を6.1.6.4によって求める。 

6.1.6.4 

検量線の作成及び試料溶液のアスコルビン酸含量の算出 

検量線の作成及び試料溶液のアスコルビン酸含量の算出は,次による(図2参照)。 

a) 6.1.5 b)に示す検量線用標準溶液10 μLを高速液体クロマトグラフに注入・分析(6.1.6.5参照)し,ア

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スコルビン酸のピーク面積又は高さから検量線を作成する。 

b) 検量線は,6.1.5 b)で調製した標準溶液5点を用いて最小二乗法によって作成し,r = 0.995以上で有効

とみなす。 

c) 検量線の作成は,試料測定時に毎回行う。 

d) 試料溶液10 μLを高速液体クロマトグラフに注入・分析し,アスコルビン酸のピーク面積又は高さを

測定する。 

e) b)で得られた検量線を用いて図2に示すように内挿によって試料溶液中のアスコルビン酸濃度を求

め,試料溶液のアスコルビン酸含量を次の式(1)によって算出する。 

000

10

1

20

1

×

×

=A

A

 ····································································· (1) 

ここに, 

A : 充塡液のアスコルビン酸含量[%(w/v)] 

A1: 試料溶液のアスコルビン酸濃度(μg/mL) 

同一条件の下で試料溶液を導入し,クロマトグラムを記録し,ピーク面積又は高さ

から検量線によって試料溶液中の濃度を求める。 

図2−検量線を用いた試料溶液のアスコルビン酸濃度の求め方の例 

6.1.6.5 

高速液体クロマトグラフ分析条件 

高速液体クロマトグラフ分析条件は,次による。 

a) カラム充塡剤 液体クロマトグラフィー用アミノプロピルシリル化シリカゲル1)を用いる。 

b) カラム 内径4.6 mm,長さ150 mm,ステンレス製とする。 

c) 移動相 アセトニトリル及び0.14 mol/Lりん酸二水素カリウム試液の混液(1:1)とする。 

d) 検出器 紫外可視吸光光度検出器は,次による。 

・ 測定波長:254 nm 

・ 流速:1.0 mL/min 

・ カラム温度:40 ℃ 

・ 注入量:10 μL 

最小二乗法で求めた検量線 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

・ 保持時間:約3分 

注1) Inertsil NH2などを用いる。Inertsil NH2は,ジーエルサイエンス株式会社が提供する市販製品の

一例であり,この情報は,この規格の利用者の便宜を図って記載するもので,この製品を推奨

するものではない。 

6.2 

試験結果の表し方 

試験開始時及び35日目において,それぞれ5個の試料のアスコルビン酸含量の平均値を求め,それぞれ

の時点のアスコルビン酸含量とする。35日目のアスコルビン酸の残存率を次の式(2)によって算出し,酸化

防止性能を求める。 

100

1

=BB

B

 ············································································· (2) 

ここに, 

B : 35日目のアスコルビン酸の残存率(%) 

B1: 開始時のアスコルビン酸含量[%(w/v)] 

B2: 35日目のアスコルビン酸含量[%(w/v)] 

6.3 

数値の丸め方 

a) 個別の試料のアスコルビン酸含量は,小数点以下第6位を切り捨てて第5位まで求める。 

b) 5個の試料のアスコルビン酸含量の平均値は,四捨五入によって小数点以下第4位まで求める。 

c) 35日目のアスコルビン酸の残存率は,四捨五入によって整数位に丸める。 

表示 

容器には,容器本体又はこん(梱)包単位の見やすい箇所に,次の事項を記載する。 

なお,c)は食品,化粧水,洗剤などを充塡した製品のラベルなどに,使用している容器の特性として表

示することができる。 

a) 規格番号及び規格名称 

b) 製品又は容器の名称 

c) 逆止機能による酸化防止性能[35日目のアスコルビン酸の残存率(%)] 

注記 製品のラベルなどに表示する例を示す。 

例 容器には酸化防止性能がある(35日目のアスコルビン酸の残存率○○%) 

d) 容量(mL) 

e) 製造年月又はその略号 

f) 

製造業者名又はその略号