2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
Z 1706-1995
ポリエチレンかん
Containers blow-molded from polyethylene
1. 適用範囲 この規格は,工業薬品,試薬,農業薬品,医薬品,蒸留水及び食料品などを入れる容器と
して使用されるポリエチレンかん(以下,かんという。)及びそれに附属するせんについて規定する。
備考1. この規格の引用規格を,次に示す。
JIS Z 0202 包装貨物−落下試験方法
JIS Z 8721 色の表示方法−三属性による表示
2. この規格の中で{ }を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであって,
参考として併記したものである。
2. 用語の定義 ポリエチレンかんとは,ポリエチレン製で他の材質の外装を必要としないもので,積重
ねができ,また取扱いに便利なように,取っ手又は手がかりを付けた貯蔵及び輸送用の容器をいう。
3. 種類 かんは,形状,呼び容量及び用途によって表1に示すように分類する。ただし,特殊用は,表
3に規定する肉厚のものをいい,主として危険物又はそれに準じるものに使用する。
表1
形状
呼び容量 (l)
用途
偏平形
5
一般用
10
20
一般用又は特殊用
30
角形
5
一般用
10
20
一般用又は特殊用
30
4. 品質 かんは均質で,表2の規定に適合しなければならない。
なお,食料品用容器として使用するかんは,食品衛生法による規定に適合しなければならない。
2
Z 1706-1995
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表2
外観
使用上有害な変形,色むら,きず,ひび割れ,泡な
どがないこと
漏れ試験
漏れないこと
落下試験
せんからの漏れ及び本体の破損による漏れを生じな
いこと
せんの破損試験
破損しないこと
積重ね試験
座屈しないこと
つり下げ試験(1)
取っ手中央部の残留変形が規定の数値以下であるこ
と
耐薬品性試験(2)
せんからの漏れ及び本体の破損による漏れを生じな
いこと
ストレスクラッキング試験 ひび割れの生じたかんの本数が試験本数の50%以下
であること
注(1) 手がかり形式のものは,この試験の必要はない。
(2) 耐薬品性上全く問題のないと思われるものについては,当事者間の協定によ
ってこの試験を省略してもよい。
5. 形状及び寸法
5.1
かんの形状は図1,図2及び図3に準じたものとし,寸法は表3及び表4による。かんの寸法許容差
は,次のとおりとする。
5.1.1
かんの幅及び長さの許容差は±2.0%
5.1.2
かんの高さの許容差は+8.0%,−2.0%
5.1.3
かんの質量の許容差は±8.0%
5.2
せんは,6.で規定したものを用い,かんに附属させる。せんとかんのねじのかかり具合は,せんを十
分に締めつけた後にこれを緩めたとき,1.5回転以上のかかりがなければならない。
5.3
かんの容量は,かんを水平に置いたときの実容量が,呼び容量の5%増以上とし,かつ,呼び容量は,
全内容積の90%以下とする。
5.4
危険物容器として用いる場合の肉厚は,危険物関係法令に適合しなければならない。
3
Z 1706-1995
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図1
図2
図3
4
Z 1706-1995
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表3
項目
呼び容量
5l
10l
20l
30l
幅
Wmm 偏平形
140
175
180
250
角形
170
205
265
310
長さ
Lmm 偏平形
195
245
350
355
角形
170
205
265
310
高さ
Hmm 偏平形
250
305
410
440
角形
250
320
385
420
最小肉厚(3) mm 一般用
0.8
1.0
1.3
1.5
特殊用
−
−
1.5
1.7
質量
g 一般用 偏平形
350
700
1 300
2 100
角形
350
730
1 400
2 250
特殊用 偏平形
−
−
1 500
2 400
角形
−
−
1 600
2 550
注(3) 最小肉厚は,かんの最も薄いと思われる部分を切断し,接触部
分が球面をもったダイヤルゲージ又はそれに準じるものを用
いて測定する。
表4
項目
呼び容量
5l
10l
20l
30l
a
mm
28
40
50
b
mm
40
50
60
c
mm
43
54
65
d
mm
1.5
2.0
2.5
n 山/25.4mm
8
6
6
α°
30
30
30
備考 a,b,c及び4の許容差は,±0.5%とする。
6. 材料及び加工法
6.1
かん及びせんは,ポリエチレン又はポリエチレンを主体とした原料を使用し,材料は使用上有害な
きょう雑物を含まないものとする。
6.2
かんは中空成形法によって作り,せんは射出成形法によって作る。
6.3
かんは原則として灰色とし,JIS Z 8721のN5〜N7とする。ただし,受渡当事者間の協定によって,
自然色その他の色のものでも差し支えない。
7. 試験方法
7.1
漏れ試験 かんに呼び容量の水を入れてせんをし,口を下にして12時間放置した後,漏れの有無を
調べる。
7.2
落下試験 20±5℃の水を口まで満たしてせんをし,120cmの高さからコンクリート床面上にかんの
底面が当たるように対面落下を一般用は5回,特殊用は10回行い,せんからの漏れ及び本体の破損による
漏れの有無を調べる。
なお,試験方法は,JIS Z 0202に準じる。
5
Z 1706-1995
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
7.3
せんの破損試験 せんを表5に規定するトルクで締め付け,60±5℃で72時間放置した後,せんの
破損の有無を調べる。
表5
項目
呼び容量
5l
10l
20l
30l
トルクN・m {kgf・cm}
3 {30.6}
4 {40.8}
7.4
積重ね試験 かんに呼び容量の水を満たしてせんを締め,4段に積み重ね,上下方向に自由であるよ
うに最上段のかんを軽く支持し,室温で48時間放置した後,最下段のかん及び下から2段目のかんが座屈
していないかどうかを調べる。
7.5
つり下げ試験 かんの底部に表6に規定する荷重を固定し,直径8mm,曲率半径40mmのU字形丸
棒(金属製)によって図4のように取っ手中央部をつり下げて,5分間放置した後荷重を取り去って,5
分後の取っ手中央部の残留変形量が表6に規定する値以下であるかどうかを調べる。
図4
6
Z 1706-1995
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表6
項目
呼び容量
5l
10l
20l
30l
荷重
kg
25
40
60
90
変形量
mm以下
2
3
4
4
7.6
ストレスクラッキング試験
7.6.1
試薬 ノニルフェノオキシポリエタノール (Nonylphenoxy polyethanol) 又はそれに準じるものの
5%水溶液。
7.6.2
試験本数 5本以上。
7.6.3
試験方法 かんに20±5℃の7.6.1に規定する試薬をその実容量の10%を入れ,密せんして60±5℃
に保ち,72時間放置した後かんがひび割れているかどうかを調べる。
7.7
耐薬品性試験 かんに目的の液体を呼び容量だけ満たし,20±5℃で30日間放置した後,内容液を
水に置き換え,7.2の試験を行う。
8. 検査 外観検査は全数について行い,漏れ試験,落下試験,せんの破損試験,積重ね試験,つり下げ
試験,ストレスクラッキング試験,耐薬品性試験及び寸法は,合理的に設計された抜取検査方式によって
行い,4.及び5.の規定に適合しなければならない。
9. 表示 かんには1個ごとに,呼び容量,製造年月(又はその略号),製造業者名(又はその略号)を表
示する。ただし,特殊用については,用途(内容品名)を併せて表示する。
関連規格 JIS Z 8203 国際単位系 (SI) 及びその使い方