Z 1602:2003
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
3まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,全国十八リットル
缶工業組合連合会(JF18TU)/財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正
すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS Z 1602:1995は改正され,この規格に置き換えられる。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会
は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新
案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。
Z 1602:2003
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 引用規格 ························································································································ 1
3. 品質 ······························································································································ 1
3.1 外観 ···························································································································· 1
3.2 衛生性 ························································································································· 1
3.3 性能 ···························································································································· 1
4. 構造 ······························································································································ 2
4.1 缶胴 ···························································································································· 2
4.2 天板及び地板 ················································································································ 2
4.3 押形 ···························································································································· 2
4.4 充てん孔,口金及びふた ································································································· 2
4.5 手環 ···························································································································· 3
4.6 塗装及び印刷 ················································································································ 3
5. 形状・寸法・質量・容量 ··································································································· 3
6. 材料 ······························································································································ 4
7. 試験 ······························································································································ 4
7.1 非危険物用18リットル缶の試験 ······················································································· 4
7.2 危険物用18リットル缶の試験 ·························································································· 4
7.3 手環取付け強度試験 ······································································································· 6
8. 検査 ······························································································································ 6
9. 表示 ······························································································································ 6
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
Z 1602:2003
金属板製18リットル缶
18 liter metal cans
1. 適用範囲 この規格は,油脂・石油・塗料・化学薬品・食料品などの非危険物及び液体又は固体の危
険物の輸送並びに貯蔵容器として,一般に用いられる金属板製18リットル缶(以下,缶という。)につい
て規定する。
備考1. この規格でいう危険物とは,次に示す法令の適用を受けているものをいう。
a) 船舶安全法(昭和8年法律第11号)
b) 消防法(昭和23年法律第186号)
c) 毒物及び劇物取締法(昭和25年法律第303号)
d) 航空法(昭和27年法律第231号)
2. この規格でいう液体又は固体は,関連法の規定による。
3. この規格でいう危険等級とは,関連法によって次のとおり読みかえる。
a) 船舶安全法 容器等級
b) 消防法 危険等級
c) 毒物及び劇物取締法 包装等級
d) 航空法 容器等級
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS G 3303 ぶりき及びぶりき原板
JIS G 3315 ティンフリースチール
JIS G 3532 鉄線
JIS Z 1607 金属板製ふた・口金
JIS Z 3282 はんだ−化学成分及び形状
3. 品質
3.1
外観 缶は,天板,地板の巻締め及び缶胴の接合が良好で,ひずみ,きず,しわ,さび,その他使
用上有害な欠点があってはならない。
3.2
衛生性 食料品に使用する缶は,食品衛生法の食品,添加物などの規格基準(昭和34年厚生省告示
第370号)に適合しなければならない。
3.3
性能
a) 気密性 非危険物用は7.1.1の試験を行ったとき,漏れ及び変形があってはならない。危険物用は7.2.1
2
Z 1602:2003
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の試験を行ったとき,漏れがあってはならない。
b) 耐圧性 非危険物用は7.1.2,危険物用は7.2.2の試験を行ったとき,漏れがあってはならない。
c) 落下強度 危険物用は7.2.3の試験を行ったとき,漏れがあってはならない。
d) 積重ね強度 危険物用は7.2.4の試験を行ったとき,漏れ及び安全性を損なうような変形があってはな
らない。
e) 手環取付け強度 手環を取り付けた缶の手環取付け強度は7.3の試験を行い,外れがあってはならな
い。
4. 構造
4.1
缶胴 缶胴は,次による。
a) 缶胴は,1枚の胴板をもって構成する。
b) サイドシームの接合は,はんだ付け,接着又は溶接をしたものでなければならない(参考図1参照)。
注(1) はんだ付けは,かみ合わせの後,外側からはんだ付け接合する。
(2) 接着は,かみ合わせの中の接着剤で接合する。
(3) 溶接は,シーム溶接によって接合する。
参考図 1 サイドシームの接合
4.2
天板及び地板 天板及び地板の胴板への接合は二重巻締めによって取り付け,はんだ,接着剤又は
巻締め用密封材を用いる(参考図2参照)。
注(4) 二重巻締め後,外側からはんだ付けする。
(5) 二重巻締めの内部には,接着剤又は巻締め用密封材を用いる。
参考図 2 二重巻締め
4.3
押形 天板,地板及び胴板には,補強のため押形を付ける。
4.4
充てん孔,口金及びふた
3
Z 1602:2003
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
4.4.1
天板に充てん孔を加工する場合
a) 充てん孔は,天板のすみ又は中央にあける。
b) 充てん孔及びふたの形状・寸法は受渡当事者間の協定による(参考図3参照)。
a) シール口 b) 押しぶた口
参考図 3
4.4.2
天板に口金を取り付ける場合 天板に口金を取り付ける場合は,通常JIS Z 1607に規定する金属
板製ふた及び口金を使用する(参考図4参照)。また,天板に金属板製口金以外の附属品を取り付ける場合
の形状・寸法は受渡当事者間の協定による。
参考図 4 B形のふた及び口金
4.5
手環 手環は,必要に応じて付ける(参考図5参照)。
a) 普通手環 b) 金具付き手環
参考図 5 手環
4.6
塗装及び印刷 缶の内外面の塗装及び外面の印刷は,必要に応じて行う。
5. 形状・寸法・質量・容量 缶の形状,寸法,質量及び容量は表1による。
4
Z 1602:2003
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表 1
寸法(6) mm
質量(7)
容量(8)
L
天板・地板の辺の長さ
A
高さ
H
g
238.0±2.0
349.0±2.0
1140±60
19.25±0.45
注(6) 寸法は,外のりを示す。
(7) ふた付き缶の質量を示す。
(8) 水を満注にした缶の容量を示す。
6. 材料
a) 金属板 金属板は,JIS G 3303 若しくはJIS G 3315 に規定する鋼板,又はJIS G 3303 に規定する原
板を用い,すず,ニッケル,クロムのうち1種類又は2種類以上をめっきした鋼板で,呼び厚さ0.32 mm
のものを用いる。
b) はんだ付け材 はんだ付け材は,JIS Z 3282 に規定するものを用いる。
c) 接着剤 接着剤は,内容物に対し適切な品質をもち,必要な耐久性をもつものとする。
d) 巻締め用密封材 巻締め用密封材は,内容物に対し適切な品質をもち,必要な耐久性をもつものとす
る。
e) 内面塗料 缶の内面に塗装を行う場合には,内容物に対し適切な品質をもつものとする。
f)
手環 手環に用いる鉄線は,JIS G 3532 に規定するものを用いる。
7. 試験
7.1
非危険物用18リットル缶の試験
7.1.1
気密試験 缶内にゲージ圧10 kPaの圧縮空気を送り込み,漏れの有無を調べた後,圧力を取り去
り,缶の変形の有無を調べる。
7.1.2
水圧試験 缶内に水を注入し,ゲージ圧40 kPaの水圧を加え,漏れの有無を調べる。
7.2
危険物用18リットル缶の試験
7.2.1
気密試験 缶内に,表2に規定する圧縮空気を送り込み,漏れの有無を調べる。
5
Z 1602:2003
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表 2
危険物の区分
危険等級Ⅱ及びⅢ
ゲージ圧 kPa
20
7.2.2
水圧試験 缶内に水を注入して,水圧を加え,漏れの有無を調べる。試験圧力(ゲージ圧)は,次
のうち,いずれか高い方の圧力以上とする。
a) 収納する危険物の55 ℃における蒸気圧に1.5を乗じた値から100 kPaを減じた圧力。
b) 100 kPaの圧力。
7.2.3
落下試験 落下試験は,液体用及び固体用缶について行い,表3〜5に規定する高さから,コンクリ
ート又はこれと同程度の固く弾力性のない平滑な水平面上に落下させ,漏れの有無を調べる。
なお,充てん物及び充てん量,落下姿勢並びに落下高さは,次による。
a) 充てん物及び充てん量
1) 液体用 輸送される物質又はこれと同等の物理的性状をもつ代替物質,又は水を容量の98 %以上
充てんする。
2) 固体用 輸送される物質又はこれと同等の物理的性状をもつ代替物質を,容量の95 %以上充てん
する。
b) 落下姿勢 底面を下にした対面落下とする。
c) 落下高さ
1) 落下高さは,液体用又は固体を充てんする容器に対して,充てんする危険物又はこれと同等の物理
的性質をもつ代替物質を用いて試験を行う場合は,表3による。
表 3
危険等級
Ⅱ
Ⅲ
落下高さ m
1.2
0.8
2) 代替物質として,水を用いて試験を行う場合で,充てんする物質の比重が1.2以下の場合は,表4
による。
表 4
危険等級
Ⅱ
Ⅲ
落下高さ m
1.2
0.8
3) 代替物質として,水を用いて試験を行う場合で,充てんする物質の比重が1.2を超える場合は,表5
による。
表 5
危険等級
Ⅱ
Ⅲ
落下高さ m
比重×1.00
比重×0.67
備考 小数点第2位以下は切り上げとする。
7.2.4
積重ね試験 積重ね試験は液体用及び固体用について行い,液体用は内容積の98 %以上の水,固
体用は内容積の95 %以上の充てんされる物質と同等の物理的性質をもつ物質を充てんして,縦置きにし
て次の試験を行う。
積重ね条件:次の計算式によって算出した荷重を供試品の上部に均一に加えた状態で,24時間放置する。
h
h
w
W
/)
3(−
×
=
ここに, W: 供試品の上部に加える荷重 (N)
w: 容器1個当たりの内容物を含む重量 (N)
6
Z 1602:2003
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
h: 供試品の高さ (m)
備考 (3−h)/hの小数点第1位以下は切り上げる。
7.3
手環取付け強度試験 天板を適切な方法で固定し,天板に取り付けた手環を手環つかみ金具を用い
て,垂直方向に600 Nの静荷重で引張り,手環取付けの外れの有無を調べる。
なお,手環つかみ金具は約6 cm幅の鋼板を曲げたものとする。
8. 検査 検査は,品質,構造,形状,寸法,質量及び容量について行い,3. 〜5. の規定に適合しなけれ
ばならない。
9. 表示 缶には,次の事項を表示しなければならない。
a) 製造業者名又はその略号
b) 製造年月又はその略号
c) 危険物収納容器略号
7
Z 1602:2003
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
関連規格 JIS Z 8203 国際単位系(SI)及びその使い方