2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
Z 0701-1977
包装用シリカゲル乾燥剤
Silicagel Desiccants for Packaging
1. 適用範囲 この規格は,包装に用いるシリカゲル乾燥剤(以下,乾燥剤という。)について規定する。
引用規格:
JIS R 3503 化学分析用ガラス器具
JIS R 3505 ガラス製化学用体積計
JIS Z 8801 標準ふるい
JIS Z 8802 pH測定方法
関連規格:JIS Z 8806 湿度測定方法
2. 種類及び記号
2.1
吸湿性による種類及び記号は表1による。
表1
種類
記号
吸湿特性
A形
A
低湿度において湿気を吸着する力が強いもの
B形
B
高湿度において多量の湿気を吸い,吸着容量が大きいもの
2.2
包装方式による種類及び記号は表2による。
表2
種類
記号
包装方式
1種
1
気密容器
2種
2
透湿性のある小袋及び小容器
3. 品質 品質は表3による。
2
Z 0701-1977
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表3
品質項目
単位
品質
適用試験方法
A形
B形
1種
2種
1種
2種
相対湿度20%における吸湿率
%
8.0以上
3.0以上
相対湿度50%における吸湿率
20.0以上
10.0以上
4.1
相対湿度90%における吸湿率
30.0以上
50.0以上
含水率
%
2.0以下
2.5以下
2.0以下
2.5以下
4.2
pH値
−
4〜8
4.3
比抵抗
Ω・cm
3000以上
4.4
成分
%
無水けい酸 98以上
4.5
粒度
−
当事者間の協定による。
4.6
充てん密度
−
4.7
透湿性のある小袋及び小容器の落下強度
−
−
破損数1以下
−
破損数1以下
4.8
透湿性のある小袋及び小容器の透湿性
−
−
当事者間の
協定による。
−
当事者間の
協定による。
4.9
4. 試験方法
4.1
吸湿性試験 試料をあらかじめ破砕してJIS Z 8801(標準ふるい)の規定による呼び寸法840以下
を用いてふるい,よく混合して170〜190℃で約2時間加熱した後,A形の場合は,0.3〜0.5g,B形の場合
には,0.2〜0.4gを手早く平形はかりびん(1)の底部全面に,なるべく均等の厚さにひろげ,直ちにふたをし
てデシケータ中で室温まで冷却する。ついでこれをひょう量して,表1に示す相対湿度20,50及び90%
を保持するため表4に定めるそれぞれの硫酸水溶液を入れたガラス密閉器(2)中に入れ,温度25±2.5℃に
48時間保ったのち,これを取出し,直ちにふたをしてひょう量し,次の式により吸湿率を計算し,小数点
以下1けたに丸める。
()(
)(
)
(
)
100
100
0
0
1
0
0
1
×
−
=
×
−
+
+
−
+
=
W
W
W
W
W
W
W
W
W
W
%
吸湿率
ここに
W: 平形はかりびんの質量 (g)
W0: 試料の乾燥質量 (g)
W1: 吸湿した試料の質量 (g)
表4 硫酸水溶液の濃度と相対湿度との関係
相対湿度
(%)
硫酸水溶液
濃度(質量%)
比重 (25/4℃)
20
58.9
1.482
50
43.4
1.329
90
18.5
1.125
注(1) 平形はかりびんは,JIS R 3503(化学分析用ガラス器具)の規
定による外径40mm,高さ20mm,すり合わせガラスせんを備
えているものを用いる。
(2) ガラス製密閉容器としては,JIS R 3503の規定によるデシケ
ータを用い,硫酸水溶液の量は試料1個当たり100ml以上と
する。
なお,硫酸水溶液は,連続5回使用後は濃度の再調整を行
う。
3
Z 0701-1977
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
4.2
含水率試験 試料約5gをとり,平形はかりびんに入れたものを化学はかり(ひょう量100〜200g,
感量1mg)で精ひょうしたのち,恒温乾燥器中で,170〜190℃で2時間以上乾燥し,デシケータ中で室温
まで冷却したのち,ひょう量し,これを乾燥質量とする。
含水率は,次の式によって算出し,小数点以下1けたまで丸めて報告する。
()(
)(
)
(
)
100
100
0
0
1
0
0
1
×
−
=
×
−
+
+
−
+
=
W
W
W
W
W
W
W
W
W
W
%
率
水
含
ここに
W: 平形はかりびんの質量 (g)
W0: 試料の乾燥質量 (g)
W1: 供試質量 (g)
4.3
pH値試験 試料10±0.1gを300mlの硬質ガラス製ビーカにとり,蒸留水(3)200mlを加えて時計ざら
で覆い,80±3℃で30分間で加温したのち,室温に冷却して上澄液を用いて,JIS Z 8802(pH測定方法)
の規定によるpHメータ小数点以下1けたまで測定する。
注(3) 蒸留水は比抵抗が100 000Ω・cm以上のものを用いる。
4.4
比抵抗試験 試料10±0.1gを300mlの硬質ガラス製ビーカにとり,蒸留水(3)200mlを加えて時計ざ
らで覆い80±3℃で30分間加温したのち,その上澄液をとり温度25℃で交流高抵抗測定器を用いて比抵抗
Ω・cmを測定する。
4.5
成分試験 試料をあらかじめ乳ばちで粉砕して,JIS Z 8801によって粒度88μm以下にし,約2gを
良く混合し,JIS R 3503の規定による呼び40mm×20mmの平形はかりびんに入れ,平均に広げ,恒温乾
燥器に入れ170〜190℃で約2時間加熱後,恒温乾燥器から取り出し,直ちにふたをしてデシケータ中で室
温まで冷却する。冷却後,試料を白金るつぼに1.0〜1.1gをひょう量し,試料を水でうるおし,硫酸を数滴
及びふっ化水素酸約20mlを加え,砂浴上で加熱して蒸発乾固した後,1000±50℃で約5分間加熱し,デ
シケータ中で放冷後質量を測定し,次式により算出する。
100
1×
−
=
W
W
W
S
ここに
S: 無水けい酸 (%)
W: 試料質量 (g)
W1: 放冷後の質量 (g)
4.6
粒度試験 試料100gをJIS Z 8801に規定する網ふるいを用いてふるいわけ試験をする。網ふるいの
ふるい目の開き(呼び寸法)は当事者間の協定によって選んだものを使用する。
4.7
充てん密度試験 試料約80mlをとり,その質量 (W) を0.5gの精度にひょう量し100mlのメスシリ
ンダ(4)に入れる。乾燥剤の入ったシリンダーの底をゴム板上で軽くたたき1分間ごとに容量を読む。目視
によって容量の差が認められなくなったときの容量をVmlとし,次の式によって充てん密度を算出する。
(
)VW
ml
g
=
/
充てん密度
注(4) メスシリンダはJIS R 3505(ガラス製化学用体積計)に規定されたものを用いる。
4.8
透湿性のある小袋及び小容器の落下強度試験 試料をコンクリート,石などの堅固なたわまない水
平な面に,内容量50g以上のものは,1.5mの高さから10個,50g未満のものは2.5mの高さから40個を
落下させ,乾燥剤が外に漏れるような袋の破損の有無を調べる。
なお,内容量50g以上のものは,垂直に保持した状態で落下させ,内容量50g未満のものは,板紙製容
器中に10〜40袋を垂直に入れ,容器を水平にした状態で落下させる。
4
Z 0701-1977
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
4.9
透湿性のある小袋及び小容器の透湿性試験 試料をひょう量容器に入れ,試料質量の1%までひょう
量したのち,温度25〜30℃,湿度85〜95%に24時間放置したのちひょう量し,次の式により算出する。
100
1
1
2
×
−
=
W
W
W
性
湿
透
ここに
W1: 供試質量 (g)
W2: 透湿試料の質量 (g)
5. 検査 検査は,品質について行い,3.の規定に適合しなければならない。
6. 製品の呼び方 製品の呼び方は,規格名称及び種類の記号による。
例: 包装用シリカゲル乾燥剤 A形1種
又は,包装用シリカゲル乾燥剤 A1.
7. 表示 乾燥剤の包装には,次の事項を表示する。
(1) 名称
(2) 吸湿性による種類
(3) 内容量
(4) 製造年月日又は略号
(5) 製造業者名又は略号
(6) 小袋又は小容器入れを食品及び医薬品に使用する場合には,“食べられない”ことの注意。
備考 吸湿性による種類,内容量及び製造年月日は,透湿性のある小袋及び小容器の場合には省略し
てもよい。
包装部会 包装用乾燥剤専門委員会 構成表
氏名
所属
(委員会長)
高 橋 文 男
工業技術院製品科学研究所
稲 松 照 子
工業技術院計量研究所
平 河 喜美男
通商産業省基礎産業局
森 川 武
工業技術院標準部
亀 山 秀 雄
富士デヴイソン化学株式会社
青 山 猛
旭化学工業株式会社
前 川 義 郎
洞海化学工業株式会社
諏 訪 要
第一製薬株式会社研究所
金 子 章 三
株式会社山本海苔店
林 直 一
三共株式会社生産技術研究所
小 松 健 二
明治製菓株式会社
(関係者)
早 川 大刀夫
豊田化工株式会社
関 谷 仁 朗
山仁薬品株式会社
青 井 寿
新越化成工業株式会社
(事務局)
横 溝 真一郎
工業技術院標準部繊維化学規格課
高 橋 潔
工業技術院標準部繊維化学規格課