2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
Z 0614-1991
コールドロールボックスパレット
Cold roll box pallets for delivery
1. 適用範囲 この規格は,温度管理を必要とする食品などの配送に用いる車輪付きのコールドロールボ
ックスパレット(以下,パレットという。)について規定する。
備考1. この規格の引用規格を,次に示す。
JIS B 8923 産業用キャスタ
JIS C 1102 指示電気計器
JIS D 1701 冷蔵・冷凍自動車の保冷車体性能試験方法
JIS Z 0612 一貫輸送用ボックスパレット試験方法
2. この規格の中で { } を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであって,
参考として併記したものである。
2. 用語の定義 この規格で用いる用語の定義は,次による。
最大積載質量 パレットに積載できる最大質量
3. 種類及び記号 パレットの種類及び記号は,保冷性能によって区分し表1のとおりとする。
表1 種類及び記号
種類
記号
主な用途
1種
CRB-1
主として品温を−18℃以下に保つためのもの。
2種
CRB-2
主として品温を−2〜+10℃の範囲に保つためのもの。
4. 形状及び各部の名称 パレットの形状及び各部の名称は,図1のとおりとする。
2
Z 0614-1991
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図1 各部の名称
5. 性能
5.1
保冷性 パレットの保冷性は,8.3の規定によって試験したとき,表2に適合しなければならない。
表2 保冷性能
種類 断熱壁の中心温度10℃のときの熱貫流率 (上段)W/m2℃
(下段)kJ/m2h℃ {kcal/m2h℃}
1種 0.46未満
1.65未満
{0.39未満}
2種 0.46以上0.99以下
1.65以上3.50以下 {0.39以上0.84以下}
5.2
気密性 パレットの気密性は,8.4の規定によって試験したとき,200%/h以下でなければならない。
5.3
始動性 パレットの始動性は,8.5によって試験したとき,始動抵抗係数が0.05以下とする。
5.4
最大積載質量 パレットの最大積載質量は,250kgとする。
5.5
強度 パレットの強度は,JIS Z 0612の規定による4.1(ボックスパレットの下向き荷重試験)及び
4.2(ボックスパレットの水平荷重試験)を行ったとき,使用に差し支えのあるたわみ,有害な残留たわみ
及び各部に異常を生じないものとする。
5.6
転倒安全性 パレットの転倒に対する安全性は,いずれの方向に対しても,無負荷時の状態で床面
傾斜角14度で転倒してはならない。
6. 構造 パレットの構造は,次による。
(1) パレットの保冷庫は,次の構造とする。
(a) 保冷庫の内側表面は,冷気が循環しやすい構造とする。
(b) 保冷庫は,反復使用に耐える強度及び保冷性能を保持し,防水及び防食について十分配慮したもの
とする。
(c) 保冷庫は,冷気の漏れを防止し,かつ内容物を外側から保護できる構造とする。
(d) 保冷庫は,水洗いが容易で,かつ水洗いにより保冷性能が低下しない構造とする。
(e) 扉のパッキンは,容易に交換ができる構造とする。
(2) パレットは,繰返し使用に耐える堅ろうな構造とし,配送中に開くことを防ぐロック装置付き扉を備
3
Z 0614-1991
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
え,食品などの出し入れ,運搬及び積卸しが容易なものとする。
(3) 取っ手,丁番及びロック装置は,外のり寸法の内側に収めるものとする。
(4) パレットに使用するキャスタは,JIS B 8923に規定するものとし,少なくとも2個はストッパー付き
のものを使用する。
(5) パレットの積卸し及び配送中に起こる接触,振動,激突などによる損傷防止のため,本体及び扉に緩
衝物をもつものとする。
(6) 取扱い作業に危険な,突起,鋭利な角,その他安全性に欠ける箇所がないものとする。
7. 寸法 パレットの寸法は,図2によって,長さ850mm以下,幅760mm以下及び高さ1 750mm以下と
する。
図2 寸法
8. 試験
8.1
試験の種類 試験の種類は,保冷性能試験(氷を使用する冷却方法又は電熱を利用する加熱方法),
気密試験(内部加圧方法又は内部減圧方法)及び始動性能試験とする。
8.2
試験条件
8.2.1
保冷性能試験の条件 保冷性能試験の条件は,次による。
(1) 試験場所は,直射日光,各種熱源などによる影響がなく,計測時間中の周囲温度のばらつきが3℃の
範囲内の場所とする。
(2) 保冷庫の予熱又は予冷は,保冷庫内部温度が安定するまで行う。
(3) 保冷庫内部と保冷庫外部との温度差は,20℃以上とする。
(4) 熱量算定のための計測は,保冷庫を加熱又は冷却し,定常状態にしてから30分ごとに行う。
(5) 計測温度は,一計測時における保冷庫外部及び保冷庫内部の各計測点の各々の平均値で表す。
(6) 熱量算定に用いる温度は,計測温度の変化が2℃の範囲内にある連続した5回の計測値の平均値とす
る。
4
Z 0614-1991
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(7) 保冷庫内部温度が均一になるようにする。
8.2.2
気密試験の条件 保冷庫内部と保冷庫外部との圧力差は,JIS D 1701の3.2(気密試験の条件)(1)
の122.5±9.8Pa {12.5±1mmAq} とする。
8.2.3
計測器の条件 計測器の条件は,次による。
(1) 電圧計及び電流計は,JIS C 1102に規定する1.0級以上のものを用いる。
(2) 電力計は,JIS C 1102に規定する2.5級以上のものを用いる。
(3) 温度計は,±1℃の精度のものを用いる。
(4) 差圧計は,±0.5%の精度のものを用いる。
(5) 流量計は,±1.5%の精度のものを用いる。
8.3
保冷性能試験
8.3.1
温度計測位置 温度計測位置は図3に示す位置で,保冷庫内部3点,保冷庫外部3点の6点とする。
図3 温度計測位置
備考1. ●印は,保冷庫内部の温度計測位置を示す。
2. ○印は,保冷庫外部の温度計測位置を示す。
8.3.2
試験方法 試験方法は,JIS D 1701の4.2(試験方法)によって行う。
(1) 内部加熱方法 内部加熱方法は,図4によって行い,次の式によって熱貫流率Kを求める。
)
(
1
2θ
θ−
=S
Q
K
2
1S
S
S=
ワット時による場合 Q=I1・E1+I2・E2・η {Q=0.86 (I1・E1+I2・E2・η)}
ジュールによる場合 Q=3.6 (I1・E1+I2・E2・η)
ここに,
K: 熱貫流率
ワット時による場合 (W/m2 ℃) {kcal/m2h ℃}
5
Z 0614-1991
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
ジュールによる場合 (kJ/m2h ℃)
Q: 伝熱量
ワット時による場合 (W) {kcal/h}
ジュールによる場合 (kJ/h)
S: 伝熱面積 (m2)
S1: 保冷庫の外表面積 (m2)
S2: 保冷庫の内表面積 (m2)
I1: 電熱器の電流 (A)
I2: 扇風機の電流 (A)
E1: 電熱器の電圧 (V)
E2: 扇風機の電圧 (V)
3.6: 電力1ワットの熱量 (kJ/h)
{0.86: 電力1ワットの熱量 (kcal/h)}
η: 扇風機の力率
θ1: 外気温度 (℃)
θ2: 保冷庫内部温度 (℃)
図4 内部加熱方法
(2) 内部冷却方法 内部冷却方法は,図5に示す方法によって行い,次の式によって熱貫流率を求める。
)
(
2
1θ
θ−
=S
Q
K
2
1S
S
S=
Q=G (334.4+C・θ3) −3.6・I・E・η {Q=G (80+C・θ3) −0.86・I・E・η}
=G (334.4+C・θ3) −3.6・W {=G (80+C・θ3) −0.86・W}
ここに,
K: 熱貫流率 (kJ/m2h℃) {kcal/m2h℃}
Q: 伝熱量 (kJ/h) {kcal/h}
S: 伝熱面積 (m2)
S1: 保冷庫の外表面積 (m2)
S2: 保冷庫の内表面積 (m2)
G: 融解した氷の重量 (kg/h)
334.4: 氷融解の潜熱 (kJ/kg)
{80: 氷融解の潜熱 kcal/kg}
C: 水の比熱 4.18kJ/kg℃ {1kcal/kg℃}
6
Z 0614-1991
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
θ3: 融水の温度 (℃)
I: 扇風機の電流 (A)
E: 扇風機の電圧 (V)
3.6: 電力1ワットの熱量 (kJ/h)
{0.86: 電力1ワットの熱量 kcal/h}
η: 扇風機モータの力率
θ1: 外気温度 (℃)
θ2: 車体内部温度 (℃)
W: 電力 (W)
図5 内部冷却方法
8.3.3
熱貫流率の換算法 断熱壁の中心温度10℃のときの熱貫流率は,保冷材の熱伝導率をもとに次の
式によって換算する。
2
1
1
2
1
10
θ
θ
θ
+
+
+
=
m
m
K
K
ここに, K10: 断熱壁の中心温度10℃における熱貫流率
ワット時による場合 (W・m2℃) {kcal/m2h℃}
ジュールによる場合 (Kj/m2h℃)
m: 保冷材の熱伝導率に関する温度係数
θ: 断熱壁の中心温度 10℃
K: 計測された熱貫流率
ワット時による場合 (W・m2℃) {kcal/m2h℃}
ジュールによる場合 (Kj/m2h℃)
θ1: 計測時の外気温度 (℃)
θ2: 計測時の保冷庫内部温度 (℃)
8.3.4
伝熱量の算出法 内外温度差1℃につき1時間当たりの伝熱量Q'は,次の式によって算出する。
Q'=S×K10
ここに,
Q': 伝熱量 (kJ/h) {kcal/h}
S: 伝熱面積 (m2)
K10: 断熱壁の中心温度10℃における熱貫流率 (kJ/m2h℃)
{kcal/m2h℃}
8.4
気密試験
8.4.1
内部加圧方法 内部加圧方法は,図6に示す方法によって,保冷庫の漏れ空気量に等しい補充空気
量を計測し,次によって行う。
(1) 保冷庫内に送風しながら差圧計が8.2.2に規定する圧力(以下,試験圧力という。)を保持するよう流
量加圧弁を調整する。
(2) 差圧計の指示が試験圧力を示し,保冷庫内の圧力変化がないことを確認したときの流量計の示す値を
7
Z 0614-1991
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
計測する。
図6 内部加圧方法
8.4.2
内部減圧方法 内部減圧方法は,図7に示す方法によって,保冷庫の漏れ空気量に等しい補充空気
量を計測し,次によって行う。
(1) 保冷庫内の空気を排出しながら差圧計が試験圧力を保持するよう流量加圧弁を調整する。
(2) 差圧計の指示が試験圧力を示し,保冷庫内の圧力変化がないことを確認したときの流量計の示す値を
計測する。
図7 内部減圧方法
8.5
始動性能試験 最大積載質量を,パレットの積載面に均一に負荷して水平面上で車輪を運行と同方
向にし,5分間放置した後,取っ手の位置に水平な力を加え,始動力を測定し,始動抵抗係数を次の式に
よって算出する。
下向きの力
たときの総重量による
最大積載質量を積載し
始動力
始動抵抗係数=
8.6. 試験成績表 試験成績表の様式は,付表1による。
9. 検査 検査は,性能,構造及び寸法について行い,5.〜7.の規定に適合しなければならない。
10. 製品の呼び方 製品の呼び方は,規格の名称又は規格番号及び種類又は記号による。
例 JIS Z 0614 CRB-1
又はコールドロールボックスパレット 1種
11. 表示 パレットには,見やすい箇所に容易に消えない方法で次の事項を表示する。
(1) 種類又は記号
(2) 熱貫流率
(3) 製造業者名又はその略号
(4) 製造年月又はその略号
8
Z 0614-1991
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
付表1
9
Z 0614-1991
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
長谷川 良 雄
社団法人食品流通システム協会(顧問)
森 田 光 俊
通商産業省生活産業局
伊 東 厚
工業技術院標準部
外 山 宏 正
郵政省郵務局業務運行課
梁 瀬 仁
山梨大学
稲 束 原 樹
日本物流管理協議会
上 田 靖 治
日本通運株式会社作業指導部
渡 辺 恒 二
ヤマト運輸株式会社作業改善部
染 谷 昇
社団法人日本チェーンストア協会
秋 葉 満
株式会社パブコ技術部市販設計課
黒 川 俊 樹
日本生活協同組合物流部
花 岡 勇
花岡産業株式会社
日 野 清
株式会社大日パレット製作所
河 野 宏
日本軽金属株式会社産業資材部
水 野 則 文
関東工業株式会社営業部
浜 本 哲 司
社団法人日本パレット協会
(事務局)
山 本 宏
社団法人日本パレット協会