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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

Z 0320-1997 

銅及び銅合金用気化性腐食抑制剤 

Volatile corrosion inhibitor for copper and copper alloys 

1. 適用範囲 この規格は,銅及び銅合金の腐食抑制に用いる気化性腐食抑制剤について規定する。 

備考1. 気化性腐食抑制剤は,銅及び銅合金の腐食抑制に効力をもち,常温で昇華性がある化合物又

はその化合物を主成分とする混合物からなる。 

2. この規格の引用規格を,次に示す。 

JIS H 3100 銅及び銅合金の板及び条 

JIS H 3110 りん青銅及び洋白の板及び条 

JIS K 0050 化学分析方法通則 

JIS K 1503 アセトン 

JIS R 3503 化学分析用ガラス器具 

JIS R 6251 研磨布 

JIS R 6252 研磨紙 

JIS R 6253 耐水研磨紙 

JIS Z 1514 ポリエチレン加工紙 

2. 用語の定義 この規格に用いる主な用語の定義は,JIS K 0050によるほか,次による。 

(1) 銅合金 黄銅及びりん青銅 

(2) 気相腐食抑制性 気化性腐食抑制剤が気相状態で,銅及び銅合金の変色又は腐食の防止に効果を発揮

する性質。 

3. 種類 気化性腐食抑制剤の種類は,その使用範囲によって,表1のとおり分類する。 

表1 気化性腐食抑制剤の種類 

種類 

使用範囲 

1種 

銅に限り使用可能なもの 

2種 

銅及び銅合金に使用可能なもの 

4. 品質 品質は,5.によって試験したとき,表2のとおりとする。 

表2 気化性腐食抑制剤の品質 

種類 

ポリエチレン加
工紙との共存性 

銅に対する気相

腐食抑制性 

銅合金に対する
気相腐食抑制性 

1種 

異常がないこと 

A級又はB級 

− 

2種 

異常がないこと 

A級又はB級 

A級又はB級 

注 A級及びB級の表示は,表3による。 

Z 0320-1997  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

5. 試験方法 

5.1 

一般事項 試験において共通する一般事項は,JIS K 0050による。 

5.2 

ポリエチレン加工紙との共存性 

5.2.1 

要旨 ポリエチレン加工紙をポリエチレン面を内側にした袋とし,この中に気化性腐食抑制剤を入

れ,規定温度に規定時間保持した後,袋を開封して,ポリエチレン加工紙の異常の有無を調べる。 

5.2.2 

材料 ポリエチレン加工紙は,JIS Z 1514に規定する3級 片面 SS50。 

5.2.3 

装置及び器具 装置及び器具は,次のとおりとする。 

(1) 恒温槽 65±2℃に調節できるもの。 

(2) おもり 底の平らな質量5kgのもの。 

(3) 円筒 外径75mm,長さ50mmの銅製のもの。 

5.2.4 

試験体 試験体は,ポリエチレン加工紙を300×225mmの大きさに切り,ポリエチレン面を内側に

して,長手方向に半分に折り畳み,折り目に対し均一に荷重が掛かるようにおもりを30秒間載せ,次に,

150mmの2辺を熱封かんして作製した袋の中に,円筒と0.1gの気化性腐食抑制剤を入れ,余分な空気を

追い出した後,口を熱封かんして組み立てたもの。 

5.2.5 

操作 試験体を65±2℃に保った恒温槽に入れ,5日間保持した後,取り出して室温まで放冷し,

熱封かん部を切り取り,円筒を取り除き,ポリエチレン加工紙を開く。このポリエチレン加工紙のポリエ

チレン面を上にして,固定した直径約6mmのガラス棒又は金属棒にその長手方向が直角になるようにし

て,180度折り曲げ,棒に押しつけるようにしてその両端を数回交互に引っ張る。 

次に,これを広げて,ポリエチレン加工紙のはく離,膨潤,割れなどの異常の有無を調べる。この試験

は3個の試験体について同時に行い,3枚のポリエチレン加工紙中2枚以上に異常が認められた場合は,

異常が発生したものと判定する。 

また,3枚中1枚に異常が認められた場合は更に試験を繰り返し,再び3枚中1枚以上に異常が認めら

れた場合は,異常が発生したものと判定する。 

5.3 

気相腐食抑制性 

5.3.1 

要旨 ペトリ皿に気化性腐食抑制剤を入れたものを広口瓶の底部に置き,その回りに水を入れ,試

験片は広口瓶のゴム栓からつるし,この試験体を規定温度に規定時間保持した後,試験片の変色並びに腐

食の有無を調べる。 

5.3.2 

試薬及び材料 試薬及び材料は,次のとおりとする。 

(1) アセトン JIS K 1503に規定するもの。 

(2) 銅板 JIS H 3100に規定するC1100P。 

(3) 黄銅板 JIS H 3100に規定するC3713P。 

(4) りん青銅板 JIS H 3110に規定するC5191P。 

(5) 研磨布 JIS R 6251に規定するA,P400。 

(6) 研磨紙 JIS R 6252に規定するA,P400。 

(7) 耐水研磨紙 JIS R 6253に規定するC,P400。 

5.3.3 

装置及び器具 装置及び器具は,次のとおりとする。 

(1) 恒温槽 循環加熱型で,50±2℃に調節できるもの1台,5±2℃に調節できるもの1台及び30±2℃に

調節できるもの1台とし,このうち,30±2℃に調節できる恒温槽は,50±2℃に調節できるもの及び

5±2℃に調節できるもののいずれかを共用してもよい。 

(2) 広口共栓瓶 JIS R 3503に規定する1 000mlのもの。 

Z 0320-1997  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(3) ペトリ皿 内径約40mm,高さ約15mmのもの。 

(4) 平バット 底面積1 000cm2以上,高さ50mm以上のもの。 

(5) ゴム栓 黒色ゴム栓又はシリコーンゴム栓の#23。 

(6) フック 径約1mm,ステンレス鋼製。 

(7) デシケーター 内容積500ml以上のもの。 

5.3.4 

試験片及び試験体 

(1) 試験片 

(1.1) 試験片の作製 1種については40×60×3.0mmの大きさに切った銅板を,2種については40×60×

3.0mmの大きさに切った銅板,黄銅板及びりん青銅板を用意する。 

なお,各金属板は短辺近くの中央部に,つり下げ用の直径約3mmのあなをあける。 

(1.2) 試験片の調製 試験片の調製は,次のとおりとする。 

(a) 研磨 研磨布又は研磨紙で初め短辺方向に,次いで長辺方向に研磨し,約1日,デシケーター中に

保持する。試験に先立ちこれを取り出し,水100〜200mlを流しながら,耐水研磨紙で長辺方向に1

分間研磨する。 

(b) 清浄 研磨を終えた試験片を,直ちに洗瓶に入れたアセトンで洗い流し,次いで200mlのアセトン

中で,研磨面を清浄なガーゼなどでぬぐい,更に温アセトンに浸し,引き上げて風乾する。この操

作は1枚ごとに行う。 

(2) 試験体 

(a) ペトリ皿に気化性腐食抑制剤0.1gを平滑に散布し,これを広口瓶の底部中央に置く。 

(b) 試験片はゴム栓の中央に通したステンレス鋼製フックによって,ゴム栓の底部からその上部が約

50mmの位置にくるようにつり下げる。 

(c) 広口瓶は(b)のゴム栓をし,30±2℃の恒温槽中で18時間保持した後,室温に1時間保持し,その後,

調湿のため水20mlを,広口瓶底部のペトリ皿の周りに入れる。その状態を図1に示す。 

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Z 0320-1997  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図1 気相腐食抑制性試験用試験体 

5.3.5 

操作 この試験体を5±2℃に保った恒温槽に2時間保持した後取り出し,温度50℃の水を約30mm

の高さに張った平バット中に3分間置き,次いで50±2℃に保った恒温槽中に3時間保持する。 

試験後,試験体を取り出し,室温に戻した後,アセトンに浸してから引き上げて風乾し,目視によって

試験面の変色又は腐食の状態を調べる。その評価は表3のとおりとする。 

表3 試験片の評価 

等級 

目視評価 

A級 

全く変化がないもの 

B級 

極くわずかに変色したもの 

C級 

わずかに変色したもの 

D級 

はっきり変色したもの 

E級 

激しく変色又は腐食したもの 

この試験は,3個の試験体について同時に行い,3枚中2枚以上がC級以下と評価された場合は,変色

又は腐食したものと判定する。 

また,3枚中1枚だけがC級以下と評価された場合は試験を繰り返し,再び3枚中1枚以上がC級以下

と評価された場合は,変色又は腐食したものと判定する。 

この試験には,気化性腐食抑制剤を用いないで空試験を同時に行い,空試験の試験片が3枚中1枚でも

A級又はB級と評価された場合は,試験をやり直す。 

6. 検査 検査は,5.2〜5.3の試験を行ったとき,表2の規定に合格しなければならない。 

7. 包装 紫外線及び外気を透過しないように,かつ,気化性腐食抑制剤が散逸しないように,適切な方

法で包装し,包装の単位は,原則として100g又はその倍数とする。 

Z 0320-1997  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

8. 製品の呼び方 製品の呼び方は,規格の名称及び種類による。 

例 銅及び銅合金用気化性腐食抑制剤 1種 

9. 表示 気化性腐食抑制剤の包装には,次の事項を見やすいところに表示しなければならない。 

(1) 規格の名称及び種類 

(2) 製造業者名又はその略号 

(3) 製造年月又はその略号 

(4) 包装の単位 (g)  

JIS Z 0320 銅及び銅合金用気化性腐食抑制剤工業標準新規原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

○ 高 橋 教 司 

高橋技術士事務所 

細 川 幹 夫 

通商産業省基礎産業局化学製品課 

橋 本 城 二 

通商産業省生活産業局紙業印刷業課 

岡 林 哲 夫 

工業技術院繊維化学規格課 

加 山 英 男 

財団法人日本規格協会技術部調査研究課 

小 林 健 三 

慶應義塾大学 

阿 部   要 

社団法人日本包装技術協会包装研究所 

○ 深 町 一 彦 

社団法人日本銅センター(日鉱金属株式会社倉見工場) 

鈴 木 竹 四 

日本伸銅協会(三菱伸銅株式会社開発センター) 

坂 野   乗 

東光電気株式会社機器製造部 

飯 田 純 三 

日本電気株式会社マイクロ波事業部 

○ 外 川 靖 人 

日本テストパネル工業株式会社 

守 屋 正 裕 

株式会社大林組技術研究所 

大 井 康 生 

太平製紙株式会社 

浜 田 弘 介 

王子製紙株式会社研究所 

○ 山 内 敏 行 

城北化学工業株式会社 

伊 藤   勝 

日本加工製紙株式会社 

○ 正 木 征 史 

株式会社大和化成研究所 

○ 藤 田 敏 雄 

キレスト株式会社商品開発研究所 

(事務局) 

神 尾 和 男 

社団法人日本防錆技術協会 

○印は、小委員会の委員を兼ねる。