サイトトップへこのカテゴリの一覧へ

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

Z 0301-1989 

防湿包装方法 

Method of Moisture−Proof Packaging 

1. 適用範囲 この規格は,吸湿性のない製品又は吸湿許容量が少ない製品を包装するときに,包装内容

物を湿気の災害から保護するために,防湿包装材料及び包装用乾燥剤(以下,乾燥剤という。)を用いて乾

燥状態に保つ防湿包装方法について規定する。 

備考1. 防湿包装方法のうち,金属,金属製品及び金属部品のさびの発生を防ぐことを目的とする包

装方法については,JIS Z 0303(さび止め包装方法通則)による。 

2. 内容物にとって過度の乾燥が好ましくない場合には,適用しない。 

引用規格: 

JIS Z 0208 防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法) 

JIS Z 0303 さび止め包装方法通則 

JIS Z 0701 包装用シリカゲル乾燥剤 

2. 包装方法 包装方法は,次による。 

(1) 包装内容物は,防湿包装を行うとき,乾燥状態にする。 

(2) 防湿包装材料は,透湿度が小さく,包装に適する(1)ものを用いる。 

注(1) 包装に適するとは,主として次のことをいう。 

(1) 包んだり折り畳んでも,その性能が低下しないこと。 

(2) 容易に封じることができること。 

(3) 輸送中の振動などによって,ピンホールが発生しない材料であること。 

(3) 柔軟包装材料を用いる包装の場合は,ヒートシールなどによって密封する。剛性容器の継ぎ目,ふた

などは完全に目止めをするか,パッキンなどを使用して密封する。包装の表面積は,できるだけ小さ

くする。 

(4) 包装内の吸湿性のある包装材料(2)は,あらかじめ乾燥させて使用するのが望ましい。 

注(2) 吸湿性のある包装材料とは,防湿包装の内部に入る紙・段ボールなどの容器,紙,段ボール,

フェルトなどの緩衝材料,止め木,当て木などをいう。 

3. 乾燥剤 乾燥剤は,次に示すいずれかのものを用いる。 

なお,乾燥剤は,化学的に不活性なもので,潮解性のないものを用いる。ただし,化学的活性・潮解性

のあるものであっても,袋などの中に乾燥剤又はその潮解液が漏れないように密封するなどして,包装及

び内容物に有害とならないような措置が施されている場合には,使用することができる。 

(1) JIS Z 0701(包装用シリカゲル乾燥剤)に適合するもの。 

(2) 相対湿度と乾燥剤の平衡吸湿量との関係が,必要な範囲で明示されているもの。 

Z 0301-1989  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(3) 結晶水をもつ無機塩類などで,その結晶が平衡する相対湿度又はその塩類の飽和溶液の平衡する相対

湿度が明示されているもの。 

4. 乾燥剤の使用方法 乾燥剤は透湿性の大きい材料で作られた袋又は容器に入れて使用する。乾燥剤は,

包装を密封する直前に手早く封入する(3)。 

なお,乾燥剤を入れた袋は,移動や破裂を防ぐために包装内に固定し,また,包装内容物の乾燥を必要

とする部分に接近して置く。 

注(3) 乾燥剤は透湿性のない気密容器に入れて保存し,使用直前に必要量だけを取り出して用いるこ

ととし,外気にさらす時間はできるだけ少なくする。 

5. 乾燥剤の使用量 乾燥剤の使用量は,次による。 

(1) 防湿包装材料による包装の場合の乾燥剤の使用量は,次の式によって算出する。 

(

)

(

)

D

K

C

C

K

h

h

t

A

R

W

×

2

2

1

2

1

2

1

10

 ··················································· (1) 

ここに, W: 乾燥剤の使用量 (g) 
 

R: JIS Z 0208[防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)]の

条件Bによる防湿包装材料の透湿度 (g/m2・24h) 

A: 防湿包装の表面積 (m2) 

t: 包装期間(4)(日) (=24h) 

h1: 包装期間中の外気の平均湿度 (%) 

h2: 包装期間中の包装内部の平均湿度(5) (%) 

K1: 防湿包装材料の種類と,包装期間中の平均温度θ℃によって

定まる係数(6) 

C1: 使用開始時の乾燥剤の吸湿率 (%) 

C2: 包装内部に許容される最高限度の相対湿度における乾燥剤

の平衡吸湿率 (%) 

K2: 包装内の吸湿性のある包装材料の吸湿率によって定まる係

数(7) 

D: 包装内の吸湿性のある包装材料の質量 (g) 

注(4) 包装期間中の温度・湿度の変化が大きい場合には,包装期間を適当に区分してそれぞれの期間

の乾燥剤の使用量を計算して,これを加えてもよい。 

(5) 概算値としては,初期の包装内湿度と包装内に許容される最高限度の湿度との中間値をとる。 

(6) K1の値は,次の式によって計算する。 

90

1

40

40

1

pp

P

P

K

θ

θ

 ······································································ (2) 

ここに, 

Pθ: 包装期間中の平均気温θ℃における防湿包装材料の透湿率 

(g・cm/cm2・s・kPa) 

P40: 40℃における防湿包装材料の透湿率 (g・cm/cm2・s・kPa) 

pθ: θ℃における飽和水蒸気分圧 (kPa) 

p40: 40℃における飽和水蒸気分圧 (kPa) 

参考 各種包装用フィルムの各種温度におけるK1の値を参考表に示す。 

background image

Z 0301-1989  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

参考表 

θ℃ 

フィルム 

40 

35 

30 

25 

20 

15 

10 

ポリエステル 

11.1×10−3 

7.3×10−3  4.9×10−3 3.1×10−3 2.0×10−3 

1.27×10−3 

0.81×10−3 

0.48×10−3 

低密度ポリエチレン 

11.1×10−3 

7.0×10−3  4.5×10−3 2.8×10−3 1.8×10−3 

1.05×10−3 

0.63×10−3 

0.36×10−3 

高密度ポリエチレン 

11.1×10−3 

6.9×10−3  4.4×10−3 2.7×10−3 1.7×10−3 

1.0 ×10−3 

0.59×10−3 

0.33×10−3 

ポリプロピレン 

11.1×10−3 

6.9×10−3  4.3×10−3 2.5×10−3 1.6×10−3 

0.92×10−3 

0.53×10−3 

0.29×10−3 

ポリ塩化ビニリデン 

11.1×10−3 

6.5×10−3  3.9×10−3 2.2×10−3 1.3×10−3 

0.74×10−3 

0.40×10−3 

0.21×10−3 

注(7) K2は,次の式によって算出する。 

1

2

3

4

2

C

C

C

C

K

 ············································································ (3) 

ここに, C1: 包装開始時の乾燥剤の吸湿率 (%) 
 

C2: 包装内に許容される最高限度の湿度における乾燥剤の平衡

吸湿率 (%) 

C3: 包装内に許容される最高限度の湿度における吸湿性のある

包装材料の平衡吸湿率 (%) 

C4: 包装内に入れるときの吸湿性のある包装材料の吸湿率 (%) 

(2) R=0,D=0のときの乾燥剤の使用量は,次の式によって算出する。 

(

)

2

1

2

10−

×

C

C

H

V

W

 ··································································· (4) 

ここに, 

V: 包装内容物の容積を除いた包装容器内の空間容積 (m3) 

H: 包装時の温湿度における絶対湿度 (g/m3) 

C1: 包装開始時の乾燥剤の吸湿率 (%) 

C2: 包装内に許容される最高限度の湿度における乾燥剤の平衡

吸湿率 (%) 

6. 表示 乾燥剤を使用した包装の外部には,次の事項を表示する。 

(1) “乾燥剤使用防湿包装”の文字 

(2) 包装年月日 

(3) 注意書き(8) 

注(8) “乾燥剤使用”,“開封厳禁”などの注意書きを記す。 

Z 0301-1989  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

参考 

計算例 乾燥剤使用量の計算例を次に示す。 

例1: 製品をポリスチレンフォームで固定し,厚さ0.08mmの低密度ポリエチレンフィルムの袋に入

れて密封し,これを段ボール箱に収納するとき,袋内の湿度を50%以下に保つために必要な,

JIS Z 0701に規定するA形2種の乾燥剤の量の計算を式(1)によって行うとき,式(1)の各記号は

次のようになる。 

R=5g/m2・24h,C1=2.5%,C2=20%,A=0.52m2,t=90日,h1=80%,h2=25%,K1:θ℃=

25℃としたとき0.002 8,D=0g 

(

)

(

)

g

W

206

10

5.2

20

0028

.0

25

80

90

52

.0

5

2

×

×

×

×

×

例2: 製品及び附属品を入れた40×30×25cmの段ボール箱12個を,厚さ0.2mmの低密度ポリエチレン

フィルムで防湿包装したうえ,木箱包装するとき,包装内を湿度40%以下に保つために必要な

包装用塩化カルシウム乾燥剤の量の計算を式(1)及び式(3)によって行うとき,両式の各記号は次

のようになる。 

なお,包装用塩化カルシウム乾燥剤には,次の事項が表示されているものとする。 

無水塩化カルシウム (CaCl2) の含有量 

15% 

初期吸水率 

32%(CaCl2ベース)(1) 

湿度40%以下に保つことができる最大吸水率 

87%(CaCl2ベース)(2) 

注(1) CaCl2→CaCl2・2H2Oの吸水率 

(2) CaCl2→CaCl2・2H2O→CaCl2・4H2O→飽和溶液の吸水率 (40℃) 

R=2.4g/m2・24h, C1=32%, C2=87%, A=3.06m2, 

t: θ℃=20℃,h1=70%,h2=35%に60日,K1=0.001 8 

θ℃=35℃,h1=90%,h2=35%に30日,K1=0.007 0 

K2:C1=32%, C2=87%, C3=5.0%, C4=9.5% 

D:1個の質量=300g,12個で3 600g 

(

)

(

)

g

W

5.

50

10

32

87

0018

.0

35

70

60

06

.3

4.2

2

1

×

×

×

×

×

(

)

(

)

g

W

2.

154

10

32

87

0070

.0

35

90

30

06

.3

4.2

2

2

×

×

×

×

×

g

D

K

5.

294

3600

32

87

5

5.9

2

×

W=W1+W2+K2・D=50.5+154.2+294.5=499.2g 

無水塩化カルシウム15%を含む乾燥剤の使用量は, 

g

3328

15

.0

2.

499=

例3: 内容積0.2m3の金属缶に,充てん率70%で製品を充てんして完全密封する。このときの外気の気

温・湿度が30℃,65%である場合,金属缶内の湿度を20%以上にしないために必要なJIS Z 0701

に規定するA形2種の乾燥剤の量の計算を式(4)によって行うとき,式(4)の各記号は次のように

Z 0301-1989  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

なる。 

V=0.2× (1−0.7) =0.06m3 

H=29.6×0.65=19.2g/m3 

C1=2.5% 

C2=8% 

(

)

g

W

9.

20

10

5.2

8

2.

19

06

.0

2=

×

×

JIS Z 0301(防湿包装方法)改正原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

高 橋 文 男 

製品安全協会 

松 倉 浩 司 

通商産業省生活産業局 

飛 田   勉 

工業技術院標準部 

亀 川 利 雄 

社団法人日本海上コンテナ協会 

笠   治 雄 

日本郵船株式会社技術開発センター 

林 田 洋 一 

松下通信エンジニアリング株式会社包装助成部 

具足島 良 昭 

ソニー株式会社品質・信頼性推進部 

岩 田 和 彦 

株式会社東芝生産技術推進部 

高 山 臣 旦 

三菱電機株式会社物流部 

笹 崎 達 夫 

レンゴー株式会社包装技術部 

桜 井   孝 

株式会社ヒカワマリン営業第二部 

篠 崎 市 郎 

篠崎技術士事務所 

安 西   徹 

旭硝子株式会社化学品製造部 

(事務局) 

佐々木 春 夫 

社団法人日本包装技術協会 

幸 田 孝 一 

社団法人日本包装技術協会