2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日
本工業規格である。これによってJIS Z 0205-1961は改正され,この規格に置き換えられる。
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Z 0205 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
Z 0205 : 1998
包装貨物−水平衝撃試験方法
Packaged freights−Method of horizontal impact tests
序文 この規格は,1985年に第1版として発行されたISO 2244:1985, Packaging−Complete, filled transport
pack-ages−Horizontal impact tests (horizontal or inclined plane test : pendulum test) を元に,対応する部分(適
用範囲及び試験方法)については対応国際規格を翻訳し,技術的内容を変更することなく作成した日本工
業規格であるが,対応国際規格には規定されていない規定内容(傾斜面試験機の滑走車用引上げ設備及び
自動けん引装置)を日本工業規格として追加した。
なお,点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格にはない事項である。
1. 適用範囲 この規格は,包装貨物の水平衝撃試験(水平面試験,傾斜面試験及び振子試験)の方法に
ついて規定する。試験は,水平衝撃の影響を調査する単独試験として,又は水平衝撃を含む流通方式に耐
える包装貨物の能力を測定するように計画された,一連の試験の一部として実施することができる。
備考 この規格の中で{ }を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであって,参
考値である。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版を適用する。
JIS P 8127 紙及び板紙の水分試験方法
JIS Z 0201 試験容器の記号表示方法
備考 ISO 2206, Packaging−Complete, filled transport packages−Identification of parts when testingか
らの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。
JIS Z 0203 包装貨物試験の前処置
備考 ISO 2233, Packaging−Complete, filled transport packages−Conditioning for testingからの引用事
項は,この規格の該当事項と同等である。
JIS Z 2101 木材の試験方法
3. 装置
3.1
一般 包装貨物に水平速度を与えて,衝突面との衝突によって水平衝撃を加える衝撃試験装置は,
次の条件を備えていなければならない。
3.2
衝突面
a) 次のいずれかとする。
1) 傾斜面試験機では,垂直に対して10±1°傾けた面
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2) 水平面試験機又は振子試験装置では,垂直に対して1°以内の面
b) 衝突面の寸法は,包装貨物の衝撃作用面より大きいものとする。
c) 衝突面は,衝撃によって容易に損傷を生じることのないよう十分な剛性をもつものとする。
備考 衝突面は,表面のいずれかに15.7MPa {160kgf/cm2} の荷重を加えたとき,0.25mmを超えるゆ
がみを生じないようにする。
d) 供試包装物の特定部分に衝撃を集中させる場合には,その目的に適合する障害物を衝突面に設けるこ
とができる。
3.3
傾斜面試験機 傾斜面試験機の主要な部分は,水平面に対し10°傾斜した2本のレールをもつ傾斜
滑走台,滑走路,滑走車及び衝撃板からなり,次の条件を備えていなければならない(参考図1参照)(1)。
注(1) 目的によって,滑走台の長さは任意でよい。
a) 傾斜滑走台及び滑走路
1) 試験のとき動揺がないように,堅固に作られていなければならない。
2) 滑走路は滑走が支障なくできるように,滑らかで湾曲がなく,また,滑走車を衝撃板から任意の位
置に置くために,距離の目盛を表示する。
3) 滑走用レールは鋼製で,水平面に対し10±1°傾斜し,滑走車が滑走したとき脱線しないような装
置とする。
4) 滑走車が衝撃板に衝突したときの速度を測定できる装置又はグラフを備え付ける。
5) 滑走車を引き上げるために綱及びウインチを備え,さらに滑走路の所要の位置から自然状態又は同
一条件で繰り返し発走させるための,自動けん引装置を備え付ける。
b) 滑走車
1) 滑走車は,剛性のある車台に鋼製の車輪を備えたものとする。
2) 車台の表面には,ボルト,くぎ類など試験結果に影響を及ぼす突起物がないものとする。
3) 車輪の直径は75mm以上で,車軸には,玉軸受又はころ軸受を用いる。
c) 衝撃板
1) 滑走路の最下端に備え付け,滑走車の運動方向に対し90°で,衝撃に対し十分耐えるような剛構造
とする。
2) 衝突面は,3.2の規定に適合し,表面にはボルト,くぎ類など試験結果に影響を及ぼすような突起物
がないものとする。
3) 衝撃板の下部は,衝突面と同一面とするか,滑走車が停止する前に包装貨物が衝突面に衝突するよ
うに,滑走車が衝撃板の下を約100mm移動できる構造とする。その場合,滑走車が衝撃を受けた
後,包装貨物が跳ね返るのを防ぐための緩衝装置を設けることが望ましい。
3.4
水平面試験機 水平面試験機の主要部分は,水平面に固定された2本のレールをもつ滑走路,滑走
車及び衝撃板からなり,次の条件を備えていなければならない。
a) 滑走路
1) 滑走路は,滑走が支障なくできるように,滑らかで湾曲がないものとする。
2) 滑走用レールは鋼製で,滑走車が滑走したとき脱線しないような装置とする。
b) 滑走車
1) その速度が衝突の瞬間に分かるような方法で,機械的に駆動できるものとする。
2) 滑走車と供試包装貨物との間の表面摩擦は,包装貨物が休止から衝突までの運動の間は滑走車上で
移動しないが,衝突の時点では自由に移動するような程度とする。
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3) 滑走車が衝撃板に衝突したときの速度を測定できる装置を備え付ける。
c) 衝撃板
1) 衝突面は,3.2の規定に適合しなければならない。
2) 滑走路の一端に備え付け,その面が滑走路に沿って滑走車の運動方向に対し1°以内で直角とする。
3.5
振子試験装置 振子試験装置の主要部分は,供試品を搭載する長方形の支持台,それを懸垂する鋼
製の棒又はロープ及び衝撃板からなり,次の条件を備えていなければならない。
a) 供試品を搭載する長方形の支持台は,供試品を搭載したとき,変形しないよう十分な剛性をもち,供
試品を搭載する際に懸垂用の鋼製の棒又はロープがじゃまにならない程度の大きさをもつものとする。
b) 長方形の支持台を懸垂する鋼製の棒又はロープは,支持台の休止位置において正面端部が衝撃板表面
に接するような位置で懸垂し,懸垂方式は支持台が自由に動けるものとする(参考図2参照)。
備考 小形の包装貨物だけの試験を行う場合には,1本の棒又はロープでつり下げる構造としてもよ
い。
c) 支持台が衝撃板に衝突したときの速度を測定できる装置を備え付ける。
3.6
衝撃測定装置 必要な場合には,供試品の最大加速度を測定できる測定装置を備えるとよい。
4. 供試品
4.1
容器の記号表示は,JIS Z 0201によって,長方形以外の場合もこれに準じて適切な方法で記号を表
示する。
4.2
供試品の数は,3個以上が望ましい。
4.3
供試品は実際の内容品を入れたものか,又はこれらと類似の内容品を入れたものとする。供試品の
包装は,すべて出荷と同じ状態で行い,必要に応じて密封,封かん,テープばり,結束などを施す。
4.4
供試品は試験に先立ち,JIS Z 0203によって前処理を行い,必要に応じて浸水,散水などを行う。
4.5
容器材料の含水率を知る必要がある場合,紙箱はJIS P 8127によって,木箱は,JIS Z 2101による。
5. 試験方法
5.1
衝突時の速度及び衝突回数 衝突時の速度及び衝突回数は.試験の目的によって定める。
5.2
供試品の姿勢
a) 面又はりょうに衝撃を与える場合は,供試品の面又はりょうと衝撃板の衝突面との角度が2°以下と
なるようにする。
b) 直方体供試品の縦方向のりょうに衝撃を与える場合,所定の姿勢となるように置いたときの供試品の
面と衝突面との角度に対するずれは,±5°又は±10%のいずれか大きい方を超えないようにする。
5.3
傾斜面試験の手順
a) 供試品の衝撃を受ける面又はりょうを衝撃板の構造によって,次のいずれかの位置に置く。
1) 滑走車の前端に合わせる。
2) 滑走車の前端から5cm前方に出す。
b) 所定の衝突速度に対応する位置まで滑走車を引き上げて離す。
5.4
水平面試験の手順
a) 供試品が衝撃板の衝突面に所定の姿勢で当たるように,供試品を滑走車上に搭載する。
b) 滑走車が鋼製レール上を移動して,衝撃板の衝突面に所定の速度で衝突するよう操作する。
5.5
振子試験の手順
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a) 供試品が衝撃板の衝突面に所定の姿勢で当たるよう,供試品を支持台上に搭載する。
b) 所定の衝突速度に対応する位置まで,支持台を衝撃板から引き上げて,振子を離す。
6. 試験報告 試験報告には,次の事項を記載する。
a) 内容品の明細(品名,種類,質量,類似品の場合はその詳細など)
b) 供試品の総質量,体積,寸法,構造,材料及び包装方法
c) 供試品の個数
d) 使用した試験機の形式及びその仕様
e) 採用した試験方法及び条件(方法別,衝突速度,回数,試験時の供試品の姿勢,特別に衝突面に設け
た障害物の位置及び内容,この規格の規定事項との差異,必要なら最大加速度など)
f)
試験前に,供試品に加えた条件
g) 試験結果の記録(変形,損傷などの有無及びその状況)
h) 試験年月日,試験室の温度及び相対湿度
i)
試験結果に対する総合意見
j)
日本工業規格の番号及び/又は国際規格の番号
k) 試験者の署名
l)
その他,特に記録すべき事項
参考図1 傾斜衝撃試験装置
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参考図2 振子試験装置
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整合化推進委員会
氏名
所属
(委員長)
西 原 主 計
神奈川工科大学工学部
(副委員長)
高 森 秀 夫
日本包装学会
(副委員長)
佐々木 春 夫
社団法人日本包装技術協会
吉 本 孝 一
通商産業省生活産業局
前 川 武 也
工業技術院標準部
橋 本 繁 晴
財団法人日本規格協会
大 泉 真 也
ソニー株式会社
絹 野 浩 二
第一製薬株式会社
越 山 了 一
日本包装専士会
佐久間 強
株式会社川島製作所
田 中 芳 雄
製品安全協会
豊 田 實
吉田精機株式会社
成 瀬 清 治
ライオン株式会社
浜 本 哲 司
社団法人日本パレット協会
松 田 孝 司
株式会社日立物流
松 本 宏 一
株式会社住重プラテック
三 浦 美 次
株式会社日通総合研究所
横小路 祥 二
凸版印刷株式会社
(事務所)
阿 部 要
社団法人日本包装技術協会
新 井 康 政
社団法人日本包装技術協会
対比検討・原案作成分科会
氏名
所属
(主査)
高 森 秀 夫
日本包装学会
大 泉 真 也
ソニー株式会社
豊 田 實
吉田精機株式会社
成 瀬 清 治
ライオン株式会社
浜 本 哲 司
社団法人日本パレット協会
松 田 孝 司
株式会社日立物流
三 浦 美 次
株式会社日通総合研究所
(事務所)
阿 部 要
社団法人日本包装技術協会
新 井 康 政
社団法人日本包装技術協会