Z 0202:2017
(1)
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 前処置···························································································································· 3
5 供試品···························································································································· 3
6 装置······························································································································· 3
6.1 落下試験装置及び落下面 ································································································· 3
6.2 衝撃試験装置及び計測装置 ······························································································ 4
7 試験方法························································································································· 5
8 試験報告························································································································· 5
附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································· 7
Z 0202:2017
(2)
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,公益社団法人日本
包装技術協会(JPI)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を
改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格で
ある。
これによって,JIS Z 0202:1994は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
日本工業規格 JIS
Z 0202:2017
包装貨物−落下試験方法
Method of drop test for packaged freights
序文
この規格は,1985年に第2版として発行されたISO 2248を基に,落下試験を実施する際に必要な要求
事項を加えたため,技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。
変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。
1
適用範囲
この規格は,輸送過程で落下衝撃を受ける包装貨物の落下試験方法について規定する。
この規格には,垂直自由落下試験方法以外に片支持りょう落下試験方法及び衝撃試験装置による等価落
下試験方法を含む。
なお,クラフト紙袋の落下試験方法については,JIS Z 0217による。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 2248:1985,Packaging−Complete, filled transport packages−Vertical impact test by dropping
(MOD)
なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
ことを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS B 0153 機械振動・衝撃用語
JIS Z 0104 段ボール用語
JIS Z 0108 包装−用語
JIS Z 0111 物流用語
JIS Z 0201 試験容器の記号表示方法
注記 対応国際規格:ISO 2206,Packaging−Complete, filled transport packages−Identification of parts
when testing(MOD)
JIS Z 0203 包装貨物−試験の前処置
注記 対応国際規格:ISO 2233,Packaging−Complete, filled transport packages−Conditioning for
testing(MOD)
ISO 8568,Mechanical shock−Testing machines−Characteristics and performance
2
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3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS B 0153,JIS Z 0104,JIS Z 0108及びJIS Z 0111によるほか,
次による。
3.1
落下高さ
垂直自由落下試験における,包装貨物の最低点と落下面の最短距離(図1参照)。片支持りょう落下試験
においては,あらかじめ指定された包装貨物のりょうと落下面の最短距離(図2参照)。
3.2
等価落下試験
衝撃試験装置を用いて,垂直自由落下試験と等価な衝撃を包装貨物に発生させる試験。緩衝包装を施し
た包装貨物に適用する。垂直自由落下試験に比べ安定した落下姿勢を保つことができる。
3.3
等価自由落下高さ
衝撃試験装置によって加えた衝撃を,垂直自由落下試験における落下高さに換算した値。
3.4
速度変化
衝撃台の衝突速度と反発速度の絶対値の和。衝撃パルスの面積に相当。
図1−落下試験装置の例
3
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図2−片支持りょう落下試験の例
4
前処置
供試品は試験に先立ち,JIS Z 0203の規定によって前処置を行う。この場合,前処置の温湿度条件は,
試験の目的によって定める。
さらに,必要に応じて浸水,散水などを施す。ただし,この条件以外の特別な試験条件を必要とする場
合には,受渡当事者間の協定によって実施することができるが,その旨を試験報告書に記載する。
5
供試品
供試品は,次による。
a) 供試品の記号表示は,JIS Z 0201の規定による。
b) 供試品は実際の内容品を入れたものか,又はこれと類似の内容品を入れたものとする。供試品の包装
は,全て出荷と同じ状態で行い,必要に応じて密封,封かん,結束などを施す。
6
装置
6.1
落下試験装置及び落下面
垂直自由落下試験を行う際の試験装置は,次の条件を備えていなければならない(図1参照)。
a) 落下又は衝撃が正しく行えるように供試品を任意の姿勢に保つことができる。
b) 任意の落下高さを正確かつ容易に調整できる。
c) 供試品の取扱い及びつり上げが容易にできる。
d) 供試品を損傷しないような昇降装置をもつ。
e) 落下面は,次のとおりとする。
1) 落下面を構成する部材の質量は,供試品の質量の50倍以上であることが望ましい。
2) 表面上のいずれの2点においても水平差は2 mm以下とする。
3) 表面上のいかなる点においても,98 N/100 mm2の静荷重で0.1 mm以上の変形を生じない。
4) 供試品が完全に落下できるような十分な大きさをもつものとする。
5) 落下面は,コンクリート,石,鋼板などの堅固な材料で構築する。
4
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6.2
衝撃試験装置及び計測装置
6.2.1
衝撃試験装置
衝撃試験装置は,衝撃台,衝撃波形発生装置及び計測装置で構成制御し,再現性のある機械衝撃を与え
ることによって,耐衝撃性を測定することができる一連の装置で,次の条件を備えていなければならない
(図3参照)。
a) 衝撃試験装置の主な特性は,ISO 8568に準拠したものとする。
b) 供試品を取り付ける衝撃台は十分な剛性をもち,試験中は水平に保たれ,落下方向以外に移動しない
ようなガイドによって保持している。
c) 衝撃台上に発生できる衝撃パルスは,正弦半波状で衝撃パルス作用時間が3 ms以下まで可能であるこ
とが望ましい。
d) 所定の速度変化を発生させるための衝撃台の高さの設定は,正確かつ容易に調整でき,所定の速度変
化に対応する再現性は±5 %である。
e) 衝撃台は,所要の衝撃パルスを発生後に二次衝撃を防止する機能をもつ。
f)
衝撃台は,供試品の落下姿勢を保持する器具が取りつけられる構造である。
図3−衝撃試験装置の例
6.2.2
計測装置
計測装置を構成する加速度ピックアップ,増幅器,演算装置,記録装置などは,次の条件を備えていな
ければならない。
− 周波数は1〜2 000 Hzの範囲内で,平たん(±1 dB以内)とする。
− 加速度は,±2 %以内の精度で測定できるもの。
− 速度変化は,±3 %以内の精度で測定できるもの。
− ローパスフィルタの遮断周波数は,1 000 Hz以上又は衝撃パルスの基本周波数の5倍以上とする。
− 衝撃加速度波形,加速度,作用時間及び速度変化の各々を観測又は記録できるもの。
6.2.3
加速度ピックアップの取付け
加速度ピックアップは,衝撃台上の供試品に加わる加速度を代表する箇所に堅固に固定する。接続コー
5
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ドは衝撃台の移動による影響を受けないように保持する。
7
試験方法
試験は,次のいずれかによって行う。
なお,それぞれの試験においては,落下高さ(等価自由落下高さ),落下部位及び落下回数は,試験の目
的によって定める。
a) 垂直自由落下試験 垂直自由落下試験は,次によって行う。
1) 落下姿勢の設定
1.1) 面落下 供試品の設定は,水平度±2°とし,落下面に衝突するときの水平度も±2°が望ましい
(図1参照)。
1.2) りょう落下及び角落下 落下するときの姿勢は,供試品の重心からの鉛直線が,衝撃を与えるり
ょう又は角を通過するようにする(図1参照)。
なお,重心とりょう又は角を結ぶ直線が鉛直線となす角度の許容量は±5°とする。また,りょ
う落下の設定時におけるりょうの水平度は,±2°とする。
2) 落下高さの誤差の許容量 許容量は±2 %又は±10 mmのいずれか大きい方とする。
b) 片支持りょう落下試験 片支持りょう落下試験は,次によって行う。
1) 落下姿勢の設定 供試品の一つのりょうを支持台で支え,もう一方のりょうを規定の高さに持ち上
げ落下させる(図2参照)。
2) 落下高さの誤差の許容量 許容量は±2 %又は±10 mmのいずれか大きい方とする。
c) 等価落下試験 等価落下試験は,次によって行う。
1) 落下姿勢の設定
1.1) 面落下 衝撃を与える面を衝撃台に接するように置く。
1.2) りょう落下及び角落下 供試品の重心からの鉛直線が,衝撃を与えるりょう又は角を通過するよ
うに,衝撃台上に落下姿勢を保持する器具を用いて置く。
なお,重心とりょう又は角を結ぶ直線が鉛直線となす角度の許容量は±5°とする。
2) 供試品の取付け 衝撃台の跳ね上りによって供試品に二次衝撃が発生するのを防止するため,供試
品を押さえ板,ネットなどによって軽く拘束する。
3) 衝撃パルスの作用時間 作用時間は,3 ms以下が望ましい。正弦波衝撃パルスの作用時間が3 ms
のとき,等価落下試験が実施可能な包装貨物の固有振動数は,おおむね83 Hz以下となり,これ以
上の高い固有振動数を有する包装貨物に対しては,等価落下試験は適応しない。
4) 衝撃台の速度変化 所定の等価自由落下高さを発生させるような速度変化を設定する。
速度変化は,次の式によって求める。
h
v
g
2
=
∆
ここに,
Δv: 衝撃台の速度変化
g: 重力加速度
h: 等価自由落下高さ
8
試験報告
試験報告書には,次の事項を記載する。
6
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a) 内容品の明細(品名,種類,質量など)
b) 供試品の総質量,体積,寸法,材料,構造及び包装方法
c) 供試品の個数
d) 使用した試験装置の形式及びその仕様
e) 採用した試験方法及び条件(落下部位,落下高さ,速度変化,落下回数など)
f)
試験前に供試品に加えた条件
g) 試験結果の記録(変形,損傷などの有無及びその状況)
h) 試験年月日,並びに試験室の温度及び相対湿度
i)
規定された試験方法からの逸脱事項及びその事由
j)
試験結果に対する総合所見
k) 試験者の署名
l)
その他特に必要な事項
参考文献 JIS Z 0119 包装及び製品設計のための製品衝撃強さ試験方法
JIS Z 0200 包装貨物−性能試験方法一般通則
JIS Z 0217 クラフト紙袋−落下試験方法
JIS Z 0232 包装貨物−振動試験方法
JIS Z 0240 包装用構造体緩衝材料−評価試験方法
7
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附属書JA
(参考)
JISと対応国際規格との対比表
JIS Z 0202:2017 包装貨物−落下試験方法
ISO 2248:1985,Packaging−Complete, filled transport packages−Vertical impact test by
dropping
(I)JISの規定
(II)
国際規
格番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
1 適用範囲 包装貨物の落下試
験について規定
1
JISとほぼ同じ
追加
JISでは垂直自由落下試験法以外に
実施している,片支持りょう落下試
験方法及び衝撃試験装置による等
価落下試験方法を含めた。
必要な規定であり,次回ISO規格
見直しのときに提案する。
3 用語及び
定義
−
−
追加
JISではこの規格で使われている用
語を規定した。
規格を理解しやすくするために必
要な規定であり,実質的な差異は
ない。
4 前処置
前処置について規
定
5
JISとほぼ同じ
追加
JISでは,必要に応じて浸水,散水
などを施すこと及び特別な試験条
件を必要とする場合は,受渡当事者
間の協定及び報告によることを規
定
日本においては,試験当事者間の
取り決めとして必要なため,次回
ISO規格見直しのときに提案す
る。
6 装置
6.1 垂直自由落下試
験を行う際の試験
装置の要求事項を
規定
4
JISとほぼ同じ
変更
JISでは垂直自由落下装置に必要な
要求事項を規定した。
ISO規格には一部規定されていな
い要求事項があり,試験の精度を
高めるため,次回ISO規格見直し
のときに提案する。
6.2 衝撃試験装置・
計測装置の要求事
項を規定
−
−
追加
JISでは衝撃試験装置及び計測装置
に必要な計測系の装置の要求事項
を規定した。
ISO規格には規定されていない
が,試験結果の精度を高める要求
事項のため,次回ISO規格見直し
のときに提案する。
2
Z
0
2
0
2
:
2
0
1
7
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(I)JISの規定
(II)
国際規
格番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
の評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
7 試験方法 a) 垂直自由落下試
験の要求事項を規
定
7
JISとほぼ同じ
変更
JISでは垂直自由落下試験を実施す
る場合の試験精度向上のための規
定を追加した。
ISO規格には一部規定されていな
い要求事項があり,試験の精度を
高めるため,次回ISO規格見直し
のときに提案する。
b) 片支持りょう落
下試験の要求事項
を規定
−
−
追加
JISでは片支持りょう落下試験を実
施する場合の試験方法を規定
ISO規格には規定されていない
が,片支持りょう落下試験は必要
な試験であり,試験の精度を高め
る要求事項のため,次回ISO規格
見直しのときに提案する。
c) 等価落下試験の
要求事項を規定
−
−
追加
JISでは等価落下試験を実施する場
合の試験方法を規定
ISO規格には規定されていない
が,等価落下試験は必要な試験で
あり,試験の精度を高める要求事
項のため,次回ISO規格見直しの
ときに提案する。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 2248:1985,MOD
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更 ················ 国際規格の規定内容を変更している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD ··············· 国際規格を修正している。
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