Z 0130-6:2015 (ISO 18606:2013)
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 3
2 引用規格························································································································· 3
3 用語及び定義 ··················································································································· 4
4 原則······························································································································· 5
5 基本的要求事項 ················································································································ 5
5.1 成分の制限 ··················································································································· 5
5.2 評価 ···························································································································· 6
5.3 試験を必要としない例外事項 ··························································································· 6
6 詳細要求事項 ··················································································································· 7
6.1 一般 ···························································································································· 7
6.2 包装の特性分析 ············································································································· 7
6.3 究極生分解度 ················································································································ 7
6.4 崩壊 ···························································································································· 8
6.5 植物成長を支えるコンポスト能力に対する負の影響の確認 ····················································· 8
7 結果の宣言 ······················································································································ 9
8 試験の報告 ······················································································································ 9
附属書A(規定)規制されている金属及びその他環境に有害な物質の最大濃度例 ····························· 10
附属書B(規定)高等植物に対する生態毒性影響の求め方 ··························································· 11
附属書C(参考)フローチャート ··························································································· 12
附属書D(参考)この規格の要求事項への適合に対する評価チェックリストの推奨書式 ···················· 15
附属書E(参考)有機的リサイクルに適切な包装の確認方法の例 ·················································· 16
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(2)
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まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,公益社団法人日本包装技術協会(JPI)及び
一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があ
り,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
JIS Z 0130の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS Z 0130-1 第1部:一般的要求事項
JIS Z 0130-2 第2部:包装システムの最適化
JIS Z 0130-3 第3部:リユース
JIS Z 0130-4 第4部:マテリアルリサイクル
JIS Z 0130-5 第5部:エネルギー回収
JIS Z 0130-6 第6部:有機的リサイクル
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日本工業規格 JIS
Z 0130-6:2015
(ISO 18606:2013)
包装の環境配慮−第6部:有機的リサイクル
Packaging and the environment-Part 6: Organic recycling
序文
この規格は,2013年に第1版として発行されたISO 18606を基に,技術的内容及び構成を変更すること
なく作成した日本工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。
包装は,ほとんど全ての工業,全ての産業分野及び全てのサプライチェーンにおいて大変重要な役割を
担っている。適正な包装は,製品の損失を防止するために欠くことができないものであり,結果として,
環境への負荷を減少させる。効果的な包装は,次のような事項によって,持続可能な社会の達成に貢献を
なす。
a) 内容物保護,安全性,取扱い性及び情報表示性に関する消費者ニーズへの適合
b) 資源の効率的使用及び環境負荷最小化
c) 流通段階でのコスト抑制
包装の環境評価には,その回収又は廃棄処理システムと同様に,製造及び流通システム,包装材料及び
製品の損失,並びに関係する収集システムが含まれると考えられる。JIS Z 0130-1〜JIS Z 0130-6(以下,
この規格群という。)は,次の事項を目指すための一連の手法を提供する。
d) 環境負荷を低減する。
e) 製品,包装及びサプライチェーンにおける革新を支援する。
f)
包装の使用に対する過度の規制を排除する。
g) 通商に対する障壁及び規制を予防する。
包装は,製品の収納,保護,情報,便利さ,ユニット化,荷扱い,配送,陳列など多くの機能を使用者
及び製造業者に提供するように設計されている。包装の主要な役割は,製品の損傷及び損失を予防するこ
とである[包装の機能のリストについては,JIS Z 0130-1の附属書A(包装が果たす機能のリスト)を参
照]。
JIS Z 0130-1は,そのライフサイクル全体を通しての包装の環境負荷を網羅するJIS Z 0130-2〜JIS Z
0130-6の相互の関係を規定する(図1参照)。これらの規格は,特定の包装が最適化できたかどうか,ま
た,使用後にリユース又は回収できることを確実にするために包装を修正する必要があるかどうかを明確
にするための手助けになると期待される。
これらの規格の要求事項に適合していることの証明は,第一者(製造業者又は供給者)若しくは第二者
(使用者又は購入者)によって,又は第三者(独立機関)の支援によって行うことができる。
包装の環境属性に関しては,あるときはリユース又は回収の技術的側面,そうでない場合はリユース若
しくは回収システムを利用する人口又は回収市場に提供される包装の量に関係し,これら側面からのアプ
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ローチが必要である。
この規格群の一連の規格は,包装の技術的側面に関する規定であり,JIS Q 14021の宣言又は表示に関す
る要求事項に関係するものではない。
図1−この規格群の体系
包装の目的は,製品の収容,保護,荷扱い,配送及び告知である。資源の節約及び廃棄物の最少化のた
めに,包装が関連する全てのシステムが最適化されていることが望ましい。これには使用済み包装のリユ
ース及びリサイクル同様,包装材料を削減することを含んでいる。工業的好気的コンポスト化,又はコン
ポスト化と対で行われる嫌気的消化は,使用済み包装の最終処分量を削減する一方でリサイクルオプショ
ンを増加させる。この規格は,包装が有機的リサイクルによる再生に適合するための基準について規定す
る。
有機的リサイクル,有機的回収及び微生物的リサイクルという用語は,コンポスト製造(工業的コンポ
スト化プラントによる)又はコンポスト及びバイオガス製造(嫌気的消化設備による)において互換可能
な用語として使われている。有機的リサイクルに適した包装の例を,附属書Eに示す。
JIS Z 0130-1
包装の環境配慮−第1部:一般的要求事項
JIS Z 0130-4
包装の環境配慮−
第4部:マテリアルリサイクル
JIS Z 0130-5
包装の環境配慮−
第5部:エネルギー回収
JIS Z 0130-6
包装の環境配慮−
第6部:有機的リサイクル
YES
判断
JIS Z 0130-3
包装の環境配慮−
第3部:リユース
NO
包装の寿命後
JIS Z 0130-2
包装の環境配慮−第2部:包装システムの最適化
附属書C
環境に有害な物質又は混合物の評価及び最少化
3
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1
適用範囲
この規格は,有機的リサイクルに適した包装と判定するための手順及び要求事項について規定する。包
装は,全ての個々の部品が要求事項に適合している場合にだけ有機的リサイクルによってリサイクル可能
とみなす。したがって,この規格にある要求事項に適合しない部品が僅かでもあれば,包装は有機的リサ
イクルによってリサイクルできないとみなす。しかし,要求事項に適合しない部品が廃棄前に簡単な物理
的手段で分離できる場合には,物理的に分離した個々の部品は,有機的リサイクル可能とみなすことがで
きる。
この規格は,使用済み包装の有機的リサイクルの評価を目的としており,製品の残留物によるリサイク
ル性阻害について規制するものではない。
この規格は,使用済み包装が最終的に土壌環境中で埋め立てられる場合の生分解性に対する要求事項を
提示するものでもない。また,使用済み包装の散乱・放置,及び家庭に設置した小規模な処理装置に対し
ても適用しない。
この規格は,各々の包装の部品に対して,次の四つの側面について規定する。
a) 生分解性
b) 生物学的な廃棄物処理工程における崩壊性(すなわち,コンポスト化)
c) 生物学的なプロセスへの悪影響
d) 生成したコンポストの品質への悪影響(これには規制されている金属及びその他環境に有害な物質が
高濃度で含有されていることを含む。)
注記1 “コンポスト化可能”,“地方自治体及び工業的なコンポスト施設においてコンポスト化可能
な包装”又は“コンポスト化中に生分解可能”という表現は,この規格の目的からして,“有
機的にリサイクル可能”と同義である。
この規格を適用する一般的な手順は,JIS Z 0130-1に規定されている。
注記2 この規格の対応国際規格及び対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 18606:2013,Packaging and the environment−Organic recycling(IDT)
なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”
ことを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 6950 プラスチック−水系培養液中の好気的究極生分解度の求め方−閉鎖呼吸計を用いる酸素
消費量の測定による方法
注記 対応国際規格:ISO 14851,Determination of the ultimate aerobic biodegradability of plastic
materials in an aqueous medium−Method by measuring the oxygen demand in a closed respirometer
(IDT)
JIS K 6951 プラスチック−水系培養液中の好気的究極生分解度の求め方−発生二酸化炭素量の測定
による方法
注記 対応国際規格:ISO 14852,Determination of the ultimate aerobic biodegradability of plastic
materials in an aqueous medium−Method by analysis of evolved carbon dioxide(IDT)
JIS K 6952 プラスチック−パイロットスケールにおける規定されたコンポスト化条件下でのプラス
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チック材料の崩壊度の求め方
注記 対応国際規格:ISO 16929,Plastics−Determination of the degree of disintegration of plastic
materials under defined composting conditions in a pilot-scale test(MOD)
JIS K 6953-1 プラスチック−制御されたコンポスト条件下の好気的究極生分解度の求め方−発生二
酸化炭素量の測定による方法−第1部:一般的方法
注記 対応国際規格:ISO 14855-1,Determination of the ultimate aerobic biodegradability of plastic
materials under controlled composting conditions−Method by analysis of evolved carbon dioxide−
Part 1: General method(MOD)
JIS K 6953-2 プラスチック−制御されたコンポスト条件下の好気的究極生分解度の求め方−発生二
酸化炭素量の測定による方法−第2部:実験室規模における発生二酸化炭素の質量測定方法
注記 対応国際規格:ISO 14855-2,Determination of the ultimate aerobic biodegradability of plastic
materials under controlled composting conditions−Method by analysis of evolved carbon dioxide−
Part 2: Gravimetric measurement of carbon dioxide evolved in a laboratory-scale test(MOD)
JIS K 6954 プラスチック−実験室規模の模擬コンポスト化条件下でのプラスチック材料の崩壊度の
求め方
注記 対応国際規格:ISO 20200,Plastics−Determination of the degree of disintegration of plastic
materials under simulated composting conditions in a laboratory-scale test(MOD)
JIS Z 0108 包装−用語
注記 対応国際規格:ISO 21067,Packaging−Vocabulary(MOD)
JIS Z 0130-1 包装の環境配慮−第1部:一般的要求事項
注記1 対応国際規格:ISO 18601,Packaging and the environment−General requirements for the use of
ISO standards in the field of packaging and the environment(IDT)
注記2 対応国際規格のミスプリントのため,引用規格として追記した。
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS Z 0108及びJIS Z 0130-1によるほか,次による。
3.1
コンポスト(compost)
有機土壌調節材。主として,種々の植物残さ,場合によっては,他の有機物質からなる混合物の生分解
によって得られ,限られた無機物質を含有する。
3.2
コンポスト化(composting)
堆肥(主として植物残さから成る混合物の生分解によって得られ,場合によっては他の有機物質及び一
部の無機物質を含有する土壌調節材)を製造するために設計された好気的プロセス。堆肥化ともいう。
3.3
崩壊(disintegration)
物質の極めて小さい破片への物理的な分解。
3.4
全乾燥固形物(total dry solids)
試験材料又はコンポストの既知量をとり,105 ℃で乾燥して一定質量(恒量)になったときの固形物。
5
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3.5
究極生分解性(ultimate biodegradability)
微生物による,酸素の存在下で有機化合物が,二酸化炭素,水,及び存在する他の元素の無機塩(無機
質化)並びに新たなバイオマスへ分解する性質,又は酸素が存在しない状態で二酸化炭素,メタン,金属
塩及び新たなバイオマスへ分解する性質。
3.6
揮発性固形分(volatile solids)
既知量の試験材料又はコンポストを約550 ℃で燃焼した後の残さを,同じ試料の全乾燥固形物から差し
引いて得られる固形物。
注記 揮発性固形分の含有量は,有機物の量の尺度である。
3.7
包装の部品(packaging component)
手又は簡単な物理的手段によって切り離すことができる包装の一部。
3.8
包装の成分(packaging constituent)
手又は簡単な物理的手段によって切り離すことができない,包装又はその部品の一部。
3.9
有機的リサイクル(organic recycling)
微生物の活動による,好気的分解(コンポスト化)及び嫌気的消化(メタン生成)の工業的プロセス。
注記 埋立て及び散乱・放置は,有機的リサイクルに当てはまらない。
3.10
嫌気的消化(anaerobic digestion)
生分解性包装材料を,メタンを主成分とするバイオガスと消化物とに分解する,中温又は高温を好む嫌
気性菌及び通性菌にとって適した温度下で,自由酸素がなく,管理された状態で行われる,制御された分
解。
4
原則
この規格の目的は,その包装が有機的リサイクルによってリサイクル可能と主張するための要求事項を
規定することである。有機的リサイクルは,工業的な堆肥化プラント又は嫌気的消化プラントで行う。
全ての部品が有機的リサイクルに適していれば,包装は有機的リサイクルに適しているとみなされる。
また,包装の個々の部品がそれぞれ規格の要求事項に適合しているならば,それらは有機的リサイクルに
よってリサイクル可能とみなされる。包装の部品及び包装の材料の適合性は,この規格に規定する試験手
順で確認する。
5
基本的要求事項
5.1
成分の制限
包装又はその材料が有機的リサイクル可能と分類されることを意図しているものにあっては,附属書A
に示す物質に加えて,環境に有害であることが分かっているか又はそうであると予期される成分を意図的
に使用してはならない。
6
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5.2
評価
5.2.1
一般
5.3での規定を除く,包装及びその部品の生物学的処理の可能性の評価には,最小限,次の五つの評価手
順を踏まなければならない。
− 特性分析(5.2.2)
− 生分解性(5.2.3)
− 生物学的処理プロセスに対する影響を含む崩壊性(5.2.4)
− コンポスト品質(5.2.5)
− 識別性(5.2.6)
5.2.2
特性分析
検討対象の包装材料は,試験に先立ち,少なくとも次の点について確認し,特性分析をしなければなら
ない。
− 包装材料の成分に関する情報及び特定
− 環境に有害な物質,特に,規制されている金属の存在の判定
− 生分解試験及び崩壊性試験に使用する包装材料の有機炭素含有量,全乾燥固形物及び揮発性固形分の
測定
注記 揮発性固形分の化学的特性に加え,規制されている金属が全く存在しないということはあり得
ないので,規制されている金属の合格レベルの例を,附属書Aに示す。
5.2.3
生分解性
有機的リサイクル可能と判定されるためには,包装,包装の材料又は包装の部品は,実験室での試験で
究極的に生分解性であることが示されなければならず,また6.3に示しているレベルに合格しなければな
らない。
5.2.4
崩壊
有機的リサイクル可能と判定されるためには,包装,包装の材料又は包装の部品は,生物学的処理プロ
セスにおいて,いかなる目に見える悪影響を与えることもなく,6.4に示す合格レベルまで崩壊しなければ
ならない。
5.2.5
コンポスト品質
有機的リサイクル可能と判定されるためには,生物学的処理に適用しようとする包装,包装の材料又は
包装の部品は,6.5に規定にされるコンポストの品質の評価において悪影響があると評価されてはならない。
5.2.6
識別性
生物学的処理に投入しようとする包装又は包装の部品は,適切な手段によって最終使用者が有機的リサ
イクル可能ということを認識できるようにしなければならない。
5.3
試験を必要としない例外事項
5.3.1
等価的な形状
有機的リサイクル可能と証明しようとする包装の材料が,以前に異なる形状でリサイクル可能と判定さ
れていれば,それと比較して単位表面積当たりの質量及び/又は肉厚が,同等又は小さければ,有機的リ
サイクル可能と認める。
5.3.2
天然由来の材料
木材,木材繊維,木綿繊維,でん粉,紙パルプ,バガス,麻などの天然素材で化学的に変性していない
包装の材料及び包装の部品は,5.2.2の特性分析を行い,6.4の崩壊性及び6.5のコンポスト品質の基準を
7
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満たしていれば,6.3の試験をすることなく,生分解可能と認める。
6
詳細要求事項
6.1
一般
この規格の要求事項に適合させるためには,包装又は包装の材料は6.2〜6.5に規定している全ての特性
を具備していることを証明しなければならない。
6.2
包装の特性分析
6.2.1
規制されている金属その他の物質
包装中に含有する規制されている金属その他の環境に有害な物質の濃度は,その包装が,最終製品とし
て上市又は廃棄される国で定められた,附属書Aに示される上限を超えてはならない。金属,その他の元
素,及び環境に有害な物質を取り扱う国家又は地域の適用可能な規制に従うことが使用者の責任である。
6.2.2
最小揮発性固形分
包装又は包装の部品の最低50 %は,揮発性固形分でなければならない。
6.3
究極生分解度
6.3.1
好気的生分解度
好気的生分解度の究極レベルは,管理された条件下での試験で確定しなければならない。
JIS K 6953-1又はJIS K 6953-2に従って試験をした場合,6.3.1.2に規定した期間内で6.3.1.1に規定した
最小生分解率に達した包装は,生分解度について十分な速度及びレベルであるとみなされる。
究極好気的生分解度は,全ての材料又は各有機成分に対して測定しなければならない。乾燥質量に対し
て1〜10 %の割合で存在する成分については,別々に生分解度のレベルを決定しなければならない。
1 %未満の濃度で存在する成分については,生分解度は測定しなくてもよい。しかし,そのような成分
の総量は5 %を超えてはならない。
包装の材料又はその中の特徴的な有機成分の究極生分解度に関する明確な情報を提供する生分解度試験
だけを用いなければならない。試験する材料のタイプ及び特性に対して不適切でない限り,制御された好
気的コンポスト化試験(JIS K 6953-1又はJIS K 6953-2)を用いなければならない。代替試験法が必要な
場合には,国際的に標準化された生分解度試験法を選択するのがよい。高分子材料の場合は,JIS K 6950
及びJIS K 6951による。
6.3.1.1
二酸化炭素への転換
絶対的生分解度を示すためには,有機炭素の90 %が,試験期間の終了時には二酸化炭素に転換されてい
なければならない。代替法として,標準物質中の炭素から二酸化炭素への転換に対する,試料中の炭素か
ら二酸化炭素への転換の比率が90 %以上あれば,相対的生分解度があるとすることができる。
標準物質及び試料の両方とも同じ期間でコンポスト化を行い,両方の活性が横ばい状態に達した後の同
じ時点で結果を比較する。用いる標準物質はマイクロクリストランセルロース(微結晶セルロース粉体)
とする。標準物質は,この生分解度試験方法が用いられた認証基準に適合しなければならない。
注記 生分解試験では高分子から二酸化炭素への転換に加えて,繊維質バイオマス及び腐植物質への
転換も含まれるが,これらの転換生成物を定量化するための標準試験方法又は仕様はない。そ
のような試験方法及び仕様が入手できるようになれば,この規格は改正されることが望ましい。
6.3.1.2
試験期間
試験期間は,180日間を超えてはならない。
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6.3.2
嫌気的生分解
嫌気的生分解のレベルは,ISO 14853又はJIS K 6960を用いた制御された条件における試験によって,
最初の嫌気的処理期に回収されたバイオガスの量から立証される。
多くの商業的バイオガス化プラントでは,続いて好気的コンポスト化処理を行うため,嫌気的生分解の
程度に関する合否要求基準はない。この規格の要求事項に適合させるため,包装又は包装の材料は,6.2〜
6.5に規定している基準に適合しなければならない。
6.4
崩壊
6.4.1
一般
包装は,包装の残さが最終的なコンポストにおいて他の有機物質と容易に識別できないようになるまで,
生物学的処理において崩壊しなければならない。つまり,コンポスト化試験終了後のふるい分け試験で,
ふるい上に残ったもののうち著しい量が包装の材料に由来するものであってはならない。
制御されたコンポスト化試験において,12週間後に2 mmのふるいでふるい分けした後,ふるい上に残
った大きなかけらが全固形量の10 %以下であれば,包装は十分に崩壊性があると見なされる。残さの粒及
び小片の色,構造,大きさ,湿り気,明るさ及び光沢がコンポストと差がなければ,全体をコンポストで
あると認められる。
この試験は,JIS K 6952のパイロットスケール試験に従って行うものとする。代替法としてJIS K 6954
のラボスケール試験も用いることができる。結果が異なる場合は,JIS K 6952の結果を優先しなければな
らない。
さらに,フルスケールの工業的なコンポスト試験は,それが確立された方法であり,かつ,試験期間,
サンプル濃度,崩壊の分析的評価が同等である場合に限り,使用することができる。しかし,フルスケー
ル試験には標準的な方法が存在しないため,得られた結果には詳細な資料を添付するのがよい。
注記1 典型的な天然素材を工業的にコンポスト化する場合,代表的なものの試験期間は12週間であ
る。
包装及び内容物とからなる完成品の形で試験を行う場合,試験は使用しようとするものと同じ形の完成
品で始めなければならない。フィルム,容器及び発泡体のように幾つかの異なる厚さ及び密度をもつ製品
及び材料に対しては,化学的組成及び構造が同じであるならば,最も厚いか又は最も密度の高い製品及び
材料だけ試験すればよい。
注記2 コンポストの外観的な見方に特別な注意を払わなければならない。使われた包装材料のコン
ポスト化残さによって,コンポストの外観が顕著に変化し,美観的な受容性が減少してはな
らない。
6.4.2
試験期間
試験期間は,12週間(84日)とする。
6.5
植物成長を支えるコンポスト能力に対する負の影響の確認
6.5.1
一般
試験の開始時点で対象包装材料を添加した試験コンポストと添加してないブランクのコンポストとを比
較した際,対象の包装材料は,植物成長を支えるコンポストの能力に負の影響をもってはならない。包装
のコンポスト化が最終的なコンポスト又は環境に対していかなる有害な影響をももたず,また,該当する
国又は地域の規制及び法律に適合するためには,6.5.2に規定している全ての要求事項を満たさなければな
らない。
9
Z 0130-6:2015 (ISO 18606:2013)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
6.5.2
発芽率
最終コンポストの発芽率及びコンポスト中の植物バイオマス含有量は,試験の開始時点で対象物質を添
加していないブランクコンポストの90 %を下回ってはならず,この値はOECD指針208を基本とし,必
要な修正を加えた附属書Bに従って求める。植物毒性試験に使用するコンポストは,JIS K 6952に従って
10 %のサンプル濃度のものを準備しなければならない。
7
結果の宣言
結果の宣言については,次のとおりである。
− 箇条6に規定した全ての要求事項に適合した包装だけ,“有機的にリサイクル可能”,“コンポスト化可
能”又は“コンポスト化中に生分解可能”とみなされる。
− 全ての部品が有機的リサイクルに適しているならば,その包装は有機的リサイクルに適していると認
められる。包装の個々の部品がそれぞれ規格の要求事項を満たしている場合は,それらは有機的リサ
イクル可能とみなされる。
− 有機的リサイクル可能な包装に充塡された食品が,通常使用の後,包装の中に一部又は全部が残った
場合であっても,その包装は有機的リサイクル可能である。
8
試験の報告
試験の報告には,次の事項を含む全ての関連する情報を記載しなければならない。
a) 試験した製品又は材料の特定及び説明するために必要な全ての情報
b) 規制されている金属及びその他の環境に有害な物質に関する6.2.1に関係する全ての規格,指針及び規
制の引用文書(規制されている金属及びその他の環境に有害な物質の一覧表を提示しなければならず,
それぞれの引用文書を特定し,規制されている金属及び環境に有害な物質の規定の限度,試験によっ
て求められた濃度,及び規定の限度に対するパーセンテージについて記載する。)
c) 要求事項に対し試験結果が適合しているか否かについて,参照した文書中の関連する要求事項及び各
要求事項に対する状況に関する説明
d) 評価結果の記録
試験報告書の書式例を,附属書Dに示す。
10
Z 0130-6:2015 (ISO 18606:2013)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書A
(規定)
規制されている金属及びその他環境に有害な物質の最大濃度例
この規格は,規制されている金属の同定のための詳細な試験方法を規定するものではない。しかし,使
用される試験方法は,ISO/IEC 17025又は他の適切と認められた規格に合致する試験機関で評価し,妥当
と判断された試験方法を用いることが好ましい。適用可能な国際規格の試験方法を使えない場所では,適
切な公表された国家規格を参照するとよい。その試験機関は,抽出手順と定量分析との両方において,取
り得る最良の方法を用いて分析結果の金属総含有量を保証する責任がある。
環境に有害な物質は,JIS Z 0130-2の附属書C(環境に有害な物質又は混合物の評価及び最少化)に従
って識別し,また,評価することが望ましい。識別及び評価は法の要求を順守しなければならない。表A.1
にリストされていない国々では,その国の規定に従わなければならない。
表A.1−規定金属及びその他環境に有害な物質の最大濃度(固形分のmg/kg)
元素
米国a)
カナダb)
欧州c)
日本d)
Zn
1400
463
150
180
Cu
750
189
50
60
Ni
210
45
25
30
Cd
17
5
0.5
0.5
Pb
150
125
50
10
Hg
8.5
1
0.5
0.2
Cr
−
265
50
50
Mo
−
5
1
−
Se
50
4
0.75
−
As
20.5
19
5
5
F
−
−
100
−
Co
−
38
−
−
注a) ASTM D 6400の要求どおり,米国の最大金属濃度は,40 CFR 503.13の表3で規定している数値の
50 %である。
b) カナダの最大金属濃度は,BNQ 9011-911-I:2007の6.1で規定している。
c) EN 13432の要求どおり,欧州の最大金属濃度は,土壌改良者に対するコミュニティエコラベル賞
(EC OJ L 219, 7.8.1998, p.39)の生態学的な基準で規定されている数値の50 %である。
d) 我が国の最大金属濃度は,肥料取締法(農林水産省)及びコンポスト品質に関する指針(全国農業
協同組合中央会)で規定している数値の10 %である。
11
Z 0130-6:2015 (ISO 18606:2013)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書B
(規定)
高等植物に対する生態毒性影響の求め方
B.1
一般
測定は,化学物質の試験に関するOECD指針208“陸生植物試験,苗の発芽及び成長試験”を原則とし
て行う。この原理に従い,必要な変更を加え,この附属書に提示した。
B.2
対照土壌の性質
植物の発芽能及び成長性が通常レベルであれば,どのような対照土壌を使用してもよい。それはコンポ
ストサンプルと似た組成及び構造をもつことが望ましい。肥料は添加してはならない。好適な対照土壌は,
コンポスト品質の分析のための欧州各国の規格に規定されたもの全てであり,例えば,標準土壌EE0
(Bundesgütegemeinschaft Kompost e. V., Germany),クレイ粒子との栽培物質混合物(ÖNORM S2023),又
は泥炭とけい砂との混合物が挙げられる。
B.3
サンプルの調製
コンポスト20 %及び50 %(質量分率であるか又は容積分率であるかを報告書に記載)と対照土壌から
なる混合物を調製する。試料(サンプルコンポスト)及び試料を加えず調整したブランクから得たブラン
クコンポストをそれぞれ使用する。
B.4
植物種の選択
次の各々の属から最低2種類の植物種を使用する。
Monocotyledonae(例えば,夏大麦:Hordeum vulgare,小麦:Triticum aestivum,ライグラス:Lolium perenne);
Dicotyledonae(例えば,シロガラシ:Sinapis alba,コショウソウ:Lepidium sativum,ラディッシュ:Raphanus
sativus,緑豆:Phaseolus aureus)
B.5
試験の実施
各トレイに最低200 gのサンプル(B.3参照)を入れ,その上に最低100個の種(B.4参照)を加える。
さらに,けい砂又はパーライトのような不活性物質の薄い層で種を覆う。各混合物について三つの試験を
並行して行う。保水力の70〜100 %になるまで水を加える。全試験期間にわたり蒸留水を定期的に散水す
ることが必要である。
注記 発芽期間中,トレイを暗所で維持するか,それらを覆うと更によい。
B.6
結果の評価
発芽数(成長した植物数),サンプルコンポスト及び対照コンポストの植物バイオマスを全ての混合比率
で比較する。発芽率及びバイオマスは,共に対照コンポストから得た対応する数値に対する百分率で計算
する。
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Z 0130-6:2015 (ISO 18606:2013)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書C
(参考)
フローチャート
[1] スタート
[2] 評価対象の包装は複数
の部品を含む。
[3] 部品一つだけ
[4] 部品は一つより多い
[6] 厚さ,質量及び表面積を測定
[5] それぞれの部品は認証
済みである。
[7] 最後[33]へ
[8] 評価対象の
材料は以前に評価された
ことがある。
[9] より大きな厚さ,
質量及び表面積のサンプルを
用いて認証された。
[11] 崩壊性の評価だけ行う。
[25]に進み,[27]で停止。
[10] これ以上の試験は要求
されない。最後[33]へ
[12] 揮発性固形分の測定
[13] 揮発性固形分は
50 %より多い。
不受理
不受理
[14] 規制されて
いる金属は制限値以下
である。
はい
はい
はい
はい
いいえ
いいえ
いいえ
いいえ
はい
いいえ
はい
いいえ
13
Z 0130-6:2015 (ISO 18606:2013)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
[15] 環境に有害な物質の識別及び評価
[16] JIS Z 0130-2の
附属書Cの基準に合致しているか,
又は法の要求を遵守している。
[23] 1〜10 %の構成成分を
個別に試験する。
[18] その包装の
原料は天然由来で化学的に
加工されていない。
はい
はい
いいえ
不受理
いいえ
[17] 包装の部品の成分の特定。
注記 これらの成分の総合計が5 %未満の場合,個々の
1 %未満の成分については微生物分解試験は不要。
はい
いいえ
[20] 生分解度の評価
[21] 全ての構成成分が
1〜10 %にある。
[25] 生分解度は
90 %を超える。
いいえ
はい
[19] 微生物分解試験は不要。
[25]に進む。
不受理
[22] 包装の部品の試験
[24] 生分解度は
90 %を超える。
いいえ
不受理
[26] ラボ,パイロット又はフルスケールの崩壊度試験評価
[27] コンポスト化試験後のふるい分け試験及び残さの評価
評価
はい
14
Z 0130-6:2015 (ISO 18606:2013)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
いいえ
不受理
はい
いいえ
不受理
はい
[29] そのコンポスト
化プロセスに負の影響
がある。
[28] 2 mm未満の破片
が90 %よりも多い。
[30] 最終コンポストの品質の決定
[31] [25]から得られたサンプルとブランクから得られ
たサンプルとを使用する植物毒性試験の実施
[32] サンプルコンポスト
とブランクコンポストとの間に
目立った違いがある。
はい
不受理
いいえ
[33] 受理
15
Z 0130-6:2015 (ISO 18606:2013)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書D
(参考)
この規格の要求事項への適合に対する評価チェックリストの推奨書式
供給者の名称:
年月日:
包装/包装材料の名称:
有機的リサイクルに
対する総合評価
評価ファイル
参照
適
不適
部品,
成分
特徴
生分解度
≧90 %
崩壊度
≧90 %
<2 mm
植物成長試験
A a)
>90 %
植物成長試験
B a)
>90 %
規制されている
金属及び
環境有害物質
バイオガス生成
(嫌気的生分解度)
%
注a) 附属書BのB.3にある,コンポスト20 %の試料を用いた試験を“植物成長試験A”,コンポスト50 %の試料
を用いた試験を“植物成長試験B”とする。
注記1 参照する補足資料は,適用した試験ごとに作成しなければならない。(例えば,天然材料のように)生分解
度試験を必要としない場合でも,補足のコメントが必要である。
注記2 崩壊度については,包装成分には要求されず,包装部品だけに要求される。
包装及び/又は包装材料は,以前に単位容積当たりの表面積がより小さい試料で試験を
行ったことがある−評価ファイル参照
…………………………………………………………………………………………………..
規格の要求事項への適合に影響しない軽微な変更
(もしあれば)コメント
JIS Z 0130-6の要求事項に対する適合宣言
上記の評価結果に鑑み,この包装はJIS Z 0130-6の要求事項に適合していることを宣言する。
供給者の詳細
住所:
会社又は団体名:
署名責任者役職:
署名責任者氏名:
日付
署名
16
Z 0130-6:2015 (ISO 18606:2013)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書E
(参考)
有機的リサイクルに適切な包装の確認方法の例
E.1
一般
都市ごみ,事業系廃棄物及び産業廃棄物の有機質部分は,生物系廃棄物で構成されている。生物系廃棄
物は,家庭,商業地又は食品加工工場で発生する動物及び野菜の廃棄物と定義することができる。この部
分は大量の水を含んでおり,よってコンポスト化に結び付く嫌気的消化のような工業生物的処方を用いる
リサイクルにより適している。
コンポストは,肥沃化を促進し,土の浸食を防ぎ,施肥を削減し,幾つかの植物病原体を抑える土壌改
良剤である。嫌気的消化で発生するバイオガスは,再生可能エネルギーとして使用することができる。
有機的リサイクルは,生分解材料だけに適用できる。
包装がこの規格の要求事項を満たしているならば,使用済み包装は有機的廃棄物の流れと一緒に再利用
することができる。
有機的リサイクル可能とは,生物系廃棄物の処理用のシステムによってバイオガス又はコンポストに全
面的に戻ることができることを証明する,包装の特性を示す用語である。この規格では,包装の個々の部
品が有機的リサイクル可能との確認を得ていれば,それらの部品から作られた包装は有機的リサイクル可
能である。このように,包装の分析は個々の部品ごとの分析に単純化し,追跡する。幾つかの適切な例を
次に挙げる。
E.2
プラスチック材料の生産事業者の事例
プラスチック材料の生産事業者は,自らが生産する材料がこの規格の要求事項を満たすことによって有
機的リサイクルに適しているかどうかを次によって確認する。
− この生産事業者は,この規格に規定する手続に従わなければならない。
− 予備過程[5.1(成分の制限)]では,材料についての情報を集める。
− この材料の構成成分を識別し,有害物質,特に規制されている金属の存在を確認する。
− 生物分解性は,特定の実験条件下で測定する。包装の生物分解性は,JIS K 6953-2のラボスケールの
試験方法によって評価する。その方法は,コンポスト化するプロセスの環境的・微生物学的条件をシ
ミュレートすることによる。
− この条件下で生み出されたCO2の測定から,プラスチック材料の有機炭素の転換(分解無機化)度を
測定する。並行して,対照材料である微晶質セルロースの生分解度を測定する。
− この規格に従って,管理されたコンポスト化試験で測定された試験材料の生分解度が,最低90 %(有
機炭素のCO2への転換度)又は6か月以内に,対照の微結晶セルロースによって達成されたレベルの
90 %に到達しなければならない(比較生分解度)。
JIS K 6953-1及び/又はJIS K 6953-2によってコンポスト化する方法が適切でない物質(インキ,
添加物,着色剤など)の場合は,その代わりとして水性環境中での生分解度測定を規定した二つの代
替方法(JIS K 6950及びJIS K 6951)を使用することができる。
− コンポスト化プロセスの間に,試験材料がその最終的な物理的形状に分解することを確認する必要が
ある(商用混合物において目に見える汚染があるときは受理不可能)。
17
Z 0130-6:2015 (ISO 18606:2013)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
基本材料は,適切な試料(例えば,フィルム,シート又は発泡シートのような半製品)に置き換え
る。
− 試料は,新鮮な有機性廃棄物と一緒に混合され,JIS K 6952,JIS K 6954又はフルスケールのコンポ
ストシステムによって処理されて配合コンポストにされる。
− 12週間後,2 mmのふるいを使用して,最終コンポストを評価するふるい分け試験が行われる。崩壊
度はこの規格に記載したとおりに評価され,6.4(崩壊)に規定した要求事項に適合しなければならな
い。
− 崩壊度試験に使用される試料の厚さは,試験している包装材料を市場投入する際の最大の許容厚さを
決めることになるので,重要である。崩壊速度は,一般に厚さの増加とともに減少する。したがって,
崩壊度試験で得られた肯定的な結果は,試験した厚さ又はより薄い厚さでの材料の使用に対しては認
められるが,より厚い厚さで使用された場合についてまでその材料の崩壊度を保証するものではない。
− JIS K 6952の試験から得られたコンポストは,コンポスト化するプロセス中に起こる可能性のある試
料による負の影響の確認,品質分析及び生態毒性試験のためにも使用される。
このコンポストは,試験包装材料(試料)と有機性廃棄物とで混合され,試料なしで有機性廃棄物
だけと混合された,対照混合物のサンプルと比較される。試験コンポストの発芽率及び植物バイオマ
ス産出量は,対照コンポストの少なくとも90 %であるものとする。植物成長に対するコンポストサン
プルの影響は,この規格に規定された方法を使用して,試料が分解中に植物又は環境に有毒な物質を
放出しないことを示すために評価される。
E.3
製紙事業者の事例
製紙事業者は,自らが生産する材料がこの規格に従ってリサイクル可能かどうかを,次によって確認す
る。
− 予備過程[5.1(成分の制限)]では,材料についての情報を集める。
− 材料の製造に使用された構成成分は,識別され,規制されている金属を含む環境に有害な物質の存在
が確認される。
− 紙のパルプは5.3.2の天然由来の材料であり,生分解度試験をする必要はない。
− 試験する材料がコンポストサイクル中に崩壊することを確認するためには,試験材料のコンポスト化
を必要とする。紙の試験材料は,1 %の濃度で新鮮な有機性廃棄物と混合され,一緒に200リットル
パイロットスケールレベルのコンポストで処理される。
− 試験の最後には,2 mmのふるいを用いて最終コンポストのふるい分け試験を実施する。色,構造,
面積,湿り気,明るさ及び光沢がそのコンポストと違いがない破片及びかけらはコンポストと考えら
れる。2 mmを超えるコンポスト化されない破片は,崩壊しないかけらとして,崩壊度を決定する。
この方法は,JIS K 6952に示されている。
− 崩壊度試験で崩壊するとの結果が得られた場合,試験された厚さ又はそれ以下の厚さの材料の使用を
許容するが,より大きな厚さのものを使用したときにその材料がコンポスト化できるかを保証するも
のではない。
− パイロットスケールの試験によって得られたコンポストは,コンポスト化中に起こる試料の負の影響
の可能性を確認し,かつ,続いて行われる品質分析及び生態毒性試験に必要とされる混合物を準備す
るために使用される。
− 試料を有機性廃棄物と混合することによって得られたコンポストのサンプルは,試料を入れずに有機
18
Z 0130-6:2015 (ISO 18606:2013)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
性廃棄物だけで生産された対照コンポストのサンプルと比較する。植物成長に対するコンポストサン
プルの影響は,この規格に記載されている方法を使用して,試料が崩壊中に植物及び環境に有害な物
質を放出しないことを示すために,評価される。
E.4
プラスチックコンバータの事例
あるコンバータ(ブローフィルム製造業者)は,プラスチック生産事業者が供給したプラスチック原料
ペレットを用いてフィルムロールを製造する。この原料は規格に従って既に試験されており,最大厚さ 80
µmの試料で製造された条件下では有機的リサイクルに適していることが分かっている。80 µm以下のフィ
ルムロールは,既に試験されたプラスチック原料だけで作られている限り,再試験を行う必要はない。
E.5
紙のコンバータの事例
ある紙のコンバータは,バージンの紙からバッグを作っている。材料は天然なので,そのバッグについ
て生物分解試験を行う必要はない。しかし,JIS K 6952,JIS K 6954又は工業的フルスケールの崩壊度試
験を実施し,化学的性質及びコンポスト品質への一般的要求事項に適合するかどうかを確認する必要性は
依然としてある。
E.6
プラスチック包装生産事業者の事例
あるコンバータ(包装生産事業者)は,ブローフィルム製造業者からロールフィルムを購入してキャリ
ーバッグを製造している。元の材料をキャリーバッグにするときに,特別な物質及び印刷を追加せず80 µm
未満の厚さで製造するならば,コンバータはキャリーバッグが有機的リサイクル可能であることについて
再度試験する必要はない(E.4参照)。
E.7
紙製包装生産事業者の事例
その包装生産事業者は,一般的な製造プロセスで生産した紙を購入し,段ボール箱を製造している。紙
は生分解されることが分かっているので,有機的成分が乾燥重量で1 %を超えて加えられていなければ,
その段ボール箱を生分解試験に供する必要はない。しかし,崩壊度試験(JIS K 6952,JIS K 6954又はフ
ルスケール工業的コンポスト化条件)を実施し,化学的性質及びコンポスト品質が一般的要求事項を満た
すことを確認しなければならない。
E.8
食品包装の事例
ある食品包装は,トレイ及び蓋で構成されている。双方の構成部品は,この規格に従って独立して試験
されている。トレイは50 µm のシート,蓋は15 µmのフィルムが用いられている。双方の構成部品は有機
的にリサイクル可能である。しかし,トレイの材料は40 µmでしか試験されておらず,50 µmでは試験さ
れていない材料で作られているため,そのままでは有機的リサイクル可能とみなされない。これを有機的
にリサイクル可能と主張するためには,生産事業者はトレイを40 µm以下に厚さを削減させるか,50 µm
でもリサイクル可能とされる別の材料を用いなければならない。
E.9
多層包装の事例
ある包装生産事業者は,プラスチックラミネート紙を製造する。双方の材料は既に試験されており,規
格を満たすことが分かっており,適切な厚さである。しかし,包装生産事業者は最終的に0.9 %濃度とな
19
Z 0130-6:2015 (ISO 18606:2013)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
る,以前に試験されたことのない添加物を追加している。この最終包装は,条件付き,すなわち,その新
しい多層包装に崩壊性があり,その添加物が環境に有害でなければリサイクル可能と考えられる。添加物
は1 %未満の濃度で他の添加物は使われていない(添加物の総量は5 %以下)ため,添加物の生分解性を
証明することは求められていない。
E.10 一部有機的リサイクル可能な包装の事例
ある食品包装が,トレイ及び蓋で作られている。トレイは試験され,この規格の要求事項を満たすこと
が分かっている。しかし,蓋は有機的リサイクルができない。このような場合,この包装は有機的リサイ
クルができないとされる。しかし,消費者に対しては,蓋を取り去り,別々のルートで廃棄されるという
条件付きでそのトレイは有機的にリサイクル可能であると伝えることができる。
20
Z 0130-6:2015 (ISO 18606:2013)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
参考文献
[1] 肥料取締法(昭和25年5月1日 法律第127号)
[2] 全国農業組合連合中央会(当時)有機質肥料等品質保全研究会:堆肥の種類別品質推奨基準(1993
年)
[3] JIS K 6960 プラスチック−高固形物濃度嫌気的消化条件での嫌気的究極生分解度の求め方−発生
バイオガスの分析による方法
注記 対応国際規格:ISO 15985,Plastics−Determination of the ultimate anaerobic biodegradation
under high-solids anaerobic-digestion conditions−Method by analysis of released biogas(MOD)
[4] JIS K 6961 プラスチック−制御されたスラリー系における嫌気的究極生分解度の求め方−発生バ
イオガス量の測定による方法
注記 対応国際規格:ISO 13975,Plastics−Determination of the ultimate anaerobic biodegradation of
plastic materials in controlled slurry digestion systems−Method by measurement of biogas
production(MOD)
[5] JIS Q 14021 環境ラベル及び宣言−自己宣言による環境主張(タイプII環境ラベル表示)
注記 対応国際規格:ISO 14021,Environmental labels and declarations−Self-declared environmental
claims (Type II environmental labelling)(IDT)
[6] JIS Z 0130-2 包装の環境配慮−第2部:包装システムの最適化
注記 対応国際規格:ISO 18602,Packaging and the environment−Optimization of the packaging
system(IDT)
[7] JIS Z 0130-3 包装の環境配慮−第3部:リユース
注記 対応国際規格:ISO 18603,Packaging and the environment−Reuse(IDT)
[8] JIS Z 0130-4 包装の環境配慮−第4部:マテリアルリサイクル
注記 対応国際規格:ISO 18604,Packaging and the environment−Material recycling(MOD)
[9] JIS Z 0130-5 包装の環境配慮−第5部:エネルギー回収
注記 対応国際規格:ISO 18605,Packaging and the environment−Energy recovery(IDT)
[10] ISO 14853,Plastics−Determination of the ultimate anaerobic biodegradation of plastic materials in an
aqueous system−Method by measurement of biogas production
[11] ISO 17088,Specifications for compostable plastics
[12] ASTM D 6400,Standard Specification for Compostable Plastics
[13] United States: Table 3 in 40 CFR Part 503.13, Pollutant limits
[14] Canada: BNQ 9011-911-I/2007,Compostable Plastic Bags−Certification Program−Part 1: Product
Requirements, of the Bureau de normalisation du Québec
[15] European Union: Substances identified in ecological criteria for the award of the Community eco-label to soil
improvers, Official Journal of the European Communities OJ L 219, 7.8.1998, p. 39, applied in EN 13432