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Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

(1) 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 2 

2 引用規格························································································································· 2 

3 用語及び定義 ··················································································································· 2 

4 市場・世論・社会調査の中核的要求事項 ·············································································· 14 

4.1 コアフレームワーク ······································································································ 14 

4.2 人事及びインフラに対する責任 ······················································································· 18 

4.3 情報セキュリティ ········································································································· 19 

4.4 二次契約サービス ········································································································· 20 

4.5 プロジェクト及び調査業務の計画・実施・報告 ··································································· 21 

4.6 マネジメントレビュー及び改善 ······················································································· 26 

4.7 内部監査 ····················································································································· 26 

4.8 法的要求事項 ··············································································································· 27 

附属書A(規定)アクセスパネルを含むサンプリング ································································ 28 

附属書B(規定)フィールドワーク ························································································ 40 

附属書C(規定)物理的観察 ································································································· 49 

附属書D(規定)デジタル的観察 ··························································································· 51 

附属書E(規定)自記入式 ···································································································· 57 

附属書F(規定)データ管理及び処理 ······················································································ 60 

参考文献 ···························································································································· 66 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

(2) 

まえがき 

この規格は,産業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本マーケティング・リサーチ

協会(JMRA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,産業標準原案を添えて日本産業規格を制定す

べきとの申出があり,日本産業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本産業規格である。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

注記 工業標準化法に基づき行われた申出,日本工業標準調査会の審議等の手続は,不正競争防止法

等の一部を改正する法律附則第9条により,産業標準化法第12条第1項の申出,日本産業標準

調査会の審議等の手続を経たものとみなされる。 

  

日本産業規格          JIS 

Y 20252:2019 

(ISO 20252:2019) 

市場・世論・社会調査及びインサイト・データ分析

−用語及びサービス要求事項 

Market, opinion and social research, including insights and data analytics- 

Vocabulary and service requirements 

序文 

この規格は,2019年に第3版として発行されたISO 20252を基に,技術的内容及び構成を変更すること

なく作成した日本産業規格である。 

なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。 

市場・世論・社会調査(以下,調査という。)における国際標準化の主要な目的は,異なる国及び地域の

市場に適用可能な,グローバルかつ一貫した業界標準の促進である。この規格の意図は,調査の継続的な

改善につなげることを確実にするための構造を追求し,そして,他の既に利用可能な国別基準と業界行動

規範との調和を図ることである。 

調査のためのオンラインサンプルの出現及びその一般的な受容によって,オンラインサンプルの主要な

ソースであるオンラインアクセスパネルは,その使用法が進化するとともに,他のオンラインサンプルソ

ースで増強されてきている。ISO 26362:2009は廃止され,この規格に組み込まれ,今ではオンライン及び

オフライン両方のアクセスパネルをカバーすることとなった。 

調査事業のコアフレームワークは,箇条4として確立され,文書化されている。規定の附属書は,世界

的に認められている様々な調査方法論のための具体的な枠組みを提供する。調査機関は,特定の調査方法

論又は機能への適合を証明するために,各附属書に記載されている要求事項に,その活動を整合させるこ

とができる。 

その意図は,調査機関がこの規格に適合することを証明するために,少なくとも一つの附属書で支持さ

れ,義務的なフレームワークである箇条4に規定された要求事項を適用することである。この規格の構造

及び適用範囲は,少なくとも一つの附属書の要求事項を満たすことなしには,この規格へのいかなる証明

も許可しない。 

事業として調査活動を社内で行うのか,又は外部委託機能として行うのかにかかわらず,調査機関は最

終的にこの規格の要求事項に調査活動が適合することを確実にする責任を負う。したがって,適用可能な

分野の範囲及び境界は,この規格の要求事項が確実に満たされるような管理プロセスを伴う附属書を含む,

“適用宣言書(以下,SoAという。)”に反映される必要がある。 

あらゆる宣誓の主張内容は,この規格のどの附属書に適合するのかを明確かつ明白に述べることになる。

長期的な目標は,この規格に対して,事業主体が自身の調査活動の(全てではないとしても)大半を宣誓

することである。 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

  

適用範囲 

この規格は,インサイト及びデータ分析を含む市場調査・世論調査・社会調査を行うサービス提供者(以

下,調査機関という。)のサービスに関する,用語及び定義並びにそれらのサービスの要求事項について規

定する。 

ダイレクトマーケティングのような非市場調査活動は,この規格の適用範囲外とする。 

注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

ISO 20252:2019,Market,opinion and social research,including insights and data analytics−

Vocabulary and service requirements(IDT) 

なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”こ

とを示す。 

引用規格 

この規格では引用規格はない。 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。 

ISO及びIECは,標準化に使用するための用語上のデータベースを次のアドレスに維持している。 

− ISOオンラインブラウジングプラットフォーム:https://www.iso.org/obp  

− IECエレクトロペディア:http://www.electropedia.org/  

3.1 

アクセスパネル(access panel) 

将来,選ばれた場合にデータ収集に協力することを表明した潜在的参加者(3.62)の標本(3.86)データ

ベース。 

注記1 参加者が継続的にデータを報告するパネル(例えば,テレビ視聴率調査パネル),又は再コン

タクトデータベース(フォローアップに関する許可を求める。)は,これには含まれない。 

注記2 我が国では,“モニター”又は“モニター組織”と称されることが一般的である。 

3.2 

精度,正確性(accuracy) 

推定値と同意されたパラメータ値とが近似している程度。 

3.3 

アクティブなパネルメンバー(active panel member) 

過去12か月以内に,要請を受けて少なくとも一つ以上の調査案件に参加したか,自らのプロフィールデ

ータを更新したか,又はアクセスパネル(3.1)への参加登録を行ったパネルメンバー(3.61)。 

3.4 

広告インプレッション,広告表示回数(ad impression) 

デバイス上に広告が表示されること。 

3.5 

アルゴリズム(algorithm) 

計算又は他の問題解決の処理上で従うべきプロセス又はルールのセット。 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

3.6 

匿名化(anonymize) 

元のデータにひも(紐)付いている個人の識別を防止する目的で,識別子を除去,不明瞭化,集合化又

は改変すること。 

3.7 

考課(appraisal) 

個人,又はグループの担当作業遂行能力を監視するプロセス。 

3.8 

宣誓(attestation) 

適用宣言書(SoA)に関連する調査機関(3.92)の遵守宣言。 

3.9 

監査(audit) 

系統的,独立的,かつ,文書化されたプロセスで,監査の証拠を入手し,それを客観的に評価すること

によって,規格の要求事項がどの程度満たされているかを判定すること。 

3.10 

監査人(auditor) 

監査(3.9)を実施する能力を備えた人。 

3.11 

自動コーディング(automated coding) 

コンピュータに保存されたコードリスト,コード辞書,自動化されたシステム,機械学習機能,人工知

能又はその他の技術を用いて行われるコンピュータコーディング又はコンピュータ支援コーディングの

様々な形式で,手作業によるコーディングに全面的又は部分的に取って代わるコーディングの形式。 

3.12 

偏り,バイアス(bias) 

推定値と同意された値との間の系統的なずれ。 

3.13 

ボット(bot) 

ユーザ若しくはプログラムのエージェントとして動作するか,又は人間の行動を模倣する,自律型(ロ

ボット型)ソフトウェア。 

3.14 

クライアント(client) 

調査プロジェクトを依頼若しくは委託する個人,組織,部又は部門。依頼・委託元が依頼・委託先の外

部に存在する場合と,同一組織内に両者が存在する場合とがある。 

3.15 

コード(code) 

各回答カテゴリに関連付けられた文字若しくは数字,アルファベット,又は他のタイプの文字を組み合

わせたもの。 

3.16 

コードフレーム(code frame) 

回答を分類するために使用する,コード(3.15)と対応する回答カテゴリのリスト。 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

  

3.17 

完了率(completion rate) 

調査プロジェクトを完全に完了した参加者(3.62)数を,参加を求められた参加者の数で除した値。 

3.18 

コンピュータ支援インタビュー,CAI(computer assisted interviewing,CAI) 

回答が直接コンピュータにキー入力され,特別に設計されたコンピュータプログラムによってインタビ

ューの管理が運営される調査手法。 

例 コンピュータ支援個人インタビュー(CAPI),コンピュータ支援電話インタビュー(CATI),コン

ピュータ支援自記式インタビュー(CASI),コンピュータ支援Web/インターネットインタビュ

ー(CAWI)。 

3.19 

秘密保持(confidentiality) 

収集されたデータ,情報及び素材は,不正なアクセスから保護されるという要求事項。 

3.20 

同意,承諾(consent) 

参加者(3.62)からのデータ収集又は使用に先立って得られた,十分な情報に基づいて自由意思でなさ

れた合意。 

3.21 

クッキー(cookie) 

閲覧者の行動,訪問又はセッションの間に当該ブラウザを識別するために,ブラウザに保存される少量

の情報(すなわち,プログラムコード)。 

3.22 

ダッシュボード(dashboard) 

多数のミニアプリケーションプログラムをレビュー又は管理し,報告するための(統合)ソフトウェア

アプリケーション。 

例 ミニアプリケーションには,データの書出し又はAPI(Application Programming Interface:一般に

Web上に公開され,ソフトウェアの機能を共有する仕組みのこと)へのアクセスを許可するアプ

リが含まれる。 

3.23 

データクリーニング(data cleaning) 

調査の品質を確保する目的で,不要又は不正確なデータを検出し,修正又は除外するプロセス。 

3.24 

データ収集手段(data collection instrument) 

参加者(3.62)から情報を集める目的で作成されたツール。 

例 調査票,ディスカッションガイド,バイオメトリック機器,Webサイトから情報を抽出する技術,

カメラ。 

3.25 

データエディティング(data editing) 

収集されたデータをベリファイ(検証)し,必要な場合,それらを訂正する一連の方法。 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

3.26 

データ入力(data entry) 

収集されたデータをコンピュータが読める形式,又はその他のタイプの標準化された形式に変換するプ

ロセスステップ。 

注記1 単純データ入力とは,組み込まれた論理チェックを含まないデータ入力を指す。 

注記2 論理的データ入力とは,データのタイプ,フィルタ,質問のスキップ,及び回答オプション

のような要素について,データロジックの自動チェックを使用するデータ入力プロセスを指

す。 

3.27 

データ処理(data processing) 

原データの状態から必要とされるアウトプットに至るまでのデータの管理及び変換。 

3.28 

データ記録(data record) 

あるレポート単位又は観察単位から得られた,データの集合。 

3.29 

重複除去(de-duplication) 

ある調査のデータセット又はアクセスパネル(3.1)に,複数回出現する参加者(3.62)又は記録(3.76)

に対応するデータ記録(3.28)を削除するプロセス。 

3.30 

デプスインタビュー,深層面接,インデプスインタビュー(IDI)[depth interview,in-depth interview(IDI)] 

参加者(3.62)の根底にある動機,信念,態度,行動及び感情を理解するために実施される,半構成的

又は非構成的面接。 

3.31 

導出データ項目(derived data item) 

一つ以上の情報源及び/又はカテゴリから計算又は記録されたデータ項目。 

3.32 

デバイスID,デバイス識別子,マシンID(device ID,device identification,machine ID) 

パソコン,スマートフォン,タブレット又は他のコンピューティングデバイスに関連付けられた,英数

字による特有の文字列。 

注記1 ある一つのデバイスは,異なる目的のために複数のデバイスIDをもつことができる。これ

には,Wi-Fi又はBluetoothを有効にするためのデバイスID,又は携帯電話会社のネットワー

ク上のデバイスを識別するためのものが含まれる。AppleのUDID,AndroidのAndroid IDな

どその他のデバイスIDは,アプリ,システム開発者などその他の企業によって,オンライ

ン広告を含む数多くの目的のために,デバイス及びそのユーザを識別・追跡・分析するため

に使用される。 

注記2 PC又はラップトップコンピュータの場合,MAC(Media Access Control)アドレスはデバイ

スIDとしても使用できる。 

注記3 あるデバイスIDは,個人を識別し得る。 

3.33 

デジタル分析,デジタル解析(digital analytics) 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

  

人々及びその行動を測定し,理解することを目的とした,電子データの分析及び報告。 

3.34 

デジタルデバイス,モバイルデバイス(digital device,mobile device) 

直ちに,又は適切なソフトウェアと同期をとることで,第三者機関(3.101)(のサイトなど)に直接的

又は間接的にアップロードできるデータを収集することが可能な,携帯することを意図した電子機器。 

注記 デジタルデバイスには,スマートフォン,スマートウオッチ,フィットネス又は健康追跡デバ

イス,タブレット,地理的位置情報デバイス,及び生体情報収集デバイスが含まれる。 

3.35 

デジタル指紋,デバイス指紋,マシン指紋,ブラウザ指紋(digital fingerprint,device fingerprint,machine 

fingerprint,browser fingerprint) 

個々の調査参加者又はデバイスを識別する目的で,パソコン,タブレット,スマートフォン又は他のコ

ンピューティングデバイスについて収集された情報。 

注記1 デジタル指紋は,典型的には,あるデバイスから取得され得る他のデバイスパラメータとと

もに,Webブラウザを構成するパラメータを使用して生成される。これらのパラメータは,

デジタル指紋を構成する単一の文字列を生成するために使用される。 

注記2 デジタル指紋は,個人を特定できる可能性がある。 

3.36 

ディスカッションガイド(discussion guide) 

デプスインタビュー(3.30),グループインタビュー(3.42)又はその他の定性手法においてカバーすべ

き,項目又はトピックスのリスト。 

3.37 

ドングル(dongle) 

インターネットへのアクセスなどの追加サービスを可能にするために,他の電子機器に接続することが

できる小さなハードウェア装置。しばしば,USBデバイスの形状をとる。 

3.38 

重複(duplication) 

ある特定の調査プロジェクトに対して,一人の参加者(3.62)が2回以上招待されるか,又は回答完了

を試みる状況。 

3.39 

除外要請(exclusion request) 

潜在的な参加者(3.62)を,同一又は類似した商品・サービスカテゴリ・方法論が含まれる調査プロジ

ェクトへの参加実績に基づいて,ある調査プロジェクトから除外すること。 

3.40 

フィールドワーカ,インタビュアー(fieldworker,interviewer) 

調査のためのデータ収集に従事する者。 

注記 フィールドワーカには次のものが含まれるが,それらに限らない。面接調査員,電話オペレー

タ,定性調査又はその他の調査のためのリクルータ,ミステリーショッパー(3.54)及び観察

によってデータ収集を行うその他の人々,小売店舗からデータを収集する人々など,調査機関

(3.92)からの指示に従う人々。 

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3.41 

フィルタ質問(filter) 

データ収集手段の中で,回答を参加者(3.62)のある一部の集団だけに限定するための質問,又は指示

事項。 

3.42 

グループインタビュー,グループディスカッション(focus group,group discussion) 

モデレータ(3.53)によって実施される,少数の選ばれた参加者(3.62)による自由な討論。 

注記 グループインタビューは面接,電話,オンライン又はこれらの組合せによって行うことができ

る。オンライングループインタビューは同時に,リアルタイム(例えば,チャットセッション)

で行うことも,又は一定期間にわたって非同時的に(例えば,メッセージ及び/又は電子掲示

板で)行うこともできる。 

3.43 

不適格参加者(fraudulent participant) 

自分の身元,プロフィールデータ,又は回答を,故意に正しく伝えない参加者(3.62)又はパネルメン

バー(3.61)。 

3.44 

度数カウント,ホールカウント,マージナルトータル(frequency count,hole count,marginals) 

コンピュータファイル上での個々のデータ項目の合計個数。 

3.45 

補定(imputation) 

推定又はモデルによって得られたデータで,欠落データを置き換える手順。 

3.46 

不注意な参加者,不注意なパネルメンバー(inattentive participant,inattentive panel member) 

十分な水準まで考えることなく回答してしまうパネルメンバー(3.61)又は参加者(3.62)。 

注記 品質の悪い回答は必ずしもパネルメンバー(3.61)又は参加者(3.62)に非がある訳ではなく,

データ収集手段の設計に原因がある可能性もある。 

3.47 

謝礼,インセンティブ(incentive) 

回答者の協力度を高めるために潜在的参加者(3.62)に対して提供の申出が行われる,粗品,謝金,又

はその他の特典。 

3.48 

インデックス化(indexing) 

変数をその相互間,又は何らかの参照数と比較するために数値尺度化したもの。 

3.49 

情報セキュリティ(information security) 

情報の機密性,完全性,及び可用性を保持すること。 

3.50 

インターセプト(intercept) 

事前の同意なしに,参加者(3.62)に人を介して,又はオンラインでアプローチするインタビューのタ

イプ。 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

  

3.51 

内部監査(internal audit) 

企業内の各プロジェクトが定められた手続に従って実施されているかを確認するため,その企業内で訓

練を受けた従業員によって実施される定期的なチェック。 

3.52 

機械学習(machine learning) 

明示的にプログラムされることなく,自動的に経験から学び,改善する能力をもつコンピュータ技術。 

例 音声認識,テキスト入力予測,スパムの検出,人工知能。 

3.53 

モデレータ(moderator) 

グループインタビュー(3.42)又はその他の定性調査において,参加者(3.62)間相互の交流促進に責任

を負う個人。 

3.54 

ミステリーショッピング(mystery shopping) 

業務・サービスのパフォーマンスを評価するために,顧客・ユーザの役割でフィールドワーカ(3.40),

リサーチャー又は参加者(3.62)(消費者又は一般市民)を使用する調査。 

3.55 

近距離無線通信,NFC(near-field communication,NFC) 

短い距離でのデバイス間の通信を可能にする無線通信技術。 

3.56 

ネッティング(netting) 

複数回答質問に割り当てられたコード(3.15)(自由回答コードを含む場合がある。)の取扱方法。仮に

個々の参加者(3.62)が同一のコード群について複数の回答を与えた場合でも,その当該コード群に従い

回答した参加者の総数を“正味数”とすること。 

3.57 

無回答(non-response) 

全て,又は幾つかの質問若しくは変数に関して,幾つかの標本(3.86)又はセンサス構成員の何人かか

ら測定値を得られないこと。 

3.58 

観察データ収集,観察調査,観察手法(observational data collection,observational research,observational 

methodologies) 

個人若しくはグループの行動,習慣,活動,関係,表明された意見又は振る舞い,及び起こっている現

象を観察することによってデータを収集すること(直接的な質問をしない,受動的手法の使用を含む。)。 

注記 受動的データ収集(3.64)及び物理的観察データ収集(3.66)も参照。 

3.59 

自由回答質問,自由回答(open-ended question,open-ended response) 

参加者(3.62)に自分の言葉で回答することを求める質問形式。 

3.60 

離脱希望表明(opt out) 

調査活動への参加を終了させる,明示的な要請。 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

3.61 

パネルメンバー(panel member) 

文書化されたソースからリクルートされた個人で,プロフィールデータ,及び適切な身元確認の情報を

提供するとともに,調査に参加することに対して,並びにパネルメンバーたることに係る諸条件に対して

明確な同意を与えており,かつ,離脱希望表明を行っていない者。 

3.62 

参加者,回答者,データ主体(participant,respondent,data subject) 

調査のためにデータを収集される人,又は組織。 

3.63 

参加率,スタート率(participation rate,start rate) 

使用可能な回答を提供した参加者(3.62)の数を,最初に調査への参加を要請する招待状を送ったメン

バーの数で除した値。 

3.64 

受動的データ収集,受動的手法(passive data collection,passive methodologies) 

参加者(3.62)との積極的なやり取りを避けるか,又は最小化するデータ収集のプロセス。 

3.65 

個人情報(personal data) 

ある個人を識別するために使用することができる,生存している自然人に関する情報。 

注記 識別は,例えば直接的な識別子(例えば,氏名,具体的な地理的位置情報,電話番号,写真,

音声,ビデオ録画,生体データ)を参照することによって,又は間接的に個人の身体的,生理

学的,精神的,経済的,文化的若しくは社会的特性を参照することによって可能になる。 

3.66 

物理的観察データ収集,物理的観察調査(physical observational data collection,physical observational research) 

対面を通じてか,又はビデオによるかにかかわらず,観察を通じて行うデータ収集。直接的な質問を使

用せず,また,自然な環境下で行われ,個人又は集団の振る舞い,習慣,活動,関係性,表明された意見

又はパフォーマンスを含む。 

注記 物理的観察によるデータ収集からは,デジタル上の行動計測のようなオンライン観察は除外さ

れる。 

3.67 

事前スクリーニング(pre screening) 

参加者(3.62)の適格性を確認するために使用される,データ収集手段(3.24)の冒頭にある質問。 

3.68 

プリテスト(pre test) 

データ収集手段(3.24)又は方法論の出来栄えをチェックする目的で,フィールドワークの全面実施前

に行われる小規模なテスト。 

3.69 

一次記録(primary record) 

情報ソースから直接的に収集されたデータで,最初の状態にあるもの。 

注記 これには,サーベイ(3.98)データ,面接での筆記録,フィールドワーク時のメモ,生体測定

記録,及び音声録音が含まれる。 

10 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

  

3.70 

確率標本(probability sample) 

母集団からランダムに抽出された標本(3.86)。各構成員は既知であり,かつ,そこに含まれるゼロでは

ない確率をもち,誤差の幅を計算することが可能。 

例 単純無作為抽出法(SRS),層化抽出法,クラスター抽出法,系統的抽出法及び多段抽出法(これ

らの方法の幾つかを段階的に組み合わせたもの) 

3.71 

プロフィールデータ(profile data) 

パネルメンバー(3.61)の記述された諸特性。 

3.72 

定性調査(qualitative research) 

グループインタビュー(3.42),デプスインタビュー(3.30),講演内容分析,定性的観察調査(3.58)な

どの調査技法を通じて行う,動機,思考パターン,意見,態度,評価又は行動の分析。 

3.73 

定量調査(quantitative research) 

調査票(3.74),世論調査,サーベイ(3.98),実験調査などの調査技法を通じて行う,観察結果の数値的

測定。 

3.74 

調査票,質問紙(questionnaire) 

一連の質問から成る,構成的な,若しくは部分的に構成的なデータ収集ツール又は手段。 

注記 調査票には,自記式又はフィールドワーカ(3.40)による他記式がある。 

3.75 

割当て,クォータサンプル(quota sample) 

特定の変数に関してあらかじめ定義した構造と適合するような,非確率的方法を使用して抽出した標本

(3.86)。 

注記1 これらのタイプの標本群では,誤差の幅を計算することは許可されない。 

注記2 非確率標本の例としては,簡便に収集したサンプル,偶発的に得られたサンプル,リバーサ

ンプリングが含まれる。 

3.76 

記録,レコード(record) 

ある事象,活動又は事実の歴史的証拠を提供する特別なタイプの文書。 

注記1 例えば,調査票(3.74)は文書であるが,ひとたび参加者(3.62)又はフィールドワーカによ

って完成されると,それは記録となる。 

注記2 記録は,物理的又はデジタル的であり得る。 

3.77 

リクルータ(recruiter) 

調査プロジェクトに参加する潜在的参加者(3.62)を見つけ出し,勧誘する人。 

3.78 

信頼性(reliability) 

繰り返された計測の間の,全体的な一貫性。 

11 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

注記 この文脈では,同一か又は類似した条件下で,同じか又は近似した結果が繰り返される場合に,

その測定は高い信頼性をもつ。 

3.79 

代表性(representativeness) 

ある標本(3.86)が調査される目標母集団を反映する度合い。 

注記1 代表性のあるサンプルは,重要な特徴の分布が目標母集団とほぼ同じになる。 

注記2 “重要な特徴”の定義は,一般的に調査主題の関数である。 

3.80 

回答率(response rate) 

確率標本に基づいてサーベイ(3.98)に回答した人の割合を計算した値。 

3.81 

小売店監査(retail audit) 

文書(例えば,紙又はデジタルデータ)若しくは観察法のいずれか,又は両者を用い,小売業店舗から

データを収集すること。 

3.82 

レビュー(review) 

確立された目的群を達成するために,ある目的の適合性,妥当性又は有効性を判定すること。 

3.83 

リバーサンプリング,ダイナミックサンプリング,リアルタイムサンプリング,Webインターセプト(river 

sampling,dynamic sampling,real-time sampling,web intercept) 

サーベイ(3.98)又はソーシャルメディア(3.95)及び他のWebサイト上の広告から,リアルタイムで,

潜在的参加者(3.62)を調査プロジェクトのためにスクリーニングするオンラインポータルに誘導する,

オンラインサンプリング方法。 

注記 アクセスパネルとは異なり,リバーサンプリングによる参加者(3.62)は,定期的に調査活動

に参加することに同意した人々のデータベースには含まれない。 

3.84 

ロボット指示ファイル(robot instruction file) 

インターネットの検索エンジンが,どのようにWebサイトのページ及びファイルと交信するのがよいか

を定義するファイル。多くの場合,自動化されたシステムがたどることを許可されていない場所を定義す

るために使用される。 

3.85 

ルータ(調査参加者をスクリーニングするソフト)(router) 

新しく入ってくる調査参加者(3.62)をスクリーニングし,それらのスクリーニング結果を使用して参

加者を複数の利用可能な調査の一つに割り当てる,オンラインソフトウェアアプリケーション。 

注記1 ルータは,スクリーニングに不適格であった場合又はサーベイ(3.98)完了後に,参加者(3.62)

に対して追加のスクリーニング及び別のサーベイ(3.98)調査を提供することもできる。 

注記2 これは,二つ以上の異なるネットワーク間のデータを中継する,通信機器としての“ハード

ウェアルータ”とは異なる。 

3.86 

標本,サンプル(sample) 

12 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

  

目標母集団(3.99)の部分集合で,データ収集の対象となるもの。 

3.87 

サンプルブレンディング(sample blending) 

より一貫性があるか,又はより代表性のあるサンプリングを達成する目的で,複数の,異質なサンプル

(3.86)ソースを組み合わせる行為。 

3.88 

サンプル提供者(sample provider) 

パネル,Webインターセプトを基としたソース(リバーサンプリングのソースを含む。),及びeメール

リストを含む関連ソースから,オンライン又はオフラインのサンプルを供給し,管理することに責任を負

う調査機関(3.92)。 

3.89 

サンプリングフレーム(sampling frame) 

母集団要素のリスト,又はその他適切なソースとなるもの。そこから標本(3.86)が抽出される。 

3.90 

不熱心回答(必要最小限を満たすこと=熱心でない回答のこと)(satisficing) 

参加者(3.62)が調査プロジェクトに参加する際に,必要な認識をもつ努力を払わない調査回答行動。 

3.91 

二次データ(secondary data) 

既に収集済みで,他の情報ソースから入手することが可能なデータ。 

3.92 

調査機関(service provider) 

統計学,データ,及び/又は社会科学の手法及び技術を用いて,調査プロジェクト,又は調査プロジェ

クトの一部を実施する組織。 

例 民間調査機関,学術及び大学の調査機関,企業内調査部門,地方政府機関,公的統計機関,同様

の役割をもつ個人のリサーチャーなどが含まれる。 

3.93 

感情,センチメント(sentiment) 

例えば,音声,画像,記述などに関連付けられた気分のこと。通常,ポジティブからニュートラル,ネ

ガティブまでの連続線上にある。 

3.94 

サイレントコール,無言電話,応答を放棄された電話,アバンダンコール(silent call,abandoned call) 

電話オペレータ(3.40)がいないときにダイアラーによって生成され,参加者(3.62)によって応答され

た(されてしまった)電話。 

注記 ダイアラー(自動ダイアリング装置)とは,電話番号をダイアルして電話オペレータ(3.40)

を通話可能な状態にする装置又はソフトウェア一般を指す。 

3.95 

ソーシャルメディア(social media) 

人々が意見,洞察,経験及び物の見方を互いに共有するために使用し,従来の1対多の交流を多対多の

交流に変換するオンライン技術及び媒体。 

13 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

3.96 

スパイウェア(spyware) 

相手の同意(3.20)を得ることなく,参加者(3.62)の行動を捉えるデバイス又はソフトウェア。 

3.97 

二次契約,業務委託(subcontract,outsource) 

調査機関(3.92)の責任の下で,調査機関(3.92)の機能又はプロセスの一部の執行を,外部の組織又は

個人に委託すること。 

注記1 自営業者として働く個人のフィールドワーカ(3.40)は,この規格において二次契約業者と

は定義されない。 

注記2 借用するか,又は他の方法で業務委託されたサービス及び/又は資産。例えば,参加者(3.62)

パネル,クラウドサービス,コンピュータソフトウェア及びハードウェア,その他のテクノ

ロジープラットフォーム,電子的又はその他の安全なデータストレージ設備,グループイン

タビュー(3.42)会場を含む。 

3.98 

サーベイ(survey) 

推定を行うことが可能な目標母集団(3.99)の標本(3.86)から,データを収集すること。 

注記 日本語では,researchもsurveyも共に“調査”と訳されている。 

ここで意図している英語のsurveyは一次データ収集を伴う調査のことであり,質問法と観察

法とが含まれる。researchはより広義の調査を意味し,二次データの収集・分析も含まれる。 

3.99 

目標母集団(target population) 

調査プロジェクトにおいて関心の的となる母集団で,推定を行う対象となる。 

3.100 

テキスト解析,コンテンツ解析(text analysis,content analysis) 

メッセージの特性を記述するために使用される手法。 

3.101 

第三者(機関)(third party) 

調査機関(3.92)の責任範囲下にはない,独立した組織又は個人。 

3.102 

ユニークビジター(unique visitor) 

訪問頻度にかかわらず,特定の期間内にWebサイトにページを要求し訪れた,別個の重複しない個人を

意味する推計指標。 

3.103 

妥当性確認,妥当性検証(validation) 

調査プロセスのあらゆる段階において,仕様又は要求事項への適合性をチェックする諸手順。 

注記 我が国では特に訪問面接調査において,“バリデーション(validation)”と同一内容を意味する

言葉として“インスペクション(inspection)”が広く使用されてきた。そのため,ISO 20252:2012

まではvalidationを“インスペクション”と訳していたが,この規格の基となっているISO 

20252:2019から“妥当性確認”に統一している。このほか,英語では“バックチェッキング(back 

checking)”も用いられている。 

14 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

  

3.104 

妥当性(validity) 

ある調査プロセスの結果が,意図されたものを表していることを保証すること。 

3.105 

保護を要する人(vulnerable person) 

その原因が,精神的,感情的,社会的,又は身体的なものであるかどうかによらず,自発的に提供され

た情報に基づいて意思決定を行う能力が制限されることで,恒常的又は一時的に自らの意思を表明できな

い人。 

3.106 

ウェーブ(wave) 

プロジェクトの目的と全体的な設計とが変わらずに進行する継続プロジェクトにおいて,連続して反復

されること。 

3.107 

Webデータ解析(web analysis) 

オンラインプラットフォーム上のユーザ又は参加者(3.62)からの行動,記述及び感情(3.93)を,分析

して報告すること。 

3.108 

Webビーコン,ピクセルトラッカー,Webバグ(web beacon,pixel tracker,web bug) 

Webサイトの活動を追跡するために使用されるWebサイト上のコード(3.15)で,しばしば1×1ピク

セルの形をとる。 

注記 これは,自らの存在を近くにあるデバイスに通知し,特定のアクションを引き起こすために使

用することができる省電力型の発信端子である“ビーコン(beacon)”とは異なる。 

3.109 

ウエイト付け(weighting) 

必要に応じて,標本(3.86)推定値の代表性の補正及び/又は修正のために数値を割り当てることによ

って,異なる単位,又はサブグループがそれぞれ再計算される計算プロセス。 

注記 ウエイト付けは,多段抽出法,カバレッジバイアス(3.12),無回答(3.57)バイアスなど,一

様でない抽出確率を調整するために使用することができる。 

市場・世論・社会調査の中核的要求事項 

4.1 

コアフレームワーク 

4.1.1 

適用宣言書 

調査機関は,この規格の要求事項を満たすことを宣誓したサービスの範囲を完全に規定する“適用宣言

書(SoA)”を作成しなければならない。このSoAでは,調査機関のシステムに含まれる調査サービスが

どのようなものであるか,どの附属書がこの規格に適合するものであるかを定義する。 

注記 調査機関は,全てではないにしても,この規格に対して自身の調査活動の大半を宣誓すること

が意図されている。 

調査の中核的要求事項(箇条4参照),及び次の附属書の少なくとも一つ(他の附属書と相互参照される

全ての要求事項を含む。)が満たされている場合に,調査機関によるこの規格への宣誓は達成される。 

附属書A−アクセスパネルを含むサンプリング 

15 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

附属書B−フィールドワーク 

附属書C−物理的観察 

附属書D−デジタル的観察 

附属書E−自記入式 

附属書F−データ管理及び処理 

直接的か,又は二次契約としてのサービスであるかにかかわらず,SoAで附属書Aを指定している調査

機関には,附属書Aで規定する追加的な要求事項を適用しなければならない。 

直接的か,又は二次契約としてのサービスであるかにかかわらず,SoAで附属書Bを指定している調査

機関には,附属書Bで規定する追加的な要求事項を適用しなければならない。 

直接的か,又は二次契約としてのサービスであるかにかかわらず,SoAで附属書Cを指定している調査

機関には,附属書Cで規定する追加的な要求事項を適用しなければならない。 

直接的か,又は二次契約としてのサービスであるかにかかわらず,SoAで附属書Dを指定している調査

機関には,附属書Dで規定する追加的な要求事項を適用しなければならない。 

直接的か,又は二次契約としてのサービスであるかにかかわらず,SoAで附属書Eを指定している調査

機関には,附属書Eで規定する追加的な要求事項を適用しなければならない。 

直接的か,又は二次契約としてのサービスであるかにかかわらず,SoAで附属書Fを指定している調査

機関には,附属書Fで規定する追加的な要求事項を適用しなければならない。 

ある特定の附属書への適合は,その附属書がSoAで指定されている場合か,又は特定の要求事項がSoA

で指定された附属書から相互参照されている場合にだけ,要求される。 

宣誓においては,調査機関がどの附属書に適合しているのかを明解かつ曖昧さのない形で述べなければ

ならない。 

a) SoA(図1参照)では,この規格に従って適用範囲に包含されるサービスと除外されるサービスとを

明解かつ曖昧さのない形で宣言し,附属書名及び番号によって宣誓された適用範囲を記録しなければ

ならない。 

b) SoAには,全ての二次契約サービスを含まなければならない。 

c) SoAは,宣誓した調査機関を代表するシニアマネジメント(上級責任者)によって承認され,日付が

記入されなければならない。 

d) 調査機関は,クライアント及び他の利害関係者がいつでも(例えば,Webページ上で),SoAを閲覧

できるようにしなければならない。 

e) 調査機関のSoAは,この規格による評価の対象としなければならない。 

f) 

調査機関はSoAの中で,“高品質”,“すばらしい”,“世界最大級の組織”,“高い正確性”など,主観

的な,根拠の曖昧な,又は冗長なフレーズを使用してはならない。 

g) 製品名は,提供されるサービスに不可欠なものであるならば,SoAに含めることができる。 

SoAは,変更の必要性を判断し,詳細が正確であることを確実にするために,少なくとも毎年,レビュ

ーされなければならない。 

background image

16 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

  

XYZ(法人名)は,市場・世論・社会調査機関である(簡単な組織の紹介を挿入)。 

XYZ社は,(一般の所在地を挿入)を通じて,(クライアント又は業界のプロフィールを挿入)に調査

サービスを提供する。 

XYZ社は,(カバーする調査サービスを記載)を含め,附属書A,B,C,D,E及びF(適切なもの

を記載)に従ってこの文書への準拠を宣誓することを選択した。また,XYZ社は,(カバーしない調査

サービスを記載)を宣誓から除外することを選択した。 

XYZ社が宣誓する附属書の詳細は,次のように記述される。 

各附属書につき,関連する技術的な仕様を含む,提供されるサービスを記述した文書を挿入する。 

附属書 

宣誓項目 

除外項目 

説明・備考 

附属書A−アクセスパネルを含む

サンプリング 

附属書B−フィールドワーク 

附属書C−物理的観察 

附属書D−デジタル的観察 

附属書E−自記入式 

附属書F−データ管理及び処理 

図1−適用宣言書(SoA)のテンプレート例 

4.1.2 

調査の秘密保持 

4.1.2.1 

一般事項 

調査機関は,プロジェクトの目的を達成するためにクライアントから供給された情報を,それが供給さ

れた文脈においてだけ使用しなければならない。それは,クライアントの事前の許可なく第三者の利用に

供されてはならず,クライアントの要求事項に従って最も厳格な秘密保持をもって取り扱わなければなら

ない。 

識別可能な参加者のデータは秘密情報であり,参加者に与えられた全ての保証を満たさなければならな

い。 

データベース又は連絡先リストが第三者(例えば,クライアント)から提供される場合,調査機関は,

当該第三者に対してそのような情報源の使用が業界の規範に適合するものであることを確認するように要

請しなければならない。 

4.1.2.2 

参加者の安心保証 

調査機関は,参加を依頼した又はリクルートした参加者に,その参加が自発的なものであることを知ら

せなければならない。 

調査機関は,参加者の安心保証を促進するように,次のことを確実にしなければならない。 

a) リクルート又は依頼の期間中に,収集される個人情報の種類,提案された使用法,並びにデータの保

管及び/又は再利用方法について。 

b) 適切な場合には,直接的なデータ収集(例えば,面接調査,電話調査)の期間中に,秘密保持原則,

データが使用されるであろう目的について,そして当該調査機関及び二次契約業者及び/又はクライ

17 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

アントの身元及び連絡先の詳細。 

データ収集期間中に,調査機関によってデジタル識別子(例えば,クッキー)が使用される場合には,

その識別子の使用意図を含めて参加者に通知しなければならない。 

地理的位置情報又は地理的囲い込み(フェンシング)の手法を使用して参加者のデータを収集するとき

には,調査機関は参加者にそのことを伝え,同意を得なければならない。 

調査機関と参加者との間に直接的な接触がなく,直接的な安心保証を行うことができない場合でも,プ

ライバシーに関する義務は満たさなければならない。 

調査機関は,参加者及び観察される人々(観察されていることを意識していないであろう人を含む。)が

調査に参加した結果として身元が特定されたり,何らかの被害を受けたり,又は悪影響を受けないように

することを確実にするために,合理的な予防策を講じなければならない。 

4.1.2.3 

調査プロジェクトへの参加依頼 

調査機関は,調査プロジェクトへの参加を依頼された各参加候補者に対して,次のことを含む適切な情

報を提供しなければならない。 

a) プロジェクトの目的についての一般的な説明 

b) 推定される参加時間の長さ 

c) 各参加者の回答の,秘密保持に関する声明 

d) 各参加者の回答の,匿名性及び/又は識別性に関する声明 

e) (該当する場合)回答を完了させる締切日 

f) 

プロジェクトに関連するインセンティブに関する契約条件の十分な開示 

g) 依頼状が別の調査機関から送付されるかどうかの情報 

h) 調査活動への登録を解除する,又は離脱希望表明する機会 

参加者が上記のようなプロジェクトの詳細を尋ねる場合で,参加者に事前に情報を共有できないときに

は,調査機関は参加終了後にそれらの詳細を共有しなければならない。 

子供の参加に関する4.1.2.4の要求事項も,適用しなければならない。 

4.1.2.4 

子供又は保護を要する人々からのデータ収集 

子供又は保護を要すると考えられる参加者からデータを収集する場合,調査機関は次のことをしなけれ

ばならない。 

a) 調査プロセスに関する十分な情報を提供した後,親,保護者又は責任ある大人から同意を得る。 

b) 子供又は保護を要する人の参加への合意を含め,データ収集プロセスの期間中,特別な配慮を払う。 

特別な配慮には,フィールドワーカへの追加訓練,及びフィールドワーカ用ガイドラインへの追加が含

まれることがある。 

子供及び保護を要する人々からデータを収集する許諾が得られた場合でも,その許諾は少なくとも12

か月ごと,次回の招待時など,できる限り頻繁に更新しなければならない。 

子供,保護を要する人及び責任ある大人を構成するものの定義は国によって異なり,これは,多国間調

査の際に考慮しなければならない。 

4.1.3 

文書化及び記録の管理 

4.1.3.1 

システム及び実行内容の文書化 

調査機関は,次の目的で必要な組織的システム及び実行内容を決定し,文書化し,実施し,維持しなけ

ればならない。 

a) SoAに従って,この規格に適合する。 

18 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

  

b) 実施される調査の複雑さ及び特徴に関連するリスクを特定し,評価し,対処する。 

c) 利害関係者のニーズ及び期待を特定し,利害関係者の要求事項が考慮されていることを保証する(例

えば,クライアント,参加者,コミュニティ,規制当局)。 

d) 参加者への守秘義務を守り,参加者に必要な保証を提供する。 

e) 適用可能な場合,その内容を含むインセンティブについて説明し,参加者にインセンティブに関する

契約条件を提供する。 

f) 

調査プロジェクトの監査及び再現を可能にするための,明快さ,透明性,識別性及び追跡性(トレー

サビリティ)を提供する。 

g) 記録の保管及び破棄の方法について明確にする。記録保管の実態については,クライアントに伝えな

ければならない。 

4.1.3.2 

調査プロジェクト活動の記録 

プロジェクトの追跡性及び再現を可能にするために必要とされる具体的な調査プロジェクト活動の記録

は,最低24か月間,又はクライアントとの同意に従って保持しなければならない。 

プロジェクト記録の追跡及び再現可能性とは,調査機関及び使用された二次契約業者によって保有され

る記録のことを指す。 

加えて,次のことを行わなければならない。 

a) 一次記録は,12か月間,又はクライアントとの合意に従って保持する。 

b) 参加者を特定するために使用されるデータは,必要な管理及び/又は品質管理期間のために,又は参

加者との合意に従って保持する。 

個別プロジェクト及び調査の文書化の範囲及び特徴は,次のようである限りは柔軟でよい。 

− 4.6の要求事項を満たす。 

− 文書及びプロジェクトの版管理がなされている。 

− 監査可能である。 

4.1.3.3 

記録の管理 

調査機関によって実施された調査活動の記録の維持,保存,並びに廃棄を含む記録管理の範囲及び特徴

は,次のようでなければならない。 

a) 4.3の要求事項をサポートするのに必要な範囲で安全に管理する。 

b) 4.3で規定しているように,機密性,プライバシー及びセキュリティの喪失から保護されている。 

c) 4.3で規定しているように,不適切な使用及び完全な状態の喪失から保護されている。 

保管期間は,契約に違反してはならない。 

4.2 

人事及びインフラに対する責任 

4.2.1 

個人及び組織の責任 

調査機関は,4.1のコアフレームワークに記載している要求事項を満たすために,個人又は集団への役割,

責任及び権限の委譲を決定しなければならない。 

最低限,割り当てられ,文書化された役割には,次のものを含まなければならない。 

a) リソースの提供,ポリシー,法令遵守,及びこの規格の徹底に責任を負うシニアマネジメント 

b) プロジェクト又はその一部を含む,クライアントへのサービス提供に説明責任を負う現場管理者 

c) プロジェクトのニーズに応じた,二次契約又は業務委託サービスの品質管理 

d) 4.1に記載している,提供されるサービスの範囲において説明責任を負う運用担当者。調査機関は,短

期的か又は長期的かを問わず,担当者の変更によってサービスの提供に影響を及ぼさないことを確実

19 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

にするための計画を立てておかなければならない。 

e) それぞれの附属書に対して,SoAで述べられている附属書への適合性を保証する代表者として,担当

者を一人指名しなければならない。 

業務を達成するために(新しい)技術(例えば,自動化されたシステム又は機械学習)が使用される場

合,調査機関は,サービスの提供がこの規格に適合していることを確実にしなければならない。 

この規格への適合性を管理する役割については,シニア又は現場管理者に割り当てなければならない。 

4.2.2 

人事−パフォーマンス管理 

調査機関は,その役割の要求事項を実施するために必要となる資格,能力及び知識を決定するために,

役割の内容をレビューしなければならない。人材を募集するとき,調査機関はこの基準に従って候補者を

検討しなければならない。 

その人材が保持する役割に対して,又は代表者として有能であり,有能であり続けることを確実にする

ために,調査機関は,訓練,職能開発,及び年次の業績レビューを実施し,文書化しなければならない。

資格,実績のレビュー,訓練及び再訓練(などの記録),知られている場合には以前の経験を含む,候補者

の履歴の記録を維持しなければならない。 

最低限,調査機関によって提供される訓練には,次のことを含まなければならない。 

a) それぞれの役割に関連する法的・規制的要求事項 

b) 各附属書で定義され,調査機関の手順及び基準によって規定され,その役割に適切な特定の調査方法

論 

c) データ収集及びその他の方法論に関連する,業務上の役割を果たす人材のための特定の能力 

調査機関は,調査の役割のための訓練の内容及び範囲が,実施された調査業務の性質及び複雑さに対し

て適切であることを確実にしなければならない。業務の監督及びフィードバックが求められる場合がある。 

4.3 

情報セキュリティ 

4.3.1 

情報セキュリティリスク管理のフレームワーク 

調査機関は,情報への不正なアクセス,使用,変更,又は破壊を防ぐための情報セキュリティ管理フレ

ームワークを実装し,処理する情報に関連したセキュリティリスクを特定しなければならない。このフレ

ームワークは,特定されたリスクに対して適切であり,情報の収集・受領・保管・移転及び削除に適用さ

れなければならない。そのフレームワークは,また,その情報が保持するであろう全ての形式及び場所を

含むものでなければならない。 

4.3.2 

情報の取扱い 

調査機関は,関連するリスクに応じて,異なるタイプの情報をどのように取り扱うべきかを決定するた

めのプロセスを実装しなければならない。そのプロセスは,安全に処理される必要があるか,及び/又は

アクセスが制限される必要がある,あらゆるタイプの情報を識別しなければならない。 

4.3.3 

情報セキュリティの管理 

調査機関は,安全な,及び/又は制限された処理が必要な情報について,常時適切な保護又は管理を行

うことを確実にしなければならない。これには,次が含まれる。 

a) 経営管理面のコントロール(バックアッププロセスを含む,方針及び手続が含まれている。) 

b) 技術的なコントロール(ファイアウォール,アンチウィルスソフト,暗号化などを含む。) 

c) 物理的なコントロール(物理的なアクセス管理システム,受付,警備,及び監視カメラを含む。) 

4.3.4 

情報セキュリティのトレーニング及び理解 

調査機関は,情報を適切かつタイムリーに取り扱うことについてのトレーニングを,全てのスタッフに

20 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

  

提供しなければならない。そのトレーニングは,次のようでなければならない。 

− 情報管理フレームワーク及び特定済みリスクの枠内に収まる。 

− 最低限毎年,又はその役割が要求する場合には,より高頻度に実施する。 

− 情報を保護する責任について,スタッフに周知することを含む。 

− チームが取り扱うか,又はアクセスする情報に関連するリスクに対して適切である。 

− 異なるタイプの情報を識別する方法に関するガイダンスを含む。 

− スタッフが取り扱っている情報について,どんな保護が要求されるかをどのように確かめるかの詳細。 

4.4 

二次契約サービス 

4.4.1 

一般事項 

調査機関は,雇用されているか,又は他の方法で外注されているかによらず,外注されたサービス及び

資産をこの規格の要求事項に適合させ,目的にかなうことを確実にしなければならない。調査機関は,SoA

に記されているように,クライアント及びこの規格によって提供されるサービスに影響が及ぶ限り,その

ような業務,資産又は活動,及び関連する成果物に対し,責任を負わなければならない。 

この調査機関の義務は,次の内容にも及ばなければならない。 

a) サービス及び資産が目的にかなっていること,サービス提供及びこの文書に関連する業務において妥

協しないことを確実にするために,二次契約業者を選択し,監視する。 

b) 不適格な業務又は活動を特定し,要求事項を満たさないことが確定した場合に,再発を防止するため

の適切な措置を講じる。 

c) プロジェクトのトレーサビリティ,及び内部又は外部レビューの目的で記録を保持する。 

注記1 外注又は二次契約の例には,様々なデータ収集手法,データ分析,コーディング,会場の賃

借,データ収集手段の作成,デジタルデバイス,クラウドサービス,又はサービスとしての

その他のソフトウェア(SaaS)を含む,資産の賃貸又はリースが含まれる。 

注記2 不適格な業務又は不適合そのものは,この規格又はプロジェクト仕様書が求めるものの提供

に失敗するのと同様に,一般的に問題又は重要な課題となる。それはまた,プライバシー保

護,その他の規制又は綱領の要求事項に違反する可能性もある。 

4.4.2 

二次契約されたプロジェクトの業務 

調査プロセスのいずれかの部分が外注され,SoAの一部として宣誓された範囲に含まれる場合,調査機

関は,それがこの規格の要求事項を満たすことを確認するために,十分なアセスメント(評価)を行わな

ければならない。 

二次契約業者がこの規格の第三者認証を受けていない場合,調査機関によって外注されたプロジェクト

の業務は,次のうちの少なくとも一つを満たしていなければならない。 

a) この規格に従って実施される業務について合意が成立し,記録されている。 

b) 調査機関からの文書化された証拠によって,この規格に対するチェック,妥当性確認,及び情報セキ

ュリティの要求事項が満たされていることを確認する。 

c) 適合性を確認するために,プロジェクト業務の監査が実施されている。 

上記の基準を満たしているか否かにかかわらず,調査機関の業務は,プロジェクトの仕様に対して追跡

可能かつ再現可能でなければならない。調査機関は,この規格の特定の要求事項に適合する二次契約業者

(アクセスパネルを含む。)だけを使用するように試みなければならない。調査機関は,クライアントの要

請に応じて,外注された内容及び二次契約業者の適合状況について,知らせなければならない。 

要請に応じて,調査機関は全ての二次契約業者の身元及び所在地を含め,プロジェクト内で外注された

21 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

部分とその性質とを,クライアントに公表しなければならない。利害,及び/又は契約の違反を避けるた

めに,完全な透明性を与えなければならない。 

外注されたプロジェクト業務の提供者がクライアントによって指名された場合,そうすることが現実的

である限り,調査機関はその業務を監視し,妥当性確認を行わなければならず,その結果の記録を保管し

なければならない。 

注記 (その内容を)サポートする文書とともに書面による契約的な合意書があれば,手続進行中と

いうことで業務を開始することができる。業務の性質が通常の契約の範囲外でない限り,それ

ぞれの業務ごとに特定する必要はない。 

4.5 

プロジェクト及び調査業務の計画・実施・報告 

4.5.1 

一般事項 

調査機関は,(当該調査プロジェクトが)合意された仕様書及びこの規格への適合を確実にするために,

重要な計画,調査方法の実施,マイルストーン及び報告について,モニタリングしなければならない。 

調査機関は,監査による妥当性確認及び/又は検証の目的のためのトレーサビリティと,プロジェクト

又は調査業務の再現可能性とを確実にするために,全ての記録を保持しなければならない。 

注記 プロジェクトは,業務の要請に関する最初のやり取りから始まり,プロジェクト又は業務の計

画,実施,合意された取決めに従ってクライアントに報告を行うことまでを指す。 

4.5.2 

クライアントとの関係性管理 

4.5.2.1 

一般事項 

クライアントと調査機関との関係は,調査サービスを提供する要請の受領から始まり,企画書の提出,

プロジェクトの実施,報告,そして顧客満足度の測定へと進む。 

調査機関は,クライアントとの関係性をモニタリングし,フィードバックを求め,クライアントに提供

するサービスの継続的な改善を推進しなければならない。 

調査機関は,次のような時期にクライアントの要求事項を明確にし,合意し,提供し,追跡可能にする

ことを確実にしなければならない。 

a) 最初のクライアントへの案内時に,そしてその後に要請された各プロジェクト又は業務依頼について

の,提案又は見積りの段階 

b) クライアントのレビュー又は承認のためのマイルストーンが概略されている場合には,プロジェクト

又は他の作業期間中(の,そうした節目) 

c) プロジェクト業務の変更が提案されているとき 

d) 変更されたあらゆる仕様を含む,契約書又は合意書に対する成果物の提供又は他の方法による納品の

とき 

調査機関は,少なくとも次の内容を含む,苦情への対処を要求するクライアントのための苦情管理プロ

セスをもっていなければならない。 

− 契約の見直し,規制,及び業界の綱領遵守又は違反通知のレビューを含む,捜査,文書化,及び処置 

− 必要性及び苦情の重要性に応じて,さらなる措置を講じるためにシニアマネジメントを巻き込むこと 

調査機関は,契約,規制,又は業界の綱領違反に関連する全ての苦情を,改善の機会に資するために毎

年のコンプライアンスレビューの際に報告することを確実にしなければならない(4.6を参照)。 

調査機関は,要請に応じて,クライアント及びその他の利害関係者に対して,この規格への適合を含む

調査業務の特質に関連する業界の綱領,法的,及び倫理的要求事項について周知しなければならない。ク

ライアントに対するこれらの要求事項の伝達は,Webサイト,eメール,提案書若しくは見積書,契約書,

22 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

  

利用規約,又はその他の監査可能な仕組みを介して行うことができる。 

調査機関は,提案書及びその他のスケジュール表に既に含まれているか,又はクライアントが要請した

場合を除いて,クライアントに作業プログラムのブリーフィングを行わなければならない。ブリーフィン

グの形態にかかわらず,ブリーフィングは,いかなるときに発生する合意又は変更事項も含め,追跡可能

でなければならない。 

調査機関によるブリーフィング又は仕様書で特定され,合意された場合,クライアントは調査票,ディ

スカッションガイド,コードフレーム,及びデータ解析ツールのようなデータ収集手段をレビューし,承

認することができる。 

ある調査プロジェクトが参加者の同意を必要とする場合(例えば,ライブでのインタビュー,又はイベ

ントの記録),クライアントは,参加者の追加の同意を得られた場合でなければ,観察してはならない。こ

のような同意は,調査機関によって文書化され,実際のプロジェクトのイベントに対して追跡可能でなけ

ればならない。 

クライアントと調査機関との間での,業務実施に関するあらゆる契約又はその他の合意は,クライアン

ト及び/又は業務について追跡可能であり,監査可能な方法で文書化しなければならない。 

4.5.2.2 

製品の取扱い 

クライアントが製品又は調査素材を提供する場合には,調査機関はそれらの使用,保管,保存及びセキ

ュリティ対策に関する適切な指示及び警告を得るために,あらゆる努力を払わなければならず,安全な保

存及びセキュリティ対策を,関連する全ての当事者に伝達しなければならない。 

そのような製品又は商品が,参加者又は他の利害関係者によって使用される場合,調査機関はクライア

ントから,全ての製品が目的にかなっていること,かつ,それが人々又は財物に危害を及ぼすリスクがな

いことを確認するために,必要な情報,保証及び仕様書を受領しなければならない。調査機関は,その製

品又は商品が全ての規制的及び法的要求事項を満たしていることをクライアントに確認しなければならな

い。調査機関は,プロジェクト又は業務の完了時に,そうした製品又は商品の返還がどのように管理され

るかについて,クライアントに確認しなければならない。一旦取決めが合意され,確認されたならば,調

査機関はその情報をプロジェクトファイルに記録しなければならない。 

製品がデジタル的なものである場合には,4.3も参照する。 

4.5.3 

サービスを提供するためのプロジェクト,業務への要求,又は他の対応 

4.5.3.1 

一般事項 

企画提案か,見積りか,又はサービスの要請に対するその他の応答かにかかわらず,調査機関は,次の

ような最低限の要求事項を,プロジェクト又は業務の仕様ごとに追跡可能な形式で文書化しなければなら

ない。 

a) 意図される業務範囲 

b) 意図された目的,又は期待される成果物 

c) 意図された方法論 

d) 意図された技術(該当する場合) 

e) タイムライン,業務スケジュール,又はマイルストーン 

f) 

料金及び/又は支払いスケジュールの取決め 

g) 意図された成果物及び納品方法 

h) 提案書,見積書,又は応答の有効期限 

i) 

サンプリング及びウエイト付けの計画。(該当する場合)目標母集団,方法論,意図されたサンプリン

23 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

グフレームの使用,サンプルサイズ,サンプル選択又は募集,及び意図された結果に対する全体的な

信頼性を含む。 

j) 

使用される二次データ,元データの特質,及びプロジェクト内に含める方法 

k) スケジュールに関連する,あらゆる追加的な文書。重要なマイルストーン,供給責任,当事者間の文

書の受領記録,及び様々な活動(データ収集手段,分析仕様,及びプロジェクト全体の追跡)に関す

る承認を含む。 

以前から指定され,繰り返されている業務では,元々の仕様又は最後の業務から変更された事項だけを,

追跡可能な形式でクライアントに伝達する必要がある。 

プロジェクトがマルチクライアント方式の場合には,業務範囲又は意図された方法論について,明確に

記載しなければならない。 

注記 業務仕様書には,説明書若しくは設計の概要,及び/若しくは使用,又は納品を意図した正確

な要求事項が必要とされる。 

4.5.3.2 

プロジェクト又は他の業務の実施 

調査機関は,合意された仕様書に従って業務が実施されることを確実にするために,最も重要な調査プ

ロセスを監視しなければならない。 

注記 最も重要なプロセスには,サンプリング手順,データ収集ツールの開発,データ収集方法,デ

ータ処理,分析及び成果物の作成が含まれ得る。 

プロジェクトの記録は,発生したあらゆる問題に対処するために取られた措置を網羅しなければならな

い。 

クライアント又は調査機関によって作成された日程表,及びそれへの変更は,タイムリーな方法で他の

契約当事者に連絡し,承認を得なければならない。あらゆるそのような変更は,文書化しなければならな

い。 

4.5.3.3 

データ収集手段の構想及び設計 

調査機関は,データ収集手段を開発する際には次のことを考慮に入れなければならない。そのデータ収

集手段の内容,構造及び設計,ワーディングを含め,個々の質問の順番,調査される他の話題(例えば,

オムニバス調査上で),回答の選択肢数及びその順番,並びにその他調査結果に影響を及ぼし得る要素。 

自記入式データ収集手段のための指示及びフィルタ構造は,その手段又は関連する調査素材の一部とし

て含まれなければならない。 

継続的なプロジェクトに使用されるデータ収集手段が,データ収集ウェーブの間で修正された場合,調

査機関は他のプロセス(例えば,データ処理)への影響を関連する当事者に通知しなければならない。 

調査機関は,データ収集手段が,使用されるそれぞれの方法論及びデバイスに適合することを確実にし

なければならない。 

データ収集手段が改訂された場合にはいつでも,調査機関はその影響をクライアントに伝えなければな

らない。 

4.5.3.4 

データ収集手段・その他プロジェクト関連文書の翻訳 

翻訳が求められる場合,調査機関は,次のような最低限の要求事項を満たさなければならない。 

a) 翻訳は,原文の言語及び翻訳される言語について,母国語の能力又は同等のスキルをもつ人又は人た

ちが行わなければならない。翻訳者のうちの少なくとも1名は,この種の文書を取り扱った事前の経

験がなければならない。自動翻訳が使用される場合には,b)及びc)を適用しなければならない。 

b) 適切な翻訳にするためのチェック及び校閲は,原文の言語及び/又は翻訳される言語においてふさわ

24 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

  

しい能力をもつ,担当翻訳者以外の人々が行わなければならない。 

c) 翻訳のチェック及び校閲の結果は,記録しなければならない。 

二次的な検証が不可能な場合には,調査機関は翻訳者(たち)の力量を確実なものにするための方針を

もたなければならない。 

クライアント又はその代表者に,翻訳をレビューする機会を与えなければならない。 

4.5.3.5 

データ収集手段のプリテスト 

クライアント又は調査機関が必要と考える場合には,全てのデータ収集手段(自記入式を含む。)に関し

て,プリテストを実施しなければならない。同じデータ収集手段が以前にテストされ,同等の状況で使用

されたことがある場合には,そのようなテストはより限定された規模のものであってもよい。プリテスト

を行った場合には,その結果を記録しなければならない。 

注記 社内でのダミーインタビューから適切な参加者とのフルスケールのパイロットに至るまで,

様々な形式のプリテストを検討することができる。使用されるアプローチは通常,クライアン

トの合意を得るか,及び/又は価格への影響とともに提案書でカバーする。 

4.5.3.6 

謝礼又はインセンティブ 

インセンティブは,参加を促す手段として使用されることがある。インセンティブを提供する場合,調

査機関はプロジェクトの記録の一部として,インセンティブがどのようなものであったかを文書記録しな

ければならない。 

調査機関はバイアスを避けるために,当該調査プロジェクト及びターゲットグループとの関連から見て

できる限り中立的なインセンティブを選定しなければならない。 

インセンティブが提供される場合,参加者のための文書化された謝礼方針には,報酬の詳細な説明を含

めなければならない。 

必要に応じて,参加者のための謝礼方針には,次のような詳細を示さなければならない。 

a) インセンティブの性質(例えば,現金,商品券,ポイント,宝くじ) 

b) インセンティブが提供される参加の種類。例えば,パネルメンバーになること,サーベイへの参加(“参

加”の意味の定義とともに),その他の調査活動,ロイヤリティなど。 

c) どのようにして,いつ,インセンティブが与えられるのか,又は交換され得るのか。 

d) インセンティブに関する問合せ,又は紛争の解決方法 

参加者に子供又は保護を要する人々を含む場合,調査機関はその親,保護者又は責任ある大人にインセ

ンティブの仕組みについて知らせ,子供又は保護を要する人々が調査に参加することを許す前に,インセ

ンティブを提供することへの明確な許諾を求めなければならない。 

要請に応じて,調査機関は参加者にインセンティブを提供する際にクライアントに通知しなければなら

ず,提供するインセンティブに(例えば,地域,年齢による)差異があるかどうかを含め,それらのイン

センティブの特徴を明示しなければならない。 

4.5.4 

クライアントへの成果物の提供 

4.5.4.1 

一般事項 

調査機関は,合意されたとおりにクライアントに成果物を提供しなければならない。作業の完了時,又

は事前に計画された取決めに従って合意されたマイルストーンに沿って,成果物の全部又は一部を提供す

る。 

調査機関が提供する成果物は,クライアント又は利害関係者と合意した(4.3に従って),次のような(た

だし,それに限定されない)形式でなければならない。 

25 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

a) ハードコピー又は電子フォーマットの,正式な書面による報告書 

b) 対面でのプレゼンテーション 

c) デジタルデータ配信 

d) コミュニティWebサイト又は他のデジタルプレゼンテーションによる,クローズドなグループに報告

される情報 

e) ビデオプレゼンテーション,又は同様の方法 

f) 

インタビュー又は翻訳のコピー 

g) ダッシュボード 

成果物のクライアントへの提供に使用する方法にかかわらず,(4.1.3.2で決定された記録の保管期間内

で)調査機関はプロジェクトで使用した方法論及び成果物が完全に利用可能であり,クライアントの要請

によって将来の再現のために追跡可能であることを確実にしなければならない。調査機関は,こうした文

書が要請に応じて利用可能であることを,クライアントに知らせなければならない。 

加えて,報告プロセスの中で,調査機関は,次のことをしなければならない。 

− ベースとなるデータに沿って,又はベースとなるデータを参照して関連する値(例えば,%,比率)

を報告することによって,曖昧さを防ぐ。 

− 報告されるデータ及び素材の正確性を,クライアントへの納品前にチェックする。 

4.5.4.2 

クライアントへの報告 

調査機関が,データ収集工程の完了前にクライアントに出力データを納品する場合,データが部分的で

未検証の回答に基づいているという制約があることを,適切な通知及び警告に含めなければならない。 

調査機関は,データによって支持できる以上の確信をもって調査結果を提示してはならない。 

調査機関はクライアントに対して,クライアント自身が分析内容,潜在的な誤差又はバイアスの可能性,

及びバイアスの制御策を理解することを確実にするために,十分な情報を提供しなければならない。 

調査機関は,実証的な知見,及び該当する場合には他のデータによって裏付けられた調査課題に関連し

て,調査結果を解釈しなければならない。実証的な調査に基づく解釈及び提言は,個人的な見解及び意見

とは区別しなければならない。 

報告に関する要求事項については,プロジェクトの範囲及びクライアントと合意された報告方法の取決

めに従わなければならない。 

プロジェクト完了時のクライアントへの報告,又は結果を利用可能にすることは,次の最低限の要求事

項に加え,追加的な附属書で特定された報告の要求事項をカバーしなければならない。 

a) クライアント名及び調査機関名 

b) 調査の目的 

c) 全体又は部分的に二次契約したサービスの特定(要請された場合) 

d) 目標母集団 

e) データ収集の方法 

f) 

フィールドワーク又はデータ収集を行った日付 

g) インセンティブの種類(該当する場合) 

h) 統計的な解析手法(該当する場合) 

i) 

サンプリング誤差の範囲(該当する場合) 

j) 

(関連する場合)結果の妥当性に影響を及ぼす,本質的な制限に関する表明 

実務的には,その調査がこの規格に適合していることの表明を,クライアントへの報告書に含めること

26 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

  

が望ましい。 

注記 各データ収集方法に適用可能な,報告に関する追加的要求事項についてはB.8,C.4,及びF.7.3

を参照。 

附属書で特定される報告に関する要求事項については,最低限,次のことを含まなければならない。 

− 適用された妥当性確認,検証及び/又はモニタリングの手順 

− 結果の信頼性,及びその結果がデータの正確性及び一貫性に与える影響 

4.5.4.3 

調査結果の公表 

調査機関は,次の両方を満たす場合を除き,調査の成果物を公表してはならない。 

a) その調査が,関連する規制的要求事項を考慮しつつ,調査機関自身の費用で実施されたか,又はクラ

イアントによって同意され,契約上合意された場合。 

b) 調査機関が,その結論がデータによって適切に支持されていることを確実にするために,あらゆる合

理的な試みを行った場合。 

結果を公表する際,調査機関の発表内容は,クライアントの解釈とは明確に区別しなければならない。

調査機関は,また,その調査機関名が特定されているかどうかにかかわらず,調査結果の公表に関するク

ライアントの責任について注意を喚起しなければならない。 

4.6 

マネジメントレビュー及び改善 

4.6.1 

インプット 

調査機関は,少なくとも毎年,サービスの提供内容,プロセス,社内の文書化されたシステム,及びSoA

を点検し,レビューしなければならない。 

そのレビューには,調査機関が宣誓しているコアフレームワーク及び各附属書の要求事項を含めなけれ

ばならない。レビューでは,次のような証拠を提供しなければならない。 

a) 監査結果及び評価結果を含む,上記事項に対する適合,又は不適合の状況 

b) 是正処置及び不適合の再発防止が求められる場合に,取った処置 

c) なされた及び/又は計画された改善処置 

d) 引き起こされた処置を含む,規制・業界の行動規範も関連する全ての違反及び不適合に関するシニア

マネジメントの認知 

e) 顧客満足度のレビュー 

f) 

苦情及び苦情管理に関するレビュー(例えば,クライアント,参加者) 

調査機関は,また,SoAが提供されたサービスを代表していることを確実にするために(SoAを)レビ

ューしなければならず,そうでない場合には,必要に応じて修正しなければならない。レビューには,SoA

に含まれるコアフレームワーク,及び各附属書の要求事項を含まなければならない。 

4.6.2 

アウトプット 

レビューの結果は監査可能でなければならず,該当する場合には,タイムラインを含む合意された成果

物の証拠を含んでいなければならない。 

4.7 

内部監査 

この規格への適合を確認し,継続的なパフォーマンスの状況を調査機関に知らせ,改善の機会を特定す

るために,内部監査プログラムを少なくとも毎年計画し,実施しなければならない。 

SoAで宣言している附属書を内部監査プログラムに組み込まなければならない。内部監査プログラムの

一部として,プロジェクトか,又はプロジェクトを構成する要素を監査しなければならない。 

調査機関は,監査,捜査又はその他のテスト結果,フォローアップ活動,及び成果物を記録しなければ

27 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

ならず,適切な場合には,関連するクライアントのプロジェクトを参照しなければならない。 

調査機関は,内部監査人を適切に訓練しなければならず,内部監査部署の規模が許す(十分に大きい)

場合には,内部監査人自身の業務を監査してはならない。 

4.8 

法的要求事項 

調査機関は,(次のような)手順を確立し,実施し,維持しなければならない。 

− 提供する活動に対して適用される法的要求事項を特定する。 

− 提供する活動に対して,どのようにそれらの要求事項を適用するかを決定する。 

調査機関は,そのサービスを提供する際に,そこに適用される法的要求事項を考慮に入れることを確実

にしなければならない。 

28 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

  

附属書A 

(規定) 

アクセスパネルを含むサンプリング 

A.1 一般事項 

サンプリングサービスを提供する調査機関は,直接的か又は二次契約によるかにかかわらず,この附属

書に適合しなければならない。 

この附属書は,アクセスパネルの重要な要求事項をカバーしている。アクセスパネルに関するさらなる

要求事項は,附属書E及び附属書Fにも存在する。 

この附属書は,箇条4の文脈の中で読まれなければならない。 

調査機関は,サンプリング手法及びサンプルソースに関連する方法及びプロセスを文書化しなければな

らない。 

調査機関は,調査に貢献する参加者をどのようにしてリクルートしたかをクライアントに知らせ,次の

二つの主要なタイプの標本間の違いを明確に区別しなければならない。 

a) 確率標本 

b) 非確率標本 

そして,次の四つの主要なタイプのソースがある。 

1) 調査データの収集活動に参加する目的でメンバーになることに同意した参加者で構成された,アク

セスパネル 

2) マーケティングを目的としたクライアントのデータベースのような,調査データの収集活動に参加

するのとは異なる目的で作成されたデータベース 

3) 統計データ(例えば,国勢調査,地理的データ,郵便配達用データ,国民識別登録証) 

4) その他の情報ソース。リバーサンプリングを含むが,それに限定されない。 

A.2 サンプリング 

A.2.1 一般事項 

調査機関は,調査目的で標本を抽出するのに用いる設計及び方法について,クライアントと確認をしな

ければならない。これは,求められた場合に将来の再現性を担保するために文書化しなければならない。

調査機関は,また,定義された目標母集団に対する標本の代表性を減少させるかもしれない潜在的な標本

バイアスなど,関連するあらゆる事実を記録し,クライアントに報告しなければならない。 

プロジェクトの計画及び/又は見積りを行っているときに,調査機関はクライアントに対して,ターゲ

ットサンプリングを使用するかどうか(すなわち,ターゲティング目的のためにプロファイル情報が使用

されるかどうか)を知らせなければならない。 

調査機関は,サンプル設計が選択された抽出手順(例えば,層化,クラスタリング,割当て)を使用し

ており,かつ,追跡可能であることを確実にしなければならない。調査機関は,事前スクリーニング質問

の種類及びその使用意図について,透明性を確保しなければならない。調査機関は,関連する行動規範を

満たすために,第三者から提供を受けたものを含めたサンプルの特性を,その調査プロジェクトのサンプ

リング基準に適合させてチェックしなければならない。チェックすべき要求事項は,調査機関及び/又は

二次契約業者が実施するフィールドワークに適用する。 

29 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

クライアントのデータベースを使用する場合には,調査機関はそのデータベースをどのように使用する

のかをクライアントと確認し,潜在的な制約に対処しなければならない。 

注記 二次契約業者による作業の場合,チェックには,二次契約業者に要求するサンプル特性を通知

することと,それらの仕様に対して抽出されたサンプルを照合することが含まれる。 

A.2.2 サンプルのサイズ 

調査の設計又はデータの分析に責任を負う調査機関は,サンプル全体及び分析に関連するサブグループ

において,抽出されたサンプリングの変動幅が,意図した目的のために容認できる範囲に収まることを確

実にするために,クライアントからの十分に詳細な情報に基づいて,サンプルのサイズを推奨しなければ

ならない。調査機関は,推奨するサンプルサイズの長所及び限界について,説明することが望ましい。 

注記1 サンプル提供者が調査設計又はデータ分析を行わない場合,この要求事項は適用されない。 

注記2 クライアントからの情報提供には,クライアントが受け入れられるリスクの度合い,効果的

なサイズの期待値,クライアントが興味のある具体的なサブサンプルなどが含まれ得る。 

A.2.3 サンプルの抽出及び設計 

調査機関は,次のことを確実にしなければならない。 

a) 最終的なデータセットに含まれる完了したインタビューが,目標母集団とあらゆる調査設計の目的に

かなうこと 

b) サンプル抽出に使用された割当て又はターゲティング基準が追跡可能であること。これには,サンプ

ルソースのブレンド,サンプルルーティング技術の使用,及び参加者に提案されたインセンティブに

関する情報の提供が含まれる。 

A.2.4 サンプルの透明性 

A.2.4.1 サンプル提供者の透明性 

調査機関は,求められた場合に,クライアントがサンプル開発プロセスに関するあらゆる情報を利用で

きるようにしなければならない。使用される特定のサンプリング手法に応じるが,これには次を含めなけ

ればならない。 

a) サンプリングフレーム,又はサンプルを抽出したソース(情報源)の説明。これには次が含まれる。 

− 使用するサンプルソースのタイプ(例えば,アクセスパネル,リバーサンプリング,ダイナミッ

クサンプリング,インターネットトラフィック,顧客,会員リスト) 

− 新しいサンプルは,どのようにしてサンプルフレームに統合するのか,使用した二次契約業者を

含め,サンプルをどのように構築又は取得するのか。 

− (非確率標本の場合)妥当性確認の方法,及びそのデータが目標母集団を反映するように失われ

たケースを置き換えるために使用した方法を含む,データ検証の結果として除外したケースの件

数。 

b) 将来の見込み参加者を,パネル,コミュニティ,又は進行中の調査プログラムに募集するために使用

する手順 

c) 使用した参加招待状,督促状,及びデータ収集手段 

d) 不熱心回答及び詐欺行為を最小限に抑えるための,個々の調査参加者のパフォーマンスのモニタリン

グ又は品質管理,及びそのような行動を特定した場合に取るステップを含む,サンプルのクリーニン

グ及び更新に使用する手順。 

e) 参加者をサポートする手順(例えば,アンケート,パネルのヘルプデスク) 

f) 

参加者に提供するインセンティブの種類,及びそれらをどのように管理するか。 

30 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

  

g) サンプリングフレーム又は同等のものから,潜在的参加者を抽出するために使用するサンプリング方

法,及び使用する割当て又はサンプルブレンディング方法を含めて,サンプルが目標母集団を代表又

は説明することを確実にするために取る方法(非確率標本の場合)。 

注記 サンプル提供者は,次のサービスの一部又は全部を提供することができる。 

− アクセスパネル 

− サンプルのあっ(斡)旋行為(サンプルの購入及び再販の実施) 

− サンプルの集約(複数のサンプルソースの結合又は集約の実施) 

− ルーティング技術,又はルーティング技術へのアクセス 

h) 割当て又は他のフィルタリング基準のような,サンプル抽出に使用する具体的な基準 

i) 

プロジェクトのトラッキング又はフォローアップのために,サンプルの一貫性を最大化するためのあ

らゆる手順 

j) 

該当する場合,サンプルの品質を説明するために使用することができる,サンプリング誤差又はその

他の情報 

k) サンプルとなる参加者を招請する場合 

− 使用し,採用したサンプルユニット数のカウント 

− 不達で戻ってきたeメールの数(パネルのレベルで代わりにカウントされ,除去される可能性が

ある。) 

− 部分的な回答にとどまったインタビューの数 

− 完全にインタビューを完了した数,計画されたサンプルと実際に達成されたサンプルとの差異の

理由,及びこの点に関する問題をどのように処理したか。 

l) 

参加者のサンプルを招待している場合の,非確率標本の定義及び計算方法を含む参加率,又は確率標

本の定義及び計算方法を含む回答率 

m) ルータ又は類似の手法を使用する場合 

− スクリーニングした潜在的参加者数のカウント 

− 使用した具体的な基準 

− 適格とした参加者の数 

− 参加者に提示している調査プロジェクトの本数に関するルール 

− ルータで費やした時間 

n) 参加者の抽出において,バイアスを生むことが知られているか,又は疑わしいとされる方法に関する

文書 

o) 意図した目標母集団を正確に代表又は記述する(非確率標本の場合)ための,パネル又はサンプルの

能力に関する説明。そして該当する場合には,確率標本及び非確率標本の使用に関連する誤差のタイ

プ及び程度。 

p) サンプリング誤差の可能性に関する表明 

A.2.4.2 サンプルユーザの透明性 

調査機関は,要請に応じて次の情報が利用できることをクライアントに通知しなければならない。 

a) サンプリングフレーム又は同等の物,サンプルソース,及び使用したサンプリング手法 

b) フィールドワークの実施日 

c) 調査票又はインタビュー時間の,平均値又は中央値 

d) 完了したインタビュー全体の数 

31 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

e) サンプル抽出に使用したあらゆる割当て,又はその他の仕様 

f) 

スクリーナー,調査票,ディスカッションガイド,及びその他の関連するデータ収集手段及び文書 

g) 身元の妥当性確認に成功した参加者数のカウント(身元の妥当性確認を行った場合) 

h) 使用したあらゆる重複除去方法の説明,結果として削除した回答の数,及び同様に削除した回答を置

き換えるために取った処置 

i) 

使用した参加者の関与度の指標,及び調査への協力度が低いために削除又は代替した参加者の匿名化

されたアカウント 

j) 

除外情報 

k) 参加率(算出可能な場合),及びその計算に使用された手法 

l) 

完了率 

m) 要請に応じて,プロジェクトの一部を二次契約したかどうか,もししていれば,どの組織に委託した

か。 

A.3 確率標本 

調査機関は,使用する特定のサンプル抽出手法について,目標母集団又はサンプリングフレーム内の各

個人又は計測単位が,サンプルに含まれている計算可能な(ゼロではない)確率をもつことを確実にしな

ければならない。抽出地点及び/又は個人若しくは計測単位を選定することに使用するデータのソースは,

文書記録しなければならない。調査機関は,無回答,カバレッジの低さ,及びその他の原因による構造上

のバイアスを相殺するために,事後に参加者の記録にウエイト付けを行ってもよい。これは,将来の再現

性確保のために,追跡可能でなければならない。 

A.4 非確率標本 

A.4.1 一般事項 

非確率標本には次のものが含まれるが,それらに限定されない。 

a) アクセスパネル(オンライン又はオフライン) 

b) インターセプト(オンライン又はオフライン) 

c) ソーシャルメディア(オンライン又はオフライン) 

d) リスト,又はカバレッジ不明なその他のソース(オンライン又はオフライン) 

e) 複数のソースのブレンド。複数のモードを横断したインタビューを含む(例えば,オンラインとオフ

ラインのサンプルとの組合せ,アクセスパネル,オンラインインターセプト)。 

f) 

ルータ技術(オンライン) 

A.4.2 非確率標本の品質基準 

調査プロジェクトのサンプル抽出のために次のような非確率標本の情報ソースを使用する場合,サンプ

ル提供者はそれらを文書記録し,クライアントが利用できるようにしなければならない。 

a) サンプルを抽出し,構築し,及び/又は取得した,サンプリングフレーム又は他のソース,及び抽出

方法。そして,そのサンプルが代表することを意図した目標母集団の説明。 

b) 使用するサンプリング方法。すなわち,サンプリングフレーム又は同等のものから潜在的な参加者を

選定するために用いる手順,及び使用する割当てを含む,そのサンプルが目標母集団を代表すること

を確実にするために用いる手段。 

c) 無回答のサンプルに関連するあらゆる情報を含む,サンプル選定に使用する基準 

32 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

  

d) 抽出したサンプル計測単位の数のカウント 

e) サンプル選定の際に発生した問題の説明,及びどのように問題解決を行ったか。 

f) 

ウエイト付け及び推計の手法 

g) サンプルに関するデータ収集手法 

h) 目的に対するサンプルの適切さ 

i) 

サンプルが目標母集団をどのくらいよく代表しているかについての評価,及びデータ品質に関連する

影響 

j) 

可能であれば,潜在的なバイアスを評価するために使用する可能性がある他の情報源からの関連デー

タ 

k) アクセスパネルを使用する場合に,アクセスパネルに必要な情報 

割当てサンプルの場合には,調査機関は,関連する基準の見地から意図された目標母集団を知り,定義

しなければならない。調査機関は,母集団全体,インタビューの数,及び割当てプランにおける割当て管

理の大もとの情報源及び日付に関連する特性を含めなければならない。 

A.4.3 サンプルの重複,デバイスID,クッキー及び類似のオブジェクト 

A.4.3.1 一般事項 

調査機関は,サンプルを拡張するために複数の情報源(例えば,複数のパネル,ソーシャルネットワー

ク,リバーサンプルなど)を使用する結果として発生し得る,重複した参加者を除外するために全ての合

理的な努力を払わなければならない。 

A.4.3.2 デバイスID 

デバイスIDを使用してサンプルから重複した参加者を除外する場合,調査機関は,地理的位置情報の

識別,並びに可能であれば重複及びプロキシサーバの識別の両方をサポートできるデバイスID技術を使

用しなければならない。調査機関は,そうした技術の正確性に関して透明性を確保しなければならず,ユ

ーザにその制約を通知しなければならない。 

調査機関は,デバイスIDの使用,転送,及び保管に関連するデータ保護の要求事項について,ユーザ

に通知しなければならない。 

A.4.3.3 クッキー及びその他の類似のオブジェクト 

調査機関は,ローカル共有オブジェクト(例えば,“フラッシュクッキー”),Webビーコン(透明又は

クリアなgifを含む。)を含む,クッキー及びその他の類似のオブジェクトを使用する第三者だけを使用す

るか,又は活用しなければならない。これらの目的には,次のものを含む。 

a) 参加者から要請されたサービス(すなわち,パネル及び調査に参加するため)を行うために必要とな

る,参加者又はパネリストの識別情報 

b) デバイスID技術の使用を含む,妥当性確認及び詐欺行為の防止 

c) 広告評価調査及びその他の適切な調査への使用などの,トラッキング活動 

クッキー及びその他の類似のオブジェクトを使用する場合,調査機関は,調査活動及びマーケティング

活動の分離を含む,適用される業界の行動規範に適合しなければならない。一部の管轄区域(地域)では,

参加者の同意を得て,初回に参加者のデバイスにクッキー及び他の類似のオブジェクトを埋め込み,関連

するWebサイト上にクッキーが配布される通知を記載することが含まれる。 

調査機関は,参加者に対してクッキー及び他の類似のオブジェクトの特性,存在,及び目的を知らせな

ければならない。この情報は,参加者及びパネリストの同意を得るために,平易な言葉で提示されなけれ

ばならない。 

33 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

A.4.3.4 その他の手法 

調査機関が,デバイスID技術,クッキー,及びその他の類似のオブジェクトの代替手段を使用する場

合,それらの代替手段は同等の機能を,同じか又はそれ以上のレベルの精度及び有効性で達成しなければ

ならない。これらの手法には,プロセスベースのソリューションと同様に,他の技術によるソリューショ

ンも含まれる。 

調査機関は,重複除去プロセスの結果を完全に文書記録しなければならず,要請に応じて,その結果を

匿名化した形式でクライアントに提供しなければならない。 

A.4.4 サンプルブレンディング 

調査機関は,サンプルのブレンディングに使用されるソース,パーセンテージ,及び手法を含むサンプ

ルブレンディングの使用について,透明性を確保しなければならない。 

調査機関が,コンピュータ支援による氏名の識別を含むサンプルソースのブレンドを行うときにはいつ

でも,参加者の同意なしにパネルメンバーの個人データを第三者と共有しないように,注意深く配慮する

ことが望ましい。 

注記 この作業では,ときとしてサンプル抽出時にバランシング技術を用いることがあり,また,サ

ンプルのプロファイリング,スコアリング,又はマッチング技術を使用することができる。 

A.4.5 サンプリングの自動化 

サンプリングプロセスの自動化(ルータ及びサンプルソースの交換を含む。)のための技術を使用又は運

用している調査機関は,サンプリング自動化プロセス,含まれる情報ソース,及び導入した技術について,

完全な透明性を確保しなければならない。 

ルータを使用する調査機関は,次の情報を提供するか,又は利用できるようにしなければならない。 

a) ルータがシリアル又はパラレル設計を使用するかどうか。 

b) スクリーニングした,潜在的参加者数のカウント 

c) 使用された特定の基準,適格とした参加者の数 

d) 参加者に提示している調査案内の数に関して使用しているルール 

特定のルータの使用が,参加者の選定にバイアスを生じさせることが知られている場合,調査機関はそ

の情報を文書記録し,クライアントに提供しなければならない。 

注記 ルータは,一般にシリアル又はパラレルが定義されている。 

− シリアルルータは一般に,参加者がルーティング環境下で利用可能な調査に,順番にスク

リーニングされるプロセスを使用する。 

− パラレルルータは一般に,参加者がルーティング環境下で実施されている調査プロジェク

トの,全部又は一部の事前スクリーニング質問のセットに公開されるプロセスを使用する。 

A.4.6 サンプルブレンディング,サンプリング自動化,技術ベースのソリューション及び個人情報 

調査機関は,参加者の同意が得られない限り,サンプルのブレンディング,サーベイ及びサンプリング

の自動化,又は技術ベースのソリューションが品質測定のために使用されているときにはいつでも,個人

情報が共有されないことを確実にしなければならない。 

A.4.7 不適格かつ不注意な回答 

調査機関は,不適格な,又は不注意な参加を特定し,その調査データ及び品質への影響を最小限にとど

めるための手続を実行しなければならず,それには次のいずれかが含まれ得る。 

a) 調査の完了に要した時間(該当する場合) 

b) 未回答質問の割合。関連する場合には,特定の重要な質問に未回答だったかどうか。 

34 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

  

c) 参加者のプロフィールデータ(例えば,年齢,物理的な住所)の少なくとも一つの項目と,別のソー

スからのデータとの比較 

d) 外部データ(例えば,使用及び態度データ)との相互比較及び相互検証 

e) “分からない”又は“回答拒否”のような,実態のない回答が選択された程度 

f) 

マトリックス又はグリッド質問でのパターン化された回答(例えば,一直線の回答,でたらめな回答) 

g) 一貫性のない回答の検出(例えば,同じ属性のペア質問で,ポジ及びネガ両方の回答をするなどの比

較) 

h) 確率が低いか,又は架空の回答カテゴリを含む質問 

i) 

マトリックスの中で“右端にあるボックスをチェックしてください”といったわな(罠)の質問か,

又はスキルに関する質問 

j) 

自由回答質問への適切な回答 

k) デジタル指紋 

調査機関は,使用する処置を決定するためにクライアントと協力しなければならない。 

A.4.8 特別に配慮すべき事項 

A.4.8.1 モバイル 

A.4.8.1.1 意図しないモバイルでの参加者 

調査機関は,参加者がモバイル機器用には設計していない調査プロジェクトで,(それでも)モバイル機

器を使用して回答できるかどうかを開示しなければならない。 

a) 更に調査機関は,(要請された場合)モバイル機器で回答を完了した,又は試みた数,及び目標母集団

に対するサンプルの代表性への影響について,開示しなければならない。 

b) 調査機関は,どのようなデジタル機器上であっても回答できるように,オンライン調査の最適化を目

指さなければならない。 

A.4.8.1.2 モバイル調査のための新しいサンプルソース 

調査機関は,モバイル調査のためのサンプルソースについて透明性を確保しなければならず,A.2.4.1で

指定された報告を提供しなければならない。 

A.4.8.2 カテゴリ及びその他のタイプの除外 

カテゴリ又は手法の除外要請に対応する場合,調査機関は,使用している特定の手法を開示しなければ

ならない。 

A.5 アクセスパネル 

A.5.1 アクセスパネルの一般要求事項 

調査機関は,アクセスパネルを積極的に管理しなければならない。そのような管理には,調査機関とパ

ネルメンバーとの間の継続的なコミュニケーションを含まなければならない。 

リクルート段階で,調査機関はパネルメンバーから調査プロジェクトに参加することの同意を得なけれ

ばならない。 

アクセスパネルには,パネルメンバーのプロフィールデータのセットを含めなければならない(A.5.5.3

参照)。 

調査機関は,アクティブなパネルメンバーが次の基準を満たすことを確実にしなければならない。 

a) 文書化した情報ソースからリクルートしている。 

b) 最初の身元確認時に適切な情報を提供済みである。 

35 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

c) リクルート時にプロフィールデータを提供済みである。 

d) パネルの会員規約に従って調査に参加することに,明白な同意を与えている。 

アクティブなパネルメンバーにとどまるためには,調査機関は,次の基準の少なくとも一つが満たされ

ていることを確実にしなければならない。 

− パネルメンバーが過去12か月以内(要請された場合)に,少なくとも1回の調査プロジェクトを完了

している(適格な完了,不適格による終了,又は割当枠が満杯になった場合の終了を含む。)。 

− パネルメンバーが過去12か月以内に,プロフィールデータを更新している。 

A.5.2 新しいパネルメンバーのリクルート 

A.5.2.1 アクセスパネルの秘密保持及び透明性 

リクルートプロセスの期間中及びその後に,調査機関はアクセスパネルの一般的な目的,その運用様式,

及びパネルメンバーから収集したデータをどのように使用するかという特徴について,パネルメンバーに

伝達し,透明性を確保しなければならない。 

調査機関は,リクルートの期間中及びその後に,パネルメンバー用のプライバシーに関する声明書を文

書化し,容易に利用できるように準備しておかなければならない。 

調査機関は,会員規約に同意し,将来の調査プロジェクトへの参加に合意した人々だけをパネルに追加

しなければならない。 

調査機関は,子供又は保護を要する人々をパネルに追加する際の同意を得るために,親又は法的な保護

者に対して,実施される調査の種類を説明しなければならない。 

A.5.2.2 アクセスパネルのリクルート 

リクルートの段階で,調査機関は,パネルメンバーから調査プロジェクトに参加することの合意を取得

しなければならない。 

調査機関は,パネルメンバーに対して,一般的な参加条件について知らせなければならず,それには次

のものが含まれる。 

a) プライバシー及び秘密保持 

b) インセンティブ及び報奨に関する方針 

c) オペレーションの様式(例えば,ホームユーステスト,オンラインコミュニティ) 

d) リクルート期間中又はパネル調査プロジェクトを通じて,パネルメンバーからどのようにデータが収

集されるかの一般的な特徴 

e) データがどのように伝達されるか。 

リクルートプロセスの間に,調査機関はパネルメンバーの候補者に対して,アクセスパネルへの協力及

び会員資格は自発的なものであり,リクルートされた後にいつでも,パネルメンバー自身の要請に応じて

アクセスパネルから退会できることを確実に知らせなければならない。 

A.5.2.3 リクルート方法 

調査機関は,要請に応じて,使用されたリクルート方法をクライアントに開示しなければならない。調

査機関は,クライアントに対してオープン型か又はクローズド型か,いずれのリクルート方式が使用され

たのかを通知しなければならない。アクセスパネルは,新しいパネルメンバーが自発的にサインアップで

きないようであれば,クローズド型といわれる(例えば,人々が公開されているWebサイトにサインアッ

プできないなど。)。 

注記 既存のデータベースを使用すると,パネル内にバイアスが生じる可能性がある(例えば,特定

の車ブランドの購入者のデータベースからリクルートを行うと,将来の車ブランドに対する関

36 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

  

与度の調査にバイアスを生じさせるかもしれない。)。それゆえ,データベースのソース,及び

使用されたリクルートの方法論を定義することが重要である。 

A.5.2.4 リクルートソース 

リクルートソースの適切性を評価し,それらがバイアス又は妥当性の問題を引き起こす可能性があるか

どうかを判断するために,要請があった場合,調査機関は,次の点をクライアントに開示しなければなら

ない。 

a) アクセスパネルのリクルートに使用したソースの種類 

b) リクルートは目標母集団を代表するサンプルから行ったかどうか。 

c) ソースの数及び性質 

A.5.3 身元の妥当性確認 

A.5.3.1 一般事項 

調査機関は,申請された新しいパネルメンバーの身元の妥当性を確認(validate)しなければならない

(A.5.3.2参照)。 

調査機関は,次のことをしなければならない。 

a) パネルメンバーの身元の妥当性を確認するプロセスを文書化する。 

b) それらの結果,及び取った措置の一切を記録する。 

c) 要請に応じて,プロセス,匿名化した結果,及び取った措置をクライアントが利用できるようにする。 

A.5.3.2 リクルート段階における身元の妥当性確認 

調査機関は,パネルメンバー候補者の身元を,リクルート期間中にその妥当性を確認することを確実に

しなければならない。妥当性確認に使用できる具体的な変数については,E.3.2を参照。 

A.5.3.3 継続的な身元の妥当性確認 

調査機関は,パネルメンバーが調査に参加する度に,適切に文書化した方法を用いて,身元の妥当性確

認を行わなければならない。 

クライアントと協力して,調査機関は不適格で不注意な参加者を特定し,削除するプロセスを実施し,

これらの手順及び処置を文書記録しなければならない。調査機関,クライアント,及び/又は二次契約業

者は,いずれも単独ではこの要求事項を完全にカバーすることはできないかもしれないため,この問題の

責任を共有してもよい。 

プロジェクトの性質及びアクセスパネルの使用状況に応じて,調査機関は,E.3.2で指定された一つ以上

の妥当性確認方法を含めなければならない。 

A.5.4 アクセスパネルの登録解除又は離脱希望表明の要請 

調査機関は,パネルメンバーが選択した場合に,アクセスパネルから除外されるための簡単な方法を提

示しなければならない。調査機関は除外の要請を可能な限り現実的な速さで,遅くとも要請されてから30

日以内に,又は適用される規制によって要求される時間内に完了しなければならない。調査機関は,以前

のパネルメンバーから将来のリクルート又は調査において参加を再開するという新たな承諾が得られない

限り,そのようなパネルメンバーを関連するアクセスパネルから将来の調査案件のために抽出してはなら

ない。 

A.5.5 アクセスパネルの構造及び大きさ 

A.5.5.1 アクセスパネルの構造 

調査機関はアクセスパネルの構造を説明しなければならず,要請があった場合,具体的な調査プロジェ

クトに関係する範囲において,その情報をクライアントが利用できるようにしなければならない。その説

37 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

明には,次の各項を含めなければならない。 

a) アクセスパネルに含まれる,及び/又は含まれない母集団グループ[例えば,国内消費者,開業専門

家(医師,弁護士など),ビジネスグループ] 

b) 特定のサンプル,又はサブサンプルを選択できる,アクセスパネル内のあらゆるサブグループ。そし

て,アクセスパネル全体の大きさに占めるそれら(サブグループ)の大きさ。 

アクセスパネルのリクルートの目的が,ある集団のプロフィールを反映することである場合(例えば,

年齢又は社会経済的な階級によって),調査機関は,関連するデータの裏付けによってこれを実証しなけれ

ばならない。 

A.5.5.2 アクセスパネルの大きさ 

A.5.5.2.1 一般要求事項 

調査機関は,次の事項を考慮しつつ,アクセスパネルの大きさ及び容量を定義し,かつ,クライアント

に対して透明性を確保しなければならない。 

a) アクティブなパネルメンバーだけを含めなければならない。 

b) パネルメンバー以外の世帯構成員を含めてはならないが,全体の世帯人員数の推定値は提供してもよ

い。 

c) 典型的な参加率(及びその計算方法)は,過去12か月以内に実施したプロジェクトの値だけを含めな

ければならない。 

d) パネルメンバーには継続的に脱退及び加入が生じているため,アクセスパネルの大きさには,特定の

日付を付与しなければならない。 

注記1 アクセスパネルの品質,したがって,そこから抽出された標本の品質も,また,パネルメン

バー数よりはむしろ,パネルメンバーのリクルート及び選出の手順,アクセスパネルの構造,

並びにアクセスパネルの維持管理及び使用度によって主に決定される。 

注記2 自身のパネルからの調達に加えて,調査機関がリバーサンプリング,ルーティング,又はそ

の他の技術を使用する場合には,パネルのキャパシティを評価するための,更に進んだ指標

がより適切かもしれない。 

A.5.5.2.2 再コンタクト 

要請された場合,調査機関は,効果的なトラッキングプロジェクトのソースとして,また,サンプル提

供者の再コンタクト能力を評価するためのクライアントの手助けになるように,同じパネルメンバーに複

数回アクセスする能力を提示しなければならない。これは,最初の調査プロジェクトを完了したパネリス

ト集団のうち,その後の30日以内に2回目の調査プロジェクトも完了した人の割合(パーセント)として

計算しなければならない。適切とみなされる他の時間枠も,同様に計算しなければならない。 

A.5.5.3 パネルメンバーのプロフィールデータ 

調査機関は,分析に使用するパネルベースのプロファイリング変数が適切に検証されていることを確実

にしなければならない。 

リクルート期間中だけでなく,参加者がパネルメンバーである全期間内において,調査機関は全てのパ

ネルメンバーからプロフィールデータを収集し,かつ,更新しなければならない。ただし,調査機関によ

って全てのパネルメンバーから,あらゆるタイプのプロファイリング情報が求められるわけではない。調

査機関は,プロフィールデータに関する定義を,クライアントが利用できるようにしなければならない。

関係するパネルメンバーのデータ定義には,次の各項が含まれ得る。 

a) 連絡先の詳細(例えば,eメールアドレス,自宅住所,電話番号) 

38 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

  

b) デモグラフィック変数及び社会・経済変数(例えば,性別,年齢,婚姻状況,最終学歴,社会・経済

グループなど) 

c) 製品及びサービスの使用又は保有状況,並びにその他の行動データ 

専門家のアクセスパネルに関しては,他の同等の分類が適切となるような場合がある。 

注記 プロフィールデータは,様々な目的のために収集する。例えば,アクティブなパネルメンバー

シップを確認すること。パネルメンバーの妥当性確認及び監査に使用するための情報を提供す

ること。サンプル設計に使用するために,関連する層化データを提供すること。パネリストに

対してターゲットとなる,より良い調査機会を提供し,サンプル設計で定義された仕様に適合

しないパネルメンバーへのコンタクトを避けること。 

A.5.6 アクセスパネルの管理 

A.5.6.1 一般事項 

調査機関は,アクセスパネルの管理手順を文書化し,要請に応じて,クライアントがそれらの手順の概

要を利用できるようにしなければならない。 

A.5.6.2 インセンティブ 

調査機関は,パネルメンバーが積み立てられたインセンティブを確認できるようにすることを確実にし

なければならない。 

A.5.6.3 保守及びメンテナンス 

調査機関は,調査プロジェクト参加の一環か,プロフィールデータ更新の一環か,又はその他の機会か

のいずれであれ,少なくとも12か月ごとに1回,パネルメンバーと連絡を取らなければならない。調査機

関によるそのような連絡は,調査機関とパネルメンバーとの間の双方向コミュニケーションが伴わなけれ

ばならず,かつ,文書記録しなければならない。 

調査機関は,パネルメンバーの参加履歴に関するデータを維持しなければならない。パネルメンバーの

参加に関係する変数としては,次の各項が含まれることがある。 

a) あるアクセスパネルの構成員である期間の長さ 

b) パネルメンバーに参加を依頼した調査プロジェクトの数及び期間,並びに回答が提供された回数 

c) パネルメンバーが回答したプロジェクトのトピック 

d) 最後にプロフィールデータが更新されたのはいつか 

調査機関は,要請があった場合に,アクセスパネルの参加状況分析のために利用可能な変数を含め,ア

クセスパネルの保守に関係する取扱方針をクライアントに知らせなければならない。 

少なくとも12か月ごとに1回,調査機関は,もはやアクティブであるという要求事項を満たさなくなっ

たパネルメンバーを特定しなければならない。調査機関は,パネルメンバーの協力履歴(例えば,参加依

頼に対して連続して参加しなかった回数)に基づく明確な方針に沿って,それらのパネリストを“アクテ

ィブでない”と定義しなければならない。 

調査機関は,パネルメンバーの参加履歴の記録を,最低2年間保持しなければならない。 

A.5.6.4 パネルメンバーのプロフィールデータの更新 

調査機関は,少なくとも12か月ごとに1回,パネルメンバーにプロフィール情報を更新するように依頼

しなければならず,また,その他の時間にパネルメンバーが要請したときには,自らの情報(例えば,e

メールアドレス,電話番号,住所)を更新することを許可しなければならない。 

プロフィールに変更の必要がない場合には,調査機関は確認年月日を記録することによって,更新が確

認されたものとみなすことができる。この状況では,調査機関は,パネルメンバーが自身のプロフィール

39 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

情報を更新する機会を得たことを記録しなければならない。 

A.5.6.5 システムの要求事項 

調査機関は,この規格の要求事項を実施し,アクセスパネルの募集,構造及び大きさ,パネルメンバー

のプロフィール,アクセスパネルの管理,並びに調査参加(例えば,応答パターン及び行動)に関連する

データを提供するために,有効なシステム(コンピュータベース又はその他)を利用できるようにしなけ

ればならない。 

A.5.6.6 パネルメンバーのサポート 

調査機関は,eメール,Web,郵便,電話,又はその他の方法で,パネルメンバーに技術サポート及びヘ

ルプデスクサービスを提供しなければならない。調査機関は,合理的な期間内に要請を承認し,対処し,

それらの通信を記録しなければならない。調査機関のヘルプデスクは,パネリストが追加費用を負担する

必要のない,少なくとも次のいずれか一つの方法を含む形式をとらなければならない。 

a) eメールによるサポート 

b) 電話によるサポート 

c) パネル提供者のWebサイト又はその他のデジタルチャンネルを介したインタラクティブなチャット 

A.5.7 アクセスパネルの使用及び参加頻度 

調査機関は,パネルメンバー全員の参加頻度をモニターし,次の方法を実行しなければならない。 

a) どのパネルメンバーが,どの調査プロジェクトに参加したかを識別する。 

b) パネルメンバー当たりの平均参加数を計算する。 

調査機関は,要請に応じて,クライアントのプロジェクトに参加したアクセスパネル及び特定のサンプ

ルの両方について,パネルメンバーごとの平均参加回数をクライアントが利用できるようにしなければな

らない。 

日付を含む,調査参加の詳細な記録を各パネルメンバーに関して保存しなければならず,それには次の

ものが含まれる。 

− どの調査プロジェクトに参加を依頼したか(例えば,調査票の種類,製品カテゴリ)。 

− 参加依頼に対する応答(例えば,不適格,終了,スクリーンアウト,途中放棄,又は同様の参加の試

み) 

調査機関は,各々の調査の参加依頼に関連してパネルメンバーが受け取るであろうリマインダ(督促状)

の数について,方針をもたなければならない。この方針は,過度であると認識されない数を特定しなけれ

ばならない。 

注記 パネルメンバーの参加頻度は,特定のタイプの調査における誤差の種類及び規模に影響を与え

る可能性がある。 

40 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

  

附属書B 

(規定) 

フィールドワーク 

B.1 

一般事項 

フィールドワーク手法を用いてデータ収集を提供する調査機関は,直接的か,又は二次契約によるかに

かかわらず,この附属書に適合しなければならない。 

この附属書は,箇条4の文脈の中で読まれなければならない。 

B.2 

フィールドワーカの管理,募集・採用及びトレーニング 

B.2.1 フィールドワーカの募集・採用 

調査機関は,フィールドワーカ応募者の適性を,応募者のこれまでの業務経験及び資格,プロジェクト

固有の要求事項及び採用面接,及び/又は以前の勤務先からの推薦状に基づき,評価しなければならない。 

具体的なプロジェクトを含む,担当予定業務を遂行するに当たって必要とされる何らかの経験がある場

合,新規応募者の関連する経験レベルを確認しなければならない。業務能力評価には言語スキルを含み,

それには,データ収集に使用される言語での指示に従える能力,及び母国語と同等の力量が含まれる。 

調査機関は,フィールドワーカに関して,募集・採用期間中,又はその後に得られた全ての関連情報(例

えば,トレーニング記録,妥当性確認結果)を文書記録しなければならない。この文書は,当該フィール

ドワーカが当該調査機関のために業務を行う間,及びその後の最低1年間,保存されなければならない。 

フィールドワーカが職業紹介会社を通じて募集・採用される場合,調査機関によって保持される募集・

採用記録が細部にわたらないこともあり得るが,関連スキル,及び過去の経験については確認しなければ

ならない。 

B.2.2 新しいフィールドワーカに対する基礎トレーニング 

基礎トレーニングの内容及び範囲は,調査機関の実行予定業務(例えば,面接調査,電話調査,定性調

査の参加者リクルート,観察調査)の性質及び複雑さから見て適切でなければならない。その後,フィー

ルドワーカがコンピュータ支援インタビュー(CAI)の使用を含む,別の(すなわち,既に受けた基礎ト

レーニングでカバーされたものとは異なる)タイプの業務で使用される場合,調査機関は,適切な追加基

礎トレーニングを実施しなければならない。 

最低限,調査機関が提供する基礎トレーニングには,次を含まなければならない。 

a) 調査の一般原理 

b) 参加者の安全対策及びデータ保護の問題を含む,倫理的及び法的要求事項 

c) 調査機関が支持している,国内又は国際的な行動規範に関連する要求事項 

d) 子供又は保護を要する人々の取扱い 

e) インタビュースキル及び/又はその他の関連する技法 

f) 

関連する場合,(新しい)技術の使用法(例えば,CAI) 

g) インタビューのロールプレイ及び試行,又は他のデータ収集手法のための適切なタイプのトレーニン

グ 

調査機関のデータ収集管理運営スタッフは,適切な場合に,フィールドワーカがその初日に行う業務(例

えば,電話インタビューのモニタリング)について,同行又は監視することが望ましい。加えて調査機関

41 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

は,基礎トレーニング終了後にフィールドワーカが初めて担当する業務について,フィードバックの提供

を含めて,妥当性確認を行うことが望ましい。調査機関がそのようなモニタリング又は同行を実施しない

場合には,最初の担当業務で得られた業務結果について,妥当性確認を行わなければならない。 

調査機関は,フィールドワーカに対して実施された基礎トレーニングについて,内容,実施期間,及び

トレーナーが誰であったかを含め,記録しなければならない。調査機関は,トレーニング受講者及びトレ

ーナーが,署名,又は同等の方法によって,当該トレーニング記録の内容が間違いないと証明することを

確実にしなければならない。 

注記1 参加者がデータを収集する場合,基礎トレーニング,継続的なトレーニング,及び考課に関

連する要求事項は適用されない。 

注記2 参加者は,フィールドワーカではない。 

注記3 この規格の基となっているISO 20252:2019では割愛されたが,2012年版までは新しいフィー

ルドワーカに対する基礎トレーニングは“最低6時間でなければならない”と規定されてい

た。 

B.2.3 フィールドワーカの継続的トレーニング及び考課 

調査機関は,定期的に使用している(例えば,1暦年に五つ以上のプロジェクト若しくはウェーブ,又

はその他の同等の割り当てられた業務を担当する。)フィールドワーカに対して,少なくとも毎年,パフォ

ーマンス考課を実施しなければならない。調査機関は,それよりも使用頻度の下がるフィールドワーカに

ついては,調査機関が適切とみなした適当な間隔で考課を行わなければならず,そのような方針を文書化

しなければならない。 

さらに,調査機関は要求に応じて,年間を通じて,フィールドワーカに継続的なフィードバックを提供

しなければならない。 

調査機関によって実施される考課は,全てフィールドワーカと調査機関のデータ収集管理スタッフとの

対話が可能なもの(例えば,対面,電話,その他のデジタル手法)でなければならず,業務の妥当性確認

結果のフィードバックを含まなければならない。 

調査機関によって行われる考課では,必要な場合に,個々のフィールドワーカに対する更なるトレーニ

ングの必要性を判別しなければならない。そのようなトレーニングの必要性は,様々な方法で判別するこ

とができる(例えば,調査票エディティング,フィールドワークの妥当性確認,同行実査又はインタビュ

ーのモニタリングなどの結果として)。 

調査機関は,上記の“更なるトレーニング”を,フィールドワーカが新しい種類の業務,又は新しい職

責(例えば,専門家インタビュー,スーパーバイザー業務)を割り当てられた際の追加トレーニングの必

要性とは区別しなければならない。 

調査機関は,考課報告書,及び実施された追加トレーニングの詳細を文書記録し,かつ,フィールドワ

ーカの人事記録とともにそれらの記録を保存しなければならない。 

B.3 

フィールドワーカの身分証明書(ID) 

調査機関は,訪問面接調査を行うフィールドワーカに対して,身分証明書(ID)を交付しなければなら

ない。身分証明書は写真付きであることが好ましい。身分証明書には,有効期間(例えば,発行日及び失

効日,そのIDが有効である年),その所属事業体(例えば,調査機関,フィールドワーカ)の名称及び連

絡先の詳細が含まれていなければならない。 

42 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

  

B.4 

プロジェクトブリーフィング 

B.4.1 一般事項 

調査機関は,フィールドワーカに対して,プロジェクトごと(又はあるプロジェクトのウェーブごと)

に,そのプロジェクトについてのブリーフィング及び/又はインストラクションを実施しなければならな

い。しかも,これはフィールドワーク開始後に途中から参加する場合であっても当てはまる。ブリーフィ

ング及び/又は指示は,各プロジェクトに関する要求事項を十分に理解している調査機関の担当者の責任

で行わなければならない。 

B.4.2 定量調査プロジェクト 

定量調査プロジェクトのためのブリーフィング及び/又は指示の中では,適切な場合,調査機関は次の

情報を含めなければならない。 

a) フィールドワークの実施年月日及び時刻 

b) 標本抽出手順 

c) 要求する割当て(クォータ) 

d) データ収集技法 

e) 調査票の取扱いに関する指示事項,又はその他のデータ収集手段及びインセンティブ 

f) 

許されるリクルート方法及び許されないリクルート方法 

g) 参加者に適用される,具体的な参加除外及び参加制限条件 

h) 特別な要求事項 

B.4.3 定性調査プロジェクト 

定性調査プロジェクトのためのブリーフィング及び/又は指示の中では,適切な場合,調査機関は次の

情報を含めなければならない。 

a) フィールドワークの実施年月日及び時刻 

b) 主要なリクルート基準 

c) 要求する割当て(クォータ) 

d) 各グループインタビュー,又はデプスインタビューのためにリクルートすべき参加者の数 

e) 許されるリクルート方法及び許されないリクルート方法 

f) 

参加者に適用される,具体的な参加除外及び参加制限条件 

g) 観察機器が使用される予定かどうか 

h) クライアントによる観察が行われるかどうか 

i) 

調査票の取扱いに関する指示事項,又はその他のデータ収集手段及びインセンティブ 

j) 

特別な要求事項 

B.5 

電話によるデータ収集及びCATI 

B.5.1 一般事項 

調査機関は,あるプロジェクトの1日,1週間,そして全体の合計として,個々の電話番号に電話をか

ける回数の最大値を定義し,それを超えないことを確実にしなければならない。 

調査機関は,コールされた電話番号が“無応答/通話を試みた”として扱われる前に,各コールに対す

るCATIシステムの最小限のタイムアウト(時間又はコール数)を定義し,それを守ることを確実にしな

ければならない。 

注記 多くの国々で,電話をかける最大値の正確な要求事項がある。これらの数値は法的規制によっ

43 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

てか,又は管理基準及び業界規範によって定義されている。 

電話調査プロジェクトが“ノーコールリスト”の適用を義務付けられている国又は地域で実施される場

合,調査機関はフィールドワークを開始する前に,それらのリストをシステムに組み込まなければならな

い。 

B.5.2 固定電話及び携帯電話 

プロジェクトの作業を開始する前に,調査機関は,固定電話及び携帯電話の番号がどのように混在する

ことになるかを,クライアントに通知しなければならない。 

B.5.3 プレディクティブダイアリング及び無言電話(サイレントコール) 

プレディクティブダイアリング装置が使用される場合,調査機関は,管理基準及び業界規範に厳格に従

うことを確実にしなければならない。最低限,調査機関は,次の設定をしなければならない。 

a) 参加者の電話番号から着信音を受信した後,無応答として通話を終了するまでの最小限の待ち時間。

この待ち時間については定義され,文書記録されなければならない。 

b) 調査に対応可能な電話オペレータが,呼出しに応答した参加者とのインタビューを開始するための許

容時間。調査機関は,対応可能な電話オペレータがおらずに通話を終了する場合の“無言電話による

終了”の許容時間を定義し,文書記録しなければならない。 

c) 全ての呼出しの中で無言電話を最小化することを確実にするために,プレディクティブダイアリング

のシステムをプログラムする。 

注記 多くの国々で,一つの調査プロジェクトの中で許容される無言電話の最大量などのように,無

言電話に関連する正確なルールがある。この量は,ゼロとすることもできる。 

調査機関の調査プロジェクトで無言電話が発生した場合には,次のような事項を記録しなければならな

い。 

− 自動ダイアリング装置のインストール環境設定 

− 発生した無言電話に使用した制御手法 

− 無言電話に関する苦情を処理するための手順。これらには,無言電話の受け手に対し,そのようなコ

ールが発生した電話番号を通知することを含めなければならない。 

B.5.4 苦情及びコールバック 

調査機関は,苦情を処理するための手順を確立し,文書化しなければならない。これには,その通話発

信者の電話番号を受信者に通知することを含まなければならない。 

調査機関は,電話をかけ直す参加者に対して,オペレータにつなぐか,又は次のことを通知される録音

に接続するかの選択肢が与えられることを確実にしなければならない。 

a) 呼出しを行った調査主体の身元識別情報 

b) 調査の目的でコールがなされたことを保証すること。 

B.6 

定性的データ収集 

B.6.1 一般事項 

B.6では,特別なトレーニングを受けたモデレータ又はフィールドワーカが,調査への参加に同意した

参加者から定性的なデータを収集することについて取り扱う。 

オンライン上の定性データ収集では,参加者とモデレータ又はフィールドワーカとの間の交流が,様々

なデジタルインタフェースを介して発生し得る。デジタル定性調査の技術は,リアルタイムで行うことが

できるし,又は調査参加者及びモデレータ・フィールドワーカがログインしてコンテンツを見たり,参加

44 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

  

したり投稿したりする時間に柔軟性のある(非同期の)長期間にわたって(例えば,電子掲示板セッショ

ンで)行うこともできる。 

B.6.2 定性調査参加者のリクルート 

調査機関は,参加者の詳細,どのようにリクルートされたか,及びそのリクルートソース(例えば,リ

クルータのデータベース,アクセスパネルなど)について,モデレータが利用できるようにしなければな

らない。それらの詳細は,参加者の秘密保持の対象となる。 

B.6.3 定性調査参加者リクルートの妥当性確認 

調査機関は,参加者リクルートの妥当性確認の主な目的が,参加者のデモグラフィック属性その他のリ

クルート基準及びフィールドワーカの業務を確認すること,並びに調査企画書に明記されている限度を超

えて参加者が参加するのを避けるものであることを確実にしなければならない。 

参加者がフィールドワーカによって(例えば,対面又は電話で)リクルートされた場合には,調査機関

はB.7に明記され,要求されたレベルに従って業務の妥当性を確認しなければならない。調査機関は,再

コンタクト又はモニタリング(例えば,会場テストからの電話リクルート)を含む妥当性確認の方法を確

実にしなければならない。調査機関は,そのような妥当性確認が行われることを確実にしなければならず,

これは定性データ収集の実施前,実施中,又は実施後に行うことができる。調査機関は,矛盾が発見され

た場合には必要な処置を講じなければならない。 

注記1 再コンタクトによる妥当性確認は,定性データ収集期間中に実施することができる。そのよ

うな場合,元のリクルートに関与していない個人が作成し,提供した自記入式又は自己申告

式の妥当性確認用調査票を使用することができる。 

注記2 場合によっては,リクルートの唯一の基準は,参加者がリクルート対象リスト(例えば,顧

客リスト)に含まれていることである。そのような場合,妥当性確認は,リクルートされた

参加者が本当にリストに掲載されているかどうかを確認することに限定することができ,再

コンタクト又はモニタリングは不要とみなすことができる。 

参加者がアクセスパネルを含めてオンラインでリクルートされた場合,調査機関は,附属書Eの自記入

式に明記されているように妥当性確認が実施されることを確実にしなければならない。同じ人々によって

リクルート及び妥当性確認が実施されるオンラインの状況では,調査機関は,妥当性確認の記録をモデレ

ータが利用できることを確実にしなければならない。 

調査機関は,参加者の身元を証明する適切な証拠書類を使用し,定性インタビュー又はグループインタ

ビューにおいて参加者の身元を確認し,“プロ”の参加者を除外しなければならない。モデレータも,また,

参加者が関連するリクルート基準を満たしていることを確認しなければならない。 

調査機関は,参加者の身元をどのように確認するか,リクルート基準に合致していることをモデレータ

がどのように確認するかを決定しなければならない。 

B.6.4 定性調査におけるモデレーション(司会進行) 

調査機関は,モデレータがブリーフィングを受け,かつ,ディスカッションガイドに明示されていない

あらゆる技法の使用を含む,十分な準備を行うことを確実にしなければならない。 

調査機関は,モデレータが与えられた調査プロジェクトの目的,探索すべき課題,刺激材料,及び使用

する特定の技法について,フィールドワークの開始前に熟知していることを確実にしなければならない。 

調査機関は,モデレータが各グループ又は各インタビューにおいて発見した全ての課題に関連するフィ

ードバックを提供することを確実にしなければならず,それには,次の点に関するものが含まれる。 

a) リクルート基準に対する,参加者の適合性 

45 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

b) グループインタビュー若しくはデプスインタビューが行われた施設(例えば,物理的な部屋,オンラ

インホスティング施設の機能性),視聴覚サービス,又はテクニカルサポートの適切性。 

c) ホスト役若しくはグループ参加者を出迎えた担当者の仕事ぶり,又はオンライン施設がセッションの

ために到着した参加者をどのように管理したか。 

調査機関は,このフィードバックが追跡可能であることを確実にしなければならない。 

B.6.5 定性調査の録音・録画及び調査参加者の秘密保持 

4.1.2,4.1.3,及び4.5.3参照。 

調査機関は,グループインタビューの録音又はデプスインタビューの回答の記録を,同意を得た場合に

だけ行い,同意は与えられた目的のためにだけ使用することを確実にしなければならない。 

記録は,通常,オーディオ,ビデオ,又はオンラインセッションでタイプされたものの写し若しくはア

ップロードされたコンテンツとなるが,他のものを含めてもよい。調査機関は,参加者に対して録音・録

画などが行われること,そのような情報が使用される意図(例えば,第三者による使用),及びデータの何

らかの形での移転(例えば,クライアントへの提供)について告知し,かつ,それらに対して同意を得る

ことを確実にしなければならない。 

調査機関は,プロジェクト,参加者(他の記録との相互参照を含む。),及びデータ収集の実施日を識別

するために,記録にラベルを付けることを確実にしなければならない。 

記録がクライアントに転送される場合には,調査機関は,参加者との別段の合意がない限り,その記録

が内部的な調査目的にだけ使用されるという合意書に,クライアントが署名することを確実にしなければ

ならない。 

注記 その合意は,調査提案書の一部とすることができる。 

第三者(クライアントを含む)が定性的データ収集を実地に観察する場合,調査機関はリクルート期間

中か,観察又は記録が始まる前に,参加者にそのことを伝え,合意を得ることを確実にしなければならな

い。 

調査機関は,クライアントに対して,調査提案書か又は特定の合意書のいずれかによって,観察行動を

通じてクライアントが個々の参加者について見たり聞いたりした個人データの使用は許可されないことを,

知らせることが望ましい。 

B.7 

データの妥当性確認 

B.7.1 一般事項 

調査機関は,実査期間中か又は実査終了後に(6週間を超えない範囲内で),また,データの処理結果が

出されるか及び/又はクライアントに報告される前に,できるだけ早く妥当性確認を実施しなければなら

ない。 

調査機関は,データの妥当性確認が独立した要員(すなわち,検証の対象になっている業務のフィール

ドワーカ以外の誰か)によって行われることを確実にしなければならない。 

調査機関は,各プロジェクト(又はウェーブ)のデータ収集に対して,B.7.2の妥当性確認の方法に従っ

た方法を用いて妥当性確認を行わなければならず,かつ,次を考慮しなければならない。 

a) 最近採用されたフィールドワーカの業務につき,その最初の担当プロジェクトを検証する必要がある

こと。 

b) 定期的に使用しているフィールドワーカに対する妥当性確認の頻度についての必要性。必ずしもプロ

ジェクトごとに行う必要はない(肯定的又は否定的な妥当性確認の結果によっては,ある個人のその

46 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

  

後の業務を検証する頻度に影響を及ぼす可能性がある。)。 

妥当性確認によって矛盾又は問題を発見した場合には,調査機関は,次の二つのレベルで是正処置を講

じなければならない。 

− プロジェクトのレベル(例えば,インタビュアーの交代,追加業務の妥当性確認,データを使用する

ことの適格さの確認) 

− フィールドワーカのレベル(例えば,再トレーニング,将来の業務割当ての工夫)。深刻な矛盾(例え

ば,不正行為のリスク)の場合には,その個人による直近又は同時期に担当した業務を,再チェック

及び妥当性確認をしなければならない。 

B.7.2 妥当性確認の方法 

B.7.2.1 データ記録のチェック 

関係するデータ収集のタイプに応じて,調査機関は,作成されたデータ記録(例えば,調査票,CAIデ

ータファイル)のチェック及び/又は参加者への再コンタクト及び/又はモニタリングによって,B.7.2.2

及びB.7.2.3に指定された妥当性確認を実施しなければならない。 

注記 データ記録のチェックには,他の方法を組み込むことができるが,データ収集のタイプによっ

ては,唯一の実用的な妥当性確認の形態(例えば,ミステリーショッピング及び小売店監査な

どの観察調査)となる可能性がある。調査機関によるデータ記録のチェックには,適切な場合,

データ記録の完全性,サンプル及び/又は割当ての遵守,回答の一貫性,その回答,並びに標

準的なデータ又はフィールドワーカ間の比較が含まれ得る。調査機関によるこうしたチェック

は,関連する記録のチェック(例えば,ミステリーショッピングの購入レシート)と連携させ

ることができる。 

B.7.2.2 参加者への再コンタクト(バックチェック) 

調査機関は,参加者への再コンタクトでは,インタビュー又は同等の行為が行われたこと,指示に従っ

て実施されたこと,インタビューの長さ,デモグラフィック属性及びその他の割当てに関する適格性を判

定する質問を含む,重要な質問に対する回答への確認が含まれることを確実にしなければならない。再コ

ンタクトは,参加者との直接的なコミュニケーションを含む,いずれの方法を用いてもよい。例えば,対

面,電話,郵便,eメール,GPSトラッカー,遠隔リスニングツール(例えば,タブレット,録音用機器

など)。 

B.7.2.3 品質管理を目的としたモニタリング 

調査機関は,実施されているまさにそのときに,インタビューを見たり聞いたりすること,インタビュ

ーが行われた後にその録音を聞くこと,又は面接調査にスーパーバイザーを同行させることなどを含め,

モニタリングを確実に実施しなければならない。技術的に可能な場合には,調査機関は遠隔地からモニタ

リングを行うこともできる。そのような場合,調査機関は,インタビュアー及び参加者の音声を明瞭に聞

くことができなければならない。 

調査機関は,あらゆるインタビューがモニタリングされているかもしれないことをフィールドワーカに

告知しなければならない。一方で,調査機関は,ある特定のインタビューをモニタリングしているかどう

かをフィールドワーカに知らせてはならない(スーパーバイザーが同行する場合を除く。)。 

インタビューが多言語で実施される場合,調査機関は,関連する言語において母国語又は同等の能力を

もつスタッフがモニタリングを実施することを確実にしなければならない。 

B.7.3 妥当性確認のレベル 

調査機関は,妥当性確認をそのタイプに応じて,少なくともこの細分箇条で指定されたレベルに達する

47 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

ように実施することを確実にしなければならない。調査機関は,達成されたサンプルの総数に基づいて,

妥当性確認のレベルを計算しなければならない。 

データ記録のチェックを,調査機関として使用できる唯一の検証方法(例えば,観察調査,小売店監査)

により行う場合,要求されるレベルは100 %でなければならない。データ記録のチェックを他の方法と併

用する場合には,正確なレベルは指定しない。 

インタビューによってデータ収集が行われる全てのプロジェクトについて,調査機関は,データ記録も,

また,チェックしているかどうかにかかわらず,再コンタクト又はモニタリングによって,次のようなレ

ベルで妥当性確認を行わなければならない。 

a) 再コンタクトによる妥当性確認の最低レベルは,インタビュー又は事例の10 %とする。 

b) モニタリングによる妥当性確認の最低レベルは,インタビュー又は事例全体の約75 %をモニターして

いる(又は聞いている)という条件の下で,インタビュー又は事例の5 %とする。モニタリングは,

インタビュー中の任意の箇所を選んで実施することができる。 

c) 調査機関は,特定のプロジェクトにおいてフィールドワーカのインタビューで特定した問題に対応し,

解決するための手順を定めなければならない。 

例外的な場合として,調査機関にとって要求される水準まで,若しくは全く,再コンタクト若しくはモ

ニタリングを実行することが組織的に不可能なことがあり,又は参加者の利益に反すると考えられること

がある。そのような場合,調査機関は,なぜそのようなケースが発生したのか,及びデータ収集の妥当性

確認のために,他にどのような措置を取ったか(例えば,データ記録のチェック)を説明するファイルの

記録を保持しなければならない。 

B.7.4 妥当性確認のレポート 

調査機関は,各プロジェクト又はプロジェクトのウェーブのために実施した妥当性確認について,記録

を保持しなければならない。記録には,次のものを含めなければならない。 

a) 妥当性確認を実施した要員の本人識別情報 

b) (該当する場合)使用した妥当性確認方法の説明。これには,参加者への再コンタクトにおいて何を

カバーしたかを含む。 

c) 妥当性確認を行った業務に携わったフィールドワーカの本人識別情報 

d) 発見したあらゆる矛盾の説明 

e) プロジェクトレベル,及びフィールドワーカレベルの両方で取った,又は取ることを計画している是

正処置についての記録 

f) 

要求された妥当性確認のレベルを達成したことの確認(例えば,インタビューの総数及び妥当性確認

を行った数) 

B.8 

フィールドワーク手法のクライアントへの報告 

B.8.1 定量調査 

4.5.4.2で規定した最小限の情報に加えて,フィールドワーク手法で実施した定量調査については,次の

追加情報をクライアントに提供しなければならない。 

a) フィールドワークの手法(例えば,個別面接,戸別訪問,モールインターセプト,CAPI,電話,CATI) 

b) 次を含むサンプリングの詳細 

− サンプリングフレーム又は同等のものの説明,そしてそこからどのようにサンプルを抽出したか。 

− サンプルが目標母集団をいかによく代表しているかの評価,及びその意味合い 

48 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

  

− 計画及び獲得したサンプルのサイズ,計画数と獲得数とが異なる場合の理由,そしてその点に関

する問題をどのように処理したのか。 

− 確率標本を使用した場合の回収率,並びにその定義及び計算方法,又は非確率標本を使用した場

合の参加率 

c) (該当する場合)フィールドワーカの数 

d) (該当する場合)フィールドワーカの妥当性確認の方法 

e) 調査票,ビジュアルな提示物又はショーカード,及びその他の関連するデータ収集文書 

f) 

(該当する場合)ウエイト付けの手順 

g) (該当する場合)推定及び補定の手順 

h) サブグループの解析に使用したケースの数 

i) 

調査結果の信頼性。(確率標本が使用される場合の)標本分散の推定値及び非標本誤差の推定値を含

む。 

B.8.2 定性調査 

4.5.4.2で規定した最小限の情報に加えて,フィールドワーク手法で実施した定性調査については,次の

追加情報をクライアントに提供しなければならない。 

a) フィールドワークの手法(例えば,個別面接,電話又はオンライン,個人又はグループでのインタビ

ュー,同期又は非同期) 

b) リクルートの方法(例えば,モールインターセプト,電話,オンライン,電話からWebへ) 

c) (該当する場合)フィールドワーカ又はモデレータの数 

d) (該当する場合)フィールドワーカ又はモデレータの妥当性確認の方法 

e) (該当する場合)調査で使用された文書,提示素材又は製品 

f) 

インタビューガイド又はディスカッションガイド 

g) 定性調査の結果は,サンプルの選定,インタビュー方法及びサンプルサイズによって,母集団全体を

推定することはできないという表明 

49 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

附属書C 
(規定) 

物理的観察 

C.1 一般事項 

物理的観察手法を用いたデータ収集を提供する調査機関は,調査機関によって直接的か又は二次契約に

よるかにかかわらず,この附属書に適合しなければならない。 

この附属書は,箇条4の文脈の中で読まれなければならない。 

調査機関は,社内又は業務委託のいずれで実施した場合であっても,物理的観察データ収集技術の使用

に関連する方法及び記録を文書化しなければならない。物理的観察データ収集には,交通量,ショッピン

グ行動,施設内での観察などの活動を含めることができる。 

フィールドワーカによる物理的観察の場合には,調査機関は附属書Bの関連する要求事項に適合しなけ

ればならない。 

C.2 物理的観察データ収集方法 

調査機関は,使用した方法の詳細を文書記録しなければならない。これには,次を含まなければならな

い。 

a) 目標となる母集団 

b) 参加者(観測対象者)又は観察地点は,どのようにして調査対象に選んだか。 

c) サンプルの基準 

d) 参加者が,観察されていたことを知っていたかどうか。 

e) 記録用の機器を使用したかどうか。 

f) 

観察者が,物理的にどの場所にいたか。 

全ての方法について,調査機関は潜在的なサンプリングバイアスにどのように対処しているかについて

説明しなければならない。その調査結果がより大きな母集団に一般化できるか又はできないかの程度も,

議論しなければならない。 

C.3 プロジェクトのブリーフィング 

フィールドワーカが,物理的観察データ収集プロジェクトの経験をもっていたとしても,物理的観察デ

ータ収集が既に開始された後に参加する場合にあっては,各プロジェクト(又はあるプロジェクトのウェ

ーブごとの詳細)について,ブリーフィング及び/又は指示を与えなければならない。ブリーフィング及

び/又は指示は,当該プロジェクトに関する要求事項を十分に理解している要員の責任で行わなければな

らない。 

物理的観察プロジェクトを主導するフィールドワーカのためのブリーフィング及び/又は指示には,適

切かつ該当する場合,次の情報を含まなければならない。 

a) 物理的観察データ収集の実施日及び時刻 

b) 主要な対象選定基準 

c) 観察する対象 

d) 要求した割当量 

50 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

  

e) 観察バイアスを回避するための指示を含む観察方法及び行動で,許容できるもの及び許容できないも

の 

f) 

参加者(観測対象者)に適用される,具体的な除外条件及び制限条件 

g) 観察用の機器を使用するかどうか 

h) インセンティブによる影響管理のための指示 

i) 

その他の特別な要求事項 

C.4 物理的観察手法のクライアントへの報告 

4.5.4.2で規定した最小限の情報に加えて,物理的観察調査については,次の追加情報をクライアントに

提供しなければならない。 

a) 目標となる母集団 

b) 参加者(観測対象者)又は観察地点は,どのようにして調査対象に選ばれたか。 

c) サンプルの基準 

d) 潜在的なサンプリングバイアスにどのように対処しているかについての説明,及びその調査結果がよ

り大きな母集団に一般化できるかできないかの程度 

e) データ収集プロセスが意図したとおりに実施され,データの正確性及び一貫性に影響を及ぼすことを

確実にするために,どのように監視したかの詳細 

51 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

附属書D 
(規定) 

デジタル的観察 

D.1 一般事項 

受動的手法を用いたデータ収集を提供する調査機関は,直接的か又は二次契約によるかにかかわらず,

この附属書に適合しなければならない。 

この附属書は,箇条4の文脈の中で読まれなければならない。 

この附属書に記載されている受動的手法を用いたデータ収集の要求事項は,ISO 19731:2017の5.1〜6.4

に含まれる要求事項に等しい。 

D.2 提案書及び入札書の提出 

D.2.1 調査機関からクライアントへの提案書及び入札書 

提案書及び入札書は,オンライン又はオフラインを問わず,書面で提出しなければならない。 

調査機関は,ブリーフィング内容に不明な点がある場合には,それらについてクライアントに確認しな

ければならない。 

提案書及び入札書には,使用されるツール及び結果の履行に関するクライアント及び調査機関のそれぞ

れの責任を明確に記述しなければならない。 

提案書及び入札書には,最低限,次の項目を記載しなければならない。 

a) クライアントが要求する情報 

注記 クライアントがどのような情報を必要としているのかは,プロジェクトを進めていく過程で

具体的に明確化される場合もあり得る。 

b) 調査機関が推奨するデジタル分析若しくはWeb解析の方法,又は技術 

c) 分析の対象とするデジタル素材及びその選定基準。調査機関及び二次契約業者が当該デジタル素材に

ついて異なる定義付けをしている場合,どの定義を使用するかを提案書及び入札書に明記しなければ

ならない。 

d) 分析の対象となる素材に関連し,データの品質を決定するような技術要因又はサンプリング範囲の明

確な記述 

e) デジタル分析又はWeb解析を行う正確な期間 

f) 

提供する報告結果の範囲,形式及び頻度 

g) データ収集者によるデータ保管方法及び保管期間 

h) プロジェクト終了後の利用可能な調査結果(知見)の所有権 

i) 

実施する諸活動にかかる費用(分析実施後にならないと確定しない変動費用の明細を含む。)。請求の

方法及び時期について明記しなければならない。 

j) 

外部の調査機関に業務委託する,又は委託する可能性のある個々のステップ。要請に応じて,二次契

約業者の身元をクライアントに伝えなければならない。提案書及び入札書には明記していなかったサ

ービスを,業務発注後に二次契約業者から購入しなければならないことが分かった場合には,調査機

関は,速やかにクライアントに通知しなければならない。 

k) 関連する法律,規制及び適用される専門的な行動規範 

52 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

  

l) 

デジタル分析及びWeb解析実施の際の,調査機関のこの規格への適合宣言 

潜在的なクライアントに提出した提案書及び入札書は,結果的に受注につな(繋)がらなかったとして

も,秘密扱いとしなければならない。 

D.2.2 調査機関が定めるべき他の事項 

D.2.2.1 一般 

プロジェクト及びプロジェクトの効力及び/又は限界について,透明性を高め,理解を促すために,調

査機関は,D.2.2.2,D.2.2.3及びD.2.2.4についての情報を準備しておかなければならず,また,(要請され

た場合に)クライアントといつでも協議できるようにしておかなければならない。 

D.2.2.2 データクリーニング及びエディティング 

調査機関は,調査目的に関連するデータクリーニングプロセスを,常に準備し,文書化しておかなけれ

ばならない。 

目的に応じ,クリーニングすべきデータには次のものが含まれる。 

a) 同音異義語[例えば,アップルコンピュータ対アップルパイ,ターゲットストア(米国の小売チェー

ン店)対ターゲット層に向けた練習] 

b) 消費者からの発信によるデータと,それとは対極のクライアント及びその競合社からのデータ(例え

ば,クライアントによるツイート) 

c) 第三者を介した広告,クーポン及びプロモーション素材(例えば,ある靴ブランドのための,ある靴

店による独自のセールス宣伝) 

d) スパム(例えば,“スニーカーを買おう,スニーカーを買おう,…”と何度も言っているブログコメン

トなど),又は偽のソーシャルメディアアカウント 

e) ニュースチャネルから発信されたデータ(例えば,雑誌の記事にリンクしているツイート) 

適切な場合,調査機関は,次に示すような“無効か,又は人ではない”トラフィックを見極め,除去す

るプロセスがあるかどうかを明示しなければならない。 

− ボット及びスパイダー 

− 無効なブラウザ 

− 組織内部のトラフィック 

− 広告主・サイト運営者を欺くことを目的とした,特典付きブラウジング 

− その他の,無効なトラフィック 

調査機関は,次の情報について準備しておかなければならず,また,(要請された場合に)クライアント

といつでも協議できるようにしておかなければならない。 

1) データクリーニングを手動で行う程度,自動化したアルゴリズムを使用する程度,又はその二つの

組合せで行う程度についての詳細 

2) 不適切な記録を識別及びクリーニングし,意図しているデータクリーニング戦略に期待される効果,

その程度及びプロセス,並びに誰がそのような業務を遂行できるのかの説明 

3) アクティブなデータセットから,データを除去する判断基準 

4) 欠損値のあるデータがあった場合の取扱い基準(例えば,“0”埋め,データのニュートラル化,推

測など) 

注記 データの収集及びクリーニングには数えきれないほどの方法がある。方法によっては,数百万

のレコードがあるが,信頼性が低く,偽陽性が高いものがあり,他方では,数千のレコードし

かないが,信頼性が高く,偽陰性も高い結果をもたらすことがある。 

53 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

D.2.2.3 感情及び/又はテキストの解析 

該当する場合,調査機関は,次の情報について準備しておかなければならず,また,(要請された場合に)

クライアントといつでも協議できるようにしておかなければならない。 

a) 感情及び/又はテキストの解析を,手動で実施するのか(ソフトウェアによるコーディング支援を含

む。),アルゴリズムを使用して自動的に行うのか(この場合,全ての個別データのコード化を人は実

施しない。),又は何らかの組合せ(例えば,機械学習)によるのか。 

b) 実施する感情解析の種類及び方法の説明 

c) 実施するテキスト解析の種類及び方法の説明 

d) 解析するデータの種類(例えば,単文,長文,非文章,顔文字・絵文字,俗語,冒とく(涜)語,皮

肉,略語,スペルミスのある単語) 

e) 解析の信頼性,正確性及び妥当性を評価するための頻度及びプロセス(例えば,毎週又は毎年,検証

される記録のタイプ及び数,ブラインドコーディングが行われたかどうか),これには事前検証を含む。 

f) 

解析手法を個別ジョブ(業務)ごとに微調整しているかどうか。 

g) 起こり得るコーディングエラーを識別することが可能かどうか,及び/又は誰がデータの再コーディ

ングを行うか。 

h) マルチリンガルな表現で,どの言語が含まれるのか,又は除外されるのか。 

i) 

感情又はテキスト解析に関するあらゆる品質の測定結果。例えば,コーダー間の信頼性のスコア又は

指数(手動コーディングの場合),同様に,本来は自動化されていたコーディングの手動による再コー

ディング。 

D.2.2.4 Webサイトの利用状況及び測定分析 

調査機関は,次の情報について準備しておかなければならず,また,(要請された場合に)クライアント

といつでも協議できるようにしておかなければならない。 

a) 収集するデータの種類[例えば,IPアドレス,オペレーティングシステム,ブラウザのユーザエージ

ェント,クッキーUID(ユーザ識別子),地理的位置情報,記録されているイベントのタイムスタンプ] 

b) データが,次を反映しているかどうか。 

− ユニークなクッキー(測定期間中のインターネットコンテンツへの訪問を表す,重複しないクッ

キー。ただし,1台のマシンで同じアカウントを使用している複数のユーザが含まれる可能性は

ある。) 

− ユニークなブラウザ(クッキーの削除調整後に残ったユニークなクッキー数をカウントすること

で得られる。) 

− ユニークなデバイス(個々のコンピュータ上での,複数のブラウザ使用が考慮された後に,ユニ

ークなブラウザ数をカウントすることで得られる。) 

− ユニークなビジター数(3.102を参照) 

c) 報告タイミングの基準(例えば,毎日,毎週,毎月)。適用する場合は,タイムゾーン(時間帯),及

び訪問数,滞在時間などをどのように定義しているか。 

d) コーディングを行う場合,どのようなルールを使用して対処しているか(例えば,放棄,複数のタグ

及び不適切なタグの取扱い,使用期間の決定,それらのデータ補正のサポート)。 

e) 収集したデータは利用可能な母集団からのものか又はサンプルから推定したものか,その構成,利用

可能な人口統計学的データのレベルのものか,並びにデータの照合及び拡張を行っているか。 

f) 

クッキーの共有,削除又は拒否をしているか。実施している場合には,どのようにしているか。 

54 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

  

g) データ保持及び/又は蓄積期間の制限のような,提供するデータの限界及び/又は妥当性確認若しく

は監査能力の限界 

D.3 プロジェクトの実施 

D.3.1 デジタル分析及びWeb解析のデータ収集 

D.3.1.1 データ収集方法 

調査機関は,使用した手法の詳細を文書記録しなければならない。それには,次を含まなければならな

い。 

a) サイト及び/又はソーシャルメディアからオンライン上のコメントを収集する手法。例を次に示す。 

− Webサイト及びその他のソーシャルメディアフォーラムを含む母集団 

− サイト,個人,作成者,及びそれらのコメント又は投稿を調査対象とするために選定する方法 

− コメント及び/又は投稿の収集方法(例えば,調査票又はユーザ生成コンテンツ) 

− 適切な場合には,検索アルゴリズムの説明 

− 分析に採用したサイト,作成者,コメント又は投稿の数 

b) デジタルな手段による行動の観察及び/又は計測のための手法 

− 対象とする母集団 

− 調査対象に含める際の,個人又は計測単位の選定及び募集方法 

− 計測単位の定義(例えば,デバイス,サイト,個人) 

− データの収集方法[例えば,クッキー,Webビーコン,ブラウザ,近距離無線通信(NFC)] 

− 分析に含めた計測単位の数 

データクリーニングを実施する場合は,D.2.2.2の要求事項を適用しなければならない。 

全ての手法において,分析結果を,元のより大きな母集団に適用できる傾向として一般化してよいかど

うか,その確度を含めて検討しなければならない。 

D.3.1.2 データ収集プロセスの妥当性確認 

データ収集プロセスを意図したとおりに実施することを確実にするために,どのように当該プロセスを

監視するかを,詳細に文書記録しなければならない。また,その作業が結果として,データの精度と一貫

性にどのように影響したかについて,検討しなければならない。監視には,翻訳チェック,一貫性のチェ

ックを含めてもよい。 

D.3.1.3 参加者の保護 

参加者がリクルートされ,参加することに同意した場合,参加者へのアプローチの際には,秘密保持の

原則についての簡潔な説明,データが使用される調査目的の概要,調査機関,二次契約業者及び/又はク

ライアントの名称を,適切な形で提供しなければならない。参加者には,協力は任意であり,また,いつ

でも参加を取りやめてもよいことを知らせなければならない。 

D.3.1.4 ウエイト付け 

調査対象となった目標母集団のデジタル分析又はWeb解析の結果にウエイト付けを行う必要がある場

合には,ウエイト付けした係数の方法及び手段を記録しなければならない。 

D.3.2 個人特定情報の保護 

データ分析の対象となる個々人の匿名性を可能な限り保証するため,結果を引用する場合には報告の過

程で,どのような点から見ても合理的には個人の識別が不可能となるような方法で,匿名化しなければな

らない。 

55 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

可能な限り,調査機関は,ソーシャルメディアを通じてコメント若しくは感情表現を行った人,又は

Webサイトを訪れている間の行動を記録された人が,データ収集の結果として直接的な悪影響を被らない

ようにしなければならない。例えば,当該個人に対して特定のデータ収集において許可を求めたかどうか

にかかわらず,データ収集の結果として,同意されていない個人向けメッセージを受信するなど。調査機

関は,クライアントにこの要求事項を知らせなければならない。 

異なる複数の情報源から得られたデータの組合せによって,参加者個人の特定につながる可能性がある

場合,関連する専門的な行動規範に沿って,参加者の匿名性を守るための全ての合理的な努力がなされな

ければならない。 

D.3.3 デバイスのモニタリング(監視) 

調査機関は,個人情報の収集及びデータ処理を含め,デバイスのモニタリングを公平に行うことを確実

にしなければならない。 

調査機関は,デバイスのモニタリングによって収集可能なデータの種類を特定し,必要な場合には承諾

を得なければならない。これには,次のものを含むことができる。 

a) 広告インプレッション,広告のクリック,画像のクリック,リンクのクリック,スクロール,ダウン

ロード,ページヒット及び訪問,オンライン取引,キーストロークログ,日付,時間などのWebサイ

ト情報 

b) 地理的位置情報,ダウンロードされたアプリ,利用されるアプリ及びその利用頻度,アプリのコンテ

ンツ,訪問されたか又はブックマークに入れられたWebサイト,音声,画像,デバイスで再生された

か又は保存された動画などのデバイス情報 

c) 電話の着信・発信・不在着信,送受信したテキストメッセージ又はeメール,録音・録画した音声及

び画像,並びに通話の録音 

d) デバイス使用時及び不使用時の,周囲の音声,画像及び動画 

e) IPアドレス,OS,ブラウザのユーザエージェント,及びクッキー固有の識別子 

f) 

第三者に共有する個人データ及びその目的 

調査機関は,デバイスのメモリ,バッテリーの大量使用,インターネットアクセスへの影響など,デバ

イスモニタリングの結果として起こり得る影響を参加者に通知しなければならない。また,使用されるデ

バイス,ダウンロードされたソフトウェア,アプリ,その他のプログラム又は設定が,削除・改訂・無効

化,その他の影響を受ける可能性がある場合には,参加者の承諾を得なければならない。 

調査機関は,デバイス,ソフトウェア,アプリ,行動を記録するために使用するクッキー若しくはWeb

ビーコン,その他のプログラムの導入,又はインストールのたびごとに,また,USBスティック,ドング

ルなどのハードウェアを利用してデバイスのモニタリングを行う場合にも,参加者の承諾を得なければな

らない。また調査機関は,プロジェクト及び規制上の要求事項に応じ,継続的なデータ収集において,少

なくとも年1回,定期的かつ適切な周期での承諾を得なければならない。 

調査機関は,参加者に次の諸点を通知しなければならない(該当する場合)。 

− あらゆるデバイス・ソフトウェア又はアプリの,アップデート・改訂・無効化及びアンインストール

の事前通知 

− モニタリングがいつ終わるのか,モニタリングが特定の時点で終わるのか,又は継続するのかどうか

の具体的なタイムフレーム 

− 適切な場合,必要に応じていつでも,完全に,かつ,合理的な簡便さで,許諾を取り消し,サービス,

デバイスの削除及び無効化を行うためのプロセス 

56 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

  

調査機関は,どのような種類の情報が収集の許可を得ているかについては,Webサイトのロボット指示

ファイルの定めに従わなければならない。 

調査機関は,決してスパイウェアを使用してはならない。 

57 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

附属書E 

(規定) 
自記入式 

E.1 

一般事項 

パネル(オンライン又はオフライン)の使用又は不使用にかかわらず,自記入式手法を用いたデータ収

集を提供する調査機関は,調査機関によって直接的か又は二次契約サービスとして提供されるかを問わず,

この附属書に適合しなければならない。 

この附属書は,箇条4の文脈の中で読まれなければならない。 

調査機関は,社内処理か又は業務委託による実施かにかかわらず,自記入式手法を通じたデータ収集に

関連する記録及び方法を文書化しなければならない。自記入方式は,参加者がデータ及び/又は回答を提

供するときに,フィールドワーカ又は調査機関の他の代表者と直接対話することなしに(例えば,面接,

電話,デジタル的に),データ収集するケースを取り扱う。自記入式の方法論は次のものを含めることがで

きるが,それらに限定されない。 

a) 参加者がオンライン上で調査票に記入し,返信する調査プロジェクト 

b) 参加者がモバイル機器を使用する調査プロジェクト 

c) 日記式調査プロジェクト 

d) タッチトーンによるデータ入力。参加者がデジタルで生成された質問に電話のキーパッドを使用して

回答するもの。 

e) 音声認識入力(対話型音声応答,IVRとしても知られる。)。参加者は,デジタルで生成された質問に

口頭で答え,デジタルシステムが音声認識技術で回答を記録するもの。 

f) 

郵送調査。参加者に自記入式の紙の調査票を留め置いて,郵便又は他の方法で回収するもの。 

参加者がフィールドワーカとは直接対話せず,データの提供に積極的に参画していない(例えば,人々

がネットを閲覧する機器にトラッキングソフトをインストールすることに合意している場合など。)ような

受動的データ収集手法は,この附属書では取り扱わない(必要に応じ,附属書C又は附属書Dを参照)。 

E.2 

データ収集 

調査機関は,データをどのように収集したかについて,クライアントに対して適切な情報を共有しなけ

ればならない。 

調査票を使用する場合には,要請に応じて,次の情報を含まなければならない。 

a) 質問の長さの,中央値又は平均値 

b) 全ての質問のワーディング,及びフィルタ又は参加者への指示 

c) データ収集の開始日及び終了日 

d) リマインダ(督促状)の数及び日付 

e) 質問は,参加者が使用する様々な機器に適応するように設計したかどうか。そうでない場合には,そ

れらの個人を調査から除外したのか,又はそれらの機器には最適化されていないまま調査プロジェク

トに参加したのかどうか。 

f) 

参加者がソフトウェアのダウンロード,又は機微な情報若しくは個人情報の共有などの特別なタスク

を実行する必要があるかどうか。 

58 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

  

E.3 

自記入式回答の妥当性確認 

E.3.1 一般事項 

提案又は調査設計の段階で,クライアントへの報告の際,又は要請に応じて,調査機関は参加者の妥当

性確認をどのように行ったか,又は行うべきか,自記入式及びデジタルでのデータ収集の回答を誰が提供

したかをコントロールできないという課題を含め,それらの詳細な説明を文書記録しなければならない。

調査機関は,結果として得られたこれらのデータの,品質問題への影響を伝えなければならない。 

アクセスパネルが使用されない場合(例えば,リバーサンプリング,ソーシャルメディアからのサンプ

リング,ルーティング手順),調査機関は要請に応じて,参加者の身元及びデータ品質の妥当性確認のため

の措置が適用されたことについて,クライアントに対して透明性を確保しなければならない。 

E.3.2 回答者の妥当性確認(本人かどうか) 

調査機関は,アクセスパネルの参加者が主張する身元の妥当性を確認し,ボットの除去を確実にしなけ

ればならない。他のサンプルについては,調査機関は実施可能であれば,参加者が主張する身元の妥当性

確認を行わなければならない。 

妥当性確認に使用する特定の変数は,使用するサンプルのタイプ,妥当性確認の方法,及び検証に利用

できるソースによって変わる。 

妥当性確認に使用される変数には,次のものを含めることができる。 

a) フルネーム 

b) 郵便物が届く住所 

c) 電話番号 

d) 銀行詳細情報 

e) 公的身元確認番号(ID番号) 

f) 

生年月日 

g) eメールアドレス 

h) 第三者の情報サービス提供機関による検証データ 

注記1 eメールアドレス単独では,身元の妥当性を確認するのに十分ではない。 

上記の変数が利用できない場合,適用される規制がそれらの使用を禁止している場合,又は地域の文化

的・社会的環境がその使用を妨げる場合,調査機関は受動的手法を含む他の適切な方法を使用してもよい。 

医師又はその他の専門家のような特殊な集団を扱う際に要求される可能性がある変数の拡張セットには,

次のものが含まれることがあるが,それらに限定されない。 

− 事業所の住所 

− 事業所の電話番号 

− ビジネス上のeメールアドレス 

− 適切で利用可能な,専門職のID番号(関連性があり,利用可能な場合) 

− 専門分野(関連性があり,利用可能な場合) 

もしあれば,複数のデータソースを使用することが望ましい。 

注記2 妥当性確認に使用されるデータソースは,調査対象となるターゲット参加者の種類又は地理

的なエリアなどの要因によっても異なる場合がある。ある国では利用可能で有用なデータソ

ースでも,他の国々では利用できず,有用ではないことがある。さらに,妥当性確認に使用

されるデータソースは,必要なものの全てを含むことはほとんどなく,そのようなソースか

ら収集された参加者の識別情報を自動的に照合する技術は,真の結果と同様に偽の結果を示

59 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

す可能性がある。 

調査機関は,妥当性確認のために使用する具体的な情報源を文書記録し,要請に応じてクライアントに

提供しなければならない。 

調査機関は,調査の機会から除外しなければならない参加者を決定するために,身元の妥当性確認の失

敗をレビューしなければならない。身元の妥当性確認方法は,偽陽性及び偽陰性の両方の結果をもたらす

可能性があるため,調査機関はこの活動を通じて慎重な判断を行い,クライアント及びデータユーザへの

透明性を保持しなければならない。 

調査機関は,要請に応じて,クライアント及びデータユーザに対し,使用された妥当性確認のプロセス

の具体的な詳細を伝達しなければならない。 

E.3.3 回答データの妥当性確認 

妥当性確認が実行可能な場合,調査機関は不適格で不注意な参加者を特定し,除外するための手順を実

施しなければならない。調査機関は取られた全ての手順及び処置を文書記録し,要請に応じて,クライア

ントにそれらの手順を共有しなければならない。 

調査機関は,二次契約業者,第三者及びクライアントと協議して,(必要な場合に)参加者からのデータ

を削除しなければならないかどうかを判断するしきい値の決定と同様に,各当事者が使用できる具体的な

処置を決定しなければならない。調査機関は,“容認できない”基準を事前に合意している場合,クライア

ントにとって容認できないとみなされる参加者を置き換えるための準備をしなければならない。 

プロジェクトの性質に応じて,調査機関の妥当性確認のツールには,次の基準の一つ以上を組み込まな

ければならない。 

a) 調査票記入所要時間(該当する場合) 

b) 回答されなかった質問の割合,及び(関連する場合)特定の核心的な質問が回答されなかったかどう

か。 

c) 参加者のプロフィールデータ(例えば,年齢,郵便番号)の少なくとも1項目,及び他の情報ソース

から得たデータとの比較 

d) 外部データ(例えば,使用実態及び態度データ)との照合,及び妥当性確認の照合 

e) “分からない”又は“回答拒否”などの非実体的な回答を選択した程度 

f) 

マトリックス又はグリッド形式の質問における,パターン化された回答(例えば,一直線の回答,で

たらめな回答) 

g) 一貫性のない回答の検出(例えば,同じ属性の組合せの中での,ポジ及びネガの両方の質問に対する

回答の比較) 

h) 出現確率が低かったり,架空の回答カテゴリなど複数の回答項目を含む質問 

i) 

マトリックス形式の質問で“右端のボックスをチェックしてください”などの質問をトラップするこ

と 

j) 

自由回答の質問に対する応答 

k) デジタル指紋 

調査機関は,要請に応じて,不適格,不注意,又はその他の望ましくない参加者を排除するために行っ

た,サンプルファイル又は調査データファイルのいずれかのクリーニング又はエディティングに関する説

明を,クライアントに提供しなければならない。 

60 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

  

附属書F 

(規定) 

データ管理及び処理 

F.1 

一般事項  

データ管理及び処理を提供する調査機関は,直接的か又は二次契約によるかにかかわらず,この附属書

に適合しなければならない。 

この附属書は,箇条4の文脈の中で読まれなければならない。 

調査機関は,データ入力,クリーニング,コーディング,エディティング,ウエイト付け,ファイルの

作成及び集計,並びに4.1.3に規定されたデータ管理及び処理の,その他全ての側面に関連する方法及び

記録を文書化しなければならない。 

特に,調査機関のデータクリーニング及びウエイト付けに関連する文書化には,次のことを含まなけれ

ばならない。 

a) データクリーニングに使用した関連手法 

b) 完了したインタビューを削除したかどうか,及び削除する正当な理由があるかどうか。 

c) ウエイト付け及びその他の調整 

d) 使用したあらゆる補定[欠損値を補うこと(impute)。],補定した変数,その補定の程度及び方法 

調査機関のデータ管理及び処理の方法は,そのプロジェクト又は活動に対して監査可能でなければなら

ない。 

調査機関は,標準化された品質管理手法を使用し,質問,分析,及び集計表が正確であることをチェッ

クしながら,エラーを最小化する方法でデータ処理が行われることを確実にしなければならない。 

F.2 

紙媒体からのデータ入力 

F.2.1 

仕様書 

論理的な(論理チェックを行いながらの)データ入力を使用する場合,調査機関は,使用するテストの

性質及び得た結果を含め,使用前にあらかじめ組み込んだチェックロジックを文書化し,それらのチェッ

クをテストしなければならない。あらかじめ組み込んだ論理チェックのために受け入れられない,解決不

能な入力の試みは,プロジェクト又は業務に責任を負う上級管理者が解決しなければならない。 

調査機関は,単純なデータ入力が行われる場合,別段の定めがない限り,データは調査票に記録された

とおりにキー入力しなければならない。 

注記 論理的なデータ入力チェック又はその他のデータ処理の文書記録は,使用したプログラムの最

終バージョンを保持することによって十分に達成可能であり,その目的はプロセスが再現でき

ることを確実にすることである。 

F.2.2 

紙媒体からのデータ入力の妥当性確認 

調査機関は,調査プロジェクト,その段階又はウェーブにおいて,体系的な方法を用いてデータ入力作

業の最小パーセンテージの妥当性確認を行わなければならない。調査機関は,論理チェックを行いながら

データ入力をする場合,入力数の最低5 %を,また,単純データ入力の場合には入力数の10 %を,妥当性

確認しなければならない。調査機関は,文書化によって,オペレータ全員の作業の妥当性を確認するため

の体系的な方法を確実にしなければならず,また,妥当性確認は入力した本人以外の者が担当しなければ

61 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

ならない。 

ある特定のオペレータの作業に頻繁な誤りが見られる場合,調査機関は当該オペレータの(そのプロジ

ェクト又は一般的な作業における)業務を100 %検証しなければならない。求められた場合,調査機関は

その業務を正しく再実施することを確実にしなければならない。必要な場合,ミス発生率が許容可能なも

のになるまで,当該オペレータに対して適切な再トレーニングを実施しなければならない。 

調査機関は,頻繁な誤りの意味を定義し,文書化しなければならない。 

F.3 

データの手入力を要しないデータベースの正確性 

調査機関は,ハードコピーからのデータ手入力以外の手段によって作成されたデータセットの正確性を

確実にするプロセスを定義し,文書化しなければならない。これらには,次のものによって作成されたデ

ータセットが含まれることがあるが,これに限定されない。 

a) スキャナー読取りデータ 

b) 電子的方法によるデータ収集(例えば,双方向性音声認識システムによる調査,オンライン調査,ウ

ェブベースの調査) 

c) CAIデータベース 

d) 一つのデータソース又はプログラムから得たデータを,別のそれにインポート又は合体することによ

って作成したデータベース 

調査機関は,自動データ入力プロセス(例えば,スキャナー読取り)について,各プロジェクト又は調

査の段階ごとに妥当性確認を行わなければならない。 

調査機関は,自動データ入力プロセスの設計及び実施の両方をテストするための文書を確立し,維持し

なければならない。調査機関は,使用されたテストの種類,及び関与したスタッフを文書記録しなければ

ならない。 

スキャンニング手順が使用される場合,調査機関は入力データの却下率及び置換率を推定しておかなけ

ればならない。 

却下された入力データ又は置換率を処理する手順を記録しなければならない。 

F.4 

コーディング 

F.4.1 

一般事項 

自動コーディングソフトウェアを使用する場合,調査機関はミス発生率を推定しなければならない。ミ

ス発生率が許容できないものである場合には,調査機関はソフトウェアのコーディングシステムの改訂を

実施しなければならない。 

F.4.2 

手動及び半自動コーディングのためのコードフレームの作成 

調査機関は,コーディング担当者に対して指示することを確実にしなければならず,それには最低限,

次のものを含まなければならない。 

a) プロジェクト又は作業の概要 

b) コーディングを行う質問又は変数の特定 

c) 参加者に示される素材(例えば,ビデオ,コンセプト)の概要(該当する場合) 

d) コードフレームを作成するために使用する標本の最小割合又は最低数(,及びその構成) 

e) 必要な,又は適切な場合,コードフレームの作成が要求される具体的なサブグループ(例えば,地域

別,使用者又は非使用者別) 

62 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

  

f) 

コードフレームに含めるコードに関するガイドライン 

g) それ以前のプロジェクト又は段階で作成したコードフレームの使用予定の一切 

h) プロジェクト又は作業に固有なその他の要求事項,又は特別な指示の一切 

i) 

“分からない”及び“無回答”のような実体のない回答を,異なる回答として収集した場合に,それ

らを区別するためのルール 

注記 変数の中には,調査機関が確立された既存の分類を使用することができるものがあり,例えば,

産業,職業,学歴の分類基準などがそれに当たる。 

F.4.3 

コードフレームの承認 

調査機関は,コーディングの開始前にコードフレームの承認に責任を負う上級管理者を特定しなければ

ならず,かつ,この承認を記録しなければならない。ここでいう承認は,関連する場合には,コードのネ

ッティング,省略化,言い回しの変更,再コーディング,又は削除も対象としてカバーしなければならな

い。 

F.4.4 

コーディングに関するブリーフィング 

調査機関は,コーディング担当者に対して,コードフレームの使用方法をブリーフィングしなければな

らない(例えば,ある既定のコードに何を含めるか,又は含めないかについての決定又はルールの認識を

通じて)。 

F.4.5 

コードの更新 

コードフレームの承認後に,コーディングのプロセスで更なるコードが適切となった際には,調査機関

はコードフレームの全ての写しを更新しなければならない。既にコーディングされていて,現行プロジェ

クト又はウェーブのデータの一部を構成するあらゆる記録を,それに従って修正しなければならない。 

F.4.6 

“その他”のカテゴリ 

調査機関は,“その他”又は雑多なものを包含するカテゴリに含まれる回答の取扱いに関して,ルール又

はガイドラインを保持しなければならない。“その他”又は雑多なものを包含するカテゴリが10 %を超え

る場合には,それらの回答をレビューしなければならない。 

F.4.7 

コーディングの妥当性確認 

調査機関は,各プロジェクト又は作業ごとにコーディング業務の妥当性確認(検証)のために使用され

るプロセスを定義し,文書化しなければならない。文書では,コーディングされた調査票について,プロ

ジェクト当たり最低5 %を検証する体系的な方法を記述しなければならず,また,検証は,対象となる本

人以外の者によって行われなければならない。 

調査機関の文書記録では,妥当性確認(検証)のアプローチが従属型(すなわち,対象となる本人以外

の担当者が元のコーディングにアクセスするか)であったか,又は独立型(すなわち,対象となる本人以

外の担当者は元のコーディングにアクセスせず,相違が見られた場合にある裁定プロセスによって正しい

コードが決定される。この手法の方がより多くのエラーを発見できる。)であったかを特定しなければなら

ない。 

ある特定のコーディング担当者の業務に頻繁な誤りが見られる場合,調査機関は当該コーディング担当

者の(そのプロジェクトにおける)業務を100 %検証し,求められた場合には,正しく再実行させなけれ

ばならない。必要な場合,調査機関はミス発生率が許容可能なものになるまで,当該コーディング担当者

に対して適切な再トレーニングを実施しなければならない。 

調査機関は,頻繁な誤りの意味を定義し,かつ,文書化しなければならない。 

63 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

F.5 

データのエディティング 

F.5.1 

入力前のデータエディティング 

データ入力前に紙の文書を手作業でエディティングする場合,調査参加者又はフィールドワーカの元の

回答と,調査機関を代表するエディティング担当者が割り当てたコード又は回答とを区別することができ

なければならない。 

調査機関がこのような種類のエディティングを使用する場合,適用されている論理及び規則を文書記録

しなければならず,かつ,プロジェクト又は作業のこの要素の業務を行うスタッフ全員に,実行が許され

るチェック及び修正の種類についてブリーフィングを行わなければならない。 

F.5.2 

入力後のデータエディティング 

調査機関は,上級責任者が認識し,かつ,承認することなくして,いかなるデータも推測又は補定して

はならない。元のデータソースは,保持しなければならない(例えば,エディティングされたデータセッ

トと比較するために)。調査機関は,あらゆる補定プロセスを文書記録しなければならず,かつ,クライア

ントの要請があった場合,クライアントがそれらのプロセスを利用できる状態にしなければならない。調

査機関は,全てのエディティング仕様内容を文書記録しなければならない。 

強制エディティングを行う場合,調査機関はその強制修正の論理を文書記録し,かつ,実行テストを行

ってその強制が期待された効果を生んでいることを示さなければならない。 

注記 自由回答及び同種のデータは,例えば,スペルミス及び句読点を直すために,しばしば修正さ

れる。そのようなプロセスはF.5.2の文脈におけるエディティングとはみなされない。 

F.5.3 

データクリーニングの文書記録 

調査機関は,データをどのようにクリーニングしたかを文書記録しなければならない。これには,完了

したインタビューをデータから削除したかどうか,その理由,及びその他の調整に関する情報が含まれる。

調査機関がデータの補定を行った場合には,どの変数をどの程度まで補定しているのか,及びどんな補定

方法を使用したのかを,明確にしなければならない。 

F.5.4 

ウエイト付けに関する文書記録 

調査機関がウエイト付けを行う場合には,適用するウエイト付け表とともに,適切に文書記録しなけれ

ばならない。ウエイト付け対象データのソース及び参照データ,並びにウエイト付け表は,クライアント

に通知しなければならない。 

F.6 

データファイルの管理 

調査機関は,ファイル管理において次のことを確実にするように配慮を払わなければならない。 

a) ファイル,又はファイル内のレコードが重複していない。 

b) 有効な最新版を使用している。 

c) 元のデータセットとクリーニング済みのデータセットとが明瞭に識別できる。 

d) データエディティングの前と後とで,度数カウントその他の記録を取り,比較できるようになってい

る。 

F.7 

データ解析 

F.7.1 

データ解析に関する仕様書 

適切な場合には,調査機関はクライアントと合意した仕様書に従ってデータ解析を実行しなければなら

ない。 

64 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

  

調査機関は,実施されたあらゆる解析が後に再現できることを確実にするために,解析プロセスを文書

記録しなければならない。 

F.7.2 

データ解析の妥当性確認 

調査機関は,集計表及びその他のアウトプットについて,チェックを行っていることを確実にするため

のプロセスを保持していなければならない。調査機関はそのチェックを記録しなければならない(例えば,

チェックリストを用いて,適切なデータ解析の妥当性確認チェックが十分に完了していることを確実にす

る。)。 

これらの調査機関によるチェックでは,次のものの妥当性を確認しなければならない。 

a) 完全性(例えば,集計表が仕様書どおりに存在すること) 

b) 使用された略語が全て,全体の内容を正確に反映している。 

c) 各集計表のベースが,他の表又は度数カウントに照らして正しい。 

d) 標準的な変数のブレークダウン及び/又はバナーポイントが,元となる質問と一致する。 

e) 導出データ項目が,それらのソースと一致する。 

f) 

サブグループ及び正味数(ネットカウント)に関する数字が正しい。 

g) 空白の表(すなわち,データなしのもの)がない(論理的に予期できる場合を除く。)。 

h) 全てのウエイト付けプロセス(例えば,テスト集計表による。)が正しい。 

i) 

スペル及び読みやすさ 

j) 

使用された全ての統計的解析が適切でかつ正確である。 

データの精度を確実にするため,及びサブグループの集計ベースの大きさを決定するための両方を目的

とした,集計表作成前の度数カウントを,チェックのためのツールとして使用することが望ましい。 

その後のアウトプット全てのために,適切なチェックが適用されなければならない。 

F.7.3 

集計表 

集計表を単独のレポートとして提出するか,又はより完全なレポートの一部として提出するかどうかに

かかわらず,調査機関がデータを集計表の形でクライアントに報告する際には,適切な場合,次のことを

提供しなければならない。 

a) データに関連するソース質問を参照先として示す。 

b) データに対して適用されたウエイト付け方法の全てについての説明を含める。 

c) ウエイト付けを行ったベース,及び行っていないベースの両方 

d) 使用したサブグループの全てを明瞭に識別する。 

e) その質問に実際に回答した調査参加者数が識別できるような,質問ごとのベース 

f) 

“分からない”,若しくは“無回答”と回答した参加者の数,又は割合(これらを別々の回答として扱

う場合) 

g) データの解析において使用した全ての変数を明瞭かつ完全に定義し,かつ,説明している。これには,

あらゆる有意性検定・インデックス化・スコア化・尺度化,及び平均値・中央値・最頻値・標準偏差

の計算が含まれる。 

h) 使用した統計的検定のタイプ 

i) 

秘密保持を確実にするためのセル表示抑制,及びその他の措置に関する情報 

j) 

標本サイズが非常に小さいこと,又は多大な非標本誤差による,信頼性に欠ける結果についての警告 

65 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

F.8 

データファイルの管理 

F.8.1 

一般事項 

調査の秘密保持については4.1.2を,及び情報セキュリティについては4.3を参照。 

コード化されたデータのケースで,その形式・内容・原形式のレイアウトから,あらゆる方法によって

データを編集,クリーニング,記録又は変換している場合には,調査機関は原データ・最終データ・デー

タを変換するプログラムファイル(最小限として)を保存し,最終的なデータセットを容易に再構築でき

るようにしなければならない。 

主要な処理の後に追加の解析が要請されることがあるが,調査機関が実施するそのような解析も,この

規格のデータ処理要求事項に適合しなければならない。 

提案する集計表又はデータのリリースについては,参加者が同意している場合を除いて,調査機関は参

加者の個人データ開示リスクを最小限に抑えるためのプロセスを実施しなければならない。 

F.8.2 

クライアントへのデータ転送 

調査機関は,電子データ納品の内容を,次のことを確実にするために,リリース前にチェックしなけれ

ばならない。 

a) 当該ファイルの形式が,クライアントと合意したソフトウェア仕様と互換性があること 

b) 完全性(例えば,各ファイルに正しい数のファイル及びレコードが含まれている。) 

c) 該当する場合,ファイルレイアウトの構造説明を含んでいること 

d) 該当する場合,当該ファイルの内容を示すラベルを付けていること,及び使用の制限に関する指示を

含んでいること 

e) 要請がある場合のファイルの暗号化 

66 

Y 20252:2019 (ISO 20252:2019) 

  

参考文献 

[1] ISO 19731:2017,Digital analytics and web analyses for purposes of market, opinion and social research−

Vocabulary and service requirements