X 7778 : 2001 (ISO 9296 : 1988)
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人 日本事
務機械工業会 (JBMA) から工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標
準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
制定に当たっては,日本工業規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日本工業規格
を基礎にした国際規格案の提出を容易にするために,ISO 9296 : 1988, Acoustics−Declared noise emission
values of computer and business equipmentを基礎として用いた。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会
は,このような技術的性質を持つ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新
案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。
JIS X 7778には,次に示す附属書がある。
附属書A(参考) 騒音放射表示の例
附属書B(参考) 騒音の性質
附属書C(参考) 機械のロットに関する表示値算出のための追加情報
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
X 7778 : 2001
(ISO 9296 : 1988)
音響−情報技術装置の表示騒音放射値
Acoustics−Declared noise emission values of computer
and business equipment
序文 この規格は,1988年に第1版として発行されたISO 9296, Acoustics−Declared noise emission values of
computer and business equipmentを翻訳し,技術的内容及び規格票の書式を変更することなく作成した日本
工業規格である。
ただし,附属書C 機械のロットに関する表示値算出のための追加情報を参考として示す。
なお,この規格で点線の下線を付してある箇所又は“参考”は,原国際規格にはない事項である。
情報技術装置の騒音放射に関する情報が,ユーザ,プランナ,製造業者,行政当局などによって求められ
ている。
このような情報は,異なる製品間の騒音放射を比較したり,建物内部の音響設計を行うのに不可欠であり,
また,場合によっては,作業場所における騒音暴露の要求に関連して使われることもある。情報技術装置
の騒音放射値を有益なものとするには,次の目的に対する方法を統一する必要がある。
− 騒音放射の測定
JIS X 7779は,実際の用途を代表しうるように作動条件を統一し,情報技術装置がそのような条件
で作動している際の騒音放射の測定方法を規定している。
− 表示すべき騒音放射値の算出
ISO 4871及びその附属書Aでは,騒音放射値の表示方法を統一するための規格作成に関する指針を
与えており,ISO 7574シリーズでは,その算出を行うための統計手法を与えている。
− 表示騒音放射値の提示
表示騒音放射値を提示する場合,A特性音響パワーレベルLWAを表示することが最も重要である。
しかしながら,ユーザがA特性放射音圧レベルLPAの情報を希望していることも認識されている。し
たがって,この規格では,両方の量を表示しなければならないと規定している。1pWを基準値として
デシベル単位で表現した音響パワーレベルと,20μPaを基準値として同じくデシベル単位で表現した
放射音圧レベルとの混同を避けるため,この規格では,音響パワーレベルの値を単位ベル (B) で,放
射音圧レベルの値を単位デシベル (dB) で表現している。
発生騒音の主観的特性を求め,任意に提示するための方法を附属書Bに示す。
− 表示騒音放射値の検証
ISO 7574では,表示騒音放射値の検証方法を規定している。この規格,JIS X 7778では,その手順
は表示A特性音響パワーレベルの検証のためだけに限定している。
1. 適用範囲 この規格は,情報技術装置に適用する。
2
X 7778 : 2001 (ISO 9296 : 1988)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
この規格は,次の事項を規定する。
− 表示騒音放射値を算出するための方法
− 製造業者によってユーザ向けに提供される技術文書内で与えられるべき騒音に関する情報及び製品
情報
− 製造業者によって提供された表示騒音放射値を検証するための方法
これらの方法では,JIS X 7779に従って得られた騒音データ,並びにISO 4871及びISO 7574シリーズ
で規定する手順を使う。
基本的な表示騒音放射値とは,表示A特性音響パワーレベルLWAd(ISO 7574シリーズのLcに一致する
統計的な最大値)とオペレータ位置又はバイスタンダ位置における表示A特性放射音圧レベルLpAm(算術
平均値)である。
表示A特性音響パワーレベルLWAdによって,異なる製品間の騒音放射の比較が可能となり,設置場所
又は作業位置における騒音暴露の程度の予測1)が可能となる。
一つ又は複数の音源による騒音暴露の程度を計算する上で最も便利な量は,通常,個々の音源の表示A
特性音響パワーレベルLWAdであるが,1台だけ独立している機械の近傍における騒音暴露の程度を推定す
る場合,表示A特性放射音圧レベルLpAmが使われることがある。
音響パワーレベルと放射音圧レベルとの混同を避けるため,A特性音響パワーレベルは単位ベル (B) で,
A特性放射音圧レベルは単位デシベル (dB) で表示する。
備考 この規格の対応国際規格を次に示す。
なお,対応の程度を示す記号は,ISO/IEC Guide 21に基づき,IDT(一致している),MOD
(修正している),NEQ(同等でない)とする。
ISO 9296 : 1988, Acoustics−Declared noise emission values of computer and business equipment
(JDT)
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS X 7779 音響−情報技術装置から放射される空気伝搬騒音の測定
備考 ISO 7779 : 1999 Acoustics−Measurement of airborne noise emitted by information technology
and telecommunications equipmentと,この規格が一致している。
ISO 4871 Acoustics−Declaration and verification of noise emission values of machinery and equipment
参考 原国際規格,ISO 9296が発行した当時,ISO 4871 : 1984, 1st editionの名称は,Acoustics−Noise
labelling of machinery and equipmentであったが,1996年に改正され,上記となった。
ISO 7574-1 Acoustics−Statistical methods for determining and verifying stated noise emission values of
machinery and equipment−Part 1 : General considerations and definitions
ISO 7574-2 Acoustics−Statistical methods for determining and verifying stated noise emission values of
machinery and equipment−Part 2 : Methods for stated values for individual machines
ISO 7574-4 Acoustics−Statistical methods for determining and verifying stated noise emission values of
machinery and equipment−Part 4 : Methods for stated values for batches of machines
1) ベル単位の表示A特性音響パワーレベル,LWAdを,設置場所の騒音レベルを算出する目的で使う場合,
又は情報技術装置以外の機械の,デシベル単位の表示A特性音響パワーレベルと比較する場合,デシベル
単位の値を求めるには,1B=10 dBの関係を使い,ベル単位のLWAdに10が掛け算される。
3
X 7778 : 2001 (ISO 9296 : 1988)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次による。定義は,一般,音響及び統計の三つに分類す
る。
3.1
一般定義
3.1.1
情報技術装置 (computer and business equipment) 家庭,オフィス,コンピュータ室,通信機器の
設置場所又は同様の設置環境において,情報処理に使われる機器及びその構成要素。
参考 1988年発行の原国際規格 (ISO 9296) の原文は,“computer and business equipment”であるが,
測定方法を規定したISO 7779が1999年に改正された際,これに対応する用語が“information
technology and telecommunications equipment”となった。ISO 7779の一致規格,JIS X 7779と整
合性を保つため,“情報枝術装置”として同じ名称をここに定義する。
3.1.2
機械のロット [batch (lot) of machine (s)] 同じ機能を果たすよう,同じ技術仕様で量産され,同じ
表示騒音放射値で特性付けられる情報技術装置の一群。
備考 ロットとは,連続して生産された製品すべてであっても,その一部分であってもよい。
3.1.3
アイドルモード (idling mode) 必要なウォームアップの後,機器に通電はしているが作動してい
ない状態として,JIS X 7779に規定する条件。
参考 1988年発行の原国際規格においては,“idling mode”であるが.1999年発行のISO 7779に対応
するJIS X 7779との整合性を保っため,“アイドルモード”と訳す。
3.1.4
作動モド (operating mode) 機器が目的とする機能を果たしている状態として,JIS X 7779に規定
する条件。複数の作動条件が適用可能な場合は,その機器の利用形態の多くを代表するような条件を用い
なければならない。
3.2
音響定義
3.2.1
デシベル単位のA特性音響パワーレベル (A-weighted sound power level in decibels), LWA JIS X
7779に従い,周波数重みAを使って算出した機器の音響パワーレベル。基準音響パワーは1pW。
3.2.2
デシベル単位のA特性放射音圧レベル (A-weighted emission sound pressure level in decibels), LpA
JIS X 7779に従い,オペレータ位置において,又はオペレータ位置が定義されていない場合,バイスタン
ダ位置において,周波数重みAを使って算出した機器の放射音圧レベル(a)。基準音圧は20μPa。
参考(a) 1988年発行の原国際規格においては,“sound pressure level”であるが,対応する用語が,引
用規格のISO 4871の改正によって放射音圧レベル (emission sound pressure level) になり,ま
た,測定方法を規定した1999年発行のISO 7779においても同様に変化した。ISO 7779の一致
規格JIS X 7779との整合性を保っため,この規格全般を通じ,原国際規格の主旨に応じて,
特に断ることなく,“放射”を追加して訳す。
3.2.3
実測値 (measured value) JIS X 7779に従い,個々の機械における測定から算出したA特性音響パ
ワーレベルLWAの値及びA特性放射音圧レベルLpAの値。実測値を丸めてはならない。
3.2.4
表示騒音放射値 (declared noise emission values) 表示A特性音響パワーレベルLWAdの値又は表示
A特性放射音圧レベルLpAmの値,若しくは両方。
4
X 7778 : 2001 (ISO 9296 : 1988)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
3.2.5
ベル単位の表示A特性音響パワーレベル (declared A-weighted sound power level in bels), LWAd デシ
ベル単位のA特性音響パワーレベルLWAの10分の1であって,個々の機械又はあるロット内のすべての
機械に対して表示した値。この表示した値とは,機械が新品であるとき,個々の機械のA特性音響パワー
レベルLWAの10分の1の値,及び/又はロット内のある規定されたかなりの比率の部分のA特性音響パ
ワーレベルLWAの10分の1の値が,それ未満であることを示す限度のことである。6.の検証方法は,表示
騒音放射値LWAdよりも大きなA特性音響パワーレルLWAをもつ機器がロット内の6.5%を超えない確率が
95%になるように設定されている。LWAdの値は,最も近い0.1ベル (B) に丸める。
備考 LWAdは,ISO 7574シリーズのLcに一致する。
3.2.6
デシベル単位の表示A特性放射音圧レベル (declared A-weighted emission sound pressure level in
decibels), LpAm 機械が新品のとき,個々の機械に対して表示されるA特性放射音圧レベルLpAの値,又は
機械のロットに対して表示されるA特性放射音圧レベルLpAの算術平均の値(b)。LpAの測定位置とは,JIS X
7779で定義するオペレータ位置,又はオペーレタ位置が定義されていない場合,バイスタンダ位置である
(c)。
参考1.(b) 原国際規格のままに定義を訳した。原国際規格には明確な記載がないが,測定方法を規定し
たJIS X 7779に従うため,オペレータ位置の定義されていない機器の場合,測定対象となる
機器の1台ごとに,バイスタンダ位置(通常,前後左右の4か所)において放射音圧レベルが
測定され,1台ごとにすべてのバイスタンダ位置での放射音圧レベルをエネルギー平均するこ
とになる,さらに,機械のロットに対する表示A特性放射音圧レベル,LpAmの算出に当たっ
ては,これらの値(エネルギー平均値)を算術平均することになる。
2.(c) 3.2.5に対する4.4.1及び4.4.2の関係,同じく,3.2.6に対する4.4.3及び4.4.4の関係を対比し
た場合,本来は,この定義の最後に“LpAmの値は,最も近い1デシベル (dB) に丸める”主
旨の内容を規定し,表示される値の表現形式を宗義すべきである。
3.3
統計定義
3.3.1
繰返し性の標準偏差 (standard deviation of repeatability), σr 繰返し性条件,すなわち,同じ条件(同
じ実験室,同じ測定者,同じ測定器)の下で,比較的短い時間間隔で,同じ機械に,同じ騒音放射測定方
法 (JIS X 7779) を繰返し適用して得られた実測値の標準偏差。
備考 この規格では,量記号σは真の標準偏差に,量記号sは推定された標準偏差に用いる。
3.3.2
再現性の標準偏差 (standard deviation of reproducibility), σR 再現性条件,すなわち,異なる時間に,
異なる条件(異なる実験室,異なる測定者,異なる測定器)の下で,同じ機械に,同じ騒音放射測定方法 (JIS
X 7779) を繰返し適用して得られた実測値の標準偏差。したがって,再現性の標準偏差には,繰返し性の
標準偏差を含む。
3.3.3
生産の標準偏差 (standard deviation of production), σP 同じファミリーに属する機器のロットの異
なる個体に対し,繰返し性条件(同じ実験室,同じ測定者,同じ測定器)の下で,同じ騒音放射測定方法 (JIS
X 7779) を適用して得られた実測値の標準偏差。
3.3.4
全標準偏差 (total standard deviation), σt 再現性の標準偏差と生産の標準偏差の二乗和の平方根と
して,次の式で与えられるもの。
2
2
P
R
t
σ
σ
σ
+
=
········································································· (1)
3.3.5
基準標準偏差 (reference standard deviation), σM 情報技術装置専用に規定された全標準偏差であっ
て,この種の機器のロットに対して代表的と考えられる値。
5
X 7778 : 2001 (ISO 9296 : 1988)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
LWAの基準標準偏差は,σM=2.0dBとする。
備考 σMを固定の値にすることによって,小さな標本数による統計手法を適用できるようになる。全
標準偏差σtと基準標準偏差σMとが異なる場合,製造業者はσtとσMの両方の標準偏差に基づき,
自身の危険率を推定するのが望ましい(4.4.1参照)。
4. 表示騒音放射値の算出
4.1
一般事項 表示騒音放射値LWAd及びLpAmは,アイドルモード及び作動モードについて算出する。作
動モード又はアイドルモードを複数もつ場合,その機器の利用形態の多くを代表するようなモードを用い
なければならない。
4.2
A特性音響パワーレベルLWAの算出 A特性音響パワーレベル,LWAは,JIS X 7779に従って算出す
る。
4.3
オペレータ(バイスタンダ)位置におけるA特性放射音圧レベルLpAの算出 オペレータ位置にお
けるA特性放射音圧レベルLpAは,JIS X 7779に従って算出する。オペレータ位置が定義されていない場
合,JIS X 7779で定義するバイスタンダ位置における実測値をエネルギー平均することによってLpAを算
出する。
4.4
表示騒音放射値の算出
備考 表示騒音放射値の算出は,製造業者固有の責任である。
4.4.1
機械のロットに関する表示A特性音響パワーレベル,LWAdの算出 機械のロットに関する表示A
特性音響パワーレベルLWAdを得るため,製造業者は次の事項を考慮しなければならない。
a) 再現性を考慮したうえで,測定方法 (JIS X 7779) の精度に関する測定の不確かさ。LWAの再現性の標
準偏差σRは,1.5 dBであると推定される。
b) 一つの実験室内で,可能な限り同一の条件(繰返し性条件)の下,ロット内の複数の機械に対し,JIS
X 7779に従い実施する測定から導出される生産のばらつき。各々の機械について,2回ずつ測定した
うえでその算術平均を算出する。これらの平均値を用いて,そのロットの生産の標準偏差を推定する。
c) 再現性の標準偏差,σR及び生産の標準偏差,σPを合成して得られるLWAの値に対する全標準偏差σt
の値。
d) 6.で規定する表示騒音放射値の検証手順。これは,ISO 7574-4の一回抜取検査手順において標本数n
=3,基準標準偏差σM=2.0 dBのときの手順と一致する。
標本として十分に大きな数が得られる場合,次の手順を用いるものとする。
JIS X 7779に従い,個々の機械からA特性音響パワーレベルの値LWAiを算出する。次の式を用いて,LWAi
の算術平均LWAmを計算する。
∑
=
=
n
i
WAi
n
WAm
L
L
1
1
······································································ (2)
ここに,
n: 標本内の機械の台数
標本内の実測値LWAiから生産の標準偏差sPを計算する。
∑
=
−
−
=
n
i
WAm
WAi
p
L
L
n
s
1
2)
(
1
1
····················································· (3)
次の式を用いて,生産の標準偏差sPと再現性の標準偏差sR(1.5dBと推定される。)から全標準偏差st
6
X 7778 : 2001 (ISO 9296 : 1988)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
を計算する。
2
2
P
R
t
s
s
s
+
=
··········································································· (4)
2
25.1
P
s
+
=
備考1. LWAmとstの値とは,そのロットの真の平均値μと真の全標準偏差σtの推定値である。
2. 標本として十分大きな数が得られない場合,stの値は,過去の経験から推定してもよい。
次の式を用いて,LWAm及びstの値から最も近い0.1ベル単位に丸めた表示音響パワーレベルーLWAdを算
出する。
)]
0.2(
564
.0
5.1
[
101
t
t
WAm
WAd
s
s
L
L
−
+
+
=
········································ (5)
備考 この式はISO 7574-4に基づいており,(標本数n=3の検証に対して)5%の危険率となる。
参考 ここに規定する標本数がn=3の場合を含め.種々の標本数における表示に関する追加情報が附
属書C(参考)に示されている。
4.4.2
個々の機械に関する表示A特性音響パワーレベル,LWAdの算出 次の関係を用いて,実測したA
特性音響パワーレベルLWAから個々の機械の表示音響パワーレベルLWAdを算出する。
)
(
101
K
L
L
WA
WAd
+
≥
·································································· (6)
上記の関係におけるKの値は,再現性条件の下で発生する偶然測定誤差を考慮している。sR=1.5dB, 5%
の危険率に対し,Kの値として,2.5dBが妥当である。
個々の機械に関するLWAdの値は,最も近い0.1ベルに丸める。
4.4.3
機械のロットに関する表示A特性放射音圧レベル,LpAmの算出 4.3に従い,オペレータ位置又は
バイスタンダ位置において測定した,標本内の個々の機械のA特性放射音圧レベルLpAを算術平均するこ
とによって,そのロットに関する表示A特性放射音圧レベルLpAmを算出する。
LpAmは,最も近い1デシベル (dB) に丸める。
4.4.4
個々の機械に関する表示A特性放射音圧レベル,LpAmの算出 個々の機械に関する表示A特性放
射音圧レベルLpAmは,オペレータ位置又はバイスタンダ位置において,4.3に従い算出したA特性放射音
圧レベルLpAの値に等しい。
LpAmは,最も近い1デシベル (dB) に丸める。
5. 表示騒音放射値の提示 製品の騒音放射値をこの規格に従い算出,提示する場合,次の事項を含んで
いなければならない。
a) “JIS X 7778による表示騒音放射”という文言に続き,ロット又は個々の機械の該当する作動モード
及びアイドルモード両方に対し,4.に従い算出したLWAd及びLpAmの値,並びに恒等式1B=10dBとい
う関係の明示。
b) LpAmの値が,JIS X 7779で定義するオペレータ位置又はバイスタンダ位置のいずれであるのかの明示。
c) 複数の作動モードがある場合,どのモードが表示目的で用いられたかを確実に特定できる十分な情報。
d) その表示騒音放射値の適用範囲を明確にできる,その製品の詳細な識別情報。そのような情報がない
場合,挙げられた製品のすべてのバリエーションに対し,その表示騒音放射値が適用される。
表示騒音放射値は,ユーザ向けに提供される技術文書又は他の印刷物のかたちで提供されなければなら
7
X 7778 : 2001 (ISO 9296 : 1988)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
ない(附属書A参照)。
6. 表示騒音放射値の検証
6.1
一般事項 表示騒音放射値の検証手順は,表示A特性音響パワーレベルLWAdにだけ適用し,表示A
特性放射音圧レベルLpAmには適用しない。
機械のロットに関するLWAdの値の検証手順は,ISO 7574-4のそれと一致しており,標本数n=3,基準
標準偏差σM=2.0dBにおける一回抜取検査手順を採用している。
個々の機械に関するLWAdの値の検証手順は,ISO 7574-2のそれと一致する。
検証は,JIS X 7779に従い,機器を作動させ,その騒音の実測に基づいて行わなければならない。さら
に,その検証のための設置及び作動条件は,製造業者が,4.に従い規定したとおりで,かつ,5.に従い提示
した条件と同じでなければならない。
6.2
機械のロットに関する表示A特性音響パワーレベル,LWAdの値の検証 次の手順は,再現性条件
(3.3.2参照)における抜取検査に関する規定である。該当する試験室において際立った系統誤差がないこ
とが確かであれば,繰返し性条件(3.3.1参照)における抜取検査に対し適用してもよい。
対象機器の新品ロットから無作為に3台の標本を抽出する。
実測値(単位デシベル)をLWA1,LWA2及びLWA3とし,それらの算術平均値L(同じく,単位デシベル)
を次の式によって求める。
)
(
31
3
2
1
WA
WA
WA
L
L
L
L
+
+
=
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(7)
次の規則に従い,表示A特性音響パワーレベルLWAdが容認されるかどうかを決定する。
a)
L/10≤ (LWAd−0.11) の場合,そのロットに関して,LWAdの値は,検証されたことになる。
b)
L/10> (LWAd−0.11) の場合,そのロットに関して,LWAdの値は,検証されたことにはならない。
6.3
個々の機械に関する表示A特性音響パワーレベル,LWAdの値の検証 実測値(単位デシベル)をLWA
とする。
次の規則に従い,個々の機械に関する表示A特性音響パワーレベルLWAdが容認されるかどうかを決定
する。
a) LWA/10≤LWAdの場合,その機械単体に関して,LWAdの値は,検証されたことになる。
b) LWA/10>LWAdの場合,その機械単体に関して,LWAdの値は,検証されたことにはならない。
8
X 7778 : 2001 (ISO 9296 : 1988)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書A(参考) 騒音放射表示の例
この附属書(参考)は,本体に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。
例1. オペレータ位置が定義されていない製品で,その製品のすべてのバリエーションに対し,同じ
表示騒音放射値を適用する場合
製品名:コンピュータABC型
JIS X 7778による表示騒音放射
作動時
アイドル時
LWAd (1B=10dB)
7.1B
7.0B
LpAm(バイスタンダ位置)
57dB
56dB
例2. オペレータ位置が定義されており,かつ,製造年の異なる製品のバリエーションに対し,異な
る表示騒音放射値を適用する場合
製品名:ディスクドライブ,DEF型
JIS X 7778による表示騒音放射
作動時
アイドル時
LWAd (1B=10dB)
5.2B
4.8B
LpAm(オペレータ位置)
41dB
37dB
製造年:1981〜1983
LWAd (1B=10dB)
5.5B
5.1B
LpAm(オペレータ位置)
44dB
40dB
製造年:1981以前
例3. オペレータ位置が定義されておらず,複数の印字速度で利用可能な印字ユニットに対し,最も
頻繁に使われる100cpsの印字速度における表示騒音放射値を適用する場合
製品名:XYZ型プリンタ,製造番号123456
JIS X 7778による表示騒音放射
作動時
アイドル時
LWAd (1B=10dB)
7.4B
5.2B
LpAm(バイスタンダ位置)
62dB
40dB
9
X 7778 : 2001 (ISO 9296 : 1988)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書B(参考) 騒音の性質
この附属書(参考)は,本体に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。
B.1 一般事項 この附属書では,表示騒音放射値に追加して任意に提供できる情報を示す。騒音の性質と
して,衝撃性であるかどうか,顕著な離散周波数音を含むかどうかについての情報が情報技術装置のユー
ザの関心事となることがある。
国家機関及び国際機関において,騒音の主観的特性を評価する客観的方法が研究されているが,どのよ
うな方法を適用すべきかについて最終的に合意するまでには至っていない。当面,B.2の手順が使われる
であろう。
B.2 騒音の性質の決定
B.2.1 一般事項 定義されたオペレータ位置又はバイスタンダ位置において,情報技術装置の騒音の衝撃
性及び/又は顕著な離散周波数音の有無が決定される。
B.2.2 騒音の衝撃性に関する指数 騒音の衝撃性に関する指数△LIを算出するために,JIS X 7779が使わ
れる。
B.2.3 顕著な離散周波数音 顕著な離散周波数音の有無を決定するために,JIS X 7779が使われる。
B.3 騒音の衝撃性及び顕著な離散周波数音に関する情報 B.2に従って決定した騒音の性質に基づき,次
の文言のいずれかによって,表示騒音放射値を補完することができる。
a) 衝撃性の騒音でもなく,顕著な離散周波数音も含まない。
b) 衝撃性の騒音ではあるが,顕著な離散周波数音は含まない。
c) 顕著な離散周波数音は含むが,衝撃性の騒音ではない。
d) 衝撃性の騒音であり,かつ,顕著な離散周波数音を含む。
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X 7778 : 2001 (ISO 9296 : 1988)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書C(参考) 機械のロットに関する表示値算出のための追加情報
この附属書(参考)は,本体に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。
C.1 一般事項 機器からの騒音に関する情報を表示しようとした場合,この規格本体においては,標本数
n=3を前提にしている。一方,実際には,各種の情報技術装置において,主として時間的な制約によって,
必ずしも,十分な数の標本が確保できない場合がある。また,より多くの標本を用意することによって,
より正確な表示情報を収集し,これに基づいて,機器のユーザあてに騒音に関する情報を提供したいと思
う製造業者もある。
この附属書では,4.4.1で規定する標本数がn=3以外の場合を含めた種々の場合における表示に関する
追加情報を示す。
表示騒音放射値の算出は,製造業者固有の責任である。
備考 この附属書の算出方法は,規格本体で引用するISO 7574-4に基づいており,また,原国際規格,
ISO 9296の技術的基礎となったECMA-109[参考文献(1)]の最新版,及び現在行われている原
国際規格ISO 9296の改訂作業の最新案 (CD : Committee Draft) 相当の内容を含んでいる。
C.2 ランダムサンプリング 測定対象機器(標本)は,表示を行おうとするロットの中から無作為に抽出
されたものか,又は同等とみなせるものと想定される。
C.3 機械のロットに関する表示A特性音響パワーレベル,LWAdの算出 ロットに関する表示A特性音響
パワーレベル,LWAdを得るためには,4.4.1のa)〜d)を考慮するとよい。
ロットから無作為に標本を取り出し,その1台1台に対してA特性音響パワーレベルLWAiをJIS X 7779
に従い算出する。これから算術平均LWAmを式(C.1)に従い算出する。
)
(
1
1
dB
L
n
L
n
i
WAi
WAm
∑
=
=
························································· (C.1)
ここに, n: 標本数
標本内の個々の機械で実測したA特性音響パワーレベル,LWAiから,生産の標準偏差sPを式(C.2)に従い
算出する。
)
(
)
(
1
1
1
2
dB
L
L
n
s
n
i
WAm
WAi
p
∑
=
−
−
=
········································· (C.2)
生産の標準偏差sPと再現性の標準偏差sR(JIS X 7779の下では,1.5dBと想定される。)に基づき,全標
準偏差stを計算する。
)
(
2
2
dB
s
s
s
P
R
t
+
=
······························································ (C.3)
備考1. LWAm及びstは,それぞれ,ロットの真の平均μ及び真の全標準偏差σtの推定値である。
LWAm,st及びκ(標本数nに対する値,表C.1参照)に基づき,式(C.4)から,0.1ベル単位に丸めた表示
A特性音響パワーレベルLWAdを計算する。
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)
(
)]
5.1
0.2(
5.1
5.1
[
101
2
2
2
2
B
s
s
L
L
P
P
WAm
WAd
+
−
+
+
+
=
κ
··········· (C.4)
表C.1 種々の標本数nに対するκの値
n
κ
n
κ
n
κ
n
k
n
κ
1
−
11
1.018
21
1.155
31
1.219
41
1.257
2
−
12
1.039
22
1.163
32
1.223
42
1.260
3
0.564
13
1.058
23
1.171
33
1.228
43
1.263
4
0.692
14
1.074
24
1.178
34
1.232
44
1.266
5
0.778
15
1.089
25
1.185
35
1.236
45
1.269
6
0.842
16
1.103
26
1.191
36
1.240
46
1.271
7
0.892
17
1.115
27
1.197
37
1.244
47
1.274
8
0.932
18
1.126
28
1.203
38
1.247
48
1.277
9
0.966
19
1.137
29
1.209
39
1.251
49
1.279
10
0.994
20
1.146
30
1.214
40
1.254
50
1.281
備考2. 表C.1において,n=3に対するκの値を代入すると式(C.4)は,4.4.1の式(5)と等しくなる。
ロットから得られる標本数が3台未満であり,かつ,生産の標準偏差spに関する情報が得られない場合,
式(C.4)においてst=2.0 dBを代入して表示A特性音響パワーレベルLWAdを算出してもよい。その結果,式
(C.5)が得られる。
)
(
)0.3
(
101
B
L
L
WAm
WAd
+
=
···················································· (C.5)
式(C.5)の3.0 dBの値は,全標準偏差,stが2.0 dBを上回らないと想定されるほとんどの情報技術装置に
対して妥当なものと考えられる。しかしながら,ある状況においては,stの値が2.0 dBを上回ることが考
えられる。具体的には,少なくとも,次のような場合である。
− 顕著な離散周波数音を含む場合
− 強い固体伝搬騒音を発する場合
− 温度に応じてファンの回転速度が制御されている場合
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X 7778 : 2001 (ISO 9296 : 1988)
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参考文献
(1) ECMA- 109 Declared noise emission values of information technology and telecommunications equipment,
4th edition, 1996 December, ECMA-114 Rue du Rhône−CH-1204 Geneva−Switzerland
JIS X 7778原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
○ 子 安 勝
千葉工業大学工学部情報工学科
(幹事)
○ 君 塚 郁 夫
日本アイ・ビー・エム株式会社評価技術・RASデザイン
(委員)
日 塔 公一郎
通信機械工業会サービス部
東 條 喜 義
社団法人日本電子工業振興協会技術部
近 藤 秀 行
株式会社沖データ技術企画部
今 泉 八 郎
株式会社小野測器MTG部
○ 高 梨 彰 男
キヤノン株式会社品質技術センター
山 中 稔
京セラ株式会社玉城ブロック品質保証部
梅 津 昌 彦
コニカ株式会社オフィスドキュメントカンパニーCS統括部製品
評価センター
尾 川 武 史
シャープ株式会社ドキュメントシステム事業本部信頼性管理セン
ター
橋 本 進
財団法人日本規格協会
木 村 和 紀
日本電気株式会社第二パーソナルC&C事業本部
高 橋 多 助
財団法人日本品質保証機構計量計測センター
松 崎 克 巳
富士ゼロックス株式会社環境商品安全部
○ 山 口 敦
富士通株式会社第二テクノロジ統括部システム実装技術部
井 上 邦 彦
松下電送システム株式会社品質統括センター
○ 佐 藤 利 和
松下インターテクノ株式会社メカニカルCAE部
木 下 敬 知
ミノルタ株式会社情報機器開発本部情報機器第一設計部
○ 瀧 波 弘 章
リオン株式会社音響技術部
間 藤 直 哉
株式会社リコー社会環境室環境安全グループ
(事務局)
小 林 繁 雄
社団法人日本事務機械工業会
備考 ○印は、分科会(小委員会)を兼ねる。