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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
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序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 適合性···························································································································· 1
3 引用規格························································································································· 1
4 用語及び定義 ··················································································································· 2
5 座標参照系のマーク付け ···································································································· 3
5.1 一般 ···························································································································· 3
5.2 SVGにおける座標参照系宣言 ··························································································· 4
5.3 座標参照系の記述の明確化 ······························································································ 5
6 図形要素のための図形メタデータのマーク付け ······································································ 7
6.1 一般 ···························································································································· 7
6.2 図形要素 ······················································································································ 7
6.3 図形メタデータのマーク付け ··························································································· 8
6.4 図形メタデータのマーク付けのための別の方法 ···································································· 8
7 タイリング ····················································································································· 10
7.1 一般 ··························································································································· 10
7.2 コンテナSVGファイルにおけるインポートSVGファイルへの参照のマーク付け······················ 11
7.3 地理座標変換パラメタ及び地図描画範囲属性の記述の有無 ···················································· 12
7.4 図形描画のための座標変換の手順····················································································· 12
7.5 地図描画領域属性に基づいた地図の描画············································································ 15
8 レイヤリング ·················································································································· 15
8.1 一般 ··························································································································· 15
8.2 レイヤリングにおけるコンテナSVGファイルとインポートSVGファイルとの関係 ··················· 15
8.3 地理座標変換パラメタ及び地図描画範囲属性の記述の有無 ···················································· 16
8.4 図形描画のための座標変換の手順····················································································· 16
8.5 レイヤリングの順序 ······································································································ 17
9 コンテナSVGファイル及びインポートSVGファイルの振る舞い ············································· 18
9.1 タイリングとレイヤリングとの関係·················································································· 18
9.2 コンテナSVGファイルの階層構成 ··················································································· 19
10 ラスタ画像のタイリング及びレイヤリング ········································································· 20
10.1 一般 ·························································································································· 20
10.2 ラスタ画像のタイリング ······························································································· 20
10.3 ラスタ画像のレイヤリング ···························································································· 21
11 表示倍率に応じた描画制御属性 ························································································ 22
11.1 一般 ·························································································································· 22
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11.2 描画制御のマーク付け ·································································································· 22
11.3 対象となる要素 ··········································································································· 24
11.4 描画倍率に応じた描画制御 ···························································································· 24
12 SVGファイルのWebサーバへの配置及びアプリケーションによる取得 ··································· 24
12.1 配置及び取得 ·············································································································· 24
12.2 SVGファイルの分散配置 ······························································································ 24
12.3 ローカルファイルシステムへの配置 ················································································ 24
附属書A(規定)適合性 ······································································································· 26
附属書B(参考)ISO 19100シリーズとの関係 ·········································································· 28
附属書C(参考)著作権及びセキュリティ ··············································································· 33
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まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般財団法人日本情報経済社会推進協会
(JIPDEC)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべ
きとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣及び国土交通大臣が制定した日本工
業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格に従うことは,次の者の有する特許権等の使用に該当するおそれがあるので,留意する。
− 氏名:高木 悟
− 住所:東京都新宿区西新宿2丁目3番2号 国際電信電話株式会社内
上記の,特許権等の権利者は,非差別的かつ合理的な条件でいかなる者に対しても当該特許権等の実施
の許諾等をする意思のあることを表明している。ただし,この規格に関連する他の特許権等の権利者に対
しては,同様の条件でその実施が許諾されることを条件としている。
この規格に従うことが,必ずしも,特許権の無償公開を意味するものではないことに注意する必要があ
る。
この規格の一部が,上記に示す以外の特許権等に抵触する可能性がある。経済産業大臣,国土交通大臣
及び日本工業標準調査会は,このような特許権等に関わる確認について,責任はもたない。
なお,ここで“特許権等”とは,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権をいう。
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日本工業規格 JIS
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地理情報−SVGに基づく地図の表現及びサービス
Geographic Information-Map representation and services based on SVG
序文
この規格は,地理情報をベクトルデータとして記述する方法としてSVGに基づく地図表現データのマー
ク付け規則の拡張を規定するとともに,描画及び配信のための仕組みを規定する。この規格によって,World
Wide Web空間上に散在する,SVGに基づくマーク付けを行った様々な地図を配信して,Webブラウザな
どのアプリケーション上で単葉の画像情報として地図を表示するだけでなく,タイル状表示による地図の
描画領域の設定,及び地図のレイヤ表示ができ,地図表現データの流通性と相互運用性とを向上させるこ
とができる。
1
適用範囲
この規格は,JIS X 4197の規定する,地理情報の表現の中のマーク付け規則の拡張となる,地図表現デ
ータ及びその引用に対する座標参照系に関するマーク付け規則,タイリング及びレイヤリングに関するマ
ーク付け規則,並びに図形要素に対する図形メタデータに関するマーク付け規則について規定する。
この規格は,これらのマーク付け規則に関して,地図表現データを含むSVGデータの構文及びこれを用
いたサービスに要求される処理について規定する。
この規格は,地理情報の作成者が,地理情報を地図として表現するため,既存の地理情報をSVG形式に
変換するとき,及び新たにSVG形式で作成するときに適用できる。この規格は,地図として表現された
SVGの点,線,多角形などの図形要素に対して,地理的な図形メタデータを記述するときに適用できる。
この規格は,この規格に基づき作成された複数のSVG形式の地図をタイル状に並べ(タイリング),及
び複数のSVG形式の地図を重ね(レイヤリング),一つの地図として描画するときに適用できる。また,
この規格は,この規格に基づき作成された複数のSVG形式の地図を,複数のWebサーバ上に配置し,Web
ブラウザなどのアプリケーションが取得し,地図として表示するときに適用できる。
上記適用範囲の既存地理情報の利用,地図の描画,レイヤリング,Webサーバ上への地図の配置につい
ては,地理情報規格群であるISO 19100シリーズと関連をもつ(詳細は附属書Bを参照。)。
2
適合性
この規格への適合を宣言する全ての製品は,附属書Aによる抽象試験項目群に記述される全ての要件を
満たさなければならない。
抽象試験項目の定義は,JIS X 7105による。
3
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
2
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引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS X 4176 XMLリンク付け言語(XLink)1.0
JIS X 4197 変倍ベクタグラフィックス
注記 W3C勧告,SVG Tiny 1.2,Scalable Vector Graphics (SVG) Tiny 1.2 Specification
(http://www.w3c.org/TR/SVGTiny12/)が,この規格と一致している。
JIS X 7105 地理情報−適合性及び試験
注記 対応国際規格:ISO 19105,Geographic information−Conformance and testing(IDT)
ISO 19128,Geographic information−Web map server interface
4
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
4.1
インポートSVGファイル
複数の図葉を一つの地図として表現するときに,各々の図葉自体に該当するSVG形式のファイル。
4.2
コンテナSVGファイル
インポートSVGファイル群又は別のコンテナSVGファイル群で表現される複数の図葉を,一つの地図
としてまとめ上げ,一つの地図として認識するために,インポートSVGファイル群又は別のコンテナSVG
ファイル群をIRI参照する情報を記述したSVG形式のファイル。
4.3
座標参照系(coordinate reference system)
原子によって実世界に関連付けた座標系(JIS X 7111参照)。
4.4
地図
コンピュータ画面上の表示に適したディジタルイメージファイルとして地理情報を描画したもの(ISO
19128参照)。
4.5
タイリング
一つの地図表現を得るために,複数の図葉をタイル状に並べること。
4.6
地図描画範囲属性
インポートSVGファイルを図葉として配置するために,インポートSVGファイルに記述する領域情報。
4.7
SVG Mapでのレイヤリング
複数の図葉を一つの地図として表現するため,重ねること。
4.8
図形メタデータ
SVG形式の図形要素に関するデータであって,図形的情報(幾何形状及びスタイル)並びにこの規格で
規定する地図の表現及びサービスのためのデータを除いたもの。
3
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4.9
名前空間(Namespace)
名前の集合を分割することで衝突の可能性を回避しつつ参照を容易にする概念。
4.10
マーク付け
SVGに基づくXMLによる記述。
4.11
IRI(Internationalized Resource Identifier)
World Wide Web上に存在する情報資源の場所を国際符号化文字集合(Unicode,又はJIS X 0221)を用い
て示す記述方式(RFC 3987)。
4.12
変倍ベクタグラフィックス,SVG(Scalable Vector Graphics)
World Wide Web Consortium(W3C)が規定する2次元ベクトルグラフィック仕様。
注記 この規格が参照するSVG Tiny 1.2仕様の原文は http://www.w3.org/TR/SVGTiny12/ から入手で
きる(2008年12月22日勧告)。
4.13
URI(Uniform Resource Identifier)
World Wide Web上に存在する情報資源の場所を示す記述方式(RFC 3986)。
5
座標参照系のマーク付け
5.1
一般
箇条5では,座標参照系のマーク付けについて示す。JIS X 4197ではmetadata要素を用いて外部の座標
参照系マーク付け規則を利用する方法を規定しているが,この規格では,JIS X 4197の拡張モジュールの
規定に沿って拡張し,SVGの名前空間に新たに規定したglobalCoordinateSystem要素によって座標参照系
を直接マーク付けする方法を規定する。
アプリケーションは,座標参照系のマーク付けによって,以降で規定するタイリング及びレイヤリング
を行うことができる。
注記1 SVG Tiny 1.2文書は2次元の画像を記述するものである。したがって,SVG Tiny 1.2文書の
各図形要素がもつ座標は,画像の座標系の上にある。すなわち,これは地理的な座標参照系
における座標と一般には異なる座標系の上にある座標情報である。
一方,JIS X 4197では,地理的な座標参照系のマーク付けによって,この画像の座標系と
地理的な座標参照系との間の関係情報を記述することができる。これによって,SVG Tiny 1.2
文書の各図形要素がもつ座標を地理的な座標参照系上の座標に変換及び逆変換することがで
きる。したがって,この関係情報は,一般に地図作成のための図法変換処理のための情報と
みなすことができる。
このSVG Tiny 1.2文書の座標系,地理的な空間参照系,及び地理的な座標参照系のマーク
付けによって記述される情報の関係を,図1に示す。
4
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図1−JIS X 4197における座標参照系のマーク付け
この規格では,SVG Tiny 1.2文書の画像の座標系と地理的な座標参照系との間の関係式は,
一次のアフィン変換によって実現される。したがって,図法変換も一次のアフィン変換によ
って表現されるものが対象となる。
注記2 座標参照系として緯度経度を使う場合,図法変換としては正距円筒図法になる。
5.2
SVGにおける座標参照系宣言
JIS X 4197において,複数の地図の間で共通に利用可能な地理的な座標参照系をSVG Tiny 1.2文書のル
ート直下に記述されるglobalCoordinateSystem要素によって宣言する。図2にJIS X 4197における座標参
照系の記述例を示す。
globalCoordinateSystem要素には,srsName属性によって,地理的な座標参照系の識別子をIRI参照とし
て記述する。さらに,globalCoordinateSystem要素は,transform属性をもつことができる。この属性は,上
記で特定した座標参照系から,そのSVG Tiny 1.2文書の座標系への図法変換パラメタとして振る舞う。
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
<svg xmlns="http://www.w3.org/2000/svg" version="1.2" baseProfile="Tiny"
requiredFeatures="http://www.w3.org/Submission/2011/SUBM-SVGTL-20110607/">
<metadata>
<rdf:RDF xmlns:rdf="http://www.w3.org/1999/02/22-rdf-syntax-ns#"
xmlns:crs="http://www.ogc.org/crs"
xmlns:svg="http://www.w3.org/2000/svg">
<rdf:Description>
<crs:CoordinateReferenceSystem
rdf:resource="http://purl.org/crs/84"
svg:transform="matrix(100.0,0,0,-100,1000,1000)"/>
</rdf:Description>
</rdf:RDF>
</metadata>
</svg>
図2−JIS X 4197における座標参照系の記述例
JIS X 4197で規定される,座標参照系のマーク付けによって宣言された座標参照系は,この規格の座標
参照系宣言と等価に扱う。
この規格は,JIS X 4197に基づくことを明確に表すため,SVG Tiny 1.2文書のルート要素のversion属性
図法変換
逆変換
座標参照系
のマーク
付け
SVG Tiny 1.2文書の座標系
地理的な空間参照系
SVG Tiny 1.2文書の座標系と
地理的な座標参照系との間の
関係情報によって,二つの系の
間の座標変換を可能にする
5
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とbaseProfile属性とに対して次の値を設定する。
version="1.2"
baseProfile="Tiny"
JIS X 4197では,ユーザエージェントによる指定機能のサポートの有無に基づき,条件付き処理を制御
する条件付き処理属性のひとつとしてrequiredFeatures属性がある。この規格では,requiredFeatures属性に
設定する値を次のとおり定義する。requiredFeatures属性は,SVG Tiny 1.2文書のルート要素に記述する。
requiredFeatures="http://www.w3.org/Submission/2011/SUBM-SVGTL-20110607/"
この機能文字列に対応したユーザエージェントは,この規格の機能をサポートしていることを意味する。
注記 requiredFeatures属性の値として定義した上記IRIは,この規格を基にW3Cにおいて策定が進め
られているTiling and Layering Module for SVG 1.2 Tinyの原案仕様書を示すW3Cサイト上のも
のである。
5.3
座標参照系の記述の明確化
この規格は,地理的な座標参照系をSVG Tiny 1.2文書のためのメタデータとして記述するための仕様で
あるJIS X 4197の“7.15 地理座標系”を代替する。その上で,利用者端末への実装性を向上させ,ひいて
は相互運用性を高めるために,JIS X 4197の“7.16 'svg:transform' 属性”に複数例示されている手法のうち,
最も簡便な方法(Example:07̲19.svg参照)を採用し,座標参照系の記述を明確化する。
表1にこの規格が規定するglobalCoordinateSystem要素の属性を示す。
表1−この規格におけるglobalCoordinateSystem要素の属性
属性名
記述
srsName
座標参照系をIRI形式で与える。
必須とする。
transform
SVG Tiny 1.2文書がもつ固有の座標系と,srsName属性で示す座標参照系と
の間の座標変換のための変換式のパラメタをJIS X 4197のtransform属性の
マーク付けに基づいて与える。したがって,変換式は次の書式による一次の
アフィン変換と同等のものになる。
書式:matrix(a, b, c, d, e, f)
なお,省略した場合,matrix(1.0, 0.0, 0.0, 1.0, 0.0, 0.0)が与えられたとみなす。
また,matrixに代わって,rotate, scale, translateなどのJIS X 4197で規定され
る変換関数及びそれらの組合せを用いることもできる。
注記1 JIS X 4197の“7.15 地理座標系”との関係は,次のとおりである。
− この規格におけるsrsName属性は,JIS X 4197のcrs:CoordinateReferenceSystem要素の
rdf:resource属性に相当する。
− この規格におけるtransform属性は,JIS X 4197のcrs:CoordinateReferenceSystem要素の
svg:transform属性に相当する。
表2にJIS X 4197における座標参照系宣言とこの規格における座標参照系宣言との対応関係を示す。
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表2−JIS X 4197における座標参照系宣言とこの規格における座標参照系宣言との対応関係
JIS X 4197における座標参照系宣言
この規格における座標参照系宣言
coordinateReferenceSystem要素
globalCoordinateSystem要素
xlink:href属性>>rdf:resource属性
srsName属性
transform属性>>svg:transform属性
transform属性
JIS X 4197における座標参照系宣言を扱う場合,7.4 b) の定義に沿って描画範囲が決定され,その描画
範囲に対してインポートSVGファイルが描画される。インポートSVGファイルの描画方法については,
Web ブラウザなどのアプリケーションに一任される。
注記2 後方互換性
SVG 1.1(Tinyを含む。)で規定される,座標参照系のマーク付けによって宣言された座標
参照系は,この規格の座標参照系宣言と等価に扱うことが望ましい。SVG 1.1(Tinyを含む。)
の座標参照系宣言は,JIS X 4197の座標参照系宣言と同じである。
5.3.1
座標変換のための変換式(transform)
座標変換のための変換式は,JIS X 4197に基づいて記述されたSVG Tiny 1.2文書の座標と,地理的な座
標との間の変換式を規定するものであり,形式は,JIS X 4197の“7.16 svg:transform”属性と同一のものと
する。次に,その概略を示す。
SVG Tiny 1.2文書の座標と地理的な座標との間の変換式は,次の式で示される。
×
=
1
yx
1
0
0
f
d
b
e
c
a
1
y'x'
ここで,x' 及びy' はJIS X 4197に基づくSVG Tiny 1.2文書の座標値,x及びyはそれに対応する地理的
な座標参照系に基づく座標値とする。
この変換式は,次の書式による一次のアフィン変換と同等のものである。
書式:matrix(a, b, c, d, e, f)
この書式だけでなく,JIS X 4197に基づき,transformが提供する座標変換の機能である,rotate, translate,
scale, skewX, skewY, matrixの1個以上の組合せを使うことができる。
注記 上記の変換式を,次のように表現することも多い。
+
×
=
fe
yx
d
bc
a
y'x'
5.3.2
地理的な座標参照系のIRI(srsName)
地理的な座標参照系の識別子はglobalCoordinateSystem要素のsrsName属性にIRI形式で記述する。
アプリケーションは,srsName属性の値によってSVG文書の地理的な座標参照系を識別することができ
る。
以降で規定するタイリング及びレイヤリング処理では,共通の座標参照系の識別子が記述されたSVG
Tiny 1.2文書間においての処理方法を規定し,異なる座標参照系の識別子が記述されたSVG Tiny 1.2文書
の間での処理方法は規定しない。
注記1 アプリケーションは座標参照系の識別子によって識別された各々の座標参照系の間の座標変
換の機構を別途用意し,共通の座標参照系に変換することによって,この規格に基づくタイ
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リング及びレイヤリングを行うことができる。
なお,この規格では,相互運用性を向上させるためsrsName属性の値として“http://purl.org/crs/84”を推
奨する。この座標参照系“http://purl.org/crs/84”は,ISO 19128で規定される座標参照系“CRS:84”に相当
する2次元の緯度経度座標系であり,測地系はWGS-84,第一パラメタ(X)が経度,第二パラメタ(Y)
が緯度である。
図3にこの規格における座標参照系の記述例を示す。
<?xml version="1.0" encoding="utf-8"?>
<svg width="100" height="100" viewBox="0 0 1000 1000"
xmlns="http://www.w3.org/2000/svg" version="1.2" baseProfile="Tiny"
requiredFeatures="http://www.w3.org/Submission/2011/SUBM-SVGTL-20110607/">
<globalCoordinateSystem
srsName="http://purl.org/crs/84"
transform="matrix(15.3631,0.0,0.0,-18.6994,-1889.2916,849.9202)"/>
</svg>
図3−この規格における座標参照系の記述例
注記2 JIS X 4197の座標系は,Y軸の方向が下向きである。一方,推奨する“http://purl.org/crs/84”
(“CRS:84”)座標参照系は,Y軸の方向が“北”向きである。したがって,座標変換のため
の変換式(transform属性)は,それを加味した値をもつ必要がある。そのため,図3の例の
transform属性のように,北を上にした地図表現データの場合,一般にmatrixの“d”値は負
(-)になる。
6
図形要素のための図形メタデータのマーク付け
6.1
一般
箇条6では,図形要素のための図形メタデータのマーク付けについて示す。JIS X 4197では,図形要素
に対して地理的な図形メタデータを記述する方法を規定していない。この規格では,JIS X 4197の“19.1 外
部の名前空間及びプライベートデータ”に基づきJIS X 4197の規定に沿って拡張し,図形要素に対して与
える属性値として,地理的な図形メタデータを記述する方法を規定する。
この規格において,図形要素に対して記述する図形メタデータとは,該当する図形要素が表現している
地物について,地物又はその特性を保持するためのデータをいう(地物及びその特性については,JIS X
7109の箇条7を参照)。地図表現データの作成者はその用途に応じて,地物名,地物属性,地物関連など
の任意のデータを図形メタデータとして記述してよいが,JIS X 4197のデータとして描画すべき内容につ
いては(同等の情報を図形メタデータに記述した場合であっても)JIS X 4197の図形要素として記載しな
ければならない。
図形メタデータの処理については,この規格では規定しない。
図形の座標,形状及びスタイルを表現するためのデータは,データの本体と位置付け,図形メタデータ
とは呼ばない。
6.2
図形要素
図形メタデータの記述対象とするJIS X 4197における要素を次に示す。各要素については,JIS X 4197
の“1.6 用語及び定義”を参照。
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JIS X 4197におけるcontainer要素として次の要素。
a要素,defs要素,g要素,svg要素,switch要素
JIS X 4197におけるgraphics要素として次の要素。
animation要素,circle要素,ellipse要素,image要素,line要素,path要素,
polygon要素,polyline要素,rect要素,text要素,textArea要素,use要素,video要素
6.3
図形メタデータのマーク付け
図形メタデータのマーク付けは,次の書式による。
書式:<図形要素名 属性名="属性値" />
図形要素名には,6.2に列挙されたSVGにおける図形要素名(例 path)を記述する。属性名は,名前の
衝突を防ぐためにNamespaces in XML 1.0仕様に基づく名前空間を利用し,区別しなければならない。
図4に図形メタデータの記述例を示す。
<?xml version="1.0" encoding="utf-8"?>
<svg xmlns="http://www.w3.org/2000/svg" version="1.2" baseProfile="Tiny"
requiredFeatures="http://www.w3.org/Submission/2011/SUBM-SVGTL-20110607/"
xmlns:dc="http://purl.org/dc/elements/1.1/"
xmlns:foaf="http://xmlns.com/foaf/0.1/"
xmlns:rdf="http://www.w3.org/1999/02/22-rdf-syntax-ns#" >
<globalCoordinateSystem ... />
<path id="t1"
foaf:nick="○○ビル"
rdf:type="http://www.w3.org/2003/01/geo/wgs84̲pos#SpatialThing"
dc:title="○○○○ビルディング"
dc:description="○○市内にある○○会社所有のビル"
stroke="green" d="....." />
</svg>
上記記述例の説明を次に示す。
path図形要素に対して,三つの属性を記述している。
① foaf(Friend of a Friend)名前空間のnick(ニックネーム)属性名に対して,"○○ビル"属性
値
② rdf(RDF基本語彙)名前空間のtype(クラスタイプ)属性名に対して,
http://www.w3.org/2003/01/geo/wgs84̲pos#SpatialThing(W3Cのgeo語彙のSpatialThingクラ
ス)
③ dc(ダブリンコア)名前空間のtitle(名称)属性名に対して,"○○○○ビルディング"属性値
図4−図形メタデータの記述例1
注記 図形メタデータのマーク付けは,6.3で示す方法以外に,6.4で示す方法があるが,この規格で
は6.3の方法を推奨する。
6.4
図形メタデータのマーク付けのための別の方法
6.3の方法に加え,JIS X 4197で規定された別のメタデータの記述方法を利用してもよい。図5にその記
述例を示す。
9
X 7197:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(1)図形要素の子要素としてSVGであらかじめ規定された図形メタデータ要素を記述する(JIS X
4197の“5.5 'title' 要素及び 'desc' 要素”を参照。)。
記述例:
<?xml version="1.0" encoding="utf-8"?>
<svg xmlns="http://www.w3.org/2000/svg" version="1.2" baseProfile="Tiny"
requiredFeatures="http://www.w3.org/Submission/2011/SUBM-SVGTL-20110607/" >
<globalCoordinateSystem ... />
<path id="t1"
stroke="green" d="....." >
<title>○○○○ビルディング</title>
<desc>○○市内にある○○会社所有のビル</desc>
</path>
</svg>
(2)JIS X 4197におけるmetadata要素(JIS X 4197 の“18.2 'metadata' 要素”を参照)に図
形メタデータを記述する。
記述例:(metadata内に,RDF/XMLによってメタデータを記述した例)
<?xml version="1.0" encoding="utf-8"?>
<svg xmlns="http://www.w3.org/2000/svg" version="1.2" baseProfile="Tiny"
requiredFeatures="http://www.w3.org/Submission/2011/SUBM-SVGTL-20110607/"
xmlns:dc="http://purl.org/dc/elements/1.1/"
xmlns:rdf="http://www.w3.org/1999/02/22-rdf-syntax-ns#" >
<globalCoordinateSystem ... />
<path id="t1"
stroke="green" d="....." >
<metadata>
<rdf:RDF>
<rdf:Description>
<dc:title>○○○○ビルディング</dc:title>
<dc:description>○○市内にある○○会社所有のビル</dc:description>
</rdf:Description>
</rdf:RDF>
</metadata>
</path>
</svg>
図5−図形メタデータの記述例2
注記1 地理情報のように,多量の属性情報を各々の図形要素に付加する可能性のあるデータにおい
ては,6.3の記述方法を採用することで,メタデータによるデータの肥大を抑制できるという
メリットがある。一方,6.4の図5の(1)の記述方法によれば,ネームスペースを省略する
ことができる。さらに,6.4の図5の(2)の記述方法によれば,より複雑な構造をもつメタ
データを記述することができる。
注記2 図形メタデータとして使用する属性名については,World Wide Web上で資源に関する情報を
表すためのフレームワークであるRDF(Resource Description Framework)のために規定され
た語彙に合致することが望ましい。
注記3 RDFは,World Wide Web上で発信されている識別可能な情報又は情報の部分(例えば,HTML
コンテンツ又はコンテンツの一部分:これを資源という。)に対して,図形メタデータを表現
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X 7197:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
するためのフレームワーク(枠組み)である。図形メタデータは,情報の本体(主語),それ
についての属性名(述語)及び属性値(目的語)から構成される。特定の用途のために使用
する属性のための辞書は,語彙としてまとめられており,World Wide Web上で提供される。
例えば,標準化された語彙としてダブリンコア(JIS X 0836)がある。
注記4 属性名として,JIS X 4197が規定しているtitle,descなどのメタデータ属性を用いてもよい。
なお,この場合にはSVG Tiny 1.2名前空間に属する属性であるため,接頭辞は不要である。
これらの属性を用いる場合のガイドラインは,JIS X 4197の“5.5 'title' 要素及び 'desc' 要素”
を参照。
注記5 各図形要素の識別を行う場合には,JIS X 4197が規定しているid属性を用いることができる。
id属性については,JIS X 4197の“5.10 共通属性”及び“18.2 'metadata' 要素”を参照。
注記6 図形メタデータをSemantic Webに基づく情報(RDF)として抽出し利用されるよう促す場合
には,GRDDLに従って外部XSLを指定することが望ましい。
(GRDDL http://www.w3.org/2007/07/grddl-pressrelease.html.ja)
7
タイリング
7.1
一般
タイリング可能な一つ以上のSVG Tiny 1.2形式の地図表現データをWebサーバ上に配置し,Webブラウ
ザなどのアプリケーションが取得し地図として表示する。箇条7では,タイリングする地図表現データの
マーク付けを規定する。
地図を描画するための元のデータは,SVG Tiny 1.2形式の地図表現データである。図6で示すように個々
のSVG Tiny 1.2形式の地図表現データ(SVGファイル)をタイル状に配置(タイリング)することでひと
つながりの地図として描画できる。ひとつながりの地図として描画するためには,個々のインポートSVG
ファイルをインポートして,一つのSVGファイルに合成する。
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0̲0.svg
インポートSVG
0̲1.svg
0̲2.svg
1̲0.svg
1̲1.svg
1̲2.svg
2̲0.svg
2̲1.svg
2̲2.svg
IRI参照
Container.svg
コンテナSVG
地図描画範囲属性
0̲0.svg
インポートSVG
0̲1.svg
0̲2.svg
1̲0.svg
1̲1.svg
1̲2.svg
2̲0.svg
2̲1.svg
2̲2.svg
Container.svg
コンテナSVG
地図描画範囲属性
図6−コンテナSVGファイルとインポートSVGファイルとの関係の例
注記 図6において,Container.svgはコンテナSVGファイル,0̲0.svg〜2̲2.svgはインポートSVGフ
ァイルとして振る舞う。図中の破線矢印で示すようにコンテナSVGファイルがインポートSVG
ファイルを指し示すためIRI参照を用いる。
7.2
コンテナSVGファイルにおけるインポートSVGファイルへの参照のマーク付け
コンテナSVGファイルに,インポートSVGファイルがタイル状に並ぶように地図描画範囲属性を設定
したIRI参照を記述することで一つの合成された地図が構成される。
コンテナSVGファイルがインポートSVGファイルを指し示す各々のIRI参照にはインポートSVGファ
イルを配置する領域情報(地図描画範囲属性)が付加される。地図描画範囲属性は,インポートSVGファ
イルを配置する原点となる地図描画領域原点座標x,地図描画領域原点座標y,地図描画領域幅及び高さの
四つのパラメタで構成される。
コンテナSVGファイルによってタイリングを指示するマーク付けは,JIS X 4197のanimation要素を用
いる。
インポートSVGファイルの場所はanimation要素のxlink:href属性にIRI参照を用いて記述する。インポ
ートSVGファイルの地図を描画する領域である地図描画範囲属性の四つのパラメタは,animation要素のx
属性,y属性,width属性及びheight属性の四つの属性を用いて記述する。これら四つの属性値は,コンテ
ナSVGファイルの座標系に依存する。表3に地図描画範囲属性の各パラメタとanimation要素の属性との
間の関係を示す。
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表3−地図描画範囲属性
地図描画範囲属性のパラメタ
animation要素
の属性
備考
インポートSVGファイルの地図が存在する領域の原点座標x
x
記述なき場合は0とみなす。
インポートSVGファイルの地図が存在する領域の原点座標y
y
記述なき場合は0とみなす。
インポートSVGファイルの地図が存在する領域の幅
width
x方向の長さ
インポートSVGファイルの地図が存在する領域の高さ
height
y方向の長さ
注記 表3に示す地図描画範囲属性及びインポートSVGファイルへのIRI参照はanimation要素を用
いて次のように記述する。
<animation x="地図描画領域原点座標x" y="地図描画領域原点座標y"
width="地図描画領域幅" height="地図描画領域高さ"
xlink:href="インポートSVGファイルのIRI参照" />
図7にコンテナSVGファイルの記述例を示す。
以下Container.svgの記述例
<?xml version="1.0" encoding="utf-8"?>
<svg xmlns="http://www.w3.org/2000/svg"
xmlns:xlink="http://www.w3.org/1999/xlink"
viewBox="20 110 120 85">
<globalCoordinateSystem ... />
<animation x="0" y="0" width="100" height="70" xlink:href="0̲0.svg"/>
<animation x="100" y="0" width="100" height="70" xlink:href="1̲0.svg"/>
<animation x="200" y="0" width="100" height="70" xlink:href="2̲0.svg"/>
<animation x="0" y="70" width="100" height="70" xlink:href="0̲1.svg"/>
<animation x="100" y="70" width="100" height="70" xlink:href="1̲1.svg"/>
<animation x="200" y="70" width="100" height="70" xlink:href="2̲1.svg"/>
<animation x="0" y="140" width="100" height="70" xlink:href="0̲2.svg"/>
<animation x="100" y="140" width="100" height="70" xlink:href="1̲2.svg"/>
<animation x="200" y="140" width="100" height="70" xlink:href="2̲2.svg"/>
</svg>
図7−コンテナSVGファイルの記述例
7.3
地理座標変換パラメタ及び地図描画範囲属性の記述の有無
タイリングにおいて,地理座標変換パラメタ及び地図描画範囲属性それぞれの記述の有無を,次のとお
り規定する。
a) コンテナSVGファイルは地理座標変換パラメタを記述しなければならない。
b) インポートSVGファイルは地理座標変換パラメタを記述してもよいし,記述しなくてもよい。記述し
た場合は7.4 a) で座標を計算した後,コンテナSVGファイルの地図描画範囲属性に従って描画範囲
を決定する。記述しない場合は7.4 b) で座標を計算した後,コンテナSVGファイルの地図描画範囲
属性に従って描画範囲を決定する。
7.4
図形描画のための座標変換の手順
タイリングにおいて,コンテナSVGファイルによって規定する座標空間上で描画されるインポートSVG
ファイルで記述した各図形要素の座標は,次の手順によって決定する。
13
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
a) インポートSVGファイルに地理座標変換パラメタが記述されている場合。
手順1 インポートSVGファイルに記述された地理座標変換パラメタmatrix(ai,bi,ci,di,ei,fi)に基づき,
インポートSVGファイルの図形[座標を(xi,yi)とする。]を地理座標空間上に変換する[変換
された座標を(xg,yg)とする。]。
手順2 同座標をコンテナSVGファイルに記述された地理座標変換パラメタ(ac,bc,cc,dc,ec,fc)に基づき,
地理座標空間上の座標をコンテナSVGファイルの座標空間上に変換する[座標を(xc,yc)とす
る。]。
これらの数式を次に示す。
×
−
−
−
−
−
=
×
=
−
1
y
x
1
0
0
f
a
e
b
a
c
d
e
f
c
b
d
c
b
d
a
1
1
y
x
1
0
0
f
d
b
e
c
a
1
y
x
i
i
i
i
i
i
i
i
i
i
i
i
i
i
i
i
i
i
i
i
1
i
i
i
i
i
i
g
g
×
=
1
y
x
1
0
0
f
d
b
e
c
a
1
y
x
g
g
c
c
c
c
c
c
c
c
注記 この式は8.4の式と同じ。
b) インポートSVGファイルに地理座標変換パラメタが記述されていない場合。
コンテナSVGファイルの地理座標変換パラメタによらず,JIS X 4197に基づき座標変換される。す
なわち,コンテナSVGファイルのanimation要素に記述される地図描画範囲属性と,インポートSVG
ファイルのSVG要素(ルート要素)に記述される各属性とを基に座標変換パラメタが決定される(JIS
X 4197の“12.4 'animation' 要素”を参照。)。
注記 a) に示すように,インポートSVGファイルに地理座標変換パラメタが記述されている場合,
図8に示すように,コンテナSVGファイルのanimation要素に記述される地図描画範囲属性は,
インポートSVGファイル内の図形要素をコンテナSVG座標上に配置するための座標の決定に
は関与せず,上記で座標が決定されたインポートSVGの図形について,実際にそれを描画する
かどうかを示すため,かつ,描画する場合にはその範囲を示すための属性として振る舞う。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
インポートSVGの座
標変換パラメータに
よる逆変換
0/0
インポートSVGの座標空間
135/35地理的な座標空間
0/0
コンテナSVGの座標空間
コンテナSVGに記述され
た、地図描画範囲属性
による描画領域の決定
コンテナSVGの座標空間
地図描画範囲属性に
よって指定された範囲
0/0
コンテナSVGの座標
変換パラメータによ
る変換
実際の表示
図8−コンテナSVGファイルとインポートSVGファイルとによる描画例
一方,b) が示すようにインポートSVGファイルに地理座標変換パラメタが記述されていな
い場合には,コンテナSVGファイルのanimation要素に記述される地図描画範囲属性がインポ
ートSVGファイル内の図形要素をコンテナSVG座標上に配置するための座標の決定に関与す
る場合がある。
実際の表示
インポートSVGの
座標変換パラメタに
よる逆変換
コンテナSVGの
座標変換パラメタ
による変換
15
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7.5
地図描画領域属性に基づいた地図の描画
ビューアの画面の表示領域(ビューボックス)内にanimation要素の地図描画領域属性で示される領域が
入ったときは,その領域の地図を描画する。
注記 インポートSVGファイルの取得
コンテナSVGファイルをビューアで地図として表示する場合,animation要素がインポート
するインポートSVGファイルの地図表現データを全て取得(ダウンロード)する必要はない。
この規格に適合したビューアを作成するためには,作者は,地図のスクロールに応じて,ビュ
ーアの画面の表示領域(ビューボックス)内にanimation要素の地図描画領域原点座標で示され
る領域が入ったときだけ,その該当するインポートSVGファイルをWebサーバ上から動的に
取得することが望ましい。ただし,表示ソフトウェアの資源が許す限り,前もってインポート
SVGファイルを読み込んだり,表示領域から外れたインポートSVGファイルをキャッシング
する機能を任意に拡張したりすることを制限するものではない。図9にビューボックス内のイ
ンポートSVGファイルの取得の例を示す。
図の説明を次に示す。
網掛けの部分が取得しなければならない図葉。
最初(図中の左側)は,コンテナのviewBox="20 110 120 85"のため,左下の4枚(0̲1.svg, 1̲1.svg,
0̲2.svg, 1̲2.svg)を取得する。
ここで,地図を上方向に,次に右方向にスクロールした場合,ビューアのビューボックスが移動し,
次々と(0̲0.svg,1̲0.svg),(2̲0.svg,2̲1.svg)を取得する。
図9−ビューボックス内のインポートSVGファイルの取得の例
8
レイヤリング
8.1
一般
レイヤリング可能な一つ以上のSVG Tiny 1.2形式の地図表現データをWebサーバ上に配置し,Webブラ
ウザなどのアプリケーションが取得し,地図として表示する。箇条8では,レイヤリングする地図表現デ
ータのマーク付けを規定する。
8.2
レイヤリングにおけるコンテナSVGファイルとインポートSVGファイルとの関係
0̲0.svg
0̲1.svg
1̲0.svg
1̲1.svg
0̲2.svg
1̲2.svg
2̲0.svg
2̲1.svg
2̲2.svg
0
100
200
300
70
140
210
ビューアの
ビューボックス
0̲0.svg
0̲1.svg
1̲0.svg
1̲1.svg
0̲2.svg
1̲2.svg
2̲0.svg
2̲1.svg
2̲2.svg
0
100
200
300
70
140
210
ビューアの
ビューボックス
スクロールによって
ビューボックス変化
読み込ま
れている
図葉
読み込ま
れて いな
い図葉
-2̲2.svg)
Container.svg ( import 0̲0.svg
Container.svg ( import 0̲0.svg -2̲2.svg)
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animation要素をもつSVG Tiny 1.2形式の地図表現データを外部から読み込み,画面に割り付けて地図を
描画する機能をもったビューアによって,複数の地図を一つのスクリーン上にレイヤリングすることが可
能となる。レイヤリングするための地図表現データは,7.2と同様に,コンテナSVGファイルとインポー
トSVGファイルとを利用して記述する。このとき,コンテナSVGファイルは,レイヤリングを実施する
ファイルであり,インポートSVGファイルはレイヤリングされる各々の地図レイヤとして振る舞う。タイ
リングでは,コンテナSVGファイルでインポートSVGファイルの地図が並ぶように記述するのに対し,
レイヤリングでは,コンテナSVGファイルでインポートSVGファイルの地図がレイヤリングするように
記述する。
8.3
地理座標変換パラメタ及び地図描画範囲属性の記述の有無
レイヤリングにおいて,コンテナSVGファイルの地図描画範囲属性の記述,及びインポートSVGファ
イルの地理座標変換パラメタの記述の有無を,次のとおり規定する。
a) コンテナSVGファイルには地理座標変換パラメタを記述しなければならない。
b) インポートSVGファイルには地理座標変換パラメタを記述しなければならない。
c) 8.4の手順で変換後にコンテナSVGファイルの地図描画範囲属性の指定に従って描画範囲を決定す
る。
8.4
図形描画のための座標変換の手順
レイヤリングにおいて,コンテナSVGファイルによって規定する座標空間上で描画されるインポート
SVGファイルで記述した各図形要素の座標は,次の手順によって決定する。この手順はタイリングの場合
における,インポートSVGファイルに地理座標変換パラメタが記載された場合と同じである。
手順1 インポートSVGファイルに記述された地理座標変換パラメタmatrix(ai,bi,ci,di,ei,fi)に基づき,
インポートSVGファイルの図形[座標を(xi,yi)とする。]を地理座標空間上に変換する[変換
された座標を(xg,yg)とする。]。
手順2 同座標をコンテナSVGファイルに記述された地理座標変換パラメタ(ac,bc,cc,dc,ec,fc)に基づき,
地理座標空間上の座標をコンテナSVGファイルの座標空間上に変換する[座標を(xc,yc)とす
る。]。手順2で変換して求められた,各図形要素の画面上の座標(xc,yc)の最大値及び最小値を
包含する領域を地図描画範囲とする。
これらの数式を次に示す。
×
−
−
−
−
−
=
×
=
−
1
y
x
1
0
0
f
a
e
b
a
c
d
e
f
c
b
d
c
b
d
a
1
1
y
x
1
0
0
f
d
b
e
c
a
1
y
x
i
i
i
i
i
i
i
i
i
i
i
i
i
i
i
i
i
i
i
i
1
i
i
i
i
i
i
g
g
×
=
1
y
x
1
0
0
f
d
b
e
c
a
1
y
x
g
g
c
c
c
c
c
c
c
c
注記 この式は7.4の式と同じ。
17
X 7197:2012
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図10にレイヤリングの記述例を示す。
以下Container.svgの記述例
<?xml version="1.0" encoding="utf-8"?>
<svg xmlns="http://www.w3.org/2000/svg" version="1.2" baseProfile="Tiny"
requiredFeatures="http://www.w3.org/Submission/2011/SUBM-SVGTL-20110607/"
xmlns:xlink="http://www.w3.org/1999/xlink"
viewBox="122.93 -45.52 20 20">
<globalCoordinateSystem
srsName="http://purl.org/crs/84"
transform="matrix(1.0,0.0,0.0,-1.0,0.0,0.0)" />
<animation xlink:href="http://www.sample-svg-map.net/maps/map1.svg"
x="124" y="-43" width="10" height="10" />
<animation xlink:href="http://www.sample-svg-map.net/maps/map2.svg"
x="130" y="-37" width="10" height="10" />
</svg>
図10−レイヤリングの記述例
8.5
レイヤリングの順序
レイヤリングの順序は,JIS X 4197が規定するanimation要素の描画規則に従う。先に記述された
animation要素によって読み込まれるインポートSVGファイルは下に,後に記述されたanimation要素によ
って読み込まれるインポートSVGファイルは上に描画される。
図11にレイヤリングの順序の例を示す。
18
X 7197:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
以下Container.svgの記述例
<?xml version="1.0" encoding="utf-8"?>
<svg xmlns="http://www.w3.org/2000/svg" version="1.2" baseProfile="Tiny"
requiredFeatures="http://www.w3.org/Submission/2011/SUBM-SVGTL-20110607/"
xmlns:xlink="http://www.w3.org/1999/xlink"
viewBox="20 110 120 85">
<globalCoordinateSystem ... />
<animation x="30" y="30" width="200" height="100" xlink:href="Layer0.svg"/>
<animation x="30" y="30" width="200" height="100" xlink:href="Layer1.svg"/>
</svg>
図11−レイヤリングの順序の例
9
コンテナSVGファイル及びインポートSVGファイルの振る舞い
9.1
タイリングとレイヤリングとの関係
タイリングとレイヤリングとの基本的な相違は,図葉の描画位置が重なっているか,タイル状にずれて
いるかである。すなわち,タイリングとレイヤリングとの両方の意味をもつ表現も可能である。
ただし,レイヤリングは主に性質の異なる複数種の図葉(インポートSVGファイル)を読み込むので,
それらは互いに独立した関係にあり,それらを正しい位置関係で合成するには共通となる座標系である地
理的な空間参照系を介して合成する必要がある。したがって,それらにはそれぞれ地理座標変換パラメタ
が必須である。
一方,タイリングでは一般にタイルを成す個々の図葉(インポートSVGファイル)は一つの管理下に置
かれているため,SVG Tiny 1.2文書の画像の座標系に基づく合成を行うことも可能であるため,インポー
トSVGファイルに地理座標変換パラメタは必須ではない。さらに,タイリングでは7.5に規定する機能を
稼動させることが望ましく,そのためにコンテナSVGファイルには,地図描画範囲属性が個々のタイルと
してのインポートSVGファイルがもつ情報の境界範囲に基づいて設定されていることが望ましい。
すなわち,コンテナSVGファイルとインポートSVGファイルとで記述する地理座標変換パラメタ及び
地図描画範囲属性の組合せによって,それがタイリングを意図するかレイヤリングを意図するかを決定す
ることができる。これらの組合せを表4に示す。
19
X 7197:2012
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表4−地理座標変換パラメタと地図描画範囲属性との組合せ
適用
コンテナSVGファイル
インポートSVG
ファイル
地図の描画方法
地理座標変換
パラメタ
地図描画
範囲属性
地理座標変換
パラメタ
1
タイリング
又は
レイヤリン
グ
記載あり
記載あり
記載あり
Webブラウザなどのアプリケーションの
ビューボックスが地図描画範囲属性の各
値に接触したとき,インポートSVGファ
イルを読み込む。
コンテナSVGファイルとインポートSVG
ファイルとのそれぞれの地理座標変換パ
ラメタによって変換した後にコンテナ
SVGファイルの地図描画範囲属性によっ
て描画範囲を決定する[7.4 a)(タイリン
グ),又は8.4の手順(レイヤリング)]。
2
タイリング
記載あり
記載あり
記載なし
Webブラウザなどのアプリケーションの
ビューボックスが地図描画範囲属性の各
値に接触したとき,インポートSVGファ
イルを読み込む。
表示位置はJIS X 4197の仕様に基づき決
定される[7.4 b)]。
注記1 無条件にレイヤリングを行う場合は,コンテナSVGファイルのビューボックスと同じ領域を
地図描画範囲属性に設定し,インポートSVGファイルに地理座標変換パラメタを記述する。
このときの地図の表示位置は,8.4の手順によって決定する。
注記2 コンテナSVGファイルの地図描画範囲属性が省略された場合は,インポートSVGファイル
は描画しない。
9.2
コンテナSVGファイルの階層構成
コンテナSVGファイルは,別のコンテナSVGファイルをインポートしてもよい。この場合,xlink:href
属性にコンテナSVGファイルを記述する。階層的にコンテナSVGファイルをインポートすることで,イ
ンポートSVGファイルによって分割された広域の地図を一つの地図としてタイリングすることができる。
ただし,この場合,ビューアは不要な図葉の破棄及び保持を的確に行う必要がある。図12にコンテナSVG
ファイルの階層構造の例を示す。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図12−コンテナSVGファイルの階層構造の例
コンテナSVGファイルに地理座標変換パラメタが記述されていない場合には,それが入れ子構造の中間
的なものであるか否かにかかわらず,7.3の規定に従って処理する。その上で,それが中間的なコンテナ
SVGファイルであった場合には,それをインポートする上位のコンテナSVGファイルは,地理座標変換
パラメタが記述されていないインポートSVGファイルの場合の処理を行う。
10 ラスタ画像のタイリング及びレイヤリング
10.1 一般
ラスタ画像を用いたタイリング及びレイヤリングを規定する。
10.2 ラスタ画像のタイリング
image要素には,JIS X 4197が定める仕様に基づき,航空写真などのラスタ画像のファイルのIRI参照を
記述することによって,ラスタ画像を読み込み,指定した領域に描画することができる。そこで,animation
要素の代わりにimage要素を用い,インポートSVGファイルの代わりにラスタ画像のファイルのIRI参照
を記述することによって,ラスタ画像もタイリングによって連続した地図として描画することができる。
このときの振る舞いは,地理座標変換パラメタをもたないインポートSVGファイルを用いたものと同じと
なる。
0̲0.svg
Map Tiles
0̲1.svg
0̲2.svg
1̲0.svg
1̲1.svg
Cnt1.svg
2̲0.svg
2̲1.svg
Cnt2.svg
Container.svg
Container
0̲0.svg
Map Tiles
0̲1.svg
0̲2.svg
1̲0.svg
1̲1.svg
Cnt1.svg
2̲0.svg
2̲1.svg
Cnt2.svg
Container.svg
Container
C2̲0̲0.svg
Map Tiles
C2̲0̲1.svg
C2̲0̲2.svg
C2̲1̲0.svg
C2̲1̲1.svg
C2̲1̲2.svg
C2̲2̲0.svg
C2̲2̲1.svg
C2̲2̲2.svg
Cnt2.svg.
Container
C2̲0̲0.svg
Map Tiles
C2̲0̲1.svg
C2̲0̲2.svg
C2̲1̲0.svg
C2̲1̲1.svg
C2̲1̲2.svg
C2̲2̲0.svg
C2̲2̲1.svg
C2̲2̲2.svg
C2̲0̲0.svg
Map Tiles
C2̲0̲1.svg
C2̲0̲2.svg
C2̲1̲0.svg
C2̲1̲1.svg
C2̲1̲2.svg
C2̲2̲0.svg
C2̲2̲1.svg
C2̲2̲2.svg
Cnt2.svg.
Container
C1̲0̲0.svg
Map Tiles
C1̲0̲1.svg
C1̲0̲2.svg
C1̲1̲0.svg
C1̲1̲1.svg
C1̲1̲2.svg
C1̲2̲0.svg
C1̲2̲1.svg
C1̲2̲2.svg
Cnt1.svg
Container
C1̲0̲0.svg
Map Tiles
C1̲0̲1.svg
C1̲0̲2.svg
C1̲1̲0.svg
C1̲1̲1.svg
C1̲1̲2.svg
C1̲2̲0.svg
C1̲2̲1.svg
C1̲2̲2.svg
C1̲0̲0.svg
Map Tiles
C1̲0̲1.svg
C1̲0̲2.svg
C1̲1̲0.svg
C1̲1̲1.svg
C1̲1̲2.svg
C1̲2̲0.svg
C1̲2̲1.svg
C1̲2̲2.svg
Cnt1.svg
Container
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10.3 ラスタ画像のレイヤリング
レイヤリングでは各々のインポートSVGファイルが地理座標変換パラメタをもたなければならないこ
とから,ラスタ画像のレイヤリングは,ラスタ画像をコンテナSVGファイルにインポートし,そのコンテ
ナSVGファイルをインポートSVGファイルとして用いることで実現する。すなわち,9.2のコンテナSVG
ファイルの階層構造の一つの形態として実現される。このとき,上にレイヤリングしたレイヤが不透明の
ビットイメージの場合には下のレイヤは塗り潰される。透明度を指示するには,画素ごとに透明度を指定
できるPNG(Portable Network Graphics)を用いるか,又はimage要素にopacity属性を付与することが望
ましい。
注記 PNG(Portable Network Graphics)には,ISO/IEC 15948,及びそれを対応国際規格としたJIS X
4242(要約規格)がある。
図13にラスタ画像のレイヤリングの例を示す。
以下Container.svgの記述例
<?xml version="1.0" encoding="utf-8"?>
<svg xmlns="http://www.w3.org/2000/svg" version="1.2" baseProfile="Tiny"
requiredFeatures="http://www.w3.org/Submission/2011/SUBM-SVGTL-20110607/"
xmlns:xlink="http://www.w3.org/1999/xlink"
viewBox="20 110 120 85">
<globalCoordinateSystem ... />
<animation xlink:href="Layer0.svg" x="30" y="120" width="100" height="60" />
<animation xlink:href="Layer1.svg" x="30" y="120" width="100" height="60" />
</svg>
以下Layer0.svgの記述例
<?xml version="1.0" encoding="utf-8"?>
<svg xmlns="http://www.w3.org/2000/svg" version="1.2" baseProfile="Tiny"
requiredFeatures="http://www.w3.org/Submission/2011/SUBM-SVGTL-20110607/"
xmlns:xlink="http://www.w3.org/1999/xlink"
viewBox="30 120 100 60">
<globalCoordinateSystem ... />
<image x="30" y="120" width="100" height="60" xlink:href="image0.jpg"/>
</svg>
図13−ラスタ画像のレイヤリングの例
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以下Layer1.svgの記述例
<?xml version="1.0" encoding="utf-8"?>
<svg xmlns="http://www.w3.org/2000/svg" version="1.2" baseProfile="Tiny"
requiredFeatures="http://www.w3.org/Submission/2011/SUBM-SVGTL-20110607/"
xmlns:xlink="http://www.w3.org/1999/xlink"
viewBox="30 120 100 60">
<globalCoordinateSystem ... />
<image x="30" y="120" width="100" height="60" xlink:href="image1.png"/>
</svg>
図13−ラスタ画像のレイヤリングの例(続き)
11 表示倍率に応じた描画制御属性
11.1 一般
表示倍率に応じて,表示する図形要素を制御するときに記述する属性の仕様を規定する。この属性はJIS
X 4197の拡張モジュールの規定に沿って拡張し,SVGの名前空間に新たに規定するものである。
11.2 描画制御のマーク付け
この属性は,箇条6に基づいて規定される。
図形要素に対し,表示倍率に応じた表示・非表示制御を行うためのパラメタを設定する属性の書式は次
による。
書式1:visibleMinZoom="[最小倍率]"
visibleMaxZoom="[最大倍率]"
書式2:visibleZoomRange="[最小倍率]", "[最大倍率]"
書式2及び省略のない書式1の場合,表示倍率が[最小倍率]〜[最大倍率]の間にあるときは,その
図形を表示する。
書式1でvisibleMinZoomを省略した場合,表示倍率が最大倍率以下では常に表示する。visibleMaxZoom
を省略した場合は,最小倍率以上では常に表示する。
書式1も書式2も共に省略した場合は,常に表示する。
図14に表示倍率に応じた描画制御の記述例を示す。
表示倍率の定義:
SVGコンテンツ座標系(user coordinate system:ユーザ座標系)における45度
方向のベクトル(長さlのX,Y成分が等しいベクトル)に対し,そのベクトルを
画面の座標系(viewport coordinate system:ビューポート座標系)に変換したベ
クトルの長さの比率を100倍した値[百分率(%)表現]。
Zxをユーザ座標系に対するビューポート座標系のX方向の倍率,Zyを同Y方向の
倍率とすると,表示倍率(Zoom)の百分率(%)は,下式で算出される。
図14−表示倍率に応じた描画制御の記述例
2
100
2
2
Zy
Zx
Zoom
+
=
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各パラメタの説明図を次に示す。
Xu
User Coordinate System
Yu
Xv
Viewport Coordinate System
Yv
l
l
Zoom
100
2
l
l
Zx
2
l
Zy
2
2
l
注記1 ここでいうSVGコンテンツ座標系(ユーザ座標系)とは,個々のSVGデータがもつ個別の
座標系であり,地理座標系ではない座標系である。特別な場合(図形要素にtransform属性が
設定されているなど。)を除き,各図形要素の属性として記述されている座標値は,SVGコ
ンテンツ座標系の座標値である。
一方,画面の座標系(ビューポート座標系)は,ユーザエージェント(ウェブブラウザな
どのアプリケーション)が表示装置上に設置した座標系であり,SVGコンテンツはビューポ
ート座標系上に伸縮スクロールなどの操作を経て表示される。したがって,ビューポート座
標系に対してユーザ座標系は引き伸ばされたり,収縮されたりすることになる。
注記2 この規格によれば,倍率は表示装置の画素数に基づくため,画面の画素数に応じて表示は変
化する。SVGコンテンツ座標系(ユーザ座標系)における同じ領域を表示させても,倍率は
画素数に応じて変化する。したがって,同じ地図表現データを用いても,画素数がより多い
装置で表示すれば,より多くの情報を,画素数がより少ない装置で表示すれば,より簡略化
された情報を提供するように制御することができる。
以下Container.svgの記述例
<?xml version="1.0" encoding="utf-8"?>
<svg xmlns="http://www.w3.org/2000/svg" version="1.2" baseProfile="Tiny"
requiredFeatures="http://www.w3.org/Submission/2011/SUBM-SVGTL-20110607/"
xmlns:xlink="http://www.w3.org/1999/xlink">
<circle cx="100" cy="100" visibleZoomRange="100,200"/>
</svg>
上記記述例の説明を次に示す。
circle図形要素によって記述された円は,表示倍率が100〜200のときに,表示対象となる。
図14−表示倍率に応じた描画制御の記述例(続き)
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11.3 対象となる要素
表示倍率に応じた描画制御の対象とするJIS X 4197における要素を次に示す。各要素については,JIS X
4197の“1.6 用語及び定義”を参照。
JIS X 4197におけるcontainer要素として次の要素。
a要素,defs要素,g要素,svg要素,switch要素
JIS X 4197におけるgraphics要素として次の要素。
animation要素,circle要素,ellipse要素,image要素,line要素,path要素,
polygon要素,polyline要素,rect要素,text要素,textArea要素,use要素,video要素
JIS X 4197におけるgraphics referencing要素として次の要素。
animation要素,foreignObject要素,image要素,use要素,video要素
11.4 描画倍率に応じた描画制御
animation要素及びimage要素を除く要素にvisibleZoomRange属性が設定されている場合は,その仕様に
基づき表示・非表示を切り替えなければならない。さらに,animation要素に同属性が設定されている場合
は,その仕様に基づき,表示状態に推移した場合にはインポートSVGファイルが取得されなければならな
い。image要素の場合は,ラスタ画像ファイルに対して同様である。また,非表示状態では効率的なデー
タ配信のために,インポートSVGファイルの取得が抑制されていることが望ましい。この機能によって,
表示倍率に応じて適した地図を動的に取得し,表示を切り替える仕組みを実現することができる。
また,animation要素及びimage要素では,7.5に基づき地図描画領域属性とビューボックスとの関係が
更に加味された上で,ファイルが取得されなければならない。
12 SVGファイルのWebサーバへの配置及びアプリケーションによる取得
12.1 配置及び取得
インポートSVGファイル及びコンテナSVGファイルは,Webブラウザなどのアプリケーションから参
照できるよう,Webサーバ上に配置する。xlink:href属性で記述するインポートSVGファイルのIRI参照
及びコンテナSVGファイルに記述されるインポートSVGへのIRI参照は,XMLリンク付け言語(XLink)
1.0(JIS X 4176)による書式に従い記述してもよい。記述されたIRI参照に対応するインポートSVGは,
アプリケーションから参照できるようWebサーバ上に正しく配置しなければならない。アプリケーション
は,Webサーバ上のSVGファイルを地図として表示するため,Webサーバ上のファイルを取得する。
他社が権利をもつSVG Tiny 1.2ファイルを利用する場合の著作権及びWebサーバ上の悪意のあるファイ
ル又はスクリプトによる危険性については,附属書Cを参照。
12.2 SVGファイルの分散配置
コンテナSVGファイルのxlink:href属性で記述するインポートSVGファイルのIRI参照及びコンテナ
SVGファイルのIRI参照は,複数のWebサーバ上に分散して配置するよう記述してもよい。複数のWeb
サーバ上に分散して配置したSVGファイルをレイヤリング又はタイリングする機能によって,複数の情報
システムが提供する情報を一つの画面上で総覧可能とする機能が実現される。この機能は,利用者が複数
の情報システムを同時に利用することを可能とし,情報システムの相互運用性又は連携性を向上させる役
割を果たす。
12.3 ローカルファイルシステムへの配置
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SVG Tiny 1.2形式の地図表現データを特定の一つのコンピュータだけで使う場合には,Webサーバ上へ
の配置に代えて,ローカルファイルシステム上に配置することができる。その場合,xlink:href属性でIRI
参照として記述するインポートSVGファイル又はコンテナSVGファイルは,(file://…)などローカルフ
ァイルシステム上のファイルを指し示すように記述することができる。
さらに,必要に応じて,ローカルファイルシステムとWebサーバ上とにSVGファイルを配置し,これ
らを組み合わせてレイヤリング又はタイリングすることもできる。
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附属書A
(規定)
適合性
A.1 SVG Tiny 1.2形式の地図表現データの適合性
A.1.1 抽象試験項目群
この規格に基づき地図として表現されたSVG Tiny 1.2形式の地図表現データが,この規格に適合してい
ることを検査するには,同データがA.1.2〜A.1.6の要件を満たしていることを検査する必要がある。
A.1.2 座標参照系の記述
a) 試験目的 座標参照系の記述がこの規格で規定しているマーク付けに従って記述していることを検査
する。
b) 試験方法 この規格に基づき地図として表現されたSVG Tiny 1.2形式の地図表現データに,箇条5で
規定しているマーク付けに基づくglobalCoordinateSystem要素又はCoordinateReferenceSystem要素が記
述されていることを検査する。ただし,それがタイリングで用いられるインポートSVGファイルであ
る場合にはその限りではない。
c) 参照 箇条5
d) 試験の種類 基本
A.1.3 図形メタデータの記述
a) 試験目的 図形メタデータをもつ,この規格に基づき地図として表現されたSVG Tiny 1.2形式の地図
表現データの場合,図形メタデータの記述がこの規格で規定している方法に従って記述していること
を検査する。
b) 試験方法 表3に示す図形要素において図形メタデータを記述する場合,箇条6で規定しているマー
ク付けであることを検査する。
c) 参照 箇条6
d) 試験の種類 基本
A.1.4 タイリングの記述
a) 試験目的 タイリングの記述がこの規格で規定している方法に従って記述していることを検査する。
b) 試験方法 この規格に基づき地図として表現されたSVG Tiny 1.2形式の地図表現データがコンテナ
SVGファイルとインポートSVGファイルとから作成され,それぞれのファイルが箇条7で規定して
いるマーク付けであることを検査する。
c) 参照 箇条7及び箇条9
d) 試験の種類 基本
A.1.5 レイヤリングの記述
a) 試験目的 レイヤリングの記述がこの規格で規定している方法に従って記述していることを検査す
る。
b) 試験方法 この規格に基づき地図として表現されたSVG Tiny 1.2形式の地図表現データがコンテナ
SVGファイルとインポートSVGファイルとから作成され,それぞれのファイルが箇条8で規定して
いるマーク付けであることを検査する。
c) 参照 箇条8及び箇条9
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d) 試験の種類 基本
A.1.6 ラスタ画像を用いた地図の記述
a) 試験目的 ラスタ画像を用いた,この規格に基づき地図として表現されたSVG Tiny 1.2形式の地図の
記述がこの規格で規定している方法に従って記述していることを検査する。
b) 試験方法 この規格に基づき地図として表現されたSVG Tiny 1.2形式の地図表現データがコンテナ
SVGファイルとして作成され,そのファイルが箇条10で規定しているマーク付けであることを検査
する。
c) 参照 箇条10
d) 試験の種類 基本
A.2 地図としての表現を行う実装
A.2.1 抽象試験項目群
Webサーバ上に配置されたSVG Tiny 1.2形式のファイルを取得し,地図としての表現を行う実装(ビュ
ーア,Webブラウザなどのアプリケーション)がこの規格に適合していることを検査するには,実装が
A.2.2及びA.2.3の要件を満たしていることを検査する必要がある。
A.2.2 地図の描画
a) 試験目的 地図を描画できることを検査する。
b) 試験方法 Webサーバから取得したSVG Tiny 1.2形式のファイルを地図として描画できることを検査
する。
c) 参照 箇条7〜箇条11
d) 試験の種類 基本
A.2.3 SVGファイルのWebサーバへの配置及びアプリケーションによる取得
a) 試験目的 SVG Tiny 1.2形式のファイルがWebサーバ上に配置され,実装(アプリケーション)が取
得できることを検査する。
b) 試験方法 SVG Tiny 1.2形式のファイルのWebサーバ上の配置及び実装(アプリケーション)が,箇
条12の規定に従っていることを検査する。
c) 参照 箇条12
d) 試験の種類 基本
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附属書B
(参考)
ISO 19100シリーズとの関係
B.1
ISO 19117及びISO 19136との関係
この規格は,ISO 19136[Geographic information−Geography Markup Language (GML)]などの規則に基づ
き符号化された既存の地理情報を,地図として描画するときに利用できる。ISO 19136形式などのデータ
をこの規格に基づく形式に変換して利用する。この規格における地図の描画は,ISO 19117(Geographic
information−Portrayal)に適合する。
ISO 19117では,道路などの地物を含んだDatasetと,その地物の描画方法とを含んだPortrayal catalogue
を規定している。この規格は,ISO 19117におけるPortrayal catalogueに該当する。この規格のタイリング
(箇条7),レイヤリング(箇条8),及び表示倍率に応じた描画属性(箇条11)は,ISO 19117のPortrayal
ruleに該当する。ISO 19117におけるDatasetのFeatureに含まれる道路名称などの属性は,この規格の図形
メタデータに該当する(図B.1参照)。
図B.1−Overview of portrayal(引用:ISO 19117)
Dataset
Feature
External function
Portrayal rule
Feature portrayal
used in
1..*
has
1..*
0..*
using
Portrayal
specification
used in
1..*
has
1..*
1..*
portray
1..*
portrayed̲by
Portrayal catalogue
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6.2に示す図形メタデータの記述対象とする図形要素のうち,ISO 19136で規定する幾何形状要素の対応
関係を,表B.1に示す。
表B.1−図形メタデータの図形要素とISO 19136における幾何形状要素との関係
図形メタデータの図形要素
ISO 19136における幾何形状要素
defs
アイコンを規定するuse要素と組み合わせ
ることで,gml:Pointを表現する。
g
gml:MultiGeometry
circle
gml:Circle
ellipse
image
line
gml:LineString
path
gml:Curve
及び
gml:Surface
polygon
gml:Polygon
polyline
gml:LineString
rect
gml:Rectangle
text
地図の注記を記述することができる。
use
defs要素内に規定された図形要素を参照
することで点情報を表現する。このとき
use要素のx,y属性が,gml:Pointの座標値
に対応する。
gml:Point
B.2
ISO 19123との関係
ラスタ画像のレイヤリング(10.3)の仕様に基づき,ベクタ形式の地図及びラスタ形式の画像がレイヤ
するように記述できる。ラスタ形式の画像をレイヤさせる記述は,ISO 19123(Geographic information−
Schema for coverage geometry and functions)における,地理的範囲とその属性値(航空写真など)との関係
を記述することに該当する。
注記 利用可能なラスタ形式の種別は,JIS X 4197によって規定される。
B.3
ISO 19128との関係
この規格は,ISO 19128に基づき配信された地図画像を地図として描画するときに利用できる。
B.3.1 インポートSVGファイルによる参照
ISO 19128は,httpのGETプロトコルを利用して地図画像を配信するサーバのインタフェースを規定す
る。したがって,ISO 19128に合致するサーバは,地図画像にアクセスするためのhttpスキームによるIRI
参照をもつ。また,ISO 19128では出力地図画像形式として,SVGを含むベクタ画像,並びにPNG及び
JPEGを含むラスタ画像形式をサポートする。さらに,ISO 19128は図法変換としてmodified equidistant
cylindrical projection(正距円筒図法)を用いる。
それに対しインポートSVGファイルは,地図画像をhttpスキームを含む任意のIRI参照によって参照し,
その画像形式としてSVG,PNG及びJPEGをサポートし,図法変換として正距円筒図法をサポートしてい
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る。
したがって,SVG,PNG及びJPEG形式の地図を出力するよう調整されたISO 19128に合致するサーバ
の地図画像は,インポートSVGファイルから参照することによって,タイリング表示又はレイヤリング表
示をすることができる。
図B.2−ISO 19128に合致したサーバを用いたシステム図
図B.2はISO 19128に合致したサーバを用いたシステム図を示す。図において,インポートSVGファイ
ルがISO 19128に合致したサーバによって配信される。コンテナSVGファイルは,同インポートSVGフ
ァイルを参照している。
図B.3にISO 19128に合致したサーバによって配信される図葉のIRI参照と,それをインポートするコ
ンテナSVGファイルとの記述例を示す。
ISO 19128に合致するサーバのIRI参照は,サーバのhttpスキーム,パス(IRI参照の"?"以前の部分),
及びクエリ(IRI参照の"?"以降の部分文字列)によって構成される。クエリは,ISO 19128によって,図
葉の地理的な領域,画像サイズ,画像形式などが指定される。
インポートSVGは,ラスタ画像の場合はimage要素,SVG画像の場合はanimation要素のxmlns:href属
性に同IRI参照を記述することによってISO 19128に合致したサーバが配信する地図画像をインポートす
ることができる。
Web マップサーバ
SVGをサポートした
Webブラウザ
Web サーバ
Web マップサーバインタフェース
コンテナ
SVG
ファイル
インポート
SVG
ファイル
http
http
SVG
SVG
http
http
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ISO 19128に合致したサーバによって配信される図葉のIRI参照の例:
http://www.wms.org/wms?VERSION=1.3.0&REQUEST=GetMap&LAYERS=L1&CRS=EPSG:4326&FORMAT=ima
ge/png&WIDTH=219&HEIGHT=300&BBOX=42.896118,141.558838,42.901611,141.564331
同図葉を参照するインポートSVGファイルの例:
<?xml version="1.0" encoding="utf-8"?>
<svg xmlns="http://www.w3.org/2000/svg" version="1.2" baseProfile="Tiny"
requiredFeatures="http://www.w3.org/Submission/2011/SUBM-SVGTL-20110607/"
xmlns:xlink="http://www.w3.org/1999/xlink"
width="200.0" height="200.0">
<globalCoordinateSystem
srsName="http://purl.org/crs/84"
transform="matrix(36408.888889,0,0,-36408.888889,-5154000,1562000)" />
<image x="0" y="0" width="200" height="200"
xlink:href="http://www.wms.org/wms?VERSION=1.3.0&REQUEST=GetMap&
LAYERS=L1&CRS=EPSG:4326&FORMAT=image/png&WIDTH=219&HEIGHT=300&
BBOX=42.896118,141.558838,42.901611,141.564331" />
</svg>
図B.3−ISO 19128に合致したサーバによって配信される図葉のIRI参照と,
それをインポートするコンテナSVGファイルとの記述例
注記1 ISO 19128に合致したサーバによるIRI参照はXMLでは使用できない文字を含んでいる。こ
れらの文字は,XMLの規格に基づいて正しくエスケープ処理する必要がある。
注記2 ISO 19128に合致したサーバが配信する地図画像のIRI参照のクエリに関して,その画像の
地理的な領域(BBOX及びCRS属性)と,コンテナSVGファイルの座標参照系宣言及び地
図描画範囲属性との間には密接な関係がある。表4を参考にしてこれらの属性を正しく設定
しなければならない。
B.3.2 タイリング
ISO 19128に合致するサーバからは,クエリ中の図葉の地理的な領域属性を変化させることで,複数の
図葉を取り出すことができる。タイル状にずれた図葉を取り出すように属性を変化させたコンテナSVG
ファイルを作成することで,タイリングする地図表現データを作ることができる。
図B.4にISO 19128に合致したサーバの地図画像データをタイリングするコンテナSVGファイルの記述
例を示す。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
<?xml version="1.0" encoding="utf-8"?>
<svg xmlns="http://www.w3.org/2000/svg" version="1.2" baseProfile="Tiny"
requiredFeatures="http://www.w3.org/Submission/2011/SUBM-SVGTL-20110607/"
xmlns:xlink="http://www.w3.org/1999/xlink"
width="400.0" height="400.0">
<globalCoordinateSystem
srsName="http://purl.org/crs/84"
transform="matrix(36408.888889,0,0,-36408.888889,-5154000,1562000)" />
<image x="0" y="0" width="200" height="200"
xlink:href="http://www.wms.org/wms?VERSION=1.3.0&REQUEST=GetMap&
LAYERS=L1&CRS=EPSG:4326&FORMAT=image/png&WIDTH=219&HEIGHT=300&
BBOX=42.896118,141.558838,42.901611,141.564331" />
<image x="200" y="0" width="200" height="200"
xlink:href="http://www.wms.org/wms?VERSION=1.3.0&REQUEST=GetMap&
LAYERS=L1&CRS=EPSG:4326&FORMAT=image/png&WIDTH=219&HEIGHT=300&
BBOX=42.896118,141.564331,42.901611,141.569824" />
<image x="200" y="200" width="200" height="200"
xlink:href="http://www.wms.org/wms?VERSION=1.3.0&REQUEST=GetMap&
LAYERS=L1&CRS=EPSG:4326&FORMAT=image/png&WIDTH=219&HEIGHT=300&
BBOX=42.890625,141.564331,42.896118,141.569824" />
<image x="0" y="200" width="200" height="200"
xlink:href="http://www.wms.org/wms?VERSION=1.3.0&REQUEST=GetMap&
LAYERS=L1&CRS=EPSG:4326&FORMAT=image/png&WIDTH=219&HEIGHT=300&
BBOX=42.890625,141.558838,42.896118,141.564331" />
</svg>
図B.4−ISO 19128に合致したサーバの地図画像データをタイリングするコンテナSVGファイルの記述例
注記 表4の1又は2に基づき,地図画像のIRI参照のクエリに含まれる画像の地理的な領域(BBOX
及びCRS属性)と,コンテナSVGファイルの座標参照系宣言及び地図描画範囲属性とを記述
する必要がある。図B.4の例では,地図画像のIRI参照の空間参照系(CRS=EPSG:4326)と,
コンテナSVGファイルの空間参照系(http://purl.org/crs/84)とを一致させた上で(ただし,こ
れらの参照系は互いに座標の並びが逆である。),地図画像のIRI参照の地図描画範囲属性で指
定された範囲に相当する地理的な座標参照系上での範囲と,地図画像のIRI参照で指定する画
像の地理的な領域(BBOX属性)とを一致させている。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書C
(参考)
著作権及びセキュリティ
C.1 著作権
複数のWebサーバ上に分散して配置したSVG Tiny 1.2ファイルをタイリング及びレイヤリングする機能
を介して,他者が権利をもつSVG Tiny 1.2ファイルを利用する場合には,著作権を侵害しないようにする
必要がある。そのため,権利者の意図に沿ったかたちで利用されるよう,次に示すメタデータがSVG Tiny
1.2ファイルに記述され,アプリケーションが処理できることが望ましい。
コンテナSVGファイルの作成者は,間接的・直接的にインポートされるインポートSVGファイルの権
利者に対して事前に許諾を得るか,又は利用条件の明示されたSVG Tiny 1.2ファイルを使用してコンテナ
SVGファイルを作成することが望ましい。
C.1.1 ファイルアクセスの制御手段
SVG Tiny 1.2ファイルの提供者は,認証を行うことでファイルアクセスを制限し,SVG Tiny 1.2ファイ
ルが意図しない他者から無断でタイリング及びレイヤリングに利用されないように制限することができる。
Webブラウザなどのアプリケーションは,利用者に対してファイルアクセスの拒否を通知することが望ま
しい。
C.1.2 メタデータによる利用許諾の記述
SVG Tiny 1.2ファイルには,Webブラウザなどのアプリケーションが理解可能な形式で利用許諾(ライ
センス)を記述することができる。アプリケーションは,これを解釈することで利用許諾の条件を判断し,
条件に合致しない利用許諾を検知した場合,SVG Tiny 1.2ファイルの表示を制限する機構を備えることが
望ましい。
図C.1に利用許諾(ライセンス)の記述例を示す。この例はクリエイティブコモンズに従ったものであ
る。
例-C1:ライセンスの記述例
<?xml version="1.0" encoding="utf-8"?>
<!-- 機械可読なライセンスをもつドキュメントの記述例 -->
<svg xmlns="http://www.w3.org/2000/svg" version="1.2" baseProfile="Tiny"
requiredFeatures="http://www.w3.org/Submission/2011/SUBM-SVGTL-20110607/">
<!-- ルート直下の metadata 要素に RDF 形式でメタデータを記述 -->
<metadata xmlns:rdf="http://www.w3.org/1999/02/22-rdf-syntax-ns#"
xmlns:cc="http://creativecommons.org/ns#">
図C.1−利用許諾の記述例
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
<rdf:RDF>
<!-- cc:Work 要素が“作品”に対応:この場合はこのドキュメント自身 -->
<cc:Work rdf:about="">
<!-- cc:license 要素でURLによって識別されるライセンスを宣言 -->
<cc:license rdf:resource="http://creativecommons.org/licenses/by/3.0/"/>
</cc:Work>
</rdf:RDF>
</metadata>
</svg>
例-C2:二次利用を許可する記述例(cc-by.svgとして保存。下記 例-C4から参照される。)
<?xml version="1.0" encoding="utf-8"?>
<!-- 二次的著作物の作成を許可するドキュメントの例 -->
<svg xmlns="http://www.w3.org/2000/svg" version="1.2" baseProfile="Tiny"
requiredFeatures="http://www.w3.org/Submission/2011/SUBM-SVGTL-20110607/" >
<metadata xmlns:rdf="http://www.w3.org/1999/02/22-rdf-syntax-ns#"
xmlns:cc="http://creativecommons.org/ns#">
<rdf:RDF>
<cc:Work rdf:about="">
<!-- Creative Commons 3.0 “表示” ライセンス:二次的著作物の作成を許可する -->
<cc:license rdf:resource="http://creativecommons.org/licenses/by/3.0/"/>
</cc:Work>
</rdf:RDF>
</metadata>
<g>
<path d="..."/>
...
</g>
</svg>
例-C3:二次利用を許可しない記述例(cc-by-nd.svgとして保存。下記 例-C4から参照される。)
<?xml version="1.0" encoding="utf-8"?>
<!-- 二次的著作物の作成を許可しないドキュメントの例 -->
<svg xmlns="http://www.w3.org/2000/svg" version="1.2" baseProfile="Tiny"
requiredFeatures="http://www.w3.org/Submission/2011/SUBM-SVGTL-20110607/">
<metadata xmlns:rdf="http://www.w3.org/1999/02/22-rdf-syntax-ns#"
xmlns:cc="http://creativecommons.org/ns#">
<rdf:RDF>
<cc:Work rdf:about="">
<!-- Creative Commons 3.0 “表示・改変禁止” ライセンス:二次的著作物の作成を許可
しない -->
図C.1−利用許諾の記述例(続き)
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
<cc:license rdf:resource="http://creativecommons.org/licenses/by-nd/3.0/"/>
</cc:Work>
</rdf:RDF>
</metadata>
<g>
<path d="..."/>
...
</g>
</svg>
例-C4:各レイヤを利用するコンテナの記述例
二次利用を許可しないレイヤ利用。ライセンス抵触。
<?xml version="1.0" encoding="utf-8"?>
<!-- 機械可読なライセンスをもつドキュメントを利用するコンテナ SVG ファイル -->
<svg xmlns="http://www.w3.org/2000/svg" version="1.2" baseProfile="Tiny"
requiredFeatures="http://www.w3.org/Submission/2011/SUBM-SVGTL-20110607/"
xmlns:xlink="http://www.w3.org/1999/xlink">
<!-- リンク先ドキュメントは二次的著作物の作成を許可するライセンスを宣言 -->
<!-- リンク先ドキュメントの読込み後,正常に描画される。-->
<animation xlink:href="cc-by.svg"/>
<!-- リンク先ドキュメントは二次的著作物の作成を許可しないライセンスを宣言 -->
<!-- リンク先ドキュメントの読込みは行われるが,描画されない。 -->
<animation xlink:href="cc-by-nd.svg"/>
</svg>
図C.1−利用許諾の記述例(続き)
注記 クリエイティブコモンズ
ある著作物について著作権が完全に保持されている状態では,権利者の権利は最大限に保障
される反面,著作物の二次利用は非常に制限される。一方,著作物に対する権利を著作者が放
棄した状態又は失効した状態では,権利者の権利はなくなるものの,他者による二次利用は自
由になる。
完全な著作権の保持と著作権の放棄との間の中間的なライセンス体系を用意することで,権
利の保持と情報の利活用とを両立させる試みは多数存在するが,クリエイティブコモンズもそ
の一つである。クリエイティブコモンズのライセンスでは“表示”“非営利”“改変禁止”“継承”
という各構成要素について,採用・不採用を選択することで数種類のライセンスが規定される。
このライセンスを選択することで,著作者は著作権を完全に放棄することなく,利用者に一定
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
の自由を許諾することが可能になる。
クリエイティブコモンズのライセンスには上記の例のように一意のURLが与えられ,機械処
理を想定したライセンスの宣言が可能となっていることも特徴の一つである。
上記の例に含まれる“http://creativecommons.org/licenses/by-nd/3.0/”は,“表示・改変禁止”を
宣言したライセンスを指定するURLであり,著作物の改変が明示的に禁止されている。
一方“http://creativecommons.org/licenses/by/3.0/”は“表示”を宣言したライセンスを指定する
URLであり,著作物を利用した二次的著作物の作成を認めている。
クリエイティブコモンズの詳細については,http://creativecommons.org/ を参照。
C.2 セキュリティ
複数のWebサーバ及びローカルファイルシステムのSVG Tiny 1.2ファイルを混在させて,タイリング又
はレイヤリングを行う場合には,悪意のあるファイル又はスクリプトが含まれる危険について注意するこ
とが望ましい。
Webブラウザなどのアプリケーションは,セキュリティに関する設定を介して,コンピュータに損害を
与える可能性のあるファイル又はスクリプトを実行しないように,SVG Tiny 1.2ファイルの表示を制限す
ることが望ましい。
参考文献
[1] JIS X 0221 国際符号化文字集合(UCS)
注記 対応国際規格:ISO/IEC 10646,Information technology−Universal Coded Character Set (UCS)
(IDT)
[2] JIS X 0836 ダブリンコアメタデータ基本記述要素集合
注記 対応国際規格:ISO/IEC 15836,Information and documentation−The Dublin Core metadata
element set(IDT)
[3] JIS X 4242 コンピュータグラフィクス及び画像処理−ネットワーク用画像形式(PNG)
注記 対応国際規格:ISO/IEC 15948,Information technology−Computer graphics and image processing
−Portable Network Graphics (PNG): Functional specification(IDT)
[4] JIS X 7109 地理情報−応用スキーマのための規則
注記 対応国際規格:ISO 19109,Geographic information−Rules for application schema(IDT)
[5] JIS X 7111 地理情報−座標による空間参照
注記 対応国際規格:ISO 19111,Geographic information−Spatial referencing by coordinates(IDT)
[6] ISO 19117,Geographic information−Portrayal
[7] ISO 19123,Geographic information−Schema for coverage geometry and functions
注記 対応日本工業規格:JIS X 7123 地理情報−被覆の幾何及び関数のためのスキーマ(IDT)
[8] ISO 19136,Geographic information−Geography Markup Language (GML)
注記 対応日本工業規格:JIS X 7136 地理情報−地理マーク付け言語(GML)(IDT)