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X 6932:2020 (ISO/IEC 19798:2017) 

(1) 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 2 

2 引用規格························································································································· 2 

3 用語及び定義··················································································································· 3 

4 測定要素及び条件············································································································· 4 

4.1 下準備 ························································································································· 4 

4.2 サンプル数 ··················································································································· 5 

4.3 印刷モード ··················································································································· 5 

4.4 測定環境 ······················································································································ 6 

4.5 用紙 ···························································································································· 7 

4.6 保守 ···························································································································· 7 

4.7 試験ファイル ················································································································ 7 

4.8 寿命判定 ······················································································································ 8 

5 測定方法························································································································· 9 

5.1 測定手順 ······················································································································ 9 

5.2 トナーカートリッジ又はプリンタ不良の処理手順 ······························································· 10 

6 印刷可能枚数の決定及び表記方法 ······················································································· 11 

6.1 印刷可能枚数公表値の決定 ····························································································· 11 

6.2 試験報告書 ·················································································································· 11 

6.3 印刷可能枚数の公表方法 ································································································ 11 

附属書A(参考)診断ページによるかすれの例 ········································································· 14 

附属書B(参考)寿命判定フローチャート ··············································································· 15 

附属書C(規定)試験報告様式 ······························································································ 17 

附属書D(規定)JIS X 6931との比較方法················································································ 22 

X 6932:2020 (ISO/IEC 19798:2017) 

(2) 

まえがき 

この規格は,産業標準化法第16条において準用する同法第14条第1項の規定に基づき,認定産業標準

作成機関である一般財団法人日本規格協会(JSA)から,産業標準の案を添えて日本産業規格を改正すべ

きとの申出があり,経済産業大臣が改正した日本産業規格である。これによって,JIS X 6932:2008は改
正され,この規格に置き換えられた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実用新案権に関わる確認に
ついて,責任はもたない。 

日本産業規格          JIS 

X 6932:2020 

(ISO/IEC 19798:2017) 

カラー電子写真式プリンタ及びプリンタ複合機の 

トナーカートリッジ印刷可能枚数測定方法 

Method for the determination of toner cartridge yield for colour printers and 

multi-function devices that contain printer components 

序文 

この規格は,2017年に第3版として発行されたISO/IEC 19798を基に,技術的内容及び構成を変更する

ことなく作成した日本産業規格である。 

なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。 

この規格は,一般的な事務所で使用する標準テストページセットを使用して,カラー電子写真式プリン

タ用のトナーカートリッジ(オールインワンタイプのトナーカートリッジ及び感光体を含まないトナーカ

ートリッジ)の印刷可能枚数を測定する方法の標準化を目的としている。標準テストページセットは,典
型的な事務用文書の一例であることを意図しているが,写真を印刷することは考慮していない。カートリ

ッジセットを複数のプリンタ機種で使用できる場合,プリンタ機種間の差がそのカートリッジの印刷可能
枚数に影響を与えない限り,一つの試験だけを実行すればよい。 

注記 カートリッジ供給業者は,単一のカートリッジに対し,複数の市場機種へそのカートリッジを対

応させることが可能である。“印刷可能枚数に影響を与えない”ということは,対応させる個々の
機種のカートリッジの違いが,市場識別情報だけという解釈である。 

トナーカートリッジの寿命は,通常,印刷可能枚数で表す。 

この規格は,次の事項を規定している。 

− 製造業者,試験機関などが“トナーカートリッジの印刷可能枚数”を決定するために行う測定の方法 

− 製造業者,試験機関などが,測定結果からトナーカートリッジの印刷可能枚数公表値を決定する方法 

− 製造業者が使用者に提供する資料類に,トナーカートリッジの印刷可能枚数を記載する適切な方法 

トナーカートリッジの寿命の判定は,トナーカートリッジ内の使用できるトナーを消耗することによっ

て発生する“画像のかすれ”又は“トナーなし検知機能による自動印刷停止”という二つの現象のいずれ
かで行う。 

この規格は,ランニングコスト(ページ単価=1ページ当たりのコスト)の見積りを行う上での要素の

一つを測定する場合にも適用可能である。この規格は,ランニングコストを直接測定するためのものでは

なく,シアン,マゼンタ,イエロー及び黒の各トナーカートリッジの印字可能枚数を測定するだけのもの
である。ほとんどの場合,ランニングコストは,トナーカートリッジの印刷可能枚数という要素だけでは
決まらない。ランニングコストの計算方法を提供することは,この規格の適用範囲外とする。 

X 6932:2020 (ISO/IEC 19798:2017) 

適用範囲 

この規格は,カラー電子写真式プリンタ用のトナーカートリッジ(オールインワンタイプのトナーカー

トリッジ及び感光体を含まないトナーカートリッジ)の印刷可能枚数の測定方法,決定方法及び表記方法

について規定する。この規格は,コンピュータからのデジタルプリント信号が入力できる多機能な電子写
真式プリンタ複合機,すなわち,印刷機能をもつ複合機器に用いるトナーカートリッジにも適用可能であ
る。 

この規格は,シアン,マゼンタ,イエロー及び黒のトナーカートリッジを用いて普通紙に印刷した場合

の印刷可能枚数の測定に適用することだけを意図したものである。この規格の測定結果から,トナーカー
トリッジの印刷可能枚数の測定以外の品質,信頼性などについては問わない。 

この規格は,最小印刷サイズがA3サイズ以上の大判プリンタ及び写真印刷専用プリンタには適用しな

い。 

注記1 トナー補給式(すなわち,現像器又はトナー容器が印刷装置内に組み込まれていて,使用者が

交換できないような構造のトナーカートリッジ及びトナーボトル式の印刷装置)における補充
用のトナーカートリッジ及びトナーボトルの印刷可能枚数の測定にこの規格を適用する場合に

は,ここで規定している手順の一部を変更する必要がある。この規格は,一般的な事務所で使
用される機器を指向しており,この規格で測定するトナーカートリッジの寿命が,保守管理に
かかる主要な費用とはならないプロダクション用及び大判プリンタは,適用対象としていない。 

注記2 オールインワンタイプのトナーカートリッジとは,少なくともトナー容器部分,感光体部分,

及び現像器部分を含むカートリッジである(ISO/IEC 29142-1参照)。 

注記3 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

ISO/IEC 19798:2017,Information technology−Office equipment−Method for the determination of 

toner cartridge yield for colour printers and multi-function devices that contain printer components

(IDT) 

なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”こ

とを示す。 

引用規格 

次に掲げる引用規格は,この規格に引用されることによって,その一部又は全部がこの規格の要求事項

を構成している。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS X 6931 モノクロ電子写真式プリンタ及びプリンタ複合機のトナーカートリッジ印字可能枚数測

定方法 

注記1 対応国際規格における引用規格:ISO/IEC 19752,Information technology−Office equipment

−Method for the determination of toner cartridge yield for monochromatic electrophotographic 
printers and multi-function devices that contain printer components 

注記2 この規格の対応国際規格ISO/IEC 19798:2017では,ISO/IEC 19752は参考文献

(Bibliography)として記載されているが,附属書D(規定)で要求項の一部として引用し

ているため,引用規格とした。この件については,ISO/IEC 19798:2017の編集上の明らか
な不備のため,検討WGのConvenerに修正依頼予定である。 

JIS X 6938 事務機械消耗品の印刷可能枚数測定用カラーテストページセット 

注記1 対応国際規格における引用規格:ISO/IEC 24712,Colour test pages for measurement of office 

equipment consumable yield 

X 6932:2020 (ISO/IEC 19798:2017) 

注記2 ISO/IEC 24712のカラーテストページセットは,5ページ構成の標準テストページセット

を意味し,この電子ファイルは,1〜4ページ目は4種類の“実用ページ”及び5ページ目
は寿命判定用としての“診断ページ”で構成されている。 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,次によるほか,ISO及びIECの用語集による。また,ISO及び

IECの用語集は,次のアドレスに掲載されている。 

− IEC Electropedia: available at http://www.electropedia.org/ 

− ISO Online browsing platform: available at https://www.iso.org/obp/ui 

3.1 
かすれ(fade) 

画像濃度均一性の著しい低減が,診断ページの周囲にある帯の部分に発生する現象 

注釈1 明らかな画像の欠落が生じていない場合でも“かすれ”という。 

注釈2 この測定方法では,標準テストページセットの診断ページの周囲にある帯部分に3 mm以上の

幅にわたって,濃度低下が目立つ状態になったときを“かすれ”という。通常,“かすれ”は,
印刷時に用紙の搬送方向と平行に発生する。測定するトナーカートリッジごとに100枚目(診

断ページ)の印刷見本を保管し,これを濃度変化比較のための判定基準見本として用いる。“か
すれ”の例については,附属書Aを参照する。 

3.2 
トナーカートリッジ振り(shake procedure) 

トナーカートリッジ取扱説明書などに従ってトナーカートリッジを振る方法 

注釈1 トナーカートリッジ振りを行った場合には,試験報告書にそのことを記載する。 

3.3 

トナー少量(toner low) 

トナーカートリッジ交換がまもなく必要になるようなトナーの量になっていることを検出したときに,

プリンタが発する警告 

注釈1 この警告は,トナーがなくなっていることを示しているわけではない。 

3.4 
トナーなし(toner out) 

トナーカートリッジのトナーが使い果たされ,使用者の介在なしには,正常な印刷を続行することがで

きないときにプリンタが発する警告 

注釈1 この測定では,プリンタの印刷動作を停止し,かつ,印刷続行するためにトナーカートリッジ

の交換が必要な場合にだけ,“トナーなし”という用語を用いる。 

3.5 
寿命(end of life) 

プリンタが“トナーなし”(3.4)を発した時点又は“かすれ”(3.1)を発生した時点 

3.6 

個別印刷可能枚数(individual cartridge yield) 

X 6932:2020 (ISO/IEC 19798:2017) 

トナーカートリッジ装着から“寿命”(3.5)までに印刷した診断ページ(JIS X 6938に規定する標準テ

ストページセットの5ページ目)の枚数を5倍した値 

注釈1 5ページの標準テストページセットの途中で“トナーなし”(3.4)によって印刷が中断した場合

には,“トナーなし”を発した直前の診断ページまでを印刷枚数としてカウントする。トナーカ

ートリッジ交換後に,残っていた印刷処理として最初に印刷する診断ページは,交換後のトナ
ーカートリッジ印刷可能枚数の計算に含めてもよい。カウントしたテストページセット数の中
には,印刷不良のあるページを含む可能性もあるが,測定を簡素化するため,“寿命”(3.5)の
判断は,3.1のとおりである。 

3.7 
印刷可能枚数公表値(declared cartridge yield) 

6.1及び6.3に規定する計算式に基づき算出した,信頼水準90 %の下限推定値(LCB)以下の値 

測定要素及び条件 

4.1 

下準備 

プリンタを水平な場所に置き,プリンタ取扱説明書の設置手順に従って設置する。プリンタドライバは,

製造業者のウェブサイト又はプリンタの附属品から入手可能な最新のプリンタドライバを使用する。試験
報告書には,プリンタドライバのバージョンを記載する。トナーカートリッジは,トナーカートリッジ取

付手順書に従って正しく取り付ける。トナーカートリッジの取付けについて,プリンタ取扱説明書とトナ
ーカートリッジ取付手順書とに矛盾がある場合には,トナーカートリッジ取付手順書の記載内容を優先す

る。ただし,製造業者が使用者に対し,プリンタ又はプリンタドライバの設定の変更を推奨する場合には,
プリンタ取扱説明書の記載内容を優先する。 

測定で使用するトナーカートリッジがトナー補給式又はトナーボトル式である場合には,測定を開始す

る前に,トナーカートリッジ1セットを寿命まで各プリンタで印刷する。この1セット分のトナーカート

リッジを使い切ったときの印刷枚数は記録しない。また,この印刷はどのような環境下で行ってもよい。
この1セット分のトナーカートリッジは,プリンタのトナーレベルを測定開始可能状態にするために用い

る。 

注記1 所定のトナーレベル状態にするために用いるトナーカートリッジは,トナー満杯状態から始め

なくてもよい。大容量トナー容器のプリンタシステムの場合,トナー満杯状態から始めると,

所定のトナーレベル状態にするためだけに数万ページもの印刷をしなければならなくなってし
まう。 

プリンタの全ての画像及び印刷品位調整機能は,工場であらかじめ設定されたままにしておき,プリン

タドライバは,インストール時の初期設定(デフォルト)にしておく。プリンタの設定とプリンタドライ
バの設定とが異なる場合,プリンタドライバの初期設定(デフォルト)を用いる。使用者が選択できるト

ナー節約モードは,測定を行うときは全て無効(オフ)にしておかなければならない。プリンタに自動用
紙検知機能がある場合には,その機能を無効(オフ)にし,用紙設定を普通紙にする。これは,不正確な
用紙検知を避けるためである。 

工場出荷時の“両面/片面”の初期設定(デフォルト)が両面印刷に設定されているプリンタの場合,

印刷可能枚数の測定では,必ず片面印刷に設定し直さなければならない。 

プリンタにPDF解釈機能が備わっている場合には,代替フォントに置き変わらないプリンタの初期設定

X 6932:2020 (ISO/IEC 19798:2017) 

(デフォルト)である限り,その機能を用いてもよい。プリンタのPDF解釈機能を用いた場合には,試験

報告書にそのことを記録する。 

標準テストページセットを正確に印刷するため,“用紙サイズに合わせて印刷(fit to page)”などの印刷

サイズ調節機能及びフォント置換え機能は,無効(オフ)にしなければならない。グラフィック表現に関
しては,選択可能である場合,アプリケーションソフトウェア及びOSソフトウェアの機能ではなく,プ

リンタの機能を用いる。標準テストページセットは,そのファイルに埋め込まれたフォントを使用し,JIS 
X 6938に規定された標準テストページセットの寸法で印刷しなければならない。“ページの中央配置”な

どのページ位置調節機能は,標準テストページセットの全画像を確実に印刷するために使用してもよい。
カラーマネジメント機能が使用可能な場合には,プリンタ及びプリンタドライバの関連機能の全てを初期

設定(デフォルト)にする。プリンタ,プリンタドライバ,アプリケーションソフトウェアなどの各種機
能の設定が,測定結果に影響する可能性がある場合には,その機能の設定内容を試験報告書に明記する。 

アプリケーションソフトウェア[PDF Reader 1)など],プリンタドライバ及びプリンタには,“用紙サイ

ズに合わせて印刷”などの印刷サイズ調整機能が備わっているので,測定開始前に全ての印刷サイズ調整
機能を選択していないことを確認する。 

注記2 対応国際規格のNoteは,規定事項のため本文に移動した。 

注1) PDF Readerの中には,例えば,Adobe Reader™(アドビ社の商標名)がある。これは,商業的に入

手可能な適当な製品の例であり,規格利用者の便利さのために記載している。したがって,Adobe 
Reader™を推奨しているわけではない。 

4.2 

サンプル数 

印刷可能枚数の測定に必要なサンプル数は,1種類のトナーカートリッジにつき,3台以上のプリンタ

で,プリンタごとにそれぞれ最低3個ずつとする。プリンタごとのトナーカートリッジ測定個数は等しく

なるようにしなければならない。例えば,3台のプリンタでそれぞれ1色につき3個のトナーカートリッ
ジを測定する。代表的な4色の個別形トナーカートリッジをもつカラープリンタの場合には,少なくとも

黒(K)を9個,シアン(C)を9個,マゼンタ(M)を9個,及びイエロー(Y)を9個の合計36個のト
ナーカートリッジを測定する。 

上記で規定した最小サンプル数より多くの数のプリンタ又はトナーカートリッジで測定する場合,1台

のプリンタ当たりの測定トナーカートリッジ個数が等しくなるようにしなければならない。例えば,最小
サンプル数より1台多くのプリンタを用いて測定を行う場合,4色カートリッジ方式においては,48個(ト

ナーカートリッジ3個×4色×プリンタ4台)のトナーカートリッジで測定を行う。 

既に市販されているトナーカートリッジの測定を行う場合には,複数の供給元又は異なる生産ロットの

プリンタ及びトナーカートリッジを用いることが望ましい。プリンタ及びトナーカートリッジは,それぞ
れの取扱説明書に記載されている使用期限内のものでなければならない。 

測定中にトナーカートリッジ及び/又はプリンタに不具合が生じ得ることを考慮し,予備のプリンタ及

び/又はトナーカートリッジを準備しておくことが望ましい。 

4.3 

印刷モード 

トナーカートリッジ印刷可能枚数の測定は,片面の半連続印刷動作によって行う。プリンタドライバは,

初期設定(デフォルト)印刷モードに設定する。工場出荷時の“両面/片面”の初期設定(デフォルト)

が両面印刷に設定されているプリンタは,印刷可能枚数の測定では必ず片面印刷に設定し直さなければな

background image

X 6932:2020 (ISO/IEC 19798:2017) 

らない。標準テストページセット5ページを一つの印刷処理として必要印刷部数を印刷する。これによっ

て,印刷処理間のキャリブレーション及び/又は自動保守動作の実行を可能にする。用紙補給,一日の終
業などの理由によって測定を休止してしまう場合があるが,測定開始から寿命に達するまでの間,連続的

な印刷動作が途切れないよう努めなければならない。ただし,試験中に,一日の終業などの理由でプリン
タの電源をオフにした場合には,試験報告書にその旨を記録する。 

カラー電子写真式プリンタは,一般的に,ある程度の枚数を印刷した後,又はある一定時間以上の電源

遮断(オフ)状態若しくは機器を使用しない状態の後,キャリブレーションが必要となる。このキャリブ

レーションによって,ある程度の印刷枚数分のトナーを消費する。プリンタ使用者は,通常,連続印刷モ
ードでは印刷を行わないが,測定に要する時間を短縮し,測定の“繰返し再現性”を高めるために,半連

続印刷モードを採用している。実際の使用状態によっては,プリンタ使用者が経験する印刷可能枚数と,
この方法で測定して得た印刷可能枚数とに,有意差がある可能性がある。 

4.4 

測定環境 

温度及び相対湿度は,測定結果に大きく影響する場合がある。このため,測定は次の条件下で実施しな

ければならない。 

温度  :試験室の平均温度 23 ℃±2 ℃ 

少なくとも15分ごとに記録した値の1時間分の移動平均で読取りを行い,移動平均温度が

常時20 ℃〜26 ℃の範囲内でなければならない。 

相対湿度:試験室の平均湿度 50 %±10 %RH 

少なくとも15分ごとに記録した値の1時間分の移動平均で読取りを行い,移動平均湿度が

常時35 %〜65 %の範囲内でなければならない。 

例 1個のトナーカートリッジの測定中15分ごとに読み取った温度の計算例を,次の表に示す。 

単位 ℃ 

t1 

t2 

t3 

t4 

t5 

t6 

t7 

t8 

t9 

t10 

t11 

t12 

試験室 

平均温度 

温度 

24.0 

23.4 

20.5 

24.2 

23.6 

22.0 

25.5 

24.7 

22.1 

20.8 

22.0 

23.5 

23.0 

移動平均 
温度 

− 

− 

− 

23.0 

22.9 

22.6 

23.8 

24.0 

23.6 

23.3 

22.4 

22.1 

移動平均温度 Ti=(ti−3+ti−2+ti−1+ti)/4 

試験室平均温度 =(t1+t2+ … +t12)/12 

上記の表及び式から,試験室平均温度は23.0 ℃,移動平均最大値は24.0 ℃,そして最小値は22.1 ℃

となる。これらの値は,表中に“網かけパターン”で示している。試験室平均温度及び試験室平均
相対湿度は,移動平均の平均値ではなく,全ての測定値の平均値とする。 

測定環境は,試験報告書に記載する。個々のトナーカートリッジの測定を行ったときの,温度及び相対

湿度の,移動平均の最高温度及び移動平均の最低温度も試験報告書に記載する。試験報告様式の例を附属
書Cに示す。 

測定で用いる全てのものは,測定環境の温度になじませておく。プリンタ,用紙及びトナーカートリッ

ジは,測定前に少なくとも8時間以上,この測定環境条件下においてなじませる。環境になじませるとき,

トナーカートリッジに光による疲労又は劣化が生じないように注意を払いながら出荷用の包装材を開いて

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おく。用紙は,包装紙を未開封の状態でなじませてもよい。 

プリンタ,用紙,トナーカートリッジなどを低温環境から測定環境に移動する場合,結露させてはなら

ない。 

4.5 

用紙 

一般的な坪量の代表的な用紙を使用し,かつ,当該プリンタの推奨紙でなければならない。測定で使用

した用紙の製造業者,坪量及びサイズ(A4又はこれと同等サイズ)を試験報告書に明記する。プリンタに

自動用紙検知機能がある場合には,その機能を無効(オフ)にし,用紙設定を普通紙にする。自動用紙検
知機能は,印刷可能枚数に影響を及ぼすことがある。 

4.6 

保守 

プリンタ及びトナーカートリッジの取扱説明書に従って,測定に用いるプリンタの保守点検を実施する。 

注記 測定中に実行する一般的な保守点検の例には,転写ベルト又は定着ユニットの交換が含まれる。 

4.7 

試験ファイル 

試験ファイルの概要及び仕様は,JIS X 6938による。測定は,入力として最新の公式電子ファイルを使

用して行わなければならない。最新の公式電子ファイルは,ISOのウェブサイト(https://standards.iso.org/iso-

iec/24712/ed-2/en/)に格納されている。指定された正しい試験ファイル(公式電子ファイル)を使用しなか
った場合には,測定結果を無効とする。試験ファイルのほかには,一般的に入手可能なPDF Reader及び最

新バージョンのプリンタドライバを使って印刷入力データを生成し,ファイル送信をプリンタに直接行う
ようにする。コンピュータとプリンタとの接続方法を試験報告書に記載する。測定を自動化するときには,

自動化した場合と直接印刷をした場合とが同じ結果になるのであれば,あらかじめ生成した印刷ファイル
を使用してもよい。測定を自動化し,あらかじめ生成した印刷ファイルを使用した場合には,そのことを
試験報告書に記載する。試験ファイルのバージョン,プリンタドライバのバージョン及びPDF Readerのバ
ージョンも試験報告書に記載する。測定を始める前に,試験ファイル(標準テストページセット)を1セ

ット印刷し,画像及び寸法が適切であるかを確認する。プリンタにPDF解釈機能が備わっている場合に

は,代替フォントに置き換わらないプリンタの初期設定(デフォルト)である限り,その機能を用いても
よい。プリンタのPDF解釈機能を用いた場合には,試験報告書にそのことを記録する。標準テストページ
セットの各ページの正しい寸法は,JIS X 6938の規定による。 

幾つかのPDF Readerのバージョンが存在するが,バージョンの違いによって印刷可能枚数の測定結果

に影響する可能性がある。使用するPDF Readerの,最新バージョンを測定に用いることが望ましい。 

この測定に関係のないソフトウェアに起因するばらつきを減らすために,プリンタドライバ,PDF Reader,

及び試験制御ソフトウェアだけをインストールした簡素な状態のOSソフトウェア及びプリンタで試験フ

ァイル生成を行うことが望ましい。同一プリンタ又は異なるプリンタ間において,古いバージョンのプリ
ンタドライバによって,印刷可能枚数の測定結果に影響する可能性があることが判明している。 

測定を自動化するときには,自動化した場合と直接印刷をした場合とが同じ結果になるのであれば,あ

らかじめ生成した印刷ファイルを使用してもよい。測定を自動化し,あらかじめ生成した印刷ファイルを
使用した場合には,そのことを試験報告書に記載する。結果として得られる印刷は,PCによってPDFフ
ァイルを直接プリンタに送信する操作と同等でなければならない。 

ページを数えるのに便利なように,標準テストページセットにヘッダー又はフッターを追加してもよい。

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その場合には,印刷可能枚数への影響を最小化するため,追加するヘッダー及びフッターは極力小さくす

る。標準テストページセットにヘッダー又はフッターの機能を用いた場合には,試験報告書にそのことを
記載する。 

OS,RAM容量,CPU,又はアプリケーションソフトウェアの種類によっては,測定結果に影響を与え

る可能性があるため,プリンタ取扱説明書に記載の推奨コンピュータ環境に従わなければならない。測定
で使用したコンピュータ環境に関する情報の全てを試験報告書に記載する。 

4.8 

寿命判定 

プリンタにトナーなし検知機能が装備されている場合,プリンタが“トナーなし”を発した時点を寿命

とする。ただし,“トナーなし”を発する前に“かすれ”が発生し,かつ,“トナーカートリッジ振り”が

規定されていない場合には,“かすれ”が発生した時点を寿命とする。トナーなし検知機能が装備されてい
るプリンタで,かつ,“トナーカートリッジ振り”が規定されている場合,プリンタが“トナーなし”を発
する前に,“かすれ”が発生した時点で,“トナーカートリッジ振り”を2回まで行ってもよい。ただし,
“トナーカートリッジ振り”を2回行った後で,“トナーなし”が発する前に“かすれ”が発生した場合に

は,3回目の“かすれ”が発生した時点を寿命とする。測定中,“トナーなし”がいかなる時点で発せられ
ても,その時点をトナーカートリッジの“寿命”とする。 

測定中に“トナーカートリッジ振り”を行った場合,1回目及び2回目のいずれについても,“トナーカ

ートリッジ振り”を行ったのは,“トナー少量”が発した時点か,それとも“かすれ”が発生した時点かを

試験報告書に記載する。測定中に印刷したページの中で,“かすれ”が認められるページは,トナーカート
リッジの印刷枚数として無効とする。 

“かすれ”による寿命の意味するところは,寿命近くで“トナーカートリッジ振り”を2回まで許可し,

2回目の“トナーカートリッジ振り”の後の最初に“かすれ”が発生した時点を“寿命”と確定することを

いう。通常,“トナーカートリッジ振り”を行うのは印刷の“かすれ”が発生した時点とする。ただし,プ
リンタにトナー少量検知機能が装備されている場合,測定者の便宜上,1回目,2回目又はその両方とも,

“かすれ”発生時の代わりに,“トナー少量”が発した時点で,“トナーカートリッジ振り”を行ってもよ

い。製造業者が取扱説明書などに“トナーカートリッジ振り”を明記していない場合には,“トナーカート
リッジ振り”を行わず,最初に“かすれ”が発生した時点を“寿命”とする。測定中に印刷したページの
中で,“かすれ”が認められるページについては,トナーカートリッジの印刷枚数からその枚数を差し引く。 

トナー補給式(トナーボトル交換式,ホッパへのトナー補給式など)に適用する場合,“かすれ”による

“寿命”の意味するところは,あらかじめ選択した時点を擬似的に寿命(寿命判定ポイント)と確定する

ことをいう。トナー少量検知機能又はトナーなし検知機能が装備されている場合,“トナー少量”又は“ト
ナーなし”が発した時点を擬似的に寿命(寿命判定ポイント)としてもよい。いずれの場合においても,
どの時点を寿命判定ポイントとしたかを試験報告書に記載する。 

“かすれ”による寿命の意味するところの適用に関しては,附属書Bに記載したフローチャートを参照

する。 

上記の内容を,表0Aに示す。 
 

background image

X 6932:2020 (ISO/IEC 19798:2017) 

表0A−寿命判定 

寿命判定の種類 

判定条件 

装備及び処理 

トナーなし 

検知機能 

トナー 

カートリッジ 

振り規定 

トナー少量 

検知機能 

トナーカートリッジ振り 

の実行(2回まで) 

1  “かすれ”が発生した時点 

なし 

なし 

なし 

しない 

あり 

“トナーなし”を発した時点又は
“かすれ”が発生した時点 

あり 

なし 

あり 

3  3回目の“かすれ”が発生した時点 

なし 

あり 

なし 

“かすれ”が発生した時
点 

あり 

“かすれ“が発生した時
点又は“トナー少量”を発
した時点 

“トナーなし”を発した時点又は3
回目の“かすれ”が発生した時点 

あり 

なし 

“かすれ”が発生した時
点 

あり 

“かすれ“が発生した時
点又は“トナー少量”を発
した時点 

測定方法 

5.1 

測定手順 

a) プリンタ取扱説明書に従って,少なくとも3台のプリンタを設置する。測定で使用するトナーカート

リッジがトナー補給式又はトナーボトル式である場合には,測定を行う前にトナーカートリッジ1セ
ット分の予備カートリッジを寿命(3.5参照)まで4.1に従って印刷する。この1セット目の予備カー

トリッジを使い切ったときの印刷枚数は記録しない。また,この印刷はどのような環境下で行っても
よい。 

b) 新しいトナーカートリッジ一式の全ての包装を解く。取付手順書に従って,測定用の新品カートリッ

ジを全て装着する。トナーカートリッジの取付けについて,プリンタ取扱説明書とトナーカートリッ
ジ取付手順書とに矛盾がある場合には,トナーカートリッジ取付手順書の記載内容を優先する。ただ

し,プリンタ又はプリンタドライバの設定の変更を推奨する場合(例えば,プリンタの設定を変更す
る注意書)には,プリンタ取扱説明書の記載内容を優先する。 

c) 測定を開始し,トナーカートリッジごとに印刷した診断ページの枚数(標準テストページセットの5

ページ目)を数える。 

d) 最初の一組のトナーカートリッジの測定中,100ページ目(20部目の診断ページ)を“かすれ”の比

較対照見本として保管しておく。 

e) トナーカートリッジが3.5に定義している“寿命”に到達したら,“個別印刷可能枚数”を記録する。 

f) 

空になったトナーカートリッジを取り外す。空のトナーカートリッジを新品カートリッジに交換する。
残りの各カートリッジに対して測定手順のc)〜e)を繰り返し実施する。最小サンプル数9個(3台の
プリンタについて,各色3個ずつ)全ての測定が完了するまで,追加カートリッジを用いて測定を続

行する。その結果,ある色のトナーカートリッジについては,3個以上の測定を行う必要が生じる可
能性がある。 

注記 トナーカートリッジの寿命判定方法を,まとめて表0Bに示す。この表は4.8と同じ内容である。 

background image

10 

X 6932:2020 (ISO/IEC 19798:2017) 

表0B−トナーカートリッジの寿命判定例 

トナー 

カートリッジ 

振り規定 

トナー少量 

検知機能 

トナーなし 

検知機能 

トナーカートリッジ振り 

の実行(2回まで) 

寿命判定の種類 

なし 

なし 

なし 

しない 

“かすれ”が発生した時点 

なし 

なし 

あり 

しない 

“トナーなし”を発した時点又は“か
すれ”が発生した時点 

なし 

あり 

なし 

しない 

“かすれ”が発生した時点 

なし 

あり 

あり 

しない 

“トナーなし”を発した時点又は“か
すれ“が発生した時点 

あり 

なし 

なし 

“かすれ”が発生した時
点 

3回目の“かすれ”が発生した時点 

あり 

なし 

あり 

“かすれ”が発生した時
点 

“トナーなし”を発した時点又は3回
目の“かすれ”が発生した時点 

あり 

あり 

なし 

“かすれ”が発生した時
点又は“トナー少量”を発
した時点 

3回目の“かすれ”が発生した時点 

あり 

あり 

あり 

“かすれ”が発生した時
点又は“トナー少量”を発
した時点 

“トナーなし”を発した時点又は3回
目の“かすれ”が発生した時点 

5.2 

トナーカートリッジ又はプリンタ不良の処理手順 

5.2.1 

概要 

測定中に,トナーカートリッジ又はプリンタに不具合が生じる可能性がある。その場合には,次に示す

方法で処理する。トナーカートリッジの不具合とは,“寿命に到達する前にトナーカートリッジの交換が必
要となる問題が発生すること”をいう。感光体の損傷,過度のトナー漏れ,構造上の故障などがその例と

なる。プリンタの不具合とは,“正常なプリント動作を妨げるような,使用者が処理できないエラーが発生
すること”をいう。プリンタのレーザービーム不良がその一例である。 

5.2.2 

トナーカートリッジ不良 

トナーカートリッジ不良が発生した場合には,不良カートリッジの印刷枚数(診断ページの印刷枚数を

5倍した値)及び不具合の理由を試験報告書に記録する。不良カートリッジを新品カートリッジと交換し,

測定を続行する。この測定においては,“短寿命”というだけでは不良カートリッジとして扱う理由にはな
らない。印刷可能枚数の計算には,不良カートリッジのデータは使用しない。測定を有効とみなすには,
少なくとも36個のトナーカートリッジ[シアン(C)を9個,マゼンタ(M)を9個,イエロー(Y)を9
個及び黒(K)を9個]を寿命(3.5参照)に達するまで使用しなければならない。 

5.2.3 

プリンタ不良 

プリンタ不良が発生した場合には,そのプリンタを修理するか又は別のプリンタに交換し,トナーカー

トリッジを別の新品カートリッジと交換して測定を続行する。試験報告書には,交換前のトナーカートリ
ッジの印刷枚数(診断ページの印刷枚数を5倍した値)を記載し,“プリンタ不良のため,トナーカートリ

ッジを交換”と記載する。また,プリンタの不具合内容を記録し,代替プリンタの製造番号を試験報告書
に記録する。測定を有効とみなすには,プリンタ1台当たり少なくとも各色3セットのトナーカートリッ

ジを3.5で定義している“寿命”に達するまで使用しなければならない。プリンタに不良が発生する前に

得た測定データは,寿命に影響しないことが確認できない限り採用してはならない。寿命に影響しないと

11 

X 6932:2020 (ISO/IEC 19798:2017) 

判断した場合には,その根拠を試験報告書に記載する。 

印刷可能枚数の決定及び表記方法 

6.1 

印刷可能枚数公表値の決定 

平均及び標準偏差は,試験数によって求める(例えば,n=9)。 

サンプル平均:

1

1

n

i

i

X

x

n=

=∑

サンプル標準偏差:

(

)2

1

1

1

n

i

i

s

x

X

n

=

=

−∑

ここで, 

xi: 個別印刷可能枚数(3.6参照)(トナーカートリッジ装着から寿命

までに印刷した診断ページの枚数を5倍した値)。 

n: サンプル数。この例では9個(この規格では9個以上とする。)。 

信頼区間は,次に示す下限及び上限推定値を算出し,この二つの値の範囲(両側信頼区間)として求め

ることが可能である。信頼水準90 %で,トナーカートリッジの印刷可能枚数の母平均は,この両側信頼区

間の範囲内となる。 

下限推定値

(

)

,

1

n

s

Xt

n

α

=

×

-

-

上限推定値

(

)

,

1

n

s

Xt

n

α

=

×

-

+

ここで, tα,n−1: “t分布表”から,自由度(df又は“ν”)n−1(この例ではn

−1=9−1=8)及び両側危険率(α)の0.1(信頼水準90 %
の場合)を用いて決定する。これによって,信頼水準90 %
での両側信頼区間を得る。自由度8及び信頼水準90 %でのt
値は,tα,n−1=1.860となる。これは上記の計算例だけで使用
することが可能である。異なるサンプル数及び/又は異な
る信頼水準で算出する場合には,tα,n−1も異なる。 

トナーカートリッジの“印刷可能枚数公表値”は,“個別印刷可能枚数”の測定結果に基づき,上記に示

す式で求めた,信頼水準90 %の下限推定値以下となるように決定する。 

6.2 

試験報告書 

試験報告様式の例を,附属書Cに示す。顧客などの要請に応じて,試験報告書を提示できるようにして

おかなければならない。 

6.3 

印刷可能枚数の公表方法 

個別のトナーカートリッジ色ごとに信頼水準90 %の下限推定値(LCB)を算出する。印刷可能枚数は,

色別の個別の下限推定値(LCB)に基づくか,又は次に示す合成印刷可能枚数に基づいて公表する。 

プリンタ製造業者間の3色の色合い及び色バランスの最適化具合によって,この測定に用いる標準テス

トページセットは,全てのプリンタにとって各色のバランスが取れているわけではない。この実情を踏ま

(s2は不偏分散) 

12 

X 6932:2020 (ISO/IEC 19798:2017) 

えて,シアン(C),マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の3色が個別のトナーカートリッジで,同じトナー

容量の見込みである場合,これら3色のトナーカートリッジの印刷可能枚数は,個別の信頼水準90 %の下
限推定値(LCB)全てによって算出した一つの値を“印刷可能枚数公表値”としてもよい。この値を“合

成印刷可能枚数”といい,次の式に定義する。 

3

1

1

1

cyan

magenta

yellow

CY

Y

Y

Y

=

+

+

ここで, 

CY: 合成印刷可能枚数 

Ycyan: シアン色の信頼水準90 %の下限推定値(LCB) 

Ymagenta: マゼンタ色の信頼水準90 %の下限推定値(LCB) 

Yyellow: イエロー色の信頼水準90 %の下限推定値(LCB) 

3色全てのトナーカートリッジの販売価格が同一である場合,この計算によって3色のトナーカートリ

ッジのランニングコスト(ページ単価=1ページ当たりのコスト)を平均化することが可能である。 

例えば, 

測定結果から: 

シアンカートリッジ信頼水準90 %の下限推定値=4 500ページ 

マゼンタカートリッジ信頼水準90 %の下限推定値=5 800ページ 

イエローカートリッジ信頼水準90 %の下限推定値=5 000ページ 

黒カートリッジ信頼水準90 %の下限推定値=11 000ページ 

3

5 045 

1

1

1

4 500 5 800 5 000

CY=

=

+

+

ページ 

印刷可能枚数の公表は,個別の下限推定値(LCB)に基づく方法,又は合成印刷可能枚数に基づく方法

のいずれかで行う。これらの2種類の公表例を次に示す。 

個別の下限推定値(LCB)に基づく公表方法: 

シアンカートリッジ連続印刷可能枚数 

公表可能最大値 

平均  4 500ページ 

マゼンタカートリッジ連続印刷可能枚数 

公表可能最大値 

平均  5 800ページ 

イエローカートリッジ連続印刷可能枚数 

公表可能最大値 

平均  5 000ページ 

黒カートリッジ連続印刷可能枚数 

公表可能最大値 

平均 11 000ページ 

合成印刷可能枚数に基づく公表方法: 

C/M/Yカートリッジ連続合成印刷可能枚数 公表可能最大値 

平均  5 045ページ 

黒カートリッジ連続印刷可能枚数 

公表可能最大値 

平均 11 000ページ 

黒カートリッジの印刷可能枚数の公表は,黒カートリッジ単独の個別の下限推定値(LCB)だけに基づ

いて行う。 

トナーカートリッジの印刷可能枚数を取扱説明書,販売促進資料又は包装材に表記する場合,少なくと

も次の情報を盛り込まなければならない。 

− この規格に基づいて決定した印刷可能枚数公表値であることの記載 

background image

13 

X 6932:2020 (ISO/IEC 19798:2017) 

− トナーカートリッジ印刷可能枚数公表値 

− 当該カートリッジが複数のプリンタで使用可能な場合,次に示す3項目の情報のいずれか一つを記載

しなければならない。また,3項目は実際に測定を行った結果でなければならない。 

・ 測定を行ったプリンタとトナーカートリッジとの組合せ 

・ 測定を行った全てのプリンタの最小印刷可能枚数公表値 

・ 測定を行った全てのプリンタの印刷可能枚数公表値の範囲 

推奨公表例: 

個別の下限推定値(LCB)に基づいて公表する場合の例を次に示す。 

トナーカートリッジXXXをプリンタYYYに装着して測定した場合: 

トナーカートリッジ印刷可能枚数: 

シアンカートリッジ 

平均4 500ページ 

マゼンタカートリッジ 

平均5 800ページ 

イエローカートリッジ 

平均5 000ページ 

黒カートリッジ 

平均11 000ページ 

標準テストページセットを用いた連続印刷試験で求めた値 

JIS X 6932に基づく印刷可能枚数公表値 

− 合成印刷可能枚数に基づいて公表する場合(シアン,マゼンタ及びイエローカートリッジの物理形状・

寸法が同じである。)の例を次に示す。 

トナーカートリッジXXXをプリンタYYYに装着して測定した場合: 

トナーカートリッジ印刷可能枚数: 

C/M/Yカートリッジ 

合成平均5 045ページ 

(3色のカートリッジを合成して表記) 

黒カートリッジ 

平均11 000ページ 

標準テストページセットを用いた連続印刷試験で求めた値 

JIS X 6932に基づく印刷可能枚数公表値 

カラープリンタでもモノクロ文書の印刷がほとんどを占めるような場合,又はカラープリンタとモノク

ロプリンタとの比較が必要な場合に,カラープリンタにJIS X 6931に定義されるモノクロ用の標準テスト

ページを使用することでモノクロプリンタとの比較が可能である。この場合におけるJIS X 6931との比較
方法について附属書Dに示す。 

注記 対応国際規格のNoteは,規定事項のため本文に移動した。 
 

background image

14 

X 6932:2020 (ISO/IEC 19798:2017) 

附属書A 

(参考) 

診断ページによるかすれの例 

診断ページによる“かすれ”の例を図A.1に示す。 

図A.1−診断ページによる“かすれ”の例(矢印部) 

background image

15 

X 6932:2020 (ISO/IEC 19798:2017) 

附属書B 

(参考) 

寿命判定フローチャート 

寿命判定フローチャートを図B.1に示す。 

図B.1−寿命判定フローチャート 

 
 

プリンタ(3台以上)を

設置する。

プリンタにトナーカートリッジ取付け。

(取付手順書参照)

トナー補給式?

測定のための印刷開始。

印刷枚数カウント開始a)

印刷継続

(かすれを比較するため

100枚目の印刷見本保管)

下準備として,1トナー

カートリッジ分の印刷を行う。

再現可能な

寿命判定ポイントを選択するb)。

測定のための印刷開始。

印刷可能枚数カウント開始a)

印刷継続

(かすれを比較するため

100枚目の印刷見本保管)

再現可能な寿命

判定ポイント?

1個目のトナー

カートリッジ?

前回寿命判定ポイントから

今回寿命判定ポイントまで

の印刷枚数記録c)。

測定完了?

他のトナーカートリッジの

測定を繰り返す。

終了

測定開始時点の寿命判定

ポイントとして印刷枚数記録。

はい

いいえ

はい

いいえ

はい

いいえ

はい

いいえ

background image

16 

X 6932:2020 (ISO/IEC 19798:2017) 

図B.1−寿命判定フローチャート(続き) 

トナー少量検知,又は

トナーなし検知あり?

G

F

終了

A

はい

いいえ

トナーカートリッジ

振り規定あり?

トナー少量

検知あり?

トナーなし?

画像かすれ?

3回目のかすれ?

トナーなし?

画像かすれ?

トナー少量?

印刷再開

操作必要?

トナーなし?

画像かすれ?

トナー少量?

トナーカートリッジ

振る必要あり?

画像かすれ?

トナーカートリッジ

振り規定あり?

3回目のかすれ?

3回目の

トナー少量?

印刷継続

トナーカートリッジ振り

印刷継続

C

D

B

A

トナーカートリッジ振り

印刷継続

トナーカートリッジ振り

印刷再開

操作必要?

3回目の
かすれ?

印刷継続

トナーカートリッジ振り

トナーカートリッジ寿命

印刷枚数記録c)

測定完了?

他のトナーカートリッジの

測定を繰り返す。

B

C

D

はい

いいえ

はい

いいえ

はい

いいえ

はい

いいえ

はい

いいえ

はい

いいえ

はい

いいえ

はい

いいえ

はい

いいえ

はい

いいえ

はい

いいえ

いいえ

はい

いいえ

はい

いいえ

はい

いいえ

はい

いいえ

はい

いいえ

はい

いいえ

はい

いいえ

はい

いいえ

はい

background image

17 

X 6932:2020 (ISO/IEC 19798:2017) 

附属書C 
(規定) 

試験報告様式 

この附属書は,試験報告項目を規定するのもので,試験報告様式の例を次に示す。 

印刷可能枚数公表値: 
 

トナーカートリッジXXXをプリンタYYYに装着して測定した場合: 

トナーカートリッジの印刷可能枚数:             

C/M/Yカートリッジ 

合成平均5 045ページ 

(3色のカートリッジを合成して表記) 

黒カートリッジ  

平均11 000ページ 

標準テストページセットを用いた連続印刷試験で求めた値 

JIS X 6932に基づく印刷可能枚数公表値 

信頼水準90 %の下限推定値 

シアンカートリッジ=4 500ページ 

マゼンタカートリッジ=5 800ページ 

イエローカートリッジ=5 000ページ 

黒カートリッジ=11 000ページ 

測定実施日:2005/10/20−2005/10/30 
 

測定に関する問合せ先: 

XXXXXX株式会社 

東京都港区赤坂XXXX-X-X 

TEL:03-XXXX-XXXX 
 

測定で使用したトナーカートリッジ数: 

C=19,M=19,Y=18,K=9 

計算で使用したトナーカートリッジ数: 

C=18,M=18,Y=18,K=9 

トナーカートリッジの種類: 

一体形 

トナーカートリッジ振りの有無: 

なし 

background image

18 

X 6932:2020 (ISO/IEC 19798:2017) 

印刷モード: 

連続 

測定で使用したプリンタの数: 

3台 

試験で使用した用紙(製造業者名,質量,種類など): Hi Right 70 g/m2 コピー用紙 

用紙サイズ: 

A4 

用紙送り方向: 

短辺方向送り 

ファイル出力用コンピュータの種類: 

VectorPC 7155 

ドライバのバージョン: 

Printmatドライババージョン1.03b 

プリンタファームウェア: 

プリンタファームウェアバージョン1.0.122R1 

オペレーティングシステム: 

Linux Build 1001 

アプリケーションソフトウェア: 

Acrobatバージョン6.01 

標準テストページセットのバージョン: 

バージョン200601 

毎日のプリンタ電源の投入・切断: 

あり 

トナーカートリッジ測定結果: 

プリンタ#1:AAAA69675 
 

温度

湿度

1セット目

C
M
Y
K

2セット目

C
M
Y
K

3セット目

C
M
Y
K

4セット目

C
M
Y
K

5セット目

C
M
Y
K

6セット目

C
M
Y
K

7セット目

C
M
Y
K

トナーカートリッジ

製造番号

印刷

可能枚数

公表値計算で

使用の有無

平均

最高

最低

平均

最高

最低

(℃) 

(%RH) 

background image

19 

X 6932:2020 (ISO/IEC 19798:2017) 

プリンタ#2:BBBB69675 
 

温度

湿度

1セット目

C
M
Y
K

2セット目

C
M
Y
K

3セット目

C
M
Y
K

4セット目

C
M
Y
K

5セット目

C
M
Y
K

6セット目

C
M
Y
K

7セット目

C
M
Y
K

トナーカートリッジ

製造番号

印刷

可能枚数

公表値計算で

使用の有無

平均

最高

最低

平均

最高

最低

(%RH) 

(℃) 

background image

20 

X 6932:2020 (ISO/IEC 19798:2017) 

プリンタ#3:CCCC69675 
 

まとめ 
 

コメント(必要があれば記す。): 

トナーカートリッジAD499444は,プリンタABA6686-996の不具合のため,2 158ページで測定を中止

した。この結果は,印刷可能枚数の計算には使用していない。このプリンタを修理して,残りのトナーカ
ートリッジを測定した。 

トナーカートリッジSE989395は,トナー漏れのため,2 340ページで測定を中止した。この結果は,印

刷可能枚数の計算には使用していない。 

どのトナーカートリッジも,初めの50ページまでの印刷濃度が低かったが,その後高くなり寿命まで一

プリンタ#1

1

プリンタ#2

1

プリンタ#3

1

2

2

2

3

3

3

4

4

4

5

5

5

6

6

6

7

7

7

8

8

8

9

9

9

10

10

10

11

11

11

12

12

12

13

13

13

14

14

14

15

15

15

16

16

16

17

17

17

18

18

18

19

19

19

20

20

20

C

M

Y

K

合計
平均

標準偏差
信頼水準

90%下限

推定値

Y

トナー

カートリッジ

番号

C

C

M

M

Y

K

トナー

カートリッジ

番号

Y

K

K

トナー

カートリッジ

番号

C

M

温度

湿度

1セット目

C
M
Y
K

2セット目

C
M
Y
K

3セット目

C
M
Y
K

4セット目

C
M
Y
K

5セット目

C
M
Y
K

6セット目

C
M
Y
K

7セット目

C
M
Y
K

トナーカートリッジ

製造番号

印刷

可能枚数

公表値計算で

使用の有無

平均

最高

最低

平均

最高

最低

(℃) 

(%RH) 

21 

X 6932:2020 (ISO/IEC 19798:2017) 

定の印刷濃度を維持した。2回目の“かすれ”は,ほとんどの場合,1回目の“かすれ”の直後に発生した。 

印刷品位調整機能は,使用しなかった。 
 

22 

X 6932:2020 (ISO/IEC 19798:2017) 

附属書D 
(規定) 

JIS X 6931との比較方法 

印刷方式の違いを超えて印刷可能枚数が比較できれば,それは使用者にとって有用である。JIS X 6938

では,カラーインクジェットプリンタ及びカラー電子写真式プリンタの両方で使用できるカラー用の標準
テストページセット(以下,カラーテストページセットという。)を定義している。さらに,JIS X 6931で

は,モノクロ文書の印刷がほとんどを占めるような場合,又はカラープリンタとモノクロプリンタとの比

較が必要な場合に,カラーインクジェットプリンタ及びカラー電子写真式プリンタのいずれでも,印刷可
能枚数の測定に使用できるようなモノクロ用の標準テストページ(以下,モノクロテストページという。)
を定義している。この意図するところは,JIS X 6931のモノクロテストページを用いた“黒色(モノクロ)

の印刷可能枚数測定”は任意の追加試験であり,この規格を適用した“黒色(モノクロ)の印刷可能枚数
測定”に代わるものではなく,カラープリンタでモノクロ印刷を行う場合に活用しようというものである。 

下準備,サンプル数,トナーカートリッジの寿命決定方法,印刷可能枚数の決定及び試験報告書に関し

て,この規格の中で規定している類似したパラメータ(要素)は,モノクロテストページ及びカラーテス

トページセットの両方に適用を可能とする。ただし,カラープリンタでモノクロ印刷を行う場合は,下準
備(4.1参照)に加え,次の追加の下準備が必要になる場合がある。 

追加の下準備 

プリンタの全ての画像及び印刷品位調整機能は,工場であらかじめ設定されたままにしておき,

プリンタドライバは,インストール時の初期設定(デフォルト)にしておく。“黒(Black Only)”又

は“文字(Text Only)”の印刷モードが準備されているプリンタドライバであれば,そのモードを使

用する。このモードは試験報告書に記録する。プリンタの設定とプリンタドライバの設定とが異な

る場合,プリンタドライバの初期設定(デフォルト)を用いる。使用者が選択できるトナー節約モ
ード(ドラフトモードなど)は,測定を行うときは全て無効(オフ)にしておかなければならない。 

試験報告書には,測定に用いたテストページがJIS X 6938で定義するカラーテストページセットなのか,

又はJIS X 6931で定義するモノクロテストページなのかを明記しなければならない。同一のテストページ
又は同一のテストページセットを用いた場合に限り,印刷可能枚数の比較が可能である。JIS X 6931のモ

ノクロテストページを用いた“黒色(モノクロ)の印刷可能枚数測定”は任意の追加試験であり,この規
格のカラープリンタに適用した“黒色(モノクロ)の印刷可能枚数測定”に代わるものではない。 

トナーカートリッジの印刷可能枚数を,取扱説明書,販売促進資料又は包装材に表記する場合,少なく

とも次に示す情報を盛り込まなければならない。 

− この規格に従った測定で得た結果であることの記載 

− JIS X 6931で規定しているモノクロテストページを用いてこの規格で定義している測定方法で決定し

た付加的な印刷可能枚数であることの記載 

− 連続印刷試験で得た値であることの記載 

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X 6932:2020 (ISO/IEC 19798:2017) 

例  

プリンタYYYに装着して測定した場合: 

トナーカートリッジ印刷可能枚数: 

シアンカートリッジ 

平均5 020ページ 

マゼンタカートリッジ 

平均5 150ページ 

イエローカートリッジ 

平均4 890ページ 

黒カートリッジ 

平均11 000ページ 

標準テストページセットを用いた連続印刷試験で求めた値 

       JIS X 6932に基づく印刷可能枚数公表値 

JIS X 6931で規定している標準テストページを用いた場合: 

黒カートリッジ 

平均12 000ページ 

参考文献 

[1] ISO/IEC 29142-1,Information technology−Print cartridge characterization−Part 1: General: terms, 

symbols, notations and cartridge characterization framework