X 6319-2:2012
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲 ························································································································· 1
2 引用規格 ························································································································· 1
3 用語,定義,略語及び記号 ································································································· 2
3.1 用語及び定義 ················································································································ 2
3.2 略語及び記号 ················································································································ 2
4 運用形態 ························································································································· 3
4.1 一枚運用及び複数枚運用 ································································································· 3
4.2 衝突防止機能 ················································································································ 3
4.3 コマンド及び上位層 ······································································································· 3
5 物理的特性 ······················································································································ 3
6 電気的特性 ······················································································································ 3
6.1 一般 ···························································································································· 3
6.2 PICCのアンテナの実装範囲 ···························································································· 3
6.3 PCDのアンテナ形状······································································································· 4
6.4 アンテナに対するPICCの位置 ························································································· 4
6.5 密着運用PICCの最小動作磁界強度 ··················································································· 4
6.6 PICCの共振周波数 ········································································································ 5
6.7 PICC用ICの特性·········································································································· 5
6.8 PCDの特性 ·················································································································· 5
7 信号伝送 ························································································································· 5
8 初期化及び衝突防止 ·········································································································· 5
9 伝送制御手順 ··················································································································· 7
10 試験方法 ······················································································································· 7
10.1 一般 ··························································································································· 7
10.2 二枚重ね運用に適用する試験 ·························································································· 7
10.3 密着運用に適用する試験 ································································································ 8
11 試験成績書 ···················································································································· 9
附属書A(参考)Slot̲MARKERコマンドを使用しないB型タイムスロット方式 ···························· 10
附属書B(参考)非接触(外部端子なし)ICカードのプロトコルの伝送制御マトリクス ··················· 15
附属書C(規定)試験装置 ···································································································· 19
附属書D(参考)旧版におけるPICCのアンテナの実装範囲 ························································ 22
X 6319-2:2012
(2)
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まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本
ICカードシステム利用促進協議会(JICSAP)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案
を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が
改正した日本工業規格である。
これによって,JIS X 6319-2:2005は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
JIS X 6319の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS X 6319-1 第1部:外部端子付きICカード
JIS X 6319-2 第2部:非接触(外部端子なし)近接型ICカード
JIS X 6319-3 第3部:共通コマンド
JIS X 6319-4 第4部:高速処理用近接型ICカード
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日本工業規格
JIS
X 6319-2:2012
ICカード実装仕様−第2部:非接触(外部端子なし)
近接型ICカード
Specification of implementation for integrated circuit cards-
Part 2 : Proximity cards
序文
この規格は,近接型の非接触ICカード又は同様な動作をする対象物,及びこれと結合する結合装置を規
定するために作成した日本工業規格である。
非接触インタフェースの互換性を確保するために,関連国際規格群よりも更に具体的な規定を行う。近
接型ICカードは,多様な応用形態,運用形態が想定され,さらに,ICチップの動作電力低下などの技術
進歩があるため,システム構築者,システム運用者が新たな規定を用いて選択することを妨げない。また,
外部端子付きICカードとの複合形として使用される可能性などにも留意する。
この規格は,2005年に制定され,今日に至っている。この規格は,制定後の引用規格の改正に対応する
ために改正した。
なお,対応国際規格は現時点で制定されていない。
1
適用範囲
この規格は,近接型ICカード又は同様な動作をする対象物(以下,PICCという。)の物理特性(JIS X
6322-1),PICCとその結合装置(以下,PCDという。)との間の非接触通信に関わる機能(JIS X 6322-2〜
JIS X 6322-4)及び識別カードの試験方法(JIS X 6305-6)に加えて,これらを補足する事項について規定
する。
この規格は,JIS X 6322-1〜JIS X 6322-4,JIS X 6305-6,JIS X 6319-1,及びJIS X 6319-3と一緒に用い
る。
この規格は,互換性を向上するために,次の内容について規定する。
− アンテナ形状
− 密着運用
− 複数のPICCの同時運用
− タイムスロットを使用した衝突防止
− PICCのプロトコル
− 運用形態における試験方法
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
2
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JIS X 6301 識別カード−物理的特性
JIS X 6305-6 識別カードの試験方法−第6部:外部端子なしICカード−近接型
JIS X 6319-1 ICカード実装仕様−第1部:外部端子付きICカード
JIS X 6319-3 ICカード実装仕様−第3部:共通コマンド
JIS X 6320-3 識別カード−ICカード−第3部:外部端子付きICカードの電気的インタフェース及び
伝送プロトコル
JIS X 6320-6 ICカード−第6部:交換のための産業間共通データ要素
JIS X 6322-1 識別カード−非接触(外部端子なし)ICカード−近接型−第1部:物理的特性
JIS X 6322-2 識別カード−非接触(外部端子なし)ICカード−近接型−第2部:電力伝送及び信号
インタフェース
JIS X 6322-3 識別カード−非接触(外部端子なし)ICカード−近接型−第3部:初期化及び衝突防
止
JIS X 6322-4 識別カード−非接触(外部端子なし)ICカード−近接型−第4部:伝送プロトコル
3
用語,定義,略語及び記号
3.1
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS X 6322-1〜JIS X 6322-4,JIS X 6320-3及びJIS X 6305-6 に
よるほか,次による。
3.1.1
非接触インタフェース(contactless interface)
信号の送受信及びカードへの電力供給に導通接点を用いないで(すなわち,外部機器とカードに組み込
まれたICとを直接接触することなしに)行うもの。
3.1.2
密着運用
PCDのアンテナ表面にPICCを置くように近づけて動作させる運用。
3.1.3
複合カード
非接触インタフェースと外部端子付きICとを複合したICカードの形態。
3.1.4
電力負荷
動作磁界のエネルギーを,基準PICC又は試験対象品PICCに消費させる負荷。
3.1.5
一枚運用
PCDの動作磁界範囲に,PICCが一枚だけ入り,そのPICCを処理することを前提とした運用。
3.1.6
複数枚運用
複数のPICCをPCDの動作磁界範囲に入れた状態,又は複数のPICCを密着運用とした状態で,それら
を同時に処理する運用。例えば,一枚目をアプリケーション用,二枚目を決済用として役割を分担させて
処理する運用。
3.2
略語及び記号
3
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この規格で用いる主な略語及び記号は,JIS X 6322-1〜JIS X 6322-4,JIS X 6320-3及びJIS X 6305-6に
よるほか,次による。
ID
識別番号(A型)(identification number,Type A)
この規格で用いるデータ値は,次のように表す。
B“xxxx xxxx” 2進数のビット表現
x
2進数のビット表現(表中)
“XX”
16進数
4
運用形態
4.1
一枚運用及び複数枚運用
PICCに外部端子がないために,PCDは,一つの端子(アンテナ)で複数のPICCと同時に通信を行うこ
とができる。このために,PICCの運用形態には,一枚運用及び複数枚運用の2種類がある。
注記 複数枚運用であっても,同時に認識する枚数,PICCそれぞれの消費電力及び共振周波数などの
条件が異なるので注意することが望ましい。
4.2
衝突防止機能
一つのPCDの動作磁界範囲に複数枚のPICCが同時に存在することがあり,PCDとPICCとは,混信せ
ずに確実に通信することが重要である。複数枚のPICCを混信せずにPCDが認識できるように,PCDと
PICCとの組合せにおいて,衝突防止機能をもっていなければならない。
この実現方法としては,PICCの各IDビットの異なる位置を検出する方法,スロットマーカをPCDが送
出し,それに対して適合したスロット番号をもっているPICCが返信する方法などがISO(国際標準化機
構)において規格化されている。この規格では,簡易な一般化した方法であるタイムスロットを使用した
衝突防止機能を,運用多様化仕様として追加する(附属書A参照)。この規格の前の版では,簡易な一般
化した方法であるタイムスロットを使用した衝突防止機能(附属書A参照)を,運用多様化仕様として追
加していた。
注記 附属書Aに記載される衝突防止機能では,REQBコマンドのPARAM部のb5を判定ビットと
して使用している。一方,JIS X 6322-3:2011では,このビットb5が拡張ATQBを示すフラグ
として規定されるようになったので,このことに注意することが望ましい。
4.3
コマンド及び上位層
データリンク確立後,応用層のユーザコマンドなどは,この規格群の第3部“共通コマンド”(JIS X
6319-3参照)による。
5
物理的特性
PICCは,JIS X 6322-1に規定する“物理的特性”を備えていなければならない。
6
電気的特性
6.1
一般
PICCは,JIS X 6322-2に規定する“電力伝送及び信号インタフェース”を備え,かつ,互換性を向上す
るために,6.2〜6.8の規定に適合しなければならない。
6.2
PICCのアンテナの実装範囲
JIS X 6301に規定するID-1形状のPICCにおけるアンテナの実装範囲は,PICCの裏表,上下及び左右の
4
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方向に対する通信性能並びに複合カードの実装形態を考慮して,JIS X 6322-1の図A.1の範囲に配置する
ことが望ましい。
注記 旧規格において規定したアンテナ配置(図D.1参照)は,JIS X 6322-1の図A.1に変更するこ
とが望ましい。
6.3
PCDのアンテナ形状
PCDのアンテナ形状は,通信範囲がPICCの操作性方向又は通信位置によって大幅に変化することのな
いように,アンテナ中心に対しXYの両軸対称形状が望ましい。
PCDのアンテナ形状の例を,図1に示す。
図1−アンテナ形状の例
6.4
アンテナに対するPICCの位置
密着運用の場合には,PCDのアンテナに対するPICCの位置は,通信を安定させるため,アンテナ中心
(通信範囲の中心)が一致する付近に配置することが望ましい。
PCDのアンテナ位置の例として,アンテナの中心とPICCの中心とを一致させた配置を,図2に示す。
図2−アンテナに対するPICCの位置の例
6.5
密着運用PICCの最小動作磁界強度
PICCの最小動作磁界強度Hminは,できる限り,JIS X 6322-2が規定する1.5 A/m rmsとすることが望ま
5
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しい。
しかしながら,暗号処理などを行う消費電力が大きいPICCの場合には,PCDの発生する最小動作磁界
強度Hmin (1.5 A/m rms)では供給電力が不足し,PICCが動作しないことがある。このようなPICCを運用
する場合には,PICCの最小動作磁界強度Hminを4.0 A/m rmsと定めてもよい。
6.6
PICCの共振周波数
PICCを重ねると共振周波数が下がるため,二枚重ね運用の場合には,PICCを二枚重ねた状態の共振周
波数は,13.56 MHz以上になるように設定することが望ましい。
注記 PICCの共振周波数の測定方法は,JIS X 6305-6による。
6.7
PICC用ICの特性
6.7.1
PICCのリセット
PCDが搬送波を絶つことによって電力が遮断された後,PCDが搬送波を再送することによってPICCは
リセットされる。
6.7.2
磁界変化への対応(発熱及び過電力)
PICCは,最小動作磁界から最大動作磁界の範囲で,正常に動作しなければならない。
また,最大磁界でPICC用ICが破壊しないように,発熱,過電圧対策などを考慮しなければならない。
6.7.3
搬送波の瞬断処理
搬送波を絶った後に,再送を行うとき(ASK100 %変調を含む。),PICC用ICは,正常動作可能な状態,
又はリセットによって正常復帰可能な状態にならなければならない。
動作磁界の変動によって,通信及び電源の瞬断が発生しても,PICC用ICは,正常動作可能な状態,又
は正常復帰可能な状態にならなければならない。
注記 電力を一時的に蓄えているキャパシタの放電時間を考慮する。
6.7.4
ICの消費電力
通信性能を向上させるため,PICC用ICの消費電力は,少ないことが望ましい。
6.7.5
書込み中メモリの内容保護
PICC用ICは,メモリ書込み時に異常が発生した場合には,メモリデータ内容(メモリ書換え前のデー
タなど)をPICCのファームウェアによって保証することが望ましい。
6.8
PCDの特性
6.8.1
アンテナ利得
PCDは,そのアンテナ出力に対応して構内無線局,簡易無線局などに属する。アンテナから放射される
磁界強度は,電波法第4条によって定められている。PCDは,この定められた値を遵守しなければならな
い。
6.8.2
PICCのリセット
PCDは,搬送波を絶つことによって電力を遮断した後,搬送波を再送することによってPICCをリセッ
トすることができる(6.7.1 参照)。
7
信号伝送
PCDとPICCとの間の信号伝送は,JIS X 6322-2による。
8
初期化及び衝突防止
初期化及び衝突防止は,JIS X 6322-3によるほか,次による。
6
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a) ポーリング PCDは,その動作磁界範囲に存在するJIS X 6322-2に規定されているA型PICC及びB
型PICCを認識できなければならない。
b) 衝突防止用コマンド PCDは,PICCが存在することを認識した場合には,認識した型のPICCが複数
存在することを考慮して,衝突防止の方法を選択して処理しなければならない。ポーリングに使用す
る要求コマンドは,選択した方法での衝突防止用コマンドとする。
c) 複数カスケードレベル A型PICCの衝突防止処理の場合には,異なるカスケードレベル同士での衝
突の有無を検出し,複数のカスケードレベルのPICCが存在することを早期に確認できる。例えば,
シングルUID長のPICCのuid0は“88”でないため,CT=“88”のダブルUID長又はトリプルUID
長のPICCとシングルUID長のPICC とは必ず衝突が発生する。また,同様に,ダブルUID長のPICC
のuid3は“88”でないため,CT=“88”のトリプルUID長のPICCとは必ず衝突が発生する。
d) EOFの検出 B型PICCのフレーム信号において,“00”というバイトデータのストップビットを誤っ
て受信した場合には,レベル0が10 etu続くため,EOFと区別することができず,EOFと判断しても
よい。さらに,確実な判断をする場合,レベル0が10 etu続き,その後の過渡時間経過後に無変調状
態を検出したとき,EOFと判断してもよい。
e) 多目的用途のPICCのAFI 多目的用途のB型PICCの場合には,どのようにAFIを設定すべきかが
明確でなく,混乱を生じるおそれがある。これを回避するため,PICCに設定するAFIは,“00”とす
る。PCDは,AFI=“00”に設定してREQB・WUPBコマンドを送信することが望ましい。
注記
単一用途のB型PICCも,AFIが“00”のREQB・WUPBコマンドに応答するので,多目的
用途のシステムは,注意することが望ましい。
f)
アプリケーションデータの形式 B型PICCにおいて,プロトコル情報フィールド(JIS X 6322-3の
7.9.4参照)のADCをb“00”に設定することによって,アプリケーションデータを個別に符号化す
ることができる。アプリケーションデータの形式の例を,図3に示す。
第1〜4バイト
任意選択された個別符号化形式
(4バイト)
例として,アプリケーションデータを4バイトで“XX XX XX
XX” とする場合を示す。
なお,プロトコル情報におけるADCの値は,b“00”とする。任
意の個別符号化形式の設定例を示す。
第1及び第2バイト:IC製造業者ごとの任意の値
第3バイト:JIS X 6320-6で規定されるIC製造業者コード
第4バイト:“E0”とする
図3−ADC=b“00”設定時のアプリケーションデータの形式の例
g) 仮固有PICC識別子(PUPI) B型PICCにおいて, PUPIは,固定であってもよいし,乱数によっ
て生成してもよい。乱数の場合には,確率的に同一のPUPIが存在する可能性がある。より確実にPICC
を識別したい場合には,PUPIに加えてアプリケーションデータ[箇条8 f)参照]を用いて識別するた
めに,ATTRIBコマンドの上位階層情報フィールドを次のように使用することができる。
上位階層情報:“F4 XX XX XX XX”
1バイト目:アプリケーションデータ4バイトの一致検出を行うことを示す(その他の値は,RFU
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とする。)。
2〜5バイト目:ATQB内のアプリケーションデータと同一のデータとする。
上位階層情報の“F4”に続く4バイトがATQBのアプリケーションデータに一致する場合には,
ATTRIBに対する応答を返してACTIVE状態に遷移する。一致しない場合には,応答を返さず
READY-DECLARED状態にとどまる。
上位階層のこの情報に対する応答は,存在しない。したがって,PUPIが一致するATTRIBコマンド
を受信したとき,PICCの動作は,次による。
− 上位階層情報が存在しない場合には,応答を返しACTIVE状態に遷移する。
− 上位階層情報が“F4 XX XX XX XX”であり,“XX XX XX XX”がATQBのアプリケーションデー
タと一致する場合には,応答を返してACTIVE状態に遷移する。
− 上位階層情報が“F4 XX XX XX XX”であり,“XX XX XX XX”がATQBのアプリケーションデー
タと一致しない場合には,応答せずにREADY-DECLARED状態にとどまる。
− 上位階層情報の1バイト目が“F4”ではない場合には,応答せずにREADY-DECLARED状態にと
どまる。
9
伝送制御手順
PICCとPCDとの間の伝送プロトコルにおいて,通信フレーム並びにA型PICC及びB型PICCの通信
方式の基本通信シーケンスは,JIS X 6322-4による。
注記 この規格の前の版では,外部端子付きICカードと複合されたICカードの形態,特に,メモリ
などを共有し,通信のインタフェースを近接型と外部端子付きとに使い分ける複合カードへの
要求を考慮し,外部端子付きICカードとの整合性に優れる伝送プロトコル(附属書B参照)
を,運用多様化仕様として追加していた。
10 試験方法
10.1 一般
PICC及びPCDの試験方法は,JIS X 6305-6によるほか,10.2及び10.3による。
10.2 二枚重ね運用に適用する試験
10.2.1 二枚重ね運用の場合の電力伝送
試験対象品PCDの発生する動作磁界中に,二枚のPICCを重ねて置いたとき,PICCに伝送される電力
を測定する。
二枚の基準PICC(JIS X 6305-6参照)を重ねて用い,JIS X 6305-6に規定する電力測定と同様な手順で
試験を行う。一方の基準PICCを電力負荷とし,他方の基準PICCのDC電圧を測定する。
10.2.2 二枚重ね運用の場合の変調磁界及び波形
この試験は,JIS X 6322-2に規定された立上がり時間,立下がり時間,オーバシュートなども含めて,
密着運用の試験用PCD(附属書C参照)が発生する磁界の変調度を測定する。
JIS X 6322-3に規定するREQA及びREQBを密着運用の試験用PCDから送出する。
二枚の基準PICC(JIS X 6305-6参照)を重ねて,負荷とした状態において,校正用コイルに接続したオ
シロスコープで搬送波の変調波形を測定する。
10.2.3 二枚重ね運用の場合の負荷変調度
試験対象品PICC及び基準PICC(JIS X 6305-6参照)を重ねて用い,JIS X 6305-6に規定する負荷変調
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度の測定と同様な手順で試験を行う。基準PICCを電力負荷とし,磁界強度に対応してジャンパJ1を設定
する(JIS X 6305-6参照)。
10.2.4 二枚重ね運用の場合の復調能力
二枚の基準PICC(JIS X 6305-6参照)を重ねて用い,一方の基準PICCを電力負荷とし,他方の基準PICC
が発生する副搬送波信号を,試験対象品PCDが正しく受信することを確認する。
注記 基準PICCの同調調整は行わないことが望ましい(単体で19 MHz以上のままとする。)。
10.3 密着運用に適用する試験
10.3.1 密着運用の試験用PCDの設定
10.3.1.1 動作磁界の設定
密着運用の試験用PCD(附属書C参照)の発生する動作磁界を設定する。
校正用コイル(JIS X 6305-6参照)を用いて磁界強度H を7.0 A/m (rms) ±5 %に設定する。
校正用コイルの中心位置は,アンテナの中心と一致させる。
コイルに誘起する開放電圧は,高インピーダンス入力のオシロスコープのプローブ(例えば,プローブ
の入力インピーダンス>1 MΩ,かつ,容量負荷<14 pF)を用いて,測定しなければならない。引出し端
子部を含む校正用コイルの共振周波数は,60 MHz以上でなければならない。
引出し端子部を含む校正用コイルに寄生する浮遊容量は,35 pF未満とし,その共振周波数は,60 MHz
以上でなければならない。
開放電圧(V rms)を磁界強度に変換する係数は,0.32 V (rms)/A/m (rms)を用いる[ピーク ツー ピーク
電圧の場合の係数は,900 mV (p-p)/A/m (rms)とする。]。
10.3.1.2 電力伝送
基準PICCコイル(JIS X 6305-6参照)を用いて,密着運用の試験用PCDが発生する磁界内に基準PICC
が負荷となる状態に配置し,密着運用の試験用PCDから基準PICCへの電力供給能力を測定する。
共振周波数は,キャパシタC2(JIS X 6305-6の附属書A参照)で調整し,二枚重ね運用を考慮する場合
には,19 MHz以上に調整することが望ましい。一枚運用に限定される場合には,13.56 MHz以上が望まし
い。
10.3.1.3 変調度及び波形
この試験は,JIS X 6322-2に規定された立上がり時間,立下がり時間,オーバシュートなども含めて,
密着運用の試験用PCDが発生する磁界の変調度を測定する。
a) 試験手順 校正用コイルの中心と密着運用の試験用PCDのアンテナの中心とを一致させ,それらを
15 mm離す(図C.2参照)。JIS X 6322-3に規定するREQA又はREQBを密着運用の試験用PCDから
送出する。校正用コイルに誘起した電圧波形をオシロスコープで観測し,測定する。
b) 記録 動作磁界強度を試験条件として記録する。規定された動作範囲において,PCDが発生する磁界
の変調波形から,JIS X 6322-2に規定する変調度,立上がり時間,立下がり時間,オーバシュートな
どの値を記録する。
注記1 副搬送波の波形をオシロスコープに表示する場合には,その画面中央に,副搬送波振幅
の大きい部分の半分の点が中心となるように表示し,左右(前後)対称に採取すること
が望ましい。
注記2 副搬送波は,高い精度でDFT(Discrete Fourier Transform)の計算を行うために,8サイ
クルのデータを採取することが望ましい。
10.3.2 密着運用のPICC
9
X 6319-2:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
試験対象品PICCを密着運用の試験用PCD(附属書C参照)に装着して,JIS X 6322-3に規定するREQA
又はREQBを密着運用の試験用PCDから送出する。試験対象品PICCからの変調信号を,校正用コイルに
接続したオシロスコープにて測定する。
注記 密着運用における校正用コイルは,校正用コイルM,校正用コイルS及び校正用コイルLがあ
る(表C.1参照)。単に校正用コイルと記される場合は,三つのコイル(校正用コイルM,校
正用コイルS及び校正用コイルL)の総称である。
a) 測定項目 密着運用の試験用PCDの動作範囲にて試験対象品PICCからの変調信号を測定する。
b) 試験手順 校正用コイルと密着運用の試験用PCDのアンテナとの中心を一致させる。試験用PCDの
アンテナ面に平行な5 mmの間隙を配置する。その間隙を隔てた面を基準面とする(距離0 mm)。試
験対象品PICCを,基準面からの距離0〜5 mm及びその中心の偏り直径5 mmの円内に配置する。JIS
X 6322-3に規定するREQA又はREQBを密着運用の試験用PCDから送出する。校正用コイルに誘起
した電圧波形をオシロスコープで観測し,測定する。
c) 記録 試験対象品PICCからの変調波形を測定し,JIS X 6322-2に規定する副搬送波の振幅を記録す
る。
注記1 副搬送波の波形をオシロスコープに表示する場合には,その画面中央に,副搬送波振幅の
大きい部分の半分の点が中心となるように表示し,左右(前後)対称に採取することが望
ましい。
注記2 副搬送波は,高い精度でDFT (Discrete Fourier Transform) の計算を行うために,8サイクル
のデータを採取することが望ましい(JIS X 6305-6参照)。
10.3.3 密着運用のPCDの磁界測定
密着運用を考慮したPCDにおいては,校正用コイルM,校正用コイルS及び校正用コイルL(表C.1
参照)を用いて動作範囲内での磁界測定を行い,磁界特性を明確にしておくことが望ましい。
コイルに誘起する開放電圧は,高インピーダンス入力のオシロスコープのプローブ(例えば,プローブ
の入力インピーダンス>1 MΩ,かつ,容量負荷<14 pF)を用いて測定しなければならない。
引出し端子部を含む校正用コイルに寄生する浮遊容量は,35 pF未満とし,その系全体の共振周波数は,
60 MHz以上でなければならない。
測定した開放電圧(V rms)を磁界強度に変換するには,表C.1に示す校正用コイルの電圧から磁界への
換算値を用いて換算する。
11 試験成績書
箇条10に従って実施した試験条件として,校正用コイルの種類及び動作範囲を記録し,各試験における
試験結果を試験成績書に記載する。
10
X 6319-2:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書A
(参考)
Slot̲MARKERコマンドを使用しないB型タイムスロット方式
附属書Aは参考であり,この規格の前の版で追加していた,簡易な一般化した方法であるタイムスロッ
トを使用した衝突防止機能の処理について記す。
この衝突防止機能では,REQBコマンドのPARAM部のb5を判定ビットとして使用していたが,JIS X
6322-3:2011では,このビットb5が拡張ATQBを示すフラグとして規定されるようになった。このため,
JIS X 6322-3:2011に対応するPCDに対して,この衝突防止機能をもつPICCを使用することはできなくな
った。
A.1 Slot̲MARKERコマンドを使用しないタイムスロット方式
A.1.1 タイムスロット方式の状態遷移
B型PICCの衝突防止において,Slot̲MARKERコマンドを使用しないタイムスロット方式を選択する場
合には,AFIが一致したかどうかの判定後に次の処理を追加する。
− REQBのPARAM部のb5を判定する(JIS X 6322-3:2011において,拡張ATQB仕様となった。)。
b5=b“0”の場合:
− N=1かどうかの判定処理に移る。
b5=b“1”の場合:
− Rを選択。
− スロットタイミングが一致するまで待機。
− ATQBを送出。
これらの処理を追加した場合のPICCの状態遷移図の例を,図A.1に示す。
ここで,図A.1に示した状態遷移のフローは,JIS X 6322-3:2001に規定されるフローに基づいている。
JIS X 6322-3:2011では,このフローは改正によって変更されていることに注意する。
11
X 6319-2:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
AFI一致
POWER̲OFF 状態
REQB又はWUPB
を待つ
Rを選択
ATQBを送出
Slot̲MARKERの一致を待つ
CID一致のATTRIB
又はHLTBを待つ
ATTRIBの
応答を送出
HLTBの
応答を送出
ACTIVE状態
HALT状態
REQB又はWUPB
YES
NO
YES
NO
R=1
R>1
選択1
選択2
REQB又はWUPB
Slot̲MARKERの一致
REQB又はWUPB
CID一致HLTB
CID一致ATTRIB
WUPB
DESELECT
ID
L
E
状
態
衝
突
防
止
R
E
A
D
Y
状
態
A
C
T
IV
E
状
態
H
A
L
T
状
態
R
E
A
D
Y
-
R
E
Q
U
E
S
T
E
D
状
態
R
E
A
D
Y
-D
E
C
L
A
R
E
D
状
態
P
O
W
E
R
̲O
F
F
状
態
その他
その他
その他
その他
その他
N=1
YES
NO
スロットタイミング
が一致するまで
待機
Rを選択
b5=0
: タイムスロット方式用に追加した処理部分
図A.1−Slot̲MARKERコマンドを使用しないタイムスロット方式を
選択する場合のPICCの状態遷移図の例
12
X 6319-2:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
A.1.2 Slot̲MARKERコマンドを使用しないタイムスロット方式の衝突防止処理
Slot̲MARKERコマンドを使用しないタイムスロット方式を採用するB型PICCは,次の規則に従って
動作する。READY-REQUESTED状態にあるPICCは,有効なREQB・WUPBコマンドを受信後,応答を
返さなければならない。ここで,パラメタNは,REQB・WUPBコマンドで与えられる値である。
手順1:REQB・WUPBのPARAM部のb5がb“1”であることを確認する。
手順2:PICCは,内部で乱数R(1≦R≦N)を生成する。
手順3:Rの値に応じた期間待機する。
手順4:ATQBを送出する。
乱数R(=スロット番号)とATQBの送出タイミングとの関係は,次による。
R=1の場合:
− PCDが送信したREQB・WUPBコマンドのEOF終了後から32 etuの期間を保護時間tAとする。
− tA終了後,240 etuの期間(tB)を第1スロットとする。
− PICCは,第1スロットの任意のタイミングでATQBを送信することができる。
ただし,tB 内の最後の10 etu期間(tC)は,スロット間保護時間として,PICCは,副搬送波を送出して
はならない。
R>1の場合:
− 第(R−1)スロット終了後から240 etuの期間(tB)を第Rスロットとする。
− PICCは,第Rスロットの任意のタイミングでATQBを送信することができる。
ただし,tB 内の最後の10 etu期間(tC)は,スロット間保護時間として,PICCは,副搬送波を送出して
はならない。
A.2 Slot̲MARKERコマンドを使用しないタイムスロット方式の衝突防止処理例
Slot̲MARKERコマンドを使用しないB型タイムスロット方式の衝突防止手順の例を,図A.2及び図A.3
に示す。
13
X 6319-2:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
APf
CRC̲B
AFI
PARAM
05
xxxx
10
10
PICC1
衝突防止手順開始
交通分野AFI=“10”送出
スロット数 N=1
PICC3
PICC2
交通用PICC
AFI一致
N=1のため,スロット1で応答
医療用PICC
AFI不一致
次のREQB/WUPBを待つ
複数アプリケーション用PICC
AFI一致
N=1のため,スロット1で応答
ATQB送出
ATQB送出
衝突検出
スロット数 N=4に変更
PCD
PICCs
PCD
PCD
スロット数1のREQB送出
: タイムスロット方式用に変更となる部分
図A.2−Slot̲MARKERコマンドを使用しないB型タイムスロット方式の衝突防止手順の例(1/2)
14
X 6319-2:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
PICC3
複数アプリケーション用PICC
AFI一致
1〜Nの間で任意の数Rを選択
R=1のため,スロット1で応答
ATQB送出
ATQB送出
ここで,PCDは二つのPICC (PICC3
及びPICC1) から応答を取得した。
PCDのアプリケーションは,ATTRIBコマン
ドによって交通用PICC1を選択する。
また,HLTBコマンドによって,PICC3を
停止する。
PCD
APf
CRC̲B
AFI
PARAM
05
xxxx
12
10
PICC2
交通用PICC
AFI一致
1〜Nの間で任意の数Rを選択
R=2のため,スロット2で応答
医療用PICC
AFI不一致
次のREQB/WUPBを待つ。
スロット数4のREQB送出
: タイムスロット方式用に変更となる部分
PICC1
図A.3−Slot̲MARKERコマンドを使用しないB型タイムスロット方式の衝突防止手順の例(2/2)
15
X 6319-2:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書B
(参考)
非接触(外部端子なし)ICカードのプロトコルの伝送制御マトリクス
表B.1及び表B.2に,伝送制御マトリクスを示す。
マトリクス表は,縦軸にはICカードの状態(ステータス)を,横軸にはICカードが外部から受け取る
事象(イベント)を記載している。
縦軸と横軸との交差する欄には,ICカードが縦軸の状態で,横軸の事象が発生したとき,ICカードが次
に移行する状態を縦軸の番号で示す。また,○囲み数字は,参照先のJIS X 6320-3のプロトコル規則番号
を示す。
1
6
X
6
3
1
9
-2
:
2
0
1
2
1
6
X
6
3
1
9
-2
:
2
0
1
2
表B.1−PICC側の伝送制御マトリクス(対PCD)
イベント
ステータス
Iブロック受信(PCDから)
Rブロック受信(PCDから)
Sブロック受信(PCDから)
異常電文受信
A
連鎖無
I(0)0受信
B
連鎖無
I(0)1受信
C
連鎖有
I(1)0受信
D
連鎖有
I(1)1受信
E
R(ACK)0
受信
F
R(ACK)1
受信
G
R(NAK)0
受信
H
R(NAK)1
受信
I
応答
S(WTX)受信
J
リクエスト
S(DESELE
CT)受信
K
誤り電文
(PCB誤り)
L
誤り電文
(CRC誤り,
EGTタイム
アウト)
0 プロトコル
開始状態
I(0)0→1 ②
*
I(1)0→3 ②
S(WTX)→7 ③
R(ACK)0→5 ②
*
S(WTX)→7 ③
―
→☆
―
→☆
R(ACK)1
→6 ②
―
→☆
―
→☆
応答
S(DESELE
CT)
→プロトコ
ル終了
―
→☆
―
→☆
1 I(0)0(連鎖
無)
送信後
受信待状態
I(0)1→2 ②
*
I(1)1→4 ②
S(WTX)→7 ③
R(ACK)1→6 ②
*
S(WTX)→7 ③
最終ブロッ
ク
I(0)0再送→
1 ⑦
―
→☆
最終ブロッ
ク
I(0)0再送→
1 ⑦
R(ACK)0
→5 ②
2 I(0)1(連鎖
無)
送信後
受信待状態
I(0)0→1 ②
*
I(1)0→3 ②
S(WTX)→7 ③
R(ACK)0→5 ②
*
S(WTX)→7 ③
―
→☆
最終ブロ
ック
I(0)1再送
→2 ⑦
R(ACK)1
→6 ②
最終ブロック
I(0)1再送→2
⑦
3 I(1)0(連鎖
有)
送信後
受信待状態
―
→☆
―
→☆
最終ブロッ
ク
I(1)0再送→
3 ⑦
I(0)1→2
*
I(1)1→4
②
最終ブロッ
ク
I(1)0再送→
3 ⑦
―
→☆
4 I(1)1(連鎖
有)
送信後
受信待状態
I(0)0→1 *
I(1)0→3
②
最終ブロ
ック
I(1)1再送
→4 ⑦
―
→☆
最終ブロック
I(1)1再送→4
⑦
5 R(ACK)0
送信後
受信待状態
I(0)1→2 ②
*
I(1)1→4 ②
S(WTX)→7 ③
R(ACK)1→6 ②
*
S(WTX)→7 ③
―
→☆
最終ブロッ
ク
R(ACK)0
再送→5
⑦
R(ACK)0
→5 ②
6 R(ACK)1
送信後
受信待状態
I(0)0→1 ②
*
I(1)0→3 ②
S(WTX)→7 ③
R(ACK)0→5 ②
*
S(WTX)→7 ③
R(ACK)1
→5 ②
最終ブロック
R(ACK)1
再送→6
⑦
7 リクエスト
S(WTX)
送信後
受信待状態
―
→☆
―
→☆
―
→☆
リクエスト S(WTX)再送→7
この状態に遷
移する前に送
信すべきもの
を送信しその
ステータスへ
注記 ○囲み数字:JIS X 6320-3: 2009の11.6.2及び11.6.3に規定されるプロトコル規則番号 ―:処理を行わない。 ☆:直前のステータスに戻る。
注*
PICCが次に送信するブロックにブロック番号を付与するために内部に保持する内部ブロック番号を更新する。
表B.2−PCD(上位装置)側の伝送制御マトリクス(対PICC)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
1
7
X
6
3
1
9
-2
:
2
0
1
2
1
7
X
6
3
1
9
-2
:
2
0
1
2
イベント
ステータス
Iブロック受信(PICCから)
Rブロック受信(PICCから)
Sブロック受信(PICCか
ら)
異常電文受信
A
連鎖無
I(0)0受信
B
連鎖無
I(0)1受信
C
連鎖有
I(1)0受信
D
連鎖有
I(1)1受信
E
R(ACK)0
受信
F
R(ACK)1
受信
G
リクエスト
S(WTX)受
信
H
応答
S(DESELEC
T)
受信
I
誤り電文
(PCB誤
り)
J
誤り電文
(CRC誤り,
EGTタイム
アウト)
K
FWT
タイムアウ
ト
0 上位からの
指示待ち
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
1 I(0)0(連鎖無)
送信後
受信待状態
正常終了
*
→0
ブロック番
号
違反→0
R(ACK)1 *
→6 ②
ブロック番
号
違反→0
プロトコル誤り
→0
応答
S(WTX)
送信 ③
プロトコル
誤り
→0
形式誤り
→0
R(NAK)0 ★
→7 ⑦
R(NAK)0 ★
→7 ⑦
2 I(0)1(連鎖無)
送信後
受信待状態
ブロック番
号
違反→0
正常終了 *
→0
ブロック番
号
違反→0
R(ACK)0 *
→5 ②
R(NAK)1 ★
→8 ⑦
R(NAK)1 ★
→8 ⑦
3 I(1)0(連鎖有)
送信後
受信待状態
プロトコル誤り
→0
I(0)1→2 *
I(1)1→3
②
ブロック番
号
違反→0
R(NAK)0 ★
→7 ⑦
R(NAK)0 ★
→7 ⑦
4 I(1)1(連鎖有)
送信後
受信待状態
ブロック番
号
違反→0
I(0)0→1 *
I(1)0→3
②
R(NAK)1 ★
→8 ⑦
R(NAK)1 ★
→8 ⑦
5 R(ACK)0
送信後
受信待状態
正常終了 *
→0
ブロック番
号
違反→0
R(ACK)1 *
→6 ②
ブロック番
号
違反→0
プロトコル誤り
→0
R(NAK)0 ★
→5 ⑦
R(NAK)0 ★
→5 ⑦
6 R(ACK)1
送信後
受信待状態
ブロック番
号
違反→0
正常終了 *
→0
ブロック番
号
違反→0
R(ACK)0 *
→5 ②
R(NAK)1 ★
→6 ⑦
R(NAK)1 ★
→6 ⑦
7 R(NAK)0
送信後
受信待状態
正常終了 *
→0
ブロック番
号
違反→0
R(ACK)1 *
→6 ②
ブロック番
号
違反→0
I(0)1→2 *
I(1)1→4
②
正常終了 *
→0
R(NAK)0 ★
→7 ⑦
R(NAK)0 ★
→7 ⑦
8 R(NAK)1
送信後
受信待状態
ブロック番
号
違反→0
正常終了 *
→0
ブロック番
号
違反→0
R(ACK)0 *
→5 ②
I(0)1→2 ☆
I(1)1→4
②
I(0)0→1 *
I(1)0→3
②
R(NAK)1 ★
→8 ⑦
R(NAK)1 ★
→8 ⑦
9
リクエスト
S(DESELECT)
送信後 受信待状
態
S(DESELECT)再送 →0
プロトコル
終了
S(DESELECT)再送 →0
表B.2−PCD(上位装置)側の伝送制御マトリクス(対PICC)(続き)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
1
8
X
6
3
1
9
-2
:
2
0
1
2
1
8
X
6
3
1
9
-2
:
2
0
1
2
注記 ○囲み数字:JIS X 6320-3: 2009の11.6.2及び11.6.3に規定されるプロトコル規則番号 ☆:誤りカウンタをクリアする。★:誤りカウンタをインクリメントす
る。
注*
PCDが次に送信するブロックにブロック番号を付与するために内部に保持する内部ブロック番号を更新し,誤りカウンタをクリアする。誤りカウンタの初期値
は0とする。誤りカウンタ値が上限値N(システム構築時に適切な値を設定してよい。)と等しくなったとき,PCD(上位装置)側はプロトコルを終了し,ス
テータス0へ戻る。
19
X 6319-2:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書C
(規定)
試験装置
JIS X 6305-6に規定する試験装置に対して,密着運用の試験装置を追加する。
C.1 校正用コイルの規定
密着運用を考慮したPCDでの磁界特性を測定するために,JIS X 6305-6で規定した校正用コイル(以下,
校正用コイルMと呼ぶ。)を用いる。校正用コイルMに加えて,そのコイル面積の異なる校正用コイルS
及び校正用コイルLの2種類の校正用コイルを定義する。
a) 校正用コイルS及び校正用コイルLの寸法,厚さ及び材質 校正用コイルS及び校正用コイルLの寸
法,厚さ及び材質は,校正用コイルMに同様とする。
b) コイルの特性 校正用コイルS及び校正用コイルLは,1ターンとする。そのコイルの寸法などを表
C.1に示す。
表C.1−校正用コイルS,校正用コイルL及び校正用コイルMの特性
項目
内容
校正用コイルS
校正用コイルL
校正用コイルM
コイル外形
66.6 mm±2 %×31 mm±2 %
83.6 mm±2 %×52 mm±2 %
72 mm±2 %×42 mm±2 %
角部R8.5 mm±2 %
角部R5 mm±2 %
角部R5 mm±2 %
コイル面積
200 mm2
432.6 mm2
300 mm2
磁界への換算
1 A/m(rms)=214.4 mV(rms)
1 A/m(rms)=463.1 mV(rms)
1 A/m(rms)=320 mV(rms)
パターン幅
0.5 mm±20 %
同左
同左
パターン間隔
0.5 mm±20 %
同左
同左
パターン材質
銅はく(箔)
同左
同左
パターン厚さ
35 μm
同左
同左
巻数
1ターン
同左
同左
標準インダクタンス
(13.56 MHzにて)
−
−
約250 nH
標準抵抗値
(13.56 MHzにて)
−
−
約0.40 Ω
C.2 密着運用の試験用PCD
C.2.1 密着運用の試験用PCDアンテナ
密着運用の試験用PCDアンテナの諸特性を,表C.2に示す。
20
X 6319-2:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表C.2−密着運用の試験用PCDのアンテナ諸特性
名称
内容
アンテナコイル
コイル外径
φ38±0.2 mm
パターン幅
0.5 mm
パターン間隔
0.5 mm
パターン厚さ
35 μm
巻数
3
構造
プリント基板上の銅はくとして形成
アンテナ基板
サイズ
120 mm×100 mm
厚さ
1.6 mm
材質
FR4
インピーダンス
整合回路
アンテナコイルと出力回路とを50 Ωでインピーダンスマッチング
をとる。
C.2.2 密着運用の試験用PCDの回路
密着運用の試験用PCDの回路を,図C.1に示す。
図C.1−密着運用の試験用PCDの回路
C.2.3 試験装置の組立
密着運用の試験用PCDの構造図を,図C.2に示す。
密着運用の試験用PCDと被測定PICCとの間には,5 mmの間隙を配置する。密着運用の試験用PCDア
ンテナ面から間隙を隔てた表面を基準面(距離0 mm)とする。
密着運用の試験用PCDアンテナの中心を中心位置とする。
校正用コイル及び密着運用の試験用PCDのアンテナは,平行で,中心軸が一致するように配置する。こ
のとき,図C.2に示すように,実効導体面の間隔を15 mmにするように組み立てる。
21
X 6319-2:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位 mm
図C.2−密着運用の試験用PCD構造図
22
X 6319-2:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書D
(参考)
旧版におけるPICCのアンテナの実装範囲
この規格の旧版で規定されていたPICCのアンテナの実装範囲を,図D.1に示す。
単位 mm
注記 PICCにエンボスを施す場合には,アンテナ実装範囲を考慮する。
図D.1−アンテナ実装範囲