2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
X 6313-1996
プリペイドカード−買物用カード−
磁気的特性及び情報記録様式
Prepaid cards−Shopping use−Magnetic recording
characteristics and information interchange
1. 適用範囲 この規格は,JIS X 6311に規定するプリペイドカード(以下,カードという。)の磁気記録
部の磁気的特性及び情報記録様式について規定する。
備考1. この規格の引用規格を,次に示す。
JIS B 0601 表面粗さ−定義及び表示
JIS X 6310 プリペイドカード−一般通則
JIS X 6311 プリペイドカード−買物用カード−物理的特性及び形状・寸法
2. この規格の中で { } を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであって,
参考として併記したものである。
2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS X 6310によるほか次による。
(1) 磁性基準カード 磁気記録部の電磁変換特性の基準として用いるカード。
(2) 基準ピーク出力電圧 磁性基準カードの磁気記録部にその磁性基準カードについて定めた記録密度に
よって方形波信号を記録し,これを再生して得られる最大出力電圧。
(3) 基準電流 磁性基準カードの磁気記録部にその磁性基準カードについて定めた記録密度によって方形
波信号を記録して,これを再生するとき,その再生出力電圧が基準ピーク出力電圧の80%となるよう
な最小記録電流(図3参照)。
(4) トラック 情報が記録される磁気記録部で,カードの長辺方向に沿った帯状の部分。
(5) 刻時信号 動作の歩調を合わせるために用意された周期的な信号。
(6) 周波数変調記録方式 情報を記録する際,各ビットセルの始めでクロック磁束反転し(a),さらにデー
タ“1”の場合にだけクロック磁束反転の中間でデータ磁束反転する方式(b)(図1参照)。F2F方式と
もいう。
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図1 周波数変調記録方式
(7) 磁束反転位置 磁気記録面の法線方向の磁束が磁気記録部の長手方向に関して最大となる位置。
(8) 記録角度 磁束反転位置をトラックの幅方向に連続的に結ぶことによって得られる磁気記録面上の線
と,カードの上端の縁線に対する垂線とが交差する角度(図2参照)。
図2 記録角度
(9) ビットセル 周波数変調記録方式において,2進符号“1”及び“0”を記録するために,図1のtで
示される最小単位。
(10) 第1ビットセル 磁気記録データ内における最初のビットセル。
(11) 最終ビットセル 磁気記録データ内における最後のビットセル。
(12) 同期用信号 磁気記録部の開始から第1ビットセルまで及び最終ビットセルから磁気記録部の終了ま
での余白に入れる連続した2進符号“0”。
(13) 有効データ 第1ビットセルから最終ビットセルまでの磁気記録データ。
(14) 巡回冗長検査 データの読み誤りを検出するため巡回的なアルゴリズムによって,データに付加され
た1個若しくは数個の数字又は文字を利用して行う検査。CRCともいう。
3. 磁気記録部 磁気記録部は,次のとおりとする。
(1) 範囲 磁気記録部の範囲は,カードの裏のトラック部とする。
(2) 表面粗さ 磁気記録部の表面粗さは,長辺方向,短辺方向ともJIS B 0601による。1.25μmRa(1)とする。
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測定値は,先端曲率半経の呼び値2μmの触針を用い,0.25mm又は0.8mmのカットオフ値の場合とす
る。
注(1) 0.02μmRa<1.25a≦1.25μmRa
(3) 表面の隆起(磁気記録部のわん曲) 磁気記録部の断面の高点と低点との差は,磁気記録部の短辺方
向10.5mmに対して3μm以下とする。測定値は,先端曲率半径が0.38mmから2.54mmの触針で磁気
記録部の短辺方向を測定した場合とする。
4. 磁気的特性
4.1
静磁気特性 磁気記録部の静磁気特性は,次のとおりとする。
(1) 保磁力 保磁力は,139×103A/m {1 750Oe} 又は218×103A/m {2 750Oe} で,その許容差は,±10%
とする。
(2) 角形比 角形比は,0.8以上とする。
参考 残留磁束は,1.4×10−6Wb/m {1.4Mx/cm} で,その許容差は,±10%程度を目安とするために参
考として示す。
4.2
電磁変換特性 磁気記録部の電磁変換特性は,次のとおりとする。
(1) 出力信号電圧 磁気記録部の全トラック幅にわたり,8.268±0.331磁束反転/mmの密度で,基準電
流の350%及び500%の電流で方形波信号を記録し,これを再生したとき,それぞれの再生出力信号の
平均ピーク出力電圧は,基準ピーク出力電圧の80%以上,130%以下の範囲にあるものとする。このと
き,500%の電流で記録したときの平均ピーク出力電圧は,350%の場合の平均ピーク出力電圧より大
であってはならない(図3参照)。
図3 出力信号電圧
(2) 裏読み出力信号電圧 (1)の条件で記録し,これをカードの磁気記録面の反対側から再生したとき,そ
の再生出力信号の最大ピーク値は(1)で得られた平均ピーク出力電圧の10%以下とする。
(3) 消去効果 磁気記録部に記録密度8.268±0.331磁束反転/mmで基準電流の350%の電流で方形波信号
を記録した後,これを基準電流の350%の電流で消去してこれを再生したとき,その残留再生出力信
号の最大ピーク値は,消去前の再生出力信号の平均ピーク出力電圧の5%以下でなければならない。
(4) 分解能 20磁束反転/mmの記録密度における再生出力信号の平均ピーク出力電圧は,記録密度以外
を(1)に示す条件と同一にして記録・再生を行ったとき,(1)で得られた平均ピーク出力電圧の70%以上
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とする。
5. トラック 磁気情報を記録するトラックは,次のとおりとする。
(1) トラック数とトラック番号 トラック数は3本とし,カードの上端に近い方から順に第1トラック,
第2トラック,第3トラックと呼ぶ。
(2) トラックの位置及び寸法 トラックの位置及び寸法は,次による(図4参照)。
(a) 第1トラック カードの上端から測定し,5.66mmと8.46mmとで囲まれる2線間の位置。
なお,このトラックに情報を記録する位置は,カードの上端から測定し,8.97mmを超えてはな
らない。
(b) 第2トラック カードの上端から測定し,8.97mmと11.76mmとで囲まれる2線間の位置。
なお,このトラックに情報を記録する位置は,カードの上端から測定し,第2トラックの上方向
に8.46mm,第2トラックの下方向に12.27mmを超えてはならない。
(c) 第3トラック カードの上端から測定し,12.52mmと15.32mmとで囲まれる線間の位置。
なお,このトラックに情報を記録する位置は,カードの上端から測定し,第3トラックの上方向
に12.01mm,第3トラックの下方向に15.82mmを超えてはならない。
図4 トラックの位置及び寸法
6. 記録方式及び記録角度
6.1
記録方式 記録方式は,周波数変調記録方式とし,データは情報キャラクタ順に連続的にすきまな
く行うものとする。記録は飽和状態でトラック平面に対し平行に磁化するものとし,その方向は記録角度
によって決定するものとする。
6.2
記録角度 磁束反転の記録角度は0゜とし,その許容差は,各トラックとも±20°以内とする。
7. トラックの情報記録様式 トラックの情報記録様式は,次のとおりとする。
(1) 記録密度 情報の平均記録密度は,8.268±0.331ビット/mm (±4%) とする。隣接する磁束反転間隔
は,2進符号“0”が記録された場合は0.121±0.009mm (±8%),2進符号“1”が記録された場合は0.060
±0.006mm (±10%) とする。
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(2) 誤り検出符号 記録する有効データには,読取り検査のための巡回冗長検査符号(CRC符号)を設け
ること。
(3) 情報記録様式 情報記録様式は,表1のとおりとする。
表1 情報記録様式
有効データの内容
キャラクタ数
開始符号
1キャラクタ
データ
最大68キャラクタ
終了符号
1キャラクタ
CRC符号
2キャラクタ
合計
最大72キャラクタ
8. 第1及び最終ビットセルの位置 情報は,カードの裏を見たとき,磁気記録部の右端から順次左方向
へ記録する。第1ビットセル(開始符号)の中心線はカードの右端から測定し,5.0mm以上とする。記録
される最終ビットセルの中心線はカードの左端から測定し,5.0mm以上とする。
なお,磁気記録部の開始から第1ビットセルまで及び最終ビットセルから磁気記録部の終了までの余白
には,連続した同期用信号を記録する(図5参照)。
図5 第1及び最終ビットセルの位置
関連規格 JIS X 6302 磁気ストライプ付きクレジットカードの磁気的情報記録様式
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プリペイドカード標準化委員会 構成表
(敬称略・順不同)
氏名
所属
(委員長)
木 澤 誠
神奈川工科大学
(小委員会長)
磯 部 憲 寛
日本電装株式会社
(委員)
浅 野 恭 右
財団法人流通システム開発センター
国 分 明 男
財団法人ニューメディア開発協会
河 野 秀 樹
通商産業省機械情報産業局
半 田 力
通商産業省産業政策局
山 村 修 蔵
工業技術院標準部
◎ 木 塚 泰 弘
国立特殊教育総合研究所
菊 地 慎 二
日本百貨店協会
笠 原 政 栄
日本チェーンストア協会
落 合 成 行
社団法人日本フランチャイズチェーン協会
牧 島 宏 和
全国商店街振興組合連合会
広 瀬 篁 治
日本自動販売協会(富士ベンディング株式会社)
小 林 弘 幸
社団法人日本民営鉄道協会
◎ 黒 沢 健 郎
社団法人日本鉄道技術協会
林 康 郎
全国石油商業組合連合会
神 田 康 孝
石油連盟(日本石油株式会社)
◎ 永 井 武 志
E&C(株式会社プラナ)
村 上 満 雄
日本電信電話株式会社
野々宮 恵 司
オムロン株式会社
村 松 克 彦
株式会社東芝
新 井 正 彬
日本自動販売機工業会(富士電機冷機株式会社)
◎ 林 義 昭
社団法人日本印刷産業連合会(大日本印刷株式会社)
財 津 博
日立マクセル株式会社
鈴 木 秀 文
日本カードセンター株式会社
砂 川 俊 英
株式会社ジェーシービーカード
◎ 渡 辺 俊 明
株式会社ユーカード
◎ 遠 藤 千 尋
富士通株式会社
○ 村 上 公 夫
日本電信電話株式会社
○ 村 越 英 二
株式会社高島屋本社
○ 西 村 眞 次
日本電信電話株式会社
○ 入 田 哲 郎
大日本印刷株式会社
○ 木 坂 高 教
昌栄印刷株式会社
○ 北 島 常 吉
凸版印刷株式会社
○ 小 林 茂 美
アンリツ株式会社
○ 水 野 守
株式会社三協精機製作所
○ 鎌 下 良 一
アンリツ株式会社
○ 堀 江 悦 郎
株式会社東芝
○ 上 田 秀 敏
三菱電機株式会社
○ 尾 島 克 彦
オムロン株式会社
○ 西 本 宏
株式会社トーキン
○ 古 川 久 夫
財団法人流通システム開発センター
○ 大 福 敏 彦
工業技術院標準部
(事務局)
○ 加 山 英 男
財団法人日本規格協会
備考 ◎印は本委員会と小委員会との委員兼務,○印は小委員会を表す。