X 6281:2005 (ISO/IEC 10149:1995)
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,財団法人光産業技
術振興協会(OITDA)/財団法人 日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべ
きとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
改正に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日
本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,ISO/IEC 10149:1995,Data interchange on
read-only 120 mm optical data disks (CD-ROM)を基礎として用いた。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,
このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新案登
録願にかかわる確認について,責任はもたない。
JIS X 6281には,次に示す附属書がある。
附属書A(規定)RSPCによる誤り訂正符号化
附属書B(規定)スクランブラ
附属書C(規定)CIRCによる誤り訂正符号化
附属書D(規定)8ビットから14チャネルビットへの変換
附属書E(規定)併合ビット
附属書F(参考)保存試験
X 6281:2005 (ISO/IEC 10149:1995)
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 適合性 ··························································································································· 1
3. 引用規格 ························································································································ 1
4. 定義 ······························································································································ 2
5. 環境 ······························································································································ 2
6. 不燃焼性 ························································································································ 4
7. 材質 ······························································································································ 4
8. 機械的特性,物理的特性及び寸法特性 ················································································· 4
9. 入射面の機械的偏位 ········································································································· 9
10. 反射層の偏位 ················································································································ 9
11. 物理トラック幾何··········································································································· 9
12. 光再生システム ············································································································ 10
13. 記録の一般事項 ············································································································ 13
14. ディジタルデータトラックのセクタ·················································································· 13
15. スクランブル化 ············································································································ 15
16. F1フレーム ·················································································································· 16
17. CIRC符号化 - F2フレーム······························································································ 16
18. 制御バイト - F3フレーム及びセクション ··········································································· 16
19. ディスクへのF3フレームの記録 ······················································································ 16
20. 情報領域のトラック構造 ································································································ 17
21. 情報領域の番地付けシステム ·························································································· 18
22. ディジタルデータトラックの制御バイトの規定 ··································································· 19
附属書A(規定)RSPCによる誤り訂正符号化 ·········································································· 24
附属書B(規定)スクランブラ ······························································································ 28
附属書C(規定)CIRCによる誤り訂正符号化 ·········································································· 29
附属書D(規定)8ビットから14チャネルビットへの変換 ·························································· 34
附属書E(規定)併合ビット ································································································· 36
附属書F(参考)保存試験 ····································································································· 37
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日本工業規格 JIS
X 6281:2005
(ISO/IEC 10149:1995)
120 mm再生専用形光ディスク(CD-ROM)
Data interchange on read-only 120 mm optical data disks (CD-ROM)
序文 この規格は,1995年に第2版として発行されたISO/IEC 10149:1995,Information technology - Data
interchange on read-only 120 mm optical data disks (CD-ROM)を翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更
することなく作成した日本工業規格である。
1. 適用範囲 この規格は,情報処理システム間の情報交換用及び情報記憶用の,CD-ROMと呼ばれる120
mm光ディスクの特性について規定する。
この規格が規定する光ディスクは,利用者への配布前に情報を記録しておき,ディスクからの再生だけ
を許す種類とする。この規格は,次の規定を行う。
a) 定義,並びにディスク特性を試験しなければならない環境及びディスクを使用し保存しなければなら
ない環境
b) ディスクの機械的特性,物理的特性及び寸法特性
c) 記録特性,トラックのフォーマット,誤り検出及び誤り訂正の特性,並びに情報の符号化
d) 情報を再生するための光学的特性
これらの特性は,ディジタルデータを記録するトラックについて規定する。この規格に従って,ディス
クは,ディジタル音声データを記録する一つ以上のトラックを含んでもよい。それらのトラックは,JIS S
8605に従って記録しなければならない。
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide21に基づき,IDT(一致している),MOD(修
正している),NEQ(同等でない)とする。
ISO/IEC 10149:1995,Information technology - Data interchange on read-only 120 mm optical data
disks (CD-ROM) (IDT)
2. 適合性 光ディスクは,この規格のすべての必す(須)要件を満たすとき,この規格に適合する。
3. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格のうちで発効年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格の規定を構成
するものであって,その後の改正版・追補には適用しない。
JIS S 8605-1993 コンパクトディスクディジタルオーディオシステム
JIS X 0606:1998 情報交換用CD-ROMのボリューム構造及びファイル構造
2
X 6281:2005 (ISO/IEC 10149:1995)
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4. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次による。
4.1
オーディオトラック (audio track) ディジタル符号化した音声情報を含む情報トラック。
4.2
同心度 (concentricity) 二つの円形のものの中心が存在しなければならない円形公差区域の直径。
4.3
制御バイト (control byte) F2フレームに加える,番地情報を含む98バイトの表の中の8ビットバ
イト。
4.4
ディジタルデータトラック (digital data track) セクタの中に構成され,ディジタル利用者データを
含む情報トラック。
4.5
F1フレーム (F1 frame) スクランブラの出力であって,CIRC符号化器の入力となる24個の8ビッ
トバイトのグループ。
4.6
F2フレーム (F2 frame) CIRC符号化器の出力となる32個の8ビットバイトのグループ。
4.7
F3フレーム (F3 frame) 制御バイトをもつF2フレームであって,EFM符号化器の入力となる33個
の8ビットバイトのグループ。
4.8
情報領域 (information track) リードイン領域,利用者データ領域及びリードアウト領域からなる,
物理トラックをもつディスクの領域。
4.9
情報トラック (information track) 利用者情報の集まりを含むディスクの領域。
4.10 物理トラック (physical track) 光学ヘッドが追従する,ディスク上の連続したら(螺)旋状の線の360
度分の経路。
4.11 半径方向加速度 (radial acceleration) 指定の回転速度でのディスクの回転軸に向う物理トラックの
半径方向の加速度。
4.12 半径方向振れ (radial runout) 1回転にわたって測定される,物理トラックの回転軸への最大変位と
最小変位との差。
4.13 セクション (section) 制御バイトの一つの完全な表を含む98個のF3フレームのグループ。
4.14 セクタ (sector) 情報領域におけるディジタルデータトラックの番地付け可能な最小部分。その領域
の他の番地付け可能部分とは独立にアクセスできる。
4.15 利用者データ領域 (user data area) 利用者データを含む情報領域の部分。
5. 環境
5.1
試験環境
5.1.1
光学ヘッド 試験測定に用いる光学ヘッドは,次の特性をもたなければならない。
項目
特性
波長λ
780±10 nm
偏光
円偏光
開口数
0.45±0.01
対物レンズのひとみ(瞳)の縁での強度 最大強度値の50%以上
情報層近くのビームの波面収差の実効値は,0.07λより小さくなければならない。波面収差へのディスク
の寄与は,0.05λより小さくなければならない。
5.1.2
クランプ ディスクは,適用可能であれば,最小29 mmの内径をもち最大31 mmの外形をもつ二
つの同心円の間で,1〜2 Nの範囲の力で保持しなければならない。
3
X 6281:2005 (ISO/IEC 10149:1995)
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5.1.3
標準試験環境 特記しない限り,この規格の要件を検査するためにディスクに対して行う試験及び
測定は,次の条件下で行わなければならない。
項目
条件
備考
温度
25±10 ℃
結露がないこと。
相対湿度
45〜75 %
気圧
96±10 kPa
試験前放置時間 最小24時間
5.1.4
特定試験環境 特定試験環境と特記してある場合,試験及び測定は,次の条件下で行わなければな
らない。
項目
条件
備考
温度
23±2 ℃
結露がないこと。
相対湿度
45〜55 %
気圧
96±10 kPa
試験前放置時間 最小24時間
5.2
動作環境 データ交換用に用いるディスクは,ドライブに装着し電圧を供給してディスクの外側の
表面で測定する,次の条件下で動作しなければならない。
保存条件下にあったディスクは,動作前には少なくとも2時間,動作環境になじませなければならない。
項目
条件
備考
温度
-25〜+70 ℃
結露がないこと。
相対湿度
10〜95 %
絶対湿度
0.5〜60.0 g・m-3
最大許容衝撃温度
50 ℃
最大許容衝撃相対湿度 30 %
5.3
保存環境 保存環境は,ディスクが保存される際の周囲条件であり,次のとおリとする。附属書F
を参照されたい。
項目
条件
備考
温度
-20〜+50 ℃ 結露がないこと。
相対湿度
5〜90 %
最大湿球温度 29 ℃
気圧
75〜105 kPa
6. 不燃焼性 ディスクは,マッチの炎で着火させても,静止した二酸化炭素雰囲気中で燃焼し続けない
材質で構成しなければならない。
4
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7. 材質 この規格は,ディスクの材質を情報領域(8.6を参照)だけを対象として規定する。ディスクの残
りの部分は,この規格の必す(須)の要件を満たしている限り,どんな材質で構成してもよい。
ディスクの重さは,14〜33gの範囲内でなければならない。
8. 機械的特性,物理的特性及び寸法特性 寸法特性は,ディスクの交換と互換性のある使用にとって必
す(須)と考えられるこれらのパラメタに関して指定する。設計の自由があるところでは,示される要素の
機能特性だけを規定する。図は,要約した形式で寸法特性を示す。さまざまなディスク部分は,中心孔か
ら外縁までを示す。すべての直径は,中心孔の中心を基準とする。
他の寸法は,二つの基準面P及びQを基準とする。
図1は,ディスク部分の断面を示す。図2は,中心孔の端を拡大して示す。図3は,惰報領域のディス
クの断面を拡大して示す。図4は,周縁部の断面を拡大して示す。
図 1 ディスクの断面概要
h
3
d 1
d 2
d 3
d 4
d 6
d 7
d 8
d 9
d 5
d 11
d 10
h
5
h
4
h
6
h
9
h
11
h
1
0
h
8
h
1
2
h
1
4
h
7
h
1
3
d 1
h
1
h
2
h
3
h
4
5
X 6281:2005 (ISO/IEC 10149:1995)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図 2 中心孔の詳細断面
図 3 惰報領域の拡大断面
図 4 ディスク周縁部の詳細断面
8.1
基準面 基準面Pは,主基準面であって,クランプ領域(8.4参照)の底面の位置にある面とする。
基準面Qは,クランプ領域の上面の位置にある,基準面Pと平行な面とする。
8.2
中心孔 中心孔は,円柱形状をもたなければならない(図1及び図2を参照)。その直径は,次のとお
りとする。
d1 = 15.0
1.0
0.0
+−
mm
直径d1は,特定試験環境で測定しなければならない。
中心孔の底縁は,第1領域(8.3を参照)の底面の上に,
h1 = 0.1 mm(最大)
の高さまで,次の角度で面取りを施してよい。
α = 45°
その代わりに,この縁を0.1 mm未満の半径で丸くしてもよい。
中心孔の上縁には,バリがあってもよく,それは,第1領域の上面の上に,
h2 = 0.2 mm(最大)
まで伸びてもよい。
8.3
第1領域 第1領域は,図1での,直径d1から直径d2に及ぶ範囲とする。ここでd2は,次とおりと
する。
d2 = 206
0
+ mm
h
1
2
d 11
d 10
h
1
2
h
1
3
h
1
4
h
1
5
h
1
6
6
X 6281:2005 (ISO/IEC 10149:1995)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
第1領域全体において,ディスクの上面は,基準面Qから次に示すh3まで低くてよく,
h3 = 0.2 mm(最大)
ディスクの底面は,基準面Pから次に示すh4まで高くてよい。
h4 = 0.2 mm(最大)
さらに,
20 mm < d2 < 26 mm
で定義される第1領域の部分においては,ディスクの上面は,基準面Qから次に示すh5まで低くてよく,
h5 = 0.4 mm(最大)
ディスクの底面は,基準面Pから次に示すh6まで高くてよい。
h6 = 0.4 mm(最大)
8.4
クランプ領域 クランプ領域は,図1での,直径d2の最大値から直径d3に及ぶ範囲とする。ここで
d2の最大値及びd3は,次とおりとする。
d2 (最大) = 26 mm
d3 = 33 mm(最小)
クランプ領域の底面は,平面度が0.1 mm以内であって,基準面Pになければならい。
クランプ領域の上面は,基準面Pとの平行度が0.2 mm以内でなければならず,それが基準面Qを定義
する。
基準面Pからの上面の高さh7は,次のとおりでなければならない。
h7 = 1.2
3.0
1.0
+−
mm
8.5
第2領域 第2領域は,図1での,直径d3から直径d4に及ぶ範囲とする。ここでd4は,次のとおり
とする。
d4 = 44 mm(最大)
この領域において,ディスク底面は,基準面Pからh8まで高くてよく,基準面Pからh9まで低くてよ
い。ここでh8及びh9は,次のとおりとする。
h8 = 0.4 mm(最大)
h9 = 0.4 mm(最大)
この領域において,ディスク上面は,基準面Qからh10まで高くてよく,基準面Qからh11まで低くて
よい。ここでh10及びh11は,次のとおりとする。
h10 = 0.4 mm(最大)
h11 = 0.4 mm(最大)
8.6
情報領域 情報領域は,図1及び図3に示すとおり,直径d4から直径d5に及ぶ範囲とする。ここで
d5は,次のとおりとする。
d5 = 118 mm(最大)
情報領域は,次の区域で構成される。
a) 内周バッファ区域 直径d4から直径d6に及ぶ範囲。ここで,
d4 + 1 mm ≦ d6 ≦ 46 mm(最大)
この直径は,特定試験環境で測定されなければならない。
b) リードイン区域 直径d6から直径d7に及ぶ範囲。ここで,
d7 = 50.0
0.0
4.0
+−
mm
この直径は,特定試験環境で測定されなければならない。
7
X 6281:2005 (ISO/IEC 10149:1995)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
c) 利用者データ区域 直径d7から直径d8に及ぶ範囲。ここで,
d8 = 116 mm(最大)
この直径は,特定試験環境で測定されなければならない。
d) リードアウト区域 直径d8から直径d9に及ぶ範囲。ここで,
d9 = (d8 + 1 mm)(最小)
e) 外周バッファ区域 直径d9から直径d5に及ぶ範囲。ここで,
d9 + 1 mm ≦ d5 ≦ 118 mm
直径d4から直径d5の間,ディスクは,次のものから構成される(図3参照)。
− 透明基板
− 反射層
− 保護層
− オプションのラベル
ラベルは,直径d4〜d5の区域を越えてよい。
基準面Pからラベルまでの高さh12は,次のとおりでなければならない。
h12 = 1.2
3.0
1.0
+−
mm
透明基板の厚さeは,次のとおりでなければならない。
e = 1.2±0.1 mm
透明基板の底面は,基準面P上になければならない。
透明基板の屈折率は,1.55±0.1でなければならない。
透明基板の複屈折は,リターデーション(平行光,円偏光,垂直入射及びダブルパス)で表し,最大100 nm
でなければならない。
透明基板及び反射層の反射率は,垂直入射の平行光によって,情報領域の未記録部分で測定するとき,
最小70 %でなければならない。
100 Hz以下の周波数でのこの反射率の相対変化は,ディスクが走査速度で回転しているとき,3 %より
小さくなければならない。
これらのパラメタは,5.1.1に規定する波長で測定しなければならない。
8.7
周縁領域 周縁領域は,図1及び図4に示すとおり,直径d5からd10に及ぶ範囲とする。ここでd10
は,次のとおりとする。
d10 = 120.0±0.3 mm
この直径d10は,特定試験環境で測定しなければならない。
中心孔に内接する最大円に対する同心度は,0.2 mm以内でなければならない。
直径d5から直径d11に及ぶ区域では,d11は,次の条件をどちらも満足しなければならない。
d11 ≧ d5
117.7 mm ≦ d11 ≦ 118.3 mm
ディスクの底面は,基準面P上になければならず,基準面Pからのディスク上面の高さは,h12に等しく
なければならない。
直径d11からd10に及ぶ区域では,ディスクの底面は,基準面Pからh13まで低くてよく,ディスクの上
面は,h12よりh14まで高くてよい。
h13 = 0.1 mm(最大)
h14 = 0.1 mm(最大)
8
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h13及びh14は,次の条件を満足しなければならない。
h12 + h13 + h14 ≦ 1.5 mm
この区域では,ディスクの厚さは,図4に示すとおり,次を満たすまで減少してもよい。
h16 - h15 = 0.6 mm(最小)
8.8
一般的注意 8.2〜8.7において規定したhiで示したすべての高さは,互いに独立している。これは,
例えば,第1領域の上面が基準面Qからh3まで低くてもよく,この領域の底面が,基準面Pからh4まで
高くなくてもよいことを意味する。さらに,クランプ領域と情報領域との許容範囲を含む上面の高さ(すな
わち,h7及びh12)が同じ数値をもつが,実際の値は,同一でなくてもよい。
9. 入射面の機械的偏位 次の要件は,静止状態のディスクと,5.1.2に従ってクランプされ,走査速度で
回転しているディスクとの両方に適用する。
情報領域の底面(すなわち,再生光の入射面)は,直径d6〜d11の間で,基準面Pから±0.4 mmよりも大き
く逸脱してはならない。1回転にわたる実効値は,0.3 mmを超えてはならない。
この入射面の法線が基準面Pの法線となす角度は,直径2 mmの領域での平均で,0°36′を超えてはなら
ない。光ビームが基準面Pの法線に沿ってディスクヘ入射するとき,基準面Pの法線から半径方向への反
射ビームの角度の偏りは,±1°36′を超えてはならない。この数値は,情報層と入射面の平行度の許容範囲
を含む。
10. 反射層の偏位 5.1.2に従ってクランプされ,走査速度で回転しているディスクでは,反射層の偏位は,
光学ヘッドから見ると,基準面P(8.6参照)に関するその公称位置からの軸の偏差となる。したがってそれ
は,厚さ,屈折率及び入射面の偏位の許容範囲からなる。この偏位は,直径d4及びd5の間で測定されなけ
ればならない。
a) 500 Hz以下の周波数 反射層の公称位置のどちらの側への偏位も,0.5 mmを超えてはならない。実
効値は,0.4 mmを超えてはならない。反射層の加速度は,基準面Pの法線方向に沿って10 m/s2を超
えてはならない。
b) 500 Hz以上の周波数 公称位置のどちらの側への偏位も,1 μmを超えてはならない。
11. 物理トラック幾何
11.1 物理トラックの形状 直径d6及びd9の間に物理トラックがなければならず,それぞれのトラックは,
連続したら(螺)旋状の線の360度を形成する。
各物理トラックは,光学ヘッドによって検出できるくぼみの連続で構成されなければならない。くぼみ
を,ピットと呼び, そうでないところを平坦反射層とする。符号化した情報は,ピット長の変化及びピッ
ト間隔の変化によって表現する。ピットの深さは,12.2の要件を満すものでなければならない。
11.2 回転方向 ディスクが光学ヘッドから見て反時計方向に回転するとき,物理トラックは,外側へ向
ってら(螺)旋とならなくてはならない。
11.3 トラックピッチ ら(螺)旋は,1.6±0.1 μmのピッチをもたなければならない。
11.4 走査速度 記録中の走査速度は,1.20〜1.40 m/sでなければならず,4.3218 Mbit/sのチャネルビット
レートをもつ(19.参照)。記録時のディスクの速度変動は,±0.01 m/sでなければならない。
9
X 6281:2005 (ISO/IEC 10149:1995)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
11.5 トラックの半径方向振れ 走査速度で回転しているディスクについて,次の要件を満たさなければ
ならない。
a) 500 Hz以下の周披数 物理トラックの半径方向振れ,すなわち物理トラックと中心孔の中心との距離
の変化は,140 μm peak-to-peakを超えてはならない。
加遠度は,0.4 m/s2を超えてはならない。
b) 500 Hz以上の周波数 半径方向トラッキング信号の雑音は,周波数帯域500 Hz〜10 kHzの半径方向
サーボの閉ループ状態で測定される(サーボの開ループ伝達関数の0 dBポイントを200 Hzとし,進み
回路網のクロスオーバポイントを65 Hz及び650 Hzとする。図5参照)。
残留誤り信号の雑音の実効値は,積分時間を20 msとしたとき,(半径方向振れ換算の)トラッキング誤
りで0.03 μmより小さくなければならない。
さらに,強い単一周波数雑音の影響を避けるために,100 Hzの帯域幅をもつフィルタを500 Hz〜10 kHz
の範囲で走査して測定した場合,この実効値は,0.01 μmよりも小さくなければならない。
図 5 半径方向トラッキング測定用の開ループ伝達関数の図表現
12. 光再生システム 12.1〜12.6の要件を試験するために,反射層の情報は,5.1.1に従った光学ヘッドか
らの光ビームが透明基板を通してこの層に焦点を結んで再生されなければならない。再生時には,走査光
スポットは,反射する情報層のピットによって回折される。光学システムの対物レンズに回折して入る光
パワーは,符号化されたディジタル情報に従って変調される。変調された光電流を,高周波(HF)信号と呼
ぶ。
12.1 HF信号 図6に示すHF信号は,AC結合の前で測定する。最高基本周波数及び最低基本周波数を,
720 kHz及び196 kHzとする。最高基本周波数及び最低基本周波数の検出器電流のpeak-to-peak値を,それ
ぞれI3及びI11で示す。最低基本周波数で与えられるHF信号の最大値を,Itopで示す。
HF信号に含まれる情報は,HF信号が判定レベルIDと交差する位置の形で抽出される。この判定レベル
IDは,I3の極値の中点のレベルとする。I3及びIDの連続する交差の間には,アイパターンの三つの菱形が
ある。
10
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図 6 HF信号
12.2 変調振幅 I3,I11及びItopの関係は,次のとおりでなければならない。
0.3 ≦ I3/Itop ≦ 0.7
I11/Itop ≧ 06
12.3 対称性 判定レベルIDに関するHF信号の対称性は,次のとおりでなければならない。
-20 % ≦ (1/2 - ID/I11)×100 % ≦ +20 %
12.4 クロストーク クロストークは,ビームを二つのトラックの中間に置いたとき及びビームをトラッ
ク上に置いたときのHF信号振幅の比として測定される。この比は,0.5より小さくなければならない。
12.5 HF信号の品質
12.5.1 チャネルビットの位置ジッタ チャネルビット(19.参照)の位置ジッタは,チャネルビットレート
(11.4参照)の周波数変調を引き起こす。許容最大ジッタは,単一変調周波数に関する時間誤差として表さ
れ,図7に示される。時間誤差は,一定の走査速度(11.4参照)で測定されなければならない。
I
D
I
D
I
3
I
to
p
I
11
I
3
11
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図 7 チャネルビットの位置ジッタ対変調周波数
12.5.2 フレーム誤りの規定 8ビットバイトの1ビット以上に誤りがあれば,その8ビットバイトには誤
りがあるとしなければならない。
フレーム誤りとは,1バイト遅延セクション(図C.2参照)の後での,C1復号器の入力における,1フレ
ーム内の1バイト以上の誤りの発生をいう。任意の10秒間で平均したフレーム誤りレートは,3×10-2より
小さくなくてはならない。
12.5.3 バースト誤りの規定 1バイト遅延セクションの後で,C1復号器の入力において,1フレームに2
バイト以上の誤りが連続すると,そのフレームは,訂正不能となる。
連続する訂正不能なフレームの数は,7より小さくなくてはならない。
12.6 半径方向のトラック追従信号 走査スポットのトラックからの半径方向へのずれは,ディスクの半
径方向に非対称な回折パターンを生じる。対物レンズの開口の二つの半面(トラックの反対側に位置する。)
に回折して入る光パワーI1とI2との差分は,遠視野で測定したとき,半径方向のトラック追従用のサーボ
信号Is=I1-I2を与える。
このサーボ信号Isは,時定数15 μsの低域フィルタを通る。図8では,トラッキング信号を,スポット
の半径方向位置の関数として与える。走査スポットの半径方向の位置は,スポットがデイスク中心から半
径方向に遠ざかっている場合,Isが正の傾きでゼロを横切る際のトラックの中心にある。トラッキング信
号のこの符号は,ピットの幾何形状及び検出器の配置によって決まる。
12
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図 8 半径方向トラッキング信号対ディスク中心からの半径方向スポット位置
12.6.1 振幅 トラックの中心からビームの焦点が半径方向に0.1 μmオフセットした際に,円偏光を用い
て測定される,正の傾きでゼロを横切るトラッキング信号の傾きは,次の式で与えられる。
0.04 ≦ Is/Itop ≦ 0.07
Itopは,12.1で定義される。
同一ディスクにおいて,トラッキング信号の振幅は,その平均値から±15 %より大きく変化してはなら
ない。
12.6.2 欠陥 欠陥は,その直径が次の値を超えなければ,許容されなければならない。
a) 空気の泡の直径: 100 μm
b) 周囲に複屈折が増加した領域をもつ黒点の直径: 200 μm
c) 複屈折を伴わない黒点の直径: 300 μm
さらに,トラックに沿って隣接する欠陥同士の間隔は,最小20 mmでなければならない。
黒点は,基板中に入った汚れの粒子であったり,反射層におけるピンホールであったりする。
13. 記録の一般事項
13.1 惰報トラック 情報領域において情報を含む情報トラックを,惰報トラックという。各情報トラッ
クは,物理トラックの一部,一つの物理トラック全体,又は複数の物理トラックによって構成されなけれ
ばならない。
ディジタルデータを含む情報トラックを,ディジタルデータトラックという。これらのトラックは,14.
〜21.に示す。オーディオ情報を含む情報トラックを,オーディオトラックという。これらのトラックは,
JIS S 8605に従わなければならない。CD-ROMは,ディジタルデータトラックだけを含むか,ディジタル
データトラック及びオーディオトラックを含むかのどちらかでなければならない。
13.2 ビット符号化 符号化方式が必要とするとき,利用者データフィールドは,各々がビットを含むビ
ット位置の順序付き列と見なされなければならない。
14. ディジタルデータトラックのセクタ 情報トラックに記録されるディジタルデータは,8ビットのバ
イトに表現され,セクタにグループ化されなければならない。セクタは,情報領域の番地付け可能な最小
部分であって,独立にアクセスできる。情報トラック上のセクタ数は,可変とする。セクタ数は,情報ト
ラックに記録される情報の量に依存する。
セクタは,2352バイトで構成されなくてはならず,図10〜12に示すレイアウト構造とする。セクタの
レイアウトは,セクタモードのバイトの設定に依存する。図10〜12の中で,バイト位置は,“0”から番号
13
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付けする。位置0は,セクタの最初のバイトに対応する。( )の中の数字は,16進記法で表したバイトの内
容を示す。
セクタ 2352バイト
同期信号
12バイト
ヘッダ
2336 (00)
バイト
セクタ番地
モード
3バイト
1 (00)バイト
0 12 15 16 2351
図 10 セクタモード(00)
セクタ 2352バイト
同期
信号
12
バイト
ヘッダ
利用者
データ
EDC
中間
P
パリティ
Q
パリティ
セクタ番地
モード
2048
バイト
4
バイト
8
バイト
172
バイト
104
バイト
3
バイト
1
(01)バイト
0 12 15 16 2064 2068 2076 2248 2351
図 11 セクタモード(01)
セクタ 2352バイト
同期信号
12バイト
ヘッダ
利用者データ
2336バイト
セクタ番地
モード
3バイト
1 (02)バイト
0 12 15 16 2351
図 12 セクタモード(02)
14.1 同期信号フィールド 同期信号フィールドは,バイト位置0〜11に記録される次の12バイトで構成
されなければならない。
− 1 (00)バイト
− 10 (FF)バイト
− 1 (00)バイト
14.2 ヘッダフィールド ヘッダフィールドは,セクタ番地の3バイト及びセクタモードの1バイトで構
成されなければならない。
a) セクタ番地の3バイト リードイン領域にディジタルデータトラックがある場合,この領域にあるヘ
ッダのセクタ番地は,リードイン領域の始点からの相対経過時間によって表されるセクタの物理番地
を含まなければならない。
− 位置12のバイトは,値(A0)を加えたMINフィールド(22.3.3.3を参照)の内容に設定されなければな
らない。例えば,(03)は(A3)になる。
− 位置13のバイトは,SECフィールドの内容に設定しなければならない。
14
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− 位置14のバイトは,FRACフィールドの内容に設定されなければならない。
これらの3フィールドは,リードイン領域にあるセクションのQチャネルの部分とする(22.3.3.3及
び22.3.4.4を参照)。
利用者データ領域のセクタ番地と,リードアウト領域がディジタルデータトラックを含むときのリ
ードアウト領域のセクタ番地とは,利用者データ領域の始点からの絶対経過時間によって表される(21.
参照)セクタの物理番地を含まなければならない。
− 位置12のバイトは,A-MINフィールドの内容に設定されなければならない。
− 位置13のバイトは,A-SECフィールドの内容に設定されなければならない。
− 位置14のバイトは,A-FRACフィールドの内容に設定されなければならない。
これらの3フィールドは,セクタの同期信号がスクランブラに入ると同時にEFM符号化器から出
るセクション(18.参照)のQチャネルの部分とする(22.3.3.5を参照)。 ヘッダ中の時間は,±1秒の精度
で与えなければならない(21.参照)。 この許容範囲は,CIRC(附属書C参照)及びその他の記億レジス
タなどによって発生する遅延を考慮している。これらの遅延の大きさは,30 msのオーダ,すなわち
ディスク上の1セクタの記録長とする。
b) セクタモードの1バイト バイト位置15にあり,このバイトの設定は,次のとおりとする。
1) (00)への設定の場合は,位置16〜2351のすべてのバイトを,(00)に設定することを意味しなければ
ならない。
2) (01)への設定の場合は,位置16〜2063のすべてのバイトを利用者データバイトとし,位置2064〜
2351のバイトを14.3〜14.6に従って設定することを意味しなければならない。したがって利用者デ
ータは,EDC(誤り検出符号),ECC(誤り訂正符号)及びCIRCによって保護される。
3) (02)への設定の場合は,位置16〜2351のすべてのバイトを,利用者データバイトとすることを意味
しなければならない。利用者データは,CIRCだけによって保護される。
14.3 EDCフィールド EDCフィールドは,位置2064〜2067に記録される4バイトによって構成されな
ければならない。 誤り検出符号は,バイト位置0〜2063に適用される32ビットCRCでなければならない。
データバイトの最下位ビットを最初に用いる。EDCの符号語は,次の検査多項式によって割り切れなけれ
ばならない。
P(x) = (x16 + x15 + x2 + 1)×(x16 + x2 + x + 1)
最下位のパリティビット(x0)は,バイト位置2067の最上位ビットに記録する。
14.4 中間フィールド 中間フィールドは,位置2068〜2075に記録される8(00)バイトによって構成され
なければならない。
14.5 Pパリティフィールド Pパリティフィールドは,位置2076〜2247の172バイトによって構成され
なければならず,附属書Aに規定するとおりに,バイト位置12〜2075に計算される。
14.6 Qパリティフィールド Qパリティフィールドは,位置2248〜2351の104バイトによって構成され
なければならず,附属書Aに規定するとおりに,バイト位置12〜2247に計算される。
15. スクランブル化 各セクタの位置12〜2351のバイト(バイト12〜2351)は,附属書Bに従ってスクラ
ンブル化しなければならない。スクランブル化したセクタのレイアウト結果は,図13のとおりでなければ
ならない。
15
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12
同期信号バイト
2340
スクランブル化した8ビットバイト
0 12 2351
図 13 スクランブル後のセクタ
16. F1フレーム スクランブル化した各セクタは,一連の連続フレーム上に配置されなければならない。
各フレームは,0〜23に番号付けされた,24個の8ビットバイトで構成される。セクタの位置0のバイト
は,フレームのバイト位置4nに配置されなければならない。ここで,nは,0, 1, 2, 3, 4又は5とする。そ
のセクタの連続するバイトは,そのフレームの連続するバイトに配置される。セクタの位置2351のバイト
の直後には,次のセクタの位置0のバイトが続く。
次いで,フレームにおいて偶数-奇数番号付きの各バイト対のバイト順は予約済みとする。すなわち,バ
イト順0, 1, 2, 3, 4, 5…は,1, 0, 3, 2, 5, 4…に置き換わる。 24個の置換え済み8ビットバイトをもつこれら
のフレームを,F1フレームという。F1フレームにおけるセクタのバイト位置0の位置は,4n + 1とする。
ここで,nは,0, 1, 2, 3, 4又は5とする。
17. CIRC符号化 - F2フレーム F1フレームは,附属書Cに従って,CIRC(クロスインタリーブリードソ
ロモン)符号化器に供給されなければならない。 24バイトのF1フレームの各々は,32バイトのF2フレー
ムの各々に変換される。F1フレームの24個の8ビットバイトの各々のビットパターンは,変化しないま
まであるが,バイト自体は移動し,106個のF2フレーム上に再分配される。 パリティ情報をもつ8個の
追加8ビットバイトが加わり,各F2フレームが,32バイトで構成される。
18. 制御バイト - F3フレーム及びセクション 制御バイトと呼ぶ単一バイトは,32バイトの各F2フレー
ムに対して先頭バイトとして付加される。これが,33バイトの新たなF3フレームを生成する。
制御バイトは,22.に規定するとおり,98バイトの表(単数)から得られなければならない。制御バイト(複
数)の中の情報は,主として番地付けのために用いられる。その表(単数)の中のバイト(複数)は,表(単数)
の中のバイト0を先頭としバイト97を末尾として,CIRC符号化器から出る98個の連続したF2フレーム(複
数)に付加される。 この操作が,それぞれ33バイトから成る98個のF3フレームの集まり(複数)を生成す
る。これらをセクション(複数)と呼ぶ。これらのセクション(複数)は,セクタ(複数)とは同期していない。
すなわち,あるセクタ(単数)の先頭バイトが置かれるF1フレーム(単数)の番号と,表の最初の制御バイト
が置かれるF3フレーム(単数)の番号との関係が指定されることはない。各セクションは,制御バイト(複数)
をもつそれ自体の表(単数)をもつ。
制御バイト(複数)の生成方法を22.に規定する。
19. ディスクへのF3フレームの記録 F3フレームをディスク上に記録するために,各8ビットバイトは,
14ビットで表現されなければならない。これを14チャネルビットという。各F3フレームは,いわゆるチ
ャネルフレームによって表され,それは,同期ヘッダ,併合ビット及び33個の14チャネルビットで構成
される。
16
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19.1 EFM符号化 各セクションのF3フレームのすべての33バイトを,8ビットバイトとする。これら
は,附属書Dの表に従って14ビットバイトに変換されなければならない。これらの14ビットバイトのビ
ットをチャネルビットと呼ぶ。14チャネルビットからなるこれらのバイトは,二つの“1”の間に2〜10個
の“0”をもつという特徴をもつ。
各セクションの最初の二つのF3フレームにある最初のバイト,すなわちこれらのフレームの制御バイト
は,この表に従っては変換されず,附属書Dの表には含まれない14チャネルビットの特定の同期パター
ンを与えられる。この二つのパターンは,次のとおりでなければならない。
a) 第1フレーム,バイト0,(同期信号0という) 00100000000001
b) 第2フレーム,バイト0,(同期信号1という) 00000000010010
左端のチャネルビットが,データストリームにおいて最初に送られる。
19.2 同期ヘッダ 同期ヘッダは,24チャネルビットの次に示す列でなければならない。
100000000001000000000010
左端のチャネルビットが,データストリームにおいて最初に送られる。
19.3 併合チャネルビット 併合チャネルビットは,附属書Eに従って設定される3チャネルビットの列
でなければならず,同期ヘッダと14チャネルビットの隣接バイトとの間と同様に,14チャネルビットの
バイトの間に挿入されなければならない。
19.4 チャネルフレーム 各F3フレームは,次の構成をもつチャネルフレームに変換される。
a) 同期ヘッダ 24チャネルビット
b) 併合ビット 3チャネルビット
c) 制御バイト 14チャネルビット
d) 併合ビット 3チャネルビット
e) それぞれの後に併合ビットを伴うバイト1〜32 32×(14 + 3) = 544 チャネルビット
これらのチャネルビットは,物理トラックに沿ってディスク上に記録されなければならない。チャネル
ビット“1”は,反射層においてピットからランドへの変化又はランドからピットへの変化によって表されな
ければならない。チャネルビット“0”は,反射層における無変化によって表されなければならない。
20. 情報領域のトラック構造 情報領域は,次の領域に情報トラックを含む。
− リードイン領域
− 利用者データ領域
− リードアウト領域
リードイン領域は,リードイントラックという情報トラックだけを含む。リードアウト領域は,リード
アウトトラックという一つだけの情報トラックを含む。
利用者データは,利用者データ領域の情報トラックに記録されなければならない。ディジタルデータを
含むすべての情報トラックは,セクタの中に構造化されなければならない。
情報領域の情報トラックを連結するために,これらのトラックは,次のものを含んでよい。
a) 休止区間 休止区間は,情報トラックの一部分とし,制御情報だけを含んで,利用者データは含まな
い。
b) プリギャップ プリギャップは,利用者データを含まず,休止区間として符号化されるディジタルデ
ータトラックの最初の部分とする。プリギャップは,次の二つの期間に分けられる。
1) 第1期間 先行のトラックとして符号化された最小75セクション(最小1秒)。すなわち,Qチャネ
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ル(22.3参照)の制御フィールド(22.3.1参照),及び先行のディジタルデータトラックの場合のセクタ
モードバイトの設定は,前の情報トラックのそれらと同じとする。
2) 第2期間 最小150セクション(最小2秒)。ここでは,Qチャネルの制御フィールド,及びセクタ
モードバイトの設定は,利用者データを記録するトラック部分のそれらと同じとする。プリギャッ
プのこの期間においては,データは,セクタの中で構造化される。
c) ポストギャップ ポストギャップは,ディジタルデータトラックの最後の部分であって,利用者デー
タを含まず,セクタの中で構造化される。ポストギャップの長さは,最小150セクション(最小2秒)
とする。Qチャネルの制御フィールドの設定及びセクタモードバイトの設定は,利用者データを記録
するトラック部分のそれらと同じとする。
20.1 リードイン領域 リードイントラックは,ディジタルデータトラック又はオーディオトラックのど
ちらかとする。ディジタルデータトラックのとき,それはセクタの中に構造化されなければならず,ポス
トギャップで終了しなければならない。オーディオトラックのときは,それはJIS S 8605に従わなければ
ならない。
20.2 利用者データ領域 利用者データ領域の情報トラックは,ディジタルデータトラックだけとするか,
又はディジタルデータトラック及びオーディオトラックとするかのどちらかでなければならない。 次の規
則が,利用者データ領域の中のトラックに適用される。
a) 最初の情報トラックが,ディジタルデータトラックのとき,それは,150セクション(2秒)の休止区間
で始まり,プリギャップの第2期間として符号化されなければならない。
b) 利用者データ領域における最初のトラックではないディジタルデータトラックは,前のトラックが別
のセクタモードをもつディジタルデータトラックであるか又はオーディオトラックであるとき,プリ
ギャップで始まらなければならない。
c) ディジタルデータトラックは,後のトラックがオーディオトラックであるとき,ポストギャップで終
らなければならない。この規則は,リードアウトトラックが後に続く,利用者データ領域における最
後のディジタルデータトラックにも適用される。
20.3 リードアウト領域 リードアウトトラックは,ディジタルデータトラック又はオーディオトラック
のどちらかとする。リードアウトトラックがディジタルデータトラックであるときは,それは,プリギャ
ップなしでセクタの中に構成されなければならない。リードアウトトラックがオーディオトラックである
ときは,それは,JIS S 8605に従わなければならない。
21. 情報領域の番地付けシステム ディスク上の情報トラックのセクションの番地は,利用者データ領域
の開始からそのセクションまでの経過時間として与えられる。この時間は,各セクションの制御バイトの
中に記録され,絶対時間と呼ばれる。絶対時間は,1/75秒の分解能をもつ。この時間は,毎秒4.3218×106
チャネルビットのディスクからのデータの転送速度のために与えられる。これは,厳密に毎秒75セクショ
ンになる。
セクタの番地は,絶対時間としてもセクタヘッダに記録される。記録中のセクタのセクションへのマッ
ピングが,18.に残している自由度のために実装依存であるので,セクタの番地は,セクションの番地への
規定された関係をもたない。したがって,セクタの番地は,セクタがCIRC符号化器に入る直前に書き込
まれる。
セクタのヘッダにおける絶対時間の公称値は,セクタの同期信号がCIRC符号化器に入る瞬間にEFM符
号化器によって処理されるセクションの制御バイトに記録した絶対時間に等しくなければならない。この
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規定は,CIRC符号化器が記録電子回路における唯一の遅延要素であることを前提としている。
セクタのヘッダの番地における公称時間の許容範囲は,±1秒でなければならない。この許容範囲は,こ
の規格に実装の自由を残すために,セクションの記録時間(1/75秒)及びセクタの記録時間に比較して大き
い。
各セクタは一意の番地をもつ。情報トラックの利用者データをもつ最初のセクタの番地は,ディスクの
目次(TOC, table of contents)の中に記録される(22.3.4参照)。したがってTOCは,制御バイト中の±1秒の精
度をもつ絶対時間によって,ディスク上の情報トラックの開始を指定する。
22. ディジタルデータトラックの制御バイトの規定 前の規定(18.を参照)のとおり,各セクションの各F3
フレームは,その先頭バイトとして,制御バイトを含む。各セクションについて,制御バイトは,次に示
す表を構成する。この表(図14参照)の内容は,1/75秒ごとに,すなわちセクションが処理されるのと同じ
レートで,更新される。
バイト
番号
b8 b7 b6 b5 b4 b3 b2 b1
P
Q
R
S
T
U
V W
0
1
2
.
.
.
.
.
96
97
同期信号0
同期信号1
図 14 制御バイト
各バイトは,b1〜b8に番号付けされた8ビットを構成する。ここでビットb8を最上位ビットとする。
セクションの制御バイトの表は,それぞれ96ビットからなるPチャネル,Qチャネル, …, Vチャネル及
びWチャネルと呼ばれる8個のチャネルを規定する。バイト0及びバイト1は,前の規定(19.1を参照)の
とおり,別の扱いとする。
22.1 R〜Wチャネルの設定 これらの6チャネル,すなわち各F3フレームの制御バイトのビットb1〜b6
は,使用されず,常に“0”に設定される。
22.2 Pチャネルの設定 連続するセクションのすべてのPチャネルは,情報領域のPチャネルを構成す
る。
このPチャネルは,フラグを,各々が情報トラックの始点を示すように設定するために用いられる。フ
ラグは,“1”に設定されたビットの列によって指定される。それ以外の場合は,Pチャネルのビットは,“0”
に設定される。一つのセクションのPチャネルのすべてのビットは,同じ値に設定されなければならない。
フラグ(すなわち,Pチャネルにおける“1”の連続した列)の最小長は,2秒(すなわち,150セクション)で
なければならない。Pチャネルにおいて“1”をもつ最後のF3フレーム(すなわち,制御バイトのビットb8が
19
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“1”に設定されている最後のF3フレーム)は,利用者データを含む最初のセクションでなければならない。
情報トラックが,2秒より長い休止区間で始まるとき,フラグは,この休止区間と同じ長さをもたなけ
ればならない。
リードインラックのPチャネルのビットは,“0”に設定されなければならない。
利用者データ領域内の最後の情報トラックのPチャネルは,2〜3秒(すなわち,150〜225セクション)
のフラグで終了しなければならない。その終端は,リードアウトトラックの始点を表さなければならない。
リードアウトトラックにおいては,Pチャネルのビットは,2〜3秒の間“0”に設定される。それから,Pチ
ャネルのビットは,2.00±0.04 Hzのレート及び50±5 %のデューティサイクルで,交互に“1”及び“0”となる。
22.3 Qチャネルの設定 連続するセクションのすべてのQチャネルは,情報領域のQチャネルを構成す
る。
Qチャネルは,後で規定するとおり,詳細な制御情報を含む。セクションのQチャネルの最上位ビット
は,F3フレームNo.2のそれとし,データストリームにおいて最初に送られる。したがって,Qチャネルの
ビットは,それが記録されるフレームの番号に従って番号付けされる。
セクションのQチャネルのレイアウトは,図15のとおりでなければならない。
96ビット
制御
Qモード
Qデータ
CRC
4
ビット
4
ビット
72
ビット
16
ビット
2 6 10 82 97
図 15 Qチャネルのレイアウト
22.3.1 制御フィールド Qチャネルの最初のフィールドである制御フィールドは,位置2〜5の4ビット
で構成されなければならない。それは,情報トラックに記録された利用者データの型を指定し,この利用
者データがコピーされてもいいかどうかを指定する。
a) (0100)への設定の場合 利用者データはディジタルデータであって,コピーしてはならないことを意
味しなければならない。
b) (0110)への設定の場合 利用者データはディジタルデータであって,コピーしてもよいことを意味し
なければならない。
左端のビットは最上位ビットであり,位置2に記録される。
制御フィールドのビットは,最短2秒の休止区間(すなわち,インデクスフィールドが“0”に設定された
とき。22.3.3.2を参照。)又はリードイン領域だけにおいて変更できる。ただし,二つのセクションの間で
変更できるコピービット,すなわち左から3番目のビットを除く。
制御フィールドの他の設定は,オーディオトラックだけに適用される(JIS S 8605参照)。
22.3.2 Qモードフィールド Qチャネルの2番目フィールドであるQモードフィールドは,位置6〜9の
4ビットで構成されなければならない。それは,Qデータフィールドの内容を規定する(22.3.3,22.3.4及び
22.3.5を参照)。
それは,Qモード1すなわち0001,又はQモード2すなわち0010に設定されなければならない。Qモ
ード3は,オーディオトラックだけに適用される(JIS S 8605参照)。 Qモード1の情報は,10セクション
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の各連続において少なくても9回繰り返される。Qモード2があると,それは,100セクションの各連続
において少なくても1回繰り返される。
22.3.3 利用者データ領域及びリードアウト領域のQモード1のQデータフィールド Qデータフィール
ドは,時間情報を含む。位置10〜81におけるQデータフィールドの72ビットのレイアウトは,利用者デ
ータ領域及びリードアウト領域において次のとおりでなければならない。最上位ビットは,位置10に記録
される。
TNO
インデクス
MIN
SEC
FRAC
ゼロ
A-MIN
A-SEC
A-FRAC
10 81
図 16 利用者データ領域及びリードアウト領域のQデータフィールド
次に示すフィールドのほとんどは,それぞれが4ビットバイトでの2進記法で記録された,2けた(桁)
の10進数で表される数値を含む。 フィールドの内容が数値でなく,特定のビットパターンの場合は,16
進記法で表示される。
Qデータフィールドの各フィールドは,8ビットから成る。
22.3.3.1 TNOフィールド TNOフィールドは,セクションが属する情報トラックのトラック番号を指定
する。
トラック番号01〜99は,利用者データ領域の情報トラックの番号でなければならない。連続する情報ト
ラックは,連続して番号付けされなければならない。ディスクの利用者データ領域の最初の情報トラック
は,トラック番号01をもたなければならない。
(AA)に設定されるとき,TNOフィールドはリードアウトトラックを指定する。
22.3.3.2 インデクスフィールド インデクスフィールドは,情報トラックの細分を規定するインデクスを
含む。
a) インデクス00 インデクスのこの値は,セクションが休止区間として符号化されることを表す。休止
区間の全長は,00に設定されたインデクスをもつ連続したセクションの数に対応する。
b) インデクス01〜99 これらの値は,利用者データを含む情報トラックの部分の細分のインデクスを指
定する。最初の細分は,インデクス01をもたなければならない。連続した細分は,連続したインデク
スの値をもたなければならない。
リードアウトトラックのインデクスフィールドは,01に設定されなければならない。
22.3.3.3 MIN,SEC及びFRACフィールド これらの3フィールドは,相対時間を指定する。すなわち,
各情報トラックの中での走行時間の分をMINフィールドで指定し,秒をSECフィールドで指定し,1/75
秒の倍数をFRACフィールドの00〜74によって指定する。
休止区間(すなわち,インデクス = 00)の始点で,相対時間は,休止区間の時間に設定される。休止区間
においてこの相対時間は減少し,最後のセクションで0になる。
利用者データ領域の情報トラックの利用者データ部分の最初のセクション(インデクス = 01),及びリー
ドアウトトラックの最初のセクション(インデクス = 01)において,相対時間は0に設定される。それは,
情報トラックの終端まで増加する。
22.3.3.4 ゼロフィールド このフィールドのすべての8ビットは,“0”に設定されなければならない。
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22.3.3.5 A-MIN,A-SEC及びA-FRACフィールド これらの3フィールドは,絶対時間を指定する。す
なわち,利用者データ領域の開始からこのフィールドが属するセクションまでの経過時間を指定する(21.
参照)。それは,分をA-MINフィールドで記録し,秒をA-SECフィールドで記録し,1/75秒の倍数をA-FRAC
フィールドの00〜74によって記録する。
利用者データ領域の最初の情報トラックの最初のセクション(8.6に示す,直径d7の位置)において,この
絶対時間は0に設定される。絶対時間は,リードアウトトラックの終端まで増加する。
絶対時間は,ディスク上の各セクションの位置を規定し,番地付けに用いられる。
22.3.4 リードイン領域のQモード1のデータフィールド リードイン領域において,Qチャネルは,デ
ィスクの目次(TOC)を含む。各Qデータフィールドは,この表の一つの項目を含む。 各項目は,3個の連
続したセクションの中で3回繰り返される。項目は,情報トラックの利用者データの始点の番地を表示す
る。それは,±1秒の精度をもつ絶対時間で表される。項目は,トラック番号ポインタ,並びにインデクス
= 01をもつトラックの最初のセクションの位置P-MIN,P-SEC及びP-FRACから成る。 各項目の制御フ
ィールドは,ポインタが参照する情報トラックの中で使われる制御フィールドと同一とする。 利用者デー
タ領域のすべての連続する情報トラックが表の中に3回リストされた後,(A0),(A1)及び(A2)に設定され
たポインタフィールドをもつ,三つの追加項目が各々3回表に加えられる。 リードイントラックでは,こ
の表全体が連続的に繰り返される。リードイントラックの終端では,ポインタのどんな値でも目次を終了
できる。
リードイン領域のQデータフィールドは,次のレイアウトをもたなければならない。最上位ビットは,
位置10に記録される。
TNO
ポインタ
MIN
SEC
FRAC
ゼロ
P-MIN
P-SEC
P-FRAC
10 81
図 17 リードイン領域のQデータフィールド
22.3.4.1 TNOのフィールド TNOのフィールドは,リードイントラックを識別する00に設定しなければ
ならない。
22.3.4.2 ポインタ,P-MIN,P-SEC及びP-FRACフィールド ポインタフィールドは,10進数の値01〜
99又は16進数の値のどちらかに設定されなければならない。
00〜99に設定した場含,それは,情報トラックのトラック番号を指定する。この場合,P-MIN,P-SEC
及びP-FRACフィールドは,この情報トラックのインデクス = 01をもつ最初のセクションの位置を,絶
対時間で指定する。
(A0)に設定した場合,P-MINのフィールドは,利用者データ領域の最初の情報トラックのトラック番号
を指定し,P-SEC及びP-FRACフィールドのすべてのビットは,“0”に設定される。
(A1)に設定した場合,P-MINのフィールドは,利用者データ領域の最後の情報トラックのトラック番号
を指定し,P-SEC,P-FRACのフィールドのすべてのビットは,“0”に設定される。
(A2)に設定した場合,P-MIN,P-SEC及びP-FRACのフィールドは,リードアウトトラックの始点を指
定し,したがってリードアウトトラックの最初のセクションの番地を指定する。
22.3.4.3 ゼロフィールド このフィールドのすべての8ビットは,“0”に設定されなければならない。
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22.3.4.4 MIN,SEC及びFRACフィールド これらのフィールド(22.3.3.3参照)によって指定されるリー
ドイン領域の相対時間は,リードイントラックの始点において任意の値に設定され得る。それは,トラッ
クの終端まで増加する。
22.3.5 情報領域のQモード2のQデータフィールド Qデータフィールドは,ディスクのカタログ番号
を含む。 Qチャネルの位置10〜81におけるQデータフィールドの72ビットのレイアウトは,次のとお
りでなければならない。
N1 N2 N3 N4 N5 N6 N7 N8 N9 N10 N11 N12 N13
ゼロ
P-FRAC
10 81
図 18 情報領域のQデータフィールド
22.3.5.1 カタログフィールド ディスクのカタログ番号N1〜N13は,国際品番協会EAN(International
Article Numbering Association)の品番規格EAN/UPCに従って,識別番号を形成する2進記法で記録される
13けた(桁)によって表される。カタログ番号は,1枚のディスク上では変わらない。
カタログ番号が与えられない場合は,N1〜N13をすべて“0”に設定するか,ディスクからQモード2を
削除するかのどちらかでなければならない。
22.3.5.2 ゼロフィールド このフィールドのすべての12ビットは,“0”に設定されなければならない。
22.3.5.3 A-FRACフィールド このフィールドは,先行セクションのQチャネルのA-FRACフィールド
に指定される時間の連続として,1/75秒の倍数の絶対時間を含む。これらの8ビットは,リードイントラ
ックにおいて“0”に設定されなければならない。
22.3.6 CRCフィールド このフィールドは,制御,Qモード及びQデータフィールドに関して計算され
る16ビットの巡回冗長検査文字を,位置82〜97において指定する。このフィールドは,反転パリティビ
ットを含む。CRC符号語は,検査多項式によって割り切れなくてはならない。CRCの最上位ビットは,Q
チャネルの位置82になければならない。
生成多項式は,次のとおりでなければならない。
G(x) = x16 + x12 + x5 + 1
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附属書A(規定)RSPCによる誤り訂正符号化
A.1 一般 セクタの誤り訂正符号化は,リードソロモン積符号(RSPC)によって実行される。
A.2 入カ 各セクタのバイト12〜2075(14.参照)は,RSPC符号化器に入力される。これらの入力バイト
及びパリティフィールドのバイト2076〜2351は,それぞれがRSPC専用の2個の8ビットバイトの1170
語に順序付けられる。各語Sは,2個のバイトBから成る。すなわち,最上位バイト(MSB)の位置にある
一つの語,及び最下位バイト(LSB)にある一つの語から成る。n番目の語は,次のバイトから成る。
S(n) = MSB[B(2n + 13)] + LSB[B(2n + 12)]
ここで,n = 0〜1169 とする。
RSPCは,バイトへの演算に際して,2回適用される。1回は,MSBを構成する符号語に対して適用さ
れ,もう1回は,LSBを構成する符号語に対して適用される。RSPCの各適用におけるバイトの番号は,
そのバイトを含む語の番号に等しい。
A.3 符号化 RSPCは,GF(28)の積符号であり,Pパリティバイト及びQパリティバイトを生成する。GF(28)
のフィールドは,次の原始多項式によって生成される。
P(x) = x8 + x4 + x3 + x2 + 1
GF(28)の原始根は次のとおり。
α = (00000010)
ここで,右端のビットを最下位ビットとする。
次の規定は,MSBとLSBとについて同一とする。各バイト集合は,次の行列の中に配置される。
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43列は,GF(28)に関する(26, 24)リードソロモン符号語であるPベクトルを示す。Np番目のベクトルは,
次のバイトを含む。
24バイトに関して計算された2個のPパリティバイトが,ベクトルの最後に付加される。Vpは,次の
式を満す。
Hp×Vp = 0
ここで,パリティチェック行列Hpは,次のとおりとする。
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行列の26項を,GF(28)に関する(45, 43)リードソロモン符号語であるQベクトルとする。Qベクトルが
行として書かれるとき,次の行列がバイト集合に対して得られる。
Nq番目のQベクトルは,次のバイトを含む。
(44Mq + 43Nq)は,1118を法として計算しなければならない。43ビットにわたって計算された2個のQ
パリティバイトが,ベクトルの最後に付加される。
Vqは,次の式を満す。
Hq×Vq = 0
ここで,パリティチェック行列Hqは,次のとおりとする。
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A.4 出カ セクタのバイト0〜2075は,RSPCの出力において,変更されない。セクタのバイト2076〜
2351は,A.2に与えられる規則に従って,語1032〜1169のパリティバイトで満たされる。語1032のLSB
は,バイト2076に記録され,語1169のMSBは,セクタのバイト2351に記録される。
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附属書B(規定)スクランブラ
EFM符号化器に供給される通常のビットパターンは,併合ビットがディジタル合計値を減少できないと
(附属書Eを参照),大きなディジタル合計値を生じ得る。スクランブラは,セクタのバイト12〜2351のビ
ットを規定の方法で変換することによって,この恐れを減らす。スクランブラの入力ストリームの各ビッ
トは,最大長レジスタの最下位ビットに2を法として加算する。各バイトの最下位ビットが,入力ストリ
ームの最初にくる。 15ビットのレジスタは,並列ブロック同期型であり,多項式 x15 + x + 1 に従って,
フィードバックされる。 セクタの同期信号の後,レジスタは,値0000 0000 0000 0001にプリセットされ
る。ここで1を,最下位ビットとする。
図 B.1 スクランブラ
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附属書C(規定)CIRCによる誤り訂正符号化
C.1 一般 F1フレームの誤り訂正符号化は,3段の遅延セクション並びに2個の符号化器C1(図C.1参照)
及びC2(図C.2参照)から成るクロスインタリーブリードソロモン符号(CIRC)の符号化器によって実行され
る。このCIRCは,JIS S 8605に規定されるものと同一とする。
C.2 入カ 符号化器の入力は,各F1フレームの24バイトから成る。これらのバイトは,それぞれA及
びBと示される二つの8ビットバイトの12語に順序付けられる。F1フレームNo.nのバイト0は,W12n,A
と表示され,バイト23は,W12n+11,Bと表示される(図C.1参照)。
C.3 第1遅延セクション 第1遅延セクションのインタリーブ方式(図C.2参照)は,語を二つのグループ
に分割し,一つのグループが,F1フレーム時間の2倍遅延する。
C.4 符号化器C2 誤り訂正符号化器C2は,(28, 24)リードソロモン符号を生成する。入力の24バイト
から,4個のパリティバイトQ(C.7参照)を出力する。
C.5 第2遅延セクション 第2遅延セクションは,一連の28遅延(F1フレーム時間の0〜27D倍)から成
る。ここで,Dは4に等しい。
C.6 符号化器C1 誤り訂正符号化器C1は,(32, 28)リードソロモン符号を生成する。入力の28バイト
から,4個のパリティバイトP(C.7参照)を出力する。
C.7 パリティ記号 C1符号化器及びC2符号化器の8個のパリティバイトP及びQは,次の式を満たす。
Hp = Vp = 0
Hq = Vq = 0
ベクトルVp及びVqを,図C.3に示す。
行列Hp及びHqを,次に示す。
GF(28)のフィールドに関する計算は,次の多項式によって定義される。
P(x) = x8 + x4 + x3 + x2 + 1
GF(28)の原始根を次に示す。
α = (00000010)
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ここで,右端のビットを最下位ビットとする。
C.8 第3遅延セクション 第3遅延セクションは,C1符号化器からの一つおきの各バイトに,F1フレー
ム時間の遅延を与える。
C.9 出力 CIRC符号化器の出力は,図C.4に示されるとおり,F2フレームにグループ化される。Pバイ
ト及びQバイトのすべてのパリティビットは,符号化器を出る前に反転される。符号化器の入力から出力
までのバイトの最大遅延は,F1フレーム時間の108倍とする。バイトの最小遅延は,F1フレーム時間の3
倍とする。
図C.1 CIRC符号化器
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図C.2 CIRC復号器
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図 C.3 CIRCの列ベクトル
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図 C.4 CIRC符号化器出力の構造
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附属書D(規定)8ビットから14チャネルビットへの変換
8ビットバイトの左端のビット及び14チャネルビットバイトの左端のチャネルビットは,最上位ビット
とする。データストリームにおいて,最上位チャネルビットが最初に送られる。
図 D.1 8ビットから14チャネルビットへの変換
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図 D.1 8ビットから14チャネルビットへの変換 (続き)
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附属書E(規定)併合ビット
14個のチャネルビットの各グループは,二つの“1”の間に,及び連続するグループの間にも,2〜10個の
“0”があるという要求を満たすために,3個の併合ビットによって前置される。この目的には2個の併合ビ
ットで充分であるが,ディジタル合計値(DSV)を最小にすることを可能にするために,3番目のビットが付
加される。与えられた位置でのDSVは,ディスクの開始から指定位置までのチャネルビットの値の合計と
する。信頼性のある半径方向トラッキングを可能にし,HF信号の交差の信頼性のある検知を可能にする
ために,DSVはできるだけ0に近くなければならない。
併合ビットは,次のとおりでなければならない。
a) “1”の連続の間の“0”の個数は,どこでも2〜10とする。
b) パターン100000000001000000000010は,同期ヘッダの位置だけで生じる。
c) 20 kHzより低い周波数のパワースペクトルは,次に示す最小システムのスペクトル以下でなければな
らない。
DSVを初期化する。 (DSV = 0)
データの最後まで全フレームに関して実行する。
同期ヘッダを送る。
DSVを更新する。
33バイトに関して実行する。(1制御,12データ,4パリティ,12データ,4パリティ)
バイトを獲得する。
すべての4とおりの可能な併合ビット組合せに関して実行する。
次の理由で禁止された組合せか。
a) “1”の間の2〜10個の“0”の規則に違反する。
b) 同期ヘッダが誤りを含む。
はい いいえ
組合せをスキップする。
各組合せ及び次のバイト(最小のDSVを与
える組合せを保つ。)に関してDSVを決定す
る。二つの組合せが同一の最小DSVを与え
るときは,”1”を含む組合せを選択しなけれ
ばならない。
3個の併合ビットを送ってから,14個のチャネルビットがDSVを更新する。
- 同期ヘッダに関する併合ビットとしてのDSVの基準に従って,000又は100を送る。
- DSVを更新。
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附属書F(参考)保存試験
この附属書は,本体及び附属書(規定)に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。
ディスクがこの規格の5.3に規定される保存条件に成功裏に耐えるかどうかを評価するために,次の二
つの試験が実行できる。
F.1
JIS C 60028-2-30:2003, 環境試験方法(電気・電子)温湿度サイクル(12+12時間サイクル)試験方法。デ
ィスクは,40 ℃,6サイクルの厳しさでこの試験にかけることが望ましい。
F.2
JIS C 60028-2-2:2000, 環境試験方法−電気・電子−高温(耐熱性)−試験方法。ディスクは,55 ℃,
96時間の厳しさでこの試験にかけることが望ましい。
F.3
これらの試験から回復した後,ディスクは,この規格のすべての必す(須)要件を満足しなければなら
ない。
F.4
F.3の条件を満足すれば,記録された情報は,保存期間の後に利用可能であることが期待できる。