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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

X 4301-1995 

(ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

連続階調静止画像のディジタル圧縮 

及び符号処理 

第1部 要件及び指針 

Digital compression and coding of continuous-tone still images : 

Requirement and guidelines 

日本工業規格としてのまえがき 

この規格は,1994年第1版として発行されたISO/IEC 10918-1 (Information technology-Digital compression 

and coding of continuous-tone still images-Part 1 : Requirements and guidelines) を翻訳し,技術的内容及び規格

票の様式を変更することなく作成した日本工業規格である。 

1. 適用範囲 この規格は,連続階調,単色又はカラーのディジタル静止画データに適用する。この規格

は,圧縮画像データを必要とする多様な応用に適用できるが,2値画像データには適用できない。 

この規格は,次の事項を規定する。 

(1) 原画像データから圧縮画像データへの変換処理 

(2) 圧縮画像データから再生画像データへの変換処理 

(3) これらの処理を実装する際の指針 

(4) 圧縮画像データの符号化表現 

参考 この規格は,完全な符号化画像表現を規定するものではない。符号化画像表現にはアスペクト

比,色空間指定などの引数も含める必要があるが,これらは,応用に依存する。 

2. 引用規格 

ISO 5807 : 1985 Information processing−Documentation symbols and conventions for data, program and 

system flow-charts, program network charts and system resources charts 

備考 JIS X 0121(情報処理用流れ図・プログラム網図・システム資源図記号)−1986が,この規

格と一致している。 

参考 この規格では,流れ図をJIS X 0121の規約に従って描く。ただし,左から右又は上から下

への流れに対して,規約では矢印を必要としないが,より明確にするために矢印を付ける

ことがある。 

3. 用語・略語・記号 

3.1 

用語の定義及び略語 この規格で用いる主な用語及び略語の定義は,次のとおりとする。 

X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

3.1.1 

簡易様式 (abbreviated format)  復号時に必要な表の一部若しくはすべてを含まない圧縮画像デー

タ表現,又はフレームヘッダ,走査ヘッダ及びエントロピー符号化された部分列を含まない表指定データ

の表現。 

3.1.2 

交流係数 (AC coefficient)  最低1次元において,周波数がゼロでないDCT係数。 

3.1.3 

(適応)(2値)算術復号 [(adaptive) (binary) arithmetic decoding]  算術符号器によって生成される

ビットの連続からシンボルの連続を復元するエントロピー復号処理。 

3.1.4 

(適応)(2値)算術符号化 (adaptive) (binary) arithmetic encoding]  その時点までに符号化された

シンボルの連続に対する確率の再帰的な部分分割を用いて,符号化を行うエントロピー符号化処理。 

3.1.5 

応用環境 (application enviroment)  その特定の応用のために設定されたデータの表現,転送及び格

納の形式 

の規定。 

3.1.6 

算術復号器 (arithmetic decoder)  算術復号処理を実際に行うもの。 

3.1.7 

算術符号器 (arithmetic encoder)  算術符号化処理を実際に行うもの。 

3.1.8 

基本処理(順次) [baseline (sequential)]  この規格で規定している特定の順次DCT利用型の符号

化処理及び復号処理。これは,すべてのDCT利用型の復号処理で必要となる。 

3.1.9 

2値判定 (binary decision)  二者択一の選択。 

3.1.10 ビット系列 (bit stream)  エントロピー符号化された部分列を含むビットの列であって,部分的に

符号化又は復号されたもの。 

3.1.11 ブロック (block)  8×8の標本の配列又は一つの成分のDCT係数値の8×8の配列。 

3.1.12 ブロック行 (block-row)  8×8ブロックに区切られる,八つの連続する成分行の連続。 

3.1.13 バイト (byte)  8ビットの一塊。オクテット。 

3.1.14 バイト挿入 (byte stuffing)  ハフマン符号器又は算術符号器において,エントロピー符号化された

部分列に16進で0×FFバイトが発生したとき,その直後にゼロを示すバイトを挿入する処理。 

3.1.15 けた上げビット (carry bit)  算術符号器のレジスタ内のビットであって,符号レジスタのけた上げ

あふれが出力バイト用の8ビットを超えてあふれた場合に1となるもの。 

3.1.16 天井関数 (ceiling function)  実数値に対して,その値以上の最小の整数を設定することで,その最

大の整数部分を取り出す数学処理。 

3.1.17 (符号処理の)種別 [class (of coding process)]  非可逆及び可逆の一群の符号処理。 

3.1.18 符号レジスタ (code register)  部分的に完結したエントロピー符号化された部分列の最下位ビッ

トを保持する算術符号器レジスタ,又は部分的に復号されたエントロピー符号部分列の最上位ビットを保

持する算術復号器レジスタ。 

3.1.19 符号処理器 (coder)  符号処理を実際に行うもの。 

3.1.20 符号処理 (coding)  符号化及び復号。 

3.1.21 符号処理モデル (coding model)  入力データを符号処理してシンボルに変換する処理手順。 

3.1.22 (符号)処理 [ (coding) process]  符号化,復号又はその両者を指す一般的な用語。 

3.1.23 カラー画像 (colour image)  複数の成分をもつ連続階調画像。 

3.1.24 列 (columns)   一つの成分における行に並んだ標本。 

3.1.25 成分 (component)  画像を構成する2次元配列の一つ。 

3.1.26 圧縮データ (compressed data)  圧縮画像データ,表指定データ又はその両者。 

3.1.27 圧縮画像データ (compressed image data)  この規格に従った,画像の符号化表現。 

X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

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3.1.28 圧縮 (compression)  原画像データを表現するために必要なビット数を低減すること。 

3.1.29 条件付き交換 (conditional exchange)  (算術符号処理において,)LPS確率間隔の大きさがMPS

確率間隔より大きい場合に,MPSとLPSとの確率間隔を交換すること。 

3.1.30 (条件付き)確率推定 [(conditional) probability estimate]  (算術符号処理において,)確率予測状

態遷移図によってLPSに割り当てられる確率値。 

3.1.31 条件表 (conditioning table)  算術符号処理において,それまでの符号処理判定と条件付き確率推定

値との関係を指定する引数の集合。 

3.1.32 文脈 (context)  (算術復号において,)既に符号処理された2値判定の集合。これは,確率推定

状態遷移図へのインデックスを作成する際に用いる。 

3.1.33 連続階調画像 (continuous-tone image)  成分が各標本ごとに2ビット以上ある画像。 

3.1.34 データ単位 (data unit)  DCT利用型処理における1ブロック。可逆処理における1標本。 

3.1.35 直流係数 (DC coefficient)  二つの次元のどちらについてもその周波数がゼロであるDCT係数。 

3.1.36 直流係数予測 (DC prediction)  DCT利用型の符号器で用いられる処理で,着目する量子化された

直流係数から,同じ成分の中で直前に符号化した8×8ブロックの量子化された直流係数を引く処理手順。 

3.1.37 (DCT) 係数 [(DCT) coefficient]  それぞれの余弦基底関数の振幅。元のDCT係数,量子化された

DCT係数又は逆量子化されたDCT係数を示す。 

3.1.38 復号器 (decoder)  復号処理を実際に行うもの。 

3.1.39 復号処理 (decoding process)  圧縮画像データを入力として受け取り,連続階調画像を出力する処

理。 

3.1.40 既定値 (default conditioning)  画像の符号処理を開始する際に,算術符号処理の条件表用の値とし

て設定されている値。 

3.1.41 逆量子化 (dequantization)  復号器においてDCT係数を復元するために用いる量子化の逆の処理

手順。 

3.1.42 成分差分 (differential component)  (階層型符号処理において,)原画から得られた入力成分と前

のフレームから得られた対応する参照成分との差。 

3.1.43 差分フレーム (differential frame)  階層型処理において,成分差分の符号化又は復号を行うフレー

ム。 

3.1.44 (ディジタル)再生画像(データ) [(digital) reconstructed image (data)]  この規格で規定するすべ

ての復号器の出力として得られる連続階調画像。 

3.1.45 (ディジタル)原画像(データ) [(digital) source image (data)]  この規格で規定するすべての符号

器への入力となる連続階調画像。 

3.1.46 (ディジタル)(静止)画像 [(digital)  (still) image]  整数データの2次元配列からなる集合。 

3.1.47 離散余弦変換,DCT (discrete cosine transform, DCT)  順方向離散余弦変換又は逆離散余弦変換。 

3.1.48 標本減少(フィルタ) [downsampling (filter)]  (階層型符号処理において,)画像の空間解像度を

削減する処理手順。 

3.1.49 符号器 (encoder)  符号化処理を実際に行うもの。 

3.1.50 符号化処理 (encodingprocess)  連続階調画像を入力として,圧縮画像データを出力する処理。 

3.1.51 エントロピー符号化(データ)部分列 [entropy-coded (data) segment]  独立に復号できる,圧縮画

像データのエントロピー符号化されたバイトの列。 

X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

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3.1.52 (エントロピー符号化部分列)指標 [(entropy-coded segment) pointer]  エントロピー符号化部分列

における,最も新しく挿入された又は取り出されたバイトを示す変数。 

3.1.53 エントロピー復号器 (entropy decoder)  エントロピー復号処理を実際に行うもの。 

3.1.54 エントロピー復号 (entropy decoding)  エントロピー符号器で生成されたビットの連続からシン

ボルの連続を復元する可逆処理手順。 

3.1.55 エントロピー符号器 (entropy encoder)  エントロピー符号化処理を実際に行うもの。 

3.1.56 エントロピー符号化 (entropy encoding)  シンボルごとの平均ビット数が入力シンボルのエント

ロピーに近づくように,入力シンボルの連続をビットの連続に変換する可逆処理手順。 

3.1.57 拡張(DCT利用型の)処理 [extended (DCT-based) process]  基本順次処理に対して追加機能をも

つDCT利用型の符号化処理及び復号処理を表す用語。 

3.1.58 正離散余弦変換,FDCT (forward discrete cosine transform, FDCT)  1ブロックの標本を元のDCT係

数の対応する1ブロックに変換する,余弦基底関数を用いた数学的な変換。 

3.1.59 フレーム (frame)  画像の一つ以上の成分のデータにおける,(いずれも同一のDCT型又は可逆

処理を用いた,)一つ以上の走査からなる集合。 

3.1.60 フレームヘッダ (frame header)  フレーム開始マーカ及び関連するフレーム引数を含み,フレーム

の先頭で符号化されるマーカ部分列。 

3.1.61 周波数 (frequency)  DCT係数の2次元配列に対する2次元インデックス。 

3.1.62 (周波数)帯域 [(frequency) band]  (段階モードの符号処理において,)ジグザグ順序での一連の

係数列。 

3.1.63 完全段階処理 (full progression)  (段階モードの符号処理において,)周波数選択と逐次近似との

両方を用いた処理。 

3.1.64 単色階調画像 (grayscale image)  1成分しかもたない連続階調画像。 

3.1.65 階層型 (hierarchical)  与えられた成分に対する最初のフレームに続けて,元のデータと,その成

分に対する直前のフレームから復元したデータとの差分を符号化したフレームが続く,画像の符号処理モ

ードの一つ。フレーム間で解像度を変更することも可能である。 

3.1.66 階層型復号器 (hierarchical decoder)  それぞれの成分に対して最初のフレームの後に,各成分に対

する差分配列を復号し,直前のフレームから復元したデータに付け加えるフレームが続く一連の復号器処

理。 

3.1.67 階層型符号器 (hierarchical enoder)  各成分について最初のフレームの後に,元のデータと,その

成分について一つ前のフレームから復元したデータとの差分配列を符号化したフレームが続く符号処理モ

ード。 

3.1.68 水平抽出比率 (horizontal sampling factor)  ある特定成分の水平データ単位の,他の成分における

水平データ単位数に対する比。 

3.1.69 ハフマン復号器 (Huffman decoder)  ハフマン復号処理を実際に行うもの。 

3.1.70 ハフマン復号 (Huffman decoding)  ハフマン符号器で生成された各可変長符号からシンボルを復

元するエントロピー復号処理。 

3.1.71 ハフマン符号器 (Huffman encoder)  ハフマン符号化処理を実際に行うもの。 

3.1.72 ハフマン符号化 (Huffman encoding)  入力シンボルのそれぞれに可変長符号を割り当てるエント

ロピー符号化処理。 

3.1.73 ハフマン符号表 (Huffman table)  ハフマン符号器及びハフマン復号器に必要な可変長符号の集合。 

X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

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3.1.74 画像データ (image data)  原画像データ又は再生画像データ。 

3.1.75 交換様式 (interchange format)  応用環境間での交換用圧縮画像データの様式。 

3.1.76 インタリーブ (interleaved)  1走査内において各成分のデータ単位を特定の順序で重畳させるこ

とを繰り返す手法。 

3.1.77 逆離散余弦変換,IDCT (inverse discrete cosine transform ; IDCT)  逆量子化されたDCT係数の1ブ

ロックを対応する標本のブロックに変換する余弦型関数を用いる数学上の変換。 

3.1.78 ジョイントフォトグラフィックエキスパートグループ,JPEG (Joint Photographic Experts Group, 

JPEG)  この規格の原国際規格を作成した協議会の非公式な名称。“ジョイント”は,CCITTとISO/IEC

との協力関係に由来している。 

3.1.79 潜伏出力 (latent output)  (算術符号処理において,)けた上げあふれの決定を保留している算術

符号器の出力。 

3.1.80 劣勢シンボル (less probablesymbol, LPS)  2値判定において,確率の低い判定値。 

3.1.81 レベルシフト (level shift)  DCT利用型の符号器及び復号器で用いられる処理で,各入力標本は,

符号なし表現から2の補数表現に変換されるか,2の補数表現から符号なし表現に変換される。 

3.1.82 可逆 (lossless)  復号処理の出力が符号化処理への入力に等しいことを示す符号化処理,復号処理

及び処理手順に用いられる表現。 

3.1.83 可逆符号処理 (lossless coding)  この規格で定義される,すべての処理が可逆である符号化処理の

どれか一つに従った符号処理モード(附属書H参照)。 

3.1.84 不可逆 (lossy)  可逆でない符号化処理及び復号処理を示す表現。 

3.1.85 マーカ (marker)  最初のバイトが16進のFF (XʼFFʼ) で,2番目のバイトが1と16進のFE (XʼFEʼ) 

との間の値である2バイトコード。 

3.1.86 マーカ部分列 (marker segment)  一つのマーカ及びそれに付随する引数の集合。 

3.1.87 MCU行 (MCU-raw)  MCUの集合としてもっとも小さいもので,走査における各成分の少なくと

も1行分の標本又は一つのブロック行を含んでいる。 

3.1.88 最小符号化単位,MCU (minimum coded unit, MCU)  符号化されるもっとも小さいデータ単位の集

合。 

3.1.89 (符号処理)モード [modes (of operation)]  この規格に定められた,画像符号処理の四つの主な種

類。 

3.1.90 優勢シンボル,MPS (more probable symbol, MPS)  2値判定における,より大きな確率をもつ判定

値。 

3.1.91 非差分フレーム (non-differential frame)  階層型符号器又は復号器におけるすべての成分について

の最初のフレーム。各成分は,参照成分との差分をとることなく符号化又は復号される。この用語は,階

層型以外のモードにおけるフレームのことも示す。 

3.1.92 非インタリーブ (non-interleaved)  走査が一つの成分しかもたないときのデータ単位を生成する

処理を行う手法。 

3.1.93 引数 (parameters)  圧縮データ形式で用いられる固定長の4,8及び16のビット長の整数。 

3.1.94 小数点移動 (point transform)  標本又はDCT係数を定数倍する変換。 

3.1.95 精度 (precision)  ある特定の標本又はDCT係数に割り当てられるビット数。 

3.1.96 予測器 (predictor)  (可逆モードの符号処理において,)先に符号化され,復元された値の線形の

組合せ。 

X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

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3.1.97 確率推定状態表 (probability estimation state machine)  (算術符号処理において)確率値とインデ

ックスとの相互の関連を示す表で,LPSの確率の予測に用いられる。 

3.1.98 確率間隔 (probability interval)  (算術符号処理において,)順序づけられたすべての起こり得る2

値判定の組合せのうちの,特定の組合せの確率。 

3.1.99 (確率)部分間隔 [(probability) sub-interval]  (算術符号処理において,)二つの起こり得る2値

判定値のいずれかに割り当てられる確率間隔の一部。 

3.1.100 処理手順 (procedure)  符号化処理又は復号処理を構成する処理の一つを実現する手段の集合。 

3.1.101 処理 (process)  符号処理を参照。 

3.1.102 段階(符号処理) [progressive (coding)]  復元された画像の質が各走査によって改善されるDCT

利用型処理の一つであって,この規格で定義されているもの。 

3.1.103 DCT利用型の段階 (progressive DCT-based)  この規格の附属書Gで定義されているDCT利用型

処理の一つを示す符号処理モード。 

3.1.104 量子化表 (quantization table)  DCT係数を量子化するために用いられる64個の量子化幅。 

3.1.105 量子化幅 (quantization value)  量子化処理で用いられる整数値。 

3.1.106 量子化 (quantize)  DCT係数を量子化する処理。 

3.1.107 参照(再生)成分 [reference (reconstructed) component]  階層型の符号化又は復号処理の次のフレ

ームで用いられる,復元された成分データ。 

3.1.108 再正規化 (renormalization)  (算術符号処理において,)確率間隔及び符号レジスタ値を確率間隔

が定められた最小値を超えるまで続けて2倍すること。 

3.1.109 符号化再初期化間隔 (restart interval)  1走査において独立して処理されるMCUの数。 

3.1.110 符号化再初期化マーカ (restart marker)  1走査における二つの符号化再初期化間隔を分離するマ

ーカ。 

3.1.111 連(の長さ) [run (length)]  同じ値のシンボルが連続する数。 

3.1.112 標本 (sample)  1成分を構成する2次元配列における1要素。 

3.1.113 標本インタリーブ (sample-interleaved)  1走査において,各成分からなる標本の小さな集合を,あ

る特定の順に繰り返し多重することを示す用語。 

3.1.114 走査 (scan)  一つの画像において,一つ以上の成分のデータを通る単一の経路。 

3.1.115 走査ヘッダ (scan header)  1走査の最初で符号化される,走査開始マーカ及び関連する走査引数。 

3.1.116 順次(符号処理) [sequential (coding)]  画像の各成分が単一走査内で符号化される可逆又はDCT

利用型の符号処理の一つであって,この規格で定められたもの。 

3.1.117 DCT利用型の順次処理 (sequential DCT-based)  この規格の附属書Fで定められた処理の一つを示

す符号処理モード。 

3.1.118 周波数選択 (spectral selection)  ジグザグ順序を一つ以上の連続した係数の帯域に分け,各帯域が

1走査で符号化される段階符号処理。 

3.1.119 スタックカウンタ (stack counter)  算術符号器におけるけた上げあふれの決定を保留している

XʼFFʼバイトの総計。 

3.1.120 統計的条件付け (statistical conditioning)  前の符号処理の決定に基づいて,条件付き確率推定の1

セットから一つの予測値を選択すること。 

3.1.121 統計的モデル (statistical model)  ある特定の条件付き確率推定の,2値算術符号化決定値のそれぞ

れへの割当て。 

X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

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3.1.122 統計的領域 (statistic area)  算術符号処理を使用する符号処理に必要な統計器の配列。 

3.1.123 統計器 (statistic bin)  ある特定の算術符号処理の2値判定に用いられる条件付き確率推定値を認

識するインデックスが記録されている記憶領域の場所。 

3.1.124 逐次近似 (successive approximation)  係数が最初の走査で精度を落として符号化され,それに続く

各走査ごとに精度が1ビットずつ増えていく段階符号処理。 

3.1.125 表指定データ (table specification data)  符号器及び復号器で用いられる表が生成され,そのデステ

ィネーションが示される符号化表現形式。 

3.1.126 符号変換 (transcoder)  一つの符号化処理の圧縮画像データを,他の符号化処理の圧縮画像データ

に変換する処理。 

3.1.127 (一様)量子化 [(uniform) quantization]  圧縮を行うために,DCT係数が線形に縮小される処理。 

3.1.128 標本増加(フィルタ) [upsampling (filter)]  (階層型の符号処理において,)画像の空間解像度が

増加する処理。 

3.1.129 垂直抽出比率 (vertical sampling factor)  ある特定成分の垂直データ単位の,他の成分における垂

直データ単位数に対する比。 

3.1.130 ゼロを示すバイト (zero byte)  Xʼ00ʼバイト。 

3.1.131 ジグザグ順序 (zig-zag sequence)  最も低い空間周波数から最大値までのDCT係数のある特定の

並びを示す順序。 

3.1.132 3点予測器 (3-sample predictor)  (可逆モードの符号化において,)三つの近傍の復元した標本の,

左及び上への線形組合せ。 

3.2 

記号 この規格で用いる記号を,次に示す。 

A: 

確率間隔 

AC: 

DCT係数の交流係数成分 

AC↓ji↑: 

直流係数値から予測される交流係数 

Ah: 

逐次近似ビット位置,high 

Al: 

逐次近似ビット位置,low 

Ap↓i↑: 

APP↓n↑部分列におけるi番目の8ビット引数 

APP↓n↑: 

アプリケーション部分列用のマーカ 

B: 

圧縮データにおける現在のバイト 

B2: 

圧縮データにおける,B=XʼFFʼの次のバイト 

BE: 

逐次近似処理における,ハフマン符号処理のための蓄積された補正ビット用

カウンタ 

BITS: 

それぞれの長さのハフマン符号の数を含む16バイト表 

BP: 

圧縮されたデータへの指標 

BPST: 

エントロピー符号化された部分列の開始の前のバイトへの指標 

BR: 

逐次近似処理における,ハフマン符号処理のための蓄積された補正ビット用

カウンタ 

Bx: 

けた上げあふれによって変化したバイト 

C: 

符号レジスタにおけるビット系列の値 

C↓i↑: 

フレームに対する成分のID 

C↓u↑: 

DCTにおける,水平周波数に依存する倍率 

X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

C↓v↑: 

DCTにおける,垂直周波数に依存する倍率 

CE: 

条件付き交換 

C-low: 

算術復号器の符号レジスタの下位16ビット 

Cm↓i↑: 

COM部分列におけるi番目の8ビット引数 

CNT: 

NEXTBYTE処理におけるビットカウンタ 

CODE: 

ハフマン符号値 

CODESIZE (V): 

記号Vの符号長 

COM: 

コメントマーカ 

Cs: 

条件付き表の値 

Cs↓i↑: 

走査に対する成分のID 

CT: 

再正規化シフトカウンタ 

Cx: 

算術復号器の符号レジスタの上位16ビット 

d↓ij↑: 

水平位置i,垂直位置jからのデータ単位 

d↓ij↑k↓: 

成分kに対するdij 

D: 

復号された決定値 

Da: 

DCの符号処理における,同一成分からの一つ前のブロック用に符号化され

たDCの差分。 

可逆符号処理における,すぐ左の標本の符号処理値との差分 

DAC: 

算術符号化を定義する条件付きマーカ 

Db: 

すぐ上の標本の符号処理値との差分 

DC: 

DCT係数の直流係数成分 

DC↓i↑: 

成分におけるi番目のブロックの直流係数 

DC↓k↑: 

交流係数の予測に用いられるk番目の直流係数値 

DHP: 

階層化段階処理を定義するマーカ 

DHT: 

ハフマン符号表を定義するマーカ 

DIFF: 

量子化された直流係数値と予測値との差分 

DNL: 

行数を定義するマーカ 

DQT: 

量子化表を定義するマーカ 

DRI: 

符号化再初期化間隔を定義するマーカ 

E: 

マグニチュードカテゴリの上位境界におけるべき指数 

EC: 

イベントカウンタ 

ECS: 

エントロピー符号化された部分列の略称 

ECS↓i↑: 

i番目のエントロピー符号化された部分列 

Eh: 

EXP部分列における水平拡張引数 

EHUFCO: 

符号器用のハフマン符号表 

EHUFSI: 

ハフマン符号長の符号化表 

EOB: 

順次モードにおけるブロックの終わり。段階モードにおける帯域の終わり 

EOBn: 

EOB連についての連の長さカテゴリ 

EOBx: 

前の逐次近似走査におけるEOBの位置 

EOB0,EOB1,...EOB14: 

EOB連に対する連の長さのカテゴリ 

X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

EOI: 

画像終了を表すマーカ 

Ev: 

EXP部分列における垂直拡張引数 

EXP: 

拡張参照成分を表すマーカ 

FREQ (V): 

記号Vの現れる頻度 

H↓i↑: 

i番目の成分に対する水平抽出比率 

H↓max↑: 

もっとも大きい水平抽出比率 

HUFFCODE: 

HUFFSIZEにおける長さに対応するハフマン符号表 

HUFFSIZE: 

符号長の表 

HUFFVAL: 

各ハフマン符号に割り当てられる値の表 

i.: 

添字インデックス 

I: 

整数変数 

Index (S): 

文脈インデックスSに対する確率推定状態表へのインデックス 

j: 

添字インデックス 

J: 

整数変数 

JPG: 

JPEG拡張版用のマーカ 

JPG↓n↑: 

JPEG拡張版用のマーカ 

k: 

添字インデックス 

K: 

整数変数 

Kmin: 

帯域における1番目の交流係数のインデックス(順次DCTにつき一つ) 

Kx: 

AC算術符号化モデルに対する条件付き引数 

L: 

DC及び可逆符号化条件付き下位境界引数 

L↓i↑: 

DHT部分列におけるBITS表の要素 

L↓i↑ (t): 

ハフマン符号表tに対するDHT部分列におけるBITS表の要素 

La: 

APPn部分列における引数の長さ 

LASTK: 

Kの最大値 

Lc: 

COM部分列における引数の長さ 

Ld: 

DNL部分列における引数の長さ 

Le: 

EXP部分列における引数の長さ 

Lf: 

フレームヘッダ引数の長さ 

Lh: 

DHT部分列における引数の長さ 

Lp: 

DAC部分列における引数の長さ 

LPS: 

(算術符号化における)劣性シンボル 

Lq: 

DQT部分列における引数の長さ 

Lr: 

DRI部分列における引数の長さ 

Ls: 

走査ヘッダ引数の長さ 

LSB: 

最下位ビット 

m: 

RSTmマーカ用のモジュロ8カウンタ 

m↓t↑: 

ハフマン符号表tに対するVij引数の数 

M: 

Vのマグニチュードを符号処理する際に用いられるビットマスク 

M↓n↑: 

ビットパターンカテゴリーのマグニチュードを符号処理するための,n番目

10 

X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

の統計器 

MAXCODE: 

各符号長に対するハフマン符号の最大値をもつ表 

MCU: 

最小符号処理単位 

MCUR: 

一つのMCU行を作成するために必要なMCUの数 

MINCODE: 

各符号長に対するハフマン符号の最小値をもつ表 

MPS: 

(算術符号化における,)優勢シンボル 

MPS (S): 

文脈インデックスSに対する優勢シンボル 

MSB: 

最上位ビット 

M2,M3,M4,...M15: 

算術符号化モデルにおける,マグニチュードビットの符号処理用の文脈イン

デックスの表現 

n: 

整数変数 

N: 

MCUの符号処理のためのデータ単位カウンタ 

N/A: 

適切でない 

Nb: 

MCUにおけるデータ単位の数 

Next̲Index̲LPS: 

LPS再正規化の後のIndex(S)の新しい値 

Next̲Index̲MPS: 

MPS再正規化の後のIndex(S)の新しい値 

Nf: 

フレームにおける成分の数 

NL: 

DNL部分列で定義された行数 

Ns: 

走査における成分の数 

OTHERS (V): 

チェーンにおける次のシンボルへのインデックス 

P: 

標本精度 

Pq: 

DQT部分列における量子化精度の引数 

Pq (t): 

量子化表tに対するDQT部分列における量子化精度の引数 

PRED: 

成分の直前のブロックから量子化した直流係数 

Pt: 

小数点移動の信号引数 

Px: 

標本の演算値 

Q↓ji↑: 

係数ACjiの量子化値 

Q↓vu↑: 

DCT係数Svuに対する量子化値 

Q↓00↑: 

直流係数の量子化値 

QAC↓ji↑: 

直流係数値から予測して量子化された交流係数 

QDC↓k↑: 

交流係数の予測で用いられるk番目の量子化された直流係数値 

Qe: 

LPSの確率予測値 

Qe (S): 

文脈インデックスS用のLPS確率予測値 

Qk: 

DQT部分列における64個の量子化されたもののうち,k番目の要素 

r↓vu↑: 

再生画像の標本 

R: 

ゼロ振幅の交流係数の連の長さ 

R↓vu↑: 

逆量子化されたDCT係数 

Ra: 

再生標本値 

Rb: 

再生標本値 

Rc: 

再生標本値 

11 

X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

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Rd: 

予測演算時の丸め 

RES: 

予約されたマーカ 

Ri: 

DRI部分列における符号化再初期化間隔 

RS: 

交流係数のハフマン符号化で用いられる混合値 

RST↓m↑: 

符号化再初期化マーカ 

RRRR: 

ゼロ交流係数の連の長さの4ビット値 

s↓yx↑: 

IDCTから復元された値 

S: 

文脈インデックス 

S↓vu↑: 

水平周波数u,垂直周波数vにおけるDCT係数 

SC: 

逐次近似符号処理における,補正ビットの符号処理用文脈インデックス 

Se: 

ジグザグ順序における周波数選択バンドの終了 

SE: 

ブロックの終了又は帯域の終了の符号処理用文脈インデックス 

SI: 

ハフマン符号の大きさ 

SIGN: 

復号された符号が負の場合1で,復号された符号が正の場合0 

SIZE: 

ハフマン符号の長さ 

SLL: 

論理左シフト操作 

SLLαβ: 

αに対するβビット分の論理左シフト 

SN: 

Vが負の場合の,最初のマグニチュードカテゴリーの符号処理に対する文脈

インデックス 

SOF↓0↑: 

基本処理DCT処理のフレーム開始マーカ 

SOF↓1↑: 

拡張順次DCTのフレーム開始マーカ,ハフマン符号処理 

SOF↓2↑: 

段階DCTのフレーム開始マーカ,ハフマン符号処理 

SOF↓3↑: 

可逆処理のフレーム開始マーカ,ハフマン符号処理 

SOF↓5↑: 

差分順次DCTのフレーム開始マーカ,ハフマン符号処理 

SOF↓6↑: 

差分段階DCTのフレーム開始マーカ,ハフマン符号処理 

SOF↓7↑: 

差分可逆処理のフレーム開始マーカ,ハフマン符号処理 

SOF↓9↑: 

順次DCTのフレーム開始マーカ,算術符号処理 

SOF↓10↑: 

段階DCTのフレーム開始マーカ,算術符号処理 

SOF↓11↑: 

可逆処理のフレーム開始マーカ,算術符号処理 

SOF↓13↑: 

差分順次DCTのフレーム開始マーカ,算術符号処理 

SOF↓14↑: 

差分段階DCTのフレーム開始マーカ,算術符号処理 

SOF↓15↑: 

差分可逆処理のフレーム開始マーカ,算術符号処理 

SOI: 

画像の始まりを示すマーカ 

SOS: 

走査の始まりを示すマーカ 

SP: 

Vが正の場合の,最初のマグニチュードカテゴリの符号処理に対する文脈イ

ンデックス 

Sq↓vu↑: 

量子化されたDCT係数 

SRL: 

論理右シフト操作 

SRLαβ: 

αに対するβビット分の論理右シフト 

Ss: 

周波数選択におけるジグザグ順序での帯域の始まり 

12 

X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

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SS: 

符号決定の符号処理用文脈インデックス 

SSSS: 

直流係数差分又は交流係数の4ビット長のカテゴリ 

ST: 

スタックカウンタ 

Switch̲MPS: 

MPSの逆処理を制御する引数 

Sz: 

Vの振幅を符号化する際に用いられる引数 

t: 

引数の範囲を計算するための加算値インデックス 

T: 

一時的な変数 

Ta↓j↑: 

走査におけるj番目の成分用の交流係数エントロピー表セレクタ 

Tb: 

算術条件表のデスティネーションID 

Tc: 

ハフマン符号処理又は算術符号処理の表種別 

Td↓j↑: 

走査におけるj番目の成分用の直流係数エントロピー表セレクタ 

TEM: 

テンポラリマーカ 

Th: 

DHT部分列における,ハフマン符号表デスティネーションID 

Tq: 

DQT部分列における量子化表ID 

Tqi: 

フレームにおけるi番目の成分用量子化表セレクタ 

U: 

直流係数及び可逆符号化の条件付き上位境界引数 

V: 

符号化若しくは復号されているシンボル又は値 

V↓i↑: 

i番目の成分の垂直抽出比率 

V↓ij↑: 

HUFFVALにおける長さiのj番目の値 

V↓max↑: 

垂直抽出比率の最大値 

V↓t↑: 

テンポラリ変数 

VALPTR: 

各符号長についてHUFFVALにおける最初の値のインデックス表 

V1: 

記号値 

V2: 

記号値 

x↓i↑: 

i番目の成分における列の数 

X: 

水平方向の大きさが最大の成分における,行ごとの標本数 

X↓i↑: 

マグニチュードカテゴリ決定値を符号化する際に用いられるi番目の統計器 

Xl,X2,X3,...X15: 

算術符号処理モデルにおける,マグニチュードカテゴリの符号処理用文脈イ

ンデックス 

XHUFCO: 

拡張ハフマン符号表 

XHUFSI: 

拡張ハフマン符号の大きさの表 

Xʼvaluesʼ: 

引用付で囲まれた値が16進数であることを示す 

y↓i↑: 

i番目の成分における行の数 

Y: 

垂直方向の大きさが最大の成分における行数 

ZRL: 

HUFFVALにおいて,16個のゼロ係数の連に割り当てられる値 

ZZ (k): 

量子化されたDCT係数のジグザグ順序におけるk番目の要素 

ZZ (0): 

ジグザグ順序における量子化された直流係数 

4. 概要 ここでは,この規格で規定する要素の概要を示す。3.用語・略語・記号に現れた用語は,その

初出の個所に下線を付けて示す。 

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13 

X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

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4.1 

規定対象要素 この規格では,次の3要素を規定する。 

(1) 符号器 符号器 (encoder) は,符号化処理 (encoding process) を体現したものをいう。符号器は,ディ

ジタル原画像データ (digital source image data) 及び表指定データ (table specifications) を入力とし,指

定された一連の処理手順 (procedure) によって,圧縮画像データ (compressed image data) を出力とし

て作り出す(図1参照)。 

(2) 復号器 復号器 (decoder) は,復号処理 (decoding process) を体現したものをいう。復号器は,圧縮画

像データ及び表指定データを入力とし,指定された一連の処理手順によってディジタル再生画像デー

タ (digital reconstructed image data) を出力として作り出す(図2参照)。 

(3) 交換様式 交換様式 (interchange format) は,圧縮画像データを,その符号化処理で用いたすべての表

指定データとともに,表現したもの(図3参照)をいう。交換様式は,応用環境 (application environments) 

の間での情報交換に用いる。 

図1 符号器 

図2 復号器 

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14 

X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

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図3 圧縮画像データの交換様式 

図1及び図2は,原画像及び再生画像が連続階調 (continuous-tone) であって,複数の成分 (components) 

をもつ一般の場合を示している。(カラー画像 (colour image) は,複数の成分をもつ。単色階調画像 

(grayscale image) は,単一の成分をもつ)。この規格では,複数成分からなる画像を,柔軟に,しかも応用

に依存しないで扱う方法に多くの部分を割く。 

図1及び図2は,また,原画像を圧縮する際に符号器に与えたのと同じ表指定データを,その画像を再

生する際の復号器に与えられなければならないことを示している。しかし,この規格ではそれぞれの応用

が,この表指定データをどのような形で圧縮データに添えるか,それぞれの環境内部で原画像データをど

のように表現するべきか,について何も規定しない。 

したがって,この規格で規定する交換様式(図3参照)には,表指定データが圧縮画像データの一部と

して含めてある。指定した符号化処理によって応用環境Aで圧縮された画像は,交換様式を使って,他の

応用環境Bに渡される。この交換様式は,完全な符号処理画像表現を規定するものではない。色空間のよ

うな応用に依存する情報は,この規格の規定外とする。 

4.2 

不可逆圧縮・可逆圧縮 この規格は,符号化処理及び復号処理に対して,不可逆 (lossy) 処理及び可

逆 (lossless) 処理の二つの種別 (class) を規定する。不可逆処理は,離散余弦変換 (discrete cosine transform, 

DCT) に基づき,大幅な圧縮を可能としながら,符号器に入力された原画像に対して高い視覚的忠実度を

もった再生画像の生成を可能とする。 

最も単純なDCT利用型の符号処理 (coding process) を基本処理順次 (baseline sequential) という。この処

理は,多くの応用に対して十分な機能を提供する。さらに,この基本処理順次をより広い応用に使えるよ

うに拡張したDCT利用型の処理もある。拡張DCT利用型 (extended DCT-based) の復号処理を行える復号

器は,基本復号処理を備えて,標準の復号能力を確保しなければならない。 

第2の種別の符号処理は,DCTを用いず,可逆圧縮 (compression) を必要とする応用での要求に対応す

る。可逆符号化処理及び可逆復号処理は,DCT利用型の処理とは独立に使用できる。 

不可逆及び可逆の符号処理それぞれの関係をまとめて表1(4.11参照)に示す。 

これらの処理で得られる圧縮の程度は,圧縮される画像の特性に依存するし,応用で必要としている画

質及び望ましい圧縮・伸長の速度にも依存する。 

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15 

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4.3 

DCT利用型符号処理 DCTに基づく符号化処理で主体となる処理手順を図4に示す。図4では,話

を単純化して,画像が単一成分である特殊な場合を扱っている。こうしても,この規格で規定する処理が

いずれも個々の画像成分に独立に働くため,一般性を失わない。 

符号化処理では,入力となった成分の標本 (sample) を,8×8のブロック (block) ごとにまとめ,それ

ぞれのブロックに正離散余弦変換 (forward DCT,FDCT) を施して,DCT係数 (DCT coefficients) と呼ぶ

64の値に変換する。DCT係数のうち,1個を直流係数 (DC coefficient) といい,他の63個を交流係数 (AC 

coefficients) という。 

64個の係数は,それぞれ,対応する64個の値をもつ量子化表 (quantization table) (図4に示す表指定

データの一つによって決定される)を用いて量子化 (quantized) する。この規格では,量子化表の既定の

値は規定しない。画質が,画像の特性,表示装置,及び視条件等にあったものとなるように,それぞれの

応用において値を決めてよい。 

図4 DCT利用型符号器(単純化したブロック図) 

量子化の後,直流係数及び63個の交流係数は,図5に示すとおりに配置して,エントロピー符号化 

(entropy encoding) の前処理をする。現在処理中のブロックの直前のブロックの量子化直流係数を用いて,

今回のブロックの量子化直流係数を予測し,その差分を符号化する。63個の交流係数については,このよ

うな差分の符号化は行わず,代わって,図5に示すとおりの1次元のジグザグ順序 (zig-zag sequence) に

並べ直す。 

こうした処理を終えた量子化DCT係数は,エントロピー符号化処理手順に渡し,そこでさらにデータを

圧縮する。エントロピー符号化処理手順には,4.6に規定するとおり,2種類がある。ハフマン符号化 

(Huffman encoding) を用いる場合には,ハフマン符号表 (Huffman table) を復号器に与えなければならない。

算術符号化 (arithmetic encoding) を用いる場合には,算術符号化条件表 (conditioning table) を復号器に与

えなければならない。 

DCTに基づくすべての復号処理での主体となる処理手順を図6に示す。それぞれの手続きは,符号器で

の対応する主処理手順の逆操作を行う。エントロピー復号器は,ジグザグ順序の量子化DCT係数に復号す

る。逆量子化 (dequantization) の後,得られたDCT係数に逆離散余弦変換 (inverse DCT : IDCT) を施すこ

とよって,8×8の標本ブロックに再生する。 

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16 

X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

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図5 量子化係数をエントロピー符号化にかけるための処置 

図6 DCT利用型復号器(単純化したブロック図) 

4.4 

可逆符号処理 可逆符号化処理の主体となる処理手順を図7に示す。予測器 (predictor) は,隣接す

る位置a,b及びcでの再生された標本値から,位置xの標本値を予測する(図8参照)。この予測値から,

位置xの実際の標本値を減算し,その差分値をハフマン符号化又は算術符号化を使って可逆エントロピー

符号化を行う。 

図7 可逆符号器(単純化したブロック図) 

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17 

X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

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図8 3点予測の隣接点 

この符号化処理に少し手を加え,可逆符号化に先立って入力となる標本の精度 (precision) を1ビット以

上引き下げるようにしてもよい。こうすることで,元の可逆処理よりも高い圧縮率を得ることができ(た

だし,同等の画質のDCT利用型の処理ほどには圧縮できない),その再生画像での標本の誤差は最悪の場

合でも,この入力時の標本のビット引下げの大きさ程度に抑えることができる。 

4.5 

符号処理モード それぞれの符号化処理の元になる符号処理モード (modes of operation) には,DCT

利用型の順次処理 (sequential DCT-based),DCT利用型の段階処理 (progressive DCT-based),可逆処理及び

階層型処理 (hierarchical) の四つがある(これらのすべてを実装する必要はない。)。可逆モードについては

4.4に示す。その他の符号処理モードについての比較を,次に示す。 

DCT利用型の順次処理モードでは,原則として,8×8の標本ブロックは,1ブロックずつ左から右に入

力し,こうしたブロック行 (block-row) を上から下へ順に入力する。それぞれのブロックはFDCTによっ

て変換し,量子化を施し,エントロピー符号化にかけるための処置が終わると,その量子化した64個の量

子化DCT係数をエントロピー符号化して直接に圧縮画像データの一部分として出力するため(4.3参照),

係数を保持しておく記憶の量は最小で済む。 

DCT利用型の段階処理モードでは,原則として,8×8の標本ブロックは,順次処理モードと同じ順序で

符号化されるが,画像に対して複数回の走査 (scan) を施す。このために,量子化器とエントロピー符号器

の間に,画像の大きさに応じた係数メモリバッファ(図4には示していない。)を設けて,それぞれのブロ

ックがFDCTによって変換し,量子化を施すとともに,その係数をバッファに保持する。バッファ内の

DCT係数は,複数回の走査のたびに,分割して符号化する。順次処理モードと段階処理モードとで,復号

器の出力に現れる画像の再生状況がどうなるかを図9に例示する。 

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18 

X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

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図9 段階処理モードと順次処理モードでの再生状況 

それぞれの走査において,バッファ内の量子化した係数を分割して符号化するのに,2種類の処理手順

がある。第1の方法では,ジグザグ順序の中の特定の帯域 (band) にある係数だけを符号化していく。こ

の処理手順を周波数選択 (spectral selection) という。これは,それぞれの帯域が,通常,8×8の標本ブロ

ックでの,周波数 (frequency) スペクトルの特定領域を占めることに由来する。第2の方法では,その帯

域の係数を,それぞれの走査で完全な(量子化)精度までには符号化しないでおく。係数の最初の符号化

では,MSBから特定のビット数だけを符号化する。以後の走査ではそれに続くLSB側のビットを符号化

する。この処理手順を逐次近似 (successive approximation) という。これらの二つの処理手順は,単独で用

いることもできるし,自在に組み合わせて使うこともできる。 

階層型処理モードでは,画像をフレーム (frame) の列として符号化する。それぞれのフレームは,参照

再生成分 (reference reconstructed component) として,それ以後のフレームの予測に用いる。画像成分の第1

番目のフレームを除いて,原成分と参照再生成分との差分を符号化する。これを差分フレーム (differential 

frame) という。差分の符号化は,それぞれの成分に対して,DCT利用型の処理だけによってもよいし,可

逆処理だけによってもよいし,DCT利用型の処理を使用して最終段だけ可逆処理を行うことにしてもよい。

図10に示すような空間解像度の階層を構成するために,標本減少 (downsampling) フィルタ又は標本増加 

(upsampling) フィルタを用いてもよい。すなわち,階層型処理モードを使うことで,所望の空間解像度で

の再生成分の画質を改善することができる。 

階層型処理モードは,DCT利用型の段階処理モードと同様に段階的な再生表示が得られるが,多解像度

の必要な環境により適している。階層型処理モードは,最終段の可逆処理に段階符号処理の能力をもたら

す。 

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19 

X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

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図10 多解像度をもつ階層符号化 

4.6 

エントロピー符号処理の選択 エントロピー符号処理手順には,ハフマン符号処理及び算術符号処

理の2種類がある。ハフマン符号処理手順では,ハフマン符号表を用いる。この表は,図1及び図2に示

したように,表指定データによって定まる。算術符号処理手順では,算術符号処理条件表を用いる。この

表も,表指定データによって定まる。ハフマン符号表については,この規格は既定値を規定しない。した

がって,各応用環境に応じて,適切な表を定めてよい。算術符号処理条件表には既定値を規定する。 

基本処理順次では,ハフマン符号処理を用い,拡張DCT利用型の処理及び可逆処理ではハフマン符号処

理又は算術符号処理のどちらを使用してもよい。 

4.7 

標本精度 この規格のDCT利用型の処理では,標本の精度を8ビット又は12ビットとする。その

他の標本精度を使用している応用も,その原画像の標本値を適切にシフトすることで,8ビット又は12ビ

ットのいずれかの精度を使用することができる。基本処理では8ビット精度だけを使用する。12ビットの

原画像標本を扱うDCT利用型の処理系は,8ビットの原画像だけを扱う場合に比べて,より多くの計算資

源を必要とする。したがって,この規格では,DCT利用型処理について,8ビットのものと12ビットのも

のとを切り離して個別にその要件を規定する。 

可逆処理における標本精度は,2〜16ビットとする。 

4.8 

複数成分の制御 4.3及び4.4では,符号化処理及び復号処理の主要な部分,すなわち,標本値を操

作して圧縮を行う処理について概要を示した。同様に重要なもう一つの部分は,複数成分の画像データを

処理して,その圧縮データを作る順序を制御し,正しい表データの組が画像内の正しいデータ単位 (data 

unit) に適用できるように保証する処理手順からなる(データ単位は,可逆処理では1標本をいい,DCT

利用型の処理では8×8の標本ブロックをいう。)。 

4.8.1 

複数成分のインタリーブ 符号化処理において,その符号化処理手順の実行中に,複数の原画像成

分及び複数の表データを選択する様子を図11に示す。図11では,原画像はA,B及びCの3個の成分か

らなり,2個の表指定データがある場合を示している(ここでは,話を単純化して,量子化表とエントロ

ピー符号処理表とは区別していない。)。 

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20 

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図11 成分インタリーブ及び表切替えの制御 

順次処理モードにおいて,符号器が成分Aのすべてのデータ単位を圧縮してから成分Bの圧縮に入り,

その圧縮が終わってから成分Cを圧縮するといった順序で圧縮を行う場合,その符号化を非インタリーブ 

(non-interleaved) という。符号器が成分Aの1個のデータ単位,Bの1個のデータ単位,Cの1個のデータ

単位,再びAに戻ってその1個のデータ単位,という順に圧縮を行う場合,その符号化をインタリーブ 

(interleaved) という。図12に,3個の画像成分が同じ大きさ,すなわち,X列 (columns) ×Y行で,各成

分につきn個のデータ単位からなる場合について,これらの二つの制御方式を示す。 

この制御処理手順は,いずれも,原画像の成分が異なる大きさをもつ場合にも適用することができる。

図13に,2個の成分のB及びCが成分Aに対して水平標本数が半分の場合を示す。この場合,Aからの

2個のデータ単位とB及びCからの1個ずつのデータ単位とをインタリーブする。画像の成分が,水平方

向及び垂直方向の大きさが相違するような,より複雑な標本数比になっている場合も,同様に処理するこ

とができる(附属書A参照)。 

図12 インタリーブと非インタリーブの符号化順序 

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図13 大きさの異なる成分に対してのインタリーブ順序 

4.8.2 

最小符号化単位 複数成分のインタリーブの概念に関連して,最小符号化単位 (minimum coded 

unit, MCU) を定める。圧縮される画像データが非インタリーブの場合,MCUは,1データ単位とする。例

えば,図12の非インタリーブにおけるMCUは,1個のデータ単位である。圧縮される画像データがイン

タリーブの場合,MCUは,それぞれの成分からの,1個以上のデータ単位からなる。図12のインタリー

ブの場合についていえば,(最初の)MCUは,3個のインタリーブしたデータ単位の組A↓1↑,B↓1↑及

びC↓1↑となる。図13の場合についていえば,(最初の)MCUは4個のデータ単位の組A↓1↑,A↓2

↑,B↓1↑及びC↓1↑となる。 

4.9 

圧縮データの構造 図1〜図3では,それぞれに圧縮画像データを少し違った観点から示した。図1

では圧縮データを符号化処理の出力として表しており,図2では復号処理の入力として表している。それ

に対して,図3では応用間のインタフェースにおける交換様式として圧縮データを表している。 

圧縮画像データは,それぞれの符号化処理の種別(可逆又は非可逆)及びすべての符号処理モード(順

次,段階,可逆又は階層)に応じた構造と引数 (parameters) との組によって構成する。圧縮画像データの

個々の部分は,マーカ (marker) と呼ぶ特別な2バイトの符号で識別する。マーカによっては,例えば表指

定データ,フレームヘッダ (frame header),走査ヘッダ (scan header) 等のように特定の引数列を伴うこと

がある。その他のマーカは引数なしで,画像の開始点及び画像の終了点を示すような機能で使用する。マ

ーカに特定の引数列を伴う場合,そのマーカ及び引数を組にしてマーカ部分列 (marker segment) と呼ぶ。 

エントロピー符号器が作り出すデータも分割する。このエントロピー符号化データ部分列 

(entropy-coded data segment) を明示するために,符号化再初期化マーカ (restart marker) と呼ぶ特定のマー

カを用いる。符号器は,原画像データの正規の符号化再初期化間隔 (restart interval) ごとに,エントロピー

符号化データに織り混ぜて,符号化再初期化マーカを出力する。符号化再初期化マーカは,圧縮データを

復号することなく,その位置を識別することができる。それぞれを独立して復号することができるため,

並列符号処理,誤りデータの分離,エントロピー符号化部分列への準ランダムアクセスなどの応用固有の

使い方が可能となる。 

圧縮データ様式は,次の3種類とする。 

(1) 交換様式 

(2) 圧縮画像データ用簡易様式 (abbreviated format)  

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(3) 表指定データ用簡易様式 

4.9.1 

交換様式 交換様式は,幾つかの必す(須)のマーカ部分列及びエントロピー符号化部分列に加え

て,復号処理で必要とするすべての量子化表及びエントロピー符号化表のマーカ部分列を含まなければな

らない。このことによって,それぞれの応用環境内部で,表と圧縮画像データとをどのように関連付けて

いるかに関わりなく,応用間での圧縮データの互換性を保証する。 

4.9.2 

圧縮画像データ用簡易様式 圧縮画像データ用簡易様式は,復号に必要なすべての表を含んでいる

わけではないことを除いて(それらのうちの幾つかを含んでいてもよい。),交換様式と全く同一とする。

この様式は,復号に必要な表指定データの一部又は全部が他の手段によって受渡し可能な応用間での使用

を目的とする。 

4.9.3 

表指定データ用簡易様式 この様式は表指定データだけを含んでいる。これは,その後に伝送され

る1個以上の画像の再生に必要な表を復号器に取り込む手段として使用する。 

4.10 面像・フレーム・走査 圧縮画像データは,一つの画像からなる。画像は順次処理モード及び段階

処理モードではただ1個のフレームからなり,階層型処理モードでは複数のフレームからなる。 

フレームは,1個以上の走査からなる。順次処理では,1回の走査の中に1個以上の画像成分の完全な符

号化データを保持する。図12及び図13でいえば,フレームは,非インタリーブの場合3個の走査からな

り,3個の成分が一緒にインタリーブされている場合は1個の走査からなる。1個の成分が非インタリーブ

で他の2個の成分がインタリーブの場合には,フレームは2個の走査からなる。 

段階処理では,走査は,1個以上の成分のすべてのデータ単位について部分的な符号化データを含む。

段階処理モードでは,段階フレームのそれぞれの成分の最初の走査で直流係数をインタリーブしてよいこ

とを除いて,成分をインタリーブしてはならない。 

4.11 符号処理の要約 この規格でのそれぞれの符号処理について,その基本的な特性の要約を表1に示

す。それぞれの完全な規定は,附属書F(規定),附属書G(規定),附属書H(規定)及び附属書J(規

定)による。 

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表1 要約:符号処理の基本的特性 

基本処理[すべてのDCT利用型の復号器に必す(須)] 

・ DCT利用型の処理 
・ 原画像:各成分が8ビット標本精度 
・ 順次 
・ ハフマン符号処理:2個の交流係数及び2個の直流係数に対する表 
・ 復号器は,1〜4成分の走査を処理しなければならない。 
・ インタリーブ走査及び非インタリーブ走査 

拡張DCT利用型の処理 

・ DCT利用型の処理 
・ 原画像:各成分が8ビット又は12ビットの標本精度 
・ 順次又は段階 
・ ハフマン又は算術符号処理:4個の交流係数及び4個の直流係数に対す

る表 

・ 復号器は,1〜4成分の走査を処理しなければならない。 
・ インタリーブ走査及び非インタリーブ走査 

可逆処理 

・ 予測処理(非DCT利用型) 
・ 原画像:各成分がPビット標本精度 (2≦P≦16) 
・ 順次 
・ ハフマン又は算術符号処理:4個の直流係数に対する表 
・ 復号器は,1〜4成分の走査を処理しなければならない。 
・ インタリーブ走査及び非インタリーブ走査 

階層型処理 

・ 複数フレーム(非差分及び差分) 
・ 拡張DCT利用型又は可逆処理を用いる。 
・ 復号器は,1〜4成分の走査を処理しなければならない。 
・ インタリーブ走査及び非インタリーブ走査 

5. 交換様式の必要条件 交換様式とは,応用環境間で相互に交換するための,圧縮画像データの符号表

現とする。 

交換様式の必要条件は,交換様式で記述されるすべての圧縮画像データが附属書Bに示したとおりに,

選択された復号処理に適した書式及び符号割当てを満たしていることとする。 

圧縮画像データがこれらの必要条件を満たしているかを確認する試験方法は,ISO/IEC 10918-2による。 

6. 符号器の必要条件 符号化処理は,原画像データを圧縮された画像データに変換する。附属書のF,

G,H及びJのそれぞれで,各符号処理モードについて幾つかの符号化処理を示す。 

符号器とは,附属書のF,G,H又はJに示された符号化処理のうちの一つ(又はそれ以上)を具体的

に実行する。この規格に従うために,符号器は,次の二つのうちの少なくとも一つを満たしていなければ

ならない。 

符号器の満たすべき条件は,次のとおりとする。 

(1) 適切な演算精度で,原画像データを,符号器が実現する符号化処理として附属書Bに規定する交換様

式を満足するような圧縮画像データに変換すること。 

(2) 適切な演算精度で,原画像データを,符号器が実現する符号化処理として附属書Bに規定する圧縮画

像データ用簡易様式を満足するような圧縮画像データに変換すること。 

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附属書のF,G,H及びJに規定されている符号化処理のそれぞれについて,ISO/IEC 10918-2で,この

必要条件を満たしているかを調べる適合性試験を規定する。 

参考 この規格では,附属書のF,G,H又はJに定められた符号化処理の一つを実現する符号器は,

必ずしもその処理で許可されている引数のすべての範囲において動作しなくてもよい。符号器

は,ISO/IEC 10918-2で定められた適合性試験を満足し,使用する引数値について附属書Bに

従って圧縮データ形式を生成できればよい。 

7. 復号器の必要条件 復号器は,圧縮画像データを復元された画像データに変換する。附属書のF,G,

H及びJそれぞれで,各動作モードについて幾つかの復号処理を示す。 

復号器とは,附属書のF,G,H及びJで規定された復号処理のうちの一つ(又はそれ以上)を具体的

に実行するものとする。この規格に従うために,復号器は,次の三つの必要条件をすべて満足しなければ

ならない。 

復号器の満たすべき条件は,次のとおりとする。 

(1) 適切な演算精度で,復号器が実現する復号処理として附属書Bに規定する交換様式に従うすべての圧

縮画像データを,応用が取り扱うことができる引数の範囲で復元された画像データに変換すること。 

(2) 復号器が実現する復号処理として,附属書Bに規定する表指定データ用の簡易様式を満足するすべて

の表データを受け入れ,適切に記憶しておくこと。 

(3) 適切な演算精度で,復号器が実現する復号処理として附属書Bに規定する圧縮データ用の簡易様式に

従うすべての圧縮画像データを,復元された画像データに変換すること。ただし,このとき,圧縮画

像データを復号するために必要な表指定データが前もって復号器にロードされていること。 

また,すべてのDCT利用型の復号器は,基本順次機能以外のモードを装備している場合,必ず基本順次

機能も装備しなければならない。 

附属書のF,G,H及びJに規定されている復号処理のそれぞれについて,ISO/IEC 10918-2で,この必

要条件を満たしているかを調べる適合性試験を規定する。 

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附属書A(規定) 数学的規定 

A.1 原画像 この附属書では,符号化処理に適用できる原画像を規定する。 

A.1.1 大きさ及び標本化比率 原画像はNf個の成分からなり,i番目の成分C↓i↑はx↓i↑列×y↓i↑行

の2次元標本配列からなる(図A.1参照)。この成分の大きさは,フレーム内のすべての成分のx↓i↑の最

大値Xと,y↓i↑の最大値Yとの二つの引数から得る。それぞれの成分において,標本化比率のH↓i↑及

びV↓i↑は,成分のサイズx↓i↑・y↓i↑とサイズの最大値X・Yとによって次式で規定する。 

x↓i↑=┌X×H↓i↑/H↓max↑┐,y↓i↑=┌Y×V↓i↑/V↓max↑┐ 

H↓max↑及びV↓max↑はフレーム内の標本化比率の最大値を表し,┌┐は天井関数を表す。 

例として,1行当たり512標本で512行の大きさで,次の標本化比率をもつ3成分からなる画像を考え

る。 

成分0 

H↓0↑=4, 

V↓0↑=1 

成分1 

H↓1↑=2, 

V↓1↑=2 

成分2 

H↓2↑=1, 

V↓2↑=1 

この場合,X=512,Y=512,H↓max↑=4,V↓max↑=2ならば,各成分のx↓i↑とy↓i↑とは次の

ようになる。 

成分0 

x↓0↑=512, 

y↓0↑=256 

成分1 

x↓1↑=256, 

y↓1↑=512 

成分2 

x↓2↑=128, 

y↓2↑=256 

参考 引数のX,Y,H↓i↑及びViは圧縮画像データ形式(B.2.2参照)のフレームヘッダに含まれ

るのに対して,各成分の大きさx↓i↑及びy↓i↑は復号器によって導出される。上の式を満た

さないx↓i↑及びy↓i↑をもつ原画像は,正しく再生できない。 

図A.1 原画像特性 

A.1.2 標本精度 標本は,Pビットの精度をもつ整数で,0〜2↑P-1↓の範囲の値をとる。同一の画像内

のすべての成分のすべての標本は同じ精度Pをもたなければならない。Pの値の制限は,符号処理モード

に依存する(B.2〜B.7参照)。 

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A.1.3 データ単位 データ単位は,可逆処理では1標本とし,DCT利用型の処理では8×8の標本ブロッ

クとする。成分の最上部の8行の最も左側8標本分を,最左上ブロックとする。この最左上ブロックを基

準として,成分を右側そして下方向に隣接するデータ単位に分割する(図A.4参照)。 

A.1.4 方向 図A.1に画像成分の方向を“上”,“下”,“左”及び“右”という用語で示す。画像成分のデ

ータ単位を圧縮符号化処理手順に入力する順序は,成分内で左から右,上から下へと規定する(この順序

を図A.2で正確に規定する)。原画像のどの端を上下左右とするかは,応用に応じて決めてよい。 

A.2 原画像データ符号化順序 原画像データ単位を圧縮画像データ内でどのように符号化し配置するべ

きかを,走査ヘッダ(B.2.3参照)で規定する。ある走査について,走査ヘッダの引数Ns=1ならば,引

数Cs↓1↑で規定される成分のデータが,その走査内に存在しなければならない。このデータは,非イン

タリーブとなる。Ns>1の場合,Cs↓1↑からCs↓Ns↑のNs個の成分のデータが,その走査内に存在しな

ければならない。このデータは,常にインタリーブとなる。走査内の成分の順序は,フレームヘッダに規

定された順序によらなければならない。 

データ単位の順序及び最小符号化単位 (MCU) の構造は,次のとおりとする。 

A.2.1 最小符号化単位 (MCU)  非インタリーブのデータでは,MCUは,1データ単位とする。インタ

リーブモードでは,MCUは,走査内の成分の標本化比率によって規定するデータ単位の列からなる。 

A.2.2 非インタリーブ順序 (Ns=1)  Ns=1の場合(Nsは走査内の成分の数),走査内のデータ単位の順

序は,図A.2に示すとおり,左から右,上から下へとする。この順序は,H↓1↑,V↓1↑の値にかかわら

ず,Ns=1の場合は,常に適用される。 

図A.2 非インタリーブデータ順序 

A.2.3 インタリーブ順序 (Ns>1)  Ns>1の場合,走査成分Cs↓i↑を水平H↓k↑×垂直V↓k↑のデー

タ単位の小配列に分割する。添字のkは,フレームヘッダの成分規定のC↓k↑=Cs↓i↑となる位置から

H↓k↑及びV↓k↑が得られることを示す。それぞれのH↓k↑×V↓k↑の配列内部では,データ単位の順

序は,左から右,上から下へとする。それぞれの成分内で,この配列の順序は,左から右,上から下へと

する。 

図A.3にNs=4の例を示す。ここで,MCU↓1↑は,Cs↓1↑の最左上の配列領域のデータ単位が最初に

あり,次にCs↓2↑の対応する領域からのデータ単位,次にCs↓3↑,Cs↓4↑の順番からのデータ単位か

ら構成される。MCU↓2↑は,四つの成分での右側の次の領域から得られるデータで,MCU↓1↑と同様

の順序に従う。 

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図A.3 インタリーブデータ順序の例 

A.2.4 不完全なMCUの取扱い DCT利用型の処理では,1ブロックを1データ単位とする。x↓i↑が8

の倍数でない場合は,符号化処理において列の数を増やして右端の標本ブロックを完成しなければならな

い。成分がインタリーブされている場合,符号化処理において,ブロックの数がH↓i↑の整数倍になるよ

うに,必要なら一つ以上のブロック分の標本数を増やさなければならない。同様に,y↓i↑が8の倍数で

ない場合,符号化処理において行の数を増やして下端の標本ブロックを完成しなければならない。成分が

インタリーブされている場合,符号化処理において,ブロックの数がV↓i↑の整数倍になるように,必要

なら一つ以上のブロック行分の行の数を増やさなければならない。 

参考 不完全なMCUは,それぞれの成分の右端及び下端の標本の繰返しによって完成するとよい。 

可逆処理では,1標本をデータ単位とする。成分がインタリーブされている場合は,符号化処理におい

て,標本数がH↓i↑の整数倍になるように必要に応じて標本数を増やさなければならない。同様に符号化

処理において,標本数がV↓i↑の整数倍になるように必要に応じて標本数を増やさなければならない。 

符号化処理において,不完全なMCUを完成させるために付加された標本は,復号処理で削除しなけれ

ばならない。 

A.3 DCT圧縮 

A.3.1 レベルシフト 原画像標本ブロックのFDCTを演算する前に,非差分フレームの符号化処理におい

て,標本値から2↑P-1↓を減算して,符号付き表現にレベルシフトしなければならない。ここでPは,B.2.2

で規定する精度引数とする。P=8ならば,レベルシフトは128,P=12ならば,レベルシフトは2048とな

る。 

非差分フレームの復号処理でIDCTを演算し,再生画像標本のブロックを生成した後,逆レベルシフト

で2↑P-1↓を加算し,結果を0〜2↑P-1↓の範囲に変換して,標本値を符号なし表現に戻さなければなら

ない。 

A.3.2 FDCT演算における標本方向 FDCTの計算のために8×8の標本ブロックに分割した画像成分を

図A.4に示す。図A.4に,A.3.3のFDCT方程式で使用される添字を示すことによってブロック内の標本の

方向を規定する。 

このブロックの分割及び標本の方向の規定は,すべてのDCT復号処理及び再生画像の出力に適用する。 

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図A.4 8×8標本ブロックの分割及び方向 

A.3.3 FDCT・IDCT(参考) FDCT及びIDCTの理想的な関数定義を次の方程式で示す。 

参考 これらの方程式は,どのような実際の実装によっても完全な精度を表現できない項を含んでい

る。FDCTと量子化処理手順との組合せに必要な精度は,ISO/IEC 10918-2による。逆量子化処

理手順とIDCTとの組合せに必要な精度も,ISO/IEC 10918-2による。 

(

)

(

)

16

v

1

2y

cos

16

u

1

2x

cos

yx

s

v

C

u

C

4

1

vu

S:

FDCT

7

0

y

7

0

x

π

π

+

+

↑=

=

=

(

)

(

)

16

v

1

2y

cos

16

u

1

2x

cos

uv

S

v

C

u

C

4

1

yx

s:

IDCT

7

0

v

7

0

u

π

π

+

+

↑=

=

=

ただし,C↓u↑,C↓v↑=1/2(u,v=0の場合) 

    C↓u↑,C↓v↑=1(その他の場合) 

A.3.4 DCT係数の量子化(参考)・逆量子化(規定) 1ブロックのFDCTが計算された後,64個のDCT

係数を一様量子化器で量子化する。それぞれの係数S↓vu↑に対する量子化器のステップサイズは,フレ

ーム引数Tq↓i↑(B.2.2参照)で規定する量子化表の要素Q↓vu↑とする。 

一様量子化器は,次に示す式による。丸めによって最も近い整数にする。 

Sq↓vu↑=round (S↓vu↑/Q↓vu↑) 

Sq↓vu↑は,量子化されたDCT係数で量子化器のステップサイズによって正規化している。 

参考 この方程式は,どのような実際の実装によっても完全な精度を表現できない項を含んでいる。

FDCTと量子化処理手順との組合せに必要な精度は,ISO/IEC 10918-2による。 

この正規化は,復号器において次の逆量子化の定義式によって復元する。 

R↓vu↑=Sq↓vu↑×Q↓vu↑ 

参考 量子化で使用する丸めによって,逆量子化した係数が期待する範囲外になる可能性がある。 

標本,DCT係数及び量子化の間の関係を,図A.5に示す。 

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図A.5 8×8ブロック標本とDCT係数の関係 

A.3.5 差分直流係数符号化 量子化の後,エントロピー符号化を行う前に,量子化直流係数Sq↓00↑は,

63個の量子化交流係数とは別に扱う。現在のブロックの量子化直流係数(DC↓i↑ Sq↓00↑とも示す。)

と,同じ成分の直前のブロックの量子化直流係数 (PRED) との差分 (DIFF) を符号化する。 

DIFF=DC↓i↑−PRED 

A.3.6 ジグザグ順序 量子化の後,エントロピー符号化を行う前に,量子化交流係数をジグザグ順序に変

換する。量子化直流係数(配列内のゼロ番目の係数)は,A.3.5に規定したように別に取り扱う。ジグザグ

順序を次に規定する。 

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図A.6 量子化DCT系数のジグザグ順序 

A.4 小数点移動 幾つかの処理手順においては,符号化の前に,データを小数点移動によって2のべき

乗で除算してもよい。小数点移動を必要とする処理は,可逆符号処理,階層型処理モードにおける可逆差

分フレーム符号処理及びDCT利用型の段階処理モードにおける逐次近似符号処理の三つとする。 

可逆符号化モードでは,入力標本に対して小数点移動を行う。階層型モードにおける可逆差分フレーム

符号化モードでは,入力成分と参照成分標本との差分に対して小数点移動を行う。これらの両方の場合で,

小数点移動は,2↑Pt↓で除算された整数となる。ここで,Ptは,小数点移動引数の値とする(B.2.3参照)。 

逐次近似符号化では,交流係数の小数点移動は,2↑Al↓で除算された整数となる。ここで,Alは,逐

次近似ビット位置の下位である(B.2.3参照)。直流係数の小数点移動は,Alビット分の算術右シフトとな

る。これはレベルシフト前に2↑Pt↓で除算することと等しい(A.3.1参照)。 

復号器の出力は,2↑Pt↓を乗算し,復元する。小数点移動の例は,K.10に示す。 

A.5 可逆符号化モード及び階層型符号化モードにおける算術処理 可逆符号化モードでは,予測値の計

算は,完全な精度をもち,かつ入力画像の精度によって許される値の範囲を越えてオーバーフロー又はア

ンダーフローしても抑制されない。しかし,予測値計算での2の除算は1ビットの算術右シフトによって

近似しなければならない。 

可逆符号化モード及び階層型符号化モードにおける可逆差分フレーム符号化モードでの,2の補数の差

分は,モジュロ65536として算出する。したがって,これらの差分の精度は,最高16ビットに制限される。

モジュロの値は,2の補数の差分とXʼFFFFʼの論理積とをとることによって算出する。符号処理の目的で

は結果は,16ビットの2の補数表現の差分として解釈する。モジュロ65536の計算は,他に復号器の予測

値の和及びこの2の補数表現の差分の出力の計算に使用する。 

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附属書B(規定) 圧縮データ様式 

この附属書は,次の3種類の圧縮データ様式を規定する。 

(1) 交換様式(B.2及びB.3参照) 

(2) 圧縮画像データ用簡易様式(B.4参照) 

(3) 表指定データ用簡易様式(B.5参照) 

B.1では,これらの様式の構成要素を規定する。B.1.3及びB.1.4では,そこに用いる記号及び図の定義

を規定する。 

B.1 

圧縮データ様式の規定の概要 圧縮データ様式は,引数,マーカ及びエントロピー符号化データ部

分列の順序付けられた並びから構成する。引数及びマーカは,しばしばまとまってマーカ部分列を構成す

る。これら構成要素のすべてはバイトを単位とする符号で表現されているため,どの圧縮データ様式も,8

ビット長のバイトが並んだものとなる。それぞれのバイトに対し,その最上位ビット (MSB) 及び最下位

ビット (LSB) を定める。 

B.1.1 構成要素 圧縮データ様式のそれぞれの構成要素について,その一般的な特性をB.1.1.1〜B.1.1.5

に規定する。 

B.1.1.1 引数 引数は,整数値によって,符号化処理,原画像の性質及び応用が選択したその他の性能を

表す。引数は,4ビット,1バイト又は2バイトで表現する。引数は,省略可能な幾つかのものを除いて,

復号処理で正しく画像を再生する際に不可欠な情報を符号化して表現する。 

引数の符号割当ては,符号なし整数を,その引数に固有のビット数で表す。 

長さが2バイト(16ビット)の引数においては,その上位バイトが圧縮データ様式のバイトの並びの中

で先に位置する。長さが4ビットの引数は,常に対にして用い,その対を1バイトで符号化する。対の先

頭の4ビットの引数が,そのバイトの中で上位の4ビットを占める。16ビット,8ビット又は4ビットの

いずれの引数においても,そのMSBが最初に現れ,LSBが最後に現れる。 

B.1.1.2 マーカ マーカは,圧縮データ様式での様々な構造単位を明示するのに用いる。多くのマーカは,

一連の引数を含むマーカ部分列の先頭に位置する。マーカの中には,それ単独で用いるものもある。すべ

てのマーカは,2バイト符号とする。最初のバイトはXʼFFʼとし,次のバイトは0でもなくXʼFFʼでもない

ものとする(表B.1参照)。マーカの前には,符号XʼFFʼが割当てられたフィルバイトを任意に幾つか並べ

てもよい。 

参考 この特別な符号割当て構造によって,画像データの他の部分列を解読することなしに,マーカ

だけに着目して,圧縮データ様式を解析し,その部分部分を位置決めすることが可能になる。 

B.1.1.3 マーカの割当て すべてのマーカは,2バイト符号とする。その最初のバイトをXʼFFʼ,第2の

バイトを0でもなくXʼFFʼでもないものにする。それぞれのマーカに対する,第2のバイトは,表B.1の

とおりとする。星印 (*) を付けたマーカは,単独で用いるマーカとし,これはマーカ部分列を開始するこ

とがない。 

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表B.1 マーカコードの割当て 

符号割当て 

記号 

記述 

フレーム開始マーカ,非差分フレーム,ハフマン符号処理 

XʼFFC0ʼ 

SOF↓0↑ 

基本DCT 

XʼFFC1ʼ 

SOF↓1↑ 

拡張順次DCT 

XʼFFC2ʼ 

SOF↓2↑ 

段階DCT 

XʼFFC3ʼ 

SOF↓3↑ 

可逆(順次) 

フレーム開始マーカ,差分フレーム,ハフマン符号処理 

XʼFFC5ʼ 

SOF↓5↑ 

差分順次DCT 

XʼFFC6ʼ 

SOF↓6↑ 

差分段階DCT 

XʼFFC7ʼ 

SOF↓7↑ 

差分可逆(順次) 

フレーム開始マーカ,非差分フレーム,算術符号処理 

XʼFFC8ʼ 

JPG 

規格拡張のために確保 

XʼFFC9ʼ 

SOF↓9↑ 

拡張順次DCT 

XʼFFCAʼ 

SOF↓10↑ 

段階DCT 

XʼFFCBʼ 

SOF↓11↑ 

可逆(順次) 

フレーム開始マーカ,差分フレーム,算術符号処理 

XʼFFCDʼ 

SOF↓13↑ 

差分順次DCT 

XʼFFCEʼ 

SOF↓14↑ 

差分段階DCT 

XʼFFCFʼ 

SOF↓15↑ 

差分可逆(順次) 

ハフマン表指定 

XʼFFC4ʼ 

DHT 

ハフマン表定義 

算術符号処理条件指定 

XʼFFCCʼ 

DAC 

算術符号処理条件定義 

符号化再初期化間隔終了 

XʼFFD0ʼ 

RST↓m↑ 

モジュロ8での番号mの符号化再初期化 

他のマーカ 

XʼFFD8ʼ 

SOI* 

画像開始 

XʼFFD9ʼ 

EOI* 

画像終了 

XʼFFDAʼ 

SOS 

走査開始 

XʼFFDBʼ 

DQT 

量子化表定義 

XʼFFDCʼ 

DNL 

ライン数定義 

XʼFFDDʼ 

DRI 

符号化再初期化間隔定義 

XFFDEʼ 

DHP 

階層型段階定義 

XʼFFDFʼ 

EXP 

参照成分拡張 

XʼFFE0ʼ 

APPn 

応用部分列のために確保 

XʼFFF0ʼ 

JPGn 

規格拡張のために確保 

XʼFFFEʼ 

COM 

コメント 

確保済みマーカ 

XʼFF01ʼ 

TEM* 

算術符号処理での一時的な補助に用いる 

XʼFF02ʼ〜XʼFFBFʼ RES 

確保 

B.1.1.4 マーカ部分列 マーカ部分列は,マーカ及びその後に続く一連の引数からなる。マーカ部分列の

第1の引数は,2バイトの符号長引数とする。この符号長引数は,マーカ部分列のバイト数を表す。この

長さは,符号長引数自身を含めるが,2バイトのマーカは含めない。記号のSOF及びSOSで示すマーカで

始まるマーカ部分列をヘッダという。特に,前者をフレームヘッダといい,後者を走査ヘッダという。 

B.1.1.5 エントロピー符号化データ部分列 エントロピー符号化データ部分列は,エントロピー符号化処

理手順の出力を保持する。この部分列は,エントロピー符号化処理手順でハフマン符号化を使っていても

算術符号化を使っていても,整数個のバイトからなる。 

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参考1. エントロピー符号化部分列を整数個のバイト列にするためには,次の方法を用いる。ハフマ

ン符号化では,必要があれば,圧縮データの最後に必要なだけビット1を補ってこの部分列の

最後のバイトを完成する。算術符号化では,エントロピー符号化部分列を終了する手続によ

って行う(D.1.8参照)。 

2. エントロピー符号化部分列内に,ハフマン符号化又は算術符号化で生成されたXʼFFʼバイト

若しくは参考1.で述べたビット1の充てんによって生成されたXʼFFʼバイトが現れないこと

を保証するため,ハフマン符号化にあっても算術符号化にあっても,符号化器はバイトXʼFFʼ

を作り出したときには,その直後にバイト0を挿入する(D.1.6及びF.1.2.3参照)。 

B.1.2 構文法 交換様式の構文法をB.2及びB.3に規定する。構文法の規定は,次のものからなる。 

− マーカ,引数及びエントロピー符号化部分列に要求される順序。 

− 任意又は条件付きの構成要素の識別。 

− マーカ及び引数のそれぞれの名前,記号及び定義。 

− それぞれの引数に許される値。 

− 種々の符号化処理に特有な制限。 

構成要素の順序及びそれが任意か又は条件付きかの識別は,B.2及びB.3の構文法図によって規定する。

名前,記号,定義,許される値及び制限は,構文法図の直後に規定する。 

B.1.3 構文法図の慣例 B.2及びB.3の構文法図は,交換様式の規定の一部とする。図B.1に図示されてい

る次の慣例をこれらの構文法図に適用する。 

− 引数・マーカの表示:細線の箱は,マーカ又は単一の引数を表す。 

− 部分列の表示:太線の箱は,マーカ部分列若しくはエントロピー符号化データ部分列,又はこれら

の組合せを表す。 

− 引数長の表示:細線の箱の幅は,その細線の箱の中のマーカ又は引数の符号長(図B.1にE,B及

びDとして示された,4,8又は16ビット)に比例している。太線の箱の幅は,意味をもたない。 

− 任意・条件付きの表示:[ ]括弧は,マーカ又はマーカ部分列が圧縮画像データ内に,任意又は条

件付きにあることを表す。 

− 順序:交換様式では,図の中の引数又はマーカは,その右にあるものすべてより先に位置し,その

左にあるものすべての後に位置する。 

− エントロピー符号化データの表示:< >括弧は,囲まれた量がエントロピー符号化されたことを

示す。 

図B.1 構文法図の慣例 

B.1.4 記号,符号長及び値の慣例 B.2及びB.3の中のそれぞれの構文法図に続いて,図の中に示すそれ

ぞれのマーカ及び引数に対する記号,名前及び定義を規定する。それぞれの引数に対して,長さ及び許さ

れる値も表形式で規定する。 

次に示す慣例は,マーカ及び引数に対する記号に適用する。 

− すべてのマーカの記号は,大文字三つとする。さらに,添字が付くことがある。例えば,SOI,SOF

↓n↑。 

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− すべての引数の記号は,大文字一つとする。さらに,小文字一つと添字とが付くことがある。例え

ば,Y,Nf,H↓i↑,Tq↓i↑。 

B.2 

順次及び段階の一般的な構文法 ここでは順次DCT利用型,段階DCT利用型,及び可逆符号化モ

ードのすべての符号化処理に適用する交換様式の構文法を規定する。 

B.2.1 上位レベルの構文法 図B.2は,この規格で規定されたすべての非階層型符号化処理の交換様式の

上位レベルの構成要素の順序の規定である。 

図B.2 DCT利用型の順次,DCT利用型の段階及び可逆符号処理モードの構文 

図B.2に示す三つのマーカを次のように規定する。 

SOI:画像開始マーカ 交換様式で表された圧縮画像の開始を示す。 

EOI:画像終了マーカ 交換様式で表された圧縮画像の終了を示す。 

RST↓m↑:符号化再初期化マーカ 圧縮データ部分列の間に符号化再初期化が有効のときだけ置かれる

条件付きのマーカ。八つの異なる符号化再初期化マーカがあり (m=0−7),各走査の最初は0で始まり,0

〜7まで順に繰り返す。符号化再初期化間隔の数のモジュロ8を示す。 

図B.2の最上位レベルで,非階層型交換様式は,SOIマーカで始まり,一つのフレームを含み,EOIマ

ーカで終わらなければならないことを示している。 

図B.2の2番目のレベルで,フレームは,フレームヘッダで始まり,一つ以上の走査を含まなければな

らないことを示している。B.2.4で規定するように,フレームヘッダの前には,表指定又は種々のマーカ部

分列を一つ以上置いてもよい。DNL部分列(B.2.5参照)が存在すれば,第一の走査の直後に続けなけれ

ばならない。 

DCT利用型の順次及び可逆の処理において,それぞれの走査は,一つから四つの画像成分を含まなけれ

ばならない。二つから四つの成分が走査に含まれれば,その走査内でインタリーブでなければならない。

DCT利用型の段階の処理において,それぞれの画像成分は,部分的に任意の走査に含まれる。(直流係数

データだけが含まれる)成分の最初の走査だけがインタリーブしてもよい。 

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図B.2の3番目のレベルで,走査は,走査ヘッダで始まり,一つ以上のエントロピー符号化データ部分

列を含まなければならないことを示している。それぞれの走査ヘッダの前には,表指定又は種々のマーカ

部分列を一つ以上置いてもよい。符号化再初期化が有効でなければ,ただ一つのエントロピー符号化部分

列(“last” と書かれたもの)がなければならず,符号化再初期化マーカはあってはならない。符号化再初

期化が有効であれば,エントロピー符号化部分列の数は,画像の大きさ及び定義された符号化再初期化間

隔によって定義する。この場合,最後の符号化再初期化マーカを除いて,符号化再初期化マーカの後には

それぞれのエントロピー符号化部分列が続かなければならない。 

図B.2の4番目のレベルで,それぞれのエントロピー符号化部分列は,エントロピー符号化されたMCU

の並びからなることを規定している。符号化再初期化が有効で,符号化再初期化間隔がRiで定義されてい

れば,最後のものを除いたそれぞれのエントロピー符号化部分列は,Ri個のMCUを含まなければならな

い。最後のものは,その走査を完結するMCUの数を含む。 

図B.2で,表指定部分列を配置してもよい位置を規定する。しかし,この規格では,交換様式は,圧縮

された画像を復号するのに必要なすべての表指定データを含まなければならないことを規定している。し

たがって,必要な表指定データは,一つ以上の許された場所に置く必要がある。 

B.2.2 フレームヘッダの構文法 図B.3は,フレームの最初に存在するフレームヘッダを示す。このヘッ

ダは,原画像の特徴(A.1参照),フレームの成分及びそれぞれの成分に対する標本化比率を規定する。そ

してそれぞれの成分に用いられる量子化表を規定する。 

図B.3 フレームヘッダの構文 

図B.3に示すマーカ及び引数を次のとおり定義する。それぞれの引数の大きさ及び許される値を表B.2

に示す。表B.2(及びこれに続く同様の表)内で,値の選択を示す場合はコンマで区切る(例えば,8,12)。

含まれる範囲を示す場合は,ハイフンで区切る(例えば,0-3)。 

SOF↓n↑:フレーム開始マーカ フレーム引数の始まりを示す。添字nによって,符号化処理が基本処理

順次,拡張処理順次,段階又は可逆のどの符号化処理かを表す。同様に,どのエントロピー符号化処理が

使われるのかを表す。 

SOF↓0↑ 

− 

基本処理DCT 

SOF↓1↑ 

− 

拡張処理順次DCT,ハフマン符号化 

SOF↓2↑ 

− 

段階DCT,ハフマン符号化 

SOF↓3↑ 

− 

可逆(順次),ハフマン符号化 

SOF↓9↑ 

− 

拡張処理順次DCT,算術符号化 

SOF↓10↑ − 

段階DCT,算術符号化 

SOF↓11↑ − 

可逆(順次),算術符号化 

Lf:フレームヘッダ長 図B.3に示すフレームヘッダの長さを規定する(B.1.1.4参照)。 

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P:標本精度 フレーム内の成分の標本に対するビットの精度を規定する。 

Y:ライン数 原画像内の最大ライン数を規定する。これは,最大の垂直標本数をもつ成分のライン数と

等しい(A.1.1参照)。値0は,ライン数が第一の走査の最後のDNLマーカ及び引数によって定義するこ

とを表す(B.2.5参照)。 

X:ライン当たりの標本数 原画像内のライン当たりの最大標本数を規定する。これは,最大の水平標本

数をもつ成分のライン当たりの標本数と等しい(A.1.1参照)。 

Nf:フレーム内の画像成分数 フレーム内の原画像の成分の数を規定する。Nfの値はフレームヘッダ内に

存在するフレーム成分規定引数 (C↓i↑, H↓i↑, v↓i↑,Tq↓i↑) の組の数に等しい。 

C↓i↑:成分識別子 異なるラベルを一連のフレーム成分規定引数のi番目の成分に割り当てる。これら

の値は,走査ヘッダ内で走査の成分を識別するのに使う。C↓i↑の値は,C↓1↑〜C↓i-1↑までの値と異

なる。 

H↓i↑:水平抽出比率 水平方向の大きさの成分及び最大の画像の大きさX(A.1.1参照)の関係を規定

する。走査内で一つ以上の成分を符号化するときに,それぞれのMCUの成分C↓i↑の水平データ単位の

数を規定する。 

V↓i↑:垂直抽出比率 垂直方向の大きさの成分及び最大の画像の大きさY(A.1.1参照)の関係を規定す

る。走査内で一つ以上の成分を符号化するときに,それぞれのMCUの成分C↓i↑の垂直データ単位の数

を規定する。 

Tq↓i↑:量子化表セレクタ 成分C↓i↑のDCT係数の逆量子化に用いる量子化表が取り出される,四つ

の可能な量子化表のうちの一つを選択する。復号処理が逆量子化処理を使用する場合,復号器が成分C↓i

↑を含む走査の復号を開始するときまでに,この表を規定しなければならない。C↓i↑を含むすべての走

査が完了するまで再び定義したり,内容の変更を行ってはならない。 

表B.2 フレームヘッダ引数の大きさ及び値 

引数 

大きさ 

(bits) 

順次DCT 

段階 
DCT 

可逆 

基本 

拡張 

Lf 

16 

8+3×Nf 

8, 12 

8, 12 

2-16 

16 

0-65535 

16 

1-65535 

Nf 

1-255 

1-255 

1-4 

1-255 

Ci 

0-255 

Hi 

1-4 

Vi 

1-4 

Tqi 

0-3 

0-3 

0-3 

B.2.3 走査ヘッダの構文法 図B.4は,走査の最初に置かれる走査ヘッダを規定する。このヘッダは,走

査内に含まれている成分,走査内のそれぞれの成分に対して使われるエントロピー符号化表及び(段階

DCTで)走査内に含まれるDCT量子化係数データを規定する。可逆処理において走査引数は,予測及び

小数点移動を規定する。 

参考 走査内にただ一つの画像成分しか存在しなければ,その成分は,定義によって非インタリーブ

である。走査内に複数の画像成分が存在すれば,その成分は,定義によってインタリーブであ

る。 

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図B.4 走査ヘッダの構文 

図B.4に示すマーカ及び引数を次のように定義する。それぞれの引数の大きさ及び許される値を表B.3

に示す。 

SOS:走査開始マーカ 走査引数の開始を表す。 

Ls:走査ヘッダ長 図B.4内に示す走査ヘッダの長さを規定する(B.1.1.4参照)。 

Ns:走査内の画像成分数 走査内の原画像の成分の数を規定する。Nsの値は,走査ヘッダ内に存在する走

査成分規定引数 (Cs↓j↑, Td↓j↑, Ta↓j↑) の組の数に等しい。 

Cs↓j↑:走査成分セレクタ フレーム引数で規定されたNf画像成分から走査内のj番目の成分を選択す

る。それぞれのCs↓j↑は,フレームヘッダ内で規定されたC↓i↑の値の一つに合致しなければならない。

そして,走査ヘッダ内の順序は,フレームヘッダ内の順序に従わなけばならない。Ns>1ならば,MCU内

のインタリーブの成分の順序は,Cs↓1↑が始めで,Cs↓2↑が2番目で,...となる。Ns>1ならば,走査

内に含まれる画像成分に次に示す制限をしなければならない。 

10

j

V

j

H

Ns

1

j

×

∑=

ここで,H↓j↑及びV↓j↑は,走査成分jに対する水平抽出比率及び垂直抽出比率とする。これらの標

本化比率は,フレームヘッダ内で成分iに対して規定する。ここで,iは,フレーム成分規定インデックス

である。フレーム成分識別子C↓j↑が走査成分セレクタCs↓j↑に対応する。 

例として,512ラインでライン当たり512標本の大きさで,次に示す標本化比率の,三つの成分をもつ

画像を考える。 

成分0 

H0=4, 

V0=1 

成分1 

H1=1, 

V1=2 

成分2 

H2=2, 

V2=2 

このとき,H↓j↑×V↓j↑の総和は, (4×1) + (1×2) + (2×2) =10である。 

Td↓j↑:直流係数エントロピー符号化表セレクタ 成分Cs↓j↑の直流係数の復号に必要なエントロピー

表が取り出される,四つの可能な直流係数エントロピー符号化表から一つを規定する。選択された直流係

数エントロピー表は,復号器が現在の走査を復号する用意ができるまでに規定されていなければならない

(B.2.4.2参照)。この引数は,可逆処理においてエントロピー符号化表を選択する。 

Ta↓j↑:交流係数エントロピー符号化表セレクタ 成分Cs↓j↑の交流係数の復号に必要なエントロピー

表が取り出される,四つの可能な交流係数エントロピー符号化表から一つを規定する。選択された交流係

数エントロピー表は,復号器が現在の走査を復号する用意ができるまでに規定されていなければいけない

(B.2.4.2参照)。この引数は,可逆処理において0である。 

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Ss:周波数選択,予測器選択の開始 DCT符号化モードにおいて,この引数は,走査内で符号化する,そ

れぞれのブロック内のジグザグ順序での最初のDCT係数を規定する。この引数は,順次DCT処理におい

て0に設定しなければならない。この引数は,可逆符号化モードにおいて予測器の選択に用いる。 

Se:周波数選択の終了 走査内で符号化するそれぞれのブロック内のジグザグ順序での最後のDCT係数

を規定する。この引数は,順次DCT処理において63に設定しなければならない。この引数は,可逆符号

化モードにおいて意味をもたない。このときは,0に設定しなければならない。 

Ah:逐次近似ビット位置の上位 この引数は,Ss及びSeによって規定する係数の帯域に対する前の走査

内で用いられる小数点移動(すなわち,前の走査内の逐次近似ビット位置の下位)を規定する。この引数

は,それぞれの係数の帯域の最初の走査に対して0に設定しなければならない。可逆符号化モードにおい

てこの引数は,意味をもたない。このときは,0に設定しなければならない。 

Al:逐次近似ビット位置の下位又は小数点移動 DCT符号化モードにおいてこの引数は,Ss及びSeによ

って規定する係数の帯域を符号化する前に用いられる小数点移動,すなわち,ビット位置の下位を規定す

る。この引数は,順次DCT処理に対して0に設定しなければならない。この引数は,可逆符号化モードに

対して,小数点移動,Ptを規定する。 

表B.3 走査ヘッダ引数の大きさ及び値 

引数 

大きさ 

(bits) 

順次DCT 

段階 
DCT 

可逆 

基本 

拡張 

Ls 

16 

6+2×Ns 

Ns 

1−4 

Csj 

0-255* 

Tdj 

0-1 

0-3 

0-3 

0-3 

Taj 

0-1 

0-3 

0-3 

Ss 

0-63 

1-7** 

Se 

63 

63 

Ss-63*** 

Ah 

0-13 

Al 

0-13 

0-15 

エントロピー符号化表セレクタのTd↓j↑及びTa↓j↑は,(ハフマン符号化を用いたフレームでは)ハ

フマン符号表又は(算術符号化を用いたフレームでは)算術符号化表を選択する。後者の場合,エントロ

ピー符号化表セレクタは,算術符号化条件表及び関連する統計量領域の両方を選択する。 

B.2.4 表指定及び種々のマーカ部分列の構文法 図B.5で,B.2.4.1〜B.2.4.6で規定された表指定部分列又

は種々のマーカ部分列が,図B.2に示された場所で,順序及び部分列の数に制限なく存在してもよいこと

を規定している。 

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図B.5 表又は種々のマーカ部分列の構文 

圧縮画像データ内でデスティネーションが発生した場合,これに従って前の表指定を変更しなければな

らない。そして,フレーム内の残りの走査で指定されたときはいつでもそれを使わなければならない。圧

縮画像データ内で複数回表指定が行われたら,その度に前の規定と置き換えなければならない。量子化表

指定は,与えられた成分の段階DCT走査の間変更できない。 

B.2.4.1 量子化表指定の構文法 図B.6は,一つ以上の量子化表を定義するマーカ部分列の規定を示す。 

図B.6 量子化表の構文 

図B.6に示すマーカ及び引数を次のとおり定義する。それぞれの引数の大きさ及び許される値を表B.4

に示す。 

DQT:量子化表定義マーカ 量子化表指定引数の開始を示す。 

Lq:量子化表定義長 B.6に示すすべての量子化表引数の長さを規定する(B.1.1.4参照)。 

Pq:量子化表要素精度 Q↓k↑の値の精度を規定する。値0は,8ビットのQ↓k↑の値を示す。値1は,

16ビットのQ↓k↑の値を示す。8ビット精度の標本Pに対して,Pqは,0にしなければならない(B.2.2

参照)。 

Tq:量子化表識別子 四つの可能な量子化表のうち,復号器に取り込まなければならないものを規定する。 

Q↓k↑:量子化表の要素 64要素のうちk番目の要素を規定する。ここでkは,DCT係数のジグザグ順

序内でのインデックスとする。量子化要素は,ジグザグ走査の順番で規定しなければならない。 

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40 

X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表B.4 量子化表指定引数の大きさ及び値 

引数 

大きさ 

(bits) 

順次DCT 

段階 
DCT 

可逆 

基本 

拡張 

Lq 

16 

))

(

64

65

(

2

1

t

Pq

n

t

×

+

+=

未定義 

Pq 

0, 1 

0, 1 

未定義 

Tq 

0-3 

未定義 

Qk 

8, 16 

1-255,1-65535 

未定義 

表B.4の値nは,DQTマーカ部分列で規定された量子化表の数とする。 

一度,量子化表を定義すると,これを次の画像に用いてもよい。デスティネーションに対して表が定義

されていなければ,このデスティネーションがフレームヘッダ内で指定したときの結果は予期できない。 

8ビットのDCT利用型の処理では,16ビット精度の量子化表を使用してはならない。 

B.2.4.2 ハフマン符号表指定の構文法 図B.7は,一つ以上のハフマン符号表指定を定義するマーカ部分

列の規定を示す。 

図B.7 ハフマン符号表の構文 

図B.7に示すマーカ及び引数を次のとおり定義する。それぞれの引数の大きさ及び許される値を表B.5

に示す。 

DHT:ハフマン符号表定義マーカ ハフマン符号表定義引数の開始を示す。 

Lh:ハフマン符号表定義長 図B.7に示されたすべてのハフマン符号表引数の長さを規定する(B.1.1.4参

照)。 

Tc:表種別 0=直流係数の表又は可逆の表。1=交流係数の表。 

Th:ハフマン符号表識別子 四つの可能なハフマン符号表のうち,復号器に取り込まなければならないも

のを規定する。 

L↓i↑:長さiのハフマン符号数 この規格で許されている16ビットまでの可能な長さそれぞれに対する

ハフマン符号の数を規定する。L↓i↑は,BITS表の要素である。 

V↓i,j↑:ハフマン符号それぞれに対応する値 長さiのハフマン符号それぞれに対応する値を,それぞ

れのiに対して規定する。それぞれの値の意味は,ハフマン符号化モデルによって決まる。V↓i,j↑は,

HUFFVAL表の要素である。 

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41 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表B.5 ハフマン符号表指定引数の大きさ及び値 

引数 

大きさ 

(bits) 

順次DCT 

段階 
DCT 

可逆 

基本 

拡張 

Lh 

16 

(

)

t

n

t

m

+

+=17

2

1

Tc 

0, 1 

Th 

0, 1 

0-3 

Li 

0-255 

Vij 

0-255 

表B.5 内の値nは,DHTマーカ部分列で規定するハフマン符号表の数を示す。値m↓t↑は,ハフマン

符号表tに対する16個のL↓i↑ (t) の引数の後に続く引数の個数で,次のとおり与えられる。 

↑=

=

i

L

t

m

16

1

i

一般に,m↓t↑はそれぞれの表によって異なる。 

一度,ハフマン符号表を定義すると,これを次の画像に用いてもよい。デスティネーションに対して表

が定義されていなければ,このデスティネーションが走査ヘッダ内で指定したときの結果は予期できない。 

B.2.4.3 算術符号化条件表指定の構文法 図B.8は,一つ以上の算術符号化条件表指定を定義するマーカ

部分列の規定を示す。これらは,算術符号化処理において,SOIマーカによって設定されたデフォルトの

算術符号化条件表を置き換える(F.1.4.4.1.4及びF.1.4.4.2.1参照)。 

図B.8 算術符号化条件表指定の構文 

図B.8に示すマーカ及び引数を次のとおり定義する。それぞれの引数のサイズ及び許される値を表B.6

に示す。 

DAC:算術符号化条件付け定義マーカ 算術符号化条件付け引数の定義の開始を示す。 

La:算術符号化条件付け定義長 図B.8に示されたすべての算術符号化条件付け引数の長さを規定する

(B.1.1.4参照)。 

Tc:表種別 0=直流係数の表又は可逆の表,1=交流係数の表。 

Tb:算術符号化条件表の識別子 四つの可能な算術符号化条件表のうち,復号器に取り込まなければなら

ないものを規定する。 

Cs:条件表の値 交流係数又は直流係数(及び可逆)の条件表の値。一つのCsの値は,それぞれのTbの

値の後に続く。交流係数の条件表に対してはTcは1で,Csは1≦Kx≦63の範囲のKxの値を含まなけれ

ばならない。直流係数(及び可逆)の条件表に対してはTcは0で,Csは二つの4ビット引数U及びLを

含まなければならない。U及びLは0≦L≦U≦15の範囲で,Csの値はL+16×Uでなければならない。 

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42 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表B.6 算術符号化条件表指定引数の大きさ及び値 

引数 

大きさ 

(bits) 

順次DCT 

段階 
DCT 

可逆 

基本 

拡張 

La 

16 

未定義 

2+2×n 

Tc 

未定義 

0, 1 

Tb 

未定義 

0-3 

Cs 

未定義 

0-255 (Tc=0), 1-63 (Tc=1) 

0-255 

表B.6の値nは,DACマーカ部分列で規定する算術符号化条件表の個数を示す。引数のL及びUは,

直流係数の符号化及び可逆符号化に対して定義する算術符号化処理で使われる下及び上の条件付けの境界

である。DCT符号化で記されている1-63の値は,Kxで,交流係数符号化で用いられる条件付けとする。 

B.2.4.4 符号化再初期化間隔定義の構文法 図B.9は,符号化再初期化間隔を定義するマーカ部分列の規

定を示す。 

図B.9 符号化再初期化間隔定義の構文 

図B.9に示すマーカ及び引数を次のとおり定義する。それぞれの引数の大きさ及び許される値を表B.7

に示す。 

DRI:符号化再初期化間隔定義マーカ 符号化再初期化間隔を定義する引数の開始を示す。 

Lr:符号化再初期化間隔部分列定義長 図B.9に示すDRI部分列内の引数の長さを規定する(B.1.1.4参照)。 

Ri:符号化再初期化間隔 符号化再初期化間隔内のMCUの個数を規定する。 

表B.7 符号化再初期化間隔部分列引数の大きさ及び値 

引数 

大きさ 

(bits) 

順次DCT 

段階 
DCT 

可逆 

基本 

拡張 

Lr 

16 

Ri 

16 

0-65535 

n×MCUR 

表B.7で値nは,符号化再初期化間隔内のMCUの列の個数を示す。MCURの値は,走査内のそれぞれ

の成分の一つの標本列を作るために必要なMCUの数とする。SOIマーカは,符号化再初期化間隔を無効

にする。0でないRiを伴うDRIマーカ部分列は,後に続く走査に対して符号化再初期化間隔を有効にする

ために存在しなければならない。0のRiを伴うDRIマーカ部分列は,後に続く走査に対し符号化再初期化

間隔を無効にしなければならない。 

B.2.4.5 コメントの構文法 図B.10は,コメント部分列に対するマーカ部分列構造の規定を示す。 

図B.10 コメント部分列の構文 

図B.10に示すマーカ及び引数を次のとおり定義する。それぞれの引数の大きさ及び許される値を表B.8

に示す。 

COM:コメントマーカ コメントの開始を示す。 

Lc:コメント部分列長 図B.10に示すコメント部分列の長さを規定する(B.1.1.4参照)。 

Cm↓i↑:コメントバイト この解釈は応用にゆだねる。 

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43 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表B.8 コメント部分列引数の大きさ及び値 

引数 

大きさ 

(bits) 

順次DCT 

段階 
DCT 

可逆 

基本 

拡張 

Lc 

16 

2-65535 

Cmi 

0-255 

B.2.4.6 応用データの構文法 図B.11は応用データ部分列に対するマーカ部分列構造の規定を示す。 

図B.11 応用データの構文 

図B.11に示すマーカ及び引数を次のとおり定義する。それぞれの引数の大きさ及び許される値を表B.9

に示す。 

APPn:応用データマーカ 応用データ部分列の開始を示す。 

Lp:応用データ部分列長 図B.11に示す応用データ部分列の長さを規定する(B.1.1.4参照)。 

Ap↓i↑:応用データバイト この解釈は応用にゆだねる。 

表B.9 応用データ部分列引数の大きさ及び値 

引数 

大きさ 

(bits) 

順次DCT 

段階 
DCT 

可逆 

基本 

拡張 

Lp 

16 

2-65535 

APi 

0-255 

APPn(応用)部分列は,応用での使用のために確保される。これらの部分列は,異なる応用で異なって

定義してよいために,データを応用環境間で変換するときには取り除かなければならない。 

B.2.5 ライン数定義の構文法 図B.12は,ライン数の定義に対するマーカ部分列の規定を示す。DNL(ラ

イン数定義)部分列は,第一の走査の最後に,フレーム内(フレームヘッダ内のY引数)のライン数の定

義又は再定義のメカニズムを提供する。この値は,第一の走査で符号化されたMCU列の数と一致しなけ

ればならない。この部分列が使われる場合は,第一の走査の最後及び整数個のMCU列の符号化の後にだ

け置かれなければならない。このマーカ部分列は,フレームヘッダ内に定義されたライン数 (Y) が値0

のときに必要となる。 

図B.12 ライン数定義の構文 

図B.12に示すマーカ及び引数を次のとおり定義する。それぞれの引数の大きさ及び許される値を表B.10

に示す。 

DNL:ライン数定義マーカ ライン数定義部分列の開始を示す。 

Ld:ライン数定義部分列長 図B.12に示すライン数定義部分列の長さを規定する(B.1.1.4参照)。 

NL:ライン数 フレーム内のライン数を規定する(B.2.2のYの定義を参照)。 

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44 

X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表B.10 ライン数定義部分列の大きさ及び値 

引数 

大きさ 

(bits) 

順次DCT 

段階 
DCT 

可逆 

基本 

拡張 

Ld 

16 

NL 

16 

1-65535* 

B.3 

階層型の構文法 

B.3.1 階層型モードの上位レベルの構文法 図B.13で,階層型符号化処理の交換様式の上位レベルの構

成要素の順序を規定する。 

図B.13 階層型符号処理モードの構文 

階層型モードの構文法には,非差分フレームの前にDHPマーカ部分列がなければならない。それは,

EXPマーカ部分列及び最初の非差分フレームが後に続く差分フレームを含んでもよい。階層型モードのフ

レーム構造は,非階層型モードのフレーム構造と同一とする。 

階層型シーケンスでの非差分フレームは,SOF↓n↑マーカSOF↓0↑,SOF↓1↑,SOF↓2↑,SOF↓3

↑,SOF↓9↑,SOF↓10↑及びSOF↓11↑に対して規定された符号化処理の一つを用いる。差分フレーム

は,SOF↓5↑,SOF↓6↑,SOF↓7↑,SOF↓13↑,SOF↓14↑及びSOF↓15↑に対して規定された処理

の一つを用いる。一つの階層型シーケンス内で,SOFマーカの許される組合せは,附属書Jで規定する。 

標本精度 (P) は,すべてのフレームに対して一定でなければならず,DHPマーカ部分列内で符号化され

たのと同一の値とする。ライン当たりの標本数 (X) は,すべてのフレームに対して,DHPマーカ部分列

で符号化された値を超えてはならない。ライン数 (Y) がDHPマーカ部分列内で非ゼロならば,ライン数

は,すべてのプレームに対して,DHPマーカ部分列で符号化された値を超えてはならない。 

B.3.2 DHP部分列の構文法 DHP部分列は,完全なフレームの階層型シーケンスに対して,画像成分,

大きさ及び標本化比率を定義する。DHP部分列は,最初のフレームの前に置かなければならない。圧縮画

像データの中には,一つのDHP部分列を置かなければならない。 

DHP部分列の構造は,SOF↓n↑マーカの代わりにDHPマーカが使われることを除いて,フレームヘッ

ダ構文法と同じとする。DHP部分列内で,量子化表セレクタ引数をゼロに設定しなければならないことを

除いて,B.2.2の図及び記述を適用する。 

B.3.3 EXP部分列の構文法 図B.14は,EXP部分列に対するマーカ部分列構造の規定を示す。EXP部分

列は,参照成分の拡張が垂直方向又は水平方向に必要な場合(そして,そのときだけ),存在しなければな

らない。EXP部分列引数は,画像内の次のフレーム(これは差分フレームでなければならない。)に適用

される。必要ならば,EXP部分列は,フレームヘッダの前に置かれる表指定又は種々のマーカ部分列のう

ちの一つとして配置する。EXP部分列は,走査ヘッダ又はDHPマーカ部分列の前に置かれる表指定又は

種々のマーカ部分列の一つとして配置してはならない。 

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45 

X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図B.14 拡張部分列の構文 

図B.14に示す引数を次のとおり定義する。それぞれの引数のサイズ及び許される値を表B.11に示す。 

EXP:参照成分拡張マーカ 参照成分拡張部分列の開始を示す。 

Le:EXP部分列長 EXP部分列の長さを規定する(B.1.1.4参照)。 

Eh:垂直方向の拡張 これが1の場合,参照成分を垂直方向に拡張する。垂直方向の拡張が必要でなけれ

ば,この値は,0でなければならない。 

Ev:水平方向の拡張 これが1の場合,参照成分を水平方向に拡張する。水平方向の拡張が必要でなけれ

ば,この値は,0でなければならない。 

表B.11 拡張部分列引数の大きさ及び値 

引数 

大きさ 

(bits) 

順次DCT 

段階 
DCT 

可逆 

基本 

拡張 

Le 

16 

Eh 

0, 1 

Ev 

0, 1 

垂直方向及び水平方向の両方に拡張が必要な場合,Eh及びEvの両方は,1でなければならない。 

B.4 

圧縮画像データ用簡易様式 図B.2は,交換様式の上位レベルの構成要素を示している。この様式

は,復号に必要なすべての表の規定を含む。応用環境が,圧縮画像データ以外に表指定を行う方法を用意

しているならば,幾つか又はすべての表の規定は,省略してもよい。復号に必要な表指定データのうちの

どれか一つでも欠けている圧縮画像データは,簡易様式とする。 

B.5 

表指定データ用簡易様式 図B.2は,交換様式の上位レベルの構成要素を示している。圧縮画像デ

ータの中にフレームが存在しなければ,その圧縮画像データの目的は,B.2.4.1,B.2.4.2,B.2.4.5及びB.2.4.6

で定義する表指定又は種々のマーカ部分列を伝達することにある。この場合,圧縮画像データは,表指定

データ用簡易様式とする。 

図B.15 表指定データ用簡易様式の構文 

B.6 

要約 図B.16及び図B.17は,交換様式の構成要素の順序及びすべてのマーカ部分列の構成を示し

ている。図B.16中の二重線の箱は,マーカ部分列を含んでいる。図B.16及び図B.17の細線の箱は,マー

カだけを含む。 

EXP部分列は,フレームヘッダに先立つ他の表又は種々のマーカ部分列と混在できるが,DHP部分列又

は走査ヘッダに先立つ他の表又は種々のマーカ部分列とは混在できない。 

background image

4

6

X

 4

3

0

1

-1

9

9

5

 (I

S

O

/IE

C

 1

0

9

1

8

-1

 : 

1

9

9

4

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図B.16 圧縮データの流れ 

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47 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図B.17 マーカ部分列の流れ 

48 

X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書C(規定) ハフマン符号表指定 

ハフマン符号化処理手順は,任意の符号化処理のエントロピー符号化として用いる。ハフマン符号化の

符号化モデルを附属書のF,G,Hに規定する。この附属書では,ハフマン符号表の指定様式を規定する。 

ハフマン符号表は,1から16までの各符号長の符号語の個数を示す16バイトの表 (BITS) で規定する。

BITSに続いてシンボル値の表 (HUFFVAL) を規定する。HUFFVALは,各ハフマン符号語に割り当てられ

る8ビットのシンボル値の表であり,そのシンボル値の各々にハフマン符号語を割り当てる。HUFFVAL

で規定されるシンボル値は,符号語長が増加する順番に表上に並べる。16ビットより長い符号語長のもの

は許されない。符号語は,任意の長さのすべて “1” の符号語が,さらに長い符号語の接頭語として予約さ

れるように生成されなければならない。 

参考 HUFFVAL内のシンボル値の順番は,符号語長で決定される。与えられた符号語長の中でシン

ボルの値の順序は任意である。 

この附属書では交換様式の中の二つの表(BITS及びHUFFVAL)からハフマン符号表(ハフマン符号語

とそれに対応する8ビットのシンボル値)とを生成する処理手順を規定する。しかし,この附属書では,

これらの表が生成される方法は規定しない。表はハフマン符号化の規則に従って構成された方法で生成さ

れることが望ましく,前段落で述べた制限を遵守しなければならない。附属書Kに,これらの規則に従っ

たハフマン符号長及び対応する値の表の生成法を記述する。 

備考 この規定は,符号器及び復号器が,この附属書で規定する流れ図による手順に厳密に従うこと

を強制するものではない。符号器及び復号器は,ここに規定された機能だけを満たせばよい。

この規定に従って考慮しなければならない基準は,ISO/IEC 10918-2の適合性試験の6.(符号

器用)及び7.(復号器用)の要求条件だけとする。 

C.1 ハフマン符号表の規定のためのマーカ部分列 DHTマーカは,圧縮画像データ内でハフマン符号表

の定義の開始を示す。B.2.4.2にハフマン符号表指定の構文法が規定されている。 

C.2 ハフマン符号表指定から符号語及び符号語長表への変換 交換様式で規定されたハフマン符号表か

ら,符号語及び符号語長表への変換は,三つの処理手順を利用する。最初の処理手順は(図C.1),ハフマ

ン符号語の大きさの表を生成する。2番目の処理手順は(図C.2),図C.1で構成された表からハフマン符

号語を生成する。3番目の処理手順は(図C.3),シンボル値の順にハフマン符号語を生成する。 

各々の大きさの符号語の個数を示す表であるBITS (1...16) と,BITSで記述された符号語に対応する値を

示す表であるHUFFVALとから,次の二つの表を生成する。HUFFSIZE表は符号語長の表を示し,

HUFFCODE表はHUFFSIZE表に示される符号語長に対応するハフマン符号語を示す。 

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49 

X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図C.1 ハフマン符号の大きさ表の生成 

変数LASTKは,表の最後のエントリーのインデックスに合わせる。 

HUFFSIZEの各々の大きさの符号語を示すハフマン符号表であるHUFFCODEは,図C.2の処理手順で

生成する。図C.2中の記述子 “SLL CODE 1” は,CODEの1ビットの論理左シフト演算を示す。 

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50 

X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図C.2 ハフマン符号表の生成 

二つの表であるHUFFCODEとHUFFSIZEとを以上の方法で生成する。表内のエントリーは,ハフマン

符号を数字で表した場合の値と長さとが増加する順番に並べる。 

符号化処理手順の符号表であるEHUFCO及びEHUFSIZEは,HUFVALで示される各々の符号語に割り

当てるシンボル値に従ってHUFCODE及びHUFSIZEで規定される符号語を並べ変えることによって生成

する。 

図C.3で,この並べ替えの処理手順を示す。 

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51 

X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

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図C.3 符号化処理手順符号表についての順序付け処理手順 

C.3 バイト内でのビット順序 ハフマン符号語を2値木で示した場合の根は,バイトのMSB(上位ビッ

ト)に向かって配置され,それに続く符号ビットは,バイトのMSBからLSB(下位ビット)の方向に向

かって並べる。符号ビットが残った場合は,同じ規則に従って次のバイトに並べる。 

ハフマン符号語に対応する整数は,一つ前のハフマン符号語のLSBに隣接するMSBに追加する。 

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52 

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附属書D(規定) 算術符号化 

基本順次処理を除く,任意の符号処理におけるエントロピー符号処理として,適応2値算術符号化処理

手順を用いてもよい。適応2値算術符号処理システムにおける符号処理モデルは,附属書のF,G及びH

に定義されている。この附属書では,これらのモデルに用いられる算術符号化及び復号処理手順について

規定する。 

実際の適用例が正しいかどうかを判定するための簡単な例を,K.4に示す。 

備考 この規定は,符号器及び復号器が,この附属書で規定する流れ図による手順に厳密に従うこと

を強制するものではない。符号器及び復号器は,ここに規定された機能だけを満たせばよい。

この規定に従って考慮しなければならない基準は,ISO/IEC 10918-2の適合性試験の6.(符号

器用)及び7.(復号器用)の要求条件だけとする。 

D.1 算術符号化処理手順 算術符号処理を備えるシステムは,四つの算術符号化処理手順を必要とする。

これらの処理手順を次に示す。 

表D.1 2値算術符号化における処理手順 

処理手順 

目的 

Code̲0 (S) 

文脈インデックスSに基づく,2値判定結果 “0” の符号化 

Code̲1 (S) 

文脈インデックスSに基づく,2値判定結果 “1” の符号化 

Initenc 

符号器の初期化 

Flush 

エントロピー符号化部分列の終了 

 “Code̲0 (S)” 処理手順及び “Code̲1 (S)” 処理手順は,それぞれ判定結果0と判定結果1とを符号化す

る。Sは,文脈インデックスであり,2値判定結果を符号化する際に用いられる条件付き確率推定値を指

定する。 “Initenc” 処理手順は,算術符号化エントロピー符号器の初期化を行う。 “Flush” 処理手順は,

マーカを付加するためエントロピー符号化部分列を終了させる。 

D.1.1 2値算術符号化原理 算術符号化器は,一連の2値シンボルを符号化する。各2値シンボルは,2

値判定結果を0又は1で示す。 

各“2値判定”は,2者択一の結果を与える。例えば,正か負か,絶対値がゼロかどうか,2進表現され

た数値の特定のビットがゼロかどうか,などの判定結果を与える。 

出力ビット系列(エントロピー符号化されたデータ部分列)は,2進小数を表現し,その精度は,符号

化処理においてバイトが付加されることによって増加する。 

D.1.1.1 再帰的な領域分割 再帰的な確率間隔分割の手法を,2値算術符号化処理手順の基本とする。2

値判定を行うごとに,現在の確率間隔を二つの部分間隔に分割し,必要であれば,ビット系列が出現した

シンボルに割り当てられた確率部分間隔の下限境界を指し示すように,このビット系列を修正する。 

現在の確率間隔を二つの部分間隔に分割する際には,優勢シンボル (MPS) に対応する部分間隔を,劣

勢シンボル (LPS) に対応する部分間隔に対しゼロに近い側に配置する。したがって,LPSを符号化する場

合には,ビット系列にMPSの部分間隔の大きさを加算する。この符号化方式では,シンボルが0であるか

1であるかというよりも,MPSであるかLPSであるかを認識することが必要とされる。したがって,判定

結果を符号化するためには,各判定結果に対応するLPS部分間隔の大きさと,MPSが示す意味との双方を

知らなければならない。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

現在の確率間隔の分割には,理想的には該当する間隔とLPSの確率推定値との乗算が必要となる。しか

し,実際には分割が近似的に行われるため,LPS部分間隔がMPS部分間隔よりも大きくなる可能性がある。

このような場合には,“条件付き交換”によって,部分間隔の交換を行い,MPSに,より大きい部分間隔

を割り当てる。 

符号化処理手順では,整数長の符号語の連結ではなく,2進小数の加算処理を行うため,発生確率の高

い2値判定結果は,一つの判定結果につき,複数回の判定が行われないと1ビットの符号語が出力されな

いため,一つの判定結果で平均すると1ビットよりはるかに少ない符号長で符号化される。 

D.1.1.2 確率推定における条件付け 適応2値算術符号化器には統計的モデルが必要となる。モデルは,

各々の2値判定結果の符号化に使われる条件付き確率推定値を選択するために用いる。得られた2値判定

結果確率推定値が,既に符号化されている特徴(文脈)に依存するならば,この推定値は,この特徴に“条

件づけ”られている。以前に符号化されている判定結果に依存する確率推定値の条件付けの方法は,符号

器と復号器とで同一でなければならない。したがって,符号器と復号器との双方で知り得る情報だけを用

いる。 

統計的モデルで用いられる各条件付き確率推定値は,それぞれ,文脈インデックスSによって指定され

る別々の蓄積領域又は“器”に保持される。算術符号化システムは,各文脈インデックスにおける確率推

定値がその文脈インデックスにおいて過去に符号化された判定結果に基づいて,算術符号化システムにお

いて生成し,維持される適応的な動作を行うものとなる。 

D.1.2 符号化方式と近似 符号化処理手順は,固定精度の整数算術演算及び小数の整数表現を用いて行う。

ここでは,10進数の0.75を,Xʼ8000ʼで示す。確率間隔の大きさAがXʼ8000ʼを下回った場合は,常にこ

れを2倍にすることによって,Aを整数の範囲Xʼ8000ʼ<=A<Xʼ10000ʼに保つ。これはAを10進数表現

の範囲0.75<=A<1.5となるように保つのと等価である。この間隔の大きさを2倍にする処理を再正規化

と呼ぶ。 

符号レジスタCは,ビット系列の後に続くビット列を保持する。Aを2倍にした場合は,符号レジスタ

Cも2倍にする。Cレジスタをけたあふれさせないために,周期的にCレジスタの最上位1バイトを取り

出し,エントロピー符号化部分列に出力する。 

エントロピー符号化部分列へのけた上げについては,けた上げの影響が消滅するまでXʼFFʼの出力を遅

らせることによって,これを制限する。エントロピー符号化部分列内に,偶然にマーカコードが生成され

ないようにするため,エントロピー符号化部分列にXʼFFʼを出力するたびに,その後に1バイトのゼロを

挿入する。 

間隔の大きさAを0.75<=A<1.5となるよう制限すると,間隔分割の際に簡単な算術近似を用いること

ができる。文脈インデックスSに対応するLPS出現確率の推定値をQeとすれば,部分間隔の正確な計算

には次の式が必要となる。 

Qe (S)×A 

=LPSの確率部分間隔 

A− (Qe (S)×A) 

=MPSの確率部分間隔 

Aがほぼ1に近いので次の近似を行える。 

Qe (S) 

=LPSの確率部分間隔 

A−Qe (S) 

=MPSの確率部分間隔 

LPSを符号化するときには、常にA−Qe (S) の値を符号レジスタに加算し,その後,確率間隔の大きさ

を減らしてQe (S) にする。MPSを符号化するときには,符号レジスタはそのままにし,間隔の大きさをA

−Qe (S) にする。Aに必要な精度は,必要に応じA及びCを再正規化することによって回復する。 

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54 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

前述の処理手順を用いると,確率間隔分割処理のための近似によって,LPS部分間隔がMPS部分間隔よ

り大きくなってしまうことがある。例えば,Qe (S) の値が0.5でAが最小値の0.75の場合,この近似を用

いると確率間隔の1/3がMPSに,2/3がLPSに割り当てられてしまう。このような大きさの逆転を防ぐた

め,条件付き交換を用いる。確率間隔は,この簡単な近似を用いて分割されるが,LPS部分間隔がMPS

部分間隔より大きくなった場合には,両部分間隔を入れ換える。再正規化が必要なときに限り,この条件

付きMPS/LPS領域交換は発生する。 

各2値判定には文脈を用いる。文脈は,これまでの符号化に用いた判定結果の集合であり,文脈インデ

ックスSを決定する。この文脈インデックスSが,判定結果の符号化に用いる確率推定値を指定する。 

再正規化が発生するときには,必ず,その時点で符号化する文脈に対し新しい確率推定値を決定する確

率推定処理手順を起動する。この推定には,正確なシンボルの計数は不要とする。表を基本とした確率推

定状態表を利用することによって,LPS及びMPSを符号化した後の再正規化の相対的確率から,直接,該

当する確率の推定を行う。 

D.1.3 符号器の符号レジスタ規約 ここで示す流れ図では,符号器におけるレジスタ構成を次のように仮

定する。 

表D.2 符号器レジスタ規約 

MSB  

LSB 

C−レジスタ  0000cbbb, bbbbbsss, xxxxxxxx, xxxxxxxx 
A−レジスタ 00000000, 00000000, aaaaaaaa, aaaaaaaa 

 “a” ビットはAレジスタ内の小数ビット(現在の確率間隔値)とし, “x” ビットは符号レジスタ内の

小数ビットとする。 “s” ビットはけた上げを抑制するために任意に用いるスペース保持ビット, “b” ビ

ットはCレジスタからバイト単位に出力される完成した符号データのビット位置を示す。 “c” は,けた上

げビットとする。初期設定時を除き,Aレジスタのビット15を常にセットし,ビット16を常にクリアし

ておく(LSBがビット0である。)。 

これらのレジスタ構成は,一つの実施例を示している。しかし,符号化器におけるけた上げの問題を解

決し,全く同じエントロピー符号化部分列を生成するならば,どのようなレジスタ構成を用いてもよい。

けた上げ及びXʼFFʼに続くバイト挿入の取扱いに関する詳細な規定は,D.1.6で行う。 

D.1.4 Code̲1 (S) 処理手順,及びCode̲0 (S) 処理手順 与えられた2値判定結果を符号化する場合には,

判定結果1の符号化又は判定結果0の符号化の二つの可能性がある。Code̲1 (S) 処理手順及びCode̲0 (S) 

処理手順を,図D.1及び図D.2に示す。Code̲1 (S) 処理手順及びCode̲0 (S) 処理手順は,文脈インデック

スSによって指定される確率推定値を用いる。文脈インデックスSは,統計的モデルによって決定され,

一般に前に符号化した判定結果の関数となっている。Sの値は,固有の条件付き確率推定値を指定し,こ

の推定値を2値判定結果の符号化に用いる。 

文脈インデックスSは,Index (S) が保持されている記憶位置領域のいずれかの位置を指し示す。Index (S)

は,確率推定状態表を構成する表におけるインデックスとする。2値判定結果を符号化する際に,符号化

の対象となるシンボルは,優勢シンボル又は劣勢シンボルのいずれかとする。したがって,各文脈インデ

ックスにおいて優勢シンボルの意味を示す付加情報 [MPS (S)] も保持する必要がある。 

簡略化のために,この箇条の流れ図では,各文脈インデックスSに対応する文脈記憶領域が,Qe (S)の

記憶領域だけでなく,Qe (Index (S)) の値を保持する追加領域ももつものとする。Index (S)の値及びMPS (S)

だけが保持される場合は,Qe(S)は,Qe (Index (S)) に置き換えなければならない。 

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図D.1 Code̲1 (S) 処理手順 

図D.2 Code̲0 (S) 処理手順 

Code̲LPS(S)処理手順は,普通,MPS部分間隔A−Qe (S) をビット系列に加算し,間隔を部分間隔Qe(S)

にスケーリングする。この処理手順の後には,新しいLPS確率推定値を得る処理手順 [Estimate̲Qe (S) 

̲after̲LPS] 及び再正規化 (Renorm̲e) を必ず行う。 

しかし,LPS部分間隔がMPS部分間隔よりも大きい場合は,MPS領域とLPS領域との条件付き交換が

起き,MPS部分間隔を符号化する。 

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図D.3 MPS領域とLPS領域との条件付き交換を伴うCode_LPS (S) 処理手順 

Code̲MPS (S) 処理手順は,確率間隔を小さくして,MPS部分間隔の大きさに等しくする。しかし,LPS

部分間隔がMPS部分間隔よりも大きい場合は,条件付き交換が起き,LPS部分間隔をMPS部分間隔の代

わりに符号化する。 

シンボルの符号化後に,新しいMPS確率推定値を得る処理手順 [Estimate̲Qe (S) ̲after̲MPS] と再正規

化 (Renorm̲e) とが必要とならない場合は,この条件付き交換は起こり得ないことに注意する。 

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図D.4 条件付きMPS/LPS領域交換を伴うCode̲MPS (S) 処理手順 

D.1.5 符号器における確率推定 

D.1.5.1 確率推定状態表 確率推定状態表は,多くの確率推定のシーケンスで構成される。これらのシー

ケンスは,算術符号器の再正規化によって近似的に得られるシンボル計数結果に基づいて確率推定値を算

出する手法にかかわっている。これらシーケンスの一部は確率推定の初期学習段階に用いられ,残りは安

定状態の推定に用いられる。 

確率推定状態表の各状態には,インデックスが割り当てられる。各インデックスには,Qe値及び二つの

次インデックス値 (Next̲Index value) が関係づけられている。次インデックスMPS (Next̲Index̲MPS) は,

MPS再正規化後の新しい確率推定値に対するインデックスを与え,次インデックスLPS (Next̲Index̲LPS) 

は,LPS再正規化後の新しい確率推定値に対するインデックスを与える。確率推定状態表に対するインデ

ックス及びMPSの意味は,文脈インデックスSごとに保持されている。LPS符号化時に,スイッチMPS 

(Switch̲MPS) の要素が1であれば,必ずMPSの意味を変更しなければならない。 

確率推定状態表を表D.2に示す。表D.2において,MPSの意味はゼロ,Qeインデックスはゼロとして,

算術符号器の初期設定を行う。 

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表D.2に示すQe値は,16進表現の整数で示される。15ビットの整数表現のQeを10進表現の確率に変

更するために,Qeの値を (4/3) × (Xʼ8000ʼ) で割る。 

表D.3 Qe値と確率推定状態表 

インデックス 

Qe 

̲Value 

Next̲Index 

Switch

̲MPS 

インデックス 

Qe 

̲Value 

Next̲Index 

Switch

̲MPS 

̲LPS 

̲MPS 

̲LPS 

̲MPS 

Xʼ5A1Dʼ 

57 

Xʼ01A4ʼ 

55 

58 

Xʼ2586ʼ 

14 

58 

Xʼ0160ʼ 

56 

59 

Xʼ1114ʼ 

16 

59 

Xʼ0125ʼ 

57 

60 

Xʼ080Bʼ 

18 

60 

Xʼ00F6ʼ 

58 

61 

Xʼ03D8ʼ 

20 

61 

Xʼ00CBʼ 

59 

62 

Xʼ01DAʼ 

23 

62 

Xʼ00ABʼ 

61 

63 

Xʼ00E5ʼ 

25 

63 

Xʼ008Fʼ 

61 

32 

Xʼ006Fʼ 

28 

64 

Xʼ5B12ʼ 

65 

65 

Xʼ0036ʼ 

30 

65 

Xʼ4D04ʼ 

80 

66 

Xʼ001Aʼ 

33 

10 

66 

Xʼ412Cʼ 

81 

67 

10 

Xʼ000Dʼ 

35 

11 

67 

Xʼ37D8ʼ 

82 

68 

11 

Xʼ0006 

12 

68 

Xʼ2FE8ʼ 

83 

69 

12 

Xʼ0003ʼ 

10 

13 

69 

Xʼ293Cʼ 

84 

70 

13 

Xʼ0001 

12 

13 

70 

Xʼ2379ʼ 

86 

71 

14 

Xʼ5A7Fʼ 

15 

15 

71 

Xʼ1EDFʼ 

87 

72 

15 

Xʼ3F25ʼ 

36 

16 

72 

Xʼ1AA9ʼ 

87 

73 

16 

Xʼ2CF2ʼ 

38 

17 

73 

Xʼ174Eʼ 

72 

74 

17 

Xʼ207Cʼ 

39 

18 

74 

Xʼ1424ʼ 

72 

75 

18 

Xʼ17B9ʼ 

40 

19 

75 

Xʼ119Cʼ 

74 

76 

19 

Xʼ1182ʼ 

42 

20 

76 

Xʼ0F6Bʼ 

74 

77 

20 

Xʼ0CEFʼ 

43 

21 

77 

Xʼ0D51ʼ 

75 

78 

21 

Xʼ09A1 

45 

22 

78 

Xʼ0BB6ʼ 

77 

79 

22 

Xʼ072Fʼ 

46 

23 

79 

Xʼ0A40ʼ 

77 

48 

23 

Xʼ055Cʼ 

48 

24 

80 

Xʼ5832ʼ 

80 

81 

24 

Xʼ0406ʼ 

49 

25 

81 

Xʼ4D1Cʼ 

88 

82 

25 

Xʼ0303ʼ 

51 

26 

82 

Xʼ438Eʼ 

89 

83 

26 

Xʼ0240ʼ 

52 

27 

83 

Xʼ3BDDʼ 

90 

84 

27 

Xʼ01B1ʼ 

54 

28 

84 

Xʼ34EEʼ 

91 

85 

28 

Xʼ0144ʼ 

56 

29 

85 

Xʼ2EAEʼ 

92 

86 

29 

Xʼ00F5ʼ 

57 

30 

86 

Xʼ299Aʼ 

93 

87 

30 

Xʼ00B7ʼ 

59 

31 

87 

Xʼ2516ʼ 

86 

71 

31 

Xʼ008Aʼ 

60 

32 

88 

Xʼ5570ʼ 

88 

89 

32 

Xʼ0068ʼ 

62 

33 

89 

Xʼ4CA9ʼ 

95 

90 

33 

Xʼ004Eʼ 

63 

34 

90 

Xʼ44D9ʼ 

96 

91 

34 

Xʼ003Bʼ 

32 

35 

91 

Xʼ3E22ʼ 

97 

92 

35 

Xʼ002Cʼ 

33 

92 

Xʼ3824ʼ 

99 

93 

36 

Xʼ5AE1ʼ 

37 

37 

93 

Xʼ32B4ʼ 

99 

94 

37 

Xʼ484Cʼ 

64 

38 

94 

Xʼ2E17ʼ 

93 

86 

38 

Xʼ3A0Dʼ 

65 

39 

95 

Xʼ56A8ʼ 

95 

96 

39 

Xʼ2EF1ʼ 

67 

40 

96 

Xʼ4F46ʼ 

101 

97 

40 

Xʼ261Fʼ 

68 

41 

97 

Xʼ47E5ʼ 

102 

98 

41 

Xʼ1F33ʼ 

69 

42 

98 

Xʼ41CFʼ 

103 

99 

42 

Xʼ19A8ʼ 

70 

43 

99 

Xʼ3C3Dʼ 

104 

100 

43 

Xʼ1518ʼ 

72 

44 

100 

Xʼ375Eʼ 

99 

93 

44 

Xʼ1177ʼ 

73 

45 

101 

Xʼ5231ʼ 

105 

102 

background image

59 

X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

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インデックス 

Qe 

̲Value 

Next̲Index 

Switch

̲MPS 

インデックス 

Qe 

̲Value 

Next̲Index 

Switch

̲MPS 

̲LPS 

̲MPS 

̲LPS 

̲MPS 

45 

Xʼ0E74ʼ 

74 

46 

102 

Xʼ4C0Fʼ 

106 

103 

46 

Xʼ0BFBʼ 

75 

47 

103 

Xʼ4639ʼ 

107 

104 

47 

Xʼ09F8ʼ 

77 

48 

104 

Xʼ415Eʼ 

103 

99 

48 

Xʼ0861ʼ 

78 

49 

105 

Xʼ5627ʼ 

105 

106 

49 

Xʼ0706ʼ 

79 

50 

106 

Xʼ50E7ʼ 

108 

107 

50 

Xʼ05CDʼ 

48 

51 

107 

Xʼ4B85ʼ 

109 

103 

51 

Xʼ04DEʼ 

50 

52 

108 

Xʼ5597ʼ 

110 

109 

52 

Xʼ040Fʼ 

50 

53 

109 

Xʼ504Fʼ 

111 

107 

53 

Xʼ0363ʼ 

51 

54 

110 

Xʼ5A10ʼ 

110 

111 

54 

Xʼ02D4ʼ 

52 

55 

111 

Xʼ5522ʼ 

112 

109 

55 

Xʼ025Cʼ 

53 

56 

112 

Xʼ59EBʼ 

112 

111 

56 

Xʼ01F8ʼ 

54 

57 

D.1.5.2 再正規化を契機とした推定 表D.2における状態の変化は,算術符号器の間隔レジスタが再正規

化された場合にだけ生じる。LPSの符号化後には,必ず再正規化を行い,MPSの符号化後に確率間隔レジ

スタがXʼ8000ʼ(10進表現で0.75)を下回った場合にも必ず再正規化を行う。 

LPS再正規化の場合は,Next̲Index̲LPSによって,LPS確率推定に対する新たなインデックスを得る。

MPS再正規化の場合は,Next̲Index̲MPSが,LPS確率推定に対する新たなインデックスを与える。前の

インデックスに対応するSwitch̲MPSの値が1の場合は,LPSの発生時にMPSシンボルの意味を逆転しな

ければならない。 

D.1.5.3 MPS再正規化後の確率推定 MPS再正規化が起きた場合の確率推定処理手順を図D.5に示す。

Index (S) は,文脈インデックスS用に保持された情報の一部とする。Index (S) の新たな値は,MPS再正

規化後の次のインデックスであるため,表D.2のNext̲Index̲MPSの欄より得られる。次のインデックス

は,新たなIndex (S) として文脈インデックスSに対応する文脈記憶領域に格納され,この新たなIndex (S) 

におけるQeの値が,新たなQe (S) となる。MPS (S) は,変化しない。 

図D.5 MPS再正規化における確率推定 

D.1.5.4 LPS再正規化後の確率推定 LPS再正規化が起きた場合の確率推定処理手順を,図D.6に示す。

この処理手順は,Switch̲MPS (1) の値が1の場合にMPS (S) の意味を逆転しなければならない点を除き,

図D.5と同じとする。 

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60 

X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

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図D.6 LPS再正規化における確率推定 

D.1.6 符号器における再正規化 符号器再正規化用のRenorm̲e処理手順を,図D.7に示す。確率間隔レ

ジスタA及び符号レジスタCの両方を1ビットづつシフトし,このシフト数をカウンタCTで計数する。

CTがゼロの場合は,Byte̲out処理手順によって,圧縮データ1バイトをCレジスタから取り出し,CTに

8を再設定する。再正規化については,AがXʼ8000ʼ以上になるまで続ける。 

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61 

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図D.7 符号器再正規化処理手順 

Renorm̲eで用いられるByte̲out処理手順を,D.8に示す。この処理手順においては,バイト挿入処理手

順を使用する。バイト挿入処理手順は,算術符号処理手順によって偶然マーカが生成されることを防止す

る。これは,けた上げの問題を解決する処理の例をも含む。説明の簡略化のために,エントロピー符号化

部分列を保持するバッファは,全体の部分列を保持するだけの容量をもつと仮定する。 

図D.8において,BPは,エントロピー符号化部分列のポインタとし,BはBPによって指し示される圧

縮データ1バイトとする。Byte̲outにおけるTは,出力1バイト及びけた上げビットを保持する暫定変数

とする。STは,連続するXʼFFʼにけた上げの影響が伝搬しなくなるまでのXʼFFʼの出力バイト数を計数す

るスタックカウンタとする。STの値が3を超えることはほとんどないが,STの値の上限は,エントロピ

ー符号化部分列の大きさによってだけ決定されるため,STの精度には32ビットを推奨する。 

STの値が大きくなると圧縮データの出力が遅れるため,高速同期符号化システムにおいては,けた上げ

の影響が消滅したときに発生する出力データのバーストを取り扱うため,次の処理手順が必要になる。 

スタックカウンタの値が,出力チャネルの容量によって決定される上限に達した場合は,けた上げの影

響が消滅する前にスタックを空にし,スタックされたXʼFFʼバイトと挿入されたゼロを示すバイトとを圧

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縮データに加える。けた上げが発生したら,最後に挿入されたゼロを示すバイトにけた上げを加算する。

それによって,最後のXʼFF00ʼは,一時的に使用するプライベートマーカXʼFF01ʼに変換される。エントロ

ピー符号化部分列は,けた上げが消滅した後に処理され,かつ,暫定マーカコードは,取り除かれなけれ

ばならない。通常の上限をもつSTでは,この後処理は,ほとんど発生しない。 

図D.8 符号器におけるByte̲out処理手順 

図D.8において,符号レジスタの19ビットシフトにより,出力ビットをTの下位ビットに合わせてい

る。最初の判定では,けた上げが起きたかどうかを判定する。けた上げが起きていれば,部分列ポインタ

BPを更新する前に,直前に出力したバイトにけた上げを加えなければならない。Stuff̲0処理手順は,エ

ントロピー符号化部分列内に既に存在するデータに,けた上げを加えることによって1バイトのXʼFFʼが

発生したときには,必ず1バイトのゼロを挿入する。その後,すべてのスタックされた出力バイト(けた

上げによってゼロになっている。)をエントロピー符号化部分列に置く。出力バイトを,Tからエントロピ

ー符号化部分列(バイトB)に転送する場合には,けた上げビットが設定されていたとしても,これを無

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視する。 

けた上げが発生しない場合は,出力バイトがXʼFFʼであるかどうかを判定する。出力バイトがXʼFFʼであ

れば,スタックカウンタSTを一つカウントアップし,けた上げの影響が消滅するまで出力しない。XʼFFʼ

でなければ,けた上げの影響は消滅し,スタックされたすべてのXʼFFʼバイトをエントロピー符号化部分

列に転送する。各XʼFFʼの後には,ゼロを示すバイトを挿入する。 

Byte̲out処理手順によって使われる処理手順を図D.9〜図D.11に定義する。 

図D.9 符号器におけるOutput̲stacked̲zeros処理手順 

図D.10 符号器におけるOutput̲stacked̲XʼFFʼs処理手順 

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図D.11 符号器におけるStuff̲0処理手順 

D.1.7 符号器の初期化 符号器の初期化 (Initenc) 処理手順は,算術符号器を開始させるために使用する。

基本的なステップを図D.12に示す。 

図D.12 符号器の初期化 

確率推定表は,表D.2に定義されている。表D.2に定義されているように,統計的領域のMPSの意味を

ゼロ,Qeインデックスをゼロに初期化する。次に,スタックカウンタ (ST) と符号レジスタ (C) とをク

リアし,間隔レジスタにはXʼ10000ʼを設定し,カウンタ (CT) を11に設定する。AレジスタがXʼ10000ʼ

に初期化されている場合は,最初の1バイトが取り出される前にスペース保持ビット3ビットとCレジス

タの出力8ビットとが埋められなければならないため,カウンタ (CT) を11に設定する。ここで,BPは,

エントロピー符号化部分列の先頭 (BPST) より一つ前のバイトを示す。統計的領域をすべての文脈インデ

ックスSの値について,MPS (S) =0,Index (S) =0に初期化する。 

参考 InitencでもInitdecでも確率間隔は,Xʼ10000ʼに初期化されるが,確率間隔レジスタの精度を16

ビットに制限することができる。間隔レジスタの精度が16ビットのとき,このレジスタは,ゼ

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ロに初期化する。 

D.1.8 符号化の終了 Flush処理手順は,算術符号化処理手順を終了し,算術符号化された符号の後に続

くマーカプレフィクスXʼFFʼを付加するため,エントロピー符号化部分列を終了する。図D.13に,この

Flush処理手順を示す。この処理手順の最初のステップでは,符号レジスタの下位ビットを,最後の間隔の

領域から出ない範囲で,できる限り多くゼロに設定する。その後,CTの示すビット数分だけ左にシフト

することによって,出力バイトがセットされ,これをByte̲outによってCレジスタから出力する。さらに,

Cを8ビット左にシフトすることによって,2バイト目の出力がセットされ,これを出力するためByte̲out

を再び起動する。C内の残りの下位ビットはゼロであることが保証され,この連続するゼロビットは,エ

ントロピー符号化部分列には書き込まない。 

エントロピー符号化部分列内に既に書き込まれた,XʼFFʼに続かない連続したゼロを示すバイトは捨てて

もよい。これは,Discard̲final̲zeros処理手順によって行う。XʼFFの後に挿入されたゼロを示すバイトは,

捨ててはならない。 

エントロピー符号化部分列の後には常にマーカが付加される。このため,エントロピー符号化部分列内

に,復号を完結させるのに必要な最後の0ビットが,必ずしも含まれる必要はない。そのかわりに,復号

器がマーカを検出した場合には,復号処理が終了するまで復号処理手順に0ビットを供給し続けなければ

ならない。この規定によって,復号器がDNLマーカを検出したときに,正しく復号処理を終了できるこ

とが保証される。 

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図D.13 Flush処理手順 

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図D.14 FlushにおけるClear̲final̲bits処理手順 

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図D.15 FlushにおけるDiscard̲final̲zeros処理手順 

D.2 算術復号処理手順 算術復号においては,次の二つの算術復号処理手順を行う。 

表D.4 2値算術復号における処理手順 

処理手順 

目的 

Decode (S)  

文脈インデックスSに基づく2値判定結果の復号 

Initdec 

復号器の初期化 

 “Decode (S)” 処理手順は,与えられた文脈インデックスSに基づき2値判定結果を復号し,0又は1の

値を復元する。D.1に示された “Code̲0 (S)” 処理手順及び “Code̲1 (S)” 処理手順の逆となる。 “Initdec” 

は,算術符号用のエントロピー復号器を初期化する。 

D.2.1 2値算術復号原理 算術符号化処理手順で定義された確率間隔の領域分割及び部分間隔の順序を,

算術復号処理手順にも適応する。 

ビット系列は,常に現在の確率間隔内を指し示しているため,ここでいう復号処理は,各判定結果を復

号するため,与えられたビット系列がどの部分間隔を指し示すかを求める手法にほかならない。この処理

は,符号器と同様の確率間隔領域分割処理を用いて再帰的に行われる。判定結果を復号するたびに,復号

器は,符号器が加えた間隔をビット系列から減じる。したがって,復号器の符号レジスタは,現在の確率

間隔の下界値に対して間隔内を指し示すポインタとなる。 

LPSに割り当てられた部分間隔の大きさが,MPSに割り当てられた部分間隔の大きさより大きい場合,

符号器は,条件付き交換処理手順を起動する。間隔の大きさを交換した場合は,復号器においても復号し

たシンボルの意味を逆転しなければならない。 

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D.2.2 復号規約と近似 符号器において確率間隔の領域分割のために定義された近似及び整数演算を,復

号器にも適用する。しかし,符号器は符号レジスタに加算を行うのに対し,復号器は符号レジスタよりの

減算を行う。 

D.2.3 復号器における符号レジスタ規約 ここで示す流れ図では,復号器におけるレジスタ構成を次のよ

うに仮定する。 

表D.5 復合器レジスタ規約 

MSB 

LSB 

Cx−レジスタ 

xxxxxxxx, xxxxxxxx 

C-low 

bbbbbbbb, 00000000, 

A−レジスタ 

aaaaaaaa, aaaaaaaa, 

Cx及びC-lowは,一つの32ビットのCレジスタとして扱うことができる。Cの再正規化を行うと,1

ビットの新しいデータがC-lowのビット15からCxのビット0にシフトする。しかし,復号時の比較には

Cxだけを用いる。C-lowの “b” ビットに1バイトづつ新しいデータを挿入する。 

参考 ここで記述した様々な処理手順における比較演算は16ビットより大きい精度を想定している

が,実際には,論理比較は符号なし16ビットの精度を用いることができる。 

D.2.4 復号処理手順 復号器は,1度に一つの2値判定結果を復号する。その後,符号器によって加算さ

れた値を,符号レジスタから減算する。符号レジスタに残った値は,まだ復号されていない2値判定結果

に割り当てられた部分間隔の位置を,現在の確率間隔の下限境界からのオフセットとして示している。図

D.16に示すように,復号処理手順における最初の判定では,符号レジスタをMPS部分間隔領域の大きさ

と比較する。条件付き交換が不要ならば,この判定によって,文脈インデックスSについてMPS (S) 又は

LPS (S) のいずれが復号されるかが決定できる。 

文脈インデックスSに対するLPSは,1−MPS (S) で与えられる。 

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図D.16 Decode (S) 処理手順 

再正規化が必要な場合には,条件付MPS/LPS領域交換も,必要となる可能性がある。LPSの場合の条件

付領域交換処理手順を,図D.17に示す。ここで,復号器における確率推定は,符号器における確率推定(図

D.5,図D.6)と同一である。 

MPSの場合の条件付領域交換処理手順を,図D.18に示す。 

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図D.17 復号器におけるLPS用条件付き交換処理手順 

図D.18 復号器におけるMPS用条件付き交換処理手順 

D.2.5 復号器における確率推定 符号器において,新たなLPS確率推定値を得るために定義された処理

手順を,復号器においても使用する。 

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D.2.6 復号器における再正規化 復号器における再正規化を行うRenorm̲d処理手順を,図D.19に示す。

CTは,Cレジスタの一部であるC-low内にある圧縮されたデータのビット数を保持するためのカウンタと

する。CTがゼロならば,新たに1バイトをByte̲in処理手順によってC-lowに入力し,CTに8を再設定

する。 

確率間隔レジスタA及び符号レジスタCは,Aの値がXʼ8000ʼ以上になるまで,共に1ビットづつシフ

トする。 

図D.19 復号器における再正規化処理手順 

Renorm̲d処理手順で起動されるByte̲in処理手順を,図D.20に示す。この処理手順では,XʼFFʼバイト

に続いて挿入されたゼロを示すバイトの削除処理を行いながら,データ1バイトを読み込む。さらに,エ

ントロピー符号化部分列の次に付加されたマーカの検出も行う。ここで,Cレジスタは,Cxレジスタと

C-lowレジスタとを合わせたものとする。説明の簡略化のために,エントロピー符号化部分列用のバッフ

ァは,十分に大きな容量をもつものとする。 

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図D.20 復号器におけるByte̲in処理手順 

Bは,エントロピー符号化部分列ポインタBPによって示されるバイトデータとする。BPにまず1を加

算する。新たなBの値がXʼFFʼでない場合には,この値をC-lowレジスタの上位8ビットに挿入する。 

Unstuff̲0処理手順を,図D.21に示す。新たなBの値がXʼFFʼである場合には,BPに1を加算し,次の

バイトを示すようにする。次のバイトBがゼロかどうかを判定し,この結果,ゼロであれば,Bは,取り

除くべき挿入されたゼロを示すバイトに相当する。ゼロであるBは無視し,ゼロの前のBの値 (XʼFFʼ) を

Cレジスタに挿入する。 

XʼFFʼの次のBの値がゼロでない場合は,Bは,マーカコードの一つにほかならない。このとき,必要

に応じ,マーカコードを解釈する。さらに,エントロピー符号化部分列ポインタBPを調整し,復号が終

了するまで,値がゼロの1バイトが復号器に入力されるようにする(図D.21 “Adjust BP” 参照)。これを実

現する一つの方法は,BPがエントロピー符号化部分列に続くマーカコードプレフィクスXʼFFʼの前のバイ

トを指し示すようにする。 

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図D.21 復号器におけるUnstuff̲0処理手順 

D.2.7 復号器の初期化 算術復号器を始動させるためInitdec処理手順を用いる。その基本的な処理を,

図D.22に示す。 

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図D.22 復号器の初期化 

確率推定表は,表D.2に定義されている。統計的領域を初期化し,表D.2に定義したようにMPSの意味

をゼロに,Qeインデックスをゼロに設定する。続いて,エントロピー符号化部分列へのポインタBPを初

期化し,エントロピー符号化部分列の先頭BPSTの前のバイトを指し示すようにする。間隔レジスタを,

符号器における初期値と同じ値に設定する。圧縮データの先頭バイトを入力し,これをシフトしてCxレ

ジスタに入力する。さらに,2バイト目のデータを読み込み,これをシフトしてCxレジスタに入力する。

カウントはゼロに設定し,そのため,新たな1バイトはRenorm̲dによって読み込む。 

参考 確率間隔は,InitencでもInitdecでもXʼ10000ʼに初期化されるが,確率間隔レジスタの精度を

16ビットに制限することができる。間隔レジスタの精度が16ビットの場合は,初期値として

ゼロを設定する。 

D.3 バイト内のビット順序 算術符号化されたエントロピー符号化部分列は,不定長の整数とする。し

たがって,バイトの順番とバイト内のビットの順番とは,引数と同様にしなければならない(B.1.1.1参照)。 

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附属書E(規定) 符号器及び復号器の制御処理手順 

この附属書は,順次,段階及び可逆の各モードの操作の符号器及び復号器の制御処理手順を規定する。 

階層型処理に関する符号化及び復号の制御処理手順を附属書Jに示す。 

備考1. この規定は,符号器及び復号器が,この附属書で規定する流れ図による手順に厳密に従うこ

とを強制するものではない。符号器及び復号器は,ここに規定された機能だけを満たせばよ

い。この規定に従って考慮しなければならない基準は,ISO/IEC 10918-2の適合性試験の6.(符

号器用)及び7.(復号器用)の要求条件だけとする。 

2. この附属書では,実装規格に関する構成手段を規定していないが,これを必要としてもよい。 

E.1 

符号器制御処理手順 

E.1.1 画像符号化の制御処理手順 図E.1に画像符号化のための符号器の制御処理手順を示す。 

図E.1 画像符号化の制御処理手順 

E.1.2 フレーム符号化の制御処理手順 圧縮データにマーカを付加する場合,余分のフィルバイトXʼFF”

をマーカの前に付加してもよい。 

フレーム符号化の制御処理手順は,フレーム内の走査を基本とする。フレームヘッダを最初に付加し,

その後に走査を符号化する。図E.2で[表又は種々のマーカを付加]で示すとおり,表指定と他のマーカ

部分列を,SOF↓n↑マーカの前に付加してもよい。 

図E.2は,フレーム符号化制御処理手順を示す。 

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図E.2 フレーム符号化の制御処理手順 

E.1.3 走査符号化の制御処理手順 走査は,その走査内のそれぞれの成分データを含む一つの経路からな

る。表指定及び他のマーカ部分列を,SOSマーカの前に付加してもよい。走査内で複数の成分を符号化す

る場合には,符号化データをインタリーブする。符号化再初期化を用いる場合には,符号化データを符号

化再初期化間隔に分割する。さらに,RST↓m↑マーカを符号化データ中の符号化再初期化間隔の間に置

く。符号化再初期化が用いられない場合でも,走査が一つの符号化再初期化間隔を含むことを除いて,制

御処理手順は,同一とする。走査によって構成される圧縮画像データの後には,常にEOIマーカ又は後続

のマーカ部分列のマーカを置く。 

図E.3に走査符号化の制御処理手順を示す。走査を構成する符号化再初期化間隔の数の符号化処理を行

ったとき,ループは,終了する。 “m” は,RST↓m↑マーカに必要な符号化再初期化間隔のモジュロ・カ

ウンタとする。処理手順 “Append RST↓m↑Marker” の後に,このカウンタに関するモジュロ演算を行う。 

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図E.3 走査符号化の制御処理手順 

E.1.4 符号化再初期化間隔符号化の制御処理手順 図E.4に符号化再初期化間隔の符号化制御処理手順

を示す。符号化再初期化間隔内の最小符号化単位 (MCU) の数の符号化を行ったとき又は画像走査を終了

したとき,ループは,終了する。 

最終の符号化再初期化間隔における最小符号化単位 (MCU) の数は,走査内でのMCUの数に一致する

ように調整しなければならない。MCUの数は,フレーム及び走査の引数から計算する(附属書B参照)。 

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図E.4 符号化再初期化間隔符号化の制御処理手順 

処理手順 “Reset̲encoder” は,少なくとも次の処理からなる。 

(1) 算術符号化が使用される場合,附属書DのD.1.7で規定する処理手順 “Initenc” を用いて算術符号器

を初期化する。 

(2) DCT利用型の符号化処理に関しては,走査内のすべての成分に対する直流係数予測値 (PRED) をゼロ

に設定する(附属書FのF.1.5.1.1参照)。 

(3) 可逆処理については,予測値を既定値に設定する(附属書HのH.1.1参照)。 

(4) 必要に応じて,実装に依存するその他のすべての設定をする。 

処理手順 “Prepare̲for̲marker” は,次の処理のどちらかによってエントロピー符号化部分列を終了させ

る。 

(1) ハフマンエントロピー符号化部分列に対して,バイト単位で終わらせるためにビット1を必要な数だ

け詰める(必要な場合,ビット0を詰める。)(附属書FのF.1.2.3参照)。 

(2) 算術エントロピー符号化部分列を終了させるために,処理手順 “Flush” (附属書DのD.1.8参照)を

起動する。 

E.1.5 最小符号化単位 (MCU) の符号化制御処理手順 附属書AのA.2で最小符号化単位を定義する。

MCU内では,データ単位は,MCU内で生じる順番で符号化する。図E.5にMCUを符号化するための制

御処理手順を示す。 

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図E.5 最小符号化単位 (MCU) の符号化制御処理手順 

図E.5において,Nbは,MCU内でのデータ単位の数を示す。MCU内で生じるデータ単位の順番は,附

属書AのA.2による。データ単位は,DCT利用型処理では8×8ブロックとし,可逆処理では1標本とす

る。 

データ単位符号化のための処理手順は,附属書のF,G,Hによる。 

E.2 

復号器制御処理手順 

E.2.1 圧縮画像データ復号の制御処理手順 図E.6に画像の復号制御処理を示す。 

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図E.6 圧縮画像データ復号の制御処理手順 

復号制御は,各種マーカの解釈処理を中心に行う。最初のマーカは,SOI (Start Of Image) マーカでなけ

ればならない。処理手順 “Decoder̲setup” は,符号化再初期化間隔を再設定する (Ri=0)。復号器が算術復

号機能をもつ場合,算術符号化のための条件表を既定値に設定する(附属書FのF.1.4.4.1.4及びF.1.4.4.2.1

参照)。通常,次のマーカは,SOF↓n↑ (Start Of Frame) マーカとする。このマーカが見つからない場合に

は,表E.1に示すマーカ部分列の一つを受け取っているとする。 

表E.1  “Interpret markers” で解釈されるマーカ 

マーカ 

目的 

DHT 

ハフマン符号表定義 

DAC 

算術符号化条件定義 

DQT 

量子化表定義 

DRI 

符号化再初期化間隔定義 

APP↓n↑ 

応用定義マーカ 

COM 

コメント 

現在のマーカがどれであるかを決定する前に,マーカの前に置かれている余分なXʼFFʼフィルバイトを

すべて取り除かねばならない。 

これらの種々のマーカを解釈するための付加的な論理は, “Interpret markers” と名付けられる機能に含

まれる。DHTマーカは,ハフマン符号処理を用いる処理で解釈されなければならない。DACマーカは,

算術符号処理を用いる処理で解釈されなければならない。DQTマーカは,DCT利用型の復号器で解釈さ

れなければならない。DRIマーカは,すべての復号器で解釈されなければならない。APN↓n↑とCOMマ

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ーカは,復号器の機能を妨げない範囲で解釈されなければならない。 

定義によって, “Interpret markers” の処理手順は後続のマーカまでシステムの状態を変更してはならな

い。期待されるSOIマーカが圧縮画像データの先頭で発見できない場合,誤り状態が発生する。誤り状態

の検出及び対処に関する方法は,複雑な方法でも,簡単な方法でもよい。 

E.2.2 フレーム復号の制御処理手順 図E.7にフレーム復号の制御処理手順を示す。 

図E.7 フレーム復号の制御処理手順 

走査の最後でEOIマーカが見つかった場合,図E.7のループは,終了する。 

表E.1に “Interpret markers” によって解釈されるマーカを示す。E.2.1は,解釈されなければならない各

種マーカの範囲を規定する。 

E.2.3 走査復号の制御処理手順 図E.8に走査の復号を示す。 

予定された数の符号化再初期化間隔が復号された時点で,ループは,終了する。 

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83 

X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図E.8 走査復号の制御処理手順 

E.2.4 符号化再初期化間隔復号の制御処理手順 図E.9に符号化再初期化間隔復号の処理手順を示す。処

理手順 “Reset̲decoder” は,少なくとも次の処理手順から構成される。 

(1) 算術符号化を用いる場合,附属書DのD.2.7で規定する処理手順 “Initdec” を用いて,算術復号器を

初期化する。 

(2) DCT利用型の処理の場合,走査内のすべての成分に対する直流係数予測値 (PRED) をゼロに設定する

(附属書FのF.2.1.3.1参照)。 

(3) 可逆処理の場合,予測値を既定値に再設定する(附属書HのH.2.1参照)。 

(4) 必要に応じて,実装に依存するその他の設定を行う。 

符号化再初期化間隔の最後に,次のマーカを置く。このマーカの位置に関する問題が検出されたときは,

誤り処理処理手順を起動してもよい。そのような処理手順は,任意とするが,復号器が圧縮データ内にお

いて正確に符号化再初期化マーカを解釈でき,かつ,符号化再初期化マーカを検出するならば,復号器を

再設定しなければならない。さらに,復号器は,DNLマーカを解釈し,DNL部分列で定義されている行

の数を復号器に設定して,処理手順 “De-code̲restart internal” を終了しなければならない。 

備考 最後尾の符号化再初期化間隔は,走査内に残っているMCUの数だけを含む。したがって,そ

の符号化再初期化間隔は,DRIマーカ部分列によって規定された大きさより小さいことがある。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図E.9 符号化再初期化間隔復号の制御処理手順 

E.2.5 最小符号化単位 (MCU) の復号制御処理手順 図E.10に最小符号化単位 (MCU) の復号制御処理手

順を示す。 

図E.10において,Nbは,MCUにおけるデータ単位の数を示す。 

データ単位の復号に関する処理手順は,附属書のF,G及びHによる。 

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X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図E.10 最小符号化単位 (MCU) の復号制御処理手順 

86 

X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書F(規定) DCT利用型の順次符号化モード 

この附属書では,DCT利用型の順次符号化モードにおける次の符号化処理の機能を規定する。 

(1) 基本順次 

(2) 拡張順次,ハフマン符号化,8ビット標本精度 

(3) 拡張順次,算術符号化,8ビット標本精度 

(4) 拡張順次,ハフマン符号化,12ビット標本精度 

(5) 拡張順次,算術符号化,12ビット標本精度 

これらの符号化処理は,F.1に,復号処理はF.2にそれぞれ規定する。機能規定は,上の(1)〜(5)の符号

化処理からなる種々の処理手順の固有流れ図によって示す。 

備考 この規定は,符号器及び復号器が,この附属書で規定する流れ図による手順に厳密に従うこと

を強制するものではない。符号器及び復号器は,ここに規定された機能だけを満たせばよい。

この規定に従って考慮しなければならない基準は,ISO/IEC 10918-2の適合性試験の6.(符号

器用)及び7.(復号器用)の要求条件だけとする。 

F.1 

DCT利用型の順次符号化処理 

F.1.1 

DCT利用型の順次制御処理手順及び符号化モデル 

F.1.1.1 

DCT利用型の順次符号器のための制御処理手順 画像及びその成分,すなわち,フレーム,走査,

符号化再初期化間隔及びMCUの符号化の制御処理手順を,附属書Eの図E.1〜E.5に示す。MCU(附属

書Eの図E.5)を符号化するための処理手順では,データ単位の符号化処理手順を繰り返し用いる。DCT

利用型の符号器の場合,データ単位は,8×8標本からなるブロック(8×8ブロック)となる。 

F.1.1.2 

8×8ブロックデータ単位の符号化処理手順 DCT利用型の順次符号化処理では,8×8ブロック

データ単位の符号化を次の処理手順によって構成する。 

(1) レベルシフトし,8×8 FDCTを計算し,フレームヘッダで指定された表を使用して得られた係数を量

子化する。 

(2) 走査ヘッダで指定された直流係数符号表を使用し,8×8ブロックの直流係数を符号化する。 

(3) 走査ヘッダで指定された交流係数符号表を使用し,8×8ブロックの交流係数を符号化する。 

F.1.1.3 

レベルシフト及び正DCT (FDCT)  FDCTの数学的定義は,附属書AのA.3.3による。 

FDCTの計算の前に,附属書AのA.3.1で規定するとおり,入力データを符号付き2の補数表現にレベ

ルシフトする。レベルシフトを行うために,8ビットの入力精度では128を引き,12ビットの入力精度で

は2048を引く。 

F.1.1.4 

FDCTの量子化 附属書Aで規定したとおり一様量子化処理手順を,DCT係数の量子化に使用

する。符号器は,四つの量子化表のいずれかを使用してよい。この規格では,具体的な量子化表は,規定

しない。しかし,標準的な量子化表の必要な数を附属書Kに示す。 

量子化されたDCT値は,符号付きの2の補数の整数とし,8ビット入力精度では11ビットの精度とし,

12ビット入力精度では15ビットの精度とする。 

F.1.1.5 

DCT順次処理手順のための符号化モデル DCT係数の2次元配列は,附属書AのA.3.6で定義

したジグザグ順序に再配列される。ジグザグ順序の係数ZZ (0) 〜ZZ (63) は,次のように示す。 

zz (0) =Sq↓00↑ 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ZZ (1) =Sq↓01↑ 

ZZ (2) =Sq↓10↑ 

ZZ (63) =Sq↓77↑ 

Sq↓vu↑は,附属書Aの図A.6のとおりとする。 

符号化処理手順は,直流係数ZZ (0) の場合及び交流係数ZZ (1) 〜ZZ (63) の場合の二つを使用する。こ

れらの係数は,直流係数から開始して,ジグザグ順序に現れる順序に符号化し,2の補数の整数として表

す。 

F.1.1.5.1 

直流係数のための符号化モデル 直流係数は,1次元予測器のPREDを使用して,差分を符号

化する。PREDは,同一成分の直前に符号化した8×8ブロックにおいて量子化した直流係数値とする。差

分のDIFFは,DIFF=ZZ (0) −PREDから得る。 

走査及び各符号化再初期化間隔の開始点で,直流係数予測をゼロに初期化する(入力データは,2の補

数表現にレベルシフトされている。)。 

F.1.1.5.2 

交流係数のための符号化モデル 係数の多くがゼロであるため,ゼロの連の識別及び符号化を

効率的に行う。さらに,ジグザグ順序で残りの係数がすべてゼロの場合は,ブロックの終わり (EOB) と

して,明示的に符号化する。 

F.1.2 

基本処理ハフマン符号化処理手順 基本符号化処理手順は,8ビット標本精度とする。符号器は,

1走査内で直流係数及び交流係数のハフマン符号表をそれぞれ二つまで使用できる。 

F.1.2.1 

直流係数のハフマン符号化 

F.1.2.1.1 

直流係数符号表の構造 直流係数符号表は,任意の値のDIFFを符号化できる1組のハフマン符

号(最大長16ビット)及びほとんどの場合(付加される追加ビット)によって構成される。DIFFは,現

在の直流係数及び予測の差分とする。差分のカテゴリのためのハフマン符号は,符号語全体がすべて ”1” 

のビットとならないように構成する(これによって,符号化中にマーカ符号に先立つXʼFFʼの発生が避け

られる。)。 

2の補数の差分の絶対値を,12のカテゴリーであるSSSSに分類する。ハフマン符号は,12の差分の絶

対値のカテゴリごとに一つ作成する。 

表F.1 直流係数符号化のための差分の絶対値のカテゴリ 

SSSS 

DIFFの値 

−1, 1 

−3, −2, 2, 3 

−7〜−4, 4〜7 

−15〜−8, 8〜15 

−31〜−16, 16〜31 

−63〜−32, 32〜63 

−127〜−64, 64〜127 

−255〜−128, 128〜255 

−511〜−256, 256〜511 

10 

−1023〜−512, 512〜1023 

11 

−2047〜−1024, 1024〜2047 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

SSSS=0以外の各カテゴリーとに,追加ビットフィールドを符号語に付加し,各カテゴリー内のどの差

分が実際に現れたのかを一意に識別する。追加ビット数は,SSSSによって指定する。追加ビットは,最上

位ビットから順に直前のハフマン符号の最下位ビットの後に付加する。DIFFが正の場合,DIFFの下位ビ

ットのSSSSを付加する。DIFFが負の場合,(DIFF−1)の下位ビットのSSSSを付加する。付加したビット

シーケンスの最上位ビットは,差分が負の場合0になり,正の場合1になる。 

F.1.2.1.2 直流係数のためのハフマン符号表の定義 ハフマン符号表を規定する構文法を附属書Bに示す。

この情報をもとにした符号表作成処理手順を,附属書Cで規定する。直流係数の符号化のためのハフマン

符号表は,一つ又は二つしか定義できない。直流係数の符号化のためのハフマン符号表の二つの例を,附

属書Kに示す。 

F.1.2.1.3 

直流係数のためのハフマン符号化処理手順 符号化処理手順は,1組の拡張機能表である

XHUFCO及びXHUFSIによって定義する。これらの表には,取り得るすべての差分の値に対応するハフマ

ン符号及びこれらの値の大きさが一そろい格納されている。12ビットの精度の場合,これらの表は,かな

り大きくなる。しかし,基本処理システムの場合,差分の精度が低いため,この記述法が実用可能になる。 

XHUFCO及びXHUFSIは,差分を完全に定義するための追加ビットを差分のカテゴリごとにハフマン符

号に付加することによって,符号器表のEHUFCO及びEHUFSI(附属書C参照)から生成する。定義によ

って,XHUFCO及びXHUFSIは,可能な差分の値ごとにエントリをもつ。XHUFCOにはハフマン符号及

び追加ビットフィールドを連結したビットパターンが,XHUFSIには連結したビットパターンの全長(ビ

ット長)が格納される。両方の表とも,DIFF(すなわち,直流係数及び予測の差分)によって,索引され

る。 

直流係数差分であるDIFFのためのハフマン符号化処理手順は,次のとおりとする。 

SIZE=XHUFSI (DIFF)  

CODE=XHUFCO (DIFF)  

CODEの符号SIZEビット 

ここで,直流係数は量子化直流係数値とし,PREDは予測された量子化直流係数値とする。ハフマン符

号 (CODE) (すべての追加ビットを含む。)はXHUFCOから,SIZE(追加ビットを含む符号長)はXHUFSI

からそれぞれ得られる。DIFFを,これらの二つの表の索引として使用する。 

F.1.2.2 交流係数のハフマン符号化 

F.1.2.2.1 交流係数符号表の構造 ZZ内の各非ゼロ交流係数は,次の形式の複合8ビットの値をもつRSに

よって記述される。 

RS=2値ʼRRRRSSSSʼ 

下位4ビットのʼSSSSʼはZZ内の後続の非ゼロ係数の振幅のカテゴリを,上位の4ビットのʼRRRRʼはZZ

内の直前の非ゼロ係数から後続の非ゼロ係数までの相対位置(すなわち,非ゼロ係数間のゼロ係数の連の

長さ)を定義する。ゼロ係数の連の長さは,15個より長い場合もあるので,15個のゼロ係数の連の長さの

後に一つのゼロ振幅の係数を表す値ʼRRRRSSSSʼ=XʼF0ʼを定義する(これは,16個のゼロ係数の連の長さ

として解釈できる。)。さらに,ブロック内の後続係数がすべてゼロの場合は,特殊な値ʼRRRRSSSSʼ

=ʼ00000000ʼを使用して,ブロックの終わり (EOB) を符号化する。 

符号表の一般構造を,図F.1に示す。 “N/A” の印の付いたエントリは,基本処理処理手順では,未定義

とする。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図F.1 ハフマン符号化のための2次元値配列 

SSSSの各値ごとに割り当てられた絶対値の範囲を,表F.2に定義する。 

表F.2 係数値に割り当てられたカテゴリ 

SSSS 

交流係数 

−1, 1 

−3,−2, 2,3 

−7〜−4, 4〜7 

−15〜−8, 8〜15 

−31〜−16, 16〜31 

−63〜−32, 32〜63 

−127〜−64, 64〜127 

−255〜−128, 128〜255 

−511〜−256, 256〜511 

10 

−1023〜−512, 512〜1023 

複合値であるRRRRSSSSは,ハフマン符号化され,各ハフマン符号の後に係数の符号及び正確な振幅を

指定するための追加ビットを付加する。 

交流係数符号表は,ハフマン符号(最大長16ビット,付加ビットを含まない。)によって構成する。こ

の符号は,可能な複合値ごとに一つ用意される。8ビット複合値の場合のハフマン符号は,符号語全体が

すべて “1” のビットとならないように構成する。 

追加ビットの形式は,直流係数の符号化の場合と同じとする。SSSSの値は,係数の符号及び正確な振幅

の指定に必要な追加ビット数をそれぞれ定義する。追加ビットは,ZZ (K) が正の場合,ZZ (K) の下位の

SSSSビットとし,負の場合ZZ (K) −1の下位のSSSSビットとする。ZZ (K) は,符号化中のジグザグ順

序に並んだ係数のK番目のものとする。 

F.1.2.2.2 

交流係数のためのハフマン符号表の定義 ハフマン符号表指定のための構文法を,附属書Bに

示す。この情報をもとにした符号表作成処理手順を,附属書Cで規定する。 

基本処理システムでは,交流係数の符号化のために定義可能なハフマン符号表は,二つ以下とする。交

流係数の符号化のためのハフマン符号表の二つの例を,附属書Kに示す。 

F.1.2.2.3 

交流係数のためのハフマン符号化処理手順 附属書Cで定義したとおり,ハフマン符号表は,

EHUFCO(符号ビットからなる。)及びEHUFSI(ビット単位の各符号長からなる。)の1組のベクトルと

して使用できる。これらのベクトルは,両方とも上で定義した複合値によって索引が付けられる。 

ブロック内の交流係数の符号化の処理手順を,図F.2及び図F.3に示す。図F.2で,Kはジグザグ走査位

置の索引とし,Rはゼロ係数の連の長さとする。 

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図F.2 交流係数のためのハフマン符号化処理手順 

 “Append EHUFSI (XʼF0ʼ) bits of EHUFCO (XʼF0ʼ)” 処理手順では,16個のゼロ係数の連(図F.2のZRL

符号)を符号化する。 “Code EHUFSI (0) bits of EHUFCO (0)” 処理手順では,ブロックの終わり(EOB符

号)を符号化する。最終係数 (K=63) がゼロでない場合は,EOB符号は出力しない。 

CSIZEは,交流係数を表F.2に示すSSSS値に写像するための処理手順とする。 

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図F.3 非ゼロ交流係数の符号化 

F.1.2.3 

バイト挿入 復号しないで圧縮画像データ内に位置付けできるようなマーカコードの符号空間

を設定するために,バイト挿入を行う。 

通常の符号化中,バイト値のXʼFFʼが符号系列内に生成されるときは,Xʼ00ʼバイトを符号系列内に挿入

する。 

XʼFFʼバイトの後にXʼ00ʼバイトを検出した場合,復号器は,これを無視しなければならない。このバイ

トがゼロでない場合,マーカが検出されたことになる。このマーカは,走査の復号の完了に必要な範囲と

解釈しなければならない。 

不完全なバイトに1のビットを挿入することによって,マーカのバイト位置合せを行う。1のビットを

挿入することによってXʼFFʼ値が生成された場合,ゼロのバイトを挿入してからマーカを追加する。 

F.1.3 

拡張された8ビット精度のDCT利用による順次ハフマン符号化処理 この処理は,F.1.2で説明し

た基本処理符号化処理と同じとする。ただし,この処理では,同一走査内で使用可能なハフマン符号表が

4組に拡張されている。この規格では,直流係数及び交流係数のハフマン符号表がそれぞれ最大四つまで

使用可能とする。 

F.1.4 

拡張された8ビット精度の算術符号化によるDCT順次符号化処理 ここでは,DCT利用型の順次

符号化処理における算術符号化処理手順の使用について規定する。 

備考 この規格における算術符号化処理手順では,互換性を促進するために最大精度で定義する。 

この算術符号化拡張機能には,基本処理DCT符号器と同じDCTモデルを用いる。したがって,算術符

号化にもF.1.1を適用する。ハフマン符号化技法と同様に,2値算術符号化技法は,可逆とする。FDCT又

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はIDCTのいずれかを計算せずに,かつ再生画像を変更せずに,二つのシステム間で符号変換ができる。 

適応2値算術符号化の基本原理は,附属書Dによる。一つの走査内で,直流係数及び交流係数の条件表

及び関連した統計量領域が最大四つまで使用できる。 

2値判定の符号化,統計量領域及び符号器の初期化,符号系列の終了,符号化再初期化マーカの付加の

ための算術符号化処理手順を,附属書Dの表D.1に示す。 

表D.1の処理手順の幾つかは,附属書Eで説明する走査及び符号化再初期化間隔の高レベル制御構造で

使用する。走査及び符号化再初期化間隔の開始点で算術符号器を使用する確率推定は,算術符号器の符号

化再初期化のためのInitenc処理手順の一部として既定初期値に再設定する。走査及び符号化再初期化間隔

の終わりで,Flush処理手順を用いる場合,次のマーカを付加する前に符号レジスタを空にする。 

F.1.4.1 

直流係数の算術符号化 直流係数の差分の値のDIFFの符号化の判断は,基本的に図F.4に示し

た順序で行う。 

図F.4 直流係数の差分の算術符号化モデル 

直流係数符号化処理手順で使用される文脈索引S0,その他の文脈索引を,表F.4に定義する(F.1.4.4.1.3

参照)。差分の値がゼロの場合,0の決定を符号化し,ゼロでない場合,1の決定を符号化する。差分がゼ

ロでない場合,Encode V (S0) の処理手順を使用して,符号及び絶対値を符号化する。この処理手順は,

F.1.4.3.1による。 

F.1.4.2 

交流係数の算術符号化 交流係数は,ジグザグ順序のZZ (1,...,63) に現れる順序で符号化する。

ブロックの終わり (EOB) の2値判定は,ZZ内の最初の交流係数の符号化を行う前に,また,各非ゼロ係

数を検出した後に,符号化する。EOBが発生したとき,ZZ内のすべての後続係数は,ゼロとする。この

判断順序を図F.5に示す。ハフマン符号器のための同様の処理手順を,図F.2に示す。 

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X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

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図F.5 算術符号化の交流係数符号化モデル 

交流係数符号化処理手順で使用する文脈索引のSE及びS0は,表F.5に定義されている(F.1.4.4.2参照)。

図F.5で,Kは,ジグザグ順序位置の索引とする。順次走査において,Kminは1とし,Seは63とする。

V=0の判断は,ゼロ係数の連の符号化のためのループの一部で行う。係数が非ゼロであるときは,Encode 

V (S0) によって,この係数の正負符号及び絶対値を符号化する。非ゼロ係数が符号化されるごとに,EOB

の判断を行う。EOBが検出された場合,1の決定が符号化され,ブロックの符号化が完了したことを示す。

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X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

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K=Seの場合は,係数がゼロでなくても,EOBの判断を省略する。 

F.1.4.3 

非ゼロの直流係数の差分及び交流係数の係数に対する2値判定順序の符号化 直流係数の差分及

び交流係数の係数は,両方とも符号付きの2の補数の整数として表される。これらの2値判定木による符

号付き整数値の分解は,直流係数の符号化モデル及び交流係数の符号処理モデルと同じ方法で行う。 

この附属書の直流係数及び交流係数の符号処理モデルの2値判定木は同じとするが,この木内で統計器

を2値判定に割り当てる場合の統計的モデルは異なる。 

F.1.4.3.1 

符号化判断順序の構造 符号化順序は,三つの処理手順で構成する。すなわち,正負符号を符

号化する1番目の処理手順,絶対値のカテゴリを識別する2番目の処理手順及び2番目の処理手順で識別

されたカテゴリ内でどの絶対値が現れたかを正確に識別する3番目の処理手順とする。 

Encode̲V(S0)の2値判定順序を開始した時点では,係数又は差分は,既に非ゼロであると判定される。

この判定は,図F.4及び図F.5の処理手順で行う。 

直流係数の差分 (DIFF) 又は交流係数をVとして示すと,Vの非ゼロ符号付き整数値を図F.6に示す順

序で符号化する。この順序では,Vの正負符号を最初に符号化する。次に,(Vを絶対値に変換し,この絶

対値から1を引いて,Szに代入した後)Szの絶対値のカテゴリを符号化する (code̲log2̲Sz)。さらに,正

確な絶対値を識別するために,絶対値の下位ビットを符号化する (code̲Sz̲bits)。 

図F.6 Vの非ゼロ値符号化における処理手順の列 

この列と,F.1.2で規定するハフマン符号化の場合の同様の動作とは,二つの点で大きく異なる。第1に,

この列では,正負符号を符号化してから,絶対値のカテゴリを識別する。第2に,絶対値から1を引いた

後で,絶対値のカテゴリを識別する。 

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X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

F.1.4.3.1.1 正負符号の符号化 正負符号の符号化は,符号が正の場合は0の決定を符号化することによ

って,負の場合は1の決定を符号化することによって行う。正負符号の符号化処理手順を図F.7に示す。 

図F.7 Vの正負符号の符号化 

文脈索引のSS,SN及びSPは,直流係数符号化のために表F.4で,交流係数符号化のために表F.5でそ

れぞれ定義する。正負符号が符号化された後,文脈索引Sは,SN又はSPのいずれかに設定し,

Encode̲log2̲Szのための初期値を確定する。 

F.1.4.3.1.2 絶対値のカテゴリの符号化 絶対値のカテゴリの判定は,一連の2値判定によって行う。こ

れらの判定では,先頭の1のビットの位置を決定するために,Szと指数を増加させた上限(2の累乗)と

を比較する。これによって,ハフマン符号器が差分のカテゴリに関連した値の符号を生成するのとほぼ同

じ方法で,絶対値のカテゴリを設定する。 

この処理手順の流れ図を,図F.8に示す。 

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X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

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図F.8 絶対値のカテゴリ設定のための判断順序 

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X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

文脈索引Sの最初の値は,Encode̲sign̲of̲Vで決定する。文脈索引のX1及びX2は,直流係数符号処理

の場合,表F.4で,交流係数符号処理の場合,表F.5で定義する。図F.8で,Mは,絶対値の上限(上限の

値は,含まれない。)とし,省略形の “SLL” 及び “SRL” は,それぞれ左論理シフト演算,右論理シフト

演算を示す(この場合,ビットが1の位置だけ)。処理が完了した時点でのSRL操作は,Szの最上位ビッ

トでMを整列させる。 

表F.3 上限ごとのカテゴリ 

上限 (M) 

Szの範囲 

絶対値の下位ビットの数 

2, 3 

4〜7 

16 

8〜15 

32 

16〜31 

64 

32〜63 

128 

64〜127 

256 

128〜255 

512 

256〜511 

1024 

512〜1023 

2048 

1024〜2047 

10 

4096 

2048〜4095 

11 

8192 

4096〜8191 

12 

16384 

8192〜16383 

13 

32768 

16384〜32767 

14 

DCTで可能な最大精度は,15ビットとする。したがって,符号化判定木に必要な最大精度は,直流係数

の差分の場合16ビットとし,交流係数の場合符号ビットも含めて15ビットとする。 

F.1.4.3.1.3 厳密な絶対値の符号化 絶対値のカテゴリの符号化の後,絶対値の下位ビットを符号化する。

これらのビットは,最上位のビットから順に符号化する。この処理手順を,図F.9に示す。省略形の “SRL” 

は,右論理シフト演算を示す。Mは,図F.8で設定した上限(上限の値は含まない。)とし,Mでセット

されているビットは,一つだけとする。Mを右にシフトすることによって,この値は,論理 “AND” 演算

のためのビットマスクに変換される。 

文脈索引Sの最初の値は,Encode̲log2̲Szで決定される。この処理で最初のSを14だけ増やす処理に

よって,文脈索引を表F.4及び表F.5で必要な値に設定する。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図F.9 絶対値のビットパターンの符号化のための判断順序 

F.1.4.4 

統計的モデル 適応2値算術符号器には,統計的モデルを必要とする。この統計的モデルは,符

号化及び復号処理手順で使用される条件付き確率推定を選択するために使用する文脈を定義する。 

2値判定木内の各判定は,一つ以上の文脈に関連する。これらの文脈は,MPSの意味及び2値判定を符

号化したり復号したりするのに使用する条件付き確率推定Qe(附属書Dの表D.2参照)の索引を識別す

る。 

算術符号器は,適応的とする。すなわち,文脈ごとの確率推定の作成及び維持は,以前の条件付け状態

における文脈をもとに算術符号化システムによって行われることを意味する。 

F.1.4.4.1 

直流係数の予測差分符号化のための統計的モデル 直流係数の差分の符号化のための統計的モ

デルによって,以前の直流係数符号化判断による2値判定の確率推定の幾つかが条件付けされる。 

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F.1.4.4.1.1 符号による統計的条件付け 直流係数の符号化では,ゼロか非ゼロかの (V=0) の判定,符号

の判定及び最初の絶対値のカテゴリ判定の符号化において,四つの統計器(確率推定)を使用する。これ

らの統計器のうち,二つは,V=0かどうかの判定及び符号の判定の符号化に使用する。他の二つの統計器

は,最初の絶対値の判定,すなわち,Sz<1かどうかの符号化に使用する。この場合,一方の統計器は,

符号が正の場合に使用し,他方の統計器は,負の場合に使用する。したがって,最初の絶対値の判断の確

率推定は,Vの符号によって条件付けされる。 

F.1.4.4.1.2 直前のブロックの直流係数の差分による統計的条件付け 上の最初の三つの判定の確率推定

は,同一成分の直前のDCTブロックのために符号化された差分の値によってもDaに条件付けされる。こ

れらの差分を,ゼロ,小さい正の数,小さい負の数,大きい正の数及び大きい負の数の五つのグループに

分類する。初期分類と量子化目盛りとの関係を,図F.10に示す。 

図F.10 差分の値の条件付け分類 

上の分類は,“小さい”差分のカテゴリの上下限によって決定される。L及びUを0から15までの(0

及び15を含む。)範囲内の整数として定義すると,“小さい”として分類された差分の絶対値の下限(下限

の値は含まない。)は,L=0の場合ゼロになり,L>0の場合2↑L−1↓になる。 

“小さい”として分類された差分の絶対値の上限(上限の値を含む。)は,2↑U↓とする。 

Lは,U以下でなければならない。 

条件付けカテゴリの上下限によって,表F.3で示したものと同じ分割を行う。 

F.1.4.4.1.3 直流係数2値判定木への統計器の割当て 表F.4に示すとおり,直流係数符号化のためのそれ

ぞれの統計的領域は,49の統計器で構成される。ここでは,統計器は,連続と仮定する。最初の20の統

計器は,文脈索引S0で選択される四つの統計器の5個の集合で構成される。S0の値は,DC̲Context (Da) に

よって与えられ,DC̲Context (Da) は,Da(F.1.4.4.1.2参照)の異なる種別分けに応じて,値0,4,8,12

又は16をとる。残りの29の統計器,X1,...,X15,M2,...,M15,は,絶対値のカテゴリの判定及び絶

対値のビットを符号化するために使用する。 

表F.4 直流係数符号化のための統計的モデル 

文脈索引 

値 

符号化判定 

S0 

DC+Context(Da) 

V=0 

SS 

S0+1 

Vの正負符号 

SP 

S0+2 

V>0ならばSz<1 

SN 

S0+3 

V<0ならばSz<1 

X1 

20 

Sz<2 

X2 

X1+1 

Sz<4 

X3 

X1+2 

Sz<8 

X15 

X1+14 

Sz<2↑15↓ 

M2 

X2+14 

Sz<4ならば絶対値ビット 

M3 

X3+14 

Sz<8ならば絶対値ビット 

M15 

X15+14 

Sz<2↑15↓ならば絶対値ビット 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

F.1.4.4.1.4 直流係数の統計的モデルのための既定値 条件付けカテゴリの決定のための上下限のL及び

Uは,L=0及びU=1の初期値に設定される。附属書Bで規定したとおり,DAC(算術符号化条件付けの

定義)マーカ部分列を使用して他の上下限に設定してもよい。 

F.1.4.4.1.5 直流係数の統計的モデルのための既定値 走査の開始点及び各符号化再初期化間隔の開始点

で,条件付け状態決定において直前の直流係数の値の差分がゼロになるように定義する。 

F.1.4.4.2 

交流係数の符号化のための統計的モデル 表F.5に示すとおり,交流係数符号化のためのそれ

ぞれの統計的領域は,1組の245個の連続した統計器で構成される。三つの統計器をジグザグ索引Kのそ

れぞれの値で使用し,2組の28の付加的な統計器,X2〜X15,M2〜M15を,絶対値のカテゴリ及び絶対

値のビットを符号化するために使用する。 

SE(さらにS0,SP及びSN)の値は,ジグザグ索引Kによって決定する。Kは,1〜63であるので,SE

の最小値はゼロとし,SPの最大値は188とする。係数の正負符号は,一定の確率値,すなわち,0.5 (Qe

=Xʼ5AIDʼ, MPS=0) を使用して符号化されるので,交流係数の符号化においては,SSには値を割り付け

られない。 

表F.5 交流係数符号化のための統計的モデル 

文脈索引 

値 

符号化判定 

SE 

3× (K−1) 

K=EOB 

S0 

SE+1 

V=0 

SS 

固定推定 

Vの正負符号 

SN, SP 

S0+1 

Sz<1 

X1 

S0+1 

Sz<2 

X2 

AC̲Context (K) 

Sz<4 

X3 

X2+1 

Sz<8 

X15 

X2+14 

Sz<2↑15↓ 

M2 

X2+14 

Sz<4ならば絶対値ビット 

M3 

X3+14 

Sz<8ならば絶対値ビット 

M15 

X15+14 

Sz<2↑15↓ならば絶対値ビット 

X2の値は,AC̲Context (K) で与えられる。K<=KxのときはX2=189とし,K>KxのときはX2=217

とする。Kxは,DACマーカ部分列(附属書BのB.2.4.3参照)を用いて定義する。 

この列では,X1の統計器は使用しないが,その代わり,絶対値のカテゴリのための統計器からなる63

×1の配列を二つの判定に使用する。一度,絶対値の境界を決定すると(例えば,統計器のXnにおいて),

一つの統計器Mnをこの境界における絶対値のビットシーケンスの符号化に使用する。 

F.1.4.4.2.1 交流係数符号化のための既定値 Kxの初期値は,5とする。附属書Bの規定によってDAC

マーカ部分列を使用して,これを変更してよい。 

F.1.4.4.2.2 交流係数の統計的モデルのための既定値 走査の開始点及び各符号化再初期化において,統

計器は,すべて附属書Dに示す既定初期値に再初期設定する。 

F.1.5 

拡張されたハフマン符号化及び12ビット精度のDCT順次符号化処理 この処理は,F.1.3で説明

した四つのハフマン符号表に拡張された8ビット精度のDCT順次処理と同じとする。ただし,次の変更が

ある。 

F.1.5.1 

12ビット入力精度の場合の直流係数符号表の構造 2の補数の差分の絶対値は,16のカテゴリ,

すなわち,SSSSに分けられる。これらの16の差分絶対値のカテゴリごとに,ハフマン符号を作成する。 

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直流係数符号化のためのハフマン符号表(表F.1)を,表F.6で示すとおり拡張する。 

表F.6 直流係数符号化のための差分絶対値のカテゴリ 

SSSS 

DIFFの値 

12 

−4095〜−2048, 2048〜4095 

13 

−8191〜−4096, 4096〜8191 

14 

−16383〜−8192, 8192〜16383 

15 

−32767〜−16384, 16384〜32767 

F.1.5.2 

12ビット標本精度の場合の交流係数符号表の構造 図F.12に示すとおり,この符号表の一般構

造を拡張する。表F.7に示すとおり,交流係数符号化のためのハフマン符号表の機能を拡張する。 

図F.11 ハフマン符号化のための2次元値配列 

表F.7 係数の振幅の範囲に割り当てられた値 

SSSS 

DIFFの値 

11 

−2047〜−1024, 1024〜2047 

12 

−4095〜−2048, 2048〜4095 

13 

−8191〜−4096, 4096〜8191 

14 

−16383〜−8192, 8192〜16383 

F.1.6 

拡張された算術符号化及び12ビット精度のDCT順次符号化処理 この処理は,8ビット精度の場

合のDCT順次処理と同じとする。ただし,この処理では,FDCT計算の精度が異なる。 

12ビット標本精度のための符号化処理手順の構造は,F.1.4で規定したものと同じとする。 

F.2 

DCT利用型の順次復号処理 

F.2.1 

DCT利用型の順次制御処理手順及び符号化モデル 

F.2.1.1 

DCT利用型の順次復号器の制御処理手順 圧縮画像データ及びその構成部分であるフレーム,走

査,符号化再初期化間隔及びMCUの復号のための制御処理手順を,図E.6〜E.10に示す。MCUを復号す

るための処理手順(図E.10)では,データ単位を復号するための処理手順を繰り返し用いる。DCT利用型

の復号器の場合,データ単位は,8×8標本のブロックとする。 

F.2.1.2 

8×8ブロックデータ単位の復号処理手順 DCT利用型の順次処理の復号処理における8×8ブロ

ックデータ単位の復号は,次の処理手順からなる。 

(1) 走査ヘッダで指定された直流係数符号表によって,8×8ブロックの直流係数を復号する。 

(2) 走査ヘッダで指定された交流係数符号表によって,8×8ブロックの交流係数を復号する。 

(3) フレームヘッダで指定された表を用いた逆量子化及び8×8逆DCTの計算をする。 

F.2.1.3 

DCT順次処理手順のための復号モデル 二つの復号処理手順を使用する。一つは直流係数ZZ (0) 

に対応し,他の一つは交流係数ZZ (1) 〜ZZ (63) に対応する。係数は,直流係数で始まるジグザグ順序に

従って復号する。係数は,2の補数の整数として表現する。 

F.2.1.3.1 

直流係数復号モデル 復号差分DIFFは,同一成分の,直前に復号された8×8ブロックの直流

係数値,すなわち,PREDに加えられる。したがって,ZZ (0) =PRED+DIFFとなる。 

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走査及び各符号化再初期化間隔開始時に,直流係数の予測値は,ゼロに初期化する。 

F.2.1.3.2 

交流係数復号モデル 交流係数は,ZZが発生する順序で復号する。EOBが復号された場合,

ZZの中に残っているすべての係数は,ゼロに初期化する。 

F.2.1.4 

量子化DCT係数の逆量子化 附属書Aに示すとおり,量子化DCT係数の逆量子化は,それぞれ

の量子化係数値にその係数に対する量子化表の値を乗算して行う。復号器は,四つまでの量子化表を使用

できなければならない。 

F.2.1.5 

逆DCT (IDCT)  IDCTの数学的定義は,附属書AのA.3.3に示す。 

IDCTを計算したあと,符号付きの出力標本は,附属書Aに規定したとおりレベルシフトし,符号のな

い表現に変換する。レベルシフトは,8ビット精度では128を加算し,12ビット精度では2048を加算する。

必要に応じて,この出力標本は,精度の適正範囲内(8ビット精度の場合0〜255,12ビット精度の場合0

〜4095)にとどまるようにクランプされなければならない。 

F.2.2 基本処理ハフマン復号処理手順 基本処理復号処理手順は,8ビット標本精度のためのものとする。

復号器は,1走査内に二つまでの直流係数ハフマン符号表及び二つまでの交流係数ハフマン符号表を使用

できなければならない。 

F.2.2.1 

直流係数のハフマン復号 直流係数差分DIFFに対する復号処理手順を,次に示す。 

T=DECODE 

DIFF=RECEIVE (T) 

DIFF=EXTEND (DIFF, T) 

ここで,DECODEは,圧縮画像データ(F.2.2.3参照)の中の後続のハフマン符号に関連したビット値に

戻す処理手順である。RECEIVE (T) は,直列ビット列の後続のTビットをDIFFの下位ビットにMSBか

ら順に挿入する処理手順とする。Tがゼロであれば,DIFFはゼロに設定される。EXTENDは,部分的に

復号された精度TのDIFFの値を,正負符号ビットを拡張し,完全な精度の差分値に変換する処理手順と

する。EXTENDについては,図F.12に示す。 

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図F.12 Vの復号値の正負符号ビットの拡張 

F.2.2.2 

交流係数の復号処理手順 交流係数の復号処理手順を図F.13及びF.14に示す。 

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図F.13 交流係数のハフマン復号手順 

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図F.14 非ゼロ交流係数の復号 

非ゼロ係数の振幅及び正負符号の復号は,図F.14に示とおり “Decode̲ZZ(K)” の処理手順で実行する。 

DECODEは,符号列の後続のハフマン符号に対応する値RSを,戻す処理手順とする(F.2.2.3参照)。

SSSSとRの値は,RSから求める。SSSS値は,合成値の下位4ビットとし,RはRRRRの値を示す(合

成値の上位4ビット)。これらの値の規定は,F.1.2.2による。EXTENDについては,図F.12に示す。 

F.2.2.3 

DECODE処理手順 DECODE処理手順は,直流係数については,差分絶対値のカテゴリを決定

する8ビット値を復号することである。交流係数については,この8ビットの値はゼロ係数の連の長さと

非ゼロ係数のカテゴリを決定することである。 

HUFFVAL,HUFFCODE及びHUFFSIZEの三つの表は,附属書Cによる。ここで,DECODEは,値及

び符号長の双方に依存する,HUFFCODEの中のハフマン符号の順番を利用することを特徴とする。多く

の他のDECODEの実行も可能とする。 

備考 HUFFVALの中の値は,HUFFCODE及びHUFFSIZEのそれぞれの符号に順に割り当てられる。

HUFFVALの中の同じ長さの符号に,値を割り当てる順番には,制約はない。 

DECODEの実行では,HUFFVAL表に対するポインタを復号するために,三つの表,すなわち,MINCODE,

MAXCODE及びVALPTRを使用する。MINCODE,MAXCODE及びVALPTRは,すべての符号サイズに

対して対応する値をそれぞれ設定できるように,16エントリをもつ。MINCODE (I) は,長さIの符号の最

小値を,MAXCODE (I) は長さIの符号の最大値を,更にVALPTR (I) は長さIの符号語によって復号され

るHUFFVAL値中の表の開始位置をそれぞれ示す。MINCODE及びMAXCODEの中の値は,16ビット正

負符号付き整数とする。したがって−1の値は,全ビットを1に設定する。 

これらの表を発生する処理手順を,図F.15に示す。DECODEの処理手順を,図F.16に示す。8ビット 

“VALUE” は,DECODEを起動する手順に戻される。 

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図F.15 復号器表の発生 

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図F.16 DECODE処理手順 

F.2.2.4 

RECEIVE処理手順 RECEIVE (SSSS) は,エントロピー符号化部分列内の後続のSSSSビット

を,DIFFの下位ビットにMSBを先頭におく処理手順とし,そのため,NEXTBITを用いる。この処理手

順は,DIFFの値を,RECEIVE (SSSS) を呼び出した手順に戻す。 

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図F.17 RECEIVE (SSSS) の処理 

F.2.2.5 

NEXTBIT処理手順 NEXTBITは,圧縮データの後続のビットを読み込み,それを高位層の手順

に渡す。また,NEXTBITは,挿入バイトを検出した場合,これを捨て,更に,マーカを検出する。NEXTBIT

は,一つのバイトのビットをMSBから読み込む。 

一つの走査の復号を始める前及びRSTマーカを処理した後に,CNTをクリアする。圧縮データは,処

理手順NEXTBYTEを用いて,一度に1バイトずつ読み込む。一つのバイト (B) を読み込むごとに,CNT

を8に設定する。 

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109 

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図F.18 圧縮データの次のビットの取り込み処理手順 

ハフマン符号化データ内に発生する有効なマーカは,RSTmマーカだけとする。EOI又は走査の開始時

若しくは開始前に発生するマーカ以外で,走査終了時に発生するマーカは,DNL(ライン数定義)だけと

する。 

通常,復号器は,終了マーカを検出する前に最後の符号化再初期化間隔の復号を終了する。DNLマーカ

を検出すると,現行のライン計数をそのマーカによって規定された値に設定する。DNLマーカは,最初の

走査の終了時にだけ使用できる。したがって,走査復号処理手順は,それが検出されたときに終了しなけ

ればならない。 

F.2.3 

4組のハフマン符号表に拡張された8ビット精度のDCT順次復号処理 この処理は,復号器が1

走査の中で直流係数及び交流係数のそれぞれに対して,四つまでのハフマン符号表を使用できなければな

らない点を除いて,F.2.2の基本処理復号処理と同じとする。四つの直流係数ハフマン符号表及び四つの交

流係数ハフマン符号表は,この規格が認める最大数とする。 

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110 

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F.2.4 

算術符号化によるDCT順次復号処理 ここでは,算術復号によるDCT順次復号処理について規

定する。 

2値判定を復号し,統計的モデルを初期化し,復号器を初期化し,復号器を再同期化するための算術復

号処理手順は,附属書Dの表D.3による。 

附属書Dの表D.3の一部の処理手順を,F.2の走査及び符号化再初期化間隔用高位層制御機構で使用す

る。走査及び符号化再初期化間隔開始時に,算術復号器に使用される確率推定値は,算術符号器を再初期

化するInitdec処理手順の一部として既定初期値に再設定する。 

F.1.4.4で定義された統計的モデルをこの復号処理にも適用する。 

復号器は,1走査内で条件表及びこれに付随する統計量領域を,直流係数用及び交流係数用にそれぞれ

四つまで使用できなければならない。 

F.2.4.1 

直流係数の算術復号 直流係数差分値DIFFを復号するための判定シーケンスの基本構成を図

F.19に示す。符号器における対応する構成を図F.4に示す。 

図F.19 直流係数差分の算術復号 

直流係数復号処理手順に使われる文脈索引は,表F.4(F.1.4.4.1.3参照)による。 

 “Decode” 処理手順は,2値判定の値 “D” を戻す。その値がゼロでない場合,非ゼロDIFFの正負符号

及び絶対値は,処理手順 “Decode̲V (SO)” によって復号されなければならない。 

F.2.4.2 

交流係数の算術復号 交流係数は,ZZ (1, ..., 63) の順序に従って復号する。符号化処理における

符号器処理手順を図F.5に示す。図F.20は,復号のシーケンスを示す。 

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111 

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図F.20 交流係数の復号処理手順 

交流係数復号処理手順に使われる文脈索引は,表F.5(F.1.4.4.2参照)による。 

図F.20で,Kはジグザグ順序の位置を示す索引とする。順次処理の走査では,Kmin=1及びSe=63と

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112 

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する。ループ最上位での判定は,EOB判定とする。EOBが発生すると (D=1),そのブロック中の残りの

係数は,ゼロに設定する。EOB復号のすぐ下の内側のループは,ゼロ係数の連を復号する。係数がゼロで

なければ,必ず “Decode V” が係数の正負符号及び絶対値を復号する。それぞれの非ゼロ係数が復号され

た後,K=Seでない限り,EOB判定を再度復号する。 

F.2.4.3 

非ゼロ直流係数差分及び交流係数の2値判定手順復号 直流係数差分及び交流係数は,ともに符

号つき2の補数の16ビット整数値として表現される。これらの符号付き整数値の復号判定木は,直流係数

及び交流係数の符号化モデルに対するものと同じとする。しかし,統計的モデルは,同じではない。 

F.2.4.3.1 

非ゼロ値の算術復号 直流係数差分又は交流係数の一方をVとすると,非ゼロ符号付き整数値

Vは,図F.21に示す手順で復号する。この手順は,まずVの正負符号を復号する。その後,Vの絶対値の

カテゴリを復号 (Decode̲log2̲Sz) する。さらに,絶対値の下位ビットを復号する (Decode̲Sz̲bits)。実際

の係数の絶対値を得るため,Szに対して復号された値を,1だけ増加する。 

図F.21 非ゼロ値Vの復号における処理手順 

F.2.4.3.1.1 正負符号の復号 正負の符号は,図F.22に示す処理手順によって復号する。 

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113 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図F.22 Vの正負符号の復号 

文脈索引は,直流係数復号用は表F.4に,交流係数復号用は表F.5による。 

SIGN=0ならば,係数の符号は正とし,SIGN=1ならば,係数の符号は負とする。 

F.2.4.3.1.2 絶対値のカテゴリの復号 文脈索引Sは,Decode̲sign̲of̲Vで設定され,文脈索引値X1及び

値X2は,直流係数復号用を表F.4に,交流係数復号用を表F.5にそれぞれ定義する。 

図F.23では,Mは絶対値の上限に設定され,復号判定がゼロになるまで,左にシフトする。その後,Sz

の絶対値の先頭ビットにするため,右に1ビットシフトする。 

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図F.23 絶対値のカテゴリを得るための復号処理手順 

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F.2.4.3.1.3 厳密な絶対値の復号 絶対値のカテゴリを復号してから,絶対値の下位ビットを復号する。

このビットは,上位から下位に向かって復号される。図F.24にその処理手順を示す。 

文脈索引Sは,Decode̲log2̲Szで設定される。 

図F.24 絶対値ビットパターンの復号決定手順 

F.2.4.4 

復号器の再初期化 圧縮データの各符号化再初期化間隔の間に付加されるRSTmマーカは,符号

化処理手順で発生することのない2バイト値とする。この2バイトシーケンスを復号せずに見付けること

ができ,従って復号器の再同期化に使用することができる。したがって,RSTmマーカは,誤りの回復用

として使用することができる。 

誤り回復の処理手順を用いる前に,最初に誤りの状態が検出されなければならない。誤りは,復号中に

2か所に表れる可能性がある。 

(1) 復号器が再同期化を予定する個所で予定マーカを検出できない。 

(2) 物理的に不可能なデータが復号されたとき。例えば,誤りによって圧縮データが破壊された場合に,

モデルによって許可された数値範囲を超える絶対値を復号することがあり得る。算術復号器では,こ

の誤りの状態を検出することが特に重要となる。誤り状態が検出されない場合,復号器は,圧縮デー

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タを復号するために非常に多くの時間を費やしてしまうことがある。 

備考 復号器が同期を損なう原因とならない誤りもあり得る。さらに,あらゆる誤りが回復できるわ

けではない。例えば,ヘッダ中の誤りは,致命的になることがある。しかし,上の(1)及び(2)

の二つの誤りの状態は,多くの場合に復号器の同期を損なう原因となるが,回復が可能である。 

同期を回復する上で,復号器はRSTmマーカの下位ビットで示されるモジュロ8符号化再初期化間隔番

号を活用できる。圧縮画像データ中の予定した再初期化間隔番号と次のRSTmマーカの番号とを比較する

ことによって,復号器は,通常,同期を回復できる。このとき,反復などの適切な処理手順によって,復

号器は欠落ラインの出力データを補充し,復号を継続する。もちろん,再構成画像は,通常,誤りの発生

した符号化再初期化間隔の少なくとも一部にかなりの破壊が見られる。 

F.2.5 

ハフマン符号化と12ビット精度のDCT順次復号処理 この処理は,F.2.3で8ビット標本精度と

して定義した四つのハフマン符号表に拡張されたDCT順次処理と同じとするが,次の変更を伴う。 

F.2.5.1 

直流係数ハフマン復号表の構造 直流係数ハフマン復号表の一般構造を,F.1.5.1のとおりに拡張

する。 

F.2.5.2 

交流係数ハフマン復号表の構造 交流係数ハフマン復号表の一般構造を,F.1.5.1のとおりに拡張

する。 

F.2.6 

算術符号化及び12ビット精度のDCT順次復号処理 この処理はIDCT演算の精度の点を除き,8

ビットのDCT順次処理と同じとする。 

F.2.4における復号処理手順の構成は,12ビット入力精度についても規定する。 

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附属書G(規定) DCT利用型の段階符号処理 

この附属書は,DCT利用型の段階符号処理における次の符号化処理の機能規定を規定する。 

(1) 周波数選択だけ,ハフマン符号化,8ビット標本精度 

(2) 周波数選択だけ,算術符号化,8ビット標本精度 

(3) 完全段階処理,ハフマン符号化,8ビット標本精度 

(4) 完全段階処理,算術符号化,8ビット標本精度 

(5) 周波数選択だけ,ハフマン符号化,12ビット標本精度 

(6) 周波数選択だけ,算術符号化,12ビット標本精度 

(7) 完全段階処理,ハフマン符号化,12ビット標本精度 

(8) 完全段階処理,算術符号化,12ビット標本精度 

これらのそれぞれに対して,G.1は符号化処理を規定し,G.2は,復号処理を規定する。機能規定は,こ

れらの符号化処理を構成する種々の処理手順に関する流れ図によって示す。 

備考 この規定は,符号器及び復号器が,この附属書で規定する流れ図による手順に厳密に従うこと

を強制するものではない。符号器及び復号器は,ここに規定する機能だけを満たせばよい。こ

の規定に従って考慮しなければならない基準は,ISO/IEC 10918-2の適合性試験の6.(符号器

用)又は7.(復号器用)の要求条件だけとする。 

同一走査内において使用されるハフマン符号表及び算術符号化のために使用してよい条件表の数は,4

個とする。 

二つの相補的な段階的な処理手順として,周波数選択及び逐次近似を定義する。 

周波数選択では,それぞれのブロックのDCT係数が周波数帯域に分割される。それぞれの帯域は,別々

の走査で符号化する。 

逐次近似では,DCT係数を符号化前に2のべき乗で割り算する。復号器では,IDCTの計算をする前に,

DCT係数を同じ2のべき乗を乗算する。後続の走査の中では,係数が完全精度になるまで,1ビットずつ

係数精度を増加する。 

完全段階符号処理を実装した符号器及び復号器は,逐次近似の中で周波数選択を用いる。段階符号処理

では,逐次近似及び周波数選択の両方を用いる処理以外に,周波数選択だけを用いる処理も定義する。 

図G.1に,周波数選択及び逐次近似による段階処理を示す。 

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118 

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図G.1 周波数選択及び逐次近似による段階処理 

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G.1 

DCT利用型の段階符号化処理 

G.1.1 DCT利用型の段階処理の制御処理手順及び符号処理モデル 

G.1.1.1 DCT利用型の段階符号器の制御処理手順 画像符号化のための制御処理手順並びにその骨格要

素,すなわち,フレーム,走査,符号化再初期化間隔及びMCUを図E.1〜E.5に示す。 

フレーム符号化の制御処理手順の構造は,順次処理手順と同じとする。しかし,走査を始める前にフレ

ーム内のすべての成分に関するFDCTを計算するほうが便利である。DCT係数のすべてを蓄えることがで

きる大きさのバッファを,段階処理モードで使用してもよい。 

走査の数は,定義された段階符号処理によって決定される。したがって,走査の数は,フレーム内の成

分の数より多くなってもよい。 

MCU符号化の処理手順(図E.5)では,データ単位符号化の処理手順を繰返し用いる。DCT利用型の符

号器の場合,データ単位は,8×8の標本からなるブロックとする。 

走査内では,それぞれの8×8のブロックの一部だけが符号化される。その部分は,走査ヘッダ引数,

Ss,Se,Ah,Al(附属書BのB.2.3参照)によって決められる。それぞれの8×8のブロックの部分を符号

化するために使用される処理手順は,この附属書で規定する。しかし,これらの処理手順で,順次DCT

利用型モードと同じ部分に関しては,順次処理手順の規定を参照する。 

G.1.1.1.1 周波数選択制御 周波数選択では,DCT係数のジグザグ順序が,帯域に分割される。帯域は,

ジグザグ順序の最初及び最後の係数を示す走査ヘッダによって定義する。一つの帯域は,与えられた段階

符号処理の一つの走査で符号化する。直流係数は,常に交流係数とは別々に符号化する。直流係数を符号

化する走査だけは,一つの成分以上でブロック・インタリーブしてもよい。他の走査は,一つの成分だけ

からなる。成分の最初の直流係数走査の場合を除いて,走査内で定義された帯域の順序は,ジグザグ順序

である必要はない。それぞれの成分に関して,最初の直流係数走査は,交流係数走査に先行する。 

G.1.1.1.2 逐次近似制御 逐次近似を用いる場合には,走査ヘッダ(附属書BのB.2.3参照)によって定

義され小数点移動(附属書AのA.4参照)によってDCT係数の精度を低下させる。逐次近似のビット位

置列Alは,実際の小数点移動を指定しており,帯域に関して先行する走査がある場合,上位4ビットは,

これらの先行する走査で使用する小数点移動の値を含む。帯域に関して先行する走査がない場合,Ahはゼ

ロとする。 

与えられた帯域に関して,最初の走査に続くそれぞれの走査は,係数の精度が完全精度になるまで段階

的に1ビットずつ係数の精度を改善する。 

G.1.1.2 DCT利用型の段階符号器の符号処理モデル 逐次近似を用いる場合には,走査ヘッダ(附属書B

のB.2.3参照)によって定義されている小数点移動(附属書AのA.4参照)によってDCT係数の精度を低

下させる。これらのモデルも,DCT利用型の段階符号器に適用できるが,次の点が異なる。 

G.1.1.2.1 直流係数の段階符号化モデル Alがゼロでない場合,直流係数に関する小数点移動は,直流係

数の精度を低下させるために使用しなければならない。Ahがゼロの場合,係数の値(小数点移動によって

修正された値)は,附属書Fで規定する処理手順を用いて符号化しなければならない。Ahがゼロでない

場合,小数点移動された直流係数の最下位有効ビットが,この附属書で規定する処理手順を用いて符号化

されなければならない。 

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G.1.1.2.2 交流係数の段階符号化モデル Alがゼロでない場合,交流係数に関する小数点移動は,交流係

数の精度を低下させるために使用しなければならない。Ahがゼロの場合,係数の値(小数点移動によって

修正された値)は,附属書Fで規定する処理手順を用いて符号化しなければならない。これらの修正は,

この附属書で規定する。Ahがゼロでない場合,係数の精度は,この附属書で規定する処理手順を用いて改

善されなければならない。 

G.1.2 ハフマン符号化を用いた段階符号化処理手順 

G.1.2.1 ハフマン符号処理を用いた直流係数の段階符号化 与えられた成分の最初の走査は,附属書Fの

F.1.2.1の処理手順を用いて直流係数の値を符号化しなければならない。逐次近似ビット位置パラメータAl

がゼロでない場合,係数値の精度は,符号化前に附属書Aで規定する小数点移動によって低下させなけれ

ばならない。 

逐次近似を用いる後続の走査において,最下位有効ビットは,バイト挿入の場合を除いて,圧縮又は修

正 (G.1.2.3) のないビット系列に付加される。 

G.1.2.2 ハフマン符号化を用いた交流係数の段階符号化 周波数選択及び逐次近似の成分の最初の走査

における交流係数の符号化モデルは,順次処理手順で用いるものに類似する。しかし,ハフマン符号表を,

End-Of-Bands (EOBs) の連の符号化を含むように拡張する。 

end-of-bandの連構造は,ゼロの係数だけからなるブロックの効率的な符号化を許容する。長さ5のEOB

の連は,現在のブロック及び後続の4個のブロックがゼロでない係数をインタリーブしないend-of-band

をもつことを意味する。EOBの連の長さは,符号化再初期化間隔によってだけ制限される。 

符号表の拡張を,図G.2に示す。 

図G.2 ハフマン符号処理についての2次元値配列 

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表G.1 EOBn符号連の長さの拡張 

EOBn符号 

連の長さ 

EOB0 

EOB1 

2, 3 

EOB2 

4〜7 

EOB3 

8〜15 

EOB4 

16〜31 

EOB5 

32〜63 

EOB6 

64〜127 

EOB7 

128〜255 

EOB8 

256〜511 

EOB9 

512〜1023 

EOB10 

1024〜2047 

EOB11 

2048〜4095 

EOB12 

4096〜8191 

EOB13 

8192〜16383 

EOB14 

16384〜32767 

EOBnの符号順序は,次のとおり定義する。それぞれのEOBn符号は,係数の振幅値(ただし,正数だ

けとする。)に対する拡張フィールドに類似した拡張フィールドを後に伴う。EOBn符号に付加するビット

数は,連の長さを規定するのに必要な最小数とする。 

EOBの連の長さが,32767以上の場合,長さ32767のEOBの連及びそれに続く連を終了するために十分

な最終のEOB連の系列として符号化される。 

それぞれの符号化再初期化間隔の開始において,EOB連の計数,すなわち,EOBRUNをゼロに設定す

る。それぞれの符号化再初期化間隔の終了時に,残りのすべてのEOB連を符号化する。 

周波数選択の交流係数及び逐次近似の最初の走査の交流係数のハフマン符号化処理手順を図G.3及び図

G.4に示す。 

図G.3において,Ssは周波数選択の開始を,Seは終了を示す。Kはジグザグ順序ZZ内に蓄えられた係

数の表への索引を,Rはゼロ係数の連の長さを,更に,EOBRUNはEOBsの連の長さを示す。EOBRUN

は,それぞれの符号化再初期化間隔開始においてゼロに設定する。 

走査ヘッダ引数Al(逐次近似・ビット位置下位)がゼロでない場合には,図G.3〜G.6におけるDCT係

数の値ZZ (K) を,小数点移動したZZʼ (K) で置き換える。ここで,ZZʼ (K) は,次のとおり定義する。 

()

()

=

Al

2

K

ZZ

K

Z

Z

EOBSIZEは,入力としてEOBの連の長さを与えるEOB拡張フィールドの大きさを返す処理手順とする。

CSIZEは,順次符号化(附属書FのF.1.1及びF.1.3参照)で定義されたSSSS値に交流係数を写像させる

処理手順とする。 

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図G.3 ハフマン符号による交流係数の段階符号化の処理手順 

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図G.4 非ゼロ交流係数の段階符号化 

図G.5 ゼロ係数の連の符号化 

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図G.6 ゼロ連及び非ゼロ連係数の符号化 

G.1.2.3 逐次近似の第2走査以降の符号処理モデル 与えられた成分に関する逐次近似の第2走査以降の

ハフマン符号化構造は,その成分の最初の走査の符号化構造に類似する。 

交流係数符号表の構造は,G.1.2.2の構造と同じとする。ゼロ履歴(すなわち,値が±1であり,したが

って,前の走査で符号化されていない。)をもつそれぞれの非ゼロの小数点移動された係数は,RRRRSSSS

の形式の8ビットの連の長さ−振幅の合成値で定義される。 

上位4ビットRRRRは,現在の係数と前に符号化された係数(又は,帯域の開始)との間のゼロ係数の

数を与える。ゼロ履歴をもたない係数(前の走査で符号化された非ゼロの値)の場合には,ゼロ係数の計

数はしない。下位4ビットSSSSは,ゼロでない係数のための振幅カテゴリを与える。与えられた成分の

SSSSの値は,1だけとする。 

連の長さ−振幅合成値は,ハフマン符号化され,それぞれのハフマン符号には次の付加的なビットが続

く。 

(1) 1ビットで新しくゼロでない係数の正負の符号を符号化する。0のビットが負の符号を,1のビットが

正の符号を符号化する。 

(2) ゼロ履歴をもたないそれぞれの係数に関して,訂正の符号化に1ビットを用いる。0のビットが訂正

なしを意味し,1のビットは,1が係数の(正規化された)復号値に加えられることを意味する。 

ゼロ履歴をもつゼロでない係数は,次に示す形の合成符号で符号化される。 

HUFFCO (RRRRSSSS) +additional bit (rule 1) +correction bit (rule 2)  

さらに,ゼロ連がZRL又はEOBn符号で符号化される場合には,ゼロ連の中に含まれるゼロ履歴をもた

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ないこれらの係数に,訂正ビットが上の規則(2)に従って付加される。 

Encode̲AC̲Coefficients̲SAのハフマン符号化版に関して,EOBは最後に小数点移動された振幅1の係

数の帯域内の位置として定義される。振幅1の係数が存在しない場合,EOBは,ゼロとして定義される。 

備考 EOBの定義は,ハフマン符号化の場合と算術符号化の場合とでは異なる。 

図G.7及びG.8で,BEは,ブロックの符号化開始時点でのバッファ訂正ビットの数とする。BEは,そ

れぞれの符号化再初期化間隔の開始時に,ゼロに初期化する。それぞれの符号化再初期化間隔の終了時に

は,残りのバッファビットが,最後のEOBnハフマン符号及び関連する付加ビットに続くビット列に付加

される。 

図G.7及びG.9で,BRは,規則 (2) によってビット列に付加されるバッファ訂正ビットの数である。

BRは,それぞれのEncode̲AC̲Coefficients̲SAの開始時点においてゼロに設定する。それぞれの符号化再

初期化間隔の終了時には,残りのバッファビットが最後のハフマン符号及び関連する付加ビットに続くビ

ット列に付加される。 

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図G.7 ハフマン符号化を用いた交流係数の逐次近似符号化 

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図G.8 BEバッファビットのバッファからビット系列への転送 

図G.9 BRバッファビットのバッファからビット系列への転送 

G.1.3 算術符号化を用いた段階符号化処理手順 

G.1.3.1 算術符号化を用いた直流係数の段階符号化 与えられた成分の最初の走査は,附属書FのF.1.3.1

で規定する処理手順を用いて直流係数の値を符号化しなければならない。逐次近似ビット位置引数がゼロ

でない場合,係数の値は,符号化前に附属書Aで規定する小数点移動によって精度を低下させなければな

らない。 

逐次近似を用いる後続の走査で,最下位有効ビットは,固定の確率推定値0.5 (Qe=Xʼ5A1Dʼ, MPS=0) を

用いた2値判定で符号化されなければならない。 

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G.1.3.2 算術符号化を用いた交流係数の段階符号化 DCT係数の小数点移動の正規化及び係数の帯域へ

のグループ化を除いて,逐次近似の最初の走査は,F.1.4で規定する順次符号化処理手順と同じとする。Kmin

が帯域内の最初の交流係数索引のSsと等しい場合,図F.4に示す流れ図を適用する。その図中における

EOB decisionは, “end-of-block” よりは,むしろ “end-of-band” の意味となる。Encode̲AC̲Coefficients̲SA

(及び他のすべての交流係数の符号化処理手順)の算術符号化版で,EOBは,帯域内の最後のゼロでない

係数に続く位置として定義される。 

備考 EOBの定義は,ハフマン符号化の場合と算術符号化の場合とでは異なる。 

F.1.4で定義する統計的モデルも,同様に適用する。このモデルに関して,Kxの既定値は,5とする。

Kxのほかの値は,DACマーカコード(附属書B)を用いて定義してもよい。Kxに関する次の計算は,8

ビット精度の標本について,よい結果を与える。 

Kx=Kmin+SRL (8+Se−Kmin) /4 

帯域が索引1〜63の場合,この表現は,Kx=5の既定値となる。 

G.1.3.3 逐次近似の第2走査以降の符号化モデル 図G.10の処理手順 “Encode̲AC̲Coefficients̲SA” は,

1ビットずつ,帯域内の交流係数値の精度を増加させる。 

成分の逐次近似の最初の走査と同様に,EOB decisionは,帯域の最初及びゼロでないそれぞれの係数の

後で符号化される。 

しかし,与えられた成分の直前の逐次近似の走査のend-of-band索引EOBxは,その成分内の前の走査で

符号化されたデータから知ることができ,現在の索引KがEOBxより小さい場合,この判定を省略する。

最初の走査で,帯域内での最後の係数がゼロでない場合も,EOB判定を省略する。判定ZZ(K)=0は,ゼ

ロ係数の連を復号する。復号器が処理手順のこの段階にある場合,少なくとも一つのゼロでない係数が符

号化する帯域内に残されている。ZZ (K) がゼロでない場合,その値を符号化するために図G.11の処理手

順が続く。 

図G.10及び図G.11における文脈の索引は,表G.2(G.1.3.3.1参照)で定義される。大きさ1の係数の正

負符号は,固定の確率推定値0.5 (Qe=Xʼ5A1Dʼ, MPS=0) で符号化する。 

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129 

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図G.10 算術符号化を用いた交流係数の符号化の場合の第2走査以降の逐次近似走査 

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130 

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図G.11 第2走査以降の逐次近似走査の場合の非ゼロ係数符号化 

G.1.3.3.1 逐次近似の第2走査以降の統計的モデル 表G.2に示すとおり,後続の逐次近似の交流係数の

走査に関するそれぞれの統計的領域は,189の統計器の隣接する集合からなる。大きさ1の係数の正負符

号の符号化は,固定の確率推定値0.5 (Qe=Xʼ5A1Dʼ, MPS=0) で符号化する。 

表G.2 交流係数の逐次近似符号化の第2走査以降の統計的モデル 

文脈索引 

交流符号化 

符号化判定 

SE 

3× (K−1) 

K=EOB 

S0 

SE+1 

V=0 

SS 

固定推定値 

正負符号 

SC 

S0+1 

LSB ZZ(K)=1 

G.2 

DCTの段階復号 附属書AのA.3.3及びA.3.4で規定するIDCTの計算及び逆量子化処理手順を段

階処理に適用する。 

段階復号処理は,一つの走査内に最高4個のハフマン符号表又は算術符号の条件表を必要とする圧縮さ

れた画像データを伸長できなければならない。 

重複を避けるため,段階復号処理に関する詳細な流れ図は,省略する。復号処理は,符号化流れ図に示

すそれぞれの段階での機能を反転し,かつ逆の順序で実行する。 

131 

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附属書H(規定) 可逆モード操作 

この附属書では,可逆モードにおける次の符号化手順の機能を規定する。 

(1) ハフマン符号化を用いた可逆処理 

(2) 算術符号化を用いた可逆処理 

これらの符号化処理をH.1に規定する。さらに,復号処理をH.2に規定する。機能の規定は,これらの

符号化処理を構成する処理手順によって示す。 

備考 この規定は,符号器及び復号器が,この附属書で規定する流れ図による手順に厳密に従うこと

を強制するものではない。符号器及び復号器は,ここに規定する機能だけを満たせばよい。こ

の規定に従って考慮しなければならない基準は,ISO/IEC 10918-2の適合性試験の6.(符号器

用)又は7.(復号器用)の要求条件だけとする。 

順次可逆の符号化及び復号に提供する処理は,DCTを利用しない。DCTの直流係数について開発された

符号化モデルを利用した空間処理を用いる。しかし,このモデルは,選択可能な1次元及び2次元の予測

器の集合を組み合わせることによって拡張されており,垂直方向にインタリーブされたデータの場合,1

次元水平予測器についての標本の順番がDCT型処理で用いられるものと異なる。 

ハフマン符号化又は算術符号化のいずれかのエントロピー符号化を可逆符号化及び可逆復号の処理に用

いる。ハフマン符号表の構造は,入力データが16ビット精度まで許容されるように拡張する。算術符号化

の統計的モデルは,2次元形式に拡張する。 

H.1 可逆符号器処理 

H.1.1 可逆符号器制御処理手順 附属書EのE.1に符号器制御処理手順を示す。これらの処理手順を可逆

符号器に適用する際のデータ単位は,1標本とする。 

入力データ精度は,1標本当たり2〜16ビットとする。入力データパスと入力データとで精度が異なる

場合,データは,常に入力データ経路の下位ビットから並べられなければならない。入力データは,符号

なしの整数として表され,符号化に先立ってレベルシフトされない。 

符号器は,符号化再初期化間隔の制御処理手順(附属書EのE.1.4参照)で再初期化するとき,予測値

も初期値に再初期化する。算術符号化の場合,統計量も同様に再初期化する。 

可逆処理の場合,符号化再初期化間隔は,MCU行のMCUの個数の整数倍でなければならない。 

H.1.2 可逆符号化の符号化モデル DCTの直流係数の符号化について開発された符号化モデルを,7種類

の1次元及び2次元の予測器の組の中から選択できるように拡張する。予測器は,走査ヘッダ(附属書B

参照)の中で選択される。同じ予測器を,その走査のすべての成分について用いる。走査内のそれぞれの

成分は,その成分の近傍の標本値から得られる予測値を利用し,独立に符号化する。 

H.1.2.1 予測 図H.1に予測で用いられる再生近傍標本の位置 (a, b, c) と,これから符号化される標本x

との位置の間の関係を示す。 

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図H.1 標本及び予測標本間の関係 

Pxを予測並びにRa,Rb及びRcを現在の標本の左,真上及び斜め上の再生標本と定義する。表H.1に

示す予測器のうち,一つが走査ヘッダによって選択される。 

表H.1 可逆符号化の予測器 

選択値 

予測 

予測なし(附属書J参照) 

Px=Ra 

Px=Rb 

Px=Rc 

Px=Ra+Rb−Rc 

Px=Ra+ [(Rb−Rc) /2] 

Px=Rb+ [(Ra−Rc) /2] 

Px= (Ra+Rb) /2 

選択値0は,階層型モード操作の差分符号化についてだけ使用する。選択値1,2及び3は1次元予測器

とし,選択値の4,5,6及び7は2次元予測器とする。 

1次元の水平方向予測器(標本値Ra予測)は,走査の開始の最初のラインと各々の符号化再初期化間隔

の始めの標本値に用いる。選択された予測器は,すべての他のラインに用いる。上のラインからの予測器

(標本値Rb予測)は,最初のラインを除いたそれぞれのラインの開始のとき用いる。最初のラインの始

まり及びそれぞれの符号化再初期化間隔の始まりで,予測値2↑P−1↓を用いる。ここでPは,入力精度

とする。 

小数点移動引数(附属書AのA.4参照)がゼロでなければ,最初のラインの始まり及びそれぞれの符号

化再初期化間隔の始まりの予測値は,2↑P−Pt−1↓とする。ここで,Ptは,小数点移動引数の値とする。 

それぞれの予測は,フル整数精度で計算する。さらに,入力精度限界を超えたアンダーフロー又はオー

バフローのクランプは,行わない。例えば,Ra及びRbがともに16ビット精度の場合,それらの和は17

ビット整数となる。それらの和が2で割られた後は(予測器7),予測は16ビット精度となる。 

実行の簡単化のために,表H.1の予測選択5及び6の2による除算は,整数値の算術右シフトによって

実行する。 

予測値と入力との差分は,2↑16↓のモジュロで計算する。復号器では,差分を復号し,2↑16↓のモジ

ュロで予測値に加える。 

H.1.2.2 モジュロ差分のハフマン符号化 附属書Fで定義された直流係数についてのハフマン符号化処理

手順を2↑16↓のモジュロ差分の符号化に使用する(附属書AのA.5参照)。表F.1及び表F.6の直流係数

符号化表に,一つの付加的エントリを拡張する。SSSS=16の後には,追加ビットを付加しない。 

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表H.2 可逆ハフマン符号処理についての差分カテゴリ 

SSSS 

差分値 

−1, 1 

−3,−2, 2,3 

−7〜−4, 4〜7 

−15〜−8, 8〜15 

−31〜−16, 16〜31 

−63〜−32, 32〜63 

−127〜−64, 64〜127 

−255〜−128, 128〜255 

−511〜−256, 256〜511 

10 

−1023〜−512, 512〜1023 

11 

−2047〜−1024, 1024〜2047 

12 

−4095〜−2048, 2048〜4095 

13 

−8191〜−4096, 4096〜8191 

14 

−16383〜−8192, 8192〜16383 

15 

−32767〜−16384, 16384〜32767 

16 

32768 

H.1.2.3 モジュロ差分の算術符号化 直流係数の算術符号化モデル(附属書FのF.1.4.4.1参照)で定義さ

れた統計的モデルを,左の標本に対する差分及び真上のラインに対する差分を条件とする2次元の形式に

一般化する。 

H.1.2.3.1 2次元統計的モデル 2値判定は,同じ成分の真上及び真左の標本の符号化された差分によって

条件付けられる。直流係数の符号化のように,差分は,五つのカテゴリ,すなわち,ゼロ (0),小さな正

値 (+S),小さな負値 (−S),大きな正値 (+L) 及び大きな負値 (−L) に分類される。二つの独立のカテ

ゴリを組み合わせて25の異なる条件状態ができる。図H.2に2次元の条件索引の配列を示す。25の条件

状態のそれぞれについて四つの2元判定に対する確率推定値を保存する。 

走査及びそれぞれの符号化再初期化間隔の開始で真上のラインから導かれる条件は,それぞれの成分の

最初のラインに対してゼロに初期化する。それぞれのラインの開始のとき,条件を計算するために,左に

対する差分は,ゼロに初期化する。 

図H.2 2次元統計的モデルについての5×5条件配列 

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H.1.2.3.2 直流係数2値判定木への統計器の割当て 可逆符号化に対するそれぞれの統計領域は,158個

の統計器の連続する集合で構成される。最初の100個の統計器は,文脈索引S0によって選択される四つ

の統計器の25個の集合によって構成される。S0の値は,0,4,...,92又は96の値を与える “L̲Context (Da,

Db)” によってDa及びDbの差分条件分け(H.1.2.3.1参照)に従って与えられる。 “L̲Context (Da,Db)” に

よって与えられるS0に対する値は,図H.2の配列から得られる。 

残りの58個の統計器は二つの集合の29個の統計器X1,...,X15,M2,...,M15,から構成され,これ

らはカテゴリ判定の大きさ及び統計器の大きさを符号化するために用いる。X1の値は, “X1̲Context (Db)” 

によって,Dbがゼロ,小さな正数又は小さな負数のカテゴリのときは100,Dbが大きな正数又は大きな

負数のカテゴリのときは129が与えられる。 

差分の符号化に用いられる2値判定木への統計器の割当ては,表H.3のとおりとする。 

表H.3 可逆符号処理についての統計的モデル 

文脈索引 

値 

符号化判定 

S0 

L̲Context (Da, Db) 

V=0 

SS 

S0+1 

正負符号 

SP 

S0+2 

V>0ならばSz<1 

SN 

S0+3 

V<0ならばSz<1 

X1 

X1̲Context (Db) 

Sz<2 

X2 

X1+1 

Sz<4 

X3 

X1+2 

Sz<8 

X15 

X1+14 

Sz<2↑15↓ 

M2 

X2+14 

Sz<4ならば絶対値ビット 

M3 

X3+14 

Sz<8ならば絶対値ビット 

M15 

X15+14 

Sz<2↑15↓ならば絶対値ビット 

H.1.2.3.3 既定値限界 条件カテゴリを決定するための限界,すなわち,L及びUは,L=0及びU=1の

初期値をもつ。附属書Bに示すとおり,その他の限界は,DAC (Define-Arithmetic-Conditioning) マーカ部

分列を用いて設定する。 

H.1.2.3.4 統計的モデルの既定値 走査の始まり及び,各再初期化において,すべての統計器は,附属書

Dに示す既定の初期値に再初期化される。 

H.2 可逆復号器手順 可逆復号器は,ハフマン復号又は算術復号を用いることができる。それらは,一

つの走査で最大四つまでの表を用いることができなければならない。可逆復号器は,1標本当たり2〜16

ビットのあらゆる入力精度の符号化された画像情報源を復号できなければならない。 

H.2.1 可逆復号器制御処理手順 附属書EのE.2に復号器制御処理手順を示す。これらの処理手順を可逆

復号器に適用する場合,データ単位は,1標本とする。 

復号器が符号化再初期化間隔の制御処理手順(E.2.4参照)で再初期化されたとき,予測値は,符号器

(H.1.2.1参照)で用いられている値と同じ値に再初期化する。算術符号化が用いられる場合は,統計量も

同様に再初期化する。 

符号化再初期化間隔への制限は,H.1.1による。 

H.2.2 可逆復号の符号化モデル H.1.2に示す予測器の計算を,同様に可逆復号器処理手順に適用する。 

可逆復号器では,差分が復号され,かつ出力を生成するために,それらを2↑16↓のモジュロを予測値

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

に加える。可逆復号器は,小数点移動引数を解釈することができ,それがゼロでない場合,可逆復号器の

出力を2↑Pt↓倍することができなければならない。 

重複を避けるために,可逆復号器の流れ図は,省略する。 

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附属書J(規定) 階層型モード操作 

この附属書では,階層型モードについての符号化処理の機能規定を規定する。 

階層型モードにおいて,それぞれの成分は,非差分フレーム内で符号化及び復号される。このようなフ

レームは,差分フレームのシーケンスの後に続けてもよい。非差分フレームは附属書のF,G及びHの処

理手順を用いて符号化及び復号されなければならない。差分フレームの処理手順は,この附属書で規定す

る。 

DCTを利用する処理を含む階層型符号化処理は,圧縮画像データ形式において,非差分でDCTを利用

する場合又は差分でDCTを利用する場合の,あらゆるフレームを符号処理する際に用いる表J.1のうち,

一番上に番号付けをされた処理で定義する。可逆符号化のみを含む階層型符号化に対する符号処理は,非

差分フレームに対して用いられる処理で定義する。 

表J.1 階層型モードについての符号処理 

処理 

非差分フレーム規定 

(1) 

拡張順次DCT,ハフマン符号化,8ビット標本精度 

附属書F,処理2 

(2) 

拡張順次DCT,算術符号化,8ビット標本精度 

附属書F,処理3 

(3) 

拡張順次DCT,ハフマン符号化,12ビット標本精度 附属書F,処理4 

(4) 

拡張順次DCT,算術符号化,12ビット標本精度 

附属書F,処理5 

(5) 

周波数選択だけ,ハフマン符号化,8ビット標本精度 

附属書G,処理1 

(6) 

周波数選択だけ,算術符号化,8ビット標本精度 

附属書G,処理2 

(7) 

完全段階処理,ハフマン符号化,8ビット標本精度 

附属書G,処理3 

(8) 

完全段階処理,算術符号化,8ビット標本精度 

附属書G,処理4 

(9) 

周波数選択だけ,ハフマン符号化,12ビット標本精度 

附属書G,処理5 

(10) 

周波数選択だけ,算術符号化,12ビット標本精度 

附属書G,処理6 

(11) 

完全段階処理,ハフマン符号化,12ビット標本精度 附属書G,処理7 

(12) 

完全段階処理,算術符号化,12ビット標本精度 

附属書G,処理8 

(13) 

可逆,ハフマン符号化,2〜16ビット 

附属書H,処理1 

(14) 

可逆,算術符号化,2〜16ビット 

附属書H,処理2 

階層型モードの構文法では,非差分フレームの前にDHPマーカ部分列を置く必要がある。それはEXP

マーカ部分列及び最初の非差分フレームに続く差分フレームを含んでもよい。階層型モードにおけるフレ

ーム構造は,非階層型モードにおけるフレーム構造と同じとする。 

画像内のすべての非差分フレームは,DCTを利用する処理又は可逆処理によって符号化されなければな

らない。基本処理で符号化された非差分フレームが算術符号化処理によって符号化されるフレームと同じ

画像内に発生する場合を除き,画像内のすべてのフレームは,ハフマンか算術のいずれか一つの同じエン

トロピー符号化処理手順を用いなければならない。 

非差分フレームにDCTを利用する処理を用いる場合,成分の最後のフレームを除くすべての差分フレー

ムは,DCTを利用する処理で符号化しなければならない。各成分に対する最後の差分フレームは,差分可

逆処理を用いてもよい。 

非差分フレームに可逆処理を用いる場合は,すべての差分フレームに可逆処理を用いなければならない。 

表J.1に示す処理のそれぞれに対して,J.1で符号化処理を,J.2で復号処理を規定する。 

備考 この規定は,符号器及び復号器が,この附属書で規定する流れ図による手順に厳密に従うこと

を強制するものではない。符号器及び復号器は,ここに規定する機能だけを満たせばよい。こ

の規定に従って考慮しなければならない基準は,ISO/IEC 10918-2の適合性試験の6.(符号器

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

用)又は7.(復号器用)の要求条件だけとする。 

階層型モードにおいて,各々の成分は,差分フレームのシーケンスに続く非差分フレームに符号化又は

復号される。非差分フレームには,附属書のF,G及びHで定義する処理手順を用いなければならない。

差分フレームの処理手順は,この附属書で定義する。 

J.1 

階層型符号化 

J.1.1 

画像符号化の階層型制御処理手順 階層型モードで用いる画像の符号化制御構造を図J.1に示す。 

図J.1 画像符号化の階層型制御処理手順 

図J.1で,括弧内の手順を特定の階層型符号化シーケンスについては,それらを必要とするときに実行

しなければならない。 

階層型モードでは,define-hierarchical-process (DHP) マーカ部分列を,最初のstart-of-frameの前に,圧縮

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画像データの中に配置しなければならない。DHP部分列は,復元(再生)された画像の画像成分の大きさ

を示すために用いる。DHP部分列の構文法は,附属書Bによる。 

階層型手順での各々の成分又は成分のグループの最初のフレームは,非差分フレームとして符号化しな

ければならない。差分フレームは,原入力成分(標本数が減少されることがある。)及び参照成分(標本数

が増加されることがある。)の間の2の補数差分を符号化するために用いなければならない。参照成分は,

階層型処理における一つ前のフレームによって生成された再生成分とする。差分又は非差分フレームにつ

いて,階層型処理における後続のフレームの参照フレームとして必要な場合,成分の再生を生成する。 

解像度変換は,階層型処理の階層型フレームの間で実行してもよい。これらの変換は,標本減少フィル

タで原画像の一部又はすべての成分の空間解像度を削減する場合に用いる。参照成分の解像度が差分フレ

ームとしての成分入力と異なる場合,標本増加フィルタを,参照成分の空間解像度を増加させるために用

いなければならない。参照成分の標本数の増加が必要な場合には,EXPマーカ部分列を,start-of-frameの

前で,圧縮画像データに付加しなければならない。与えられたフレームの前に,複数のEXPマーカ部分列

を配置してはならない。 

選択された符号化処理では,start-of-frameの前に配置することが許されている任意のマーカ部分列を,

非差分又は差分フレームの前に用いてもよい。 

16ビット入力精度(可逆符号器)では,差分フレームの入力である成分差分は,2↑16↓のモジュロで

計算する(A.5参照)。再生成分差分から計算される再生成分も,2↑16↓のモジュロで計算する。 

階層型符号器処理で最初のフレームにDCT符号化処理を用いた場合は,各々の成分の最後のフレームを

除く階層型処理のすべてのフレームで,附属書F若しくは附属書Gで定義するDCT符号器処理か,又は

この附属書で定義する変形DCT符号器処理を用いなければならない。最後のフレームは,この附属書で定

義された変形可逆処理を用いてもよい。 

階層型符号器処理の最初のフレームで可逆符号器処理を用いる場合は,階層型処理のすべてのフレーム

に附属書Hで定義する可逆符号器処理又はこの附属書で定義する変形可逆処理を用いなければならない。 

J.1.1.1 

標本減少フィルタ 標本数を減少した成分は,この規格で規定しない標本減少フィルタによって

生成する。このフィルタは,標本増加フィルタと整合が取れていることが望ましい。標本減少フィルタの

一例をK.5に示す。 

J.1.1.2 

標本増加フィルタ 標本増加フィルタは,水平方向,垂直方向,又はその両方向に空間解像度を

2倍に増加させる。図J.2に示す双一次内挿を,標本増加フィルタとして使用する。 

図J.2 標本増加基準についての標本位置のブロック図 

内挿値の計算方法は,次のとおりとする。 

Px= (Ra+Rb) /2 

ここで,Ra及びRbは低解像度の画像の隣接した位置a及びbの標本値とし,Pxは内挿値とする。除算

は,切捨てを示し,丸め処理を行わない。標本増加画像の一番左の列は,低解像度画像の一番左の列と一

致する。標本増加画像の一番上の行は,低解像度画像の一番上の行と一致する。低解像度画像の右の列及

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び一番下の行は,右の列の縁及び一番下の行の内挿に必要な値を与えるため繰り返す。標本数の増加は,

常にラインの長さ又は行の数を2倍する。 

水平方向及び垂直方向の両方の拡大が実施される場合は,それらを順次に実施する。最初に水平方向の

拡大を実施し,次に垂直方向の拡大を実施する。 

J.1.2 

差分フレームの符号制御処理手順 附属書Eのフレーム,走査,符号化再初期化間隔及びMCUに

ついての制御処理手順を,差分フレームが構成される差分フレーム,走査,符号化再初期化間隔及びMCU

の符号化にも同様に適用する。差分フレームと,附属書F,G及びHのフレームとは,符号処理モデルの

面でだけ異なる。 

J.1.3 

差分フレームの符号器符号化モデル 附属書F,G及びHで定義する符号化モデルを,2の補数差

分の符号化についても使用できるように変更する。 

J.1.3.1 

差分フレームの符号器DCT符号化モデルの変更 差分フレームに適用できるように,DCT符号

化モデルに二つの変更を行う。第一の変更では,差分入力のFDCTをレベルシフトなしに計算し,他の一

つでは,DCTの直流係数を予測なしに直接符号化する。 

J.1.3.2 

差分フレームの可逆符号化モデルの変更 可逆符号化モデルに一つの変更を行う。すなわち,差

分を予測なしに直接符号化する。走査ヘッダ内の予測選択引数は,ゼロに設定する。差分入力について適

用される小数点移動は,附属書Aによる。 

J.1.4 

差分フレームのエントロピー符号器の変更 2の補数差分の符号化には,交流係数のハフマン符号

化について,精度の1ビット拡張を必要とする。表F.1及び表F.7の拡張を表J.2に示す。 

表J.2 交流係数振幅範囲表の変更 

SSSS 

交流係数 

15 

−32767...6384, 16384...32767 

算術符号化モデルについては,差分フレームで必要となる精度が既に定義されている。 

J.2 

階層型復号 

J.2.1 

画像の復号の階層型制御処理手順 階層型モードで用いる画像の復号についての制御構造を図J.3

に示す。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図J.3 画像の復号の階層型制御処理手順 

マーカ解釈処理手順は,SOFマーカの前に配置してもよいマーカを復号し,SOF又はEOIマーカを見付

けるまで復号を続けなければならない。DHPマーカが最初のフレームの前にあった場合は,フラグを 

“hierarchical?” の判断ポイントで階層型復号器を選択するように設定する。DHPマーカ(任意のSOFマー

カの前に置かれなければならない。)及びEXPマーカ(参照成分の解像度変換を要求する任意の差分SOF

の前に置かれなければならない。)に付加して,SOFの前に置かれるその他の任意のマーカは,圧縮画像

データの復号に要求される範囲と解釈する。 

差分SOFマーカが見付かった場合には,差分フレームパスを続ける。マーカ解釈処理手順中にEXPマ

ーカを検出した場合には,フレームの参照成分を,EXP部分列内の引数の要求どおりに標本数を増加する。

J.1.1.2で規定する標本増加処理手順が続けられなければならない。 

Decode̲differential̲frame処理手順は,成分差分の設定を生成する。これらの成分差分は, 

“Reconstruct̲components” 処理手順で標本数が増加された参照成分に,2↑16↓のモジュロで加算しなけれ

141 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ばならない。この操作は,階層型処理における次のフレームで必要になる場合に使用する参照成分の新し

い組を生成する。 

J.2.2 

差分フレームの復号制御処理手順 附属書Eのフレーム,走査,符号化再初期化間隔及びMCUに

ついての制御処理手順を,同様に,差分フレームがそれらによって構成される差分フレーム,走査,符号

化再初期化間隔及びMCUの復号にも適用する。差分フレームと,附属書F,G及びHのフレームとは,

復号モデルの面でだけ異なる。 

J.2.3 

差分フレームの復号器符号化モデル 附属書F,G及びHで定義する復号モデルを,2の補数差分

の復号についても用いられるように変更する。 

J.2.3.1 

差分フレームの復号器DCT符号化モデルの変更 差分フレームに適用できるように復号器DCT

符号化モデルに二つの変更を行う。第1の変更では,差分出力のIDCTをレベルシフトなしに計算し,他

の一つでは,DCTの直流係数を予測なしに直接復号する。 

J.2.3.2 

差分フレームについての可逆復号モデルの変更 可逆復号モデルに一つの変更を行う。差分を予

測なしに直接復号する。走査ヘッダ内の小数点移動引数がゼロでない場合,附属書Aで定義する小数点移

動を差分出力にも適用しなければならない。 

J.2.4 

差分フレームのエントロピー復号器の変更 2の補数差分の復号には,交流係数のハフマン符号化

について精度の1ビット拡張を必要とする。これは,J.1.4による。算術符号化モデルについては,差分フ

レームで必要となる精度について既に定義されている。 

background image

142 

X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書K(参考) 例と指針 

この附属書は,各種の表,処理の例,その他の指針を提供する。 

K.1 輝度と色差成分に対する量子化表 表K.1及びK.2に量子化表の二つの例を示す。これらの量子化

表は,視覚心理学的な知覚限度に基づくものであって,輝度及び色差成分を水平方向に2 : 1に標本減少処

理したものを用いて経験的に求めたものである。これらの表は,例として挙げただけであって,ある種の

応用にとっては必ずしも適当でない。これらの量子化幅は,図13に示す輝度及び色差各8ビットの画像形

式に対してよい結果を与える。これらの量子化幅は,附属書AのA.3.3で定義するDCT正規化に対して適

切な値となる。 

表K.1 輝度量子化表 

16 

11 

10 

16 

24 

40 

51 

61 

12 

12 

14 

19 

26 

58 

60 

55 

14 

13 

16 

24 

40 

57 

69 

56 

14 

17 

22 

29 

51 

87 

80 

62 

18 

22 

37 

56 

68 

109 

103 

77 

24 

35 

55 

64 

81 

104 

113 

92 

49 

64 

78 

87 

103 

121 

120 

101 

72 

92 

95 

98 

112 

100 

103 

99 

表K.2 色差量子化表 

17 

18 

24 

47 

99 

99 

99 

99 

18 

21 

26 

66 

99 

99 

99 

99 

24 

26 

56 

99 

99 

99 

99 

99 

47 

66 

99 

99 

99 

99 

99 

99 

99 

99 

99 

99 

99 

99 

99 

99 

99 

99 

99 

99 

99 

99 

99 

99 

99 

99 

99 

99 

99 

99 

99 

99 

99 

99 

99 

99 

99 

99 

99 

99 

これらの量子化幅を2で割った値を用いれば,ほとんど原画像と区別がつかない再生画像を得ることが

できる。 

K.2 ハフマン符号表を規定するための表の生成処理手順 収集された統計的性質から二つの段階を経て

ハフマン符号表を生成する。第1段階では,ハフマン符号表の生成規則に合わせた形で,符号化する値及

び符号の長さの表を生成する。第2段階では,符号化するシンボル及び符号の長さの表からハフマン符号

表を生成する。 

この第1段階は,ハフマン符号表を符号化する画像に適応させる場合だけに必要とし,符号器で実行す

る。この段階においては,符号化するシンボルとこれに対応するハフマン符号の符号長(ビット数)との

関係を示す表を生成するために統計的性質を用いる。この表は,符号長順に並び替える。 

最大256個のシンボルに対してハフマン符号表を生成する手順を図K.1に示す。この手順に用いる三つ

の行列 (vector) を次のとおり定義する。 

FREQ (V)  シンボルVの発生頻度 

143 

X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

CODESIZE (V)  シンボルVの符号長 

OTHERS (V)  符号木の現在の分岐におけるすべてのシンボルの連鎖の中での後続のシンボルの索

引 

ここで,Vは,0〜256の値をとる。 

この処理手順を始める前に,FREQの値をV=0〜255に対して収集し,V=256に対するFREQは,一

つの符号を確保するために1に設定する。使用しないシンボルに対しては,FREQ=0とする。さらに,

CODESIZEの値はすべてゼロとし,OTHERSの値は索引の連鎖を終了させる値として−1を書き込む。一

つの符号を確保することによって,すべて “1” ットから構成される符号が生成されることを防ぐ。 

FREQ (V) の中で最も小さい値のシンボルVを見つける操作は,ゼロより大きな値をもち,最も小さな

値をもつFREQ (V) の中の最も大きなVを見つける処理となる。 

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144 

X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図K.1 ハフマン符号長を求める処理手順 

“Find V1 for least value of FREQ (V1) >0” は,同一の発生頻度をもったV1が複数存在する場合には,常

にV1の値が最も大きなものを選択する。この処理によって確保した符号に最も符号長の長い符号が設定

されることを保証する。 

各シンボルに対する符号長を求めた後に,図K.2の処理手順によって各符号長をもつ符号の個数を算出

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145 

X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

する。各符号長の計数は,表BITSに入れる。この処理手順を始める前に,BITSをすべてゼロに設定する。

この処理手順では,各シンボルの発生確率が十分に高く,32ビット以上の符号長が発生しないことを仮定

する。最後の “Adjust̲BITS” 処理が完了するまでは,BITSは,附属書Cの表指定で要求する16以上のエ

ントリをもつ場合がある。 

図K.2 各符号長をもつ符号の個数を求める処理手順 

図K.3に16ビット以上の符号長が起きないようにBITSを修正する手順を示す。最も長いハフマン符号

に対してシンボルは,二つの対となるので,この符号長の符号から一度に二つのシンボルが取り除かれる。

この二つのシンボルの符号の最後の1ビットを除いた符号を二つのシンボルの中の一つに割り当てる。そ

して,この二つのシンボルの符号より1ビット短い符号長より短いものの中から,最も符号長が長く,か

つBITSがゼロでない符号長の符号語を,1ビット長い二つの符号語に置き換える。BITSの表を最大の符

号長である16ビットに抑えた後,最後に確保されていた符号を符号長の計数の表から外す。 

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146 

X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図K.3 最大符号長を16ビットに抑える処理手順 

図K.4に示す処理によって,符号長の大きさの順に入力値(シンボルに与えた0〜255の値)を並べ変

える。すなわち,符号長が短いほうから長いほうに並べた入力値をもつHUFFVALが得られる。 

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147 

X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図K.4 符号長順に入力値を並び変える手順 

こうして得られた符号長表 (BITS) 及び入力値表 (HUFFVAL) を,ハフマン符号表の生成に用いる。こ

の処理手順は,附属書Cによる。 

K.3 8ビット精度の輝度及び色差に対する典型的なハフマン符号表 ハフマン符号表指定の構文法は,

B.2.4.2による。 

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148 

X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

K.3.1 直流係数差分に対する典型的なハフマン符号表 表K.3及び表K.4は,8ビット精度のビデオ画像

の平均的な統計的性質から求めた直流係数差分のハフマン符号表を示す。表K.3は,輝度成分に適合し,

表K.4は色差成分に適合する。この規格では,既定のハフマン符号表は,規定しないが,これらのハフマ

ン符号表を多くの応用分野に適用してよい。 

表K.3 輝度の直流係数差分に対するハフマン符号表 

カテゴリ 

符号長 

符号語 

00 

010 

011 

100 

101 

110 

1110 

11110 

111110 

1111110 

10 

11111110 

11 

111111110 

表K.4 色差の直流係数差分に対するハフマン符号表 

カテゴリ 

符号長 

符号語 

00 

01 

10 

110 

1110 

11110 

111110 

1111110 

11111110 

111111110 

10 

10 

1111111110 

11 

11 

11111111110 

K.3.2 交流係数に対する典型的なハフマン符号表 表K.5及び表K.6は,8ビット精度のビデオ画像の平

均的な統計的性質から求めた交流係数のハフマン符号表を示す。表K.5は輝度成分に適合し,表K.6は色

差成分に適合する。この規格では,既定のハフマン符号表の設定は,規定しないが,これらのハフマン符

号表を多くの応用分野に適用してよい。 

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149 

X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表K.5 輝度の交流係数に対するハフマン符号表 

連/大きさ 

符号長 

符号語 

0/0 (EOB) 

4  

1010 

0/1 

2  

00 

0/2 

2  

01 

0/3 

3  

100 

0/4 

4  

1011 

0/5 

5  

11010 

0/6 

7  

1111000 

0/7 

8  

11111000 

0/8 

10  

1111110110 

0/9 

16  

1111111110000010 

0/A 

16  

1111111110000011 

1/1 

4  

1100 

1/2 

5  

11011 

1/3 

7  

1111001 

1/4 

9  

111110110 

1/5 

11  

11111110110 

1/6 

16  

1111111110000100 

1/7 

16  

1111111110000101 

1/8 

16  

1111111110000110 

1/9 

16  

1111111110000111 

1/A 

16  

1111111110001000 

2/1 

5  

11100 

2/2 

8  

11111001 

2/3 

10  

1111110111 

2/4 

12  

111111110100 

2/5 

16  

1111111110001001 

2/6 

16  

1111111110001010 

2/7 

16  

1111111110001011 

2/8 

16  

1111111110001100 

2/9 

16  

1111111110001101 

2/A 

16  

1111111110001110 

3/1 

6  

111010 

3/2 

9  

111110111 

3/3 

12  

111111110101 

3/4 

16  

1111111110001111 

3/5 

16  

1111111110010000 

3/6 

16  

1111111110010001 

3/7 

16  

1111111110010010 

3/8 

16  

1111111110010011 

3/9 

16  

1111111110010100 

3/A 

16  

1111111110010101 

4/1 

6  

111011 

4/2 

10  

1111111000 

4/3 

16  

1111111110010110 

4/4 

16  

1111111110010111 

4/5 

16  

1111111110011000 

4/6 

16  

1111111110011001 

4/7 

16  

1111111110011010 

4/8 

16  

1111111110011011 

background image

150 

X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

連/大きさ 

符号長 

符号語 

4/9 

16  

1111111110011100 

4/A 

16  

1111111110011101 

5/1 

7  

1111010 

5/2 

11  

11111110111 

5/3 

16  

1111111110011110 

5/4 

16  

1111111110011111 

5/5 

16  

1111111110100000 

5/6 

16  

1111111110100001 

5/7 

16  

1111111110100010 

5/8 

16  

1111111110100011 

5/9 

16  

1111111110100100 

5/A 

16  

1111111110100101 

6/1 

7  

1111011 

6/2 

12  

111111110110 

6/3 

16  

1111111110100110 

6/4 

16  

1111111110100111 

6/5 

16  

1111111110101000 

6/6 

16  

1111111110101001 

6/7 

16  

1111111110101010 

6/8 

16  

1111111110101011 

6/9 

16  

1111111110101100 

6/A 

16  

1111111110101101 

7/1 

8  

11111010 

7/2 

12  

111111110111 

7/3 

16  

1111111110101110 

7/4 

16  

1111111110101111 

7/5 

16  

1111111110110000 

7/6 

16  

1111111110110001 

7/7 

16  

1111111110110010 

7/8 

16  

1111111110110011 

7/9 

16  

1111111110110100 

7/A 

16  

1111111110110101 

8/1 

9  

111111000 

8/2 

15  

111111111000000 

8/3 

16  

1111111110110110 

8/4 

16  

1111111110110111 

8/5 

16  

1111111110111000 

8/6 

16  

1111111110111001 

8/7 

16  

1111111110111010 

8/8 

16  

1111111110111011 

8/9 

16  

1111111110111100 

8/A 

16  

1111111110111101 

9/1 

9  

111111001 

9/2 

16  

1111111110111110 

9/3 

16  

1111111110111111 

9/4 

16  

1111111111000000 

9/5 

16  

1111111111000001 

9/6 

16  

1111111111000010 

9/7 

16  

1111111111000011 

9/8 

16  

1111111111000100 

9/9 

16  

1111111111000101 

background image

151 

X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

連/大きさ 

符号長 

符号語 

9/A 

16  

1111111111000110 

A/1 

9  

111111010 

A/2 

16  

1111111111000111 

A/3 

16  

1111111111001000 

A/4 

16  

1111111111001001 

A/5 

16  

1111111111001010 

A/6 

16  

1111111111001011 

A/7 

16  

1111111111001100 

A/8 

16  

1111111111001101 

A/9 

16  

1111111111001110 

A/A 

16  

1111111111001111 

B/1 

10 

1111111001 

B/2 

16 

1111111111010000 

B/3 

16 

1111111111010001 

B/4 

16 

1111111111010010 

B/5 

16 

1111111111010011 

B/6 

16 

1111111111010100 

B/7 

16 

1111111111010101 

B/8 

16 

1111111111010110 

B/9 

16 

1111111111010111 

B/A 

16 

1111111111011000 

C/1 

10 

1111111010 

C/2 

16 

1111111111011001 

C/3 

16 

1111111111011010 

C/4 

16 

1111111111011011 

C/5 

16 

1111111111011100 

C/6 

16 

1111111111011101 

C/7 

16 

1111111111011110 

C/8 

16 

1111111111011111 

C/9 

16 

1111111111100000 

C/A 

16 

1111111111100001 

D/1 

11 

11111111000 

D/2 

16 

1111111111100010 

D/3 

16 

1111111111100011 

D/4 

16 

1111111111100100 

D/5 

16 

1111111111100101 

D/6 

16 

1111111111100110 

D/7 

16 

1111111111100111 

D/8 

16 

1111111111101000 

D/9 

16 

1111111111101001 

D/A 

16 

1111111111101010 

E/1 

16 

1111111111101011 

E/2 

16 

1111111111101100 

E/3 

16 

1111111111101101 

E/4 

16 

1111111111101110 

E/5 

16 

1111111111101111 

E/6 

16 

1111111111110000 

E/7 

16 

1111111111110001 

E/8 

16 

1111111111110010 

E/9 

16 

1111111111110011 

E/A 

16 

1111111111110100 

background image

152 

X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

連/大きさ 

符号長 

符号語 

F/0 (ZRL) 

11 

11111111001 

F/1 

16 

1111111111110101 

F/2 

16 

1111111111110110 

F/3 

16 

1111111111110111 

F/4 

16 

1111111111111000 

F/5 

16 

1111111111111001 

F/6 

16 

1111111111111010 

F/7 

16 

1111111111111011 

F/8 

16 

1111111111111100 

F/9 

16 

1111111111111101 

F/A 

16 

1111111111111110 

background image

153 

X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表K.6 色差の交流係数に対するハフマン符号表 

連/大きさ 

符号長 

符号語 

0/0 (EOB) 

2  

00 

0/1 

2  

01 

0/2 

3  

100 

0/3 

4  

1010 

0/4 

5  

11000 

0/5 

5  

11001 

0/6 

6  

111000 

0/7 

7  

1111000 

0/8 

9  

111110100 

0/9 

10  

1111110110 

0/A 

12  

111111110100 

1/1 

4  

1011 

1/2 

6  

111001 

1/3 

8  

11110110 

1/4 

9  

111110101 

1/5 

11  

11111110110 

1/6 

12  

111111110101 

1/7 

16  

1111111110001000 

1/8 

16  

1111111110001001 

1/9 

16  

1111111110001010 

1/A 

16  

1111111110001011 

2/1 

5  

11010 

2/2 

8  

11110111 

2/3 

10  

1111110111 

2/4 

12  

111111110110 

2/5 

15  

111111111000010 

2/6 

16  

1111111110001100 

2/7 

16  

1111111110001101 

2/8 

16  

1111111110001110 

2/9 

16  

1111111110001111 

2/A 

16  

1111111110010000 

3/1 

5  

11011 

3/2 

8  

11111000 

3/3 

10  

1111111000 

3/4 

12  

111111110111 

5/5 

16  

1111111110010001 

3/6 

16  

1111111110010010 

3/7 

16  

1111111110010011 

3/8 

16  

1111111110010100 

3/9 

16  

1111111110010101 

3/A 

16  

1111111110010110 

4/1 

6  

111010 

4/2 

9  

111110110 

4/3 

16  

1111111110010111 

4/4 

16  

1111111110011000 

4/5 

16  

1111111110011001 

4/6 

16  

1111111110011010 

4/7 

16  

1111111110011011 

4/8 

16  

1111111110011100 

background image

154 

X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

連/大きさ 

符号長 

符号語 

4/9 

16  

1111111110011101 

4/A 

16  

1111111110011110 

5/1 

6  

111011 

5/2 

10  

1111111001 

5/3 

16  

1111111110011111 

5/4 

16  

1111111110100000 

5/5 

16  

1111111110100001 

5/6 

16  

1111111110100010 

5/7 

16  

1111111110100011 

5/8 

16  

1111111110100100 

5/9 

16  

1111111110100101 

5/A 

16  

1111111110100110 

6/1 

7  

1111001 

6/2 

11  

1111111011 

6/3 

16  

1111111110100111 

6/4 

16  

1111111110101000 

6/5 

16  

1111111110101001 

6/6 

16  

1111111110101010 

6/7 

16  

1111111110101011 

6/8 

16  

1111111110101100 

6/9 

16  

1111111110101101 

6/A 

16  

1111111110101110 

7/1 

7  

1111010 

7/2 

11  

11111111000 

7/3 

16  

1111111110101111 

7/4 

16  

1111111110110000 

7/5 

16  

1111111110110001 

7/6 

16  

1111111110110010 

7/7 

16  

1111111110110011 

7/8 

16  

1111111110110100 

7/9 

16  

1111111110110101 

7/A 

16  

1111111110110110 

8/1 

8  

11111001 

8/2 

16  

1111111110110111 

8/3 

16  

1111111110111000 

8/4 

16  

1111111110111001 

8/5 

16  

1111111110111010 

8/6 

16  

1111111110111011 

8/7 

16  

1111111110111100 

8/8 

16  

1111111110111101 

8/9 

16  

1111111110111110 

8/A 

16  

1111111110111111 

9/1 

9  

111110111 

9/2 

16  

1111111111000000 

9/3 

16  

1111111111000001 

9/4 

16  

1111111111000010 

9/5 

16  

1111111111000011 

9/6 

16  

1111111111000100 

9/7 

16  

1111111111000101 

9/8 

16  

1111111111000110 

9/9 

16  

1111111111000111 

background image

155 

X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

連/大きさ 

符号長 

符号語 

9/A 

16  

1111111111001000 

A/1 

9  

111111000 

A/2 

16  

1111111111001001 

A/3 

16  

1111111111001010 

A/4 

16  

1111111111001011 

A/5 

16  

1111111111001100 

A/6 

16  

1111111111001101 

A/7 

16  

1111111111001110 

A/8 

16  

1111111111001111 

A/9 

16  

1111111111010000 

A/A 

16  

1111111111010001 

B/1 

9  

111111001 

B/2 

16  

1111111111010010 

B/3 

16  

1111111111010011 

B/4 

16  

1111111111010100 

B/5 

16  

1111111111010101 

B/6 

16  

1111111111010110 

B/7 

16  

1111111111010111 

B/8 

16  

1111111111011000 

B/9 

16  

1111111111011001 

B/A 

16  

1111111111011010 

C/1 

9  

111111010 

C/2 

16  

1111111111011011 

C/3 

16  

1111111111011100 

C/4 

16  

1111111111011101 

C/5 

16  

1111111111011110 

C/6 

16  

1111111111011111 

C/7 

16  

1111111111100000 

C/8 

16  

1111111111100001 

C/9 

16  

1111111111100010 

C/A 

16  

1111111111100011 

D/1 

11  

11111111001 

D/2 

16  

1111111111100100 

D/3 

16  

1111111111100101 

D/4 

16  

1111111111100110 

D/5 

16  

1111111111100111 

D/6 

16  

1111111111101000 

D/7 

16  

1111111111101001 

D/8 

16  

1111111111101010 

D/9 

16  

1111111111101011 

D/A 

16  

1111111111101100 

E/1 

14  

11111111100000 

E/2 

16  

1111111111101101 

E/3 

16  

1111111111101110 

E/4 

16  

1111111111101111 

E/5 

16  

1111111111110000 

E/6 

16  

1111111111110001 

E/7 

16  

1111111111110010 

E/8 

16  

1111111111110011 

E/9 

16  

1111111111110100 

E/A 

16  

1111111111110101 

background image

156 

X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

連/大きさ 

符号長 

符号語 

F/0 (ZRL) 

10  

1111111010 

F/1 

15  

111111111000011 

F/2 

16  

1111111111110110 

F/3 

16  

1111111111110111 

F/4 

16  

1111111111111000 

F/5 

16  

1111111111111001 

F/6 

16  

1111111111111010 

F/7 

16  

1111111111111011 

F/8 

16  

1111111111111100 

F/9 

16  

1111111111111101 

F/A 

16  

1111111111111110 

K.3.3 ハフマン符号表の例 

K.3.3.1 直流係数差分符号化に対する典型的なハフマン符号表 直流係数成分の符号化に対する典型的

なハフマン符号表をK.3.1に示す。これらのハフマン符号表は,次のとおりとする。 

表K.3(輝度直流係数)に対して,符号長の表を規定する16バイトは,次のとおりとする。 

Xʼ00 01 05 01 01 01 01 01 01 00 00 00 00 00 00 00ʼ 

この表の後に続く入力値の並びは,次のようになる。 

Xʼ00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 0A 0Bʼ 

表K.4(色差直流係数)に対して,符号長の表を指定する16バイトは,次のとおりとする。 

Xʼ00 03 01 01 01 01 01 01 01 01 01 00 00 00 00 00ʼ 

この表の後に続く入力値の並びは,次のとおりとする。 

Xʼ00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 0A 0Bʼ 

K.3.3.2 交流係数符号化に対する典型的なハフマン符号表 交流係数成分の符号化に対する典型的なハ

フマン符号表をK.3.2に示す。これらのハフマン符号表は,次のとおりとする。 

表K.5(輝度交流係数)に対して,符号長の表を指定する16バイトは,次のとおりとする。 

Xʼ00 02 01 03 03 02 04 03 05 05 04 04 00 00 01 7Dʼ 

この表の後に続く入力値の並びは,次のようになる。 

Xʼ01

02

03

00

04 11

05

12

21

31

41

06

13

51

61

07

22

71

14

32

81 91A1

08

23

42B1

C1

15

52D1

F0

24

33

62

72

82 090A

16

17

18

19

1A

25

26

27

28

29

2A

34

35

36 37

38

393A

43

44

45

46

47

48

49

4A

53

54

55

56 57

58

595A

63

64

65

66

67

68

69

6A

73

74

75

76 77

78

797A

83

84

85

86

87

88

89

8A

92

93

94

95 96

97

98

999AA2

A3A4

A5A6A7

A8

A9AAB2

B3 B4B5

B6B7B8B9

BAC2

C3C4C5

C6

C7

C8C9CA D2D3

D4D5D6D7

D8D9DA

E1E2

E3

E4

E5E6

E7 E8E9EA

F1

F2

F3

F4

F5

F6

F7

F8

F9FAʼ

表K.6(色差交流係数)に対して,符号長の表を規定する16バイトは,次のとおりとする。 

Xʼ00 02 01 02 04 04 03 04 07 05 04 04 00 01 02 77ʼ 

この表の後に続く入力値の並びは,次のとおりとする。 

157 

X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

Xʼ00

01 02

03

11

04

05

21

31

06

12

41

51

07

61

71

13

22 32

81

08

14

42

91

A1B1C1

09

23

33

52

F0

15

62 72D1

0A

16

24

34

E1

25

F1

17

18

191A

26

27

28 292A

35

36

37

38

393A

43

44

45

46

47

48

49

4A 53

54

55

56

57

58

595A

63

64

65

66

67

68

69

6A 73

74

75

76

77

78

797A

82

83

84

85

86

87

88

89 8A

92

93

94

95

96

97

98

999AA2

A3A4

A5

A6

A7 A8A9AAB2

B3B4

B5B6B7B8B9BAC2

C3

C4

C5 C6C7

C8C9CAD2

D3D4D5D6D7

D8D9DA

E2

E3 E4E5

E6E7

E8

E9EA

F2

F3

F4

F5

F6

F7

F8

F9FAʼ 

K.4 算術符号化に関する追加情報 

K.4.1 算術符号化用の少数データの試験列 16進数で示された次の256ビットの試験列は,多くの符号

器及び復号器を試験するために用いる。 

Xʼ00020051 000000C0 0352872A AAAAAAAA 82C02000 FCD79EF6 74EAABF7 697EE74Cʼ 

表K.7及びK.8は,算術符号器及び復号器の動作に対するシンボルごとの表を示す。これらの表では,

事象カウンタECが最初に示され,これに続いてその事象を符号化又は復号するのに用いるQeの値が示さ

れる。その後に符号化(又は復号)される判定Dの値が示される。MPSの列は,MPSが0か1かを示し,

その後にCE(CXの列において)が続く場合は,その判定を符号化又は復号するときにMPS/LPSの条件

付き交換が発生する(図D.3,D.4及びD.17参照)。A及びCレジスタの内容は,その事象が符号化又は

復号される前の値とする。STは,けた上げ伝ぱ(播)の結果を待っている間の符号器内におけるXʼFFʼバ

イトのスタック数とする。Aレジスタの値は,必ずXʼ7FFFʼより大きい(初期値はXʼ10000ʼとする。)。 

符号器試験において,一つ前の事象の符号化の間に符号バイトが完了した場合には,符号バイト (B) が

表に示される。付加的なバイトが続く場合には,これらも,一つ前の事象の符号化の間に完了する。Bx

列にバイトが示されている場合には,列Bの一つ前のバイトは,けた上げの伝ぱ(播)によって修正され

る。 

復号器において,事象ECの一つ前に符号レジスタの中に符号バイトがある場合,その符号バイトが示

される。 

このファイルでは,符号ビット数は240とし,最後のデータをCレジスタから出力させるためのオーバ

ヘッドを含む。マーカXʼFFD9ʼが付加されている場合には,合計256ビットが出力される。符号器から出

力する実際の圧縮データ系列は,16進数で次のとおりとする。 

Xʼ655B5144 F7969D51 7855BFFF 00FC5184 C7CEF939 00287D46 708ECBC0 F6FFD900ʼ 

background image

158 

X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表K.7 符号器試験列 

EC 

MPS 

CX 

(16進数) 

Qe 

(16進数) 

(16進数) 

CT 

ST 

Bx 

5A1D 

0000 

00000000 

11 

CE 

5A1D 

A5E3 

00000000 

11 

2586 

B43A 

0000978C 

10 

2586 

8EB4 

0000978C 

10 

1114 

D25C 

00012F18 

1114 

C148 

00012F18 

1114 

B034 

00012F18 

1114 

9F20 

00012F18 

1114 

8E0C 

00012F18 

10 

080B 

F9F0 

00025E30 

11 

080B 

F1E5 

00025E30 

12 

080B 

E9DA 

00025E30 

13 

080B 

E1CF 

00025E30 

14 

080B 

D9C4 

00025E30 

15 

080B 

D1B9 

00025E30 

16 

17B9 

80B0 

00327DE0 

17 

1182 

D1EE 

0064FBC0 

18 

1182 

C06C 

0064FBC0 

19 

1182 

AEEA 

0064FBC0 

20 

1182 

9D68 

0064FBC0 

21 

1182 

8BE6 

0064FBC0 

22 

0CEF 

F4C8 

00C9F780 

23 

0CEF 

E7D9 

00C9F780 

24 

0CEF 

DAEA 

00C9F780 

25 

0CEF 

CDFB 

00C9F780 

26 

OCEF 

C10C 

00C9F780 

27 

1518 

CEF0 

000AB9D0 

65 

28 

1518 

B9D8 

000FG9D0 

29 

1AA9 

A8C0 

005AF480 

30 

1AA9 

8E17 

005AF480 

31 

174E 

E6DC 

00B5E900 

32 

174E 

CF8E 

00B5E900 

33 

1AA9 

BA70 

00050A00 

5B 

34 

1AA9 

9FC7 

00050A00 

35 

1AA9 

851E 

00050A00 

36 

174E 

D4EA 

000A1400 

37 

174E 

BD9C 

000A1400 

38 

174E 

A64E 

000A1400 

39 

174E 

8F00 

000A1400 

40 

1424 

EF64 

00142800 

41 

1424 

DB40 

00142800 

42 

1424 

C71C 

00142800 

43 

1424 

B2F8 

00142800 

44 

1424 

9ED4 

00142800 

45 

1424 

8AB0 

00142800 

46 

119C 

ED18 

00285000 

47 

119C 

DB7C 

00285000 

48 

119C 

C9E0 

00285000 

background image

159 

X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

EC 

MPS 

CX 

(16進数) 

Qe 

(16進数) 

(16進数) 

CT 

ST 

Bx 

49 

119C 

B844 

00285000 

50 

119C 

A6A8 

00285000 

51 

119C 

950C 

00285000 

52 

119C 

8370 

00285000 

53 

0F6B 

E3A8 

0050A000 

54 

0F6B 

D43D 

0050A000 

55 

0F6B 

C4D2 

0050A000 

56 

0F6B 

B567 

0050A000 

57 

0F6B 

A5FC 

0050A000 

58 

1424 

F6B0 

00036910 

51 

59 

1AA9 

A120 

00225CE0 

60 

1AA9 

8677 

00225CE0 

61 

174E 

D79C 

0044B9C0 

62 

174E 

C04E 

0044B9C0 

63 

174E 

A900 

0044B9C0 

64 

174E 

91B2 

0044B9C0 

65 

1424 

F4C8 

00897380 

66 

1424 

E0A4 

00897380 

67 

1424 

CC80 

00897380 

68 

1424 

B85C 

00897380 

69 

1424 

A438 

00897380 

70 

1424 

9014 

00897380 

71 

119C 

F7E0 

0112E700 

72 

1424 

8CE0 

001E6A20 

44 

73 

1AA9 

A120 

00F716E0 

74 

1AA9 

8677 

00F716E0 

75 

2516 

D548 

00041570 

F7 

76 

2516 

B032 

00041570 

77 

299A 

9458 

00128230 

78 

2516 

D57C 

00250460 

79 

2516 

B066 

00250460 

80 

299A 

9458 

00963EC0 

81 

2516 

D57C 

012C7D80 

82 

299A 

9458 

0004B798 

96 

83 

2516 

D57C 

00096F30 

84 

2516 

B066 

00096F30 

85 

2516 

8B50 

00096F30 

86 

1EDF 

CC74 

0012DE60 

87 

2516 

F6F8 

009C5FA8 

88 

299A 

9458 

0274C628 

89 

32B4 

A668 

0004C398 

9D 

90 

2E17 

E768 

00098730 

91 

2E17 

B951 

00098730 

92 

32B4 

B85C 

002849A8 

93 

32B4 

85A8 

002849A8 

94 

3C3D 

CAD0 

00A27270 

95 

3C3D 

8E93 

00A27270 

96 

415E 

F0F4 

00031318 

51 

97 

415E 

AF96 

00031318 

98 

CE 

4639 

82BC 

000702A0 

background image

160 

X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

EC 

MPS 

CX 

(16進数) 

Qe 

(16進数) 

(16進数) 

CT 

ST 

Bx 

99 

415E 

8C72 

000E7E46 

100 

CE 

4639 

82BC 

001D92B4 

101 

415E 

8C72 

003B9E6E 

102 

CE 

4639 

82BC 

0077D304 

103 

415E 

8C72 

00F01F0E 

104 

CE 

4639 

82BC 

01E0D444 

105 

415E 

8C72 

0002218E 

78 

106 

CE 

4639 

82BC 

0004D944 

107 

415E 

8C72 

000A2B8E 

108 

CE 

4639 

82BC 

0014ED44 

109 

415E 

8C72 

002A538E 

110 

CE 

4639 

82BC 

00553D44 

111 

415E 

8C72 

00AAF38E 

112 

CE 

4639 

82BC 

01567D44 

113 

415E 

8C72 

0005738E 

55 

114 

CE 

4639 

82BC 

000B7D44 

115 

415E 

8C72 

0017738E 

116 

CE 

4639 

82BC 

002F7D44 

117 

415E 

8C72 

005F738E 

118 

CE 

4639 

82BC 

00BF7D44 

119 

415E 

8C72 

017F738E 

120 

CE 

4639 

82BC 

02FF7D44 

121 

415E 

8C72 

0007738E 

BF 

122 

CE 

4639 

82BC 

000F7D44 

123 

415E 

8C72 

001F738E 

124 

CE 

4639 

82BC 

003F7D44 

125 

415E 

8C72 

007F738E 

126 

CE 

4639 

82BC 

00FF7D44 

127 

415E 

8C72 

01FF738E 

128 

CE 

4639 

82BC 

03FF7D44 

129 

415E 

8C72 

0007738E 

130 

CE 

4639 

82BC 

00F7D44 

131 

415E 

8C72 

001F738E 

132 

3C3D 

9628 

003EE71C 

133 

375E 

B3D6 

007DCE38 

134 

32B4 

F8F0 

00FB9C70 

135 

32B4 

C63C 

00FB9C70 

136 

3C3D 

CAD0 

03F0BFE0 

137 

3C3D 

8E93 

03F0BFE0 

138 

415E 

F0F4 

000448D8 

FF00FC 

139 

CE 

4639 

82BC 

0009F0DC 

140 

415E 

8C72 

00145ABE 

141 

3C3D 

9628 

0028B57C 

142 

375E 

B3D6 

00516AF8 

143 

32B4 

F8F0 

00A2D5F0 

144 

32B4 

C63C 

00A2D5F0 

145 

32B4 

9388 

00A2D5F0 

146 

2E17 

C1A8 

0145ABE0 

147 

2E17 

9391 

0145ABE0 

148 

32B4 

B85C 

00084568 

51 

background image

161 

X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

EC 

MPS 

CX 

(16進数) 

Qe 

(16進数) 

(16進数) 

CT 

ST 

Bx 

149 

32B4 

85A8 

00084568 

150 

2E17 

A5E8 

00108AD0 

151 

299A 

EFA2 

002115A0 

152 

299A 

C608 

002115A0 

153 

299A 

9C6E 

002115A0 

154 

2516 

E5A8 

00422B40 

155 

2516 

C092 

00422B40 

156 

2516 

9B7C 

00422B40 

157 

1EDF 

ECCC 

00845680 

158 

1EDF 

CDED 

00845680 

159 

1EDF 

AF0E 

00845680 

160 

1EDF 

902F 

00845680 

161 

1AA9 

E2A0 

0108AD00 

162 

2516 

D548 

00BA7B8 

84 

163 

299A 

9458 

00315FA8 

164 

32B4 

A668 

00C72998 

165 

3C3D 

CAD0 

031E7530 

166 

415E 

F0F4 

000C0F0C 

C7 

167 

CE 

4639 

82BC 

00197D44 

168 

415E 

8C72 

0033738E 

169 

3C3D 

9628 

0066E71C 

170 

415E 

F0F4 

019D041C 

171 

CE 

4639 

82BC 

033B6764 

172 

415E 

8C72 

000747CE 

CE 

173 

CE 

4639 

82BC 

000F25C4 

174 

415E 

8C72 

001EC48E 

175 

CE 

4639 

82BC 

003E1F44 

176 

4B85 

F20C 

00F87D10 

177 

CE 

504F 

970A 

01F2472E 

178 

CE 

5522 

8D76 

03E48E5C 

179 

504F 

AA44 

00018D60 

F9 

180 

4B85 

B3EA 

00031AC0 

181 

CE 

504F 

970A 

0007064A 

182 

CE 

5522 

8D76 

000E0C94 

183 

59EB 

E150 

00383250 

184 

59EB 

B3D6 

0071736A 

185 

59EB 

B3D6 

00E39AAA 

186 

59EB 

B3D6 

0007E92A 

38 

187 

5522 

B3D6 

000FD254 

188 

504F 

BD68 

001FA4A8 

189 

4B85 

DA32 

003F4950 

190 

CE 

504F 

970A 

007FAFFA 

191 

4B85 

A09E 

00FFED6A 

192 

4639 

AA32 

01FFDAD4 

193 

CE 

4B85 

8C72 

04007D9A 

194 

CE 

504F 

81DA 

0000FB34 

39 

00 

195 

4B85 

A09E 

0002597E 

196 

4639 

AA32 

0004B2FC 

197 

415E 

C7F2 

000965F8 

198 

CE 

4639 

82BC 

0013D918 

background image

162 

X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

EC 

MPS 

CX 

(16進数) 

Qe 

(16進数) 

(16進数) 

CT 

ST 

Bx 

199 

415E 

8C72 

00282B36 

200 

CE 

4639 

82BC 

0050EC94 

201 

4B85 

F20C 

0003B250 

28 

202 

4B85 

A687 

0003B250 

203 

4639 

B604 

000764A0 

204 

415E 

DF96 

000EC940 

205 

CE 

4639 

82BC 

001ECEF0 

206 

415E 

8C72 

003E16E6 

207 

CE 

4639 

82BC 

007CC3F4 

208 

415E 

8C72 

00FA00EE 

209 

CE 

4639 

82BC 

01F49804 

210 

415E 

8C72 

0001A90E 

7D 

211 

CE 

4639 

82BC 

0003E844 

212 

415E 

8C72 

0008498E 

213 

CE 

4639 

82BC 

00112944 

214 

415E 

8C72 

0022CB8E 

215 

CE 

4639 

82BC 

00462D44 

216 

415E 

8C72 

008CD38E 

217 

3C3D 

9628 

0119A71C 

218 

375E 

B3D6 

00034E38 

46 

219 

32B4 

F8F0 

00069C70 

220 

32B4 

C63C 

00069C70 

221 

32B4 

9388 

00069C70 

222 

3C3D 

CAD0 

001BF510 

223 

3C3D 

8E93 

001BF510 

224 

375E 

A4AC 

0037EA20 

225 

32B4 

DA9C 

006FD440 

226 

3C3D 

CAD0 

01C1F0A0 

227 

3C3D 

8E93 

01C1F0A0 

228 

375E 

A4AC 

0003E140 

70 

229 

3C3D 

DD78 

00113A38 

230 

3C3D 

A13B 

00113A38 

231 

415E 

F0F4 

00467CD8 

232 

CE 

4639 

82BC 

008E58DC 

233 

415E 

8C72 

011D2ABE 

234 

CE 

4639 

82BC 

023AEBA4 

235 

415E 

8C72 

0006504E 

8E 

236 

3C3D 

9628 

000CA09C 

237 

375E 

B3D6 

00194138 

238 

32B4 

F8F0 

00328270 

239 

32B4 

C63C 

00328270 

240 

32B4 

9388 

00328270 

241 

3C3D 

CAD0 

00CB8D10 

242 

3C3D 

8E93 

00CB8D10 

243 

375E 

A4AC 

01971A20 

244 

32B4 

DA9C 

032E3440 

245 

3C3D 

CAD0 

000B70A0 

CB 

246 

415E 

F0F4 

002FFCCC 

247 

415E 

AF96 

002FFCCC 

248 

3C3D 

DC70 

005FF998 

background image

163 

X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

EC 

MPS 

CX 

(16進数) 

Qe 

(16進数) 

(16進数) 

CT 

ST 

Bx 

249 

3C3D 

A033 

005FF998 

250 

415E 

F0F4 

01817638 

251 

415E 

AF96 

01817638 

252 

CE 

4639 

82BC 

0303C8E0 

253 

4B85 

F20C 

000F2380 

C0 

254 

4B85 

A687 

000F2380 

255 

4639 

B604 

001E4700 

256 

CE 

4B85 

8C72 

003D6D96 

flush: 

81DA 

007ADB2C 

F6 

FFD6 

background image

164 

X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表K.8 復号器試験列 

EC 

MPS 

CX 

(16進数) 

Qe 

(16進数) 

(16進数) 

CT 

5A1D 

0000  

655B0000 

655B 

CE 

5A1D 

A5E3  

655B0000 

2586 

B43A  332AA200 

51 

2586 

8EB4  332AA200 

1114 

D25C  

66554400 

1114 

C148  

66554400 

1114 

B034  

66554400 

1114 

9F20  

66554400 

1114 

8E0C  

66554400 

10 

080B 

F9F0  CCAA8800 

11 

080B 

F1E5  CCAA8800 

12 

080B 

E9DA  CCAA8800 

13 

080B 

E1CF  CCAA8800 

14 

080B 

D9C4  CCAA8800 

15 

080B 

D1B9  CCAA8800 

16 

17B9 

80B0  

2FC88000 

17 

1182 

D1EE  

5F910000 

18 

1182 

C06C  

5F910000 

19 

1182 

AEEA  

5F910000 

20 

1182 

9D68  

5F910000 

21 

1182 

8BE6  

5F910000 

22 

0CEF 

F4C8  

BF228800 

44 

23 

0CEF 

E7D9  

BF228800 

24 

0CEF 

DAEA  

BF228800 

25 

0CEF 

CDFB  

BF228800 

26 

OCEF 

C10C  

BF228800 

27 

1518 

CEF0  

B0588000 

28 

1518 

B9D8  

B0588000 

29 

1AA9 

A8C0  

5CC40000 

30 

1AA9 

8E17  

5CC40000 

31 

174E 

E6DC  

B989EE00 

F7 

32 

174E 

CF8E  

B989EE00 

33 

1AA9 

BA70  

0A4F7000 

34 

1AA9 

9FC7  

0A4F7000 

35 

1AA9 

851E  

0A4F7000 

36 

174E 

D4EA  

149EE000 

37 

174E 

BD9C  

149EE000 

38 

174E 

A64E  

149EE000 

39 

174E 

8F00  

149EE000 

40 

1424 

BF64  

293DC000 

41 

1424 

BD40  

293DC000 

42 

1424 

C71C  

293DC000 

43 

1424 

B2F8  

293DC000 

44 

1424 

9ED4  

293DC000 

45 

1424 

8AB0  

293DC000 

46 

119C 

ED18  

527B8000 

47 

119C 

DB7C  

527B8000 

48 

119C 

C9E0  

527B8000 

background image

165 

X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

EC 

MPS 

CX 

(16進数) 

Qe 

(16進数) 

(16進数) 

CT 

49 

119C 

B844  

527B8000 

50 

119C 

A6A8  

527B8000 

51 

119C 

950C  

527B8000 

52 

119C 

8370  

527B8000 

53 

0F6B 

E3A8  

A4F70000 

54 

0F6B 

D43D  

A4F70000 

55 

0F6B 

C4D2  

A4F70000 

56 

0F6B 

B567  

A4F70000 

57 

0F6B 

A5FC  

A4F70000 

58 

1424 

F6B0  

E6696000 

96 

59 

1AA9 

A120  

1EEB0000 

60 

1AA9 

8677  

1EEB0000 

61 

174E 

D79C  3DD60000 

62 

174E 

C04E  3DD60000 

63 

174E 

A900  3DD60000 

64 

174E 

91B2  3DD60000 

65 

1424 

F4C8  7BAD3A00 

9D 

66 

1424 

E0A4  7BAD3A00 

67 

1424 

CC80  7BAD3A00 

68 

1424 

B85C  7BAD3A00 

69 

1424 

A438  7BAD3A00 

70 

1424 

9014  7BAD3A00 

71 

119C 

F7E0  

F75A7400 

72 

1424 

8CE0  

88B3A000 

73 

1AA9 

A120  7FBD0000 

74 

1AA9 

8677  7FBD0000 

75 

2516 

D548  

9F7F8800 

51 

76 

2516 

B032  

9F7A8800 

77 

299A 

9458  

517A2000 

78 

2516 

D57C  

A2F44000 

79 

2516 

B066  

A2F44000 

80 

299A 

9458  

5E910000 

81 

2516 

D57C  BD22F000 

78 

82 

299A 

9458  

32F3C000 

83 

2516 

D57C  

65E78000 

84 

2516 

B066  

65E78000 

85 

2516 

8B50  

65E78000 

86 

1EDF 

CC74  CBCF0000 

87 

2516 

F6F8  

F1D00000 

88 

299A 

9458  

7FB95400 

55 

89 

32B4 

A668  

52ED5000 

90 

2E17 

E768  A7DAA000 

91 

2E17 

B951  A7DAA000 

92 

32B4 

B85C  

72828000 

93 

32B4 

85A8  

72828000 

94 

3C3D 

CAD0  

7E3B7E00 

BF 

95 

3C3D 

8E93  

7E3B7E00 

96 

415E 

F0F4  

AF95F800 

97 

415E 

AF96  

AF95F800 

98 

CE 

4639 

82BC  

82BBF000 

background image

166 

X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

EC 

MPS 

CX 

(16進数) 

Qe 

(16進数) 

(16進数) 

CT 

99 

415E 

8C72  

8C71E000 

100 

CE 

4639 

82BC  82BBC000 

101 

415E 

8C72  

8C718000 

102 

CE 

4639 

82BC  

82BB0000 

103 

415E 

8C72  

8C71EE00 

FF00 

104 

CE 

4639 

82BC  82BBFC00 

105 

415E 

8C72  

8C71F800 

106 

CE 

4639 

82BC  

82BBF000 

107 

415E 

8C72  

8C71E000 

108 

CE 

4639 

82BC  82BBC000 

109 

415E 

8C72  

8C718000 

110 

CE 

4639 

82BC  

82BB0000 

111 

415E 

8C72  

8C71F800 

FC 

112 

CE 

4639 

82BC  

82BBF000 

113 

415E 

8C72  

8C71E000 

114 

CE 

4639 

82BC  82BBC000 

115 

415E 

8C72  

8C718000 

116 

CE 

4639 

82BC  

82BB0000 

117 

415E 

8C72  

8C700000 

118 

CE 

4639 

82BC  82B800000 

119 

415E 

8C72  8C6AA200 

51 

120 

CE 

4639 

82BC  82AD4400 

121 

415E 

8C72  

8C548800 

122 

CE 

4639 

82BC  

82811000 

123 

415E 

8C72  

8BFC2000 

124 

CE 

4639 

82BC  

81D04000 

125 

415E 

8C72  8A9A8000 

126 

CE 

4639 

82BC  

8F0D0000 

127 

415E 

8C72  

85150800 

84 

128 

CE 

4639 

82BC  

74021000 

129 

415E 

8C72  

6EFE2000 

130 

CE 

4639 

82BC  

47D44000 

131 

415E 

8C72  

16A28000 

132 

3C3D 

9628  

2D450000 

133 

375E 

B3D6  5A8A0000 

134 

32B4 

F8F0  

B5140000 

135 

32B4 

C63C  

B5140000 

136 

3C3D 

CAD0  

86331C00 

C7 

137 

3C3D 

8E93  

86331C00 

138 

415E 

F0F4  

CF747000 

139 

CE 

4639 

82BC  3FBCE000 

140 

415E 

8C72  

0673C000 

141 

3C3D 

9628  

0CE78000 

142 

375E 

B3D6  

19CF0000 

143 

32B4 

F8F0  

339F9C00 

CE 

144 

32B4 

C63C  

339F9C00 

145 

32B4 

9388  

339F9C00 

146 

2E17 

C1A8  

673F3800 

147 

2E17 

9391  

673F3800 

148 

32B4 

B85C  

0714E000 

background image

167 

X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

EC 

MPS 

CX 

(16進数) 

Qe 

(16進数) 

(16進数) 

CT 

149 

32B4 

85A8  

0714E000 

150 

2E17 

A5E8  

0E29C000 

151 

299A 

EFA2  

1C538000 

152 

299A 

C608  

1C538000 

153 

299A 

9C6E  

1C538000 

154 

2516 

E5A8  

38A70000 

155 

2516 

C092  

38A70000 

156 

2516 

9B7C  

38A70000 

157 

1EDF 

ECCC  

714E0000 

158 

1EDF 

CDED  

714E0000 

159 

1EDF 

AF0E  

714E0000 

160 

1EDF 

902F  

714E0000 

161 

1AA9 

E2A0  

E29DF200 

F9 

162 

2516 

D548  

D5379000 

163 

299A 

9458  

94164000 

164 

32B4 

A668  

A5610000 

165 

3C3D 

CAD0  C6B4E400 

39 

166 

415E 

F0F4  

E0879000 

167 

CE 

4639 

82BC  

61E32000 

168 

415E 

8C72  

4AC04000 

169 

3C3D 

9628  

95808000 

170 

415E 

F0F4  

EE560000 

00 

171 

CE 

4639 

82BC  

7D800000 

172 

415E 

8C72  

81FA0000 

173 

CE 

4639 

82BC  6DCC0000 

174 

415E 

8C72  

62920000 

175 

CE 

4639 

82BC  

2EFC0000 

176 

4B85 

F20C  

BBF00000 

177 

CE 

504F 

970A  2AD25000 

28 

178 

CE 

5522 

8D76  55A4A000 

179 

504F 

AA44  3AA14000 

180 

4B85 

B3EA  

75428000 

181 

CE 

504F 

970A  

19BB0000 

182 

CE 

5522 

8D76  

33760000 

183 

59EB 

E150  CDD80000 

184 

59EB 

B3D6  8CE6FA00 

7D 

185 

59EB 

B3D6  

65F7F400 

186 

59EB 

B3D6  

1819E800 

187 

5522 

B3D6  

3033D000 

188 

504F 

BD68  

6067A000 

189 

4B85 

DA32  

C0CF4000 

190 

CE 

504F 

970A  

64448000 

191 

4B85 

A09E  

3B130000 

192 

4639 

AA32  

76268C00 

46 

193 

CE 

4B85 

8C72  

245B1800 

194 

CE 

504F 

81DA  

48B63000 

195 

4B85 

A09E  

2E566000 

196 

4639 

AA32  5CACC000 

197 

415E 

C7F2  

B9598000 

198 

CE 

4639 

82BC  

658B0000 

background image

168 

X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

EC 

MPS 

CX 

(16進数) 

Qe 

(16進数) 

(16進数) 

CT 

199 

415E 

8C72  

52100000 

200 

CE 

4639 

82BC  

0DF8E000 

70 

201 

4B85 

F20C  

37E38000 

202 

4B85 

A687  

37E38000 

203 

4639 

B604  

6FC70000 

204 

415E 

DF96  

DF8E0000 

205 

CE 

4639 

82BC  

82AC0000 

206 

415E 

8C72  

8C520000 

207 

CE 

4639 

82BC  

827C0000 

208 

415E 

8C72  

8BF31C00 

8E 

209 

CE 

4639 

82BC  

81BE3800 

210 

415E 

8C72  

8A767000 

211 

CE 

4639 

82BC  

7EC4E000 

212 

415E 

8C72  

8483C000 

213 

CE 

4639 

82BC  

72DF8000 

214 

415E 

8C72  

6CB90000 

215 

CE 

4639 

82BC  

434A0000 

216 

415E 

8C72  

0D8F9600 

CB 

217 

3C3D 

9628  

1B1F2C00 

218 

375E 

B3D6  

363E5800 

219 

32B4 

F8F0  6C7CB000 

220 

32B4 

C63C  6C7CB000 

221 

32B4 

9388  6C7CB000 

222 

3C3D 

CAD0  2EA2C000 

223 

3C3D 

8E93  2EA2C000 

224 

375E 

A4AC  

5D458000 

225 

32B4 

DA9C  BA8B0000 

226 

3C3D 

CAD0  

4A8F0000 

C0 

227 

3C3D 

8E93  

4A8F0000 

228 

375E 

A4AC  

951E0000 

229 

3C3D 

DD78  

9F400000 

230 

3C3D 

A13B  

9F400000 

231 

415E 

F0F4  

E9080000 

232 

CE 

4639 

82BC  

72E40000 

233 

415E 

8C72  6CC3EC00 

F6 

234 

CE 

4639 

82BC  

435FD800 

235 

415E 

8C72  0DB9B000 

236 

3C3D 

9628  

1B736000 

237 

375E 

B3D6  

36E6C000 

238 

32B4 

F8F0  6DCD8000 

239 

32B4 

C63C  6DCD8000 

240 

32B4 

9388  6DCD8000 

241 

3C3D 

CAD0  

33E60000 

242 

3C3D 

8E93  

33E60000 

マーカ検出(ゼロバイトを復号器に入力) 

243 

375E 

A4AC  

67CC0000 

244 

32B4 

DA9C  

CF980000 

245 

3C3D 

CAD0  

9EC00000 

246 

415E 

F0F4  

40B40000 

247 

415E 

AF96  

40B40000 

background image

169 

X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

EC 

MPS 

CX 

(16進数) 

Qe 

(16進数) 

(16進数) 

CT 

248 

3C3D 

DC70  

81680000 

249 

3C3D 

A033  

81680000 

マーカ検出(ゼロバイトを復号器に入力) 

250 

415E 

F0F4  

75C80000 

251 

415E 

AF96  

75C80000 

252 

CE 

4639 

82BC  

0F200000 

253 

4B85 

F20C  

3C800000 

254 

4B85 

A687  

3C800000 

255 

4639 

B604  

79000000 

256 

CE 

4B85 

8C72  

126A0000 

K.5 階層型符号化のための低域通過型標本減少フィルタ ここでは,標本減少フィルタの簡単な例を示

す。これは,附属書JのJ.1.1.2で定義する標本増加フィルタと整合する。 

図K.5は,単純な1次元水平及び垂直低域通過型フィルタにおける周囲標本の重み付けを示す。フィル

タの出力は,周囲標本の重み付けの合計で正規化しなければならない。 

図K.5 低域通過型フィルタの例 

このフィルタによって低解像度画像の左端列又は上端行の標本値を求める場合には,図K.5の中央の標

本は,高解像度画像の左端列又は上端行に位置させなければならない。画像境界の外部をフィルタが参照

する場合には,その外部の標本値として画像の境界の値と同一の値を用いる。 

標本減少処理すべき画像の1ラインの標本数又はライン数が奇数の場合には,標本減少処理する前に画

像の右境界又は下境界にその境界の標本値と同じ値の標本を一つ加えて偶数にする。 

K.6 DCT符号化方式と空間符号化方式の応用領域 DCT符号器は不可逆符号化のために用い,その誤差

の程度は目につくものから視覚限界以下のものまで制御できる。しかし,一般にはDCT利用型の処理は,

真の可逆符号化には用いることはできない。 

可逆符号器は,完全な可逆符号化のために用いる。可逆符号化処理の符号化効率は,視覚限界に近いか

及び視覚限界を超える誤差を含むDCT利用型の処理の符号化効率より,かなり落ちる。 

可逆符号器の入力に対する小数点移動は,可逆符号器に対して非常に制限された形での不可逆符号化を

可能にする(小数点移動の後でも符号器は,可逆とする。)。DCTが不可逆符号化であるため,どのような

ときに,この小数点移動による不可逆符号化を使用するかという点が分かりにくい。 

小数点移動を使った可逆符号化は,DCT符号化を用いることのできない応用分野で利用される。例えば,

次のような場合に用いる。すなわち,制限されたビット精度の範囲内での完全な可逆符号化を行う場合,

符号化による誤差を完全にある範囲に限定したい場合,最後の段階で完全な可逆符号化を実現する階層型

処理による段階符号処理の途中の段階である場合などである。 

DCT符号化が効果的に利用できる応用分野に対して,小数点移動を用いた不可逆符号化を使用した場合

170 

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には,その結果は,十分に満足できるものではなくなる。例えば,輝度成分のビット精度を6ビットまで

落とした場合には,目につく偽輪郭という形で劣化が発生する。通常の画像では,DCTを用いた場合に再

生画像と原画像との誤差が視覚的に識別できない程度のビット速度よりもずっと高いビット速度でも,小

数点移動を用いた不可逆符号化では劣化が発生する。 

K.7 段階符号処理の応用領域 DCT係数による段階符号処理及び階層型段階処理という二つの大きく異

なる段階符号処理モードが定義されている。さらに,DCT係数による段階符号処理には周波数選択及び逐

次近似という二つの相補的な処理がある。このように多様な選択が可能なため,与えられた応用分野にど

の段階処理を用いればよいかという点が分かりにくい。 

K.7.1 DCTを用いた段階符号処理 DCT係数による段階符号処理で,8×8のDCT係数の配列をどのよ

うに分解するかによって周波数選択と逐次近似という二つの相補的な処理が定義される。周波数選択では,

ジグザグ順序によるDCT係数の1次元配列をバンドと呼ぶ複数の部分に分け,この一つのバンドを一つの

走査で符号化する。逐次近似では最初の走査においてはDCT係数をビット精度を落とした形で符号化し,

これに続く各走査でビット精度を1ビットづつ増加させる。 

これらの処理でFDCTは,1度だけ実行される。すべての係数が完全なビット精度で符号化された場合

には,最終的に符号化されるDCT係数は,順次モードと同一になる。このため,順次DCT符号化と同様

に,DCT係数の段階符号処理は視覚上の劣化の許容範囲が与えられたときに,効率よく符号化することが

要求される応用分野に適用できる。 

最も簡単な段階符号処理技術は,周波数選択である。実際にこの方式が単純であるため,段階の機能と

しては限定されてはいるが,特定の領域の応用分野では周波数選択だけを用いることができる。しかし,

この方式を用いる場合には,あるビット速度においては高周波成分のバンドが伝送されないことから途中

の段階において,一般的な段階処理で達成される画質よりも不充分な画質しか提供できない。この段階処

理を用いた場合の最終段階まで完了した時点での符号化効率は,順次DCTと同等か,多少悪くなる程度で

ある。 

周波数選択方式に逐次近似方式を加えることによって多少複雑にはなるが,より柔軟な段階システムを

実現することができる。同一のビット速度に対して,このシステムは周波数選択だけのシステムよりもは

るかに良い画質を実現できる。この段階システムを用いた場合の最終段階まで完了した時点での符号化効

率は,順次DCTと同等か多少よくなる程度である。 

K.7.2 階層型段階処理 階層型段階処理を用いることによって,空間解像度を順番に上げていくこともで

きるし,更に,同一空間解像度において順次画質を向上させることもできる。DCT方式及び空間方式の両

方が,階層型段階処理で用いることができ,DCT係数の段階符号処理は,DCTを用いた階層型段階処理の

一つのフレームで用いることができる。 

DCTを用いた階層型段階処理は,与えられた視覚上の劣化のレベルに対して効率のよい符号化が要求さ

れる応用分野で用いられ,空間方式を用いた階層型段階処理は最後の段階で完全な可逆符号化が必要とな

る簡単な段階処理が要求される応用分野で用いられる。図K.6にこれらの2種類の基本的な階層型段階処

理を示す。 

background image

171 

X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図K.6 階層型処理モードの基本動作 

K.7.2.1 DCTを用いた階層型段階処理 DCTを用いた階層型段階処理で空間解像度を低下させた場合,

DCT係数の階層型処理以外の段階符号処理に比べて,最初の方の段階での同一ビット速度における画質を

向上させることができる。しかし,原画像からの再生画像の劣化が視覚的に識別できない段階では,DCT

を用いた階層型段階処理での符号化効率は,DCT係数の階層型処理ではない段階符号処理に比べてはるか

に低くなる。 

DCTを用いた階層型段階処理は,不可逆な段階符号処理ではあるが,最後の段階で差分の空間符号処理

を用いることができる。この最終段階を用いた場合には,符号器及び復号器との間でのIDCT実現手法の

違いからくる誤差は含まれるが,ほとんど完全な可逆符号処理が可能となる。IDCT実現手法の違いがあ

るため,DCTを用いた階層型段階処理の後で,完全な可逆符号処理の実現は保証されない。これに代わる

ものとして,最終段階における差分の可逆符号処理への入力に小数点移動を用いることによって,差分画

像のビット精度を縮小させる方法がある。この方法を用いることによって,空間差分を完全なビット精度

で符号化する場合に比べてはるかに少ない符号量で,原画像と再生画像との差分を限られた範囲に制限し

た符号化が可能となる。 

K.7.2.2 空間方式を用いた階層型段階処理 段階可逆符号処理が必要な場合は,入力の小数点移動を用い

た可逆な空間符号処理を最初の段階で行うという簡単な階層型段階処理が利用できる。この最初の段階の

後に,差分画像の空間符号化による段階が一つ以上続く。最初の段階では,小数点移動による低位ビット

の打切りがランダムになるようにして,ほとんど可逆になるようにするのがよい。このようにしない場合,

符号化まで含めた全体の符号化効率は,段階処理以外の可逆処理に比べて,低下する。 

172 

X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

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K.8 

再生画像のブロックひずみの低減 DCT方式を用いて圧縮した画像に発生しやすいブロックひ

ずみを軽減させる簡単な方法について示す。 

自分自身のブロックと周囲の8個のブロックとの計9個のブロックの直流係数から低い周波数の幾つか

のDCT係数(ここで述べる例では五つ)を予測し,この予測値を用いて画像の平たんな部分で発生するブ

ロックひずみを軽減する。 

ジグザク順序の最初の5個の交流係数を予測する式は,次のとおりとする。 

K.8.1 交流係数予測 3×3のブロック配列の標本空間(各ブロックは,8×8の標本を含む。)を,2次元

の2次多項式でモデル化する。 

P (x, y) =A1 (x↑2↓y↑2↓) +A2 (x↑2↓y) +A3 (xy↑2↓) +A4 (x↑2↓)  

+A5 (xy)+A6 (y↑2↓) +A7 (x) +A8 (y) +A9 

9個の各ブロックにおけるP (x, y) の平均値が正しく直流係数値に合うという条件によってA1〜A9の9

個の係数は,一意に決定できる。 

中央のブロックの中の標本を予測している2次平面にDCTを行うことによって,図K.7に示す低周波

の交流係数を予測することができる。 

図K.7 予測された交流係数のDCT配列上での位置 

この方法で求めた予測式を次に示す。次のような直流係数値の2次元配列に対して 

DC↓1↑ 

DC↓2↑ 

DC↓3↑ 

DC↓4↑ 

DC↓5↑ 

DC↓6↑ 

DC↓7↑ 

DC↓8↑ 

DC↓9↑ 

量子化されていない予測式は,次のとおりとする。 

AC↓01↑=1.13885 (DC↓4↑−DC↓6↑) 

AC↓10↑=1.13885 (DC↓2↑−DC↓8↑) 

AC↓20↑=0.27881 (DC↓2↑+DC↓8↑−2×DC↓5↑) 

AC↓11↑=0.16213 ((DC↓1↑−DC↓3↑) − (DC↓7↑−DC↓9↑)) 

AC↓02↑=0.27881 (DC↓4↑+DC↓6↑−2×DC↓5↑) 

予測された交流係数の値の範囲は,附属書AのA.3.3で定義するDCT正規化と一致する。 

K.8.2 量子化された交流係数予測 この予測式は,直流係数の量子化された値を用いるように変換するこ

とができ,その変換によって,量子化された交流係数を整数演算で算出することができる。しかし,予測

された係数が小数点ビット精度をもつように量子化された直流係数を定数倍する必要がある。 

173 

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まず,予測式の係数を32倍し,最も近い整数に丸める。 

1.13885×32=36 

0.27881×32= 9 

0.16213×32= 5 

このように,乗算の係数要素は,直流係数と交流係数の量子化係数要素の比率で定数倍し,適切に丸め

る。DCTに対して定義された正規化によって,量子化されていない直流係数値に,8という,もう一つの

定数倍を施す。したがって,量子化された直流係数を用いて,量子化された交流係数は,次のとおりに予

測される。例えば,直流係数値が4の係数要素で定数倍された場合には,交流係数予測は量子化されたDCT

係数に対して小数点以下2ビットの精度をもつ。 

QAC↓01↑= 

((Rd×Q↓01↑) + (36×Q↓00↑× (QDC↓4↑−QDC↓6

↑))) / (256×Q↓01↑) 

QAC↓10↑= 

((Rd×Q↓10↑) + (36×Q↓00↑×(QDC↓2↑−QDC↓8

↑))) / (256×Q↓10↑) 

QAC↓20↑= 

((Rd×Q↓20↑) +(9×Q↓00↑× (QDC↓2↑+QDC↓8↑−

2×QDC↓5↑))) / (256×Q↓20↑) 

QAC↓11↑= 

((Rd×Q↓11↑) + (5×Q↓00↑× ((QDC↓1↑−QDC↓3↑) 

− (QDC↓7↑−QDC↓9↑)))) / (256×Q↓11↑) 

QAC↓02↑= 

((Rd×Q↓02↑) + (9×Q↓00↑× (QDC↓4↑+QDC↓6↑−

2×QDC↓5↑))) / (256×Q↓02↑) 

ここで,QDC↓x↑とQAC↓xy↑は量子化され定数倍された直流係数と交流係数の値とする。定数Rd

は,除算において正しい丸めが行われるように加えられる。Rdは,分子が正であれば128であって,負の

ときは−128とする。 

予測値は,符号化された値を無効にしないことが望ましい。既にゼロではない係数に対する予測値は,

ゼロにすることが望ましい。逐次近似における現時点のビット精度に対して,ゼロではない値に量子化さ

れる値を予測が超える場合は,予測を制限することが望ましい。 

K.9 表示画像の画質を向上させるための逆量子化の変更 逐次近似の最初の段階のビットAlが3の場合,

DCTの一様量子化は,逐次近似の一連の走査に対して,次のような量子化/逆量子化レベルをとる。 

background image

174 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図K.8 二つの再生処理の図式化 

左のラベル “A” 走査ヘッダの中で指定されるビット位置を示す。量子化されたDCT係数は,その走査

において2↑Al↓で割られる。 

最後の走査 (Al=0) において “t” で示された位置はしきい値を示し, “r” で示された点は,再生値を

示す。逆量子化出力は,図K.8の下に示した定数値に量子化幅を掛けることによって算出する。 

図の中でゼロに量子化される係数の量子化間隔は,下へ下げた実線で示されている。ビット位置Alが大

きくなるにしたがって “fat zero” (幅広いゼロ)の量子化間隔は,ゼロのDCT係数値の周りに広がってく

る。定数倍の値が非常に大きくなると,限界値としてゼロの量子化間隔は,他の量子化間隔の2倍に近づ

く。 

二つの異なった再生の処理を示す。 “r” の再生位置は,完全な全精度出力のDCT係数に対して,通常

の丸め処理を施した場合に得られる再生値とする。帯域幅の広い表示装置を用いた場合には,この再生値

を用いることによってよい画像品質が得られる。 “x” の再生位置は,帯域幅の狭い表示装置に対してよい

画像品質を与える。 “x” 及び “r” は,位置ゼロでは同一値をとる。システム設計者が使用する表示シス

テムによって,どの再生処理をとるか決定しなければならない。 

K.10 小数点移動の例 Ptビットの算術右シフトと2↑Pt↓での除算との違いを次に示す。 

レベルシフトの後では,直流係数は+127から−128までの値をとる。(レベルシフト後の)値がゼロに

近く,Pt=1の場合を考えてみる。 

レベルシフト前 

小数点移動前 

2による除算後 

1ビット算術右シフト後 

131 

+3 

+1 

+1 

130 

+2 

+1 

+1 

129 

+1 

128 

127 

−1 

−1 

126 

−2 

−1 

−1 

125 

−3 

−1 

−2 

124 

−4 

−2 

−2 

123 

−5 

−2 

−3 

最も重要な違いは,精度を切り捨てることにある。除算は絶対値での除算結果の小数点以下を切り捨て,

算術シフトはLSBを切り捨てる。2による除算は,直流係数値に一様でない量子化を施すことになる。し

たがって,小数点移動には,算術右シフト演算を用いることにする。 

正の値に対しては,2による除算も1ビットの算術右シフトも同じとする。したがって,小数点移動を

レベルシフトする前に行うのであれば,1ビットの算術右シフトは,実効的には2による除算と同じとす

る。 

175 

X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書L(参考) 特許 

L.1 

導入 この規格の利用者は,附属書のF,G,H及びJで規定する符号化処理を実現する際に,特許

権をもつ発明を使用する可能性があることに注意しなければならない。この規格の発行に際して,特許の

主張の有効性について,又はどの特許が関連するかについて,見解を示す立場にはない。しかし,この附

属書に示す各特許については,これらの特許を利用したい者に,特許保有者が妥当な価格で,かつ差別の

ない条件で特許実施の許諾を保証する旨の声明書を国際標準化機構中央事務局に設置されている情報技術

タスクフォース (ITTF) に提出している。 

この附属書に示す特許は,次の基準による。 

(1) この規格に関連する技術分野の従事者が,附属書のF,G,H及びJで規定する一つ以上の符号化処

理を実装する上で必要であると認めた特許。 

(2) 特許保有者が,特許実施者の数を制限せず,不当な差別なしに妥当な価格及び条件で特許の実施を許

諾する旨の声明書をITTFに提出した特許。 

特許に関する情報は,次から得ることができる。 

Information Technology Task Force at ISO Central Secretariat 

1, Rue de Varemb 

Case Postale 56 

CH-1211 Geneva 20, Switzerland 

L.2 

特許リスト 附属書のF,G,H及びJで規定する算術符号化を用いる処理を構成するに当たって必

要となる可能性のある特許を次に示す。 

US 4,633,490, December 30, 1986, IBM, J. L. MITCHELL and G. GOERTZEL 

: Symmetrical Adaptive Data Compression/Decompression System. 

US 4,652,856, February 4, 1986, IBM, K. M. MOHIUDDIN and J. J. RISSANEN 

: A Multiplication-free Multi-Alphabet Arithmetic Code. 

US 4,369,463, January 18, 1983, IBM, D. ANASTASSIOU and J. L. MITCHELL 

: Grey Scale Image Compression with Code Words a Function of Image History. 

US 4,749,983, June 7, 1988, IBM, G. LANGDON 

: Compression of Multilevel Signals. 

US 4,935,882, June 19, 1990, IBM, W. B. PENNEBAKER and J. L. MITCHELL 

: Probability Adaptation for Arithmetic Coders. 

US 4,905,297, February 27, 1990, IBM, G. G. LANGDON, Jr., J. L. MITCHELL, 

W. B. PENNEBAKER, and J. J. RISSANEN 

: Arithmetic Coding Encoder and Decoder System. 

US 4,973,961, November 27, 1990, AT & T, C. CHAMZAS, D. L. DUTTWEILER 

: Method and Apparatus for Carry-over Control in Arithmetic Entropy Coding. 

US 5,025,258, June 18, 1991, AT & T, D. L. DUTTWEILER 

: Adaptive Probability Estimator for Entropy Encoding/Decoding. 

US 5,099,440, March 24, 1992, IBM, W. B. PENNEBAKER and J. L. MITCHELL 

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X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

: Probability Adaptation for Arithmetic Coders. 

Japanese Patent Application 2-46275, February 26, 1990, MEL F. ONO, T. KIMURA, 

M. YOSHIDA, and S. KINO 

: Coding System. 

附属書Hで規定する階層型処理において可逆処理を最終フレームで使用するに当たって必要となる可

能性のある特許を次に示す。 

US 4,665,436, May 12, 1987, J. A. EI OSBORNE and C. SEIFFERT 

: Narrow Bandwidth Signal Transmission. 

この規格の発行段階では,これ以外の特許は,附属書のF,G,H及びJで規定する処理を構成するに

当たって必要となる可能性がないとみなす。 

177 

X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書M(参考) 参考文献 

M.1 全般 

A LEGER, T. OMACHI, and G. K. WALLACE : JPEG Still Picture Compression Algorithm, Optical Engineering, 

Vol. 30, No. 7, pp. 947-954, (July 1991). 

M. RABBANI and P. JONES : Digital Image Compression Techniques, Tutorial Texts in Optical Engineering, Vol. 

TT7, SPIE Press, 1991. 

G. HUDSON, H. YASUDA and I. SEBESTYEN : The International Standardization of a Still Picture Compression 

Technique, Proc. of IEEE Global Telecommunications Conference, pp.1016-1021, Nov. 1988. 

A. LEGER, J. MITCHELL and Y. YAMAZAKI : Still Picture Compression Algorithm Evaluated for International 

Standardization, Proc. of the IEEE Global Telecommunications Conference, pp. 1028-1032, Nov. 1988. 

G. WALLACE, R. VIVIAN and H. POULSEN : Subjective Testing Results for Still Picture Compression 

Algorithms for International Standardization, Proc. of the IEEE Global Telecommunications Conference, pp. 

1022-1027, Nov. 1988. 

J. L. MITCHELL and W. B. PENNEBAKER : Evolving JPEG Colour Data Compression Standard, Standards for 

Electronic Imaging Systems, M. Nier, M. E. Courtot, Editors, SPIE, Vol. CR37, pp. 68-97, (1991). 

G. K. WALLACE : The JPEG Still Picture Compression Standard, Communications of the ACM, Vol. 34, No. 4, pp. 

31-44, (April 1991). 

A. N. NETRAVALI and B. G. HASKELL : Digital Pictures : Representation and Compression, Plenum Press, New 

York 1988. 

W. B. PENNEBAKER and J. L. MITCHELL : JPEG : Still Image Data Compression Standard, Van Nostrand 

Reinhold, New York 1993. 

M.2 DCT関連 

W. CHEN, C. H. SMITH and S. C. FRALICK : A Fast Computational Algorithm for the Discrete Cosine Transform, 

IEEE Trans. on Communications, Vol. COM-25, pp. 1004-1009, (Sept. 1977). 

N. AHMED, T. NATARAJAN and K. R. RAO : Discrete Cosine Transform, IEEE Trans. on Computers, Vol. C23, 

pp. 90-93, (Jan. 1974). 

N. J. NARASINHA and A. M. PETERSON : On the Computation of the Discrete Cosine Transform, IEEE Trans. on 

Communications, Vol. COM-26, No. 6, pp. 966-968, (Oct. 1978). 

P. DUHAMEL and C. GUILLEMOT : Polynomial Transform Computation of the 2-D DCT, Proc. IEEE ICASSP-90, 

pp. 1515-1518, Albuquerque, New Mexico (1990). 

E. FEIG : A Fast Scaled DCT Algorithm, in Image Processing Algorithms and Techniques, Proc. SPIE, Vol. 1244, K. 

S. Pennington and R. J. Moorhead II, Editors, pp. 2-13, Santa Clara, California, (1990). 

H. S. HOU : A Fast Recursive Algorithm for Computing the Discrete Cosine Transform, IEEE Trans. Acoust. 

Speech and Signal Processing, Vol. ASSP-35, No. 10, pp. 1455-1461. 

B. G. LEE : A New Algorithm to Compute the Discrete Cosine Transform, IEEE Trans. on Acoust. , Speech and 

Signal Processing, Vol. ASSP-32, No. 6, pp. 1243-1245, (Dec. 1984). 

E. N. LINZER and E. FEIG : New DCT and Scaled DCT Algorithms for Fused Multiply/Add Architectures, Proc. 

178 

X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

IEEE ICASSP-91, pp. 2201-2204, Toronto, Canada, (May 1991). 

M. VETTERLI and H. J. NUSSBAUMER : Simple FFT and DCT Algorithms with Reduced Number of Operations, 

Signal Processing, (Aug. 1984). 

M. VETTERLI : Fast 2-D Discrete Cosine Transform, Proc. IEEE ICASSP-85, pp. 1538-1541, Tampa, Florida, 

(March 1985). 

Ye ARAI, T. AGUI, and M. NAKAJIMA : A Fast DCT-SQ Scheme for Images, Trans. of IEICE, Vol. E. 71, No. 11, 

pp. 1095-1097, (Nov. 1988). 

N. SUEHIRO and M. HATORI : Fast Algorithms for the DFT and other Sinusoidal Transforms, IEEE Trans. on 

Acoust., Speech and Signal Processing, Vol. ASSP-34, No. 3, pp. 642-644, (June 1986). 

M.3 量子化及び視覚特性関連 

W H. CHEN and W. K. PRATT : Scene adaptive coder, IEEE Trans. on Communications, Vol. COM-32, pp. 

225-232 (March 1984). 

D. J. GRANRATH : The role of human visual models in image processing, Proceedings of the IEEE, Vol. 67, pp. 

552-561, (May 1981). 

H. LOHSCHELLER : Vision adapted progressive image transmission, Proceedings of EUSIPCO, Vol. 83, pp. 

191-194, (Sept. 1983). 

H. LOHSCHELLER and U. FRANKE : Colour picture coding−Algorithm optimization and technical realization, 

Frequenze, Vol. 41, pp. 291-299, (1987). 

H. LOHSCHELLER : A subjectively adapted image communication system, IEEE Trans. on Communications, Vol. 

COM-32, pp. 1316-1322, (Dec. 1984). 

H. A. PETERSON et al : Quantization of colour image components in the DCT domain, SPIE/IS & T 1991 

Symposium on Electronic Imaging Science and Technology, (Feb. 1991). 

M.4 算術符号化関連 

G LANGDON : An Introduction to Arithmetic Coding, IBM J. Res. Develop., Vol. 28, pp. 135-149, (March 1984). 

W. B. PENNEBAKER, J. L. MITCHELL, G. LANGDON Jr., and R. B. ARPS : An Overview of the Basic 

Principles of the Q-Coder Binary Arithmetic Coder, IBM J. Res. Develop., Vol. 32, No. 6, pp. 717-726, (Nov. 1988). 

J. L. MITCHELL and W. B. PENNEBAKER : Optimal Hardware and Software Arithmetic Coding Procedures for 

the Q-Coder Binary Arithmetic Coder, IBM J. Res. Develop., Vol. 32, No.6, pp. 727-736, (Nov. 1988). 

W. B. PENNEBAKER and J. L. MITCHELL : Probability Estimation for the Q-Coder, IBM J. Res. Develop., Vol. 

32, No. 6, pp. 737-752, (Nov. 1988). 

J. L. MITCHELL and W. B. PENNEBAKER : Software Implementations of the Q-Coder, IBM J. Res. Develop., 

Vol.32, No. 6, pp. 753-774, (Nov. 1988). 

R. B. ARPS, T. K. TRUONG, D. J. LU, R. C. PASCO and T. D. FRIEDMAN : A Multi-Purpose VLSI Chip for 

Adaptive Data Compression of Bilevel Images, IBM J. Res. Develop., Vol. 32, No. 6, pp. 775-795, (Nov. 1988). 

F. ONO, M. YOSHIDA, T. KIMURA and S. KINO : Subtraction-type Arithmetic Coding with MPS/LPS 

Conditional Exchange, Annual Spring Conference of IECED, Japan, D-288, (1990). 

D. DUTTWEILER and C. CHAMZAS : Probability Estimation in Arithmetic and Adaptive-Huffman Entropy 

Coders, submitted to IEEE Trans. on Image Processing. 

179 

X 4301-1995 (ISO/IEC 10918-1 : 1994) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

C. B. JONES : An Efficient Coding System for Long Source Sequences, IEEE Trans. Inf. Theory, Vol. IT-27, pp. 

280-291, (May 1981). 

G LANGDON : Method for Carry-over Control in a Fifo Arithmetic Code String, IBM Technical Disclosure 

Bulletin, Vol. 23, No.1, pp. 310-312, (June 1980). 

M.5 ハフマン符号化関連 

D. A. HUFFMAN : A Method for the Construction of Minimum Redundancy codes, Proc. IRE, Vol. 40, pp. 

1098-1101, (Sept.1952). 

画像処理技術調査研究委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

井 上 英 一 

プロセス資材株式会社,東京工業大学名誉教授 

(副委員長) 

小 野 善 雄 

大日本スクリーン製造株式会社 

(副委員長) 

梶   光 雄 

日本電気エンジニアリング株式会社 

青 木 正 喜 

成蹊大学 

伊勢崎 幸 一 

光村印刷株式会社 

井 内 政 行 

コニカ株式会社 

茨 木   久 

日本電信電話株式会社 

岩 本 明 人 

株式会社東芝 

大 山 永 昭 

東京工業大学 

奥 山   慈 

東京工業大学 

小 野 文 孝 

三菱電機株式会社 

志 村 喜三郎 

凸版印刷株式会社 

瀬戸屋 英 雄 

通商産業省工業技術院 

中 嶋 正 之 

東京工業大学 

羽 鳥 好 津 

国際電信電話株式会社 

藤 本   功 

三菱電機株式会社 

三 品 博 達 

室蘭工業大学 

村 山   登 

株式会社リコー 

安 田   浩 

日本電信電話株式会社 

谷 萩 隆 嗣 

千葉大学 

山 崎 清 一 

大日本印刷株式会社 

山 崎   孝 

富士写真フィルム株式会社 

米 満   潤 

ソニー株式会社 

(事務局) 

宇 田 和 正 

財団法人日本規格協会情報技術標準化研究センター 

JPEG JIS化分科会 構成表 

氏名 

所属 

(主査) 

茨 木   久 

日本電信電話株式会社 

小 野 文 孝 

三菱電機株式会社 

小 池   淳 

国際電信電話株式会社 

佐々木   実 

株式会社東芝 

高 島 洋 典 

日本電気株式会社 

滝 沢 正 明 

株式会社日立製作所 

半 田 晶 彦 

日本ビクター株式会社 

森   雅 博 

株式会社富士通研究所 

山 本   勉 

ソニー株式会社 

佐 野 浩 一 

通商産業省工業技術院 

(事務局) 

宇 田 和 正 

財団法人日本規格協会情報技術標準化研究センター