X 4062 : 1998
(1)
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日
本工業規格である。この規格では,異なる仮名漢字変換システム間において辞書データの交換を可能とす
るためのデータ形式を定めている。
JIS X 4062
には,次に示す附属書がある。
附属書(規定) 変換用品詞の分類と定義
X 4062 : 1998
(1)
目次
ページ
1.
適用範囲
1
2.
引用規格
2
3.
定義
2
4.
交換用ファイルの形式
2
4.1
交換用ファイルの概要
3
4.2
交換用ファイル前書き部
3
4.2.1
交換用ファイル前書き部の概要
3
4.2.2
適合規格レコード
4
4.2.3
表題レコード
4
4.2.4
分野レコード
4
4.2.5
版レコード版
4
4.2.6
編者レコード
4
4.2.7
作成日レコード
4
4.3
交換用ファイル本体部
4
4.3.1
交換用ファイル本体部の概要
4
4.3.2
単語レコード
4
4.3.3
コメントレコード
5
4.3.4
空レコード
5
5.
単語レコードの各フィールド
5
5.1
よみ文字列フィールド
5
5.1.1
交換を保証する文字
5
5.1.2
文字列長
5
5.1.3
動詞,形容詞及び形容動詞のよみ文字列の書き方
5
5.2
表記文字列フィールド
5
5.2.1
交換を保証する文字
5
5.2.2
文字列長
5
5.2.3
動詞,形容詞及び形容動詞の表記文字列の書き方
5
5.3
変換用品詞フィールド
5
5.3.1
変換用品詞の分類
5
5.3.2
変換用品詞フィールドに使用可能な文字列
6
5.3.3
変換用品詞のふるまい
6
5.4
コメントフィールド
6
6.
交換用ファイル入力システムの動作
9
6.1
交換用ファイル入力システムの機能
9
6.1.1
登録
9
X 4062 : 1998
目次
(2)
ページ
6.1.2
削除
9
6.2
交換用ファイル中の単語の登録又は削除の動作
9
6.2.1
変換用品詞の対応
9
6.2.2
交換用ファイルの中の単語の登録又は削除が不可能な場合の動作
9
6.2.3
交換用ファイルのレコードの並び順と仮名漢字変換システムの優先順位
10
7.
交換用ファイル出力システムの動作
10
7.1
交換用ファイル出力システムの機能
10
7.2
出力するよみ文字列の文字
10
7.3
出力する表記文字列の文字
10
7.4
変換用品詞の対応
10
8.
適合性
10
8.1
交換用ファイルの適合性
10
8.2
交換用ファイル入力システムの適合性
10
8.3
交換用ファイル出力システムの適合性
10
附属書(規定) 変換用品詞の分類と定義
12
1.
この規格が対象とする品詞の分類
12
2.
活用しない自立語の定義
13
2.1
活用しない自立語の分類
13
2.2
名詞
14
2.2.1
名詞の定義
14
2.2.2
普通名詞
14
2.2.3
固有名詞
14
2.2.4
サ変名詞
15
2.2.5
形動名詞
15
2.3
連体詞
15
2.4
副詞
15
2.5
接続詞
15
2.6
感動詞
15
3.
活用する自立語の定義
15
3.1
活用する自立語の分類
15
3.2
仮名漢字変換における活用形
15
3.3
動詞
16
3.3.1
動詞の定義
16
3.3.2
五段動詞
16
3.3.3
一段動詞
17
3.3.4
カ変動詞
17
3.3.5
サ変動詞
18
3.3.6
ザ変動詞
18
3.4
形容詞
18
X 4062 : 1998
目次
(3)
ページ
3.5
形容動詞
18
4.
附属語の定義
18
4.1
附属語の分類
18
5.
自立語・附属語以外の定義
18
5.1
自立語・附属語以外の分類
18
5.2
接頭語
18
5.3
接尾語
19
5.3.1
名詞を作る接尾語
19
5.4
成句
19
5.5
無品詞
19
日本工業規格
JIS
X
4062
: 1998
仮名漢字変換辞書交換形式
Format for information interchange for dictionaries of
Japanese input method
序文 この規格は,利用者の便宜を図るために,複数の仮名漢字変換システム間においてその辞書情報を
交換することが可能となるための形式を規定するものである。
なお,この規格の規定は,その目的とする分野及び範囲に関して,なんらの基準を示すものではない。
1.
適用範囲 この規格は,仮名漢字変換において,日本語の通常の書き言葉に用いられる単語の交換形
式を規定する。
この規格で定める単語の交換形式は,単語を交換する際に必要な,次の事項を規定する。
a)
交換用ファイルの形式
b)
交換用ファイル入力システムの動作
c)
交換用ファイル出力システムの動作
この規格は,仮名漢字変換の辞書を交換する際の形式についてだけ定めるものであって,個々の仮名漢
字変換システム及びその仮名漢字変換辞書自体に対しては,なんらの基準を与えるものでもなく,いかな
る制限をするものでもない。
この規格で定める文字の種類,品詞の分類及び品詞名並びに活用の種類は,仮名漢字変換の辞書を交換
する目的にだけ用いるものであって,個々の仮名漢字変換システム,又は,一般の日本語文法などでの利
用可能な文字の種類,品詞の分類及び品詞名並びに活用の種類などについて,規格がこれを規定するもの
ではなく,なんらの基準も,いかなる制限も与えるものではない。
この規格は,次のことは規定しない。
a)
この規格で定める交換用ファイルに含まれる単語の採用基準。
参考 例に示した単語は,単語の採用基準を示したものではない。
b)
この規格で定める交換用ファイルに含まれる単語の表記,仮名遣い及び品詞。
c)
個々の仮名漢字変換システムにおける仮名漢字変換用辞書の内部形式。
d)
個々の仮名漢字変換システムとこの規格で定める交換用ファイルとの間の,単語の登録,削除及び出
力のための変換の方法。
e)
個々の仮名漢字変換システムに対する,単語の登録,削除,出力などの動作の指示の方法。
参考 代表的な適用例 この規格の適用分野は,複数の仮名漢字変換システムの間での単語群の交換
であり,代表的な適用例としては,次のようなものが考えられる。
例1. 個人が自分の仮名漢字変換システムに登録した特定の分野の単語群を,別の仮名漢字変換
システムをもつ人に配付する場合。
2
X 4062 : 1998
例2. ある仮名漢字変換システムに登録していた単語を別の仮名漢字変換システムに登録する場
合。換システムをもつ人に配付する場合。
例3. 出版社が従来印刷物として出版していた専門用語辞書又は国語辞書の単語群を,様々な仮
名漢字変換システムに対して単一の仕様で交換用ファイルとして販売する場合。
例4. 複数執筆者による用字用語の統一などの目的で,様々な仮名漢字変換システムにおいて語
い(彙)を共用する場合。
2.
引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの規格は,その最新版を用いる。
JIS X 0201
7 ビット及び 8 ビットの情報交換用符号化文字集合
JIS X 0208
7 ビット及び 8 ビットの 2 バイト情報交換用符号化漢字集合
JIS X 0221
国際符号化文字集合 (UCS) −第 1 部 体系及び基本多言語面
JIS X 0301
日付及び時刻の表記
3.
定義 この規格で用いる用語の定義は次のとおりとする。
3.1
仮名漢字変換 入力された文字列を,辞書を参照して対応する日本語文字列に変換すること。
3.2
仮名漢字変換システム 仮名漢字変換を行うシステム。
3.3
辞書 仮名漢字変換の際に参照する単語の集まり。
3.4
単語 よみ文字列,表記文字列,変換用品詞からなる論理的な組。
参考 一般の学校文法にいう単語とは異なる単位になることもある。
3.5
よみ文字列 仮名漢字変換における,単語の読みとなる文字列。
3.6
表記文字列 仮名漢字変換における,単語の表記となる文字列。
3.7
変換用品詞 仮名漢字変換を行うための単語の文法的なふるまいを表す識別情報。
参考 学校文法や国語辞書で一般にいう“品詞”とは,自立語・附属語以外を含む点,接尾語によっ
て地名・人名などを区別する点などが異なる。
3.8
変換用品詞名 変換用品詞を特定する文字列。
3.9
交換 交換用ファイルを作成又は入手し,その交換用ファイル中の単語を,個々の仮名漢字変換シ
ステムに対して登録又は削除すること。
3.10
交換用ファイル 様々な仮名漢字変換システムに対して登録又は削除する単語を一覧にしたファイ
ル。
3.11
交換用ファイル入力システム 交換用ファイルを用いて,個々の仮名漢字変換システムに対して単
語の登録又は削除を行うシステム。
3.12
交換用ファイル出力システム 個々の仮名漢字変換システムから交換用ファイルを作成するシステ
ム。
3.13
登録 仮名漢字変換したときに,交換用ファイルにある単語が候補にあがるようにすること。
3.14
削除 仮名漢字変換したときに,交換用ファイルにある単語が,この規格で定義する条件をすべて
満たした場合に,候補にあがらないように工夫すること。
4.
交換用ファイルの形式
3
X 4062 : 1998
4.1
交換用ファイルの概要 交換用ファイルは,この規格で規定する,コンマ区切り形式のテキストフ
ァイルとする。
交換用ファイルは,交換用ファイル前書き部と交換用ファイル本体部とから成る。
交換用ファイル前書き部は,省略可能とする。交換用ファイルの前書き部には,その交換用ファイルの
適合規格,表題,分野,版,編者及び作成日を,具体的に記入する。記入の形式などは,4.2 に示す。
交換用ファイル本体部は,省略可能とする。交換用ファイル本体部は,単語レコード,コメントレコー
ド又は空レコードから成る。
単語レコードは,交換用の 1 単語を表す。単語レコードは,最低限,よみ文字列フィールド,表記文字
列フィールド及び変換用品詞レコードから成る。いずれか一つのフィールドが異なれば,別の単語レコー
ドとする。フィールドについての詳細は,5.で規定する。
コメントレコード及び空レコードは,単語の交換には利用されない。
交換用ファイルのすべてのレコードは,次の規則に従う。図形文字の名称は JIS X 0201,JIS X 0221 に
よる。レコード末の取扱いは,処理系定義とする。
a)
フィールドは“,
”
(コンマ,COMMA)で区切る。
この規格で規定するフィールドの値は,文字列であるか,空であるかのいずれかである。
b)
文字列に“,
”
(コンマ,COMMA)
,
“ ”
(スペース,SPACE)
,
“"”
(引用符,QUOTATION MARK)
のいずれかが入っている場合には,その文字列全体を“"”でくくる。
その際に,文字列の中に“"”を使いたい場合には,
“"”自体を二つ続ける。
上記の文字が入っていない場合には,
“"”でくくらなくてもよい。
c)
“,
”
(コンマ,COMMA)と文字列との間にある“ ”
(スペース,SPACE)は文字列の一部ではない。
d)
レコードの先頭から“,
”
(コンマ,COMMA)までが空又は“ ”
(スペース,SPACE)の連続である
場合,
“,
”と“,
”との間が空又は“ ”
(スペース,SPACE)の連続である場合,及び“,
”とレコー
ド末との間が空又は“ ”
(スペース,SPACE)の連続である場合は,当該フィールドの値は空である。
e)
あるフィールドの次がレコード末である場合,次のフィールド以降のすべてのフィールドの値は空で
ある。
f)
あるフィールドの値が空である場合,それ以降のフィールドは,単語の交換には使用しない。
4.2
交換用ファイル前書き部
4.2.1
交換用ファイル前書き部の概要 交換用ファイル前書き部には,その交換用ファイルの内容の概略
を示す,次のレコードを次の並び順で書く。
適合規格レコード
表題レコード
分野レコード
版レコード
編者レコード
作成日レコード
交換用ファイル前書き部の各レコードは,省略してもよい。
交換用ファイル前書き部のすべてのレコードは,第 1 及び第 2 フィールドの値を空とし,第 3 フィール
ドにそれぞれのレコードの内容を書く。
参考 交換用ファイル前書き部は,交換用ファイル入力システムなどにおいて,利用者が交換用ファ
イルの内容の概略を知る目的で,適切に利用されることが望ましい。
4
X 4062 : 1998
4.2.2
適合規格レコード 適合規格レコードの第 3 フィールドには,“適合規格=”で始まり,この規格
の規格番号及び発効年を書く。
例 ,,"適合規格=JIS X 4062 : 1998"
4.2.3
表題レコード 表題レコードの第 3 フィールドには,“表題=”で始まり,その交換用ファイルの
内容を示す文字列を書く。
例1. ,,"表題=『古事記』神名辞典"
例2. ,,"表題=1996年以降登録単語"
4.2.4
分野レコード 分野レコードの第 3 フィールドには,“分野=”で始まり,その交換用ファイルに
ある単語が,どの分野の単語を集めたものであるかを示す文字列を書く。
例1. ,,"分野=国文学・民俗学"
例2. ,,"分野=自分用"
4.2.5
版レコード版 レコードの第 3 フィールドには,“版=”で始まり,その交換用ファイルが第何版
であるかを示す文字列を書く。
例1. ,,"版=第1版"
例2. ,,"版=第2版補充"
4.2.6
編者レコード 編者レコードの第 3 フィールドには,“編者=”で始まり,その交換用ファイルの
編者名を示す文字列を書く。
例1. ,,"編者=歴史 好太郎"
例2. ,,"編者=オランダ地名普及協会,追補:山田 蘭太郎"
4.2.7
作成日レコード 作成日レコードの第 3 フィールドには,“作成日=”で始まり,その交換用ファ
イルの最新作成日を示す文字列を書く。形式は,JIS X 0301 の暦日付完全表記拡張形式を用いる。
すなわち,年 (YYYY),月 (MM),日 (DD) を“YYYY-MM-DD”と表記する。
例 ,,"作成日=1998-08-15"
4.3
交換用ファイル本体部
4.3.1
交換用ファイル本体部の概要 交換用ファイル本体部には,単語レコード,コメントレコード,空
レコードのいずれかを書く。単語の交換に利用されるのは,単語レコードだけである。
4.3.2
単語レコード 単語レコードは,交換用の 1 単語を表す。
第 1 フィールドは,よみ文字列フィールドとし,よみ文字列を書く。第 2 フィールドは,表記文字列フ
ィールドとし,表記文字列を書く。第 3 フィールドは,変換用品詞フィールドとし,変換用品詞名を書く。
これら三つのフィールドのうち,いずれか一つでも異なれば,別単語として扱い,別の単語レコードと
する。
第 4 フィールドは空とし,第 5 フィールド以降に文字列がある場合には,コメントフィールドとして扱
う。
例1. なかの,中野,姓
よみ文字列が“なかの”
,表記文字列が“中野”
,変換用品詞が“姓”であるレコード。
例2. やまだ,"山田 太郎""課長""",その他の人名,,"上司/得意先"
よみ文字列が“やまだ”
,表記文字列が“山田 太郎"課長"”
,変換用品詞が“その他の人名”
であるレコード。
コメントフィールドには“上司/得意先”という文字列が入っているが,このコメントフィ
ールドは,単語の交換には利用されない。
5
X 4062 : 1998
例3. 次の2レコードは,よみ文字列及び表記文字列が同じだが,変換用品詞が異なるので,別の単語
レコードとする。
なかの,中野,姓
なかの,中野,単純地名
4.3.3
コメントレコード コメントレコードの第 1 フィールドは空とする。第 2 フィールドは文字列とす
る。第 3 フィールド以降は,空でも文字列でもよい。文字列には何を書いてもよい。交換には利用されな
い。
例 ,"出典=『日本史小辞典』(山川出版)"
,"備考=『和蘭字彙』に漢字表記のあるもの"
,"目的=共同執筆でプログラマの人名カタカナ表記を統一する"
,"奈良時代"
4.3.4
空レコード 空レコードは,すべてのフィールドが空のレコードとする。交換には利用されない。
5.
単語レコードの各フィールド
5.1
よみ文字列フィールド
5.1.1
交換を保証する文字 よみ文字列として交換を保証する文字は,表 1 に示すものとする。平仮名と
片仮名のいずれを用いるかについては,
表 1 の推奨欄の文字を使用することが望ましい。
5.1.2
文字列長 交換を保証するよみ文字列の長さは,15 文字までとする。交換用ファイル入力システ
ムが受け入れることができる最大の文字列長は,処理系定義とする。
5.1.3
動詞,形容詞及び形容動詞のよみ文字列の書き方 表 2 に示す変換用品詞のうち,動詞及び形容詞
のよみ文字列は終止形で書く。形容動詞のよみ文字列は語幹を書く。サ変名詞及び形動名詞のよみ文字列
は,名詞としてのよみ文字列を書く。
例 なかの,中野,姓
こうかん,交換,サ変名詞
すたんだーど,スタンダード,形動名詞
あそぶ,遊ぶ,バ行五段
さっする,察する,サ変動詞
やすい,安い,形容詞
しずか,静か,形容動詞
5.2
表記文字列フィールド
5.2.1
交換を保証する文字 表記文字列として交換を保証する文字は,JIS X 0208 に定義されている図形
文字に限る。
5.2.2
文字列長 交換を保証する表記文字列の長さは,15 文字までとする。交換用ファイル入力システ
ムが受け入れることができる最大の文字列長は,処理系定義とする。
5.2.3
動詞,形容詞及び形容動詞の表記文字列の書き方 表 2 に示す変換用品詞のうち,動詞及び形容詞
の表記文字列は終止形で書く。形容動詞の表記文字列は語幹を書く。サ変名詞及び形動名詞の表記文字列
は,名詞としての表記文字列を書く(5.1.3
例を参照)。
5.3
変換用品詞フィールド
5.3.1
変換用品詞の分類 変換用品詞は,表 2 のように分類する。
6
X 4062 : 1998
5.3.2
変換用品詞フィールドに使用可能な文字列 変換用品詞フィールドには,表 2 の中分類又は小分類
にある変換用品詞名のうち,一つを利用する。これ以外の文字列を用いてはならない。
5.3.3
変換用品詞のふるまい 表 2 に示す変換用品詞の期待されるふるまいは,附属書 1 に示す。
5.4
コメントフィールド 何を書いてもよい。このフィールドはこの規格で規定する単語の交換に利用
されない。
表 1 よみ文字列として交換を保証する文字
文字
平仮名
文字の名称
文字
片仮名
文字の名称
推奨
ー KATAKANA-HIRAGANA
PROLONGED SOUND MARK
ー
KATAKANA-HIRAGANA
PROLONGED SOUND MARK
ぁ
HIRAGANA LETTER SMALL A
ァ
KATAKANA LETTER SMALL A
ぁ
あ HIRAGANA
LETTER
A
ア
KATAKANA LETTER A
あ
ぃ
HIRAGANA LETTER SMALL I
ィ
KATAKANA LETTER SMALL I
ぃ
い
HIRAGANA LETTER I
イ
KATAKANA LETTER I
い
ぅ
HIRAGANA LETTER SMALL U
ゥ
KATAKANA LETTER SMALL U
ぅ
う
HIRAGANA LETTER U
ウ
KATAKANA LETTER U
う
ぇ
HIRAGANA LETTER SMALL E
ェ
KATAKANA LETTER SMALL E
ぇ
え
HIRAGANA LETTER E
エ
KATAKANA LETTER E
え
ぉ
HIRAGANA LETTER SMALL O
ォ
KATAKANA LETTER SMALL O
ぉ
お
HIRAGANA LETTER O
オ
KATAKANA LETTER O
お
か
HIRAGANA LETTER KA
カ
KATAKANA LETTER KA
か
が HIRAGANA
LETTER
GA
ガ
KATAKANA LETTER GA
が
き
HIRAGANA LETTER KI
キ
KATAKANA LETTER KI
き
ぎ HIRAGANA
LETTER
GI
ギ
KATAKANA LETTER GI
ぎ
く
HIRAGANA LETTER KU
ク
KATAKANA LETTER KU
く
ぐ HIRAGANA
LETTER
GU
グ
KATAKANA LETTER GU
ぐ
け
HIRAGANA LETTER KE
ケ
KATAKANA LETTER KE
け
げ HIRAGANA
LETTER
GE
ゲ
KATAKANA LETTER GE
げ
こ
HIRAGANA LETTER KO
コ
KATAKANA LETTER KO
こ
ご HIRAGANA
LETTER
GO
ゴ
KATAKANA LETTER GO
ご
さ
HIRAGANA LETTER SA
サ
KATAKANA LETTER SA
さ
ざ
HIRAGANA LETTER ZA
ザ
KATAKANA LETTER ZA
ざ
し
HIRAGANA LETTER SI
シ
KATAKANA LETTER SI
し
じ
HIRAGANA LETTER ZI
ジ
KATAKANA LETTER ZI
じ
す
HIRAGANA LETTER SU
ス
KATAKANA LETTER SU
す
ず
HIRAGANA LETTER ZU
ズ
KATAKANA LETTER ZU
ず
せ
HIRAGANA LETTER SE
セ
KATAKANA LETTER SE
せ
ぜ
HIRAGANA LETTER ZE
ゼ
KATAKANA LETTER ZE
ぜ
そ
HIRAGANA LETTER SO
ソ
KATAKANA LETTER SO
そ
ぞ
HIRAGANA LETTER ZO
ゾ
KATAKANA LETTER ZO
ぞ
た HIRAGANA
LETTER
TA
タ
KATAKANA LETTER TA
た
だ
HIRAGANA LETTER DA
ダ
KATAKANA LETTER DA
だ
ち HIRAGANA
LETTER
TI
チ
KATAKANA LETTER TI
ち
ぢ
HIRAGANA LETTER DI
ヂ
KATAKANA LETTER DI
ぢ
っ
HIRAGANA LETTER SMALL TU
ッ
KATAKANA LETTER SMALL TU
っ
つ HIRAGANA
LETTER
TU
ツ
KATAKANA LETTER TU
つ
づ
HIRAGANA LETTER DU
ヅ
KATAKANA LETTER DU
づ
て HIRAGANA
LETTER
TE
テ
KATAKANA LETTER TE
て
7
X 4062 : 1998
文字
平仮名
文字の名称
文字
片仮名
文字の名称
推奨
で
HIRAGANA LETTER DE
デ
KATAKANA LETTER DE
で
と HIRAGANA
LETTER
TO
ト
KATAKANA LETTER TO
と
ど
HIRAGANA LETTER DO
ド
KATAKANA LETTER DO
ど
な
HIRAGANA LETTER NA
ナ
KATAKANA LETTER NA
な
に
HIRAGANA LETTER NI
ニ
KATAKANA LETTER NI
に
ぬ
HIRAGANA LETTER NU
ヌ
KATAKANA LETTER NU
ぬ
ね
HIRAGANA LETTER NE
ネ
KATAKANA LETTER NE
ね
の
HIRAGANA LETTER NO
ノ
KATAKANA LETTER NO
の
は
HIRAGANA LETTER HA
ハ
KATAKANA LETTER HA
は
ば
HIRAGANA LETTER BA
バ
KATAKANA LETTER BA
ば
ぱ
HIRAGANA LETTER PA
パ
KATAKANA LETTER PA
ぱ
ひ
HIRAGANA LETTER HI
ヒ
KATAKANA LETTER HI
ひ
び
HIRAGANA LETTER BI
ビ
KATAKANA LETTER BI
び
ぴ
HIRAGANA LETTER PI
ピ
KATAKANA LETTER PI
ぴ
ふ
HIRAGANA LETTER HU
フ
KATAKANA LETTER HU
ふ
ぶ
HIRAGANA LETTER BU
ブ
KATAKANA LETTER BU
ぶ
ぷ
HIRAGANA LETTER PU
プ
KATAKANA LETTER PU
ぷ
へ
HIRAGANA LETTER HE
ヘ
KATAKANA LETTER HE
へ
べ
HIRAGANA LETTER BE
ベ
KATAKANA LETTER BE
べ
ぺ
HIRAGANA LETTER PE
ペ
KATAKANA LETTER PE
ぺ
ほ
HIRAGANA LETTER HO
ホ
KATAKANA LETTER HO
ほ
ぼ
HIRAGANA LETTER BO
ボ
KATAKANA LETTER BO
ぼ
ぽ
HIRAGANA LETTER PO
ポ
KATAKANA LETTER PO
ぽ
ま
HIRAGANA LETTER MA
マ
KATAKANA LETTER MA
ま
み
HIRAGANA LETTER MI
ミ
KATAKANA LETTER MI
み
む
HIRAGANA LETTER MU
ム
KATAKANA LETTER MU
む
め
HIRAGANA LETTER ME
メ
KATAKANA LETTER ME
め
も
HIRAGANA LETTER MO
モ
KATAKANA LETTER MO
も
ゃ
HIRAGANA LETTER SMALL YA
ャ
KATAKANA LETTER SMALL YA
ゃ
や HIRAGANA
LETTER
YA
ヤ
KATAKANA LETTER YA
や
ゅ
HIRAGANA LETTER SMALL YU
ュ
KATAKANA LETTER SMALL YU
ゅ
ゆ HIRAGANA
LETTER
YU
ユ
KATAKANA LETTER YU
ゆ
ょ
HIRAGANA LETTER SMALL YO
ョ
KATAKANA LETTER SMALL YO
ょ
よ HIRAGANA
LETTER
YO
ヨ
KATAKANA LETTER YO
よ
ら
HIRAGANA LETTER RA
ラ
KATAKANA LETTER RA
ら
り
HIRAGANA LETTER RI
リ
KATAKANA LETTER RI
り
る
HIRAGANA LETTER RU
ル
KATAKANA LETTER RU
る
れ
HIRAGANA LETTER RE
レ
KATAKANA LETTER RE
れ
ろ
HIRAGANA LETTER RO
ロ
KATAKANA LETTER RO
ろ
わ HIRAGANA
LETTER
WA
ワ
KATAKANA LETTER WA
わ
を HIRAGANA
LETTER
WO
ヲ
KATAKANA LETTER WO
を
ん
HIRAGANA LETTER N
ン
KATAKANA LETTER N
ん
ヴ
KATAKANA LETTER VU
ヴ
8
X 4062 : 1998
参考 次の文字は,JIS X 0208 の“平仮名”又は“片仮名”に存在するが,よみ文字列としての交換
を保証しない。
文字
平仮名
文字の名称
文字
片仮名
文字の名称
ゎ HIRAGANA LETTER SMALL WA
ヮ
KATAKANA LETTER SMALL WA
ゐ HIRAGANA
LETTER
WI
ヰ
KATAKANA LETTER WI
ゑ HIRAGANA
LETTER
WE
ヱ
KATAKANA LETTER WE
ヵ
KATAKANA LETTER SMALL KA
ヶ
KATAKANA LETTER SMALL KE
表 2 変換用品詞の分類
大分類
中分類
小分類
品詞 活用しない自立語
名詞
普通名詞
固有名詞
人名
姓
名
その他の人名
地名
単純地名
接尾語付き地名
組織名
その他の固有名詞
サ変名詞
形動名詞
連体詞
副詞
接続詞
感動詞
活用する自立語
動詞
五段動詞
カ行五段
サ行五段
タ行五段
ナ行五段
マ行五段
ラ行五段
ワ行五段
ガ行五段
バ行五段
一段動詞
カ変動詞
サ変動詞
ザ変動詞
形容詞
形容動詞
活用しない附属語
助詞
(交換の対象としない)
活用する附属語
助動詞
(交換の対象としない)
自立語・附属語以外 接頭語
数字列接頭語
接尾語
名詞を作る接尾語 人名接尾語
地名接尾語
組織名接尾語
数字列接尾語
成句
無品詞
9
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6.
交換用ファイル入力システムの動作
6.1
交換用ファイル入力システムの機能
6.1.1
登録 交換用ファイルにある単語の表記文字列が,仮名漢字変換するときに候補に現れるようにす
る機能。この機能の実装は必す(須)とし,実装手段は処理系依存とする。
6.1.2
削除 交換用ファイルにある単語が,受け入れる側の仮名漢字変換システムの単語との間で,次の
条件をすべて満たしている場合,仮名漢字変換するときに a)∼c)を満たす候補として現れないようにする
機能。この機能の実装は処理系定義とし,実装手段は処理系依存とする。
a)
よみ文字列が対応していること。
表 1 において同一行の平仮名と片仮名とは対応する。
表 1 にない文字に関して対応しているとみなすか否かは,処理系依存とする。
例 “ひらがな”と“ヒラガナ”は対応する。
b)
表記文字列が一致していること。
c)
6.2.1
に定義する対応で変換用品詞が対応していること。
参考 削除した後でも,同じよみ,同じ表記で異なる変換用品詞をもつ候補が現れることはあり得る。
例えば,次の二つの単語が受け入れる側の仮名漢字変換システムに登録されているとする。
なかの,中野,姓
なかの,中野,単純地名
この状態で,よみが“なかの”
,表記が“中野”
,変換用品詞が“姓”という単語を削除した
場合,削除以降でも当該仮名漢字変換システムにおいて“なかの”というよみで,表記が“中
野”
,変換用品詞が“単純地名”である単語の候補が現れることがある。
6.2
交換用ファイル中の単語の登録又は削除の動作
6.2.1
変換用品詞の対応 交換用ファイルにおける変換用品詞名を,受け入れる側の仮名漢字変換システ
ムの変換用品詞名に対応づけるときは,
附属書 1 に規定する変換用品詞のふるまいに該当するものの中で,
最も細かく分けてある品詞に対応づけることとする。
交換用ファイルにおける変換用品詞が
表 2 の中分類であって,受け入れる側の仮名漢字変換システムの
変換用品詞が小分類に該当する場合,どの変換用品詞と対応させるかは,処理系定義とする。
また,形動名詞については,直接該当する変換用品詞がない場合には,形容動詞相当の変換用品詞と普
通名詞相当の変換用品詞との両方に対応づけて登録又は削除する。
例1. 交換用ファイルの変換用品詞が小分類の姓で,受け入れ側システムの“苗字”という変換用品
詞が姓に相当する場合,
“苗字”で登録する。
例2. 交換用ファイルの変換用品詞が小分類の姓で,受け入れ側システムの変換用品詞に,中分類で
ある人名相当はあるが姓相当がない場合,人名相当の変換用品詞で登録する。
例3. 交換用ファイルの変換用品詞が中分類の人名で,受け入れ側システムの変換用品詞に,小分類
である姓相当と名相当はあるが,人名相当の変換用品詞がなく,人名を名相当に処理系定義し
ている場合,名相当の変換用品詞で受け入れる。
6.2.2
交換用ファイルの中の単語の登録又は削除が不可能な場合の動作 交換用ファイルの中にある単
語に関して,登録又は削除の対象とすることが不可能な場合,入力システムは,次の二つの場合を除いて
その単語と受け入れ不可能な理由を出力しなければならない。
出力の形式及び方法は,
処理系依存とする。
a)
登録において,対応する単語が既に受け入れる仮名漢字変換システムに存在する。
b)
削除において,対応する単語が仮名漢字変換システムに存在しない。
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参考 登録又は削除が不可能な理由には,次のようなものが考えられる。
例1. よみ文字列に当該の仮名漢字変換システムで利用不可能な文字が使われている。
例2. よみ文字列又は表記文字列の文字列長が当該の仮名漢字変換システムの最大長を超えてい
る。
例3. 表2の中分類及び小分類に対応する変換用品詞が存在しない。
例4. 削除の場合,対応する単語に削除不可属性が付けられている。
例5. 登録の場合,登録可能な単語レコード数の上限を超えている。
6.2.3
交換用ファイルのレコードの並び順と仮名漢字変換システムの優先順位 登録の場合,交換用ファ
イルの中のレコードの並び順が,個々の仮名漢字変換システムにおいて,表記文字列の候補間における優
先順位に反映されるかどうかは,処理系依存とする。
7.
交換用ファイル出力システムの動作
7.1
交換用ファイル出力システムの機能 交換用ファイル出力システムは,個々の仮名漢字変換システ
ムが使用している辞書の一部を,4.及び 5.で規定する交換用ファイルの形式で出力する。
7.2
出力するよみ文字列の文字 よみ文字列に用いる文字に関しては表 1 で推奨する文字が望ましい。
7.3
出力する表記文字列の文字 表記文字列に出力しようとする文字が JIS X 0208 にない文字である場
合,どのように処理するかは,処理系依存とする。
7.4
変換用品詞の対応 変換用品詞名に関しては,6.2.1 による。
ただし,個々の仮名漢字変換システムの変換用品詞に形動名詞相当がなく,かつ,よみ文字列と表記文
字列が一致する形容動詞相当の単語と普通名詞相当の単語との二つがある場合,形動名詞の 1 単語にまと
めて出力することが望ましい。
対応する変換用品詞がない場合には,出力しない。
8.
適合性
8.1
交換用ファイルの適合性 交換用ファイルは,4.及び 5.の規定を満たしていること。
8.2
交換用ファイル入力システムの適合性 交換用ファイル入力システムの適合性を主張するには,6.
の規定を満たし,かつ,次の条件をすべて満たさなければならない。
a)
削除の機能をもつかどうか文書として参照できなければならない。
b)
処理可能な符号化文字集合について文書として参照できなければならない。
c)
レコード末の取扱い(符号化)についても文書として参照できなければならない。
d)
よみ文字列・表記文字列に使用できる文字及び文字列長並びに処理可能なレコードの全長に関する限
界が,文書として参照できなければならない。
e)
表 2 に示した変換用品詞名と,受入れ側の仮名漢字変換システムにおける変換用品詞名との対応が,
処理対象にできない変換用品詞も含めて文書として参照できなければならない。
f)
6.2.2
に示した,登録又は削除が不可能な単語とその理由についての出力に関する説明が文書として参
照できなければならない。
8.3
交換用ファイル出力システムの適合性 交換用ファイル出力システムの適合性を主張するには,7.
の規定を満たし,かつ次の条件をすべて満たさなければならない。
a)
出力する符号化文字集合について文書として参照できなければならない。
b)
レコード末の取扱い(符号化)についても文書として参照できなければならない。
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c)
表 2 に示した変換用品詞と,書出し側の仮名漢字変換システムでの変換用品詞名との対応表が文書と
して参照できなければならない。
d)
出力する単語の範囲について文書として参照できなければならない。
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附属書(規定) 変換用品詞の分類と定義
1.
この規格が対象とする品詞の分類 この規格でいう品詞は,仮名漢字変換における変換用品詞とする。
仮名漢字変換における変換用品詞を次のように分類する。
大分類
中分類
小分類
品詞 活用しない自立語
名詞
普通名詞
固有名詞
人名
姓
名
その他の人名
地名
単純地名
接尾語付き地名
組織名
その他の固有名詞
サ変名詞
形動名詞
連体詞
副詞
接続詞
感動詞
活用する自立語
動詞
五段動詞
カ行五段
サ行五段
タ行五段
ナ行五段
マ行五段
ラ行五段
ワ行五段
ガ行五段
バ行五段
一段動詞
カ変動詞
サ変動詞
ザ変動詞
形容詞
形容動詞
活用しない附属語
助詞
(交換の対象としない)
活用する附属語
助動詞
(交換の対象としない)
自立語・附属語以外
接頭語
数字列接頭語
接尾語
名詞を作る接尾語
人名接尾語
地名接尾語
組織名接尾語
数字列接尾語
成句
無品詞
表にあげた順序に従って,それぞれの変換用品詞を,可能な限り接続情報を中心に定義する。
接続情報は,次による。
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a)
単語の接尾語
b)
活用する単語における活用語尾
c)
文節の中での助詞・助動詞
d)
文節をまたいだ連体修飾・連用修飾
備考 仮名漢字変換では,一般の学校文法でいう単語よりも長い単位で語を扱う方が便利なことがあ
る。
例 “万全を期す”,“後塵を拝する”,“マタイによる福音書”,“天衣紛上野初花”(くもにまが
ううえののはつはな)
,
“息の長い”
この規格では,このような複数の文節から成り立つ長い単位も,便宜上,単語として扱う。
この場合の,変換用品詞及びその接続情報は,それらの文節を構成する最後の要素である
語によってもよい。
例 “万全を期す”の接続情報は“期す”によるので動詞とし,“天衣紛上野初花”(くもにまが
ううえののはつはな)は“初花”によって名詞とし,
“息の長い”は“長い”によって形容詞
とする。
参考 品詞の選定基準 この規格では,次の三つの条件をすべて満たす変換用品詞を交換の対象とし
て選定した。
1)
通常の書き言葉に現れる単語の変換用品詞。
2)
多くの仮名漢字変換システムに共通して使われており,交換が可能な変換用品詞。
3)
交換する語数がある程度以上存在すると思われる変換用品詞。
参考 品詞の名称 品詞の名称に関して,この規格では,内容に大きな隔たりがない限り,義務教育
で行われる学校文法の品詞名又は国語辞典で使われている品詞名を,従来の仮名漢字変換シス
テムで使われている品詞名よりも優先して選定する。
この結果,必ずしも従来の仮名漢字変換システムで使われている品詞名を踏襲しない名称も
ある。
2.
活用しない自立語の定義
2.1
活用しない自立語の分類 この規格では,活用しない自立語を次のように分類する。
大分類
中分類
小分類
品詞 活用しない自立語
名詞
普通名詞
固有名詞
人名
姓
名
その他の人名
地名
単純地名
接尾語付き地名
組織名
その他の固有名詞
サ変名詞
形動名詞
連体詞
副詞
接続詞
感動詞
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品詞が枝分かれしている場合,下位の品詞は,上位の品詞の性質を受け継ぐ。例えば,姓は,名詞の性
格をもっており,さらに,接続属性において,特定された性格をもつ。
2.2
名詞
2.2.1
名詞の定義 連体修飾を受ける。当該文節の中では,次のような助詞・助動詞が接続する。
助詞の例:が,の,に,を,へ,から,など,よ,ね,……
助動詞の例:だ,です,のようだ,のようです,らしい,……
2.2.2
普通名詞 普通名詞は,名詞の中で,固有名詞,サ変名詞及び形動名詞にある特別の接続情報をも
たないものをすべて含む。
例 文明,来年,彼女,ライオン,公務員,福寿草,天地,ゲルマニウム,エチルアルコール,硝酸
塩,紙やすり,サスペンション,フレアスカート,オムライス,烏龍茶,うがい薬,ワゴン車,
貿易風,頭痛,ミリオンヒット,七夕祭,首都機能,ジェンダー論,ブレーンバスター,一塁手,
徒労感,同業他社,核廃絶,真善美,ジュラ紀,辰巳,等温線,厚み,悲しさ,動き,明かり,
……
2.2.3
固有名詞 固有名詞は,意味の上では特定の人・土地・組織などを指すものをいうが,仮名漢字変
換のための品詞という観点からすると,特定の接尾語が付くものをいう。
どの接尾語が付くかは,人名,地名,組織名でそれぞれに異なる。
a)
人名 人名接尾語が付く。
人名接尾語の例:さん,様,ちゃん,先生,課長,……
1)
姓 人名の中で,名の前にくる。姓名の姓又はファーストネーム。
例 田中,秋本,渡辺,ジョン,ルーシー,……
2)
名 人名の中で,姓の後にくる。姓名の名又はラストネーム。
例 一郎,明,和子,百恵,スミス,ケネディ,……
参考 姓と名の関係は,姓が前にくるという定義なので,“ジョン スミス”などの場合には,ファー
ストネームの“ジョン”が姓でラストネームの“スミス”が名という,社会慣習上とは逆の定
義になる。
3)
その他の人名 人名の中で,姓名を一緒に登録したい場合,姓名の区別がない場合,及びミドルネ
ームなどの,姓でも名でもないもの。
例 源頼朝,阿佛尼,ゼウス,セバスチャン,……
b)
地名 特定の土地の名前を表す。地名接尾語が付くものと付かないものがある。
地名接尾語の例:国,都,道,府,州,省,県,郡,市,区,町,村,駅,……
1)
単純地名 地名接尾語が付く。地名接尾語がないものは,これである場合が多い。
例 フランス,カリフォルニア,東京,千葉,浦和,十和田,……
2)
接尾語付き地名 地名接尾語が付かない。地名接尾語がすでに付いているものは,これである場合
が多い。
例 フランス国,カリフォルニア州,東京都,東京駅,千葉県,浦和市,十和田市,十和田湖,ユカ
タン半島,八丈島,関門海峡,八甲田山,利根川,オホーツク海,……
c)
組織名 特定の組織や企業の名前を表す。組織名接尾語が付く。
組織名接尾語の例:御中,行き
例 ユニセフ,通産省,国立国語研究所,日本規格協会,…….
d)
その他の固有名詞 固有名詞の中で,書名,曲名,映画の題名,商品名,人工建造物など,人名でも
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地名でも組織名でもないもの。
例 枕草子,アイネクライネナハトムジーク,春の小川,風と共に去りぬ,味の素,金門橋,松本城,
法隆寺,出雲大社,霞が関ビル,……
2.2.4
サ変名詞 普通名詞と同じ接続をし,かつ,“する”が付いてサ変動詞となる。
例 勉強,ガリ勉,借金,予告先発,記者会見,アクセス,ドライブ,……
2.2.5
形動名詞 普通名詞と同じ接続をし,かつ,形容動詞の活用語尾が付いて形容動詞となる。
例 自由,勤勉,スタンダード,イレギュラー,ナチュラル,……
2.3
連体詞 全体として体言になっている連文節(名詞句)の前にきて連体修飾する。連体修飾を受け
られない。当該文節の中では,話し言葉の助詞
“ね,よ,さ”以外は接続しない。
例 我が,この,あらゆる,恋多き,堂々たる,水ももらさぬ,……
2.4
副詞 用言・述語の前にきて連用修飾する。連体修飾を受けられない。当該文節の中で続く助詞は
語によって異なる。
例 ガタガタ,ガタガタと,つるつる,つるつるに,とにかく,もっぱら,いったん,……
2.5
接続詞 文や句や語をつなぐ。連体修飾を受けられない。当該文節の中では,話し言葉では助詞“ね,
よ,さ”以外は接続しない。
例 しかし,そして,……
2.6
感動詞 それだけで 1 文であるか,文の中にあっても文の他の成分に対して独立に使われる。当該
文節においては,これだけで 1 文節となり,話し言葉では助詞“ね,よ,さ”を含め一切の附属語が付か
ない。
例 ああ,エッ,はい,……
3.
活用する自立語の定義
3.1
活用する自立語の分類 活用する自立語の分類は次による。
大分類
中分類
小分類
品詞 活用する自立語
動詞
五段動詞
カ行五段
サ行五段
タ行五段
ナ行五段
マ行五段
ラ行五段
ワ行五段
ガ行五段
バ行五段
一段動詞
カ変動詞
サ変動詞
ザ変動詞
形容詞
形容動詞
3.2
仮名漢字変換における活用形 この規格では,仮名を単位に活用語尾を示すことによって,活用す
る自立語の品詞を定義する。各活用形の代表的な用法は,次による。
未然形 1 助動詞“ない”
,
“(ら)れる”などに続く。
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未然形 2 五段動詞では助動詞“う”に,それ以外では助動詞“よう”に続く。
連用形 1 連用中止法に使う,助動詞“ます”に続く等。
連用形 2 助詞“て”
,助動詞“た”に続く。
終止形
文の終りになれる。
連体形
連体修飾する。
仮定形
助詞“ば”に続く。
命令形
命令の意味で文の終りになれる。
3.3
以降に示す活用語尾表の記号の意味は,次のとおりとする。
*……連用形 2(音便形)に続く“た”
,
“て”が濁音化する。
○……活用語尾がなく,語幹が直接附属語などに接続する。
×……その活用形がない。
3.3
動詞
3.3.1
動詞の定義 活用する自立語の中で,終止形がウ段で終わるもの。接続情報としては,語幹部分が
動詞活用語尾に続くもの。
参考 学校文法・国語辞典の文法と違う点として,この規格は,口語文の品詞を扱うので,接続情報
として上一段活用と下一段活用を分ける必要がなく,一括して一段動詞とする。
3.3.2
五段動詞 五段動詞は次による。
a)
カ行五段
未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
1
2
1
2
か こ き い
く
く
け
け
例 置く,書く,動く,鳴く,胡座をかく,……
参考 連用形 2(音便形)が“っ”になるものは扱わない。
b)
サ行五段
未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
1
2
1
2
さ そ し し
す
す
せ
せ
例 探す,押す,出す,示す,愛す,万全を期す,愛想を尽かす,……
c)
タ行五段
未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
1
2
1
2
た と ち っ
つ
つ
て
て
例 放つ,打つ,立つ,勝つ,待つ,肩をもつ,……
d)
ナ行五段
未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
1
2
1
2
な の に ん*
ぬ
ぬ
ね
ね
例 死ぬ,焼け死ぬ,のたれ死ぬ,……
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e)
マ行五段
未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
1
2
1
2
ま も み ん*
む
む
め
め
例 住む,飲む,読む,気をもむ,……
f)
ラ行五段
未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
1
2
1
2
ら ろ り っ
る
る
れ
れ
例 散る,乗る,あげ足をとる,……
参考 命令形が“い”になるものは扱わない。
g)
ワ行五段
未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
1
2
1
2
わ お い っ
う
う
え
え
例 会う,思う,笑う,うまが合う,……
参考1. “アワ行五段”又は“ワア行五段”と呼ばれることもある。
2.
連用形 2(音便形)が“う”になるものは扱わない。
h)
ガ行五段
未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
1
2
1
2
が ご ぎ い*
ぐ
ぐ
げ
げ
例 漕ぐ,泳ぐ,片棒をかつぐ,かぶとを脱ぐ,……
i)
バ行五段
未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
1
2
1
2
ば ぼ び ん*
ぶ
ぶ
べ
べ
例 選ぶ,飛ぶ,浮かぶ,人目を忍ぶ,涙にむせぶ,……
3.3.3
一段動詞
未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
1
2
1
2
○ ○ ○ ○
る
る
れ
ろ
よ
例 見る,着る,射る,植える,案じる,馬鹿を見る,味をしめる,……
3.3.4
カ変動詞
未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
1
2
1
2
こ こ き き
くる
くる
くれ
こい
例 もってくる,…
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3.3.5
サ変動詞
未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
1
2
1
2
し し し し
する
する
すれ
しろ
せ
せよ
例 熱する,察する,無にする,見殺しにする,……
3.3.6
ザ変動詞
未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
1
2
1
2
じ じ じ じ
ずる
ずる
ずれ
じろ
ぜ
ぜよ
例 案ずる,準ずる,奉ずる,……
3.4
形容詞 活用する自立語の中で,終止形が“い”で終わるもの。接続情報としては,語幹部分が形
容詞活用語尾に続くもの。
未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
1
2
1
2
く × く
かっ
い
い
けれ
×
例 淡い,新しい,高い,楽しい,うれしい,涼しい,ばつが悪い,鼻が高い,……
3.5
形容動詞 活用する自立語の中で,終止形が“だ”で終わるもの。接続情報としては,語幹部分が
形容動詞活用語尾に続くもの。
未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
1
2
1
2
で × で
だっ
だ
な
なら
×
に
例 静か,のどか,明らか,さわやか,……
4.
附属語の定義
4.1
附属語の分類 附属語の分類は次による。ただし,交換の対象とはしない。
大分類
中分類
小分類
活用しない附属語
助詞
(交換の対象としない)
活用する附属語
助動詞
(交換の対象としない)
5.
自立語・附属語以外の定義
5.1
自立語・附属語以外の分類 自立語でも附属語でもない変換用品詞の分類は次による。交換の対象
とするものは表にあげたものに限る。
大分類
中分類
小分類
自立語・附属語以外 接頭語
数字列接頭語
接尾語 名詞を作る接尾語 人名接尾語
地名接尾語
組織名接尾語
数字列接尾語
成句
無品詞
5.2
接頭語 接頭語は次による。
a)
数字列接頭語 語次に数字列がくる。
19
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例 平成,勤続,……
参考 冠数詞と呼ばれることもある。
5.3
接尾語 接尾語は次による。
5.3.1
名詞を作る接尾語 この接尾語が接続した結果,全体としては名詞を作る。
a)
人名接尾語 人名に付く。
例 さま,邸,博士,社長,部長,アナウンサー,……(人名に付いて人名を作る)
有限会社,電気店,……(人名に付いて組織名を作る)
荘,アパート,ビル,……(人名に付いてその他の固有名詞を作る)
b)
地名接尾語 単純地名に付く。
例 国,都,道,府,州,省,県,郡,市,区,町,村,駅,岬,半島,島,アイランド,ベイエリ
ア,……(単純地名に付いて地名を作る)
産業,工務店,……(単純地名に付いて組織名を作る)
アパート,ビル,……(単純地名に付いてその他の固有名詞を作る)
c)
組織名接尾語 組織名に付く。
例 御中,行き
d)
数字列接尾語 数字の連続した文字列に付く。
例 円,億円,年,年目,回,回目,インチ,個,アンペア,ヘクトパスカル,……
参考 助数詞と呼ばれることもある。
5.4
成句 2 文節以上で,活用のないもの。
例 木を見て森を見ず
5.5
無品詞 よみと表記があって,品詞を定義できないもの。
参考 従来の仮名漢字変換システムにおける単漢字もこの品詞に属する。
20
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電子文書処理システム標準化調査研究委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
斎 藤 信 男
慶應義塾大学環境情報学部
荒 武 謙一郎
株式会社管理工学研究所
池 田 克 夫
京都大学工学部情報工学教室
小野沢 賢 三
社団法人日本印刷技術協会研究調査部
桐 谷 俊 雄
社団法人日本事務機械工業会技術部
小 林 茂
日本ユニシス株式会社システムプロダクト部
小 林 龍 生
株式会社ジャストシステムディジタル文化研究所
小 町 祐 史
松下電送株式会社技術研究所
芝 野 耕 司
東京国際大学商学部経営情報学科(現東京外国語大学アジア・
アフリカ言語文化研究所)
染 谷 博 之
日本電気株式会社インフォメーションシステム部
武 田 博 直
株式会社セガ・エンタープライゼス第 5AM 研究開発部
中 原 康
株式会社東芝コンピュータ・通信ネットワーク事業統括部
永 松 荘 一
通商産業省機械情報産業局電子機器課
中 村 茂 之
日本アイ・ビー・エム株式会社開発製造スタッフオペレーションズ標準
橋 爪 邦 隆
通商産業省工業技術院標準部
林 乙 平
富士通株式会社ソフトウェア事業本部企画部
深 見 拓 史
凸版印刷株式会社マルチメディア事業部
宮 崎 猛
社団法人日本新聞協会技術コンサルタント
安 田 寿 明
文教大学情報学部情報システム学科
渡 邊 信 一
大日本印刷株式会社 AC 事業部
(事務局)
小笠原 康 直
財団法人日本規格協会情報技術標準化研究センター
電子文書処理システム標準化調査委員会 WG3 構成表
氏名
所属
(主査)
芝 野 耕 司
東京国際大学商学部経営情報学科(現東京外国語大学アジア・
アフリカ言語文化研究所)
(幹事)
荒 武 謙一郎
株式会社管理工学研究所
(幹事)
古 田 啓
お茶の水女子大学文教育学部言語文化学科
浅 川 泰 彦
日本電気オフィスシステム株式会社 CALS ビジネス推進部
伊 勢 浩
読売新聞社制作局制作システム部
小野沢 賢 三
社団法人日本印刷技術協会研究調査部
久保田 淳 市
松下電器産業株式会社マルチメディア開発センター
河 野 勝 也
株式会社日立製作所マルチメディア中央研究所
小 林 龍 生
株式会社ジャストシステムディジタル文化研究所
小 山 泰 男
エー・アイ・ソフト株式会社 BS 事業部
須 崎 琢 也
通商産業省工業技術院標準部
田 代 敏 久
マイクロソフト株式会社第 1 研究開発本部
豊 島 正 之
東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所
中 里 茂 美
株式会社東芝マルチメディア技術研究所
萩 原 健
株式会社バックス
半 田 剣 一
電子技術総合研究所知能情報部
森 直 樹
日本アイ・ビー・エム株式会社大和研究所
(OBS)
三 吉 秀 夫
株式会社日本電子化辞書研究所技術部
(事務局)
小笠原 康 直
財団法人日本規格協会情報技術標準化研究センター