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世の中には、何とも頭のいい人がいるものだ。身のまわりにあるありきたりの道具を組み合
わせて、思っても見なかったような使いみちを考え出す。たとえば番号式になっている自転車
用のチェーン鍵と新幹線。このふたつを組み合わせてみよう。
ある人が東京駅で入場券を買って、新大阪行きの新幹線の網棚に荷物を置き、番号式の自転
車の鍵をかける。そして大阪の知人に電話をしてこう言うのだ。「ひかり○○号の×号車の一
番A席の網棚に、これこれの番号の鍵で荷物を乗せた」と。あとは新大阪でも入場券で入り、
電話で聞いた暗証番号で鍵をはずし、荷物を受け取る。東京‐大阪間三時間足らずの超特急便
のできあがりである。かかったコストは電話代とふたり分の入場券のみ。アイディアの勝利で
ある。
このやり方、一時は水面下でかなり使われていたらしい。社内便として使っていた企業もあ
れば、商業的に超特急便サービスをしていた会社もあるという。さすがのJRもこれに気がつ
き、取り締まるようになっている。格安の超特急便を使うことはできなくなった。しかし、
ちょっとしたアイディアが、もとの道具の用途からは想像もつかないような効果を生むわけだ。
インターネットの歩みは、この超格安新幹線便とそっくりだと思う。
新幹線を開発した人も、番号式の自転車の鍵を作った人も、まさか超格安便に自分たちの成
果が使われようとは、夢にも思わなかっただろう。それと同じように、ARPAネットを作っ
た人から見れば、インターネットは予期せざるいわば奇想天外な結末なのである。
いったん技術が実用に供され始めると、思っても見なかったような使い方を考えつく人が出
てくる。JRのようにそれを取り締まってしまえば、せっかくのアイディアもそこで終わりだ
が(そしてもちろん、JRが網棚の超特急便を取り締まったのはしごく当然のことだとは思う
が)、そのアイディアをおもしろい、と考え、それをさらに発展させてみる、というアプローチ
を取ると、誰もが予測できないほどの結果をもたらすことがある。
ARPAは後者を選んだ。すなわち、少々いかがわしくはあるが、利用者にとってはとても
魅力的な使い方を取り締まるのではなく、むしろ積極的に許容した。これがインターネット成
功の秘密だといっても過言ではない。
おもしろいアイディアが、また「それをもっと発展させてみたらどうなるだろう」という次
の実験を生む。本書の用語でいえば、「コンヴィヴィアルな実験」を繰り返すうちに、とんでも
なく効率的で魅力のある新しいシステムができあがってきた。ARPAネットの実験がやがて
インターネットへと発展してきた過程は、こんな流れだったのである。
インターネットと政策課題について取り上げる本章の冒頭から、いきなり新幹線便の話を出
したのには理由がある。政策課題というと、どうしても目標に向けてもっとも効率的に進んで
いくための方策は何か、というような方向に考えが向いてしまう。それでは必ずしもうまくい
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5
行,行間
6
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世の中には、何とも頭のいい人がいるものだ。身のまわりにあるありきたりの道具を組み合
わせて、思っても見なかったような使いみちを考え出す。たとえば番号式になっている自転車
用のチェーン鍵と新幹線。このふたつを組み合わせてみよう。
ある人が東京駅で入場券を買って、新大阪行きの新幹線の網棚に荷物を置き、番号式の自転
車の鍵をかける。そして大阪の知人に電話をしてこう言うのだ。「ひかり○○号の×号車の一
番A席の網棚に、これこれの番号の鍵で荷物を乗せた」と。あとは新大阪でも入場券で入り、
電話で聞いた暗証番号で鍵をはずし、荷物を受け取る。東京‐大阪間三時間足らずの超特急便
のできあがりである。かかったコストは電話代とふたり分の入場券のみ。アイディアの勝利で
ある。
このやり方、一時は水面下でかなり使われていたらしい。社内便として使っていた企業もあ
れば、商業的に超特急便サービスをしていた会社もあるという。さすがのJRもこれに気がつ
き、取り締まるようになっている。格安の超特急便を使うことはできなくなった。しかし、
ちょっとしたアイディアが、もとの道具の用途からは想像もつかないような効果を生むわけだ。
インターネットの歩みは、この超格安新幹線便とそっくりだと思う。
新幹線を開発した人も、番号式の自転車の鍵を作った人も、まさか超格安便に自分たちの成
果が使われようとは、夢にも思わなかっただろう。それと同じように、ARPAネットを作っ
た人から見れば、インターネットは予期せざるいわば奇想天外な結末なのである。
いったん技術が実用に供され始めると、思っても見なかったような使い方を考えつく人が出
てくる。JRのようにそれを取り締まってしまえば、せっかくのアイディアもそこで終わりだ
が(そしてもちろん、JRが網棚の超特急便を取り締まったのはしごく当然のことだとは思う
が)、そのアイディアをおもしろい、と考え、それをさらに発展させてみる、というアプローチ
を取ると、誰もが予測できないほどの結果をもたらすことがある。
ARPAは後者を選んだ。すなわち、少々いかがわしくはあるが、利用者にとってはとても
魅力的な使い方を取り締まるのではなく、むしろ積極的に許容した。これがインターネット成
功の秘密だといっても過言ではない。
おもしろいアイディアが、また「それをもっと発展させてみたらどうなるだろう」という次
の実験を生む。本書の用語でいえば、「コンヴィヴィアルな実験」を繰り返すうちに、とんでも
なく効率的で魅力のある新しいシステムができあがってきた。ARPAネットの実験がやがて
インターネットへと発展してきた過程は、こんな流れだったのである。
インターネットと政策課題について取り上げる本章の冒頭から、いきなり新幹線便の話を出
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ッ
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題
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8
ポ
世の中には、何とも頭のいい人がいるものだ。身のまわりにあるありきたりの道具を組み合わ
せて、思っても見なかったような使いみちを考え出す。たとえば番号式になっている自転車用の
チェーン鍵と新幹線。このふたつを組み合わせてみよう。
ある人が東京駅で入場券を買って、新大阪行きの新幹線の網棚に荷物を置き、番号式の自転車
の鍵をかける。そして大阪の知人に電話をしてこう言うのだ。「ひかり○○号の×号車の一番A
席の網棚に、これこれの番号の鍵で荷物を乗せた」と。あとは新大阪でも入場券で入り、電話で
聞いた暗証番号で鍵をはずし、荷物を受け取る。東京‐大阪間三時間足らずの超特急便のできあ
がりである。かかったコストは電話代とふたり分の入場券のみ。アイディアの勝利である。
このやり方、一時は水面下でかなり使われていたらしい。社内便として使っていた企業もあれ
ば、商業的に超特急便サービスをしていた会社もあるという。さすがのJRもこれに気がつき、
取り締まるようになっている。格安の超特急便を使うことはできなくなった。しかし、ちょっと
したアイディアが、もとの道具の用途からは想像もつかないような効果を生むわけだ。
インターネットの歩みは、この超格安新幹線便とそっくりだと思う。
新幹線を開発した人も、番号式の自転車の鍵を作った人も、まさか超格安便に自分たちの成果
が使われようとは、夢にも思わなかっただろう。それと同じように、ARPAネットを作った人
から見れば、インターネットは予期せざるいわば奇想天外な結末なのである。
いったん技術が実用に供され始めると、思っても見なかったような使い方を考えつく人が出て
くる。JRのようにそれを取り締まってしまえば、せっかくのアイディアもそこで終わりだが(そ
してもちろん、JRが網棚の超特急便を取り締まったのはしごく当然のことだとは思うが)、その
アイディアをおもしろい、と考え、それをさらに発展させてみる、というアプローチを取ると、
誰もが予測できないほどの結果をもたらすことがある。
ARPAは後者を選んだ。すなわち、少々いかがわしくはあるが、利用者にとってはとても魅
力的な使い方を取り締まるのではなく、むしろ積極的に許容した。これがインターネット成功の
秘密だといっても過言ではない。
おもしろいアイディアが、また「それをもっと発展させてみたらどうなるだろう」という次の
実験を生む。本書の用語でいえば、「コンヴィヴィアルな実験」を繰り返すうちに、とんでもなく
効率的で魅力のある新しいシステムができあがってきた。ARPAネットの実験がやがてイン
ターネットへと発展してきた過程は、こんな流れだったのである。
インターネットと政策課題について取り上げる本章の冒頭から、いきなり新幹線便の話を出し
たのには理由がある。政策課題というと、どうしても目標に向けてもっとも効率的に進んでいく
ための方策は何か、というような方向に考えが向いてしまう。それでは必ずしもうまくいかない
のではないか、というところから出発するために、意表を突いた目的外のアイディアのことを紹
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ム
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政
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8
ポ
世の中には、何とも頭のいい人がいるものだ。身のまわりにあるありきたりの道具を組み合わせ
て、思っても見なかったような使いみちを考え出す。たとえば番号式になっている自転車用の
チェーン鍵と新幹線。このふたつを組み合わせてみよう。
ある人が東京駅で入場券を買って、新大阪行きの新幹線の網棚に荷物を置き、番号式の自転車の
鍵をかける。そして大阪の知人に電話をしてこう言うのだ。「ひかり○○号の×号車の一番A席の
網棚に、これこれの番号の鍵で荷物を乗せた」と。あとは新大阪でも入場券で入り、電話で聞いた
暗証番号で鍵をはずし、荷物を受け取る。東京‐大阪間三時間足らずの超特急便のできあがりであ
る。かかったコストは電話代とふたり分の入場券のみ。アイディアの勝利である。
このやり方、一時は水面下でかなり使われていたらしい。社内便として使っていた企業もあれば、
商業的に超特急便サービスをしていた会社もあるという。さすがのJRもこれに気がつき、取り締
まるようになっている。格安の超特急便を使うことはできなくなった。しかし、ちょっとしたアイ
ディアが、もとの道具の用途からは想像もつかないような効果を生むわけだ。
インターネットの歩みは、この超格安新幹線便とそっくりだと思う。
新幹線を開発した人も、番号式の自転車の鍵を作った人も、まさか超格安便に自分たちの成果が
使われようとは、夢にも思わなかっただろう。それと同じように、ARPAネットを作った人から
見れば、インターネットは予期せざるいわば奇想天外な結末なのである。
いったん技術が実用に供され始めると、思っても見なかったような使い方を考えつく人が出てく
る。JRのようにそれを取り締まってしまえば、せっかくのアイディアもそこで終わりだが(そし
てもちろん、JRが網棚の超特急便を取り締まったのはしごく当然のことだとは思うが)、そのアイ
ディアをおもしろい、と考え、それをさらに発展させてみる、というアプローチを取ると、誰もが
予測できないほどの結果をもたらすことがある。
ARPAは後者を選んだ。すなわち、少々いかがわしくはあるが、利用者にとってはとても魅力
的な使い方を取り締まるのではなく、むしろ積極的に許容した。これがインターネット成功の秘密
だといっても過言ではない。
おもしろいアイディアが、また「それをもっと発展させてみたらどうなるだろう」という次の実
験を生む。本書の用語でいえば、「コンヴィヴィアルな実験」を繰り返すうちに、とんでもなく効率
的で魅力のある新しいシステムができあがってきた。ARPAネットの実験がやがてインターネッ
トへと発展してきた過程は、こんな流れだったのである。
インターネットと政策課題について取り上げる本章の冒頭から、いきなり新幹線便の話を出した
のには理由がある。政策課題というと、どうしても目標に向けてもっとも効率的に進んでいくため
の方策は何か、というような方向に考えが向いてしまう。それでは必ずしもうまくいかないのでは
ないか、というところから出発するために、意表を突いた目的外のアイディアのことを紹介したの
第
3
章
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ー
ネ
ッ
ト
ブ
ー
ム
と
政
策
課
題
世の中には、何とも頭のいい人がいるものだ。身のまわりにあるありきたりの道具を組み合わせ
て、思っても見なかったような使いみちを考え出す。たとえば番号式になっている自転車用の
チェーン鍵と新幹線。このふたつを組み合わせてみよう。
ある人が東京駅で入場券を買って、新大阪行きの新幹線の網棚に荷物を置き、番号式の自転車の
鍵をかける。そして大阪の知人に電話をしてこう言うのだ。「ひかり○○号の×号車の一番A席の
網棚に、これこれの番号の鍵で荷物を乗せた」と。あとは新大阪でも入場券で入り、電話で聞いた
暗証番号で鍵をはずし、荷物を受け取る。東京‐大阪間三時間足らずの超特急便のできあがりであ
る。かかったコストは電話代とふたり分の入場券のみ。アイディアの勝利である。
このやり方、一時は水面下でかなり使われていたらしい。社内便として使っていた企業もあれば、
商業的に超特急便サービスをしていた会社もあるという。さすがのJRもこれに気がつき、取り締
まるようになっている。格安の超特急便を使うことはできなくなった。しかし、ちょっとしたアイ
ディアが、もとの道具の用途からは想像もつかないような効果を生むわけだ。
インターネットの歩みは、この超格安新幹線便とそっくりだと思う。
新幹線を開発した人も、番号式の自転車の鍵を作った人も、まさか超格安便に自分たちの成果が
使われようとは、夢にも思わなかっただろう。それと同じように、ARPAネットを作った人から
見れば、インターネットは予期せざるいわば奇想天外な結末なのである。
いったん技術が実用に供され始めると、思っても見なかったような使い方を考えつく人が出てく
る。JRのようにそれを取り締まってしまえば、せっかくのアイディアもそこで終わりだが(そし
てもちろん、JRが網棚の超特急便を取り締まったのはしごく当然のことだとは思うが)、そのアイ
ディアをおもしろい、と考え、それをさらに発展させてみる、というアプローチを取ると、誰もが
予測できないほどの結果をもたらすことがある。
ARPAは後者を選んだ。すなわち、少々いかがわしくはあるが、利用者にとってはとても魅力
的な使い方を取り締まるのではなく、むしろ積極的に許容した。これがインターネット成功の秘密
だといっても過言ではない。
おもしろいアイディアが、また「それをもっと発展させてみたらどうなるだろう」という次の実
験を生む。本書の用語でいえば、「コンヴィヴィアルな実験」を繰り返すうちに、とんでもなく効率
的で魅力のある新しいシステムができあがってきた。ARPAネットの実験がやがてインターネッ
トへと発展してきた過程は、こんな流れだったのである。
インターネットと政策課題について取り上げる本章の冒頭から、いきなり新幹線便の話を出した
のには理由がある。政策課題というと、どうしても目標に向けてもっとも効率的に進んでいくため
の方策は何か、というような方向に考えが向いてしまう。それでは必ずしもうまくいかないのでは
ないか、というところから出発するために、意表を突いた目的外のアイディアのことを紹介したの
第
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ネ
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ム
と
政
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題
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附属書4図5 T-5,A5,文字サイズ9ポ,51字,18行,行間8ポ(左ページ)
を
取
り
締
ま
っ
た
の
は
し
ご
く
当
然
の
こ
と
だ
と
は
思
う
が
)
、
そ
の
ア
イ
デ
ィ
ア
を
お
も
し
ろ
い
、
と
考
え
、
そ
れ
を
さ
ら
に
発
展
さ
せ
て
み
る
、
と
い
う
ア
プ
ロ
ー
チ
を
取
る
と
、
誰
も
が
予
測
で
き
な
い
ほ
ど
の
結
果
を
も
た
ら
す
こ
と
が
あ
る
。
A
R
P
A
は
後
者
を
選
ん
だ
。
す
な
わ
ち
、
少
々
い
か
が
わ
し
く
は
あ
る
が
、
利
用
者
に
と
っ
て
は
と
て
も
魅
力
的
な
使
い
方
を
取
り
締
ま
る
の
で
は
な
く
、
む
し
ろ
積
極
的
に
許
容
し
た
。
こ
れ
が
イ
ン
タ
ー
ネ
ッ
ト
成
功
の
秘
密
だ
と
い
っ
て
も
過
言
で
は
な
い
。
お
も
し
ろ
い
ア
イ
デ
ィ
ア
が
、
ま
た
「
そ
れ
を
も
っ
と
発
展
さ
せ
て
み
た
ら
ど
う
な
る
だ
ろ
う
」
と
い
う
次
の
実
験
を
生
む
。
本
書
の
用
語
で
い
え
ば
、
「
コ
ン
ヴ
ィ
ヴ
ィ
ア
ル
な
実
験
」
を
繰
り
返
す
う
ち
に
、
と
ん
で
も
な
く
効
率
的
で
魅
力
の
あ
る
新
し
い
シ
ス
テ
ム
が
で
き
あ
が
っ
て
き
た
。
A
R
P
A
ネ
ッ
ト
の
実
験
が
や
が
て
イ
ン
タ
ー
ネ
ッ
ト
へ
と
発
展
し
て
き
た
過
程
は
、
こ
ん
な
流
れ
だ
っ
た
の
で
あ
る
。
イ
ン
タ
ー
ネ
ッ
ト
と
政
策
課
題
に
つ
い
て
取
り
上
げ
る
本
章
の
冒
頭
か
ら
、
い
き
な
り
新
幹
線
便
の
話
を
出
し
た
の
に
は
理
由
が
あ
る
。
政
策
課
題
と
い
う
と
、
ど
う
し
て
も
目
標
に
向
け
て
も
っ
と
も
効
率
的
に
進
ん
で
い
く
た
め
の
方
策
は
何
か
、
と
い
う
よ
う
な
方
向
に
考
え
が
向
い
て
し
ま
う
。
そ
れ
で
は
必
ず
し
も
う
ま
く
い
か
な
い
の
で
は
な
い
か
、
と
い
う
と
こ
ろ
か
ら
出
発
す
る
た
め
に
、
意
表
を
突
い
た
目
的
外
の
ア
イ
デ
ィ
ア
の
こ
と
を
紹
介
し
た
の
で
あ
る
。
戦
略
研
究
と
い
う
国
家
的
な
プ
ロ
ジ
ェ
ク
ト
に
起
源
を
持
ち
な
が
ら
、
い
わ
ば
目
的
外
利
用
が
ど
ん
ど
ん
展
開
し
て
育
っ
て
し
ま
っ
た
と
い
う
イ
ン
タ
ー
ネ
ッ
ト
の
歴
史
か
ら
何
を
学
ぶ
こ
と
が
で
き
る
の
か
。
そ
れ
を
抜
き
に
し
て
、
ネ
ッ
ト
ワ
ー
ク
の
整
備
・
振
興
の
た
め
の
最
適
・
最
短
距
離
の
政
策
を
考
え
て
み
た
と
こ
ろ
で
、
八
○
年
代
の
ニ
ュ
ー
メ
デ
ィ
ア
の
轍
を
踏
む
こ
と
に
な
り
か
ね
な
い
。
世
の
中
に
は
、
何
と
も
頭
の
い
い
人
が
い
る
も
の
だ
。
身
の
ま
わ
り
に
あ
る
あ
り
き
た
り
の
道
具
を
組
み
合
わ
せ
て
、
思
っ
て
も
見
な
か
っ
た
よ
う
な
使
い
み
ち
を
考
え
出
す
。
た
と
え
ば
番
号
式
に
な
っ
て
い
る
自
転
車
用
の
チ
ェ
ー
ン
鍵
と
新
幹
線
。
こ
の
ふ
た
つ
を
組
み
合
わ
せ
て
み
よ
う
。
第3章
インターネットブームと政策課題
149
X 4051:2004
附属書4図6 T-5,A5,文字サイズ9ポ,51字,18行,行間8ポ(右ページ)
世
の
中
に
は
、
何
と
も
頭
の
い
い
人
が
い
る
も
の
だ
。
身
の
ま
わ
り
に
あ
る
あ
り
き
た
り
の
道
具
を
組
み
合
わ
せ
て
、
思
っ
て
も
見
な
か
っ
た
よ
う
な
使
い
み
ち
を
考
え
出
す
。
た
と
え
ば
番
号
式
に
な
っ
て
い
る
自
転
車
用
の
チ
ェ
ー
ン
鍵
と
新
幹
線
。
こ
の
ふ
た
つ
を
組
み
合
わ
せ
て
み
よ
う
。
あ
る
人
が
東
京
駅
で
入
場
券
を
買
っ
て
、
新
大
阪
行
き
の
新
幹
線
の
網
棚
に
荷
物
を
置
き
、
番
号
式
の
自
転
車
の
鍵
を
か
け
る
。
そ
し
て
大
阪
の
知
人
に
電
話
を
し
て
こ
う
言
う
の
だ
。
「
ひ
か
り
○
○
号
の
×
号
車
の
一
番
A
席
の
網
棚
に
、
こ
れ
こ
れ
の
番
号
の
鍵
で
荷
物
を
乗
せ
た
」
と
。
あ
と
は
新
大
阪
で
も
入
場
券
で
入
り
、
電
話
で
聞
い
た
暗
証
番
号
で
鍵
を
は
ず
し
、
荷
物
を
受
け
取
る
。
東
京
‐
大
阪
間
三
時
間
足
ら
ず
の
超
特
急
便
の
で
き
あ
が
り
で
あ
る
。
か
か
っ
た
コ
ス
ト
は
電
話
代
と
ふ
た
り
分
の
入
場
券
の
み
。
ア
イ
デ
ィ
ア
の
勝
利
で
あ
る
。
こ
の
や
り
方
、
一
時
は
水
面
下
で
か
な
り
使
わ
れ
て
い
た
ら
し
い
。
社
内
便
と
し
て
使
っ
て
い
た
企
業
も
あ
れ
ば
、
商
業
的
に
超
特
急
便
サ
ー
ビ
ス
を
し
て
い
た
会
社
も
あ
る
と
い
う
。
さ
す
が
の
J
R
も
こ
れ
に
気
が
つ
き
、
取
り
締
ま
る
よ
う
に
な
っ
て
い
る
。
格
安
の
超
特
急
便
を
使
う
こ
と
は
で
き
な
く
な
っ
た
。
し
か
し
、
ち
ょ
っ
と
し
た
ア
イ
デ
ィ
ア
が
、
も
と
の
道
具
の
用
途
か
ら
は
想
像
も
つ
か
な
い
よ
う
な
効
果
を
生
む
わ
け
だ
。
イ
ン
タ
ー
ネ
ッ
ト
の
歩
み
は
、
こ
の
超
格
安
新
幹
線
便
と
そ
っ
く
り
だ
と
思
う
。
新
幹
線
を
開
発
し
た
人
も
、
番
号
式
の
自
転
車
の
鍵
を
作
っ
た
人
も
、
ま
さ
か
超
格
安
便
に
自
分
た
ち
の
成
果
が
使
わ
れ
よ
う
と
は
、
夢
に
も
思
わ
な
か
っ
た
だ
ろ
う
。
そ
れ
と
同
じ
よ
う
に
、
A
R
P
A
ネ
ッ
ト
を
作
っ
た
人
か
ら
見
れ
ば
、
イ
ン
タ
ー
ネ
ッ
ト
は
予
期
せ
ざ
る
い
わ
ば
奇
想
天
外
な
結
末
な
の
で
あ
る
。
い
っ
た
ん
技
術
が
実
用
に
供
さ
れ
始
め
る
と
、
思
っ
て
も
見
な
か
っ
た
よ
う
な
使
い
方
を
考
え
つ
く
人
が
出
て
く
る
。
J
R
の
よ
う
に
そ
れ
を
取
り
締
ま
っ
て
し
ま
え
ば
、
せ
っ
か
く
の
ア
イ
デ
ィ
ア
も
そ
こ
で
終
わ
り
だ
が
(
そ
し
て
も
ち
ろ
ん
、
J
R
が
網
棚
の
超
特
急
便
150
X 4051:2004
附属書4図7 T-6,A5,文字サイズ9ポ,25字,21行,行間6ポ(左ページ)
せ
て
み
た
ら
ど
う
な
る
だ
ろ
う
と
い
う
次
の
実
験
を
生
む
本
書
の
用
語
で
い
え
ば
コ
ン
ヴ
ヴ
ア
ル
な
実
験
を
繰
り
返
す
う
ち
に
と
ん
で
も
な
く
効
率
的
で
魅
力
の
あ
る
新
し
い
シ
ス
テ
ム
が
で
き
あ
が
て
き
た
A
R
P
A
ネ
ト
の
実
験
が
や
が
て
イ
ン
タ
ネ
ト
へ
と
発
展
し
て
き
た
過
程
は
こ
ん
な
流
れ
だ
た
の
で
あ
る
イ
ン
タ
ネ
ト
と
政
策
課
題
に
つ
い
て
取
り
上
げ
る
本
章
の
冒
頭
か
ら
い
き
な
り
新
幹
線
便
の
話
を
出
し
た
の
に
は
理
由
が
あ
る
政
策
課
題
と
い
う
と
ど
う
し
て
も
目
標
に
向
け
て
も
と
も
効
率
的
に
進
ん
で
い
く
た
め
の
方
策
は
何
か
と
い
う
よ
う
な
方
向
に
考
え
が
向
い
て
し
ま
う
そ
れ
で
は
必
ず
し
も
う
ま
く
い
か
な
い
の
で
は
な
い
か
と
い
う
と
こ
ろ
か
ら
出
発
す
る
た
め
に
意
表
を
突
い
た
目
的
外
の
ア
イ
デ
ア
の
こ
と
を
紹
介
し
た
の
で
あ
る
戦
略
研
究
と
い
う
国
家
的
な
プ
ロ
ジ
ク
ト
に
起
源
を
持
ち
な
が
ら
い
わ
ば
目
的
外
利
用
が
ど
ん
ど
ん
展
開
し
て
育
て
し
ま
た
と
い
う
イ
ン
タ
ネ
ト
の
歴
史
か
ら
何
を
学
ぶ
こ
と
が
で
き
る
の
か
そ
れ
を
抜
き
に
し
て
ネ
ト
ワ
ク
の
整
備
・
振
興
の
た
め
の
最
適
・
最
短
距
離
の
政
策
を
考
え
て
み
た
と
こ
ろ
で
八
○
年
代
の
ニ
メ
デ
ア
の
轍
を
踏
む
こ
と
に
な
り
か
ね
な
い
世
の
中
に
は
何
と
も
頭
の
い
い
人
が
い
る
も
の
だ
身
の
ま
わ
り
に
あ
る
あ
り
き
た
り
の
道
具
を
組
み
合
わ
せ
て
思
て
も
見
な
か
た
よ
う
な
使
い
み
ち
を
考
え
出
す
た
と
え
ば
番
号
式
に
な
て
い
る
自
転
車
用
の
チ
ン
鍵
と
新
幹
線
こ
の
ふ
た
つ
を
組
み
合
わ
せ
て
み
よ
う
あ
る
人
が
東
京
駅
で
入
場
券
を
買
て
新
大
阪
行
き
の
新
幹
線
の
網
棚
に
荷
物
を
置
き
番
号
式
の
自
転
車
の
鍵
を
か
け
る
そ
し
て
大
阪
の
知
人
に
電
話
を
し
て
こ
う
言
う
の
だ
ひ
か
り
○
○
号
の
×
号
車
の
一
番
A
席
の
網
棚
に
こ
れ
こ
れ
の
番
号
の
鍵
で
荷
物
を
乗
せ
た
と
あ
と
は
新
大
阪
で
も
入
場
券
で
入
り
電
話
で
聞
い
た
暗
証
番
号
で
鍵
を
は
ず
し
荷
物
を
受
け
取
る
東
京
大
阪
間
三
時
間
足
ら
ず
の
超
特
急
便
の
で
き
あ
が
り
で
あ
る
か
か
た
コ
ス
ト
は
電
話
代
と
ふ
た
り
分
の
入
場
券
の
み
ア
イ
デ
ア
の
勝
利
で
あ
る
こ
の
や
り
方
一
時
は
水
面
下
で
か
な
り
使
わ
れ
て
い
た
ら
し
い
社
内
便
と
し
て
使
て
い
た
企
業
も
あ
れ
ば
商
業
的
に
超
特
急
便
サ
ビ
ス
を
し
て
い
た
会
社
も
あ
る
と
い
う
さ
す
が
の
J
R
も
こ
れ
に
気
が
つ
き
取
り
締
ま
る
よ
う
に
な
て
い
る
格
安
の
超
特
急
便
を
使
う
こ
と
は
で
き
な
く
な
た
し
か
し
ち
と
し
た
ア
イ
デ
ア
が
も
と
の
道
具
の
用
途
か
ら
は
想
像
も
つ
か
な
い
よ
う
な
効
果
を
生
む
わ
け
だ
127
第3章 インターネットブームと政策課題
151
X 4051:2004
附属書4図8 T-6,A5,文字サイズ9ポ,25字,21行,行間6ポ(右ページ)
世
の
中
に
は
何
と
も
頭
の
い
い
人
が
い
る
も
の
だ
身
の
ま
わ
り
に
あ
る
あ
り
き
た
り
の
道
具
を
組
み
合
わ
せ
て
思
て
も
見
な
か
た
よ
う
な
使
い
み
ち
を
考
え
出
す
た
と
え
ば
番
号
式
に
な
て
い
る
自
転
車
用
の
チ
ン
鍵
と
新
幹
線
こ
の
ふ
た
つ
を
組
み
合
わ
せ
て
み
よ
う
あ
る
人
が
東
京
駅
で
入
場
券
を
買
て
新
大
阪
行
き
の
新
幹
線
の
網
棚
に
荷
物
を
置
き
番
号
式
の
自
転
車
の
鍵
を
か
け
る
そ
し
て
大
阪
の
知
人
に
電
話
を
し
て
こ
う
言
う
の
だ
ひ
か
り
○
○
号
の
×
号
車
の
一
番
A
席
の
網
棚
に
こ
れ
こ
れ
の
番
号
の
鍵
で
荷
物
を
乗
せ
た
と
あ
と
は
新
大
阪
で
も
入
場
券
で
入
り
電
話
で
聞
い
た
暗
証
番
号
で
鍵
を
は
ず
し
荷
物
を
受
け
取
る
東
京
大
阪
間
三
時
間
足
ら
ず
の
超
特
急
便
の
で
き
あ
が
り
で
あ
る
か
か
た
コ
ス
ト
は
電
話
代
と
ふ
た
り
分
の
入
場
券
の
み
ア
イ
デ
ア
の
勝
利
で
あ
る
こ
の
や
り
方
一
時
は
水
面
下
で
か
な
り
使
わ
れ
て
い
た
ら
し
い
社
内
便
と
し
て
使
て
い
た
企
業
も
あ
れ
ば
商
業
的
に
超
特
急
便
サ
ビ
ス
を
し
て
い
た
会
社
も
あ
る
と
い
う
さ
す
が
の
J
R
も
こ
れ
に
気
が
つ
き
取
り
締
ま
る
よ
う
に
な
て
い
る
格
安
の
超
特
急
便
を
使
う
こ
と
は
で
き
な
く
な
た
し
か
し
ち
と
し
た
ア
イ
デ
ア
が
も
と
の
道
具
の
用
途
か
ら
は
想
像
も
つ
か
な
い
よ
う
な
効
果
を
生
む
わ
け
だ
イ
ン
タ
ネ
ト
の
歩
み
は
こ
の
超
格
安
新
幹
線
便
と
そ
く
り
だ
と
思
う
新
幹
線
を
開
発
し
た
人
も
番
号
式
の
自
転
車
の
鍵
を
作
た
人
も
ま
さ
か
超
格
安
便
に
自
分
た
ち
の
成
果
が
使
わ
れ
よ
う
と
は
夢
に
も
思
わ
な
か
た
だ
ろ
う
そ
れ
と
同
じ
よ
う
に
A
R
P
A
ネ
ト
を
作
た
人
か
ら
見
れ
ば
イ
ン
タ
ネ
ト
は
予
期
せ
ざ
る
い
わ
ば
奇
想
天
外
な
結
末
な
の
で
あ
る
い
た
ん
技
術
が
実
用
に
供
さ
れ
始
め
る
と
思
て
も
見
な
か
た
よ
う
な
使
い
方
を
考
え
つ
く
人
が
出
て
く
る
J
R
の
よ
う
に
そ
れ
を
取
り
締
ま
て
し
ま
え
ば
せ
か
く
の
ア
イ
デ
ア
も
そ
こ
で
終
わ
り
だ
が
そ
し
て
も
ち
ろ
ん
J
R
が
網
棚
の
超
特
急
便
を
取
り
締
ま
た
の
は
し
ご
く
当
然
の
こ
と
だ
と
は
思
う
が
そ
の
ア
イ
デ
ア
を
お
も
し
ろ
い
と
考
え
そ
れ
を
さ
ら
に
発
展
さ
せ
て
み
る
と
い
う
ア
プ
ロ
チ
を
取
る
と
誰
も
が
予
測
で
き
な
い
ほ
ど
の
結
果
を
も
た
ら
す
こ
と
が
あ
る
A
R
P
A
は
後
者
を
選
ん
だ
す
な
わ
ち
少
々
い
か
が
わ
し
く
は
あ
る
が
利
用
者
に
と
て
は
と
て
も
魅
力
的
な
使
い
方
を
取
り
締
ま
る
の
で
は
な
く
む
し
ろ
積
極
的
に
許
容
し
た
こ
れ
が
イ
ン
タ
ネ
ト
成
功
の
秘
密
だ
と
い
て
も
過
言
で
は
な
い
お
も
し
ろ
い
ア
イ
デ
ア
が
ま
た
そ
れ
を
も
と
発
展
さ
126
152
X 4051:2004
附属書4図9 T-7,B5,文字サイズ9ポ,32字,25行,行間7ポ(左ページ)
き
た
り
の
道
具
を
組
み
合
わ
せ
て
思
て
も
見
な
か
た
よ
う
な
使
い
み
ち
を
考
え
出
す
た
と
え
ば
番
号
式
に
な
て
い
る
自
転
車
用
の
チ
ン
鍵
と
新
幹
線
こ
の
ふ
た
つ
を
組
み
合
わ
せ
て
み
よ
う
あ
る
人
が
東
京
駅
で
入
場
券
を
買
て
新
大
阪
行
き
の
新
幹
線
の
網
棚
に
荷
物
を
置
き
番
号
式
の
自
転
車
の
鍵
を
か
け
る
そ
し
て
大
阪
の
知
人
に
電
話
を
し
て
こ
う
言
う
の
だ
ひ
か
り
○
○
号
の
×
号
車
の
一
番
A
席
の
網
棚
に
こ
れ
こ
れ
の
番
号
の
鍵
で
荷
物
を
乗
せ
た
と
あ
と
は
新
大
阪
で
も
入
場
券
で
入
り
電
話
で
聞
い
た
暗
証
番
号
で
鍵
を
は
ず
し
荷
物
を
受
け
取
る
東
京
大
阪
間
三
時
間
足
ら
ず
の
超
特
急
便
の
で
き
あ
が
り
で
あ
る
か
か
た
コ
ス
ト
は
電
話
代
と
ふ
た
り
分
の
入
場
券
の
み
ア
イ
デ
ア
の
勝
利
で
あ
る
こ
の
や
り
方
一
時
は
水
面
下
で
か
な
り
使
わ
れ
て
い
た
ら
し
い
社
内
便
と
し
て
使
て
い
た
企
業
も
あ
れ
ば
商
業
的
に
超
特
急
便
サ
ビ
ス
を
し
て
い
た
会
社
も
あ
る
と
い
う
さ
す
が
の
J
R
も
こ
れ
に
気
が
つ
き
取
り
締
ま
る
よ
う
に
な
て
い
る
格
安
の
超
特
急
便
を
使
う
こ
と
は
で
き
な
く
な
た
し
か
し
ち
と
し
た
ア
イ
デ
ア
が
も
と
の
道
具
の
用
途
か
ら
は
想
像
も
つ
か
な
い
よ
う
な
効
果
を
生
む
わ
け
だ
イ
ン
タ
ネ
ト
の
歩
み
は
こ
の
超
格
安
新
幹
線
便
と
そ
く
り
だ
と
思
う
新
幹
線
を
開
発
し
た
人
も
番
号
式
の
自
転
車
の
鍵
を
作
た
人
も
ま
さ
か
超
格
安
便
に
自
分
た
ち
の
成
果
が
使
わ
れ
よ
う
と
は
夢
に
も
思
わ
な
か
た
だ
ろ
う
そ
れ
と
同
じ
よ
う
に
A
R
P
A
ネ
ト
を
作
た
人
か
ら
見
れ
ば
イ
ン
タ
ネ
ト
は
予
期
せ
ざ
る
い
わ
ば
奇
想
天
外
な
結
末
な
の
で
あ
る
い
た
ん
技
術
が
実
用
に
供
さ
れ
始
め
る
と
思
て
も
見
な
か
た
よ
う
な
使
い
方
を
考
え
つ
く
人
が
出
て
く
る
J
R
の
よ
う
に
そ
れ
を
取
り
締
ま
て
し
ま
え
ば
せ
か
く
の
ア
イ
デ
ア
も
そ
こ
で
終
わ
り
だ
が
そ
し
て
も
ち
ろ
ん
J
R
が
網
棚
の
超
特
急
便
を
取
り
締
ま
た
の
は
し
ご
く
当
然
の
こ
と
だ
と
は
思
う
が
そ
の
ア
イ
デ
ア
を
お
も
し
ろ
い
と
考
え
そ
れ
を
さ
ら
に
発
展
さ
せ
て
み
る
と
い
う
ア
プ
ロ
チ
を
取
る
と
誰
も
が
予
測
で
き
な
い
ほ
ど
の
結
果
を
も
た
ら
す
こ
と
が
あ
る
A
R
P
A
は
後
者
を
選
ん
だ
す
な
わ
ち
少
々
い
か
が
わ
し
く
は
あ
る
が
利
用
者
に
と
て
は
と
て
も
魅
力
的
な
使
い
方
を
取
り
締
ま
る
の
で
は
な
く
む
し
ろ
積
極
的
に
許
容
し
た
こ
れ
が
イ
ン
タ
ネ
ト
成
功
の
秘
密
だ
と
い
て
も
過
言
で
は
な
い
お
も
し
ろ
い
ア
イ
デ
ア
が
ま
た
そ
れ
を
も
と
発
展
さ
せ
て
み
た
ら
ど
う
な
る
だ
ろ
う
と
い
う
次
の
実
験
を
生
む
本
書
の
用
語
で
い
え
ば
コ
ン
ヴ
ヴ
ア
ル
な
実
験
を
繰
り
返
す
う
ち
に
と
ん
で
も
な
く
効
率
的
で
魅
力
の
あ
る
新
し
い
シ
ス
テ
ム
が
で
き
あ
が
て
き
た
A
R
P
A
ネ
ト
の
実
験
が
や
が
て
イ
ン
タ
ネ
ト
へ
と
発
展
し
て
き
た
過
程
は
こ
ん
な
流
れ
だ
た
の
で
あ
る
イ
ン
タ
ネ
ト
と
政
策
課
題
に
つ
い
て
取
り
上
げ
る
本
章
の
冒
頭
か
ら
い
き
な
り
新
幹
線
便
の
話
を
出
し
た
の
に
は
理
由
が
あ
る
政
策
課
題
と
い
う
と
ど
う
し
て
も
目
標
に
向
け
て
も
と
も
効
率
的
に
進
ん
で
い
く
た
め
の
方
策
は
何
か
と
い
う
よ
う
な
方
向
に
考
え
が
向
い
て
し
ま
う
そ
れ
で
は
必
ず
し
も
う
ま
く
い
か
な
い
の
で
は
な
い
か
と
い
う
と
こ
ろ
か
ら
出
発
す
る
た
め
に
意
表
を
突
い
た
目
的
外
の
ア
イ
デ
ア
の
こ
と
を
紹
介
し
た
の
で
あ
る
戦
略
研
究
と
い
う
国
家
的
な
プ
ロ
ジ
ク
ト
に
起
源
を
持
ち
な
が
ら
い
わ
ば
目
的
外
利
用
が
ど
ん
ど
ん
展
開
し
て
育
て
し
ま
た
と
い
う
イ
ン
タ
ネ
ト
の
歴
史
か
ら
何
を
学
ぶ
こ
と
が
で
き
る
の
か
そ
れ
を
抜
き
に
し
て
ネ
ト
ワ
ク
の
整
備
・
振
興
の
た
め
の
最
適
・
最
短
距
離
の
政
策
を
考
え
て
み
た
と
こ
ろ
で
八
○
年
代
の
ニ
メ
デ
ア
の
轍
を
踏
む
こ
と
に
な
り
か
ね
な
い
世
の
中
に
は
何
と
も
頭
の
い
い
人
が
い
る
も
の
だ
身
の
ま
わ
り
に
あ
る
あ
り
き
た
り
の
道
具
を
組
み
合
わ
せ
て
思
て
も
見
な
か
た
よ
う
な
使
い
み
ち
を
考
127
第3章 インターネットブームと政策課題
153
X 4051:2004
附属書4図10 T-7,B5,文字サイズ9ポ,32字,25行,行間7ポ(右ページ)
附属書4図11 T-8,A4,文字サイズ9ポ,36字,29行,行間7ポ(左ページ)154ページ→
附属書4図12 T-8,A4,文字サイズ9ポ,36字,29行,行間7ポ(右ページ)155ページ→
世
の
中
に
は
何
と
も
頭
の
い
い
人
が
い
る
も
の
だ
身
の
ま
わ
り
に
あ
る
あ
り
き
た
り
の
道
具
を
組
み
合
わ
せ
て
思
て
も
見
な
か
た
よ
う
な
使
い
み
ち
を
考
え
出
す
た
と
え
ば
番
号
式
に
な
て
い
る
自
転
車
用
の
チ
ン
鍵
と
新
幹
線
こ
の
ふ
た
つ
を
組
み
合
わ
せ
て
み
よ
う
あ
る
人
が
東
京
駅
で
入
場
券
を
買
て
新
大
阪
行
き
の
新
幹
線
の
網
棚
に
荷
物
を
置
き
番
号
式
の
自
転
車
の
鍵
を
か
け
る
そ
し
て
大
阪
の
知
人
に
電
話
を
し
て
こ
う
言
う
の
だ
ひ
か
り
○
○
号
の
×
号
車
の
一
番
A
席
の
網
棚
に
こ
れ
こ
れ
の
番
号
の
鍵
で
荷
物
を
乗
せ
た
と
あ
と
は
新
大
阪
で
も
入
場
券
で
入
り
電
話
で
聞
い
た
暗
証
番
号
で
鍵
を
は
ず
し
荷
物
を
受
け
取
る
東
京
大
阪
間
三
時
間
足
ら
ず
の
超
特
急
便
の
で
き
あ
が
り
で
あ
る
か
か
た
コ
ス
ト
は
電
話
代
と
ふ
た
り
分
の
入
場
券
の
み
ア
イ
デ
ア
の
勝
利
で
あ
る
こ
の
や
り
方
一
時
は
水
面
下
で
か
な
り
使
わ
れ
て
い
た
ら
し
い
社
内
便
と
し
て
使
て
い
た
企
業
も
あ
れ
ば
商
業
的
に
超
特
急
便
サ
ビ
ス
を
し
て
い
た
会
社
も
あ
る
と
い
う
さ
す
が
の
J
R
も
こ
れ
に
気
が
つ
き
取
り
締
ま
る
よ
う
に
な
て
い
る
格
安
の
超
特
急
便
を
使
う
こ
と
は
で
き
な
く
な
た
し
か
し
ち
と
し
た
ア
イ
デ
ア
が
も
と
の
道
具
の
用
途
か
ら
は
想
像
も
つ
か
な
い
よ
う
な
効
果
を
生
む
わ
け
だ
イ
ン
タ
ネ
ト
の
歩
み
は
こ
の
超
格
安
新
幹
線
便
と
そ
く
り
だ
と
思
う
新
幹
線
を
開
発
し
た
人
も
番
号
式
の
自
転
車
の
鍵
を
作
た
人
も
ま
さ
か
超
格
安
便
に
自
分
た
ち
の
成
果
が
使
わ
れ
よ
う
と
は
夢
に
も
思
わ
な
か
た
だ
ろ
う
そ
れ
と
同
じ
よ
う
に
A
R
P
A
ネ
ト
を
作
た
人
か
ら
見
れ
ば
イ
ン
タ
ネ
ト
は
予
期
せ
ざ
る
い
わ
ば
奇
想
天
外
な
結
末
な
の
で
あ
る
い
た
ん
技
術
が
実
用
に
供
さ
れ
始
め
る
と
思
て
も
見
な
か
た
よ
う
な
使
い
方
を
考
え
つ
く
人
が
出
て
く
る
J
R
の
よ
う
に
そ
れ
を
取
り
締
ま
て
し
ま
え
ば
せ
か
く
の
ア
イ
デ
ア
も
そ
こ
で
終
わ
り
だ
が
そ
し
て
も
ち
ろ
ん
J
R
が
網
棚
の
超
特
急
便
を
取
り
締
ま
た
の
は
し
ご
く
当
然
の
こ
と
だ
と
は
思
う
が
そ
の
ア
イ
デ
ア
を
お
も
し
ろ
い
と
考
え
そ
れ
を
さ
ら
に
発
展
さ
せ
て
み
る
と
い
う
ア
プ
ロ
チ
を
取
る
と
誰
も
が
予
測
で
き
な
い
ほ
ど
の
結
果
を
も
た
ら
す
こ
と
が
あ
る
A
R
P
A
は
後
者
を
選
ん
だ
す
な
わ
ち
少
々
い
か
が
わ
し
く
は
あ
る
が
利
用
者
に
と
て
は
と
て
も
魅
力
的
な
使
い
方
を
取
り
締
ま
る
の
で
は
な
く
む
し
ろ
積
極
的
に
許
容
し
た
こ
れ
が
イ
ン
タ
ネ
ト
成
功
の
秘
密
だ
と
い
て
も
過
言
で
は
な
い
お
も
し
ろ
い
ア
イ
デ
ア
が
ま
た
そ
れ
を
も
と
発
展
さ
せ
て
み
た
ら
ど
う
な
る
だ
ろ
う
と
い
う
次
の
実
験
を
生
む
本
書
の
用
語
で
い
え
ば
コ
ン
ヴ
ヴ
ア
ル
な
実
験
を
繰
り
返
す
う
ち
に
と
ん
で
も
な
く
効
率
的
で
魅
力
の
あ
る
新
し
い
シ
ス
テ
ム
が
で
き
あ
が
て
き
た
A
R
P
A
ネ
ト
の
実
験
が
や
が
て
イ
ン
タ
ネ
ト
へ
と
発
展
し
て
き
た
過
程
は
こ
ん
な
流
れ
だ
た
の
で
あ
る
イ
ン
タ
ネ
ト
と
政
策
課
題
に
つ
い
て
取
り
上
げ
る
本
章
の
冒
頭
か
ら
い
き
な
り
新
幹
線
便
の
話
を
出
し
た
の
に
は
理
由
が
あ
る
政
策
課
題
と
い
う
と
ど
う
し
て
も
目
標
に
向
け
て
も
と
も
効
率
的
に
進
ん
で
い
く
た
め
の
方
策
は
何
か
と
い
う
よ
う
な
方
向
に
考
え
が
向
い
て
し
ま
う
そ
れ
で
は
必
ず
し
も
う
ま
く
い
か
な
い
の
で
は
な
い
か
と
い
う
と
こ
ろ
か
ら
出
発
す
る
た
め
に
意
表
を
突
い
た
目
的
外
の
ア
イ
デ
ア
の
こ
と
を
紹
介
し
た
の
で
あ
る
戦
略
研
究
と
い
う
国
家
的
な
プ
ロ
ジ
ク
ト
に
起
源
を
持
ち
な
が
ら
い
わ
ば
目
的
外
利
用
が
ど
ん
ど
ん
展
開
し
て
育
て
し
ま
た
と
い
う
イ
ン
タ
ネ
ト
の
歴
史
か
ら
何
を
学
ぶ
こ
と
が
で
き
る
の
か
そ
れ
を
抜
き
に
し
て
ネ
ト
ワ
ク
の
整
備
・
振
興
の
た
め
の
最
適
・
最
短
距
離
の
政
策
を
考
え
て
み
た
と
こ
ろ
で
八
○
年
代
の
ニ
メ
デ
ア
の
轍
を
踏
む
こ
と
に
な
り
か
ね
な
い
世
の
中
に
は
何
と
も
頭
の
い
い
人
が
い
る
も
の
だ
身
の
ま
わ
り
に
あ
る
あ
り
126
154
X 4051:2004
用
途
か
ら
は
想
像
も
つ
か
な
い
よ
う
な
効
果
を
生
む
わ
け
だ
。
イ
ン
タ
ー
ネ
ッ
ト
の
歩
み
は
、
こ
の
超
格
安
新
幹
線
便
と
そ
っ
く
り
だ
と
思
う
。
新
幹
線
を
開
発
し
た
人
も
、
番
号
式
の
自
転
車
の
鍵
を
作
っ
た
人
も
、
ま
さ
か
超
格
安
便
に
自
分
た
ち
の
成
果
が
使
わ
れ
よ
う
と
は
、
夢
に
も
思
わ
な
か
っ
た
だ
ろ
う
。
そ
れ
と
同
じ
よ
う
に
、
A
R
P
A
ネ
ッ
ト
を
作
っ
た
人
か
ら
見
れ
ば
、
イ
ン
タ
ー
ネ
ッ
ト
は
予
期
せ
ざ
る
い
わ
ば
奇
想
天
外
な
結
末
な
の
で
あ
る
。
い
っ
た
ん
技
術
が
実
用
に
供
さ
れ
始
め
る
と
、
思
っ
て
も
見
な
か
っ
た
よ
う
な
使
い
方
を
考
え
つ
く
人
が
出
て
く
る
。
J
R
の
よ
う
に
そ
れ
を
取
り
締
ま
っ
て
し
ま
え
ば
、
せ
っ
か
く
の
ア
イ
デ
ィ
ア
も
そ
こ
で
終
わ
り
だ
が
(
そ
し
て
も
ち
ろ
ん
、
J
R
が
網
棚
の
超
特
急
便
を
取
り
締
ま
っ
た
の
は
し
ご
く
当
然
の
こ
と
だ
と
は
思
う
が
)
、
そ
の
ア
イ
デ
ィ
ア
を
お
も
し
ろ
い
、
と
考
え
、
そ
れ
を
さ
ら
に
発
展
さ
せ
て
み
る
、
と
い
う
ア
プ
ロ
ー
チ
を
取
る
と
、
誰
も
が
予
測
で
き
な
い
ほ
ど
の
結
果
を
も
た
ら
す
こ
と
が
あ
る
。
A
R
P
A
は
後
者
を
選
ん
だ
。
す
な
わ
ち
、
少
々
い
か
が
わ
し
く
は
あ
る
が
、
利
用
者
に
と
っ
て
は
と
て
も
魅
力
的
な
使
い
方
を
取
り
締
ま
る
の
で
は
な
く
、
む
し
ろ
積
極
的
に
許
容
し
た
。
こ
れ
が
イ
ン
タ
ー
ネ
ッ
ト
成
功
の
秘
密
だ
と
い
っ
て
も
過
言
で
は
な
い
。
お
も
し
ろ
い
ア
イ
デ
ィ
ア
が
、
ま
た
「
そ
れ
を
も
っ
と
発
展
さ
せ
て
み
た
ら
ど
う
な
る
だ
ろ
う
」
と
い
う
次
の
実
験
を
生
む
。
本
書
の
用
語
で
い
え
ば
、
「
コ
ン
ヴ
ィ
ヴ
ィ
ア
ル
な
実
験
」
を
繰
り
返
す
う
ち
に
、
と
ん
で
も
な
く
効
率
的
で
魅
力
の
あ
る
新
し
い
シ
ス
テ
ム
が
で
き
あ
が
っ
て
き
た
。
A
R
P
A
ネ
ッ
ト
の
実
験
が
や
が
て
イ
ン
タ
ー
ネ
ッ
ト
へ
と
発
展
し
て
き
た
過
程
は
、
こ
ん
な
流
れ
だ
っ
た
の
で
あ
る
。
イ
ン
タ
ー
ネ
ッ
ト
と
政
策
課
題
に
つ
い
て
取
り
上
げ
る
本
章
の
冒
頭
か
ら
、
い
き
な
り
新
幹
線
便
の
話
を
出
し
た
の
に
は
理
由
が
あ
る
。
政
策
課
題
と
い
う
と
、
ど
う
し
て
も
目
標
に
向
け
て
も
っ
と
も
効
率
的
に
進
ん
で
い
く
た
め
の
方
策
は
何
か
、
と
い
う
よ
う
な
方
向
に
考
え
が
向
い
て
し
ま
う
。
そ
れ
で
は
必
ず
し
も
う
ま
く
い
か
な
い
の
で
は
な
い
か
、
と
い
う
と
こ
ろ
か
ら
出
発
す
る
た
め
に
、
意
表
を
突
い
た
目
的
外
の
ア
イ
デ
ィ
ア
の
こ
と
を
紹
介
し
た
の
で
あ
る
。
戦
略
研
究
と
い
う
国
家
的
な
プ
ロ
ジ
ェ
ク
ト
に
起
源
を
持
ち
な
が
ら
、
い
わ
ば
目
的
外
利
用
が
ど
ん
ど
ん
展
開
し
て
育
っ
て
し
ま
っ
た
と
い
う
イ
ン
タ
ー
ネ
ッ
ト
の
歴
史
か
ら
何
を
学
ぶ
こ
と
が
で
き
る
の
か
。
そ
れ
を
抜
き
に
し
て
、
ネ
ッ
ト
ワ
ー
ク
の
整
備
・
振
興
の
た
め
の
最
適
・
最
短
距
離
の
政
策
を
考
え
て
み
た
と
こ
ろ
で
、
八
○
年
代
の
ニ
ュ
ー
メ
デ
ィ
ア
の
轍
を
踏
む
こ
と
に
な
り
か
ね
な
い
。
世
の
中
に
は
、
何
と
も
頭
の
い
い
人
が
い
る
も
の
だ
。
身
の
ま
わ
り
に
あ
る
あ
り
き
た
り
の
道
具
を
組
み
合
わ
せ
て
、
思
っ
て
も
見
な
か
っ
た
よ
う
な
使
い
み
ち
を
考
え
出
す
。
た
と
え
ば
番
号
式
に
な
っ
て
い
る
自
転
車
用
の
チ
ェ
ー
ン
鍵
と
新
幹
線
。
こ
の
ふ
た
つ
を
組
み
合
わ
せ
て
み
よ
う
。
あ
る
人
が
東
京
駅
で
入
場
券
を
買
っ
て
、
新
大
阪
行
き
の
新
幹
線
の
網
棚
に
荷
物
を
置
き
、
番
号
式
の
自
転
車
の
鍵
を
か
け
る
。
そ
し
て
大
阪
の
知
人
に
電
話
を
し
て
こ
う
言
う
の
だ
。
「
ひ
か
り
○
○
号
の
×
号
車
の
一
番
A
席
の
網
棚
に
、
こ
れ
こ
れ
の
番
号
の
鍵
で
荷
物
を
乗
せ
た
」
と
。
あ
と
は
新
大
阪
で
も
入
場
券
で
入
り
、
電
話
で
聞
い
た
暗
証
番
号
で
鍵
を
は
ず
し
、
荷
物
を
受
け
取
る
。
東
京
‐
大
阪
間
三
時
間
足
ら
ず
の
超
特
急
便
の
で
き
あ
が
り
で
あ
る
。
か
か
っ
た
コ
ス
ト
は
電
話
代
と
ふ
た
り
分
の
入
場
券
の
み
。
ア
イ
デ
ィ
ア
の
勝
利
で
あ
る
。
こ
の
や
り
方
、
一
時
は
水
面
下
で
か
な
り
使
わ
れ
て
い
た
ら
し
い
。
社
内
便
と
し
て
使
っ
て
い
た
企
業
も
あ
れ
ば
、
商
業
的
に
超
特
急
便
サ
ー
ビ
ス
を
し
て
い
た
会
社
も
あ
る
と
い
う
。
さ
す
が
の
J
R
も
こ
れ
に
気
が
つ
き
、
取
り
締
ま
る
よ
う
に
な
っ
て
い
る
。
格
安
の
超
特
急
便
を
使
う
こ
と
は
で
き
な
く
な
っ
た
。
し
か
し
、
ち
ょ
っ
と
し
た
ア
イ
デ
ィ
ア
が
、
も
と
の
道
具
の
用
途
か
ら
は
想
像
も
つ
か
な
い
よ
う
な
効
果
を
生
む
わ
け
だ
。
イ
ン
タ
ー
ネ
ッ
ト
の
歩
み
は
、
こ
の
超
格
安
新
幹
線
便
と
そ
っ
く
り
だ
と
思
う
。
新
幹
線
を
開
発
し
た
人
も
、
番
号
式
の
自
転
車
の
鍵
を
作
っ
た
人
も
、
ま
さ
か
超
格
安
便
に
自
分
た
ち
の
成
果
が
使
わ
れ
よ
う
と
は
、
夢
に
も
思
わ
な
か
っ
た
だ
ろ
う
。
そ
れ
と
同
じ
よ
う
に
、
A
R
P
A
ネ
ッ
ト
を
作
っ
た
人
か
ら
見
れ
ば
、
イ
ン
タ
ー
ネ
ッ
ト
は
予
期
せ
ざ
る
い
わ
ば
奇
想
天
外
な
結
末
な
の
で
あ
る
。
い
っ
た
ん
技
術
が
実
用
に
供
さ
れ
始
め
る
と
、
思
っ
て
も
見
な
か
っ
た
よ
う
な
使
い
方
を
考
え
つ
く
人
が
出
て
く
る
。
J
R
の
よ
う
に
そ
れ
を
取
り
締
ま
っ
て
し
ま
え
ば
、
せ
っ
か
く
の
ア
イ
デ
ィ
ア
も
そ
こ
で
終
わ
り
だ
が
(
そ
し
て
も
ち
ろ
ん
、
J
R
が
網
棚
の
超
特
急
便
を
取
り
締
ま
っ
た
の
は
し
ご
く
当
然
の
こ
と
だ
と
は
思
う
が
)
、
そ
の
ア
イ
デ
ィ
ア
を
お
も
し
ろ
い
、
と
考
え
、
そ
れ
を
さ
ら
に
発
展
さ
せ
て
み
る
、
と
い
う
ア
プ
ロ
ー
チ
を
取
る
と
、
誰
も
が
予
測
で
き
な
い
ほ
ど
の
結
果
を
も
た
ら
す
こ
と
が
あ
る
。
A
R
P
A
は
後
者
を
選
ん
だ
。
す
な
わ
ち
、
少
々
い
か
が
わ
し
く
は
あ
る
が
、
利
用
者
に
と
っ
て
は
と
て
も
魅
力
的
な
使
い
方
を
取
り
締
ま
る
の
で
は
な
く
、
む
し
ろ
積
極
的
に
許
容
し
た
。
第3章
インターネットブームと政策課題
127
155
X 4051:2004
世
の
中
に
は
、
何
と
も
頭
の
い
い
人
が
い
る
も
の
だ
。
身
の
ま
わ
り
に
あ
る
あ
り
き
た
り
の
道
具
を
組
み
合
わ
せ
て
、
思
っ
て
も
見
な
か
っ
た
よ
う
な
使
い
み
ち
を
考
え
出
す
。
た
と
え
ば
番
号
式
に
な
っ
て
い
る
自
転
車
用
の
チ
ェ
ー
ン
鍵
と
新
幹
線
。
こ
の
ふ
た
つ
を
組
み
合
わ
せ
て
み
よ
う
。
あ
る
人
が
東
京
駅
で
入
場
券
を
買
っ
て
、
新
大
阪
行
き
の
新
幹
線
の
網
棚
に
荷
物
を
置
き
、
番
号
式
の
自
転
車
の
鍵
を
か
け
る
。
そ
し
て
大
阪
の
知
人
に
電
話
を
し
て
こ
う
言
う
の
だ
。
「
ひ
か
り
○
○
号
の
×
号
車
の
一
番
A
席
の
網
棚
に
、
こ
れ
こ
れ
の
番
号
の
鍵
で
荷
物
を
乗
せ
た
」
と
。
あ
と
は
新
大
阪
で
も
入
場
券
で
入
り
、
電
話
で
聞
い
た
暗
証
番
号
で
鍵
を
は
ず
し
、
荷
物
を
受
け
取
る
。
東
京
‐
大
阪
間
三
時
間
足
ら
ず
の
超
特
急
便
の
で
き
あ
が
り
で
あ
る
。
か
か
っ
た
コ
ス
ト
は
電
話
代
と
ふ
た
り
分
の
入
場
券
の
み
。
ア
イ
デ
ィ
ア
の
勝
利
で
あ
る
。
こ
の
や
り
方
、
一
時
は
水
面
下
で
か
な
り
使
わ
れ
て
い
た
ら
し
い
。
社
内
便
と
し
て
使
っ
て
い
た
企
業
も
あ
れ
ば
、
商
業
的
に
超
特
急
便
サ
ー
ビ
ス
を
し
て
い
た
会
社
も
あ
る
と
い
う
。
さ
す
が
の
J
R
も
こ
れ
に
気
が
つ
き
、
取
り
締
ま
る
よ
う
に
な
っ
て
い
る
。
格
安
の
超
特
急
便
を
使
う
こ
と
は
で
き
な
く
な
っ
た
。
し
か
し
、
ち
ょ
っ
と
し
た
ア
イ
デ
ィ
ア
が
、
も
と
の
道
具
の
用
途
か
ら
は
想
像
も
つ
か
な
い
よ
う
な
効
果
を
生
む
わ
け
だ
。
イ
ン
タ
ー
ネ
ッ
ト
の
歩
み
は
、
こ
の
超
格
安
新
幹
線
便
と
そ
っ
く
り
だ
と
思
う
。
新
幹
線
を
開
発
し
た
人
も
、
番
号
式
の
自
転
車
の
鍵
を
作
っ
た
人
も
、
ま
さ
か
超
格
安
便
に
自
分
た
ち
の
成
果
が
使
わ
れ
よ
う
と
は
、
夢
に
も
思
わ
な
か
っ
た
だ
ろ
う
。
そ
れ
と
同
じ
よ
う
に
、
A
R
P
A
ネ
ッ
ト
を
作
っ
た
人
か
ら
見
れ
ば
、
イ
ン
タ
ー
ネ
ッ
ト
は
予
期
せ
ざ
る
い
わ
ば
奇
想
天
外
な
結
末
な
の
で
あ
る
。
い
っ
た
ん
技
術
が
実
用
に
供
さ
れ
始
め
る
と
、
思
っ
て
も
見
な
か
っ
た
よ
う
な
使
い
方
を
考
え
つ
く
人
が
出
て
く
る
。
J
R
の
よ
う
に
そ
れ
を
取
り
締
ま
っ
て
し
ま
え
ば
、
せ
っ
か
く
の
ア
イ
デ
ィ
ア
も
そ
こ
で
終
わ
り
だ
が
(
そ
し
て
も
ち
ろ
ん
、
J
R
が
網
棚
の
超
特
急
便
を
取
り
締
ま
っ
た
の
は
し
ご
く
当
然
の
こ
と
だ
と
は
思
う
が
)
、
そ
の
ア
イ
デ
ィ
ア
を
お
も
し
ろ
い
、
と
考
え
、
そ
れ
を
さ
ら
に
発
展
さ
せ
て
み
る
、
と
い
う
ア
プ
ロ
ー
チ
を
取
る
と
、
誰
も
が
予
測
で
き
な
い
ほ
ど
の
結
果
を
も
た
ら
す
こ
と
が
あ
る
。
A
R
P
A
は
後
者
を
選
ん
だ
。
す
な
わ
ち
、
少
々
い
か
が
わ
し
く
は
あ
る
が
、
利
用
者
に
と
っ
て
は
と
て
も
魅
力
的
な
使
い
方
を
取
り
締
ま
る
の
で
は
な
く
、
む
し
ろ
積
極
的
に
許
容
し
た
。
こ
れ
が
イ
ン
タ
ー
ネ
ッ
ト
成
功
の
秘
密
だ
と
い
っ
て
も
過
言
で
は
な
い
。
お
も
し
ろ
い
ア
イ
デ
ィ
ア
が
、
ま
た
「
そ
れ
を
も
っ
と
発
展
さ
せ
て
み
た
ら
ど
う
な
る
だ
ろ
う
」
と
い
う
次
の
実
験
を
生
む
。
本
書
の
用
語
で
い
え
ば
、
「
コ
ン
ヴ
ィ
ヴ
ィ
ア
ル
な
実
験
」
を
繰
り
返
す
う
ち
に
、
と
ん
で
も
な
く
効
率
的
で
魅
力
の
あ
る
新
し
い
シ
ス
テ
ム
が
で
き
あ
が
っ
て
き
た
。
A
R
P
A
ネ
ッ
ト
の
実
験
が
や
が
て
イ
ン
タ
ー
ネ
ッ
ト
へ
と
発
展
し
て
き
た
過
程
は
、
こ
ん
な
流
れ
だ
っ
た
の
で
あ
る
。
イ
ン
タ
ー
ネ
ッ
ト
と
政
策
課
題
に
つ
い
て
取
り
上
げ
る
本
章
の
冒
頭
か
ら
、
い
き
な
り
新
幹
線
便
の
話
を
出
し
た
の
に
は
理
由
が
あ
る
。
政
策
課
題
と
い
う
と
、
ど
う
し
て
も
目
標
に
向
け
て
も
っ
と
も
効
率
的
に
進
ん
で
い
く
た
め
の
方
策
は
何
か
、
と
い
う
よ
う
な
方
向
に
考
え
が
向
い
て
し
ま
う
。
そ
れ
で
は
必
ず
し
も
う
ま
く
い
か
な
い
の
で
は
な
い
か
、
と
い
う
と
こ
ろ
か
ら
出
発
す
る
た
め
に
、
意
表
を
突
い
た
目
的
外
の
ア
イ
デ
ィ
ア
の
こ
と
を
紹
介
し
た
の
で
あ
る
。
戦
略
研
究
と
い
う
国
家
的
な
プ
ロ
ジ
ェ
ク
ト
に
起
源
を
持
ち
な
が
ら
、
い
わ
ば
目
的
外
利
用
が
ど
ん
ど
ん
展
開
し
て
育
っ
て
し
ま
っ
た
と
い
う
イ
ン
タ
ー
ネ
ッ
ト
の
歴
史
か
ら
何
を
学
ぶ
こ
と
が
で
き
る
の
か
。
そ
れ
を
抜
き
に
し
て
、
ネ
ッ
ト
ワ
ー
ク
の
整
備
・
振
興
の
た
め
の
最
適
・
最
短
距
離
の
政
策
を
考
え
て
み
た
と
こ
ろ
で
、
八
○
年
代
の
ニ
ュ
ー
メ
デ
ィ
ア
の
轍
を
踏
む
こ
と
に
な
り
か
ね
な
い
。
世
の
中
に
は
、
何
と
も
頭
の
い
い
人
が
い
る
も
の
だ
。
身
の
ま
わ
り
に
あ
る
あ
り
き
た
り
の
道
具
を
組
み
合
わ
せ
て
、
思
っ
て
も
見
な
か
っ
た
よ
う
な
使
い
み
ち
を
考
え
出
す
。
た
と
え
ば
番
号
式
に
な
っ
て
い
る
自
転
車
用
の
チ
ェ
ー
ン
鍵
と
新
幹
線
。
こ
の
ふ
た
つ
を
組
み
合
わ
せ
て
み
よ
う
。
あ
る
人
が
東
京
駅
で
入
場
券
を
買
っ
て
、
新
大
阪
行
き
の
新
幹
線
の
網
棚
に
荷
物
を
置
き
、
番
号
式
の
自
転
車
の
鍵
を
か
け
る
。
そ
し
て
大
阪
の
知
人
に
電
話
を
し
て
こ
う
言
う
の
だ
。
「
ひ
か
り
○
○
号
の
×
号
車
の
一
番
A
席
の
網
棚
に
、
こ
れ
こ
れ
の
番
号
の
鍵
で
荷
物
を
乗
せ
た
」
と
。
あ
と
は
新
大
阪
で
も
入
場
券
で
入
り
、
電
話
で
聞
い
た
暗
証
番
号
で
鍵
を
は
ず
し
、
荷
物
を
受
け
取
る
。
東
京
‐
大
阪
間
三
時
間
足
ら
ず
の
超
特
急
便
の
で
き
あ
が
り
で
あ
る
。
か
か
っ
た
コ
ス
ト
は
電
話
代
と
ふ
た
り
分
の
入
場
券
の
み
。
ア
イ
デ
ィ
ア
の
勝
利
で
あ
る
。
こ
の
や
り
方
、
一
時
は
水
面
下
で
か
な
り
使
わ
れ
て
い
た
ら
し
い
。
社
内
便
と
し
て
使
っ
て
い
た
企
業
も
あ
れ
ば
、
商
業
的
に
超
特
急
便
サ
ー
ビ
ス
を
し
て
い
た
会
社
も
あ
る
と
い
う
。
さ
す
が
の
J
R
も
こ
れ
に
気
が
つ
き
、
取
り
締
ま
る
よ
う
に
な
っ
て
い
る
。
格
安
の
超
特
急
便
を
使
う
こ
と
は
で
き
な
く
な
っ
た
。
し
か
し
、
ち
ょ
っ
と
し
た
ア
イ
デ
ィ
ア
が
、
も
と
の
道
具
の
126
156
X 4051:2004
附属書
4
図
1
3
Y
-1
,
B
6
,文字サイズ
8
ポ,
3
4
字,
2
7
行,行間
7
ポ
み
ん
な
つ
な
ぎ
た
か
っ
た
し
,
つ
な
げ
た
か
っ
た
.
パ
ン
チ
カ
ー
ド
の
箱
を
抱
え
て
,
大
学
構
内
を
走
り
回
り
,
紙
テ
ー
プ
の
つ
ぎ
は
ぎ
を
し
て
い
た
頃
,
の
端
末
を
利
用
で
き
る
の
が
羨
ま
し
か
っ
た
.
一
人
で
利
用
で
き
る
ミ
ニ
コ
ン
が
使
え
る
よ
う
に
な
っ
て
,
連
続
用
紙
を
大
量
に
消
費
し
な
が
ら
に
興
じ
て
い
た
と
き
も
端
末
が
欲
し
か
っ
た
.
ア
メ
リ
カ
で
最
初
の
パ
ソ
コ
ン
通
信
が
生
ま
れ
た
と
き
,
何
人
も
の
仲
間
た
ち
が
に
つ
な
ぐ
た
め
に
ア
メ
リ
カ
に
国
際
電
話
を
か
け
て
い
ま
し
た
.
日
本
に
も
,
ア
ス
キ
ー
ネ
ッ
ト
や
日
経
,
,
朝
日
ネ
ッ
ト
な
ど
の
パ
ソ
コ
ン
通
信
が
生
ま
れ
,
一
時
は
,
議
長
を
務
め
た
り
,
こ
れ
ら
全
部
の
パ
ソ
コ
ン
通
信
の
ユ
ー
ザ
を
持
っ
て
い
た
こ
と
も
あ
り
ま
し
た
.
町
に
は
,
草
の
根
パ
ソ
コ
ン
が
雨
後
の
た
け
の
こ
の
よ
う
に
開
局
し
ま
し
た
.
パ
ソ
コ
ン
通
信
も
実
質
的
に
は
イ
ン
タ
ー
ネ
ッ
ト
の
普
及
に
伴
い
,
使
命
を
終
え
ま
し
た
が
,
結
局
,
そ
の
誕
生
か
ら
最
後
ま
で
付
き
合
う
こ
と
に
な
り
ま
し
た
.
通
信
技
術
も
急
激
に
進
歩
し
,
毎
年
,
ネ
ッ
ト
ワ
ー
ク
へ
の
接
続
が
高
速
化
し
ま
し
た
.
ネ
ッ
ク
は
,
通
信
料
金
と
通
信
業
者
と
規
制
だ
け
だ
っ
た
の
で
す
.
つ
な
ぎ
た
い
,
も
っ
と
速
く
つ
な
ぐ
に
は
,
接
続
が
認
め
ら
れ
て
い
な
い
ネ
ッ
ト
ワ
ー
ク
機
器
を
利
用
す
る
し
か
あ
り
ま
せ
ん
で
し
た
.
も
っ
と
速
く
つ
な
ぎ
た
い
の
方
が
重
要
で
す
か
ら
,
海
外
で
買
っ
て
き
た
り
,
秋
葉
原
で
売
っ
て
い
た
,
認
め
ら
れ
て
い
な
い
機
器
も
利
用
す
る
の
が
当
然
.
敵
は
ミ
カ
カ
で
し
た
.
そ
し
て
,
通
信
屋
で
な
い
も
の
が
,
他
の
組
織
の
デ
ー
タ
を
中
継
す
る
こ
と
,
す
な
わ
ち
,
イ
ン
タ
ー
ネ
ッ
ト
へ
の
試
み
は
,
日
本
で
は
違
法
行
為
で
し
た
.
い
ろ
い
ろ
な
人
が
こ
の
規
制
に
歯
向
か
い
,
イ
ン
タ
ー
ネ
ッ
ト
へ
の
道
を
進
め
て
い
た
の
で
す
.
の
社
内
ネ
ッ
ト
ワ
ー
ク
が
テ
レ
ッ
ク
ス
か
ら
と
い
う
コ
ン
ピ
ュ
ー
タ
ネ
ッ
ト
ワ
ー
ク
に
変
わ
り
,
メ
ー
ル
や
が
日
常
化
し
,
ゲ
ー
ト
ウ
ェ
イ
が
設
置
さ
れ
,
,
,
な
ど
へ
も
メ
ー
ル
が
届
く
よ
う
に
な
っ
た
の
は
,
1
9
8
0
年
代
の
半
ば
頃
の
よ
う
に
思
い
ま
す
.
の
で
は
,
(
)
を
利
用
し
て
,
コ
ン
ピ
ュ
ー
タ
ネ
ッ
ト
ワ
ー
ク
を
構
築
し
て
い
ま
し
た
.
同
様
の
技
術
で
,
世
界
を
覆
う
学
術
ネ
ッ
ト
ワ
ー
ク
と
し
て
が
出
来
,
の
日
本
版
の
が
登
場
し
,
そ
し
て
,
真
打
の
イ
ン
タ
ー
ネ
ッ
ト
が
出
来
上
が
り
ま
し
た
.
現
在
の
イ
ン
タ
ー
ネ
ッ
ト
は
,
つ
な
ぎ
た
か
っ
た
,
つ
な
げ
た
か
っ
た
,
み
ん
な
の
夢
が
や
っ
と
実
現
し
た
も
の
で
す
.
実
現
し
た
夢
は
,
夢
を
見
て
い
た
み
ん
な
の
予
想
を
は
る
か
に
越
え
,
は
る
か
に
広
い
範
囲
の
人
と
つ
な
が
る
よ
う
に
な
り
ま
し
た
.
の
シ
ス
テ
ム
ネ
ッ
ト
ワ
ー
ク
体
系
や
国
際
標
準
化
機
構
(
)
の
開
放
型
シ
ス
テ
ム
間
接
続
は
,
こ
う
し
た
み
ん
な
の
夢
で
は
な
く
,
も
っ
と
ビ
ジ
ネ
ス
で
し
た
.
そ
し
て
,
技
術
者
の
夢
や
志
で
は
な
く
,
戦
略
で
し
た
.
ネ
ッ
ト
ワ
ー
ク
に
関
し
て
は
,
/
(
/
)
の
関
連
か
ら
,
デ
ー
タ
ベ
ー
ス
の
研
究
を
本
業
と
し
な
が
ら
,
ネ
ッ
ト
か
ら
,
/
,
/
,
ト
ー
ク
ン
リ
ン
グ
な
ど
の
構
内
通
信
,
そ
し
て
,
,
な
ど
の
広
域
通
信
に
も
関
わ
ら
ざ
る
を
得
な
い
状
況
で
し
た
.
デ
ー
タ
ベ
ー
ス
言
語
の
国
際
標
準
の
開
発
が
プ
ロ
グ
ラ
ム
言
語
の
専
門
委
員
会
(
)
か
ら
の
専
門
委
員
会
に
移
管
さ
れ
,
の
上
位
層
の
開
発
を
担
当
し
て
き
た
/
/
に
は
,
結
局
,
そ
の
始
ま
り
か
ら
1
9
9
7
年
の
解
散
ま
で
関
わ
り
を
も
ち
,
特
に
,
管
理
で
は
デ
ー
タ
ベ
ー
ス
の
専
門
家
と
し
て
,
の
デ
ー
タ
ベ
ー
ス
グ
ル
ー
プ
を
代
表
し
て
,
ネ
ッ
ト
ワ
ー
ク
管
理
や
管
理
情
報
ベ
ー
ス
に
コ
メ
ン
ト
を
出
し
た
り
,
抽
象
構
文
記
法
の
化
以
来
,
の
化
委
員
会
に
も
参
加
し
て
き
ま
し
た
.
は
終
わ
り
ま
し
た
.
し
か
し
,
私
の
関
わ
っ
た
ネ
ッ
ト
ワ
ー
ク
管
理
は
,
(
)
や
(
)
と
し
て
,
ま
だ
イ
ン
タ
ー
ネ
ッ
ト
の
環
境
で
も
生
き
て
い
ま
す
.
こ
れ
ら
と
の
関
連
で
も
ま
だ
生
き
残
っ
て
い
ま
す
.
イ
ン
タ
ー
ネ
ッ
ト
が
接
続
で
き
る
の
は
,
イ
ン
タ
ー
ネ
ッ
ト
標
準
が
あ
る
か
ら
で
す
.
技
術
に
と
っ
て
標
準
や
規
格
と
呼
ば
れ
る
も
の
は
,
最
も
重
要
と
い
っ
て
過
言
で
は
な
い
1
イ
ン
タ
ー
ネ
ッ
ト
と
は
1
.
1
は
じ
め
に
み
ん
な
つ
な
ぎ
た
か
っ
た
し
,
つ
な
げ
た
か
っ
た
.
パ
ン
チ
カ
ー
ド
の
箱
を
抱
え
て
,
大
学
構
内
を
走
り
回
り
,
紙
テ
ー
プ
の
つ
ぎ
は
ぎ
を
し
て
い
た
頃
,
の
端
末
を
利
用
で
き
る
の
が
羨
ま
し
か
っ
た
.
一
人
で
利
用
で
き
る
ミ
ニ
コ
ン
が
使
え
る
よ
う
に
な
っ
て
,
連
続
用
紙
を
大
量
に
消
費
し
な
が
ら
に
興
じ
て
い
た
と
き
も
端
末
が
欲
し
か
っ
た
.
ア
メ
リ
カ
で
最
初
の
パ
ソ
コ
ン
通
信
が
生
ま
れ
た
と
き
,
何
人
も
の
仲
間
た
ち
が
に
つ
な
ぐ
た
め
に
ア
メ
リ
カ
に
国
際
電
話
を
か
け
て
い
ま
し
た
.
日
本
に
も
,
ア
ス
キ
ー
ネ
ッ
ト
や
日
経
,
,
朝
日
ネ
ッ
ト
な
ど
の
パ
ソ
コ
ン
通
信
が
生
ま
れ
,
一
時
は
,
議
長
を
務
め
た
り
,
こ
れ
ら
全
部
の
パ
ソ
コ
ン
通
信
の
ユ
ー
ザ
を
持
っ
て
い
た
こ
と
も
あ
り
ま
し
た
.
町
に
は
,
草
の
根
パ
ソ
コ
ン
が
雨
後
の
た
け
の
こ
の
よ
う
に
開
局
し
ま
し
た
.
パ
ソ
コ
ン
通
信
も
実
質
的
に
は
イ
ン
タ
ー
ネ
ッ
ト
の
普
及
に
伴
い
,
使
命
を
終
え
ま
し
た
が
,
結
局
,
そ
の
誕
生
か
ら
最
後
ま
で
付
き
合
う
こ
と
に
な
り
ま
し
た
.
通
信
技
術
も
急
激
に
進
歩
し
,
毎
年
,
ネ
ッ
ト
ワ
ー
ク
へ
の
接
続
が
高
速
化
し
ま
し
た
.
ネ
ッ
ク
は
,
通
信
料
金
と
通
信
業
者
と
規
制
だ
け
だ
っ
た
の
で
す
.
つ
な
ぎ
た
い
,
も
っ
と
速
く
つ
な
ぐ
に
は
,
接
続
が
認
め
ら
れ
て
い
な
い
ネ
ッ
ト
ワ
ー
ク
機
器
を
利
用
す
る
し
か
あ
り
ま
せ
ん
で
し
た
.
も
っ
と
速
く
つ
な
ぎ
た
い
の
方
が
重
要
で
す
か
ら
,
海
外
で
買
っ
て
き
た
り
,
秋
葉
原
で
売
っ
て
い
た
,
認
め
ら
れ
て
い
な
い
機
器
も
利
用
す
る
の
が
当
然
.
敵
は
ミ
カ
カ
で
し
た
.
そ
し
て
,
通
信
屋
で
な
い
も
の
が
,
他
の
組
織
の
デ
ー
タ
を
中
継
す
る
こ
と
,
す
な
わ
ち
,
イ
ン
タ
ー
ネ
ッ
ト
へ
の
試
み
は
,
日
本
で
は
違
法
行
為
で
し
た
.
い
ろ
い
ろ
な
人
が
こ
の
規
制
に
歯
向
か
い
,
イ
ン
タ
ー
ネ
ッ
ト
へ
の
道
を
進
め
て
い
た
の
で
す
.
の
社
内
ネ
ッ
ト
ワ
ー
ク
が
テ
レ
ッ
ク
ス
か
ら
と
い
う
コ
ン
ピ
ュ
ー
タ
ネ
ッ
ト
ワ
ー
ク
に
変
わ
り
,
メ
ー
ル
や
が
日
常
化
し
,
ゲ
ー
ト
ウ
ェ
イ
が
設
置
さ
れ
,
,
,
な
ど
へ
も
メ
ー
ル
が
届
く
よ
う
に
な
っ
た
の
は
,
1
9
8
0
年
代
の
半
ば
頃
の
よ
う
に
思
い
ま
す
.
の
で
は
,
(
)
を
利
用
し
て
,
コ
ン
ピ
ュ
ー
タ
ネ
ッ
ト
ワ
ー
ク
を
構
築
し
て
い
ま
し
た
.
同
様
の
技
術
で
,
世
界
を
覆
う
学
術
ネ
ッ
ト
ワ
ー
ク
と
し
て
が
出
来
,
の
日
本
版
の
が
登
場
し
,
そ
し
て
,
真
打
の
イ
ン
タ
ー
ネ
ッ
ト
が
出
来
上
が
り
ま
し
た
.
現
在
の
イ
ン
タ
ー
ネ
ッ
ト
は
,
つ
な
ぎ
た
か
っ
た
,
つ
な
げ
た
か
っ
た
,
み
ん
な
の
夢
が
や
っ
と
実
現
し
た
も
の
で
す
.
実
現
し
た
夢
は
,
夢
を
見
て
い
た
み
ん
な
の
予
想
を
は
る
か
に
越
え
,
は
る
か
に
広
い
範
囲
の
人
と
つ
な
が
る
よ
う
に
な
り
ま
し
た
.
の
シ
ス
テ
ム
ネ
ッ
ト
ワ
ー
ク
体
系
や
国
際
標
準
化
機
構
(
)
の
開
放
型
シ
ス
テ
ム
間
接
続
は
,
こ
う
し
た
み
ん
な
の
夢
で
は
な
く
,
も
っ
と
ビ
ジ
ネ
ス
で
し
た
.
そ
し
て
,
技
術
者
の
夢
や
志
で
は
な
く
,
戦
略
で
し
た
.
ネ
ッ
ト
ワ
ー
ク
に
関
し
て
は
,
/
(
/
)
の
関
連
か
ら
,
デ
ー
タ
ベ
ー
ス
の
研
究
を
本
業
と
し
な
が
ら
,
ネ
ッ
ト
か
ら
,
/
,
/
,
ト
ー
ク
ン
リ
ン
グ
な
ど
の
構
内
通
信
,
そ
し
て
,
,
な
ど
の
広
域
通
信
に
も
関
わ
ら
ざ
る
を
得
な
い
状
況
で
し
た
.
デ
ー
タ
ベ
ー
ス
言
語
の
国
際
標
準
の
開
発
が
プ
ロ
グ
ラ
ム
言
語
の
専
門
委
員
会
(
)
か
ら
の
専
門
委
員
会
に
移
管
さ
れ
,
の
上
位
層
の
開
発
を
担
当
し
て
き
た
/
/
に
は
,
結
局
,
そ
の
始
ま
り
か
ら
1
9
9
7
年
の
解
散
ま
で
関
わ
り
を
も
ち
,
特
に
,
管
理
で
は
デ
ー
タ
ベ
ー
ス
の
専
門
家
と
し
て
,
の
デ
ー
タ
ベ
ー
ス
グ
ル
ー
プ
を
代
表
し
て
,
ネ
ッ
ト
ワ
ー
ク
管
理
や
管
理
情
報
ベ
ー
ス
に
コ
メ
ン
ト
を
出
し
た
り
,
抽
象
構
文
記
法
の
化
以
来
,
の
化
委
員
会
に
も
参
加
し
て
き
ま
し
た
.
は
終
わ
り
ま
し
た
.
し
か
し
,
私
の
関
わ
っ
た
ネ
ッ
ト
ワ
ー
ク
管
理
は
,
(
)
や
(
)
と
し
て
,
ま
だ
イ
ン
タ
ー
ネ
ッ
ト
の
環
境
で
も
生
き
て
い
ま
す
.
こ
れ
ら
と
の
関
連
で
も
ま
だ
生
き
残
っ
て
い
ま
す
.
イ
ン
タ
ー
ネ
ッ
ト
が
接
続
で
き
る
の
は
,
イ
ン
タ
ー
ネ
ッ
ト
標
準
が
あ
る
か
ら
で
す
.
技
術
に
と
っ
て
標
準
や
規
格
と
呼
ば
れ
る
も
の
は
,
最
も
重
要
と
い
っ
て
過
言
で
は
な
い
1
イ
ン
タ
ー
ネ
ッ
ト
と
は
1
.
1
は
じ
め
に
157
X 4051:2004
附属書4図14 Y-2,A5,文字サイズ9ポ,34字,29行,行間7ポ(左ページ)
みんなつなぎたかったし,つなげたかった.
パンチカードの箱を抱えて,大学構内を走り回り,紙テープのつぎはぎを
していた頃,
の端末を利用できるのが羨ましかった.一人で利用できる
ミニコンが使えるようになって,連続用紙を大量に消費しながら
に興じていたときも
端末が欲しかった.
アメリカで最初のパソコン通信が生まれたとき,何人もの仲間たちが
につなぐためにアメリカに国際電話をかけていました.日本にも,ア
スキーネットや日経
,
,朝日ネットなどのパソコン通信が生
まれ,一時は,議長を務めたり,これら全部のパソコン通信のユーザ
を
持っていたこともありました.町には,草の根パソコン
が雨後のたけ
のこのように開局しました.パソコン通信も実質的にはインターネットの普
及に伴い,使命を終えましたが,結局,その誕生から最後まで付き合うこと
になりました.
通信技術も急激に進歩し,毎年,ネットワークへの接続が高速化しました.
ネックは,通信料金と通信業者と規制だけだったのです.つなぎたい,もっ
と速くつなぐには,接続が認められていないネットワーク機器を利用するし
かありませんでした.もっと速くつなぎたいの方が重要ですから,海外で
買ってきたり,秋葉原で売っていた,認められていない機器も利用するのが
当然.敵はミカカでした.そして,通信屋でないものが,他の組織のデータ
を中継すること,すなわち,インターネットへの試みは,日本では違法行為
でした.いろいろな人がこの規制に歯向かい,インターネットへの道を進め
ていたのです.
の社内ネットワークがテレックスから
というコンピュータ
ネットワークに変わり,メールや
が日常化し,ゲートウェイが設置され,
,
,
などへもメールが届くようになったのは,
1980年代の半ば頃のように思います.
の
では,
(
)を利用して,コ
ンピュータネットワークを構築していました.同様の技術で,世界を覆う学
術ネットワークとして
が出来,
の日本版の
が登
1
インターネットとは
158
X 4051:2004
附属書4図15 Y-2,A5,文字サイズ9ポ,34字,29行,行間7ポ(右ページ)
場し,そして,真打のインターネットが出来上がりました.
現在のインターネットは,つなぎたかった,つなげたかった,みんなの夢
がやっと実現したものです.実現した夢は,夢を見ていたみんなの予想をは
るかに越え,はるかに広い範囲の人とつながるようになりました.
のシステムネットワーク体系
や国際標準化機構
(
)の開放型システム間接続
は,こうしたみんなの夢ではなく,もっとビジネスでした.そして,技
術者の夢や志ではなく,戦略でした.
ネットワークに関しては,
/
(
/
)の関
連から,データベースの研究を本業としながら,
ネットから
,
/
,
/
,トークンリングなどの構内通信,そして,
,
などの広域通信にも関わらざるを得ない状況でした.データベース言語
の国際標準の開発がプログラム言語の専門委員会
(
)から
の専門委員会
に移管され,
の上位層の開発を担当して
きた
/
/
には,結局,その始まりから1997年の解散まで関
わりをもち,特に,
管理ではデータベースの専門家として,
のデー
タベースグループを代表して,ネットワーク管理や管理情報ベースにコメン
トを出したり,抽象構文記法
の
化以来,
の
化委員会にも
参加してきました.
は終わりました.しかし,私の関わったネットワーク管理は,
(
)や
(
)として,まだインターネットの環境でも生きています.これらとの関
連で
もまだ生き残っています.
インターネットが接続できるのは,インターネット標準があるからです.
技術にとって標準や規格と呼ばれるものは,最も重要といって過言ではない
でしょう.しかし,一部の人は,強制として標準化を捉えることが多いよう
ですが,本来は強制や権威ではなく,技術自体の優越性を求めるのが技術者
の立場だと思います.この点で,インターネットを支えるのは,この志です.
この志によって,各国政府が国境を越えて,強力にサポートした
をイン
1.1
は
じ
め
に
159
X 4051:2004
附属書4図16 Y-3,B5,文字サイズ9ポ,22字,40行,行間6ポ(左ページ)
みんなつなぎたかったし,つなげたかった.
パンチカードの箱を抱えて,大学構内を走り回
り,紙テープのつぎはぎをしていた頃,
の端
末を利用できるのが羨ましかった.一人で利用で
きるミニコンが使えるようになって,連続用紙を
大量に消費しながら
に興じていたとき
も
端末が欲しかった.
アメリカで最初のパソコン通信が生まれたと
き,何人もの仲間たちが
につなぐた
めにアメリカに国際電話をかけていました.日本
にも,アスキーネットや日経
,
,
朝日ネットなどのパソコン通信が生まれ,一時は,
議長を務めたり,これら全部のパソコン通信の
ユーザ
を持っていたこともありました.町に
は,草の根パソコン
が雨後のたけのこのよ
うに開局しました.パソコン通信も実質的にはイ
ンターネットの普及に伴い,使命を終えましたが,
結局,その誕生から最後まで付き合うことになり
ました.
通信技術も急激に進歩し,毎年,ネットワーク
への接続が高速化しました.ネックは,通信料金
と通信業者と規制だけだったのです.つなぎた
い,もっと速くつなぐには,接続が認められてい
ないネットワーク機器を利用するしかありません
でした.もっと速くつなぎたいの方が重要ですか
ら,海外で買ってきたり,秋葉原で売っていた,
認められていない機器も利用するのが当然.敵は
ミカカでした.そして,通信屋でないものが,他
の組織のデータを中継すること,すなわち,イン
ターネットへの試みは,日本では違法行為でした.
いろいろな人がこの規制に歯向かい,インター
ネットへの道を進めていたのです.
の社内ネットワークがテレックスから
というコンピュータネットワークに変わ
り,メールや
が日常化し,ゲートウェイが設
置され,
,
,
などへも
メールが届くようになったのは,1980年代の半ば
頃のように思います.
の
では,
(
)を利用して,コンピュータネッ
トワークを構築していました.同様の技術で,世
界を覆う学術ネットワークとして
が出
来,
の日本版の
が登場し,そし
て,真打のインターネットが出来上がりました.
現在のインターネットは,つなぎたかった,つ
なげたかった,みんなの夢がやっと実現したもの
です.実現した夢は,夢を見ていたみんなの予想
をはるかに越え,はるかに広い範囲の人とつなが
るようになりました.
のシステムネットワーク体系
や国際
標準化機構
(
)の開放型システム間接続
は,
こうしたみんなの夢ではなく,もっとビジネスで
した.そして,技術者の夢や志ではなく,戦略で
した.
ネットワークに関しては,
/
(
/
)の関連から,
データベースの研究を本業としながら,
ネットから
,
/
,
/
,トー
クンリングなどの構内通信,そして,
,
などの広域通信にも関わらざるを得ない状況でし
た.データベース言語
の国際標準の開発が
プログラム言語の専門委員会
(
)から
の専門委員会
に移
管され,
の上位層の開発を担当してきた
/
1/
には,結局,その始まりか
ら1997年の解散まで関わりをもち,特に,
管
理ではデータベースの専門家として,
のデー
タベースグループを代表して,ネットワーク管理
や管理情報ベースにコメントを出したり,抽象構
文記法
の
化以来,
の
化委員会
にも参加してきました.
は終わりました.しかし,私の関わった
ネットワーク管理は,
(
)や
(
)として,まだインターネットの
環境でも生きています.これらとの関連で
もまだ生き残っています.
インターネットが接続できるのは,インター
ネット標準があるからです.技術にとって標準や
規格と呼ばれるものは,最も重要といって過言で
はないでしょう.しかし,一部の人は,強制とし
て標準化を捉えることが多いようですが,本来は
強制や権威ではなく,技術自体の優越性を求める
のが技術者の立場だと思います.この点で,イン
ターネットを支えるのは,この志です.この志に
よって,各国政府が国境を越えて,強力にサポー
トした
をインターネットは駆逐したのです.
インターネットのこの性格を端的に表現した有
名な言葉があります.それは,最初のインター
ネットの国際会議であった
での
の
の次の言葉に象徴されます.
,
,
.
王様も,大統領も,社長も,投票も,要ら
ない.仲間がいて,動くプログラムがあれば
よい.
しかし,インターネットについて書かれた本や
日本国内でのインターネット関係者の一部には,
権威や強制として,インターネットを捉える見方
があります.また,インターネットの技術的な説
明を無理やり
に合わせ,
の考え方を十分
には理解していないにもかかわらず,
の枠組
みでインターネットを語ることが多いように思い
ます.
この本では,上記のインターネット的な考え方
からインターネットの主要な技術の体系に関し
て,できる限り正確かつ簡潔に説明しようと努め
ました.同時に,
との対比からインターネッ
トの成功要因と
の失敗要因について検討し,
将来の技術開発の志の支えとなることも期待して
います.
インターネットの父と呼ばれる人ですら,今日
のインターネットを予想することは出来ませんで
した.数年前に,多くの専門家は,インターネッ
トは
と同じく,大成功のうちに破滅の
時を迎えることを予想しました.しかし,技術と
ビジネスの両方がこの予想を完全に裏切り,そし
て,今日のインターネットがあるのです.
技術面では,インターネットは実にいい加減と
言えるかもしれません.しかし,これは,インター
ネットがまさにインターネットであろうとするこ
とからきているのです.すなわち,インターネッ
トでは,通信は保証されません.送ったデータは
捨てられることがあります.信頼性や品質保証よ
り,インターネットでは“つながることが大事
(
)”.まさにつなぐ
ネットワークがインターネットなのです.捨て去
ることによって,つながり続けるのがインター
ネットの技術です.
一方,インターネットの成功によって,インター
ネット基盤上に多くのビジネスが展開し,多くの
利用者が料金を分担するようになり,結果として,
インターネットに多くの資金が投じられるように
なりました.このことによって,インターネット
は破滅のときを迎えることなしに,爆発的拡大を
続けているのです.そして,これを可能にしたの
が,“全部
(
)”,“どこでも
(
)”です.
また,インターネットは,私にとっては,通信
屋の妨害に負けなかったコンピュータ屋のアプ
ローチの勝利の一つの象徴のように思えます.そ
して,インターネットの技術の中にソフトウェア
の研究開発で留意しなければいけない真理が含ま
れているように思えます.この真理とは,必要な
ことだけを最小のやり方で実現することです.こ
の本では,この点についても具体的な技術に即し
て,触れています.
や
のきっちりとしたプロトコル体系
に対して,インターネットの世界は,プロトコル
の各階層が上位層にも下位層にも依存せず,つな
がるためにだけ,設計されています.
実際の利用者がインターネットを利用する際,
後ろ側でどのようなことが行われ,どのような考
え方でインターネットが開発されてきたのかを中
心に,この本の構成を考えました.
1章では,インターネットの概要を説明し,イ
ンターネットを利用し始めるために必要な最小限
の知識が得られるように配慮しています.すなわ
1
インターネットとは
1.1
は
じ
め
に
-4
160
X 4051:2004
附属書4図17 Y-3,B5,文字サイズ9ポ,22字,40行,行間6ポ(右ページ)
附属書4図18 Y-4,A4,文字サイズ9ポ,25字,46行,行間6ポ(左ページ)161ページ→
附属書4図19 Y-4,A4,文字サイズ9ポ,25字,46行,行間6ポ(右ページ)162ページ→
みんなつなぎたかったし,つなげたかった.
パンチカードの箱を抱えて,大学構内を走り回
り,紙テープのつぎはぎをしていた頃,
の端
末を利用できるのが羨ましかった.一人で利用で
きるミニコンが使えるようになって,連続用紙を
大量に消費しながら
に興じていたとき
も
端末が欲しかった.
アメリカで最初のパソコン通信が生まれたと
き,何人もの仲間たちが
につなぐた
めにアメリカに国際電話をかけていました.日本
にも,アスキーネットや日経
,
,
朝日ネットなどのパソコン通信が生まれ,一時は,
議長を務めたり,これら全部のパソコン通信の
ユーザ
を持っていたこともありました.町に
は,草の根パソコン
が雨後のたけのこのよ
うに開局しました.パソコン通信も実質的にはイ
ンターネットの普及に伴い,使命を終えましたが,
結局,その誕生から最後まで付き合うことになり
ました.
通信技術も急激に進歩し,毎年,ネットワーク
への接続が高速化しました.ネックは,通信料金
と通信業者と規制だけだったのです.つなぎた
い,もっと速くつなぐには,接続が認められてい
ないネットワーク機器を利用するしかありません
でした.もっと速くつなぎたいの方が重要ですか
ら,海外で買ってきたり,秋葉原で売っていた,
認められていない機器も利用するのが当然.敵は
ミカカでした.そして,通信屋でないものが,他
の組織のデータを中継すること,すなわち,イン
ターネットへの試みは,日本では違法行為でした.
いろいろな人がこの規制に歯向かい,インター
ネットへの道を進めていたのです.
の社内ネットワークがテレックスから
というコンピュータネットワークに変わ
り,メールや
が日常化し,ゲートウェイが設
置され,
,
,
などへも
メールが届くようになったのは,1980年代の半ば
頃のように思います.
の
では,
(
)を利用して,コンピュータネッ
トワークを構築していました.同様の技術で,世
界を覆う学術ネットワークとして
が出
来,
の日本版の
が登場し,そし
て,真打のインターネットが出来上がりました.
現在のインターネットは,つなぎたかった,つ
なげたかった,みんなの夢がやっと実現したもの
です.実現した夢は,夢を見ていたみんなの予想
をはるかに越え,はるかに広い範囲の人とつなが
るようになりました.
のシステムネットワーク体系
や国際
標準化機構
(
)の開放型システム間接続
は,
こうしたみんなの夢ではなく,もっとビジネスで
した.そして,技術者の夢や志ではなく,戦略で
した.
ネットワークに関しては,
/
(
/
)の関連から,
データベースの研究を本業としながら,
ネットから
,
/
,
/
,トー
クンリングなどの構内通信,そして,
,
などの広域通信にも関わらざるを得ない状況でし
た.データベース言語
の国際標準の開発が
プログラム言語の専門委員会
(
)から
の専門委員会
に移
管され,
の上位層の開発を担当してきた
/
1/
には,結局,その始まりか
ら1997年の解散まで関わりをもち,特に,
管
理ではデータベースの専門家として,
のデー
タベースグループを代表して,ネットワーク管理
や管理情報ベースにコメントを出したり,抽象構
文記法
の
化以来,
の
化委員会
にも参加してきました.
は終わりました.しかし,私の関わった
ネットワーク管理は,
(
)や
(
)として,まだインターネットの
環境でも生きています.これらとの関連で
もまだ生き残っています.
インターネットが接続できるのは,インター
ネット標準があるからです.技術にとって標準や
規格と呼ばれるものは,最も重要といって過言で
はないでしょう.しかし,一部の人は,強制とし
て標準化を捉えることが多いようですが,本来は
強制や権威ではなく,技術自体の優越性を求める
のが技術者の立場だと思います.この点で,イン
ターネットを支えるのは,この志です.この志に
よって,各国政府が国境を越えて,強力にサポー
トした
をインターネットは駆逐したのです.
インターネットのこの性格を端的に表現した有
名な言葉があります.それは,最初のインター
ネットの国際会議であった
での
の
の次の言葉に象徴されます.
,
,
.
王様も,大統領も,社長も,投票も,要ら
ない.仲間がいて,動くプログラムがあれば
よい.
しかし,インターネットについて書かれた本や
日本国内でのインターネット関係者の一部には,
権威や強制として,インターネットを捉える見方
があります.また,インターネットの技術的な説
明を無理やり
に合わせ,
の考え方を十分
には理解していないにもかかわらず,
の枠組
みでインターネットを語ることが多いように思い
ます.
この本では,上記のインターネット的な考え方
からインターネットの主要な技術の体系に関し
て,できる限り正確かつ簡潔に説明しようと努め
ました.同時に,
との対比からインターネッ
トの成功要因と
の失敗要因について検討し,
将来の技術開発の志の支えとなることも期待して
います.
インターネットの父と呼ばれる人ですら,今日
のインターネットを予想することは出来ませんで
した.数年前に,多くの専門家は,インターネッ
トは
と同じく,大成功のうちに破滅の
時を迎えることを予想しました.しかし,技術と
ビジネスの両方がこの予想を完全に裏切り,そし
て,今日のインターネットがあるのです.
技術面では,インターネットは実にいい加減と
言えるかもしれません.しかし,これは,インター
ネットがまさにインターネットであろうとするこ
とからきているのです.すなわち,インターネッ
トでは,通信は保証されません.送ったデータは
捨てられることがあります.信頼性や品質保証よ
り,インターネットでは“つながることが大事
(
)”.まさにつなぐ
ネットワークがインターネットなのです.捨て去
ることによって,つながり続けるのがインター
ネットの技術です.
一方,インターネットの成功によって,インター
ネット基盤上に多くのビジネスが展開し,多くの
利用者が料金を分担するようになり,結果として,
インターネットに多くの資金が投じられるように
なりました.このことによって,インターネット
は破滅のときを迎えることなしに,爆発的拡大を
続けているのです.そして,これを可能にしたの
が,“全部
(
)”,“どこでも
(
)”です.
また,インターネットは,私にとっては,通信
屋の妨害に負けなかったコンピュータ屋のアプ
ローチの勝利の一つの象徴のように思えます.そ
して,インターネットの技術の中にソフトウェア
の研究開発で留意しなければいけない真理が含ま
れているように思えます.この真理とは,必要な
ことだけを最小のやり方で実現することです.こ
の本では,この点についても具体的な技術に即し
て,触れています.
や
のきっちりとしたプロトコル体系
に対して,インターネットの世界は,プロトコル
の各階層が上位層にも下位層にも依存せず,つな
がるためにだけ,設計されています.
実際の利用者がインターネットを利用する際,
後ろ側でどのようなことが行われ,どのような考
え方でインターネットが開発されてきたのかを中
心に,この本の構成を考えました.
1章では,インターネットの概要を説明し,イ
ンターネットを利用し始めるために必要な最小限
の知識が得られるように配慮しています.すなわ
1
インターネットとは
1.1
は
じ
め
に
161
X 4051:2004
みんなつなぎたかったし,つなげたかった.
パンチカードの箱を抱えて,大学構内を走り回り,紙
テープのつぎはぎをしていた頃,
の端末を利用でき
るのが羨ましかった.一人で利用できるミニコンが使え
るようになって,連続用紙を大量に消費しながら
に興じていたときも
端末が欲しかった.
アメリカで最初のパソコン通信が生まれたとき,何人
もの仲間たちが
につなぐためにアメリカに
国際電話をかけていました.日本にも,アスキーネット
や日経
,
,朝日ネットなどのパソコン通
信が生まれ,一時は,議長を務めたり,これら全部のパ
ソコン通信のユーザ
を持っていたこともありまし
た.町には,草の根パソコン
が雨後のたけのこの
ように開局しました.パソコン通信も実質的にはイン
ターネットの普及に伴い,使命を終えましたが,結局,
その誕生から最後まで付き合うことになりました.
通信技術も急激に進歩し,毎年,ネットワークへの接
続が高速化しました.ネックは,通信料金と通信業者と
規制だけだったのです.つなぎたい,もっと速くつなぐ
には,接続が認められていないネットワーク機器を利用
するしかありませんでした.もっと速くつなぎたいの方
が重要ですから,海外で買ってきたり,秋葉原で売って
いた,認められていない機器も利用するのが当然.敵は
ミカカでした.そして,通信屋でないものが,他の組織
のデータを中継すること,すなわち,インターネットへ
の試みは,日本では違法行為でした.いろいろな人がこ
の規制に歯向かい,インターネットへの道を進めていた
のです.
の社内ネットワークがテレックスから
と
いうコンピュータネットワークに変わり,メールや
が日常化し,ゲートウェイが設置され,
,
,
などへもメールが届くようになった
のは,1980年代の半ば頃のように思います.
の
では,
(
)を利用して,コンピュータネットワークを構築
していました.同様の技術で,世界を覆う学術ネット
ワークとして
が出来,
の日本版の
が登場し,そして,真打のインターネットが出
来上がりました.
現在のインターネットは,つなぎたかった,つなげた
かった,みんなの夢がやっと実現したものです.実現し
た夢は,夢を見ていたみんなの予想をはるかに越え,は
るかに広い範囲の人とつながるようになりました.
のシステムネットワーク体系
や国際標準化
機構
(
)
の開放型システム間接続
は,こうしたみんなの夢で
はなく,もっとビジネスでした.そして,技術者の夢や
志ではなく,戦略でした.
ネットワークに関しては,
/
(
/
)の関連から,データベースの研究を本
業としながら,
ネットから
,
/
,
/
,トークンリングなどの構内通信,そして,
,
などの広域通信にも関わらざるを得ない状況
でした.データベース言語
の国際標準の開発がプ
ログラム言語の専門委員会
(
)か
ら
の専門委員会
に移管され,
の上位層の
開発を担当してきた
/
/
には,結局,
その始まりから1997年の解散まで関わりをもち,特に,
管理ではデータベースの専門家として,
のデー
タベースグループを代表して,ネットワーク管理や管理
情報ベースにコメントを出したり,抽象構文記法
の
化以来,
の
化委員会にも参加してきまし
た.
は終わりました.しかし,私の関わったネット
ワーク管理は,
(
)や
(
)とし
て,まだインターネットの環境でも生きています.これ
らとの関連で
もまだ生き残っています.
インターネットが接続できるのは,インターネット標
準があるからです.技術にとって標準や規格と呼ばれる
ものは,最も重要といって過言ではないでしょう.しか
し,一部の人は,強制として標準化を捉えることが多い
ようですが,本来は強制や権威ではなく,技術自体の優
越性を求めるのが技術者の立場だと思います.この点
で,インターネットを支えるのは,この志です.この志
によって,各国政府が国境を越えて,強力にサポートし
た
をインターネットは駆逐したのです.
インターネットのこの性格を端的に表現した有名な言
葉があります.それは,最初のインターネットの国際会
議であった
での
の
の次の言
葉に象徴されます.
,
,
.
王様も,大統領も,社長も,投票も,要らない.
仲間がいて,動くプログラムがあればよい.
しかし,インターネットについて書かれた本や日本国
内でのインターネット関係者の一部には,権威や強制と
して,インターネットを捉える見方があります.また,
インターネットの技術的な説明を無理やり
に合わ
せ,
の考え方を十分には理解していないにもかかわ
らず,
の枠組みでインターネットを語ることが多い
ように思います.
1
インターネットとは
126
162
X 4051:2004
この本では,上記のインターネット的な考え方からイ
ンターネットの主要な技術の体系に関して,できる限り
正確かつ簡潔に説明しようと努めました.同時に,
との対比からインターネットの成功要因と
の失敗
要因について検討し,将来の技術開発の志の支えとなる
ことも期待しています.
インターネットの父と呼ばれる人ですら,今日のイン
ターネットを予想することは出来ませんでした.数年前
に,多くの専門家は,インターネットは
と同
じく,大成功のうちに破滅の時を迎えることを予想しま
した.しかし,技術とビジネスの両方がこの予想を完全
に裏切り,そして,今日のインターネットがあるのです.
技術面では,インターネットは実にいい加減と言える
かもしれません.しかし,これは,インターネットがま
さにインターネットであろうとすることからきているの
です.すなわち,インターネットでは,通信は保証され
ません.送ったデータは捨てられることがあります.信
頼性や品質保証より,インターネットでは“つながるこ
とが大事(
)”.まさにつなぐ
ネットワークがインターネットなのです.捨て去ること
によって,つながり続けるのがインターネットの技術で
す.
一方,インターネットの成功によって,インターネッ
ト基盤上に多くのビジネスが展開し,多くの利用者が料
金を分担するようになり,結果として,インターネット
に多くの資金が投じられるようになりました.このこと
によって,インターネットは破滅のときを迎えることな
しに,爆発的拡大を続けているのです.そして,これを
可能にしたのが,“全部
(
)”,“どこ
でも
(
)”です.
また,インターネットは,私にとっては,通信屋の妨
害に負けなかったコンピュータ屋のアプローチの勝利の
一つの象徴のように思えます.そして,インターネット
の技術の中にソフトウェアの研究開発で留意しなければ
いけない真理が含まれているように思えます.この真理
とは,必要なことだけを最小のやり方で実現することで
す.この本では,この点についても具体的な技術に即し
て,触れています.
や
のきっちりとしたプロトコル体系に対し
て,インターネットの世界は,プロトコルの各階層が上
位層にも下位層にも依存せず,つながるためにだけ,設
計されています.
実際の利用者がインターネットを利用する際,後ろ側
でどのようなことが行われ,どのような考え方でイン
ターネットが開発されてきたのかを中心に,この本の構
成を考えました.
1章では,インターネットの概要を説明し,インター
ネットを利用し始めるために必要な最小限の知識が得ら
れるように配慮しています.すなわち,1章を読めばイ
ンターネットが使えるようになることを期待していま
す.
2章では,インターネットへ至る道を歴史を中心に説
明します.
3章からがインターネット技術の詳細な説明になりま
す.
3章では,
/
を中心にインターネットの基盤技
術について説明します.
4章では,インターネットの代表的なアプリケーショ
ンである単純電子メールプロトコル
と電子メー
ルを実現する技術の詳細について述べます.
5章では,インターネットの現在の応用で最も重要な
(
)について,説明します.
6章では,インターネットの未来として,どのような
試みがあるのかについて,説明します.
自由でオープンな技術の世界の勝利としてのインター
ネット.この本では,そのインターネットの技術的内容
だけではなく,その精神を理解してもらいたいと思って
います.
また,この理解の上に立って,国内だけで勝負したり,
学問や知識の翻訳や輸入だけにとどまらず,インター
ネットを通じて,世界の舞台で貢献できる人が増えるこ
とを期待しています.
みんなつなぎたかったし,つなげたかった.
パンチカードの箱を抱えて,大学構内を走り回り,紙
テープのつぎはぎをしていた頃,
の端末を利用でき
るのが羨ましかった.一人で利用できるミニコンが使え
るようになって,連続用紙を大量に消費しながら
に興じていたときも
端末が欲しかった.
アメリカで最初のパソコン通信が生まれたとき,何人
もの仲間たちが
につなぐためにアメリカに
国際電話をかけていました.日本にも,アスキーネット
や日経
,
,朝日ネットなどのパソコン通
信が生まれ,一時は,議長を務めたり,これら全部のパ
ソコン通信のユーザ
を持っていたこともありまし
た.町には,草の根パソコン
が雨後のたけのこの
ように開局しました.パソコン通信も実質的にはイン
ターネットの普及に伴い,使命を終えましたが,結局,
その誕生から最後まで付き合うことになりました.
通信技術も急激に進歩し,毎年,ネットワークへの接
続が高速化しました.ネックは,通信料金と通信業者と
規制だけだったのです.つなぎたい,もっと速くつなぐ
には,接続が認められていないネットワーク機器を利用
1.1
は
じ
め
に
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