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X 33020:2019 (ISO/IEC 33020:2015) 

(1) 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 1 

2 引用規格························································································································· 2 

3 用語及び定義 ··················································································································· 2 

4 概要······························································································································· 2 

5 プロセス能力のためのプロセス測定フレームワーク ································································ 2 

5.1 概要 ···························································································································· 2 

5.2 プロセス能力水準及びプロセス属性··················································································· 3 

5.3 プロセス属性評定の尺度 ································································································· 6 

5.4 プロセス属性評定方法 ···································································································· 7 

5.5 集約方法 ······················································································································ 7 

5.6 プロセス能力水準モデル ································································································· 9 

附属書A(参考)プロセス測定フレームワークの適合度 ····························································· 10 

附属書B(参考)プロセスパフォーマンスモデルの例 ································································· 14 

参考文献 ···························································································································· 16 

X 33020:2019 (ISO/IEC 33020:2015) 

(2) 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人情報処理学会(IPSJ)及び一般

財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,

日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。 

ソフトウェア開発を主たる対象としたプロセスアセスメント手法をセキュリティ,セーフティ,サービ

スなど,より広い範囲に適用するべく,国際規格ISO/IEC 15504シリーズ(JIS X 0145シリーズ)の枠組

みが見直されて,ISO/IEC 33000シリーズへの移行及び再構築が行われており,これに対応して,この規

格の制定を行った。 

これによって,JIS X 0145-2:2008は廃止され,この規格に置き換えられた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

  

日本工業規格          JIS 

X 33020:2019 

(ISO/IEC 33020:2015) 

情報技術−プロセスアセスメント− 

プロセス能力のアセスメントのための 

プロセス測定フレームワーク 

Information technology-Process assessment- 

Process measurement framework for assessment of process capability 

序文 

この規格は,2015年に第1版として発行されたISO/IEC 33020を基に,技術的内容及び構成を変更する

ことなく作成した日本工業規格である。 

なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。 

適用範囲 

この規格は,ISO/IEC 33003の要求事項に従って,プロセス能力のアセスメントを支援するプロセス測

定フレームワークについて規定する。プロセス測定フレームワークは,JIS X 33002[3]の要求事項に従って

プロセス能力のアセスメントを実施する際の,ISO/IEC 33004[4]に適合するプロセスアセスメントモデル

を構築するために使用できる枠組みを提供する。この規格及び関連する規格では,プロセス能力とは,プ

ロセスが現在の事業目標又は予測される事業目標を一貫して満たす能力に関連するプロセス品質特性であ

る。 

この規格が定義するプロセス測定フレームワークは,次による。 

a) 自己アセスメントを促進する。 

b) プロセス改善及びプロセス品質判定に使用するための基盤を提供する。 

c) 全ての適用分野及びあらゆる大きさの組織に適用できる。 

d) 一連のプロセス(能力)属性の評定(プロセスプロファイル)を生成する。 

e) プロセス能力水準を導出する。 

注記1 この規格は,ソフトウェア又は情報分野が対象である。 

注記2 著作権の放棄:この規格の利用者は,プロセスアセスメントモデル又は成熟度モデルの一部

として5.2,5.3,5.4及び5.6を複製して,意図した目的のために使用できるようにしてもよ

い。 

注記3 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

ISO/IEC 33020:2015,Information technology−Process assessment−Process measurement 

framework for assessment of process capability(IDT) 

なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”

ことを示す。 

X 33020:2019 (ISO/IEC 33020:2015) 

  

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS X 33001 情報技術−プロセスアセスメント−概念及び用語 

注記 対応国際規格:ISO/IEC 33001,Information technology−Process assessment−Concepts and 

terminology 

ISO/IEC 33003,Information technology−Process assessment−Requirements for process measurement 

frameworks 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS X 33001によるほか,次による。 

3.1 

プロセス能力(process capability) 

現在の事業目標又は予測される事業目標を達成するためのプロセス能力の特徴付け。 

3.2 

プロセス能力水準(process capability level) 

プロセス能力の順序測定尺度におけるプロセスの特徴付け。 

概要 

特定の実施の水準までプロセスを実行する能力は,十分に確立された原則1) に依存する。この規格は,

全ての分野に共通する原則を定めている。この規格で記載しているプロセス能力測定フレームワークは,

一連のプロセス属性の観点で表現している。プロセス属性の達成の程度を示すために,評価することがで

きる一連のプロセス属性成果の観点で,各プロセス属性を定義する。プロセス属性は,“不完全な”(プロ

セスが定義されたプロセス成果を達成しない。)から“革新している”(組織の変化に対応するために,プ

ロセスが継続的に改善される。)までのプロセス能力水準を編成する。 

このプロセス測定フレームワークを組み込んだプロセスアセスメントモデルを使用するアセスメントの

結果は,アセスメントの範囲内の各プロセスの一連のプロセス属性の達成の評定である一連のプロセスプ

ロファイルである。その結果は,アセスメント範囲内の各プロセスで達成された能力水準の評定で表現す

ることもできる。能力水準の評定は,組織が与えられたプロセス能力水準でプロセスを実行することを保

証するものではなく,単にその水準でプロセスを実行できることを意味する。 

注1) ソフトウェアプロセスの定義,適用,展開及び改善の過程で確立されてきた考え方を示してい

る。 

プロセス能力のためのプロセス測定フレームワーク 

5.1 

概要 

この細分箇条は,ISO/IEC 33003の要求事項に適合する,プロセス能力のアセスメントのためのプロセ

ス測定フレームワークを定義する。このプロセス測定フレームワークは,プロセス能力を診断するプロセ

スアセスメントモデルを構築するために使用できる枠組みを提供する(附属書A参照)。 

このプロセス測定フレームワーク内で,能力の測定は,一連のプロセス属性に基づいている。各プロセ

ス属性は,プロセス能力の測定可能な性質を定義する。プロセス属性達成の程度は,定義する評定尺度に

X 33020:2019 (ISO/IEC 33020:2015) 

よって特徴付けられる。診断対象プロセスのプロセス能力水準は,プロセスプロファイルに表された一連

のプロセス属性評定から導出する。 

一つのプロセス属性の達成を,プロセス測定フレームワーク内の別のプロセス属性の達成に関連付けて

もよい。 

5.2 

プロセス能力水準及びプロセス属性 

最下位の尺度“不完全な”から,最上位の尺度“革新している”までの,能力を診断できるようにする

6段階の順序尺度でプロセス能力を定義する。この尺度は,プロセスの目的を達成していない状態から,

継続的に改善し,組織の変化に対応できる状態に至るまでの,実行しているプロセス能力が増進している

ことを表している。 

5.2.1 

プロセス能力水準0:不完全なプロセス 

プロセスを実行していない又はプロセスの目的を達成していない。 

この水準では,プロセスの目的を体系的に達成しているという証拠は,ほとんどない又は全くない。 

5.2.2 

プロセス能力水準1:実施されたプロセス 

実行したプロセスが,そのプロセスの目的を達成している。次のプロセス属性が,この水準の達成を示

している。 

5.2.2.1 

PA 1.1 プロセス実行プロセス属性 

プロセス実行プロセス属性は,プロセス目的を達成している程度を示す測定量である。このプロセス属

性を十分に達成した結果は,次のとおりである。 

a) プロセスは,定義されたプロセス成果を達成している。 

5.2.3 

プロセス能力水準2:管理されたプロセス 

水準1の“実施されたプロセス”を,管理された方法(計画し,監視し,調整した方法)で実行し,及

びその作業生産物を適切に確立し,制御し,維持している。 

次のプロセス属性は,水準1で定義するプロセス属性とともに,この水準の達成を示している。 

5.2.3.1 

PA 2.1 実行管理プロセス属性 

実行管理プロセス属性は,プロセスの実行を管理している程度を示す測定量である。このプロセス属性

を十分に達成した結果は,次のとおりである。 

a) プロセスの実行の目標を識別している。 

b) プロセスの実行を計画している。 

c) プロセスの実行を監視している。 

d) 計画を満たすようにプロセスの実行を調整している。 

e) プロセスを実行するための責任及び権限を定義し,割当てし,伝達している。 

f) 

プロセスを実行する人が,その責任を果たせるように準備している。 

g) プロセスを実行するために必要な資源及び情報を識別し,利用可能にし,配分し,使用している。 

h) 効果的な伝達及び責任の明確な割当ての両方を確実にするために,関係者間のインタフェースを管理

している。 

5.2.3.2 

PA 2.2 作業生産物管理プロセス属性 

作業生産物管理プロセス属性は,プロセスで作る作業生産物を適切に管理している程度を示す測定量で

ある。このプロセス属性を十分に達成した結果は,次のとおりである。 

a) プロセスの作業生産物に対する要求事項を定義している。 

b) 作業生産物の文書化及び制御に対する要求事項を定義している。 

X 33020:2019 (ISO/IEC 33020:2015) 

  

c) 作業生産物を適切に識別し,文書化し,制御している。 

d) 計画した取決めに従って作業生産物をレビューし,必要であれば要求事項を満たすように調整してい

る。 

注記1 作業生産物の文書化及び制御に対する要求事項には,変更及び改訂状況の識別,作業生産物

の承認及び再承認,作業生産物の配布,並びに利用する時点で利用可能で,適用可能な作業

生産物の関連する版を作るための要求事項を含めてもよい。 

注記2 この細分箇条で記載している作業生産物は,プロセス成果を通じてプロセス目的を達成する

ことで得られるものである。 

5.2.4 

プロセス能力水準3:確立されたプロセス 

水準2の“管理されたプロセス”を,プロセス成果を達成できる定義されたプロセスを使用して実行し

ている。 

次のプロセス属性は,水準2までに定義するプロセス属性とともに,この水準の達成を示している。 

5.2.4.1 

PA 3.1 プロセス定義プロセス属性 

プロセス定義プロセス属性は,定義されたプロセスの展開を支援するために,標準プロセスを維持管理

している程度を示す測定量である。このプロセス属性を十分に達成した結果は,次のとおりである。 

a) 定義されたプロセスに盛り込まれなければならない基本要素を規定している標準プロセスを,適切な

修整指針を含めて,定義し維持している。 

b) 標準プロセスとその他のプロセスとの順序関係及び相互作用を定めている。 

c) プロセスを実施するために必要な適格性及び役割を,標準プロセスの一部として識別している。 

d) プロセスを実施するために必要なインフラストラクチャ及び作業環境を,標準プロセスの一部として

識別している。 

e) プロセスの有効性及び適切性を監視するために適切な方法及び測定量を定めている。 

5.2.4.2 

PA 3.2 プロセス展開プロセス属性 

プロセス展開プロセス属性は,定義されたプロセスとしてそのプロセス成果を達成するために,標準プ

ロセスを展開している程度を示す測定量である。このプロセス属性を十分に達成した結果は,次のとおり

である。 

a) 適切に選択及び/又は修整された標準プロセスに基づいて定義されたプロセスを展開している。 

b) 定義されたプロセスを実施するために必要な役割,責任及び権限を割当てし,伝達している。 

c) 定義されたプロセスを実施する要員に,適切な教育,訓練及び経験に基づいた適格性がある。 

d) 定義されたプロセスを実施するために必要な資源及び情報を利用可能にし,割当てし,利用している。 

e) 定義されたプロセスを実施するために必要なインフラストラクチャ及び作業環境を利用可能にし,管

理し,維持している。 

f) 

プロセスの振る舞いを理解するための根拠として,プロセスの適切性及び有効性を示すために,並び

にプロセスの継続的な改善を評価するために,適切なデータを収集し分析している。 

5.2.5 

プロセス能力水準4:予測可能なプロセス 

水準3の“確立されたプロセス”は,プロセス成果を達成するために,定義した範囲内で予測可能な運

用をしている。定量的管理ニーズが識別され,管理データは,収集され,変動の特定可能な要因を識別す

るために分析されている。変動の特定可能な要因について,是正処置を講じている。 

水準3までに定義するプロセス属性とともに,次のプロセス属性は,この水準の達成を示している。 

5.2.5.1 

PA 4.1 定量的分析プロセス属性 

X 33020:2019 (ISO/IEC 33020:2015) 

定量的分析プロセス属性は,情報ニーズを定義し,プロセス要素間の関係を識別し,データを収集する

程度を示す測定量である。このプロセス属性を十分に達成した結果は,次のとおりである。 

a) プロセスは,定量的事業目標に沿っている。 

b) 関連する定義している定量的事業目標の下に,プロセス情報ニーズを確立している。 

c) プロセス情報ニーズからプロセス測定目標を導き出している。 

d) プロセスパフォーマンスに寄与するプロセス要素間の測定可能な関係を識別している(附属書B参

照)。 

e) 関連する事業目標の下に,プロセスパフォーマンスに関する定量的目標値を確立している。 

f) 

適切なプロセス測定目標及びパフォーマンスに関する定量的目標値に従って,測定量及び測定の頻度

を識別し,定義している。 

g) プロセスパフォーマンスのための定量的目標値を達成している程度を観測するために,測定結果を収

集し,その妥当性を確認し,報告している。 

注記1 情報ニーズは,通常,管理ニーズ,技術的ニーズ,プロジェクトニーズ,プロセスニーズ又

は製品ニーズを反映する。 

注記2 測定量は,プロセスの測定量若しくは製品の測定量又はその両方であってもよい。 

5.2.5.2 

PA 4.2 定量的制御プロセス属性 

定量的制御プロセス属性は,客観的データが予測可能なプロセスパフォーマンスの管理に利用される程

度を示す測定量である。このプロセス属性を十分に達成した結果は,次のとおりである。 

a) 収集されたデータを分析するための技術が選択されている。 

b) 収集されたデータの分析によって,プロセスの変動の特定可能な要因を定義している。 

c) プロセスの実行を特徴付ける分布を確立している。 

d) 変動の特定可能な要因について,是正処置を講じている。 

e) 変動の特定可能な要因の影響下で,プロセス分析をするために,別々の分布を確立している(必要に

応じて)。 

5.2.6 

プロセス能力水準5:革新しているプロセス 

水準4の“予測可能なプロセス”は,組織目標に沿った変化に対応するために,継続的に改善している。 

水準4までに定義するプロセス属性とともに,次のプロセス属性は,この水準の達成を示している。 

5.2.6.1 

PA 5.1 プロセス革新プロセス属性 

プロセス革新プロセス属性は,プロセスを定義し,展開するための革新的な進め方の調査によって,プ

ロセスへの変更を識別する程度を示す測定量である。 

このプロセス属性を十分に達成した結果は,次のとおりである。 

a) 関連する事業目標を支援するプロセス革新の目標を定義している。 

b) 革新の機会を識別するために適切なデータを分析している。 

c) 新しい技術及びプロセスの概念から導き出された革新の機会を識別している。 

d) プロセス革新の目標を達成するための実行戦略を確立している。 

5.2.6.2 

PA 5.2 プロセス革新実装プロセス属性 

プロセス革新実装プロセス属性は,そのプロセスの定義,管理及び実行に対する変更が,関係するプロ

セス革新目標の達成の程度を示す測定量である。このプロセス属性を十分に達成した結果は,次のとおり

である。 

a) 提案された全ての変更の影響を,定義されたプロセス及び標準プロセスの目標に対して診断している。 

X 33020:2019 (ISO/IEC 33020:2015) 

  

b) プロセスパフォーマンスに対するあらゆる混乱を理解し,対処することを確実にするために,全ての

合意した変更の実行を管理している。 

c) 実際のプロセスパフォーマンスに基づくプロセス変更の有効性を,定義する製品の要求事項及びプロ

セスの目標に対して評価している。 

5.3 

プロセス属性評定の尺度 

このプロセス測定フレームワーク内では,プロセス属性は,プロセス能力の測定可能な性質である。プ

ロセス属性評定は,診断対象プロセスに対するプロセス属性の達成度合を判断したものである。 

プロセス属性は,次に定義する順序尺度を使用して測定する。 

達成していない(Not achieved):診断対象プロセスにおいて,定義しているプロセス属性を達成し

ているという証拠がほとんどないか,又は全くない。 

部分的に達成している(Partially achieved):診断対象プロセスにおいて,定義しているプロセス属

性に取り組んでいるという幾つかの証拠,及び定義しているプロセス属性を部分的に達成している

という証拠がある。このプロセス属性の達成の幾つかの側面は,予測できなくてもよい。 

おおむね達成している(Largely achieved):診断対象プロセスにおいて,定義しているプロセス属性

に体系的に取り組んでいるという証拠,及び定義しているプロセス属性をおおむね達成していると

いう証拠がある。このプロセス属性に関係する幾つかの弱みは,診断対象プロセスに存在してもよ

い。 

十分達成している(Fully achieved):診断対象プロセスにおいて,定義しているプロセス属性に,完

全かつ体系的に取り組んでいるという証拠,及び定義しているプロセス属性を十分に達成している

という証拠がある。このプロセス属性に関係する顕著な弱みは,診断対象プロセスに存在しない。 

上記で規定した順序尺度は,プロセス属性の達成パーセンテージに置き換えて理解しなければならない。 

対応するパーセンテージは,次による。 

達成していない 

0 %以上15 %までの達成 

部分的に達成している 15 %を超え50 %までの達成 

おおむね達成している 50 %を超え85 %までの達成 

十分達成している 

85 %を超え100 %までの達成 

順序尺度は,次に定義するように,測定値P及びLについて,更に精緻化してもよい。 

P+ 

部分的に達成している:診断対象プロセスにおいて,定義しているプロセス属性に取り組んでいる

という幾つかの証拠,及び定義しているプロセス属性を幾つか達成しているという証拠がある。こ

のプロセス属性の達成の幾つかの側面は,予測できなくてもよい。 

P− 

部分的に達成している:診断対象プロセスにおいて,定義しているプロセス属性に取り組んでいる

という幾つかの証拠,及び定義しているプロセス属性を幾つか達成しているという証拠がある。こ

のプロセス属性の達成の多くの側面は,予測できなくてもよい。 

L+ 

おおむね達成している:診断対象プロセスにおいて,定義しているプロセス属性に体系的に取り組

んでいるという証拠,及び定義しているプロセス属性をかなり達成しているという証拠がある。こ

のプロセス属性に関係する幾つかの弱みは,診断対象プロセスに存在してもよい。 

L− 

おおむね達成している:診断対象プロセスにおいて,定義しているプロセス属性に体系的に取り組

んでいるという証拠,及び定義しているプロセス属性をかなり達成しているという証拠がある。こ

のプロセス属性に関係する多くの弱みは,診断対象プロセスに存在してもよい。 

対応するパーセンテージは,次による。 

X 33020:2019 (ISO/IEC 33020:2015) 

P− 

部分的に達成している 

15 %を超え32.5 %までの達成 

P+ 

部分的に達成している 

32.5 %を超え50 %までの達成 

L− 

おおむね達成している 

50 %を超え67.5 %までの達成 

L+ 

おおむね達成している 

67.5 %を超え85 %までの達成 

5.4 

プロセス属性評定方法 

プロセス成果は,プロセス目的の達成の観察できる結果である。 

プロセス属性成果は,規定されたプロセス属性の達成の観察できる結果である。 

プロセス成果及びプロセス属性成果は,プロセス属性評定を提供するための中間ステップとして特徴付

けてもよい。 

評定を行うときに使用する評定方法は,アセスメントのクラスに関連付けて規定しなければならない。

次(5.4.1〜5.4.3)に評定方法を定義する。 

評定方法の使用は,アセスメントのクラス,範囲及び背景によって異なってもよい。リードアセッサは,

(該当するならば)使用する評定方法を決定しなければならない。選択した評定方法は,アセスメント入

力で指定し,アセスメント報告書で参照しなければならない。 

5.4.1 

評定方法 R1 

プロセス属性評定の進め方は,次の条件を満たさなければならない。 

a) 妥当性を確認したデータに基づき,各プロセスインスタンスに対して,アセスメント範囲内の各プロ

セスのプロセス成果を特徴付けなければならない。 

b) 妥当性を確認したデータに基づき,各プロセスインスタンスに対して,アセスメント範囲内の各プロ

セスのプロセス属性成果を特徴付けなければならない。 

c) プロセス実行プロセス属性の達成評定を提供するために,全ての診断対象プロセスインスタンスに対

するプロセス成果の特徴付けを集約しなければならない。 

d) プロセス属性の達成評定を提供するために,全ての診断対象プロセスインスタンスに対するプロセス

属性成果の特徴付けを集約しなければならない。 

5.4.2 

評定方法 R2 

プロセス属性評定の進め方は,次の条件を満たさなければならない。 

a) 妥当性を確認したデータに基づき,各プロセスインスタンスに対して,アセスメント範囲内の各プロ

セスのプロセス属性を特徴付けなければならない。 

b) プロセス属性の達成評定を提供するために,全ての診断対象プロセスインスタンスに対するプロセス

属性の特徴付けを集約しなければならない。 

5.4.3 

評定方法 R3 

全ての診断対象プロセスインスタンスにわたるプロセス属性評定は,集約せずに行わなければならない。 

5.5 

集約方法 

アセスメントを実行するとき,評定を一次元又は二次元の形で要約してもよい。 

例えば,次の評定を行うときである。 

− 所定のプロセスに対するプロセス属性を評定するときに,関連するプロセス(属性)成果の評定を集

約してもよい。このような集約は,垂直集約(一次元)として実行する。 

− 複数のプロセスインスタンスにわたる所定のプロセス属性に対するプロセス(属性)成果を評定する

ときに,その所定のプロセス(属性)成果に関連するプロセスインスタンスの評定を集約してもよい。

このような集約は,水平集約(一次元)として実行する。 

X 33020:2019 (ISO/IEC 33020:2015) 

  

− 所定のプロセスに対するプロセス属性を評定するときに,全てのプロセスインスタンスに対する全て

のプロセス(属性)成果の評定を集約してもよい。このような集約は,評定する範囲全体(二次元)

にわたる行列集約として実行する。 

評定の集約方法は,アセスメントのクラス,範囲及び背景によって使い分けてもよい。リードアセッサ

は,(どのような場合でも)どの集約方法を使うかを決めなければならない。選択した集約方法は,アセス

メント入力で規定し,アセスメント報告書で参照しなければならない。 

5.3に記載しているように,順序尺度を使ってプロセス属性を評定する。アセッサは,評定を要約するた

めに数学的手段を利用せず,専門家の判断を適用することを選択してもよいし,集約方法を使ってもよい。

集約を実行するために,集約手段は,順序評定を区間値に変換することが必要である。順序評定から区間

値への,この変換の正当性は,二つの条件に依存している[1]。 

a) 順序尺度は,順序値が合理的にむらなく広がるように十分に制限しなければならない。この規格で定

義する評定尺度は,均等に広がるという要求事項を満たす。 

b) 順序値の適切な正確さを保証するために,適切なサンプルサイズの証拠が必要である。適切なサンプ

ルサイズを要求することで十分に厳密であるアセスメントのクラス1及びクラス2の両者は,この条

件を満たしている。 

これらの条件を満たすことで,順序評定は,次のような区間値に変換できる。 

N → 0,P → 1,L → 2,F → 3 又は 

N → 0,P− → 1,P+ → 2,L− → 3,L+ → 4,F → 5 

5.5.1 

一次元の集約方法 

順序評定を区間値に変換するときに,次の一次元の集約方法のうちの一つを,要約評定を得るために使

ってよい。 

5.5.1.1 

算術平均を使う一次元の集約 

集約は,区間値の評定の算術平均(平均)を計算し,四捨五入して,対応する順序評定に結果を逆に変

換することによって実行してもよい。 

5.5.1.2 

中央値を使う一次元の集約 

集約は,所定のデータを最も低いものから最も高いものに順に整列し,区間値の評定の中央値(中央の

値)を計算することによって実行してもよい。奇数個のデータがある場合,中央値は,中央の値である。

偶数個のデータがある場合,二つの中央の値を選択し,その算術平均(平均)をとる。偶数個の評定があ

り,かつ,二つの中間の値の平均をとるプロセスが実数値となる場合,数値は,上記の規則を使って整数

値に丸める。 

注記 区間データを取り扱っているので,平均をとる計算は,統計的に妥当である。 

5.5.2 

二次元の集約方法 

一つのアセスメントにおいて,多数のプロセスインスタンスを診断しているとき,二次元の形で評定を

要約することを必要としてもよい。 

例えば,所定のプロセスに対して,全体的なプロセス属性評定を構成するために,幾つかの診断したプ

ロセスインスタンスのプロセス成果を集約してもよい。 

5.5.1に記載したように,これは,アセッサの専門家としての判断によって行ってもよいし,又は集約方

法によって行ってもよい。少数のプロセスインスタンスが異常値であるという状況があってもよいので(例

えば,プロセス改善プロジェクトの前に開始されたプロジェクト,又は少数のプロジェクトが正式なプロ

background image

X 33020:2019 (ISO/IEC 33020:2015) 

セスを厳密にはサポートしないときに),専門家としての判断の使用を除外しないほうがよい。順序評定を

区間値に変換するときに,次の二次元の集約方法のうちの一つを,要約評定を得るために使ってもよい。 

5.5.2.1 

算術平均を使う二次元の集約 

(区間値として表現される)評定する範囲全体の行列にわたる算術平均を計算し, 対応する順序評定に

結果を逆に変換することによって,集約を実行してもよい。 

注記 集約を実行するとき,平均の平均をとることは統計的に妥当でないため,許されていない。 

5.5.2.2 

発見的手法を使った二次元の集約 

評定を要約するために定義された一式の規則を使って集約を実行してもよい。例えば,表1参照。 

5.6 

プロセス能力水準モデル 

プロセスによって達成されたプロセス能力水準は,表1で定義するプロセス能力水準モデルに従って,

そのプロセスに対するプロセス属性評定から導出しなければならない。 

表1−プロセス能力水準の評定 

尺度 

プロセス属性 

評定 

水準1 

プロセス実行(PA 1.1) 

L(おおむね),又はF(十分) 

水準2 

プロセス実行(PA 1.1) 
実行管理(PA 2.1) 
作業生産物管理(PA 2.2) 

F(十分) 
L(おおむね),又はF(十分) 
L(おおむね),又はF(十分) 

水準3 

プロセス実行(PA 1.1) 
実行管理(PA 2.1) 
作業生産物管理(PA 2.2) 
プロセス定義(PA 3.1) 
プロセス展開(PA 3.2) 

F(十分) 
F(十分) 
F(十分) 
L(おおむね),又はF(十分) 
L(おおむね),又はF(十分) 

水準4 

プロセス実行(PA 1.1) 
実行管理(PA 2.1) 
作業生産物管理(PA 2.2) 
プロセス定義(PA 3.1) 
プロセス展開(PA 3.2) 
定量的分析(PA 4.1) 
定量的制御(PA 4.2) 

F(十分) 
F(十分) 
F(十分) 
F(十分) 
F(十分) 
L(おおむね),又はF(十分) 
L(おおむね),又はF(十分) 

水準5 

プロセス実行(PA 1.1) 
実行管理(PA 2.1) 
作業生産物管理(PA 2.2) 
プロセス定義(PA 3.1) 
プロセス展開(PA 3.2) 
定量的分析(PA 4.1) 
定量的制御(PA 4.2) 
プロセス革新(PA 5.1) 
プロセス革新実装(PA 5.2) 

F(十分) 
F(十分) 
F(十分) 
F(十分) 
F(十分) 
F(十分) 
F(十分) 
L(おおむね),又はF(十分) 
L(おおむね),又はF(十分) 

注記 プロセス属性の欄に括弧を付けて示したPA番号は,5.2に示すPA番号に対応している。 

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10 

X 33020:2019 (ISO/IEC 33020:2015) 

  

附属書A 

(参考) 

プロセス測定フレームワークの適合度 

A.1 適合性要求事項 

次に記載するプロセス測定フレームワークのための要求事項は,プロセス測定フレームワークの要求事

項を規定するISO/IEC 33003から抜き出したものである。ISO/IEC 33003から引用した箇所は,容易に識

別できるように枠で囲って記載している。 

A.1.1 概念化 

プロセス能力水準は,プロセス能力の形成的な測定量である一つ以上のプロセス属性によって特徴付け

られる。プロセス能力を構成する要素として,プロセス属性が必要とされる。プロセス属性は,反映的な

測定量であるプロセス属性成果の達成によって示される(図A.1参照)。 

プロセス
能力水準

プロセス

属性

プロセス属性

成果

形成的

反映的

図A.1−プロセス能力の形成的な尺度及び反映的な尺度 

プロセス能力という概念は,プロセス属性だけによって形成される。例えば,組織の実行結果について

は評価の対象にしていない。 

a) 一つのプロセス測定フレームワークは,一つのプロセス品質特性を特定し,対象としなければならな

い。 

ソフトウェア品質は,上記測定フレームワークで,定義している。 

b) プロセス測定フレームワークにおけるプロセス品質特性は,多次元構成概念2) に基づいて定義しなけ

ればならない。 

注2) “構成概念”は,ISO/IEC 33003参照 

プロセス測定フレームワークにおけるプロセス品質特性(プロセス能力水準)は,九つのプロセス属性

によって構成されるものである。 

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11 

X 33020:2019 (ISO/IEC 33020:2015) 

c) プロセス測定フレームワークにおけるプロセス品質特性は,一式のプロセス属性として定義しなけれ

ばならない。 

プロセス測定フレームワークにおけるプロセス品質特性は,九つのプロセス属性によって構成されるも

のである。 

d) それぞれのプロセス属性は,プロセス品質特性の性質を定義しなければならない。 

それぞれのプロセス属性によって定義される性質は,箇条5に記載する。 

e) 直接測定可能でないそれぞれのプロセス属性は,プロセス品質特性を構成概念と考えなければならな

い。 

この測定フレームワークでのそれぞれのプロセス属性は構成概念であり,箇条5で定義している。 

f) 

プロセス測定フレームワークにおけるプロセス属性は,反映的又は形成的として定義しなければなら

ない。 

この測定フレームワークのプロセス属性は,形成的である。 

g) プロセス測定フレームワークは,その適用の基礎をなす方針及び前提を文書化しなければならない。 

このプロセス測定フレームワークの適用の基礎をなす方針及び前提を,箇条1,箇条4及び箇条5に記

載している。 

A.1.2 構成概念定義 

a) 構成概念定義は,プロセス測定フレームワークにおけるプロセス品質特性の意味及びそのプロセス属

性を定義しなければならない。 

プロセス品質特性の意味及びそのプロセス属性は,箇条5で定義している。 

b) 構成概念定義は,プロセス品質特性の仕様,及びその多次元としてのプロセス属性群を明確にしなけ

ればならない。 

プロセス品質特性の仕様及びそのプロセス属性は,箇条5で定義している。 

c) 構成概念定義は,プロセス品質特性及びそのプロセス属性群の活用のガイドを提供しなければならな

い。 

プロセス品質特性及びそのプロセス属性を用いた評定は,箇条5で定義している。 

d) 構成概念定義は,カテゴリ(例えば,能力水準のような一連の序数)又は数値のような合成の測定量

の尺度を提示しなければならない。 

この測定フレームワークにおける合成の測定量の尺度は,箇条5で定義している。 

e) プロセス属性の少なくとも一つは,定義されたプロセス目的及びプロセス成果の達成を含まなければ

ならない。これを,プロセス実行属性と呼ぶ。 

プロセス実行属性(PA1.1)は,対象とするプロセスのプロセス成果の達成を通じて,定義されたプロセ

ス目的を達成することによってなる。 

A.1.3 操作化 

a) 全てのプロセス属性は,その構成概念の仕様に従って定義しなければならない。 

プロセス属性は,5.2で定義している。記載は,5.1の共通の方法に従う。 

b) プロセス属性の達成は,客観的証拠によって検証可能でなければならない。 

プロセス実行属性では,プロセス成果の達成は,客観的な証拠に基づいて実証する。他の全てのプロセ

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12 

X 33020:2019 (ISO/IEC 33020:2015) 

  

ス属性では,属性の達成は,客観的な証拠に基づいて実証し,プロセス属性成果を基本測定量として使用

する。 

A.1.4 構成概念仕様の検査 

プロセス品質特性及びそれに関連するプロセス属性の構成概念の仕様は,操作化を通じて,かつ,根拠

をもって検査しなければならない。 

各プロセス属性は,アセスメントのクラスに応じて一連の基本又は導出測定量によって評定に用いる。

ISO/IEC 33003の5.2.3を参照。 

A.1.5 プロセス属性の評定 

a) プロセス属性は,評定しなければならない。 

測定単位は,5.3で規定している。 

b) プロセス属性について,測定尺度,すなわち,名義尺度,順序尺度,間隔尺度又は比尺度を定義しな

ければならない。 

基本測定の測定尺度は,5.3で定義した序数である。 

c) 各測定量に客観的に値を割り当てる測定方法を特定しなければならない。 

プロセス能力の測定量に値を割り当てる方法は,5.3で記載している。 

A.1.6 集約 

a) 測定フレームワーク内で要求している全ての集約を識別しなければならない。 

集約方法は,5.5で定義している。 

b) 集約方法を特定しなければならない。 

集約方法は,5.5で定義している。 

c) 集約方法は,統計的に妥当でなければならない。 

この規格における集約方法の妥当性の理論的根拠は,5.5に記載している。 

d) 集約方法は,一貫した測定尺度を利用しなければならない。 

集約方法は,5.5で説明した一貫した尺度を利用する。 

e) 集約方法は,測定フレームワークの方針及び前提と一貫していなければならない。 

f) 

集約方法は,構成概念の仕様と一貫していなければならない。 

方針及び前提の一貫性並びに構成概念の仕様との一貫性については,5.5で記載している。 

A.1.7 感度分析 

a) 基本及び導出測定量の測定尺度に対して,感度分析を実施しなければならない。 

プロセス能力尺度の感度は,SPICEトライアルでテストされた[5] [6]。調査は,評価者間の合意と内部

の一貫性とを含み,両方とも受入れ可能であることが判明した。真ん中の二つの評定値[N,(P,L),F]

又は外側の二つの評定値[(N,P),(L,F)]のいずれかを結合して,四つのカテゴリ尺度を三つ又は二つ

のカテゴリ尺度に変えることによって,増大する内部の一貫性の可能性が調査された。現行の四つのカテ

ゴリ尺度は,三つ又は二つのカテゴリ尺度に削減することによって改善することはできない。 

プロセス能力水準の評定値の感度は,SPICEトライアルで調査され,中間報告[7]で報告された。総合的

に,調査では,能力水準の評定の下方へのひずみは上方へのひずみの影響よりも大きいことが結論付けら

れた。しかし,ひずみの潜在的影響については,アセッサに対して解説を提供することが望ましい。 

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13 

X 33020:2019 (ISO/IEC 33020:2015) 

b) 集約方法に対して,感度分析を実施しなければならない。 

集約に関連する感度分析データの中には,SPICEトライアル報告[6] [7]で利用できるものもあるが,現

在のアプローチとの関連性には限界がある。集約の問題は,国際標準の策定中に詳細に検討された。 

c) 適用可能であれば,感度分析は重み付けに対して実施しなければならない。 

この測定フレームワークでは,重み付けは使用していないため,適用していない。 

A.2 プロセス測定フレームワークの妥当性確認要件 

A.2.1 信頼性及び妥当性 

a) プロセス測定フレームワークの信頼性の検証及び妥当性の確認のための計画は,標準化の開始時に確

立しなければならない。これらの計画は,標準化後の活動を含まなければならない。 

b) プロセス測定フレームワークの信頼性及び妥当性に関する主張は,構成概念の仕様と一貫していなけ

ればならない。 

c) プロセス属性が反映的である場合,信頼性測定量としての一貫性(等価性ともいう。)を検査しなけれ

ばならない。 

d) プロセス測定フレームワークにおけるプロセス品質特性及びそのプロセス属性に対して,妥当性を検

査しなければならない。 

e) プロセス測定フレームワークにおけるプロセス品質特性及びその測定量に対して,構成概念の仕様を

実験的に検査しなければならない。 

f) 

開発中のプロセス測定フレームワークの外部測定量(例えば,目標,基準及び/又は達成成果)は,

妥当性の調査のために文書化しなければならない。 

妥当性確認は,標準策定中に行われたSPICEトライアルで実施された。 

測定方法及び能力尺度は,SPICEトライアルでテストされた。プロセス能力尺度又はトライアルの所見

を無効にするような測定尺度の概念への変更はなかった。 

A.3 適合 

プロセス測定フレームワークは,この規格の要求事項に適合しなければならない。 

トライアルの間にデータが利用可能である場合,及び/又はフレームワークが発行された後,全ての適

用可能な要件に対して,厳密な統計的分析が必要である。 

そのような分析の結果は,A.1及びA.2の要件を満たす場合に参照する。分析の結果を参考文献に示す

[5] [6] [7]。 

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14 

X 33020:2019 (ISO/IEC 33020:2015) 

  

附属書B 

(参考) 

プロセスパフォーマンスモデルの例 

プロセスパフォーマンスモデルは,プロセス要素とプロセスパフォーマンスとの関係を示す。例えば,

多くのプロセスの有効性はその出力に欠陥がないことによって測定される。出力に混入した欠陥数と次の

プロセスへ流出した欠陥数とは入力の品質,プロセス実行者の知識及び経験,使用したツール,実施され

たアクティビティ,並びに出力に対して実施された検証の影響を受ける。 

プロセスパフォーマンスモデルを証明する必要はなく,プロセス変更の影響を調査する客観的なモデル

を提供することだけが求められる。 

プロセスパフォーマンスモデルの例は,“プロセスパフォーマンスモデル(process performance models)”

との術語に対して一般的な検索を実施することで容易に入手できる。この附属書では,二つの例を示す。 

考えられるモデルの一つを図B.1に示す。このようなモデルを使用することによって,組織は,プロセ

ス成果の最新の状態及び成果に影響を受けてもよいプロセス要素への考えられる変化について説明するこ

とができる。 

アクティビティ及びタスク

プロセス成果

組織目標

組織方針

組織文化

プロセスガバナンス

出力

入力

調整

チーム

リーダーシップ

チームワーク

インフラストラクチャ

スキル及び経験

ツール

資源

テンプレート及びチェックリスト

実施される

使用する

使用する

作り出す

調整する

達成される

達成される

作り出す

一種である

制約を受ける

入る

影響を受ける

依存する

図B.1−プロセスパフォーマンス概念モデル 

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15 

X 33020:2019 (ISO/IEC 33020:2015) 

幾つかのプロセスモデルは,スプレッドシートで表現できる。表B.1は,ソフトウェア開発の異なる工

程の間の欠陥の混入と検出とのモデルである。 

表B.1−欠陥の混入と検出とのモデル 

混 
入 
工 
程 

検出工程 

要求定
義 

設計 

コー
ディ
ング 

統合テ
スト 

システ
ムテス
ト 

ユーザ
テスト 

各工程
で混入
した欠
陥数 

各工程
から流
出した
欠陥数 

全実施
済み工
程から
流出し
た欠陥
数 

混入し
た欠陥
の工程
ごとの
割合a) 

(%) 

各工程
からの
流出率

b) 

(%) 

要求定義 

355 

150 

120 

60 

300 

120 

1 105 

750 

750 

68 

設計 

2 400 

600 

1 200 

700 

100 

5 000 

2 600 

3 200 

41 

52 

コーディ
ング 

3 800 

1 200 

400 

140 

5 540 

1 740 

4 220 

46 

31 

統合テス
ト 

300 

50 

355 

55 

1 815 

15 

システム
テスト 

100 

100 

365 

ユーザテ
スト 

合計 

12 105 

5 145 

10 350 

100 

各工程で
検出した
欠陥数 

355 

2 550 

4 520 

2 760 

1 550 

370 

各工程自
体で検出
した欠陥
数 

355 

2 400 

3 800 

300 

100 

各工程で
の残存欠
陥の検出
率c)(%) 

32 

44 

52 

60 

81 

100 

各工程自
体での検
出率d)(%) 

32 

48 

69 

85 

100 

100 

注a) 混入した欠陥の工程ごとの割合=各工程で混入した欠陥数/全工程で混入した欠陥数 

b) 各工程からの流出率=各工程から流出した欠陥数/各工程で混入した欠陥数 

c) 各工程での残存欠陥の検出率=各工程で検出した欠陥数/(全実施済み工程で混入した欠陥数−前の工程ま

でに検出した欠陥数) 

d) 各工程自体での検出率=各工程自体で検出した欠陥数/各工程で混入した欠陥数 

16 

X 33020:2019 (ISO/IEC 33020:2015) 

  

参考文献 

[1] BRIAND, L., K. EL EMAM and S. MORASCA, "On the application of Measurement Theory in Software 

Engineering. Empir. Softw. Eng. 1996, 1 pp. 61-88 

[2] JIS X 0141:2009 システム及びソフトウェア技術−測定プロセス 

注記 原国際規格では,ISO/IEC 15939:2007,Systems and software engineering−Measurement process

を記載している。 

[3] JIS X 33002 情報技術−プロセスアセスメント−プロセスアセスメント実施に対する要求事項 

注記 原国際規格では,ISO/IEC 33002,Information technology−Process assessment−Requirements for 

performing process assessmentを記載している。 

[4] ISO/IEC 33004,Information technology−Process assessment−Requirements for process reference, process 

assessment and maturity models 

[5] JUNG. H.-W., et al., "Findings from Phase 2 of the SPICE trials," Software Process: Improvement and Practice, 

vol. 6, pp. 205-242, 2001. 

[6] SPICE Trials (1999), SPICE Phase 2 Trials Final Report, ISO/IEC JTC 1/SC 7/WG 10 

[7] SPICE Trials (1998), SPICE Phase 2 Trials Interim Report, ISO/IEC JTC 1/SC 7/WG 10