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X 25001

2017 (ISO/IEC 25001

2014) 

1

目  次

ページ

序文

 ··································································································································· 

1

1

  適用範囲

 ························································································································· 

3

2

  適合性

 ···························································································································· 

3

3

  引用規格

 ························································································································· 

3

4

  用語及び定義

 ··················································································································· 

4

5

  評価管理の概念

 ················································································································ 

5

6

  システム及びソフトウェア品質要求事項の仕様化及び品質評価に対する,要求事項及び推奨事項

 ···· 

6

6.1

  概要

 ···························································································································· 

6

6.2

  組織レベルの活動

 ·········································································································· 

6

6.3

  プロジェクト管理レベルの活動

 ························································································ 

8

6.4

  評価結果の分析及び利用

 ································································································· 

9

附属書

A

(参考)品質評価プロジェクト計画書のテンプレート

 ····················································· 

11

参考文献

 ···························································································································· 

14

X 25001

2017 (ISO/IEC 25001

2014) 

2

まえがき

この規格は,工業標準化法第

14

条によって準用する第

12

条第

1

項の規定に基づき,一般社団法人情報

処理学会(

IPSJ

)及び一般財団法人日本規格協会(

JSA

)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改

正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格であ

る。これによって,

JIS X 25001

:2012

は改正され,この規格に置き換えられた。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。

日本工業規格     

             

JIS

 X 

25001

2017

(ISO/IEC 25001

2014

システム及びソフトウェア製品の品質要求及び評価

SQuaRE

)-計画及び管理

Systems and software engineering-Systems and software Quality 

Requirements and Evaluation (SQuaRE)-Planning and management 

序文

この規格は,

2014

年に第

2

版として発行された

ISO/IEC 25001

を基に,技術的内容及び構成を変更する

ことなく作成した日本工業規格である。

なお,この規格で点線の下線を施してある“

注記

”は,対応国際規格にはない事項である。

この規格は,システム及びソフトウェア製品(以下,製品という。

)の品質要求事項及び評価に関する計

画及び管理の要求事項について詳細を提供する。

この規格は,主に製品の品質要求事項及び評価に関するものであるが,関連するところでは,対応する

プロセスに対する要求事項及び評価活動についても規定している。

この規格は,システム及びソフトウェア品質要求事項の仕様化及び評価の実行を確実に成功させるため

に,組織が識別することが望ましい要求事項を明確にすることを目的としている。

この規格は,

SQuaRE

シリーズの他の規格とともに使用されることを意図している。

SQuaRE

シリーズは,

JIS X 0133

シリーズ及び

JIS X 0129

シリーズと置き換わるまでは,

JIS X 0133

シリーズ及び

JIS X 0129-1

と併せて使用されることを意図している。

注記

ここでは,

JIS X 0129-1

TS X 0111-2

TS X 0111-4

とを合わせて,

JIS X 0129

シリーズと呼ぶ。

この規格は,品質要求事項の定義及び分析に関連して

JIS X 0170

及び

JIS X 0160

で識別されて

いるテクニカルプロセスに従う。

background image

X 25001

2017 (ISO/IEC 25001

2014) 

1

SQuaRE

シリーズ

JIS

の構成

1

SQuaRE

シリーズの構成を示す。

SQuaRE

モデル内の各部門は,次のようになっている。

品質管理部門

  この部門の規格は,

SQuaRE

シリーズの,他の全ての規格から参照される共通モデル,

用語及び定義を規定する。規格を特定の応用事例に適用する場合の参照経路(

SQuaRE

シリーズ全体

の手引)及び高水準の実際的な提案は,全ての種別の利用者への手助けを提供する。この部門は,製

品の品質要求事項の仕様化及び評価の管理に責任のある支援機能のための要求事項及び手引も提供す

る。

品質モデル部門

  この部門の規格は,製品品質,利用時の品質及びデータ品質のための詳細な品質モ

デルを提供する。また,品質モデルの実際的な利用のための手引も提供する。

品質測定部門

  この部門の規格は,製品の品質測定の参照モデル,品質測定量の数学的な定義,及び

それらの適用のための実際的な手引を含む。この部門は,ソフトウェア品質の内部測定量,システム

又はソフトウェア製品品質の外部測定量,及び利用時の品質測定量を提供する。この部門は,後に続

く品質測定量のための基礎となる品質測定量の要素を定義し提供する。

品質要求部門

  この部門の規格は,品質要求事項の仕様化に役立つ。これらの品質要求事項は,開発

する製品の品質要求事項の導出プロセス又は評価プロセスの入力として利用することができる。要求

事項定義プロセスは,

JIS X 0160

:2012

及び

JIS X 0170

:2013

に定義されたテクニカルプロセスに対応

付けられる。

品質評価部門

  この部門の規格は,製品評価のための要求事項,推奨事項及び手引を提供し,独立し

た評価者,取得者又は開発者のいずれかによって実施される。評価モジュールとして測定量の文書化

のための支援も提供する。

SQuaRE

拡張部門

  この部門の規格は,特定の応用範囲を取り扱う製品品質の規格及び/又は標準情

報を含むように指定されている。また,一つ以上の

SQuaRE

規格を補完するために利用できる製品品

質の規格及び/又は標準情報を含むように指定されている。

SQuaRE

拡張部門

JIS X 25051

JIS X 2506n

品質要求部門 

JIS X 2503n

品質モデル部門 

JIS X 2501n 

品質評価部門 

JIS X 2504n 

品質測定部門 

JIS X 2502n 

品質管理部門 

JIS X 2500n 

X 25001

2017 (ISO/IEC 25001

2014) 

適用範囲

この規格は,技術,ツール,経験及び管理技能を提供することを通して,システム及びソフトウェア製

品の品質要求事項の仕様化活動及び評価活動の,実施及び管理に責任のある組織に対して,要求事項及び

推奨事項を提供する。

評価グループの役割は,要求事項の仕様化活動及び評価活動のための人々への動機付け及び訓練,適切

な文書の準備,要求された手法の識別又は開発,並びに関連技術の問合せへの回答を含む。

この規格は,品質保証部門の人々と同様に,次のことに責任をもつ人々をその利用対象者としている。

要求事項の仕様化及び評価の実行のために利用する技術の管理

製品の品質要求事項の仕様化

製品の品質評価の支援

この規格は,システム及びソフトウェア開発組織の管理システム又はソフトウェア関連の他の活動に

取り組む管理者にも適用可能である。

注記

この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

ISO/IEC 25001

:2014

Systems and software engineering

Systems and software Quality Requirements 

and Evaluation (SQuaRE)

Planning and management

IDT

なお,対応の程度を表す記号“

IDT

”は,

ISO/IEC Guide 21-1

に基づき,“一致している”こ

とを示す。

適合性

この規格に適合するためには,組織は,次のいずれかを行わなければならない。

箇条

6

で規定する要求事項を適用し,適用できないものについてはその理由を示す。

組織自身の推奨事項を規定し,元の要求事項への対応付けを提供する。

引用規格

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。

は適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。

JIS X 0160

:2012

  ソフトウェアライフサイクルプロセス

注記

対応国際規格:

ISO/IEC 12207

:2008

Systems and software engineering

Software life cycle 

processes

IDT

JIS X 0170

:2013

  システムライフサイクルプロセス

注記

対応国際規格:

ISO/IEC 15288

:2008

Systems and software engineering

System life cycle 

processes

IDT

JIS X 25000

:2017

  システム及びソフトウェア製品の品質要求及び評価(

SQuaRE

)-

SQuaRE

の指針

注記

対応国際規格:

ISO/IEC 25000

:2014

Systems and software engineering

Systems and software 

Quality Requirements and Evaluation (SQuaRE)

Guide to SQuaRE

IDT

JIS X 25010

:2013

  システム及びソフトウェア製品の品質要求及び評価(

SQuaRE

)-システム及びソ

フトウェア品質モデル

注記

対応国際規格:

ISO/IEC 25010

:2011

Systems and software engineering

Systems and software 

Quality Requirements and Evaluation (SQuaRE)

System and software quality models

IDT

X 25001

2017 (ISO/IEC 25001

2014) 

JIS X 25021

:2014

  システム及びソフトウェア製品の品質要求及び評価(

SQuaRE

)-品質測定量要素

注記

対応国際規格:

ISO/IEC 25021

:2012

Systems and software engineering

Systems and software 

Quality Requirements and Evaluation (SQuaRE)

Quality measure elements

IDT

JIS X 25030

:2012

  ソフトウェア製品の品質要求及び評価(

SQuaRE

)-品質要求事項

注記

対 応 国 際 規 格 :

ISO/IEC 25030

:2007

Software engineering

Software product Quality 

Requirements and Evaluation (SQuaRE)

Quality requirements

IDT

JIS X 25040

:2014

  システム及びソフトウェア製品の品質要求及び評価(

SQuaRE

)-評価プロセス

注記

対応国際規格:

ISO/IEC 25040

:2011

Systems and software engineering

Systems and software 

Quality Requirements and Evaluation (SQuaRE)

Evaluation process

IDT

JIS X 25041

:2015

  システム及びソフトウェア製品の品質要求及び評価(

SQuaRE

)-開発者,取得者

及び独立した評価者のための評価手引

注記

対応国際規格:

ISO/IEC 25041

:2012

Systems and software engineering

Systems and software 

Quality Requirements and Evaluation (SQuaRE)

Evaluation guide for developers, acquirers and 

independent evaluators

IDT

ISO/IEC 25020

:2007

Software engineering

Software product Quality Requirements and Evaluation 

(SQuaRE)

Measurement reference model and guide 

ISO/IEC 25022

Systems and software engineering

Systems and software quality requirements and 

evaluation (SQuaRE)

Measurement of quality in use 

ISO/IEC 25023

Systems and software engineering

Systems and software Quality Requirements and 

Evaluation (SQuaRE)

Measurement of system and software product quality

JIS

化予定)

ISO/IEC 25024

:2015

Systems and software engineering

Systems and software Quality Requirements and 

Evaluation (SQuaRE)

Measurement of data quality

JIS

化予定)

ISO/IEC 25045

:2010

Systems and software engineering

Systems and software Quality Requirements and 

Evaluation (SQuaRE)

Evaluation module for recoverability 

用語及び定義

この規格で用いる主な用語及び定義は,

JIS X 25000

:2017

によるほか,次による。

4.1 

評価

evaluation

実体が特定の基準を満たしている度合いを系統的に測定すること(

JIS X 0160

4.2 

評価活動

evaluation activity

製品の総合評価において,識別された適切な品質特性の目標値に対して,適切な技法又は手法を使用し

て実行されるもの。

4.3 

評価グループ

evaluation group

システム及びソフトウェア品質要求事項の仕様化とともに,技術,ツール,経験及び管理技能の提供を

通して,品質評価活動の管理及び実施に責任をもつ組織。

注記

評価要求者は,システム及びソフトウェア品質要求事項を事前に指定することができる。一方,

評価グループは,システム及びソフトウェア品質要求事項の有無及び値を検証する。

background image

X 25001

2017 (ISO/IEC 25001

2014) 

4.4 

評価技術

(評価に使用される技術)[

evaluation technology (technology used for evaluation)

評価に使用される技法,プロセス,ツール,測定量及び関連する技術情報。

これらには,内部品質,外部品質若しくは利用時の品質の測定量,又は開発者,取得者若しくは

独立した評価者のために設計した特定の評価プロセスを含む。

4.5 

技法

techniques

特定の活動を行うために必要とされる手法及び技能。

評価管理の概念

この規格は,システム若しくはソフトウェア開発組織,システム若しくはソフトウェア取得組織,又は

第三者評価組織において,全てのプロジェクトを組織横断的に支援する評価グループに適用できる(

1

参照)。

1

システム及びソフトウェア品質評価活動

開発システム又はソフトウェア

取得システム又はソフトウェア

評価対象

評価活動

評価対象

評価活動

評価する時点及び対象は,
選択したライフサイクル
に依存する(

JIS X 0170

JIS X 0160

参照)

例えば,システム要求仕様
書,システム設計仕様書な
ど。

特定の“納品物”

(プロジェ

クトの成果)を評価する。
例えば,システム設計レビ
ューなど。

既存のシステム又は既製ソ
フトウェア製品(

RUSP

)を

購入する。

SQuaRE

シリーズの適切

な規格及び標準報告書を
適用し,取得製品を評価
する。

評価グループの主な責任を次に示す。

システム又はソフトウェア品質評価に関する活動の指導及び管理

品質要求事項の識別及び定義化の指導

品質要求事項の仕様化及び品質評価のプロジェクトの実行

評価のためのベンチマーク設定の基準の作成

評価グループ活動の結果の収集及び分析

組織内での評価グループ活動の結果の普及

関連する技術情報の取得

評価技術の取得

独自(企業固有)の標準及びツールの開発

システム又はソフトウェアの取得及び開発についての,有効性及び品質の評価

技術移転の促進

注記

評価グループは,システム又はソフトウェアを評価する組織の内部にあっても,外部にあって

もよい。

X 25001

2017 (ISO/IEC 25001

2014) 

システム及びソフトウェア品質要求事項の仕様化及び品質評価に対する,要求事項及び推奨事項

6.1 

概要

組織は,評価グループの役割を含め,品質要求事項の仕様化活動並びに品質評価活動のための方針及び

計画を作成しなければならない。

要求事項の仕様化の目的のためには,

JIS X 25010

及び

JIS X 25030

を適用しなければならない。評価実

行の目的のためには,

JIS X 25040

JIS X 25041

及び(適用可能な場合は)

ISO/IEC 25045

を適用しなけれ

ばならない。要求事項の仕様化,品質測定及び評価実行の目的のためには,

JIS X 25010

,及び

ISO/IEC 25020

JIS X 25021

ISO/IEC 25022

ISO/IEC 25024

を適用しなければならない。

評価プロジェクトのための品質評価プロジェクト計画(テンプレート例 

附属書

A

)は,次の手順に従

って適用する活動を識別し,記述しなければならない。

システム及びソフトウェア品質要求事項の仕様化

システム及びソフトウェア品質評価の目的の定義

評価要求事項の確立

評価の仕様化

評価の設計

評価の実行

結果の分析

システム又はソフトウェア品質評価は,次のものを含めて,事前に定義された基準を満たさなければな

らない。

国際規格,国内規格又は内部標準への適合性(適用可能な場合)

追跡可能な結果を定量化して明確に表示できる能力

適切で効果的な技術及びベストプラクティスの利用

6.2 

組織レベルの活動

システム及び/又はソフトウェアを開発,取得又は評価を行ういかなる組織も,組織が関わるシステム

及び/又はソフトウェア品質評価の責任を識別し,これらを組織の方針に組み込まなければならない。

6.2.1 

組織環境の管理

組織は,適用可能な組織の方針及び手順に従って,次の事項を実施しなければならない。

組織の戦略的な方針及び組織の品質方針に合致している,システム及び/又はソフトウェア品質評価

計画及び手順の準備

システム及び/又はソフトウェア品質の戦略的な管理を促進するための役割,責任及び権限の定義

品質評価のための目標値の定義

品質要求事項及び評価プロジェクトに適用する,システム及びソフトウェア品質モデルの定期的なレ

ビューの実施

注記

上記の要求事項は,

JIS X 0170

及び

JIS X 0160

の組織のプロジェクトイネーブリングプロセス

の品質管理プロセスに基づく。

6.2.2 

資源管理

組織は,適用可能な組織の方針及び手順に従って,次の事項を実施しなければならない。

システム及び/又はソフトウェア品質要求事項の仕様化及び評価のプロジェクトを実行するために必

要となる資源基盤に対する支援の決定及び提供

進行中のプロジェクトに求められる人員を配置するために必要な予備要員の維持及び管理

X 25001

2017 (ISO/IEC 25001

2014) 

複数プロジェクトを並行して実行することで生じるかもしれない実施スケジュールの競合の管理

6.2.3 

品質要求事項の仕様化及び品質評価に関する技術の利用及び改善の計画

システム及び/又はソフトウェア品質評価,品質要求事項の品質及び品質評価を支援する技術を改善す

るための全体計画を作成し,実施しなければならない。

その計画には,次の事項を含めることが望ましい。

a) 

方針の準備

  システム及びソフトウェア品質要求事項の仕様化及び品質評価の導入,維持及び改善に

対する組織の取組みを記載した方針を定めることが望ましい。

b) 

組織目標の定義

  システム及びソフトウェア品質要求事項の仕様化及び評価の技術の導入,維持及び

改善によって達成すべき組織目標を定義しなければならない。

c) 

使用する評価技術の識別

  組織で使用する品質評価の技法及びツールを方針の中で総合評価し,識別

しなければならない。明示された目標からのいかなる逸脱についても,正当な理由を示すか,又は是

正しなければならない。

d) 

品質要求事項の仕様化及び評価プロセスの管理に対する責任の割当て

  品質要求事項の仕様化及び

品質評価のプロセスの導入,維持及び進行中の改善に対して,明確に記載した責任を割り当てなけれ

ばならない。

e) 

さらなる改善の識別

  品質要求事項の仕様化及び品質評価のプロセスの改善,並びに新技術の利用を

計画し,実行しなければならない。

6.2.4 

評価技術の整備

組織は,次の事項を実施しなければならない。

評価技術の取得又は開発のための要求事項の定義

品質評価技術の利用可能性の総合評価

取得した評価技術の採用及び運用のためのプロセスの定義

妥当性確認済みのどの評価モジュールも,構成制御下で維持し,評価モジュールとして文書化すること

が望ましい。そうでないときは,妥当性確認済みのどの評価モジュールも,総合評価のために試行的に使

用することが望ましい。

6.2.5 

評価に利用する技術の移転

組織は,開発又は取得した技術の移転のために,新技術の導入及び採用のための,訓練プログラム,ツ

ール及び適切な環境を準備しなければならない。これらの訓練プログラム,ツール及び環境は,評価グル

ープの活動に適用される技術に対応していなければならない。

a) 

技術移転の準備

  組織は,技術移転のために,次の事項を考慮しなければならない。

支援用の訓練プログラムの準備

ツール及び環境の準備

データ収集の方法及び技術移転を総合評価する方法の定義

技術移転に関する経験の収集方法の定義

注記

品質評価プロジェクト計画の目標,活動,スケジュール,プロジェクト目標及び責任を専用

の訓練プログラムの一部として作成することが望ましい。

b) 

技術移転の実施

  組織は,定めた計画に従って,技術移転を実施し,データを収集しなければならな

い。

c) 

技術移転の総合評価

  組織は,次のように,技術移転を総合評価しなければならない。

全プロジェクトが導入した技術の効果を総合評価する。

X 25001

2017 (ISO/IEC 25001

2014) 

組織内における技術利用の程度を評価する。

必要な場合,組織は,総合評価結果に従って,計画を修正するか,又は新しい計画を準備しなければな

らない。

6.2.6 

品質要求事項の仕様化技術及び評価技術の総合評価

品質要求事項の仕様化及び評価の改善のために,利用した技術を総合評価しなければならない。評価中

に得られたデータは,適切なツール及び手法(例えば,経済性分析ツール又は統計分析ツール)を適用し

て分析することが望ましい。これには,次の事項を含む。

品質要求事項の仕様化に費やした労力

測定及び評価に費やした労力。この情報は,他のプロジェクトで今後利用するため,及び新技術の有

用性を検証するために,検証し,維持しなければならない。

測定,評価基準及び使用した技法の適合性及び妥当性

品質要求事項の仕様化の有効性

システム及び/又はソフトウェア品質評価全体の有効性

標準化。上記のことを満足することが判明した場合は,評価技術に関する独自(企業固有)の標準化

を考慮しなければならない。

評定水準の適合性

6.2.7 

経験の管理

組織内における評価技術の効果的な利用についての責任を定義しなければならない。この責任には,総

合評価結果及び経験の維持を含む。これらは,評価技術の品質及び利用を改善するために使用しなければ

ならない。

独自(企業固有)の標準の変更を通して,次に示すような改善を達成できる。

品質要求事項の定義

測定量の選択

評定水準の定義

総合評価基準の定義

上記の改善を達成するために,次の取組み方を考慮しなければならない。

関連する技術の定期的なレビューの実行

新規及び現行の関連標準の統合

新規及び現行の測定量の統合

これらの標準を改正のために使用することが望ましいフィードバックの提供

組織の品質計画及び/又は品質マニュアルの改正に使用することが望ましいフィードバックの提供

改善に関する記録の維持,及びベストプラクティスの組織内での確実な利用

6.3 

プロジェクト管理レベルの活動

評価グループは,その活動の効果的な管理を保証する。これには,システム及びソフトウェア要求事項

の仕様化及び評価の計画,この計画の促進,並びに必要な技術の移転を含む。

評価プロジェクトの管理のために,合意された品質評価プロジェクト計画がなければならない。

評価は,経験のあるプロジェクト管理者が管理しなければならない。かつ,その評価は,次の事項を伴

っていなければならない。

承認済みの予算

適切な資源

X 25001

2017 (ISO/IEC 25001

2014) 

支援ツール,標準及び手順

明確に定義し,文書化し,合意した品質評価プロジェクト計画書(

附属書

A

参照)

6.3.1 

評価計画の支援

製品の評価を成功裏に実施するためには,プロジェクト開始時に品質評価プロジェクト計画を作成しな

ければならない。計画の狙いは,プロジェクト管理者が行う定量的な品質目標の定義及び監視を援助する

ことである。それは,全てのプロジェクト要員が彼ら自身の品質目標を識別すること,及びそれらの目標

に対する彼らの進捗を継続的に監視することを支援しなければならない。

このような計画を準備するときには,次の事項を考慮しなければならない。

a) 

計画の目的及び利用

  全てのプロジェクトメンバは,提案されたプロジェクト計画の重要性,その実

施の詳細及び計画における各プロジェクトメンバの関わりを理解しなければならない。これら全ては,

いかなる評価活動よりも先に,明確にしなければならない。

この計画は,全てのプロジェクト要員及び管理者が同意し,支持しなければならない。

b) 

計画の妥当性確認

  組織内で責任を負う人は,計画の妥当性を確認しなければならない。様々な評価

要求事項を適切に網羅していることを確実にするために計画をレビューしなければならない。評価要

求事項には,次の仕様を含まなければならない。

記載された目標をどのように達成するか。

これらの目標をどのように定量化し,測定するか。

これらの測定が評価プロセスをどのように支援するか。

製品評価において,定量的管理をどのように実施するか。

注記

1

定量的管理においては,プロジェクトがその品質及びプロセス実績の目標を達成すること

ができるかどうかを予測し,かつ,是正活動を実施することが望ましいものを識別するた

めに,統計的管理からのデータを使用する。

各々の品質目標

注記

2

これらは製品,プロセス又は規模に関係するものかもしれない。

タスクの明確化及びタスクに付随する責任の割当て(例えば,データ収集,データ分析,並びに

プロジェクト要員及び管理者へのフィードバックに,誰が責任をもつか。)

データをどのように収集し,制御し,利用するかの定義

c) 

計画の内容

  この計画の内容は,品質要求事項で仕様化された製品の品質特性に適用可能な,全ての

測定量を網羅しなければならない。

計画に記載した目標は,次の事項によって補完しなければならない。

対応する製品の品質特性

適用する標準

手法

要員の技能

ツール及びプロジェクト管理の支援

品質評価プロジェクト計画書のテンプレートを,

附属書

A

に示す。

6.4 

評価結果の分析及び利用

評価グループは,各評価プロジェクトの終了時に,評価結果を収集しなければならない。その後,これ

らの結果を分析し,効果的に利用しなければならない。これらの目標を達成するために,次の事項を考慮

しなければならない。

10 

X 25001

2017 (ISO/IEC 25001

2014) 

収集したデータの品質の検証(例えば,有意性,表現性,正確性及び統計的な妥当性)

データの集約及び分析のための適切な手法の識別

データの解釈のための適切な手法の識別

各評価プロジェクトに対する品質要因評価の目標値の改正

要求があったときは,関連する教育・訓練

評価技術の改善のために,次の事項を分析し,所見を記録しなければならない。

評価の結果

評価の手法

各評価プロジェクトに対する品質要因の評価目標値

分析プロセスの後,取得したデータを解釈し,全ての関係部門に提示しなければならない。また,今後

のプロジェクトが参照できるようにするために,収集したデータを保管しなければならない。

11 

X 25001

2017 (ISO/IEC 25001

2014) 

附属書

(参考)

品質評価プロジェクト計画書のテンプレート

次に示す品質評価プロジェクト計画書のテンプレートは,評価グループが評価プロジェクトを準備して,

実行する場合に使用することが望ましい文書の例である。評価プロジェクトの準備がより特定のアプロー

チを必要とする場合,例えば,特定の評価プロセスを適用するような場合には,この規格の利用者は,

SQuaRE

シリーズの次の規格が発行されたときには,それらを参照してもよい。

JIS X 25040

:2014

  システム及びソフトウェア製品の品質要求及び評価(

SQuaRE

)-評価プロセス

JIS X 25041

:2015

  システム及びソフトウェア製品の品質要求及び評価(

SQuaRE

)-開発者,取得者

及び独立した評価者のための評価手引

ISO/IEC 25045

:2010

Systems and software engineering

Systems and software Quality Requirements and 

Evaluation (SQuaRE)

Evaluation module for recoverability 

評価プロジェクトを準備するに当たり,より特定の要求定義プロセスに取り組む必要がある場合には,

この規格の利用者は,

SQuaRE

シリーズの次の規格が発行されたときにそれらを参照してもよい。

JIS X 25030

:2012

  ソフトウェア製品の品質要求及び評価(

SQuaRE

)-品質要求事項

評価プロジェクトを準備するに当たり,より特定の測定プロセスに取り組む必要がある場合には,この

規格の利用者は,

SQuaRE

シリーズの次の規格が発行されたときにそれらを参照してもよい。

ISO/IEC 25020

:2007

Software engineering

Software product Quality Requirements and Evaluation 

(SQuaRE)

Measurement reference model and guide 

JIS X 25021

:2014

  システム及びソフトウェア製品の品質要求及び評価(

SQuaRE

)-品質測定量要素

ISO/IEC 25022

:2016

Systems and software engineering

Systems and software quality requirements and 

evaluation (SQuaRE)

Measurement of quality in use 

ISO/IEC 25023

:2016

Systems and software engineering

Systems and software Quality Requirements and 

Evaluation (SQuaRE)

Measurement of system and software product quality

JIS

化予定)

ISO/IEC 25024

:2015

Systems and software engineering

Systems and software Quality Requirements and 

Evaluation (SQuaRE)

Measurement of data quality

JIS

化予定)

A.1 1

章  序文

次のことを記載することが望ましい。

計画の目的

計画の読者

計画の想定利用者

A.2 2

章  評価の目的

この章は,評価の目的及びシステム又はソフトウェアの適用意図に関する明確な記述を提供することが

望ましい。この章は,ビジネスニーズの観点から記述することができる。しかし,ビジネスニーズの観点

12 

X 25001

2017 (ISO/IEC 25001

2014) 

は,品質要求事項の仕様化,並びに品質目標及び各目標の基準の設定という目的のために,使用可能であ

ることが望ましい。

A.3 3

章  システム及びソフトウェア品質要求事項及び適用可能な品質特性

この章は,システム及びソフトウェア品質要求事項の仕様化の結果である品質特性(例えば,

JIS X 25010

など)の記述を提供することが望ましい。これは,

A.2

に指示された目標を支援する。

注記

品質要求事項の仕様化の活動は,

6

章及び

9

章で考慮することが望ましい。しかし,そのプロ

セスそのものは,品質評価プロジェクト計画の範囲外にあり,別のプロジェクト工数を必要と

することになる。

明記された品質目標は,製品指向であってもよいし,プロセス指向であってもよい。この計画の目的は,

製品品質目標だけを取り扱うことである。

A.4 4

章  優先度のリスト

この章は,上記の特性に優先度を付け,これらの優先度付けの根拠を提供することが望ましい。

A.5 5

章  品質目標

この章は,プロジェクト開発の中間又は最終段階で測定する値に対して検証する定量化可能な品質目標

(目標値)を提供することが望ましい。

A.6 6

章  責任の定義

この章は,計画の実施に関連する全ての責任を定義することが望ましい。これには,システム及びソフ

トウェア品質要求事項の仕様化,全てのデータ収集,分析タスク,他の支援要求事項の実施,報告,継続

調査及び同様の要求事項を含む。

A.7 7

章  評価設計

この章は,実施することが計画され,品質評価の要求された適用範囲を対象とする,測定について定義

することが望ましい。

この章は,次のことを示すことが望ましい。

開発サイクルのどの段階でこれらの測定が実行されるか。

どの評価プロセスを適用することが望ましいか(

JIS X 25041

から)。

どれくらいの頻度で繰り返すことが望ましいか。

どの技法又はツールを使ってデータ獲得及び分析を支援することが望ましいか。

明記された目標からの逸脱がある場合どの行動に取り掛かることが望ましいか。

A.8 8

章  データの利用及び分析

この章は,次のことを定義することが望ましい。

データをどのように分析するか。

使用可能な統計的な手法があれば,どの統計的な手法を採用するか。

どの表示技法を使用するかを定義するか。

この章では,前述した責任,支援ツール及び様式に関連付けることが望ましい。また,どのように情報

13 

X 25001

2017 (ISO/IEC 25001

2014) 

を進捗追跡プロセス又は製品受入れプロセスに統合するかについても記述することが望ましい。

A.9 9

章  評価の計画及び実行

この章は,マイルストン及び明記された納入物を含む,活動の明解な計画を提供することが望ましい。

A.10 10

章  報告

この章は,全ての関連する報告要求事項を定義することが望ましい。

A.11 11

章  他の要求事項

この章は,これまでに述べていない要求事項を含むことが望ましい。例えば,次の情報を含む。

a) 

採用する技法及び手法

  使用する技法及び手法の完全な記述(又は他の資料への参照)を提供する(例

えば,規模測定手法,開発成熟度アセスメント,誤り検出のためのインスペクション法,誤り率予測

のための欠陥除去モデルなど)。

b) 

支援ツール

  支援ツールの要求事項及び参照を記述又は提供する。これには,データベース,スプレ

ッドシート及び統計パッケージを使用するための手引を含む。

c) 

関連規格及び手引

  適用可能な規格及び支援の手引を参照する。製品品質要求事項及び評価プロセス

に関して,これらの使用及び便益を記述する(例えば,

JIS X 25000

JIS Q 9001

ISO/IEC 9000-3

ど)。

d) 

供給者の評価

  製品の供給者の効果的で定量的な総合評価のための評価及び測定手順を含む。

これには,次のものを含む。

リリース版の数

現在の誤り状態

インストール後の支援実績についての調査

過去及び現在の利用者満足度についての統計

管理実績

財務安定度

他の供給者から獲得したアプリケーションに関する関連パラメタを,供給者の評価計画に組み込む

ことができる。

14 

X 25001

2017 (ISO/IEC 25001

2014) 

参考文献

[1] 

JIS X 0129-1

:2003

  ソフトウェア製品の品質-第

1

部:品質モデル

注記

対応国際規格:

ISO/IEC 9126-1

:2001

Software engineering

Product quality

Part 1: Quality 

model

IDT

[2] 

ISO/IEC TR 9126-2

:2003

Software engineering

Product quality

Part 2: External metrics 

注記

対応標準仕様書:

TS X 0111-2

:2009

  ソフトウェア製品の品質-第

2

部:

JIS X 0129-1

による

外部測定法(

IDT

[3] 

ISO/IEC TR 9126-3

:2003

Software engineering

Product quality

Part 3: Internal metrics 

注記

対応標準仕様書:

TS X 0111-3

:2009

  ソフトウェア製品の品質-第

3

部:

JIS X 0129-1

による

内部測定法(

IDT

[4] 

ISO/IEC TR 9126-4

:2004

Software engineering

Product quality

Part 4: Quality in use metrics 

注記

対応標準仕様書:

TS X 0111-4

:2009

  ソフトウェア製品の品質-第

4

部:

JIS X 0129-1

による

利用時の品質測定法(

IDT

[5] 

JIS X 0133-1

:1999

  ソフトウェア製品の評価-第

1

部:全体的概観

注記

対応国際規格:

ISO/IEC 14598-1

:1999

Information technology

Software product evaluation

Part 

1: General overview

IDT

[6] 

JIS X 0133-2

:2001

  ソフトウェア製品の評価-第

2

部:計画及び管理

注記

対 応国際規格 :

ISO/IEC 14598-2

:2000

Software engineering

Product evaluation

Part 2: 

Planning and management

IDT

[7] 

JIS X 0133-3

:2001

  ソフトウェア製品の評価-第

3

部:開発者のプロセス

注記

対応国際規格:

ISO/IEC 14598-3

:2000

Software engineering

Product evaluation

Part 3: Process 

for developers

IDT

[8] 

JIS X 0133-4

:2001

  ソフトウェア製品の評価-第

4

部:取得者のプロセス

注記

対応国際規格:

ISO/IEC 14598-4

:1999

Software engineering

Product evaluation

Part 4: Process 

for acquirers

IDT

[9] 

JIS X 0133-5

:1999

  ソフトウェア製品の評価-第

5

部:評価者のプロセス

注記

対応国際規格:

ISO/IEC 14598-5

:1998

Information technology

Software product evaluation

Part 

5: Process for evaluators

IDT

[10] 

JIS X 0133-6

:2002

  ソフトウェア製品の評価-第

6

部:評価モジュールの文書化

注記

対 応国際規格 :

ISO/IEC 14598-6

:2001

Software engineering

Product evaluation

Part 6: 

Documentation of evaluation modules

IDT

[11] 

JIS X 25051

:2016

  システム及びソフトウェア製品の品質要求及び評価(

SQuaRE

)-既製ソフトウェ

ア製品(

RUSP

)に対する品質要求事項及び試験に対する指示

注記

対応国際規格:

ISO/IEC 25051

:2014

Software engineering

Systems and software Quality 

Requirements and Evaluation (SQuaRE)

Requirements for quality of Ready to Use Software 

Product (RUSP) and instructions for testing

IDT