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X 25041:2015 (ISO/IEC 25041:2012) 

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 4 

2 適合性···························································································································· 4 

3 引用規格························································································································· 4 

4 用語及び定義 ··················································································································· 5 

5 各役割からの評価の概念 ···································································································· 6 

5.1 各役割の観点からの製品品質評価の枠組み ·········································································· 6 

5.2 ソフトウェア製品品質評価の対象実体················································································ 8 

5.3 役割及び責任 ················································································································ 9 

6 ソフトウェア製品品質評価のための組織レベルの要求事項及び推奨事項 ···································· 11 

6.1 一般要求事項及び推奨事項 ····························································································· 11 

6.2 ソフトウェア製品品質評価の文書····················································································· 11 

6.3 各役割を支援するための組織レベルの要求事項及び推奨事項 ················································· 12 

7 開発者評価プロセスのための要求事項及び推奨事項 ······························································· 14 

7.1 一般要求事項 ··············································································································· 14 

7.2 評価要求事項の確立 ······································································································ 15 

7.3 評価の明示 ·················································································································· 18 

7.4 評価の設計 ·················································································································· 21 

7.5 評価の実行 ·················································································································· 24 

7.6 評価の終結 ·················································································································· 26 

8 取得者評価プロセスのための要求事項及び推奨事項 ······························································· 30 

8.1 一般要求事項 ··············································································································· 30 

8.2 評価要求事項の確立 ······································································································ 31 

8.3 評価の明示 ·················································································································· 37 

8.4 評価の設計 ·················································································································· 39 

8.5 評価の実行 ·················································································································· 41 

8.6 評価の終結 ·················································································································· 42 

9 独立した評価者の評価プロセスのための要求事項及び推奨事項 ················································ 43 

9.1 一般要求事項 ··············································································································· 43 

9.2 評価要求事項の確立 ······································································································ 45 

9.3 評価の明示 ·················································································································· 47 

9.4 評価の設計 ·················································································································· 48 

9.5 評価の実行 ·················································································································· 48 

9.6 評価の終結 ·················································································································· 50 

参考文献 ···························································································································· 51 

X 25041:2015 (ISO/IEC 25041:2012) 

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人情報処理学会(IPSJ)及び一般

財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,

日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

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日本工業規格          JIS 

X 25041:2015 

(ISO/IEC 25041:2012) 

システム及びソフトウェア製品の品質要求及び 

評価(SQuaRE)−開発者,取得者及び 

独立した評価者のための評価手引 

Systems and software engineering- 

Systems and software Quality Requirements and  

Evaluation (SQuaRE)-Evaluation guide for developers, acquirers and  

independent evaluators 

序文 

この規格は,2012年に第1版として発行されたISO/IEC 25041を基に,技術的内容及び構成を変更する

ことなく作成した日本工業規格である。 

なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。 

情報技術の使用が増加するにつれ,重大なシステムの数も増加している。このようなシステムには,例

えば,セキュリティ面での重大なシステム,生命に関しての重大なシステム,経済面での重大なシステム,

及び安全面での重大なシステムを含む。このような重大なシステムのシステム及びソフトウェア製品の品

質は,ソフトウェア障害が重大な結果を引き起こすかもしれないので,特に重要である。 

評価は,対象がその明示された基準を満たす程度を体系的に決定することである。製品品質の評価は,

ソフトウェアの取得及び開発の双方に不可欠である。ソフトウェア品質の様々な特性の相対的な重要さは,

そのソフトウェアを包含するシステムの意図した使用又は目的に依存している。すなわち,関連した品質

特性がシステムの要求事項を満たしているかどうかを決定するために,製品を評価する必要がある。 

この規格は,SQuaREシリーズ規格の一つである。JIS X 25040は,製品品質評価のための全般的な要求

事項及び全般的な推奨事項のほかに,関連する全般的な概念を含む。この規格は,JIS X 25040に基づく開

発者,取得者及び独立した評価者に関連する特定の課題を提供する。 

SQuaREシリーズ規格を作成する全般的な目標は,次の二つの主なプロセスを網羅する,論理的に系統

付けられ,強化され,統合されたシリーズに移行することである。その二つのプロセスとは,ソフトウェ

ア品質要求事項仕様化プロセス及びソフトウェア製品の品質評価プロセスで,ソフトウェア品質測定プロ

セスによって支援されている。SQuaREシリーズ規格の目的は,品質要求事項の仕様及び評価を使って,

製品の開発者及び取得者を支援することである。SQuaREシリーズ規格の目的は,利用者が製品品質要求

事項の仕様,それらの測定及び評価に対する基準を確立することを支援することである。SQuaREシリー

ズは,品質の顧客定義と開発プロセスの特徴とを対応付けるための品質モデルを含む。加えて,SQuaRE

シリーズは,開発者,取得者及び独立した評価者が使用することができる,製品の特徴の推奨測定量を提

供する。 

SQuaREシリーズは,次を提供する。 

background image

X 25041:2015 (ISO/IEC 25041:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

− 用語及び定義 

− 参照モデル 

− 全般的な手引 

− 個々の部門の手引 

− 要求事項の仕様,計画及び管理,測定目的並びに評価目的に対する規格 

SQuaREシリーズは,品質要求事項及び評価の規格とともに,品質モデル及び測定量に関する国際規格

を含む。 

SQuaREシリーズは,既存のJIS X 0129シリーズ及びJIS X 0133シリーズを置き換える。 

SQuaREシリーズは,“システム及びソフトウェア製品の品質要求及び評価”という包括表題の下に次の

部門から構成されている。 

− JIS X 2500n:品質管理部門 

− JIS X 2501n:品質モデル部門 

− JIS X 2502n:品質測定部門 

− JIS X 2503n:品質要求部門 

− JIS X 2504n:品質評価部門 

この規格は,他のSQuaREシリーズ規格及びSQuaREシリーズに置き換えられるまでのJIS X 0133シリ

ーズ及びJIS X 0129シリーズとともに使用することを意図している。 

この規格の記述は,主として,この規格が置き換える,JIS X 0133-3,JIS X 0133-4及びJIS X 0133-5の

記述に基づいている。 

図1は,SQuaREシリーズを構成する規格群の部門構成を示している。 

注記 ISO/IEC 250mnに対しては,JIS X 250mnが対応するが,全ての規格がJISにはなっていない

ので,ここではISO/IEC 250mnと表記する。 

図1−SQuaREシリーズ規格の構成 

SQuaREシリーズモデルの“各部門”を次に概説する。 

− ISO/IEC 2500n 品質管理部門 この部門の規格は,SQuaREシリーズの,他の全ての規格から参照さ

れる共通モデル,用語及び定義を規定する。規格を特定の応用事例に適用する場合の参照経路(SQuaRE

シリーズ全体の手引)及び高水準の実際的な提案は,全ての種別の利用者への手助けを提供する。こ

の部門は,ソフトウェア製品の品質要求事項の仕様化及び評価の管理に責任のある支援機能のための

ISO/IEC 25050〜ISO/IEC 25099 SQuaRE拡張部門 

 
 
 

ISO/IEC 2503n 

品質要求部門 

ISO/IEC 2501n 

品質モデル部門 

ISO/IEC 2500n 

品質管理部門 

ISO/IEC 2502n 

品質測定部門 

 
 
 

ISO/IEC 2504n 

品質評価部門 

X 25041:2015 (ISO/IEC 25041:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

要求事項及び手引も提供する。 

− ISO/IEC 2501n 品質モデル部門 この部門の規格は,内部ソフトウェア品質,外部ソフトウェア品

質及び利用時のソフトウェア品質のための品質特性を含む詳細な品質モデルを提供する。また,品質

モデルの実際的な利用のための手引も提供する。 

− ISO/IEC 2502n 品質測定部門 この部門の規格は,ソフトウェア製品の品質測定の参照モデル,品

質測定量の数学的な定義及び適用のための実際的な手引を含む。提供する測定量は,内部ソフトウェ

ア品質,外部ソフトウェア品質及び利用時のソフトウェア品質に適用する。後に続く品質測定量のた

めの基礎となる品質測定量の要素を定義し提供する。 

− ISO/IEC 2503n 品質要求部門 この部門の規格は,品質要求事項の仕様化に役立つ。これらの品質

要求事項は,開発するソフトウェア製品の品質要求事項の導出又は評価プロセスのための入力として

利用することができる。要求定義プロセスは,JIS X 0170に定義されたテクニカルプロセスに対応付

けられる。 

− ISO/IEC 2504n 品質評価部門 この部門の規格は,ソフトウェア製品評価のための要求事項,推奨

事項及び手引を提供し,独立した評価者,取得者又は開発者のいずれかによって実施される。評価モ

ジュールとして測定量の文書化のための支援も提供する。 

− ISO/IEC 25050〜ISO/IEC 25099 SQuaRE拡張部門 この部門の規格は,特定の応用範囲を取り扱う

ソフトウェア製品品質の規格,標準仕様書(TS)及び/又は標準報告書(TR)を含むように指定さ

れている。また,一つ以上のSQuaRE規格を補完するために利用できるソフトウェア製品品質の規格,

標準仕様書及び/又は標準報告書を含むように指定されている。 

この規格は,今現在,次の規格から構成されている,JIS X 2504n(品質評価部門)の一部である。 

− JIS X 25040:評価プロセス この規格は,ソフトウェア品質の仕様及び評価に対する一般的な要求事

項から構成されており,一般概念を明確にしている。この規格は,製品の品質を評価するためのプロ

セス記述を提供し,このプロセスを適用するための要求事項を記載している。評価プロセスは,異な

る目的及び進め方に対する,製品の品質評価のための基盤となる。したがって,このプロセスは,利

用時の品質,ソフトウェア製品の品質の外部測定量及びソフトウェア製品の品質の内部測定量の評価

を行うために使用することができ,事前に開発されたソフトウェア製品又は特注ソフトウェア製品の

品質を評価するためにその開発プロセスで適用することができる。ソフトウェア製品の品質評価は,

例えば,取得者,開発組織又は独立した評価者が実行することができる。 

− JIS X 25041 開発者,取得者及び独立した評価者のための評価の手引 開発者,取得者及び独立した

評価者のための特定の要求事項及び推奨事項から構成されている。 

− ISO/IEC 25045 回復性のための評価モジュール この規格は,品質モデルで規定されている信頼性

特性の中に副特性として規定された,回復性を評価するための仕様を提供している。一つ以上のソフ

トウェア製品の実行トランザクションから構成された情報システムが一連の異常にさらされたとき,

ソフトウェア品質の回復力及び自動回復指標についてのソフトウェア製品の品質の外部測定量を決め

ている。異常には,動作障害(例えば,システムダウンを引き起こすOSプロセスの突然のシャット

ダウン)又は事象(例えば,システム利用者の著しい増加)がある。 

JIS X 25040は,JIS X 0133-1を置き換える。 

JIS X 25041は,JIS X 0133-3,JIS X 0133-4及びJIS X 0133-5を置き換える。 

X 25041:2015 (ISO/IEC 25041:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

この規格では“製品”という用語を“システム及びソフトウェア製品”という用語の簡略化として使用

する。 

この規格では“評価プロセス”という用語を“製品品質評価プロセス”という用語の簡略化として使用

する。 

この規格では“評価報告書”という用語を“製品品質評価報告書”という用語の簡略化として使用し,

“評価計画(書)”という用語を“製品品質評価計画(書)”という用語の簡略化として使用する。 

適用範囲 

この規格は,特に開発者,取得者及び独立した評価者に,製品品質評価の要求事項,推奨事項及び指針

を提供する。この規格は,特定のアプリケーション領域に限定することなく,いかなる種類の製品の品質

評価にも使用することができる。 

この規格は,製品品質を評価するためのプロセス記述を提供し,開発者,取得者及び独立した評価者の

観点からの評価プロセスの適用に対する特定の要求事項を記載する。評価プロセスは,様々な目的及び進

め方のために使用することができる。事前に開発されたソフトウェア,商用既製(COTS)ソフトウェア

又は特注ソフトウェアの品質の評価のために使用することができ,開発プロセス中又は開発プロセス後に

使用することができる。 

この規格は,製品品質評価の責任者向けのものであり,製品の開発者,取得者及び独立した評価者に適

したものである。 

この規格は,製品の他の側面(機能要求事項,プロセス要求事項,ビジネス要求事項など)の評価を意

図していない。 

注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

ISO/IEC 25041:2012,Systems and software engineering−Systems and software Quality Requirements 

and Evaluation (SQuaRE)−Evaluation guide for developers, acquirers and independent evaluators

(IDT) 

なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”こ

とを示す。 

適合性 

開発者が箇条6及び箇条7の要求事項に従う場合,取得者が箇条6及び箇条8の要求事項に従う場合,

並びに独立した評価者が箇条6及び箇条9の要求事項に従う場合,製品品質の評価は,この規格に適合す

る。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS X 25000 ソフトウェア製品の品質要求及び評価(SQuaRE)−SQuaREの指針 

注記 対応国際規格:ISO/IEC 25000,Software Engineering−Software product Quality Requirements 

and Evaluation (SQuaRE)−Guide to SQuaRE(IDT) 

JIS X 25001 ソフトウェア製品の品質要求及び評価(SQuaRE)−計画及び管理 

注記 対応国際規格:ISO/IEC 25001,Software engineering−Software product Quality Requirements and 

X 25041:2015 (ISO/IEC 25041:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

Evaluation (SQuaRE)−Planning and management(IDT) 

JIS X 25030 ソフトウェア製品の品質要求及び評価(SQuaRE)−品質要求事項 

注記 対応国際規格:ISO/IEC 25030,Software engineering−Software product Quality Requirements and 

Evaluation (SQuaRE)−Quality requirements(IDT) 

JIS X 25040 システム及びソフトウェア製品の品質要求及び評価(SQuaRE)−評価プロセス 

注記 対応国際規格:ISO/IEC 25040,Systems and software engineering−Systems and software Quality 

Requirements and Evaluation (SQuaRE)−Evaluation process(IDT) 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS X 25000によるほか,次による。 

4.1 

納入可能な製品(deliverable product) 

サービスを提供するための検証可能な固有のシステム又はソフトウェア製品。プロジェクト出資者又は

顧客の承認を得ることを条件としている。 

4.2 

動的な製品(dynamic product) 

試験及び/又は運用操作可能な環境で実行時に測定できるシステム又はソフトウェア製品。 

4.3 

評価(evaluation) 

実体が明示された基準を満たしている度合いを系統的に測定すること(JIS X 0160:2012)。 

注記 JIS X 0160:2012の定義文の一部を変更している。 

4.4 

評価水準(evaluation level) 

適用される評価技法及び達成されるべき評価結果として示される,評価中に適用される評価の奥深さ又

は完璧さを定義する厳格さ。 

4.5 

評価記録(evaluation records) 

評価プロセスで実施した全ての活動及び達成した全ての結果について文書化した客観的な証拠。 

4.6 

評価要求者(evaluation requester) 

評価を要求する個人又は組織。 

4.7 

評価ツール(evaluation tool) 

データの収集,データの解釈又は評価の一部の自動化のために,評価中に使用する道具。 

注記 このようなツールの例としては,コードメトリクスを計算するソースコード分析ツール,形式

モデルを生成するCASEツール,実行可能なプログラムを実行させる試験環境,点検データを

収集するチェックリスト,又は測定量を組み合わせて計算する表計算ソフトウェアがある。 

4.8 

評価の厳重性(evaluation stringency) 

製品に期待される利用限界を満たすために,製品の品質特性及び品質副特性に要求される度合い。 

X 25041:2015 (ISO/IEC 25041:2012) 

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4.9 

独立した評価者(independent evaluator) 

開発者及び取得者から独立して,評価を実施する個人又は組織。 

注記 評価する対象システムに対する開発者又は取得者として活動する個人又は組織は,システムに

対する独立した評価者となることはできない。独立した評価者は,組織であってもよい。独立

した評価者は,開発者及び取得者から独立している限りは,開発者と同じ組織に所属すること

ができる。 

(JIS X 25040:2014) 

4.10 

中間製品(intermediate product) 

開発プロセスのある段階の製品(システム又はソフトウェア製品)で,開発プロセスの他の段階の入力

として利用されるもの。 

4.11 

製品品質(product quality) 

明示された状態の下で使用するとき,明示的ニーズ及び暗黙のニーズを満たす製品の度合い。 

注記 この定義は,JIS Q 9000:2006の品質定義と異なる。主な理由は,ソフトウェア品質の定義が明

示的ニーズ又は暗黙のニーズの満足に言及しているのに対し,JIS Q 9000の品質定義が要求の

満足に言及していることによる。 

(JIS X 25000:2010の“ソフトウェア品質”の定義を,“〜の度合い”として言い換えた。) 

4.12 

静的な製品(static product) 

レビュー時に実行できないシステム又はソフトウェア製品。 

各役割からの評価の概念 

5.1 

各役割の観点からの製品品質評価の枠組み 

開発者,取得者及び独立した評価者は,各特定の役割及び評価対象実体の分類に従って,システム製品

品質評価時に異なる活動を行う。 

基本的に,各役割の製品品質評価プロセスは,同じである。しかし,評価の対象実体は,要求者のニー

ズによる評価の目的に従って異なる。 

図2は,製品品質評価プロセスの一般的な枠組みである。 

製品品質評価をシステムとみなす。このシステムは,評価プロセスへの入力,評価プロセスからの成果

物,評価プロセスの制約及び評価プロセスの資源から成る。これらは,各役割及び評価プロセスによって

異なる。 

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X 25041:2015 (ISO/IEC 25041:2012) 

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図2−製品品質評価プロセスの一般的な枠組み 

評価プロセスへの入力及び評価プロセスからの成果物の例を次に示す。 

評価プロセスへの入力 

− 開発者,取得者及び独立した評価者への評価ニーズ 

− 静的な製品及び動的な製品のような,評価の対象実体 

注記 開発者,取得者及び独立した評価者のような各利害関係者の製品品質評価ニーズは,各役割

の観点から決められる。 

評価の成果物は,評価報告書,評価プロセスの改善の結果及び利益である。 

この図では,SQuaREシリーズ規格(JIS X 25010,ISO/IEC 25020,ISO/IEC 2502n,JIS X 25030,

ISO/IEC 2504n)は,評価のための資源として含む。 

製品品質評価プロセスのための制約は,次を含むことができる。 

a) 評価のための特定の利用者ニーズ 

b) 評価プロジェクトの予定 

c) 評価プロジェクトの予算 

d) 評価プロジェクトが使用する環境 

e) 評価プロジェクトが使用するツール及び手法 

f) 

評価の報告のための特定の要求事項 

製品品質評価プロセスの資源は,次を含むことができる。 

a) 適用可能な測定ツール及び手法 

b) 適用可能なSQuaREシリーズ規格 

c) 評価で使用する人的資源 

d) 評価で使用する財務上の資源 

e) 評価で使用する情報システム 

f) 

品質評価で使用する知識データベース 

ソフトウェア製品品質評価参照モデルは,製品品質評価に責任のある人々に適用できる。このモデルは,

評価のための 

入力 

評価ニーズ 

静的な製品 

動的な製品 

評価からの 

成果物 

評価報告書 

評価のための制約 

評価のための資源 

評価プロセス 

X 25041:2015 (ISO/IEC 25041:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

開発者,取得者及び独立した評価者のような役割をもつ組織が使うことを意図しており,適切である。し

かし,これらの組織に限定するものではない。 

製品品質評価は,開発プロセスの間若しくは後に,又は取得プロセスの間に実行することができる。 

5.2 

ソフトウェア製品品質評価の対象実体 

評価の目標は,開発者,取得者及び独立した評価者の役割によって異なる。 

評価目標によって評価の対象実体を定義する。 

静的な製品及び動的な製品として評価の対象実体を分類する。 

静的な製品は,中間製品又は納入可能な製品のいずれかであり,次を含むことができる。 

− 品質要求事項の仕様 

− ソフトウェア設計仕様書 

− プログラムソースコード 

− 試験計画の仕様 

− 試験結果報告書の仕様 

− 製品記述 

− 運用操作説明書 

動的な製品は,次を含む。 

− 実行可能な中間製品。試験環境において動的試験時に実行するもの。 

− 納入可能な製品。運用操作環境において運用操作時に実行するもの。 

中間製品がその役割を達成するための品質を評価するために,開発者は,ソフトウェアライフサイクル

の各開発段階で静的な製品をレビューする。各開発段階とは,例えば,設計段階,実装段階,試験段階な

どをいう。 

開発者は,単体試験段階で動的な中間製品を試験し,システム統合試験段階で動的な納入可能な製品を

試験する。 

注記1 開発者の観点に従う評価の対象実体は,静的な中間製品及び/又は納入可能製品,並びに動

的な中間製品及び/又は納入可能な製品である。 

取得者は,その役割を達成するために,製品取得のために設計段階及び試験段階で静的な製品をレビュ

ーする。 

取得者は,受入れ試験段階又は運用操作試験段階で動的な製品を試験する。 

取得者は,幾つかの候補製品の品質を比較するため及び取得者の役割に基づいてより高い品質の製品を

選択するために,静的な製品及び動的な製品の両者を評価する。 

注記2 取得者の観点に従う評価の対象実体は,静的な中間製品及び/又は納入可能製品,及び動的

な中間製品及び/又は納入可能な製品である。 

独立した評価者は,製品の品質を評価するために静的な製品をレビューし,動的な製品を試験してもよ

い。そして,品質評価要求者との契約に基づいて評価報告書を作成する。 

注記3 独立した評価者の観点に従う評価の対象実体は,要求者との契約に基づいて,静的な中間製

品及び/又は納入可能製品,及び動的な中間製品及び/又は納入可能な製品である。 

注記4 開発者,取得者及び独立した評価者の役割の対象実体の例を表1に示す。 

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X 25041:2015 (ISO/IEC 25041:2012) 

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表1−各役割の対象実体の例 

役割 

評価の対象実体 

静的な製品 

動的な製品 

開発者 

レビューのための中間製品 

及び納入可能な製品 

試験のための中間製品 

及び納入可能な製品 

取得者 

納入可能な製品をレビューするための 

品質要求事項及び設計文書 

選択及び受入れのための 

納入可能な製品 

独立した評価者 

レビューのための中間製品 

及び納入可能な製品 

試験のための中間製品 

及び納入可能な製品 

あらゆる種類の評価活動は,評価の目的に従って,開発者,取得者及び独立した評価者の役割に基づい

て,静的な製品の品質評価及び動的な製品の品質評価の両者の観点から実行することができる。 

5.3 

役割及び責任  

5.3.1 

開発者の役割及び責任 

製品品質評価に関する開発者の責任は,次を含むことができる。 

− 開発した納入可能な製品の品質の保証 

− 要求された品質を満足する特注ソフトウェア製品の再委託先からの受入れ 

− 要求された品質を満足する既製ソフトウェア製品のベンダからの選択 

− 試験プロセスの生産性の改善 

− 製品品質評価のための要員の教育訓練 

特注ソフトウェア製品を実装するとき,開発者は,次を含めて開発したソフトウェア製品の品質を保証

するために,中間製品及び納入可能な製品を評価する。 

− 開発の初期段階における品質要求事項文書 

− 設計文書及び実装時のプログラムソースコードのような中間製品 

− 試験時に対象システムに含まれる納入可能なソフトウェア製品 

納入可能なシステムに適合させるために既製ソフトウェア製品を購入するとき,開発者は,候補製品を

評価し比較する。それから,要求された品質を満足する製品を選択する。 

開発者は,製品に要求された品質基準を満たすことを確実にするために,製品品質評価の結果を使用す

ることができる。この品質基準は,取得者が設定するか又は他の製品と比較して設定することができる。 

5.3.2 

取得者の役割及び責任 

品質評価を担当する取得者の責任は,次を含む。 

− 品質要求事項を満足する特注ソフトウェア製品の受入れ 

− 受入れ可能な品質の既製ソフトウェア製品の選択 

− 運用操作可能な対象システムに含まれる動的な製品の有効性の改善 

− 取得プロセスの生産性の改善 

− 品質評価のための要員の教育訓練 

特注ソフトウェア製品を取得するとき,取得者は,取得製品の品質を確実にするために,中間製品又は

納入可能な製品を評価する。 

特注ソフトウェア製品を取得するとき,取得者は,利用時の品質要求事項,製品品質要求事項を確立し,

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X 25041:2015 (ISO/IEC 25041:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

供給者に対する要求事項を明示し,取得前にこれらの要求事項に対する潜在的な供給者を評価する。 

特注ソフトウェア製品を取得するときに,品質要求事項を明示する目的は,製品が使用者の明示的ニー

ズ及び暗黙のニーズを満たすことを確実にすることである。可能な活動には,次を含む。 

− ソフトウェア開発を要求する前の設計文書のレビュー 

− 特注ソフトウェア製品を受け入れる前の納入可能な製品のレビュー及び試験 

既製ソフトウェア製品を取得するとき,取得者は,製品を比較し選択するために候補となる納入可能な

製品を評価する。 

既製ソフトウェア製品を取得するとき,代替製品を比較するために,及び選択された製品が品質要求事

項を満たしていることを確実にするために,評価を実施することができる。可能な活動には,次を含む。 

− 取得する製品を選択する前の納入可能な製品の文書のレビュー 

− 品質要求事項に最も適合した取得する製品を選択するための納入可能な製品の試験 

受入れ試験段階で,取得者は,高品質製品を受け入れるために製品を試験する。 

対象システムに含まれる運用操作可能な製品を改善するとき,取得者は,製品の品質を改善するために

動的な製品を評価する。可能な活動には,次を含む。 

− 運用操作段階での静的な納入可能な製品の品質のレビュー 

− 運用操作段階での動的な納入可能な製品の試験 

対象システムに含まれる運用操作可能な製品を評価するとき,利用時の品質測定量を使用して,製品を

試験し測定する。 

注記1 運用操作者は,取得者の一部になることができる。その製品が部分となる対象システムを運

用操作する,個人又は組織は,製品が様々な運用操作条件下で品質要求事項を満たすことを

妥当性確認するため,及び保守に責任のある個人又は組織に変更に対するニーズを明示する

ため,ソフトウェア製品品質評価を実行することができる。 

注記2 保守者は,取得者の一部になることができる。その製品が部分となる対象システムを保守す

る,個人又は組織は,製品が品質要求事項,特に保守性及び移植性に対する要求事項を依然

として満たしているかどうかを妥当性確認するため,ソフトウェア評価を実行することがで

きる。 

5.3.3 

独立した評価者の役割及び責任 

独立した評価者の責任を要求者との契約で定義する。 

評価プロセスは,開発者又は取得者のいずれかの観点から実行することができる。 

品質評価に関する独立した評価者の責任は,次を含むことができる。 

− 要求者との契約に基づく対象製品の評価 

− 製品品質評価報告書の品質の保証 

− 評価結果の品質の改善 

− 評価プロセスの生産性の改善 

− 品質評価プロセスを支援する情報システムの改善 

− 評価のための要員の教育訓練 

独立した評価者は,評価を実施する前に契約に基づいて評価の範囲をレビューし,評価のための適切な

解決策及び環境を提供する。 

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X 25041:2015 (ISO/IEC 25041:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

対象製品を評価するとき,独立した評価者は,製品品質を確実にするために中間製品又は納入可能な製

品を評価する。 

この評価は,開発者,取得者又はその他の関係者からの要求によって実行することができる。 

ソフトウェア製品品質評価のための組織レベルの要求事項及び推奨事項 

6.1 

一般要求事項及び推奨事項 

ソフトウェア製品品質評価プロセス参照モデルは,プロセスを記載し,かつ,アクティビティ及びタス

クを詳細化している。それらは,その目的及びソフトウェア製品品質評価の手引として利用できる補完的

な情報を提供する(JIS X 25040参照)。 

このモデルは,開発者,取得者及び独立した評価者としての役割をもつ組織に適している。 

それは,製品の開発者,取得者及び独立した評価者が使うことを意図しているが,それだけに限定して

いない。 

ソフトウェア製品品質評価プロセス参照モデルは,評価前にJIS X 25030を使用して評価のための目的

及び基準を明確にすることで,評価が製品品質要求事項の仕様に基づいていることが望ましいということ

を意図している。製品品質要求事項は,検討中の製品に対する利用者のニーズを表現し,開発に先立って

定義される(JIS X 25030参照)。 

JIS X 25001は,ソフトウェア開発中の,ソフトウェア取得中の,及び独立した評価者が実行する,全て

の製品品質評価プロジェクトに対して,組織全体にまたがる支援を提供する評価グループに適用できる。 

JIS X 25001は,技術,ツール,経験及び管理スキルの提供を通じて,製品品質要求事項の仕様及びソフ

トウェア評価活動を実行し管理する責任のある組織に対して要求事項及び推奨事項を提供する。 

開発者,取得者又は独立した評価者が,開発プロセス若しくは取得プロセス中又はその後に,ソフトウ

ェア製品品質評価を実行することができる。 

製品は主な構成要素に分解されるので,製品全体から導出された品質要求事項は,異なる構成要素に対

して違ってもよいし,異なる評価基準を要求してもよい。 

JIS X 0160及びJIS X 0170で規定された実装プロセスに関連するライフサイクル段階を通して,定義さ

れた品質構造の中で,ソフトウェア製品品質を評価することができる。 

6.2 

ソフトウェア製品品質評価の文書 

製品品質評価のため,評価アクティビティの入力文書,制約,資源及び評価活動の結果についての情報

を明示しなければならない。 

評価の結果を保証するため,評価プロセス及び評価アクティビティの実際の結果を明示しなければなら

ない。 

評価記録は,実行したアクティビティの詳細な記述を含まなければならず,かつ,製品品質評価計画の

実行中に製品品質評価の管理に必要とされる十分な情報を含まなければならない。 

評価記録は,評価の結果を明確にするために中間データを含まなければならない。 

評価プロセスで下された決定も,評価計画書で明示されたように評価記録に含まなければならない。 

評価記録は,製品品質評価の次のアクティビティが有効に実施できるように,各アクティビティに対す

る十分な情報を含まなければならない。 

評価アクティビティ及び評価結果を文書化するために,製品品質評価報告書を準備しなければならない。 

評価アクティビティを実行するためにツールを使用する場合,評価報告書は,ツールの参照文献を含ま

なければならない。参照文献は,ツール,その供給者及びツールの版の識別から構成しなければならない。 

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X 25041:2015 (ISO/IEC 25041:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

使用したツールのより詳細な参照文献を評価記録に含まなければならない。参照文献には,同一の中間

結果を得るために,ツールの詳細な構成及び評価アクティビティの繰返しを可能にするために必要な関連

情報を含まなければならない。 

注記1 設計者だけでなくプログラマ又は試験者を含む開発者の観点から,記録しなければならない

情報は,評価時に使用するので,次を含む。 

− 設計仕様のレビュー結果(静的な中間製品又は静的な納入可能な製品) 

− 試験結果(プログラム単体試験,システム結合試験,製品提供前の運用操作試験) 

− 製品品質指標として使用する予測モデル仕様 

− 再委託先の開発者又は試験者組織の識別,及びその組織によって作成された製品又は成果

物の識別 

注記2 取得者の観点から,記録しなければならない情報は,評価時に使用するので,次を含む。 

− 設計仕様のレビュー結果(静的な中間製品又は静的な納入可能な製品) 

− 試験結果(運用操作段階での運用操作可能なシステム試験,最も適切な製品を選択する前

の実証システム試験) 

− 製品品質指標として使用する予測モデル仕様 

− 再委託先の開発者又は試験者組織の識別,及びその組織によって作成された製品又は成果

物の識別 

注記3 独立した評価者の観点から,記録しなければならない情報は,評価時に使用するので,次を

含む。 

− 設計仕様のレビュー結果(静的な中間製品又は静的な納入可能な製品) 

− 試験結果(プログラム単体試験,システム結合試験,製品提供前の運用操作試験,運用操

作段階での運用操作可能なシステム試験,最も適切な製品を選択する前の実証システム試

験) 

− 製品品質指標として使用する予測モデル仕様 

6.3 

各役割を支援するための組織レベルの要求事項及び推奨事項 

6.3.1 

一般要求事項 

評価結果の反復性,再現性,不偏性及び客観性を確実にするため,組織内で評価プロジェクトを管理し

支援するための独立した品質評価グループは,そのアクティビティに対する十分な品質を得るために必要

な全ての保証を提供する組織的な状況の中で活動しなければならない。 

品質評価グループを含む組織は,関連するソフトウェア製品品質評価の責任を識別し,それらを組織の

方針に組み込まなければならない。 

品質評価グループを含む組織は,次を実行することが望ましい。 

− 個々の開発プロジェクト及び評価プロセスの有効性の改善を支援するため,組織的な進め方を採用す

る。 

− 総合的な最適化の観点から,特定の評価プロジェクトを制御し支援するために,総合品質管理システ

ム及び支援情報システムを確立する。 

− 評価プロセスの資源及び基盤を確立する。 

− 図2に示す一般評価の枠組みの観点から評価の制約事項を定義する。 

− 特定の評価プロジェクトを制御し支援するために,評価計画書及び報告書を作成するための共通工業

様式(CIF)を提供する。 

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X 25041:2015 (ISO/IEC 25041:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注記 共通工業様式(CIF)とは,ISO/IEC JTC 1/SC7/WG28でISO/IEC 2506nシリーズとして作成

している規格である。 

− 特定の評価プロジェクトを制御するために,共通方針,規則及び規制を定義する。 

− 評価を管理し実行するためのツール及び手法を含めて,組織内のプロジェクトで使用する支援システ

ム,標準及び手引を確立し保守する。 

組織の役割は,独立した評価グループからの人を動機づけし,要求事項の仕様化アクティビティ及び評

価アクティビティについて教育訓練すること,適切な文書を準備し,要求された手法の識別又は開発を行

うこと,並びに関連する技術の質問に答えることを含む。 

技術の管理は,ソフトウェア品質要求事項の仕様化プロセス及び評価プロセス,測定量,並びにツール

の計画及び管理に関係している。これには,組織内における,要求事項仕様書の開発,取得,標準化,制

御,伝達及びフィードバック,並びに評価技術の蓄積の管理を含む。 

6.3.2 

開発者のための組織レベルの推奨事項 

開発者は,その役割を達成するために,組織の中で個々の開発プロジェクトを支援するための独立した

評価グループを確立することが望ましい。 

独立した評価グループは,次を行うために組織的な進め方を実行することが望ましい。 

− 設計及び中間製品の品質を確実にするために個々の評価プロジェクトを支援する。 

− 引き渡された製品の品質を保証する。 

− 開発プロセス及び評価プロセスの有効性を改善する。 

一連の測定作業は,ソフトウェアシステムを製作するために使用される組織構造の変更を必要とするこ

とがある。 

品質保証・品質制御組織又は全ての開発チームは,測定及びデータの収集手順の使用のために教育訓練

を必要としてもよい。 

測定の実施が開発プロセスに変化をもたらす場合,開発プロセスの変更について開発チームを教育する

ことを必要としてもよい。 

測定を実行するために,ハードウェアツール又はソフトウェアツールを捜し出し,評価し,購入し,適

応させてもよいし,又は開発してもよい。 

6.3.3 

取得者のための組織レベルの要求事項及び推奨事項 

取得者は,その役割を達成するために組織の中で個々の取得プロジェクトを支援するための独立した評

価グループを確立することが望ましい。 

独立した評価グループを含む取得者の組織は,次を実行しなければならない。 

− 引き渡された製品を受け入れるために標準化した共通評価手法を提供する。 

− 製品の供給者を制御するために標準化した共通評価手法を提供する。 

− 動的な運用操作製品の有効性及び品質を評価する。 

− 受け入れた製品の品質を確実にし,かつ,取得プロセスの有効性を改善するために,個々の評価プロ

ジェクトを支援するための組織的な進め方を採用する。 

− 既製ソフトウェア製品の一覧表又はデータベース,及び製品品質の観点から最も適切な製品を選択す

るための標準化した共通比較手法を提供する。 

ソフトウェア製品品質及び利用時の品質の観点から対象制御項目は,次を含む。 

− 実際に実行する運用操作システムに含まれる動的な運用操作製品の品質 

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X 25041:2015 (ISO/IEC 25041:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

− 実際に使用する製品の有効性又は生産性 

− 受け入れた製品の品質 

− 供給者の技術水準 

− ソフトウェア製品開発の成熟度水準 

− ソフトウェア製品保守の成熟度水準 

− 取得のための品質評価の人的資源 

6.3.4 

独立した評価者に対する組織レベルの要求事項 

独立した評価者の組織は,次を実行することが望ましい。 

− 個々の評価プロジェクトがその役割を達成するために,評価プロジェクトを支援するための独立した

評価グループを組織の中に確立する。 

− 提出された結果の品質を確実にし,かつ,評価プロセスの有効性を改善するために,個々の評価プロ

ジェクトを支援するために組織的な進め方を採用する。 

− 評価要求者からのニーズに基づいた特定の個々の評価プロジェクトを支援するために,組織の基盤及

び資源を確立する。 

− 過去の類似の個々の評価プロジェクトに基づいた,開発者,取得者又は独立した評価者の観点から基

盤を提供する。 

注記1 経験及び知識の専門的な観点から,効率的で信頼できる評価を提供するために,独立した

評価グループは,製品品質評価を実行するために最適な手法及びツールを適応させること

を推進する。 

注記2 最も典型的な独立した評価者とは,取得者及び開発者とは別の会社に勤めている専門家,

並びに使用者のいずれかからの要求に基づいて,製品を客観的に評価する専門家である。

その場合,異なる利害関係者についての情報を使用するために,ソフトウェア製品品質評

価のための共通情報データベースを維持する。 

開発者評価プロセスのための要求事項及び推奨事項 

7.1 

一般要求事項 

この箇条は,開発ライフサイクル時に開発者が製品品質評価を実際に実行するための要求事項及び推奨

事項を規定する。 

開発者評価プロセスは,新製品の開発又は既存製品の強化を計画し,自部門の技術者を使って製品品質

評価を実行しようとしている組織が使用する。 

それは,ライフサイクル中に開発された中間製品を測定することによって,納入可能な製品の品質を予

測することができる指標の使用に焦点を当てている。 

箇条7を開発のプロセスに適用する場合,評価者は,7.2〜7.6に示す項目を考慮しなければならない。 

製品品質評価は,利用者及び顧客のニーズを満たす,ソフトウェアの開発を直接支援する。 

開発者がソフトウェア品質の測定及び評価を計画し実行する場合,開発者のプロセスを考慮することが

望ましい。 

注記1 関係するライフサイクルプロセスは,JIS X 0160:2012の6.4及び7.1に,アクティビティを

含めて規定されている。 

注記2 ソフトウェア製品品質評価プロセスの概要は,JIS X 25040に規定されている。 

開発者は,評価アクティビティと支援プロセス及びアクティビティとを調整しなければならない。 

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X 25041:2015 (ISO/IEC 25041:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注記3 ソフトウェア支援プロセスは,特に,ソフトウェア品質保証プロセス(7.2.3),ソフトウェア

検証プロセス(7.2.4),ソフトウェア妥当性確認プロセス(7.2.5)及びソフトウェア監査プロ

セス(7.2.7)を含め,JIS X 0160:2012に規定されている。 

多くのデータ分析手法は,類似の条件下で,かつ,同等の品質要求事項をもって開発された以前のプロ

ジェクトからのデータを必要とする。 

それゆえ,開発者は,開発者の目的を達成するために,追加の要求事項を除かずに,開発者の組織中の

以前のプロジェクトで使用したモデルに類似した開発モデルを適用することが望ましい。 

7.2 

評価要求事項の確立 

7.2.1 

このプロセスの入力及び成果物 

次をこのアクティビティに対する入力とすることが望ましい。 

a) 製品品質評価ニーズ 

b) 製品品質要求事項の仕様 

c) 適用可能な測定ツール及び方法論 

d) 中間成果物及び納入可能な製品を含めて評価する製品 

次をこのアクティビティの成果物とすることが望ましい。 

a) 製品品質評価目的の仕様 

b) 製品品質評価要求事項の仕様 

c) 高水準の製品品質評価計画書 

注記 “高水準の評価計画”とは,抽象度の高い概要計画のことで,細部にわたる詳細計画のこと

ではない。 

評価に含まれる全ての製品パーツを識別し文書化しなければならない。 

開発者の観点から,製品についての情報は,次のような静的な成果物も含む。 

− 製品仕様書 

− プログラムソースコード 

− 製造マニュアル 

− 製品記述 

このアクティビティは,7.2.2〜7.2.5に示すタスクから成る。 

7.2.2 

評価の目的の確立 

製品品質評価の目的を更なる評価アクティビティ及びタスクの根拠として開発者の役割に基づいて文書

にしなければならない。 

開発者は,開発者としての役割を達成するために納入可能な製品と同様に,静的な中間製品及び動的な

中間製品の両者とも評価することが望ましい。 

静的な中間製品の品質評価及び動的な中間製品の品質評価の目的には,次を含めてもよい。 

− 中間製品の設計品質の保証 

− 中間製品の品質の改善 

− 中間製品の品質の保証 

− 納入可能な製品の品質の予測又は推定 

− 試験時の中間製品の故障の原因の究明 

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X 25041:2015 (ISO/IEC 25041:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

− 再委託先からの中間製品の受取りの決定 

− ライフサイクルの各段階の終了及びいつ次の段階に製品を送るかの決定 

− 開発プロセスを制御し管理するための中間製品の情報の収集 

− 開発プロジェクトの進行中の実現可能性の総合評価 

− 設計プロセス,実装プロセス及び試験プロセスの生産性の改善 

− 製品品質評価プロジェクトに携わる要員の教育訓練の実施 

静的な納入可能な製品及び動的な納入可能な製品の品質評価の目的には,次を含めてもよい。 

− 納入可能な製品の品質の保証 

− 製品の使用開始可能時期の決定 

− 使用時の製品の肯定的な影響及び否定的な影響の総合評価 

− システム製品を使用するための,代替製品の中からの製品の選択 

− システム製品を使用するための,競合製品との製品の比較 

7.2.3 

ソフトウェア製品品質要求事項の獲得 

製品開発の利害関係者を識別しなければならない。 

ソフトウェア製品品質評価に先立って,品質特性及び品質副特性(JIS X 25010参照)の観点から品質要

求事項を定義することが望ましく,製品品質要求事項の仕様は,次のように提供しなければならない。 

− 設計文書の評価の場合,外部品質測定量及び/又は利用時の品質測定量を使用することによって製品

品質要求事項を定義することが望ましい。 

− 中間製品の評価の場合,内部品質測定量を使用することによって製品品質要求事項を定義することが

望ましい。 

− 納入可能な製品の評価の場合,外部品質測定量及び/又は利用時の品質測定量を使用することによっ

て製品品質要求事項を定義することが望ましい。 

評価者は,各品質特性及び品質副特性について評価の目標実体に基づいて製品品質要求事項を試験する

ことが望ましい。 

製品品質評価要求事項を明示するために,品質評価が明示されたソフトウェア品質要求事項を網羅する

度合いを,製品品質要求事項を考慮して定義しなければならない。例えば,評価予算(経費),評価の完了

予定日,評価の目的,製品の利用限界などの制約に基づいて,この決定を行うことが望ましい。 

評価の初期段階で,評価を計画し実行するために,これらの品質要求事項を調査し識別することが望ま

しい。 

開発者は,関連する各品質特性及び/又は品質副特性を使用して,製品品質要求事項と利用時の品質要

求事項との両者を確立することが望ましい。 

必要な全ての要求事項が明示され,かつ,必要でない要求事項が除外されている製品の品質評価を確実

にするために,品質要求事項の仕様の完全性及び正確性を評価することが望ましい。 

開発者は,納入前に,これらの要求事項について製品を評価することが必要である。 

明示的ニーズ及び暗黙のニーズの両者を満足するためのソフトウェア製品品質を達成するために,全て

の関連する品質特性に対して,可能な限り詳細に,暗黙のニーズを調査し明示することに最大限度努力を

することが重要である。 

取得者が品質要求事項の仕様を総合評価することが望ましく,かつ,エンドユーザが明示された暗黙の

ニーズを総合評価することが望ましい。 

17 

X 25041:2015 (ISO/IEC 25041:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

プロトタイプを使用した利用者の経験は,しばしば,利用時の品質に対する要求事項の更に正確な記述

をもたらす。 

開発プロセスでの中間製品に対するソフトウェア製品の品質の内部測定量についての要求事項を明示す

ることによって,開発時に製品品質を予測し妥当性確認をするためにソフトウェア製品品質評価を使用す

ることが望ましい。 

特定の意図した利用者のための納入可能な製品のソフトウェア製品品質を測定した値を,その後で,初

期要求事項と対照して評価することができる。 

開発プロセスのできる限り初期の段階で,希望した製品品質の達成における問題を識別することが目標

である。 

開発者は,ソフトウェア製品品質の内部測定量に対する要求事項を識別することが望ましい。 

ソフトウェア製品品質の内部測定量に対する要求事項を使用するとき,開発者は,ソフトウェア製品品

質の外部測定量に対する要求事項に(上記の)内部測定量を関連付ける品質モデルを使用する内部測定量

を識別することが望ましい。そして,開発時に中間製品の品質を検証するためにソフトウェア製品品質の

内部測定量に対する要求事項を使用することが望ましい。 

開発のために,ソフトウェア製品品質の内部測定量に対する要求事項を定義する。それは,検証する中

間製品の品質を明らかにすることができる。 

対象とする静的なソフトウェア製品(例えば,仕様書又はソースコード)の特徴は,ソフトウェア製品

品質の内部測定量によって測定することができる。 

ソフトウェア製品品質の内部測定量は,開発プロセス時,最も興味がある。 

ソフトウェア製品品質の内部測定量は,特徴の外部測定量の指標として使用することができる。 

試験の適切さは,内部測定量によって測定することができる品質測定量の例である。 

ソフトウェア製品品質に関する内部測定量を要求したとおり十分にそろ(揃)えることは,ソフトウェ

ア製品品質の外部測定量に対する要求事項を満たすことに貢献する。ソフトウェア製品品質の内部測定量

は,このようにして,ソフトウェア製品品質の外部測定量を予測するための指標として使用することがで

きる。 

7.2.4 

評価に含む製品パーツの識別 

評価すべき対象製品パーツを,製品品質評価の目的に基づいて識別し文書にしなければならない。 

納入可能な製品の品質保証の場合,評価の対象実体は,次のような,静的な納入可能な製品及び動的な

納入可能な製品であることが望ましい。 

− 製品仕様書 

− プログラムソースコード 

− 製造マニュアル 

− 納入可能な製品記述 

− 試験結果(システム結合試験,製品発売前の運用操作試験) 

− 試験に供する実行可能プログラム 

開発プロセスの製品品質及び生産性の改善の場合,評価の対象実体は,次のような静的な中間製品及び

動的な中間製品であることが望ましい。 

− 設計文書 

− 製品の仕様書 

18 

X 25041:2015 (ISO/IEC 25041:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

− プログラムソースコード 

− 試験文書(単体試験,システム結合試験) 

− 試験に供する実行可能プログラム 

7.2.5 

評価の厳密性の定義 

評価すべき各対象製品パーツに対する評価の厳密性を,製品品質要求事項の仕様に基づいて定義しなけ

ればならない。 

設計レビュー段階時に要求事項の仕様を評価する場合,評価の厳密性を,外部視点から各製品品質特性

及び利用時の品質特性に対して定義しなければならない。 

実装段階時に中間製品を評価する場合,評価の厳密性を,内部視点から各製品品質特性に対して定義し

なければならない。 

単体試験段階時に納入可能な製品を評価する場合,評価の厳密性を,内部視点から各製品品質特性に対

して定義しなければならない。 

プロトタイピング又はシステム結合試験段階時に納入可能な製品を評価する場合,評価の厳密性を,外

部視点から各製品品質特性及び利用時の品質特性に対して定義しなければならない。 

評価の厳密性を,一そろいの品質特性及び品質副特性に関連付けることが望ましい。評価の厳密性と関

連付けられた,これらの品質特性及び品質副特性は,適用する評価技法及び達成すべき評価結果を定義す

る,期待される評価水準を確立する。 

7.3 

評価の明示 

7.3.1 

このプロセスの入力及び成果物 

次をこのアクティビティの入力とすることが望ましい。 

a) 製品品質評価要求事項の仕様書 

b) 製品品質要求事項の仕様書 

c) 高水準の製品品質評価計画書 

次をこのアクティビティの成果物とすることが望ましい。 

a) 選択した品質測定量の仕様書 

b) 製品品質測定量についての判定基準の仕様書 

c) 製品品質総合評価についての判定基準の仕様書 

d) 改訂した高水準の製品品質評価計画書 

開発者の観点から,製品に関する情報は,次のような静的な成果物も含む。 

− 製品仕様書 

− 静的な中間製品及び動的な中間製品,並びに静的な納入可能な製品及び動的な納入可能な製品を含む

対象実体の一覧 

このアクティビティは,7.3.2〜7.3.4に示すタスクから成る。 

7.3.2 

品質測定量(評価モジュール)の選択 

評価者は,全てのソフトウェア製品品質評価要求事項を網羅するように,品質測定量(評価モジュール)

を選択しなければならない。 

評価すべき各対象製品パーツに関する製品品質測定量を,品質評価の目的に基づいて定義しなければな

らない。 

19 

X 25041:2015 (ISO/IEC 25041:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

設計レビュー段階時に要求事項の仕様を評価する場合,品質測定量を,一そろいの外部品質測定量及び

利用時の品質測定量から選択しなければならない。 

実装段階時に中間製品を評価する場合,品質測定量を,一そろいの内部品質測定量から選択しなければ

ならない。 

単体試験段階時に納入可能な中間製品を評価する場合,品質測定量を,一そろいの内部品質測定量から

選択しなければならない。 

システム結合試験段階時に納入可能な製品を評価する場合,品質測定量を,一そろいの外部品質測定量

及び利用時の品質測定量から選択しなければならない。 

製品品質評価要求事項を,製品品質を評価するために使用される適切な品質測定量を割り当てることが

できる,各製品構成要素に割り当てるのが望ましい。 

評価結果を達成するために実行するアクティビティを考慮して,製品品質評価手法を文書にしなければ

ならない。 

明示された評価手法がソフトウェアツールの使用に基づいている場合,評価計画書でツールを識別しな

ければならない。 

このような識別情報は,少なくとも,ツール,その版識別及びその提供元(例えば,供給者,開発者な

ど)の名称を含まなければならない。 

手法を適用する製品構成要素の識別によって,評価手法の記述を完成しなければならない。 

評価を明示するとき,測定結果を解釈するために測定の熟練した分析が要求されるので,解釈手順を明

示しなければならない。 

対象製品の特徴を測定した値と基準値との間で信頼できる比較を行うために,厳密な測定が要求される。 

測定手順は,ソフトウェア品質特性(又は品質副特性)に測定関数を適用できることが望ましい。これ

によって,ソフトウェア品質特性(又は品質副特性)を,基準を設定し,比較を実施するに足り得る十分

な正確性をもって,測定していることを示す。異なる特徴で製品を比較する場合,チェックリストからの

データ及び専門家の意見は,信頼できないかもしれない。  

許容できる誤差範囲を測定ツール又は人的エラーに起因する起こり得る測定誤差で明示することが望ま

しい。 

評価仕様は,次を包含しなければならない。 

− 製品記述の中で識別されている製品構成要素を参照して示した評価の範囲 

− 評価を実行するために必要とする情報と対象製品構成要素及び製品記述に一覧表示した他の関連する

文書との間の相互参照 

− 実行すべき測定及び検証の仕様並びに対象製品構成要素への参照 

− 規格への参照又は列挙した各測定若しくは検証についての正当性の説明による,測定及び検証の仕様

と評価要求事項との間の対応付け 

幾つかの測定量は,ソフトウェア成果物の設計が進化するときに選択されるだけであるので,通常この

タスクを,主として中間製品の品質を評価するときに,反復して実行する。 

特徴の内部測定量は,中間製品の品質指標として使用することができる。 

特に,ソフトウェアの特徴の内部測定量を,納入可能な製品品質の指標としてしばしば使用する。しか

しながら,内部品質測定量による測定値と外部品質測定量による測定値との間の一般的な又は直接の関係

については,妥当性が確認されているわけではない。 

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X 25041:2015 (ISO/IEC 25041:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

しかしながら,品質指標は,注意して使用する場合,有益な手引を提供するものとして一般的に受け入

れられている。 

ソフトウェア開発者は,品質指標の使用によって,起こり得る品質問題を開発の初期に識別すること及

び即座に是正処置をとることができる。 

全てのソフトウェア開発作業に適していて,あらゆる状況に使用できる一そろいの品質指標は存在しな

い。 

対象システム及び対象ソフトウェア製品の適用領域,開発手法及び使用するツール,プロジェクト組織

並びに企業文化には違いがある。それゆえ,幾つかの品質指標はある組織では有用であるが,他の組織で

は有用でない場合がある。 

ソフトウェア製品品質の外部測定量に対する各要求事項について,一つ以上の特徴を,開発時に要求さ

れる属性を表すために選択する。 

開発時に品質を制御するために,対象ソフトウェアの特徴について内部測定量が示した値を使用する。 

評価者は,次のようなソフトウェアの特徴の内部測定量を一そろい定義しなければならない。 

− 全ての関連する中間製品及びアクティビティを含む。 

− アプリケーション領域及び開発時に使用する手法に適切である。 

− 識別した製品及び開発リスクを含む。開発リスクの事例には,不安定な仕様,識別した未解決の問題,

予定からの遅延などを含む。 

中間製品の品質を推定するために,傾向変化を表す測定量として適切な内部測定量を含むことが望まし

い。 

適切な内部測定量を定期的に適用する場合,ソフトウェア開発プロセスにおける製品品質の傾向変化を

識別するために,幾つかの測定量が役に立つ。 

こうした傾向変化を表す測定量の例は,毎週の“完了したモジュールのテスト数”,“解決した問題数”,

“変更した要求事項数”などである。 

評価者は,ソフトウェアの特徴の外部測定量に関係するソフトウェアの特徴,又は品質要求事項に対応

するソフトウェア属性に対する内部測定量の集合を定義しなければならない。 

特徴についての内部測定量のこれらの値を,製品品質特性又は品質副特性の指標として使用する。関連

する中間製品を分析することが望ましく,内部測定データを,次の二つの目的のために収集することが望

ましい。 

− 品質要求事項を満たしているかどうかを判断するために中間製品の品質を評価するため。 

− 納入可能な製品の品質を予測するため。 

ISO/IEC 2502nは,品質測定量を選択するための手引として利用することができる。 

評価者は,定義された指標に対する予測モデル,すなわち,指標とソフトウェアの特徴の外部測定量と

の関係を説明しなければならない。 

指標は,指標で測定しようとする特徴との間の厳密な一対一の関係を要求するものではない。しかし,

指標と関連する特徴との関連性を明確に定義することが望ましい。 

効率的な管理の実施のためには,指標の数を少ない状態に維持することが望ましい。例えば,構成管理

プロセス,システム結合試験プロセスなどの既存のプロセスの実施時に,既に収集されたデータによって

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X 25041:2015 (ISO/IEC 25041:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

支援することができる指標に,優先度を与えることが望ましい。 

評価者は,測定を実行する条件を定義しなければならない。 

このことは,その値が測定に影響する他の特徴を識別し,これらの特徴の値を定義することを意味する。 

定義によって,他の特徴とは無関係に,内部測定量によるソフトウェアの特徴の値を獲得することがで

きる。 

7.3.3 

品質測定量のための判定基準の定義 

それぞれの選択した品質特性又は品質副特性についての測定値と評定水準との対応付けを定義するため

の判定基準を,選択した各品質測定量に対して定義しなければならない。 

対象製品に対して選択した品質特性又は品質副特性それぞれの評定水準を,定義した対応付けを利用し

て,選択した各測定量の測定値によって決定しなければならない。 

設計レビューによって要求事項の仕様を評価する場合,品質測定量の判定基準を各製品品質特性及び利

用時の品質特性に対して定義しなければならない。 

実装段階時に中間製品を評価する場合,品質測定量の判定基準を製品品質特性に対して定義しなければ

ならない。 

単体試験段階時に実行可能な中間製品を評価する場合,品質測定量の判定基準を製品品質特性に対して

定義しなければならない。 

システム結合試験段階時に納入可能な製品を評価する場合,品質測定量の判定基準を各製品品質特性及

び利用時の品質特性に対して定義しなければならない。 

7.3.4 

評価のための判定基準の定義 

(品質測定量の)評定の結果を集約することによって対象製品を評価するための判定基準を,対象製品

の品質要求事項に基づいて定義しなければならない。 

評価者は,異なる品質特性に対しては別個の基準を使って,更なる集約のための手順を準備することが

望ましい。それぞれの基準は,個々の品質副特性及び品質測定量にそれぞれ設けてもよいし,又は品質副

特性と品質測定量とを重み付けして組み合わせたものであってもよい。 

集約した結果を製品品質総合評価の根拠として使用することが望ましい。 

設計レビューによって要求事項の仕様を総合評価する場合,品質評価の判定基準を各製品品質特性及び

利用時の品質特性に対して定義しなければならない。 

実装段階時に中間製品を総合評価する場合,品質評価の判定基準を製品品質特性に対して定義しなけれ

ばならない。 

単体試験段階時に実行可能な中間製品を総合評価する場合,品質評価の判定基準を各製品品質特性及び

製品品質副特性に対して定義しなければならない。 

システム結合試験段階時に納入可能な製品を総合評価する場合,品質評価の判定基準を各製品品質特性

及び利用時の品質特性に対して定義しなければならない。 

7.4 

評価の設計 

7.4.1 

このプロセスの入力及び成果物 

次をこのアクティビティの入力とすることが望ましい。 

a) 製品品質評価要求事項の仕様書 

b) 製品品質要求事項の仕様書 

c) 選択した品質測定量(評価モジュール)の仕様書 

d) 製品品質測定量の判定基準の仕様書 

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X 25041:2015 (ISO/IEC 25041:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

e) 製品品質総合評価の判定基準の仕様書 

f) 

高水準の製品品質評価計画書 

次をこのアクティビティの成果物とすることが望ましい。 

a) 詳細な製品品質評価計画書 

b) 製品品質評価手法 

評価に含むべき全ての製品パーツを識別し文書にしなければならない。 

開発者の観点から,製品に関する情報は,次のような静的な成果物も含む。 

− 製品の仕様書 

− プログラムソースコード 

− 製造マニュアル 

− 製品記述 

このアクティビティは,7.4.2に示すタスクから成る。 

7.4.2 

評価アクティビティの計画 

要員,ソフトウェアツール及びコンピュータのような資源の可用性を考慮して,識別した製品品質評価

アクティビティの予定を決めなければならない。 

評価者は,評価の目的及び評価の対象実体に基づいて,製品評価計画書を作成することが望ましい。 

開発者は,ソフトウェア製品品質の内部測定量又は外部測定量を使用することによって,静的な中間製

品若しくは納入可能な製品,又は動的な中間製品若しくは納入可能な製品の品質要求事項に対応する製品

品質の評価計画書を作成することが望ましい。 

各開発段階に対する品質評価計画書は,次のような5W3H(なぜ,何を,いつ,誰が,どこで,どのよ

うにして,いくらで,及びどのくらい)を含むことが望ましい。 

− 各製品ライフサイクルに対する品質評価の目的 

− 評価すべき対象製品パーツ 

− 開発の各段階に対応する,関連する予定及び資源を含む,評価アクティビティ 

− 開発の各段階に対応する,評価アクティビティの実施責任 

− 品質評価の領域及び環境 

− 評価に使用する測定量,手法及び測定ツール 

− 予算 

対象実体が静的な製品の場合,評価の手法は,ソフトウェア製品品質の内部測定量に基づく設計レビュ

ーである。 

対象実体が動的な製品の場合,評価の手法は,ソフトウェア製品品質の外部測定量及び利用時の品質測

定量に基づく試験(単体試験,システム結合試験)である。 

ソフトウェア開発ライフサイクル段階において,品質評価アクティビティを適切な時期に実行しなけれ

ばならない。 

高品質製品及びソフトウェア開発の生産性の改善を達成するために,設計文書及び要求事項の仕様の評

価を,開発中において実際に実施可能な最も初期段階で実行することが望ましい。 

新製品開発の目的で,品質要求事項に対応する高品質製品の達成の実現可能性を検証するために,プロ

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X 25041:2015 (ISO/IEC 25041:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

トタイプ製品を開発及び評価することが望ましい。 

評価計画書には,重複したタスクを含まないことが望ましい。 

評価計画書は,いつ及びなぜ評価が完了(すなわち,受入れ基準又は拒否基準)するのか及び/又は終

了できるかを決める決定時期を,評価プロセス中に含むことが望ましい。 

このことは,少なくとも次の項目を考慮して,評価の誤差のリスクを減少させるために,及び計画した

評価の作業量を低減するために実施することが望ましい。 

− 評価予算 

− 評価手法及び採用した規格 

− 評価ツール 

− 関連する予定及び資源を含む,評価アクティビティ 

評価計画書は,評価の目的を含まなければならない。評価計画書は,組織内の評価状況[JIS X 25001

の評価支援グループの役割及びJIS X 25001の附属書A(品質評価プロジェクト計画書のテンプレート)

を参照]を考慮することが望ましい。評価計画書は,次を含むことが望ましい。 

− 製品品質評価の目的 

− 評価に関与する組織。例えば,独立した評価組織,製品開発者及び取得者の組織単位 

− 評価予算 

− 評価から期待される情報製品 

− 評価マイルストンの設定及びその間の予定 

− 評価に関係する関係者の責任 

− 評価のための環境 

− 評価手法及びツール 

− 製品品質測定量に対する判定基準 

− 製品品質総合評価に対する判定基準 

− 採用する規格 

− 評価のためのアクティビティ 

評価の初期段階時に,評価計画の項目の幾つかは,抽象度の高い水準でだけ定義できる。それゆえ,評

価アクティビティが進展するにつれて,計画を調整又は詳細化できる追加情報を提供することによって,

評価計画書を改訂しなければならない。 

開発者は,どのライフサイクルプロセス及びアクティビティで,製品の特徴の測定及び評価を実施する

かを定義しなければならない。内部特徴の測定及び評価は,通常は,開発プロセス時に実行される。 

開発者は,ソフトウェア開発アクティビティへの影響を考慮しなければならない。一連の測定作業は,

データ取得のニーズによって,開発プロセスの変更を必要とすることがある。 

測定結果から最終的な評価結果を決定できない場合,又は測定結果が問題発生の警告といえるような場

合には,開発者は,計画外の追加評価のような,問題発生時に対応した行動を定義しなければならない。 

測定を実行するために,ハードウェアツール又はソフトウェアツールを捜し出し,評価し,購入し,適

応させ,又は開発してもよい。 

一連の測定作業は,ソフトウェアシステムを製作するために使用される組織構造の変更を必要とするこ

とがある。 

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X 25041:2015 (ISO/IEC 25041:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

品質保証及び品質制御組織又は全ての開発チームは,測定及びデータ収集手順を使用するための教育訓

練を必要とするかもしれない。 

測定の実行が開発プロセスにおける変更を引き起こす場合,変更に関して開発チームを教育する必要が

あるかもしれない。 

7.5 

評価の実行 

7.5.1 

このプロセスの入力及び成果物 

次をこのアクティビティに対する入力とすることが望ましい。 

a) 詳細な製品品質評価計画書 

b) 製品品質評価要求事項の仕様書 

c) 製品品質要求事項の仕様書 

d) 選択した品質測定量の仕様書 

e) 製品品質測定のための判定基準の仕様書 

f) 

製品品質総合評価のための判定基準の仕様書 

g) 製品品質評価手法の仕様書 

h) 中間製品を含む評価対象製品 

次をこのアクティビティに対する成果物とすることが望ましい。 

a) 製品品質の測定の結果 

b) 製品総合評価及び評価の結果 

開発者の観点から,製品に関する情報には,次のような静的な成果物も含む。 

− 製品仕様書 

− プログラムソースコード 

− 製造マニュアル 

− 製品記述 

このアクティビティは,7.5.2〜7.5.4に示すタスクから成る。 

7.5.2 

測定の実施 

評価者は,評価計画に基づいて,静的な製品及び動的な製品(例えば,要求事項の仕様書,設計図表及

び試験文書,実行可能な製品)を測定することが望ましい。 

静的な製品の測定の場合,対象実体をレビューすることが望ましい。 

適切な人物を設計レビューに任命することが望ましい。 

製品品質評価計画書に対応する設計レビューの結果に基づいて,測定値を記録することが望ましい。設

計レビューに関する追加情報を,次のように記録することが望ましい。 

− 検出した課題の一覧 

− 測定量に対する判定基準を含む,設計レビューに対して使用したチェックリスト 

動的な製品の測定の場合,実行可能な製品という対象実体を試験することが望ましい。 

適切な人物を試験に任命することが望ましい。 

製品品質評価計画書に対応する試験の結果に基づいて,測定値を記録することが望ましい。試験に関す

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X 25041:2015 (ISO/IEC 25041:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

る追加情報を,次のように記録することが望ましい。 

− 検出した障害の一覧 

− 試験計画書 

− 測定量に対する判定基準を含む試験文書 

測定の結果を,開発ライフサイクル中の適切な時期に組織に報告することが望ましく,開発の次の段階

で測定の結果を考慮することが望ましい。測定の結果を受諾することができない場合,課題を解決する前

に,アクティビティを次の段階に進めないことが望ましい。 

開発の次の段階の前に評価報告を報告することが望ましい。 

製品品質及び開発生産性を改善するために,開発の次の段階の前に,検出した製品品質の課題を記録し

解決することが望ましい。 

製品品質及び開発生産性を効果的に改善するために,開発の後段階に課題を残さないように,開発ので

きるだけ早い段階で,検出した製品品質の課題を解決しなければならない。 

評価計画書に従って,測定尺度上の値を得られるように,選択した製品品質測定量を製品及び構成部品

に適用しなければならない。 

品質監視及び制御を開発時に実施する。内部特徴に対する実際の値を収集する。望ましくない値の場合,

原因を分析し,それによって開発者が問題を理解し対処できるようにする。 

開発者は,定義されたデータ収集活動に従って,定義された内部特徴の実際の測定値を収集しなければ

ならない。製品品質要求事項が変更された場合,開発者は,評価の仕様及び評価の設計を再考しなければ

ならない。 

7.5.3 

品質測定量への判定基準の適用 

ソフトウェア開発ライフサイクル時に,静的な製品及び動的な製品(例えば,要求事項の仕様書,設計

図表及び試験文書,実行可能な製品)を評価するために,品質要求事項に基づいた製品品質測定量に対す

る判定基準を,測定した値に適用しなければならない。 

設計レビュー段階時の要求事項の仕様書の評価の場合,品質測定量に対する判定基準を,各製品品質特

性及び使用時の品質特性に対して測定した値に適用しなければならない。 

静的な中間製品の評価の場合,品質測定量に対する判定基準を,製品品質特性に対して測定した値に適

用しなければならない。 

動的な納入可能な製品の評価の場合,品質測定量に対する判定基準を,各製品品質特性及び使用時の品

質特性に対して測定した値に適用しなければならない。 

注記1 静的な中間製品の評価の場合,品質測定量に対する判定基準は,検出した課題の数を上限値

とすることができる。 

注記2 動的な納入可能な製品の評価の場合,品質測定量に対する判定基準は,検出した障害の数を

上限値とすることができる。 

7.5.4 

評価への判定基準の適用 

ソフトウェア開発ライフサイクルの間,静的な製品及び動的な製品(例えば,要求事項の仕様書,設計

図表及び試験文書,実行可能な製品)を評価するために,品質特性及び品質副特性を使用して集約した値

の結果に,品質要求事項に基づいた製品品質総合評価のための判定基準を適用しなければならない。 

注記1 静的な中間製品の評価の場合,品質測定量に対する判定基準を,レビューの結果に基づき検

出した課題を集約した値の限界値とすることができる。 

注記2 動的な中間製品の評価の場合,品質総合評価に対する判定基準を,単体試験の結果に基づき

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X 25041:2015 (ISO/IEC 25041:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

検出した障害を集約した値を限界値とすることができる。 

製品が品質要求事項を満たす程度の説明文として総合評価結果を示すことができるように,判定基準の

集合を副特性及び特性に集約しなければならない。評価結果は,次を行うことが望ましい。 

1) 製品が評価要求事項を満たすことができるという信頼の適切な度合いを確立する。 

2) 評価要求事項に関する特定の不備及びそれらの不備の範囲を決定するために必要とされる追加の評価

を識別する。 

3) 製品の使用における特別の制限又は状態を識別する。 

4) 評価自体の弱点又は漏れ,及び必要とされる追加の評価を識別する。 

5) 評価で取り扱われなかった製品の使用に対する選択肢を識別する。 

ソフトウェア開発時,評価計画書に決められたマイルストンに従って,幾つかの総合評価を実行するこ

とが普通である。評価の結果は,ソフトウェア開発ライフサイクルの次に続く段階に関する管理的な決定

を支援するために重要である。例えば,要求事項を変更しなければならないか,又は開発プロセスに資源

の追加が必要かどうかの管理的な決定である。 

開発者は,納入可能な製品の品質を予測するために定義された指標の実際の値を使用することが望まし

い。類似の品質要求事項をもつ開発組織の以前のプロジェクトの経験を考慮することが望ましい。品質予

測は,検証済みの指標に依存する。開発組織は,幾つかのプロジェクトが検証済みの指標の集合を獲得す

るために,指標値及び製品測定値を収集することを最初に必要とする。 

開発者は,開発リスクを識別するために傾向を監視することに実際の値を使用することが望ましい。 

開発が完了したときに,製品の品質評価を実行する。製品の特徴に対する実際の値を収集する。可能な

らば,開発が完了する前に製品の構成部品を測定してもよい。 

開発者は,測定量及び評価の結果を,次に続く開発のタスク若しくは段階,製品の保守又は次のソフト

ウェア開発に,適切に反映することが望ましい。 

7.6 

評価の終結 

7.6.1 

このプロセスの入力及び成果物 

次がこのアクティビティに対して要求される入力である。 

a) 製品品質評価要求事項の仕様書 

b) 製品品質評価計画の実際の結果 

c) 製品品質評価手法の仕様書 

d) 評価の結果 

次がこのアクティビティの成果物である。 

a) 製品品質評価報告書 

開発者の観点から,製品に関する情報には,次のような静的な成果物も含む。 

− 製品仕様書 

− プログラムソースコード 

− 製造マニュアル 

− 製品記述 

このアクティビティは,7.6.2〜7.6.5に示すタスクから成る。 

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X 25041:2015 (ISO/IEC 25041:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

7.6.2 

評価結果のレビュー 

評価者及び要求者は,評価結果の共同レビューを実行しなければならない。 

評価者グループは,静的な納入可能な製品(例えば,要求事項の仕様書,設計図表及び試験文書)の評

価結果をレビューしなければならない。 

レビューの対象実体は,静的な中間製品又は静的な納入可能な製品(例えば,要求事項の仕様書,設計

図表及び試験文書)の評価結果である。 

評価の結果を結果の記録及び評価のプロセスに基づいてレビューすることが望ましい。 

適切なレビューを実行するために,評価に関する必要な情報を考慮することができる。 

独立した評価組織をレビューに割り当てることが望ましい。 

適切な人物をレビューに任命することが望ましい。 

静的な製品品質評価の結果のレビューは,品質評価計画書及び評価報告書に基づいて実行することが望

ましい。レビューに関する追加の情報として,次を必要とする場合がある。 

− 検出した課題の一覧 

− 測定量に対する判定基準を含めて,設計レビューに対して使用したチェックリスト 

動的な製品品質評価の結果のレビューを品質評価計画書及び評価報告書に基づいて実行しなければなら

ない。レビューに関する追加の情報として,次を必要としてもよい。 

− 検出した障害の一覧 

− 測定量に対する判定基準を含む試験文書 

製品品質評価の結果のレビューをソフトウェア開発ライフサイクル段階中の適切な時期に実行すること

が望ましい。 

開発の次の段階前にレビュー報告書を提出することが望ましい。 

納入可能な製品の品質及び開発の生産性の改善を達成するために,レビューすることによって,評価結

果の品質を保証し改善することが望ましい。 

開発の前段階で活動する人と後段階で活動する人との間で,開発ライフサイクルの間に共同レビューを

実行することが望ましい。 

評価グループは,評価の結果,並びに評価プロセス,適用した指標及び測定量の妥当性をレビューしな

ければならない。レビューからのフィードバックを評価プロセス及び評価技法(評価モジュール)を改善

するために使用することが望ましい。 

評価モジュールを改善する必要がある場合,その後に使用するときに評価モジュールの正当性を確認す

るために,追加の指標に対するデータ収集を含むことが望ましい。 

7.6.3 

評価報告書の作成 

評価者は,品質評価計画,並びに静的な製品及び動的な製品(例えば,要求事項の仕様書,設計図表及

び試験文書,実行可能なプログラム)の評価の最終結果に基づいて,品質評価報告書を作成することが望

ましい。 

確定した品質評価計画に基づいて,品質評価報告書を作成することが望ましい。 

品質評価報告書は,品質評価計画に基づいて静的な製品のレビューと動的な製品の試験との両者の結果

を含むことが望ましい。 

28 

X 25041:2015 (ISO/IEC 25041:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

品質評価報告書の品質を保証するために,品質評価結果をレビューしなければならない。 

品質評価報告書は,評価の対象実体によって異なる。 

静的な製品に対する品質評価報告書は,次の情報を含むことが望ましい。 

− 検出した課題の一覧 

− 測定量に対する判定基準を含む,設計レビューに対して使用したチェックリスト 

動的な製品に対する品質評価報告書は,次の情報を含むことが望ましい。 

− 検出した障害の一覧 

− 試験計画書 

− 試験文書 

品質評価報告書を開発の次の段階前の適切な時期に,組織に提出することが望ましい。 

例えば,試験仕様書のような静的な中間製品の品質評価報告書を試験前に提出することが望ましい。 

静的な納入可能な製品及び動的な納入可能な製品の品質評価報告書を製品発売の前に提出することが望

ましい。 

品質評価報告書を関係する利害関係者と確認することが望ましい。 

開発ライフサイクルの間,開発の前段階で活動する人と次の段階で活動する人との間で,品質評価報告

書に対する共同レビューを実行することが望ましい。 

品質評価報告書をどのように使用するかの意図によって,品質評価報告書は次の項目を含むことが望ま

しい。 

1) 製品品質評価要求事項 

2) 製品品質要求事項 

3) 製品品質評価計画 

4) 実行した測定及び分析からの結果 

5) 評価計画を明示するとき,中間結果又は判定の解釈 

6) 評価アクティビティでの制限,制約,不備又は除外事項。これには,長期にわたる製品の使用,機器

構成,修正又は全般的な保守におけるそれらの影響を含む。 

7) 評価者及びその能力(資格) 

8) 総合評価を行った製品の版と対応する評価入力,すなわち,製品文書又は教育訓練コース,との違い。 

9) 不備が発生した場合の,解決策又は回避方法(次善策) 

10) 評価の繰返し又は再実施を可能にするために必要なその他の情報 

11) 評価の結果 

品質評価アクティビティの分析の結果として,品質評価報告書は,次を識別することが望ましい。 

1) 各不備,関連する分析,及び各不備をどのように解決したか。不備の解決策には,次の事実を含めて

もよい。 

− 評価手法の一つは,不備が重要でないことの保証を提供している。 

− 不備の影響を緩和するために,満足できる“回避策”を見いだすことができる。回避策とは,例え

ば,製品への修正,不要な機能の無効化又は削除,リバースエンジニアリングによる欠落した設計

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X 25041:2015 (ISO/IEC 25041:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

要求事項の再生成をいう。 

− 原初の要求事項は必須ではなく,不備は受入れ可能である。 

− 製品の使用を特定の条件又は制限によって制御するならば,不備は受け入れることができる。 

− 評価における不備又は欠落を解決するために追加の評価作業を要求する。 

2) 識別した不備を解決するために実行した追加の品質評価の識別 

− 不備の範囲又は影響の決定 

− 不備がないという信頼の確立 

− 回避策が技術的に実施可能及び/又は適切で,受入れ可能であることの検証 

− 設計変更又は不備の訂正のために変更を実施した時点で,ソフトウェアの動作が正しく,かつ,受

入れ可能なことの検証 

3) 製品の使用を制限又は制御することが必要な場合,制限は次のようであるかどうか。 

− アプリケーションに必須の要求事項を満たす製品に干渉する制限 

− アプリケーションの設計,予算及び日程に影響する制限 

− 追加の評価作業を要求する制限 

− アプリケーションの障害の可能性を導く制限 

4) 品質評価の範囲からの除外及び/又は各評価の結果に対する制約。例えば,次の事項。 

− この評価は,製品の機能適合性の詳細なレビューを含まない。 

− 製品に対する要求した機能適合性の全ての評価が首尾よく完了するときに,この製品は,要求した

インテグリティに適するとみなす。 

注記 SQuaREシリーズでは“functionality”は使用せず,“functional suitability”を使用しており,

ここの“functionality”は“functional suitability”の間違いであり,“機能適合性”とした。 

5) 実施した製品の評価に対する全体の結論を認めるための,評価アクティビティの全てを統合した結果 

品質評価報告書への意見を処理して,報告書の最終版に盛り込まれなければならない。 

7.6.4 

品質評価のレビュー及び組織へのフィードバックの提供 

評価者は,次の開発プロジェクト又は評価プロジェクトで再利用するために,静的な製品及び動的な製

品(例えば,品質評価報告書,要求事項の仕様書,設計図表及び試験文書)の品質評価の最終結果を組織

に報告することが望ましい。 

評価者は,次の評価プロジェクトを実行するために,データベース中に含まれた共通の情報システムを

使用することによって,以前の同様な評価プロジェクトに関する情報を参照することが望ましい。 

評価者は,次の評価プロジェクトで再利用し支援するために,例えば,ノウハウ,要員の略歴及び他の

有用な情報のような,評価プロジェクトの実際の結果に関する情報をフィードバックすることが望ましい。 

開発者は,他の評価プロジェクトでの使用のために,収集したデータを組織で利用できるようにしなけ

ればならない。 

評価者は,評価の結果,並びに適用した評価プロセス,指標及び測定量の妥当性をレビューしなければ

ならない。 

レビューからのフィードバックを,評価プロセス及び評価技法(評価モジュール)を改善するために使

用することが望ましい。 

評価モジュールを改善することが必要な場合,後々の使用で拡張した指標の妥当性を確認するために,

評価モジュールにそれらのデータ収集を含むことが望ましい。 

30 

X 25041:2015 (ISO/IEC 25041:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注記1 品質評価レビュー及びフィードバックは,JIS X 25001に規定している。 

注記2 製品品質評価の結果は,別の開発プロセス,設計手法又はCASEツールが品質要求事項を満

たすために使用できる度合いについてフィードバックを獲得するために使用できる。 

7.6.5 

評価データの処分の実行 

評価者は,次の開発プロジェクト又は評価プロジェクトでの再利用のために,静的な製品(例えば,要

求事項の仕様書,設計図表及び試験文書)及び動的な製品の最終結果をレビューし処理することが望まし

い。 

評価者は,共通の情報システム又はデータベースを使用することによって,静的な製品及び動的な製品

の品質評価の以前の実際の結果を参照することが望ましい。 

評価が完了したとき,要求者の要求事項に従ってデータ及び評価項目を処分しなければならない。 

このことは,データの種類によって,次のいずれかの方法によって実施しなければならない。 

− 評価のために提出した文書を,要求者に返還するか,明示した期間保管するか,又は安全な方法で破

壊しなければならない。 

− 評価報告書及び評価記録を,明示した期間保管しなければならない。 

− 他の全てのデータを,明示した期間保管するか又は安全な方法で破壊しなければならない。 

幾つかのデータについて明示した保管期間が終了したとき,明示した期間再度保管するか又は安全な方

法で破壊しなければならない。 

取得者評価プロセスのための要求事項及び推奨事項 

8.1 

一般要求事項 

取得者の取組に対する品質評価プロセスは,“商用既製”製品,特注製品,又は既存製品への修正製品を

取得する間の,製品品質の体系的な測定及び評価のための要求事項,推奨事項及び手引を含む。 

既存製品又は事前に開発された製品を取得又は再利用するために計画している組織によって,品質評価

プロセスは,使用される。品質評価プロセスは,製品の受入れを決めるために,又は代替製品(製品は自

己完結型でもよいし,システムの一部,又はより大きな製品の部分であってもよい。)の中から製品を選択

するために適用することができる。 

箇条8を取得のプロセスに適用する場合,評価者は,8.2〜8.6に示す項目を考慮しなければならない。 

取得者は,その役割を達成するために静的な製品及び動的な製品の両者を評価することが望ましい。 

取得者は,次の目的を達成するために,静的な製品を評価することが望ましい。 

− 取得製品の品質要求事項を改善するため 

− 取得前に取得製品の設計仕様を保証するため 

取得者は,次の目的を達成するために,静的な製品及び動的な製品の両者を評価することが望ましい。 

− 既成製品の比較及び選択 

− 開発者が供給する特注製品の受入れ 

− 取得プロセスの生産性の改善 

− 製品品質評価のための要員の教育訓練 

取得者は,評価アクティビティを支援プロセス及びアクティビティと調和させなければならない。 

31 

X 25041:2015 (ISO/IEC 25041:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

多くのデータ分析手法は,類似の条件下で,かつ,比較可能な品質要求事項を使って,以前のプロジェ

クトから取得したデータを必要とする。 

それゆえ,取得者は,取得者の目的を達成するために,追加の要求事項を排除せず,取得者組織の中の

以前のプロジェクトで使用されていた取得モデルに似た取得モデルを適用することが望ましい。 

データ分析ができるようにするため,プロジェクトに特徴の同じ集合を適用することも望ましい。 

製品品質要求事項は,考慮中の製品についての利用者のニーズを表し,取得に先立って定義される(JIS 

X 25030参照)。 

8.2 

評価要求事項の確立 

8.2.1 

このプロセスの入力及び成果物 

(このプロセスの入力及び成果物については,7.2.1を参照) 

取得者の観点から,製品に関する情報には,次のような静的な成果物を含む。 

− 製品仕様書 

− 製作マニュアル 

− 製品記述 

このアクティビティは,8.2.2〜8.2.5に示すタスクから成る。 

8.2.2 

評価の目的の確立 

製品品質評価の目的は,取得者の役割に基づいて,更なる評価アクティビティ及びタスクの基礎として

文書化されなければならない。 

取得者は,特に,その役割を達成するために,静的な納入可能な製品及び動的な納入可能な製品を評価

することが望ましい。 

静的な中間製品の品質評価の目的は,次を含んでもよい。 

− 要求事項仕様の品質の改善 

− 取得プロセスの生産性の改善 

− 製品取得の品質評価のための要員の教育訓練 

静的な納入可能な製品及び動的な納入可能な製品の品質評価の目的は,次を含んでもよい。 

− 高品質製品の受入れ 

− 特注製品の開発者からの受入れの決定 

− 製品を使用するときの肯定的な影響及び否定的な影響の両者の総合評価 

− ベンダからの既製製品の選択 

− 代替製品の中からの製品の選択 

− 製品と競合製品との比較 

− 既存製品への修正のニーズの総合評価 

取得者の観点に従った評価プロセスは,一般に,JIS X 0160で規定されるように,取得プロセスの一部

である。この場合,評価の目的を次のように確立することが望ましい。 

− 従うべき取得プロセス及び評価入力要求事項を供給者に伝達する方法 

− 製品は,特定のアプリケーション,特定のアプリケーションの集まり,又はアプリケーションの一般

的範囲に対して使用できるかどうか。 

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32 

X 25041:2015 (ISO/IEC 25041:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

− 第二者若しくは第三者によって評価が実施されているのかどうか,又は評価アクティビティが後に実

行されることを計画されているかどうか。 

注記 図3及び図4の中の評価プロセスと取得プロセスとを組み合わせた例を参照。 

図3−“既製”製品に対する評価プロセス及び/又は取得プロセスの例 

製品の使用者からのフィードバック,製品文書及び教育訓練コースのレビュー,文献調査, 

並びに製品試行に基づく製品及び供給者の事前選択 

ソフトウェア要求事項及び取得要求事項の準備, 

並びに提案依頼書及び/又は入札依頼書の発行 

品質システム,ソフトウェアエンジニアリングプロセス, 

ソフトウェア保守プロセス,及び能力に基づく供給者の評価 

外部の評価結果,製品文書,製品の運用操作経験, 

製品のプロトタイピング, 

その他の製品評価手法に基づくソフトウェア製品の評価 

製品及び供給者の選択,並びに契約の発行 

受入れ試験の実行,並びに製品の受入れ及び/又は拒否 

追加評価の実行 

より大きなシステムへの 

製品の結合,又は単独での使用 

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33 

X 25041:2015 (ISO/IEC 25041:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図4−特注ソフトウェア又は既存ソフトウェアの修正に対する評価プロセス及び/又は取得プロセスの例 

評価結果が最終取得目的に寄与できるように,評価プロセスは,取得プロセス(JIS X 0160:2012で規定)

と結合してもよい。取得プロセスは,次のように要約される。 

情報依頼の発行 

他の顧客からのフィードバック,品質システム, 

ソフトウェアエンジニアリングプロセス, 

ソフトウェア保守プロセス,及び能力の事前選択 

ソフトウェア要求事項及び取得要求事項の準備, 

並びに提案依頼及び/又は入札依頼の発行 

品質システムの公式の評価,ソフトウェアエンジニアリングプロセス,及び 

能力に基づく供給者の評価 

供給者の選択 

供給者の品質計画,ソフトウェアエンジニアリング開発プロセス, 

妥当性確認プロセス及び検証プロセス,共同レビュープロセス及び 

監査プロセス,並びに納入可能物についての要求事項の明示 

(要求された場合)修正すべきソフトウェア製品と一緒の契約の発行 

供給者品質計画に対する供給者の実施状況の管理及び監視 

受入れ試験の実行,並びに特注製品及び/又は 

修正したソフトウェア製品の配布の受入れ及び/又は拒否 

追加評価の実行 

より大きなシステムへの 

製品の結合,又は単独での使用 

34 

X 25041:2015 (ISO/IEC 25041:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

− 開始:取得する製品,取得計画,並びに受入れ方針及び基準に対するソフトウェア要求事項の識別 

− 提案依頼書(入札依頼書)の準備:取得要求事項の仕様及び文書 

− 契約の準備及び更新,供給者の選択,契約の準備及び交渉,並びに契約変更の制御 

− 供給者監視:製品の受入れ及び配布に至る契約実行中に実施された評価活動 

− 受入れ及び終了:納入可能な製品の受入れ及び配布中に実施された活動 

取得者は,取得時に評価要求事項を達成するために,評価プロセス及び取得プロセスの両者を定義する

必要がある。より大きなシステム開発との関連で,そのときに従うべき取得アクティビティ及び評価アク

ティビティは,他の開発アクティビティ及び結合アクティビティと結合し,JIS X 25001で規定されたプロ

ジェクト測定計画に識別される必要がある。すなわち,評価についての特定の取得実装の考慮事項は,次

の考慮事項を含む。 

− 評価について要求される製品品質要求事項仕様は,提案依頼書(入札依頼書)に要求される取得要求

事項に対する基礎を形成する。 

− 個別の予備評価アクティビティは,事前選択された製品及び供給者に必要とされてもよい。 

− 評価に対する供給者及び製品情報要求事項は,取得要求事項の中に又は契約準備期間中に明示される

必要がある。 

− 評価アクティビティは,提案評価の一部として,契約締結の監視期間中に,製品開発の一部として,

正式の製品受入れの一部として,又は製品配布後に実行することができる。 

評価プロセスは,次を考慮することが望ましい。 

− 全てのプロジェクト管理制約:すなわち,評価アクティビティを実行するための資源及び専門技術の

可用性,予定の許容範囲及び予算許容額,起こり得る依存性若しくはリスク,主要な仮定,又は評価

工数そのものについての仮定 

− 入札時に供給者から要求される取得プロセス及び情報:製品に対する評価工数を減らすために使用さ

れることがある第二者(例えば,供給者によって提供された製品を評価する取得者)又は第三者によ

って実行される評価 

− その製品は将来のアプリケーションで再利用されるかどうか,及びその文書はその製品の将来の評価

を支援するために必要となるかどうか。 

− 評価手法は,今でも製品の品質要求事項仕様に対応しているか。 

− 図5に示すように,取得の観点に従った,評価の異なる視点。この図は,製品の評価が,評価結果の

視点をもたらす,製品の視点,プロセスの視点及び製品使用の視点のような異なる視点からの情報を

考慮してもよいことを示している。 

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35 

X 25041:2015 (ISO/IEC 25041:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図5−取得者の観点からの製品品質評価プロセスの概要 

8.2.3 

ソフトウェア製品品質要求事項の獲得 

(7.2.3を参照) 

製品のエンドユーザを識別しなければならない。 

取得者は,評価の対象実体に基づいて,製品品質要求事項を定義することが望ましい。 

設計文書の評価の場合,製品品質要求事項をソフトウェア製品品質の内部測定量を使用して定義するこ

とが望ましい。 

動的な納入可能な製品の評価の場合,製品品質要求事項をソフトウェア製品品質の外部測定量及び/又

は利用時の品質測定量を使用して定義することが望ましい。 

製品品質要求事項の仕様は,取得プロセスの提案依頼段階中に使用される取得要求事項に対する基礎及

びそれに続く製品品質評価を実行するための基礎を形成する。 

8.2.4 

評価に含む製品パーツの識別 

(7.2.4を参照) 

評価プロセス 

評 価 入 力 の 三 つ の 視 点 

製 品 の 視 点 

ソフトウェア 

品質要求事項 

利用者文書及び

技術文書 

費用の査定 

品質システム 

エンジニアリン

グプロセス 

運用操作履歴 

障害情報 

プ 

ロ 

セ 

ス 

の 

視 

点 

製 

品 

使 

用 

の 

視 

点 

保守プロセス 

プロトタイピング 

及び/又は試験 

品質要求事項を満たす

信頼の必要な水準 

製品の制約使用 

要求される追加の検証

アクティビティ 

評 価 結 果 の 視 点 

36 

X 25041:2015 (ISO/IEC 25041:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

受け入れた製品品質の改善又は既存の運用操作可能な製品の生産性を改善する場合,評価の対象実体は,

次のような静的な納入可能な製品及び動的な納入可能な製品の両者であることが望ましい。 

− 製品仕様書 

− 製造マニュアル 

− 製品記述 

− 運用操作可能なシステムに含む運用操作段階中の実行可能な製品 

品質評価に含む全ての製品パーツを識別し文書化しなければならない。 

注記1 取得者の観点から,製品に関する情報は,次のような静的な成果物も含む。 

− 品質評価計画書 

− 品質評価報告書 

注記2 例えば,評価の目的が代替製品の中から製品を選択することである場合,評価される製品は,

主に納入可能な製品又は構成要素である。 

使用及び取得する候補の製品は,より大きなシステムに構成要素として統合できる製品又は単独で使用

できる製品である。それは,次のように分類される。 

a) 商用既製製品 

b) 他の用途のため又は広範囲な共通の用途のために,開発又は取得した既存の製品 

c) 特注製品又は既存製品を修正した製品 

より大きなシステムに統合されるソフトウェア構成項目の場合,ソフトウェア要求事項は,項目ごとに

定義する必要がある。その他の場合,システムとソフトウェア構成項目とは合致し,同じと考えられる。 

取得するハードウェア構成項目に,ファームウェア(すなわち,ROM,PROM)に常駐するオペレーテ

ィングシステムなどのソフトウェアを含めてもよい。このように,既存のソフトウェアがハードウェアの

不可欠な部分を形成している場合,通常は,ハードウェア構成項目とともに評価する必要がある。 

さらに,次を考慮しなければならない。 

a) 供給者又は取得者は,要求された文書,装置,ツール,ソフトウェア,講座及び/又は教育訓練,並

びにこれに関係する費用へアクセスを提供する意思があり,かつ,アクセスを提供することができる

かどうか。 

b) 機密情報又は占有情報へのアクセスの規定に関連した条件が存在するかどうか。 

c) 供給者又は第三者は,質問に答えるための適切な専門知識をもつ個人にアクセスを提供する意思があ

り,かつ,アクセスを提供することができるかどうか。そして,これに関係する費用には,交通費を

含めて,何があるか。 

d) 評価者は,評価要求事項に基づく評価を実行するために要求される専門知識,及び専門知識を獲得す

るための予算をもっているかどうか。 

e) 製品が全範囲に及ぶ試験を行うに足ることを確立するために要求された事前試験があるかどうか。 

8.2.5 

評価の厳密性の定義 

(7.2.5を参照) 

取得者の観点から,製品の厳密性に関する情報には,次のような静的な成果物も含む。 

− 製品の要求事項仕様 

37 

X 25041:2015 (ISO/IEC 25041:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

第三者が実行した評価アクティビティの結果が信頼できる限り,その結果へのアクセスを通して,評価

プロセスの範囲を小さくすることができる。このような評価アクティビティは,事前認証,製品品質評価

及び/又はプロセスアセスメントから成る。例えば,次がある。 

− 製品開発のためのソフトウェアエンジニアリングプロセスを,JIS X 0160:2012,ISO/IEC 90003又は

他の分野特有の規格の要求事項を満たすために標準化してもよい。 

− 第三者は,JIS Q 9001の要求事項について,ソフトウェアを開発するための供給者の品質システムを

認証してもよい。 

− 第三者は,JIS X 25040又はJIS X 25051への適合について,製品を評価してもよい。 

− 第三者は,ISO/IEC 15504シリーズへの適合について,受入れ可能な製品開発のための供給者のソフ

トウェアプロセス能力を総合評価してもよい。 

− より大きなシステム開発段階の一部として,ソフトウェアを機能的に評価してもよい。 

− その他の適用のために,異なるインテグリティ要求事項で製品を事前に評価してもよい。 

− 他者が実行したこれまでの評価をレビューした後で必要となる,評価要求事項に対する網羅率の水準。 

− 組織内の他の関係者は,非公式又は公式の評価アクティビティを通して,製品の評価を実行してもよ

い。 

対象アプリケーションの製品品質評価結果を獲得し解釈するために必要な追加の費用及び時間は,この

手法の実現可能性に影響を及ぼすかもしれない。他者の評価結果に対する適正な信頼を得るために,評価

者又は供給者に更に意見を求める必要があるかもしれない。 

評価プロセスは,取得要求事項,インテグリティ要求事項及び評価者グループの目的に,広範囲に適用

可能である。例えば,次がある。 

− ソフトウェアパッケージの取得者は,JIS X 25051だけを使用してソフトウェアパッケージを評価する

ことを望んでもよい。 

− 製品の取得者は,JIS X 25040及び独自の評価を使用してもよい。 

− 小規模又は単独の取得者は,最小限の評価の文書とともに,それほど公式でない評価プロセスを要求

してもよい。 

− 消費者向けソフトウェアに対しては,評価プロセスの目的は,他の類似製品の中から単に一つの製品

を選択し,試験し,取得するだけであっても,次のようになる。そのとき,公式の取得プロセスは買

い切りになり,契約の準備を含まない。 

JIS X 0160:2012で規定する修整の手引及び取得する特定の製品に要求されたインテグリティ水準を使

用して,評価プロセスに対するのと同様に,取得プロセスを修整することができる。高いインテグリティ

要求事項をもつソフトウェアシステム全体の取得は,通常は,JIS X 0160:2012で規定された付随する供給

プロセスアクティビティ及びタスクに加えて,取得アクティビティ及びタスクの全ての集合を呼び出すこ

とになる。一般に,インテグリティ水準が高くなるにつれて,厳密さの度合いが高くなり,取得プロセス

及び評価プロセスに関連するアクティビティ及びタスクの数も多くなる。 

8.3 

評価の明示 

8.3.1 

このプロセスの入力及び成果物 

(このプロセスの入力及び成果物については,7.3.1を参照) 

取得者の観点から,製品に関する情報は,次のような静的な成果物も含む。 

38 

X 25041:2015 (ISO/IEC 25041:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

− 候補となる製品及び供給者の一覧 

− 導入実績数 

− 実演された対象システム 

このアクティビティは,8.3.2〜8.3.4に示すタスクから成る。 

8.3.2 

品質測定量(評価モジュール)の選択 

(7.3.2を参照) 

使用する製品品質評価手法の選択には,次の一つ以上のレビュー又は総合評価を含む。 

− 製品の利用者文書及び技術文書(オンライン文書を含む。) 

− 供給者の講座及び教育訓練に基づく製品品質の評価 

− 中間製品を含む,ソフトウェアエンジニアリングプロセス 

− 供給者の製品運用操作の履歴 

− 顧客の製品運用操作の履歴 

− 供給者の能力,支援及び品質システム(JIS X 25040:2014,B.6) 

− プロトタイピング又は他の評価手法(JIS X 25040:2014,B.7) 

− 製品不備一覧及び関連情報(通常は,ウェブサイトで見られる。) 

評価手法の組合せを,製品の選択を可能とするため又は製品の使用の適切性を確立するため,評価手法

の組合せを明示することが望ましい。評価すべき課題は,次を含む。 

a) 考慮の幾つかは相互に矛盾してもよいか(例えば,“選択した手法の費用は予算内か。”ということは,

“手法が全ての評価要求事項に全体的に取り組んでしているか。”ということと両立しなくてもよい。)。

この場合,評価要求事項の優先順位付けに基づく必要なトレードオフを行うことは,評価者次第であ

る。 

注記 JIS X 25040:2014の附属書Cは,費用及び効果によって,ソフトウェア品質特性に対する評

価手法の順位付けの事例を示している。 

b) 評価は,次を考慮して選択された手法の組合せの中で,適切な範囲又は余地を提供しているか。 

− ソフトウェアがその仕様を満たしていることをどのように実演するか。 

− 更なる信頼を提供するための手法の範囲の重複 

− 全体として,アクティビティの集合は,関連するそれらのソフトウェア品質特性を完全に網羅して

いるという保証の,受入れ可能な水準を提供しているか。 

− 手法が相互に補完している度合い 

− 特性の多様性に対応する各手法の有効性及び客観性 

− 評価手法の中の異なる進め方の多様性(例えば,手法に基づいた,幾つかのレビュー,幾つかの分

析,及び幾つかの試験) 

− システム開発ライフサイクル全体の部分として最終的に実行されるアプリケーションの任意の評価

アクティビティの承認 

− 他者によって実行された評価の承認 

c) 更なる評価のために機能的に適切だと考えられる製品の選択肢を絞るために,レビュー若しくは実地

調査,同僚若しくは利用者の裏付けデータのない経験事例,業界誌の製品レビュー,利用可能な製品

利用者文書,又は製品レビューのデータベースリポジトリのような“非公式の”予備評価アクティビ

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X 25041:2015 (ISO/IEC 25041:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ティを使用する。 

他者によって実行された評価を認める前に,次を考慮することが望ましい。 

a) 評価は,アプリケーションのインテグリティ水準と一致する厳密さの度合いで,評価要求事項に対処

したか。 

b) 評価報告書は,総合評価された製品の版,評価の範囲,使用した判定基準,及び到達した結論を識別

したか。 

c) 評価報告書は,製品又はソフトウェアエンジニアリングプロセスの中の不備,それらの不備に対処す

るために推奨される是正活動,及び是正活動が実行されたかどうかを識別したか。 

d) 評価者は,次を含む適切な略歴をもっていたか。 

− 評価及び分析を実行した経験 

− 国際的に受け入れられた規格に関連するソフトウェア品質の経験 

− ソフトウェアエンジニアリングの課題に関する専門知識 

− 供給者からの完全な独立性 

8.3.3 

品質測定量のための判定基準の定義 

(7.3.3を参照) 

取得のための要求事項仕様の評価の場合,各製品品質特性及び利用時の品質特性について品質測定量の

判定基準を定義しなければならない。 

運用操作段階中の動的な製品の評価の場合,各製品品質特性及び利用時の品質特性について品質測定量

の判定基準を定義しなければならない。 

8.3.4 

評価のための判定基準の定義 

(7.3.4を参照) 

取得のための要求事項仕様の総合評価の場合,品質評価の判定基準を,各製品品質特性及び利用時の品

質特性について定義しなければならない。 

運用操作段階中の動的な製品の総合評価の場合,品質評価の判定基準を,各製品品質特性及び利用時の

品質特性について定義しなければならない。 

8.4 

評価の設計 

8.4.1 

このプロセスの入力及び成果物 

(このプロセスの入力及び成果物については,7.4.1を参照) 

取得者の観点から,製品に関する情報は,次のような静的な成果物を含む。 

− 製品仕様書 

− 製品記述 

− 候補となる製品及び供給者の一覧 

− 導入実績数 

− 実演された対象システム 

このアクティビティは,8.4.2に示すタスクから成る。 

8.4.2 

評価アクティビティの計画 

(7.4.2を参照) 

要員,ソフトウェアツール,コンピュータなどの資源の可用性を考慮して,識別された製品品質評価ア

40 

X 25041:2015 (ISO/IEC 25041:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

クティビティの予定を決めなければならない。 

取得者は,評価の目的及び評価の対象実体に基づく製品品質評価計画を作成することが望ましい。 

取得者は,品質測定量を使用して,製品品質要求事項に対応する製品品質評価計画を作成することが望

ましい。 

取得のための品質評価計画書は,次のような5W3H(なぜ,何を,いつ,誰が,どこで,どのように,

いくらで,及びどのくらい)を含むことが望ましい。 

− 製品取得のための品質評価の目的 

− 評価すべき対象製品パーツ 

− 取得のために含まれる予定及び資源を含む,評価アクティビティ 

− 取得のための評価アクティビティの責任 

− 取得のための品質評価の領域及び環境 

− 評価に使用する品質測定量,測定手法及び測定ツール 

− 予算 

対象実体が設計文書のような静的な製品である場合,評価の手法は,内部品質測定量を用いた設計レビ

ューである。 

対象実体が実行可能な製品のような動的なソフトウェア製品である場合,評価の手法は,ソフトウェア

製品品質の外部品質測定量及び利用時の品質測定量を用いた試験である。 

取得,試験及び運用操作の各段階の期限を守るために,品質評価アクティビティを適切な時期に実行し

なければならない。 

品質要求事項に対応する品質をもつ製品の具現化の実現可能性を検証するために,新しい製品取得のた

めの製品のプロトタイピングを開発し,評価することが望ましい。 

評価計画は,主として取得者の観点に関係する次の側面を考慮することが望ましい。 

a) 評価を実施するための試験環境(例えば,試験ハードウェア,支援装置及びツール,専門要員)の提

供に関連するいくらかの費用 

b) 評価及び要求された予定に対する責任 

c) 品質の保証を提供する評価手法の制約又は不備。その制約又は不備は,計画の中で他の箇所で網羅さ

れるかどうか。例えば,評価手法は,特定の品質特性に対する全ての品質副特性を取り扱うことはで

きない。 

d) 使用する様々な評価手法間の相互依存性。すなわち,順序依存性(一つの検査で獲得された情報は,

他の検査でも有用かもしれない。),評価手法の最適な順序の確立。 

e) 必要な資源並びに全ての評価及び各評価手法のための費用 

f) 

評価アクティビティと取得アクティビティとの連携点(図3及び図4の中の連結した評価プロセスと

取得プロセスとを組み合わせた例を参照。) 

g) いつ及びなぜ,評価が完了した(例えば,受入基準又は拒否基準)と考えるのが望ましいか,かつ,

終了するのが望ましいかを決定する,評価プロセス中の判定点。 

h) 評価計画を決定するときになされた普通でない又は例外的な決定の背後にある,論理的根拠,正当化

の理由及び前提は,文書化されているかどうか。 

注記 個々の特有の製品品質評価の要求事項及び条件に従い,上記の幾つかの課題は,一般的な評

価プロセスに適用させてもよい。 

41 

X 25041:2015 (ISO/IEC 25041:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

8.5 

評価の実行 

8.5.1 

このプロセスの入力及び成果物 

(このプロセスの入力及び成果物については,7.5.1を参照) 

取得者の観点から,製品に関する情報は,次のような静的な成果物も含む。 

− 製品仕様書 

− 製品記述 

− 候補となる製品及び供給者の一覧 

− 実際の導入数 

− 実演された対象システム 

このアクティビティは,8.5.2〜8.5.4に示すタスクから成る。 

8.5.2 

測定の実施 

(7.5.2を参照) 

取得のために適切な時点で,測定の結果を組織に報告することが望ましい。測定の結果を受容できない

場合,課題を解決する前にアクティビティを次の段階に進めないことが望ましい。 

評価報告書は,取得の次の段階へ進む前に報告することが望ましい。 

受け取った製品の品質及び取得の生産性を改善するために,取得の次の段階へ進む前に,検出された製

品品質の課題を,記録し解決することが望ましい。 

開発時に,品質監視及び制御を行う。内部特徴の実際の値を収集する。望ましくない値の場合,取得者

が問題を理解し対処することを容認することによって,原因を分析する。 

取得者は,定義されたデータ収集活動に従って,定義された内部特徴に対する実際の測定値を収集する

ことが望ましい。品質要求事項が変更された場合,取得者は,評価の仕様及び評価の設計を再検討しなけ

ればならない。 

8.5.3 

品質測定量への判定基準の適用 

(7.5.3を参照) 

8.5.4 

評価への判定基準の適用 

取得のために,静的な製品(例えば,要求事項の仕様書,設計図及び試験文書)及び動的な製品を評価

するために,品質要求事項に基づく製品品質総合評価のための判定基準を,品質特性及び品質副特性を使

用して集約された値の結果に対して適用しなければならない。 

注記1 静的な中間製品を評価する場合,品質総合評価のための判定基準を,レビューの結果に基づ

いて検出した課題を集約された値に限定することができる。 

注記2 動的な納入可能な製品を評価する場合,品質総合評価のための判定基準は,試験結果に基づ

いて検出された障害の集約された値に限定することができる。 

判定基準の集合を副特性及び特性に集約しなければならない。それに基づいて,製品が品質要求事項を

満たす度合いを記載した総合評価結果を作成する。評価結果は,次のようであることが望ましい。 

− 製品が評価要求事項を満たすことができるという信頼の適切な度合いを確立する。 

− 評価要求事項における特定の不備及びそれらの不備の範囲を決定するために必要とされる追加の評価

を識別する。 

− 製品使用上の制約又は条件を識別する。 

− 評価自体の弱点又は不備及び必要とされる追加の評価を識別する。 

42 

X 25041:2015 (ISO/IEC 25041:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

− 評価によって明らかにされた,製品使用における選択肢を識別する。 

アプリケーションのインテグリティ水準及び実際の評価要求事項を考慮して,結論には,製品が意図し

たアプリケーションでの使用に適切で妥当であるかどうかを記載することが望ましい。発見された不備が

原因で,又は評価情報の欠落が原因で,製品を“そのまま”で使用することができないならば,更なる評

価を実行するために,又は対象アプリケーション内での製品の使用を制御若しくは制限するために推奨事

項を作成する必要がある。 

各特定の要求事項に対して,その要求事項を満たすために使用する製品の特質,機能又はサービス,及

び要求事項が満たされたという適切な信頼を提供する評価手法を説明する“要求事項の適合性の記述”を

使用して,結論を正式なものとしてもよい。多様性のある設計の実装,機器構成の冗長性,インタフェー

スインテグリティのチェック及び回復技術のような利用し得る設計戦略によって,製品の不備又は起こり

得る故障を補償することができる。 

評価は,利用のために製品を受け取らないという決定,又は評価要求事項に適合するように努力しない

という決定に終わる可能性があり,かつ,代わりのやり方を再評価することを推奨する可能性がある。最

終的な判定は,購入する方がよいか,購入しない方がよいかのいずれかである。 

購入するという判定の場合は,製品受入れ試験という形で,実行できる追加の評価を行って製品を購入

する契約を結ぶということになる。 

購入しないという判定は,製品の修正,特注製品の開発,又は要求事項の変更を含む,可能な代替案を

模索することになる。 

8.6 

評価の終結 

8.6.1 

このプロセスの入力及び成果物 

(このプロセスの入力及び成果物については,7.6.1を参照) 

取得者の観点から,製品に関する情報は,次のような静的な成果物も含む。 

− 製品仕様書 

− プログラムソースコード 

− 製造マニュアル 

− 製品記述 

このアクティビティは,8.6.2〜8.6.5に示すタスクから成る。 

8.6.2 

評価結果のレビュー 

(7.6.2を参照) 

8.6.3 

評価報告書の作成 

(7.6.3を参照) 

取得のために,取得者と(その他の)利害関係者との評価報告書の共同レビューを実行することが望ま

しい。 

8.6.4 

品質評価のレビュー及び組織へのフィードバックの提供 

(7.6.4を参照) 

8.6.5 

評価データの処分の実行 

(7.6.5を参照) 

background image

43 

X 25041:2015 (ISO/IEC 25041:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

独立した評価者の評価プロセスのための要求事項及び推奨事項 

9.1 

一般要求事項 

数人の関係者が評価結果の理解,受領及び信頼を必要とする場合,独立した評価者の進め方のための製

品品質評価プロセスは,製品品質評価を実際に実施するための要求事項及び推奨事項を提供する。製品の

独立した評価を実行する評価者がそれを使用する。この評価は,開発者,取得者又は幾人かの他の関係者

の要求で実行することができる。箇条9は,独立した評価を実行する人を意図している。これらの独立し

た評価者は,多くの場合第三者組織に勤めている。 

注記 うまく設計された手法を適用するために,並びに経験及び知識をもつ専門家の視点からより客

観的で信頼できる評価を提供するために,独立した評価者は,製品品質評価に必要であり,か

つ,適用されている。最も典型的な独立した評価者は,取得者及び供給者とは異なる企業に勤

めている専門家,並びに利用者,取得者,開発者又は供給者のいずれかからの要求に基づいて,

客観的に製品を評価する専門家である。独立した評価者は,通常は,状況に加わり,製品及び

実行可能な環境をアクセスするような評価アクティビティにおける利用者,取得者,開発者又

は供給者と協力的な作業を確立するため,彼らと課題について協議するため,及び彼らと合意

するための役割をもっている。 

箇条9を評価のプロセスに適用する場合,独立した評価者は,9.2〜9.6に示す項目を考慮しなければな

らない。 

独立した評価者は,要求者との契約の範囲に基づいて品質評価アクティビティを実行することが望まし

い。 

独立した評価者の評価プロセスは,開発者及び取得者の評価プロセスの両者に対応する。 

注記1 評価要求者が開発者の場合,独立した評価者は,開発者の観点に基づいて評価アクティビテ

ィを実行することが望ましい。 

注記2 評価要求者が取得者の場合,独立した評価者は,取得者の観点に基づいて評価アクティビテ

ィを実行することが望ましい。 

独立した評価者は,評価の目的を達成するために,静的な製品及び/又は動的な製品を評価することが

望ましい。 

対象製品を評価する場合,独立した評価者は,ソフトウェア品質を保証するために静的な製品又は動的

な製品を評価することが望ましい。 

注記3 開発者,取得者及び独立した評価者の対象実体の例を表2に示す。 

表2−対象実体の例 

評価の対象実体 

静的な製品 

動的な製品 

中間製品 

− 設計文書 
− ソースコード 

試験環境に含まれる実行可能な製品 

納入可能な製品 

− 製造マニュアル 
− 評価報告書 

運用操作可能なシステムに含まれる実行可能な製品 

品質評価のアクティビティを,契約に基づく開発者又は取得者の観点から実行することが望ましい。 

独立した評価者は,次を含むことができる契約に基づいて,品質評価アクティビティを実行することが

望ましい。 

44 

X 25041:2015 (ISO/IEC 25041:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

− 静的な製品又は動的な製品の品質を評価する。 

− 中間製品の品質又は納入可能な製品の品質を評価する。 

− 開発された中間製品及び納入可能な製品を保証する。 

− 既成製品を選択する。 

− 既成製品の比較及び選択を行う。 

− 開発者から特注製品を受け取る。 

− システム製品品質評価のための要員の教育訓練を行う。 

独立した評価者の責任は,要求者との契約によって定義される。 

独立した評価者の責任は,次を含むことができる。 

− 独立した評価者は,品質評価の結果を保証し,評価プロセスの生産性を改善することが望ましい。 

− 独立した評価者は,品質評価を実行する前に契約文書をレビューし,評価のために適切な環境を提供

することが望ましい。 

数人の関係者が評価結果の理解,受領及び信頼を必要とする場合,独立した評価の進め方のための品質

評価プロセスは,製品品質評価を実際に実施するための要求事項及び推奨事項を提供する。製品の独立し

た評価を実行する評価者がそれを使用する。 

評価の要求者の責任は,次を含まなければならない。 

− 評価のために製品に必要な法的権利を確立する。 

− 製品の識別及び記述のために必要な情報を提供する。 

− 最初の評価要求事項を記載し,実際の評価要求事項を決めるために独立した評価者と協議する。評価

のためのこれらの要求事項は,関連する規制及び規格に従うことが望ましい。 

− 評価に提出された情報に関して,機密要求事項を記載する。 

− 必要な場合いつでも,開発者と独立した評価者との中間者として振る舞う。 

− 必要な場合いつでも,開発のため及び製品の運用操作使用のために使用するコンピュータ及びその他

の機器への適切なアクセスを,独立した評価者に提供する。 

− 必要な場合いつでも,適切な要員の教育訓練及び適切な要員の利用可能化を含む支援を独立した評価

者に提供する。 

− 必要な場合いつでも,文書及びその他の資料を含め,製品,その記述及び構成要素の時宜にかなった

供給を保証する。 

− 必要な場合いつでも,評価結果を無効にするかもしれない要因を独立した評価者に知らせる。 

独立した評価の潜在的な要求者は,例えば,次の方である。 

− ソフトウェア開発者 

− ソフトウェア保守者 

− ソフトウェア供給者 

− ソフトウェア取得者 

− ソフトウェア利用者 

− ソフトウェア取得者の役割をするシステムインテグレータ(統合者) 

45 

X 25041:2015 (ISO/IEC 25041:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

独立した評価者の責任は,次を含まなければならない。 

− 要求者が評価を実行するために製品に対して十分な法的権利を保有することを確認する。その確認を

するために,要求者は,独立した評価者に証明書を要求してもよい。 

− 必要に応じて,要求者が提供した全ての情報(例えば,評価中の製品,評価記録及び評価報告)の信

頼性を保持する。 

− 評価を実行するために,資格があり,教育訓練を受けた要員を提供する。 

− 評価ツール及び技法を提供する。 

− 評価要求事項に従って評価を実行する。 

− 評価結果に影響を及ぼす評価中に実行された作業の記録を維持する。 

− 要求者への評価報告の時宜を得た配布を保証する。 

− 要求者が要求した程度で,評価の実行状況が分かるようにする。 

潜在的な独立した評価者は,例えば,次の方である。 

− 独立した試験機関 

− ソフトウェア製作組織又はソフトウェア配布組織の中の試験実体 

− ソフトウェア購入組織又はソフトウェア使用組織の中の試験実体 

− システム統合組織の中の試験実体 

− 製品間の比較を行う組織 

評価結果の反復性,再現性,不偏性及び客観性を保証するために,独立した評価者は,そのアクティビ

ティに対する十分な品質を獲得するために,全ての必要な確信を提供する組織的な状況の中で活動しなけ

ればならない。 

9.2 

評価要求事項の確立 

9.2.1 

このプロセスの入力及び成果物 

(このプロセスの入力及び成果物については,7.2.1を参照) 

独立した評価者は,顧客との契約の範囲に基づいて品質評価アクティビティを実行しなければならない。 

独立した評価者は,開発者又は取得者との契約に基づいて,開発者の評価プロセス又は取得者の評価プ

ロセスに従って,品質評価アクティビティを実行することが望ましい。 

このアクティビティは,9.2.2〜9.2.5に示すタスクから成る。 

9.2.2 

評価の目的の確立 

(7.2.2を参照) 

9.2.3 

ソフトウェア製品品質要求事項の獲得 

(7.2.3を参照) 

9.2.4 

評価に含む製品パーツの識別 

(7.2.4を参照) 

評価要求者は,評価のために提出した製品の製品記述を提供しなければならない。 

この説明の目的は,次を含む。 

− 評価の範囲を定義できるようにする。すなわち,評価対象製品の部分と考えられる製品の全ての構成

要素の識別,及び評価対象製品の部分と考えられず,製品の理解を容易にするために参照されるだけ

の全ての製品構成要素の識別。 

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X 25041:2015 (ISO/IEC 25041:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注記1 このような識別は,文書のどの部分が製品に附属するのか,及びどの機能を製品として実

装し,又は実装しないかを明示することに基づいてもよい。 

注記2 評価のために提出された製品が,ハードウェア,他の製品,ネットワーク又は組織から成

るシステムに組み込まれている場合,評価の範囲を定義することは,重要である。なぜな

らば,こうした製品間の境目が明確でないからである。 

− 評価のために提出された製品構成要素の識別を評価者に与え,製品構成要素の構造を理解し,かつ,

提供された情報と同様に情報にアクセスする方法を識別する。 

この製品記述は,評価のために実際に提出された製品構成要素の一覧,製品の構成に関する論理的根拠,

及び製品に関係する文書の一覧を含まなければならない。リストアップされた構成要素には,リストアッ

プする必要のないほかのより小さな構成要素を含めてもよい。一覧表の中の構成要素及び製品に関係する

文書について,次の情報を提供しなければならない。 

− 構成要素の性質の説明 

− 構成要素の中で使用された論理的形式に関する情報 

− 構成要素の大きさに関する情報 

− ほかの構成要素との関係 

− 評価者に対する製品構成要素の可用性に関する情報 

どのような場合でも,適切なソフトウェアエンジニアリング規格への参照を行うことが望ましい。 

評価者は,製品記述が上記の要求事項に従うことを確認しなければならない。 

独立した評価者は,評価要求事項の中で識別された構成要素との関係を識別するために,構成要素の説

明と同様に提供された論理的根拠を分析しなければならない。 

注記3 評価要求事項において,総合評価する品質特性に関して,構成要素を論理的な視点から明示

してもよい。製品記述において,実際の構成要素をリストアップする。製品の幾つかの実際

の構成要素は,数個の構成要素であると評価要求事項が明示する情報を含むことがあっても

よい。 

注記4 この情報は,どの評価が実行できるのかを識別するために必要とされる。これは,評価要求

事項とともに,評価仕様を作成するために使用する。 

注記5 製品の開発者と相談することによって,製品記述の分析を改善することができる。これは,

簡潔な監査を実行することによって,独立した評価者が必要とする深さまでの評価が可能で

あるかどうかを立証する機会を提供する。 

要求者は,製品構成要素及び製品に関係する文書を,独立した評価者に配布することが望ましい。 

独立した評価者は,全ての製品構成要素及び製品に関係する文書を処分しなければならない。構成要素

の大きさ及び複雑さが前述のことを正当化するとき,正式の構成管理を使用することが望ましい。 

登録情報には,少なくとも次のものがある。 

− 構成要素又は文書の一意の識別子 

− 構成要素名称又は文書名 

− 文書の条件(特に,例外又は物理的な条件を含む。) 

− 要求者が提供するような版,機器構成及び日付情報 

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X 25041:2015 (ISO/IEC 25041:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

− 受領日 

文書に関係する全ての製品構成要素及び製品の機密性は,要求者との合意がない限り,独立した評価者

によって保護されなければならない。 

注記6 機密性要求事項は,製品に関係する全ての情報の受領,取扱,保管及び処分を含め,評価作

業の多くの側面に影響する。 

9.2.5 

評価の厳密性の定義 

(7.2.5を参照) 

要求者と独立した評価者との共同レビューの結果として,厳密性の評価要求事項を承認しなければなら

ない。 

9.3 

評価の明示 

9.3.1 

このプロセスの入力及び成果物 

(このプロセスの入力及び成果物については,7.3.1を参照) 

評価仕様は,独立した評価者の占有情報を含まないことが望ましい。 

注記 評価仕様を含む評価報告書は,それをほかの関係者に開示するかもしれない評価要求者に配布

される。それゆえ,独立した評価者が幾つかの占有情報の保護を試みることは望ましくない。 

このアクティビティは,9.3.2〜9.3.4に示すタスクから成る。 

9.3.2 

品質測定量(評価モジュール)の選択 

(7.3.2を参照) 

独立した評価者は,製品記述にリストアップされた構成要素が,品質評価要求事項に従って評価を実行

するために必要な全ての情報を提供することを,確認しなければならない。 

また,独立した評価者は明示された測定及び検証が,品質評価要求事項に表されたような評価の目的を

満たすのに十分であることを検証しなければならない。 

最初の確認によって,製品記述にリストアップされた構成要素に欠けている情報を識別することができ

る。これは,次のいずれかの方法で解決することができる。 

− 欠けている情報を含む製品構成要素への参照を製品記述の中に追加しなければならない。このことは,

評価を実行するために,ほかの構成要素と一緒にこの構成要素を要求者が提供することを意味する。 

− 評価の目的をまとめなければならない。すなわち,評価要求事項を改定することを意味する。 

二つ目の確認は,評価仕様の中で提案された測定及び検証が,最先端の技術と矛盾しないことを確かめ

ることを目的とする。これは,次のいずれかの方法で実施することができる。 

− 関連する測定標準を識別することによって。 

− 業界での適切で信頼できる文献を参照することで,詳細にわたる正当化の理由を提供することによっ

て,この正当化の理由を評価仕様に含めなければならない。 

評価仕様は,次で構成しなければならない。 

− 製品記述の中で識別される,製品構成要素を参照する評価の範囲 

− 評価の実行に必要な情報と,製品記述にリストアップされた製品構成要素及びほかの関係する文書と

の相互参照 

− 実行する測定及び検証の仕様,並びに測定及び検証を実行する製品構成要素への参照 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

− 測定及び検証の仕様と評価要求事項との間の対応付け。これは,標準への参照又はリストアップされ

た各測定若しくは検証についての正当化の理由とともに行われる。 

評価仕様を,要求者と独立した評価者との間の共同レビューの結果として承認しなければならない。 

9.3.3 

品質測定量のための判定基準の定義 

(7.3.3を参照) 

9.3.4 

評価のための判定基準の定義 

(7.3.4を参照) 

9.4 

評価の設計 

9.4.1 

このプロセスの入力及び成果物 

(このプロセスの入力及び成果物については,7.4.1を参照) 

このアクティビティは,9.4.2に示すタスクから成る。 

9.4.2 

評価アクティビティの計画 

(7.4.2を参照) 

独立した評価者は,要員,ソフトウェアツール及びコンピュータのような資源の可用性を考慮しなけれ

ばならない。 

独立した評価者は,製品及びその構成要素の納入予定について要求者と合意しなければならない。複製

品の数だけでなく,製品の構成要素の納入のための媒体及び様式を明示しなければならない。 

評価の過程における,会議への要求事項を識別しなければならない。要求者が製品開発者でない場合,

独立した評価者と開発者との関係を識別しなければならない。特に,開発者が必要となる支援を明示しな

ければならない。こうした支援は,例えば,教育訓練,非公式な意見交換又は事務所収容設備を含めても

よい。 

必要ならば,開発現場及び運用操作現場へのアクセスを,必要な資源とともに明示しなければならない。 

評価計画は,評価手法の文書及び独立した評価者の活動の予定を含まなければならない。 

評価計画における幾つかの評価手法の文書は,独立した評価者の個人的な資料への参照で構成されても

よい。その場合,独立した評価者は,評価仕様に付随する要素及びその手法を適用する評価者自身の能力

に関しては,その手法の適切性を正当化できることが望ましい。 

要求者と独立した評価者との間の共同レビューの結果として,詳細な製品品質評価計画を承認しなけれ

ばならない。 

9.5 

評価の実行 

9.5.1 

このプロセスの入力及び成果物 

(このプロセスの入力及び成果物については,7.5.1を参照) 

このアクティビティは,9.5.2〜9.5.4に示すタスクから成る。 

9.5.2 

測定の実施 

(7.5.2を参照) 

評価アクティビティの実行は,通常は,評価報告に含まれる結果を作成するために,中間データを獲得

し,これらのデータを解釈するための製品及びその構成要素の測定から成っている。中間データは,例え

ば,数,図,図表,構成要素からの抜粋,又は評価のために作られた正式なモデルのような様々な性質の

ものがあってもよい。 

評価者は,原初の構成要素及び文書と同じように,中間データの機密性を防御しなければならない。さ

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X 25041:2015 (ISO/IEC 25041:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

らに,独立した評価者は,これらのデータの偶然の又は悪意のある修正を避けるために,必要な全ての努

力を実施しなければならない。特に,中間データの量及び複雑さが大きい場合,中間評価結果と評価製品

との間の一貫性を保持するために,正式な構成管理を実施することが望ましい。 

独立した評価者は,評価記録の中に,解釈の基礎になっている中間データを含めなければならない。解

釈プロセス中になされた決定も,評価計画に明示されたように評価記録に含まれなければならない。 

評価アクティビティは,生のデータを収集するため又は中間データの解釈を行うために,ソフトウェア

ツールの使用を要求してもよい。 

注記1 これらのツールの例は,コード測定量を算出するためのプログラムソースアナライザ,形式

化されたモデルを作り出すためのCASEツール,実行可能なプログラムを実行するための試

験環境又は測定量の統合を行う表計算ソフトウェア(スプレッドシート)である。 

評価アクティビティを実行するためにツールを使用する場合,評価報告の中にツールへの参照を含めな

ければならない。参照は,ツール並びにその供給者及びツールの版の識別から構成されなければならない。 

使用したツールへの更に詳細な参照は,評価記録に含めなければならない。評価記録は,同一の中間結

果を獲得するために,評価アクティビティを繰り返すことができるために必要な,ツールの詳細な機器構

成及び関連する情報を含まなければならない。 

注記2 この反復性の要求事項は,評価報告書に含まれない中間結果を参照する。 

注記3 ある場合には,評価記録の中に実行可能なツールの複製を含むことが適切であるかもしれな

い。 

独立した評価者は,使用されるツールが実際に想定されたように動作することを保証するために必要な

努力をすることが望ましい。独立した評価者は,評価プロセスで使用されるツールの妥当性確認を行うた

めに請け負われたアクティビティの記録を維持することが望ましい。 

注記4 このような記録は,例えば,ソフトウェアの既存の実装の数又はツールが使用された期間に

基づくことができる。 

ツールを適切に使用するために,独立した評価者の要員を教育訓練しなければならない。 

ある場合には,評価アクティビティは,独立した評価者の施設内で実行することはできない。例えば,

開発者の現場又は製品が運用操作中である現場で,評価アクティビティを実施してもよい。 

このことが発生する場合,独立した評価者は,実行する全ての評価アクティビティを制御しなければな

らない。特に,独立した評価者は,評価結果を無効にする環境を避けなければならない。 

独立した評価者は,評価結果及び中間評価結果の信頼性が維持されていることを保証するために必要な

全ての努力を実施しなければならない。 

評価計画が製品の実行可能なプログラムを試験することを要求する場合,試験中の機器構成及び試験の

ための環境を正確に記録しなければならない。 

評価アクティビティが文書を検査することを要求する場合,チェックリストの使用を推奨する。 

9.5.3 

品質測定量への判定基準の適用 

(7.5.3を参照) 

評価の実行中,中間製品及び納入可能な製品の評価結果を作成する。客観性を最大にするために,アク

ティビティを実行した独立した評価者とは異なる独立した評価者の要員が,評価アクティビティを確認す

ることが望ましい。 

9.5.4 

評価への判定基準の適用 

(7.5.4を参照) 

50 

X 25041:2015 (ISO/IEC 25041:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

9.6 

評価の終結 

9.6.1 

このプロセスの入力及び成果物 

(このプロセスの入力及び成果物については,7.6.1を参照) 

このアクティビティは,9.6.2〜9.6.5に示すタスクから成る。 

9.6.2 

評価結果のレビュー 

(7.6.2を参照) 

全ての製品品質評価結果をレビューしなければならない。レビューの目的は,考えられた評価アクティ

ビティの種類に依存している。レビューには,関係する評価アクティビティの実行に直接関与しない人が

少なくとも一人参加していなければならない。レビューの報告を評価記録に含めなければならない。 

9.6.3 

評価報告書の作成 

(7.6.3を参照) 

9.6.4 

品質評価のレビュー及び組織へのフィードバックの提供 

(7.6.4を参照) 

品質評価報告書の草稿を評価の要求者に配布しなければならない。 

要求者と独立した評価者との間で,品質評価報告書の草稿に対する共同レビューを計画することが望ま

しい。 

評価報告書を論評する機会を要求者に与えることが望ましい。そのような論評がなされた場合,それら

を評価報告書の特定の章に含めることが望ましい。 

9.6.5 

評価データの処分の実行 

(7.6.5を参照) 

評価報告書が正式に要求者に配布されたならば,独立した評価者は,評価に関するデータを処分しなけ

ればならない。 

要求者が明確に同意するならば,独立した評価者は,評価技術及びソフトウェア品質測定量を検討する

ために,中間評価結果を使用してもよい。 

51 

X 25041:2015 (ISO/IEC 25041:2012) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

参考文献 

[1] JIS X 0160:2012 ソフトウェアライフサイクルプロセス 

注記 対応国際規格:ISO/IEC 12207:2008,Systems and software engineering−Software life cycle 

processes(IDT) 

[2] JIS X 0170:2013 システムライフサイクルプロセス 

注記 対応国際規格:ISO/IEC 15288:2008,Systems and software engineering−System life cycle 

processes(IDT) 

[3] JIS X 25010:2013 システム及びソフトウェア製品の品質要求及び評価(SQuaRE)−システム及びソ

フトウェア品質モデル 

注記 対応国際規格:ISO/IEC 25010:2011,Systems and software engineering−Systems and software 

Quality Requirements and Evaluation (SQuaRE)−System and software quality models(IDT) 

[4] ISO/IEC 25020,Software engineering−Software product Quality Requirements and Evaluation (SQuaRE)−

Measurement reference model and guide 

[5] JIS X 25051:2011 ソフトウェア製品の品質要求及び評価(SQuaRE)−商用既製(COTS)ソフトウェ

ア製品に対する品質要求事項及び試験に対する指示 

注記 対応国際規格:ISO/IEC 25051:2006,Software engineering−Software product Quality 

Requirements and Evaluation (SQuaRE)−Requirements for quality of Commercial Off-The-Shelf 

(COTS) software product and instructions for testing(IDT) 

[6] JIS Q 9001 品質マネジメントシステム−要求事項 

[7] ISO/IEC 15504(all parts),Information technology−Process assessment 

[8] ISO/IEC 90003,Software engineering−Guidelines for the application of ISO 9001:2000 to computer software