X 25024:2018 (ISO/IEC 25024:2015)
(1)
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 3
2 適合性···························································································································· 4
3 引用規格························································································································· 4
4 用語及び定義 ··················································································································· 5
5 略語······························································································································· 9
6 データ品質測定量の使用 ··································································································· 10
6.1 データ品質測定の概念 ··································································································· 10
6.2 データ品質測定の進め方 ································································································ 11
7 データのためのQMを記述するための様式 ·········································································· 13
8 データQM(品質測定量) ································································································ 13
8.1 一般 ··························································································································· 13
8.2 正確性のQM ··············································································································· 14
8.3 完全性のQM ··············································································································· 16
8.4 一貫性のQM ··············································································································· 18
8.5 信ぴょう(憑)性のQM································································································· 20
8.6 最新性のQM ··············································································································· 21
8.7 アクセシビリティのQM································································································· 21
8.8 標準適合性のQM ········································································································· 23
8.9 機密性のQM ··············································································································· 23
8.10 効率性のQM ·············································································································· 24
8.11 精度のQM ················································································································· 26
8.12 追跡可能性のQM ········································································································ 27
8.13 理解性のQM ·············································································································· 28
8.14 可用性のQM ·············································································································· 29
8.15 移植性のQM ·············································································································· 30
8.16 回復性のQM ·············································································································· 31
附属書A(参考)品質測定量の定義に利用されるQME······························································· 32
附属書B(参考)QME,対象実体及び品質測定量 ····································································· 34
附属書C(参考)QMEの参考例 ···························································································· 36
附属書D(参考)五十音順に配列した品質測定量 ······································································ 40
附属書E(参考)特性及び対象実体に対する品質測定量の識別子 ·················································· 42
参考文献 ···························································································································· 44
X 25024:2018 (ISO/IEC 25024:2015)
(2)
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人情報処理学会(IPSJ)及び一般
財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,
日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
日本工業規格 JIS
X 25024:2018
(ISO/IEC 25024:2015)
システム及びソフトウェア製品の品質要求及び評価
(SQuaRE)−データ品質の測定
Systems and software engineering-
Systems and software Quality Requirements and Evaluation (SQuaRE)-
Measurement of data quality
序文
この規格は,2015年に第1版として発行されたISO/IEC 25024を基に,技術的内容及び構成を変更する
ことなく作成した日本工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。
この規格は,SQuaREシリーズの一部である。この規格は,他のSQuaREシリーズ,特にJIS X 25012:2013,
を参照することによってデータ品質を測定及び評価するために使用することができるデータ品質測定量の
集合を提供する。
この規格のデータ品質測定量の集合は,その実用的な価値に基づいて選ばれている。この測定量は,網
羅的であることを意図していない。そして,この規格の利用者には,必要に応じてそれらを定義すること
を推奨する。
品質測定部門
この規格は,次の規格から成るISO/IEC 2502n部門の一つである。
− ISO/IEC 25020 測定の参照モデル及び手引 ISO/IEC 2501n品質モデル部門で定義した品質特性を
測定するための参照モデル及びガイドを規定している。
− JIS X 25021 品質測定量要素 ソフトウェア品質測定を構築するために使用できるQME及びQME
の例を仕様化するための様式を規定している。
− JIS X 25022 利用時の品質の測定 利用時の品質モデルにおける品質特性に対する関連した測定方
法及びQMEを含む測定量を規定している(2018年JIS化予定)。
− JIS X 25023 製品の品質の測定 製品品質モデルにおける品質特性に対する関連した測定方法及び
QMEを含む測定量を規定している。
− JIS X 25024 データ品質の測定 データ品質モデルにおける品質特性に対する関連した測定方法及
び品質測定量要素を含む測定量を規定している。
図1では,この規格とそれ以外のISO/IEC 2502n部門の規格との関係を表している。
2
X 25024:2018 (ISO/IEC 25024:2015)
図1−品質測定部門の構造
SQuaREシリーズの概要及び組織
SQuaREシリーズの各部門には,次のものがある。
− ISO/IEC 2500n 品質管理部門 この部門の規格は,SQuaREシリーズの,他の全ての規格から参照さ
れる共通モデル,用語及び定義を規定する。規格を特定の応用事例に適用する場合の参照経路(SQuaRE
シリーズ全体の手引)及び高水準の実際的な提案は,全ての種別の利用者への手助けを提供する。こ
の部門は,製品の品質要求事項の仕様化及び評価の管理に責任のある支援機能のための要求事項及び
手引も提供する。
− ISO/IEC 2501n 品質モデル部門 この部門の規格は,製品品質,利用時の品質,及びデータ品質の
ための詳細な品質モデルを提供する。サービス品質モデルは,開発中である。また,品質モデルの利
用のための実用的な手引も提供する。
− ISO/IEC 2502n 品質測定部門 この部門の規格は,製品の品質測定の参照モデル,品質測定量の数
学的な定義,及びそれらの適用のための実用的な手引を含む。この規格は,ソフトウェア品質の内部
測定量,ソフトウェア品質の外部測定量及び利用時の品質測定量を提供する。この部門は,後に続く
品質測定量のための基礎となる品質測定量の要素を定義し提供する。
− ISO/IEC 2503n 品質要求部門 この部門の規格は,品質要求事項の仕様化に役立つ。これらの品質
要求事項は,開発する製品の品質要求事項の導出プロセス又は評価プロセスの入力として利用するこ
とができる。要求定義プロセスは,JIS X 0160及びJIS X 0170に定義されたテクニカルプロセスの利
害関係者要求事項定義プロセスに対応付けられる。
− ISO/IEC 2504n 品質評価部門 この部門の規格は,独立した評価者,取得者又は開発者のいずれか
が実施する,製品評価のための要求事項,推奨事項及び手引を提供する。評価モジュールとして測定
量の文書化のための支援も提供する。
ISO/IEC 25050〜ISO/IEC 25099は,SQuaRE拡張部門のために予約されており,現在のところ,JIS X
25051及びISO/IEC 25060〜ISO/IEC 25069を含む。
JIS X 25022 利用時の品質の測定
− TS X 0111-4の改正版
JIS X 25023 製品の品質の測定
− TS X 0111-2及びTS X
0111-3の改正版
JIS X 25024 データ品質の測定
ISO/IEC 25020 測定量の参照モデル及び手引
ISO/IEC 25020は,JIS X 25022〜JIS X 25024で規定する
品質測定量を開発し,規定するための手引を提供する。
JIS X 25021 品質測定量要素
− ISO/IEC TR 25021の改正版
JIS X 25021は,JIS X 25022〜JIS X 25024で規定する
QMEを開発し,規定するために使用される。
3
X 25024:2018 (ISO/IEC 25024:2015)
1
適用範囲
この規格は,JIS X 25012:2013で規定された特性に関してデータ品質を定量的に測定するためのデータ
品質測定量を規定する。
この規格は,次を含む。
− 各特性に対するデータ品質測定量の基本的な集合
− データライフサイクルの間に品質測定量が適用される,対象実体の基本的な集合
− データ品質測定量を適用する方法の説明
− データ品質要求事項及び評価のために,組織が自らの測定量を定義するためのガイダンス
参考の附属書として,この規格で規定されたQMEの要約表(附属書A),各QME及び対象実体に関連
した品質測定量の表(附属書B),特定のQMEについての考察(附属書C),五十音順に配列した品質測
定量の一覧(附属書D),及び特性及び対象実体によって分類された品質測定量の表(附属書E)を含む。
この規格は,水準又は等級を評定するためにこれらの品質測定量の値の範囲を規定しない。それは,シ
ステムの状況及び利用者のニーズに依存するシステムの特質によって,各システムに対してこれらの値が
規定されるからである。
この規格は,幾つかの種類のアプリケーションに利用されるコンピュータシステムの中の,体系化され
た様式で保持される幾つかの種類のデータに適用できる。
データ及びデータを含むサービスを管理する人々は,品質測定量の主要な受益者である。
この規格は,その責任を達成しようとする間,データ品質測定量を生成及び/又は使用する必要のある
人々が利用することを意図している。
− 取得者(供給者からデータを購入又は取得する個人又は組織)
− 評価者(評価を実施する個人又は組織。例えば,テスト研究所,組織の品質部門,政府組織,利用者)
− 開発者(要求事項,分析,設計,実装及びデータライフサイクルの間のデータのテストを含む開発作
業を実行する個人又は組織)
− 保守者(データの運用操作及び保守活動を実行する個人又は組織)
− 供給者(契約条件の下で,データ又はサービスを供給するために取得者と契約を取り交わす個人又は
組織)
− 利用者(特定の機能を実行するためにデータを利用する個人又は組織)
− 品質管理者(データの体系付けられた検査を実行する個人又は組織)
− 所有者(法的権限のもとでデータの管理及び財務的な価値に責任をもち,かつ,データに対する評価,
収集,アクセス,普及,保管,セキュリティ及び取消しの仕組みを確立するための責任をもつ個人又
は組織)
この規格は,対象実体のデータの広い範囲を対象とする。
例えば,次のような多くの種類の情報システムで適用される。
− レガシー情報システム
− データウェアハウス
− 分散情報システム
− 企業情報システム
− ワールド ワイド ウェブ(WWW)
次のものは,適用範囲外である。
− 知識表現
4
X 25024:2018 (ISO/IEC 25024:2015)
− データマイニング技術
− ランダムサンプルに対する統計的有意性
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO/IEC 25024:2015,Systems and software engineering−Systems and software Quality Requirements
and Evaluation (SQuaRE)−Measurement of data quality(IDT)
なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”
ことを示す。
2
適合性
データ品質の要求定義,実装又は評価のためのいかなる測定プロセスも,次のことを行わなければなら
ない。
a) JIS X 25012で規定されたように明示又は評価されたデータ品質特性を選択する。
b) データ品質特性を測定しなければならない対象実体を選択する。
c) 対象実体に関して各々のデータ品質特性に対して,箇条8で規定した適切なデータ品質測定量を選択
する。
d) データ品質測定量を修正する場合,いずれの変更に対しても根拠を提供する。
e) この規格に含まれないが,使用した品質測定量又はQMEがあれば,一覧表示する。
a)及びb)の順序は,逆に適用することができる。
変更したデータ品質測定量又は新しいデータ品質測定量を使用する場合には,利用者は対象実体,測定
方法及びJIS X 25012:2013又は他に使用された品質モデルに関連したデータ品質特性を明示しなければな
らない。この規格は,データライフサイクルの間に定義されたデータに関連した,品質測定量の完全な一
覧は提供していない。利用者は,適用された技術に応じて,他の何らかの品質測定量を識別してもよい。
この規格に含まれる幾つかの品質測定量が,経験的に検証されていなかったとしても,また,たとえそれ
らの一部が,業界において,まだ最高のものであると確認されていないとしても,この規格は,データ品
質測定量を改善するためのよい基盤であり,よい機会である。
3
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)は適用しない。
JIS X 25000:2017 システム及びソフトウェア製品の品質要求及び評価(SQuaRE)−SQuaREの指針
注記 対応国際規格:ISO/IEC 25000:2014,Systems and software engineering−Systems and software
Quality Requirements and Evaluation (SQuaRE)−Guide to SQuaRE(IDT)
JIS X 25012:2013 ソフトウェア製品の品質要求及び評価(SQuaRE)−データ品質モデル
注記 対応国際規格:ISO/IEC 25012:2008,Software engineering−Software product Quality
Requirements and Evaluation (SQuaRE)−Data quality model(IDT)
JIS X 25021:2014 システム及びソフトウェア製品の品質要求及び評価(SQuaRE)−品質測定量要素
注記 対応国際規格:ISO/IEC 25021:2012,Systems and software engineering−Systems and software
Quality Requirements and Evaluation (SQuaRE)−Quality measure elements(IDT)
5
X 25024:2018 (ISO/IEC 25024:2015)
4
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS X 25000:2017,JIS X 25012:2013及びJIS X 25021:2014によ
るほか,次による。
注記 SQuaREシリーズ及び他のJIS又はISO規格の重要な定義をここで再定義する。
4.1
アーキテクチャ(architecture)
(システムに関しては,)要素(4.19),関係並びに設計及び進化の原理で具体化された環境におけるシ
ステムの基本的な概念又は特徴(ISO/IEC 42010:2011)。
注記1 この規格で,“アーキテクチャ”という用語は,“データのアーキテクチャ”のときにはデー
タ(4.5)に関係する特定のシステムの全体像の表現と考えられる作業生産物となるアーキテ
クチャの特別な視点を表す。“データのアーキテクチャ”は,文脈スキーマ(4.4),概念デー
タモデル,論理データモデル,物理データモデル,データ辞書(4.6)及び文書のようなアー
キテクチャ要素を含む。実際には,ソフトウェア工学の初期から,データのアーキテクチャ
及びデータモデリングには,外部モデル(視点),概念的及び物理的な多くのレベルがある。
[ANSI/X3/SPARK 3層スキーマ・アーキテクチャ(1975)参照]。
注記2 “環境”という用語は開発的,技術的,事業的,運用操作的,組織的,政治的,経済的,法
的,規制的,環境保護的及び社会的影響を含むシステムへの全ての影響の設定及び環境を決
定する(システム)状況を参照するために,ISO/IEC 42010で使用される[この規格で,デ
ータモデル(4.10)が適用される(システム)状況は,文脈スキーマ(4.4)で表すことがで
きる。]。
注記3 ISO/IEC 42010の4.2.4の注記1では,“システムのアーキテクチャは,システムの基本的特
徴がそのアーキテクチャの複数の視点から最もよく理解された総合的な概念である。”となっ
ている。
4.2
属性(attribute)
人手又は自動的な手段によって,定量的又は定性的に識別できる固有の特性又は特徴(JIS X 25000:2017)。
4.3
コンピュータシステム(computer system)
コンピュータ(ハードウェア),関連するソフトウェア及びデータ(4.5)を含む,一つ以上の構成要素
及び要素(4.19)を含むシステム。
4.4
文脈スキーマ(contextual schema)
データモデル(4.10)が適用される利用状況の境界の正式の記述。
注記1 それは,事業の情報ニーズの高水準の記述である。それは,アーキテクチャ(4.1)の(シス
テム)状況の総合的な視点を含むので,概念モデル(4.10の注記1参照)よりも一般的であ
る。
4.5
データ(data)
情報の表現であって,通信,解釈又は処理に適する正式な方法で,再度情報として解釈できるもの。
注記1 データに対する処理は,人間又は自動的手段で行うことができる。
6
X 25024:2018 (ISO/IEC 25024:2015)
注記2 定義は,測定(4.27)の結果に関係するJIS X 25000中のデータに触れていない。
4.6
データ辞書(data dictionary)
データ(4.5)(例えば,名称,説明,作者,所有者,由来,異なる言語の翻訳,使用など)に関する情
報(4.21)を収集したもの。
4.7
データファイル(data file)
一つの単位として扱う,関連したデータレコード(4.15)の集合。
注記1 この規格では,データセットはデータファイルの同義語である。
4.8
データ様式(data format)
保管又は表示のためのデータ(4.5)の取決め。
注記1 様式は,データ型(4.16)及びデータ項目(4.9)の長さを参照することができる。
4.9
データ項目(data item)
定義,識別,許容値,及びその他の情報(4.21)が特徴の集合によって明示されるデータ(4.5),ある状
況の中における最小識別可能な単位(JIS X 25021:2014の附属書A)。
注記1 フィールドは,データ項目の同義語と考えられる。
注記2 データ項目は,データ値(4.17)の物理的な物体“入れ物”である。
4.10
データモデル(data model)
その使命,役割,目標,目的及び戦略を達成するため,並びに組織を管理し,格付けするために,組織
が必要とするデータ(4.5)を識別する分析のグラフ表現及び文章表現(ISO/IEC/IEEE 31320-2:2012の
3.1.44)。
注記1 高いものから低いものまで,異なる抽象化の水準でのデータを表現する場合に,概念モデル
(ある程度の工夫が関連する概念のモデル),論理モデル及び物理モデルを区別するのが普通
である。
注記2 データモデルが適用される利用状況の境界の正式な記述を文脈スキーマ(4.4)と呼ぶ。
注記3 データモデルは,実体,領域(属性)(4.2),及び他のデータとの関係(関連)を識別し,デ
ータの概念的な視点及びデータ間の関係を提供する。
4.11
データ品質(data quality)
指定された状況で使用するとき,明示されたニーズ及び暗黙のニーズをデータ(4.5)の特性が満足する
度合い(JIS X 25012:2013)。
4.12
データ品質特性(data quality characteristic)
データ品質(4.11)に影響を及ぼすデータ品質属性の種類(JIS X 25012:2013)。
4.13
データ品質測定量(data quality measure)
データ品質特性(4.12)の測定(4.27)の結果として,値が割り当てられる変数(JIS X 25012:2013)。
7
X 25024:2018 (ISO/IEC 25024:2015)
4.14
データ品質モデル(data quality model)
データ品質要求事項を仕様化し,データ品質(4.11)を評価するための枠組みを提供する特性の定義さ
れた集合(JIS X 25012:2013)。
4.15
データレコード(data record)
単位として扱われる関連したデータ項目(4.9)の集合(ISO/IEC 15289:2015)。
4.16
データ型(data type)
抽象的な取り得る値の集合,特性,及び属性(4.2)に対する操作の集合を分類したもの(JIS X 25012:2013)。
注記1 データ型の例は,文字列,テキスト,日付,数,イメージ,音などである。
4.17
データ値(data value)
データ項目(4.9)の内容。
注記1 JIS X 25012:2013の5.1.1において,“固有”の視点から,データ領域の値及び起こり得る制
限のように,データ(4.5)そのものをデータ品質(4.11)が参照することが明示されている。
注記2 測定(4.27)を行うことで対象実体(4.36)の属性(4.2)に割り当てられた数又は分類。
4.18
データベース管理システム(database management system)
構造化されたデータの体系的に収集されたもの。
注記1 データベース管理システム(DBMS)を使用するために,データモデル(4.10),データ定義
及び(データ)操作言語の観点から,データ(4.5)及びデータの相対的な運用操作を表現す
ることが必要である(表C.3.1参照)。
4.19
要素(element)
アーキテクチャ(4.1)のより小さい部分。
注記1 この規格では,この用語は,データモデル(4.10)又はデータ辞書(4.6)のような,データ
のアーキテクチャ及びコンピュータープログラムに関連して使用される。
4.20
形式(form)
データ(4.5)を収集するためのモジュール又は様式集。
注記1 紙面上のもの(紙の様式)又はデジタルなものでもよい。
4.21
情報(information)
情報処理の中で,事実,事象,事物,過程,着想などの対象物に関して知り得たことであって,概念を
含み,一定の状況中で特定の意味をもつもの。
注記1 情報は,情報を伝達するために,表現形式を必ずもっている。第一に関係があるのは,この
表現の解釈(意味)である(JIS X 25012:2013)。
4.22
情報項目(information item)
8
X 25024:2018 (ISO/IEC 25024:2015)
人間が使用するために生成され,保存され,伝えられる,個別に識別可能な情報(4.21)の本体。
注記1 情報製品と同義語である。
注記2 情報項目は,プロジェクトのデータライフサイクルの間に幾つかの版が作られる。
4.23
情報項目の内容(information item content)
情報項目(4.22)に含まれる情報(4.21)で,要求事項又はニーズを満たすためにシステム,製品又はサ
ービスに関連したもの(ISO/IEC 15289:2015)。
4.24
情報システム(information system)
人的資源,技術的資源,財務資源などの関連する組織上の資源とともに,情報を提供し配布する一つ以
上のコンピュータシステム及び通信システム(JIS X 25012:2013)。
4.25
マスタデータ(master data)
トランザクション処理を実行するために参照する必要があり,企業のために独立しており,かつ,基本
的である実体を記述する組織が保持するデータ(4.5)(ISO 22745-2:2010)。
注記1 企業のコア事業にとって不可欠である,マスタデータは,コンピュータシステム(4.3)のデ
ータのサブセットであり,識別され,分類され,かつ,管理される。
4.26
測定量(measure)
測定の結果として値が割り当てられる変数。
注記1 “測定値”という用語は,基本測定量,導出測定量及び指標をまと(纏)めて参照するため
に使う(JIS X 25010:2013)。
4.27
測定(measurement)
測定量(4.26)の値を決定するという目的をもった操作の集合(JIS X 25010:2013)。
4.28
測定関数(measurement function)
複数の品質測定量要素(4.32)を結合するために実行するアルゴリズム又は計算(JIS X 25021:2014)。
4.29
メタデータ(metadata)
他のデータを記述するデータ(4.5)(JIS X 25012:2013)。
4.30
プレゼンテーション装置(presentation device)
システムの意図された利用者にデータ(4.5)を提示するために使う装置。
4.31
品質測定量(quality measure)
品質測定量要素(4.32)の二つ以上の値の測定関数(4.28)として定義された測定値(4.26)(JIS X
25010:2013)。
4.32
品質測定量要素(quality measure element)
9
X 25024:2018 (ISO/IEC 25024:2015)
特徴及びその特徴を定量化するための測定方法に関して定義された測定量(4.26)。数学関数による任意
の変換を含む(JIS X 25021:2014)。
4.33
品質モデル(quality model)
品質要求事項の仕様化及び品質評価に対する枠組みを提供する,特性及び特性間の関係を定義した集合
(JIS X 25010:2013)。
4.34
リレーショナルデータベース管理システム(relational database management system)
リレーショナルデータベースを管理するためのシステム。
注記1 リレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)を使うために,特定の特性(テーブル
又は関係,ユニークキーなど)でデータ(4.5)を体系化するデータの関係モデルを表す必要
がある(表C.3.1参照)。
4.35
意味論(semantics)
言語の統語論的な構成要素の意味(ISO/IEC 31320-2:2012)。
4.36
対象実体(target entity)
利用者に関連する基本事項であって,それについての情報が保持され,測定を必要とするもの(JIS X
25021:2014)。
注記1 対象実体の可能な同義語は,情報製品及び作業生産物への入力である。
注記2 対象実体の例は,アーキテクチャ(4.1),文脈スキーマ(4.4),概念的データモデル,論理的
データモデル及び物理的データモデル,データ辞書(4.6),文書,データファイル(4.7),デ
ータベース管理,リレーショナルデータベース管理システム,形式(4.20)及びプレゼンテ
ーション装置(4.30)である。
注記3 対象実体を特徴によって厳密に定義する。特徴の例には,属性(4.2),データ様式(4.8),デ
ータ項目(4.9),データレコード(4.15),データ値(4.17),要素(4.19),情報(4.21),情
報項目(4.22),情報項目の内容(4.23),メタデータ(4.29)及び語彙(4.38)である。
4.37
タプル(tuple)
フィールド又はデータ項目(4.9)の集合。
注記1 タプルは,レコードの代わりに使用することができる。
4.38
語彙(vocabulary)
特定の領域に関連する用語の特定のサブセットに関連した情報(4.21)を収集したもの。
注記1 語彙は,一貫性を保ち,重複を避け,同義語を支援するために通常用いられる。
5
略語
この規格では,次の略語を使用する。
QM(Quality Measure):品質測定量
QME(Quality Measure Element):品質測定量要素
10
X 25024:2018 (ISO/IEC 25024:2015)
DLC(Data-Life-Cycle):データライフサイクル
DBMS(Database Management System):データベース管理システム
RDBMS(Relational Database Management System):リレーショナルデータベース管理システム
6
データ品質測定量の使用
6.1
データ品質測定の概念
システム及びソフトウェア品質の明示的ニーズ及び暗黙的なニーズは,システム及びソフトウェア製品
(以下,“製品”という。)の品質,利用時の品質及びデータ品質の特性で分類される,SQuaREシリーズ
の品質モデルで表される。データ品質特性の概念は,JIS X 25012:2013に規定され,データ品質を15の特
性に分類している。
関連するQMEによって,測定可能な品質に関するデータの特徴は,定量化のための特徴と呼ばれる。
これらの特徴は,測定方法を適用することによって測定される。測定方法は,明示された尺度について,
特徴の定量化のために使用する運用操作の論理的な順序である。品質を測定するための測定方法に測定関
数とともに適用される測定量をQMEと呼ぶ。
データ品質特性は,測定関数を適用することで定量化できる。測定関数は,QMEを結合するために使用
されたアルゴリズムである。測定関数を適用した結果は,QMを導き出す。このように,QMはデータ品
質特性の定量化となる。複数のQMをデータ品質特性(JIS X 25021:2014の図5参照)の測定のために使
用できる。
図2−品質モデル,QM,QME,定量化のための特徴,及び対象実体の関係
定義する
構成される
測定方法
測定関数
JIS X 25012
データ品質
モデル
JIS X 25010
システム及びソフト
ウェア品質モデル
QM(品質測定量)
QME
品質測定量要素
JIS X 25022,
JIS X 25023,
JIS X 25024
構成される
品質特性
構成される
品質副特性
測定
QME
QME(品質測定量要素)
定量化のための特徴
JIS X 25021
対象実体
11
X 25024:2018 (ISO/IEC 25024:2015)
図2は品質モデル,QM,QME,定量化のための特徴,及び対象実体の間の関係を示している。JIS X
25012:2013に規定されたデータ品質モデルに関して,矢印は次のことを示している。
− データ品質モデルは品質特性を概説する。
− 品質特性は,測定関数をQMEに適用することによって定義されるQMを使って評価できる。
− 各々のQMEは,定量化のために測定方法を特徴に適用することで定義される。
− 特徴は,関連した対象実体の属性である。
JIS X 25012:2013によると,データ品質は,“固有”の視点及び“システム依存”の視点から測定できる。
“固有”の視点からのデータ品質測定量は,特に次に示すように,データそのものに適用される。
− データ領域の値及び起こり得る制限(例えば,与えられたアプリケーション上の特性に対して要求さ
れた品質に影響を与えるビジネス上のルール)
− データ値の関係(例えば,一貫性)
− メタデータ
“システム依存”の視点からのQMは,コンピュータシステムの構成要素(例えば,ハードウェア装置,
コンピュータシステムソフトウェア及び他のソフトウェア)のデータに対する影響を定量化するために使
用してもよい。
データに関するQMは,他のQM及び品質の他の対象実体と相関関係をもつことが考えられる。データ
QMと“利用時の品質”及び“プロセス品質”に関係する他の型のQMとの間の関係を図3に示す。
図3−QMの型の間の関係
製品について考えると,開発プロセス及び保守プロセスの高い品質は,データの高い品質を実現できる。
さらに,データ品質は,最終ユーザが認識する効果を表す利用時の品質に影響を与える。
6.2
データ品質測定の進め方
この規格で規定するQMは,データに関係し,かつ,全てのDLCの段階及びその他のプロセスで利用
できる。例えば,次のようである。
− データ品質要求事項を確立する。
− データ品質を評価する。
データ
効果
開発プロセス
及び保守
プロセス
影響
する
プロセスのQM
(品質測定量)
プロセス
品質
“固有”の視点
からのQM
(品質測定量)
“システム依存”
の視点からの
QM(品質測定量)
利用時のQM
(品質測定量)
利用状況
依存
する
データ
品質
影響
する
依存
する
利用時の
品質
12
X 25024:2018 (ISO/IEC 25024:2015)
− データ統制プロセス,データ管理プロセス,データ文書化プロセスを支援し,実装する。
− ITサービス管理プロセスを支援し,実装する。
− データ品質の改善及び事業決定プロセスの効率を支援する。
− 調査プロセスの期間中に異なるデータ管理ソリューションのデータ品質をベンチマークする。
− 結果としてデータを生み出す,システム及び/又はソフトウェアの構成要素の品質を評価する。
DLCの各段階で,データ品質は,対象実体から特性を測ることによって評価できる。
この規格で,対象実体はDLCの作業生産物であり,対象実体は特徴によって厳密に定義される。
対象実体は,異なる型で表現され,それらは異なる技術を使って管理され,保存される。ときには,そ
れらは“紙ベース”であってもよい。
DLCの各段階がシステム及びソフトウェアライフサイクルのためであるので,対象実体は,DLCの各段
階のプロセスで生成及び/又は管理される。
DLCの例を図4に示す。
図4−DLCの例
次の対象実体を考慮する。
データ設計段階に関係する対象実体は,次のとおりである。
− アーキテクチャ
− 文脈スキーマ
− データモデル(概念的,論理的,物理的)
− データ辞書
− 文書
これらの対象実体に対して明示された特徴は,次のとおりである。
− 属性
− 要素
− 情報
− メタデータ
データ
処理
削除
プレゼン
テーション
データ保管
データ
設計
データ
収集
外部データ
の取得
データ
統合
他の用途
13
X 25024:2018 (ISO/IEC 25024:2015)
− 語彙
データ収集,外部データの取得,データ統合,データ処理,プレゼンテーション,その他の用途,デー
タ保管,削除などのDLCの他の段階に関連する対象実体は,次のとおりである。
− データファイル
− データベース管理システム(DBMS)
− リレーショナルデータ管理システム(RDBMS)
− 形式
− プレゼンテーション装置
これらの対象実体に対して明示された特徴は,次のとおりである。
− データ様式
− データ項目
− データ値
− 情報項目
− 情報項目の内容
− データレコード
この規格で一覧表示されたデータQMは,利害関係者の異なる活動に基づいて選択されたもので,次の
ものに関係がある。
− 組織による実利用
− 学術機関,専門家及び国が認定する規制機関からもたらされる革新的な展望
− 研究者による試験的な使用
7
データのためのQMを記述するための様式
箇条8で一覧表示されたデータQMは,JIS X 25012:2013のデータ品質特性によって分類されている。
各々のデータQMに対して,次の情報を提供する。
a) ID データQMの識別コード(又は識別子) 各IDは,次の三つの部分から構成される。
− 品質特性を表すアルファベットコードの略称
− データ品質特性の視点を示すI(“固有”)又はD(“システム依存”)で表す。
− データ品質特性の中で順番につけられた通し番号及び視点
b) 名称 データに関連したQM名
c) 説明 データQMによって提供される情報,及び(有用ならば)測定量の目的
d) 測定関数 QMを生成するためにQMEが構成される方法を示す数式
e) DLC,対象実体,特徴 DLCは,データQMEが適用できる段階,対象実体及びその特徴を含む。
f)
注記 注記には,測定値の許容範囲,他の規格への参照,説明若しくは解釈,判断基準,測定量を取
得するために使用する測定方法のような,追加情報(すなわち,自動ツール,カスタマイズされたソ
フトウェア,検査・監査・レビューのような活動など)を定義できる。
8
データQM(品質測定量)
8.1
一般
この規格は,DLCで識別した対象実体に関係付けられたQMEに測定関数を適用することによって,生
成されるデータQMの基本集合を規定する。
14
X 25024:2018 (ISO/IEC 25024:2015)
一般に,測定関数は,0.0〜1.0(又は1.0を超える)の範囲内の値に正規化する。すなわち,1.0に向か
って大きくなる値(又はより大きな値,例えば,上限値がない場合)は,よりよい品質のための要求事項
が徐々に満たされることを意味している。特定の場合については,値の説明を注記に記載している。
この箇条で規定したQMを,JIS X 25012:2013で紹介されたのと同じ順序で,JIS X 25012:2013で規定し
たデータ品質特性によって一覧表示している。JIS X 25012:2013に一覧表示したデータQMは,単に例と
して意図しているだけである。データQMについての更に広範囲に及ぶ一覧表をこの規格で示している。
とはいえ,これは,全てのデータQMを網羅した集合とは考えていない。この規格では,JIS X 25012:2013
に規定された全ての例は,JIS X 25012:2013の元の箇条を注記に引用しながら,必要な変更を加えて再度
取り上げている。JIS X 25012:2013との一貫性において,特定の利用状況及びDLCの段階に応じて,付随
するデータ品質特性と同様に,データQMは,異なる利害関係者に対して重要性及び優先度が異なってく
る。
同じQMEは,異なる修飾子を使って,複数のQMの中で考えることができる。同じQMを,幾つかの
実体に対して考えることができる。
この箇条では,“測定量”という語は,特に説明がない限りは,常にQMを指している。
QM及びQMEに関連して,追加の情報及び要約した表を次の附属書に記載する。
附属書Aは,データQMの定義に使用するQMEを記載する。
附属書Bは,各QME及び対象実体に対して,対応するQMを記載する。
附属書Cは,QMEの参照事項を記載する。
附属書Dは,五十音順で一覧表示されたQMを記載する。
附属書Eは,データ品質特性及び対象実体に対するQM識別子を記載する。
8.2
正確性のQM
正確性の測定量は,“特定の利用状況において,意図した概念又は事象の属性の真の値を正しく表現する
属性をデータがもつ度合い”を規定する(表1参照)。
正確性は,“固有”の視点だけから測定することができる。正確性は,場合によっては,その値が妥当性
確認された情報の識別された情報源に一致するということを意味する。
表1−正確性の測定量:“固有”の視点
ID
名称
説明
測定関数
DLC
対象実体
特徴
Acc-I-1
構文的なデ
ータ正確性
領域内で定義された
値の集合に対するデ
ータ値の近さの比率
X=A/B
A=構文的に正確な,関係する値をもつデ
ータ項目の数
B=構文的な正確性を要求されるデータ
項目の数
データ設計を除く全て
のDLC
データファイル
データ項目,データ値
注記1 妥当性確認された情報をもつ識別された情報源と同一であるとき,一つの値は,“構文的に正確である。”
と考えられる。正確性の結果は,“はい”又は“いいえ”のいずれかとなる。
注記2 構文的な正確性の度合いが低い例は,“Mary”という単語が“Marj”として保存されるときのことである。
注記3 JIS X 25012:2013の5.3.1.1参照。
15
X 25024:2018 (ISO/IEC 25024:2015)
表1−正確性の測定量:“固有”の視点(続き)
ID
名称
説明
測定関数
DLC
対象実体
特徴
Acc-I-2
意味論的な
データ正確
性
特定の状況で意味論
的な観点から,デー
タ値がどのくらい正
確であるかの比率
X=A/B
A=意味論的に正確なデータ値の数
B=意味論的な正確性を要求されるデー
タ値の数
データ設計を除く全て
のDLC
データファイル
データ値
注記1 意味(内容)が現実に合致するとき,一つの値は,“意味論的に正確である。”と考えられる。
注記2 意味論的な正確性の度合いが低い例は,“George”の代わりに“John”という名前が記録されるときのこと
である。両方の名前は,構文的に正しく,それゆえ“George”だけが意味論的に正しい。
注記3 JIS X 25012:2013の5.3.1.1参照。
Acc-I-3
データ正確
性の保証
正確なデータに対す
る測定網羅性の比率
X=A/B
A=正確性を測定したデータ項目の数
B=正確性の測定を必要とするデータ項
目の数
データ設計を除く全て
のDLC
データファイル
注記 生データに適用する場合,特にデータエラーを減らすためのソフトウェアプログラムが利用できない場合,
この測定量は,データ品質の制御に関連する。このQMは,データの品質を測定するのではないが,正確性
の測定量の完璧さ及び有用性を測定する。これは,正確性の問題にどれだけ注意を向けているかの測定量で
ある。
Acc-I-4
データセッ
ト不正確性
のリスク
値の中の外れ値の数
は,データセットの
中のデータ値につい
ての不正確性のリス
クを示す。
X=A/B
A=外れ値であるデータ値の数
B=データセットの中で考慮されるデー
タ値の数
データ設計を除く全て
のDLC
データファイル
データ値
(不正確性のリスクを軽減するため,外れ値を人又は道具によって確認しなければならない。)
注記1 外れ値:それ以外の値から数値上離れた値。外れ値は,例外値である。外れ値は,異なる方法で計算する
ことができる(C.1参照)。
注記2 例えば,同じ現象に関する値の次の分布(100,105,120,80,75,60,130,2000)において,最後の場
合(2000)は,検証するにはうってつけの外れ値を表している。
注記3 Xは小さい方がよりよい。
Acc-I-5
データモデ
ル正確性
データモデルは,要
求された正確性でシ
ステムを記述する。
X=A/B
A=システムを正確に記述するデータモ
デルの構成要素の数
B=システムの要求事項仕様書内で要求
された正確性を記述するデータモデルの
構成要素の数
データ設計
データモデル
構成要素
注記1 このQMは,データモデルの総合評価から導き出される。
注記2 このQMは,データモデルの意図した利用者の主観的な意見に基づく。このQMは,利用者のニーズ及び
目標に対するデータモデルという作成物の(正確性に関する)品質を反映する。
注記3 このQMは,抽象化の同じ水準でシステムを記述するデータモデル(データモデルの定義は,4.10で規定。)
に関連するものであって,同じ状況に関連しており,同じ表現技術で開発されたものである。
注記4 データモデルAの正確性は,例えば,以前のデータモデルBと比較したときに,仕様書内の要求事項に対
して,適切で,かつ,詳細な図表現に依存する。
注記5 データモデルが4.10に定義された対象に関してシステムを記述することを意図している。
注記6 一般に,0<X(X=1がよりよい。)。
注記7 表A.5及び表B.1を参照。
16
X 25024:2018 (ISO/IEC 25024:2015)
表1−正確性の測定量:“固有”の視点(続き)
ID
名称
説明
測定関数
DLC
対象実体
特徴
Acc-I-6
メタデータ
正確性
メタデータは,要求
された正確性でデー
タを記述している
か。
X=A/B
A=適切な要求された情報を提供するメ
タデータの数
B=データの要求事項仕様書内に定義さ
れたメタデータの数
データ設計
データ辞書
メタデータ
注記1 メタデータの正確性は,地理情報(処理)システムのGISデータモデル又は医療に関するeヘルスで使用
されるデータのような重大なデータに関連している。データはDLCに従って変化するので,説明でき,か
つ,有用なデータを必要とする多くの当事者によって使用される。
注記2 メタデータの正確性は,データについての要求事項設計仕様書によって検証することができる。
注記3 メタデータの正確性の基準は,利害関係者からのデータの要求仕様書に基づいた要求された情報をメタデ
ータが提供し,かつ,データの意味及び特徴を正確に説明するための文書類を含む度合いである。
注記4 表A.8及び表B.2参照。
注記5 eヘルスとは,インターネットを使用した医療情報の交換,遠隔治療などをいう。
Acc-I-7
データ正確
性範囲
データ値は要求され
た区間内に収まる
か。
X=A/B
A=明示された区間(すなわち,最小から
最大までの範囲)に含まれる値をもつデ
ータ項目の数
B=要求された区間で値を定義すること
ができるデータ項目の数
データ設計を除く全て
のDLC
データファイル
データ項目,データ値
注記 要求される値は,システムの要求事項仕様書に定義することができる。受入れ可能な区間の値は,管理上の
判断,又はQMの情報若しくは自然現象の観察をもとにした統計的な分析によって決定される。
8.3
完全性のQM
完全性の測定量は,“特定の利用状況において,対象実体に関連したデータが,対象実体の全ての関係す
る特徴に対して,期待された値をもつ度合い”を規定する(表2参照)。
完全性は,“固有”の視点だけから測定することができる。完全性は,一つの属性について,又はレコー
ド若しくはメッセージ内の他の複数の属性の値を測定することができる。完全性は,例えば,多くの場合,
次のことに関連している。
− 全てのレコードにわたって,一つの属性が存在することを測定すること。
− 一つのレコードに複数の属性が存在することを測定すること。
− データファイルの中に複数のレコードが存在していることを測定すること。
表2−完全性の測定量:“固有”の視点
ID
名称
説明
測定関数
DLC
対象実体
特徴
Com-I-1
レコード完
全性
データファイル内の
レコードのデータ項
目の完全性
X=A/B
A=レコード内にある,無効値(null)で
ない関連した値をもつデータ項目の数
B=完全性が測定できるレコード内のデ
ータ項目の数
データ設計を除く全て
のDLC
データファイル
レコード,データ項目,
データ値
注記 このQMは,レコードの異なる集合に対して,完全性の平均値を計算するために使用できる。
17
X 25024:2018 (ISO/IEC 25024:2015)
表2−完全性の測定量:“固有”の視点(続き)
ID
名称
説明
測定関数
DLC
対象実体
特徴
Com-I-2
属性完全性 データファイル内の
データ項目の完全性
X=A/B
A=特定のデータ項目に対して無効値
(null)でない関連した値をもつレコード
の数
B=数え上げたレコードの数
データ設計を除く全て
のDLC段階
データファイル
レコード,データ項目,
データ値
Com-I-3
データファ
イル完全性
データファイル内の
期待されているレコ
ードの完全性
X=A/B
A=データファイルに含まれるレコード
の数
B=(データファイルに含まれることが)
期待されているレコードの数
データ設計を除く全て
のDLC
データファイル
レコード
Com-I-4
データ値完
全性
データファイル内の
データ項目の値の完
全性
X=A/B
A=データファイル内のデータ項目に対
して,期待されている値と結び付くデー
タ値の数
B=データファイル内のデータ項目に対
して,期待されているデータ値の数
データ設計を除く全て
のDLC
データファイル
データ項目,データ値
注記 JIS X 25012:2013の5.3.1.2参照。
Com-I-5
データファ
イル内の空
レコード
データファイル内の
レコードの誤り完全
性
X=A/B
A=全てのデータ項目が空であるレコー
ドの数
B=データファイル内のレコードの数
データ設計を除く全て
のDLC
データファイル
レコード,データ項目
注記 レコードは存在するが,空である。
Com-I-6
概念データ
モデル完全
性
文脈スキーマに対し
て,概念データモデ
ル内に記述された実
体の完全性
X=A/B
A=概念データモデルの実体の数
B=文脈スキーマに完全に記述された概
念データモデルの実体の数
データ設計
文脈スキーマ,概念デ
ータモデル
実体
注記1 このQMは,概念データモデルの意図した利用者の主観的な観点に基づいている。このQMは,利用者の
ニーズ,及び現在又は将来の目標に対するこの(概念データモデルという)作成物の(完全性に関する)
品質を反映する。
注記2 文脈スキーマの完全性は,そのスキーマが類似する現実世界又は将来の進化を表現する程度を特徴付ける。
文脈は,次の影響を含むシステムに対する全ての影響によって決定される。その影響とは,開発的,技術
的,事業的,運用操作的,組織的,政策的,経済的,法的,規制的,環境保護的及び社会的な影響をいう。
概念モデルの完全性は,モデルに含まれる実体の存在及び/又は不在を特徴付ける。
注記3 このQMは,属性を考慮していない。
注記4 一般に,0<X(X=1がよりよい)。0と1との間の値は,概念データモデル(A)の実体の数が欠如してい
ること又は完全な文脈スキーマについて部分的に考慮していることを示す。一方,1より大きい値は,文脈
スキーマを完全に記述する概念データモデル(B)と比較して,概念データモデル(A)の過剰な記述を示
すことができる。この種の状況は,概念データモデル(A)の仕様の過剰であるかもしれない。
注記5 表A.6及び表B.1参照。
18
X 25024:2018 (ISO/IEC 25024:2015)
表2−完全性の測定量:“固有”の視点(続き)
ID
名称
説明
測定関数
DLC
対象実体
特徴
Com-I-7
概念データ
モデル属性
完全性
概念データモデルに
対して定義された属
性の完全性
X=A/B
A=概念データモデルで定義された属性
の数
B=文脈スキーマを完全に記述した概念
データモデルで定義された属性の数
データ設計
文脈スキーマ,概念デ
ータモデル
属性
注記1 このQMは,概念データモデルの意図した利用者の主観的な意見に基づいている。このQMは,利用者の
ニーズ及び現在の目標に対するこの(概念データモデルという)作成物の(完全性に関する)品質を反映
する。
注記2 例えば,概念データモデルにおける“属性”は,“国,市,町,及び丁目番地”という住所に関係している
が,利用状況において,“属性”は必要であり,地理上の位置確認パラメータを定義している。
注記3 属性の意味は,4.2の定義による。
注記4 一般に,0<X(X=1がよりよい)。0と1との間の値は,概念データモデル(A)の属性の数の欠如を表す。
一方,1より大きい値は,概念スキーマを完全に記述する概念データモデル(B)と比較すると,概念デー
タモデル(A)の属性の過剰な記述を示すことができる。この種の状況は,概念データモデル(A)の属性
の仕様の過剰であるかもしれない。
Com-I-8
メタデータ
完全性
メタデータに対する
属性の完全性
X=A/B
A=データ辞書内で完全なメタデータを
もつ属性の数
B=データ辞書内でメタデータが期待さ
れる属性の数
データ設計
データ辞書
メタデータ
注記1 属性の意味は,4.2の定義による。
8.4
一貫性のQM
一貫性の測定量は,“特定の利用状況において,矛盾がないという属性及び他のデータと首尾一貫してい
るという属性をデータがもつ度合い”を規定する(表3参照)。それらは,一つの対象実体に関するデー
タ間,及び比較可能な対象実体に対する類似データにわたる,いずれか又は両方であることができる。
一貫性は,“固有”の視点だけから測定することができる。一貫性は,同一のシステム又は異なるシステ
ムにおいて,ただ一つのコンピュータシステム又は複数のコンピュータシステムに関連して測定すること
ができる。
測定の状況は,時間(すなわち,データの一時的な連続)及びスペース(すなわち,異なるシステム又
は同一のシステム内のデータの異なる情報源)の観点から異なるようにすることができる。
19
X 25024:2018 (ISO/IEC 25024:2015)
表3−一貫性の測定量:“固有”の視点
ID
名称
説明
測定関数
DLC
対象実体
特徴
Con-I-1
関連するイ
ンテグリテ
ィ
表の一つの属性の各
値に対して,異なる
表中で同じ属性の同
じ値が存在する。
すなわち,異なる表
に表された同じ属性
の相互間には関連性
があり,それらは同
じ値を含む。
X=1−A/B
A=値が矛盾するデータ項目の数
B=関連するインテグリティが定義され
なければならないデータ項目の数
データ設計を除く全て
のDLC
データファイル,
RDBMS
データ項目,データ値
注記1 RDBMについての代替記述:外部キーを宣言した表中のどの欄も,ヌル値又は親表の主キーからの値だけ
のいずれかを含むことができる。
注記2 データ項目は,同じデータファイル内にあるか,又は同じデータ項目が異なる表若しくはデータファイル
内にあるが,同じ主キー値によってレコードと関係するときにある。
Con-I-2
データ様式
一貫性
同じデータ項目のデ
ータ様式の一貫性
X=A/B
A=異なるデータファイル内で,全ての特
徴の様式が首尾一貫しているデータ項目
の数
B=様式の一貫性が定義されているデー
タ項目の数
データ設計を除く全て
のDLC
データファイル
データ項目
注記 この測定量は,同じシステム又は異なるシステム中で,同じデータ項目に適用可能である。
Con-I-3
データ不一
致のリスク
データ値の重複に起
因する不一致のリス
ク
X=A/B
A=値の重複が存在するデータ項目の数
B=考慮されるデータ項目の数
データ設計を除く全て
のDLC
データファイル
レコード,データ項目,
データ値
注記1 リスクは,重複の数に比例すると考えられる(C.2参照)。
注記2 複数の表がある場合:
A=ΣjΣiDij(j=1〜T)
ここに,Dij =(表jの列i中に)発見された重複の数(C.2参照)
B=Σjmj×nj/T(j=1〜T)
ここに, T =表の数
mj =表jの行の数
nj =表jの列の数
言い換えれば,次のようになる。
B=[表1の(行×列)…+表nの(行×列)]/表の数
注記3 Xは小さいほどよりよい(C.2の例参照)。
Con-I-4
アーキテク
チャ一貫性
アーキテクチャの構
成要素が参照された
アーキテクチャの構
成要素に一致してい
る度合い
X=A/B
A=実装されたアーキテクチャ内で参照
された構成要素に一致するアーキテクチ
ャの構成要素の数
B=参照されたアーキテクチャの構成要
素の数
データ設計
アーキテクチャ
構成要素
注記1 例えば,データ辞書の構成要素は,概念データモデル内の構成要素と一致しない。
注記2 一貫性の特別な事例は,同義語によって表される。すなわち,データを定義するために特定の分野で使用
される用語の語彙集は,重複を避けるために有用であるかもしれない。
注記3 表A.5及び表B.1を参照。
20
X 25024:2018 (ISO/IEC 25024:2015)
表3−一貫性の測定量:“固有”の視点(続き)
ID
名称
説明
測定関数
DLC
対象実体
特徴
Con-I-5
データ値一
貫性網羅率
データ値の一貫性測
定の網羅率
X=A/B
A=データ値の一貫性測定で考慮される
データ項目の数
B=一貫性が測定されるデータ項目の数
データ設計を除く全て
のDLC
データファイル
データ項目,データ値
注記 QMはデータの品質を測定しないが,一貫性測定量の完璧さ及び有用性を測定する。
Con-I-6
意味論的な
一貫性
意味論的な規則を遵
守する度合い
X=A/B
A=データファイル内で値が意味論的に
正しいデータ項目の数
B=意味論的な規則が定義されているデ
ータ項目の数
データ設計を除く全て
のDLC
データファイル
データ項目,データ値
注記1 例 従業員の生年月日は,“雇入れ日”より遅くなることはない。
注記2 JIS X 25012:2013の5.3.1.3参照。
8.5
信ぴょう(憑)性のQM
信ぴょう(憑)性の測定量は,“特定の利用状況において,利用者によって真で,かつ,信頼できるとみ
なされる属性をデータがもつ度合い”を規定する(表4参照)。
信ぴょう(憑)性は,“固有”の視点だけから測定することができる。
表4−信ぴょう(憑)性の測定量:“固有”の視点
ID
名称
説明
測定関数
DLC
対象実体
特徴
Cre-I-1
値の信ぴょ
う(憑)性
情報項目が真実で,
本物で,かつ,信用
できる値とみなせる
度合い
X=A/B
A=特定のプロセスによって,値が妥当性
確認及び/又は保証される情報項目の数
B=妥当性確認及び/又は保証される情
報項目の数
全てのDLC
全ての対象実体
情報項目内容,データ
値
注記1 QMは,データ項目(許容可能な値)に適用可能であり,レコード,データファイルなどの信ぴょう(憑)
性を評価するために拡張することができる。
注記2 QME-Aは,外れ値の検証を含む(Acc-I-4参照)。
注記3 特定のプロセスは,“固有”の視点からQMを参照し,異なる情報源の評価を含むことができる。
注記4 JIS X 25012:2013の5.3.1.4参照。
注記5 表A.7及び表B.2参照。
Cre-I-2
情報源信ぴ
ょう(憑)
性
適格性が確認された
組織によって値が提
供される度合い
X=A/B
A=適格性が確認された組織によって提
供されるか,妥当性確認及び/又は保証
されたデータ値の数
B=情報源信ぴょう(憑)性を定義するこ
とができるデータ値の数
データ収集,外部デー
タ取得
データファイル
データ値
注記 正当なデータ所有者によって提供又は妥当性確認されたデータ値は,保証されたデータ値と考えられる。
Cre-I-3
データ辞書
信ぴょう
(憑)性
データ辞書が信用で
きる情報を提供する
度合い
X=A/B
A=値が特定のプロセスで妥当性確認及
び/又は保証される情報項目の数
B=データ辞書中の情報項目の数
データ設計
データ辞書
情報項目内容,データ
値
注記 表A.7及び表B.2参照。
21
X 25024:2018 (ISO/IEC 25024:2015)
表4−信ぴょう(憑)性の測定量:“固有”の視点(続き)
ID
名称
説明
測定関数
DLC
対象実体
特徴
Cre-I-4
データモデ
ル信ぴょう
(憑)性
データモデルが信用
できる情報を提供す
る度合い
X=A/B
A=特定のプロセスで妥当性確認及び/
又は保証された適切な定義をもつデータ
モデルの構成要素の数
B=データモデルの構成要素の数
データ設計
データモデル
構成要素
注記 表A.5及び表B.1参照。
8.6
最新性のQM
最新性の測定量は,“特定の利用状況において,データが最新の値である属性をもつ度合い”を規定する
(表5参照)。
最新性は,“固有”の視点だけから測定することができる。
表5−最新性の測定量:“固有”の視点
ID
名称
記述
測定関数
DLC
対象実体
特徴
Cur-I-1
更新頻度
要求された頻度でデ
ータ項目が更新され
る度合い
X=A/B
A=要求された頻度で更新されたデータ
項目の数
B=更新頻度の要求事項があるデータ項
目の数
データ統合,データ処
理,データ保存
データファイル
データ項目
注記1 例えば,更新の頻度は,“毎日”にすることができる。
注記2 測定関数の“A”は,要求された頻度よりも高い頻度でも有効である。
注記3 JIS X 25012:2013の5.3.1.5参照。
Cur-I-2
更新の適時
性
データ項目が適時に
更新される度合い
X=A/B
A=適時に更新されたデータ項目の数
B=更新を必要とするデータ項目の数
データ統合,データ処
理,データ保存
データファイル
データ項目
(更新の適時性は,要求事項を参照しなければならない。)
Cur-I-3
公式更新項
目要求事項
公式の更新データ項
目の頻度要求が存在
する度合い
X=A/B
A=公式更新要求事項がある情報項目の
数
B=公式更新要求事項が必要な情報項目
の数
全てのDLC
全ての対象実体
情報項目内容,データ
値
注記 表A.7及び表B.2参照。
8.7
アクセシビリティのQM
アクセシビリティの測定量は,“特に,幾つかの身体障害が原因で,支援技術又は特別の機器構成を必要
とする人々が,特定の利用状況において,データにアクセスできる度合い”を提供する(表6.1及び表6.2
参照)。
アクセシビリティは,“固有”及び“システム依存”の両方の視点から測定する。
22
X 25024:2018 (ISO/IEC 25024:2015)
表6.1−アクセシビリティの測定量:“固有”の視点
ID
名称
説明
測定関数
DLC
対象実体
特徴
Acs-I-1
ユーザアク
セシビリテ
ィ
意図した利用者によ
って,データ値が利
用可能と考えられる
度合い
X=A/B
A=特定の利用状況内で,意図した利用者
によって利用可能な値をもっている,利
用者の作業に関連するデータ項目の数
B=利用状況内における,仕様への適合に
おいて利用可能であることを要求される
値をもっている,利用者の作業に関連す
るデータ項目の数
データ収集,外部デー
タ取得,プレゼンテー
ション
文書,形式,プレゼン
テーション装置
データ項目,データ値
情報項目(例えば,イ
メージ,音声又は音)
注記1 データ項目アクセシビリティの特別な事例では,紙形式又はスクリーンを参照することができる。技術は,
スクリーンに対するスクリーンリーダ(支援技術)のような特定のソフトウェアを通して利用者を支援す
ることができる。
注記2 例 スクリーンリーダによって管理されたデータ(又はテキスト)は,イメージとして保存することはで
きない。
注記3 JIS X 25012:2013の5.3.2.1参照。
表6.2−アクセシビリティの測定量:“システム依存”の視点
ID
名称
説明
測定関数
DLC
対象実体
特徴
Acs-D-1
装置アクセ
シビリティ
特定の装置(例えば,
テキスト表現をもつ
音声又は音)によっ
てアクセシビリティ
が許される度合い
X=A/B
A=意図した利用者によって特定の装置
を通して利用可能な値をもつデータ項目
の数
B=装置のアクセシビリティを定義する
ことができるデータ項目の数
データ収集,外部デー
タ取得,プレゼンテー
ション
文書,形式,プレゼン
テーション装置
データ項目,データ値,
データ様式,情報項目
(例えば,イメージ,
音声又は音)
注記1 これは,面談又は質問表によって検証することができる。
注記2 JIS X 25012:2013の5.3.2.1参照。
Acs-D-2
データ様式
アクセシビ
リティ
特定の様式が原因で
意図した利用者がデ
ータ又は情報を利用
できない度合い
X=1−A/B
A=様式が原因で利用できないデータ項
目の数
B=様式アクセシビリティが定義されて
いるデータ項目の数
データ収集,外部デー
タ取得,プレゼンテー
ション
文書,形式,プレゼン
テーション装置
データ項目,データ様
式,情報項目(例えば,
イメージ,音声又は音)
注記1 例えば,その装置で対応していない様式であるため,スクリーンリーダで利用できないPDFで書かれた文
書の数。
注記2 これは,面談又は質問表によって検証することができる。
注記3 情報を利用できないようにするために費やされる時間(労力)は,Eff-D-2で測定することができる。
23
X 25024:2018 (ISO/IEC 25024:2015)
8.8
標準適合性のQM
標準適合性の測定量は,“特定の利用状況において,データ品質に関係する,規格,協定又は規範,及び
類似の規則を遵守する属性をデータがもつ度合い”を規定する(表7.1及び表7.2参照)。
標準適合性は,“固有”及び“システム依存”の視点の両方から測定することができる。
表7.1−標準適合性の測定量:“固有”の視点
ID
名称
説明
測定関数
DLC
対象実体
特徴
Cmp-I-1
値及び/又
は様式の規
制標準適合
性
データ値及び/又は
様式が特定の規格,
協定又は規制に適合
する度合い
X=A/B
A=規格,協定又は規制に適合する値及び
/又は様式をもつデータ項目の数
B=その値に起因して,規格,協定又は規
制に適合しなければならないデータ項目
の数
データ設計を除く全て
のDLC
全ての対象実体
データ項目,データ値,
様式
注記 JIS X 25012:2013の5.3.2.2参照。
表7.2−標準適合性の測定量:“システム依存”の視点
ID
名称
説明
測定関数
DLC
対象実体
特徴
Cmp-D-1 技術に起因
する規制標
準適合性
データ項目が特定の
規格,協定又は規制
に適合する度合い
X=A/B
A=技術に起因して,規格,協定又は規制
に適合するデータ項目の数
B=技術に起因して,規格,協定又は規制
に適合しなければならないデータ項目の
数
全てのDLC
全ての対象実体
データ項目
注記 JIS X 25012:2013の5.3.2.2参照。
8.9
機密性のQM
機密性の測定量は,“特定の利用状況において,承認された利用者だけが利用でき,解釈できることを保
証する属性をデータがもつ度合い”を規定する(表8.1及び表8.2参照)。
機密性は,“固有”及び“システム依存”の視点の両方から測定することができる。
表8.1−機密性の測定量:“固有”の視点
ID
名称
説明
測定関数
DLC
対象実体
特徴
Cnf-I-1
暗号化使用
率
データ値が暗号化の
要求事項を満たして
いる度合い
X=A/B
A=正確に,かつ,成功裏に暗号化及び復
号化されたデータ値の数
B=暗号化及び復号化の要求事項がある
データ値の数
全てのDLC
全ての対象実体
データ値
注記1 JIS X 25012:2013の5.3.2.3参照。
注記2 対象となるデータ値の例は,個人情報又は部外秘情報に限定されない。すなわち,その他の情報は,シス
テムの仕様書及び/又は要求事項,又は法規若しくは規制への適合性に基づいて暗号化することができる。
24
X 25024:2018 (ISO/IEC 25024:2015)
表8.2−機密性の測定量:“システム依存”の視点
ID
名称
説明
測定関数
DLC
対象実体
特徴
Cnf-D-1
非ぜい(脆)
弱性
機密であると定義さ
れたデータ項目を承
認された利用者だけ
が利用できる度合い
X=1−A/B
A=特定の期間中に,形式的な侵入を試み
ている承認されていない利用者が,対象
データに到達することに成功したアクセ
スの数
B=特定の期間中に承認されていない利
用者が試みた対象データ項目へのアクセ
スの数
全てのDLC
全ての対象実体
データ項目
注記 JIS X 25012:2013の5.3.2.3参照。
8.10 効率性のQM
効率性の測定量は,“特定の利用状況において,適切な量及び種類の資源を使用することによって処理す
ることができ,期待された水準の性能を提供できる属性をデータがもつ度合い”を規定する(表9.1及び
表9.2参照)。
効率性は,“固有”及び“システム依存”の視点の両方から測定することができる。
表9.1−効率性の測定量:“固有”の視点
ID
名称
説明
測定関数
DLC
対象実体
特徴
Eff-I-1
効率的なデ
ータ項目様
式
利用者が効率的に運
用操作を実行するこ
とができるデータ様
式を使用する比率
X=A/B
A=効率的だと認められた様式に保存さ
れたデータ項目の数
B=効率的な運用操作のために様式が試
験されたデータ項目の数
データ統合,データ処
理,データ保存
データファイル
データ項目,データ様
式
注記1 JIS X 25012:2013の5.3.2.4参照。
注記2 様式が効率的であることの認定は,国際規制機関又は国が認定する規制機関から得られたり,試験の結果
から得られたりなどする。
Eff-I-2
使用可能効
率性
利用者が容易に運用
操作を実行すること
ができるデータ値の
比率
X=A/B
A=意図した利用者が“容易に使用でき
る”と評価するデータ値の数
B=利用者が評価するデータ値の数
データ取得,プレゼン
テーション形式,プレ
ゼンテーション装置
データ値,情報項目内
容
注記1 例えば,幾つかの国では,マイルの方がキロメートルより使いやすい。
注記2 これは,面談又は質問表によって検証することができる。
注記3 “容易に使用できる”ということは,経験のある利用者及び未熟な利用者が作業を実行するために必要と
する時間を比較することによって評価できる。両者の時間に差がない方がよい。
25
X 25024:2018 (ISO/IEC 25024:2015)
表9.2−効率性の測定量:“システム依存”の視点
ID
名称
説明
測定関数
DLC
対象実体
特徴
Eff-D-1
データ様式
効率性
データ様式の定義に
起因する不必要なス
ペース占有率
X=1−A/B
A=データ様式の定義に起因する不必要
に占有されたデータファイル中のレコー
ドのバイト数
B=データ様式の定義に起因するデータ
ファイル中のレコードのバイト数
データ保存
データファイル
レコード,データ様式
注記 同一の明示された条件下で,同じ結果又はよりよい結果を生み出すことによって,技術的な代替案が可能で
あるという検証から,不必要なスペースは導出される。
Eff-D-2
データ処理
効率性
データ項目表現(デ
ータ様式)に起因す
る失った作業時間
X=1−A/B
A=作業中に,データ項目表現(データ様
式)に起因する失った時間
B=処理時間
データ処理,データ保
存
データファイル
データ項目,データ様
式
注記1 QM値の範囲は,特定の利用状況によって変化する。
注記2 処理は,自動又は手動で実施することができる。
注記3 情報を得るために失った時間に関して,QMは,Acs-D-2と連動して使用することができる。
注記4 時間は,期間の観点から意図される(附属書A参照)。
Eff-D-3
浪費スペー
スのリスク
ベンチマークに従っ
て評価された平均ス
ペースと比較した浪
費スペース
X=SUM(B)−A
A=データベースの効率的なデータ保管
に対して,目標(すなわち,ベンチマー
クに従って評価された目標)とみなされ
るバイト数
B=データベースの物理的データファイ
ル中でデータに使用されたバイト数
データ保存
データファイル,
DBMS
レコード
注記1 QMは,データ項目の重複に対しても使用できる(Eff-D-4参照)。
注記2 JIS X 25012:2013の5.3.2.4参照。
注記3 Xは小さい方がよりよい。
Eff-D-4
レコード重
複によって
占有された
スペース
レコード重複スペー
スは,スペース重複
したレコードで占有
されたスペースより
大きい。
X=A/B
A=データファイルの中でレコード重複
に起因して占有されたスペースのバイト
数
B=同じデータファイルの中で重複しな
いレコードに起因して占有されたスペー
スのバイト数
データ保存
データファイル,
DBMS
レコード
注記1 重複問題は,キー制限の定義を許可していないデータファイルに対して,より一層強く関係している。
注記2 例えば,重複による典型的な費用は,顧客情報が顧客データベースに一度以上保存されている場合,顧客
に何かを郵送するときに発生する追加の郵送費用である。次の例は,顧客データベースにおいて,間違っ
て異なる人と考えられた,顧客の重複の例である。
− クラーク・ジョセフ・ケント,ニューヨーク
− クラーク・J・ケント,NY
これらのレコードの一つは,削除できる。
注記3 結果の値は,1から無限大まで変化することができる。小さければよりよい。
26
X 25024:2018 (ISO/IEC 25024:2015)
表9.2−効率性の測定量:“システム依存”の視点(続き)
ID
名称
説明
測定関数
DLC
対象実体
特徴
Eff-D-5
データ更新
の時間遅延
(システムAがシス
テムBに値を提供し
なければならないと
き)システムAでデ
ータ項目の値を変更
する時間とシステム
Bで同じデータ項目
の値を変更する時間
との間の遅延時間
X=t2−t1
t1=システムAでデータ項目が更新され
た時間
t2=システムBでデータ項目が更新され
た時間
データ統合,データ処
理,データ保存,削除
データファイル
データ項目,データ値
注記1 Xは,ゼロから無限大まで変わることができる。小さい方がよりよい。
注記2 このQMの測定値の集合は,データ項目の平均更新時間を導入するために適用することができる。例えば,
データ項目の平均更新時間:Y=(Σ Xi/n),i=1〜n,n=データ項目の更新の回数
データセットの全てのデータ項目の平均更新時間:Z=(Σ Yi/m),i=1〜m,m=全てのデータ項目の更新の
回数
8.11 精度のQM
精度の測定量は,“正確な属性,又は特定の利用状況において弁別を提供する属性をデータがもつ度合
い”を規定する(表10.1及び表10.2参照)。
精度は,“固有”及び“システム依存”の視点の両方から測定することができる。
表10.1−精度の測定量:“固有”の視点
ID
名称
説明
測定関数
DLC
対象実体
特徴
Pre-I-1
データ値の
精度
仕様書に従ったデー
タ値の精度の度合い
X=A/B
A=要求された精度をもつデータ値の数
B=定義された精度の要求事項をもつデ
ータ値の数
データ設計を除く全て
のDLC
データファイル
データ値
注記1 例えば,全てのデータ値が小数第3位であると仮定する場合,Bはデータファイルに関係する。幾つかの
データ値が要求された精度をもつことをAに対して検証する。Xは1以下になる。
注記2 JIS X 25012:2013の5.3.2.5参照。
表10.2−精度の測定量:“システム依存”の視点
ID
名称
説明
測定関数
DLC
対象実体
特徴
Pre-D-1
データ様式
の精度
仕様書に従ってデー
タ様式が精度を維持
している度合い
X=A/B
A=要求された精度及び/又はデータ様
式で定義及び把握されたデータ項目の数
B=様式の精度が要求されているデータ
項目の数
データ設計を除く全て
のDLC
データファイル
データ項目,データ様
式
注記1 データ様式の精度は,データ様式の仕様書に基づいて検証することができる。
注記2 JIS X 25012:2013の5.3.2.5参照。
27
X 25024:2018 (ISO/IEC 25024:2015)
8.12 追跡可能性のQM
追跡可能性の測定量は,“特定の利用状況において,データへのアクセス及びデータに加えられた変更の
監査証跡を提供する属性をデータがもつ度合い”を規定する(表11.1及び表11.2参照)。
追跡可能性は,“固有”及び“システム依存”の両方の視点から測定される。
表11.1−追跡可能性の測定量:“固有”の視点
ID
名称
説明
測定関数
DLC
対象実体
特徴
Tra-I-1
データ値の
追跡可能性
データ値への利用者
アクセスの情報を追
跡した度合い
X=A/B
A=値の要求されたアクセス追跡可能性
が存在するデータ値の数
B=アクセス追跡可能性が期待されるデ
ータ値の数
データ処理
データファイル,
DBRM
データ値
注記1 JIS X 25012:2013の5.3.2.6参照。
注記2 このQMは追跡可能性のプロセスを測定するものではない。追跡可能性が存在し,要求事項に従っている
ものとする。追跡した結果は,“追跡した”又は“追跡しなかった”で表す。
表11.2−追跡可能性の測定量:“システム依存”の視点
ID
名称
説明
測定関数
DLC
対象実体
特徴
Tra-D-1
ユーザアク
セスの追跡
可能性
誰がデータの読み書
きをするのかを調査
するために,システ
ム能力を使用して,
データにアクセスす
る利用者に関する情
報を保持する可能性
X=A/B
A=ユーザアクセス追跡可能性を期待し,
かつ,それを実現するデータ項目の数
B=ユーザアクセス追跡可能性を期待す
るデータ項目の数
データ設計を除く全て
のDLC
データファイル
データ項目
注記 JIS X 25012:2013の5.3.2.6参照。
Tra-D-2
データ値の
項目追跡可
能性
システム能力を使用
して,データ項目値
の履歴を追跡する可
能性
X=A/B
A=システム能力を使用して,値が追跡可
能であるデータ項目の数
B=システム機能を使用して,値が追跡可
能であることを期待されるデータ項目の
数
データ処理,データ保
存,削除
データファイル
データ項目,データ値
28
X 25024:2018 (ISO/IEC 25024:2015)
8.13 理解性のQM
理解性の測定量は,“利用者がデータを読み,解釈することができる属性で,特定の利用状況において,
適切な言語,シンボル及び単位で表現された属性をデータがもつ度合い”を規定する(表12.1及び表12.2
参照)。
理解性は,“固有”及び“システム依存”の両方の視点から測定することができる。
表12.1−理解性の測定量:“固有”の視点
ID
名称
説明
測定関数
DLC
対象実体
特徴
Und-I-1
シンボル理
解性
理解可能なシンボル
が使用されている度
合い
X=A/B
A=既知のシンボルで表現されたデータ
値の数
B=シンボル理解性が要求されたデータ
値の数
全てのDLC
全ての対象実体
データ値,情報項目内
容
注記 例えば,特定のシンボルは,文字又はアルファベット表記を含む。
Und-I-2
意味論的な
理解性
データ辞書で与えら
れた定義に関して使
用される語彙のう
ち,共通に認められ
た語彙の割合
X=A/B
A=共通語彙を使用して,データ辞書に定
義されたデータ値の数
B=データ辞書に定義されたデータ項目
の数
全てのDLC
全ての対象実体
データ値,情報項目内
容,語彙
注記1 “共通”語彙は,人又は道具による妥当性確認を必要とする。同義語が使用できることは,意味をより良
く理解するために役立つ。
注記2 例 マイル又はキロメートルでの距離は,常に明示される必要がある。
Und-I-3
マスタデー
タ理解性
マスタデータの理解
性は,メタデータの
定義による。
X=A/B
A=既存のメタデータをもつマスタデー
タファイルのデータ項目の数
B=マスタデータファイルのデータ項目
の数
全てのDLC
全ての対象実体
データ値,情報項目内
容
注記1 メタデータは,データ項目の意味を理解するために必要不可欠である。
注記2 JIS X 25012:2013の5.3.2.7参照。
Und-I-4
データ値理
解性
特定の利用状況にお
いて,データ値は,
意図した利用者にと
って理解可能であ
る。
X=A/B
A=意図した利用者が簡単に理解できる
データ値の数
B=観測期間中に利用者が理解しようと
試みるデータ値の数
データ設計を除く全て
のDLC
データファイル
データ値,情報項目内
容
注記 例えば,これは観測期間中に利用者の不平の数を数えることで検証できる。
29
X 25024:2018 (ISO/IEC 25024:2015)
表12.2−理解性の測定量:“システム依存”の視点
ID
名称
説明
測定関数
DLC
対象実体
特徴
Und-D-1
データモデ
ル理解性
データモデルが理解
可能な情報を提供す
る度合い
X=A/B
A=データモデル中で理解可能であると
考えられる構成要素の数
B=データモデルによって提供される構
成要素の数
データ設計
データモデル
構成要素
注記1 これは,面談又は質問表によって検証することができる。
注記2 例 この品質測定量は,ソフトウェアアプリケーションを実現するために分析者が提供するデータモデル
を開発者が読まなければならないとき,使用することができる。
注記3 表A.5及び表B.1参照。
Und-D-2
データ表現
理解性
システム及びソフト
ウェアによって,利
用者が理解しやすい
方法でデータを表現
する度合い
X=A/B
A=意図した利用者が理解可能と考えら
れるデータ項目の数
B=特定の装置に提示されたデータ項目
の数
プレゼンテーション
文書,形式,プレゼン
テーション装置
データ項目
Und-D-3
連結された
マスタデー
タの理解性
マスタデータの理解
性は,連結された理
解可能なメタデータ
による。
X=A/B
A=自動的に連結された理解可能なメタ
データをもつマスタデータファイルのデ
ータ項目の数
B=マスタデータファイルのデータ項目
の数
全てのDLC
全ての対象実体
データ項目,情報項目
注記1 この品質測定量は,システムの統合及び相互に関係するデータセットの効率性を可能にする,マスタデー
タ管理の成熟度を反映する。
注記2 明示されたソフトウェア,データ様式,データ辞書を使用して,メタデータは,システムによって連結さ
れている。
注記3 JIS X 25012:2013の5.3.2.7参照。
8.14 可用性のQM
可用性の測定量は,“特定の利用状況において,承認された利用者及び/又はアプリケーションがデータ
を検索できる属性をデータがもつ度合い”を規定する(表13参照)。
可用性は,“システム依存”の視点だけから測定することができる。
表13−可用性の測定量:“システム依存”の視点
ID
名称
説明
測定関数
DLC
対象実体
特徴
Ava-D-1
データ可用
性比率
要求された期間での
(例えば,バックア
ップ又は復元手順の
間)利用可能なデー
タ項目の割合
X=A/B
A=特定の期間中に利用可能なデータ項
目の数
B=(Aと)同じ期間中に要求されたデー
タ項目の数
データ設計を除く全て
のDLC
全ての対象実体
データ項目
注記1 要求された特定の時期又は期間を,場合によっては,通常の処理中と同じように,バックアップ又は復元
手順中に含めるようにすることができる。
注記2 JIS X 25012:2013の5.3.3.1参照。
30
X 25024:2018 (ISO/IEC 25024:2015)
表13−可用性の測定量:“システム依存”の視点(続き)
ID
名称
説明
測定関数
DLC
対象実体
特徴
Ava-D-2
データ利用
可能の確率
要求された期間にデ
ータ項目の使用を試
みる要求をして成功
した確率
X=A/B
A=要求された期間にデータ項目が利用
可能であった回数
B=要求された期間にデータ項目が要求
された回数
データ設計を除く全て
のDLC
全ての対象実体
データ項目
Ava-D-3
アーキテク
チャ構成要
素の可用性
アーキテクチャ構成
要素が利用可能な度
合い
X=A/B
A=意図された利用者が利用可能なアー
キテクチャの構成要素の数
B=アーキテクチャの構成要素の数
データ設計
アーキテクチャ要素
注記1 アーキテクチャ構成要素の利用可能性は,関係する対象実体の利用可能性を暗示することができる。
注記2 例としては,アーキテクチャの構成要素であるデータ品質規則に関する情報の利用可能性である。
注記3 表A.5及び表B.1参照。
8.15 移植性のQM
移植性の測定量は,“特定の利用状況において,既存の品質を維持しながら,データを一つのシステムか
ら他のシステムに実装したり,移植したりできる属性をデータがもつ度合い”を規定する(表14参照)。
移植性は,“システム依存”の視点だけから測定することができる。
表14−移植性の測定量:“システム依存”の視点
ID
名称
説明
測定関数
DLC
対象実体
特徴
Por-D-1
データ移植
性率
移植(又は移行)後,
データ品質は低下し
ない。
X=A/B
A=移植後に既存の品質を維持するデー
タ項目の数
B=移植されたデータ項目の数
データ設計を除く全て
のDLC
全ての対象実体
データ項目
注記1 このQMの中で,移植性は,移植の結果を参考にする。
注記2 JIS X 25012:2013の5.3.3.2参照。
Por-D-2
将来のデー
タ移植性
データ項目の移植性
が要求事項に従う度
合い
X=A/B
A=対象システムに移植することができ
るデータ項目の数
B=移植性が期待されるデータ項目の数
データ設計を除く全て
のDLC
全ての対象実体
データ項目
注記 このQMでは,移植アクティビティの実装の可能性を参考にする。
Por-D-3
アーキテク
チャ構成要
素の移植性
アーキテクチャの構
成要素が移植可能で
ある度合い
X=A/B
A=特定の利用者にとって移植可能であ
るアーキテクチャの構成要素の数
B=要求されたアーキテクチャの構成要
素の数
データ設計
アーキテクチャ要素
注記1 例 データモデル及びデータ辞書は移植可能である。
注記2 表A.5及び表B.1参照。
31
X 25024:2018 (ISO/IEC 25024:2015)
8.16 回復性のQM
回復性の測定量は,“特定の利用状況において,故障発生の場合でさえ,特定の水準の運用操作及び品質
を継続し,維持することを可能にする属性をデータがもつ度合い”を規定する(表15参照)。
回復性は,“システム依存”の視点だけから測定することができる。
表15−回復性の測定量:“システム依存”の視点
ID
名称
説明
測定関数
DLC
対象実体
特徴
Rec-D-1
データ回復
性率
装置に保存されたデ
ータが成功裏に,か
つ,正しく回復され
る度合い
X=A/B
A=システムによって成功裏に,かつ,正
しく回復されたデータ項目の数
B=回復されることを要求されるデータ
項目の数
データ設計を除く全て
のDLC
全ての対象実体
データ項目
注記 JIS X 25012:2013の5.3.3.3参照。
Rec-D-2
定期的なバ
ックアップ
要求事項に記述され
たように,データは
定期的にバックアッ
プされる。
X=A/B
A=定期的に成功裏にバックアップされ
るデータ項目(又はデータファイル)の
数
B=バックアップされなければならない
データ項目(又はデータファイル)の数
データ設計を除く全て
のDLC
全ての対象実体
データ項目
Rec-D-3
アーキテク
チャ回復性
アーキテクチャ構成
要素が回復可能であ
る度合い
X=A/B
A=成功裏に回復されるアーキテクチャ
の構成要素の数
B=バックアップ又は復元手順によって,
管理されなければならないアーキテクチ
ャの構成要素の数
データ設計
アーキテクチャ要素
注記 表A.5及び表B.1参照。
32
X 25024:2018 (ISO/IEC 25024:2015)
附属書A
(参考)
品質測定量の定義に利用されるQME
この規格で定義された各QMEには,一意の名称,対象実体,測定方法及び注記が関連付けられている
(JIS X 25021:2014参照)(表A.1〜表A.12参照)。
表A.1−アクセス数
QME名
アクセス数
対象実体
全対象実体
測定方法
攻撃回数
注記
回数は,ログに登録される。
表A.2−属性数
QME名
属性数
対象実体
文脈スキーマ,データモデル,データ辞書
測定方法
特定の品質要求事項定義で与えられた条件を満たす,全ての異なる属性(対象実体の関連する特徴)
の数
注記
例えば,“県,市,町及び番地”といった住所に関する属性
表A.3−データ項目数
QME名
データ項目数
対象実体
データファイル,RDBMS,文書,形式,プレゼンテーション装置
測定方法
特定の要求定義で与えられた条件を満たす,データ項目の異なる構造,クラス又は様式の数
注記
定義,識別,許容値及びその他の情報を特徴の集合によって仕様化するためのある状況内において,
最小の識別可能なデータの単位ということを意図して,フィールドという用語を同義語と考えるこ
とができる。
表A.4−データ値の数
QME名
データ値の数
対象実体
全対象実体
測定方法
明示された条件を満たすデータ値の数
注記
例えば,ソフトウェア障害数,ソフトウェア開発における総コード行数,システム運用期間
表A.5−要素数
QME名
要素数
対象実体
アーキテクチャ,データモデル,データ辞書
測定方法
アーキテクチャ,データモデル,又は特徴を分析によって細分してもよい部品の一つの構成要素の
数
注記
アーキテクチャ又はデータモデルの要素
例えば,ユーザインタフェース,ビジネスワークフロー,データアクセスプロセス,コミュニケー
ションプロセス
33
X 25024:2018 (ISO/IEC 25024:2015)
表A.6−実体数
QME名
実体数
対象実体
文脈スキーマ,概念モデル
測定方法
実世界の現象,事実又は表象概念の数
注記
対象実体の例 データモデル,文脈スキーマ
表A.7−情報項目数
QME名
情報項目数
対象実体
全対象実体
測定方法
明示された条件を満たす情報項目の数
注記
対象実体の例 データ辞書
表A.8−メタデータ数
QME名
メタデータ数
対象実体
データ辞書
測定方法
他のデータを記述するデータの数
注記
利用する状況の情報を与える他のデータを記述するデータの数
表A.9−レコード数
QME名
レコード数
対象実体
データファイル,DBMS,RDBMS(タプル)
測定方法
特定のQMEの定義で与えられた条件を満たす同一の構造,クラス又は様式のレコードの数
注記
レコード又は単位として扱われるデータ項目
例えば,入金記録,トランザクション処理の記録,インタビュー結果,調査結果
表A.10−事象発生回数
QME名
事象発生回数
対象実体
全対象実体
測定方法
特定の周期的な現象又は動作が発生する回数
注記
現象の観察は,事象の確率を与え得る。
表A.11−規模
QME名
規模
対象実体
データファイル,DBMS,RDBMS
測定方法
バイト又はバイトの倍数で数えた使用スペースの量
注記
例えば,データの重複は,規模に影響を与える典型的な事例である。
表A.12−経過時間
QME名
経過時間
対象実体
データファイル
測定方法
事象の期間を計算
注記
特定のQMEの定義で記述された,任意のプロセスの開始時間と終了時間との間隔を参照[時間(期
間)=終了時間−開始時間]。これを用いるとき,頻度は,特定の現象又は動作が単位時間当たりに
発生する回数のことである。
34
X 25024:2018 (ISO/IEC 25024:2015)
附属書B
(参考)
QME,対象実体及び品質測定量
それぞれのQME及び対象実体には,対応する品質測定量が関連付けられている(表B.1及び表B.2参
照)。
表B.1−QME(A.1〜A.6),対象実体及び品質測定量
対象実体
QME
A.1 アクセ
ス数
A.2 属性数
A.3 データ
項目数
A.4 データ
値の数
A.5 要素数
A.6 実体数
アーキテクチャ
Con-I-4
Ava-D-3
Por-D-3
Rec-D-3
文脈スキーマ
Com-I-7
Com-I-6
データモデル
Acc-I-5
Cre-I-4
Und-D-1
概念データモデル
Com-I-7
Com-I-6
論理データモデル
物理データモデル
データ辞書
Com-I-8
文書
Acs-I-1
Acs-D-1
Acs-D-2
Und-D-2
データファイル
Acc-I-1
Acc-I-3
Acc-I-7
Com-I-1
Con-I-1
Con-I-2
Con-I-3
Con-I-5
Con-I-6
Cur-I-1
Cur-I-2
Eff-I-1
Pre-D-1
Tra-D-1
Tra-D-2
Acc-I-2
Acc-I-4
Com-I-4
Cre-I-2
Pre-I-1
Tra-I-1
Und-I-4
DBMS
Tra-I-1
RDBMS
Con-I-1
形式
Acs-I-1
Acs-D-1
Acs-D-2
Und-D-2
Eff-I-2
35
X 25024:2018 (ISO/IEC 25024:2015)
表B.1−QME(A.1〜A.6),対象実体及び品質測定量(続き)
対象実体
QME
A.1 アクセ
ス数
A.2 属性数
A.3 データ
項目数
A.4 データ
値の数
A.5 要素数
A.6 実体数
プレゼンテーショ
ン装置
Acs-I-1
Acs-D-1
Acs-D-2
Und-D-2
Eff-I-2
全対象実体
Cnf-D-1
Cmp-I-1
Cmp-D-1
Und-I-3
Und-D-3
Ava-D-1
Por-D-1
Por-D-2
Rec-D-1
Rec-D-2
Cnf-I-1
Und-I-1
Und-I-2
表B.2−QME(A.7〜A.12),対象実体及び品質測定量
対象実体
QME
A.7 情報項
目数
A.8 メタデ
ータ数
A.9 レコー
ド数
A.10 事象発
生回数
A.11 規模
A.12 経過時
間
アーキテクチャ
文脈スキーマ
データモデル
概念データモデル
論理データモデル
物理データモデル
データ辞書
Cre-I-3
Acc-I-6
文書
データファイル
Com-I-2
Com-I-3
Com-I-5
Eff-D-1
Eff-D-3
Eff-D-4
Eff-D-2
Eff-D-5
DBMS
Eff-D-3
Eff-D-4
RDBMS
形式
プレゼンテーショ
ン装置
全対象実体
Cre-I-1
Cur-I-3
Ava-D-2
36
X 25024:2018 (ISO/IEC 25024:2015)
附属書C
(参考)
QMEの参考例
注記 複雑なQMEを次に示す
C.1 外れ値
外れ値は,残りの値から数値的に離れた値である。外れ値は,例外である。外れ値は,多くの技法を用
いて計算することができる。次に技法の例を示す。
C.1.1 正規分布
例えば,ある現象(重さ,収入など)の頻度が,正規分布(ガウス分布)に従った10,20,30,20,10
となることがある。この場合,正規分布は極値を確認するのに便利である。
同様に,異なる種類の分布として,次のような値をとることがある。
100,105,120,80,75,60,130,2000
ここでは,最後の数値(2000)が,外れ値かどうかを確認しなければならない。
平均及び標準偏差を用いた古典的なパラメトリック検定では,正規分布(又はガウス分布)が関わって
いる。
(
)
2
2
2
)
(
2
π
2
1
,
;
σ
μ
χ
e
σ
σ
μ
χ
f
−
−
=
························································· (C.1)
パラメータμは,平均(ピークの位置)であり,σ2は,分散である(σは,標準偏差としてよく知られ
ている。)。
正規分布(ガウス分布)では,1シグマ区間にデータが入る確率は約68 %で,2シグマ区間に入る確率
は約95 %,3シグマ区間に入る確率は約99.7 %である。
C.1.2 様々な分布
いずれの分布でも,外れ値の境界値の推定は,次の式に従って行う。
(
)
2
1
Pr
k
kσ
μ
X
≦
≧
−
(チェビシェフの不等式) ··························· (C.2)
ここに,Xは確率変数,μは期待値,kは実数(>0),σは標準偏差である。
いずれの分布でも,“ほとんど全て”の値は平均値に近いところにあり,平均から標準偏差のk倍以上離
れている値は,その分布全体の
1/k2 ······················································································ (C.3)
を超えることはない。
C.1.3 ノンパラメトリック
ノンパラメトリック法は,分位数を使用するものである。
分位数は,確率変数の累積分布関数から一定間隔で得られる点である。Q分位数は,順序付けられたデ
ータを本質的にサイズが等しいQ個のサブセットに分割する。その分位数は,連続したサブセットの境界
となる値である。
2分位数は,中央値と呼ばれる。
37
X 25024:2018 (ISO/IEC 25024:2015)
Q=3の場合は,三分位数と呼ばれる。
Q=4の場合は,四分位数と呼ばれる。
...
Q=10の場合は,十分位数と呼ばれる。
...
Q=100の場合は,百分位数と呼ばれる。
不正確な値をもつことによるリスクは,データ値が期待される範囲の限界の外側にある場合に生じる。
Q1及びQ3が下位及び上位四分位点としたとき,ある定数kに対して,次の範囲外の観測値を外れ値と定
義することができる。
[Q1−k(Q3−Q1), Q3+k(Q3−Q1)] ·················································· (C.4)
k=1.5とした四分位範囲法では,Q1−1.5(IQR: InterQuartile Range)を下回る,又はQ3+1.5(IQR)を
上回る観測値が外れ値である。
注記 IQR(四分位範囲)とは,散らばりの程度を表す尺度の一つで,“第三四分位数(Q3)−第一四
分位数(Q1)”として求められる。
C.2 重複
一貫性欠如を排除するためには同じ値が出現する全てのところで更新を実行することになるので,一貫
性欠如に伴うリスクは,重複数に比例すると考えられる。
表jのi列の各属性で重複するものを発見するかもしれない。重複スコアも,k個の属性でグルーピング
し,レコード又は行の上に重複を見つけることによって,算出するかもしれない。この算出では選択され
たk個の属性の集合に対して,二つ以上のレコード又は行が等しいことが分かったときに,重複が起こる。
(n k)をn個の属性(k=1, ..., n)をもつ表におけるk個の属性の集合とすると,8.4のCon-I-3の注記2
は,次のような表記となる。
A=∑k∑j∑i D ijk ····································································· (C.5)
ここで,“Dijk=表jのk個の属性の集合iにおいて発見された重複の数”である
複数の表の場合には,表の構成もまた一貫性欠如のリスクに影響する。例えば,正規化されたデータベ
ースは,同じデータを含む非正規のものよりよい重複スコアをもたらす。他方,正規化は,時間効率性を
阻害するかもしれない。
次の例では,k=1及びk=2について,異なるデータベースの実装(表C.2.1及び表C.2.2+表C.2.3)に
対して,一貫性欠如のリスクを算出している。
表C.2.1−トーナメント勝者及び誕生日
トーナメント
年
勝者
勝者の誕生日
Indiana Invitational
1998
Al Fredrickson
1975年7月21日
Cleveland Open
1999
Bob Albertson
1968年9月28日
Des Moines Masters
1999
Al Fredrickson
1975年7月21日
Indiana Invitational
1999
Ship Masterson
1977年3月14日
簡易のため,トーナメントをT,年をY,勝者をW,勝者の誕生日をwDとする。
表C.2.1は,次のようになる。
38
X 25024:2018 (ISO/IEC 25024:2015)
重複数(K=1,T,Y,W,wD)=2+3+2+2=9
重複数(K=2,TY,TW,TwD,YW,YwD,WwD)=0+0+0+0+0+2=2
行数=4
列数=4
表の数=1
一貫性欠如のリスク=[(9+2)/16]/1=0.69
表C.2.2−トーナメント勝者
トーナメント
年
勝者
Indiana Invitational
1998
Al Fredrickson
Cleveland Open
1999
Bob Albertson
Des Moines Masters
1999
Al Fredrickson
Indiana Invitational
1999
Ship Masterson
表C.2.3−選手の誕生日
選手
誕生日
Ship Masterson
1977年3月14日
Al Fredrickson
1975年7月21日
Bob Albertson
1968年9月28日
簡易のため,トーナメントをT,年をY,勝者をW,選手をP,選手の誕生日をwDとする。
表C.2.2は,次のようになる
重複数(K=1,T,Y,W)=2+3+2=7
重複数(K=2,TY,TW,YW)=0+0+0
行数=4
列数=3
表C.2.3は,次のようになる。
重複数(K=1,P,D)=0+0
重複数(K=2,PD)=0
行数=3
列数=2
表の数=2
一貫性欠如のリスク=[(7+0)/12+(0+0)/6]/2=0.29
表C.2.2+表C.2.3を用いた実装が表C.2.1による実装より一貫性欠如についてよいスコアをもつ(表3
のCon-I-3の注記3“Xは小さいほどよりよい。”を参照。)。
C.3 レコード
レコードは,データファイルに収集され,フィールド又はデータ項目(フィールドは同義語かもしれな
い。)の集合を含む。フィールドの集合は,タプルとも呼ばれる。表は,タプルの集合を示すのに用いる。
その結果,タプルは,レコードの代わりに用いることができる。表は,(構造化された)データファイル又
はデータセットの代わりに用いることができる。関係又は表は,行及び列を指す(表C.3.1参照)。
39
X 25024:2018 (ISO/IEC 25024:2015)
表C.3.1−同義語
一般用語及び/又は原初用語
データベース
リレーショナルデータベース
(構造化された)データファ
イル又はデータセット:
レコードの集合を含む。
階層型,ネットワーク,リレーショナル,
オブジェクト指向
メタデータ付データファイル
事前に定義されたアクセスパス
関係又は表は,行及び列を参照する。:
タプルの集合
識別子は,主キーと呼ばれる。
インテグリティの制約
事前に定義されていないアクセスパス
レコード:フィールドの集合
を含む(データ項目)。
レコード
タプルの行
フィールド(データ項目)
フィールド
タプルの要素
C.4 サイズ
バイト又はその倍数で表された使用スペース量。最も一般的な倍数は,表C.4.1のとおりである。
表C.4.1−バイトの倍数
名称
単位
倍数
キロバイト
KB
10 3
メガバイト
MB
10 6
ギガバイト
GB
10 9
テラバイト
TB
10 12
ペタバイト
PB
10 15
エクサバイト
EB
10 18
ゼタバイト
ZB
10 21
ヨタバイト
YB
10 24
40
X 25024:2018 (ISO/IEC 25024:2015)
附属書D
(参考)
五十音順に配列した品質測定量
表D.1では,品質測定量の名称の五十音順に,QM名称,識別子,利用水準及びQMが定義されている
表番号を示す。
特に,利用水準の列においては,“高推奨”を表すHRは,(19個の品質測定量が)“大規模組織で実用
となること”に従って示されており,“推奨”を表すRは,(36個の品質測定量が)“学術機関,専門家及
び国が認定する規制機関から出された革新的見解”に従って示されており,“参考”を表すREFは,(8個
の品質測定量が)“研究者の実験的利用”に従って示されている。
表D.1−品質測定量一覧
QM名称
識別子
利用水準
表番号
アーキテクチャ一貫性
Con-I-4
REF
3
アーキテクチャ回復性
Rec-D-3
R
15
アーキテクチャ構成要素の移植性
Por-D-3
R
14
アーキテクチャ要素の可用性
Ava-D-3
HR
13
値及び/又は様式の規則標準適合性
Cmp-I-1
REF
7.1
値の信ぴょう(憑)性
Cre-I-1
R
4
暗号化使用率
Cnf-I-1
HR
8.1
意味論的な一貫性
Con-I-6
HR
3
意味論的なデータ正確性
Acc-I-2
HR
1
意味論的な理解性
Und-I-2
R
12.1
概念データモデル完全性
Com-I-6
R
2
概念データモデル属性完全性
Com-I-7
R
2
関連するインテグリティ
Con-I-1
R
3
技術に起因する規制標準適合性
Cmp-D-1
R
7.2
公式更新項目要求事項
Cur-I-3
HR
5
更新の適時性
Cur-I-2
R
5
更新頻度
Cur-I-1
HR
5
構文的なデータ正確性
Acc-I-1
HR
1
効率的なデータ項目様式効率性
Eff-I-1
REF
9.1
3
使用可能効率性
Eff-I-2
R
9.1
情報源信ぴょう(憑)性
Cre-I-2
R
4
将来のデータ移植性
Por-D-2
R
14
シンボル理解性
Und-I-1
R
12.1
装置アクセシビリティ
Acs-D-1
R
6.2
属性完全性
Com-I-2
R
2
定期的なバックアップ
Rec-D-2
HR
15
データ移植性率
Por-D-1
R
14
データ回復性率
Rec-D-1
HR
15
データ可用比率
Ava-D-1
HR
13
データ更新の時間遅延
Eff-D-5
HR
9.2
データ辞書信ぴょう(憑)性
Cre-I-3
REF
4
データ処理効率性
Eff-D-2
HR
9.2
41
X 25024:2018 (ISO/IEC 25024:2015)
表D.1−品質測定量一覧(続き)
QM名称
識別子
利用水準
表番号
データ正確性の保証
Acc-I-3
R
1
データ正確性範囲
Acc-I-7
HR
1
データセット不正確のリスク
Acc-I-4
R
1
データ値一貫性網羅率
Con-I-5
REF
3
データ値完全性
Com-I-4
R
2
データ値の精度
Pre-I-1
R
10.1
データ値の追跡可能性
Tra-I-1
REF
11.1
データ値の追跡可能性
Tra-D-2
R
11.2
データ値理解性
Und-I-4
R
12.1
データ表現理解性
Und-D-2
R
12.2
データファイル完全性
Com-I-3
HR
2
データファイル内の空レコード
Com-I-5
R
2
データ不一致のリスク
Con-I-3
R
3
データモデル正確性
Acc-I-5
R
1
データモデル信ぴょう(憑)性
Cre-I-4
R
4
データモデル理解性
Und-D-1
HR
12.2
データ様式アクセシビリティ
Acs-D-2
R
6.2
データ様式一貫性
Con-I-2
R
3
データ様式効率性
Eff-D-1
R
9.2
データ様式の精度
Pre-D-1
HR
10.2
データ利用可能の確率
Ava-D-2
HR
13
非ぜい(脆)弱性
Cnf-D-1
R
8.2
マスタデータ理解性
Und-I-3
R
12.1
メタデータ完全性
Com-I-8
REF
2
メタデータ正確性
Acc-I-6
R
1
ユーザアクセシビリティ
Acs-I-1
R
6.1
ユーザアクセスの追跡可能性
Tra-D-1
HR
11.2
レコード完全性
Com-I-1
R
2
レコード重複によって占有されたスペース
Eff-D-4
REF
9.2
連結されたマスタデータ理解性
Und-D-3
HR
12.2
浪費スペースのリスク
Eff-D-3
R
9.2
42
X 25024:2018 (ISO/IEC 25024:2015)
附属書E
(参考)
特性及び対象実体に対する品質測定量の識別子
表E.1〜表E.3では,この規格で定義されたデータ品質測定量の識別子を,データライフサイクル(DLC),
対象実体,特徴(6.2参照)及びデータ品質特性で分類して示す。データ品質測定量には,一つ以上の対象
実体及び特徴に適用可能なものもある。
表E.1−“固有”のデータ品質特性に対する品質測定量の識別子
データライフ
サイクル(DLC)
データ設計
DLCの他の段階
対象実体の特徴
アーキテクチャ,文脈スキーマ,デー
タモデル(概念的,論理的,物理的),
データ辞書,文書
データファイル,DBMS,RDBMS,形式,プレゼ
ンテーション装置
データ品質特性
属性,要素,情報,メタデータ,語彙 データ様式,データ項
目,情報項目,レコード
データ値,情報項目内容
8.2 正確性
Acc-I-5
Acc-I-6
Acc-I-1
Acc-I-3
Acc-I-7
Acc-I-1
Acc-I-2
Acc-I-4
Acc-I-7
8.3 完全性
Com-I-6
Com-I-7
Com-I-8
Com-I-1
Com-I-2
Com-I-3
Com-I-4
Com-I-5
Com-I-1
Com-I-2
Com-I-4
8.4 一貫性
Con-I-4
Con-I-1
Con-I-2
Con-I-3
Con-I-5
Con-I-6
Con-I-1
Con-I-3
Con-I-5
Con-I-6
8.5 信ぴょう(憑)性 Cre-I-3
Cre-I-4
−
Cre-I-1
Cre-I-2
Cre-I-3
8.6 最新性
Cur-I-3
Cur-I-1
Cur-I-2
Cur-I-3
43
X 25024:2018 (ISO/IEC 25024:2015)
表E.2−“固有”及び“システム依存”のデータ品質特性のための品質測定量の識別子
データライフ
サイクル(DLC)
データ設計
DLCの他の段階
対象実体の特徴
アーキテクチャ,文脈スキーマ,デー
タモデル(概念,論理,物理),デー
タ辞書,文書
データファイル,DBMS,RDBMS,形式,プレゼ
ンテーション装置
データ品質特性
属性,要素,情報,メタデータ,用語 データ様式,データ項
目,情報項目,レコード
データ値,情報項目内容
8.7 アクセシビリテ
ィ
−
Acs-I-1
Acs-D-1
Acs-D-2
Acs-I-1
Acs-D-1
8.8 標準適合性
Cmp-D-1
Cmp-I-1
Cmp-D-1
Cmp-I-1
8.9 機密性
Cnf-I-1
Cnf-D-1
Cnf-D-1
Cnf-I-1
8.10 効率性
−
Eff-I-1
Eff-D-1
Eff-D-2
Eff-D-3
Eff-D-4
Eff-D-5
Eff-I-2
Eff-D-5
8.11 精度
−
Pre-D-1
Pre-I-1
8.12 追跡可能性
−
Tra-D-1
Tra-D-2
Tra-I-1
Tra-D-2
8.13 理解性
Und-I-1
Und-I-2
Und-I-3
Und-D-1
Und-D-3
Und-I-3
Und-D-2
Und-D-3
Und-I-1
Und-I-2
Und-I-3
Und-I-4
表E.3−“システム依存”のデータ品質特性のための品質測定量
データライフ
サイクル(DLC)
データ設計
DLCの他の段階
対象実体の特徴
アーキテクチャ,文脈スキーマ,デー
タモデル(概念的,論理的,物理的),
データ辞書,文書
データファイル,DBMS,RDBMS,形式,プレゼ
ンテーション装置
データ品質特性
属性,要素,情報,メタデータ,語彙 データ様式,データ項
目,情報項目,レコード
データ値,情報項目内容
8.14 可用性
Ava-D-3
Ava-D-1
Ava-D-2
−
8.15 移植性
Por-D-3
Por-D-1
Por-D-2
−
8.16 回復性
Rec-D-3
Rec-D-1
Rec-D-2
−
44
X 25024:2018 (ISO/IEC 25024:2015)
参考文献
[1] ISO/IEC 25020:2007,Software engineering−Software product Quality Requirements and Evaluation
(SQuaRE)−Measurement reference model and guide
[2] ISO/TS 19104:2008,Geographic information−Terminology
[3] ISO 22745-2:2010,Industrial automation systems and integration−Open technical dictionaries and their
application to master data−Part 2: Vocabulary
[4] ISO/IEC 42010:2011,Systems and software engineering−Architecture description
[5] JIS X 25010:2013 システム及びソフトウェア製品の品質要求及び評価(SQuaRE)−システム及び
ソフトウェア品質モデル
注記 対応国際規格:ISO/IEC 25010:2011,Systems and software engineering−Systems and software
Quality Requirements and Evaluation (SQuaRE)−System and software quality models(IDT)
[6] ISO/IEC/IEEE 31320-2:2012,Information technology−Modeling Languages−Part 2: Syntax and
Semantics for IDEF1X97 (IDEF object)
[7] ISO/IEC/IEEE 15289:2015,Systems and software engineering−Content of life-cycle information items
(documentation)
注記 JIS X 0171:2014が,この国際規格の前の版ISO/IEC/IEEE 15289:2011と一致している。