X 25023:2018 (ISO/IEC 25023:2016)
(1)
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 3
2 適合性···························································································································· 3
3 引用規格························································································································· 4
4 用語及び定義 ··················································································································· 4
5 略語······························································································································· 6
6 製品の品質測定量の利用 ···································································································· 6
6.1 製品の品質測定の概念 ···································································································· 6
6.2 品質測定の進め方 ·········································································································· 7
7 品質測定量を記述するために使用される形式 ········································································· 9
8 システム及びソフトウェア製品の品質測定量 ········································································· 9
8.1 一般 ···························································································································· 9
8.2 機能適合性の測定量 ······································································································ 10
8.3 性能効率性の測定量 ······································································································ 11
8.4 互換性の測定量 ············································································································ 15
8.5 使用性の測定量 ············································································································ 15
8.6 信頼性の測定量 ············································································································ 21
8.7 セキュリティの測定量 ··································································································· 23
8.8 保守性の測定量 ············································································································ 26
8.9 移植性の測定量 ············································································································ 29
附属書A(参考)品質測定量利用のための考慮事項 ··································································· 32
附属書B(参考)製品の品質測定量の定義に利用するQME ························································· 35
附属書C(参考)測定の型の詳細説明 ····················································································· 38
参考文献 ···························································································································· 43
X 25023:2018 (ISO/IEC 25023:2016)
(2)
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人情報処理学会(IPSJ)及び一般
財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,
日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
日本工業規格 JIS
X 25023:2018
(ISO/IEC 25023:2016)
システム及びソフトウェア製品の
品質要求及び評価(SQuaRE)−
システム及びソフトウェア製品の品質の測定
Systems and software engineering-
Systems and software Quality Requirements and Evaluation (SQuaRE)-
Measurement of system and software product quality
序文
この規格は,2016年に第1版として発行されたISO/IEC 25023を基に,技術的内容及び構成を変更する
ことなく作成した日本工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。
この規格はSQuaREシリーズ規格の一部である。この規格は,他のSQuaREシリーズ,特にJIS X 25010,
JIS X 25030,JIS X 25040及びJIS X 25041とともに,要求事項の仕様化,システム及びソフトウェア製品
(以下,“製品”と呼ぶ。)品質の測定及び評価に用いることができる製品の品質特性のための品質測定量
の集合を提供する。
この規格の品質測定量の集合は,その実用的な価値に基づいて選択され,二つの信頼性のレベルに分類
されている。それらは網羅的であることを意図していない。この規格の利用者には,必要に応じてそれら
を定義することを推奨する。
品質測定部門
この規格は,次の規格から成るISO/IEC 2502n部門の一つである。
− ISO/IEC 25020 測定の参照モデル及び手引 ISO/IEC 2501n品質モデル部門で定義した品質特性を
測定するための参照モデル及びガイドを規定している。
− JIS X 25021 品質測定量要素 ソフトウェア品質測定を構築するために使用できるQME及びQME
の例を仕様化するための様式を規定している。
− JIS X 25022 利用時の品質の測定 利用時の品質モデルにおける品質特性に対する関連した測定量
機能を含む測定を規定している(2018年JIS化予定)。
− JIS X 25023 製品の品質の測定 製品品質モデルにおける品質特性に対する関連した測定量機能を
含む測定を規定している。
− JIS X 25024 データ品質の測定 データ品質モデルにおける品質特性に対する関連した測定方法及
びQMEを含む測定を規定している。
図1では,この規格とそれ以外のISO/IEC 2502n部門の規格との間の関係を表している。製品の開発者,
評価者,品質管理者,取得者,供給者,保守者及び利用者は,興味のある品質特性の測定量に対する測定
を,これらの規格から選択することができる。これは,要求事項の定義,製品の評価,品質管理活動又は
2
X 25023:2018 (ISO/IEC 25023:2016)
その他の目的のために行うことができる。
図1−品質測定部門の構造
SQuaREシリーズの概要及び組織
SQuaREシリーズの各部門には,次のものがある。
− ISO/IEC 2500n 品質管理部門 この部門の規格は,SQuaREシリーズの,他の全ての規格から参照さ
れる共通モデル,用語及び定義を規定する。規格を特定の応用事例に適用する場合の参照経路(SQuaRE
シリーズ全体の手引)及び高水準の実際的な提案は,全ての種別の利用者への手助けを提供する。こ
の部門は,製品の品質要求事項の仕様化及び評価の管理に責任のある支援機能のための要求事項及び
手引も提供する。
− ISO/IEC 2501n 品質モデル部門 この部門の規格は,製品品質,利用時の品質,及びデータ品質の
ための詳細な品質モデルを提供する。サービス品質モデルは,開発中である。また,品質モデルの利
用のための実用的な手引も提供する。
− ISO/IEC 2502n 品質測定部門 この部門の規格は,製品の品質測定の参照モデル,品質測定量の数
学的な定義,及びそれらの適用のための実用的な手引を含む。この規格は,ソフトウェア品質の内部
測定量,ソフトウェア品質の外部測定量及び利用時の品質測定量を提供する。この部門は,後に続く
品質測定量のための基礎となる品質測定量の要素を定義し提供する。
− ISO/IEC 2503n 品質要求部門 この部門の規格は,品質要求事項の仕様化に役立つ。これらの品質
要求事項は,開発する製品の品質要求事項の導出プロセス又は評価プロセスの入力として利用するこ
とができる。要求定義プロセスは,JIS X 0160及びJIS X 0170に定義されたテクニカルプロセスの利
害関係者要求事項定義プロセスに対応付けられる。
− ISO/IEC 2504n 品質評価部門 この部門の規格は,独立した評価者,取得者又は開発者のいずれか
が実施する,製品評価のための要求事項,推奨事項及び手引を提供する。評価モジュールとして測定
量の文書化のための支援も提供する。
ISO/IEC 25050〜ISO/IEC 25099は,SQuaRE拡張部門のために予約されており,現在のところ,JIS X
25051及びISO/IEC 25060〜ISO/IEC 25069を含んでいる。
JIS X 25022 利用時の品質の測定
− TS X 0111-4の改正版
JIS X 25023 製品の品質の測定
− TS X 0111-2及びTS X
0111-3の改正版
JIS X 25024 データ品質の測定
ISO/IEC 25020 測定量の参照モデル及び手引
ISO/IEC 25020は,JIS X 25022〜JIS X 25024で規定する
品質測定量を開発し,規定するための手引を提供する。
JIS X 25021 品質測定量要素
− ISO/IEC TR 25021の改正版
JIS X 25021は,JIS X 25022〜JIS X 25024で規定する
QMEを開発し,規定するために使用される。
3
X 25023:2018 (ISO/IEC 25023:2016)
1
適用範囲
この規格は,JIS X 25010:2013で規定された品質特性及び品質副特性に関して,製品の定量的な評価の
ための品質測定量を規定しており,JIS X 25010:2013とともに利用されることを意図している。この規格
は,JIS X 2503n及びJIS X 2504nとともに利用され,又は製品品質に関しては,より一般的にユーザニー
ズを満たすために利用される。
この規格は,次を含む。
− 各品質特性及び品質副特性の品質測定量の基本的な集合
− 製品の品質測定量の適用の仕方の説明
参考の附属書として,品質測定量の利用のための考慮事項(附属書A),製品の品質測定量の定義に利用
するQME(附属書B),及び測定の型の詳細説明(附属書C)を含む。
この規格は,評定水準又は標準適合性の等級に測定量の値の範囲を割り当てるものではない。なぜなら
ば,これらの値は,システム,製品又は製品の一部の性質に基づいて定義されており,ソフトウェアの種
類,インテグリティレベル及びユーザニーズのような要因に依存するからである。幾つかの属性は,望ま
しい範囲の値をもつことができ,その範囲の値は,例えば人間がもつ認識能力の要因のような,特定のユ
ーザニーズに依存しないが,一般的な要因に依存している。
提案する品質測定量は,開発ライフサイクルプロセスの実施中又は実施後に,製品の品質保証及び改善
のために利用されることを主として意図している。
この規格の主な利用者は,次の活動の一環として,品質要求事項の仕様化活動及び評価活動を行う人々
である。
− 開発 ライフサイクルプロセスにおける,要求事項分析,仕様設計,コーディング及び受入れテスト
を含む。
− 品質管理 例えば,品質保証,品質制御及び品質認証の一部として製品品質を評価するときに行う,
製品又はコンピュータシステムの系統的なテスト。
− 供給 例えば,認証テストにおける品質の妥当性確認を行うときのような,契約条件下で,製品又は
ソフトウェアサービスの供給のための取得者との契約。
− 取得 供給者からの製品又はソフトウェアサービスを取得又は調達するとき,製品選定及び受入れテ
ストを含む。
− 保守 品質測定に基づいた製品の改善。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO/IEC 25023:2016,Systems and software engineering−Systems and software Quality Requirements
and Evaluation (SQuaRE)−Measurement of system and software product quality(IDT)
なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”こ
とを示す。
2
適合性
この規格に適合する品質要求事項の仕様化又は品質評価は,次のことを行わなければならない。
a) JIS X 25010:2013に規定されたように,明示又は評価される品質特性及び/又は品質副特性を選定す
る。
b) 選定した品質特性又は品質副特性ごとに,箇条8に規定している一般的な(G)品質測定量の全てを
利用することが望ましい。いずれかの品質測定量を除外する場合,その論理的根拠を示す。
4
X 25023:2018 (ISO/IEC 25023:2016)
c) 箇条8で関係のある特定の(S)品質測定量を任意に選定する。
d) 品質測定量を修正する場合,変更に対する論理的根拠を提供する。
e) この規格に含まれていない,付加的な品質測定量及びQMEをJIS X 25021:2013のように規定する。
3
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)は適用しない。
JIS X 25000:2017 システム及びソフトウェア製品の品質要求及び評価(SQuaRE)−SQuaREの指針
注記 対応国際規格:ISO/IEC 25000:2014,Systems and software engineering−Systems and software
Quality Requirements and Evaluation (SQuaRE)−Guide to SQuaRE(IDT)
JIS X 25010:2013 システム及びソフトウェア製品の品質要求及び評価(SQuaRE)−システム及びソ
フトウェア品質モデル
注記 対応国際規格:ISO/IEC 25010:2011,Systems and software engineering−Systems and software
Quality Requirements and Evaluation (SQuaRE)−System and software quality models(IDT)
JIS X 25021:2014 システム及びソフトウェア製品の品質要求及び評価(SQuaRE)−品質測定量要素
注記 対応国際規格:ISO/IEC 25021:2012,Systems and software engineering−Systems and software
Quality Requirements and Evaluation (SQuaRE)−Quality measure elements(IDT)
4
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS X 25000:2017及びJIS X 25010:2013によるほか,次による。
注記 SQuaREシリーズ及び他のISO規格の重要な定義をここで再定義する。
4.1
システム又はソフトウェア品質の外部測定量(external measure of system or software quality)
明示された条件下で使用される製品を含むシステムに対して,明示的ニーズ及び暗黙のニーズを満たす
ために,製品がどのくらい動作できるかを示す度合いの測定量(JIS X 25000:2017の4.11の定義を変更し
ている。)。
注記1 テスト及び運用操作中に製品を実行することによって,振る舞いの属性を検証及び/又は妥
当性確認を行うことができる。
例 テスト時に検出されたテストケース数に対する故障密度は,コンピュータシステムの信頼性に関
係する外部測定量である。テストは全ての障害を発見できるわけではないので,テスト中及び運
用操作中という二つの状況で測定された測定量は,必ずしも同じではない。障害は,異なる環境
においては,明らかに異なる故障を引き起こす可能性がある。
4.2
ソフトウェア品質の内部測定量(internal measure of software quality)
明示された条件下で使用されるソフトウェア製品に対して,ソフトウェア製品の静的属性の集合が明示
的ニーズ及び暗黙のニーズを満たす度合いの測定量(JIS X 25000:2017の4.16の定義を変更している。)。
注記1 静的な属性は,ソフトウェアアーキテクチャ,構造及びその構成部品に関係する属性を含む。
注記2 静的な属性は,レビュー,検査,シミュレーション及び/又は自動化ツールによって検証す
ることができる。
例 コード行数,複雑さの測定量及びウォークスルーで発見した(現状で見つけられた)障害の数は,
5
X 25023:2018 (ISO/IEC 25023:2016)
ソフトウェア製品そのものに作り込まれた全てのソフトウェア品質の内部測定量である。
4.3
ジョブ(job)
コンピュータによって成し遂げられる,利用者が定義した仕事の単位(ISO/IEC/IEEE 24765:2010の
3.1542の定義を変更している。)。
4.4
測定量(measure)
測定の結果として値が割り当てられる変数(JIS X 0141:2009の2.15の定義を変更している。)。
注記1 “測定量”という用語は,基本測定量,導出測定量及び指標をまとめて参照するために使う。
注記2 この規格では,“測定量”という用語が品質特性又は品質副特性によって限定されて使用され
るときは常に,4.8で定義された品質測定量を参照する。
4.5
測定(measurement)
測定量の値を決定するという目的をもった操作の集合(JIS X 0141:2009の2.17の定義を変更している。)。
注記1 測定は,ソースプログラムの言語(例えば,ADA,C,COBOLなど)の定性的分類を割り当
てることを含むことができる。
4.6
測定の関数(measurement function)
複数の品質測定量要素(QME)を結合するために実行するアルゴリズム又は計算(JIS X 25021:2014の
4.7の定義を変更している。)。
4.7
定量化のための特徴(property to quantify)
品質測定量要素(QME)に関連付けられ,かつ,測定方法によって定量化できる対象実体の特徴(JIS X
25021:2014の4.11の定義を変更している。)。
注記1 対象実体の例には,ソフトウェア作成物がある。
4.8
品質測定量(quality measure)
品質測定量要素(QME)の複数の値の測定関数として定義された導出測定量(JIS X 25021:2014の4.13)。
4.9
品質測定量要素[quality measure element (QME)]
定量化のための測定対象の特徴及びその特徴を定量化する測定方法であって,数学的関数による任意の
変換を含む場合のある測定量(JIS X 25021の4.14)。
4.10
品質モデル(quality model)
品質要求事項の仕様化及び品質評価に対する枠組みを提供する,品質特性の定義された集合及び品質特
性間の関係の集合(JIS X 25000:2017の4.27)。
4.11
(製品の)品質特性[quality characteristic (of software product or system)]
製品の品質に影響を及ぼす品質属性の分類(JIS X 25000:2017の4.34の定義を変更している。)。
6
X 25023:2018 (ISO/IEC 25023:2016)
4.12
タスク,作業(task)
与えられた目標を達成するために必要となる活動の集合又は一連の活動(JIS Z 8521:1999の3.9の定義
を変更している。)。
注記1 これらの活動には身体的なものも認知的なものもある
注記2 役割及び責務は,目標及びタスク(作業)を決めることができる。
注記3 この規格での用語“task”は,1)“コンピュータが行う処理”を意味する場合には“タスク”,
2)“人間が行う活動の集合”を意味する場合には“作業”,と区別している。
5
略語
この規格では,次の略語を使用する。
QME(quality measure element):品質測定量要素
6
製品の品質測定量の利用
6.1
製品の品質測定の概念
製品の品質は,様々な利害関係者の明示的ニーズ及び暗黙のニーズをどのくらい満たしているか,それ
によってどのくらい価値を提供しているかの度合いである。SQuaREシリーズ規格の中では,製品品質を
品質特性に分類し,幾つかの場合では更に品質副特性に細分化される品質モデルを用いて,これらの明示
的ニーズ及び暗黙のニーズを表す。製品の品質に関連した測定可能な特徴を,定量化のための特徴と呼び,
品質測定量に関連付けることができる。これらの特徴を測定方法を適用して測定する。測定方法は,明示
された尺度に照らして属性を定量化するために使用する,操作の論理的な順序である。測定方法を適用し
た結果をQMEと呼ぶ。
品質特性及び品質副特性は,測定の関数を適用することで定量化できる。測定の関数は,QMEを結合す
るために使用するアルゴリズムである。測定の関数を適用した結果を品質測定量と呼ぶ。このようにして,
品質測定量とは品質特性及び品質副特性を定量化することである。品質特性又は品質副特性の測定のため
に複数の品質測定量を使用することができる(図2参照)。
7
X 25023:2018 (ISO/IEC 25023:2016)
注記 システム,ソフトウェア製品,データ,又は利用者が対象実体となることができる(JIS X 25010:2013
の図5参照。)。
図2−品質モデル,品質測定量,品質測定量要素,定量化のための特徴及び対象実体の関係
6.2
品質測定の進め方
品質に対するユーザニーズは,特定の利用状況におけるシステムの利用時の品質の要求事項を含む。こ
れらの識別されたニーズは,ソフトウェア製品の品質特性及び品質副特性を用いて品質の外部及び内部測
定量を特定するときに考慮することができる。
ソフトウェア製品の品質は,内部の特徴(典型的なものとしては,中間製品の静的な測定量)を測定す
ることによって,(典型的なものとしては,実行時のコードの振る舞いを測定することによる)外部の特徴
を測定することによって,又は(製品を実際に又は模擬的に使用したときに)利用時の品質の特徴を測定
することによって評価できる。適切なソフトウェアの内部特徴は,要求される外部的な振る舞い(外部属
性)を達成するために前もって必要とされ,適切な外部の振る舞いは,利用時の品質特性を達成するため
に前もって必要とされる(図3参照)。
JIS X 25022,JIS X 25023,JIS X 25024
品質特性
対象実体
構成される
JIS X
25021
JIS X 25010
システム及びソフトウェア
品質モデル
JIS X 25012
データ品質モデル
品質副特性
構成される
定義される
品質測定量
測定の関数
構成される
測定される
品質測定量要素(QME)
生成する
測定方法
測定される
定量化のための特徴
含む
8
X 25023:2018 (ISO/IEC 25023:2016)
プロセス
ソフトウェア製品
ソフトウェア製品の効果
プロセス測定量
内部測定量
外部測定量
利用時の品質測定量
図3−品質測定量の各種別間の関係
内部測定量は,(提案依頼書,要求事項定義書,設計仕様書又はソースコードのような)開発段階でいま
だ実行できない製品に適用できる。これらは,レビュー,検査,シミュレーション及び/又は自動化され
たツールを用いて検証できるものである。内部測定量は,利用者に中間成果物の品質を測定する能力を提
供し,かつ,それによって最終製品の品質を予測できる能力を提供する。これによって利用者は品質の問
題を識別し,開発ライフサイクル中で,できるだけ早期に是正措置を開始することができる。例えば,複
雑さの測定量及びウォークスルーで発見した障害の数,障害の重大性及び故障頻度は,製品そのものに作
り込まれたソフトウェア品質の内部測定量である。
外部測定量は,それが一部であるシステムの振る舞いを測定することによって,製品の品質を測定する
ために使用される。外部測定量は,ライフサイクルプロセスのテスト段階及び幾つかの運用操作段階でだ
け使用することができる。製品のテスト及び/又は運用操作を意図したシステム環境において,製品を実
行するとき,測定を実施する。例えば,テスト中に発見された故障数は,そのコンピュータシステム内に
存在する障害数に関連するソフトウェア品質の外部測定量である。
可能であれば,外部測定量の値を予測するために使用することができるように,対象となる外部測定量
と強く関連する内部測定量を使用することを推奨する。
この規格は,JIS X 25010:2013の品質モデルとともに使用されるシステム及びソフトウェア品質測定量
(外部及び内部測定量)の推奨する集合を規定する。この規格の利用者は,定義された品質測定量を修正
すること,及びこの規格で識別又は定義されていない品質測定量を定義して使用することができる。
注記1 例えば,安全性又はセキュリティのような,品質特性の特定の測定は,IEC 65及びISO/IEC
JTC 1/SC 27で規定された国際規格の中に見つけることができる。
この規格で識別されていない,新しい品質測定量又は修正した品質測定量を使用する場合,JIS X
25010:2013品質モデル又は使用されているその他の代替の品質モデルにどのように測定量が関連している
かを,利用者は明示することが望ましい。
ほとんどの品質測定量は,結果の値が0.0〜1.0の間で正規化される測定関数を使用する。1.0に近いほど
よい。これに反する場合,箇条8の表で注記を記載する。
品質測定量によっては,要求事項の一部として確立する必要がある目標値と比較した結果を生成する測
定量もある。
注記2 品質測定によっては,要求事項仕様書,設計仕様書又は利用者用文書に明示された目標値に
対して正規化されるものがある。製品のアーキテクチャ,設計,実装,アセンブル,運用操
作手続,ユーザインタフェース又は性能を改善するために,開発者又は保守者は,そのよう
な目標値をしきい値として決定し,要求することができる。また,取得者及び供給者は,品
プロセス
品質
内部特徴
影響する
影響する
影響する
依存する
依存する
依存する
利用状況
外部特徴
利用時の
品質
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X 25023:2018 (ISO/IEC 25023:2016)
質要求事項を明示するため,又は取得のための適合性を調査するために,合意された要求事
項の一つとして目標値を明示することができる。要求事項仕様書は,通常,開発中に変更及
び改訂され,要求事項仕様書に基づく品質測定量に影響を及ぼす。開発の初期に,利害関係
者又はシステム要求事項から導出される明示的ニーズ及び暗黙のニーズの両方を完全に明示
することが非常に難しいため,明示されるべき要求事項の一部が欠落若しくは矛盾するかも
しれないし,又は目標値の一部が不十分で変更する必要があるかもしれない。このことから,
品質測定量の利用者に期待されることは,開発及び/又は評価期間中に,要求事項仕様書の
発展及び改訂を考慮すること,及び品質測定量測定を一度だけ適用するのではなく反復して
適用することである。
注記3 (平均応答時間のような)幾つかの品質測定量は,単独で解釈することが難しい。理解及び
解釈が容易になるように,次の方法で品質測定量を適用することができる。
a) 適合性 特定のビジネス又は使用上の要求事項と測定量とを比較する(例えば,最大許
容応答時間は0.5秒。)。
b) ベンチマーク 測定量を,同じ目的で使用される同一の又は類似の製品若しくはシステ
ムに対するベンチマークと比較する(例えば,新システムの平均応答時間は旧システム
の平均応答時間未満である。)。
c) 時系列 ある期間にわたって傾向を比較する(例えば,一日の中での平均応答時間がど
のように変化するか。)。
7
品質測定量を記述するために使用される形式
次の情報を箇条8の表中の各品質測定量に付与している。
a) ID 品質測定量の識別コード 各IDは,次の三つの部分から構成される。
− 品質特性を大文字,品質副特性を一文字の大文字及びそれに続く小文字で表現する,省略したアル
ファベットコード[例えば,“PTb”は“Performance efficiency(性能効率性)”の“Time behavior(時
間効率性)”の測定量を示す。]
− 品質副特性の中で順番に付けられた通し番号
− G(一般的な)又はS(特定の)は,品質測定量の適用可能な範囲を示す分類を表す。ここで,一
般的な測定量は適切なときにはいつでも使用することができ,特定の測定量は特別な状況に関係す
るときに使用することができる。
b) 名称 品質測定量の名称
c) 説明 品質測定量によって提供される情報
d) 測定関数 QMEが品質測定量を生成するためにどのように構成されるかを表す数式
注記 品質測定量の測定関数の理解及び適用の助けになるように,品質測定量を構成するために高い
頻度で使用する,有用なQMEを附属書Bに簡潔に明示する。
8
システム及びソフトウェア製品の品質測定量
8.1
一般
ここでは,JIS X 25010に記述された順で品質特性及び品質副特性ごとに品質測定量を一覧にしている。
内部測定量又は外部測定量として使用されるかどうかによって,品質特性及び評価の評定水準に従って
選択が可能な,異なる評価技術によって品質測定量を使用できる。その結果,箇条8で列挙されている幾
10
X 25023:2018 (ISO/IEC 25023:2016)
つかの品質測定量は,設計仕様書の静的なレビュー,又は実行可能な製品の動的分析のような,評価の異
なる段階で使用することができる。
適用してもよい品質測定量は,ここで列挙したものに限定されない。特定の国際規格又はガイドライン
から特定の測定量又は測定を参照することを推奨する。例えば,機能規模測定は,JIS X 0135規格群に規
定されており,精密な時間効率性の測定の例は,JIS X 0136から参照できる。
注記1 品質測定量のこの一覧は最終的なものではなく,この規格の将来版で改正される可能性があ
る。この規格の読者によるフィードバックの提供が望まれる。
注記2 この箇条において,その他の点で言及しない限り,測定量という用語は品質測定量を意味す
る。例えば,“機能適合性の測定量”は,“機能適合性の品質測定量”を意味する。
8.2
機能適合性の測定量
機能適合性の測定量は,“明示された状況下で使用するとき,明示的ニーズ及び暗黙のニーズを満足させ
る機能を,製品又はシステムが提供する度合い”を総合評価するために使用する。
注記1 機能適合性は,明示的ニーズ及び暗黙のニーズを満たすかどうかに関わる。
注記2 ここで言及する機能は,JIS X 0135規格群において利用者機能要求事項の中で定義される要
素プロセスになり得る。
注記3 個々の機能項目の数の比率を計算するだけでは,不足している機能性を量的に指し示さない
ようなときには,機能規模のような,より正確さを増すように,結果に重み付けをする方法
を用いた別のQMEを使って,測定量を定義することができる。
8.2.1
機能完全性の測定量
機能完全性の測定量は,“機能の集合が明示された作業及び利用者の目的の全てを網羅する度合い”を総
合評価するために使用される(表1参照)。
表1−機能完全性の測定量
ID
名称
説明
測定関数
FCp-1-G
機能網羅性
明示された機能のうちどのく
らいの比率で実装されている
か。
X=1−A/B
A=実装されていない機能の数
B=明示された機能の数
注記1 機能は,要求事項仕様書,設計仕様書,ユーザマニュアル又はこれら全てで明示することができる。
注記2 実装されていない機能は,製品が明示された機能を実行する能力がないときに検知される。
8.2.2
機能正確性の測定量
機能正確性の測定量は,“正確さの必要な程度での正しい結果を,製品又はシステムが提供する度合い”
を総合評価するために使用する(表2参照)。
11
X 25023:2018 (ISO/IEC 25023:2016)
表2−機能正確性の測定量
ID
名称
説明
測定関数
FCr-1-G
機能正確性
正しい結果を提供する機能は
どのくらいの比率か。
X=1−A/B
A=正しい結果が得られない機能の数
B=考慮された機能の数
注記1 正しい結果が得られない機能とは,特定の意図した目的を達成するための,妥当で受容可能な成果物を提
供しない機能のことである。
注記2 評価のために考慮された機能を,製品の全ての機能としてもよく,また,特別な用途に要求される特定の
集合の機能としてもよい。
注記3 開発者又は保守者は,場合によって次のことを行う。
− レビュー又はテストすることによって個々の機能を検査する。
− 要求事項仕様書に定義されているように,特定の目的に適合した成果物を機能がうまく提供している
かどうかを決定する。このような場合,個々の機能ごとに正確性の度合いを決定する。
8.2.3
機能適切性の測定量
機能適切性の測定量は,“明示された作業及び目的の達成を,機能が促進する度合い”を総合評価するた
めに使用する(表3参照)。
表3−機能適切性の測定量
ID
名称
説明
測定関数
FAp-1-G
使用目的に関
する機能適切
性
利用者が要求する機能のう
ち,特定の使用目的を達成す
るために適切な成果物を提供
する機能は,どのくらいの比
率か。
X=1−A/B
A=特定の使用目的を達成するために要求される機能
の中で,実装されていない機能又は正しい結果が得ら
れない機能の数
B=特定の使用目的を達成するために要求される機能
の数
注記1 典型的には最も重要な又は最も頻繁に識別される使用目的のために,この機能を考慮する。このように,
この品質測定量は,システムで達成することができる,定義された使用目的それぞれに対し最初に計算さ
れる。次に,システムとしての測定量を提供するために,次項の品質測定量,すなわち,FAp-2-G“システ
ムの機能適切性”を全ての使用目的にわたってまと(纏)めて計算できる。
注記2 この規格の利用者は,利用者の意図する使用において,実際の影響をよりよく理解するために,達成可能
な利用者の目的の比率を測定することも考慮することができる。
FAp-2-G
システムの機
能適切性
利用者がその目的を達成する
ために要求される機能のう
ち,適切な成果物を提供する
機能は,どのくらいの比率か。
∑
=
=
n
1
i
in/
A
X
〜
Ai=i番目の使用目的に対する適切性の得点,すなわ
ち,i番目の特定の使用目的のために測定された,
FAp-1-Gの値
n=使用目的の数
8.3
性能効率性の測定量
性能効率性の測定量は,“明記された状態(条件)で使用する資源の量に関係する性能の度合い”を総合
評価するために使用される。資源は,他のソフトウェア製品,システムのソフトウェア及びハードウェア
構成,並びに材料(例えば,印刷用紙,保管媒体)を含むことができる。
注記1 性能効率性の測定量は,データ処理の負荷,使用頻度,接続する拠点の数などの使用条件に
よって強く影響を受け,変動する。したがって,性能効率性の測定量は,仕様で要求された,
誤差の変動の許容範囲をもつ設計値に対する,誤差の変動をもつ見積値又は測定値の比率を
含んでもよい。他のソフトウェア,ネットワークのトラフィック及び計画済みのバックグラ
ウンドで実行される処理プロセスで使用される“CPU”及びメモリといった要因によってな
12
X 25023:2018 (ISO/IEC 25023:2016)
される役割を列挙し,精査することを推奨する。見積値又は測定値に対する発生する可能性
のある変動及び妥当な範囲を設定し,要求仕様事項と比較することができる。
注記2 測定対象のタスクが,性能効率性又は容量の測定量の目的に合っているかを識別し,定義す
ることも推奨する。例えば,ビジネスアプリケーション向けのタスクとしてのトランザクシ
ョン処理,通信アプリケーション向けのタスクとして送られるスイッチングパケット及びデ
ータパケット,制御アプリケーション向けのタスクとしてのイベント制御,及び一般利用者
用アプリケーション向けのタスクとしての利用者が呼び出して使用できる機能によって生成
されるデータの出力。
8.3.1
時間効率性の測定量
時間効率性の測定量は,“製品又はシステムの機能を実行するとき,製品又はシステムの応答時間及び処
理時間,並びにスループット速度が要求事項を満足する度合い”を総合評価するために使用される(表4
参照)。
表4−時間効率性の測定量
ID
名称
説明
測定関数
PTb-1-G
平均応答時間 システムが利用者の作業又は
システムのタスクへの応答を
返すまでにどのくらいの平均
時間を要するか。
()
∑
=
=
n
1
i
in
A
X
〜
Ai=i番目の測定時において,システムが特定の利用
者の作業又はシステムのタスクに応答を返すのに要
する時間
n=測定された応答の回数
PTb-2-G
応答時間適切
性
システムの応答時間は,明示
された目標をどれくらい適切
に満たすか。
X=A/B
A=PTb-1-Gで測定される平均応答時間
B=明示された目標応答時間
注記1 測定結果の値は,PTb-1-Gでは小さい方がよく,PTb-2-Gでは1以下がよい。
注記2 応答時間は要求が提出されてから最初の応答が生成されるまでの時間である。すなわち,応答の開始まで
の時間で,応答の出力までの時間ではない。
注記3 この測定量の代わりのものは,想定される負荷状態の下で,n番目の百分位の応答時間である。個々の機能
又は機能の種類にこの測定量を適用することにも役立つ。
PTb-3-G
平均ターンア
ラウンド時間
ジョブ又は非同期プロセスを
完了するまでにどのくらいの
平均時間を要するか。
(
)
∑
=
−
=
n
1
i
i
i
n
A
B
X
〜
Ai=ジョブiを開始する時刻
Bi=ジョブiを完了する時刻
n=測定回数
PTb-4-G
ターンアラウ
ンド時間適切
性
ターンアラウンド時間が明示
した目標をどれくらい満たし
ているか。
X=A/B
A=PTb-3-Gで測定された平均ターンアラウンド時間
B=明示された目標のターンアラウンド時間
注記1 測定結果の値はより小さい方がよく,1以下がよい。
注記2 パイプライン処理の場合(例えば,複数のシステムが連鎖する場合),パイプラインのそれぞれの段階での
経過時間は考慮される必要があり,一つの段階にボトルネックがあれば,全体のターンアラウンド時間に
影響する。
注記3 明示した処理のデータ量及び/又は負荷量を連動させて,この測定量を用いることを推奨する。
13
X 25023:2018 (ISO/IEC 25023:2016)
表4−時間効率性の測定量(続き)
ID
名称
説明
測定関数
PTb-5-G
平均スループ
ット
単位時間内に,処理を完了し
たジョブ数の平均値はどのく
らいか。
(
)
∑
=
=
n
1
i
i
i
n
B
A
X
〜
Ai=i番目の観測時間中に完了したジョブ数
Bi=i番目の観測時間の期間
n=観測回数
注記1 ジョブは,マイクロプロセッサ操作のような粒度の小さな操作,若しくはトランザクション処理性能評議
会(Transaction Processing Performance Council,TPC)で定義されるような粒度の大きいトランザクション
処理,又は機能のような高次元で抽象化された概念になることができる。したがって,異なった状況で使
用される場合,この測定量の結果は,適切に解釈されることが望ましい。
注記2 平均スループットは,スループットの適切さを計算するために,スループットの目標しきい値と比較する
ことができる。特定の条件下における,このような目標しきい値が,要求事項の一つとして明示された場
合,測定結果の値は1より大きいことが要求される。
8.3.2
資源効率性の測定量
資源効率性の測定量は,“製品又はシステムの機能を実行するとき,製品又はシステムで使用される資源
の量及び種類が要求事項を満足する度合い”を総合評価するために使用される(表5参照)。
表5−資源効率性の測定量
ID
名称
説明
測定関数
PRu-1-G
平均プロセッ
サ使用効率性
運用操作時間に比較して,指
定されたタスクの集合の実行
に使用されるプロセッサ時間
はどのくらいか。
(
)
∑
=
=
n
1
i
i
i
n
B
A
X
〜
Ai=i番目の観測中に,指定されたタスクの集合の実
行に実際に使用されたプロセッサ時間
Bi=i番目の観測中に,タスクを実行するために要する
運用操作時間
n=観測回数
注記 測定結果の値は,0より大きい値から1の間になる。通常,小さい方がよい。
PRu-2-G
平均メモリ使
用効率性
利用可能なメモリ量に比較し
て,指定されたタスクの集合
の実行に使用されるメモリ量
は,どのくらいか。
(
)
∑
=
=
n
1
i
i
i
n
B
A
X
〜
Ai=i番目の観測時の対象とした処理のために,指定
されたタスクの集合の実行に実際に使用されたメモ
リ量
Bi=i番目の観測時の対象とした処理の期間中に,タス
クを実行するために利用可能なメモリ量
n=観測時の対象とした処理の数
注記 測定結果の値は,0より大きい値から1の間になる。通常,小さい方がよい。
PRu-3-G
平均I/Oデバ
イス使用効率
性
I/O操作時間に比較して,指定
されたタスクの集合の実行に
使用されるI/Oデバイスの占
有処理中となる時間は,どれ
くらいか。
(
)
∑
=
=
n
1
i
i
i
n
B
A
X
〜
Ai=i番目の観測時に指定されたタスクの集合の実行
のためにI/Oデバイスが占有処理中になる期間
Bi=i番目の観測時のタスクを実行するためのI/O操作
期間
n=観測回数
注記1 測定結果の値は0より大きく1までの間になる。通常,小さい方がよい。
注記2 占有処理中時間とは,システム又はデバイスが実際に作動している時間帯である。
14
X 25023:2018 (ISO/IEC 25023:2016)
表5−資源効率性の測定量(続き)
ID
名称
説明
測定関数
PRu-4-S
帯域使用効率
性
利用可能な帯域のうち,指定
されたタスクの集合の実行の
ためにどのくらいの比率で使
用できるか。
X=A/B
A=指定されたタスクの集合を実行する期間中継続し
て測定された,実際の伝送の帯域
B=指定されたタスクの集合を実行するために利用可
能な帯域容量
注記1 関係する資源の種類が特定の期間中に効率よく用いられているか否かという懸案事項がある場合,例えば,
処理の中断を避けることによって,資源を最大限に利用して明示されたタスクを完了するためには,測定
結果の値が最適値に近い方がよい。この場合,最適値は環境に依存する。
注記2 測定者は,平均値を含めた測定結果の統計値に影響を及ぼすことができる,起こり得る通信トラフィック
制限(例えば,通信滞留時に通信データを廃棄するドロッピング又は帯域を制限するスロットリング)を
考慮しなければならない。
8.3.3
容量満足性の測定量
容量満足性の測定量は,“製品又はシステムのパラメータの最大限度が要求事項を満足させる度合い”を
総合評価するために使用される(表6参照)。
注記1 容量満足性の測定量は,システムの大容量テストのような動的分析をとおして測定されるこ
とが期待されるか,又はシステムの統合テスト若しくはシミュレーションによる測定が可能
である。静的分析,動的テスト又は運用操作の多くの場合について,持続時間の最大値及び
分布を調べることができる。
注記2 最大値は,理論的に,起こり得る実際的な値を超えることができる目標値として明示される
ことが期待される。
表6−容量満足性の測定量
ID
名称
説明
測定関数
PCa-1-G
トランザクシ
ョン処理容量
満足性
単位時間当たりに,処理でき
るトランザクション数はどれ
くらいか。
X=A/B
A=観測時間中に完了したトランザクション数
B=観測時間
注記1 測定結果の値は,0から最大限界値までになる。通常,大きい方がよい。
注記2 テストに十分な作業負荷量がかけられた場合にだけ,この測定量は有効である。
注記3 トランザクションと同様に,タスクを代わりに使用することができる。
PCa-2-G
ユーザアクセ
ス容量満足性
ある時間にどれくらい多くの
利用者がシステムに同時にア
クセスできるか。
∑
=
=
n
1
i
in/
A
X
〜
Ai=i番目の観測時点でシステムに同時にアクセスで
きる利用者数の最大値。
n=観測回数
注記 測定結果の値は,0から最大限界値までになる。通常,大きい方がよい。
PCa-3-S
ユーザアクセ
ス増加適切性
単位時間内に追加に成功した
利用者はどのくらいか。
X=A/B
A=観測時間中に追加に成功した利用者数
B=観測時間
注記1 測定結果の値は,0から最大限界値までになる。通常,大きい方がよい。
注記2 この測定量は,与えられた瞬間に利用者が急増する間でも,ソフトウェア又はシステムの容量満足性が,
多くの利用者からのアクセスを受け入れるために十分な容量満足性がある度合いを指し示す。例えば,一
例として,極めて多くの利用者がインターネットを介して実際のシステム又はソフトウェアに同時にアク
セスできることである。
15
X 25023:2018 (ISO/IEC 25023:2016)
8.4
互換性の測定量
互換性の測定量は,“同じハードウェア環境又はソフトウェア環境を共有する間,製品,システム又は構
成要素が他の製品,システム又は構成要素の情報を交換することができる度合い,及び/又はその要求さ
れた機能を実行することができる度合い”を総合評価するために使用される。
8.4.1
共存性の測定量
共存性の測定量は,“その他の製品に有害な影響を与えずに,他の製品と共通の環境及び資源を共有する
間,製品が要求された機能を効率的に実行することができる度合い”を総合評価するために使用される(表
7参照)。
表7−共存性の測定量
ID
名称
説明
測定関数
CCo-1-G
他製品との共
存性
明示されたソフトウェア製品
が品質特性又は機能に不利な
影響なく,このソフトウェア
製品と環境を共有できる比率
はどのくらいか。
X=A/B
A=この製品が共存できる,他の明示されたソフトウ
ェア製品の数
B=運用環境においてこの製品と共存すると明示され
た他のソフトウェア製品の数
8.4.2
相互運用性の測定量
相互運用性の測定量は,“二つ以上のシステム,製品又は構成要素が情報を交換し,既に交換された情報
を使用することができる度合い”を総合評価するために使用される(表8参照)。
表8−相互運用性の測定量
ID
名称
説明
測定関数
CIn-1-G
データ様式交
換性
明示されたデータ様式は,他
のソフトウェア又はシステム
とどのくらいの比率で交換で
きるか。
X=A/B
A=他のソフトウェア又はシステムと交換できるデー
タ様式の数
B=交換できると明示されたデータ様式の数
Cln-2-G
データ交換プ
ロトコル充足
性
明示されたデータ交換プロト
コルは,どのくらいの比率で
支援されているか。
X=A/B
A=支援されたデータ交換プロトコルの数
B=支援されると明示されたデータ交換プロトコルの
数
注記 データ品質の詳細は,JIS X 25024のCon-I-1を参照。
CIn-3-S
外部インタフ
ェース適切性
明示された外部インタフェー
ス(他のソフトウェア及びシ
ステムとのインタフェース)
がどのくらいの比率で機能す
るか。
X=A/B
A=機能する外部インタフェースの数
B=明示された外部インタフェースの数
8.5
使用性の測定量
使用性の測定量は,“明示された利用状況において,有効性,効率性及び満足性をもって明示された目標
を達成するために,明示された利用者が製品又はシステムを利用することができる度合い”を総合評価す
るために使用される。
注記1 使用性の内部測定量は,問題となっているソフトウェアが,理解され,習得され,及び操作
される度合い,並びに利用者に喜び及び満足を与える相互作用を可能にする度合いの予測に
使用される。
注記2 使用性の外部測定量の多くは,利用者が機能の使用を試みることによってテストされる。結
16
X 25023:2018 (ISO/IEC 25023:2016)
果は,利用者の能力及びホストシステム品質特性から影響を受ける。これは,測定を無効に
することにはならない。なぜならば,評価されるソフトウェアが,明白に明示された条件下
で,識別された利用者のグループを代表者である標本として選ばれた利用者によって実行さ
れるからである(一般の利用者向けの汎用目的の製品に対しては,利用者のグループの範囲
を決めて代表者を標本として選ぶことはできる。)。有益な情報は規模の小さな利用者のグル
ープから得られるが,信頼できる結果を得るためには,熱心な利用者の大きなグループから
の標本が必要である。利用者は,いかなる暗示又は外部支援もなく,テストを実行する。
注記3 使用性の内部測定量及び外部測定量は,公式の設計集会,使用性に対する特定のガイドライ
ン又は仕様書と,実際に作成され文書化された設計,プロトタイプ又は実行可能なシステム
及び/又はソフトウェアとを比較する。したがって,利用者中心設計概念及び人間工学的視
点と同様に,利用時の品質の特性及び測定量を考慮することによって,使用性に対するエン
ドユーザの要求事項を引き出し,使用性についての特定の仕様書をうまく作成することが非
常に重要である。例えば,使用性の特定のガイドライン,テンプレート又はチェックリスト
では,どのような種類のメッセージもエンドユーザが容易に理解できるように,詳細に説明
する必要がある。
注記4 この規格では,使用性測定量の対象実体は,幾つかの製品に限定される。明示された利用時
の状況における有効性,効率性及び満足性に関係する使用性測定量は,ISO/IEC 25022に見
つけることができる。
注記5 使用性の測定量は,必然的に幾分かの主観的な結果を生み出すであろう。比尺度を用いて測
定することが難しい場合,状況に応じて,代案として,順序尺度を使用することができる。
例えば,1.0はとてもよい,0.8はよい,0.6は平均的,0.4はやや悪い,0.2は悪いことを表す。
8.5.1
適切度認識性の測定量
利用者は意図された使用に適合する製品を選択できなければならない。適切度認識性の測定量は,“製品
又はシステムがユーザニーズに適切であるかどうかを利用者が認識できる度合い”を総合評価するために
使用される(表9参照)。
注記 適切度認識性の測定量は,新しい利用者が次のことを理解できるかどうかを総合評価するため
に使用できる。
− 製品は利用者の目的に適合しているかどうか。
− 特別の作業を行うために,どのように使用できるか。
17
X 25023:2018 (ISO/IEC 25023:2016)
表9−適切度認識性の測定量
ID
名称
説明
測定関数
UAp-1-G
記述完全性
製品説明書又は利用者用文書
で記述されている使用シナリ
オはどのくらいの比率か。
X=A/B
A=製品説明書又は利用者用文書に記述されている使
用シナリオの数
B=製品の使用シナリオの数
UAp-2-S
実演機能網羅
率
利用者が適切度を認識できる
よう,実演機能の特徴をもつ
作業はどのくらいの比率か。
X=A/B
A=実演機能の特徴をもつ作業の数
B=実演機能の特徴があれば恩恵を受ける作業の数
UAp-3-S
ウェブサイト
の目的説明率
ウェブサイトで,そのウェブ
サイトの目的を説明している
ランディングページは,一般
にどのくらいの比率か。
X=A/B
A=ウェブサイトの目的を説明しているランディング
ページの数
B=ウェブサイトのランディングページの数
注記 ランディングページとは,“利用者が最初に閲覧するページ”のことである。
8.5.2
習得性の測定量
習得性の測定量は,“明示された利用状況において,有効性,効率性,リスク回避性及び満足性をもって
製品又はシステムを使用するために明示された利用者が,明示された学習目標を達成するように製品又は
システムを利用できる度合い”を総合評価するために使用される(表10参照)。
表10−習得性の測定量
ID
名称
説明
測定関数
ULe-1-G
ユーザガイダ
ンス完全性
利用者用文書及び/又はヘル
プファシリティにおいて,利
用者が機能を適用できるよう
にするために,十分詳細に説
明されている機能はどのくら
いの比率か。
X=A/B
A=利用者文書及び/又はヘルプファシリティにおい
て要求どおりに記述されている機能の数
B=文書化が必須な実装機能の数
注記1 習得性は適切度認識性と強く関連しており,適切度認識性の測定はソフトウェアの習得性の可能性の指標
になり得る。
注記2 ヘルプファシリティは,例えば,オンラインヘルプ,運用操作ガイドビデオ,運用操作指示システムなど
を含む。
注記3 より洗練された測定量が,人間工学又は利用者体験の観点がうまく適用されるときに形成できる可能性が
ある。例えば,システムの概念モデルの利用者のメンタルモデルへの対応付けが適合している度合いであ
る。
ULe-2-S
入力欄のデフ
ォルト
デフォルト値をもつことがで
きる入力欄のうち,デフォル
ト値が自動的に入力される入
力欄はどのくらいの比率か。
X=A/B
A=運用操作中に,デフォルト値が自動的に入力され
た入力欄の数
B=デフォルト値を設定可能な入力欄
注記 入力欄のデフォルト値は,製品を包括的に素早く操作運用方法を初心者が学習する助けになる。
ULe-3-S
エラーメッセ
ージ理解性
エラーが発生した理由,及び
どのように解決するかを記述
しているエラーメッセージは
どのくらいの比率か。
X=A/B
A=発生理由を記述し,可能な場合解決方法を示唆し
ているエラーメッセージの数
B=実装されているエラーメッセージの数
18
X 25023:2018 (ISO/IEC 25023:2016)
表10−習得性の測定量(続き)
ID
名称
説明
測定関数
ULe-4-S
自己説明提示
ユーザインタ
フェース
事前の学習若しくは教育訓
練,又は外部補助の検索がな
くとも,初見の利用者が通常
の作業を完了できるようにす
るような,利用者に提示され
た情報要素及びステップはど
のくらいの比率か。
X=A/B
A=利用者が理解できる方法で提示された情報要素及
びステップの数
B=初見の利用者が通常の作業を完了できるようにす
るために必要な情報要素及びステップの数
注記 この測定量は,公共のシステム又はウェブサイトに特に関連する。
8.5.3
運用操作性の測定量
運用操作性の測定量は,“製品又はシステムが,それらを運用操作しやすく,制御をしやすくする属性を
もっている度合い”を総合評価するために使用される(表11参照)。
注記1 運用操作性の測定量は,運用操作者若しくはエンドユーザの代表者によって,運用操作テス
トを通して測定されることが期待される。また,要求事項,設計仕様書又はユーザマニュア
ルのレビューのような静的分析を通して測定されることができる。
注記2 運用操作性の品質に関する内部測定量又は外部測定量を,利用者がソフトウェアを運用操作
し,制御できるかどうかを総合評価するために使用する。運用操作性の測定量は,次に示す
JIS Z 8520の対話の原則によって分類できる。
− タスクへのソフトウェアの適合性
− ソフトウェアの自己記述性
− ソフトウェアの制御可能性
− 利用者の期待をもつソフトウェアの適合性
− ソフトウェアのエラー許容性
− 個別化に対するソフトウェアの適合性
表11−運用操作性の測定量
ID
名称
説明
測定関数
UOp-1-G
操作一貫性
その作業内及び類似した作業
の全域の両方で一貫している
振る舞い及び外観を,対話型
操作作業はどのくらいの比率
でもっているか。
X=A/B
A=一貫性なく実行された特定の対話型作業の数
B=一貫性が必要な特定の対話型作業の数
UOp-2-G
メッセージ明
確性
システムからのメッセージ
は,どのくらいの比率で利用
者に正しい成果物又は指示を
伝達できるか。
X=A/B
A=利用者に正しい成果物又は指示を伝達するメッセ
ージの数
B=実装されたメッセージの数
注記 利用者を助け,可能なときはエラーの解決方法を説明する,利用可能な情報を全て提供するメッセージ。
19
X 25023:2018 (ISO/IEC 25023:2016)
表11−運用操作性の測定量(続き)
ID
名称
説明
測定関数
UOp-3-S
機能カスタマ
イズ可能性
利用者の利便性に合わせて,
利用者がカスタマイズできる
機能及び運用操作の手続はど
のくらいの比率か。
X=A/B
A=利用者の利便性に合わせて,カスタマイズできる
機能及び運用操作の手続の数
B=利用者がカスタマイズから利益を得ることができ
る機能及び運用操作の手続の数
UOp-4-S
ユーザインタ
フェースカス
タマイズ可能
性
ユーザインタフェースの要素
の中で,見た目をカスタマイ
ズできる要素はどのくらいの
比率か。
X=A/B
A=カスタマイズできるユーザインタフェース要素
B=利用者がカスタマイズから利益を得ることができ
るユーザインタフェース要素
UOp-5-S
監視能力
運用操作中に,機能の状態を
監視できる機能はどのくらい
の比率か。
X=A/B
A=状態の監視能力を言明している機能の数
B=状態の監視能力から利益を得ることができる機能
の数
注記1 幾つかの機能の運用操作状態の監視及び管理は,例えば,分散システム,組込みシステムなどを扱う場合
に,非常に重要である。
注記2 よりよい測定のためには,利用者による運用操作シナリオのレビュー又は運用操作テスト中に,使用性の
観点から,どの機能が監視能力から利益を得るかを見つけるための助けになる。そのような機能は,要求
事項として明示することもできる。
UOp-6-S
操作実行取消
し能力
重大な結果に至る作業のう
ち,再確認の選択肢又は操作
実行取消し能力を提供するの
はどのくらいの比率か。
X=A/B
A=操作実行取消し能力又は再確認のためのプロンプ
ト提供する作業の数
B=利用者が再確認又は実行取消し能力をもつことか
ら利益を得ることができる作業の数
注記 プロンプトとは,コンピュータが利用者に対して入力を促す記号のことをいう。
UOp-7-S
情報の理解可
能な分類
ソフトウェアが,意図した利
用者にな(馴)染みがあり利
用者の作業に便利な分類にお
ける情報をどのくらいの程度
で体系化しているか。
X=A/B
A=意図した利用者にな(馴)染みがあり便利な情報
構造の数
B=使用される情報構造の数
例 百貨店のオンライン店舗が,実店舗で商品を物理的に陳列するのと同じ方法で商品を編成する。
UOp-8-S
外観の一貫性 類似した項目をもつユーザイ
ンタフェースのうち,類似し
た外観をどのくらいの比率で
もつか。
X=1−A/B
A=類似した項目をもつが,異なる外観をもつユーザ
インタフェースの数
B=類似した項目をもつユーザインタフェースの数
注記 例えば,画面情報の“OK”及び“Cancel”は,常に同じ位置に表示されている。
UOp-9-S
入力デバイス
支援
全ての適切な入力方式(キー
ボード,マウス,声など)に
よって開始できる作業はどの
くらいの比率か。
X=A/B
A=全ての適切な入力方式によって開始できる作業の
数
B=システムによって支援される作業の数
例 検索フォームの中では,検索ボタンは,マウスの使用又はキーボードの“ENTER”キーの押下によって活性化
される。
8.5.4
ユーザエラー防止性の測定量
ユーザエラー防止性の測定量は,“利用者が間違いを起こすことをシステムが防止する度合い”を総合評
価するために使用される(表12参照)。
注記 ユーザエラー防止性の測定量は,運用操作者若しくはエンドユーザの代表者によって行われる
運用操作テストによる測定,又は要求事項,設計仕様書若しくはユーザマニュアルのレビュー
20
X 25023:2018 (ISO/IEC 25023:2016)
のような静的な分析による測定が期待される。
表12−ユーザエラー防止性の測定量
ID
名称
説明
測定関数
UEp-1-G
利用者操作エ
ラー回避性
システムの機能不全を引き起
さないように防護されている
利用者の動作及び入力はどの
くらいの比率か。
X=A/B
A=いかなるシステム機能不全をも引き起こさないよ
うに防護されている利用者の動作及び入力の数
B=いかなるシステム機能不全をも引き起こさないよ
うな防護が可能な利用者の動作及び入力の数
注記1 これには,やり直しができない動作,重大な結果に至る動作を実行する前に,システムが確認を要求する
ことを含む。
例 アプリケーション内でファイルを消去するとき,利用者は,削除するごとに削除してよいかの確認をすること
を要求される。
注記2 よりよい測定のためには,運用操作テスト中に利用者が頻繁にエラーを起こす利用者の動作及び入力を見
つけることが有効である。そのようなエラーを起こしやすい利用者の動作及び入力の防止も要求事項とし
て仕様に明示することもできる。
UEp-2-S
利用者入力エ
ラーの訂正
システムが,検出された利用
者の入力エラーに対する推奨
された正しい値を,識別可能
な原因とともにどの程度提供
するか。
X=A/B
A=システムが推奨修正値を提供する入力エラーの数
B=検出された入力エラーの数
注記 関係するデータ品質の詳細は,JIS X 25024のCre-I-1を参照。
UEp-3-S
ユーザエラー
回復性
システムによって修正又は回
復ができる,利用者のエラー
はどのくらいの比率か。
X=A/B
A=システムによって回復できるように設計され,テ
ストされた利用者のエラーの数
B=運用操作中に発生する可能性のある利用者エラー
の数
8.5.5
ユーザインタフェース快美性の測定量
ユーザインタフェース快美性の測定量は,“ユーザインタフェースが,利用者にとって楽しく満足のいく
対話を可能にする度合い”を総合評価するために使用される(表13参照)。
表13−ユーザインタフェース快美性の測定量
ID
名称
説明
測定関数
UIn-1-S
ユーザインタ
フェースの外
観の快美性
ユーザインタフェース及び全
体の設計が外観についてどれ
くらい美的に快いか。
X=A/B
A=外観が利用者にとって美的に快い表示インタフェ
ースの数
B=表示インタフェースの数
注記1 ユーザインタフェース快美性品質の内部又は外部測定量は,ユーザインタフェースの外観を総合評価する
ために使用され,画面設計及び色のような要因に影響される。このことは消費者向け製品にとって特に重
要である。
注記2 よい配色は,利用者が素早く文字を読み取ったり,又は画像を見てすぐに識別するのを助けることができ
る。その結果,よりよい快美性の測定が,例えば,灰色の背景に水色,オレンジ色の背景に赤,青の背景
に緑などのような,悪い配色への対処に役立つことが可能である。
注記3 この品質測定量は,個々の利用者に依存することが多い。その結果,専門知識をもつ使用性の設計者若し
くは利用者の代わりとなるテスト者のいずれか,又は対象となる利用者グループの代表者は,これの測定
に関わることが期待される。
21
X 25023:2018 (ISO/IEC 25023:2016)
8.5.6
アクセシビリティの測定量
アクセシビリティの測定量は,“製品又はシステムが,明示された利用状況において,明示された目標を
達成するために,幅広い範囲の心身特性及び能力の人々によって使用できる度合い”を総合評価するため
に使用される(表14参照)。
注記 アクセシビリティについて追加できる基準については,JIS X 8341-6:2013を参照。
表14−アクセシビリティの測定量
ID
名称
説明
測定関数
UAc-1-G
障害のある利
用者に対する
アクセシビリ
ティ
特定の障害のある潜在的な利
用者が(適切な場合,支援技
術を用いて)どれくらいうま
くシステムを使用できるか。
X=A/B
A=特定の障害のある利用者がうまく使用できる機能
の数
B=実装されている機能の数
注記1 特定の障害には,認知障害,身体的障害,聴覚障害又は音声障害,及び視覚障害を含む。
注記2 能力の幅には,年齢に関連した障害を含む。
注記3 特定の状況又は環境においては,人は誰もが,認知能力,身体能力,聴覚能力又は視覚能力が制限された
利用者になる可能性がある。特定の状況又は環境には,例えば,暗闇の中,気圧が低くなる高地,水中な
どがある。
UAc-2-S
利用が支援さ
れる言語の適
切性
利用に必要な言語のうち,利
用できるよう支援されている
言語はどのくらいの比率か。
X=A/B
A=実際に利用できるよう支援されている言語の数
B=利用できるように支援することが必要とされる言
語の数
注記 利用者がシステム又はソフトウェアを母国語と異なる言語で使用しようとするとき,利用者は,運用操作エ
ラーに頻繁に苦しんでおり(経験しており),ときには意図した目標の達成をあきらめる。このようなケース
は,アクセシビリティの低下の一つであり,記述及びメッセージの誤解によって,引き起こされている。そ
の結果,利用者の多様性に対応するためにどの言語が支援されるかを考慮し,明示し,実装しなければなら
ない。
8.6
信頼性の測定量
信頼性の測定量は,“明示された時間帯で,明示された条件下に,システム,製品又は構成要素が明示さ
れた機能を実行する度合い”を総合評価するために使用される。
問題となっている製品が完成品となったときに,規定の信頼性ニーズを満たすかどうかを,開発中予測
するため信頼性の内部測定量が使用される。
信頼性の外部測定量は,システム内のソフトウェアの運用操作中における信頼性の度合いを示すために
テストを実行する間,そのソフトウェアが一部となっているシステムの振る舞いに関係する属性を総合評
価するために使用される。システムとソフトウェアとは,ほとんどの場合,互いに区別できない。
8.6.1
成熟性の測定量
成熟性の測定量は,“通常の運用操作の下で,システム,製品又は構成要素が信頼性に対するニーズに合
致している度合い”を総合評価するために使用される(表15参照)。
注記 成熟性の概念は,通常の運用操作の下で要求されたニーズに成熟性以外の品質特性が合致して
いる度合いを示すために成熟性以外の品質特性に適用することもできる(JIS X 25010参照。)。
22
X 25023:2018 (ISO/IEC 25023:2016)
表15−成熟性の測定量
ID
名称
説明
測定関数
RMa-1-G
障害修正性
検出された信頼性に関係のあ
る障害のうち,修正された障
害はどのくらいの比率か。
X=A/B
A=設計,コーディング又はテスト段階で修正された
信頼性に関係のある障害の数
B=設計,コーディング又はテスト段階で検出された
信頼性に関係のある障害の数
注記 例えば,不十分なエラー処理は,信頼性に関係のある障害の一種である。
RMa-2-G
平均故障間隔
時間(MTBF)
システム又はソフトウェアを
運用操作している間の平均故
障間隔時間はどのくらいか。
X=A/B
A=運用操作時間
B=システム又はソフトウェアで実際に発生した故障
注記1 測定結果の値は0から無限大まで変化する。通常,大きい方がよい。
注記2 平均故障間隔時間は,異なるシステム又はソフトウェア製品の信頼性を比較するために使用できる。
RMa-3-G
故障率
定義された期間中の故障数の
平均はどのくらいか。
X=A/B
A=観測時間中に検出された故障の数
B=観測期間
注記1 この測定量で使用される観測期間は,実際の使用時間又はテスト時間を参照して,テスト及び運用操作の
目的によって異なることができる。
注記2 信頼性見積りモデルは,この測定量を入力として使用できる。
注記3 この品質測定量の有用さは,例えば,正常,例外及び異常ケースなどのテストケースの適切性,又はテス
ト期間中のシステム使用範囲に依存する。
RMa-4-S
テスト網羅性 関連する一組の試験に含まれ
る,システム若しくはソフト
ウェアの能力,運用操作シナ
リオ又は機能のうち,実際に
何パーセントが実行された
か。
X=A/B
A=実際に実行されたシステム若しくはソフトウェア
の能力,運用操作シナリオ又は機能の数
B=関連する一組の試験に含まれる,システム若しく
はソフトウェアの能力,運用操作シナリオ又は機能の
数
8.6.2
可用性の測定量
可用性の測定量は,“使用することを要求されたとき,システム,製品又は構成要素が運用操作可能及び
アクセス可能な度合い”を総合評価するために使用される(表16参照)。
表16−可用性の測定量
ID
名称
説明
測定関数
RAv-1-G
システム可用
性
計画されたシステム運用操作
時間のうち,実際にシステム
の運用操作が可能である時間
はどのくらいの比率か。
X=A/B
A=実際に提供されたシステム運用操作時間
B=運用操作計画で明示されたシステム運用操作時間
注記 この測定量は,通常の運用操作日に加え,休日及び週末のような特別な日に拡張することができる。
RAv-2-G
平均ダウン時
間
故障が発生した場合,システ
ムはどのくらい長い間利用で
きないか。
X=A/B
A=総ダウン時間
B=観測された機能停止回数
注記1 測定結果の値は,0から無限大まで変化する。通常,小さい方がよい。
注記2 可用性は,システム,製品又は構成要素が運用操作に供された状態である期間中の全時間に対する比率に
よって,外部的に総合評価することができる。したがって,可用性は,(故障の頻度を抑制する)成熟性,
(それぞれの故障発生後に続くダウン時間の長さを抑制する)障害許容性及び回復性の組合せである。
8.6.3
障害許容性(耐故障性)の測定量
障害許容性(耐故障性)の測定量は,“ハードウェア又はソフトウェア障害にもかかわらず,システム,
23
X 25023:2018 (ISO/IEC 25023:2016)
製品又は構成要素が意図したように運用操作できる度合い”を総合評価するために使用される(表17参
照)。
注記 障害許容性測定量に関する内部測定量又は外部測定量は,運用操作障害又は明示されたインタ
フェース違反が発生した場合に,明示された性能水準を維持する製品の能力と関係付けること
ができる。
表17−障害許容性の測定量
ID
名称
説明
測定関数
RFt-1-G
故障回避性
危機的で重大な故障を避ける
ために,制御されている障害
のパターンはどのくらいの比
率か。
X=A/B
A=回避された危機的で重大な故障の発生数(テスト
ケース数の単位で算出した数)
B=テスト中に実行された(ほぼ故障の原因となる)
障害のパターンのテストケースの数
RFt-2-S
構成要素の冗
長性
システム故障を回避するため
に,冗長化されて設置された
構成要素はどのくらいの比率
か。
X=A/B
A=冗長化されて設置された構成要素の数
B=システム構成要素の数
注記 例えば,多くの安全性が重大なシステムでは,システムの信頼性を向上させる意図で,制御システムの幾つ
かの部分を多重化することができる。
RFt-3-S
平均障害通知
時間
システムは,どれくらい早く
障害の発生を報告するか。
(
)
∑
=
=
n
1
i
i
i
n
B
A
X
〜
Ai=システムがi番目の障害を報告した時刻
Bi=システムがi番目の障害を検出した時刻
n=検出された障害数
注記 測定結果の値は,0から無限大まで変化する。通常,0に近い方がよい。
8.6.4
回復性の測定量
回復性の測定量は,“中断時又は故障時に,製品又はシステムが直接的に影響を受けたデータを回復し,
システムを希望する状態に復元することができる度合い”を総合評価するために使用される(表18参照)。
表18−回復性の測定量
ID
名称
説明
測定関数
RRe-1-G
平均回復時間 ソフトウェア又はシステムが
故障から回復するまでに要す
る時間の長さは平均でどれく
らいか。
∑
=
=
n
1
i
in/
A
X
〜
Ai=i番目の故障でダウンしたソフトウェア又はシス
テムを回復し運用操作が再開するまでに要する総時
間
n=故障数
注記1 測定結果の値は,0から無限大まで変化する。通常,小さい方がよい。
注記2 この品質測定量を,取得者及び供給者が合意した要求事項の中で明示された,平均回復時間の目標となる
しきい値と比較する場合,測定量を適合性の検査に使用することができる。
RRe-2-S
データバック
アップ完全性
定期的にバックアップされる
データ項目はどのくらいの比
率か。
X=A/B
A=実際に定期的にバックアップされるデータ項目数
B=エラーからの回復のためにバックアップを必要と
するデータ項目数
8.7
セキュリティの測定量
セキュリティの測定量は,“人間又は他の製品若しくはシステムが,認められた権限の種類及び水準に応
24
X 25023:2018 (ISO/IEC 25023:2016)
じたデータアクセスの度合いをもてるように,製品又はシステムが情報及びデータを保護する度合い”を
総合評価するために使用される。
注記1 セキュリティ攻撃は通常のテストでは発生しないため,攻撃を模擬するために侵入テストを
実行することができる。
注記2 セキュリティ保護要求事項は,スタンドアロンシステムの場合から,インターネットに接続
されたシステムの場合まで,大幅に変化する。要求されたセキュリティ機能の決定及びそれ
らの有効性の保証については,関連する国際規格の中でより詳しく取り上げられている。こ
の規格の利用者は,リスクの水準に従って,それぞれの場合で使用される必要があるセキュ
リティ機能の種類を決定する必要がある。
8.7.1
機密性の測定量
機密性の測定量は,“製品又はシステムが,アクセスすることを認められたデータだけにアクセスするこ
とができることを確実にする度合い”を総合評価するために使用される(表19参照)。
表19−機密性の測定量
ID
名称
説明
測定関数
SCo1G
アクセス制御
可能性
認可されていないアクセスを
防止している機密データ項目
はどのくらいの比率か。
X=1−A/B
A=認可なしにアクセスできる機密データ項目の数
B=アクセス制御が要求される機密データ項目の数
SCo2G
データ暗号化
正確性
データ項目の暗号化又は復号
化は要求事項仕様書に記述さ
れたようにどれくらい正確に
実装されているか。
X=A/B
A=正確に暗号化又は復号化されたデータ項目数
B=暗号化又は復号化が必要なデータ項目数
注記 関係するデータ品質の詳細については,JIS X 25024のCnf-I-1を参照。
SCo3S
暗号化アルゴ
リズムの強度
十分に強度が調査された暗号
化アルゴリズムはどのくらい
の比率か。
X=1−A/B
A=使用時に既に破られているか,又は使用時に許容
できない危険性がある暗号化アルゴリズム数
B=使用されている暗号化アルゴリズム数
注記1 その分野の専門家が現在のところ強度が高いと考えている,入念に調査されたアルゴリズムを選ぶこと,
及び十分にテストされた実装を選ぶことが重要である。幾つかの暗号化のメカニズムと同様に,分析のた
めにソースコードが利用できなければならない。例えば,米国政府のシステムはFIPS 140-2認証が必要で
ある。
注記2 暗号化アルゴリズムの強度を測定するための他の方法がある。例えば,倫理的ハッキングの使用がある。
注記3 倫理的ハッキングとは,システムのセキュリティを試験するために,システムの供給者などとの間の事前
の合意に基づいてシステム破りなどのハッキング行為を試みることをいう。
8.7.2
インテグリティの測定量
インテグリティの測定量は,“コンピュータプログラム又はデータに権限をもたないでアクセスすること
又は修正することを,システム,製品又は構成要素が防止する度合い”を総合評価するために使用される
(表20参照)。
25
X 25023:2018 (ISO/IEC 25023:2016)
表20−インテグリティの測定量
ID
名称
説明
測定関数
SIn1G
データインテ
グリティ
認可されていないアクセスに
よるデータの損傷又は修正を
どれくらい防止できるか。
X=1−A/B
A=認可されていないアクセスによって実際に損傷さ
れたデータ項目数
B=データ損傷又は修正を避ける必要のあるデータ項
目数
SIn2G
内部データ損
傷防止性
利用可能なデータ損傷の防止
手法がどれくらい実装されて
いるか。
X=A/B
A=実際に実装されたデータ損傷防止手法数
B=利用可能で,かつ,推奨されるデータ損傷防止手
法数
注記 データ損傷の防止のための内部で行う手法の例には,頻繁なデータバックアップ,参照元のデータとの定期
的な比較,多重化したミラーサイトへのデータ保存がある。
SIn3S
バッファオー
バーフロー防
止性
ソフトウェアモジュール内
で,利用者による入力がある
メモリアクセスのうち,バッ
ファオーバーフロー防止のた
めに境界値チェックされてい
るメモリアクセスはどのくら
いの比率か。
X=A/B
A=境界値チェックされる,利用者による入力がある
メモリアクセス数
B=ソフトウェアモジュール内の利用者による入力が
あるメモリアクセス数
注記 バッファオーバーフローは,境界値チェックが不十分なため,バッファに書き込まれたデータが書込み先の
バッファに近接したメモリアドレスのデータの値を損傷する場合に発生する。書込み先のバッファ内にデー
タが収まることを最初にチェックせずに,バッファから他のバッファへデータをコピーするとき,これ(バ
ッファオーバーフロー)は発生する可能性がある。
8.7.3
否認防止性の測定量
否認防止性の測定量は,“事象又は行為が後になって否認されることがないように,行為又は事象が引き
起こされたことを証明することができる度合い”を総合評価するために使用される(表21参照)。
表21−否認防止性の測定量
ID
名称
説明
測定関数
SNo1G
デジタル署名
使用率
否認防止が要求される事象の
うち,デジタル署名を使用し
て否認防止のための処理をし
ている事象はどのくらいの比
率か。
X=A/B
A=デジタル署名を使用して否認防止を保証する事
象の数
B=デジタル署名を使用して否認防止が要求される
事象数
注記 証明書及びセキュリティのアルゴリズムも否認防止性を高めるのに役立つ。
8.7.4
責任追跡性の測定量
責任追跡性の測定量は,“実体の行為がその実体に一意的に追跡可能である度合い”を総合評価するため
に使用される(表22参照)。
26
X 25023:2018 (ISO/IEC 25023:2016)
表22−責任追跡性の測定量
ID
名称
説明
測定関数
SAc1G
利用者の監査
証跡完全性
システム又はデータへの利用
者のアクセスに関して,監査
証跡が,どれくらい完全に行
われているか。
X=A/B
A=全てのログ中に記録されたアクセス数
B=実際にテストされた,システム又はデータへのア
クセス数
SAc2S
システムログ
保持性
要求された保持期間に対し
て,安定した記憶装置にシス
テムログを保管する期間はど
のくらいの比率か。
X=A/B
A=安定した記憶装置にシステムログを実際に保管す
る期間。
B=安定した記憶装置にシステムログを保管すること
に対する明示された期間
注記1 安定した記憶装置とは,所与の幾つかの書込み操作に対してアトミック性を保証し,かつ,ソフトウェア
がハードウェア故障及び電源故障に対して安定していると書かれていることを許すコンピューターデータ
保管技術の分類である。ほとんどの場合,安定した記憶装置の機能性はRAID技術によって分離されたデ
ィスク上でデータをミラーリングすることによって達成できる。
注記2 測定結果の値は,0から無限大まで変化する。通常,1より大きい方がよい。
注記3 アトミック性とは,一連の処理が不可分の一体として成功・失敗のいずれかになり,かつ,処理途中の状
態に他からアクセスできないことをいう。
8.7.5
真正性の測定量
真正性の測定量は,“ある主体又は資源の同一性が主張したとおりであることを証明できる度合い”を総
合評価するために使用される(表23参照)。
表23−真正性の測定量
ID
名称
説明
測定関数
SAu1G
真正性認証メ
カニズム十分
性
システムが主体の同一性をど
れくらいよく証明して真正性
を認識できるか。
X=A/B
A=提供された真正性認証メカニズム数(例えば,利
用者ID若しくはパスワード,又はICカード)
B=明示された真正性認証メカニズム数
注記 セキュリティに関連するものは,真正性認証モデルの強度及び多数の水準で多数の要因の真正性認証及び脅
威検出ができる能力である。提供されたプロトコルの真正性の因子数及び真正性の程度も,真正性の測定量
として使用することができる。
SAu2S
真正性認証規
則の整合性
要求された真正性を証明する
認証規則のうち,設定されて
いる規則はどのくらいの比率
か。
X=A/B
A=実装された真正性規則数
B=明示された真正性規則数
8.8
保守性の測定量
保守性の測定量は,“意図した保守者によって,製品又はシステムが修正することができる有効性及び効
率性の度合い”を総合評価するために使用される。
8.8.1
モジュール性の測定量
モジュール性の測定量は,“一つの構成要素に対する変更が他の構成要素に与える影響を最小になるよう
に,システム又はコンピュータプログラムが別々の構成要素から構成されている度合い”を総合評価する
ために使用される(表24参照)。
27
X 25023:2018 (ISO/IEC 25023:2016)
表24−モジュール性の測定量
ID
名称
説明
計測機能
MMo1G
構成要素結合
度
構成要素の独立性はどれくら
い強いか,かつ,システム又
はコンピュータプログラム中
の他の構成要素への変更によ
る影響がない構成要素は,ど
れくらい多いか。
X=A/B
A=他の構成要素への影響がないよう実装された構成
要素の数
B=独立していることが要求されている,明示された
構成要素の数
注記 他の構成要素の変更の影響の度合いは最小限かどうかを判定するためには,このようなしきい値が役立つ。
例えば,他の構成要素の変更によって引き起こされる構成要素の変更の頻度,又は構成要素が直接アクセス
する,外部から共有しているデータベースの数について,しきい値を設ける。
MMo2S
サイクロマテ
ィック複雑度
の適切性
サイクロマティック複雑度を
受容できるソフトウェアモジ
ュールは,どれくらい多いか。
X=1−A/B
A=明示されたしきい値を超えるサイクロマティック
複雑度の点数があるソフトウェアモジュール数
B=実装されたソフトウェアモジュール数
注記1 各モジュールに対し,サイクロマティック複雑度の値が受容できるかどうかを判定するために,このよう
なしきい値が使用される。しきい値は,各プロジェクト又は組織で定義され,かつ,プログラミング言語,
モジュール種別又は機能種別に対して,たぶん異なった値となる。
注記2 サイクロマティック複雑度とは,ソースコードの制御の流れの複雑さを表す測定量のことである。
8.8.2
再利用性の測定量
再利用性の測定量は,“一つ以上のシステムに,又は他の資産作りに,資産を使用することができる度合
い”を総合評価するために使用される(表25参照)。
表25−再利用性の測定量
ID
名称
説明
測定機能
MRe1G
資産の再利用
性
再利用できるシステム内の資
産の数は,どれくらい多いか。
X=A/B
A=再利用可能となるように設計され,実装された資
産数
B=システム内の資産数
注記 この測定量では,要求事項文書,ソースコードモジュール,テストモジュール,特定のハードウェアなどの
ような作業成果物を資産とすることができるかもしれない。
MRe2S
コーディング
規約遵守性
要求されたコーディング規約
を遵守しているモジュール
は,どれくらい多いか。
X=A/B
A=特定のシステムのためのコーディング規約を遵守
しているソフトウェアモジュール数
B=実装されたソフトウェアモジュール数
注記1 特定のシステムのためのコーディング規約は,例えば,モジュール性,追跡可能性及び簡潔性に寄与する
規約を含めてもよい。
注記2 この品質測定量は,解析性のような,異なる品質特性及び品質副特性にも適用できる。
8.8.3
解析性の測定量
解析性の測定量は,“製品若しくはシステムの一つ以上の部分への意図した変更が製品若しくはシステム
に与える影響を総合評価すること,欠陥若しくは故障の原因を診断すること,又は修正しなければならな
い部分を識別することが可能であることについての有効性及び効率性の度合い”を総合評価するために使
用される(表26参照)。
28
X 25023:2018 (ISO/IEC 25023:2016)
表26−解析性の測定量
ID
名称
説明
測定機能
MAn1G
システムログ
完全性
システムの運用操作を追跡で
きるようにするために,運用
操作をシステムが記録できる
ログはどれくらい多いか。
X=A/B
A=システム内で実際に記録されたログ数
B=運用操作中に監査証跡が要求されるログ数
MAn2S
診断機能有効
性
原因分析の要求事項を満たす
診断機能はどのくらいの比率
か。
X=A/B
A=原因分析に役立つ診断機能数
B=実装された診断機能数
MAn3S
診断機能十分
性
要求された診断機能が実装さ
れている比率はどのくらい
か。
X=A/B
A=実装された診断機能
B=要求された診断機能数
注記 解析性の測定量は,保守者若しくは利用者の労力,欠陥若しくは故障原因を突き止めようと試みるとき又は
修正が必要な箇所の識別に使用される資源のような属性を総合評価するために使用される。
8.8.4
修正性の測定量
修正性の測定量は,“欠陥の取込みも既存の製品品質の低下もなく,有効的に,かつ,効率的に製品又は
システムを修正することができる度合い”を総合評価するために使用される(表27参照)。
注記 修正性の測定量は,明示された修正を実行しようとするときに,保守者,利用者又はソフトウ
ェアを含むシステムの振る舞いを測定することによって,保守者又は利用者の労力のような属
性を総合評価するために使用される。
表27−修正性の測定量
ID
名称
説明
測定機能
MMd1G
修正効率性
予期した修正時間と実際とを
比較して,どれくらい効率的
に修正されるか。
(
)
∑
=
=
n
1
i
i
i
n
B
A
X
〜
Ai=特定の種別の修正iを実行するために要した総仕
事時間
Bi=特定の種別の修正iを実行するために要すると予
期した時間
n=測定された修正数
注記1 測定結果Xが1より大きい場合は非効率な修正を表し,1より小さい場合は非常に効率的な修正を表す。
注記2 特定の種別の修正を実行するために予期した時間は,履歴データ又は産業分野での平均に基づいて求める
ことができる。
MMd2G
修正正確性
正確に実装されている,修正
はどのくらいの比率か。
X=1−(A/B)
A=実装後に定められた期間中に,インシデント又は
故障を引き起こす修正の数
B=実装された修正の数
MMd3S
修正可能性
明示された期間内に,要求さ
れた修正がどれくらい実施で
きるか。
X=A/B
A=明示された期間内に実際に修正された項目数
B=明示された期間内に修正することが要求される項
目数
8.8.5
テスト性の測定量
テスト性の測定量は,“システム,製品又は構成要素について試験基準を確立することができ,その基準
が満たされているかどうかを決定するために試験を実行することができる有効性及び効率性の度合い”を
総合評価するために使用される(表28参照)。
注記1 テスト性の内部測定量は,製品の中に存在する設計及び実装された自律的テスト支援機能の
29
X 25023:2018 (ISO/IEC 25023:2016)
総量を予測するための属性の集合を示す。
注記2 テスト性の外部測定量は,修正された又は修正されていないソフトウェアをテストしようと
するときに,保守者,利用者又はソフトウェアを含むシステムの振る舞いを測定することに
よって,保守者又は利用者の労力のような属性を総合評価するために使用する。
表28−テスト性の測定量
ID
名称
説明
計測機能
MTe1G
テスト機能完
全性
テスト機能及びテストファシ
リティがどれくらい完全に実
装されているか。
X=A/B
A=明示されたとおりに実装されたテスト機能の数
B=要求されたテスト機能の数
MTe2S
自律的テスト
性
ソフトウェアテストがどれく
らい独立して実施できるか。
X=A/B
A=他のシステムに依存したテストの中で,スタブに
よって模疑実行が可能なテストの数
B=他のシステムに依存したテストの数
注記 スタブは,他モジュールを呼び出しているか又は他が依存しているモジュールの開発又はテストに使用され
る,中身の処理がない骨格だけが実装されたソフトウェアモジュール又は特定の目的で実装されたソフトウ
ェモジュールである。
MTe3S
テスト再開始
性
保守後にテストを再度開始す
る箇所から運用テストの実行
がどれくらい容易か。
X=A/B
A=保守者が,少しずつ確認するために希望した箇所
でテスト運転実行を一時停止及び再開できるケース
数
B=一時停止が可能なテスト運転実行のケース数
8.9
移植性の測定量
移植性の測定量は,“一つのハードウェア,ソフトウェア又は他の運用環境若しくは利用環境からその他
の環境に,システム,製品又は構成要素を移すことができる有効性及び効率性の度合い”を総合評価する
ために使用される。
8.9.1
適応性の測定量
適応性の測定量は,“異なる又は進化していくハードウェア,ソフトウェア又は他の運用環境若しくは利
用環境に,製品又はシステムが適応できる有効性及び効率性の度合い”を総合評価するために使用される
(表29参照)。
表29−適応性の測定量
ID
名称
説明
計測機能
PAd1G
ハードウェア
環境適応性
ソフトウェア又はシステム
は,異なるハードウェア環境
に適応できる能力が十分にあ
るか。
X=1−A/B
A=テスト中,完了しなかった機能数,又は要求事項
を十分に満たさない結果数
B=異なるハードウェア環境でテストされた機能数
PAd2G
システムソフ
トウェア環境
適応性
ソフトウェア又はシステム
は,異なるシステムソフトウ
ェア環境に適応できる能力が
十分にあるか。
X=1−A/B
A=テスト中,完了しなかった機能数,又は要求事項
を十分に満たさない結果数
B=異なるシステムソフトウェア環境でテストされた
機能数
注記1 特定の適応ニーズのためにあらかじめソフトウェアによって提供されている適応手続以外に,適応手続を
利用者が適応する必要があるとき,適応のために必要とする利用者の労力は,測定される必要がある。
注記2 システムソフトウェアは,オペレーティングシステム,ミドルウェア,データベース管理システム,コン
パイラ,ネットワーク管理システムなどを含む。
30
X 25023:2018 (ISO/IEC 25023:2016)
表29−適応性の測定量(続き)
ID
名称
説明
計測機能
PAd3S
運用環境適応
性
ソフトウェア又はシステム
は,異なる運用環境に適応で
きる能力が十分にあるか。
X=1−A/B
A=利用者環境での運用テスト中,完了しなかった機
能数,又は要求事項を十分に満たさない結果数
B=異なる運用環境でテストされた機能数
8.9.2
設置性の測定量
設置性の測定量は,“明示された環境において,製品又はシステムをうまく設置及び/又は削除できる有
効性及び効率性の度合い”を総合評価するために使用される(表30参照)。
表30−設置性の測定量
ID
名称
説明
計測機能
PIn1G
設置時間効率
性
実際の設置時間が期待した設
置時間と比較してどれくらい
効率的か。
(
)
∑
=
=
n
1
i
i
i
n
B
A
X
〜
Ai=i番目の設置に要した総作業時間
Bi=i番目の設置に要すると期待された時間
n=測定された設置回数
注記1 測定結果の値Xが1より大きい場合は非効率的な設置を表し,1より小さい場合はとても効率的な設置を
表す。
注記2 設置するための期待される設置時間は,履歴データ又は産業分野での平均値に基づくことができる。
PIn2G
設置容易性
利用者又は保守者が利便のた
めに設置手続をカスタマイズ
することができるか。
X=A/B
A=利用者が設置手続をカスタマイズするのに成功す
るケース数
B=利用者が自分の利便のために設置手続をカスタマ
イズしようと試みたケース数
注記 このような設置手続の変更は,利用者による設置のカスタマイズとして認識される。
8.9.3
置換性の測定量
置換性の測定量は,“同じ環境において,製品が同じ目的の別の明示された製品と置き換えることができ
る度合い”を総合評価するために使用される(表31参照)。
表31−置換性の測定量
ID
名称
説明
計測機能
PRe1G
使用法の類
似性
置き換えられた製品の利用者
機能のうち,追加の学習又は代
替策を用いることなく実行で
きる機能はどのくらいの比率
か。
X=A/B
A=追加の学習又は代替策を用いることなく実行でき
る利用者機能数
B=置き換えられたソフトウェア製品に存在していた
利用者機能数
注記 利用者機能とは,ユーザインタフェースも含め,意図した作業を実行するために利用者が呼び出して使用で
きる機能である。
PRe2S
製品品質等
価性
今回の製品で以前のソフトウ
ェア製品から置き換えた後,満
足されている品質測定量はど
のくらいの比率か。
X=A/B
A=新しい製品が置き換えられた製品と同等以上の品
質測定量数
B=関連する置き換えられたソフトウェア製品の品質
測定量数
注記 置換性に関連した,非常に重要な製品品質には,相互運用性,セキュリティ及び性能効率性がある。
31
X 25023:2018 (ISO/IEC 25023:2016)
表31−置換性の測定量(続き)
ID
名称
説明
計測機能
PRe3S
機能包含性
以前のソフトウェア製品から
置き換えた後も,以前のソフト
ウェア製品と同様の機能を容
易に使用できるか。
X=A/B
A=以前と同様の結果を生成する機能の数
B=置き換えたソフトウェア製品で使う必要がある機
能の数
PRe4S
データ再使
用性及びイ
ンポート能
力
今回の製品で以前のソフトウ
ェア製品から置き換えた後,以
前と同じデータが使用できる
か。
X=A/B
A=以前と同様に継続して使用できるデータの数
B=置き換えたソフトウェア製品で,継続して使用す
るデータ数
32
X 25023:2018 (ISO/IEC 25023:2016)
附属書A
(参考)
品質測定量利用のための考慮事項
この附属書は,品質測定量の選択及び適用における多くの考慮事項を扱う。箇条8に定義された各品質
測定量は,内部特徴(主として中間製品の静的な測定量),外部特徴(主として実行時のコードの振る舞い
の測定による),又はその両方を測定する場合に使用することができる。
注記1 反復型モデル又は増分型モデルが開発又は保守に適用される場合,内部測定量及び外部測定
量の双方が反復又は増分の各サイクルで使用される。反復的に増加又は改善された,システ
ム及びソフトウェアの仕様書,方式設計書,詳細設計書,構成要素及びコードは,レビュー
することで,内部測定量を用いて測定することができる。他方,反復的に統合されたシステ
ム及びソフトウェアは,個々の反復又は増分において,テスト作業を組み立てるためにそれ
らを実行することで,外部測定量を用いて測定することができる。反復又は増分において,
実行可能なテストが非常に頻繁に実行できる場合にはおそらく外部測定量(又は利用時の品
質測定量)を内部測定量より多く採用することができる。その場合,これらの品質測定量を,
複数の反復又は増分をとおして,進化する品質の傾向を監視するために繰り返し使用するこ
とができる。例えば,機能適合性の品質測定量の一つである機能網羅性の測定値は,早期の
反復ではおそらく低く,後期の反復ではより高い所へ増加していくことが期待される。
注記2 性能効率性の内部測定量は,静的な設計文書又はソースコードに適用可能である。これらの
測定値は,設計されたアルゴリズム,呼出し関数数又は実行可能なステップ数の理論的な計
算量の見積りによって得ることができる。しかしながら,設計段階で実行可能な中間プロト
タイプに対する性能効率性の外部測定量の適用は,内部測定量と外部測定量との間の実際の
差分を理解し,内部測定量の見積りを校正するのに役立つ。
注記3 使用性の内部測定量は,画面表示の静的なモックアップ,使用性設計の仕様書,メッセージ
のテキストファイルの集合,ユーザマニュアル,ユーザインタフェースに関わるソースコー
ドなどに適用できる。しかしながら,開発段階で実行可能な中間プロトタイプに対する使用
性の外部測定量の適用は,内部測定量と外部測定量との間の実際の差分を理解するのに役立
つ。可能な場合,開発段階で実行可能なプロトタイプへの利用時の品質測定量の適用も非常
に役に立つ。
加えて,品質測定量は,次のような推奨水準によって分類できる。
− HR 適用が強く推奨されるものであり,“常にこの品質測定量を利用する。”ことを意味する。
− R 適用が推奨されるものであり,“適切な場合にはこの品質測定量を利用する。”ことを意味する。
− UD 利用者の裁量で利用されるものであり,測定量の信頼性が未知であるため,“新しい品質測定量
を開発するときにこの測定量を参考として利用する。”ことを意味する。
表A.1に,各品質測定量の使用と関係した,こういう種類の考慮事項を示す。
33
X 25023:2018 (ISO/IEC 25023:2016)
表A.1−品質測定量の使用に関する要約表
品質特性
品質副特性
ID
品質測定量名
内部・外部・
両方の区別
推奨
水準
機能適合性
機能完全性
FCp1G
機能網羅性
両方
HR
機能正確性
FCr1G
機能正確性
両方
HR
機能適切性
FAp1G
使用目的に関する機能適切性
両方
HR
FAp2G
システムの機能適切性
両方
HR
性能効率性
時間効率性
PTb1G
平均応答時間
両方
HR
PTb2G
応答時間適切性
両方
R
PTb3G
平均ターンアラウンド時間
両方
R
PTb4G
ターンアラウンド時間適切性
両方
R
PTb5G
平均スループット
両方
R
資源効率性
PRu1G
平均プロセッサ使用効率性
外部
HR
PRu2G
平均メモリ使用効率性
外部
R
PRu3G
平均I/Oデバイス使用効率性
外部
R
PRu4S
帯域使用効率性
外部
UD
容量満足性
PCa1G
トランザクション処理容量満足性
両方
R
PCa2G
ユーザアクセス容量満足性
両方
R
PCa3S
ユーザアクセス増加適切性
外部
UD
互換性
共存性
CCo1G
他製品との共存性
外部
HR
相互運用性
CIn1G
データ様式交換性
両方
HR
CIn2G
データ交換プロトコル充足性
両方
R
CIn3S
外部インタフェース適切性
両方
HR
使用性
適切度認識性
UAp1G
記述完全性
両方
HR
UAp2S
実演機能網羅率
両方
UD
UAp3S
ウェブサイト目的説明率
両方
UD
習得性
ULe1G
ユーザガイダンス完全性
両方
HR
ULe2S
入力欄のデフォルト
両方
R
ULe3S
エラーメッセージ理解性
両方
R
ULe4S
自己説明提示ユーザインタフェース
両方
UD
運用操作性
UOp1G
操作一貫性
両方
HR
UOp2G
メッセージ明確性
両方
R
UOp3S
機能カスタマイズ可能性
両方
UD
UOp4S
ユーザインタフェースカスタマイズ可能性
両方
UD
UOp5S
監視能力
両方
UD
UOp6S
操作実行取消し能力
両方
R
UOp7S
情報の理解可能な分類
両方
R
UOp8S
外観の一貫性
両方
UD
UOp9S
入力デバイス支援
両方
UD
ユーザエラー防
止性
UEp1G
利用者操作エラー回避性
両方
HR
UEp2S
利用者入力エラーの訂正
両方
HR
UEp3S
ユーザエラー回復性
両方
R
ユーザインタフ
ェース快美性
UIn1S
ユーザインタフェースの外観の快美性
両方
UD
アクセシビリテ
ィ
UAc1G
障害のある利用者に対するアクセシビリティ 両方
R
UAc2S
利用が支援される言語の適切性
両方
UD
34
X 25023:2018 (ISO/IEC 25023:2016)
表A.1−品質測定量の使用に関する要約表(続き)
品質特性
品質副特性
ID
品質測定量名
内部・外部・
両方の区別
推奨
水準
信頼性
成熟性
RMa1G
障害修正性
両方
HR
RMa2G
平均故障間隔時間(MTBF)
外部
HR
RMa3S
故障率
外部
R
RMa4S
テスト網羅性
外部
R
可用性
RAv1G
システム可用性
外部
HR
RAv2G
平均ダウン時間
外部
R
障害許容性
(耐故障性)
RFt1G
故障回避性
外部
HR
RFt2S
構成要素の冗長性
両方
R
RFt3S
平均障害通知時間
外部
UD
回復性
RRe1G
平均回復時間
外部
HR
RRe2S
データバックアップ完全性
両方
R
セキュリティ 機密性
SCo1G
アクセス制御可能性
両方
HR
SCo2G
データ暗号化正確性
両方
R
SCo3S
暗号化アルゴリズムの強度
両方
UD
インテグリティ
SIn1G
データインテグリティ
両方
HR
SIn2G
内部データ損傷防止性
両方
R
SIn3S
バッファオーバーフロー防止性
内部
UD
否認防止性
SNo1G
デジタル署名使用率
両方
R
責任追跡性
SAc1G
利用者の監査証跡完全性
両方
HR
SAc2S
システムログ保持性
両方
R
真正性
SAu1G
真正性認証メカニズム十分性
両方
HR
SAu2S
真正性認証規則の整合性
両方
R
保守性
モジュール性
MMo1G
構成要素結合度
両方
R
MMo2S
サイクロマティック複雑度の適切性
内部
UD
再利用性
MRe1G
資産の再利用性
両方
HR
MRe2S
コーディング規約遵守性
内部
R
解析性
MAn1G
システムログ完全性
両方
HR
MAn2S
診断機能有効性
両方
R
MAn3S
診断機能十分性
両方
R
修正性
MMd1G
修正効率性
両方
HR
MMd2G
修正正確性
両方
HR
MMd3S
修正可能性
両方
UD
テスト性
MTe1G
テスト機能完全性
両方
R
MTe2S
自律的テスト性
両方
UD
MTe3S
テスト再開始性
両方
UD
移植性
適応性
PAd1G
ハードウェア環境適応性
外部
HR
PAd2G
システムソフトウェア環境適応性
外部
HR
PAd3S
運用環境適応性
外部
UD
設置性
PIn1G
設置時間効率性
外部
R
PIn2G
設置容易性
外部
R
置換性
PRe1G
使用法の類似性
両方
HR
PRe2S
製品品質等価性
両方
R
PRe3S
機能包含性
外部
R
PRe4S
データ再使用性及びインポート能力
外部
UD
35
X 25023:2018 (ISO/IEC 25023:2016)
附属書B
(参考)
製品の品質測定量の定義に利用するQME
様々な品質測定量の測定関数に使用されるほとんどのQMEは,既にJIS X 25021:2014の附属書Aに規
定されている。必要であれば,JIS X 25021:2014で提供されている手順及び表形式に従って,新しいQME
を適切に定義又は設計することができる。
次に,様々な品質測定量の測定関数によく利用される一般的なQMEを要約する。
注記 QMEに関する更なる情報は,JIS X 25021:2014のQMEの定義を参照。
B.1
機能数
特定のQMEの定義で与えられる条件を満たす全ての機能の数。
注記 例えば,要求された機能,実装された機能,テストされた機能,必須の機能,選択的な機能,
又はこれら及び更にその他の機能の組合せが考えられる。
B.2
故障数
所与の期間に発生し,かつ,特定のQMEの定義で与えられる条件も満たす全ての故障の数。
QMEの例 予想される故障数,発見された故障数,解決された故障数,与えられた重大性水準の故障数。
B.3
障害数
特定のQMEの定義で与えられる条件を満たす,所与のソフトウェア製品構成要素で検出された(又は
見積もられた)ソフトウェア製品障害の数。例えば,所与の種類の障害の数,所与の重大性の障害の数,
うまく訂正された障害の数など。
B.4
製品規模
求められた基準に基づく,ソフトウェア製品構成要素の数。これには,コード行数(LOC),ファンクシ
ョンポイント,モジュール,クラス,又は図若しくはその部品のような視覚的構造体があり得る。
注記 ソフトウェア製品構成要素は,幾つかの付加的な特徴を満足するかどうかだけを数えることが
できる。例えば,実行可能なコード行数だけ,コメントも含むコード行数,コメント行だけ,
宣言又は型キャスト,角括弧及び丸括弧だけなど。
B.5
期間
特定のQMEの定義で規定された,任意のプロセスの開始時間と終了時間との間隔のこと(期間=終了
時間−開始時間)。例えば,次のものがある。
− 実行時間 内部的にコンピュータクロックで内部的に測定された時間。例えば,CPU時間,入出力時
間など,又は挿入コード若しくはソフトウェアツール(例 一そろいのテスト)をとおして測定され
た時間のこと。
− 観察時間 観察者がコンピュータ外の時計を用いて,外部的に測定した時間。例えば,トランザクシ
ョン又は利用者作業を終了するまでの時間。
36
X 25023:2018 (ISO/IEC 25023:2016)
− 設定時間 プロセス又は観察について固定した時間ではあるが,動作とは独立した測定量として有意
義なもの。例えば,要求された応答時間。
B.6
テストケース数
特定のQMEの定義で与えられた条件を満たす異なるテスト入力データ及びシナリオの数。例えば,設
計されたテストケース,要求されたテストケース,実行されたテストケース(成功したケース又は失敗し
たケース)など。
B.7
再開数
重大な故障の後にシステムが再びコンピュータ処理を開始することを試みた回数を数え,特定のQME
の定義で与えられる条件を満たす。システムの再開と回復とは,区別することができる。
B.8
入出力回数
特定のQMEの定義で与えられた条件を満たす入出力イベントの回数。入出力イベントは,観察者に対
するシステムメッセージとは区別される。
− 観察者とシステムとの間の相互作用。例えば,ダイアログなど。
− トランザクション 運用操作を完遂するために細かく分けて実行しなければならない,観察者とシス
テムとの間の一連の相互作用。例えば,(オプション付きの)ウィザード。
B.9
タスク(作業)数
タスク(作業)は,与えられた目標を達成するために必要な活動の集合又は一連の活動である。タスク
(作業)数は,特定のQMEの定義で与えられる条件を満たす,タスク(作業)の数である。次のものに
区別できる。
− 利用者作業 明示された目標に向けて,利用者によって(ソフトウェア製品を用いて)実行される活
動
− システムタスク 利用者を支援するためにシステムによって実行される活動
B.10 利用者試行数
特定のQMEの定義で与えられた条件を満たすために,同一の運用操作を実行する試行回数。これらの
試行には,次の二つが考えられる。
− 評価 同一入力及び同一シナリオによる反復(例えば,ストレステスト)
− ケース 異なる入力及び/又は異なるシナリオによる反復
B.11 データ項目数
特定のQMEの定義で与えられた条件を満たす異なる構造,クラス又は様式数。
B.12 記録数
特定のQMEの定義で与えられた条件を満たす同一の構造,クラス又は様式の記録の数。
37
X 25023:2018 (ISO/IEC 25023:2016)
B.13 要求事項数
特定のQMEの定義で与えられた条件を満たす要求事項の条項の数。
注記 要求事項には,例えば,必須の要求事項,選択的な要求事項,妥当性が確認された要求事項,
又はこれら及び更にその他の要求事項の組合せが考えられる。
B.14 利用者運用操作数
特定のQMEの定義で与えられた条件を満たす,利用者によって実行された運用操作の回数。ここで,
運用操作は作業を実行するために必要な一連のステップである。
B.15 システム運用操作数
特定のQMEの定義で与えられた条件を満たす,システムによって実行された完全な運用操作の数。
注記 このQMEでは,個々の運用操作に必要な個別のステップではなく,完全な運用操作の数を数
える。
B.16 言語数
意図した利用者機能を実行するために使用される,製品がサポートしている異なる言語の数。
B.17 ソフトウェアモジュール数
他の構成要素から独立して動くソフトウェア構成要素の数。概念的には,モジュールは,関与の分離を
表し,構成要素間の論理的な境界を引くことで保守性を改善する。
B.18 インタフェース数
コンピュータシステムの二つの分離した構成要素にまたがる共有される境界の数。情報の交換は,ソフ
トウェア,ハードウェア,周辺機器,人,及びこれらの組合せの間の相互間に存在することができる。
38
X 25023:2018 (ISO/IEC 25023:2016)
附属書C
(参考)
測定の型の詳細説明
C.1 一般
データの収集,正しい意味の解釈,及び比較のための測定量の正規化,の手順を設計するために,測定
量の利用者は,品質測定量を用いた測定における測定量の型を識別し,考慮することが望ましい。
注記 ほとんどの外部測定量は,テストを実施して測定関数の入力データを収集することができる。
この附属書の中で説明する測定の型は,テスト設計技法及びISO/IEC 29119-4で定義されたテ
ストの型と密接に関係している。品質に関連したテストの型,並びに品質特性及び品質副特性
のテストの型への対応付けは,ISO/IEC 29119-4:2015の附属書Aに詳細が記述されている。
C.2 規模に関する測定量の型
C.2.1 一般
この型の測定量は,その定義における測定に関する記載に従って,ソフトウェアの特別の規模を表して
いる。
注記 ソフトウェアは,(いかなる実体も,質量,体積,表面積などの一つ以上の次元で測定できるよ
うに)多様な規模表現が可能である。
他の測定量を規模の測定量によって正規化することで,規模を単位とした比較可能な値を与えることが
できる。次に記載する規模の測定量は,ソフトウェア品質測定に使用される。
C.2.2 機能規模型
機能規模は,ソフトウェアがもち得る規模の一つの型の例(一つの次元)である。ソフトウェアのいか
なる実体にも,次に例示するような事項に応じた,一つ以上の機能規模がある。
− ソフトウェア規模を測定する目的(それは,測定の対象とするソフトウェアの適用範囲に影響する。)
− 使用する特別の機能規模方法(それは,単位及び尺度を変える。)
機能規模測定法(FSM法)を適用するための考え方及びプロセスの定義は,JIS X 0135-1:2010に規定し
ている。
正規化のために機能規模を使用するためには,同じ機能規模測定法を使用すること,及び比較する異な
るソフトウェアを同じ目的で測定しており,その結果として比較可能な適用範囲をもつことを確実にする
必要がある。
次に示すものは,機能規模を表すと主張されることが多いが,JIS X 0135-1:2010に適合したFSM法を
適用して得られる機能規模と同等であることは保証されない。しかしながら,ソフトウェア開発において
広く使用されている。
− スプレッドシート枚数
− 画面数
− 処理されたファイル数又はデータセット数
− 利用者要求仕様書に項目別に記載された機能要求事項数
C.2.3 プログラム規模型
ここでは,“プログラミング”という用語は,実行されたとき動作で終了する表現を表し,“言語”とい
39
X 25023:2018 (ISO/IEC 25023:2016)
う用語は,使用された表現の型を示す。
C.2.3.1 ソースプログラム規模
プログラミング言語について説明し,コメント行のような非実行文をどのように取り扱うかを提供する
ことが望ましい。次の測定量が一般的に使用される。
コメント以外のソース文(NCSS: Non-Comment Source Statements)は,論理的なソース文をもつ実行文
及びデータ宣言文を含む。
注記1 新規プログラム規模 開発者は,新規に開発したプログラムの規模を,開発及び保守作業の
成果物の規模を表すために使用することができる。
注記2 変更プログラム規模 開発者は,変更プログラム規模を修正した構成要素を含むソフトウェ
アの規模を表すのに使用することができる。
ソースコードの文の型を,次に示すように,より詳細に区分することが必要かもしれない。
− 文の型
− 論理ソース文(LSS: Logical Source Statement) LSSは,ソフトウェアの命令の数を測定する。文は,
行には関わりがなく,見た目で物理的な表記の形式とは独立している。
− 物理ソース文(PSS: Physical Source Statement) PSSは,ソフトウェアのソースコードの行数を測定
する。
− 文の属性
− 実行可能文
− データ宣言文
− コンパイラへの指示文
− コメントソース文
− 源泉
− 修正ソース文
− 追加ソース文
− 削除ソース文
− 新規開発ソース文(=追加ソース文+修正ソース文)
− 再利用ソース文(=元のソース文−修正ソース文−削除ソース文)
C.2.3.2 プログラム語数による規模
測定は,ハルステッド(Halstead)の測定量を使用して,次の方式で実行できる。
プログラム語彙=n1+n2
観察されたプログラムの長さ=N1+N2
ここで各変数は,次のとおりとする。
n1は,演算子の種類の数(すなわち,プログラムソースコード中に,プログラム言語によって用意され,
予約されている演算子の語の種類の数)
n2は,演算対象の種類の数(すなわち,プログラムソースコード中に,プログラマによって定義された
演算対象の語の種類の数)
N1は,演算子の総数(すなわち,プログラムソースコード中に,各種演算子の出現数)
N2は,演算対象の総数(すなわち,プログラムソースコード中に,各種演算対象の出現数)
C.2.3.3 モジュール数
測定は,プログラムのモジュールのような独立して実行可能なオブジェクトの数を数える。
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X 25023:2018 (ISO/IEC 25023:2016)
C.2.4 使用資源測定量型
この型は,評価対象ソフトウェアの運用操作によって使用される資源を識別する。次のような例がある。
a) メモリ量。例えば,ソフトウェア実行の間,一時的又は恒久的に占有するディスク量又はメモリ量。
b) 入出力負荷。例えば,通信データのトラフィック量(ネットワーク上のバックアップツールにおいて
意味をもつ。)。
c) CPU負荷。例えば,命令セットがCPUを占有する秒当たりのパーセント(この測定型は,並列又は
並行システム上で稼働するマルチスレッドソフトウェアにおける,CPUの使用及びプロセス分配の効
率を測定するために意味をもつ。)。
d) ファイル及びデータレコード。例えば,ファイル又はレコードのバイト長。
e) 文書。例えば,文書のページ数。
実施した観測の期間及び回数だけでなく,上端値(最大値),最小値及び平均値に注意することが重要で
ある。
C.2.5 明示された運用操作手順ステップの型
この型は,ヒューマンインタフェース設計仕様書又はユーザマニュアルに明記された手順の静的なステ
ップを識別する。
利用者の操作手順を表現する図表又は文章のような,どのような種類の記述を測定に対して用いたかに
よって,測定値が異なるかもしれない。
C.3 時間に関する測定量の型
C.3.1 一般
時間に関する測定量の型をもつ測定量の利用者は,測定期間,測定したサイト数及び測定に参加してい
た利用者数を記録しておくことが望ましい。
次に例示するように,時間を測定するときの時間の取り方はたくさんある。
a) 実時間単位 これは,物理的な時間である。すなわち,秒,分,又は時間である。この単位は通常,
実時間ソフトウェアのタスク処理時間を記述するために使用される。
b) コンピュータ機器時間単位 これは,コンピュータプロセッサのクロックタイムである。すなわち,
CPU時間の秒,分,又は時間である。
c) 公的スケジュール時間単位 これには,就業時間,カレンダの日,月,又は年を含む。
d) 構成要素時間単位 複数サイトが存在するとき,構成要素時間は個々のサイトを識別し,各サイトの
個々の時間を積算した時間とする。この単位は通常,構成要素の信頼性(例えば,構成要素の故障率)
の記述に使用される。
e) システム時間単位 複数サイトが存在するとき,システム時間は個々のサイトを識別しないが,全て
の稼働サイトを全体として一つのシステムとして識別する。この単位は通常,システムの信頼性(例
えば,システムの故障率)の記述に使用される。
C.3.2 システム運用操作時間型
システム運用操作時間型は,ソフトウェアの可用性の測定の基盤を提供する。これは,主に信頼性評価
のために使用される。ソフトウェアが断続的に運用操作されているか,又は連続的に運用操作されている
かを識別することが望ましい。ソフトウェアが断続的に運用操作されている場合,ソフトウェアが作動し
ている期間中に時間が測定されること(これは,明らかに連続的に運用操作されているときにも同じこと
がいえる。)を保証することが望まれる。
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X 25023:2018 (ISO/IEC 25023:2016)
a) 経過時間 ソフトウェアの使用が一定な場合,例えば,システムで毎週同じ長さで運用操作している
こと。
b) マシン電源投入時間 実時間とするなら,組込ソフトウェア,又はオペレーティングシステムソフト
ウェアが稼働していて,システムが運用可能な状態にあるときの全時間となる。
c) 正規化マシン時間 “マシン電源投入時間”であるが,異なる“電源投入時間”にある複数マシンか
らデータをためること。
C.3.3 実行時間型
実行時間型は,明示されたタスクを完了するため,ソフトウェアを実行するために必要な時間である。
幾つかの試行の分布を分析し,平均,分散又は最大値を計算することが望ましい。特定の条件下,特に過
負荷のかかった条件下での実行を分析することが望ましい。実行時間型は,主に効率性の評価で使用され
る。
C.3.4 利用者時間型
利用者時間型は,個々の利用者が,ソフトウェアを運用操作して作業を完了するのに費やした期間で測
定される。次に幾つかの例を示す。
a) セッション時間 セッションの開始から終了までを測定する。例えば,ホームバンキングシステムの
利用者の振る舞いを捉えることに役立つ。対話型プログラムのセッション時間では,運用操作がない
アイドル時間は対象としない場合,又は使用性の問題を調査するためにアイドル時間を対象とする場
合がある。
b) 作業時間 それぞれの試行でソフトウェアを運用操作して作業を完了するために,個々の利用者が費
やした時間。測定の開始時点及び終了時点を明確に定義することが望ましい。
c) 利用者時間 個々の利用者がある時点でソフトウェアを使い始めてからの経過時間(利用者が,おお
むね,ソフトウェアを利用開始から何時間又は何日使用したかを測定する。)。
C.3.5 労力型
労力型は,特定のプロジェクト作業と関連した生産時間である。
a) 個人労力 これは,明示された作業を完了するために働く開発者,保守者又は操作者の個々人が必要
とする生産時間である。人日と表現するためには,1日当たりに一定の生産時間数があることだけを
前提とする。
b) 作業労力 作業労力は,プロジェクト要員の全ての各個人の累積値である。要員とは,開発者,保守
者,運用操作者,利用者又は明示された作業を完了するために働く人々を指す。
C.3.6 イベント時間間隔型
この測定量型は,観測期間中の一つのイベントから次のイベントまでの時間間隔である。この測定量の
代わりに,観測期間の頻度を用いることができる。典型的には,継続的に発生する故障の故障間隔の時間
を記述するために使用される。
C.4 計数測定型
ソフトウェア製品の文書の属性を数える場合,これらは静的計数型となる。イベント又は人の活動を数
える場合,これらは動的計数型となる。
C.4.1 検出障害数型
測定は,レビュー,テスト,修正,運用操作又は保守の間に検出された障害を数える。重大度の水準を,
障害の影響を考慮するために,それらを分類するために使用することができる。
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C.4.2 プログラム構造複雑度型
測定は,プログラムの構造的な複雑さを数える。例として,異なるパスの数又はマッケーブ(McCabe)
のサイクロマティック数がある。
C.4.3 検出された一貫性のない型の数の型
この測定量は,調査のために準備される,検出された一貫性のない項目を数える。
a) 失敗した適合項目の数 次に例を示す。
− 要求事項仕様書に明示された項目への適合
− 規則,基準又は標準への適合
− プロトコル,データ形式,メディア形式,文字コードへの適合
b) 利用者の期待に反した具体的事例数 測定は,項目別の満足又は不満足の一覧の項目を数える。そし
て,項目には,利用者の合理的な期待とソフトウェア製品の性能との間のかい(乖)離を記述してい
る。
テスト担当者,顧客,運用操作者又はエンドユーザが見つけた,回答する質問票を使用する。
次に例を示す。
− 機能は使えるか否か。
− 機能は効果的に運用操作できるか否か。
− 機能は利用者が意図した特定の使用に対して運用操作可能か否か。
− 機能は期待されたものか,必要なものか,又は不要なものか。
C.4.4 変更数型
この型は,変更されたことを検知されるソフトウェア構成項目を識別する。例として,ソースコードの
変更行数がある。
C.4.5 検出故障数型
測定は,製品開発,テスト,運用操作,又は保守の間に,検出された故障の数を数える。故障の影響を
考慮するために,それらを分類するために重大度の水準を使用することができる。
C.4.6 試行回数型
この測定量は,例えば,レビュー,テスト,保守の間に,欠陥又は障害の修正を試行した回数を数える。
C.4.7 人的操作手順のストロークによる型
この測定量は,利用者が対話的にソフトウェアを運用操作するとき,手順上の動的なステップとしての
利用者の人的な行動のストローク数を数える。この測定量は,使用の労力と同様に人間工学的な使用性を
定量化する。したがって,これは,使用性の測定に使用される。例としては,作業を実行するためのスト
ローク数,眼球運動数などがある。
注記 ストロークとは,何かを操作した一連の動き(工程)のことを指す。
C.4.8 スコア型
この型は,スコア又は算術計算の結果を識別する。スコアは,計数,又はチェックリスト上にチェック
されたオン及び/又はオフの重みの計算を含むことができる。例としては,チェックリストのスコア,質
問票のスコア,デルファイ法などがある。
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X 25023:2018 (ISO/IEC 25023:2016)
参考文献
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注記 対応国際規格:ISO/IEC 9241-110,Ergonomics of human-system interaction−Part 110: Dialogue
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注記 対応国際規格:ISO/IEC 9241-171,Ergonomics of human-system interaction−Part 171: Guidance
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[5] JIS X 0135-1:2010 ソフトウェア測定−機能規模測定−第1部:概念の定義
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size measurement−Part 1: Definition of concepts(IDT)
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注記 対応国際規格:ISO/IEC 15939:2007,Systems and software engineering−Measurement process
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注記 対応国際規格:ISO/IEC 25012,Software engineering−Software product Quality Requirements and
Evaluation (SQuaRE)−Data quality model(IDT)
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[10] ISO/IEC 25022,Systems and software engineering−Systems and software quality requirements and
evaluation (SQuaRE)−Measurement of quality in use
[11] JIS X 25024:2018 システム及びソフトウェア製品の品質要求及び評価(SQuaRE)−データ品質の測
定
注記 対応国際規格:ISO/IEC 25024,Systems and software engineering−Systems and software Quality
Requirements and Evaluation (SQuaRE)−Measurement of data quality(IDT)
[12] JIS X 25030:2012 ソフトウェア製品の品質要求及び評価(SQuaRE)−品質要求事項
注記 対応国際規格:ISO/IEC 25030,Software engineering−Software product Quality Requirements and
Evaluation (SQuaRE)−Quality requirements(IDT)
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[15] ISO/IEC/IEEE 291194:2015,Software and systems engineering−Software testing−Part 4: Test techniques
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