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X 25022:2019 (ISO/IEC 25022:2016) 

(1) 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲························································································································· 3 

2 適合性···························································································································· 3 

3 引用規格························································································································· 4 

4 用語及び定義 ··················································································································· 4 

5 略語······························································································································· 8 

6 利用時品質の測定量の利用 ································································································· 8 

6.1 利用時品質の適用 ·········································································································· 8 

6.2 利用時品質の測定 ·········································································································· 9 

6.3 利用時品質の測定量の解釈 ····························································································· 10 

6.4 適切な利用時品質の測定量の選定····················································································· 10 

6.5 他の国際規格が規定する利用時品質の側面 ········································································· 11 

7 品質測定量を記述するために使用される形式 ········································································ 11 

8 利用時品質の測定量 ········································································································· 12 

8.1 一般 ··························································································································· 12 

8.2 有効性の測定量 ············································································································ 12 

8.3 効率性の測定量 ············································································································ 13 

8.4 満足性の測定量 ············································································································ 15 

8.5 リスク回避性の測定量 ··································································································· 17 

8.6 利用状況網羅性の測定量 ································································································ 21 

附属書A(参考)利用状況網羅性の測定方法の例 ······································································ 24 

附属書B(参考)利用時品質の測定量の正規化 ·········································································· 26 

附属書C(参考)JIS Z 8521の使用性を測定するためのこの規格の利用 ········································· 30 

附属書D(参考)利用時品質の評価プロセス ············································································ 31 

附属書E(参考)異なる品質モデル間の関係············································································· 36 

附属書F(参考)品質測定の概念 ···························································································· 37 

附属書G(参考)品質測定量の定義で用いるQME ···································································· 38 

参考文献 ···························································································································· 39 

X 25022:2019 (ISO/IEC 25022:2016) 

(2) 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人情報処理学会(IPSJ)及び一般

財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,

日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

日本工業規格          JIS 

X 25022:2019 

(ISO/IEC 25022:2016) 

システム及びソフトウェア製品の品質要求及び評価

(SQuaRE)−利用時品質の測定 

Systems and software engineering-Systems and software quality 

requirements and evaluation (SQuaRE)-Measurement of quality in use 

序文 

この規格は,2016年に第1版として発行されたISO/IEC 25022を基に,技術的内容及び構成を変更する

ことなく作成した日本工業規格である。 

なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。 

この規格は,SQuaREシリーズ規格の一部である。この規格は,(JIS X 25030に関連して)利用時品質

の要求事項を規定し,かつ,(JIS X 25040及びJIS X 25041に関連して)利用時品質を測定し,評価する

ために使用することができる,(JIS X 25010で規定している)利用時品質の品質特性のための品質測定量

の集合を提供する。 

この規格の品質測定量は,その実用的な価値に基づいて選択される。これらの品質測定量は,(例えば,

参考文献[16]に含まれる)実証された実践に基づいている。これらの品質測定量は,網羅的であることを

意図していないし,かつ,この規格の利用者には,必要に応じてそれらを見直すことを推奨する。 

また,附属書Gに品質測定量の定義で用いるQMEについて示す。 

品質測定部門 

この規格は,次の規格からなるISO/IEC 2502n部門の一つである。 

− ISO/IEC 25020 測定量の参照モデル及び手引 ISO/IEC 2501n品質モデル部門で定義した品質特性

を測定するための参照モデル及びガイドを規定している。 

− JIS X 25021 品質測定量要素 品質測定要素及びソフトウェアの品質測定を構築するために使用で

きる品質測定量要素の幾つかの例を仕様化するための様式を規定している。 

− JIS X 25022 利用時品質の測定 利用時品質のモデルにおける品質特性に対する関連した測定量機

能を含む測定を規定している。 

− JIS X 25023 製品の品質の測定 製品品質モデルで規定された各品質特性及び品質副特性に関連し

た測定量関数を含む測定を規定している。 

− JIS X 25024 データ品質の測定 データ品質モデルにおける品質特性に対する関連した測定量機能

及び品質測定量要素を含む測定を規定している。 

図1では,この規格とそれ以外のISO/IEC 2502n部門の規格との関係を表している。 

background image

X 25022:2019 (ISO/IEC 25022:2016) 

図1−品質測定部門の構造 

SQuaREシリーズの概要及び組織 

SQuaREシリーズの各部門には,次のものがある。 

− ISO/IEC 2500n 品質管理部門 この部門の規格は,SQuaREシリーズの,他の全ての規格から参照さ

れる共通モデル,用語及び定義を規定する。規格を特定の応用事例に適用する場合の参照経路(SQuaRE

シリーズ全体の手引)及び高水準の実際的な提案は,全ての種別の利用者への手助けを提供する。こ

の部門は,製品の品質要求事項の仕様化及び評価の管理に責任のある支援機能のための要求事項及び

手引も提供する。 

− ISO/IEC 2501n 品質モデル部門 この部門の規格は,製品品質,利用時品質,及びデータ品質のた

めの詳細な品質モデルを提供する。ITサービス品質モデルは,開発中である。また,品質モデルの実

際的な利用のための手引も提供する。 

− ISO/IEC 2502n 品質測定部門 この部門の規格は,製品の品質測定の参照モデル,品質測定量の数

学的な定義,及びそれらの適用のための実際的な手引を含む。この規格は,ソフトウェア品質の内部

測定量,ソフトウェア品質の外部測定量及び利用時品質の測定量を提供する。この部門は,後に続く

品質測定量のための基礎となる品質測定量の要素を定義し提供する。 

− ISO/IEC 2503n 品質要求部門 この部門の規格は,品質要求事項の仕様化に役立つ。これらの品質

要求事項は,開発する製品の品質要求事項の導出プロセス又は評価プロセスの入力として利用するこ

とができる。 

− ISO/IEC 2504n 品質評価部門 この部門の規格は,独立した評価者,取得者又は開発者のいずれか

によって実施される製品評価のための要求事項,推奨事項及び手引を提供する。評価モジュールとし

て測定量の文書化のための支援も提供する。 

ISO/IEC 25050〜ISO/IEC 25099は,SQuaRE拡張部門のために予約されており,現在のところ,JIS X 

25051及びISO/IEC 25060〜ISO/IEC 25099を含んでいる。 

JIS X 25022 利用時品質の測定 

− TS X 0111-4の改正版 

JIS X 25023 製品の品質の測定 

− TS X 0111-2及びTS X 0111-3

の改正版 

JIS X 25024 データ品質の測定 

ISO/IEC 25020 測定量の参照モデル及び手引 

ISO/IEC 25020は,JIS X 25022〜JIS X 25024で規定する

品質測定量を開発し,規定するための手引を提供する。 

JIS X 25021 品質測定量要素 

− ISO/IEC TR 25021の改正版 

JIS X 25021は,JIS X 25022〜JIS X 25024で規定する

QMEを開発し,規定するために使用される。 

X 25022:2019 (ISO/IEC 25022:2016) 

適用範囲 

この規格は,JIS X 25010:2013で規定された品質特性及び品質副特性のための利用時品質の測定量につ

いて規定し,JIS X 25010:2013とともに利用することを意図している。この規格は,JIS X 2503n及びJIS X 

2504nとともに利用し,より一般的には製品又はシステム品質に関するユーザニーズを満たすために利用

する。 

この規格は,次を含む。 

− 利用時品質の各品質特性に対する品質測定量の基本的な集合 

− 利用時品質の測定の方法の説明 

この規格は,JIS X 25010の利用時品質のモデルとともに使用する利用時品質の測定量の推奨される集合

を提供する。また,これらの利用時品質の測定量は,全てを網羅する集合であることは意図していない。 

参考の附属書として,利用状況網羅性の測定方法(附属書A),利用時品質の測定量の正規化(附属書B),

JIS Z 8521の使用性を測定するためのこの規格の利用(附属書C),利用時品質の評価プロセス(附属書D),

異なる品質モデル間の関係(附属書E),及び品質測定の概念(附属書F)を含む。 

測定量は,使用中のコンピュータシステム及びシステムの一部分を構成するソフトウェア製品の両方を

含む,いかなる人間−コンピュータシステムの使用に適用できる。 

この規格は,評定水準又は標準適合性の等級に測定量の値の範囲を割り当てるものではない。というの

は,これらの値は,利用状況及びユーザニーズに依存して,システム又は製品ごとに定義されるからであ

る。 

幾つかの属性は,望ましい範囲の値をもつことができる。その範囲の値は,特定のユーザニーズに依存

しないが,例えば,人間がもつ認識能力の要因のような,一般的な要因に依存する。 

提案する利用時品質の測定量は,主として,実際に使用するときの製品の影響に基づいて,それらの品

質の保証及び管理のために利用することを意図している。測定結果の主な利用者は,ソフトウェア及びシ

ステムの開発,取得,評価又は保守を管理する人々である。 

この規格の主な利用者は,次のような活動の一部として,仕様化活動及び評価活動を行う人々である。 

− 開発 ライフサイクルプロセスにおける,要求分析,設計及び受入れテストを含む。 

− 品質管理 例えば,品質保証及び品質制御の一部として利用時品質を評価するときに行う,製品又は

コンピュータシステムの系統的な試験。 

− 供給 例えば,認定試験における品質の妥当性確認を行うとき,契約条項に基づくシステム,ソフト

ウェア製品又はソフトウェアサービスの供給のための取得者との契約。 

− 取得 供給者からのシステム,ソフトウェア製品又はソフトウェアサービスの取得又は調達するとき

に行う,製品選定及び受入れテストを含む。 

− 保守 利用時品質の測定量に基づいた製品の改善。 

注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

ISO/IEC 25022:2016,Systems and software engineering−Systems and software quality requirements 

and evaluation (SQuaRE)−Measurement of quality in use(IDT) 

なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”こ

とを示す。 

適合性 

この規格に適合する品質要求事項の仕様化又は品質評価では,次のことを行わなければならない。 

X 25022:2019 (ISO/IEC 25022:2016) 

a) JIS X 25010:2013に規定するとおりに,明示する又は評価する利用時品質の品質特性及び/又は品質

副特性を選定する。 

b) 選定した品質特性又は品質副特性ごとに,箇条8に規定している一般的な品質測定量(測定量の末尾

が“-G”のもの)の全てを利用することが望ましい。いずれかの品質測定量を除外する場合,その論

理的根拠を示す。 

c) 関係のある特有の品質測定量(測定量の末尾が“-S”のもの)を任意に選定する。 

d) 品質測定量を修正する場合,いかなる変更に対しても論理的根拠を示す。 

e) この規格に含まれていないが使用することとした,追加された品質測定量を規定する。 

f) 

各品質測定量をどのようにして運用可能としたかを厳密に定義する(例えば,使用した測定方法又は

質問票の詳細)。 

注記 比較を行うときには,同一の測定方法を使用することが重要である。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)は適用しない。 

JIS X 25000:2017 システム及びソフトウェア製品の品質要求及び評価(SQuaRE)−SQuaREの指針 

注記 対応国際規格:ISO/IEC 25000:2014,Systems and software engineering−Systems and software 

Quality Requirements and Evaluation (SQuaRE)−Guide to SQuaRE(IDT) 

JIS X 25010:2013 システム及びソフトウェア製品の品質要求及び評価(SQuaRE)−システム及びソ

フトウェア品質モデル 

注記 対応国際規格:ISO/IEC 25010:2011,Systems and software engineering−Systems and software 

Quality Requirements and Evaluation (SQuaRE)−System and software quality models(IDT) 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS X 25000:2017及びJIS X 25010:2013によるほか,次による。 

注記 SQuaREシリーズ及び他のISO規格の重要な定義をここで再掲載している。 

4.1 

利用状況完全性(context completeness) 

明示されたそれぞれの利用状況において,要求された水準の有効性,効率性,満足性及びリスク回避性

で製品又はシステムが使用できる度合い(JIS X 25010:2013の定義を変更し,“要求された水準の”を追加

し,“全ての利用状況”を“それぞれの利用状況”に変更した。)。 

注記 利用状況完全性は,利用状況網羅性の品質副特性である。 

4.2 

利用状況網羅性(context coverage) 

明示された利用状況及び当初明確に識別されていた状況を超越した状況の両方の状況において,有効性,

効率性,満足性及びリスク回避性で製品又はシステムが使用できる度合い(JIS X 25010:2013の4.1.5)。 

注記 利用状況は,利用時品質及び幾つかの製品の品質(副)特性(ここでは,“明示された条件下”

としている。)に関連している。 

4.3 

顧客(customer) 

X 25022:2019 (ISO/IEC 25022:2016) 

供給者との関係で,製品若しくはサービスを受けるか,又は使用する組織若しくは個人。 

注記 その関係は,サービス取引条件に対する保証又は合意を含むことができる。 

4.4 

有効性(effectiveness) 

明示された目標を利用者が達成する上での正確さ及び完全さの度合い(JIS X 25010:2013)。 

4.5 

効率性(efficiency) 

利用者が特定の目標を達成するための正確さ及び完全さに関連して,使用した資源の度合い(JIS X 

25010:2013)。 

注記 関連する資源には,作業を完成するための時間(人的資源),材料又は資金面での使用費用を含

むことができる。 

4.6 

利用状況(context of use) 

利用者,作業,装置(ハードウェア,ソフトウェア及び資材),並びにシステム,製品又はサービスが使

用される物理的環境及び社会的環境(JIS X 25010:2013の定義の“製品”を“システム,製品又はサービ

ス”に置き換えた。)。 

4.7 

柔軟性(flexibility) 

要求事項の中で初めに明示された状況を逸脱した状況において,許容可能な水準の有効性,効率性,リ

スク回避性及び満足性で製品又はシステムが使用できる度合い(JIS X 25010:2013の定義を変更し,説明

のために“許容可能な水準の”を追加した。)。 

注記 柔軟性は利用状況網羅性の品質副特性である。 

4.8 

形成的評価(formative evaluation) 

特に評価対象がまだ開発途中であるとき,評価対象を改善するために設計し,使用する評価(ISO/TS 

18152:2010の4.6)。 

4.9 

リスク回避性(freedom from risk) 

製品又はシステムの品質が,経済状況,人間の生活,健康又は環境に対する潜在的なリスクを緩和又は

回避する度合い(JIS X 25010:2013の定義を変更し,説明のために“の品質”及び“又は回避する”を追

加した。)。 

注記1 リスクは,所与の脅威の発生確率及びその脅威の発生による潜在的な悪影響の関数である。 

注記2 SQuaREシリーズで考えられているリスクは,不十分な製品品質から発生するリスクである。 

注記3 リスク回避性は,利用者,組織又はプロジェクトへの潜在的なリスクの削減を含む。 

4.10 

目標(goal) 

意図している成果(JIS Z 8521:1999)。 

4.11 

測定量(名詞)[measure (noun)] 

測定の結果として値が割り当てられる変数(JIS X 0141:2009を変更し,注記2を追加した。)。 

X 25022:2019 (ISO/IEC 25022:2016) 

注記1 “測定量”という用語は,基本測定量,導出測定量及び指標をまとめて参照するために使う。 

注記2 この規格では,“測定量”という用語を品質特性又は品質副特性で適格であるとして使用する

とき,品質測定量のことを指す。 

4.12 

測定(measurement) 

測定量の値を決定するという目的をもった操作の集合。 

注記 測定は,ソースプログラムの言語(例えば,ADA,C,COBOLなど)の定性的分類を指定する

ことを含むことができる。 

4.13 

測定の関数(measurement function) 

複数の品質測定量要素(QME)を結合するために実行するアルゴリズム又は計算(JIS X 25021:2014)。 

4.14 

計量心理学(psychometrics) 

妥当で信用し得る心理学的測定量の開発のための理論及び技術に関係した研究分野。 

4.15 

利用時品質(quality in use) 

特定の利用状況において,有効性,効率性,満足性及びリスク回避性で特定の目標を達成するという特

定の利用者のニーズを満たすために,特定の利用者が製品又はシステムを利用できる度合い(JIS X 

25010:2013の定義を変更し,注記1及び注記2を追加した。)。 

注記1 製品の利用時品質は,実装されたシステムの利用者が使用するとき,又はフィールドテスト

若しくはプロトタイプテスト期間中に,対象製品の効果によって測定し,かつ,評価するこ

とができる。 

注記2 利用時品質を明示する場合,利用時品質は,明示された利用状況において,有効性,効率性,

満足性及びリスク回避性で明示された目標を達成するという利用者のニーズを,明示された

利用者が満たすことに関係する。 

4.16 

品質測定量(quality measure) 

品質測定量要素(QME)の複数の値の測定関数として定義された導出測定量(JIS X 25021:2014の4.13)。 

4.17 

品質測定量要素,QME(quality measure element,QME) 

属性及び属性を定量化するための測定方法に関して定義された測定量。数学的関数による任意の変換を

含む(JIS X 25021:2014)。 

4.18 

品質モデル(quality model) 

品質要求事項の仕様化及び品質評価に対する枠組みを提供する,品質特性の定義された集合及び品質特

性間の関係の集合(JIS X 25000:2017の4.27)。 

4.19 

満足性(satisfaction) 

製品又はシステムが明示された利用状況において使用されるとき,ユーザニーズが満足される度合い

(JIS X 25010:2013の定義を変更し,注記3及び注記4を追加した。)。 

X 25022:2019 (ISO/IEC 25022:2016) 

注記1 製品又はシステムと直接的に対話を行わない利用者に対して,目的の達成及び信用性だけが

関連している。 

注記2 満足性は,製品又はシステムとの対話についての利用者の反応であり,製品の利用に対する

気持ちを含む。 

注記3 利用者には,主目的を達成するためにシステムと対話する一次利用者,支援を提供する二次

利用者,及びシステムとは対話しないが出力を受け取る間接利用者が含まれる。 

注記4 この規格では,ユーザニーズに,製品,システム又はサービスの使用に関わる利用者の要望

及び期待を含む。非常に大きな要望及び期待は,満足性を大いに増加させ,かつ,利用者経

験を改善する手段である。 

4.20 

利害関係者ニーズ満足性(stakeholder satisfaction) 

製品又はシステムが明示された利用状況において使用されるとき,利害関係者ニーズを満足させる度合

い(JIS X 25010:2013を変更し,用語“満足性”の定義を,利害関係者を参照するよう変更した。)。 

注記 製品又はシステムの利用者は利害関係者の一つであり,利用者の満足性は利害関係者の満足性

の一つである。 

4.21 

総括的評価(summative evaluation) 

評価対象の利点又は価値に関する結論を提示するために設計された評価(ISO/TS 20282-2:2013の4.17)。 

注記1 維持することが望ましいか,変更することが望ましいか,又は除外することが望ましいかに

関する推奨事項を作成するために,結果を使用することができる。 

注記2 改善のための形成的評価と結論のための総括的評価とを組み合わせた評価を提供する方法を

設計することもできる。 

注記3 総括的評価を実行するために総括的テスト方法を使用する。 

4.22 

システム(system) 

一つ以上の明記された目的を達成するために組織された相互に作用する要素の組合せ(JIS X 0170:2013

の注記を変更した。)。 

注記1 製品又はそれが提供するサービスをシステムとみなしてもよい。 

注記2 実際には,複合名詞(例えば,航空機システム)の使用によって,その意味が明確に解釈さ

れることが多い。別の表現として,システムという言葉を使わずに,文脈が明らかな場合は,

例えば,“航空機システム”を“航空機”という用語に置き換えることができる。その場合は,

システムという捉え方の観点が曖昧になる。 

4.23 

タスク,作業(task) 

目標を達成するために必要となる活動(JIS X 25023:2018)。 

注記1 これらの活動には身体的なものも認知的なものもある。 

注記2 職務上の責務は,目標及びタスク(作業)を決めることができる。 

注記3 この規格での用語“task”は,1)“コンピュータが行う処理”を意味する場合には“タスク”,

2)“人間が行う活動の集合”を意味する場合には“作業”,と区別している。 

X 25022:2019 (ISO/IEC 25022:2016) 

4.24 

使用性(usability) 

明示された利用状況において,有効性,効率性及び満足性をもって明示された目標を達成するために,

明示された利用者が製品又はシステムを利用することができる度合い(JIS X 25010:2013)。 

注記1 ISO 9241-210を変更した。 

注記2 使用性を製品品質特性として品質副特性の観点から明示又は測定することができる。また,

利用時品質の部分集合である測定量によって,直接的に使用性を明示又は測定できる。 

4.25 

利用エラー(use error) 

作り手の意図した応答又は利用者の期待した応答と異なるシステム応答という結果に至る,行動又は行

動の脱落(IEC 62366:2007の定義を変更し,“医療機器”を“システム”に置き換えた。)。 

4.26 

利用者(user) 

システムを利用する間,システムからの恩恵を受ける個人又はグループ(JIS X 0141:2009)。 

略語 

この規格では,次の略語を使用する。 

QME(Quality Measure Element):品質測定量要素 

利用時品質の測定量の利用 

6.1 

利用時品質の適用 

この規格は,JIS X 25010の利用時品質のモデル中の品質特性及び品質副特性に対し,推奨される測定量

を規定する。 

− 有効性 

− 効率性 

− 満足性 

− 実用性 

− 信用性 

− (利用者経験による)快感性 

− 快適性(人間工学) 

− リスク回避性 

− 経済リスク緩和性 

− 健康・安全リスク緩和性 

− 環境リスク緩和性 

− 利用状況網羅性 

− 利用状況完全性 

− 柔軟性 

利用時品質は,特定の利用状況において,有効性,効率性,満足性及びリスク回避性で特定の目標を達

成するという特定の利用者のニーズを満たすために,特定の利用者が製品又はシステムを利用できる度合

いである。 

X 25022:2019 (ISO/IEC 25022:2016) 

利用時品質のモデルにおいて,使用性という用語は,有効性,効率性,満足性及び利用状況網羅性から

構成される利用時品質の部分集合について言及している。ユーザインタフェース及び相互作用における使

用性及び機能適合性の測定量は,JIS X 25023に含まれる。 

許容できない水準のリスク回避性は,不十分な水準の使用性に起因することがある。このことは,不十

分な水準の製品の使用性によって引き起こされることがある。許容できない水準のリスク回避性は,不十

分な水準のその他の製品の品質特性によって引き起こされることもある。 

利用時品質の測定量は,利用者とシステムとの間の相互作用の成果を測定する。実装された製品の最終

的な利用時品質は,利用者が意図した目的のために,利用者の環境下で製品を使用するときに測定できる。

利用時品質の測定量は,次のように概念設計及び開発段階でも使うことができる。 

− 要求事項 利用時品質の要求事項は,利用者及びその他の利害関係者にプロトタイプで経験させ,意

図した品質に対する高水準の目標を与えるために,設計及び開発プロセスの早期に明示することがで

きる。 

− プロトタイプの形成的評価 開発時に,問題の識別及び製品の改善のために,製品の使用性の測定量

及び正規化されていない利用時品質の測定量を使用して,少数の代表的な利用者がプロトタイプをテ

ストすることによって,利用時品質に関する特定の問題を識別することができる。 

− プロトタイプの総括的評価 開発時に,正規化された利用時品質の測定量を使用して,多数の代表的

な利用者がプロトタイプをテストすることによって,及び結果として得られる有効性,効率性及び満

足性が潜在的なリスクをどの程度適切に低減するかを見積もることによって,異なる設計解の最終的

な利用時品質を見積もることができる。 

− 品質保証及びプロセス制御 実装されたシステムの利用時品質は,要求事項に照らしてテストするこ

とができる。 

注記1 附属書Eは,SQuaREの異なる品質モデル間の関係を説明している。 

注記2 この規格では,“測定量”(名詞としての用法)という語は,品質測定量を指している。 

6.2 

利用時品質の測定 

利用時品質は,ソフトウェア又はコンピュータシステムの製品品質だけではなく,製品が使用される特

別な状況にも依存する(ISO/IEC 25063参照)。利用状況は,利用時品質に影響を与え得る,ユーザ要因,

作業要因,並びに物理的環境要因及び社会的環境要因を含む。したがって,製品の利用時品質の比較は,

測定量が同一の利用状況向けに作られているときに限って有効である。 

このことが,リスク回避性の水準の予測又は解釈を特別に難しくしている。それは,リスク回避性に影

響を及ぼし得る,利用状況の他の要因を制御することが通常不可能なためである。しかしながら,不十分

な使用性又は不十分な製品品質から帰結し得る潜在的なリスクの根拠を示し,かつ,リスクの低減につな

がる使用性又は製品品質の目標値を提示できることもしばしばある(図2を参照)。使用性又は製品品質

の測定量がこれらの目標値に達しない場合,リスク回避性の測定値の潜在的影響を評価することができる。 

例 航空会社の予約システムを設計する場合,誤りから生じる可能性のある潜在的な経済的影響の可

能性を最小限にするため,利用者が意図した日の希望する時刻に,意図した目的地へ到着する飛

行機の便を予約することの有効性(成功率)に,高い目標水準を設定する。 

多くの測定量は,特定のニーズを満たすために自分に合うように手直しできるように定義される。した

がって,測定量間の,又は測定量と目標値との意味のある比較は,同じ手段で運用可能とされる測定量,

及び同じ又は十分類似した利用状況(すなわち,同様の環境で同様の作業を行う同種の利用者)に用いら

れる測定量に対してだけ行われる。 

10 

X 25022:2019 (ISO/IEC 25022:2016) 

有効性,効率性及び満足性は,現実的な利用状況で代表的な作業を実施する代表的な利用者を観測する

ことによって評価できる(例えば,附属書B,附属書C及びISO/TS 20282-2で示す方法を参照)。現実的

な使用環境をシミュレートすることによって(例えば,ユーザビリティラボ),又は実際の運用時における

製品の利用を観測することによって,測定量が得られる。利用時品質を仕様化又は測定するために,まず

は,意図した利用状況の各構成要素(利用者,利用者の目標及び使用環境)を識別することが必要である。

この利用状況にできるだけ厳密に合致するように,評価ニーズを設計する必要がある。利用者には,運用

環境において利用者が利用可能な種類の手助け及び支援だけを与えることも重要である。これらの測定量

は,ISO/TS 20282-2に明示されている方法を適用するとき,保証プロセスに対して用いることができる。 

幾つかの使用性の外部測定量(JIS X 25023)は同じような方法でテストされるが,利用時品質のテスト

の一部として典型的な作業を達成するための製品のより一般的な使用中に,製品の特別な特徴の使用を評

価する。 

注記1 附属書B及びISO/TS 20282-2は,有効性,効率性及び満足性を測定する方法の例を提供して

いる。附属書Aは,利用状況網羅性を測定する方法の例を提供している。また,参考文献[18]

も参照。 

注記2 附属書Fは,SQuaREの品質測定の概念について,より多くの情報を提供している。 

6.3 

利用時品質の測定量の解釈 

幾つかの利用時品質の測定量(例えば,作業の開始から終了までの時間)は,それだけを取り出して個

別に解釈することは困難かもしれない。より解釈しやすいように,利用時品質の測定量を比較可能とする

次に示すような幾つかの方法がある。 

a) 適合性 測定量を特定のビジネス要求事項又は使用法の要求事項と比較すること(例 作業を10分以

内に完了する。)。 

b) ベンチマーキング 同じ目的に使用する同じ製品又は類似の製品のベンチマークと測定量とを比較す

ること(例 新システムを用いた作業は,旧システムを用いたときより早く完了する。)。 

c) 時系列 ある時間にわたって傾向を比較すること(例 システムのプロトタイプの新規版ごとの利用

者によるエラーの減少数)。 

d) 習熟 訓練された又は熟達した利用者が使用したときに得られた値と比較すること(例 新規の利用

者と経験を積んだ利用者とを比較して,新規の利用者がどの程度長い時間を要したか。)。 

e) 満足性に対する利用者の人数比 これまでの評定値のデータベースが存在する場合,少なくともこれ

までにこの値で評定を行った利用者数に対する割合として測定量を表すことができる。 

箇条8の利用時品質の測定量には,これらの方法で正規化された例を含んでいるが,多くの測定量では,

附属書Bに示すように,幾つかの形式での正規化が可能である。 

(作り込みエラー又は作業時間のように)正規化されていない測定量は,個々の利用者又は小グループ

の利用者が直面した特定の問題を識別するために使用することができる。 

有効性,効率性又は満足性の信頼に足る測定量を得るためには,目標値を達成したことについて,求め

られる水準で統計に基づく信頼を得るために,作業を実施する十分な数の利用者からデータを得る必要が

ある。 

注記 ISO/TS 20282-2は,一般の人々が使用する製品の有効性,効率性及び満足性の総括的テスト法

の例を提供している。 

6.4 

適切な利用時品質の測定量の選定 

特定の利用時品質の測定量を選定することに影響を与えることができる要因は,次のものを含む。 

11 

X 25022:2019 (ISO/IEC 25022:2016) 

− 有効性,効率性,満足性及びリスク回避性の相対的な重要度 

− 経済状況,人間の生活,健康又は環境へのリスクを作り出すことができる有効性,効率性又は満足性

の特定の側面 

− 特別な測定量を適用するために必要なスキル(技能)及び知識 

利用時品質の評価に用いるプロセスに関する更なる情報は,附属書Dを参照。 

6.5 

他の国際規格が規定する利用時品質の側面 

次の規格は,利用時品質の特定の側面についての更なる情報を提供している。 

− JIS Z 8521 JIS Z 8521の有効性,効率性及び満足性の定義は,JIS X 25010の定義と類似しているの

で,この規格の有効性,効率性及び満足性の利用時品質の測定量は,JIS Z 8521で定義した使用性の

測定量にもなり得る(附属書C参照)。 

− JIS X 25062では,使用性の総括的テストの結果をどのように文書化するかを規定している。 

− ISO/IEC 25063では,使用性を測定するときに識別する必要がある利用状況の要素を説明している。 

− ISO/IEC 25064では,(利用時品質に対するニーズを含めて)ユーザニーズをどのように文書化するか

を説明している。 

− ISO/TS 20282-2では,消費者製品の有効性,効率性及び満足性を測定する厳密な方法論を提供してい

る。 

品質測定量を記述するために使用される形式 

次の情報を箇条8の表中の各品質測定量に付与している。 

a) ID 品質測定量の識別コード。各IDは,次の三つの部分によって構成する。 

− 品質特性及び品質副特性を表すコード。有効性及び効率性では,“Ef”及び“Ey”という2文字の

形式を使用し,満足性,リスク回避性及び利用状況網羅性では,“ABc”という3文字の形式を使用

する。ここで,“A”は品質特性を,“Bc”は品質副特性を表す。 

− 品質副特性の中で順番につけられた通し番号 

− 品質測定量の適用可能な範囲を示す分類G又はS。ここで,G(一般的に適用可能)は広い範囲の

状況で使用することができ,S(ニーズに特化)は特別な状況に関係するときに使用することがで

きる。 

b) 名称 品質測定量の名称 

c) 説明 品質測定量が提供する情報 

d) 測定関数 品質測定量を生成するためにQME(品質測定量要素)をどのように組み合わせるかを表す

数式 

e) 方法 測定量を得るために,使用することができる方法の種類 

− 利用者効率の測定 有効性及び効率性の測定量(D.3.3.2及びD.3.3.3を参照) 

− 顧客行動の測定 顧客がとった行動について収集したデータ 

− 自動データ収集 利用者行動を収集するためにソフトウェアを導入することによって収集したデー

タ 

− 質問票 満足性の測定量(D.3.3.5を参照) 

− ビジネス分析 ビジネス行動及び結果の分析 

− ソフトウェア及び使用性分析 人的エラー又はシステムエラーによって引き起こされる潜在的なリ

スクの分析 

background image

12 

X 25022:2019 (ISO/IEC 25022:2016) 

− 利用統計分析 以前に発生した人的エラー又はシステムエラーによって引き起こされた結果の分析 

− 状況記述分析 期待される利用時品質を評価するための利用状況の分析 

− 検査 潜在的な問題を識別するためのシステムの検査 

利用時品質の測定量 

8.1 

一般 

ここでは,JIS X 25010に記載している順,すなわち,有効性,効率性,満足性,リスク回避性及び利用

状況網羅性という順で,品質特性及び品質副特性ごとに,品質測定量を一覧表示している。 

有効性,効率性及び満足性の測定量に対して得られた値は,利用状況(6.2を参照)に依存するので,測

定量を作り出す(又は測定量を作り出す予定となっている)利用者,作業及び環境の種別は,測定結果と

組み合わせて記載する必要がある。 

規格又は規定を遵守するニーズは,システムに対する要求事項の一部として識別することができる。し

かし,これらの規格又は規定は,品質モデルの適用範囲外である。 

注記 この品質測定量の一覧表は,最終的なものではなく,この規格の今後の版で改正される可能性

がある。この規格の読者による,フィードバックの提供が望まれる。 

8.2 

有効性の測定量 

有効性の測定量は,利用者が明示された目標を達成する上での正確性及び完全性を総合評価する(表1

を参照)。 

注記1 有効性の測定量は目標達成の方法は考慮せずに,達成した程度だけを考慮している(D.3.1.2

を参照)。 

注記2 “利用者が引き起こしたエラー”という表記は,意図された動作を利用者が行っていないこ

とを示している。エラーの主な原因がシステム設計の悪さである可能性があることを強調す

るために,これらのエラーを“利用エラー”と呼んでいる。 

表1−有効性の測定量 

ID 

名称 

説明 

測定関数 

方法 

Ef-1-G 

作業完了率 

支援なしで正しく完了した
作業の割合 

X=A / B 
A=完了した個別の作業の数 
B=試行した個別の作業の総数 

利用者効率の
測定 

注記1 この測定量は,一人の利用者又は1群の利用者グループに対して測定可能である。 
注記2 作業を部分的に完了できる場合は,測定量として目的達成率を適用することがより適切である。 
注記3 作業の複雑さが異なる場合,重み付けをした作業を数式で使用できる。X=Σ(i=1..n)Wi×Ai / B。ここで,i

は作業の数,Wiは,その作業の困難さを表し,Wiの合計は,1.0である。 

注記4 要求事項の中で識別された作業,又は利用者が試行した作業のいずれかに適用できる。 

background image

13 

X 25022:2019 (ISO/IEC 25022:2016) 

表1−有効性の測定量(続き) 

ID 

名称 

説明 

測定関数 

方法 

Ef-2-S 

目的達成率 

支援なしで達成した作業の
目的の割合 

{X=1−ΣAi | X≧0} 
Ai=作業出力における欠落した目的又は
間違った目的の割合の値(最大値=1) 

利用者効率の
測定 

注記 潜在的な欠落又は不完全な構成要素のそれぞれには,ビジネス又は利用者への出力値を損なう程度に基づいた

重み付けAiが与えられる(重み付けの合計が1を超える場合,品質測定量は,通常0に設定されるが,これは
否定的な成果及び過度のリスクを示している可能性がある。)。得られる結果が繰り返し可能で,再現可能で,
かつ,有意になるまで,反復して,得点計算方法を一連の作業の出力に適用し,かつ,重み付けを調節するこ
とによって改良する。 

例 業務日誌及び連絡先情報についての潜在的なエラーが及ぼすビジネスへの影響について,影響を受ける可能性の

ある顧客と議論し,目的達成率の平均値を(パーセントで)計算するために,次の得点計算方法を決定した。 
− インストール 全ての構成要素を成功裏にインストールできた場合,100 %とする。インストールから除外さ

れた,必要な副構成要素の1件ごとに,20 %を差し引く。 

− 新しい連絡先 全ての細目を正しく入力した場合,100 %とする。欠落している情報の項目の1件ごとに,50 %

を差し引く。間違った項目欄に入力した情報の項目の1件ごとに,20 %を差し引く。誤字1件ごとに,5 %を
差し引く。 

− 新しい会議 全ての細目を正しく入力した場合,100 %とする。間違った時間又は日付を入力した場合,0 %

とする。間違った項目欄に入力された情報の項目の1件ごとに,20 %を差し引く。誤字1件ごとに,5 %を差
し引く。 

差引き分の合計が100 %に等しいか,又は100 %を超えたときは,目的達成率を0 %とする。 

Ef-3-G 

作業エラー 

作業中に利用者が引き起こ
したエラーの数 

X=A 
A=作業中に利用者が引き起こしたエラ
ーの数 

利用者効率の
測定 

注記1 利用者が引き起こしたエラーの数には,全てのエラー,訂正されていないエラーだけ又は作業結果が正しく

完了しなかったエラーだけを含むことができる。 

注記2 例えば,開発中に異なる版のシステムを比較する場合,エラー数の測定量は,実行される同じ作業を異なる

状況で比較するために用いることができる。 

注記3 異なる作業で発生したエラーを比較するために,エラー数を各作業で行われた動作の回数に関連付けること

ができる。 

注記4 エラーが同じ重要度をもつ場合,又は重み付けがされている場合,比較を行うことだけが適切である。 
注記5 どれくらい多くの利用者が,どの問題点を,どのような組合せでもっていたかを示す問題点マトリックスを

用いて,利用者の参加を得て分析することができる。 

Ef-4-G 

エラーが内在す
る作業 

利用者がエラーを引き起こ
した作業の割合 

X=A / B 
A=エラーが内在する作業の数 
B=作業の総数 

利用者効率の
測定 

注記 Ef-3Gの注記を適用する。 

Ef-5-G 

作業エラーの多
さ 

エラーを引き起こした利用
者の割合 

X=A / B 
A=エラーを引き起こした利用者の数 
B=作業を実行した利用者の総数 

利用者効率の
測定 

注記 Ef-3Gの注記を適用する。 

8.3 

効率性の測定量 

効率性の測定量は,利用者が目標を達成するための正確性及び完全性に関連して,費やされた資源を総

合評価する(表2を参照)。 

注記1 最も一般的な資源は,作業を完了するための時間であるが,他の関連する資源としては,利

用者の労力,材料又は使用上の財務費用を含むことができる。 

注記2 効率性の測定量は,通常,異なる製品又は版を使用する場合の効率性と比較するか,又は製

品がない場合の効率性と比較する。効率性は,専門家の効率性と比較することもできる。 

background image

14 

X 25022:2019 (ISO/IEC 25022:2016) 

表2−効率性の測定量 

ID 

名称 

説明 

測定関数 

方法 

Ey-1-G 

タスク時間 

作業を成功裏に完了するた
めに要した時間 

X=T 
T=作業時間 

利用者効率の
測定 

注記 習得性(JIS X 25023を参照)は,標準的な利用者が作業を完了するために要した時間と熟練者の要した時間と

を比較することによって測定することができ,かつ,繰り返して使用することでこの比率がどう変化するかを
測定することができる。 

Ey-2-S 

時間効率性 

システムを使用している時
に,利用者が時間の経過と
ともに目的を達成する効率 

X=A / T 
A=達成した目的の数 
T=時間 

利用者効率の
測定 

注記1 時間効率性は,生産性の測定量である。単位時間当たりに達成する目的の数をいう。効率性は,有効性を向

上させ,作業時間を短縮することで向上する。このことは,例えば高速だがエラーを起こしやすいインタフ
ェースと低速だが簡易なインタフェースとの比較を可能にする。 

注記2 作業完了率(Ef-1-G)が測定された場合,時間効率性は,完了した作業を時間で除することで測定できる。時

間効率性は,単位時間当たりに成功裏に完了した作業の割合を測定する。時間効率性の高い値は,短時間の
間に成功した作業の割合が高いことを示す。 

注記3 時間効率性は,専門家の時間効率性との比較,異なる製品又は版での時間効率性との比較,又は手作業で作

業を完了した場合との比較ができる。 

注記4 目的達成率が異なる値をもつ場合,それらに重み付けをしてもよい。 

Ey-3-S 

費用対効果 

利用者の費用対効果 

X=A / B 
A=作業を実行するための総費用 
B=達成した目的の数 

利用者効率の
測定 

注記1 達成した作業目的の例として,定義された作業項目,要求された情報取得又はシステム出力を含むことがで

きる。 

注記2 目的達成率が異なる値をもつ場合,それらに重み付けをしてもよい。 
注記3 費用には,例えば,利用者の時間,支援を提供する人の時間,並びにコンピュータ資源,電話回線及び資料

の費用がある。 

注記4 この測定量は,システムを使用しない場合の費用で正規化することができる。 

Ey-4-S 

生産的な時間の
比率 

利用者が生産的な活動を行
っている時間の割合 

X=Ta / Tb 
Ta=生産時間=作業を完了するのに要し
た時間−手助け又は支援を得るために要
した時間−エラーからの回復に要した時
間−無駄な検索に要した時間 
Tb=タスク時間 

利用者効率の
測定 

注記 ヘルプを調べること,エラーから回復すること及び無駄な検索をすることに費やされる生産的でない時間は,

システムを対話操作して作業する利用者を動画撮影した記録を,分析することで識別することができる。 

Ey-5-S 

不必要な行動 

利用者が行った,作業を達
成するために必要ではない
行動の割合 

X=A / B 
A=作業の達成に実際には必要のない行
動の数 
B=利用者が行った行動の数 

利用者効率の
測定又は自動
データ収集 

注記1 この測定量は,(例えば,マウス,タッチ又は音声命令を使用する)選択を行うことで作業を完了するときに

最も有用である。複雑な作業の場合,行動の定義の中にデータ入力を含むようにすることができる。 

注記2 この測定量の目的は,生産的な時間の比率に類似しているが,不必要な行動を測定する方が容易である。 

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15 

X 25022:2019 (ISO/IEC 25022:2016) 

表2−効率性の測定量(続き) 

ID 

名称 

説明 

測定関数 

方法 

Ey-6-S 

疲労の結果 

連続使用後の人間の効率の
低下 

X=1−A / B 
A=現在の人間の効率 
B=初期の人間の効率 

利用者効率の
測定又は自動
データ収集 

注記1 経験豊富な利用者による連続使用に適用できる。 
注記2 人間の効率は,有効性又は効率性に関する適切な測定量を指している(必要に応じて,より大きい数がより

良いことを示すように正規化する。)。 

注記3 生理学的測定量を用いて疲労の影響を評価することができる。 
注記4 質問票を使用して,個人の疲労の評価を測定することができる。 
注記5 疲労の測定は,経験豊富な利用者が繰り返し作業を行う場合にだけ適切である。 
注記6 コンピュータシステム及び作業動作は,疲労を軽減するように設計することができる。 
注記7 0により近い方がより良い。 

8.4 

満足性の測定量 

8.4.1 

一般 

満足性の測定量は,製品又はシステムを明示された利用状況において使用するとき,ユーザニーズを満

足させる度合いを総合評価する。 

満足性の測定量の適用範囲を次に示す。 

a) 全体的な一般的満足性の測定量(SUs-1-G) 

b) 特定の満足性の品質副特性の測定量(8.4.2,8.4.3,8.4.4及び8.4.5) 

c) 個々の品質副特性の測定量を組み合わせることによって生成される満足性の全体的な測定量 

注記 個々の品質副特性を組み合わせた測定量は,その相対的な重要度及び全体的な満足性への貢献

に応じて重み付けができる。 

利用者は,(例えば,同意する,又は同意しないという)二つの選択肢,又は(例えば,強く同意するか

ら,全く同意しないまでの)複数の選択肢をもつことができる尺度上の値を選択することによって,満足

性の質問票の中の質問に回答する。 

満足性の質問票から得られた合計得点は,大抵の場合,0〜100の範囲の尺度に変換される。(SUSのよ

うな)幾つかの質問票(参考文献[20]を参照)については,類似の製品又はシステムに同じ得点又はそれ

以上の得点を以前に与えた利用者の割合に対する値に得点を変換することを可能にする,今までの結果の

データベースがある。 

この細分箇条は,満足性の異なる側面に対する品質測定量を得るために使用できる方法の例を規定する。

特定の測定量は,既存の公表された質問票を用いて得ることができる(表3を参照)。 

注記1 利用者には,支援を提供する二次利用者,及び出力を受け取るがシステムと対話を行わない

間接利用者を含む。 

注記2 満足性は,製品又はシステムとの対話についての利用者の反応であり,製品の利用に対する

気持ちを含む。 

注記3 利用者の満足性は,(外部測定量によって測定される特質のような)ソフトウェア又はコンピ

ュータシステムの特質に関する利用者の認識,並びに有効性,効率性及び利用時のリスク回

避性に関する利用者の認識によって影響される。 

注記4 利用者の満足性は,設計がどのように改善されるかを理解するために,ユーザビリティテス

トの一部として開発中に測定することができる。利用者の満足性は,製品が利用者の要求事

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16 

X 25022:2019 (ISO/IEC 25022:2016) 

項に合致しているかどうかを理解するのを助けるために,納入後利用者を調査することによ

って測定することができる。 

注記5 計量心理学尺度には信頼性及び妥当性があることが分かっている。計量心理学尺度を標準化

した質問票を使用する利点は,参考文献[21]で説明がある。 

表3−一般的な満足性の測定量 

ID 

名称 

説明 

測定関数 

方法 

SUs-1-G 

全体的な満足性 

利用者の全体的な満足性 

X=ΣAi 
Ai=質問に対する回答 

質問票 

注記 全体的な満足性の測定量の例としては,ネット・プロモーター得点[17]及び単一の簡単な質問[19]がある。 

8.4.2 

実用性の測定量 

実用性の測定量は,利用の結果及び利用の影響を含め,利用者が把握した実際的な目標の達成状況によ

って得られる利用者の満足の度合いを総合評価する(表4を参照)。 

表4−実用性の測定量 

ID 

名称 

説明 

測定関数 

方法 

SUs-2-G 

特徴の満足性 

特定のシステム特徴をもつ
利用者の満足性 

X=ΣAi 
Ai=特定の特徴に関連付けた質問への回
答 

質問票 

注記 この質問票は,通常は,リッカート尺度a)を使用する質問票である。総合的に採点するために質問票の項目を結

合する場合,質問票の質問項目が異なると重要度も異なるので,質問票の各項目に重み付けをすることができる。 

注a) リッカート尺度とは,尺度に沿った記述に対して最も適切なものを選択することを回答者に依頼する,ある種

の調査質問に対する回答範囲のことである。通常,尺度は,その間に中間の得点のある,肯定的な評定から否
定的な評定まで及んでいる。 

SUs-3-G 

利用の裁量 

潜在的な利用者のうちでシ
ステム又は機能を使用する
ことを選択した利用者の割
合 

X=A / B 
A=特定の機能,アプリケーション又はシ
ステムを利用している利用者の数 
B=特定の機能,アプリケーション又はシ
ステムを利用することができる潜在的な
利用者の数 

ユーザ動作の
測定又は自動
データ収集 

注記 この測定量は,例えば,利用者の動作のサンプリング(見本抽出法)を監視することによって,機能,アプリ

ケーション又はシステムの使用が適切である場合,状況を識別することが可能なとき,使用することができる。 

SUs-4-G 

特徴の利用者の
割合 

システムの利用者のうちで
特別な特徴を使用する利用
者として識別された者の割
合 

X=A / B 
A=特別な特徴を使用している利用者の
数 
B=システムの利用者として識別された
ものの数 

ユーザ動作の
測定又は自動
データ収集 

注記1 特徴は,個別の機能からシステムの部分集合まで,異なる粒度の水準で定義できる。 
注記2 低い値は,特徴が有用でないこと,若しくは一部の利用者にとってだけ有用であること,又は利用者がその

使用方法を理解していないこと,若しくはその存在を知らないことを示すことができる。 

SUs-5-G 

不満をもつ利用
者の割合 

不満をもつ利用者の割合 

X=A / B 
A=不満をもつ利用者の数 
B=システムを使用している利用者の数 

ユーザ動作の
測定 

SUs-6-G 

特別の特徴に対
して不満をもつ
利用者の割合 

特別の特徴に対して不満を
もつ利用者の割合 

X=A / B 
A=特別の特徴に対して不満をもつ利用
者の数 
B=特徴に対して不満をもつ利用者の総
数 

ユーザ動作の
測定 

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17 

X 25022:2019 (ISO/IEC 25022:2016) 

8.4.3 

信用性の測定量 

信用性の測定量は,利用者又は他の利害関係者がもつ,製品又はシステムが意図したとおりに動作する

という確信の度合いを総合評価する(表5を参照)。 

表5−信用性の測定量 

ID 

名称 

説明 

測定関数 

方法 

STr-1-G 

利用者の信用性 

利用者がシステムを信用す
る程度 

X=A 
A=信用性の質問票からの心理測定尺度
の値 

質問票 

注記 参考文献[15]に信用性の質問票の例がある。 

8.4.4 

(利用者経験による)快感性の測定量 

快感性の測定量とは,快感性に対するユーザニーズを満足させる度合いを総合評価する(表6を参照)。 

注記1 JIS X 25010の定義“個人的なニーズを満たすことから利用者が感じる喜びの度合い”を修正

している。 

注記2 ユーザニーズには,新しい知識及びスキル(技能)を身につけること,個人の身元情報を伝

えること,心地よい記憶を思い出すこと,及び対話的な操作に従事することを含む。 

表6−(利用者経験による)快感性の測定量 

ID 

名称 

説明 

測定関数 

方法 

SPl-1-G 

利用者の快感性 

同種のシステムの平均と比
較して,利用者が喜びを得
る程度 

X=A 
A=快感性に関する質問票からの心理測
定尺度の値 

質問票 

注記 心理測定の快感性の質問票の例は参考文献[13]及び[22]にある。 

8.4.5 

(人間工学的)快適性の測定量 

快適性の測定量は,身体的快適性に対するユーザニーズを満足させる度合いを総合評価する(表7を参

照)。 

注記 JIS X 25010の定義“利用者が(システム又はソフトウェアを利用する時の)快適さに満足する

度合い”を修正している。 

表7−(人間工学に基づいた)快適性の測定量 

ID 

名称 

説明 

測定関数 

方法 

SCo-1-G 

身体的快適性 

同種のシステムの平均と比
較して,利用者が快適であ
る程度 

X=A 
A=快適性に関する質問票からの心理測
定尺度の値 

質問票 

注記1 身体的快適性は,コンピュータシステムを使用するために利用者がとらなければならない体の姿勢又は動作

及びシステムを使用する環境の影響を受ける。 

注記2 参考文献[14]に心理測定の快適性の質問票の例がある。 

8.5 

リスク回避性の測定量 

8.5.1 

一般 

リスク回避性の測定量は,製品又はシステムの品質が,利用者,組織又はプロジェクトの潜在的リスク

(経済状況,人間の生活,健康又は環境に対するリスクを含む。)を緩和又は回避する度合いを総合評価す

る。 

background image

18 

X 25022:2019 (ISO/IEC 25022:2016) 

注記1 この定義は,JIS X 25010の定義“製品又はシステムが,経済状況,人間の生活,健康又は環

境に対する潜在的なリスクを緩和する度合い”を修正している。 

望ましくない結果が得られるリスクは,製品の品質特性(ISO/IEC 25063)が不適切であること,又は

有効性,効率性,満足性若しくは利用状況網羅性が不適切な水準であることに起因する可能性がある。 

望ましくない結果が得られるリスクは,次の利害関係者に影響を与える可能性がある。 

a) 製品又はシステムの利用者 

− 製品又はシステムを使用している間の健康及び安全 

− 意図した成果の達成に失敗することによる悪影響 

b) 製品又はシステムを利用する組織 

− 不十分な使用性の影響で組織側が起こしたエラーから生じる,組織の評判又は財務への損害 

− セキュリティ又はプライバシに対する不適切な運用上の安全性又は保護から生じるリスク 

c) 製品又はシステムを開発する組織 

− システム,製品又はサービスの設計及び開発が意図した品質目標を備えたシステムを生成しない場

合の経済的影響のリスク 

− 品質に問題があるため,製品若しくはシステムが購入されないという結果,又はサービスが使用さ

れないという結果を生み出す経済的影響又は風評影響のリスク 

d) より広いコミュニティ 

− 健康及び安全の結果のリスク又は環境への悪影響のリスク 

表8は,どのような利害関係者が異なる種類のリスクの結果によって影響を受ける可能性があるかを示

す。 

表8−異なる種類の利害関係者に対する悪影響の種類 

利害関係者 

結果の種類 

健康及び安全 

経済状況 

環境 

製品又はシステムの利用者 

健康及び安全についてのリ
スク緩和性の測定量 
不十分な使用性から生じる
ストレス 

意図した成果の達成に失敗
した結果 

− 

製品又はシステムを利用す
る組織 

− 

経済リスク緩和性の測定量 

− 

製品又はシステムを開発又
は取得する組織 

− 

経済リスク緩和性の測定量 

− 

より広いコミュニティ 

健康及び安全の結果のリス
ク 

− 

環境リスク緩和性の測定量 

8.5で定義された品質測定量は,それらを使用する利害関係者のニーズに合わせて異なる方法でテーラリ

ングして運用操作可能にすることができる。肯定的な成果又は否定的な成果に関して表現された測定量に

対して,リスク軽減は,許容不可能な値を避けることを指す。 

注記2 悪影響をもたらすリスクは,許容可能な最低限の水準の品質を規定し,かつ,評価の基準と

してこれらを使用することによって制御することができる。より高い水準の品質を規定する

ことは,資源の追加投入が必要になるかもしれないが,経済面,健康面又は環境面における

成果を改善する機会を提供することができる(図2を参照)。 

background image

19 

X 25022:2019 (ISO/IEC 25022:2016) 

図2−品質水準に関連するリスク及び成功できる機会 

注記3 リスクは,所与の脅威の発生確率及びその脅威の発生による潜在的な悪影響の関数である。 

注記4 成果に対する品質の影響から生じる潜在的なリスクは,通常は,(予期した,又は)測定した

製品品質(機能適合性,性能効率性,互換性,使用性,信頼性,セキュリティ,保守性又は

移植性)が生み出した経済状況,人間の生活,健康又は環境に対するリスクの水準を総合評

価することに基づいている。 

リスクアセスメントについての情報は,JIS Q 31010を参照。 

8.5.2 

経済リスク緩和性の測定量 

経済リスク緩和性の測定量は,財政状況,効率的な運用操作,商業資産,評判,又はリスクのある若し

くは機会を提供することができるかもしれない他の資源に関連する経済的な目的に対する品質の影響を総

合評価する(表9を参照)。 

注記1 リスク緩和性は,不十分な製品品質に起因する許容できない経済成果のリスクを軽減するた

めに使用することができる。 

注記2 過去の実績値に基づいて,測定量の期待値を見積もることができる。 

注記3 製品又はシステムの品質が各経済成果の実際の測定量に与える寄与を分離することは,他の

多くの要因が各経済成果の測定量に寄与するように困難であるので,測定結果は,解釈が難

しいことがある。測定量の主な値は,品質が経済成果にどのように影響したかという以前の

経験に基づいて,経済的目的に対する品質の影響を見積もることができる。製品の動作(例

えば,REc-5-S,REc-6-S,REc-7-S,REc-8-G)に密接に関連する財務上の測定量は,解釈し

やすくなる。 

成功可能機会 

許容可能 

許容不可能 

評定水準 

測定量の尺度 

成功できる機会
を提供するため
の最低限の品質
水準 

リスクを回避す
るための最低限
の品質レベル 

background image

20 

X 25022:2019 (ISO/IEC 25022:2016) 

表9−経済リスク緩和性の測定量 

ID 

名称 

説明 

測定関数 

方法 

REc-1-G 

投資収益率 
(ROI) 

投資収益率 

X=(A−B) / B 
A=得られた追加利益 
B=投資額 

ビジネス分析 

注記 得られた利益の例として,人件費の削減,棚卸資産の縮小,在庫の削減,集中購入による材料費の削減などが

ある。 

REc-2-G 

投資収益率を達
成するための時
間 

期待する投資収益率を達成
するためにかかる時間 

X=T 
T=ROIを達成するための時間 

ビジネス分析 

注記 この測定量は,ROIを達成するための許容時間と比較できる。 

REc-3-G 

業績 

目標と比較した収益性又は
売上 

X=Aa / At 
A=会社の収益性又は売上高(a=実績,t
=目標) 

ビジネス分析 

注記 この測定量は,IT投資額又は比較対象の他の会社の売上と比較できる。 

REc-4-G 

IT投資の利益 

目標と比較したIT投資(例
えば,バランススコアカー
ドの使用)の利益の測定量 

X=Aa / At 
A=IT投資の利益の測定量(a=実績,t
=目標) 

ビジネス分析 

注記 バランススコアカードは,財務,顧客,企業運営プロセス,人材開発などの視点からIT投資の利益を査定する。

これらの利益のいずれかが測定量の基礎となる可能性がある。 

REc-5-S 

顧客へのサービ
ス 

顧客への意図したサービス
水準の達成度 

X=A / B 
A=実際のサービス水準 
B=意図したサービス水準 

ビジネス分析 

注記 サービス水準が意図した水準を超えた場合は,Xの値が1を超える。 
例 配送が遅れる程度,顧客サービスを受けるための平均待ち時間 

REc-6-S 

顧客になったウ
ェブサイト訪問
者 

特定のウェブページの訪問
者のうち顧客となる者の割
合 

X=A / B 
A=顧客となる訪問者数 
B=特定のウェブページへの重複計数し
ない訪問者数 

ビジネス分析 

注記1 これは,特定のウェブページ又はウェブサイト全体について測定できる。 
注記2 “顧客となる訪問者”とは,ユーザ登録その他の方法によって,識別可能な訪問者となる状態をいう。 

REc-7-S 

各顧客からの収
益 

各顧客からの収益 

X=A 
A=顧客からの収益 

ビジネス分析 

注記 例えば,既存顧客,新規顧客などのように顧客には幾つかの属性がある。これらの属性は,新しい機能性を提

供することに対する,機会損失の状態を評価することに使用することができる。 

REc-8-G 

経済的影響があ
るエラー 

経済的影響を伴う人的又は
システム上のエラーがある
使用状況の割合 

X=A / B 
A=経済的影響があるエラーの数 
B=使用状況の総数 

ビジネス,ソ
フトウェア及
び使用性分析 

注記1 エラーは,経済規模によって重み付けができる。使用状況はトランザクション又は時間で定義できる。エラ

ーには,データの破損を含むことができる。 

注記2 経済的影響には,組織又は個々の利用者に対するものがある。 
例 個人が,効果的かつ効率的に,意図した交通機関の乗車券を購入できなかったという経済的影響は,意図したよ

うに旅行できなくなる,又は新しい交通機関の乗車券を購入することが必要になるという結果になることがある。 

8.5.3 

健康及び安全リスク緩和性の測定量 

健康及び安全リスク緩和性の測定量は,“健康及び安全性の目的(例えば,反復動作の過多による身体の

損傷)への品質の影響”を総合評価するために使用する(表10を参照)。 

注記1 安全性,セキュリティなどの品質特性に関する特定の測定量は,医療機器のためのIEC 62366,

並びにIEC TC 65及びISO/IEC JTC 1/SC 27が提供する国際規格に規定されている。 

background image

21 

X 25022:2019 (ISO/IEC 25022:2016) 

注記2 不十分な製品品質に起因することがある許容できない健康及び安全リスクの測定量を緩和す

るために,リスク軽減策を用いることができる。 

表10−健康及び安全リスク緩和性の測定量 

ID 

名称 

説明 

測定関数 

方法 

RHe-1-G 利用者の健康報

告頻度 

製品を利用することによっ
て起きた健康の問題を報告
する製品の利用者数の割合 

X=A / B 
A=健康の問題を報告する製品の利用者
数 
B=製品の利用者総数 

利用統計分析 

注記1 健康の問題には,反復性のストレス障害,疲労,頭痛などを含むことができる。 
注記2 測定量を利用時間の長さで重み付けをすることができる。 

RHe-2-G 利用者の健康及

び安全への影響
度 

製品の利用者に対する健康
及び安全性への影響度 

=

×

=

n

1

i

i

i

)

S

Ta

(

Tb

1

X

n=影響を受けた人の数 
Tai=i番目の人が影響を受けていた時間
の長さ 
Si=i番目の人が受けていた影響の重大度 
Tb=システムの運用操作中のシステムの
開始からの利用時間 

利用統計分析 

注記 影響には肉体的な健康及び安全性だけでなく精神的な健康及び安全も含むことができる。例えば,ストレスは,

不十分なユーザインタフェースをもつシステムを利用することの困難さによって引き起こされる。 

RHe-3-G システムの利用

によって影響さ
れる人の安全性 

システムの利用によって影
響される人に対する危険状
況の事象 

X=A / B 
A=危険状況にさらされている人の数 
B=システムの利用によって影響される
人の総数 

利用統計分析 

注記1 この測定量の例には,患者の安全性がある。ここで,A=誤った所定の治療を受ける患者数,及びB=患者の

総数である。 

注記2 目的によっては,影響を受ける人の数が,影響を受ける人の比率よりもより適切な測定量であるかもしれな

い。 

8.5.4 

環境リスク緩和性の測定量 

環境リスク緩和性の測定量は,“環境目的への品質の影響”を総合評価する(表11を参照)。 

注記 リスク緩和性は,不十分な製品品質に起因する許容できない環境影響のリスクを緩和するため

に使用できる。 

表11−環境リスク緩和性の測定量 

ID 

名称 

説明 

測定関数 

方法 

REn-1-G 

環境への影響 

目標と比較した,製品又は
システムの製造及び使用に
よる環境への影響 

X=Aa / At 
A=環境影響(a=実際の環境影響,t=目
標の環境影響) 

利用統計分析 

注記1 環境影響には,システムの種類に応じて,汚染,騒音又は地球温暖化のような結果を含むことができる。 
注記2 環境リスクは,ソフトウェアの欠陥,又は悪い設計のユーザインタフェースによるユーザエラーのリスクに

起因することがある。 

8.6 

利用状況網羅性の測定量 

8.6.1 

一般 

利用状況網羅性の測定量は,“明示された利用状況及び当初明確に識別されていた状況を超越した状況の

両方の状況において,製品又はシステムが有効性,効率性,満足性及びリスク回避性で使用できる度合い”

background image

22 

X 25022:2019 (ISO/IEC 25022:2016) 

を総合評価する。 

注記1 附属書Aは利用状況網羅性の測定量の例を提供している。 

注記2 異なる利用状況とは,利用者,作業及び/又は環境間の違いが使用性の重大な違いを導く利

用状況を指している(ISO/TS 20282-2を参照)。 

8.6.2 

利用状況完全性の測定量 

利用状況完全性の測定量は,“明示されたそれぞれの利用状況において,要求された水準の有効性,効率

性,満足性及びリスク回避性で製品又はシステムが使用できる度合い”を総合評価するために使用する(表

12を参照)。 

注記1 この定義は,JIS X 25010の定義“明示された全ての利用状況において,有効性,効率性,リ

スク回避性及び満足性を伴って製品又はシステムが使用できる度合い”を修正している。 

注記2 利用状況完全性は,次のいずれかを明示又は測定することができる。 

− 明示された利用者が,意図した全ての利用状況において,有効性,効率性,満足性及び

リスク回避性で明示された目標を達成するために,実際に(製品を)使用することによ

って,利用状況完全性を明示又は測定する。 

− 意図した全ての利用状況において,使用を支援する製品特徴の存在によって,利用状況

完全性を明示又は測定する。 

表12−利用状況完全性の測定量 

ID 

名称 

説明 

測定関数 

方法 

CCm-1-G 利用状況完全性 

許容できる使用性及びリス
クで製品又はシステムを使
用できる,意図された利用
状況の割合 

X=A / B 
A=許容できる使用性及びリスクを伴う
状況の数 
B=要求された異なる利用状況の総数 

利用者効率又
は状況記述の
分析 

注記1 分析又は利用者テストは,利用者,作業及び環境の種類の全ての意図した組合せに対して,製品又はシステ

ムが許容できる使用性をもつかどうかを評価するために使用できる。 

例1 要求事項は,全ての意図した利用状況において,システムが適切な利用時品質をもつためのものである。 
例2 システムは,四つの意図した利用状況のうちの三つだけにしか,適切な利用時品質をもたない。 
注記2 異なる利用状況は,それらの重要性によって重み付けをすることができる。 

8.6.3 

柔軟性の測定量 

柔軟性の測定量は,“要求事項の中で初めに明示された状況を逸脱した状況において,許容可能な水準の

有効性,効率性,満足性及びリスク回避性で製品又はシステムが使用できる度合い”を総合評価するため

に用いる(表13を参照)。 

注記1 柔軟性は,前もって予測されていないかもしれない環境,機会及び個人の好みを製品におい

て考慮することを可能にする。 

注記2 柔軟性は,次のような方法によって測定できる。 

− 追加された種類の利用状況において,追加された種類の利用者が,有効性,効率性,満

足性及びリスク回避性で追加された種類の目標を達成するために製品を使用することが

できる程度を評価するために,製品及び利用状況の特徴を分析する。 

− これらの追加された利用状況で利用者とともに製品をテストする。 

− 新しい種類の利用者,作業及び環境に対する適応を支援するため,並びにJIS Z 8520で

定義された個人化に対する適合性を支援するために修正される製品の能力を分析する。 

background image

23 

X 25022:2019 (ISO/IEC 25022:2016) 

表13−柔軟性の測定量 

ID 

名称 

説明 

測定関数 

方法 

CFl-1-S 

柔軟な利用状況 

修正がないか又は単純な修
正だけで,追加された利用
状況(異なる種類の利用者,
作業及び環境)で,製品が
利用できる程度 

X=A / B 
A=許容可能な利用時品質で製品が利用
できる,追加された利用状況の数 
B=製品が使われる,追加された利用状況
の総数 

利用者効率又
は状況記述の
分析 

注記1 単純な変更とは,利用者が製品を自分に合うように手直しできること,又はテキスト及び/又はデータへの

修正だけが必要となることを意味する。 

注記2 1に近い方がより良い。 
例 ある特別な市場で使用するために設計された製品が,当初は潜在的にある範囲の他の状況(測定関数の変数Bの

値となる。)で使用されることがあるが,最新の設計とともにその中の一部の状況(測定関数の変数Aの値となる。)
でだけ利用できる。 

CFl-2-S 

製品の柔軟性 

追加された利用者の要求事
項に合致させるために,製
品を容易に修正できる程度 

=

=

B

1

i

iA

B

1

X

Ai=i番目の要求事項に対する(JIS X 
25023で明示されている)修正性 
B=利用者が明示した新たな要求事項の
総数 

利用者効率又
は検査の分析 

CFl-3-S 

習熟度への非依
存性 

製品が,特定の知識,スキ
ル(技能)又は経験のない
人々が利用できる程度 

X=A / B 
A=特定の知識,スキル(技能)又は経験
のない,追加された,製品を使用できる
利用者のグループの数 
B=特定の知識,スキル(技能)又は経験
のない,潜在的に製品を利用する可能性
のある利用者のグループの総数 

利用者効率又
は検査の分析 

注記1 製品は,主として,特定の知識,スキル(技能),又は経験をもつ利用者のグループが使用することを意図し

ているが,潜在的により広範囲の利用者が利用できる。 

注記2 製品を意図した利用者のグループにだけ利用される場合,値は0となる。製品が誰もが利用できるのであれ

ば,値は1となる。 

24 

X 25022:2019 (ISO/IEC 25022:2016) 

附属書A 

(参考) 

利用状況網羅性の測定方法の例 

A.1 一般 

この附属書は,利用状況網羅性の測定方法の例を提供する。 

利用状況網羅性は,明示された利用状況及び当初明確に識別されていた状況を超越した状況の両方の状

況において,有効性,効率性,満足性及びリスク回避性で製品又はシステムが使用できる度合いとして定

義されている。利用状況網羅性は,利用状況完全性及び柔軟性の品質副特性で構成される。 

利用状況完全性は,明示されたそれぞれの利用状況において,要求された水準の有効性,効率性,満足

性及びリスク回避性で製品又はシステムが使用できる度合いとして定義されている。 

A.2 航空会社のWebサイトにおける利用状況完全性の例 

航空会社の予約サイトにおける明示された利用状況に,利用者(U),作業(T)及びWebブラウザ(B)

の種類を次のような組合せの全ての場合でシステムが利用できなければならないことを含めてもよいかも

しれない。 

− 明示された利用者の種類 頻繁に航空便を利用する人をU1,不定期に時折航空便を利用する人をU2

(いずれもWebを利用した経験がある。)とする。 

− 明示された作業 航空便の選定をT1,支払いをT2などとする。 

− 明示された環境 Webブラウザでは,インターネットエクスプローラーをB1,ファイヤーフォックス

をB2などとする。 

− 利用者の種類,作業及び環境の各組合せは,利用時品質(有効性,効率性,満足性及びリスク回避性)

の明示された水準が必要とする,明示された利用状況を定義する。 

− U1 T1 B1 

− U1 T1 B2 

− U1 T2 B1 など。 

異なる水準をもった利用時品質を,個々の利用状況について明示できる場合,全ての明示されたブラウ

ザ及び両方の種類の利用者に対して,同一の利用時品質とすることを設計目的としてもよい。 

利用状況完全性に対する要求事項を明示する目的は,全ての明示された利用状況において,品質要求事

項を確実に達成することである。 

A.3 航空会社のWebサイトにおける利用状況完全性の評価 

既存システムについて,利用状況の全ての組合せのユーザテストを実施することは費用が高くなる。シ

ステムの検査によって,支払作業に対する,異なるブラウザ間又は二種類の利用者間で,利用時品質に違

いを生じさせると予期されるであろう,どのような識別可能な問題点もないことを明らかにするという代

替策を可能にするかもしれない。その場合は,テストする必要があるのは,次の組合せだけである。 

− U1 T1 

− U2 T1 

− U1+U2(両者の組合せ)T2 

25 

X 25022:2019 (ISO/IEC 25022:2016) 

A.4 航空会社のWebサイトにおける柔軟性 

柔軟性は,要求事項の中で初めに明示された状況を逸脱した状況において,許容可能な水準の有効性,

効率性,満足性及びリスク回避性で製品又はシステムが使用できる度合いとして定義されている。 

柔軟性の設計目的を,最も幅広い範囲の他のブラウザと互換性があることが分かっている技術を利用し

ているWebサイトを実装することにしてもよい。 

柔軟性の測定は,異なるブラウザの実装技術の互換性の総合評価,又は様々な代替手段となるブラウザ

を用いるWebサイトのテストによる総合評価を基に実施することができる。 

柔軟性に対する要求事項を明示する目的は,広範囲の既存のWebブラウザ及び今後の新しいWebブラ

ウザでWebサイトを使うとき,許容可能な水準の有効性,効率性及び満足性を達成できる可能性をかなり

高くすることである。 

background image

26 

X 25022:2019 (ISO/IEC 25022:2016) 

附属書B 

(参考) 

利用時品質の測定量の正規化 

表B.1は,6.3で説明した正規化のどの選択肢が各品質測定量に適用可能かを示す。 

表B.1−正規化の選択肢 

正規化の選択肢 

ID 

名称 

測定関数 

適合性 

ベンチ
マーク 

時系列 

習熟 

利用者の

人数比 

Ef-1-G 

作業完了率 

X=A / B 
A=完了した個別の作業の数 
B=試行した個別の作業の総数 

− 

Ef-2-S 

目的達成率 

{X=1−ΣAi | X≧0} 
Ai=作業出力における欠落した目的
又は間違った目的の割合の値(最大値
=1) 

− 

Ef-3-G 

作業エラー 

X=A 
A=作業中に利用者が引き起こした
エラーの数 

− 

Ef-4-G 

エラーが内在
する作業の割
合 

X=A / B 
A=エラーが内在する作業の数 
B=作業の総数 

− 

Ef-5-G 

作業エラーの
多さ 

X=A / B 
A=エラーを引き起こした利用者の
数 
B=作業を実行した利用者の総数 

− 

Ey-1-G 

タスク時間 

X=T 
T=作業時間 

− 

Ey-2-S 

時間効率性 

X=A / T 
A=達成した目的の数 
T=時間 

− 

Ey-3-S 

費用対効果 

X=A / B 
A=作業を実行するための総費用 
B=達成した目的の数 

− 

Ey-4-S 

生産的な時間
の比率 

X=Ta / Tb 
Ta=生産時間=作業を完了するのに
要した時間−手助け又は支援を得る
ために要した時間−エラーからの回
復に要した時間−無駄な検索に要し
た時間 
Tb=タスク時間 

− 

Ey-5-S 

不必要な行動 X=A / B 

A=作業の達成に実際には必要のな
い行動の数 
B=利用者が行った行動の数 

− 

Ey-6-S 

疲労の結果 

X=1−A / B 
A=現在の人間の効率 
B=初期の人間の効率 

− 

background image

27 

X 25022:2019 (ISO/IEC 25022:2016) 

表B.1−正規化の選択肢(続き) 

正規化の選択肢 

ID 

名称 

測定関数 

適合性 

ベンチ
マーク 

時系列 

習熟 

利用者の

人数比 

SUs-1-G 

全体的な満足
性 

X=ΣAi 
Ai=質問に対する回答 

SUs-2-G 

特徴の満足性 X=ΣAi 

Ai=特定の特徴に関連付けた質問へ
の回答 

− 

SUs-3-G 

利用の裁量 

X=A / B 
A=特定の機能,アプリケーション又
はシステムを利用している利用者の
数 
B=特定の機能,アプリケーション又
はシステムを利用することができる
潜在的な利用者の数 

− 

SUs-4-G 

特徴の利用者
の割合 

X=A / B 
A=特別な特徴を使用している利用
者の数 
B=システムの利用者として識別され
たものの数 

− 

SUs-5-G 

不満をもつ利
用者の割合 

X=A / B 
A=不満をもつ利用者の数 
B=システムを使用している利用者の
数 

− 

− 

SUs-6-G 

特別の特徴に
対して不満を
もつ利用者の
割合 

X=A / B 
A=特別の特徴に対して不満をもつ
利用者の数 
B=特徴に対して不満をもつ利用者の
総数 

− 

− 

STr-1-G 

利用者の信用
性 

X=A 
A=信用性の質問票からの心理測定
尺度の値 

SPl-1-G 

利用者の快感
性 

X=A 
A=快感性に関する質問票からの心
理測定尺度の値 

SCo-1-G 

身体的快適性 X=A 

A=快適性に関する質問票からの心
理測定尺度の値 

REc-1-G 

投資収益率 
(ROI) 

X=(A−B) / B 
A=得られた追加利益 
B=投資額 

− 

− 

REc-2-G 

投資収益率を
達成するため
の時間 

X=T 
T=ROIを達成するための時間 

− 

− 

REc-3-G 

業績 

X=Aa / At 
A=会社の収益性又は売上高(a=実
績,t=目標) 

− 

− 

background image

28 

X 25022:2019 (ISO/IEC 25022:2016) 

表B.1−正規化の選択肢(続き) 

正規化の選択肢 

ID 

名称 

測定関数 

適合性 

ベンチ
マーク 

時系列 

習熟 

利用者の

人数比 

REc-4-G 

IT投資の利益 X=Aa / At 

A=IT投資の利益の測定量(a=実績,
t=目標) 

− 

− 

REc-5-S 

顧客へのサー
ビス 

X=A / B 
A=実際のサービス水準 
B=意図したサービス水準 

− 

− 

REc-6-S 

顧客になった
ウェブサイト
訪問者 

X=A / B 
A=顧客となる訪問者数 
B=特定のウェブページへの重複計数
しない訪問者数 

− 

− 

REc-7-S 

各顧客からの
収益 

X=A 
A=顧客からの収益 

− 

− 

REc-8-G 

経済的影響が
あるエラー 

X=A / B 
A=経済的影響があるエラーの数 
B=使用状況の総数 

− 

− 

RHe-1-G 

利用者の健康
報告頻度 

X=A / B 
A=健康の問題を報告する製品の利
用者数 
B=製品の利用者総数 

− 

− 

RHe-2-G 

利用者の健康
及び安全への
影響度 

=

×

=

n

1

i

i

i

)

S

Ta

(

Tb

1

X

n=影響を受けた人の数 
Tai=i番目の人が影響を受けていた時
間の長さ 
Si=i番目の人が受けていた影響の重
大度 
Tb=システムの運用操作中のシステ
ムの開始からの利用時間 

− 

− 

RHe-3-G 

システムの利
用によって影
響される人の
安全性 

X=A / B 
A=危険源にさらされている人の数 
B=システムの利用によって影響され
る人の総数 

− 

− 

REn-1-G 

環境への影響 X=Aa / At 

A=環境影響(a=実際の環境影響,t
=目標の環境影響) 

− 

− 

CCm-1-G 

利用状況完全
性 

X=A / B 
A=許容できる使用性及びリスクを
伴う状況の数 
B=要求された異なる利用状況の総数 

− 

− 

CFl-1-S 

柔軟な利用状
況 

X=A / B 
A=許容可能な利用時品質で製品が
利用できる,追加された利用状況の数 
B=製品が使われる,追加された利用
状況の総数 

− 

− 

background image

29 

X 25022:2019 (ISO/IEC 25022:2016) 

表B.1−正規化の選択肢(続き) 

正規化の選択肢 

ID 

名称 

測定関数 

適合性 

ベンチ
マーク 

時系列 

習熟 

利用者の

人数比 

CFl-2-S 

製品の柔軟性 X=ΣAi / B 

i=1〜B 
Ai=i番目の要求事項に対する(JIS X 
25023で明示されている)修正性 
B=利用者が明示した新たな要求事項
の総数 

− 

− 

CFl-3-S 

習熟度への非
依存性 

X=A / B 
A=特定の知識,スキル(技能)又は
経験のない,追加された,製品を使用
できる利用者のグループの数 
B=特定の知識,スキル(技能)又は
経験のない,潜在的に製品を利用する
可能性のある利用者のグループの総
数 

− 

− 

background image

30 

X 25022:2019 (ISO/IEC 25022:2016) 

附属書C 
(参考) 

JIS Z 8521の使用性を測定するためのこの規格の利用 

使用性(ISO 9241-210の改訂版)並びにJIS Z 8521の有効性及び効率性の定義は,JIS X 25010の定義

とほぼ同じであるが,満足性の定義は異なっている(表C.1を参照)。 

注記1 JIS Z 8521では,有効性,効率性,及び満足性は,使用性の品質副特性である。 

表C.1−この規格及びJIS Z 8521における用語の定義 

JIS X 25010 

ISO 9241-210/JIS Z 8521 

使用性 

明示された利用状況において,有効性,効率性及び
満足性をもって明示された目標を達成するために,
明示された利用者が製品又はシステムを利用する
ことができる度合い 

明示された利用状況において,有効性,効率性及び
満足性をもって明示された目標を達成するために,
明示された利用者がシステム,製品又はサービスを
利用することができる度合い 

有効性 

明示された目標を利用者が達成する上での正確さ
及び完全さの度合い 

明示された目標を利用者が達成する上での正確さ
及び完全さの度合い 

効率性 

利用者が特定の目標を達成するための正確さ及び
完全さに関連して,使用した資源の度合い 

利用者が明示された目標を達成するための正確さ
及び完全さに関連して,使用した資源の度合い 

満足性 

製品又はシステムが明示された利用状況において
使用されるとき,ユーザニーズが満足される度合い 

不快さのないこと,及び製品の使用に対して肯定的
な気持ち 

したがって,8.2(有効性)及び8.3(効率性)の全ての品質測定量を使用して,JIS Z 8521の有効性及

び効率性を測定することができる。JIS Z 8521の満足性を測定するために使用できる品質測定量は,積極

的な気持ちの測定量である8.4.1(一般),8.4.2(実用性)及び8.4.3(信用性)の測定量であり,かつ,不

快感回避性の測定量である8.4.5(快適性)の測定量である。 

注記2 8.4.4(快感性)を含む満足性の全ての測定量は,ISO 9241-11の新しい版における満足性が,

意図する適用範囲内にある。 

31 

X 25022:2019 (ISO/IEC 25022:2016) 

附属書D 
(参考) 

利用時品質の評価プロセス 

D.1 一般 

この附属書の全体的なプロセスは,次のとおりである。 

− 評価要求事項の確立 

− 評価目的の確立 

− 製品の種類の識別 

− 品質モデルの明示 

− 評価の明示 

− 利用状況の識別 

− 評価状況の選択 

− 測定量の選択 

− 総合評価のための基準の確立 

− 測定量の解釈 

− 評価の設計 

− 評価の実行 

− 利用者テストの実施及びデータの収集 

− 報告書の作成 

注記1 この附属書の箇条は,JIS X 25040に規定されている評価プロセスの構造に従っている。 

注記2 ISO/TS 20282-2は,消費者向け製品及びこの附属書のプロセスに合致する公共で使用する製

品の有効性,効率性及び満足性に関する評価プロセスの詳細な仕様を提供している。 

D.2 評価要求事項の確立 

D.2.1 評価目的の確立 

利用時品質を評価する目的は,製品を使用することによって,特定の利用状況(利用シナリオ)で明示

された目標を達成するという利用者のニーズを利用者が満たすことができる程度を総合評価することであ

る。 

D.2.1.1 取得 

開発に先立って,ニーズに明確に適合した製品を購入しようとする組織は,製品が満たすことが望まし

く,かつ,それに対して受入試験を実施することができる,利用時品質の要求事項を明示するための枠組

みとして利用時品質を利用することができる。利用時品質を測定する特定の状況を識別すること,有効性,

効率性,満足性及びリスク回避性の測定量を選択すること,及びこれらの測定量に基づく受入れ基準を確

立することがいずれも望ましい。 

D.2.1.2 供給 

供給者は,製品が特定の種類の利用者及び利用環境のニーズを満たすことを確実にするために,利用時

品質を評価することができる。利用時品質の結果を潜在的な取得者に提供することは,製品が取得者の特

32 

X 25022:2019 (ISO/IEC 25022:2016) 

定のニーズを満たすかどうかを取得者が判断するのに役立つ(例えば,JIS X 25062を参照)。 

D.2.1.3 開発 

異なる利用シナリオにおける利用時品質について,利用者の要求事項を明確に理解することは,開発チ

ームが,実際のユーザニーズを満たすことに関して設計上の決定を正しく判断することを助けるであろう

し,かつ,利用時品質の基準を満たすことに開発目的の焦点を合わせることを助けるであろう。これらの

基準は,開発が完了した時点で評価することができる。 

D.2.1.4 運用 

利用時品質の側面を測定することによって,システムを運用操作する組織は,システムが彼らのニーズ

を満たしている度合いを評価し,将来の版でどのような変更が必要になるかもしれないかを総合評価する

ことができる。 

D.2.1.5 保守 

ソフトウェア保守者のために,保守作業の利用時品質を測定することができる。 

D.2.1.6 移行 

移行作業者のために,移行作業の利用時品質を測定することができる。 

D.2.2 製品の種類の識別 

利用時品質を評価するためには,使用できるプロトタイプ又は最終製品が必要である。 

D.2.3 品質モデルの明示 

使用する品質モデルは,JIS X 25010で与えられる利用時品質のモデルである。利用時品質は,特定の利

用状況において,有効性,効率性,満足性及びリスク回避性で特定の目標を達成するという特定の利用者

のニーズを満たすために,特定の利用者が製品又はシステムを利用できる程度として定義している。 

D.3 評価の明示 

D.3.1 利用状況の識別 

利用時品質を明示又は測定するためには,利用者,利用者の目標及び利用環境という利用状況の各構成

要素を識別することが必要である。可能な全ての利用状況をテストすることは通常不可能であるので,通

常,重要な又は代表的な利用者グループ及び作業を選択することが必要である。 

D.3.1.1 利用者 

製品利用時の効率に影響を与える可能性のある利用者の品質特性を明示する必要がある。これらの品質

特性には,知識,スキル(技能),経験,教育,訓練,身体的属性,並びに運動能力及び知覚能力が含まれ

る。例えば,異なる水準の経験をもつ利用者,又は異なる役割を実行する利用者のような,異なる種類の

利用者の品質特性を定義する必要があるかもしれない。 

注記 老齢人口を考えると,高齢及び身体障害の品質特性は,利用者としての効率に影響を与える可

能性がある。このことは,効率を向上させる追加体験すること,又は異なる利用状況若しくは

困難だがやりがいのある利用状況において,効率をより低下させる,身体能力,運動能力若し

くは感覚能力を追加体験することに関連している可能性がある。 

D.3.1.2 目標(意図した結果) 

製品の利用目標を明示することが望ましい。目標は,どのように達成するかではなく,何を達成するか

を明示する。目標は,全体の目標の構成要素を明示する副目標,及びその副目標を満たす基準に分解する

ことができる。例えば,目標が顧客注文様式を完成させることであった場合,副目標は,各項目欄に正し

い情報を入力することになる。全体目標の幅広さは,評価の適用範囲に依存する。作業は,目標を達成す

33 

X 25022:2019 (ISO/IEC 25022:2016) 

るために必要な活動である。 

D.3.1.3 環境 

運用環境 

ハードウェア及びソフトウェアの運用操作環境は,ソフトウェアの動作のやり方に影響を与えることが

できるので,ハードウェア及びソフトウェアの運用操作環境を明示することが望ましい。このことは,ネ

ットワークの応答時間のような幅広い側面を含んでいる。 

利用者環境 

物理的環境(例えば,作業場所,家具),周囲環境(例えば,温度,照明),並びに社会的及び文化的環

境(例えば,作業の実施,支援の利用,動機付け)のような,利用者の能力に影響を与えることができる

利用環境のいかなる側面もまた,明示することが望ましい。 

D.3.2 評価状況の選択 

評価に使用される状況は,実際に製品が利用されるであろう一つ以上の環境に,できるだけ厳密に一致

していることが重要である。製品が実際に使われたときに達成される利用時品質の水準を予測するために

得られた測定量の妥当性は,利用者,作業及び環境が実際の状況を代表する程度に依存している。一方で

は,製品の利用時品質の評価のための基礎として実際の状況を使用して“現地”で測定を行うことができ

る。他方では,関連する利用状況の側面を代表的かつ制御された方法で再生成する“実験室”環境の中で,

製品のある特定の側面を評価することができる。実験室を基準とした進め方を使用することの利点は,こ

の方法が,達成した利用時品質の水準に重大な効果があることが予想される変数に対して,より大きく制

御する機会を提供し,かつ,より精度の高い測定を可能にすることである。欠点は,実験室環境がもつ人

工的に作り出されたものという性質が,現実的でない結果を生み出す可能性があることである。 

D.3.3 測定量の選択 

D.3.3.1 測定量の選択 

利用時品質を明示又は評価するために,有効性,効率性,満足性及び適切な場合はリスク回避性に対し

て,少なくとも一つの測定量を測定することが通常は必要である。 

測定量及びそれらを測定する状況の選択は,その測定に関わる組織の目的に依存する。目標に対する各

測定量の相対的重要度を考慮することが望ましい。例えば,頻繁に使用しない場合は,利用時品質よりも

理解容易性及び習得性に対する測定量を,より重要と判断してもよいかもしれない。 

利用時品質の測定量は,製品とやり取りする利用者の結果を反映するデータに基づくことが望ましい。

出力,作業の速度又は特別な事象の発生の測定のような,客観的手段によってデータを集めることができ

る。もう一つの手段として,利用者が表明する感覚,信念,気持ち又は好みの主観的応答からデータを集

めることができる。主観的な測定量が直接的に満足性に関連付けることができるのに対して,客観的な測

定量は,有効性及び効率性の直接的な指標を提供する。 

調査を必要とする課題に依存し,かつ,テストのために利用できる製品の完全性に依存する,現地と研

究室環境との間の連続する様々な段階で,評価を実施できる。テスト環境及び測定量の選択は,測定活動

の目標及び設計サイクル時の目標の関係に依存するであろう。 

D.3.3.2 有効性 

有効性の測定量は,目標を達成できる正確性及び完全性を測定する。 

例えば,望む目標が2ページの文書を明示された様式で正確に再生産することである場合,正確性は,

誤字の数及び明示された様式からの逸脱数で明示又は測定することができ,完全性は,再生産された文書

の語数を原文書の語数で割った値で明示又は測定することができる。 

34 

X 25022:2019 (ISO/IEC 25022:2016) 

D.3.3.3 効率性 

効率性の測定量は,達成した効果の水準を資源の消費に関係付ける。関連する資源には,精神的又は肉

体的労力,時間,材料又は財務費用が含まれる。例えば,人的効率性は,有効性を労力で割ったものとし

て,時間的効率性は有効性を時間で割ったものとして,又は経済的効率性は,有効性を費用で割ったもの

として測定できる。 

報告書を印刷することが望む目標である場合,効率性は,使用できる複写した報告書の数を,(必要な再

作業の費用を含む)消費した労働時間,処理費及び材料のような,作業で消費した資源で割ったもので,

明示又は測定できる。 

D.3.3.4 リスク回避性 

リスク回避性の測定量は,時間,使用条件,及び利用状況にわたって,ソフトウェア又はコンピュータ

システムを運用するリスクと関連がある。リスク回避性は,運用操作リスク軽減及び偶発リスク軽減に関

して分析することができる。運用リスク軽減は,正常運用時において他の資源及び環境へ害を及ぼすこと

なく,利用者の要求事項を満たすソフトウェアの能力である。偶発リスク軽減は,正常運用外で運用し,

かつ,リスクの拡大を防ぐために資源を振り向けるソフトウェアの能力である。 

D.3.3.5 満足性 

満足性は,利用者が不快感をもたない程度,及び製品の使用に対する気持ちを測定する。 

満足性は,製品に対する好み,製品使用への満足性,異なる作業を実施したときの作業量への許容性,

又は特別な利用時品質の目的(例えば,効率性又は習得性)を満足した程度のような,尺度に対する主観

的な評定によって,明示及び測定することができる。満足性の他の測定量は,利用中に記録した肯定的及

び否定的なコメントの数を含むかもしれない。欠勤率,利用者の認知した若しくは物理的な作業量の過大

負荷若しくは過小負荷のような長期間の測定量,又は健康問題の報告書若しくは利用者の他の仕事への異

動要請の頻度から,追加の情報を得ることができる。 

満足性の主観的な測定量は,利用者が主観的に表明した応答,気持ち又は意見の強さを定量化すること

によって作り出すことができる。定量化のこのプロセスは,多くの方法で実施できる。例えば,利用者に,

ある特別な時点において,利用者が感じたことの強さに対応する数を示すように依頼すること,製品を好

みの順に順位付けするように依頼すること,質問票に基づく気持ち尺度を用いることなどがある。 

気持ち尺度は,適切に作成した場合,すぐに利用でき,既知の信頼性をもち,かつ,適用するのに特別

なスキル(技能)を必要としないという利点がある。心理測定法を使って作成された気持ちに対する質問

票は,信頼性及び妥当性を既知の方法で定量的に見積もることができ,やらせ,肯定的な又は否定的な応

答の先入観,及び社会的な望ましさのような要因に左右されない。気持ち尺度を用いることで,過去に得

られた応答に対して確立した規範と比較するという結果を可能にすることができる。コンピュータシステ

ムを使用して満足性を測定する質問票の例については参考文献を参照。 

D.3.4 総合評価のための基準の確立 

利用時品質の測定量についての基準値の選択は,製品に対する要求事項及びその基準を設定する組織の

ニーズに依存する。利用時品質の目的は,主要な目標(例えば,手紙の作成)又は副目標(例えば,検索

及び置換)に関係している。利用時品質の目的を,利用者の目標のうちで最も重要なものに焦点を絞るこ

とは,多くの機能を無視することを意味するが,最も実践的な方法となる可能性が高い。特定の副目標に

対して利用時品質の目的を設定することで,開発プロセスの初期で評価することが可能になる。 

利用者のグループに対して基準値を設定する場合,その基準を平均として設定できる(例えば,作業の

完了に対する平均時間が10分を超えない。)。個人に対しては,(例えば,全ての利用者が10分以内に作業

35 

X 25022:2019 (ISO/IEC 25022:2016) 

を完了できる。)のように設定でき,利用者の割合に対しては,(例えば,利用者の90 %は,10分以内に

作業を完了することができる。)のように設定できる。 

基準を設定するとき,各測定項目に適切な重みを与えるように注意することが望ましい。例えば,誤り

に基づく基準を設定するためには,異なる種類の誤りに対して相対的重要度を反映するために,重み付け

を割り付ける必要があるかもしれない。 

D.3.5 測定量の解釈 

利用時品質の品質特性の相対的な重要性は,利用状況及び利用時品質を明示又は評価する目的に依存す

るので,どのように測定量を選択し,又は組み合わせたらよいかに対する一般的な規則はない。 

著しく種類の異なる利用者,作業又は環境をもつことができる他の状況に,利用時品質の測定量の結果

を一般化するときは,注意することが望ましい。利用時品質の測定量を短期間で得る場合,その値は,例

えば,断続的なシステムエラーのように,利用時品質に著しい影響をもつことができる,頻繁には起きな

い事象を考慮していないかもしれない。 

汎用目的の製品に対して,可能な状況及び実施可能な作業の部分集合となるであろう,幾つかの異なる

代表的な状況の下で,利用時品質を明示又は測定することが必要になる。これらの状況下の利用時品質の

間には,差異があり得る。 

D.4 評価の設計 

評価は,製品が使われる条件になるべく近い条件の下で実施することが望ましい。次のことが重要であ

る。 

− 利用者は,製品を使う利用者人口の代表である。 

注記 ISO/TS 20282-2の附属書Cは,(特定の国籍又は特定の障害のような)少数の利用者グルー

プを考慮する方法を含め,利用者の代表の標本を選択する方法について詳細に説明している。 

− タスクは,システムの意図するタスク群の代表である。 

− 条件は,製品を使用する通常の条件(支援を利用する方法,時間的制約及び注意散漫を含む。)を表す。 

評価の状況を制御することによって,8人の参加者だけの標本から信頼できる結果を得ることができる

ことが経験的に分かっている(JIS X 25062を参照)。 

D.5 評価の実行 

D.5.1 利用者テストの実施及びデータ収集 

利用時品質を総合評価するとき,利用者は,手助けなしに作業することが重要であり,通常の使用条件

下で利用可能な支援形態だけを利用する。有効性,効率性及び満足性を測定するだけでなく,利用者が遭

遇する問題を文書化すること,及び会議終了時に利用者と問題を話し合うことによって説明を得ることが

通例である。詳細分析を可能にするように,評価をビデオに記録して,ビデオクリップを制作することは,

しばしば有用である。ビデオで遠隔監視している場合は,利用者は邪魔されずに作業することも容易であ

る。 

D.6 報告書の作成 

総合的な報告書が必要な場合,使用性の試験報告書のための工業共通様式(JIS X 25062)は,利用時品

質の有効性,効率性及び満足性の構成要素を報告するための優れた構造を規定している。 

background image

36 

X 25022:2019 (ISO/IEC 25022:2016) 

附属書E 

(参考) 

異なる品質モデル間の関係 

製品の品質は,様々な利害関係者の明示的ニーズ及び暗黙のニーズを満足させ,その結果として価値を

提供する度合いである。SQuaREシリーズ規格の中では,製品の品質を品質特性に分類し,かつ,幾つか

の場合では品質副特性に更に細分化する品質モデルを用いて,これらの明示的ニーズ及び暗黙のニーズを

表す。 

品質に対するユーザニーズは,特定の利用状況におけるシステムの利用時品質に対する要求事項を含む。

これらの識別されたニーズは,システムの利用時品質の品質特性及び品質副特性を用いて,品質の外部測

定量及び内部測定量を明示するときに使用することができる。 

ソフトウェア製品の品質は,内部の特徴(典型的なものとしては,中間製品の静的な測定量)を測定す

ることによって,又は(典型的なものとしては,実行時のコードの振る舞いを測定することによる)外部

の特徴を測定することによって評価することができる。システム製品の利用時品質は,(製品を実際に又は

擬似的に使用したときに)利用時品質の特徴を測定することによって評価することができる。ソフトウェ

アの適切な内部特徴は,要求される外部的な振る舞いを達成するために前もって必要とされ,適切な外部

の振る舞いは,利用時品質を達成するために前もって必要とされる(図E.1を参照)。 

図E.1−品質測定量の種別間の関係 

影響する 

依存する 

影響する 

依存する 

開発及び保守 

プロセス 

システム及び 
製品への影響 

システム及び製品 

プロセス 

品質 

影響する 

依存する 

依存する 

依存する 

内部品質 

測定量 

外部品質 

測定量 

システム& 

ソフトウェア

製品 
品質 

データ 

品質 

サービス 

製品 
品質 

サービス製品 

品質 

測定量 

固有の視点から

の品質測定量 

システムに依存する視点 

からの品質測定量 

プロセス品質 

測定量 

利用時 
の品質 

利用時の品質 

測定量 

利用の状況 

background image

37 

X 25022:2019 (ISO/IEC 25022:2016) 

附属書F 

(参考) 

品質測定の概念 

製品の品質に関連した測定可能な特徴を,品質測定量に関連付けて,定量化のための特徴と呼ぶ。これ

らの特徴は,測定方法を適用して測定する。測定方法は,明示された尺度に照らして特徴を定量化するた

めに使用する,運用操作の論理的な順序である。測定方法を適用した結果を品質測定要素と呼ぶ。 

品質特性及び品質副特性は,測定の関数を適用することで定量化できる。測定の関数は,品質測定量要

素を結合するために使用するアルゴリズムである。測定の関数を適用した結果を品質測定量と呼ぶ。この

ようにして,品質測定量は,品質特性及び品質副特性を定量化することになる。品質特性又は品質副特性

の測定のために複数の品質測定量を使用してもよい(図F.1を参照。)。 

注記 システム,ソフトウェア製品,データ又は利用者を対象実体とすることができる(JIS X 25010:2013の

図5を参照)。 

図F.1−品質特性の測定 

JIS X 25022,JIS X 25023,JIS X 25024 

品質特性 

対象実体 

構成される 

JIS X
25021 

JIS X 25010 

システム及びソフトウェア

品質モデル 

JIS X 25012 

データ品質モデル 

品質副特性 

構成される 

定義される 

品質測定量 

測定の関数 

構成される 

測定される 

品質測定量要素(QME) 

生成する 

測定方法 

測定される 

定量化のための特徴 

含む 

38 

X 25022:2019 (ISO/IEC 25022:2016) 

附属書G 
(参考) 

品質測定量の定義で用いるQME 

多くのQMEは,各品質測定量の定義で十分に規定されている。幾つかの品質測定量で使用する数個の

QMEについて次に示す。 

作業(task) 

目標を達成するために利用者が行う活動 

目標(objective) 

タスクの目的 

ユーザエラー(user error) 

利用者が,正しい,正確又は真であることから意図せずに逸脱する,利用者の行為又は信念 

ユーザエラーのある作業(tasks with errors) 

利用者が意図せず正しい解決法から逸脱した作業 

39 

X 25022:2019 (ISO/IEC 25022:2016) 

参考文献 

[1] JIS Z 8521:1999 人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−使用性についての手引 

注記 原国際規格では,ISO 9241-11:1998,Ergonomic requirements for office work with visual display 

terminals (VDTs)−Part 11: Guidance on usabilityを記載している。 

[2] JIS X 0160:2012 ソフトウェアライフサイクルプロセス 

注記 原国際規格では,ISO/IEC 12207:2008,Systems and software engineering−Software life cycle 

processesを記載している。 

[3] JIS X 0170:2013 システムライフサイクルプロセス 

注記 原国際規格では,ISO/IEC/IEEE 15288:2015,Systems and software engineering−System life 

cycle processesを記載している。 

[4] JIS X 0141:2009 システム及びソフトウェア技術−測定プロセス 

注記 原国際規格では,ISO/IEC 15939:2007,Systems and software engineering−Measurement process 

を記載している。 

[5] ISO/TS 20282-2:2013,Usability of consumer products and products for public use−Part 2: Summative test 

method 

[6] ISO/IEC 25020:2007,Software engineering−Software product Quality Requirements and Evaluation 

(SQuaRE)−Measurement reference model and guide 

[7] JIS X 25021:2014 システム及びソフトウェア製品の品質要求及び評価(SQuaRE)−品質測定量要素 

注記 原国際規格では,ISO/IEC 25021:2012,Systems and software engineering−Systems and software 

Quality Requirements and Evaluation (SQuaRE)−Quality measure elementsを記載している。 

[8] JIS X 25030:2012 ソフトウェア製品の品質要求及び評価(SQuaRE)−品質要求事項 

注記 原国際規格では,ISO/IEC 25030,Software engineering−Software product Quality Requirements 

and Evaluation (SQuaRE)−Quality requirementsを記載している。 

[9] JIS X 25062:2017 システム及びソフトウェア製品の品質要求及び評価(SQuaRE)−使用性の試験報

告書のための工業共通様式 

注記 原国際規格では,ISO/IEC 25062,Software engineering−Software product Quality Requirements 

and Evaluation (SQuaRE)−Common Industry Format (CIF) for usability test reportsを記載してい

る。 

[10] ISO/IEC 25063,Systems and software engineering−Systems and software product Quality Requirements and 

Evaluation (SQuaRE)−Common Industry Format (CIF) for usability: Context of use description 

[11] JIS Q 31010:2012 リスクマネジメント−リスクアセスメント技法 

注記 原国際規格では,IEC/ISO 31010:2009,Risk management−Risk assessment techniquesを記載し

ている。 

[12] IEC 62366:2007,Medical devices−Application of usability engineering to medical devices 

[13] Hassenzahl M., & Monk A. The inference of perceived usability from beauty. Hum. Comput. Interact. 2010, 25 

(3) pp. 235.260 

[14] Hernandez L. (2002). Evaluation of different scales for measurement of perceived physical strain during 

performance of manual tasks. Int. J. Occup. Saf. Ergon. 2002, 8 (4) pp. 413.432 

40 

X 25022:2019 (ISO/IEC 25022:2016) 

[15] Jian J.-Y., Bisantz A.M., Drury G. Foundations for an empirically determined scale of trust in automated 

systems. Int. J. Cogn. Ergon. 2000, 4 (1) pp. 53.71 

[16] 経済産業省(2011) 情報システム/ソフトウェアの品質メトリクスセット 

http://www.meti.go.jp/policy/mono̲info̲service/joho/cloud/2011/11̲03.pdf 

注記 対応文書:Ministry of Economy. Trade and Industry, Japan (METI) (2011) A Set of Metrics for 

Information Systems/Software Product Quality in Japan 

http://www.meti.go.jp/policy/mono̲info̲service/joho/cloud/2011/11̲05.pdf 

[17] Net Promoter Score. (2014) 

http://en.wikipedia.org/wiki/Net̲Promoter 

[18] Sauro J., & Lewis J. Quantifying the User Experience. Morgan Kaufmann, 2010 

[19] Sauro, j (2010) Single Ease Question (2010) 

https://www.measuringu.com/blog/single-question.php 

[20] Sauro J. (2011). Measuring Usability With The System Usability Scale (SUS). 

http://www.measuringusability.com/sus.php 

[21] Sauro J. (2012) 8 Advantages Of Standardized Usability Questionnaires. 

http://www.measuringusability.com/blog/standardized-usability.php 

[22] Watson D., Clark L.A., Tellegen A. Development and validation of brief measures of positive and negative 

affect: the PANAS scales. J. Pers. Soc. Psychol. 1988, 54 (6) pp. 1063.1070 

(このJISに追加する参考文献) 

JIS X 25023:2018 システム及びソフトウェア製品の品質要求及び評価(SQuaRE)−システム及びソフ

トウェア製品の品質の測定 

JIS X 25040 システム及びソフトウェア製品の品質要求及び評価(SQuaRE)−評価プロセス 

JIS Z 8520:2008 人間工学−人とシステムとのインタラクション−対話の原則 

ISO/TS 18152:2010,Ergonomics of human-system interaction−Specification for the process assessment of 

human-system issues 

ISO/IEC 25064,Systems and software engineering−Software product Quality Requirements and Evaluation 

(SQuaRE)−Common Industry Format (CIF) for usability: User needs report