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X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲 ························································································································· 2 

1A 引用規格 ······················································································································ 2 

2 用語及び定義 ··················································································································· 3 

3 表記······························································································································ 10 

4 指標の採用規準及び記述の構成 ·························································································· 10 

4.1 全般 ··························································································································· 10 

4.2 採用規準 ····················································································································· 10 

4.3 記述の構成 ·················································································································· 11 

5 パフォーマンス指標の使用 ································································································ 13 

5.1 全般的な考察 ··············································································································· 13 

5.2 パフォーマンス指標の選択······························································································ 14 

5.3 限界 ··························································································································· 15 

附属書A(規定)図書館パフォーマンス指標の一覧···································································· 17 

附属書B(規定)パフォーマンス指標の記述一覧 ······································································· 21 

参考文献 ···························································································································· 72 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づき,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本

工業規格である。 

これによって,JIS X 0812:2007は改正され,この規格に置き換えられた。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

X 0812:2012 

(ISO 11620:2008) 

図書館パフォーマンス指標 

Information and documentation-Library performance indicators 

序文 

この規格は,2008年に第2版として発行されたISO 11620を基に,技術的内容及び構成を変更すること

なく作成した日本工業規格である。 

なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。 

この規格は,あらゆる種類の図書館の評価に関係している。 

この規格の主たる目的は,図書館におけるパフォーマンス指標の使用を支持すること及びパフォーマン

スの測定方法についての知識を普及することである。 

国際的な図書館コミュニティであるISO/TC 46/SC 8は,図書館パフォーマンス指標のための規格の開発

に責任をもつことを表明してきた。この規格の対応国際規格の確立によって,パフォーマンス指標の使用

が促進され,途上国及び先進国の図書館は,公式の計画立案手順及びデータ収集過程に関する,知識及び

スキルによる恩恵を受けるようになる。 

図書館サービスの品質は,品質管理及び品質保証についての幅広い主題に関係する。この規格は,ISO/TC 

176によって作成される規格を承認し,支持する。 

この規格に収録した各パフォーマンス指標は固有の名称をもつ。この名称は,その記述の根拠とされた

文献とは異なる場合もある。このような相違については,指標の記述の中で示している。 

この規格に含まれるパフォーマンス指標は,実際に広く用いられている,又は文献によく取り上げられ

ているものである。実際の経験の反映又は一般化の必要性から,別の文献で示された指標の修正を盛り込

んだ記述となっているものも幾つかある。投入及び資源を分母とした比率表現は,かねてから定評もあり,

この規格で定義されているように図書館パフォーマンス指標の意味合いを説明するものである。 

この規格を作成する期間では,パフォーマンス指標についての検証及び文献的裏付けができなかった図

書館活動及びサービスがある。図書館のアウトカム及びインパクトの測定である。また,電子的サービス

は発展及び進化を続けており,そのような進化は,この規格におけるパフォーマンス指標と関連付けてモ

ニタする必要がある。図書館及び情報コミュニティは,既存及び新規の図書館のサービス及び資源に関す

るパフォーマンス指標を開発する仕組みを確立し,それに優先度を置くことが推奨される。 

この規格は,個人,図書館がサービス対象とするコミュニティ,又は社会に対する図書館サービスのア

ウトカム評価のためのパフォーマンス指標を現在は含まない。これは,図書館のためのパフォーマンス測

定において今も進化している領域である。この規格は,維持され,その発展はモニタされる。新たなパフ

ォーマンス指標は,検証され,妥当性を確認されたときに加えられる。 

パフォーマンス指標は,同じ図書館内で時系列の比較のために用いてもよい。図書館間の比較も可能で

あるが,注意を要する。図書館間の比較は,使用する指標の十分な理解及びデータの注意深い解釈のもと,

図書館の利用者層におけるあらゆる相違点を考慮に入れる必要がある(5.3.5参照)。 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

この規格で規定するパフォーマンス指標は,図書館がサービス対象とするコミュニティ,サービス権限

及び技術基盤の設定といった固有の要因に左右されるといった限界もある。この規格の指標を用いた結果

を解釈するときには,これらの要因を考慮することが望ましい。 

この規格にあるパフォーマンス指標は,存在し得る測定又は評価の手法の全てを反映するものではない。

この規格は,一連の図書館サービスのパフォーマンスを測定するための方法論及びアプローチのうち,承

認され,検証され,かつ,公にアクセス可能なものを提供している。 

この規格は,この中に規定されていないパフォーマンス指標の使用を排除することを意図しない(箇条

5参照)。 

図書館パフォーマンス指標を確立するための方法論及び分析についてのより詳細な情報は,参考文献[1]

から[30]までに示す。 

適用範囲 

この規格は,図書館のためのパフォーマンス指標の要件を規定し,あらゆる種類の図書館において使用

される一群のパフォーマンス指標を定めるものである。また,こうした指標をまだ使用していない図書館

に対し,パフォーマンス指標を道具として使用するためのガイダンスを提供するものでもある。附属書A

に指標の一覧表があり,附属書Bで指標の詳細を規定している。 

この規格は,パフォーマンス指標の統一的な用語及び簡潔な定義を規定している。さらに,この規格は,

パフォーマンス指標並びに必要なデータの収集及び分析についての簡潔な記述も含む。 

この規格は,あらゆる国のあらゆる種類の図書館において適用可能である。ただし,全てのパフォーマ

ンス指標があらゆる図書館に適用できるわけではない。個別のパフォーマンス指標を適用する上での限界

については,附属書Bで指標ごとに記載している。 

この規格は,図書館の全てのサービス,活動及び資源の利用に関するパフォーマンス指標を規定してい

るわけではない。これは,規格の作成時点において,指標がそのようには提案され,検証されていなかっ

た,又は幾つかのものは規格としての採用規準(4.2参照)を満たしていなかったという理由による。 

注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。 

ISO 11620:2008,Information and documentation−Library performance indicators(IDT) 

なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”こ

とを示す。 

1A 引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の一部を構成する。この引用規格は,

記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)は適用しない。 

JIS X 0814:2011 図書館統計1) 

注記 対応国際規格:ISO 2789:2006,Information and documentation−International library statistics

(IDT) 

注1) JIS X 0814の主な目的は,図書館間及び異なる国の図書館間での比較を容易にすることであ

る。パフォーマンス指標又はそれを算出するための最善のデータ収集方法に主眼をおくもの

ではない。 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

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用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。 

2.1 

アクセス容易性(accessibility) 

サービス又は施設への到達及び利用の容易さ。 

2.2 

実貸出者(active borrower) 

報告期間中に,一つ以上の資料を借り出した登録利用者。 

(JIS X 0814の3.3.1) 

2.3 

実利用者(active user) 

報告期間中に,図書館に来館した,又はその施設若しくはサービスを利用した登録利用者。 

注記 電子図書館サービスの利用を含めてもよい。 

2.4 

適切性(appropriateness) 

そのパフォーマンス指標によって特定の活動を評価することのふさわしさ。 

2.5 

利用可能性(availability) 

利用者が要求したときに,コンテンツ,資料,施設又はサービスについて,実際に図書館が提供できる

程度。 

2.6 

コンピュータファイル(computer file) 

コンピュータ可読な,ディスク,テープ,その他の保存媒体によって,貸出又は館内利用として利用者

に提供される,データ又はソフトウェアプログラム(例 コンピュータゲーム,語学教材及びその他のア

プリケーション ソフトウェア)。 

注記 ANSI/NISO Z39.7:2004の定義を変更している。 

(JIS X 0814の3.2.8) 

2.7 

ダウンロードされたコンテンツ(content downloaded) 

データベース,電子逐次刊行物又はデジタル資料への要求が成功したコンテンツ単位。 

(JIS X 0814の3.3.3) 

2.8 

コンテンツ単位(content unit) 

コンピュータで処理され,一意に識別可能な,テキスト又は視聴覚情報の一ぺん(篇)の出版著作物。

原著作物又は他の出版著作物の要約でもよい。 

注記1 COUNTER code of practice, Release 2:2004のアイテム(item)の定義を変更している。 

注記2 記述レコードは除く。 

注記3 同一コンテンツ単位でも,PDF,Postscript,HTML及びその他の形態ごとに,分けて数える。 

(JIS X 0814の3.2.9) 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

  

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2.9 

データベース(database) 

共通のインタフェースをもち,データの検索及び処理用のソフトウェアをもつ,電子的に蓄積された記

述レコード又はコンテンツ単位(ファクトデータ,全文,画像及び音声)の集合体。 

注記1 コンテンツ単位又はレコードは,通常,特定の目的で収集され,既定の主題に関連付けられ

る。データベースは,CD-ROM,フロッピーディスク又はその他直接にアクセス可能な方式

によって発行することもできるし,ダイアルアップ又はインターネット経由でアクセスでき

るコンピュータファイルとして提供することもできる。 

注記2 同じインタフェースを用いて利用可能である場合でも,使用許諾契約を得たデータベースは,

それぞれ分けて数える。 

注記3 通常,出版者又はベンダによって提供される,一群の逐次刊行物又はデジタル資料へのアク

セスを提供する共通のインタフェースも,データベースとして数える。その場合,個々の逐

次刊行物又はデジタル資料は,逐次刊行物又はデジタル資料として数える必要がある。 

(JIS X 0814の3.2.10) 

2.10 

記述レコード(descriptive record) 

物理的形態の資料又はコンテンツ単位を参照及び/又は記述する,標準的な形式の,コンピュータで処

理された書誌レコード又はその他の個別レコード。 

注記1 記述レコードを集めたものは,通常,データベースの形態で出版される。 

注記2 レコードは,タイトル,著者,主題,抄録,発生日付などの要素を含むことができる。 

(JIS X 0814の3.2.11) 

2.11 

デジタル資料(digital document) 

図書館コレクションの一部として,図書館がデジタル化した又はデジタル形態で受け入れた,確定した

内容の情報単位。 

注記1 電子図書,電子特許資料,ネットワーク上の視聴覚資料及びその他のデジタル資料(例 報

告書,地図資料,楽譜資料,プレプリント)を含む。データベース及び電子逐次刊行物は除

く。 

注記2 データベースとして扱われるものは,2.9で扱う。 

注記3 デジタル資料は,一つ以上のファイルによって構成されることがある。 

注記4 デジタル資料は,一つ以上のコンテンツ単位によって構成される。 

(JIS X 0814の3.2.12) 

2.12 

資料(document) 

情報管理の過程で一つのまとまりとして扱われる,記録された情報又は事物。 

注記 資料には,物理的形態及び特性による違いがあってもよい。 

(JIS X 0701:2005の1.2.02) 

2.13 

ダウンロード(download) 

記述レコード又はコンテンツ単位の,成功した要求(例 表示,印刷,保存,電子メール送信)。 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注記 NCSA(National Center for Supercomputing Applications)が定義しているように,ウェブサーバ

ログでは,成功した要求は,特定のリターンコードをもつ。 

(JIS X 0814の3.3.4) 

2.14 

有効性(effectiveness) 

所期の目標が,どの程度達成できたかを示す尺度。 

注記 ある活動が生み出すべき結果を最大限に実現した場合に,その活動は有効といえる。 

2.15 

効率性(efficiency) 

所期の目標を達成するために,資源をどの程度利用したかを示す尺度。 

注記 資源の利用を最小限にする場合,又は同じ資源でよりよい実績をあげる場合に,その活動は効

率的といえる。 

2.16 

電子図書(electronic book, eBook) 

一般的にテキストの検索が可能で,印刷形態の図書(モノグラフ)と類似するものとして認識できるデ

ジタル資料。使用許諾契約を必要とするものと必要としないものとがある。 

注記1 電子図書の利用は,多くの場合,専用装置及び/又は特別な読取り機が必要であったり,又

は画像閲覧用ソフトウェアを必要としたりする。 

注記2 電子図書は,携帯装置(電子図書リーダ)によって,又は一定期間コンテンツを利用者のPC

に送信することによって,利用者に貸し出すことができる。 

注記3 電子形態の学位論文も含む。 

注記4 図書館がデジタル化した資料も含む。 

(JIS X 0814の3.2.15) 

2.17 

評価(evaluation) 

サービス又は施設の有効性,効率性,有用性及び適合性を推定する過程。 

2.18 

外部利用者(external user) 

その図書館のサービス対象者に属さない利用者。 

(JIS X 0814の3.3.8) 

2.19 

施設(facilities) 

図書館利用者に提供している機器,調査研究席など。 

注記 複写機,オンライン端末,CD-ROMワークステーション,閲覧座席,学習用キャレルの座席な

どは含むが,トイレ,喫茶室,公衆電話などは除く。 

2.20 

無料のインターネット資源(free internet resources) 

無制限にアクセスできるインターネット資源。 

(JIS X 0814の3.2.18) 

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2.21 

フルタイム換算[full-time equivalent(FTE)] 

1年間フルタイムで働いた職員1名相当に換算すること。 

例 3人の図書館職員のうち,1人が4分の1の勤務,1人が2分の1の勤務,1人が常勤職員だった

場合,フルタイム換算(FTE)による職員の算出は,0.25+0.5+1.0=1.75となる。 

注記 あらゆる図書館が,フルタイム換算を行うときに同じ1年当たり勤務時間数を使用しているわ

けではない。このため,図書館間の比較においては,時間数の違いを考慮する必要がある。 

2.22 

目的(goal) 

合意された一連の方針を実施することによって達成されるべき望ましい状態。 

2.23 

指標(indicator) 

何らかの活動(事象,物体又は人)の価値を測定するために,その活動を数量的又は質的に特徴付ける

のに用いられる表現(数値,記号又は言葉),及び関連する方法。 

2.24 

図書館(library) 

情報,調査研究,教育,文化又は娯楽に対する利用者の要求が満たされるように,資料を収集し,組織

化し,保存し,それらの情報資源及び施設の利用を促進することを主たる目的とする機関又は機関の一部。 

注記1 これは,図書館に対する基本的な要件であって,主要目的に付随する,このほかの資源及び

サービスを否定するものではない。 

注記2 図書館が一つ以上の機能をもつ(例 学校図書館でもあり,公共図書館でもある)場合,一

般にはその図書館の第一義的な機能が何かを決めるか,又は極端な場合には機能別に分けそ

れに基づきデータを報告する。 

(JIS X 0814の3.1.5) 

注記3 仮想図書館及び/又は電子図書館は,図書館の一義的な定義に適合していれば,含めてもよ

い。 

2.25 

図書館のウェブサイト(library website) 

図書館のサービス及び資源へのアクセスを提供するために図書館が公開する,ウェブページの集合体に

よって構成されたインターネット上の独自のドメイン。 

注記1 ウェブサイトのページは,通常,ハイパテキストリンクによって相互接続している。 

注記2 電子的コレクションとして定義される資料及び図書館のウェブサイトからリンクできる無料

のインターネット資源は除く。 

注記3 図書館のドメイン内で,他の組織のために運営されるウェブサービスは除く。 

(JIS X 0814の3.3.13) 

2.26 

貸出(loan) 

電子的形態でない資料(例 図書)又は持ち運びできる物理的形態(例 CD-ROM)若しくはその他の

装置(例 電子図書リーダ)に搭載される電子資料を,直接又は配送によって貸し出す処理。又は一定期

間利用できるよう,電子資料(例 電子図書)を一人の利用者に送信する処理。 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注記1 図書館内での貸出(館内貸出),利用者自らの操作によって行った更新を含む。更新は,分け

て数える必要がある。 

注記2 原資料の代わりに図書館が提供した複写物(ファクシミリも含む。)及び利用者のために職員

が作成した電子資料のプリントアウトを含む。 

注記3 遠隔利用者への物理的な資料の貸出を含む。 

注記4 電子資料の送信(仲介)は,その利用が一定期間に限られていない場合,電子的文献配送と

して数える。電子的文献配送(仲介)は,自館のサービス対象者への送信を含む。 

(JIS X 0814の3.3.14) 

2.27 

メタデータ(metadata) 

データに関する,構造化されたデータ。記述,管理,法的要件,技術的機能性,利用及び利用法並びに

保存を目的とした,情報システム又は情報対象に関連したデータを含む。 

注記 ダブリンコア メタデータ イニシアティブから適用。 

2.28 

使命(mission) 

サービスを展開し,成果を上げていく上での組織の目的及び選択が明確に述べられた,当局によって承

認された表明。 

2.29 

目標(objective) 

組織の目的の達成に寄与するためになされる個々の活動が達成すべき,具体的なターゲット。 

2.30 

パフォーマンス(performance) 

図書館が提供するサービスの有効性,並びにサービスを提供するための資源の配分及び利用における効

率性。 

2.31 

パフォーマンス指標(performance indicator) 

図書館のパフォーマンスを特徴付けるために用いられる(図書館の統計及びデータから導かれた)数値,

記号又は言葉による表現。 

2.32 

サービス対象者(数)(population to be served) 

図書館がサービス及び資料を提供する対象となる人数。 

注記 サービス対象者数は,公共図書館の場合は,通常,法定サービス区域内(自治体)の人口に相

当し,高等教育機関の図書館の場合は,通常,教職員及び学生の総数に相当する。 

2.33 

品質(quality) 

本来備わっている特性の集まりが,要求事項を満たす程度。 

注記1 用語“品質”は,悪い,良い,優れたなどの形容詞とともに使われることがある。 

注記2 “本来備わっている”とは,“付与された”とは異なり,そのものが存在している限り,もっ

ている特性を意味する。 

(JIS Q 9000:2006の3.1.1) 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

2.34 

ダウンロードされたレコード(record downloaded) 

要求に応じて,データベース又はオンライン目録から取り出された記述レコード。 

(JIS X 0814の3.3.19) 

2.35 

運営経費(operating expenditure, ordinary expenditure) 

職員,並びに経常的に利用及び補充される資源に対する費用。主要な資産にかかる経費,建物の新築又

は増改築,コンピュータ設備などの資本支出は除く。 

注記 運営経費の計算方法は,機関,財政当局及び国によって異なるため,その方法を一つに規定す

ることはできない。したがって,この尺度を適用する状況における通例に従って計算しなけれ

ばならない。このことは,同じ方法で計算される場合にだけ,それらの比較が妥当なことを意

味する。運営経費は,通常,次のものを含む。給料及び賃金(職員手当て,社会保険料などを

含む。),コレクション構築のための資料購入費,管理費,建物・コレクションなどの維持費,

建物・機器の賃借料又は減価償却費,その他の運営費用(例 暖房,照明,電気など)。指標を

国際比較に用いる場合を除き,通常,付加価値税,消費税・サービス税,又はその他の地方税

を含める。 

2.36 

登録利用者(registered user) 

図書館内又は館外において図書館のコレクション及び/又はサービスを利用するため,図書館に登録し

た個人又は団体。 

注記 利用者の申請によって登録することもできるし,機関への入会と同時に自動的に登録すること

もできる。 

(JIS X 0814の3.3.20) 

2.37 

不受理セッション(rejected session, turnaway) 

同時接続可能な利用者数の上限を超えたため,データベース又はオンライン目録への接続に成功しなか

った要求。 

注記 間違ったパスワードによる要求の失敗は除く。 

(JIS X 0814の3.3.21) 

2.38 

信頼性(reliability) 

ある尺度が,繰り返し一貫して同じ結果を示す程度。 

2.39 

セッション(session) 

データベース又はオンライン目録への接続に成功した要求。 

注記1 セッションとは,データベース又はオンライン目録に接続したときからそれが終了するまで

の,一連の利用者の活動をいう。接続の終了には,ログアウト又はエグジット(退去)によ

って明示的に接続を終了させる場合と,タイムアウトのように利用者の行為によらずに切断

される場合とがある。平均的なタイムアウトにかかる時間は30分であり,その他の時間枠が

設定されている場合は,報告する必要がある。 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注記2 図書館のウェブサイトのセッションは,仮想訪問として数える。 

注記3 一般的な入口又はゲートウェイの各ページへの要求は除く必要がある。 

注記4 可能であれば,検索エンジンによる要求は除く必要がある。 

(JIS X 0814の3.3.25) 

2.40 

特別助成金(special grant) 

事業に対して資金の全額(又は一部)を提供する,一時的な性質の助成金。 

(JIS X 0814の3.5.4) 

2.41 

ターゲット集団(target population) 

個々の図書館が,特定のサービスの対象又は特定の資料の主要な利用者として想定する,実際の利用者

及び潜在的な利用者の集団。 

2.42 

タイトル(title) 

資料を特定するため及びその資料を他の資料から識別するため,通常,資料の先頭部分に表示されてい

る語句。 

注記 測定という目的の点では,“タイトル”とは,識別タイトルをもつ独立した個別資料を構成する

一点の資料を表現するものである(その一点の資料は,物理単位としては1冊であることも複

数冊で出版されることもある。)。この場合,図書館が所蔵している,その資料の複本の数は考

慮に入れない。 

(JIS X 0701:2005の4.2.1.4.01) 

2.43 

利用者(user) 

図書館サービスの受け手。 

注記 受け手は,人でもよいし,図書館をはじめとする機関でもよい。 

2.44 

利用者教育(user training) 

図書館及び他の情報サービスの利用に関し,具体的な学習成果を目的とした,指定の指導計画による教

育プログラム。 

注記1 利用者教育は,図書館見学ツアー,図書館における利用指導又はウェブ上のサービスによっ

て提供できる。 

注記2 指導の実施期間は関係しない。 

(JIS X 0814の3.3.28) 

2.45 

妥当性(validity) 

あるパフォーマンス指標が,測定対象として意図しているものを,実際に測定している程度。 

2.46 

仮想訪問(virtual visit) 

図書館の外からの,図書館のウェブサイトへの利用者によるアクセス。閲覧したページ数又は要素数は

関係しない。 

10 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

注記1 ウェブサイトへの訪問者とは,図書館のウェブサイトのページにアクセスした,一意に識別

されたウェブブラウザ プログラム又は特定されたIPアドレスのいずれかをいう。 

注記2 一般に,二つの連続する要求の間隔が,30分のタイムアウト時間より短い場合は,同じ仮想

訪問に含める。間隔がこれより長い場合は,新たな訪問とする。 

注記3 利用統計が他のサイトで報告されるサービスを提供するウェブサーバは,図書館のウェブサ

イトの統計から除く。 

(JIS X 0814の3.3.29) 

2.47 

来館者(visit) 

図書館の建物に入館した者。 

注記 単純な集計値及びその割合を含む。 

(JIS X 0814の3.3.30) 

表記 

この規格全体を通して,指標の名称は,人口当たり来館回数のように斜体太字で示す。これは,説明文

と名称とを区別するためである。 

指標の採用規準及び記述の構成 

4.1 

全般 

4.1.1 

図書館パフォーマンス指標の目的を,次に示す。 

a) 図書館が提供するサービス,資源,その他の図書館活動の品質及び有効性を測定する手段として機能

する。 

b) そのようなサービス及び活動に図書館が配分した資源の効率性を測定する。 

4.1.2 

附属書Bには,図書館で実際に広く用いられることによって,又は調査者によって調査され,そ

の後,文献にまとめられることによって,十分に検証された一群の指標を掲げている。ただし,幾つかの

指標の記述は,実際の経験を反映させるため,又は広く一般的に適用可能とするために,修正されている。 

4.1.3 

附属書Bにおける指標は全て,4.2に示す採用規準を満たしており,4.3に示す記述の構成に従っ

て規定されている。規格改正のときに指標を追加する場合には,これらの採用規準及び記述の構成に従わ

なければならない。 

4.1.4 

その他の活動及びサービスを対象とするために,又は特別な目的に対応するために,新しい指標又

は現在の指標に代わるものを開発してもよい。その場合には,それらの指標を4.2及び4.3に従って評価

し,記述することが望ましい(箇条5参照)。 

注記 指標の記述に当たっては,他の指標から独立して個別に記述するように注意が払われている。

これは,指標を単独で用いることを求めているわけではない。ほとんどの手引書に書かれてい

るように,多くの場合,二つ以上の指標についてデータを一度に収集することが可能であり,

かつ,実際的である。 

4.2 

採用規準 

11 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

4.2.1 

この規格への適合を主張するには,図書館パフォーマンス指標は,十分に検証され,妥当性を確認

され,望ましくは,文献によって裏付けられていなければならない。ただし,実際に図書館で広く用いら

れているパフォーマンス指標については,文献による明確な裏付けがなくてもよい。 

4.2.2 

パフォーマンス指標を検証するとき,次の採用規準を用いるのが望ましい。 

a) 内容性(Informative content) 指標は,活動の測定,達成度の確認,並びに図書館のパフォーマンス

における問題及び欠点を把握するための手段として十分な情報をもち,それによって改善策を講じら

れるようなものでなければならない。指標は,目的の設定,予算配分,サービス・活動における優先

順位の決定などの,意思決定のための情報を提供することが望ましい。 

b) 信頼性(Reliability) 指標は,同じ状況の下で繰り返し用いた場合に,一貫して同じ結果を示すとい

う意味で信頼できるものでなければならない。 

注記 基礎とするデータの可変性,例えば,指標が貸出における季節変動又は偶然変動の影響を受

けたとしても,それはその指標が信頼できないことを意味しているわけではない。 

c) 妥当性(Validity) 指標は,測定しようと意図されている対象を測定している,という点において,

妥当なものでなければならない。 

注記 間接的な指標であること又は粗い推定であることは,その指標が妥当性を欠くことを意味す

るわけではない。 

d) 適切性(Appropriateness) 指標は,その使用目的に照らして適切なものでなければならない。すな

わち,測定の単位及び尺度が適切でなければならない。測定の過程で必要な作業は,図書館における

業務,施設内の配置などと整合性のあることが望ましい。 

e) 実用性(Practicality) 指標は,職員の時間・資質,実施費用及び利用者の時間・忍耐の観点から,

合理的と判断される労力によって図書館が作成可能なデータを用いるという意味で,実用的なもので

なければならない。 

指標が図書館間の比較を意図したものである場合には,次の採用規準f) を適用する。 

f) 

比較可能性(Comparability) ある指標の二つの値が同じ場合に,その値の正確性を考慮した上で,

比較する図書館のサービスの品質又は効率性が同じ水準にあるとき,その指標を図書館間の比較に用

いることができる(5.3.5参照)。 

注記1 測定する活動が比較可能かどうかを確かめることは,極めて重要である。 

注記2 この採用規準は,指標の値によって図書館の順位付けが可能なことを意味する。ただし,

値が2倍である図書館が2倍優れているということを意味するわけではない。 

4.3 

記述の構成 

4.3.1 

全般 

附属書Bで規定したパフォーマンス指標は,次に示す構成に従って記述されている。今後開発される新

しい指標又は現在の指標に代わる指標も同様に,次に示す構成に従って記述されることが望ましい。 

4.3.2 

バランストスコアカード アプローチ(Balanced Scorecard Approach) 

この規格で規定する指標は,バランストスコアカード アプローチに従って提示される(参考文献[12]参

照)。このアプローチは,指標の構成を四つの主たる測定領域で形成する。 

a) 資源・アクセス・基盤(Resources, Access, and Infrastructure) 図書館の資源及びサービス(例 職員,

所蔵タイトル,利用者用ワークステーション)の適合度及び利用可能性を測定するパフォーマンス指

標を示す。 

b) 利用(Use) 図書館資源及びサービス(例 図書館資料貸出,電子的資源のダウンロード,施設利

12 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

用)の利用量を測定するパフォーマンス指標を示す。 

c) 効率性(Efficiency) 資源及びサービスの効率性(例 貸出当たり費用,電子的資源のセッション又

はダウンロード,資料の受入又は整理にかかる時間,正答率)を測定するパフォーマンス指標を示す。 

d) 発展可能性(Potentials & Development) 図書館の,新規のサービス・資源領域への投入量,及び発

展のための資金獲得能力を測定するパフォーマンス指標(例 電子的資源にかかる費用の割合,職員

の公式研修参加費の割合)を提供する。 

この構成によって,この規格の使用者は,パフォーマンス指標の内容及び類型によるパフォーマンス測

定の主たる領域を確認できる。 

パフォーマンス指標は,さらに,コレクション,アクセス,施設,職員及び全般といった五つのサービ

ス・資源領域に分けられる。 

4.3.3 

パフォーマンス指標の記述 

4.3.3.1 

全般 

各指標は,4.3.3.2から4.3.3.9までに示すとおりに記述されなければならない。 

4.3.3.2 

名称 

各指標は,その内容を示す,固有の名称をもたなければならない。 

4.3.3.3 

目的 

各指標は,評価の対象とするサービス,活動又は資源の利用の点から記述された,明確な目的をもたな

ければならない。 

4.3.3.4 

指標の適用範囲 

各指標は,指標を適用できる館種について示さなければならない。 

指標の適用範囲として,指標が図書館間の比較に適切かどうかを示してもよいし,比較に関して制約が

あるかどうかを述べてもよい。また,指標の適用範囲として,指標を適用する上でのその他の制約を述べ

てもよい。 

注記 指標の適用範囲の記述に当たっては,指標の適用方法を示すために,条件,実例及び状況につ

いて述べてもよい。例えば,その指標は,貸出用コレクション又はレファレンス用コレクショ

ンといったコレクションの特定部分にだけ適用できる,図書館サービス及び活動の全体に対し

て適用できる,図書館サービスの一部分にだけ適用できる,主題間の相違を示すのに適用でき

る,サービス対象者の部分間での相違を示すのに適用できる,などである。 

4.3.3.5 

指標の定義 

各指標は,収集するデータ及び/又はそれらのデータ間に存在する関係の点から,一意に定義されなけ

ればならない。 

指標の定義の項で用いられる専門的な用語が,この規格の他の箇所で定義されていない場合には,その

用語の定義についても記述することが望ましい。また,方法の項で用いる用語についても同様とする。 

通常の意味で用いられる,曖昧でない用語については,定義しなくともよい。 

4.3.3.6 

方法 

収集するデータ及び実行する計算について,簡潔に述べなければならない。 

指標の値を決めるのに測定を繰り返す必要がある場合には,そのことを明示しなければならない。 

二つ以上の同等の方法がある場合には,すなわち,異なるデータ及び異なる計算方法で同じ指標を求め

ることができる場合には,そのことを述べてもよい。 

注記 全数を調べる場合と標本を調べる場合との二通り,直接測定する場合と別のデータから推定す

13 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

る場合との二通り,などである。 

二つ以上の方法を記述する場合,最も一般的に適用できるものを最初に述べなければならない。 

方法の記述に当たっては,一般的な統計学的方法,例えば,標本抽出の手順,標本の大きさ,信頼区間

の推定,統計的な検定などを述べてはならない。 

質問紙を用いる場合には,質問項目及び評価の得点についてだけを述べ,質問紙の全体的な設計の詳細

は含めない。 

方法の記述に当たっては,可能な限り,準備,データ収集及び結果の分析のために必要な労力を示さな

ければならない。 

4.3.3.7 

指標の解釈及び指標に影響を与える要因 

解釈の記述に当たっては,指標を用いた結果を解釈するのに必要な情報を述べてもよい。 

注記 指標が取り得る数値の範囲を述べるのと合わせて,最大値,最小値又は最も高く評価できる状

態を表す最適値について記述してもよい。 

解釈の記述に当たっては,季節変動又は1日のうちでの変動のような,予想される変動に関する情報に

ついて述べてもよい。また,現状分析の手段としての指標の利用を促進するために,測定結果に影響を与

える図書館内外の要因について述べてもよい。その場合,図書館のどのような活動によって,数値が望ま

しい方向に変化するかを理解できるように述べることが望ましい。 

4.3.3.8 

出典 

指標の出典資料を述べなければならない。この規格の中で規定する指標が,出典資料で述べられている

指標を修正したものであるかどうかを明示することが望ましい。 

指標の名称が出典資料とは異なる場合には,元の名称を出典資料の記述の後に( )に入れて記載する。 

出典の記述に当たっては,指標の使用,データの収集・分析の方法などについて,より詳細な情報を提

供する資料を参照してもよい。 

4.3.3.9 

関連指標(任意項目) 

必要に応じて,この規格中の指標と他の指標との関連について述べるのが望ましい。 

パフォーマンス指標の使用 

5.1 

全般的な考察 

5.1.1 

この規格で規定するパフォーマンス指標は,図書館の評価に効果的に利用できる。その過程におい

て,図書館のサービス,その他の活動についての品質及び有効性が,図書館資源の利用の効率性と合わせ

て,図書館の使命,目的及び目標に照らして評価される。 

5.1.2 

パフォーマンス指標は,系統的な図書館の計画立案及び評価に結び付けることが望ましい。さらに,

測定及び評価は,定期的に実施されることが望ましい。その結果は,意思決定の過程にとって有用である

ように,かつ,図書館がその使命を果たす方法が明確に分かるように,報告されることが望ましい。 

5.1.3 

パフォーマンス指標は,図書館の計画立案及び評価の手段として,第一義的には次の二つの目的を

もつ。 

a) 経営管理における制御を容易にする。 

b) 図書館職員,資金提供団体及び利用者の間での対話のための基盤を提供する。 

第二義的な目的は,同様の使命又は目標をもつ図書館と情報サービスとの間でのパフォーマンスの比較

分析に資することである。 

14 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

5.1.4 

近年,図書館は,このような目的で多様なパフォーマンス指標を用いている。幾つかの指標は,既

に広く用いられており,実践することが定着しつつある。また,近年,この分野のこれまでの研究成果を

統合しようとする試みがある。これらは,実践する機関間でのパフォーマンス指標の構成内容についての

合意,及びそれらを図書館の日常業務の中で実行していく方法についての合意の形成に寄与している。 

5.1.5 

図書館評価には新たな領域があり,今後もそれは出現すると考えられる。例えば,近年では,アウ

トカムに基づく評価(OBE)及び様々な状況下にある図書館の品質を多様な手順を用いて判断するための

新しい技法が見受けられる。これらの評価のための多くの取組は,図書館のコミュニティに対するサービ

スの価値,品質及びインパクトを実証する図書館の必要性と直結している。重要なのは,パフォーマンス

指標のためのこれらの評価方法を,継続的に見直し,分析し,この規格の将来の改正時に統合する可能性

を考慮することである。 

5.2 

パフォーマンス指標の選択 

5.2.1 

この規格で規定するパフォーマンス指標は,図書館にとって一般に最も有用と考えられるものであ

る。この規格は,異なる環境にあり,異なる利用者集団にサービスし,多様な独自性(組織構成,財源,

ガバナンスなど)をもち,かつ,図書館が提供できるサービス及び資源に影響を及ぼす多くの状況的要因

に作用される,多くの異なる種別の図書館が存在することを十分に配慮している。こうした多様性がある

以上,定着しているパフォーマンス指標の全てが,全ての図書館に対して有益とは限らないことを理解す

るのは非常に重要である。この規格で規定するパフォーマンス指標の一覧(附属書A)は,様々な環境の

図書館で利用可能なパフォーマンス指標の一つのメニューとして見るのが最もよい。 

5.2.2 

図書館は,利用者,その他の関係者だけでなく,地方公共団体及び国といった親機関並びに行政当

局と相談しながら,自分たちの状況に最も適切な指標を決める必要がある。この決定は,図書館の使命,

目的及び目標に照らしてなされなければならない。公立図書館における評価が公共政策の観点からなされ

るというのが,その例である。 

実際に用いるパフォーマンス指標の適切性について,全ての関係者が合意しているのが望ましい。 

5.2.3 

ある図書館にとって最も適切なパフォーマンス指標を決定し,データを収集・分析して,結果を経

営戦略に反映するには,担当する職員に一定のスキルが必要となる。図書館によっては,パフォーマンス

指標の導入に先立って,職員研修及び教育スキルの開発を実施することが重要かつ必要となる。 

5.2.4 

特定の図書館の環境で用いるパフォーマンス指標を選択する場合には,次の要因を考慮するのが望

ましい。 

a) その指標は,図書館の経営陣,資金提供団体及びサービス対象者の役に立つか。 

b) 特定の活動及び分野が,十分に機能していない可能性があることを図書館員が多少なりとも知ってい

るか。 

このことは,たとえ図書館員の直感にすぎない場合でも,問題が生じているかどうかを知るために

その指標を用いることの十分な理由となり得る。 

c) その指標の算出に必要なデータの収集・分析に,図書館職員がどの程度,労力を割くことができるか。 

パフォーマンス指標の算出には,職員の時間及び資源が必要になる。特定の指標の算出には,職員

の時間及び資源が十分にあることを要する場合もある。担当する職員は,一定の統計的な手続に関す

る実際的な知識をもっていることが必要となる。 

d) 外部機関が,図書館の特定のサービス領域に関するデータの報告を求めているか。 

その場合には,パフォーマンス指標を算出するときに同じデータを使うかどうかを決める必要があ

る。 

15 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

その図書館に固有の要因が,指標の選択に影響を与えることがある。図書館員は,その図書館の目的及

び目標に照らして,図書館運営を測定するのに最も有用なパフォーマンス指標を選択するよう努めなけれ

ばならない。 

5.3 

限界 

5.3.1 

パフォーマンス指標の数値の最適化 

パフォーマンス指標の使用者は,全ての指標で同時に最適な数値を得るのが不可能なことを認識するこ

とが望ましい。例えば,利用者の満足度が高くても,同時に利用者当たりの支出も大きくなる場合がある。

パフォーマンス指標の数値は,特定の指標についての数値の最適化の点からだけではなく,図書館が何を

達成しようとしているのかという点からも解釈されなければならない。 

5.3.2 

精度 

結果の解釈には十分な注意を払うのが望ましい。標本誤差,測定過程での主観的要素,又は時間若しく

は資源の不十分さのために精度が損なわれることもある(例 B.1.2.3,B.2.2.4の指標)。このことは,指

標の精度がそれほど高くないことも示している(例 B.2.2.1の指標)。 

注記 場合によっては,粗い推定で十分であり,それ以上の精度を求めることが無駄な労力となるこ

ともある。 

5.3.3 

利用者のスキルと図書館パフォーマンスとの関係 

図書館パフォーマンス指標は,ある程度,利用者の様々な図書館活用能力の差異の影響を受ける。例え

ば,ある図書館において資料の利用可能性に対する利用者の満足度が極端に低いとする。これは,幾つか

の可能性を示している。利用者がその図書館の資料の探し方について十分な知識をもっていないこともあ

れば,その図書館が要求を満たすだけの十分な資料をもっていない場合もある。このように,低い数値に

よって,より詳細な検討を要する問題領域が明らかになる。その検討から,図書館活動に関連した利用者

の知識・スキルを向上させる戦略が必要になる可能性もあれば,貸出期間の変更又は複本の購入によって

資料の利用可能性を高める必要が出てくることもある。 

5.3.4 

資源とサービスとの関係 

パフォーマンスが低い場合には,図書館サービスを改善するための資源の追加が必要であるように見え

るかもしれないが,必ずしもそうとは限らない。実際,図書館サービスの品質と資源との間には強い相関

関係がないこともある。図書館が異なれば,職員のスキルの程度,経営方法,資源の増加をはじめとする

その他の種々の要因が,様々な図書館でサービス品質の向上に異なる結果をもたらす可能性がある。 

5.3.5 

パフォーマンス指標の比較可能性 

図書館パフォーマンス指標の第一義的な目的は,自己評価である。これには,同じ図書館のある年と他

の年との比較を含めてもよい。第二義的な目的は,異なる図書館間での意味のある,かつ,有用な比較を

促進することである。パフォーマンス指標及びデータ収集の手順の標準化は,その作業を助けることにな

る。しかし,このような比較に当たっては,各図書館における,次の事項に常に配慮しなければならない。 

a) 使命,目的及び目標 

b) パフォーマンス指標の範囲内での,その図書館のパフォーマンス 

c) 資源 

d) 利用者集団 

e) ガバナンス構造 

f) 

業務手順 

異なる図書館間でパフォーマンス指標の値を比較する場合には,相当の注意を払い比較上の制約に関す

16 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

る十分な認識のもとに行うことが望ましい[4.2.2 f) 参照]。 

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17 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書A 

(規定) 

図書館パフォーマンス指標の一覧 

表A.1は,図書館で通常行われている又は提供されている,活動及びサービスをバランストスコアカー

ド アプローチに従って提示したものである。この規格で規定するパフォーマンス指標は,関連する活動又

はサービスごとに分類されている。表A.1にある各指標についての記述は,附属書Bで一覧できる。将来,

活動及び指標を容易に一覧に追加できるように,表示法に工夫を加えてある。 

注記 ここに掲げた以外に,図書館で実際に用いられているパフォーマンス指標は多数ある。 

表A.1−図書館で通常行われている又は提供されている活動及びサービスのための 

パフォーマンス指標一覧 

参照項目 

パフォーマンス指標 

記述/目的 

B.1 

資源・アクセス・基盤 

図書館の資源及びサービス(例 職員,所蔵タ
イトル,利用者用ワークステーション)の適合
度及び利用可能性を測定するパフォーマンス指
標 

B.1.1 

コレクション 

B.1.1.1 

要求タイトル利用可能性 

図書館が所蔵又は使用許諾契約し,かつ,利用
者によって実際に要求されたタイトルが,要求
された時点で,利用可能な程度を測定する。 

B.1.1.2 

要求タイトル所蔵率 

利用者が要求したタイトルを,図書館が所蔵し
ている程度を測定する。コレクションが利用者
の要求に適合しているかどうかを測定する。 

B.1.1.3 

主題目録検索成功率 

目録を使った利用者による主題探索に図書館が
対応している程度を測定する。ある主題に関す
る情報をどこでどのように見つけられるのかを
利用者に知らせるのに図書館が成功している程
度を測定する。 

B.1.1.4 

不受理セッションの割合 

それぞれの電子的データベースが利用者の要求
に見合う十分な使用許諾契約を得ているかどう
か(同時接続可能な利用者数が,利用者の要求
に適合しているかどうか)を確認する。 

B.1.2 

アクセス 

B.1.2.1 

配架の正確性 

図書館の目録にある資料が正しく書架に収めら
れている程度を測定する。 

B.1.2.2 

閉架書庫からの資料出納所要時間(中央値) 

書庫出納システムが効果的であるかどうかを測
定する。 

B.1.2.3 

図書館間貸出の迅速性 

完了した図書館間貸出又は文献配送処理におけ
る,依頼から資料が送付されるまでの時間を測
定する。 

B.1.2.4 

図書館間貸出の充足率 

図書館間貸出及び文献配送の依頼に対する充足
度を測定する。 

B.1.3 

施設 

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18 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表A.1−図書館で通常行われている又は提供されている活動及びサービスのための 

パフォーマンス指標一覧(続き) 

参照項目 

パフォーマンス指標 

記述/目的 

B.1.3.1 

人口当たり利用者用ワークステーション数 

図書館が提供しているワークステーションのサ
ービス対象者数1 000人当たりの利用可能性を
測定する。 

B.1.3.2 

人口当たりワークステーション利用可能時間 

年間のワークステーション利用可能時間の平均
値を計算することによって,サービス対象者数
に対するワークステーションの利用可能性を測
定する。 

B.1.3.3 

人口当たり利用者用領域の面積 

学習・集会の場,及びラーニングセンタとして
の図書館の重要性を測定する。それらの任務を
設置機関・団体が支援しているかどうかを測定
する。 

B.1.3.4 

人口当たり座席数 

図書館内で閲覧,学習,その他の作業をするた
めに,サービス対象者数1 000人当たりに提供し
ている座席数を測定する。 

B.1.3.5 

開館時間と利用者ニーズとの一致度 

開館時間がどの程度利用者の要求に対応してい
るかを測定する。 

B.1.4 

職員 

B.1.4.1 

人口当たり職員数 

サービス対象者数1 000人当たりの図書館職員
数を測定する。サービス対象者数は,実施され
るべき業務量に比例すると考えることができ
る。 

B.2 

利用 

図書館資源及びサービス(例 図書館資料貸出,
電子的資源のダウンロード,施設利用)の利用
量を測定するパフォーマンス指標 

B.2.1 

コレクション 

B.2.1.1 

蔵書回転率 

貸出用コレクションの全体的な利用率を測定す
る。この指標は,サービス対象者の要求にコレ
クションが適合しているかどうかを測るために
使用できる。 

B.2.1.2 

人口当たり貸出数 

サービス対象者による図書館コレクションの利
用率を測定する。コレクションの品質及び図書
館コレクションの利用を促進する能力を測るの
に使用してもよい。 

B.2.1.3 

利用されない資料の所蔵率 

一定期間に全く利用されなかった所蔵資料の量
を測定する。コレクションがサービス対象者の
要求に合っているかを測定するために使用して
もよい。 

B.2.1.4 

人口当たりダウンロードされたコンテンツ単位
数 

利用者が,求める情報を,電子的資源の中から
得ているかどうかを測定する。 

B.2.1.5 

人口当たり館内利用数 

図書館内での資料の利用を測定する。 

B.2.2 

アクセス 

B.2.2.1 

人口当たり来館回数 

図書館サービス全体について利用者を引きつけ
た程度を測定する。 

B.2.2.2 

情報要求サービスにおける電子的手段による申
込割合 

質問の申込み時における,電子メール,デジタ
ルレファレンスなどの電子的なコミュニケーシ
ョン手段による利用を確認する。 

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19 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表A.1−図書館で通常行われている又は提供されている活動及びサービスのための 

パフォーマンス指標一覧(続き) 

参照項目 

パフォーマンス指標 

記述/目的 

B.2.2.3 

外部利用者の割合 

図書館のサービス対象者に含まれない利用者の
百分率を測定する。また,その地域(リージョ
ン)における学習及び文化に関する図書館の重
要性を測定する。加えて,サービス対象領域外
への図書館のインパクト及び誘因力を推定す
る。 

B.2.2.4 

外部利用者による貸出率 

図書館の貸出サービスが外部利用者に利用され
ている程度を測定する。サービス対象者以外の
利用者にとっての図書館コレクションの誘因力
を示す。 

B.2.2.5 

人口当たり図書館の催物参加者数 

図書館のサービス対象者に対する催物の誘因力
の度合いを推定する。 

B.2.2.6 

人口当たり利用者教育参加者数 

図書館サービスに関する教育の提供を通じて,
利用者に対する図書館サービスの到達度を測定
する。 

B.2.3 

施設 

B.2.3.1 

利用者用座席占有率 

ある時点での利用中の座席の比率を推計するこ
とによって,図書館内での閲覧及び作業のため
に提供されている座席の全体的な利用率を測定
する。 

B.2.3.2 

ワークステーション利用率 

特定の時点でのワークステーションの利用割合
を推定することによって,ワークステーション
の総利用率を測定する。 

B.2.4 

全般 

B.2.4.1 

ターゲット集団の利用率 

ターゲット集団における図書館サービスの到達
度を測定する。 

B.2.4.2 

利用者満足度 

利用者が,図書館のサービス全体又は個々のサ
ービスに満足している程度を測定する。 

B.3 

効率性 

資源及びサービスの効率性(例 貸出当たり費
用,電子的資源のセッション又はダウンロード,
資料の受入又は整理にかかる時間,正答率)を
測定するパフォーマンス指標 

B.3.1 

コレクション 

B.3.1.1 

貸出当たり費用 

貸出数との関連から,図書館サービスの費用を
測定する。 

B.3.1.2 

データベースセッション当たり費用 

セッション数との関連から,データベースの費
用を測定する。 

B.3.1.3 

ダウンロードされたコンテンツ単位当たり費用 

ダウンロードされたコンテンツ単位数との関連
から,電子的資源の費用を測定する。 

B.3.1.4 

来館当たり費用 

図書館への来館回数との関連から,図書館サー
ビスの費用を測定する。 

B.3.2 

アクセス 

B.3.2.1 

資料の受入に要する期間(中央値) 

図書館資料の供給者が,納入の迅速性の点で有
効である程度を測定する。 

B.3.2.2 

整理に要する期間(中央値) 

様々な整理手順が,迅速性という点で有効かど
うかを測定する。 

B.3.3 

職員 

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20 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表A.1−図書館で通常行われている又は提供されている活動及びサービスのための 

パフォーマンス指標一覧(続き) 

参照項目 

パフォーマンス指標 

記述/目的 

B.3.3.1 

職員の利用者サービス従事率 

サービス提供業務に図書館が費やす労力の程度
を,後方支援業務との関連から測定する。 

B.3.3.2 

正答率 

職員が,よいレファレンスサービスであるため
の第一の要件(すなわち,質問に対して,正し
い回答を提供すること)を満たすことができる
程度を測定する。 

B.3.3.3 

職員人件費に対する資料購入費の割合 

資料購入費を職員人件費と関連付けることで,
図書館が,収入をコレクションに適切に投資し
ているかどうかを測定する。 

B.3.3.4 

資料整理における職員の生産性 

特定の期間(通常1年間)における,受入資料
(印刷資料及び電子資料)の職員当たり平均整
理件数を測定する。この指標は,職員の生産性
を典型的に明らかにする。 

B.3.4 

全般 

B.3.4.1 

利用者当たり費用 

利用者数との関連から,図書館サービスの費用
を測定する。 

B.4 

発展可能性 

図書館の,新規のサービス・資源領域への投入
量,及び発展のための資金獲得能力を測定する
パフォーマンス指標(例 電子的資源にかかる
費用の割合,職員の公式研修参加費の割合) 

B.4.1 

コレクション 

B.4.1.1 

電子的コレクション提供にかかる経費の割合 

図書館が電子的コレクションの構築に取り組ん
でいる程度を測定する。 

B.4.2 

職員 

B.4.2.1 

電子的サービスに従事している職員の割合 

図書館が電子的サービスに対する技術的支援に
投入している人的資源の程度を測定する。 

B.4.2.2 

職員当たり公式研修参加時間数 

公式研修に参加することによる,図書館職員の
スキルの向上を測定する。 

B.4.3 

全般 

B.4.3.1 

特別助成金又は創出収入によって得た資金の割
合 

図書館が追加的な財源を獲得できた程度を測定
する。 

B.4.3.2 

図書館向けに措置される機関の資金の割合 

資金提供団体における(通貨単位で表した)図
書館の重要性,及び資金提供団体からの支援を
測定する。 

21 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書B 

(規定) 

パフォーマンス指標の記述一覧 

この附属書で示されるパフォーマンス指標の一覧は,表A.1を参照。 

B.1 

資源・アクセス・基盤 

B.1.1 コレクション 

B.1.1.1 要求タイトル利用可能性(Required Titles Availability) 

B.1.1.1.1 目的 

図書館が所蔵又は使用許諾契約し,かつ,利用者によって実際に要求されたタイトルが,要求された時

点で,利用可能な程度を測定する。 

B.1.1.1.2 指標の適用範囲 

全ての図書館。レファレンス用コレクションと貸出用コレクションとは,分けて測定するのが望ましい。 

特定のコレクション,主題分野,分館又は期間に対して用いてよい。図書館内のそれぞれの領域間で,

この指標の結果を比較して,利用可能性に著しい相違があるかどうかを調べてもよい。 

同じ方法で指標を算出する場合には,同様の使命をもつ図書館間の比較に用いてもよい。 

B.1.1.1.3 指標の定義 

一人以上の利用者が要求した図書館が所蔵するタイトルのうち,印刷形態又は電子形態で即時に利用可

能なものの百分率。 

この指標において,“利用可能”とは,貸出,館内利用,又はダウンロードによって,利用者がそのタイ

トルをその時点で1点以上利用できることを指す。閉架書庫から出納するタイトルも利用可能なものとし

て数える。 

目録,分類,製本,再配架などの作業のために書架にないタイトル,及び盗難,誤配架などのために見

つからないタイトルは,利用可能なものとしては数えず,タイトル総数にだけ含める。また,電子的コレ

クションの一部で,同時利用制限,システムダウンなどで要求時にアクセスできないタイトルは,利用可

能なものとしては数えず,タイトル総数にだけ含める。 

この指標における“タイトル”として,雑誌,図書,電子ジャーナル又は電子図書,及び,その他の目

録登録した資料又は資源中の個々の論文を含めてもよい。その場合には,タイトル総数にもその数を加え

なければならない。また,何を加えたかを場合ごとに明示しなければならない。 

B.1.1.1.4 方法 

印刷形態及び電子形態で図書館が所蔵又は使用許諾契約し,かつ,一人以上の利用者が要求したタイト

ルから無作為標本を抽出する。標本中のそれぞれのタイトルについて,利用可能かどうかを記録する。粗

く測定する場合には,図書館の記録だけを調べる。より正確に測定する場合には,現物も確認する。 

要求タイトル利用可能性(IRTA)は,次の式による。 

IRTA=A/B×100 

ここに, 

A: 標本中の利用可能な要求タイトル数 

B: 標本中の要求タイトル総数 

小数点以下は,四捨五入する。 

22 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

次に示す方法で要求タイトルの無作為標本を抽出してもよい。 

a) 利用者を無作為抽出した上で,印刷形態及び電子形態の図書館コレクションのうち探しているタイト

ルを質問し,そこから図書館が所蔵又は使用許諾契約していないものを除く。主題による探索ではな

く,特定のタイトルに対する探索だけを対象とする。同一タイトルの重複は,標本から除く。真に無

作為な標本にするためには,一人の利用者につき要求する全てのタイトルを集めるか,又は一人の利

用者につきタイトルを1件だけ無作為に集めるかしなればならない。 

b) 実際の貸出手続,遠隔の書庫への出納要求,予約,及び館内利用の記録から,無作為標本を抽出する。

同一タイトルの重複は,標本から除く。 

注記 この方法の場合には,利用者に負担をかけないが,貸出手続の処理が済んで,既に入手され

た要求タイトルだけが結果に反映されるのにすぎない。ただし,調査の目的によっては,こ

の方法でも十分な結果が得られる。 

季節変動などの著しい変動がある図書館では,より正確な指標を得るために,特定期間に要求タイトル

利用可能性を繰り返し測定し,その平均値を計算してもよい。 

レファレンス用コレクションと貸出用コレクションとが混在している場合には,レファレンス用コレク

ションは,計算から除くのが望ましい。 

B.1.1.1.5 指標の解釈及び指標に影響を与える要因 

この指標は,0〜100の整数とする。この指標は,無作為に抽出された,図書館が所蔵又は使用許諾契約

し,かつ,利用者が要求したタイトルが利用可能である確率を推定したものである。値が高いほど,利用

可能性が高いことを意味する。 

図書館によっては,著しい季節変動が予想される。1週間のうち,又は1日のうちでの変動も予想され

る。 

この指標は,幾つかの要因に影響される。重要なものを次に示す。 

− それぞれのタイトルの複本数,特に,利用の多いタイトルの複本数 

− 利用者の要求に対応した蔵書構成 

− その図書館の通常の貸出期間,利用の多いタイトルの特別な貸出期間,及び同時に借りられる資料数 

− 算出時に電子形態で利用可能なタイトル数 

この値は,副次的な要因による影響も受ける。例えば,製本その他の作業のために書架から持ち出され

ているタイトルの数,再配架の迅速性などである。 

B.1.1.1.6 出典 

詳細は,次の参考文献を参照。 

− [18] p. 300 

− [24] pp. 84-89[“Availability(利用可能性)”] 

− [29] pp. 60-71[“Materials Availability(資料の利用可能性)”] 

B.1.1.1.7 関連指標 

要求タイトル所蔵率(B.1.1.2)を参照。 

B.1.1.2 要求タイトル所蔵率(Percentage of Required Titles in the Collection) 

B.1.1.2.1 目的 

利用者が要求したタイトルを,図書館が所蔵している程度を測定する。コレクションが利用者の要求に

適合しているかどうかを測定する。 

B.1.1.2.2 指標の適用範囲 

23 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

全ての図書館。 

特定のコレクション,主題分野,分館又は期間に対して用いてよい。図書館内のそれぞれの領域間で,

この指標の結果を比較して,利用可能性に著しい相違があるかどうかを調べてもよい。 

同様の使命をもつ図書館間の比較に用いてもよい。 

B.1.1.2.3 指標の定義 

一人以上の利用者が要求したタイトルのうち,既に図書館が所蔵していたタイトルの百分率。 

調査の時点よりも前に出版され,図書館による発注も済んでいるが,納品されてはいないタイトルは,

所蔵されたタイトルとして数える。 

この指標における“タイトル”として,雑誌又は図書中の個々の論文を含めてもよい。その場合には,

タイトル総数にもその数を加えなければならない。また,何を加えたかを場合ごとに明示しなければなら

ない。 

B.1.1.2.4 方法 

図書館内で資料を探している利用者にそのタイトルを質問し,一人以上の利用者が要求したタイトルか

ら無作為標本を抽出する。主題による探索ではなく,特定のタイトルに対する探索だけを標本とする。 

注記 この方法では,一人の利用者につき,タイトルを1件だけ集めるようにしない限り,真に無作

為な標本にはならない。ただし,多くの場合,利用者が挙げたタイトル全てを用いても十分な

結果が得られる。 

標本中のそれぞれのタイトルについて,図書館がそれを所蔵しているかを記録する。 

要求タイトル所蔵率(IRTC)は,次の式による。 

IRTC=A/B×100 

ここに, 

A: 標本中の要求タイトルのうち,図書館が所蔵していた

タイトルの数 

B: 標本中の要求タイトルの総数 

小数点以下は,四捨五入する。 

B.1.1.2.5 指標の解釈及び指標に影響を与える要因 

この指標は,0〜100の整数とする。この指標は,無作為に抽出された,利用者の要求タイトルが,図書

館コレクション中に存在する確率を推定したものである。値が高いほど,コレクションが利用者の要求に

適合していることを意味する。 

注記 値が低い場合には,コレクションが利用者の要求に適合していないだけでなく,利用者が図書

館の取り扱う主題について間違った認識をしている可能性がある。これは,図書館の利用促進

活動で取り組むべき問題になると考えられる。 

期待される結果は,館種(例 専門図書館か総合図書館か,大学図書館か公共図書館か,など)によっ

て異なる。 

B.1.1.2.6 出典 

詳細は,次の参考文献を参照。 

[24] pp. 84-89[“Acquisition Rate(資料収集割合)”又は“Ratio of Acquired Items to Sought Items(要求資

料に対する資料収集割合)”という名称で“Availability(利用可能性)”の箇所にある。] 

B.1.1.2.7 関連指標 

要求タイトル利用可能性(B.1.1.1)を参照。 

B.1.1.3 主題目録探索成功率(Subject Catalogue Search Success Rate) 

24 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

B.1.1.3.1 目的 

目録を使った利用者による主題探索に図書館が対応している程度を測定する。ある主題に関する情報を

どこでどのように見つけられるのかを利用者に知らせるのに図書館が成功している程度を測定する。 

B.1.1.3.2 指標の適用範囲 

件名目録又は分類目録をもつ,全ての図書館。 

図書館間の比較をする場合には,同一の目録規則が採用され,目録形態(通常はオンライン目録)が同

じでなければならない。 

注記 キーワード又は件名での検索が可能なオンライン目録は,件名目録と同じものとする。 

B.1.1.3.3 指標の定義 

目録に含まれる,利用者の主題に合致するタイトルのうち,利用者によって見つけられたものの百分率。 

B.1.1.3.4 方法 

B.1.1.3.4.1 

特定の主題について目録を探索している利用者に,次の項目からなる質問紙への回答を依頼する。 

a) 探している主題の簡単な説明。 

b) 調べてみた件名標目及び/又は分類記号。 

c) 適合していると考えるタイトルに付与されている件名標目及び/又は分類記号。 

d) 利用者の状態(任意)。 

利用者の求める主題を明確にするためには,質問紙への記入が終わった後,利用者へ口頭での質問を加

える必要がある。利用者は上位語又は上位(一般)分類レベルから探索を開始する傾向がある。口頭での

質問は利用者の求める主題を明確にする一助となる。その主題に合致する件名標目及び/又は分類記号が

全て使用されたかどうか確認するために,図書館職員が再度,主題探索を実行する。利用者が回答した主

題よりも上位又は下位の件名標目は,除外する。利用者が適合していると判断した件名標目及び/又は分

類記号が付与されている,全てのタイトルを数える。 

B.1.1.3.4.2 

利用者の主題探索手順は,トランザクションログによって分析することもできる。この方法を使う場合,

データ保護に関する権利を考慮しなければならない。特定の状況下で,トランザクションログは,個々の

探索の追跡,及び,最終的に貸出要求されたタイトル又はダウンロードされた電子的資源の特定を可能に

する。この方法によって,探索中の手順及び失敗について有用な情報が得られる可能性がある。 

さらに,対面調査又はオンライン調査にかかわらず,口頭での質問は,利用者の求める主題を明確にす

るために必要となる。その主題に合致する件名標目及び/又は分類記号が全て使用されたかどうか確認す

るために,図書館職員が再度,主題探索を実行する。利用者が回答した主題よりも上位又は下位の件名標

目は,除外する。利用者が適合していると判断した件名標目及び/又は分類記号が付与されている,全て

のタイトルを数える。 

B.1.1.3.4.3 

B.1.1.3.4.1及びB.1.1.3.4.2の方法で求める主題目録探索成功率(ISSSR)は,次の式による。 

ISSSR=A/B×100 

ここに, 

A: 利用者の主題に合致するタイトルのうち,利用者によって

見つけられたものの数 

B: 利用者の主題に合致するタイトルのうち,実際に目録に件

名標目又は分類記号が付与されていたものの数 

25 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

小数点以下は,四捨五入する。 

B.1.1.3.5 指標の解釈及び指標に影響を与える要因 

この指標は,0〜100の整数とする。 

成功率は,利用者の能力の水準に影響される。低い成功率は,利用者向け情報における失敗,又はOPAC

(オンライン閲覧目録)の利用者インタフェース若しくは検索システムにおける失敗を指摘している。ま

た,件名目録の規則が利用者の探索の方法に合っていないことを示している可能性がある。 

考えられる対策は次のとおり。 

− ヘルプ画面の改善。 

− 利用者教育における,目録に関する専門的情報の提供。 

− 参照又は件名標目の追加。 

− 可能ならば目録規則の変更。 

質問紙で利用者属性の記入を求めるとき,あるターゲット集団に限定した測定が可能になる。図書館に

多数の新規利用者が来る時期など,季節的な変動が存在する可能性がある。あるタイトルが利用者の求め

る主題に合致するかどうかの判断は,職員のコミュニケーションスキル又は探索スキルの影響を受ける。 

B.1.1.3.6 出典 

詳細は,次の参考文献を参照。 

− [24] pp. 73-76[“Subject Search(主題探索)”] 

− [21] pp. 181-206 

B.1.1.4 不受理セッションの割合(Percentage of Rejected Sessions) 

B.1.1.4.1 目的 

それぞれの電子的データベースが利用者の要求に見合う十分な使用許諾契約を得ているかどうか(同時

接続可能な利用者数が,利用者の要求に適合しているかどうか)を確認する。 

B.1.1.4.2 指標の適用範囲 

電子的データベースを使用許諾契約している全ての図書館。 

B.1.1.4.3 指標の定義 

特定期間における,使用許諾契約したそれぞれのデータベースへのアクセスを試みた全てのセッション

のうち,不受理セッションの百分率。 

図書館職員によるセッション及び利用者教育のためのセッションは含めるのが望ましい。 

パスワード又は利用者IDを誤って失敗となったセッションは含まれない(2.37参照)。 

B.1.1.4.4 方法 

特定期間において,あるデータベースでアクセスを試みたセッション総数,及び,同時接続可能な利用

者の上限を超えたたため,データベースへの接続に成功しなかったもの(不受理セッション)の数を数え

る。 

不受理セッションの割合(IRS)は,次の式による。 

IRS=A/B×100 

ここに, 

A: 特定期間における,使用許諾契約したあるデータベー

スの不受理セッション数 

B: 同期間における,その電子的データベースのアクセス

成功セッション及び不受理セッションの総数 

小数点以下は,四捨五入する。ただし,10未満の場合は,小数点以下第1位まで求める。 

26 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

B.1.1.4.5 指標の解釈及び指標に影響を与える要因 

この指標は,0〜100の整数とする。値が高いほど,使用許諾契約で定められた同時接続可能な利用者数

が利用者の要求に適合していないことを意味する。 

この指標は,データベースごとに算出するのが望ましい。全てのデータベースを対象に包括的な数値を

算出しても意味はない。 

B.1.1.4.6 出典 

詳細は,次の参考文献を参照。 

[3](PI 10) 

B.1.1.4.7 関連指標 

要求タイトル利用可能性(B.1.1.1)を参照。 

B.1.2 アクセス 

B.1.2.1 配架の正確性(Shelving Accuracy) 

B.1.2.1.1 目的 

図書館の目録にある資料が正しく書架に収められている程度を測定する。 

B.1.2.1.2 指標の適用範囲 

全ての図書館。 

特定のコレクション,主題分野又は分館に対して用いてよい。図書館内のそれぞれの領域間で,この指

標の結果を比較して,正確性の比率に著しい相違があるかどうかを調べてもよい。 

書庫の収容力及び利用頻度の相違を考慮する場合には,図書館間で比較してもよい。 

B.1.2.1.3 指標の定義 

図書館の目録にある資料のうち,調査時点で書架に正しく収められているものの百分率。 

図書館の記録によって書架にない理由が説明できる(例 貸出中,製本中,修理中又は所在不明として

記録がある。)資料は,標本から除く。 

B.1.2.1.4 方法 

B.1.2.1.4.1 

書架目録を使って無作為抽出した書架について調べる。書架目録にあるそれぞれの資料について,書架

に正しく配架されているかどうかを記録する。書架にない全ての資料については,その理由が図書館の記

録にあるかどうか調べる。 

開架書架については,館内利用されている資料も調査に含めるため,開館時間外に調べるのがよい。配

架待ちの資料は,数える前に配架しておくことが望ましい。 

配架の正確性(ISA1)は,次の式による。 

ISA1=A/B×100 

ここに, 

A: 正しく配架されていた資料数 

B: 標本の総資料数(図書館の記録から書架にない理由

が分かった資料は除く。) 

小数点以下は,四捨五入する。 

注記 図書館が記録していない場合には,誤配架された資料だけでなく,盗難された資料も書架にな

い資料に含める。これは,早い段階で紛失に気付くよう頻繁に書架整頓を行うことが,正確な

配架につな(繋)がると考えられるからである。 

B.1.2.1.4.2 

27 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

無作為抽出した,コレクションの書架について調べる。標本となった,それぞれの書架に配架されてい

る資料数を数える。正しい位置から離れている程度を問わず,間違って配架されている資料を全て記録す

る。開架書架については,館内利用されている資料も調査に含めるため,開館時間外に調べるのがよい。 

配架の正確性(ISA2)は,次の式による。 

ISA2=(A−B)/A×100 

ここに, 

A: 調査時点で書架にあった資料数 

B: 間違って配架されていた資料数 

小数点以下は,四捨五入する。 

注記 推定値としては,より簡単なB.1.2.1.4.1の方法を用いることで十分である。 

B.1.2.1.5 指標の解釈及び指標に影響を与える要因 

この指標は,0〜100の整数とする。値が高いほど,配架の正確性が高いことを意味する。 

この指標は,幾つかの要因に影響される。重要なものを,次に示す。 

− 書架整頓の頻度 

− 再配架の迅速性 

この指標は,分類その他の書架所在システムが利用者にとって分かりにくく利用しにくい可能性,又は

セキュリティシステムの必要性を示している。 

コレクションの一部が閉架書架,一部が開架書架にあるなど,配架場所によって利用状況が異なる図書

館では,配架の正確性は,コレクションの異なる配架場所ごとに分けて測定することが望ましい。開架資

料及び利用頻度の高い資料は,他よりも誤配架されやすい。 

B.1.2.1.6 出典 

詳細は,次の参考文献を参照。 

[15] pp. 129-146[“shelf availability(書架の利用可能性)”として,利用可能性の調査に関する文脈の中に

ある。] 

B.1.2.1.7 関連指標 

要求タイトル利用可能性(B.1.1.1)を参照。 

B.1.2.2 閉架書庫からの資料出納所要時間(中央値)

(Median Time of Document Retrieval from Closed Stacks) 

B.1.2.2.1 目的 

書庫出納システムが効果的であるかどうかを測定する。 

B.1.2.2.2 指標の適用範囲 

閉架資料をもつ,全ての図書館。 

建物又は運搬に関することなど,その図書館固有の状況を考慮する場合には,図書館間で比較してもよ

い。 

B.1.2.2.3 指標の定義 

閉架書庫に配架されている資料が請求されてから,それが利用者に利用可能になるまでに要した時間の

中央値。 

B.1.2.2.4 方法 

図書館の閉架書庫にあり,かつ,利用者に請求された資料から無作為標本を抽出する。 

請求ごとに,請求された日付及び時刻並びに利用者に提供可能となった時刻を記録する。終了時刻から

開始時刻を引く。分単位又は時間単位,いずれか適切な方で表す。 

閉架書庫からの資料出納所要時間(中央値)は,出納に要した時間の昇順に請求を並べることによって

28 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

得られる。この並びの中央に位置する時間をこの指標の値とする。調査した請求の数が偶数の場合には,

中央の二つの時間を平均したものを中央値とし,分単位に四捨五入する。 

標本は,次の二通りの方法で抽出してもよい。 

a) 貸出中でない,図書館の所蔵タイトルから標本を抽出する。調査期間中に,無作為に決めた時刻に調

査者又はその代理人が請求し,その資料が手渡されるまでの時間を記録する。 

b) 利用者からの実際の請求のうち,利用者に提供されたものを標本とする。この方法は,請求された日

付及び時刻を通常の作業手順の中で記録することを前提とする。 

注記 提供できなかった請求は,終了時刻を記入できないので計算から除外する。 

B.1.2.2.5 指標の解釈及び指標に影響を与える要因 

この指標は,上限のない実数とする。指標は,分,又は時間・分で表す。 

出納時間が短いことはよいとされる。ただし,出納時間は,混雑するときの請求件数に影響される。 

B.1.2.2.6 出典 

詳細は,次の参考文献を参照。 

− [25] pp. 202-205[“Lending Speed(貸出のスピード)”] 

− [30] pp. 112-113,F94,F96,F97,F98項 

B.1.2.2.7 関連指標 

図書館間貸出の迅速性(B.1.2.3)を参照。 

B.1.2.3 図書館間貸出の迅速性(Speed of Interlibrary Lending) 

B.1.2.3.1 目的 

完了した図書館間貸出又は文献配送処理における,依頼から資料が送付されるまでの時間を測定する。 

B.1.2.3.2 指標の適用範囲 

図書館間貸出及び文献配送サービスを行っている,全ての図書館。 

図書館ではない外部機関への図書館間貸出を含む。 

文献配送を含む。 

B.1.2.3.3 指標の定義 

図書館職員が図書館間貸出又は文献配送の処理を完了するのに要した時間。 

ある依頼における処理完了とは,貸出館が依頼館に資料を送付した時点とする。 

所要時間は,図書館の業務時間(図書館が開館している時間。週末,祝日ほか図書館が閉館している時

間は除外する。)で計算する。 

図書館間貸出及び文献配送の依頼とは,ある図書館からその管理運営外の図書館への貸出又は恒久的な

配送の全てをいう。 

受付日時は,貸出館が依頼を受理した日時である。 

送付日時は,貸出館が要求された資料を依頼館に送付した日時である。 

B.1.2.3.4 方法 

図書館間貸出の迅速性(ISIL)は,次の式による。 

ISIL=A/B 

ここに, 

A: 特定の図書館間貸出及び文献配送を処理するのに要した

時間の総数 

B: Aに含まれる図書館間貸出及び文献配送の件数 

図書館が閉館している日は除外する。時間単位に四捨五入する。 

29 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

標本調査することもできる。その場合,標準的な週を選択するのが望ましい。“標準的な週”とは,忙し

すぎず,業務量が少なすぎない週のことをいう。祝日・休日の期間,地域又は図書館で特別の行事が催さ

れる時期を避ける。図書館が通常どおり開館している週を選ぶ。 

“全数調査”を行う場合は,結果分析における職員の負荷を減らすために,月ごとにデータを集計する。 

B.1.2.3.5 指標の解釈及び指標に影響を与える要因 

この指標は,上限のない実数とする。 

通常,低い値がよいとされる。この指標は,図書館の作業手順が効率的に組み立てられているかどうか

を示す。 

この指標は,内部的な条件の影響を受ける。職員配置,コレクション規模,及び図書館が業務を行わな

い日数は,この値に大いに影響を与える。 

この指標は,図書館の使命及び目標に照らして解釈されなければならない。 

B.1.2.3.6 出典 

詳細は,次の参考文献を参照。 

[11](4.3) 

B.1.2.3.7 関連指標 

図書館間貸出の充足率(B.1.2.4)及び閉架書庫からの資料出納所要時間(中央値)(B.1.2.2)を参照。 

B.1.2.4 図書館間貸出の充足率(Percentage of Successful Interlibrary Loans) 

B.1.2.4.1 目的 

図書館間貸出及び文献配送の依頼に対する充足度を測定する。 

B.1.2.4.2 指標の適用範囲 

図書館間貸出及び文献配送サービスを行っている,全ての図書館。 

図書館ではない外部機関への図書館間貸出を含む。 

文献配送を含む。 

同じ管理運営下にある図書館内での資源共有は除外する。 

B.1.2.4.3 指標の定義 

ある図書館からその管理運営外の図書館への貸出又は恒久的な文献配送として処理された全ての依頼の

うち,充足した図書館間貸出及び文献配送処理の百分率。 

図書館間貸出及び文献配送の処理は,貸出館が依頼館に資料を送付したときに完了する。 

全ての資料送付方法を含む(例 ファクシミリ,電子画像,PDF,郵送又はその他の配送サービス)。 

B.1.2.4.4 方法 

図書館間貸出の充足率(ISUIL)は,次の式による。 

ISUIL=A/B×100 

ここに, 

A: 完了した図書館間貸出及び文献配送処理の数 

B: 図書館間貸出及び文献配送の依頼の総数 

小数点以下は,四捨五入する。 

データの収集は,図書館間貸出に責任をもつ部署で行う。 

全ての依頼数及び完了した図書館間貸出の処理数が必要である。 

図書館間貸出及び文献配送の依頼数及び完了数を自動で把握できる方法をもつ図書館においては,指標

の算出にかかる労力は少ない。 

標本調査することもできる。その場合,標準的な週を選択するのが望ましい。“標準的な週”とは,忙し

30 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

すぎず,業務量が少なすぎない週のことをいう。祝日・休日の期間,地域又は図書館で特別の行事が催さ

れる時期を避ける。図書館が通常どおり開館している週を選ぶ。 

B.1.2.4.5 指標の解釈及び指標に影響を与える要因 

この指標は,0〜100の整数とする。 

通常,高い値がよいとされる。図書館コレクションの品質の指標であり,図書館コミュニティにおける

図書館の重要性を示す。 

この指標は,データ集計時に貸出中又は貸出不可である資料の割合の多さに影響される。 

値が低い場合,他の図書館が,依頼先の図書館がカバーしている主題について誤った認識をもっている

可能性がある。 

この指標は,図書館の使命及び目標に照らして解釈されなければならない。 

B.1.2.4.6 出典 

詳細は,次の参考文献を参照。 

[11](3.0) 

B.1.2.4.7 関連指標 

図書館間貸出の迅速性(B.1.2.3)を参照。 

B.1.3 施設 

B.1.3.1 人口当たり利用者用ワークステーション数(Public Access Workstations per Capita) 

B.1.3.1.1 目的 

図書館が提供しているワークステーションのサービス対象者数1 000人当たりの利用可能性を測定する。 

B.1.3.1.2 指標の適用範囲 

サービス対象者が明確な全ての図書館。 

図書館の使命及び利用者の相違が考慮され,かつ,同タイプのワークステーション(例 インターネッ

トアクセス,スタンドアロン,CD-ROM,オンライン目録)が定義されている場合は,図書館間で比較し

てもよい。 

ネットワークにつながったワークステーションと,つながっていないワークステーションとを分けて算

出してもよい。 

B.1.3.1.3 指標の定義 

サービス対象者数1 000人当たりの利用者が利用可能なワークステーションの数。 

職員が使用するために設置されたワークステーションは除外する。インターネットに接続されたワーク

ステーションは,分けて算出してもよい。 

B.1.3.1.4 方法 

図書館内で利用者に提供されているワークステーションの数を数える。 

人口当たり利用者用ワークステーション数(IPAWC)は,次の式による。 

IPAWC=A/B×1 000 

ここに, 

A: 利用者用ワークステーションの数 

B: サービス対象者数 

小数点以下は,四捨五入する。 

B.1.3.1.5 指標の解釈及び指標に影響を与える要因 

この指標は,上限のない整数とする。高い値は低い値よりもよいとされる。サービス対象者に対する資

源の提供状況を測定する。 

31 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

設置機関の別の場所に利用可能なワークステーションがある場合,その数が,この指標の解釈に大きく

影響する。 

図書館サービスにアクセスできるワークステーションが図書館外で広く利用可能となっている場合,又

は図書館が無線によるインターネットサービスを利用可能としている場合は,この指標の値が低くとも,

あまり問題ではない可能性がある。 

B.1.3.1.6 出典 

詳細は,次の参考文献を参照。 

− [2] p. 28[“Public access internet workstation in proportion to the legal serviec area population(法定サービス

区域内の人口に対する,アクセス可能なインターネットワークステーションの割合)”] 

− [5] p. 12[“Total number of electronic workstations available to users per thousand population(利用者1 000

人当たりの電子的ワークステーション利用可能数)”] 

− [10] p. 70[“Number of students to a student workstation(学生用ワークステーションに対する学生数)”] 

B.1.3.1.7 関連指標 

人口当たりワークステーション利用可能時間(B.1.3.2)及びワークステーション利用率(B.2.3.2)を参

照。 

B.1.3.2 人口当たりワークステーション利用可能時間(Workstation Hours Available per Capita) 

B.1.3.2.1 目的 

年間のワークステーション利用可能時間の平均値を計算することによって,サービス対象者数に対する

ワークステーションの利用可能性を測定する。 

B.1.3.2.2 指標の適用範囲 

サービス対象者が明確な全ての図書館。図書館の使命及び利用者の相違が考慮される場合には,図書館

間で比較してもよい。それぞれの図書館で,ネットワークにつながったワークステーションと,つながっ

ていないワークステーションとを分けて算出してもよい。 

B.1.3.2.3 指標の定義 

サービス対象者数に対するワークステーションの年間の利用可能時間数。 

職員が使用するために設置されたワークステーションは,除外する。 

B.1.3.2.4 方法 

図書館内のワークステーション数,利用者にとってのワークステーション利用可能時間数,及びサービ

ス対象者数を数える。ワークステーションの数は,稼働していない又は修理中のワークステーションを数

えて,値を修正する。この修正を行うために,通常の開館日の無作為な時間に,それを数えることが望ま

しい。提供していないワークステーション数の平均値を,ワークステーションの総数から引いておくのが

よい。利用者のワークステーション利用可能時間数は,通常,開館時間数と一致する。 

人口当たりワークステーション利用可能時間(IWHAPC1)は,次の式による。 

IWHAPC1=[(A−B)×C]/D 

ここに, 

A: ワークステーション総数 

B: 提供していないワークステーション数 

C: 年間のワークステーション利用可能時間数 

D: サービス対象者数 

ワークステーションの一部が,開館時間の異なる場所に置かれている場合,それらのワークステーショ

ンについては,分けて算出しなければならない。 

32 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

IWHAPC1={[(A1−B1)×C1]+[(A2−B2)×C2]}/D 

ここに, 

A1: 領域1におけるワークステーション総数 

B1: 領域1における提供していないワークステーション数 

C1: 領域1における年間のワークステーション利用可能時間数 

A2: 領域2におけるワークステーション総数 

B2: 領域2における提供していないワークステーション数 

C2: 領域2における年間のワークステーション利用可能時間数 

D: サービス対象者数 

小数点以下は,四捨五入する。 

B.1.3.2.5 指標の解釈及び指標に影響を与える要因 

この指標は上限のない整数とする。この値が通常どの程度の大きさになるかは,館種によって異なる。

この指標は,サービス対象者数に対する平均的なワークステーション利用可能時間を推定する。値が高い

ほど,利用者のワークステーションへの要望を満たす能力が高いことを示す。 

学術・専門図書館の場合,別の場所で利用可能なワークステーションの数がこの指標の解釈に大きく影

響する。 

図書館サービスにアクセスできるワークステーションが図書館外で広く利用可能となっている場合,又

は図書館が無線によるインターネットサービスを利用可能としている場合は,この指標の値が低くともあ

まり問題ではない可能性がある。 

B.1.3.2.6 出典 

詳細は,次の参考文献を参照。 

− [3](PI9) 

− [10] p. 70[“Hours of availability of open access workstations per student(学生当たりオープンアクセスの

ワークステーションの利用可能時間)”] 

B.1.3.2.7 関連指標 

人口当たり利用者用ワークステーション数(B.1.3.1)及びワークステーション利用率(B.2.3.2)を参照。 

B.1.3.3 人口当たり利用者用領域の面積(User Area per Capita) 

B.1.3.3.1 目的 

学習・集会の場,及びラーニングセンタとしての図書館の重要性を測定する。それらの任務を設置機関・

団体が支援しているかどうかを測定する。 

B.1.3.3.2 指標の適用範囲 

物理的に建物のある全ての図書館。 

図書館の使命及び利用者の相違が考慮される場合には,図書館間で比較してもよい。 

B.1.3.3.3 指標の定義 

図書館がサービス対象者に提供している利用者用領域の面積の合計。 

この指標でいう利用者用領域とは,利用者サービスのための専用領域をいう。閲覧,学習,情報提供,

コンピュータ端末及び利用者に提供するその他のサービスのためのスペースなどであって,利用者サービ

ス領域と一体になった開架書庫部分を含む(JIS X 0814参照)。 

通常,利用者が利用できない建物は,除外する。 

B.1.3.3.4 方法 

サービス対象者数を数える。 

図書館の利用者用領域の面積(平方メートル)及びサービス対象者数の関係を算出する。 

33 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

人口当たり利用者用領域の面積(IUAC)は,次の式による。 

IUAC=A/B 

ここに, 

A: 利用者サービスに使用される領域の面積(平方メートル) 

B: サービス対象者数 

小数点以下第1位まで求める。 

B.1.3.3.5 指標の解釈及び指標に影響を与える要因 

この指標は,上限のない実数とする。通常,高い値がよいとされる。 

この指標は,設置機関・団体が,学習,閲覧及び集会の施設を図書館外にどの程度設けているかに影響

を受ける。 

B.1.3.3.6 出典 

詳細は,次の参考文献を参照。 

− [6](PI 1.1) 

− [25] pp. 46-50 

B.1.3.4 人口当たり座席数(Seats per Capita) 

B.1.3.4.1 目的 

図書館内で閲覧,学習,その他の作業をするために,サービス対象者数1 000人当たりに提供している

座席数を測定する。 

B.1.3.4.2 指標の適用範囲 

サービス対象者が明確であり,閲覧及び作業のための施設をもつ全ての図書館。 

B.1.3.4.3 指標の定義 

サービス対象者数1 000人当たりの利用者が利用できる座席数。機器が設置されているかどうかは問わ

ない。 

この指標において,座席には,図書館内のキャレル,セミナー室,学習室,視聴覚室及び児童室の席を

含む。職員が利用するために設置された席は除外する。 

B.1.3.4.4 方法 

図書館内の閲覧,学習,その他作業に利用可能な座席数を数える。 

人口当たり座席数(ISC)は,次の式による。 

ISC=A/B×1 000 

ここに, 

A: 利用可能な座席数 

B: サービス対象者数 

小数点以下は,四捨五入する。 

B.1.3.4.5 指標の解釈及び指標に影響を与える要因 

この指標は,上限のない整数とする。通常,高い値がよいとされる。 

設置機関・団体が図書館外に設置した,閲覧,学習,その他作業のための座席の数が,この指標の解釈

に影響を与える可能性がある。 

B.1.3.4.6 出典 

詳細は,次の参考文献を参照。 

− [22] 3.3a[“Total Reading and Working Places(閲覧・作業場所の総計)”の応用] 

− [28] pp. 82-88[“Facilities Use Rate(施設利用率)”の特殊なケース] 

B.1.3.4.7 関連指標 

background image

34 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

人口当たり利用者用ワークステーション数(B.1.3.1)及び利用者用座席占有率(B.2.3.1)を参照。 

B.1.3.5 開館時間と利用者ニーズとの一致度(Hours Open Compared to Demand) 

B.1.3.5.1 目的 

開館時間がどの程度利用者の要求に対応しているかを測定する。 

B.1.3.5.2 指標の適用範囲 

全ての図書館。 

図書館の使命及び利用者の相違が考慮される場合には,図書館間で比較してもよい。 

この指標は,異なるターゲット集団(例 学生,研究者,高齢者)に適用することができる。 

この指標は,開館時間が標準的ではない分館又は部門に適用することができる。 

B.1.3.5.3 指標の定義 

利用者が望む開館時間数に対する,図書館の実際の開館時間数。 

この指標でいう開館時間とは,主なサービス(例 レファレンス,貸出,閲覧室)を利用者に提供して

いる通常の週における時間をいう。 

B.1.3.5.4 方法 

開館時間についての満足度を尋ね,かつ,開館した方がよいと思う追加開館時間を挙げることのできる

簡単な質問紙を作成する。特別な集団の必要性を把握する手がかりとするために,利用者の属性に関する

設問を追加してもよい。 

例 調査 

図書館の現在の開館時間について,あなたの満足度をお聞かせください。 

[ ] 全く満足していない 

[ ] 満足していない 

[ ] どちらかというと満足している 

[ ] 満足している 

[ ] 大変満足している 

現在の開館時間以外に開館してほしい曜日・時間帯に“○”を記入してください。現在開館している時

間帯には“×”が記入してあります。 

時間帯 

曜日 

月曜日 

火曜日 

水曜日 

木曜日 

金曜日 

土曜日 

日曜日 

0〜7 

7〜8 

8〜9 

× 

× 

× 

× 

× 

9〜10 

× 

× 

× 

× 

× 

10〜11 

× 

× 

× 

× 

× 

× 

11〜12 

× 

× 

× 

× 

× 

× 

12〜13 

× 

× 

× 

× 

× 

× 

13〜14 

× 

× 

× 

× 

× 

× 

14〜15 

× 

× 

× 

× 

× 

× 

15〜16 

× 

× 

× 

× 

× 

× 

16〜17 

× 

× 

× 

× 

× 

× 

17〜18 

× 

× 

× 

× 

× 

× 

18〜19 

× 

× 

× 

× 

× 

× 

19〜20 

× 

× 

× 

× 

× 

background image

35 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

20〜21 

× 

× 

× 

× 

× 

21〜22 

× 

× 

× 

× 

× 

22〜23 

23〜24 

利用者を無作為抽出し,質問紙への記入を依頼する。データの収集に当たっては,図書館内で質問紙を

手渡しで配布してもよいし,郵送,オンライン,電話など適宜の方法で行ってもよい。この調査は,図書

館サービスに対する全般的な利用者満足度の調査と併せて行うこともできる。 

開館時間が授業期間と休暇期間とで異なる場合は,分けて調査を行う方がよい。 

開館時間と利用者ニーズとの一致度(IHOCD)は,次の式による。 

IHOCD=A/B 

ここに, 

A: 現在の開館時間数 

B: 利用者が要求した開館時間数(現在の開館時間数+追加

開館時間数) 

図書館が週60時間開館しており,利用者が追加で10時間の開館を希望した場合は,次のとおりとなる。 

IHOCD=60/70=0.86 

注記 追加開館時間数については,回答の分布を考慮して,その結果の平均値又は中央値を用いるこ

ともできる。 

なお,その場合には時間帯を同一単位にそろえた調査票を用いるのが望ましい。 

B.1.3.5.5 指標の解釈及び指標に影響を与える要因 

この指標は,利用者が,開館時間の延長を希望しているかどうかだけでなく,どの曜日・時間帯の開館

を望んでいるかをも明らかにする。 

回答者の大半が,現在の開館時間に不満があり,開館時間延長,又は,異なる曜日・時間帯の開館を望

む場合,図書館は,開館時間の変更又は延長に対応することが望ましい。ただし,図書館にとってそうし

た対応が難しい可能性がある。特に,利用者が週末又は夜間の追加開館時間を望む場合は困難だろう。 

実現可能な解決策は,一部サービスだけに限定しての追加開館時間が考えられる。その場合は,非専門

職員によってそれらの時間に,図書館を運営することができる。 

この指標は,閲覧及び学習のために延長開館を行っている近隣の図書館の影響を受ける。 

予算及びその他地域の事情が,追加開館時間に関する利用者の要望に図書館が応えられるどうかを左右

する可能性がある。 

注記 利用者がどの曜日・時間帯を望んでいるかを把握するためには,例のような,曜日・時間帯が

表現された調査票を用い,その結果をそれぞれに集計する必要がある。 

B.1.3.5.6 出典 

詳細は,次の参考文献を参照。 

− [9] p. 15[“Opening Hours Compared to Demand(利用者需要と比較した開館時間)”] 

− [25] pp. 54-59[“Opening Hours Compared to Demand(利用者需要と比較した開館時間)”] 

B.1.4 職員 

B.1.4.1 人口当たり職員数(Staff per Capita) 

B.1.4.1.1 目的 

サービス対象者数1 000人当たりの図書館職員数を測定する。サービス対象者数は,実施されるべき業

務量に比例すると考えることができる。 

36 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

B.1.4.1.2 指標の適用範囲 

サービス対象者が明確な全ての図書館。 

図書館の使命及びサービス対象者の社会的・経済的要因の相違が考慮される場合には,図書館間で比較

してもよい。 

B.1.4.1.3 指標の定義 

サービス対象者数1 000人当たりの学生補助員及びプロジェクト関連のスタッフを含めた職員数。 

B.1.4.1.4 方法 

学生補助員及びプロジェクト関連スタッフを含めた職員数(フルタイム換算)を算出する。 

パートタイム職員のフルタイム換算数は,次の方法をとる。 

− 通年雇用者:週当たりの勤務時間数を通常の職員の週当たり勤務時間数で除したもの。 

− 通年雇用でない者:週当たりの勤務時間数を通常の職員の週当たりの勤務時間数で除し,比率(雇用

週数を52で除した値)を乗じる。 

人口当たり職員数(ILS)は,次の式による。 

ILS=A/B×1 000 

ここに, 

A: フルタイム換算した職員数 

B: サービス対象者数 

小数点以下は,四捨五入する。 

B.1.4.1.5 指標の解釈及び指標に影響を与える要因 

この指標は,上限のない整数とする。 

通常,高い値がよいとされる。この指標は,サービスの品質及び作業の効率性を測定する他の指標と組

み合わせて解釈する場合にだけ用いるのがよい。 

B.1.4.1.6 出典 

詳細は,次の参考文献を参照。 

− [6](PI 1.2) 

− [25] pp. 82-87 

B.2 

利用 

B.2.1 コレクション 

B.2.1.1 蔵書回転率(Collection Turnover) 

B.2.1.1.1 目的 

貸出用コレクションの全体的な利用率を測定する。 

この指標は,サービス対象者の要求にコレクションが適合しているかどうかを測るために使用できる。 

B.2.1.1.2 指標の適用範囲 

貸出用コレクションをもつ全ての図書館。 

特定のコレクション,主題分野,分館又は新規受入資料に対して用いてよい。図書館内のそれぞれの領

域間で,この指標の結果を比較して,回転率に著しい相違があるかどうかを調べてもよい。 

調査期間が同じ場合,同様の使命をもつ図書館間の比較に用いてもよい。 

B.2.1.1.3 指標の定義 

特定の期間,通常は1年間における,特定のコレクションの貸出総数をそのコレクションの資料総数で

除したもの。 

37 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

B.2.1.1.4 方法 

対象としたコレクションに対する特定期間における貸出数を数える。そのコレクションの資料総数を数

える。 

蔵書回転率(ICT)は,次の式による。 

ICT=A/B 

ここに, 

A: そのコレクションの貸出数 

B: そのコレクションの資料総数 

四捨五入し,小数点以下第1位まで求める。 

資料総数が不明の場合には,その推定値を用いてもよい。推定値は,貸出用コレクションの書架目録の

長さ又は書架棚の長さに,単位長当たりの平均資料数を乗じることによって,算出する。 

多くのレファレンス用資料が貸出用コレクションに含まれている場合には,レファレンス用資料は,計

算に含めない。 

B.2.1.1.5 指標の解釈及び指標に影響を与える要因 

この指標は,上限のない実数とする。この値が通常どの程度の大きさになるかは,館種によって異なる。

この指標は,コレクション中の資料が1年間に平均何回貸し出されるかを推定するものであるが,それ以

外の期間の回転率を測定してもよい。数値が高いほど,利用率が高いことを意味する。 

蔵書回転率は,幾つかの要因に影響される。重要なものを次に示す。 

a) コレクションの構成が利用者の要求に対応しているかどうか。古くなったもの又は不適切な資料の比

率が高い場合には,蔵書回転率は低くなる。 

b) 利用されなくなったタイトル及び不要となった複本の除籍に関する図書館の方針。 

c) 需要が多いタイトルの複本数。 

d) 貸出に対する館内利用の比率。館内利用が多い場合には,蔵書回転率が低くなることがある。 

e) その図書館の通常の貸出期間,利用の多いタイトルの特別な貸出期間,及び同時に借りられる資料数。 

f) 

その図書館の利用促進活動,及び利用促進活動についての図書館職員のスキル。 

g) 貸出の更新の容易さ。 

貸出システムによって個々の資料に関するデータが入手できる図書館では,次の値を算出し,より詳細

な情報を得てもよい。 

− 特定の期間に利用されなかった所蔵資料の比率 

− 特定の期間に最低1回は利用された所蔵資料の比率 

B.2.1.1.6 出典 

詳細は,次の参考文献を参照。 

− [13] pp. 38-40 

− [20] p. 31[“Circulation Rate(貸出率)”] 

− [25] pp. 128-131[“Circulation Rate(貸出率)”] 

− [28] p. 47[“Turnover Rate(回転率)”この指標は,レファレンス用コレクションの資料も含めている。] 

− [29] pp. 54-55[“Circulation(貸出)”の変種としての“Circulation per Volume Held(1冊当たりの貸出)”。 

また,p.60における,館内利用を含んだ“Total Materials Use(全資料の利用)”の変種としての“Total 

Materials Use by Volume Held(1冊当たり全資料の利用)”] 

B.2.1.2 人口当たり貸出数(Loans per Capita) 

B.2.1.2.1 目的 

38 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

サービス対象者による図書館コレクションの利用率を測定する。コレクションの品質及び図書館コレク

ションの利用を促進する能力を測るのに使用してもよい。 

B.2.1.2.2 指標の適用範囲 

貸出用コレクションをもつ,全ての図書館。 

特定のコレクション,主題分野又は分館に対して用いてよい。図書館内のそれぞれの領域間で,この指

標の結果を比較してもよい。 

図書館の使命,社会的・経済的要因及び貸出期間の相違を考慮する場合には,図書館間で比較してもよ

い。 

B.2.1.2.3 指標の定義 

1年間の貸出総数を,サービス対象者数で除したもの。 

B.2.1.2.4 方法 

人口当たり貸出数(ILPC)は,次の式による。 

ILPC=A/B 

ここに, 

A: 1年間の貸出総数 

B: サービス対象者数 

小数点以下は,四捨五入する。ただし,10未満の場合は,小数点以下第1位まで求める。 

この指標において,貸出の代わりに図書館から提供される複写の数を貸出数に含めてもよい。図書館間

貸出は,除外する。この指標を図書館間の比較に用いる場合には,何を含め,何を除外したかを示してお

くことは重要である。 

B.2.1.2.5 指標の解釈及び指標に影響を与える要因 

この指標は,上限のない実数とする。 

貸出期間及び同時に借りられる資料数の変更は,この指標に大きな影響を与える。主題ごと又は借出者

の属性ごとに,この指標を分析することによって,より詳細なデータを得てもよい。要求件数の低い領域

又は要求が満たされていない領域,及び利用の増加が可能な領域を特定するのにも使用できる。 

この指標は,貸出にだけ関わるものであり,図書館が制御できない幾つかの要因の影響を受ける。特に

図書館の閲覧環境,リテラシーの水準,貧困の程度,及びその他の社会的・経済的要因に影響される。 

この指標は,コレクションの利用促進に関する図書館職員の能力に強く関連する。 

B.2.1.2.6 出典 

詳細は,次の参考文献を参照。 

[28] pp. 42-44[“Circulation per Capita(人口当たり貸出)”] 

B.2.1.2.7 関連指標 

人口当たり館内利用数(B.2.1.5)を参照。 

B.2.1.3 利用されない資料の所蔵率(Percentage of Stock Not Used) 

B.2.1.3.1 目的 

一定期間に全く利用されなかった所蔵資料の量を測定する。コレクションがサービス対象者の要求に合

っているかを測定するために使用してもよい。 

B.2.1.3.2 指標の適用範囲 

全ての図書館。 

特定のコレクション,主題分野,分館又は期間に対して用いてよい。 

これらのそれぞれの領域間で,この指標の結果を比較して,利用されない資料の割合に著しい相違があ

39 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

るかどうかを調べてもよい。 

B.2.1.3.3 指標の定義 

特定期間において利用されなかった物理的な資料の,所蔵数中の百分率(小数点以下は,四捨五入する。)。 

この指標において,“利用された”資料とは,特定期間内に貸出記録がある資料又は図書館内で利用され

た記録がある資料をいう。館内利用は,図書館が利用を継続的に記録している場合だけ含める。 

測定に用いる期間は,指標の使用者が決める。その期間は,図書館の使命及び方針を反映するように決

めることが望ましい。一般的に,適切な最短期間は,1年間である。 

B.2.1.3.4 方法 

B.2.1.3.4.1 

図書館の所蔵資料から無作為標本を抽出する。それぞれの資料に対して,特定期間に貸出されたかどう

か,又は館内で利用された記録があるかどうかを調べ,記録する。 

利用されない資料の所蔵率(IPSNU1)は,次の式による。 

IPSNU1=(C−A−B)/C×100 

ここに, 

A: 標本中の貸出された資料数 

B: 標本中の館内利用は記録されているが貸出はされていない

資料数 

C: 標本の資料総数 

小数点以下は,四捨五入する。 

B.2.1.3.4.2 

コンピュータによる貸出システムの記録を用いて,特定期間に貸出された資料数を数える。 

利用されない資料の所蔵率(IPSNU2)は,次の式による。 

IPSNU2=(B−A)/B×100 

ここに, 

A: 貸出された資料数 

B: 貸出用所蔵資料の総数 

小数点以下は,四捨五入する。 

後者の方法は,貸出された資料だけ対象とし,館内利用された資料をデータに含まないため,実際の比

率よりも過大に推定する可能性がある。 

B.2.1.3.5 指標の解釈及び指標に影響を与える要因 

この指標は,0〜100の整数とする。この指標は,無作為に抽出された所蔵資料が特定期間に利用されな

い確率を推定したものである。数値が高いほど,利用率が低いことを意味する。 

この指標は,次に示す幾つかの要因に影響される。 

− 図書館の使命(例 図書館が資料保存の使命をもっているかどうか) 

− 図書館の利用促進活動 

− 収集・除籍に関する図書館の方針及び実務 

B.2.1.3.6 出典 

詳細は,次の参考文献を参照。 

− [15] pp. 36-39 

− [25] pp. 132-136 

B.2.1.3.7 関連指標 

蔵書回転率(B.2.1.1)を参照。 

40 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

B.2.1.4 人口当たりダウンロードされたコンテンツ単位数(Number of Content Units Downloaded per 

Capita) 

B.2.1.4.1 目的 

利用者が,求める情報を,電子的資源の中から得ているかどうかを測定する。 

B.2.1.4.2 指標の適用範囲 

全ての図書館。 

B.2.1.4.3 指標の定義 

特定の期間にそれぞれの電子的資源から一部又は全部がダウンロードされたコンテンツ単位の数を,サ

ービス対象者数で除したもの。 

図書館職員による使用及び利用者教育のための使用も,ダウンロードされたコンテンツ単位の数に含め

る。 

サービス対象者数を用いる方が望ましいが,特定のターゲット集団で代替させ,そのことを報告のとき

に記述するのでもよい。 

B.2.1.4.4 方法 

特定の期間にそれぞれの電子的資源からダウンロードされたコンテンツ単位の数を数え,当該期間の同

じ資源のサービス対象者数で除す。 

人口当たりダウンロードされたコンテンツ単位数(INCUDC)は,次の式による。 

INCUDC=A/B 

ここに, 

A: 特定期間に特定の電子的資源からダウンロードされた

コンテンツ単位数 

B: サービス対象者数 

小数点以下は,四捨五入する。ただし,10未満の場合は,小数点以下第1位まで求める。 

注記 特別な場合には,この指標を特定のターゲット集団(例 教員,上級生)に対して用いること

が必要となる。 

B.2.1.4.5 指標の解釈及び指標に影響を与える要因 

この指標は,上限のない整数とする。高い値は低い値よりもよいとされる。 

この指標は,様々な要因,そのうち幾つかは図書館の管理外にあるものの影響を受ける(例 利用者ス

キルのレベル,ネットワークアクセスのレベル,利用又はダウンロードに課金されているかどうか,サー

ビスの利用促進)。 

ダウンロードされるコンテンツ単位の数は,利用者の検索方法の品質及び効率の影響を受ける。 

コンテンツ単位の種類によってサービスが異なるため(あるものは全文,あるものは書誌情報だけなど),

このデータをサービスの全体像を把握するために使うことは推奨できない。しかし,特定のサービスに関

して得たものは,比較してもよい。図書館が,次のような指標を用いたい場合は,この指標で使用するデ

ータ要素から導き出すことができる。 

− データベースごとのセッション数 

− 電子ジャーナル,デジタル資料又はデータベースごとのダウンロードされた資料数 

B.2.1.4.6 出典 

詳細は,次の参考文献を参照。 

[3](PI 4) 

B.2.1.4.7 関連指標 

41 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ダウンロードされたコンテンツ単位当たり費用(B.3.1.3)を参照。 

B.2.1.5 人口当たり館内利用数(In-library Use per Capita) 

B.2.1.5.1 目的 

図書館内での資料の利用を測定する。 

B.2.1.5.2 指標の適用範囲 

全ての図書館。利用された資料を主題ごとに分析し,より詳細なデータを得てもよい。特定のコレクシ

ョンに対して用いてもよい。 

B.2.1.5.3 指標の定義 

1年間に図書館内で利用された資料数を,サービス対象者数で除したもの。 

B.2.1.5.4 方法 

標本を抽出する期間を決める。この期間中は,利用者に図書館内で利用した資料を自分で書架に戻さな

いよう依頼する。それらの資料を書架に戻す作業(再配架)の前に資料を数える。 

人口当たり館内利用数(IIUC)は,次の式による。 

IIUC=(A/B×C)/D 

ここに, 

A: 調査期間中に数えられた資料数 

B: 調査期間中の開館日数 

C: 1年間の開館総日数 

D: サービス対象者数 

貸出された資料は,Aに含めない。 

小数点以下は,四捨五入する。ただし,10未満の場合には,小数点以下第1位まで求める。 

B.2.1.5.5 指標の解釈及び指標に影響を与える要因 

この指標は,上限のない実数とする。 

利用の多い資料は,再配架の前に複数の人に利用される可能性がある。一方,実際には利用されないの

に書架から引き抜かれる場合もある。サービス対象者以外の人に利用される可能性もある。 

資料の計数の値は,雑誌の製本に関する図書館の方針の影響を受ける。 

館内利用数は,職員がどの程度迅速に資料を再配架するか,及び再配架を待つ資料から出納できるかど

うかにも影響される。 

B.2.1.5.6 出典 

詳細は,次の参考文献を参照。 

− [24] pp. 56-61[“Collection Use(コレクションの利用)”] 

− [29] pp. 55-59[“In-library Materials Use(館内資料の利用)”] 

B.2.1.5.7 関連指標 

人口当たり貸出数(B.2.1.2)を参照。 

B.2.2 アクセス 

B.2.2.1 人口当たり来館回数(Library Visits per Capita) 

B.2.2.1.1 目的 

図書館サービス全体について利用者を引きつけた程度を測定する。 

B.2.2.1.2 指標の適用範囲 

サービス対象者が明確な全ての図書館。 

図書館の使命の相違及びサービス対象者の社会的・経済的要因の相違を考慮する場合には,図書館間で

42 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

比較してもよい。 

B.2.2.1.3 指標の定義 

1年間の図書館への来館(物理的来館又は仮想訪問の双方)の総数を,サービス対象者数で除したもの。 

この指標において,“来館”とは,図書館が提供するサービスの利用のために,図書館の中に入ること又

は図書館のウェブサイトにアクセスすることを指す。 

B.2.2.1.4 方法 

B.2.2.1.4.1 

図書館に入館又は退館した人を自動的に数えるための入退館計数装置又は類似の装置を用いる。手動に

よる測定でもよい。入館及び退館の両方ではなく,いずれかを数える。 

図書館のウェブサイトへの外部からの仮想訪問を数える。 

人口当たり来館回数(ILVC1)は,次の式による。 

ILVC1=A/B 

ここに, 

A: 1年間の物理的来館と仮想訪問とを加えた 

(入退館計数装置+外部からの仮想訪問)推計来館総数 

B: サービス対象者数 

小数点以下は,四捨五入する。ただし,10未満の場合は,小数点以下第1位まで求める。 

B.2.2.1.4.2 

一つ以上の標本抽出期間を決め,その間に図書館に入館又は退館した人を数える。入館及び退館の両方

ではなく,いずれかを数える。同じ標本抽出期間における,外部からの仮想訪問の数を計算する。標本抽

出期間の数及び長さは,指標の使用者が決める。年間の変動に関して入手し得る情報を活用し,外挿法に

よって,1年間の来館総数を推定する。 

注記 公共図書館の場合には,通常,1週間の1期間程度とする。大学図書館の場合には,大学の定

期的な諸行事を考慮し,2期間以上とする。 

人口当たり来館回数(ILVC2)は,次の式による。 

ILVC2=A/B 

ここに, 

A: 1年間の物理的来館と仮想訪問とを加えた 

(入退館計数装置+外部からの仮想訪問)の来館総数 

B: サービス対象者数 

小数点以下は,四捨五入する。ただし,10未満の場合は,小数点以下第1位まで求める。 

仮想訪問数の計測については,JIS X 0814:2011のA.5.3を参照。図書館は,この指標の使用に当たり,

これらのいずれかの方法を選ぶことが望ましい。 

B.2.2.1.5 指標の解釈及び指標に影響を与える要因 

この指標は,上限のない整数とする。通常,値が高いほどよいとされる。 

入退館計数装置又は類似の装置を用いる場合には,図書館職員その他の非利用者が含まれるため,又は

利用者が様々な理由で外に出た後に再入館することがあるため,計測数は実際よりもかなり高くなる可能

性がある。 

仮想訪問数の把握は,外部からの仮想訪問だけを抽出するための,計算方法,用いられるソフトウェア,

及び図書館の能力に左右される。 

季節変動が大きい場合には,利用が比較的安定している時期に,期間を短めにして数回測定するのが望

ましい。 

43 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

B.2.2.1.6 出典 

詳細は,次の参考文献を参照。 

− [2] pp. 29, 34-35 

− [6](PI 2.1) 

− [25] pp. 112-119 

B.2.2.1.7 関連指標 

来館当たり費用(B.3.1.4)を参照。 

B.2.2.2 情報要求サービスにおける電子的手段による申込割合(Percentage of Information Requests 

Submitted Electronically) 

B.2.2.2.1 目的 

質問の申込み時における,電子メール,デジタルレファレンスなどの電子的なコミュニケーション手段

による利用を確認する。 

B.2.2.2.2 指標の適用範囲 

全ての図書館。 

B.2.2.2.3 指標の定義 

特定の期間に受け付けた情報要求の総数のうち,電子的に申し込まれた情報要求の百分率。 

B.2.2.2.4 方法 

代表的な(標本)期間に全図書館職員が受け付けた全ての情報要求について,その申込手段を記録する。

その内訳として,図書館のサービスポイント宛ての電子メール,個々の図書館職員宛ての電子メール,チ

ャットによるオンライン,その他のデジタルレファレンスサービスによるオンラインのいずれかに分けて,

電子的に申し込まれた情報要求の件数を数える。 

情報要求サービスにおける電子的手段による申込割合(IPIRSE)は,次の式による。 

IPIRSE=(A/B)×100 

ここに, 

A: 特定の期間に電子的に申し込まれた情報要求の数 

B: 同じ期間に受け付けた情報要求の総数 

小数点以下は,四捨五入する。 

B.2.2.2.5 指標の解釈及び指標に影響を与える要因 

この指標は,0〜100の整数とする。この値は,図書館利用者が電子的なコミュニケーション手段に移行

している程度を示すものである。例えば,高い値は,次のような状況を意味する可能性がある。 

a) 図書館利用者のうち高い割合で電子的メディアに満足しており,それらを用いて図書館サービスを利

用している。 

b) 多くの利用者が図書館から少し離れた地域で利用している。 

数値が低い場合には,次のような状況を意味する可能性がある。 

− 利用者のうち高い割合で電子的メディアに精通していない(利用者教育又は電子的レファレンスサー

ビスの奨励が必要である。)。 

− 図書館職員からの回答が遅い(例 1週間に1回だけ)ことから,利用者が電子的な申込みを避けて

いる。 

この数値は,図書館のウェブサイトの使い勝手,又はオンラインレファレンスサービスの提供時間の制

約に影響される。 

B.2.2.2.6 出典 

44 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

詳細は,次の参考文献を参照。 

− [2] p. 30[“Percentage of virtual reference transactions to total reference questions(レファレンス質問の総数

に対するバーチャルレファレンス処理件数の百分率)”] 

− [3](PI 7) 

− [5] p. 78[“Percentage of electronic reference transactions of total reference(レファレンス質問の総数に対

する電子的レファレンス処理件数の百分率)”] 

B.2.2.2.7 関連指標 

ターゲット集団の利用率(B.2.4.1)を参照。 

B.2.2.3 外部利用者の割合(Percentage of External Users) 

B.2.2.3.1 目的 

図書館のサービス対象者に含まれない利用者の百分率を測定する。また,その地域(リージョン)にお

ける学習及び文化に関する図書館の重要性を評定する。加えて,サービス対象領域外への図書館のインパ

クト及び誘因力を推定する。 

B.2.2.3.2 指標の適用範囲 

外部利用者にもサービスを提供している全ての図書館。 

B.2.2.3.3 指標の定義 

図書館利用者総数のうち,外部利用者の百分率。 

この指標における“外部利用者”とは,外部の実貸出者,すなわち調査期間中に1件以上の貸出を行っ

た登録利用者と定義される。 

高等教育機関においては,一般に教職員でも学生でもない利用者を指し,公共図書館では,一般に法定

サービス区域(自治体)以外の地域に属する利用者を指す。 

B.2.2.3.4 方法 

特定の時点における外部の実貸出者数及び実貸出者総数を数える。 

外部利用者の割合(IPEU)は,次の式による。 

IPEU=(A/B)×100 

ここに, 

A: 外部の実貸出者数 

B: 実貸出者総数 

小数点以下は,四捨五入する。 

B.2.2.3.5 指標の解釈及び指標に影響を与える要因 

この指標は,0〜100の整数とする。値が高いほど,サービス対象者の範囲を超えた図書館の重要性及び

誘因力が大きく,より広範囲の集団に対するサービスの適合性が高いことを意味する。これがよいことか

どうかは,図書館の使命及び目的による。 

この指標は,ある領域における図書館の弱点に関する情報,及び他の領域における潜在的な又は求めら

れる発展の在り方について示唆する。また,この指標は,外部利用者に関する図書館の作業量の推定にも

使うことができる。 

B.2.2.3.6 出典 

詳細は,次の参考文献を参照。 

[7] p. 2(表2) 

B.2.2.3.7 関連指標 

人口当たり貸出数(B.2.1.2),ターゲット集団の利用率(B.2.4.1)及び外部利用者による貸出率(B.2.2.4)

45 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

を参照。 

B.2.2.4 外部利用者による貸出率(Percentage of the Total Library Lending to External Users) 

B.2.2.4.1 目的 

図書館の貸出サービスが外部利用者に利用されている程度を測定する。 

サービス対象者以外の利用者にとっての図書館コレクションの誘因力を示す。 

B.2.2.4.2 指標の適用範囲 

外部利用者にもサービスを提供している全ての図書館。 

B.2.2.4.3 指標の定義 

貸出総数のうち,サービス対象者以外の利用者によるものの百分率。 

高等教育機関においては,一般に教職員でも学生でもない利用者を指し,公共図書館では,一般に法定

サービス区域(自治体)以外の地域に属する利用者を指す。 

B.2.2.4.4 方法 

外部利用者による貸出数及び図書館の貸出総数を数える。図書館システムが,外部利用者による貸出数

とサービス対象者による貸出数とを分けて数えることができなければならない。 

外部利用者による貸出率(IPTLLEU)は,次の式による。 

IPTLLEU=(A/B)×100 

ここに, 

A: 外部利用者の貸出数 

B: 貸出総数 

小数点以下は,四捨五入する。 

B.2.2.4.5 指標の解釈及び指標に影響を与える要因 

この指標は,0〜100の整数とする。高い値は,図書館がサービス対象者以外の利用者に多くのサービス

を提供していることを意味する。これがよいことかどうかは,図書館の使命及び目標による。 

この指標は,図書館が外部利用者にサービスを提供している程度に影響される。 

B.2.2.4.6 出典 

詳細は,次の参考文献を参照。 

[14] 

B.2.2.4.7 関連指標 

人口当たり貸出数(B.2.1.2)を参照。 

B.2.2.5 人口当たり図書館の催物参加者数(User Attendances at Library Events per Capita) 

B.2.2.5.1 目的 

図書館のサービス対象者に対する催物の誘因力の度合いを推定する。 

B.2.2.5.2 指標の適用範囲 

主に公共図書館であるが,サービス対象者に対して様々な催物を行っていれば,その他の図書館に適用

してもよい。 

B.2.2.5.3 指標の定義 

1年間の,人口1 000人当たりの図書館の催物の総参加者数。この指標における“催物”には,著作物に

関わる催物,又は文化的若しくは教育的な意図をもった催物で,例えば,著者の来訪,読書会,文芸討論

会,ワークショップなどがある。 

児童,青少年及び大人に対しては種々の催物が考えられる。 

図書館によって企画された催物だけを含める。 

46 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

展示会は除く。 

B.2.2.5.4 方法 

図書館の各催物の参加者数を数え,年間で集計する。 

同一人物が一つ以上の催物に参加した場合,その都度数える。 

サービス対象者数を数える。 

人口当たり図書館の催物参加者数(IALEC)は,次の式による。 

IALEC=(A/B)×1 000 

ここに, 

A: 図書館の催物参加者数 

B: サービス対象者数 

小数点以下は,四捨五入する。サービス対象者数を,大人,青少年又は児童に分けて数えることができ

る場合,この指標を,大人向け,青少年向け又は児童向けの催物にそれぞれ分けて用いることができる。 

B.2.2.5.5 指標の解釈及び指標に影響を与える要因 

この指標は,上限のない整数とする。 

高い値は,図書館が企画した催物がサービス対象者に対して適切であることを意味する。 

サービス対象者に含まれない参加者を含めて数えてもよい。 

B.2.2.5.6 出典 

詳細は,次の参考文献を参照。 

− [9](PI 8) 

− [25] pp. 154-157 

B.2.2.5.7 関連指標 

人口当たり利用者教育参加者数(B.2.2.6)を参照。 

B.2.2.6 人口当たり利用者教育参加者数(Number of User Attendances at Training Lessons per Capita) 

B.2.2.6.1 目的 

図書館サービスに関する教育の提供を通じて,利用者に対する図書館サービスの到達度を測定する。 

B.2.2.6.2 指標の適用範囲 

サービス対象者が明確な全ての図書館。 

B.2.2.6.3 指標の定義 

サービス対象者数1 000人当たりの,特定の期間に利用者教育に参加した利用者数。 

この指標において,“利用者教育”とは,図書館及びその他の情報サービスの利用についての学習成果を

上げるために,特定の指導計画として設定された教育プログラムを指す。利用者教育は,図書館見学ツア

ー,図書館における利用指導又はウェブ上のサービスとして提供されることもある。 

B.2.2.6.4 方法 

特定の期間(通常は1年間)の図書館の利用者教育(該当する場合,図書館見学ツアーも含む。)の参加

者数を数える。これらの数は,調査期間の終わりまで足し合わせることが望ましい。同じ調査期間につい

て,図書館による(対話型の)オンライン利用者教育のセッション数を数える。これらの数もまた,調査

期間の終わりまで足し合わせることが望ましい。これらの数の合計を,指標として用いる。 

人口当たり利用者教育参加者数(INUATLC)は,次の式による。 

INUATLC=[(A+B)/C]×1 000 

ここに, 

A: 図書館の利用者教育(該当する場合,図書館見学ツアーも

含む。)の参加者数 

47 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

B: 図書館による(対話型の)オンライン利用者教育のセッシ

ョン数 

C: サービス対象者数 

小数点以下は,四捨五入する。 

注記 特別な場合には,この指標を特定のターゲット集団(例 教員,上級生)に対して用いること

が必要となる。 

B.2.2.6.5 指標の解釈及び指標に影響を与える要因 

この指標は,上限のない整数とする。値が高いほど,利用者教育が効果的に成果を上げていることを意

味する。 

この指標は,図書館が提供する利用者教育の実施回数に影響される。この指標は,利用者教育の品質を

評価するものではなく,また,教育活動に関する最適な経費についての測定でもない。 

B.2.2.6.6 出典 

詳細は,次の参考文献を参照。 

− [6](PI 2.3) 

− [25] pp. 145-149 

B.2.2.6.7 関連指標 

人口当たり図書館の催物参加者数(B.2.2.5)を参照。 

B.2.3 施設 

B.2.3.1 利用者用座席占有率(Public Seating Occupancy Rate) 

B.2.3.1.1 目的 

ある時点での利用中の座席の比率を推計することによって,図書館内での閲覧及び作業のために提供さ

れている座席の全体的な利用率を測定する。 

B.2.3.1.2 指標の適用範囲 

閲覧及び作業のための施設をもつ,全ての図書館。 

繁忙期,閑散期などを含めた,特定の時間について,日,週又は年を通して測定してもよい。この指標

を使用する場合,これについて明示することが望ましい。 

B.2.3.1.3 指標の定義 

調査時点で利用中の利用者用座席の百分率。職員だけが使用するために設置された座席は含めない。 

B.2.3.1.4 方法 

特定の時間において,機器使用には関係なく,閲覧及び作業のために提供されている利用者用座席の状

況を調査する。 

利用中の利用者用座席を数える。リラックスできる座席の利用も含める。図書館の管理下にある場合,

セミナー室又はグループ学習室の利用者用座席も含める。聴衆及び特別な催物のためのホール,講演及び

視聴覚用の階段講堂(シアタ)の座席については含めない。 

利用者用座席占有率(IPSOR)は,次の式による。 

IPSOR=(A/B)×100 

ここに, 

A: 利用中の利用者用座席の数 

B: 提供されている利用者用座席の総数 

小数点以下は,四捨五入する。 

上着,かばん,ノートなどが置いてある,利用中の形跡のある利用者用座席は,その時点で利用者がそ

の場にいなくとも利用中として数える。 

48 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

この指標が本来的にもつ変動しやすさから,この指標の精度を上げるために,特定期間に利用者用座席

占有率を繰り返し測定し,その平均値を算出してもよい(利用中の座席の累積総数を使用し,それを,提

供されている座席の累積総数で除し,100を乗じる。)。 

B.2.3.1.5 指標の解釈及び指標に影響を与える要因 

この指標は,0〜100の整数とする。この指標は,無作為に抽出した利用者用座席が通常又は特定の時点

で利用中である確率を推定したものである。 

B.2.3.1.6 出典 

詳細は,次の参考文献を参照。 

[29] pp. 82-88[“Facilities Use Rate(施設利用率)”の特殊な場合] 

B.2.3.1.7 関連指標 

ワークステーション利用率(B.2.3.2)を参照。 

B.2.3.2 ワークステーション利用率(Workstation Use Rate) 

B.2.3.2.1 目的 

特定の時点でのワークステーションの利用割合を推定することによって,ワークステーションの総利用

率を測定する。 

B.2.3.2.2 指標の適用範囲 

全ての図書館。 

繁忙期,閑散期などの代表的な(標本)時間について,日,週又は年を通して測定し,その平均値を採

用することが望ましい。ネットワークにつながったワークステーションと,つながっていないワークステ

ーションとを分けて算出してもよい。 

B.2.3.2.3 指標の定義 

調査時点で使用されているワークステーションの百分率。 

B.2.3.2.4 方法 

最も精度の高い測定方法は,調査期間の無作為な時間にワークステーション利用率を測定し,その平均

利用率(利用されているワークステーションの累積総数を数え,提供しているワークステーションの累積

総数で除し,100を乗じる。)を算出するものである。ワークステーションの数は,稼働していない又は修

理中のワークステーションを数えて,値を修正する。この修正を行うために,通常の開館日の無作為な時

間にそれを数えることが望ましい。提供していないワークステーション数の平均値を,ワークステーショ

ンの総数から引いておくのがよい。 

ワークステーションには,様々な電子図書館サービス(例 オンライン目録の利用,スタンドアロンで

のCD-ROMの利用,インターネットだけの利用)のために提供されているものもあり,これらのワークス

テーションについては,異なる利用及び需要のパターンがある。この場合には,ワークステーションにつ

いてそれぞれのサービスごとに分けてこの指標を算出することが望ましい。全てのワークステーションに

ついて包括的な数字が求められる場合は,それぞれの値の平均値をとる。 

ワークステーション利用率(IWUR1)は,次の式による。 

IWUR1=(A/B)×100 

ここに, 

A: 利用中のワークステーション数の平均値 

B: 提供されている稼働中のワークステーション数の平均値 

小数点以下は,四捨五入する。 

それほど精度の高くない測定方法として,特定の時点で提供されているワークステーションの調査を行

49 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

うものがある。 

利用されているワークステーションの数を数える。 

ワークステーション利用率(IWUR2)は,次の式による。 

IWUR2=(A/B)×100 

ここに, 

A: 利用中のワークステーション数の平均値 

B: 提供されている稼働中のワークステーション数の平均値 

小数点以下は,四捨五入する。 

B.2.3.2.5 指標の解釈及び指標に影響を与える要因 

この指標は,0〜100の整数とする。この指標は,無作為に抽出されたワークステーションが,どの時点

においても又は特定の時点で利用中である確率を推定したものである。値が高いほど,提供されているワ

ークステーションが多く利用されていること及び資源を増やす必要性があることを意味する。 

この指標は,ワークステーションの予約規則,接続可能時間,インターネットに接続しているワークス

テーションの数,及び電子的資源の代わりとなり得る印刷されたレファレンス資源の利用可能性に影響さ

れる。 

B.2.3.2.6 出典 

詳細は,次の参考文献を参照。 

− [2] p. 83[“Percentage of public access workstations in use(利用者用ワークステーションの利用率)”] 

− [3](PI 8) 

B.2.3.2.7 関連指標 

利用者用座席占有率(B.2.3.1)を参照。 

B.2.4 全般 

B.2.4.1 ターゲット集団の利用率(Percentage of Target Population Reached) 

B.2.4.1.1 目的 

ターゲット集団における図書館サービスの到達度を測定する。 

注記 ターゲット集団は,その図書館のサービス対象者全体,その中の特定集団,又は図書館が特に

サービスしようとしている,その他の集団としてよい。 

B.2.4.1.2 指標の適用範囲 

全ての図書館。 

同じ方法で指標を算出する場合には,類似のターゲット集団にサービスを提供している図書館間で比較

してもよい。 

B.2.4.1.3 指標の定義 

ターゲット集団のうち,図書館を利用した人の百分率。 

この指標において,“利用者”とは,過去1年間に来館した人,又は他の方法で図書館のサービスを利用

した人を指す。登録し貸出を行った利用者数をターゲット集団中の利用者数の推定値としてもよい。 

この指標においては,“利用者”を,個人又は団体(組織,機関又は会社)としてもよい。 

B.2.4.1.4 方法 

B.2.4.1.4.1 

サービス対象者から無作為標本を抽出する。標本中の各人に対して,過去1年間に図書館に来館したか,

又は他の方法で図書館のサービスを利用したかを質問する。 

ターゲット集団の利用率(IPTPR1)は,次の式による。 

50 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

IPTPR1=(A/B)×100 

ここに, 

A: “はい”と回答した人の数 

B: 回答者総数 

小数点以下は,四捨五入する。 

B.2.4.1.4.2 

コンピュータによる貸出システムの記録を用いて,過去1年間に資料を借りた,ターゲット集団中の利

用者数を数える。 

ターゲット集団の人数を推定する。 

ターゲット集団の利用率(IPTPR2)は,次の式による。 

IPTPR2=(A/B)×100 

ここに, 

A: ターゲット集団中の実貸出者数 

B: ターゲット集団の総数 

小数点以下は,四捨五入する。 

全ての利用を数えられるとは限らないため,この方法で算出した値は,実際の百分率よりも低くなる可

能性がある。 

B.2.4.1.5 指標の解釈及び指標に影響を与える要因 

この指標は,0〜100の整数とする。高い値は,通常,低い値よりもよいとされる。しかし,ターゲット

集団が,ある種別の人々に限定されるような特定の図書館の場合には,相対的に得点が低くても,要求を

満たしているとみなしてもよい。 

ターゲット集団中の利用者の比率は,多くは図書館以外のものを含む幾つかの要因の影響を受ける。例

えば,ターゲット集団の人口統計的構成,都市化の水準,教育水準,サービス対象である機関の特性(例 

指導方法,学生への経済援助の水準),書籍購入の習慣,図書館までの地理的な距離,一般的な社会条件,

経済情勢などがある。 

数値は,提供するサービスの改善だけでなく図書館サービスの積極的な利用促進活動によっても敏感に

変化するはずである。 

B.2.4.1.6 出典 

詳細は,次の参考文献を参照。 

− [6](PI 2.1) 

− [20] p. 35[“Percentage of the Population who have Books on Loan(図書借出中の利用者の百分率)”図書

館利用者の百分率の推定に貸出を用いている。] 

− [25] pp. 100-104[“Market Penetration(市場浸透率)”] 

− [28] pp. 41-42[“Registrations as Percentage of Population(利用者率としての登録)”] 

− [30] pp. 88-90 

B.2.4.1.7 関連指標 

人口当たり来館回数(B.2.2.1),人口当たり館内利用数(B.2.1.5)及び蔵書回転率(B.2.1.1)を参照。 

B.2.4.2 利用者満足度(User Satisfaction) 

B.2.4.2.1 目的 

利用者が,図書館のサービス全体又は個々のサービスに満足している程度を測定する。 

B.2.4.2.2 指標の適用範囲 

全ての図書館。 

51 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

同一の図書館で異なる期間を比較できる。図書館間の比較は,一般的に非常に難しいが,状況,質問及

び手順が同じ場合に限り比較は妥当なものとなる。例えば,この調査が,同じ(自治体内の)公共図書館

の分館(同士)で同時に行われる場合には,意味のある比較が可能である。 

この指標は,特定の利用者層(例 学部学生,大学教員,高齢者)の満足度を測定するために用いても

よい。 

この指標は,図書館のあらゆる利用者サービスについて,それに対する利用者の認識を測定するのに用

いることが可能である。例を次に示す。 

− 開館時間 

− 学習用施設 

− 資料の利用可能性 

− 図書館間貸出サービス 

− 質問及びレファレンスサービス 

− 利用者教育 

− 図書館職員の態度 

− 図書館サービス全体 

個々のサービスについての幾つかの異なる側面を,同一の調査によって測定してもよい。 

B.2.4.2.3 指標の定義 

利用者が,図書館のサービス全体又は個々のサービスを段階付けの評価法で採点したものの平均値。段

階付けの点数は,次のいずれかとする。 

− 1〜4とし,最も悪い場合を1とする。 

− 1〜5とし,最も悪い場合を1とする。 

− 1〜7とし,最も悪い場合を1とする。 

B.2.4.2.4 方法 

測定対象とする特定のサービス及び/又はサービスの側面を列記した簡単な質問紙を作成する。4,5又

は7段階評価の回答欄を質問紙の中に設定する。質問紙は全体を通して,同一基準の段階評価を使用する

ことが望ましい。 

利用者の属性に関する設問を質問紙に含めてもよい。利用者の種別によって要求が異なるため,満足度

が利用者の種別にどのように関連しているかを,データの分析によって明らかにすることができる。 

利用者を無作為抽出し,質問紙への記入を依頼する。データは,必要に応じて,郵送調査,電子的調査,

対面調査,又は電話による調査によって収集してよい。 

それぞれのサービス又はサービスの側面に対する利用者満足度の平均値(IAUS)は,次の式による。 

IAUS=A/B 

ここに, 

A: 利用者が示した,それぞれのサービスに対する値の合計 

B: 回答者数 

四捨五入し,小数点以下第1位まで求める。 

調査の設問ごとにこの指標を算出し,報告する。サービスごとに,各得点値の度数を計算し,各々の百

分率を算出する。これは,利用者の認識が取り得る得点の範囲でどのように分布しているかを示す。 

不満足の原因を明らかにするため,及びサービス間の相対的な重要性を明らかにするため,特別な設問

を設定できる。 

B.2.4.2.5 指標の解釈及び指標に影響を与える要因 

52 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

この指標は,各サービス又はサービスの側面ごとに選んだ段階付けの点数に基づき,1〜4,1〜5又は1

〜7の範囲の小数点以下第1位までの値とする。 

利用者の意見は,非常に主観的であり,調査するときの個人的な状況に影響される。重要な要因の一つ

は,利用者の期待度である。利用者が品質の高いサービスを経験したことがない場合には,品質の低いサ

ービスで満足してしまうかもしれない。これが,図書館間の比較を難しくしている一つの要因でもある。 

B.2.4.2.6 出典 

詳細は,次の参考文献を参照。 

− [13] pp. 118-122 

− [25] pp. 105-111 

− [29] pp. 43-53 

B.3 

効率性 

B.3.1 コレクション 

B.3.1.1 貸出当たり費用(Cost per Loan) 

B.3.1.1.1 目的 

貸出数との関連から,図書館サービスの費用を測定する。 

B.3.1.1.2 指標の適用範囲 

貸出用コレクションをもつ,全ての図書館。 

次の比較に用いてもよい。 

− 特定の図書館に関するある期間の貸出の単位費用を,他の期間と比較する。 

− 特定の図書館に関する貸出の単位費用を,同種の他の図書館と比較する。 

B.3.1.1.3 指標の定義 

1会計年度の経常経費総額を,同じ期間の貸出総数で除したもの。 

経常経費総額は,次の支出の合計である。 

a) 資料購入費[製本,使用許諾契約及びペイ パー ビュー(回数に応じた支払い)の費用を含む。] 

b) 人件費(プロジェクト職員,学生補助員などを含む。) 

c) その他全ての使途にかかる経費,すなわち,コンピュータ及びネットワークの運用・維持費,ソフト

ウェアの使用許諾契約及び通信にかかる費用,不動産の賃借料及び建物維持費,水道光熱費(暖房・

電気・上下水道),既存のじゅう(什)器及び機器の修理費又は交換費,その他の費用(例 目録作成,

複写,郵送,サービスの広報,事務用品,保険,交通,通信,コンサルティング) 

資本支出[用地の取得,建物の新築又は増改築,並びにコンピュータシステム,じゅう(什)器及び機

器にかかる経費]は含めない。 

国際比較を行う場合には,付加価値税,消費税,その他の国・地方の特有の税は経常経費に含めない。 

B.3.1.1.4 方法 

会計データを用いて,1会計年度の経常経費総額を計算する。当年度の金額については,予算データか

ら推定してもよい。 

貸出当たり費用(ICPL)は,次の式による。 

ICPL=A/B 

ここに, 

A: 当該通貨で表した,1会計年度の経常経費総額 

B: 同期間の貸出総数 

53 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

値は,用いた通貨の慣例に従って丸める。 

この指標においては,貸出の代わりに図書館から提供される複写の数を貸出数に含む。図書館間貸出に

かかる支出は,これに含め,その収入は除外する。この指標を図書館間の比較に用いる場合は,何を含め,

何を除外したかを明示しておくことが重要である。 

B.3.1.1.5 指標の解釈及び指標に影響を与える要因 

この指標は,上限のない実数とする。この値が通常どの程度の大きさになるかは,館種及び通貨によっ

て異なる。 

この指標は,図書館の全てのサービスを提供するための費用と貸出数との関係を示すが,通常,この指

標の値を1件の貸出処理に要する平均的な費用とみなすことはできない。特に貸出を中心としたサービス

を行っている図書館では,この指標をサービス全体の効率性を測るために用いてもよい。 

この結果の解釈は,締結された使用許諾契約,サービス契約などの図書館それぞれの要因に左右される。 

この指標を単独で用いない方がよい。この指標は,より広い観点から検討する方が有用である。 

B.3.1.1.6 出典 

詳細は,次の参考文献を参照。 

[13] pp. 50-51[“Cost per use(利用当たり費用)”。この指標は,貸出サービスにかかる費用の推定値を用

いている。] 

B.3.1.1.7 関連指標 

利用者当たり費用(B.3.4.1)及び来館当たり費用(B.3.1.4)を参照。 

B.3.1.2 データベースセッション当たり費用(Cost per Database Session) 

B.3.1.2.1 目的 

セッション数との関連から,データベースの費用を測定する。 

B.3.1.2.2 指標の適用範囲 

全ての図書館。 

資料収集方針及びサービス対象者の社会的・経済的要因の相違を考慮する場合には,他のデータベース

又は他の図書館の同一のデータベースとの,経年的な比較に用いてもよい。 

B.3.1.2.3 指標の定義 

それぞれのデータベースの費用を特定の期間におけるセッション数で除したもの。 

データベースの費用は,そのために図書館が支払った資料収集,購読又は使用許諾契約の費用である。

この定義では,図書館によって支払われたペイ パー ビュー費用は含め,利用者によって支払われたペイ 

パー ビュー費用は含めない。この指標は,価格のついたデータベースだけに適用する。 

B.3.1.2.4 方法 

それぞれのデータベースについて,特定の期間(通常,1会計年度)における費用を,当該期間のセッ

ション数で除したもの。費用の期間とセッションの期間とが異なる場合は,それを正規化することが望ま

しい。 

幾つかの個別のデータベースから構成される複合的なデータベースについては,個々のデータベースに

分けて詳細な情報を示すことが望ましい。 

図書館職員によるセッション及び利用者教育のためのセッションは,セッション数に含めるのがよい。 

印刷形態と一括して取得したタイトルの電子版は,利用当たりの費用を明確に分けることができない場

合,含めないのがよい。一括購入で取得したデータベースの費用は,案分して配分することが望ましい。 

データベースセッション当たり費用(ICDS)は,次の式による。 

54 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ICDS=A/B 

ここに, 

A: 特定の期間の各データベースの費用 

B: 同期間の各データベースのセッション数 

値は,用いた通貨の慣例に従って丸める。 

B.3.1.2.5 指標の解釈及び指標に影響を与える要因 

この指標は,上限のない実数とする。この値が通常どの程度の大きさになるかは,使われる通貨によっ

て異なる。 

値が低いほど,データベースの費用の効率性が高いことを意味する。しかし,このことはデータベース

が影響を与える値,特にセッション当たりのダウンロードされた資料数又は項目数と関連させて考慮する

ことが望ましい。 

セッションのデータは全ての場合において容易に入手はできない。ベンダが異なった又は不完全なデー

タを提供する可能性がある。数人の利用者が次々と接続された同一のセッション内で使うこともあり得る。 

利用者への質問紙調査又は聞き取り調査は,指標の価値を立証するのに使うことができる。 

この指標は,単独で用いるべきではなく,ダウンロードされたコンテンツ単位当たり費用及び利用者満

足度といった指標と組み合わせて使うことが望ましい。図書館が次のような指標を用いたい場合は,“セッ

ション当たりダウンロードされたコンテンツ単位数”の指標で使用するデータ要素から導き出すことがで

きる。 

− データベースごとのセッション数 

− 電子ジャーナル,デジタル資料又はデータベースごとのダウンロードされたコンテンツ単位数 

この結果の解釈は,締結された使用許諾契約,サービス契約などの図書館それぞれの要因に左右される。 

B.3.1.2.6 出典 

詳細は,次の参考文献を参照。 

[3](PI 5) 

B.3.1.2.7 関連指標 

ダウンロードされたコンテンツ単位当たり費用(B.3.1.3)及び貸出当たり費用(B.3.1.1)を参照。 

B.3.1.3 ダウンロードされたコンテンツ単位当たり費用(Cost per Content Unit Downloaded) 

B.3.1.3.1 目的 

ダウンロードされたコンテンツ単位数との関連から,電子的資源の費用を測定する。 

B.3.1.3.2 指標の適用範囲 

全ての図書館。 

資料収集方針及びサービス対象者の社会的・経済的要因の相違を考慮する場合には,他の電子的資源又

は他の図書館の同一の電子的資源との,経年的な比較に用いてもよい。この指標は,価格のついた電子的

資源だけに適用する。 

B.3.1.3.3 指標の定義 

それぞれの電子的資源の費用を,特定の期間に当該の電子的資源から一部又は全部がダウンロードされ

たコンテンツ単位数で除したもの。 

電子的資源の費用は,そのために図書館が支払った資料収集,購読又は使用許諾契約の費用である。こ

の定義では,“ペイ パー ダウンロード”にかかる費用は,ダウンロードごとの費用が明らかであるため含

めない。 

この指標においては,電子的資源又はデータベースの1項目は,一つ以上のデータファイルで構成され,

55 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

ダウンロードできる情報エンティティであり,通常,主要な情報は全文で示されている。ダウンロードは,

通常はウェブブラウザを用いて,サーバにコンテンツ単位を要求することによって,実現する。 

B.3.1.3.4 方法 

それぞれの電子的資源について,特定の期間(通常,1会計年度)における費用を,当該期間のダウン

ロード数で除したもの。費用の期間とセッションの期間とが異なる場合は,それを正規化することが望ま

しい。 

図書館職員によるダウンロード又は閲覧,及び利用者教育のためのダウンロード又は閲覧は,ダウンロ

ード数に含めるのがよい。 

印刷形態と一括して取得したコンテンツ単位の電子版は,利用当たりの費用を明確に分けることができ

ない場合,含めないのがよい。一括購入で取得した資源の費用は,案分して配分することが望ましい。 

ダウンロードされたコンテンツ単位当たり費用(ICCUD)は,次の式による。 

ICCUD=A/B 

ここに, 

A: 特定の期間の各電子的資源の費用 

B: 同期間の各電子的資源からダウンロードされたコンテンツ

単位数 

値は,用いた通貨の慣例に従って丸める。 

B.3.1.3.5 指標の解釈及び指標に影響を与える要因 

この指標は,上限のない実数とする。この値が通常どの程度の大きさになるかは,使われる通貨によっ

て異なる。 

値が低いほど,電子的資源の費用の効率性が高いことを意味する。しかし,このことは資源への需要,

特にセッション数と関連させて考慮することが望ましい。 

利用者のブラウザのキャッシュの設定及びプロキシサーバの利用にもよるが,通常,ダウンロードされ

た資料数は,実際に利用された数よりもサーバの統計が示すものの方が小さい。 

利用者への質問紙調査又は聞き取り調査は,指標の価値を立証するのに使うことができる。 

この指標は,単独で用いるべきではなく,データベースセッション当たり費用及び利用者満足度といっ

た指標と組み合わせて使うことが望ましい。図書館が,次のような指標を用いたい場合は,“セッション当

たりダウンロードされたコンテンツ単位数”の指標で使用するデータ要素から導き出すことができる。 

− データベースごとのセッション数 

− 電子ジャーナル,デジタル資料又はデータベースごとのダウンロードされたコンテンツ単位数 

この結果の解釈は,締結された使用許諾契約,サービス契約などの図書館それぞれの要因に左右される。 

B.3.1.3.6 出典 

詳細は,次の参考文献を参照。 

[3](PI 6) 

B.3.1.3.7 関連指標 

データベースセッション当たり費用(B.3.1.2)及び貸出当たり費用(B.3.1.1)を参照。 

B.3.1.4 来館当たり費用(Cost per Library Visit) 

B.3.1.4.1 目的 

図書館への来館回数との関連から,図書館サービスの費用を測定する。 

B.3.1.4.2 指標の適用範囲 

全ての図書館。 

56 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

同じ方法で経費を算出する場合には,同様の使命をもつ図書館間の比較に用いてもよい。 

B.3.1.4.3 指標の定義 

1会計年度の図書館の経常経費総額を,来館及び仮想訪問の総数で除したもの。 

経常経費総額は,次の支出の合計である。 

a) 資料購入費(製本,使用許諾契約及びペイ パー ビューの費用を含む。) 

b) 人件費(プロジェクト職員,学生補助員などを含む。) 

c) その他全ての使途にかかる経費,すなわち,コンピュータ及びネットワークの運用・維持費,ソフト

ウェアの使用許諾契約及び通信にかかる費用,不動産の賃借料及び建物維持費,水道光熱費(暖房・

電気・上下水道),既存のじゅう(什)器及び機器の修理費又は交換費,その他の費用(例 目録作成,

複写,郵送,サービスの広報,事務用品,保険,交通,通信,コンサルティング) 

資本支出[用地の取得,建物の新築又は増改築,並びにコンピュータシステム,じゅう(什)器及び機

器にかかる経費]は含めない。 

この指標において,“来館”とは,人(個人)が図書館の中に入ること又は出ること(入館及び退館の両

方ではなく,いずれかで1回と数える。)を指す。仮想訪問は,図書館の外から,図書館のウェブサイトへ

の利用者の要求であり,閲覧したページ及び要素の数には関係しない。 

B.3.1.4.4 方法 

B.3.1.4.4.1 

図書館に入館又は退館した人を自動的に数えるための入退館計数装置又は類似の装置を用いる。同じ期

間の仮想訪問を数える。会計データを用いて,1会計年度の経常経費総額を計算する。当年度の金額につ

いては,予算データから推定してもよい。 

来館当たり費用(ICLV1)は,次の式による。 

ICLV1=A/(B+C) 

ここに, 

A: 当該通貨で表した,1会計年度の図書館の経常経費総額 

B: 1年間の来館総数 

C: 1年間の仮想訪問総数 

値は,用いた通貨の慣例に従って丸める。 

B.3.1.4.4.2 

来館及び仮想訪問の数は,標本調査によっても測定できる。 

一つ以上の標本抽出期間を決め,その間に図書館に入館又は退館した人及び図書館のウェブサイトへの

要求を数える。標本抽出期間の数及び長さは,指標の使用者が決める。年間の変動に関して入手し得る情

報を活用し,外挿法によって,1年間の来館及び仮想訪問の総数を推定する。 

注記 公共図書館の場合には,通常,1週間の1期間とする。大学図書館の場合には,大学の定期的

な諸行事を考慮し,2期間以上とする。 

来館当たり費用(ICLV2)は,次の式による。 

ICLV2=A/(B+C) 

ここに, 

A: 当該通貨で表した,1会計年度の図書館の経常経費総額 

B: 1年間の来館総数 

C: 1年間の仮想訪問総数 

値は,用いた通貨の慣例に従って丸める。 

仮想訪問の計測については,JIS X 0814:2011のA.5.3を参照。 

B.3.1.4.5 指標の解釈及び指標に影響を与える要因 

57 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

この指標は,上限のない実数とする。 

この指標を単独で用いない方がよい。この指標は,より広い観点から検討する方が有用である。この指

標は,サービスの範囲及び品質,並びに,より一般的には図書館の目標との関連から検討されるのが望ま

しい。目標に照らして解釈される場合,公的な財源からの支出の正当性を判断するために,及び同様の図

書館間での費用の相違を把握するために用いることができる。 

計算は,会計方法の違いに影響される。 

構内ネットワークなどを経由した,図書館の遠隔利用は,利用者の行動に大きな変化をもたらし得る。 

入退館計数装置又は類似の装置を用いる場合には,図書館職員その他の非利用者が含まれるため,数値

は実際よりもかなり高くなる可能性がある。 

この指標は,電子的手段若しくは電話による要求が多い図書館,又は他の遠隔利用者サービスの利用が

多い図書館にとっては,あまり適切ではない。 

季節変動が大きい場合には,利用が比較的安定している時期に,期間を短めにして数回測定するのが望

ましい。 

この結果の解釈は,サービス契約などの図書館それぞれの要因に左右される。 

B.3.1.4.6 出典 

詳細は,次の参考文献を参照。 

[4] pp. 52-53[“Cost per user(利用当たり費用)”の別形] 

B.3.1.4.7 関連指標 

利用者当たり費用(B.3.4.1)及び人口当たり来館回数(B.2.2.1)を参照。 

B.3.2 アクセス 

B.3.2.1 資料の受入に要する期間(中央値)(Median Time of Document Acquisition) 

B.3.2.1.1 目的 

図書館資料の供給者が,納入の迅速性の点で有効である程度を測定する。 

B.3.2.1.2 指標の適用範囲 

全ての図書館。特にモノグラフの受入に有用である。 

供給者間で比較してもよい。 

B.3.2.1.3 指標の定義 

資料の発注日から,それが図書館に到着した日までの日数の中央値。寄贈又は交換で受け入れた資料及

び出版前に発注した資料は除く。 

B.3.2.1.4 方法 

B.3.2.1.4.1 

資料の受入をコンピュータで処理している図書館の場合には,最近,発注した又は受け入れた,全ての

モノグラフのデータを発注ファイルで調べ,次の情報を確認する。 

− 発注日 

− 受入日 

− 供給者名(複数の供給者を使っている場合) 

タイトルごとに発注から受入までの日数を計算する。経過日数の順にタイトルを並べる。 

資料の受入に要する期間(中央値)は,この並びの中央に位置する日数である。 

注記 まだ受け入れていない資料は,処理の完了日を記録できないため,計算から除く。 

タイトルの数が偶数の場合には,資料の受入に要する期間(中央値)(IMTDA)は,次の式による。 

58 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

IMTDA=(A+B)/2 

ここに, A及びBは,並びの中央に位置する二つの値とする。 

小数点以下は,四捨五入する。 

B.3.2.1.4.2 

受入をコンピュータで処理していない図書館の場合には,まず幾つかの主題のモノグラフから無作為標

本を抽出する。図書館が複数の供給者を使っている場合には,供給者ごとに典型的な標本が抽出されるよ

う考慮する。 

後は,方法B.3.2.1.4.1と同様に処理する。 

結果は,供給者別及び主題別に分析することができる。 

B.3.2.1.5 指標の解釈及び指標に影響を与える要因 

この指標は,上限のない整数とする。 

この指標は,ベンダ(及び出版者)のパフォーマンスの不具合,及び図書館の督促手順の非効率性を指

摘できる。 

この結果に対する対策としては,次のものが考えられる。 

− オンライン発注の導入 

− 一括見計らい納入方式の導入 

− 納入遅れに対する督促の改善 

− ベンダの変更 

− ベンダの改善努力(結果をベンダに通知した場合) 

資料の受入までの速さは,ベンダからの注文に対する出版者の応答時間に影響される。注文に対する出

版者の応答を測定するのに十分な大きさの標本(特定の出版者から最近受け入れた資料の標本)を得るの

は困難と考えてよい。 

ほとんどの発注を出版より前に行っている図書館では,古い資料,外国資料,灰色文献及び同様の資料

の割合が過度に高い標本を得ることになり,その結果,指標の値が非常に高くなる。 

B.3.2.1.6 出典 

詳細は,次の参考文献を参照。 

− [1] 

− [19] 

− [23] 

− [25] pp. 189-192[“Acquisition Speed(受入の迅速性)”] 

B.3.2.1.7 関連指標 

整理に要する期間(中央値)(B.3.2.2)を参照。 

B.3.2.2 整理に要する期間(中央値)(Median Time of Document Processing) 

B.3.2.2.1 目的 

様々な整理手順が,迅速性という点で有効かどうかを測定する。 

B.3.2.2.2 指標の適用範囲 

全ての図書館。特にモノグラフについて有用である。資料の様々な種類又は様々な主題に適用できる。 

目録記述の水準,件名目録作業,製本方針などに影響を与える,図書館の使命の相違を考慮する場合に

は,図書館間で比較できる。結果を解釈するときには,コンピュータ処理の相違及びコピーカタロギング

の利用の相違に特別な注意を払うことが望ましい。 

59 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

B.3.2.2.3 指標の定義 

資料が図書館に到着した日から,それが利用者に利用可能となった日までの日数の中央値。 

B.3.2.2.4 方法 

B.3.2.2.4.1 

測定に用いる期間(例 1か月)は,指標の使用者が決める。この期間において,図書館に到着した資

料のデータを収集する。コンピュータシステムでの処理記録を保存するか,又は整理中の資料に記録票を

付けてそれに記録する。 

タイトルごとに,次に示す整理の全段階についての正確な日付を記録する。 

− 受入(管理上の処理を含む。) 

− 目録・メタデータの作成 

− 件名標目・主題の付与 

− 装備 

− 製本 

− 配架 

タイトルごとに,到着から利用可能になるまでの日数を計算する。経過日数の大きさ順にタイトルを並

べる。整理に要する期間(中央値)は,この並びの中央に位置する日数である。 

注記 整理が終了していない資料は,整理の完了日を記録できないため,計算から除く。 

タイトルの数が偶数の場合には,整理に要する期間(中央値)(IMTDP1)は,次の式による。 

IMTDP1=(A+B)/2 

ここに, A及びBは,並びの中央に位置する二つの値とする。 

小数点以下は,四捨五入する。 

急ぎの処理,希こう(覯)書の処理,寄贈・交換資料の処理などの特別な処理は,分けて分析すること

が望ましい。整理の各段階の中央値は,同じ方法で計算できる。 

B.3.2.2.4.2 

測定に用いる期間(例 1か月)は,指標の使用者が決める。この期間における,図書館で整理を完了

した資料に関するデータを収集する。文書記録又はコンピュータファイルを調べ,次の日付を特定する。 

− 受入(管理上の処理を含む。) 

− 目録・メタデータ作成作業の完了 

− 件名標目・主題付与の完了 

− 装備の完了 

− 製本の完了 

− 配架 

タイトルごとに,到着から利用可能になるまでの日数を計算する。経過日数の大きさ順にタイトルを並

べる。 

整理に要する期間(中央値)は,この並びの中央に位置する日数である。 

タイトルの数が偶数の場合には,整理に要する期間(中央値)(IMTDP2)は,次の式による。 

IMTDP2=(A+B)/2 

ここに, A及びBは,並びの中央に位置する二つの値とする。 

小数点以下は,四捨五入する。 

60 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

急ぎの処理,希こう(覯)書の処理,寄贈・交換資料の処理などの特別な処理は,分けて分析すること

が望ましい。整理の各段階の中央値は,同じ方法で計算できる。 

B.3.2.2.5 指標の解釈及び指標に影響を与える要因 

この指標は,上限のない整数とする。 

整理の全段階のデータが収集された場合,次の点を指摘できる。 

a) 整理過程の流れの不具合 

b) 滞貨による遅れ 

c) 過負荷による遅れ 

この結果に対する対策としては,次のものが考えられる。 

− 処理過程を合理化する。 

− 短い間隔で資料を次の処理段階に送る。 

− 職員を増やす。 

B.3.2.2.6 出典 

詳細は,次の参考文献を参照。 

[25] pp. 193-198[“Media Processing Speed(資料整理の迅速性)”] 

B.3.2.2.7 関連指標 

資料の受入に要する期間(中央値)(B.3.2.1)を参照。 

B.3.3 職員 

B.3.3.1 職員の利用者サービス従事率(User Services Staff as a Percentage of Total Staff) 

B.3.3.1.1 目的 

サービス提供業務に図書館が費やす労力の程度を,後方支援業務との関連から測定する。 

B.3.3.1.2 指標の適用範囲 

全ての図書館。この指標は,同じ方法で職員数を測定する場合には,同様の使命及び利用者をもつ図書

館間で比較してもよい。 

B.3.3.1.3 指標の定義 

フルタイム換算した図書館職員総数のうち,直接に利用者サービスに従事するフルタイム換算した職員

数の百分率。 

“利用者サービス”とは,貸出,レファレンス,図書館間貸出,利用者教育,複写,資料の配架及び出

納などの職務をいう。 

B.3.3.1.4 方法 

ある会計期間における,利用者サービスに従事しているフルタイム換算の職員数を算出する。 

職員数は,フルタイム換算した職員数とし,兼務職員については,利用者サービスに従事した時間の比

率を推定する。 

注記 図書館において諸活動に従事した時間の詳細な記録がない場合には,特別に臨時調査すること

によって正確な比率を計算してもよい。 

職員に関する記録から,フルタイムの職員数を算出する。1年間を通して働いたフルタイムの職員は1

と数える。特定期間フルタイムで働いた職員は,1年間のうち働いた期間の比率で数える(小数点以下第2

位まで)。パートタイムの職員については,それぞれ,フルタイムの職員の勤務時間に対する比率に,1年

間のうち働いた期間の比率を乗じて数える(いずれも小数点以下第2位まで)。 

上記の責務のうちいずれかが(報酬の有無にかかわらず)IT部門などの外部機関に外注されている場合

61 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

は,外部化された作業量が,しかるべく数量化できる(すなわち,フルタイム換算できる)ときに限り,

この指標を適用することが望ましい。この作業量は,式のA及びBの両方に加算するのがよい。 

守衛及び建物の保守管理を担当する職員は計算から除く。 

職員の利用者サービス従事率(IUSSPTS)は,次の式による。 

IUSSPTS=(A/B)×100 

ここに, 

A: 利用者サービスに従事する,フルタイム換算した職員数 

B: フルタイム換算した職員総数 

小数点以下は,四捨五入する。 

B.3.3.1.5 指標の解釈及び指標に影響を与える要因 

この指標は,0〜100の整数とする。この指標は,品質についての指標と組み合わせて用いるのがよい。 

この指標は,次の影響を受ける。 

− 図書館の使命 

− 利用者の種類(例 大人,児童) 

− サービス拠点の数 

− 開館時間 

− 所蔵資料における開架資料の比率 

− 提供しているサービスの範囲及び種類 

− コンピュータシステムなどの技術的支援 

B.3.3.1.6 出典 

詳細は,次の参考文献を参照。 

[27] p. 19[“qualified staff assigned to reference(レファレンスに従事している有資格職員)”,“size of staff

(職員の規模)”] 

B.3.3.1.7 関連指標 

ターゲット集団の利用率(B.2.4.1)を参照。 

B.3.3.2 正答率(Correct Answer Fill Rate) 

B.3.3.2.1 目的 

職員が,よいレファレンスサービスであるための第一の要件(すなわち,質問に対して,正しい回答を

提供すること)を満たすことができる程度を測定する。 

B.3.3.2.2 指標の適用範囲 

全ての図書館。ただし,その方法はかなり複雑であり,特定の専門知識を要するので,多くの場合,規

模の大きな公共図書館若しくは大学図書館,又は図書館組織網で用いられる。 

B.3.3.2.3 指標の定義 

正答した質問数を,取り扱った質問総数で除したもの。 

B.3.3.2.4 方法 

様々な方法が使われるが,いわゆる覆面テストが最も広範に行われ,文献で報告されている。この方法

では,あらかじめ典型的な質問とその正答とを用意しておく。そして,調査を委任された利用者又は代理

人が,情報サービス担当の職員にテストであることを気付かれないように,実際の質問として問い合わせ

る。この方法は,通常の状況下でサービスを評価できるという利点をもつ。覆面テストは,対面,電話又

は電子メールによる伝統的なやりとりと同様に,オンラインレファレンスサービスにも使うことができる。

委任された利用者には,電子書式に質問を書かせる方が簡単かもしれない。デジタルレファレンスサービ

62 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

スを利用している図書館では,この指標を算出するときに,これらの処理を含めたいと考えるだろう。 

有効な結果を得るためには,次の点に注意が必要である。 

− 質問は,注意深く選択することが望ましい。 

− 委任される利用者は,実際の利用者集団の典型となるように選ぶことが望ましい。 

− 委任された利用者は,いかに振る舞うべきか適切に指導されなければならない。 

注記 多くの場合,質問に対する“正しい”答えが何であるかを決定することは難しい。これは,こ

の指標の信頼性及び実用性に影響を与える。 

正答率(ICAFR)は,次の式による。 

ICAFR=(A/B)×100 

ここに, 

A: 正答した質問数 

B: 取り扱った質問総数 

小数点以下は,四捨五入する。 

B.3.3.2.5 指標の解釈及び指標に影響を与える要因 

この指標は,0〜100の整数とする。 

この指標は,レファレンスサービスの有効性の一側面にだけ着目したものであることに常に留意するの

がよい。結果は,質問の選択,職員のコミュニケーション スキル及びその質,レファレンス資料・データ

ベースの種類及びアクセス容易性などの影響を受ける。 

低パフォーマンスを助長する要因若しくは失敗の原因を明確にできるようなテストの設計,又は他のデ

ータ収集形式との組合せによって,テスト結果の価値を高めることができる。これには,職員が質問を明

確化するためにとった手順(コミュニケーション スキル),情報源についての詳細が回答とともに提供さ

れたか,回答が見つからなかったときに他機関が紹介されたか,職員の態度はどのようであったかなどの

情報が含まれる。 

加えて,この指標は,オンラインレファレンスサービスにおいては,職員が用いた手順及び使用された

データ資源について,より有益な情報を提供できる。 

正しさという点でのレファレンス担当職員のパフォーマンスは,レファレンス情報源の利用方法を利用

者に教えるという目的と,質問にはできるかぎり迅速に回答するという目的との競合に影響される。 

質問の難しさも関係する。また,複数の正答をもつ質問,又は複数の候補から質問者が回答を選択でき

る質問があることにも留意しなければならない。 

B.3.3.2.6 出典 

詳細は,次の参考文献を参照。 

− [9] 

− [25] pp. 213-225[“Reference Fill Rate(レファレンス正答率)”] 

B.3.3.3 職員人件費に対する資料購入費の割合(Ratio of Acquisition Expenditures to Staff Costs) 

B.3.3.3.1 目的 

資料購入費を職員人件費と関連付けることで,図書館が,収入をコレクションに適切に投資しているか

どうかを測定する。 

B.3.3.3.2 指標の適用範囲 

全ての図書館。融通がきく又は包括的な予算をもち,かつ,職員人件費とコレクション経費との間で資

源を移すことができる図書館にとって,最も参考になる。 

資料収集方針及び図書館の使命の相違を考慮する場合には,経年的な比較又は図書館間の比較に用いて

63 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

もよい。 

B.3.3.3.3 指標の定義 

資料購入費(製本,使用許諾契約及びペイ パー ビューを含む。)を,正規職員(職位図に記載されてい

る職員)にかかる経費で除したもの。 

B.3.3.3.4 方法 

ある会計期間における,図書館の資料収集,購読及び使用許諾契約(製本及びペイ パー ビューを含む。)

の経費を計算する。図書館がコンソーシアムなどの包括契約に加わっている場合,契約経費における自館

の負担分だけを数えるのがよい。 

当該期間における,正規職員(職位図に記載されている職員)にかかる職員人件費を確認する。特別助

成金で支払われる職員及び学生補助員は除外する。実際の経費が計算できない場合は,平均給与を使うこ

とができる。職位図の各レベルに対する平均給与の一覧は,政府機関によって発表されたものが入手でき

る可能性がある。 

職員人件費に対する資料購入費の割合(IRAESC)は,次の式による。 

IRAESC=A/B 

ここに, 

A: 文献及び情報の収集にかかる経費 

B: 職員人件費 

B.3.3.3.5 指標の解釈及び指標に影響を与える要因 

この指標は上限のない正の実数とする。 

通常,高い値がよいとされる。この値は,図書館が収入をコレクションに適切に投資するために,作業

過程を組織的に効率化しているかどうかを示す。 

この指標は,コンソーシアムが受け入れる外部資金(例 特別助成金),コレクション構築資金の削減又

は特殊コレクションの影響を受ける。この指標は,その図書館の使命及び目標に照らして解釈されなけれ

ばならない。資料収集方針,図書館が収集する主題及び多くの職員を投入するサービスは,この値に大い

に影響を与える。 

B.3.3.3.6 出典 

詳細は,次の参考文献を参照。 

− [6](PI 3.2) 

− [25] pp. 175-179[“Ratio of Acquisitions Costs to Staff Costs(職員人件費に対する資料購入費の割合)”] 

B.3.3.4 資料整理における職員の生産性(Employee Productivity in Media Processing) 

B.3.3.4.1 目的 

特定の期間(通常1年間)における,受入資料(印刷資料及び電子資料)の職員当たり平均整理件数を

測定する。この指標は,職員の生産性を典型的に明らかにする。 

B.3.3.4.2 指標の適用範囲 

全ての図書館。 

受け入れた資料の相違,並びに資料整理の業務の流れ及び方法の相違を考慮する場合には,経年的な比

較又は図書館間の比較に用いてもよい。 

B.3.3.4.3 指標の定義 

資料整理における職員の生産性を測定する。受け入れた資料の数を,資料整理(受入及び目録作業は含

むが,遡及入力は含まない。)に従事する職員数(フルタイム換算)で除したもの。 

B.3.3.4.4 方法 

64 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

特定の期間に受け入れた印刷資料及び電子資料の数を数える。電子的定期刊行物及び新聞については,

年間購読1件を1冊として数える。 

受入及び目録作業に従事しているフルタイム換算の職員数を算出する(定期刊行物の受入及び目録作業

は含むが,遡及入力は含まない。)。非常勤職員及び常勤職員のほか,プロジェクトスタッフも考慮に入れ

る。職員が幾つかの職務に従事している場合,各々の職務に費やした時間は,標準的な期間における各時

間を記録するのがよい。このようにして,あらゆる職員が資料整理に専念した時間の割合を算出すること

ができる。時間が記録できない場合は,その代わりとして,この割合を推定することができる。 

パートタイム職員のフルタイム換算数は,次の方法をとる。 

− 通年雇用者:週当たりの勤務時間数を通常の週当たりの勤務時間数で除したもの。 

− 通年雇用でない者:週当たりの勤務時間数を通常の職員の週当たりの勤務時間数で除し,比率(雇用

週数を52で除した値)を乗じる。 

資料整理における職員の生産性(IEPMP)は,次の式による。 

IEPMP=A/B 

ここに, 

A: 特定の期間に受け入れた資料の数 

B: フルタイム換算した,資料整理に従事した職員数 

小数点以下は,四捨五入する。 

B.3.3.4.5 指標の解釈及び指標に影響を与える要因 

この指標は,上限のない整数とする。 

通常,高い値がよいとされる。 

この指標は,整理される資料の種類,資料整理の方法及びコピーカタロギングの可能性の影響を受ける。 

この指標は,上記の責務が外注化されている場合には適用しない方がよい(例 目録データの購入)。 

B.3.3.4.6 出典 

詳細は,次の参考文献を参照。 

− [6](PI 3.3) 

− [25] pp. 199-201 

B.3.4 全般 

B.3.4.1 利用者当たり費用(Cost per User) 

B.3.4.1.1 目的 

利用者数との関連から,図書館サービスの費用を測定する。 

B.3.4.1.2 指標の適用範囲 

全ての図書館。 

同じ方法で経費を計算する場合には,同様の使命をもつ図書館間の比較に用いてもよい。 

B.3.4.1.3 指標の定義 

1会計年度の図書館の経常経費又は運営経費の総額を,利用者数によって除したもの。 

経常経費総額は,次の支出の合計である。 

a) 資料購入費(製本,使用許諾契約及びペイ パー ビューの費用を含む。) 

b) 人件費(プロジェクト職員,学生補助員などを含む。) 

c) その他全ての使途にかかる経費,すなわち,コンピュータ及びネットワークの運用・維持費,ソフト

ウェアの使用許諾契約及び通信にかかる費用,不動産の賃借料及び建物維持費,水道光熱費(暖房・

電気・上下水道),既存のじゅう(什)器及び機器の修理又は交換費,その他の費用(例 目録作成,

65 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

複写,郵送,サービスの広報,事務用品,保険,交通,通信,コンサルティング) 

この指標において,“利用者”とは,過去1年間に来館した,又は他の方法で図書館のサービスを利用し

た人を指す。貸出を主な活動とする図書館の場合には,貸出を行った利用者数をターゲット集団中の利用

者数の推定値としてもよい。 

この指標では,“利用者”を,個人又は団体(組織,機関又は会社)としてもよい。 

B.3.4.1.4 方法 

B.3.4.1.4.1 

サービス対象者から無作為標本を抽出する。標本中の各人に対して,過去1年間に図書館に来館したか,

又は他の方法で図書館のサービスを利用したかを質問する。会計データを用いて,1会計年度の経常経費

総額を計算する。当年度の金額については,予算データから推定してもよい。 

利用者当たり費用(ICPU1)は,次の式による。 

ICPU1=(A/D)×(C/B) 

ここに, 

A: 当該通貨で表した,1会計年度の図書館の経常経費総額 

B: “はい”と回答した,標本中の人数 

C: 標本の人数 

D: サービス対象者数 

値は,用いた通貨の慣例に従って丸める。 

B.3.4.1.4.2 

コンピュータによる貸出システムの記録を用いて,過去1年間に資料を借りた,ターゲット集団中の利

用者数を数える。 

利用者当たり費用(ICPU2)は,次の式による。 

ICPU2=A/B 

ここに, 

A: 当該通貨で表した,1会計年度の図書館の経常経費総額 

B: 過去1年間の貸出者数 

値は,用いた通貨の慣例に従って丸める。 

B.3.4.1.5 指標の解釈及び指標に影響を与える要因 

この指標は,上限のない実数とする。 

この指標は,次の事項の評価に用いる。 

− 同一図書館における異なる期間での費用対効果の比較 

− ある地域における図書館と他のサービスとの費用対効果の比較 

− 同じ館種の他の図書館との費用対効果の比較 

この指標を単独で用いない方がよい。この指標は,より広い観点から検討する方が有用である。この指

標は,サービスの範囲及び品質,並びに,より一般的には図書館の目標との関連から検討されるのが望ま

しい。目標に照らして解釈される場合,公的な財源からの支出の正当性を判断するために,及び同様の図

書館間での費用の相違を把握するために用いることができる。計算は,会計方法の違いに影響される。貸

出者だけを数える方法を用いる場合には,資料を借りずに他のサービスを受けた利用者を除外することに

なるため,利用者当たり費用を過大に推定する可能性がある。 

B.3.4.1.6 出典 

詳細は,次の参考文献を参照。 

[4] pp. 52-53 

B.3.4.1.7 関連指標 

66 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

来館当たり費用(B.3.1.4)及び貸出当たり費用(B.3.1.1)を参照。 

B.4 

発展可能性 

B.4.1 コレクション 

B.4.1.1 電子的コレクション提供にかかる経費の割合(Percentage of Expenditure on Information Provision 

Spent on the Electronic Collection) 

B.4.1.1.1 目的 

図書館が電子的コレクションの構築に取り組んでいる程度を測定する。 

B.4.1.1.2 指標の適用範囲 

全ての図書館。 

図書館コレクションの特定部分(例 ジャーナル,主題分野)又は図書館の分館に用いてもよい。 

これらのそれぞれの領域間で,この指標の結果を比較して,百分率に著しい相違があるかどうかを調べ

てもよい。 

主題の相違,並びに資料収集方針及びサービス対象者の社会的・経済的要因の相違を考慮する場合には,

図書館間で比較してもよい。 

B.4.1.1.3 指標の定義 

図書館資料購入費の総額のうち,電子的コレクション提供にかかる経費の百分率。 

電子的コレクションには,データベース,電子逐次刊行物及びデジタル資料を含む。 

この指標において,電子的コレクション提供にかかる経費は,図書館の資料収集,購読及び使用許諾契

約にかかる費用からなる。図書館によっては,代わりに,ペイ パー ビューの費用及び電子的文献配送の

費用を電子的コレクション経費に含めることにしてもよい。値を公表する又は比較する場合には,そのこ

とを明示するのがよい。 

製本の費用は,資料購入費の総額から除く。 

ハードウェア,ソフトウェア,ネットワークなどのインフラにかかる経費,及び資料のデジタル化にか

かる経費は含めない。 

付加価値税,消費税・サービス税,又はその他の地方税を含める。これらを含めることは,国際比較に

影響がある可能性がある。 

B.4.1.1.4 方法 

ある会計期間における,電子的コレクションのための図書館の資料収集,購読及び使用許諾契約の経費

(希望に応じて,ペイ パー ビューの費用及び電子的文献配送の費用を含む。)を計算する。図書館がコン

ソーシアムなどの包括契約に加わっている場合,契約経費における自館の負担分だけを数えるのがよい。

資料の電子版を印刷版と一括で受け入れている場合は,電子版への追加支払分だけを数えるのがよい。 

電子的コレクション提供にかかる経費の割合(IPEIPSEC)は,次の式による。 

IPEIPSEC=(A/B)×100 

ここに, 

A: 電子的コレクション経費 

B: 資料購入費の総額 

小数点以下は,四捨五入する。 

B.4.1.1.5 指標の解釈及び指標に影響を与える要因 

この指標は,0〜100の整数とする。 

経年的な比較は,図書館が,その焦点を電子的情報に移す程度を明らかにする。しかし,印刷形態の資

67 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

源と電子形態の資源との間における価格構造の相違は,経年的な比較にかなりの影響を与える。 

この指標は,その図書館の使命及び目標に照らして解釈されなければならない。資料収集方針,サービ

ス対象者の構成,及び特に図書館が収集する主題は,この値に大いに影響を与える。 

したがって,この指標は,単独で用いない方がよく,コレクション利用の指標及び利用者満足度の指標

と組み合わせて用いるのがよい。 

B.4.1.1.6 出典 

詳細は,次の参考文献を参照。 

− [3](PI 11) 

− [6](PI 1.4) 

− [25] pp. 233-237 

B.4.1.1.7 関連指標 

電子的サービスに従事している職員の割合(B.4.2.1)を参照。 

B.4.2 職員 

B.4.2.1 電子的サービスに従事している職員の割合(Percentage of Library Staff Providing and Developing 

Electronic Services) 

B.4.2.1.1 目的 

図書館が電子的サービスに対する技術的支援に投入している人的資源の程度を測定する。 

B.4.2.1.2 指標の適用範囲 

自館の職員によって電子的サービスを提供する,全ての図書館。同じ方法で測定する場合には,同様の

使命及び同様の利用者をもつ図書館間の比較に用いてもよい。 

B.4.2.1.3 指標の定義 

ITサービスの計画立案・運用・提供・開発及び図書館の電子的サービスの技術的開発・改善を行う図書

館職員数(フルタイム換算)を,図書館職員総数(フルタイム換算)で除したもの。 

この指標において,電子的サービスの提供とは,図書館コンピュータシステム,図書館ウェブサーバ,

電子出版物の保管庫,電子的レファレンスシステムなど利用者に提供される全てのソフトウェア アプリケ

ーションの運用・開発,及びコンピュータ ハードウェア(サーバ,コンピュータ,プリンタ及びスキャナ)

の保守を行う職員を意味する。 

案内・ヘルプサービス,電子的資源の受入・整理,電子的コレクションのための資料のデジタル化,電

子図書館サービスの利用者教育及び図書館のインターネットサービスのコンテンツに関連する業務を行っ

ている職員は除外する。 

B.4.2.1.4 方法 

電子的図書館サービスを提供・開発する図書館職員数(フルタイム換算)は,プロジェクトのための雇

用スタッフを含めた,常勤・非常勤全ての職員が,ITサービスの計画立案・運用・提供・開発及び図書館

のウェブ上のサービスの技術的開発・改善に従事した時間の合計を算出する。 

多くの職員が電子的サービスに対する技術的支援に従事している場合は,標本抽出によってデータを収

集してもよい。例えば,ある1日又は標準的な数日の業務日誌を記録するように職員に求めてもよい。そ

の場合,技術的支援に従事した時間は,標本期間中の職員の総勤務時間に対する百分率として算出できる。 

図書館職員総数(フルタイム換算)は,プロジェクトのための雇用スタッフを含めた,常勤・非常勤全

ての図書館職員をフルタイム換算した合計を算出する。 

電子的サービスに従事している職員の割合(IPLSPDELS)は,次の式による。 

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X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

IPLSPDELS=(A/B)×100 

ここに, 

A: ITサービス及び/又はウェブ上のサービスを提供・

運用・開発している図書館職員数(フルタイム換算) 

B: 図書館職員総数(フルタイム換算) 

小数点以下は,四捨五入する。 

B.4.2.1.5 指標の解釈及び指標に影響を与える要因 

この指標は,0〜100の整数とする。この値は,図書館が,ITサービス及びウェブ上のサービスの提供・

開発に与えている優先度を示す。 

上記の責務のうちいずれかが(報酬の有無にかかわらず)IT部門などの外部機関に外注されている場合

は,外部化された作業量が,しかるべく数量化できる(すなわち,フルタイム換算できる)ときに限り,

この指標を適用することが望ましい。この作業量は,式のA及びBの両方に加算するのがよい。 

B.4.2.1.6 出典 

詳細は,次の参考文献を参照。 

− [3](PI 13を適用) 

− [6](PI 4.4) 

− [25] pp. 238-241 

B.4.2.1.7 関連指標 

電子的コレクション提供にかかる経費の割合(B.4.1.1)を参照。 

B.4.2.2 職員当たり公式研修参加時間数(Number of Attendance Hours at Formal Training Lessons per Staff 

Member) 

B.4.2.2.1 目的 

公式研修に参加することによる,図書館職員のスキルの向上を測定する。 

B.4.2.2.2 指標の適用範囲 

全ての図書館。 

B.4.2.2.3 指標の定義 

職員の公式研修参加時間を,図書館職員総数(総人数であって,フルタイム換算ではない。)で除したも

の。 

研修は,あらかじめ用意された指導として構成され,館内又は外部で開催されるもの,及び図書館職員

又は外部の専門家によって主催されるものがあり得る。 

この指標は,研修参加者の人数も測定する。 

B.4.2.2.4 方法 

公式研修参加時間数は,図書館職員がこれらの研修に参加した記録を取ること及びこれらの研修の参加

時間を数えることによって確認できる。次に,この時間数を職員総数で除す。 

職員当たり公式研修参加時間数(INAHFTLSM)は,次の式による。 

INAHFTLSM=(A/B)×100 

ここに, 

A: 特定期間における公式研修参加時間数 

B: 図書館職員総数 

小数点以下は,四捨五入する。 

B.4.2.2.5 指標の解釈及び指標に影響を与える要因 

この指標は,上限のない整数とする。値が高いほど,研修参加の点で条件がよいことを意味する。低い

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X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

値は,職員研修促進の必要性を示している。しかし,公式研修参加時間数が多くとも,同じ職員が関係し

ている可能性がある。この指標は,非公式な研修を含まないため,単に研修を促進する平均的程度を示す

ことはできるが,高精度で全般的な浸透度の尺度を提供することはできない。 

B.4.2.2.6 出典 

詳細は,次の参考文献を参照。 

− [2] p. 35[“hours of formal information technology instruction per staff member(職員当たり公式技術研修時

間数)”] 

− [3](PI 12を適用) 

− [6](PI 4.1) 

− [25] pp. 238-241[“Attendances at training lessons per staff member(職員当たり研修参加数)”] 

B.4.2.2.7 関連指標 

電子的サービスに従事している職員の割合(B.4.2.1)を参照。 

B.4.3 全般 

B.4.3.1 特別助成金又は創出収入によって得た資金の割合(Percentage of Library Means Received by Special 

Grant or Income Generated) 

B.4.3.1.1 目的 

図書館が追加的な財源を獲得できた程度を測定する。 

B.4.3.1.2 指標の適用範囲 

全ての図書館。 

資金提供団体の相違,及び外部の団体から継続的に資金提供を受けている図書館の特別な職務の相違を

考慮する場合,経年的な比較又は図書館間の比較に用いてもよい。 

B.4.3.1.3 指標の定義 

特別助成金又は創出収入によって得た資金の百分率。 

図書館の資金総額には,資本支出のための資金を含む。特別助成金又は創出収入によって得た資金には,

資金提供団体によって支払われなかった資本支出のための資金を含む。 

B.4.3.1.4 方法 

資本支出のための資金を含む図書館の資金総額を数える。小計として,図書館の創出収入及び特別助成

金による収入を,資金提供団体によって支払われなかった資本支出のための資金を含めて計算する。特別

助成金によって得た資金には,失業者のためのプログラムの資金を含める。 

特別助成金又は創出収入によって得た資金の割合(IPLMRSGIG)は,次の式による。 

IPLMRSGIG=(A/B)×100 

ここに, 

A: 特別助成金及び創出資金によって得た図書館の資金 

B: 図書館の資金総額 

四捨五入し,小数点以下第1位まで求める。 

B.4.3.1.5 指標の解釈及び指標に影響を与える要因 

この指標は,0〜100の実数とする。 

高い値は,図書館が追加的な資金獲得に主体的に取り組み,成功したことを意味する可能性がある。こ

の場合,図書館は野心的かつ意欲的であると考えられる。 

この指標は,図書館の主な使命の範囲を超えた,追加的な資金獲得の対象となる職務への図書館の取組

の程度を確認するのにも役立つ。 

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X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

この指標は,図書館の使命が,より多くの助成金が得られるような調査活動と関連しているかどうかに

影響され得る。資金提供団体から受け取る資金の減少にも影響される可能性がある。図書館の特別助成金

及び収入が一定の場合,こうした資金の減少は,この値の増加につながる。 

B.4.3.1.6 出典 

詳細は,次の参考文献を参照。 

− [6](PI 4.3) 

− [25] pp. 246-249 

B.4.3.2 図書館向けに措置される機関の資金の割合(Percentage of Institutional Means Allocated to the 

Library) 

B.4.3.2.1 目的 

資金提供団体における(通貨単位で表した)図書館の重要性,及び資金提供団体からの支援を測定する。 

B.4.3.2.2 指標の適用範囲 

全ての高等教育機関の図書館。統合された図書館組織網と,多くの部局図書館をもつ複層の図書館組織

網とを比較することは難しい。 

公共図書館は,資金提供団体(自治体)の予算総額のうち,図書館向けに措置された公的資金の百分率

を得るために,この指標を用いてもよい。 

B.4.3.2.3 指標の定義 

図書館向けに措置された機関の資金(第三者の資金を除く。)の百分率。 

この指標において,機関の資金には,その機関の1年間の予算全体を含めるが,第三者の資金及び前年

の剰余金は含めない。 

この指標において,図書館の資金は,資料購入費,物品費,人件費,資本支出,一時的な資金などの名

目で,資金提供団体から得た全ての資金からなる。第三者の資金,特別助成金及び図書館の創出収入は除

く。 

特別助成金とは,主要なプロジェクトに資金(又は部分的な資金)を提供する,非経常的な助成金をい

う。 

B.4.3.2.4 方法 

ある会計期間における,図書館の資金を計算する(資本支出及び機関から得た一時的な資金を含む。図

書館の創出収入,第三者の資金及び特別助成金は除く。)。 

同じ期間について,(第三者の資金を除いた)機関の資金を確認する。 

図書館向けに措置される機関の資金の割合(IPIMAL)は,次の式による。 

IPIMAL=(A/B)×100 

ここに, 

A: 図書館の資金 

B: 機関の資金 

四捨五入し,小数点以下第1位まで求める。 

B.4.3.2.5 指標の解釈及び指標に影響を与える要因 

この指標は,0〜100の実数とする。 

通常,高い値がよいとされる。高い値は,その機関にとっての図書館の価値及び図書館の財政的必要性

を資金提供団体が認めていることを示し,図書館が利用者に対してよりよいサービスを提供することを可

能にすると考えてもよい。 

この指標は,外部の資金提供団体・機構(例 政府の資金)の存在の影響を受ける。高額の資金をもつ

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X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

図書館の特別な職務(例 特別コレクション)の影響も受ける。 

B.4.3.2.6 出典 

詳細は,次の参考文献を参照。 

− [6](PI 4.2) 

− [25] pp. 250-253 

72 

X 0812:2012 (ISO 11620:2008) 

  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

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[31] 対応国際規格ではISO 2789:2006が記載されているが,この規格では引用規格とし,参考文献から削

除した。 

[32] ANSI/NISO Z39.7:2004, Information Services and Use: metrics & statistics for libraries and information 

providers−Data Dictionary 

[33] JIS X 0701:2005 情報及びドキュメンテーション−用語 

注記 対応国際規格:ISO 5127:2001,Information and documentation−Vocabulary(MOD) 

[34] JIS Q 9000:2006 品質マネジメントシステム−基本及び用語 

注記 対応国際規格:ISO 9000:2005,Quality management systems−Fundamentals and vocabulary(IDT) 

[35] Dublin Core Metadata Initiative, available at http://dublincore.org/documents/usageguide/glossary.shtml