2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
X 0210-1986
情報交換用文字列による数値表現
Representation of Numerical Values in Character
Strings for Information Interchange
1. 適用範囲 この規格は,データ処理システム間の情報交換に用いるために機械的に読み取ることので
きる文字列によって,数値を表現する場合の3種類の表現形式について規定する。
この規格は,有限個の数字又は有限個の数字と小数点で構成される正負の10進数についてだけ適用する。
表現する数値の精度を伝える方法,数値間の区切り方又は複素数のような高次元の数値を表現するため
の数値間の関係付けについては,この規格では規定しない。
また,この規格は,プログラム言語標準の開発者とプログラム製品の開発者に対する指針を提供するも
のでもある。この規格で規定する数値表現は,人にも了解可能であるから,人相互の伝達手段としても有
効である。
引用規格:
JIS X 0201 情報交換用符号
JIS X 0202 情報交換用符号の拡張法
対応国際規格:
ISO 6093 Representation of numerical values in character strings for information interchange
2. 適合性 数値表現は,ここに規定する3種類の表現形式のいずれか一つに該当する場合に,この規格
に適合する。
この規格に適合していることを宣言する場合には,数値表現がこの規格で規定する3種類のうちのいず
れであるかを明示するとともに,小数点記号を用いる場合には,それがコンマであるかピリオドであるか
を明示しなければならない。小数点記号の指定がない場合には,小数点記号はピリオドであるとみなされ
る。
3. 用語の意味 この規格で用いる主な用語の意味は,次のとおりとする。
(1) 位取り記数法 数を文字列で表し,その値が文字の値とその置かれた位置によって定まるような数の
表記法。
(2) 小数点記号 数の整数部の数字と小数部の数字とを分離する文字。
(3) 欄 データ伝送媒体上の文字位置列のある連続領域。
(4) 欄記述 欄の中の情報が情報交換当事者に数値として一意に解釈されることを保証するために,欄に
与えられる特性の集合。
備考 記述は,一群の交換データ内の各欄に対して,当事者間の情報交換の合意に伴う文書の中で定
める。欄記述は,欄幅の指定を含まなければならない。
(5) 欄幅 欄の文字位置の数。
4. 文字集合
2
X 0210-1986
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
4.1
概要 数値表現に用いる文字集合は,JIS X 0201(情報交換用符号)に規定された文字集合の部分集
合とする。
4.2
構文 附属書1に記述する構文記述法に従って,数値表現の記述に用いる構文要素を次のとおり定
義する。
(1) 数字=0/1/2/3/4/5/6/7/8/9
(2) 符号=+/−
(3) 小数点記号=, /.
(4) 間隔=間隔文字 (SP)
(5) 指数記号=E/e
4.3
構文の意味 構文要素を定義する文字は,JIS X 0201に規定された文字でなければならない。表4
は,JIS X 0201のローマ文字用7単位符号表であって,表中の斜線を施していない部分に配置された文字
を構文要素として用いられる文字とする。
4.4
文字の符号化 文字の符号化は,JIS X 0201の規定(ローマ文字用7単位符号及び8単位符号)に
よる。
なお,拡張符号系を使用する場合の符号化は,JIS X 0202(情報交換用符号の拡張法)の規定による。
5. 数値表現第1形式 (NR1) 数値表現第1形式は,数を数字列で表し,小数点記号は明示せず,その
小数点位置が固定である位取り記数法とする。
備考 この数値表現は,暗黙小数点表現とも呼ばれる。
5.1
概要 NR1は,先行間隔文字(任意)とそれに続く符号又は間隔文字(符号付き表現の場合)及び
数字列で構成しなければならない。
欄の中には,少なくとも1個の数字が含まれ,間隔文字は,間隔文字以外の文字の中間又は欄の後尾に
含まれてはならない。
5.2
構文 構文は,次による。
NR1
=符号なしNR1/符号付きNR1
符号なし NR1 =間隔* 数字 数字*
符号付き NR1 =間隔* (符号/間隔) 数字 数字*
備考 構文記述法については,附属書1を参照。
5.3
構文の意味 NR1を含む欄の欄幅は,間隔文字の数と数字の数の和又は符号付き表現で符号が存在
する場合には,それより1多い数に等しくなければならない。
符号なしNR1では,数値はゼロより大であるか,ゼロに等しくなければならない。
符号付きNR1では,正符号は間隔文字で置き換えてもよい。
NR1では,暗黙小数点の位置は,欄記述を規定した文書の中で欄の位取り因数が指定された場合以外は,
最右端の数字の直後になければならない。
数値0の符号付き表現は,正符号か間隔文字を含み,負符号を含んではならない。
3
X 0210-1986
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
5.4
NR1の例 表1の例では,欄幅を7とし,間隔文字は,△で表してある。
表1 NR1の例
通常の記法
符号なしNR1
符号付きNR1
4902
0004902
△△04902
△△△4902
+004902
△+04902
△△+4902
△△△4902
+1234
0001234
△△△1234
+001234
△△+1234
△△△1234
−056780
表現不能
−056780
△−56780
0
0000000
△△△△△△0
+000000
△△△△△+0
△△△△△△0
1234567
1234567
表現不能
6. 数値表現第2形式 (NR2) 数値表現第2形式は,数を文字列で表し,小数点は特定の文字で明示す
る位取り記数法とする。
備考 この数値表現は,明示小数点表現とも呼ばれる。
6.1
概要 NR2は,先行間隔文字(任意)とそれに続く符号又は間隔文字(符号付き表現の場合)及び
小数点記号を含む数字列で構成しなければならない。
欄の中には,少なくとも1個の数字が含まれ,間隔文字は,間隔文字以外の文字の中間又は欄の後尾に
含まれてはならない。
小数点記号の右に1個以上の数字がある場合でも,小数点記号の左に少なくとも1個の数字があること
が望ましい。
6.2
構文 構文は,次による。
NR2
= 符号なしNR2/符号付きNR2
符号なしNR2 = (間隔* 数字 数字* 少数点記号 数字*)/(間隔* 数字* 小数点記号 数
字 数字*)
符号付きNR2 = (間隔*(符号/間隔) 数字 数字* 小数点記号 数字*)/(間隔*(符号/
間隔) 数字* 小数点記号 数字 数字*)
備考 構文記述法については,附属書1を参照。
6.3
構文の意味 NR2を含む欄の欄幅は,間隔文字の数と数字の数の和より1多い数又は符号付き表現
で符号が存在する場合には,2多い数に等しくなければならない。
符号なしNR2では,数値はゼロより大であるか,ゼロに等しくなければならない。
符号付きNR2では,正符号は間隔文字で置き換えてもよい。
小数点記号の位置は,欄記述を規定した文書の中で欄の位取り因数が指定された場合以外は,数値の真
の小数点位置を表していなければならない。
数値0の符号付き表現は,正符号か間隔文字を含んでいるべきであって,負符号を含んではならない。
4
X 0210-1986
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
6.4
NR2の例 表2の例では,欄幅を8とし,間隔文字は,△で表してある。
表2 NR2の例
通常の記法
符号なしNR2
符号付きNR2
1327.
1327.000
0001327.
△△△1327.
+1327.00
△△+1327.
△△△1327.
123,45
00123,45
△△123,45
△+123,45
△△123,45
1237,0
△△1237,0
△+1237,0
△△1237,0
.00001
00.00001
+0.00001
−5, 678
表現不能
−5,67800
−05,6780
1234,567
1234,567
表現不能
0
000,0000
△△△△△0,0
+0,00000
△△△△+0,0
△△△△△0,0
△△△△△△0,
7. 数値表現第3形式 (NR3) 数値表現第3形式は,数を仮数及び指数と呼ばれる2個の数で表す記数法
とし,その数値は,仮数の値に10の指数乗を乗じた値に等しい。
備考 この数値表現は,明示小数点指数表現とも呼ばれる。
7.1
概要 NR3は,数値A×10B(Bは整数)を表す一般形 (A) E (B) の形式でなければならない。
NR3は,先行間隔文字(任意)とそれに続く符号又は間隔文字(符号付き表現の場合),仮数,文字E
(又はe)及び指数からなる文字列で構成しなければならない。
仮数は,小数点の位置を明示する小数点記号と1個以上の数字で構成しなければならない。
文字E(又はe)は仮数の直後に,指数は文字E(又はe)の直後に続かなければならない
指数は,先行符号(省略される場合がある。)とそれに続く1個以上の数字で構成しなければならない。
欄内の中では,間隔文字は,間隔文字以外の文字の中間又は欄の後尾に含まれてはならない。
小数点記号の右に1個以上の数字がある場合でも,小数点記号の左に少なくとも1個の数字があること
が望ましい。
7.2
構文 構文は,次による。
NR3
=符号なしNR3/符号付きNR3
符号なし NR3 =間隔* 仮数 指数記号 指数
符号付き NR3 =間隔* (符号/間隔) 仮数 指数記号 指数
仮 数
=(数字 数字* 少数点記号 数字*)/(数字* 少数点記号 数字 数字*)
指 数
=符号? 数字 数字*
備考 構文記述法については,附属書1を参照。
5
X 0210-1986
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
7.3
構文の意味 NR3を含む欄の欄幅は,次による。
(1) 間隔文字の数と数字の数の和より4多い数(符号付き表現の場合)
(2) 間隔文字の数と数字の数の和より3多い数(符号付き表現で正符号が間隔文字で置き換えられた場合,
符号なし表現の場合及び符号付き表現で指数の符号が省略された場合)
(3) 間隔文字の数と数字の数の和より2多い数(符号付き表現で正符号が間隔文字で置き換えられ,かつ,
指数の符号が省略された場合及び符号なし表現で指数の符号が省略された場合)
符号なしNR3では,数値はゼロより大であるか,ゼロに等しくなければならない。
符号付きNR3では,正符号は間隔文字で置き換えてもよい。
指数の値がゼロである場合は,指数の符号は正符号でなければならない。指数の値がゼロでなく,かつ
符号が省略されている場合には,指数は正とする。
数値0の符号付き表現は,正符号か間隔文字を含み,仮数は数字0と小数点記号だけ,指数は正符号と
数字0だけでなければならない。
7.4
NR3の例 表3の例では,欄幅を8とし,間隔文字は△で表してある。
表3 NR3の例
通常の記法
符号なしNR3
符号付きNR3
5600
00.56E+4
△5.6e+03
+0.56E+4
+5.6e+03
.00003
00.3E−04
△0.3e−04
+0.3E−04
△0.3e−04
−2,8
表現不能
−2,8E+00
0
△0.0E+00
△△△0.e+0
+0.0E+00
△△△0.e+0
7.5
NR3の正規形 仮数が0.1≦仮数の値<1の範囲の適当な小数であるようなNR3は,正規形と呼ば
れる。任意の数値は,指数の値を適当に選ぶことによって,次の例に示すようにただ一通りの正規形で表
現することができる。
例:通常の表記法:6.1902×103
正規形NR3:+0.61902E+04
6
X 0210-1986
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表4 ローマ文字用7単位符号
注(1) (SP) は,印字されないものとする。
7
X 0210-1986
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書1 構文記述法
構文は,数字又は符号のような各種の型の構文要素を一連の置換則によって定義するとともに,どの記
号列がどの構文要素に対応するかを記述する。
構文中に用いる構文演算子は,次のとおりとする。
(1) 斜線,/:構文要素が幾通りかの方法の一つで置換されることを示す構文演算子。
(2) アステリスク,*:アステリスクが付いている構文要素が0回を含めて任意回繰り返されることを示す
構文演算子。
(3) 左小括弧及び右小括弧,( ):( )内が一群の構文要素であることを示す構文演算子。
(4) 疑問符,?:疑問符が付いている構文要素が省略されることがあることを示す構文演算子。
8
X 0210-1986
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
参考1 小数点記号としてのコンマの使用
文字コンマは,手書き又は印刷された数字列中の小数点を表す記号としてヨーロッパ諸国で広く使用さ
れているとともに,文字読取り装置用の媒体などに記録されるデータとしては,人に対する数値表現と機
械で読み取る数値表現が一致していることが望ましいことから,小数点記号としてこの規格に含められた。
FORTRAN,BASICなど,広く使用されているプログラム言語のあるものでは,コンパイルされたプロ
グラムで処理できるデータの中に小数点記号としてコンマを使用することを陽には許していないけれども,
このことがこの規格にコンマを含めることに対して強い障害になるとは認められない。
コンパイルされたプログラムで小数点記号としてコンマを含んだデータを処理したい要求があれば,プ
ログラム言語仕様にそのようなデータ表現がなくても、コンパイラの特殊パラメタ制御機能によって,プ
ログラム言語で規定された標準小数点記号及び他の分離記号の位置にデータ中で使用したい文字を置き換
えることができるので,コンマの使用が原理的に可能である。
9
X 0210-1986
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
参考2 プログラム言語への適用
1. 概要 数値をこの規格に適合する形式に交換データ中で表現しようとする場合には,その表現形式の
生成処理及び受信処理は,多くの場合プログラム言語の文によって規定される。そのような処理の規定を
許すプログラム言語は,NR1,NR2及びNR3のうちの少なくとも一つを生成し受信できることが必要であ
る。さらに,プログラム言語が一つ以上のNRの表現形式を規定された処理によって生成することを許す
場合には,その表現形式を適切に規定された処理によって受信できるようにしなければならない。
各種NRの生成及び受信に使用可能な一般的プログラム言語記述技法の例を2.〜7.に示す。ただし,こ
れらの例は,すべての場合を網羅したものではない。
2. COBOL PICTURE文字列 プログラム言語COBOLのPICTURE文字列にこの規格を適用するための
仕様を参考表1及び次に示す。
参考表1 COBOL PICTURE文字列に対する適用例
表現形式
仕様の型
例
実際の指定
生成NR
符号なしNR1
Z (w−1) 9
Z (5) 9
△△△△53
△△△△△0
符号付きNR1
+ (w−1) 9
+ (5) 9
△△△+53
△△△△+0
S9 (w−1)
S9 (5)
+00053
+00000
符号なしNR2
Z (w−d−2) 9.9 (d)
Z (5) 9.9 (2)
△△△△53.26
△△△△△0.15
Z (w−d−1) .9 (d)
Z (5) .9 (2)
△△△53.26
△△△△△.15
符号付きNR2
+ (w−d−2) 9.9 (d)
+ (5) 9.9 (2)
△△△+53.26
△△△△+0.15
+ (w−d−1) .9 (d)
+ (5) .9 (2)
△△+53.26
△△△△+.15
符号付きNR3
(COBOLでは利用不可)
(1) ( )内のwは欄幅を,dは小数点記号の右にある数字の数を表す。
(2) ( )内は符号なしのゼロでない整数でなければならない。
(3) 欄幅wは,符号及び小数点記号を含めて,表現される数値を含むのに十分な長さでなければならない。
(4) NR1又はNR2を指定するPICTURE文字列中には,少なくとも1個の数字9が存在しなければならな
い。
(5) 数値は,欄内で右寄せされる。
(6) 符号付きNRで,正の数値の符号を抑制したい場合には,PICTURE文字+の代わりに−を使用しなけ
ればならない。
(7) 文字列中のPICTURE文字+,−又はZの数が,符号が移動できる又は数字0が抑制される最右端の
文字位置を決める。
(8) 入力数値データに許されているPICTURE文字列は,先行S(符号付きNRの場合)及び9又はその繰
返しである。
10
X 0210-1986
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
3. FORTRAN編集記述子と符号制御 プログラム言語FORTRANの編集記述子と符号制御にこの規格を
適用するための仕様を参考表2及び次に示す。
参考表2 FORTRANの編集記述子と符号制御に対する適用例
表現形式
仕様の型
例
実際の指定
生成NR
符号なしNR1
SS, Iw
SS, I6
△△△△53
△△△△△0
符号付きNR1
SP, Iw
SP, I6
△△△+53
△△△△+0
符号なしNR2
SS, Fw. d
SS, F9,2
△△△△53.26
△△△△△0.15
SS, F7.0
△△△△53.
△△△△△0.
F7.6
.150000
符号付きNR2
SP, Fw. d
SP, F9.2
△△△+53.26
△△△△+0.15
SP, F7.0
△△△+53.
△△△△+0.
SP, F7.5
+.15000
符号付きNR3
SP, Ew. dEe
SP, E11.4E2
+0.5326E+02
+0.0000E+00
SP, Gw. dEe
(11) 参照
(1) 記述子wは欄幅,dは小数点記号の右指数記号の左にある数字の数,eは指数の数字の数を表す。
(2) 記述子w及びeは,符号なしのゼロでない整数で,記述子dは,符号なしの整数でなければならない。
(3) 欄幅wは,符号,小数点記号及び指数記号Eを含めて,表現される数値を含むのに十分な長さでなけ
ればならない。欄幅には,小数点記号の左にある数字0(省略可能)を含む必要はない。
(4) 生成されたすべてのNRには,少なくとも1個の数字が存在しなければならない。特に,NR3では,
仮数と指数の両方に少なくとも1個の数字が存在しなければならない。
(5) 数値は,欄内で右寄せされる。
(6) 符号なしNR1及びNR2は,数値が正であって符号仰制制御 (SS) が存在する場合にだけ処理系が生
成する。そうでない場合には,処理系は欄幅が符号を含んでいるときには正の数値に対して正符号を
出力することが許される。
(7) 正の数値の符号付きNR1,NR2又はNR3は,正符号制御 (SP) が指定されていれば,正符号を付けて
生成される。もしSPが指定されていない場合は,処理系は正符号の代わりに間隔文字を出力するこ
とができる。
(8) NR3は,編集記述子がEw. dEeの形式であってSPが指定された場合にだけ生成される。もし指定さ
れた形式がEw. dの場合には,処理系は指数の正符号を間隔文字で置き換えること又は指数記号を省
略した指数形を用いることを許される。小数点記号の左に数字0を置くかどうかは処理系の任意であ
って,もし置かないならば,符号が小数点記号のすぐ左にくる。
(9) FORTRANは,入力の場合,符号付きNR1,NR2又はNR3の正符号と間隔文字とを区別しない。
(10) Dw. d編集記述子による出力は,この規格に適合するとは限らない。この規格に適合するためには,
Dw. d編集記述子の代わりにEw. dEe編集記述子を倍精度数値に対して使用すればよい。
(11) Gw. dEe編集記述子は,出力の場合,指数を伴って表現された数値に対してだけこの規格に適合する。
Gw. dEe編集記述子を用いてNR2形式で表現された数値に対しては,欄内での数値の右寄せは行われ
11
X 0210-1986
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
ない。
4. PL/I FORMAT文字列 プログラム言語PL/IのFORMAT文字列にこの規格を適用するための仕様を
参考表3及び次に示す。
参考表3 PL/IのFORMAT文字列に対する適用例
表現形式
仕様の型
例
実際の指定
生成NR
符号なしNR1
F (w)
F (6)
△△△△53
F (w, 0)
△△△△△0
符号付きNR1
F (w)
F (6)
△△△△53
F (w, 0)
△△△△△0
符号なしNR2
F (w, d)
F (9, 2)
△△△△53.26
△△△△△0.26
符号付きNR2
F (w, d)
F (9, 2)
△△△△53.26
△△△△△0.26
F (7, 4)
−0.1500
符号付きNR3
E (w, d)
E (11, 4)
△0.5326E+01
△0.0000E+00
(1) 記述子wは欄幅を,dは小数点記号の右かつ指数記号の左にある数字の数を表す。
(2) 記述子wは,符号なしのゼロでない整数でなければならない。記述子dは,NR1を生成する場合を除
き,符号なしのゼロでない整数でなければならない。
(3) 欄幅wは,符号,小数点記号及び指数記号Eを含めて,表現される数値を含むのに十分な長さでなけ
ればならない。
(4) 生成されたすべてのNRには,少なくとも1個の数字が存在しなければならない。特に,NR3では,
仮数と指数の両方に少なくとも1個の数字が存在しなければならない。
(5) 数値は,欄内で右寄せされる。
(6) 符号なしNR1及びNR2は,表現される数値が正の場合にだけ生成可能である。
(7) 正の数値の符号付きNR1,NR2及びNR3は,符号位置に間隔文字を伴って生成される。
(8) PL/Iは,入力の場合,符号付きNR1,NR2又はNR3の正符号と間隔文字とを区別しない。
(9) PL/Iは,E (w, 0) が指定された場合は,小数点をもつNR3を生成しない。
5. PL/I PICTURE文字列 プログラム言語PL/IのPICTURE文字列にこの規格を適用するための仕様を
参考表4及び次に示す。
12
X 0210-1986
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
参考表4 PL/IのPICTURE文字列に対する適用例
表現形式
仕様の型
例
実際の指定
生成NR
符号なしNR1
p' (w−1) Z9V'
p' (5) Z9V'
△△△△53
△△△△△0
符号付きNR1
p' (w−1) S9V'
p' (5) S9V'
△△△+53
△△△△+0
符号なしNR2
p' (w−d−2) Z9V. (d) 9'
p' (5) Z9V. (2) 9'
△△△△53.26
△△△△△0.15
p' (w−2) Z9V'
p' (5) Z9V.'
△△△△53.
△△△△△0.
p' (w−d−1) ZV. (d) 9'
p' (5) ZV. (2) 9'
△△△53.26
△△△△△.15
符号付きNR2
p' (w−d−2) S9V. (d) 9'
p' (5) S9V. (2) 9'
△△△+53.26
△△△△+0.15
p' (w−2) S9V.'
p' (5) S9V.'
△△△+53.
△△△△+0.
p' (w−d−1) SV. (d) 9'
p' (5) SV. (2) 9'
△△+53.26
△△△△+.15
符号付きNR3
p' (w−b−d−f−3) S (b) 9V. (d) 9ES (f) 9'
p' (3) S9V. (4) 9ES (2) 9
+532.6000E−01
△△+0.0000E+00
p' (w−b−f−3) S (b) 9V. ES (f) 9'
p' (7) S9V. ES (2) 9'
+5326000.E−05
△△△△△△+0.E+00
p' (w−d−f−3) SV. (d) 9ES (f) 9'
p' (4) SV. (4) 9ES (2) 9'
+532.6000E−01
△△△+.0000E+00
(1) ( )内のwは欄幅を,bは小数点記号の左にある数字の数,dは小数点記号の右かつ指数記号Eの
左にある数字の数,fは指数の数字の数を表す。
(2) ( )内は,符号なしのゼロでない整数でなければならない。
(3) 欄幅wは,符号,小数点記号及び指数記号Eを含めて,表現される数値を含むのに十分な長さでなけ
ればならない。
(4) 生成されたすべてのNRには,少なくとも1個の数字が存在しなければならない。特にNR3では,仮
数と指数の両方に少なくとも1個の数字が存在しなければならない。
(5) 数値は,欄内で右寄せされる。
(6) 符号付きNRで,正の数値の符号を抑制したい場合には,PICTURE文字Sの代わりに−を使用しなけ
ればならない。
(7) 文字列中のPICTURE文字S,−又はZの数は,符号が移動できるか又は数字0が抑制される最右端
の文字位置を決める。
(8) PL/Iは,入力の場合,符号付きNR1,NR2又はNR3の正符号と間隔文字とを区別しない。
(9) PL/Iでは,PICTURE文字列で記述された入力の場合,小数点記号は示された位置になければならない。
6. PL/IでのLIST型転送の使用 PL/IでのLIST型転送の使用は,次による。
(1) すべてのNRは,LIST型転送を用いると,どのような変数にも入力可能である。
(2) xPIC'p'からのLIST型出力は,P'p'書式によるEDIT型出力と同一である。
(3) FIXED DECIMAL (w−3) からのLIST型出力は,F (w) 書式によるEDIT型出力と同一である(NR1
の生成)。
(4) FIXED DECIMAL (w−3, d) からのLIST型出力は,F (w, d) 書式によるEDIT型出力と同一である(NR2
13
X 0210-1986
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
の生成)。
(5) FLOAT DECIMAL (w−n−4) からのLIST型出力は,E (w, w−n−5) 書式によるEDIT型出力と同一で
ある(NR3の生成)。
7. PASCAL欄幅パラメタ プログラム言語PASCALの欄幅パラメタにこの規格を適用するための仕様
を参考表5及び次に示す。
参考表5 PASCALの欄幅パラメタに対する適用例
表現形式
仕様の型
例
実際の指定
生成NR
符号なしNR1
:w
:6
53
0
符号付きNR1
:w
:6
53
0
符号なしNR2
:w:d
:9:2
53.26
0.26
符号付きNR2
:w:d
:9:2
−53.26
−0.26
符号付きNR3
:w
:11
−5.3260E+01
2.6000E−01
(1) 記述子wはNR1及びNR2の欄幅を,dはNR2の小数点記号の右にある数字の数を表す。
(2) 記述子w及びdは,符号なしのゼロでない整数でなければならない。
(3) 欄幅wは,表現される数値を含むのに十分な長さである必要はない。PASCALは,必要ならば算出さ
れた欄幅を用いることができる。
(4) 生成されたすべてのNRでは,少なくとも1個の数字が存在しなければならない。特に,NR3では,
仮数と指数の両方に少なくとも1個の数字が存在しなければならない。
(5) 数値は,欄内で右寄せされる。
(6) 符号なしNR1及びNR2は,表現される数値が負でない場合にだけ生成可能である。
(7) 正の数値の符号付きNR1,NR2又はNR3は,符号位置に間隔文字を伴って生成される。
(8) PASCALでは,入力の場合,正の指数に対して正符号を必要としない。
(9) PASCALでは,入力の場合,符号付きNR1,NR2又はNR3の正符号は必要でない。
14
X 0210-1986
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
情報交換用文字列による数値表現JIS原案作成委員会 構成表
(敬称略・順不同)
氏名
所属
(主 査)
瀬 野 健 治
株式会社コンピュータ総合研究所
(幹 事)
倉 田 正 博
日本電信電話株式会社情報通信処理研究所情報処理研究部
伊 藤 彰 一
工業技術院標準部電気・情報規格課
大 石 東 作
工業技術院電子技術総合研究所ソフトウェア部
古 賀 尚 之
株式会社日立製作所情報事業本部コンピュータ事業部
後 藤 和 夫
日電東芝情報システム株式会社コンピュータ統括本部
下 田 宏 一
日本ユニバック株式会社プロダクト本部技術情報サービス部
仲 谷 元
日本電信電話株式会社情報通信処理研究所情報処理研究部
平須賀 しづ江
日本アイ・ビー・エム株式会社営業情報推進
福 井 隆 司
株式会社東芝青梅工場基本ソフトウェア第1部
水 野 晴 敏
富士通株式会社情報処理事業推進本部企画部
森 本 真一郎
沖電気株式会社コンピュータシステム開発本部
矢 嶋 祐 次
日本科学技術情報センター技術管理室