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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲 ························································································································· 1
2 引用規格 ························································································································· 2
3 用語及び定義 ··················································································································· 3
4 略語······························································································································· 5
5 関連規格間の関係 ············································································································· 6
6 機能領域の定義 ················································································································ 8
6.1 要求事項 ······················································································································ 8
6.2 手順 ···························································································································· 9
7 検証······························································································································· 9
7.1 概略 ···························································································································· 9
7.2 検証チームの任命 ········································································································· 11
7.3 検証入力の準備 ············································································································ 12
7.4 検証の実施 ·················································································································· 13
7.5 検証出力の作成 ············································································································ 14
8 参照モデル ····················································································································· 14
8.1 参照利用者要件 ············································································································ 14
8.2 参照FSM手法·············································································································· 16
附属書A(規定)試験要求の提供 ··························································································· 17
附属書B(参考)検証報告書の例···························································································· 20
附属書C(参考)ビジネスアプリケーションRUR ····································································· 23
附属書D(参考)リアルタイムコントロールRUR ····································································· 32
附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································ 36
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まえがき
この規格は,工業標準化法に基づき,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本
工業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
JIS X 0135の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS X 0135-1 第1部:概念の定義
JIS X 0135-2 第2部:ソフトウェア規模測定手法のJIS X 0135-1:1999への適合性評価
JIS X 0135-3 第3部:機能領域の定義及び機能規模測定手法の能力の検証
JIS X 0135-6 第6部:JIS X 0135規格類及び関連規格の利用指針
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日本工業規格 JIS
X 0135-3:2011
ソフトウェア測定−機能規模測定−
第3部:機能領域の定義及び
機能規模測定手法の能力の検証
Information technology-Software measurement-
Functional size measurement-
Part 3: Determination of functional domains for use with functional size
measurement and performance verification of functional size measurement
methods
序文
この規格は,2003年に第1版として発行されたISO/IEC TR 14143-3,2002年に第1版として発行され
たISO/IEC TR 14143-4及び2004年に第1版として発行されたISO/IEC TR 14143-5を基として,技術的内
容を変更して作成した日本工業規格である。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。
変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。
1
適用範囲
1.1
この規格は,機能領域に関する次の事項について規定する。
− 機能領域の特性
− 利用者機能要件(FUR)の特性を用いた機能領域の決定手順
− FSM手法の特定の機能領域への適用可能度合いの判定手順
1.2 この規格は,次の能力特性に関連して,FSM手法の能力特性記述の検証及び/又は検証スポンサか
ら要求された検証試験実施の枠組みを提供する。
− 反復性及び再現性
− 測定の正確さ
− 変換性
− 識別限界
− 機能領域への適用可能度合い
注記 FSM手法の能力特性記述及び他の能力特性に関する検証試験は,この規格の適用範囲外であ
る。
この規格は,検証の成果物について次を確保することを目的としている。
− 客観性
− 公平性
2
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− 一貫性
− 反復性
この規格の適用結果としての検証報告書を用いることによって,将来の利用者は自己のニーズを満たす
FSM手法の選択が可能になる。
1.3 この規格は,FSM手法の能力を検証するときに用いる参照モデルを定義する。
参照モデルは,次の二つの要素で構成される。
− FSM手法を用いてその規模を測定する参照利用者要件(RUR)の分類の枠組み
注記 RURの例を,附属書C及び附属書Dに示す。
− あるFSM手法と比較が可能な“参照FSM手法”の選択指針
参照モデルは, FSM手法の検証プロセスへの入力となる。
この規格の附属書C及び附属書Dに含まれるRURは,ある領域及び状況におけるURの例を示してい
るに過ぎない。附属書C及び附属書Dに含まれていない領域及び状況に対するRURは,この規格に記述
されている枠組みを利用して選択するとよい。
参照FSM手法に対する要求事項は,参照FSM手法を選択する助けとなる。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO/IEC TR 14143-3:2003,Information technology−Software measurement−Functional size
measurement−Part 3: Verification of functional size measurement methods
ISO/IEC TR 14143-4:2002,Information technology−Software measurement−Functional size
measurement−Part 4: Reference model
ISO/IEC TR 14143-5:2004,Information technology−Software measurement−Functional size
measurement−Part 5: Determination of functional domains for use with functional size
measurement(全体評価:MOD)
なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
ことを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS X 0135-1 ソフトウェア測定−機能規模測定−第1部:概念の定義
注記 対応国際規格:ISO/IEC 14143-1,Information technology−Software measurement−Functional
size measurement−Part 1: Definition of concepts(IDT)
JIS X 0135-2 ソフトウェア測定−機能規模測定−第2部:ソフトウェア規模測定手法のJIS X
0135-1:1999への適合性評価
注記 対応国際規格:ISO/IEC 14143-2,Information technology−Software measurement−Functional
size measurement−Part 2: Conformity evaluation of software size measurement methods to ISO/IEC
14143-1:1998(IDT)
JIS X 0135-6 ソフトウェア測定−機能規模測定−第6部:JIS X 0135規格類及び関連規格の利用指針
注記 対応国際規格:ISO/IEC 14143-6,Information technology−Software measurement−Functional
size measurement−Part 6: Guide for use of ISO/IEC 14143 series and related International Standards
(IDT)
3
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JIS X 0142 ソフトウェア技術−機能規模測定−IFPUG機能規模測定手法(IFPUG 4.1版未調整ファン
クションポイント)計測マニュアル
JIS X 0143 ソフトウェア技術−COSMIC-FFP法−機能規模測定法
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS X 0135-1及びJIS X 0135-2によるほか,次による。
3.1
測定の正確さ(accuracy of measurement)
測定結果と真の値との間の近似性の度合い。FSM手法の能力特性の一つ。
注記1 “正確さ”は,定性的な概念である。
注記2 “真の値”は,ある特定の量の定義と合致する値。特別な場合を除き,観念的な値で,実際
には求められない。
3.2
機能領域への適用可能度合い(applicability to a functional domain)
ある機能領域における典型的な利用者機能要件(FUR)の特性を機能規模測定結果にどの程度反映でき
るかの度合い。FSM手法の能力特性の一つ。
3.3
FURの特性(characteristic of FUR)
FURが属する機能領域を特定するための属性。
3.4
変換性(convertibility)
あるFSM手法による機能規模測定結果が他の規模測定手法による計測結果とどの程度換算できるかの
度合い。FSM手法の能力特性の一つ。
3.5
識別限界[discrimination (threshold)]
あるFSM手法が,検知して測定結果の違いに反映できる,FURの違いの最小度合い。FSM手法の能力
特性の一つ。
3.6
機能領域の分類,FDC(Functional Domain Categorization,FDC)
この規格の要求事項(6.1.3参照)に適合した,機能領域を特定するためのプロセス。
3.7
測定量(measurand)
測定条件下での特定の量。
注記1 測定量を特定するには,時間,温度,圧力などの量についての定義が必要である。
注記2 この規格においては,測定量はFURについてのものである。
3.8
計器(measuring instrument)
計測のための器具であり,単独又は補助器具と組み合わせて用いられるもの。
注記 この規格においては,計器の中心要素はFSM手法である。
4
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3.9
FSM手法の所有者(owner of the FSM Method)
当該FSM手法の知的財産権をもつ個人又は組織。
3.10
参照FSM手法(Reference FSM Method)
この規格の要求事項に適合する,機能規模測定結果を検証するときに比較のために利用されるFSM手法。
3.11
参照利用者要件,RUR(Reference User Requirements,RUR)
この規格に示す要求事項に適合する標準的な利用者要件(UR)。
注記 図1にURとRURとの関係を示す。
図1−URとRURとの関係
3.12
参照利用者要件集合,RUR集合(Reference User Requirement Collection, RUR Collection)
個々の評価の目的に合致させるために選ばれるRURの部分集合。
注記1 集合選択に対する要求事項は,8.1.1.2に示す。
注記2 図1にRURとRUR集合との関係を示す。
3.13
(測定結果の)反復性[repeatability (of results of measurements)]
同じ測定条件で反復して測定を行ったときの測定結果としての測定量の接近の度合い。FSM手法の能力
特性の一つ。
RUR集合
RUR
RUR
特定の評価のための選択
(8.1.1.2参照)
一般の使用のための選択
(8.1.1.1参照)
FUR
利用者非機能要件
UR(RUR候補)
5
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注記1 この条件を“反復条件”と呼ぶ。
注記2 反復条件には,次を含む。
− 同じ測定手順
− 同じ測定者
− 同じ条件での同じ計器の使用
− 短い間隔での反復測定
注記3 反復性は,測定結果の“(統計学上の)分散”の観点で定量的に表現してもよい。
3.14
(測定結果の)再現性[reproducibility (of results of measurements)]
異なる測定条件で測定を行ったときの測定結果としての測定量の接近の度合い。FSM手法の能力特性の
一つ。
注記1 “再現性がある。”というためには,特定の測定条件が変わることが必要である。
注記2 異なる測定条件の例として,次がある。
− 測定手順
− 測定者
− 計器及び使用条件
− 測定時期
− 参照する規格
注記3 再現性は,測定結果の“(統計学上の)分散”の観点で定量的に表現してもよい。
3.15
能力特性記述(statement)
検証対象のFSM手法が宣言している,そのFSM手法がもつ能力特性に関する記述。
例 “JIS X 0142に対して完全に互換性がある計測可能な機能領域”
“制御ソフトウェアに適用可能である。”
3.16
検証手法(verification method)
FSM手法を検証する手法であり,特定の能力特性の範囲及び程度を示す客観的証拠を得るためのもの。
注記 この規格をFSM手法の能力特性を検証するために適用する目的は,利用者が自分のニーズに
最も合致しているFSM手法を選択できるようにすることにある。したがって,FSM手法の検
証結果として,次が示されることが望ましい。
− FSM手法が備えている能力特性の範囲及び程度
− FSM手法が宣言している範囲及び程度において,能力特性を備えているか。
FSM手法の能力特性の検証には,“合格”又は“不合格”という概念はない。FSM手法は,
適切な検証がなされているかどうかに基づき,“検証済み”又は“未検証”とみなすことができ
る。
3.17
検証スポンサ(verification sponsor)
資金又はその他の資源を提供し,FSM手法の検証を依頼する人又は組織。
4
略語
6
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FDC
− 機能領域の分類(Functional Domain Categorization)
FSM
− 機能規模測定(Functional Size Measurement)
FUR
− 利用者機能要件(Functional User Requirements)
RUR − 参照利用者要件(Reference User Requirements)
UR
− 利用者要件(User Requirements)
5
関連規格間の関係
ここではFSM関連規格間の関係及びこの規格の位置付けを示す。
JIS X 0135-1は,FSMを規定するとともに,FSM手法の特性及びソフトウェア規模測定手法がFSM手
法として認められるための要求事項を示す。JIS X 0135-1は,FSM関連規格の基礎となる規格である。
FSM手法の利用者は,最もニーズに合うと思われる手法(FSM手法候補)に対して,次に示す二段階の
評価を行うことが望ましい。
− JIS X 0135-1に適合していることを確認する。
− 利用者が要求する能力をもっていることを検証する。
FSM手法候補は,JIS X 0135-1の必須要求事項に適合していることが確認された場合に限り,FSM手法
であると宣言できる。適合性の確認方法は多数あるが,JIS X 0135-2を利用することが望ましい。
JIS X 0142及びJIS X 0143は,JIS X 0135-1の必須要求事項に適合していることが確認されたFSM手法
である。
注記1 次の国際規格はJIS X 0135-1の対応国際規格であるISO/IEC 14143-1の必須要求事項に適合
していることが確認されたFSM手法であるが,この規格の制定時点においては,対応する
JISは制定されていない。
− ISO/IEC 20968,Software engineering−Mk II Function Point Analysis−Counting Practices
Manual
− ISO/IEC 24570,Software engineering−NESMA functional size measurement method version
2.1−Definitions and counting guidelines for the application of Function Point Analysis
− ISO/IEC 29881,Information technology−Systems and software engineering−FiSMA 1.1
functional size measurement method
FSM手法の利用者又は開発者にとって重要なことは,測定しようとするソフトウェアが属する機能領域
に対してそのFSM手法が適用可能であるかどうかを判断できることである。この規格の箇条6は,機能領
域の定義方法を示す。
JIS X 0135-2を用いてJIS X 0135-1に適合していると確認されたFSM手法の能力は,この規格の箇条7
を用いて評価される。
FSM手法の能力を評価するとき,そのFSM手法を標準的なFUR事例に適用することが能力評価の役に
立つ。この規格の箇条8は,そのような標準的なFURに関する要求事項を提供する。この規格の箇条8
は,また同様に,機能規模測定結果を検証するときに比較のために利用されるFSM手法である参照FSM
手法に関する要求事項を提供する。
注記2 JIS X 0142及びJIS X 0143は,参照FSM手法になり得るFSM手法である。
図2に,ここで示したFSM関連規格間の関係を示す。
注記3 JIS X 0135-6で,JIS X 0135規格群及び関連規格の利用指針を規定しているので,この規格
を理解するために参照することが望ましい。
7
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図2−FSM関連規格間の関係
( )
この規格
JIS X 0135-1への
適合性評価
能力特性に関する検証
用途に適した
FSM手法の選択
FSM手法
JIS化された既存のFSM手法
他の規格,プロセス及びそれらの組合せに対して
与えられる規格内の情報
JIS X 0135-1
JIS X 0135-2
JIS X 0135-3
“箇条7
検証”
JIS X 0135-3
“箇条6 機
能領域の定
義”
JIS X 0135-3
“箇条8 参
照モデル”
FSM手法の状態を示す流れ
JIS X 0135-6
JIS X 0142
JIS X 0143
FSM
手法
FSMの概念及びFSM手法に
対する要求事項の定義
FSM手法候補のJIS X 0135-1に
対する適合度を評価する
プロセス例の定義
測定対象に合致したFSM手法の
能力を検証するプロセス例の
定義
これらのプロセスを支援する
機能領域の提供
機能領域に関する要求事項
検証のための
試験事例候補の提供
RUR及び参照FSM手法に
関する要求事項
FSM手法の適用及び
利用の例示としての
用途
測定対象に
適した
FSM手法
FSM手法候補は,JIS X 0135-1への
適合性評価の際に,JIS X 0135-2を
利用してもよい。
能力の検証が可能になる。
検証された結果と
して能力を宣言
できる。
測定対象に適したFSM手法を
選択するための指針
プロセス
規格
手法
組合せ
JIS X 0135-2の利用などに
よって適合性が確認され
たとき,FSM手法であると
宣言できる。
7
X
0
1
3
5
-3
:
2
0
11
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6
機能領域の定義
6.1
要求事項
6.1.1
機能領域に対する一般要求事項
機能領域は,次を満たさなければならない。
− 他の全ての機能領域と明確に区別できる。
− 機能規模に関係した特性に基づいて表現される。
機能領域は,情報技術産業界で広く使われている用語を用い,その機能領域の出自が分かるような名前
を適切に付けることが望ましい。
例 X社におけるリアルタイムシステム領域
このように名前を付けることによって,FSMを行う人々にとって受け入れやすい機能領域となる。また,
FSM以外でも,ソフトウェアの開発及び維持管理のような,ソフトウェアの分類が必要な分野でも利用で
きるものとなり得る。
注記 “リアルタイム”,“業務アプリケーション”,“プロセス制御”などのような工業用語を,単独
で領域名称を評価しないで使用することは次の点から避けられる。これらの情報技術産業界で
広く使われている領域名称は,品質,技術などの利用者非機能要件を分類の前提として含んで
いることが多い。FSMのための領域分類は,利用者非機能要件にかかわらず機能要件だけで決
定されるものでなければならない。例えば,交通信号機制御は,“リアルタイム”ソフトウェア
と呼ばれている。しかし,産業界で広く使われている“リアルタイム”という概念には,FUR
に加えて,次のような利用者非機能要件が含まれる可能性がある。
− 時間制約
− 特定のハードウェア
− 即時フィードバック(システムからの出力の一部を入力側に戻す操作)
− 人以外のソフトウェア及び/又はハードウェアとの通信
− 安全性及び信頼性
− 耐故障性
これらの利用者非機能要件の有無によって,分類が変わる場合は,利用者非機能要件に依存
する分類となってしまう。
一組のFURが複数の機能領域に属することもあり得る。
6.1.2
機能領域の特性に対する一般要求事項
機能領域の特性は,次を満たさなければならない。
a) JIS X 0135-1に定義されている機能規模の全ての特性を継承している。
b) FURによって表現される。
c) ソフトウェアの開発手法から独立である。
d) 利用者非機能要件から独立である。
6.1.3
機能領域の分類手法に対する要求事項
機能領域の分類手法(FDC手法)は,次を満たすことが望ましい。
a) 同じ条件の下で,同じ結果が導かれる。
b) 手法として一貫性がある。
c) FDC手法によって定義された機能領域は,将来にわたってその意味が不変である。
d) 利用者にとって理解しやすい構成である。
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e) 機能領域の特性を定義している。
6.2
手順
6.2.1
所与のFURが属する機能領域の特定
個々のFURが属する機能領域を特定する手順を,次に示す。
a) FDC手法を用い,FURの特性を識別する。
b) a)で用いたFDC手法に定義されている機能領域の特性と,a)で識別したFURの特性とを照合する。
c) FURが属する機能領域を特定する。
6.2.2
個々の機能領域に対するFSM手法の適用可能度合いの判定
ある機能領域に対するFSM手法の適用可能度合いを判定する手順を,次に示す。
a) FDC手法で定義されている個々の機能領域の特性を識別する。
b) 評価対象のFSM手法のそれぞれのBFC型に対し,FSM手法がa)で識別したどの特性を機能規模の測
定結果に反映できるかを調べる。
c) 機能領域の特性とFSM手法が測定結果に反映できる特性とを比較する。
d) 個々の機能領域に対するFSM手法の適用可能度合いを次のように判定する。
1) 機能領域の全ての特性を測定結果に反映できる場合,そのFSM手法はその機能領域に対して“適用
可能”である。
2) 機能領域の特性のうち一部しか測定結果に反映できない場合,そのFSM手法はその機能領域に対し
て“部分的に適用可能”である。
3) 機能領域の特性を測定結果に全く反映できない場合,そのFSM手法はその機能領域に対して“適用
不可能”である。
7
検証
7.1
概略
7.1.1
検証の目的は,あるFSM手法が特定の能力特性を示す程度に関して客観的な証拠を提供すること
である。検証結果にどの程度の精緻さがある場合に許容できるかは,検証スポンサが置かれている状況及
び検証の目的によって異なる。例えば,ある能力特性の水準がある目的に対しては許容できるが,別の目
的に対しては許容できないということがあり得る。
7.1.2
FSM手法の検証は,次の実施を目的とした検証チームによって行われなければならない。
a) FSM手法の能力特性記述の正確性の決定,及び/又は
b) 検証スポンサから要求された試験の実施
7.1.3 検証は,次の作業内容で構成されていなければならない。
a) 検証チームの任命(検証実施に必要な能力を備えていることが確認できる検証チームを組織する。7.2
参照)
b) 検証入力の準備(検証入力の特定又は作成。7.3参照)
c) 検証の実施(7.4参照)
d) 検証成果物の編集(7.5参照)
注記 図3に検証の手順を示す(図中の項番は,この規格の細分箇条を示す。)。
7.1.4
検証報告は,検証の対象であるFSM手法の特定の版にだけ有効である。特定用途向け改定手法を
含め,各版の手法をそれぞれ別のFSM手法とみなし,個別に検証しなければならない。検証チームは,あ
るFSM手法とこれと同一手法で既に検証済みの版との間の類似点及び/又は相違点を識別できる場合に
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は,新しい検証の基礎データとして,以前の検証結果を用いてもよい。ただし,同じFSM手法の以前の版
に対して何らかの検証試験が報告されていた場合には,検証チームは現在の検証の間,以前の検証と同様
な検証試験の実施を検討しなければならない。
注記 以前に実施された検証結果を用いて検証を実施する場合,検証チームは,二つの版には未知の
相違点があり得ることに留意する必要がある。検証チームは,検証の間,全ての変更が手法の
能力特性に及ぼす総合的な影響を考慮しなければならない。
7.1.5
検証チームは,FSM手法の文書が7.3.2の定義に照らして全てそろっていて,それらが検証対象の
版に対応するものであることを検証しなければならない。
7.1.6
検証チームは,検証の間,検証スポンサと連絡を取り合うことが望ましい。
7.1.7
FSM手法の所有者が問合せに応じてくれる場合,検証チームは,次を行わなければならない。
a) 検証の間に生じた疑義などについて,所有者と情報交換を行う。
b) 検証報告書内に所有者との連絡の内容を記述し,必要に応じて,関連する規定又は検証作業との相互
参照を示す。
7.1.8
検証チームは,FSM手法の所有者から得た情報をこの検証に付加することによって,検証対象の
手法が別の版になってしまうかどうかを判断しなければならない。この場合,7.1.4に従わなければならな
い。
7.1.9
FSM手法の所有者が問合せに応じてくれる場合,所有者に対して,検証による知見に対して発言
する機会及び検証報告書の発行に先立って検証報告書に意見を記載する機会を与えなければならない。
7.1.10 FSM手法の所有者が相応な期間内に検証報告書の知見に回答しない場合,検証チームは,報告書
の発行作業を進めてもよい。この期間は,FSM手法の所有者と検証チームとの間で検証着手時に合意して
おくことが望ましい。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図3−検証
7.2
検証チームの任命
7.2.1
検証チームの能力の確認
この規格に従ってFSM手法を検証するために,検証チームは,次の能力をもつことが望ましい。
検証チームの能力の確認
(7.2.1)
FSM手法の文書の収集
(7.3.2)
検証される能力特性記述
一覧の作成(7.3.3)
試験要求一覧の
作成(7.3.4)
検証の計画
(7.3.5)
要求された試験の実施
[7.4 a)]
試験結果の記録[7.4 b)]
試験結果の分析
[7.4 c)]
試験結果のレビュー及び
能力特性記述の正確性の
評価
[7.4 d)]
検証報告書の作成
[7.5.1]
実施項目
アクティビティ
検証チームの
任命(7.2)
検証入力の準
備(7.3)
検証の実施
(7.4)
検証出力の作
成(7.5)
関係者
検証スポンサ
検証スポンサ
検証チーム
検証スポンサ
FSM手法の所有者
検証チーム
検証スポンサ
FSM手法の所有者
検証チーム及び
検証スポンサ
検証チーム
検証チーム
検証チーム
検証チーム
検証チーム
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
a) JIS X 0135の全ての部の概念を理解している。
b) この規格の細部まで十分に理解している。
c) 測定に関する概念を十分に理解している。
d) 検証されるFSM手法の利用経験がある。
e) この規格に限らないソフトウェア分野におけるJIS又は国際規格に従った検証試験を行ったことがあ
る。
注記 測定に関する概念には,次を含む。
− 統計的手法
− 測定理論
− ソフトウェア規模測定の概念
7.2.2
検証チームの責任
検証チームは,この規格で定める検証プロセスにおける全ての作業内容が漏れなく実施されたことを保
証しなければならない。
全ての作業には,次を含まなければならない。
a) 検証計画の作成
b) 検証手順の定義
c) 検証の実施(検証手法適用,試験結果の記録及び分析,並びにあらゆる記述の正確性の評価)
d) 検証報告書の作成
7.3
検証入力の準備
7.3.1
検証入力への要求事項
7.3.1.1
検証入力は,少なくとも次を含まなければならない。
a) この規格
b) FSM手法の文書
c) FSM手法が,JIS X 0135-2に従って,JIS X 0135-1に適合していることの証拠
d) 検証スポンサによって提示された検証の目的及び/又は観点,並びにその背景
e) 検証される能力特性記述及び/又は試験要求の一覧
f)
検証計画
g) 検証手順
7.3.1.2
検証の入力には,次が含まれていることが望ましい。
a) 参照利用者要件(RUR)
b) 参照FSM手法
参照利用者要件(RUR)及び参照FSM手法は,検証対象のFSM手法に対して適用可能性の検証が要求
されている機能領域に属するものであることが望ましい。
検証チームは,利害関係のない専門家がこの規格に従って実施した試験結果を活用してもよい。
7.3.2
FSM手法の文書の収集
FSM手法の文書は,JIS X 0135-2を用いてJIS X 0135-1への適合性の評価に用いられた全ての資料を含
まなければならないが,それだけに限定されない。
7.3.3
検証される能力特性記述一覧の作成
検証される能力特性記述の一覧を作成しなければならない。この一覧に含まれる能力特性記述は,7.3.2
で収集した文書に記載されている記述でなければならない。この一覧は,検証チームの助言のもとに,検
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X 0135-3:2011
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
証スポンサによって作成されなければならない。可能な場合,FSM手法の所有者をこの作業に参画させる
ことが望ましい。
7.3.4
試験要求一覧の作成
試験要求は,能力特性記述の一覧に対するものでなければならない。検証チームは,検証スポンサの意
向を確認しながら次を行って,試験要求一覧を作成しなければならない。
a) (もしあれば,)検証される能力特性記述一覧を確認し,試験要求が能力特性記述を検証可能な試験(方
法)を識別する。
b) (もしあれば,)検証スポンサの付加的ニーズを確認し,それらを満足することができる試験方法を識
別する。
可能であれば,FSM手法の所有者をこの作業に参画させることが望ましい。
注記 − 試験結果の有用性は,試験要求の組立て方に依存する。
− 検証チームは,試験仕様を作成するときに,検証スポンサにとって試験結果が有用である
ことを保証する手伝いをすることができる。
− 試験要求を適切に構成すれば,検証作業も簡単になる可能性がある。
例 検証スポンサの要求が“手法Aの正確さの度合い”の確認という曖昧なものであれば,検証報告
書には次のように様々な結果が記述される場合がある。
− 手法Aは,測定事例の60 %において,80 %以内の正確さの機能規模を導出する。
− 手法Aは,測定事例の70 %において,75 %以内の正確さの機能規模を導出する。
− 手法Aは,測定事例の80 %において,65 %以内の正確さの機能規模を導出する。
検証スポンサが90 %の正確さを望んでいる場合は,これらの結果はあまり有用とはいえない。
試験要求は,附属書Aに従って提示しなければならない。
7.3.5
検証の計画
検証チームは,検証スポンサの助言のもと,検証計画を作成しなければならない。検証計画は,少なく
とも次を満たさなければならない。
a) 検証手順に必要な作業内容,日程及び資源が記述されている。
b) 検証に利用する手法の詳細に関する情報が提供されている。
c) 検証手順への個々の入力が一意に識別されている。
d) 検証チームを構成する要員の氏名及び具体的な連絡先が記述されている。
e) 検証スポンサの氏名及び具体的な連絡先が記述されている。
f)
検証の関与する全ての人又は組織の役割及び責任が記述されている。
g) 検証出力を作成するための検証入力の使われ方が記述されている。
7.4
検証の実施
検証は,次を含まなければならない。
a) 要求された試験を実施する。
注記 試験一覧の個々の試験実施に必要な検証手法を適用する。
b) 試験結果を記録する。
c) 試験結果を分析する。
d) 試験結果をレビューし,必要に応じて能力特性記述の正確性を評価する。
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X 0135-3:2011
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
7.5
検証出力の作成
7.5.1
検証チームは,検証報告書を作成しなければならない。これには,検証結果を裏付ける詳細な証跡
を含まなければならない。
検証チームは,検証報告書について検証スポンサから承認を得ることが望ましい。
7.5.2 検証報告書は,少なくとも次を含まなければならない。
a) 要旨
b) 検証スポンサの目的及び/又は観点,並びにその背景
c) 検証された能力特性記述一覧
d) 要求された試験一覧
e) 検証計画
f)
(判断に寄与した全ての情報を含む。)試験結果
g) 試験結果に対する分析の記述
h) 該当する場合,能力特性記述の正確さの評価結果
7.5.3
要旨は,少なくとも次を含まなければならない。
a) 検証対象のFSM手法を一意に識別するための情報
b) 検証実施日(期間)
c) 各能力特性記述の検証結果
d) 要求された試験の検証結果
e) 検証チームを構成する要員の氏名及び具体的な連絡先
注記 附属書Bに,この規格で要求されている最低限の項目が記述された検証報告書の例を示す。
8
参照モデル
8.1
参照利用者要件
8.1.1
一般要求事項
あるFSM手法の評価に利用するRUR集合は,8.1.1.1を満たすRURのうち,8.1.1.2で示す要求事項に
従って選択したRURで構成されなければならない。
8.1.1.1
RURに対する要求事項
それぞれのRURは,次を満たさなければならない。
a) そのRURに対応する領域の専門家が理解できる形で文書化されている。
注記 RURは,ある領域におけるURの代表的事例であることが望ましい。RURとしてふさわしい
表現は,特定の機能領域における利用者に受け入れられる形式であって,機能について表現
した文章,機能について表現した図表記述などがある。プログラムの詳細設計書,プログラ
ムリスト,情報技術の専門家でないと理解できない表現などは,RURとしてふさわしくない
例である。
b) 完全であり,かつ,自己完結した利用者の業務又は手順を表している。
注記 RURは,利用者のひとまとまりの業務又は手順を実行するために必要な全ての要件を提供す
ることが望ましいが,ソフトウェアを実装するために必要とされる要件の完全な集合を提供
しなくてもよい。FSM手法ごとに基本機能要素(BFC)の識別方法は様々である。ただし,
利用者の業務の一部又は手順の一部しか含まないRURは,測定結果をゆが(歪)めることが
ある。部分的なRURの例として,附属書Cの人事基本情報管理システムのデータエンティ
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ティに関する要件(C.1.3.1参照),又は従業員基本情報の参照及び更新機能の画面レイアウ
ト(C.1.3.3参照)がある。
c) 内容確認がされており,曖昧さ及び矛盾がない。
注記 この要求事項に適合するものとしては,ソフトウェア製品として既に実装済みのソフトウェ
アに関するUR,査読を経ている教科書又は専門誌に記載されたUR,又は実際に機能規模を
問題なく測定できたURがある。
8.1.1.2
RUR集合の要素選択における要求事項
RUR集合の要素としてRURを選択するためには,次を満たさなければならない。
a) FSM手法が評価される機能領域の代表的な事例を選択する。
注記 RURに含まれる利用者機能要件は,機能領域の特性と矛盾しないことが望ましい。
b) 特定のFSM手法又は評価プロセスに偏ることなく選択する。
注記 RURは,特定のFSM手法又は評価プロセスに対して有利又は不利に作用しないことが望ま
しい。
c) 機能規模が等しいFUR,異なるFUR及び著しく異なるFURの例を含める。
注記 RUR集合中のRURには,FSM手法が大きい機能と小さい機能との差を識別できるような,
異なる機能規模を規定する機能の例をもつことが望ましい。機能規模には真の値が存在しな
いため,差はおおまかに桁の違い程度で識別できればよい。選択基準は,利用者の感覚でも
よいし,データ項目数,判断分岐数,業務規則数,データ参照数などのような定量化できる
機能特性でもよい。
d) JIS X 0135-1で定義されたFURに限らず,様々なURを含める。
注記 RUR集合中のRURには,品質要件,技術要件などの非機能要件を含むものもあることが望
ましい。非機能要件の例として,コンピュータアーキテクチャによる制約,信頼性,費用,
開発期間などがある。
e) 技術又は実装技法からの独立性についてFSM手法を評価する場合に用いるRUR集合には,一つの
URに対して,次のような点に変更を加えた複数のRURを含める。
1) 実装技術
2) 開発方法論
3) 文書化レベル
注記 上記のRURは,FSM手法が,実装技術,開発方法論及び様々なソフトウェア開発工程からの
独立性を明示的に示せるようなものであることが望ましい。
f)
ソフトウェア機能改良に対する測定についてFSM手法を評価する場合に用いるRUR集合には,ある
URについて要件変更を行う例を含める。
8.1.2
例
附属書C及び附属書Dは,ビジネスアプリケーション領域及び組込み・制御領域のRURの例である。
8.1.2.1
ビジネスアプリケーション
附属書Cは,人事基本情報管理システムのRURである。
8.1.2.2
組込み・制御
附属書Dには,規模及び実装方法が異なるRURがある。それらは8.1.1.1 b)(完全性),8.1.1.2 c)(機能
規模の範囲)及び8.1.1.2 d)(非機能要件)の例を示している。
− RUR D1は,RUR D2からD7までの基本仕様である。
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− RUR D2は,RUR D1の3倍の機能を含んでいるため,RUR D1に比べて非常に大きな機能規模となり
得る。RUR D3は,更に追加機能があるため,RUR D2よりも機能規模が大きくなり得る。
− RUR D4,RUR D5及びRUR D6は,RUR D3に関して技術上又は実装上の異なる要件を記述している。
− RUR D7は,RUR D3の要件に関して実装上の要件を記述している。
− D.8は,油圧制御弁の制御アプリケーションの仕様である。
8.2
参照FSM手法
参照FSM手法は,RURと組み合わせて用いることによって,機能規模測定結果の共通的なベースライ
ンを確立するために利用できる。これによって,あるFSM手法のベンチマーキングを実施することが可能
になる。すなわち,参照FSM手法の測定結果と対比することによって,あるFSM手法の測定結果が参照
FSM手法の測定結果に対して相対的にどのような位置を占めるかを確認することができる。
参照FSM手法は,限られた機能領域だけに効力を発揮する場合もある。そのような参照FSM手法は,
評価対象のFSM手法の特定状況下における相対的評価を行うときに,比較対象として使える。
8.2.1
一般要求事項
参照FSM手法は,次を満たさなければならない。
a) JIS X 0135-2を用いて,JIS X 0135-1への適合が確認されている。
b) 評価対象のFSM手法に記述されている機能領域に適用可能である。
c) 一般に入手可能である。
d) 評価の目的に照らして,有効性の度合いが検証されている。
8.2.2
参照FSM手法の利用例
複数の参照FSM手法を利用することによって,評価対象FSM手法の優劣が相対評価できる。このよう
な相対比較を行うために適切なFSM手法の例としては,相対評価の一方の端を与える限定的参照FSM手
法及び他方の端を与える包括的参照FSM手法がある。
a) 限定的参照FSM手法 限定的参照FSM手法は,JIS X 0135-1に適合している手法である。しかし,
箇条7に従った能力特性の検証では,機能規模を測定する能力が極めて限られたものであると判断さ
れる。このような限定的参照FSM手法は,相対評価の下限となる。
b) 包括的参照FSM手法 包括的参照FSM手法は,ある機能領域の様々な事例に対して,機能規模をう
まく測定できる優れた能力を備えている。箇条7で定義されている能力特性に関して,包括的参照FSM
手法は,限定的参照FSM手法に比べて極めて優れている。
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附属書 A
(規定)
試験要求の提供
A.1 試験要求の一般要件
試験要求一覧の各試験要求は,次を満たさなければならない。
a) 一意に識別できるように番号付けされている。
b) 該当する場合,FSM手法の対応箇所を特定している。
c) 試験が参照する能力特性を特定している。
d) 検証試験に使われる検証手法が記述されている。
e) A.2に従って正確に記述されている。
A.2 試験要求の記述
A.2.1 FSM手法の反復性及び再現性に関する試験
FSM手法の反復性及び再現性に関する試験の要求項目は,次を記述しなければならない。
a) FSM手法が試験される機能領域
b) FSM手法が試験される利用者機能要件の規模範囲
c) FSM手法が試験される条件
例1 条件は,“手法Aを反復性及び再現性のあるものとするためには,組織Cによって認定され
た測定者によって適用されなければならない。”というものでもよい。
d) 検証手法の適用に必要なその他の情報
例2 FSM手法Aが次の条件で同じ利用者機能要件に繰返し適用された場合,手法A測定単位で
表される結果は,どのような標準偏差になるか。
− 機能領域“情報管理システム”において,組織Cに認定された手法Aの測定者が実施す
る。
− 規模範囲は,手法A測定単位で100単位〜600単位である。
例3 FSM手法A第3.05版が異なる測定者によって,任意の利用者機能要件,任意の機能領域,
任意の規模などで適用された場合,得られる手法A測定単位で表される結果はどのような分
散になるか。
A.2.2 FSM手法の正確さに関する試験
A.2.2.1 概要
FSM手法の正確さに関する試験要求としては,検証試験を適用するために必要なあらゆる情報を記述し
なければならない。
例 次のことによって又は次のことについて,手法Bの正確さを証明することができるか。
− 手法Aの結果と手法Bの結果との間の相関関係を証明することによって
− “リアルタイムシステム”の機能領域で
− 規模が手法A測定単位で600単位より少ない全ての利用者機能要件で
− 正確さのための“検証手法2”を使うことによって
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A.2.2.2 外的基準への参照による正確さの記述
外的基準の参照を用いてFSM手法が正確であるという場合,次を記述しなければならない。
a) 正確さを記述するのに使用される外的基準
b) FSM手法の結果と外的基準の値との間の相関関係が証明できるか,又は証明できた条件
c) FSM手法の結果と外的基準の値との間の相関関係の類型(方程式,誤り率など)
例
− 検証されるFSM手法名:手法B
− 正確さの記述に使用する外的基準:手法A
− 版番号:第10版
− 作者名:鈴木 一朗,松井 次郎
− 公開日:1990年4月1日
− 出版社名及び詳しい連絡先:平成出版,東京都千代田区霞が関1-1-1
記述:任意の機能領域で利用者機能要件を測定するとき,統計的に次が示される。
A(FURi)≒2×B (FURi)(±10手法B測定単位)
ここに,
A(FURi): FURiを手法Aで測定した結果
B(FURi): FURiを手法Bで測定した結果
なぜならば,(JIS X 0135規格群のこの部分を使って試験されたとき)手法Aは,100 %正確で
あるので,手法Bの正確さは,手法B測定単位でおよそ±10単位ある。
A.2.2.3 正確さの根拠として理論を参照する場合の記述方法
理論への参照に基づいて,FSM手法が正確であるとする場合,次を記述しなければならない。
a) FSM手法の正確さを記述するために使用される理論の十分な解説(文書,作者など)
b) 理論がFSM手法の振る舞いをどう説明するかの十分な解説
A.2.3 FSM手法の変換性に関する試験
FSM手法の変換性に関する試験要求は,次を記述しなければならない。
a) 検証されるFSM手法が試験される手法の一意な識別(JIS X 0135-2:2004の4.3.2に従う。)
b) 検証されるFSM手法が試験される利用者機能要件の規模範囲
注記 規模範囲は,試験されるFSM手法の測定単位又は他の測定手法の測定単位で表してもよい。
c) 相関関係が証明された機能領域
d) 既に定められているならば,FSM手法と第2の測定手法との間で変換を可能にするアルゴリズム又は
換算係数
e) 検証手法の適用に必要なその他の情報
例1 次の利用者機能要件にFSM手法AとFSM手法Bとの両方が適用される場合,変換性に関する
検証手法“y”を使用して手法Aの結果を手法Bの結果に変換できるか決定する。
− 機能領域は,“電子銀行システム”である。
− 規模は,手法A測定単位で600単位以下である。
例2
検証されるFSM手法名:FSM手法B
相関関係が証明された測定手法
− 手法名:FSM手法A
− 版番号:第10版
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
− 作者名:鈴木 一朗,松井 次郎
− 公開日:1990年4月1日
− 出版社名及び詳しい連絡先:平成出版,東京都千代田区霞が関1-1-1
記述:機能領域“プロセス管理システム”で任意の規模の利用者機能要件を測定するとき,
統計的に次が示される。
A (FURi)≒2×B (FURi)+7
ここに,
A(FURi): FURiを手法Aで測定した結果
B(FURi): FURiを手法Bで測定した結果
A.2.4 FSM手法の識別限界に関する試験
FSM手法の識別限界に関する試験要求は,次を記述しなければならない。
a) 試験が実行される機能領域
b) 検証手法の適用に必要なその他の情報
例1 識別限界に関する検証手法zを使用して,機能領域“リアルタイムシステム”において,FSM
手法の測定結果に影響を与える利用者機能要件の最小の変化を決定する。
例2 FSM手法K第1.3.1版では,入力及び出力の1データ要素の変更は,それぞれ手法Kの0.02
単位及び0.01単位の規模の変化をもたらす。
A.2.5 機能領域への(FSM手法の)適用可能度合いに関する試験
FSM手法の機能領域への適用可能度合いに関する試験要求は,次を記述しなければならない。
a) FSM手法が試験される機能領域
b) FSM手法が適用できる利用者機能要件の規模範囲
c) 適用可能度合いに対するその他の制約
注記 手法がある機能領域の部分集合に適用されるということでもよい。
d) 検証手法の適用に必要なその他の情報
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附属書B
(参考)
検証報告書の例
B.1
はじめに
この附属書は,この規格の要求事項を満たすように作成された検証報告書の例である。
この報告書の主要項目を次に示す。
a) 要旨
b) 検証スポンサの目的及び/又は観点,並びにその背景
c) 検証された能力特性記述一覧
d) 要求された試験一覧
e) 検証計画
f)
(判断に寄与した全ての情報を含む。)試験結果
g) 試験結果に対する分析の記述
h) 能力特性記述の正確さの評価結果
B.2
要旨
− 報告書表題 FSM手法A 第11版 の検証
− 手法の識別情報
名称 FSM手法A
版名 第11版
著者 鈴木 一朗,松井 次郎
発行日 2001年4月1日
出版社名 平成出版
評価者組織 昭和コンサルティング
− 検証結果
実施日 2008年7月21日
結果
1) 能力特性記述に対する検証結果
− 反復性及び再現性
FSM手法A第11版を用いて,機能領域“銀行の勘定系システム”に属しているFURに対し
て,複数の測定者で複数回の測定を実施した。
手法Aに関して組織Cから資格認定を受けている測定者が測定し,かつ,測定値が手法A測
定単位で 約600単位未満であった場合には,測定値の標準偏差は9単位未満であった。
− 変換性
機能領域“給与システム”のFURにおいて,手法Aと手法Bとの変換性は,統計的に次のと
おりであった。
A(FURi)≒ 3.14×B(FURi)+2.71
ここに,
A(FURi): FURiを手法A第11版で測定した結果
B(FURi): FURiを手法B第4版で測定した結果
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2) 試験要求に対する検証結果
− 測定の正確さ
機能領域“管理会計システム”のFURに対して測定を実施した。
測定の正確さを評価するために,FSM手法B第4版を参照FSM手法として用いた。
手法Aによる測定で,“600単位(手法A第11版)”未満の場合,統計的に,次のとおりであ
った。
A(FURi)≒4.2×B(FURi)(決定係数0.92)
ここに,
A(FURi): FURiを手法A第11版で測定した結果
B(FURi): FURiを手法B第4版で測定した結果
− 検証チーム
主任評価者
星野 太郎
電話:03-4567-8912
ファックス:03-4567-8900
電子メール:taroh.hoshino@hyouka.com
評価者補
田淵 次郎
電話:03-4567-8913
ファックス:03-4567-8900
電子メール:jiroh.tabuchi@hyouka.com
山本 三郎
電話:03-4567-8914
ファックス:03-4567-8900
電子メール:saburoh.yamamoto@hyouka.com
B.3
検証スポンサの目的及び/又は観点,並びにその背景
検証スポンサは,FSM手法Aの導入を検討している。検証スポンサは,FSM手法にある二つの能力特
性記述の検証を要求している。さらに,検証スポンサは,手法Aの導入について最終決断をする前に,二
つの能力特性記述の検証試験の結果を知りたいと思っている。
B.4
検証された能力特性記述の一覧
能力特性記述 記述1
− 記述箇所
2ページ,第4段落
− 対象能力特性
反復性及び再現性
− 本文
FSM手法A第11版を次の条件の下に同じFURに繰返し計測する場合,結果の標
準偏差は,12単位(手法A)より小さい。
− 組織Cが認定した測定者が測定する。
− 機能領域“業務アプリケーション”に属しているFURである。
− 得られた結果が,(約)600単位(手法A)より小さい。
能力特性記述 記述2
− 記述箇所 2ページ,第5段落
− 対象能力特性 変換性
− 相関がある測定手法
手法名及び版 : 手法B第4版
著者名 : 鈴木 一朗,松井 次郎
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
発行日 : 1990年4月1日
出版社名及び詳しい連絡先 : 平成出版,東京都千代田区霞が関1-1-1
− 本文 機能領域“給与システム”のFURに適用する場合,統計的に,次の関係がある。
A(FURi)=2×B(FURi)+7
ここに,
A(FURi): FURiを手法Aで測定した結果
B(FURi): FURiを手法Bで測定した結果
B.5
要求された試験一覧
試験 試験要求1
対象能力特性 正確さ
試験要求本文 次に対して,手法A第11版の測定結果と正確さについて検証済みの手法Bの測定結果と
の相関を分析することによって,FSM手法A第11版の正確さを検証する。
− 機能領域“業務アプリケーション”に属するFUR
− 600単位(手法A)より小さい規模のFUR
B.6
検証計画
注記 この箇条には,検証計画を含む。
B.7
(判断に寄与した全ての情報を含む。)試験結果
注記 この箇条には,検証チームが実施した各試験の詳細結果を含む。
B.8
試験結果に対する分析の記述
注記 この箇条には,検証チームが実施した各試験結果の分析を含む。
B.9
能力特性記述の正確さの評価結果
注記 この箇条には,手法に記載されている能力特性記述の妥当性の評価を含む。
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附属書C
(参考)
ビジネスアプリケーションRUR
ISO /IEC 14143-4のAnnex Aのビジネスアプリケーションは,技術的に陳腐化しているため,この規格
では最新の技術を用いたRURを新たに作成した。
C.1 人事基本情報管理システム
C.1.1 概要
組織における従業員の基本情報を管理するシステムで,利用者を当該組織の人事部門とする事例を使用
して説明する。
人事基本情報管理システムの基本的な機能のうち,従業員基本情報の参照及び更新を利用者要件の事例
として説明する。
C.1.2 境界
人事基本情報管理システムと関連システムとの間の境界を,図C.1に示す。
図C.1−人事基本情報管理システムと関連システムとの間の境界
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X 0135-3:2011
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
C.1.3 利用者要件
項目は,必要な項目だけに限定している。
“従業員基本情報の参照及び更新”についての基本的な利用者要件を次に示す。
− 人事部門の利用者は,従業員番号を入力し,対象従業員の基本情報を検索する。
− 対象従業員の基本情報について,項目単位での更新を可能とする。
− 対象従業員の基本情報の帳票出力を行う。
詳細な利用者要件については,C.1.3.1以降に示す。
C.1.3.1 “従業員基本情報の参照及び更新”に関連するテーブル
a) 雇用種別情報テーブル
従業員番号
雇用種別コード
b) 氏名情報テーブル
従業員番号
姓(漢字)
姓(カナ)
姓(英字)
名(漢字)
名(カナ)
名(英字)
旧姓(漢字)
旧姓(カナ)
旧姓(英字)
更新年月日
備考
c) 勤務情報テーブル
従業員番号
入社年月日
退職年月日
事業所コード
部署コード
部署電話番号(外線)
部署電話番号(内線) 携帯電話番号
備考
d) 個人基礎情報テーブル
従業員番号
生年月日
性別
婚姻年月日
世帯主
備考
性別は,整数値で“1”又は“2”のいずれかが必ず格納されており,“1”の場合“男性”,“2”の場
合“女性”とする。“世帯主”は,整数値で“0”又は“1”のいずれかが必ず格納されており,“0”の
場合“非該当”,“1”の場合“該当”とする。
e) 雇用種別マスタ
雇用種別コード
雇用種別名称
f)
事業所マスタ
事業所コード
事業所名
郵便番号
住所
代表電話番号
g) 部署マスタ
事業所コード
部署コード
部署名
備考
C.1.3.2 画面遷移図
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X 0135-3:2011
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図C.2−“従業員基本情報の参照及び更新”の画面遷移図
C.1.3.3 画面仕様
画面1) 従業員検索画面
従業員番号を入力して,従業員情報を検索・表示する画面である。
図C.3−従業員検索画面
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X 0135-3:2011
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各画面項目の説明を次に示す。
− “従業員番号”:検索したい従業員の従業員番号を入力するエリア。
− “検索”ボタン:“従業員番号”に入力した従業員の情報を“従業員情報”エリアに表示する。
− “メッセージ”:“入力された従業員番号は存在しません。”などのメッセージを出力するエリア。
− “氏名(漢字)”:氏名情報テーブルから情報を取得し,“姓(漢字)”+全角スペース+“名(漢字)”
の形式で表示する。
− “氏名(カナ)”:氏名情報テーブルから情報を取得し,“姓(カナ)”+全角スペース+“名(カナ)”
の形式で表示する。
− “氏名(英字)”:氏名情報テーブルから情報を取得し,“名(英字)”+半角スペース+“姓(英字)”
の形式で表示する。
− “入社年月日”:勤務情報テーブルからYYYYMMDD形式のデータを取得し,YYYYとMMとの間
及びMMとDDとの間に“/”を入れて表示する。
− “事業所”:勤務情報テーブルの事業所コードを基に事業所マスタから事業所名を取得し,表示する。
− “氏名情報”ボタン:“氏名情報表示及び更新画面”を開く。“氏名情報表示及び更新画面”が開いて
いる間は,“従業員検索画面”は操作不能の状態にする。
− “勤務情報”ボタン:“勤務情報表示及び更新画面”を開く。“勤務情報表示及び更新画面”が開いて
いる間は,“従業員検索画面”は操作不能の状態にする。
− “個人基礎情報”ボタン:“個人基礎情報表示及び更新画面”を開く。“個人基礎情報表示及び更新画
面”が開いている間は,“従業員検索画面”は操作不能の状態にする。
− “帳票出力”ボタン:“印刷指示画面”を開く。“印刷指示画面”が開いている間は,“従業員検索画面”
は操作不能の状態にする。
− “終了”ボタン:“従業員検索画面”を閉じ,“人事基本情報管理システムメニュー画面”に戻る。
画面2) 確認ダイアログ
“氏名情報表示及び更新画面”,“勤務情報表示及び更新画面”又は“個人基礎情報表示及び更新画面”
において,最後に“更新ボタン”が押された以降(一度も“更新ボタン”が押されていないケースを含む。)
に更新可能項目が変更されている状態で,“戻る”ボタンが押された場合に表示する画面である。
図C.4−確認ダイアログ
各画面項目の説明を次に示す。
− “はい”が押された場合:変更された内容で氏名情報テーブルを更新し,“従業員検索画面”に戻る。
− “いいえ”が押された場合:変更された内容を破棄し,“従業員検索画面”に戻る。
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X 0135-3:2011
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− “キャンセル”が押された場合:“氏名情報表示及び更新画面”,“勤務情報表示及び更新画面”又は“個
人基礎情報表示及び更新画面”に戻る。
画面3) 氏名情報表示及び更新画面
氏名情報を表示・更新するための画面である。
図C.5−氏名情報表示及び更新画面
各画面項目の説明を次に示す。
− “従業員番号”:“従業員検索画面”から引き継ぐ。
− “姓”,“名”,“旧姓”及び“備考”:従業員番号をキーに,氏名情報テーブルから取得し,テキストボ
ックスに表示する。テキストボックス内において,変更可能であ
る。
− “備考”:氏名情報に関する備考記入欄。従業員番号をキーに,氏名情報テーブルから取得する。テキ
ストボックス内において変更可能である。
− “備考”の下の文字列エリア:更新に失敗した場合などのメッセージ表示エリア。
− “更新”ボタンが押された場合:その時点のテキストボックスの内容で氏名情報テーブルを更新する。
− “戻る”ボタンが押された場合:この画面の表示時点からテキストボックスの内容が変更されていな
い場合又は“更新”ボタンが押された以降にテキストボックスの内
容が変更されていない場合,この画面を閉じて“従業員検索画面”
に戻る。それ以外の場合,“確認ダイアログ”を表示する。
画面4) 勤務情報表示及び更新画面
勤務情報を表示・更新するための画面である。
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X 0135-3:2011
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図C.6−勤務情報表示及び更新画面
各画面項目の説明を次に示す。
− “従業員番号”:“従業員検索画面”から引き継ぐ。
− “入社年月日”及び“退職年月日”:従業員番号をキーに,勤務情報テーブルからYYMMDDの形式
のデータを取得し,年,月及び日に分解してテキストボックス
に表示する。テキストボックス内において,変更可能である。
なお,在職中の従業員の場合,退職年月日は99990331となっ
ている。
− “事業所”:勤務情報テーブルの“事業所コード”をキーに,事業所マスタから事業所名を取得し,表
示する。プルダウンで変更可能であるが,プルダウンで表示されるのは事業所マスタに存
在する事業所名である。
− “部署”:勤務情報テーブルの“部署コード”をキーに,部署マスタから部署名を取得し,表示する。
プルダウンで変更可能であるが,プルダウンで表示されるのは部署マスタに登録されてい
る部署のうち,現在選択されている事業所と事業所コードが合致する部署名である。
− “電話番号(外線)”,“電話番号(内線)”,“貸与携帯電話”及び“備考”:
従業員番号をキーに,勤務情報テーブルから取得し,テキストボックスに表示する。テキストボッ
クス内において,変更可能である。
− “備考”:勤務情報に関する備考記入欄。従業員番号をキーに,勤務情報テーブルから取得する。テキ
ストボックス内において変更可能である。
− “備考”の下の文字列エリア:更新に失敗した場合などのメッセージ表示エリア。
− “更新”ボタンが押された場合:その時点のテキストボックス及びプルダウンメニューの内容で勤務
情報テーブルを更新する。
− “戻る”ボタンが押された場合:
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この画面の表示時点からテキストボックス若しくはプルダウンメニューの内容が変更されていない
場合又は“更新”ボタンが押された以降にテキストボックス若しくはプルダウンメニューの内容が変
更されていない場合,この画面を閉じて“従業員検索画面”に戻る。それ以外の場合,“確認ダイアロ
グ”を表示する。
画面5) 個人基礎情報表示及び更新画面
個人基礎情報を表示・更新するための画面である。
図C.7−個人基礎情報表示及び更新画面
各画面項目の説明を次に示す。
− “従業員番号”:“従業員検索画面”から引き継ぐ。
− “氏名(漢字)”:“従業員検索画面”から引き継ぐ。
− “性別”:個人基礎情報テーブルの“性別”が“1”の場合“男”,“2”の場合“女”の選択ボタンを選
択状態にする。
− “生年月日”:従業員番号をキーに,個人基礎情報テーブルからYYMMDDの形式のデータを取得し,
年,月及び日に分解して表示する。
− “婚姻年月日”:従業員番号をキーに,個人基礎情報テーブルからYYMMDDの形式のデータを取得
し,年,月及び日に分解してテキストボックスに表示する。テキストボックス内に
おいて,変更可能である。
− “世帯主”:個人基礎情報テーブルの“世帯主”が“0”の場合“該当”,“1”の場合“非該当”の選択
ボタンを選択状態にする。
− “備考”:個人基礎情報に関する備考記入欄。従業員番号をキーに,個人基礎情報テーブルから取得す
る。テキストボックス内において変更可能である。
− “備考”の下の文字列エリア:更新に失敗した場合などのメッセージ表示エリア。
− “更新”ボタンが押された場合:その時点のテキストボックス及びプルダウンメニューの内容で氏名
個人基礎情報テーブルを更新する。
− “戻る”ボタンが押された場合:
この画面の表示時点からテキストボックス若しくは選択ボタンの内容が変更されていない場合,又
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X 0135-3:2011
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
は“更新”ボタンが押された以降にテキストボックス若しくはプルダウンメニューの内容が変更され
ていない場合,この画面を閉じて“従業員検索画面”に戻る。それ以外の場合,“確認ダイアログ”を
表示する。
画面6) 印刷指示画面
図C.8−印刷指示画面
各画面項目の説明を次に示す。
− “プリンタ名”:利用可能なプリンタをプルダウンメニューに表示する。デフォルト表示は,“通常使
うプリンタ”である。
− “プロパティ”ボタン:表示されているプリンタのプリンタドライバが提供するプロパティ設定画面
を表示する。プロパティ設定画面が開いている間は,“印刷指示画面”は操
作不能の状態にする。
− “ステータス”:“プリンタ名”で選択されたプリンタのステータスを表示する。
− “部数”:デフォルト表示は1で,1以上の整数値を指定する。
− “OK”ボタン:従業員基本情報(帳票)を選択されたプリンタへ出力し,“従業員検索画面”へ戻る。
− “キャンセル”ボタン:何もせず,“従業員検索画面”へ戻る。
C.1.3.4 帳票仕様
帳票1) 従業員基本情報
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
YYYY/MM/DD
XX
YYYY/MM/DD
XXXXXX
XXXXXXXXXXXXXXXXXXXX
9999-9999-9999
99999999
9999-9999-9999
XXXXXXXXXXXXXXXXXXXX
YYYY/MM/DD
YYYY/MM/DD
XXXXXXXXXXXXXXXXXXXX
氏名(カナ)
氏名(漢字)
従業員番号
9999999999
XXXXXXXXXXXXXXXXXXXX
XXXXXXXXXXXXXXXXXXXX
在勤事業所
退職年月日
入社年月日
氏名(英字)
勤
務
情
報
従業員基本情報
個
人
基
礎
情
報
世帯主
人事秘文書
出力日 : YYYY/MM/DD
氏
名
情
報
婚姻年月日
性別
生年月日
貸与携帯電話
電話番号(内線)
電話番号(外線)
在勤部署
図C.9−従業員基本情報(帳票)
各帳票項目の説明を次に示す。
− “出力日”:システム日付から取得する。
− “性別”:個人基礎情報テーブルの“性別”コードを,“男”又は“女”に変換する。
− “世帯主”:個人基礎情報テーブルの“世帯主”コードを,“該当”又は“非該当”に変換する。
− その他の項目:各画面での取得方法と同様である。
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附属書D
(参考)
リアルタイムコントロールRUR
D.1 RUR D1:基本的な減算
コンピュータ上の領域Aの値から領域Bの値を減算し,結果を第3の領域(領域C)に代入する。
領域C=領域A−領域B
結果は,0.01秒以内に得られる。
符合付き整数(-99,999,999 〜 +99,999,999の範囲)の減算が可能である。領域A又は領域Bにこの範
囲外の値が入っている場合は,エラーメッセージを出す。領域Cに代入された値を領域Aと領域Bとの
差として示す。
D.2 RUR D2:D1を大幅に拡張した機能
領域Aから領域Bを減算し,結果を第3の領域(領域C)に代入する。
領域C=領域A−領域B
結果は,0.01秒以内に得られる。
領域A又は領域Bのデータ形式は,次のとおりである。
− 符合付き整数(-99,999,999 〜 +99,999,999の範囲)
− 日付(形式 YYYYMMDD,18000101 〜 99991231の範囲)
− 時間量(形式 HHHMM)
領域A及び領域Bは,同じデータ形式でなければならない。領域A及び/又は領域Bが上記以外のデ
ータ形式の場合,又は領域Aと領域Bとのデータ形式が異なる場合は,エラーメッセージを出す。領域C
は,常に,次に示す符号付きデータ形式となる。
− 二つの符号付き整数の差
例えば,領域A:+9,567,領域B:+568,領域C:+8,999
− 二つの日付の差(日数)
例えば,領域A:19960830,領域B:19960720,領域C:+41
− 二つの時間量の差(分)
例えば,領域A:10225,領域B: 09455,領域C:+450
D.3 RUR D3:D2を僅かに拡張した機能
領域Aから領域Bを減算し,結果を第3の領域(領域C)に代入する。
領域C=領域A−領域B
結果は,0.01秒以内に得られる。
RUR D2と同じく,領域A及び領域Bのデータ形式は,次のとおりである。
− 符号付き整数
− 日付
− 時間量
領域A及び領域Bのデータ形式は,異なっていてもよいが,異なる場合は,領域Bは符号付き整数で
33
X 0135-3:2011
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
なければならない。領域A及び/又は領域Bが上記以外のデータ形式の場合,又は間違ったデータ形式の
組合せの場合,エラーの種類を特定するエラーメッセージを出す。
領域A及び領域Bのデータ形式が同じ場合,RUR D2と同様に,結果を示す領域Cは,次に示す符号付
き整数となる。
− 二つの符号付き整数の差
− 二つの日付の差(日数)
− 二つの時間量の差(分)
領域A及び領域Bのデータ形式が異なっている場合,領域Cは,次に示すように領域Aと同じデータ
形式となる。
− 領域Aの日付から,領域Bで指定された日数だけ前の日付
例えば,領域A:19960830,領域B:+41,領域C:19960720
− 領域Aの時間から,領域Bで指定された時間量(分)だけ前の時間
例えば,領域A:10225,領域B:+450,領域C:09455
D.4 RUR D4:入出力装置に関する実装上の利用者要件
RUR D1に,次の実装上の利用者要件を追加する。
一度に一つだけのデータしか入力又は表示できない単純な入出力装置を使う。この装置は,一つのデー
タ表示欄,テンキー及び“実行”キーからなる。利用者は,領域Aの値,“実行”キー,領域Bの値,“実
行”キーの順に入力すると,データ表示欄に領域Cの値又はエラーメッセージを表示する。
D.5 RUR D5:エラーメッセージに関する実装上の利用者要件
RUR D1に,次の実装上の利用者要件を追加する。
エラーメッセージは,プログラムの中に文字列データとして埋め込む。
D.6 RUR D6:エラーメッセージの維持管理に関する利用者要件
RUR D1に,次の利用者要件を追加する。
エラーメッセージは,プログラムに埋め込まず,利用者が変更できるファイルに格納する。
D.7 RUR D7:プログラムの呼出しに関する実装上の利用者要件
RUR D1に,次の実装上の利用者要件を追加する。
減算機能は業務処理の自動化を支援するために,利用者から要求された汎用目的の機能の一部である。
この減算機能は,コンピュータプログラムだけから呼び出される。
D.8 油圧制御弁制御システム
D.8.1 背景
次に示す利用者要件は,自動車に取り付けられた自動変速装置内の,ギアチェンジ装置を制御する油圧
制御(回路)弁の電磁操作(制御)弁の動作を示したものである。この弁は開閉が可能で,通常状態では
弁は開いていて,ギアチェンジ装置を結合するために弁を閉じる。このプロセスは,数千マイクロ秒周期
で弁を閉じる時間を制御する。動作周期の基準となるクロックがこのプロセスのトリガとなる。
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X 0135-3:2011
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
D.8.1.1 入力
この事例のプロセスでは,次を入力として使用する。
− センサ信号(Gc):ギアチェンジを実施中(値:1)か,否(値:0)か,を示す。
− センサ信号(Su):ギアチェンジ中であることを,ギアを上げている(値:1)か,ギアを下げている
(値:0)か,で示す。
− センサ信号(Idl):変速装置が駆動中(値:0)か,アイドリング中(値:1)か,を示す。
− バイナリフラグ(A):この値はROMメモリに記録されている。
− バイナリフラグ(B):この値はROMメモリに記録されている。
バイナリフラグA,Bは,自動変速装置の幾つかの一般的な構成特性を示す。
D.8.1.2 出力
この事例のプロセスでは,次を出力する。
時間(T):1回の動作周期の中で制御弁を閉じていなければならない時間
D.8.2 利用者要件
D.8.2.1 パートA:一般的な駆動条件の決定
油圧弁が閉じた状態からの動作の緩急を決定する。
IF ( Gc = 1
AND Idl = 1
AND A = 0
AND B = 0 )
THEN 通常状態下での動作であり,パートBを実行する。
IF ( Gc = 1
AND Idl = 0
AND Su = 1
AND A = 0
AND B = 0 )
THEN ギアチェンジ中での動作であり,パートCを実行する。
D.8.2.2 パートB:閉じた状態の油圧制御弁を緩やかに開くときの制御
1) Tの値を,定数INIT又は直近の動作周期におけるTの値の,いずれか小さい方の値で初期化する。こ
のINITの値は,ROMに記録されている。
2) 新しいTの値の計算をする。
T=T−(Cst̲X×ET)
ここに,
Cst̲X: プロセッサのROMに記録されている定数
ET: 完全に閉じている状態の油圧制御弁が緩やかに開き始め
てから現在までの経過時間
終了条件:
次の条件を満たした場合,弁制御は他のプロセスに移行する。
T≦LT又はSlp≧Uslp
ここに,
LT: 時間の下のしきい(閾)値。ROMに記録されている。
Uslp: 滑り量の上のしきい(閾)値。ROMに記録されている。
Slp: 完全に駆動力が伝わらず滑っている量の現在値で,エン
ジンの出力軸と伝動軸との回転数の差で表す。
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X 0135-3:2011
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
Slpの値は,次の式で計算・更新され,RAMに記録されている。
Slp=|Erev−PSrev|
ここに,
Erev: エンジン出力軸の回転数
PSrev: 伝動軸の回転数
並行動作する別のプロセスによって独立したセンサの入力値を用いて計算され,RAMに記録されてい
る。
D.8.2.3 パートC:閉じた状態の油圧制御弁を速やかに開くときの制御
1) Tの値を,INITS(Vs)又は直近の動作周期におけるTの値の,いずれか小さい方の値で初期化する。
− INITS: ROMに記録されている初期値テーブル(配列)
− Vs: 自動車の速度。他のプロセスによって計算・更新され,RAMに記録されている。
2) 新しいTの値の計算
T=T−[INCR(Vs)×ET]
ここに,
INCR: プロセッサのROMに記録された自動車の速度の増分の
テーブル(配列)
ET: 完全に閉じている状態の油圧制御弁が緩やかに開き始め
てから現在までの経過時間
終了条件:次の条件を満たすと,弁制御は他のプロセスに移行する。
T≦LT
ここに,
LT: 時間の下のしきい(閾)値。ROMに記録されている。
注記 機能規模測定を行うときは,ROM及びRAMに記録されたデータ属性及びデータ構造は,ソフ
トウェアの境界内に存在するとみなす。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書JA
(参考)
JISと対応国際規格との対比表
JIS X 0135-3:2011 ソフトウェア測定−機
能規模測定−第3部:機能領域の定義及び
機能規模測定手法の能力の検証
ISO/IEC TR 14143-3:2003 Information technology−Software measurement−Functional size measurement−Part 3: Verification
of functional size measurement methods
ISO/IEC TR 14143-4:2002 Information technology−Software measurement−Functional size measurement−Part 4: Reference
model
ISO/IEC TR 14143-5:2004 Information technology−Software measurement−Functional size measurement−Part 5:
Determination of functional domains for use with functional size measurement
(I)JISの規定
(II)国際規格番
号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ご
との評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差異の理由及
び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
1 適用範
囲
1.1
ISO/IEC TR
14143-5
1
削除
・JISには附属書を含めていないため,第2
文以降に述べられている附属書の内容説明を
削除した。
追加
国際標準報告書の先頭1文だけ
を採用し,三つの細別を追加し
た。
・国際標準報告書では,規格の規定内容を列
挙した部分に記述漏れがあるため,箇条3と
して追加した。
1.2
ISO/IEC TR
14143-3
1
一致
1.3
ISO/IEC TR
14143-4
1
削除
・第1文を削除した。
・第3段落2文目を削除した。
・第1文は,国際標準報告書の序文の図を参照
しているがJISではこの図を含んでいないた
め。
・第3段落第2文は,この規格がISO/IEC TR
14143-3を合体しているため。
2 引用規格
3 用語及
び定義
3.1 測定の
正確さ
ISO/IEC TR
14143-3
3.1
accuracy
of
measurement
削除
注記2を削除し,注記3をJIS Z
8103:2000の“真の値”の定義に
よって全面的に書き換えた。
国際標準報告書での定義が意味不明であるた
め。
3
6
X
0
1
3
5
-3
:
2
0
11
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(I)JISの規定
(II)国際規格番
号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ご
との評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差異の理由及
び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
3 用語及
び定義
(続き)
3.2 機能領
域への適
用可能度
合い
ISO/IEC TR
14143-3
3.2
applicability to a
functional domain
一致
3.3 FURの
特性
ISO/IEC TR
14143-5
3.1
characteristic
of
FUR
一致
3.4 変換性 ISO/IEC TR
14143-3
3.3
convertibility
変更
正しく定義し直した。
国際標準報告書の定義が明らかに誤ってい
るため。
3.5 識別限
界
ISO/IEC TR
14143-3
3.4
discrimination
変更
簡潔で正しい定義に置き換えた。 国際標準報告書での定義が意味不明である
ため。
3.6 機能領
域の分類
ISO/IEC TR
14143-5
3.2
Functional Domain
Categorization
一致
3.7 測定量 ISO/IEC TR
14143-3
3.5
measurand
一致
3.8 計器
ISO/IEC TR
14143-3
3.6
measuring
instrument
一致
3.9 FSM手
法の所有者
ISO/IEC TR
14143-3
3.7
owner of the FSM
Method
一致
3.10 参照
FSM手法
ISO/IEC TR
14143-4
3.3
Reference
FSM
Method
一致
3.11 参照
利用者要
件
ISO/IEC TR
14143-4
3.4
Reference
User
Requirements
一致
図1
ISO/IEC TR
14143-4
Figure
3.1
一致
3.12 参照
利用者要
件集合
ISO/IEC TR
14143-4
3.5
Reference
User
Requirement
Collection
一致
3.13 反復
性
ISO/IEC TR
14143-3
3.8
repeatability
削除
注記2の反復条件から,“同じ測
定場所”を削除した。
FSMにおいては,測定場所は測定結果に影
響を及ぼさないため。
3
7
X
0
1
3
5
-3
:
2
0
11
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(I)JISの規定
(II)国際規格番
号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ご
との評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差異の理由及
び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
3 用語及
び定義
(続き)
3.14 再現
性
ISO/IEC TR
14143-3
3.9
reproducibility
変更
注記2の箇条を,3.13の注記2
と対応するものに置き換えた。注
記4は削除した。
国際標準報告書での注記はあらゆる計量に
通じる定義であり,内容が抽象的過ぎるた
め,具体的な例に置き換えた。
3.15 能力
特性記述
−
追加
定義を新たに設けた。
特殊な意味で使われている重要な用語であ
るため,定義を設けた。
3.16 検証
手法
ISO/IEC TR
14143-3
3.10
verification method
一致
3.17 検証
スポンサ
ISO/IEC TR
14143-3
3.11
verification sponsor
一致
4 略語
ISO/IEC TR
14143-4
4
QR,TR
削除
JIS X 0135-1:2010では,削除さ
れた略語
QR及びTRは,JIS X 0135-1:2010で規定さ
れていない略語であるため,削除した。
5 関連規
格間の関
係
−
追加
箇条全体を新たに追加した。
複数の国際標準報告書を参考にしたJISで
あるため,国際規格及び関連規格との対応関
係を記述する箇条を設けた。
6機能領域
の定義
6.1.1 機能
領域に対
する一般
要求事項
ISO/IEC TR
14143-5
5.1
一致
6.1.2 機能
領域の特
性に対す
る一般要
求事項
ISO/IEC TR
14143-5
5.2
一致
6.1.3 機能
領域の分
類手法に
対する要
求事項
ISO/IEC TR
14143-5
5.2.1
削除
注記を削除した。
JISでは附属書を省略することとしたため,
附属書の内容を説明する注記を削除した。
6.2 手順
ISO/IEC TR
14143-5
6
一致
3
8
X
0
1
3
5
-3
:
2
0
11
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(I)JISの規定
(II)国際規格番
号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ご
との評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差異の理由及
び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
−
−
ISO/IEC TR
14143-5
7
削除
箇条全体を削除した。
ISO/IEC TR 14143-5のAnnex A及びAnnex
Bの内容を説明する箇条であるが,JISでは
これらの附属書を省略することとしたため。
7 検証
7.1 概略
ISO/IEC TR
14143-3
4.1
一致
図3
ISO/IEC TR
14143-3
Figure
1
一致
7.2 検証チ
ームの任命
ISO/IEC TR
14143-3
4.2
一致
7.3 検証入
力の準備
7.4 検証の
実施
7.5 検証出
力の作成
ISO/IEC TR
14143-3
4.3〜
4.5.3
一致
8 参照モ
デル
8.1.1 一般
要求事項
ISO/IEC TR
14143-4
5〜5.1
一致
8.1.2 例
ISO/IEC TR
14143-4
5.2
変更
附属書C及び附属書Dとして掲
載するRURは,一部を削除及び
独自のRURを追加したので,
RURの内容を説明する一覧を書
き換えた。
附属書C及び附属書Dとして掲載するRUR
は,一部を削除及び独自のRURを追加した
ので,RURの内容を説明する一覧を書き換
えた。
8.2 参照
FSM手法
ISO/IEC TR
14143-4
6
一致
附属書A
(規定)
試験要求
の提供
ISO/IEC TR
14143-3
Annex
A
一致
−
−
ISO/IEC TR
14143-3
Annex
B
Verification
methods
削除
附属書全体を削除した。
検証用の手法群を例示しているが,わざわざ
JISとして制定する必要性が低いため。
附属書B
(参考)
検証報告
書の例
ISO/IEC TR
14143-3
Annex
C
一致
3
9
X
0
1
3
5
-3
:
2
0
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(I)JISの規定
(II)国際規格番
号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差異の理由及
び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
附属書C
(参考)
ビジネス
アプリケ
ーション
RUR
ISO/IEC TR
14143-4
Annex
A
Business
application RUR
追加
独自のRURを追加した。
ISO/IEC TR 14143-4のAnnex AのRURは技
術的に陳腐化しているため,最近の技術を用
いたRURを新たに作成して置き換えた。
附属書D
(参考)
リアルタ
イムコン
トロール
RUR
ISO/IEC TR
14143-4
Annex
B
Real Time/Control
RUR
削除
ISO/IEC TR 14143-4のAnnex B
のB.8,B.10及びB.11を削除し
た。
ISO/IEC TR 14143-4のAnnex BのRURは技
術的に陳腐化して,JISとして制定する必要
性も低い項目を削除した。
−
−
ISO/IEC TR
14143-4
Annex
C
RUR reference list
削除
附属書全体を削除した。
絶版又は改訂済みの書籍が多く,全て英語文
献であるため,JISとして掲載する必要性が
低いため。
−
−
ISO/IEC TR
14143-5
Annex
A
CHAR method to
determine
Functional Domains
削除
附属書全体を削除した。
FDC手法の例示であるが,技術的に成熟し
ていないため。
−
−
ISO/IEC TR
14143-5
Annex
B
BFC type method to
determine
Functional Domains
削除
附属書全体を削除した。
FDC手法の例示であるが,技術的に成熟し
ていないため。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:(ISO/IEC TR 14143-3:2003,ISO/IEC TR 14143-4:2002,ISO/IEC TR 14143-5:2004,MOD)
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 一致……………… 技術的差異がない。
− 削除……………… 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
− 追加……………… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更……………… 国際規格の規定内容を変更している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD………………国際規格を修正している。
4
0
X
0
1
3
5
-3
:
2
0
11