X 0135-1:2010 (ISO/IEC 14143-1:2006)
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 2
2 引用規格························································································································· 2
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 略語······························································································································· 4
5 特性及び要求事項 ············································································································· 4
5.1 特性 ···························································································································· 4
5.2 要求事項 ······················································································································ 4
6 FSM手法の適用プロセス ··································································································· 6
7 FSM手法の命名規約 ········································································································· 6
参考文献 ····························································································································· 7
X 0135-1:2010 (ISO/IEC 14143-1:2006)
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づき,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本
工業規格である。
これによって,JIS X 0135-1:1999は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責
任はもたない。
JIS X 0135の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS X 0135-1 第1部:概念の定義
JIS X 0135-2 第2部:ソフトウェア規模測定手法のJIS X 0135-1:1999への適合性評価
JIS X 0135-6 第6部:JIS X 0135規格類及び関連規格の利用指針
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
X 0135-1:2010
(ISO/IEC 14143-1:2006)
ソフトウェア測定−機能規模測定−
第1部:概念の定義
Information technology-Software measurement-
Functional size measurement-Part 1: Definition of concepts
序文
この規格は,2006年に第2版として発行されたISO/IEC 14143-1を基に,技術的内容及び対応国際規格
の構成を変更することなく作成した日本工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある“注記”は,対応国際規格にはない事項である。
ソフトウェア技術に関連してきた組織は,その組織が取得,開発,改良又は維持管理するシステムにつ
いて,プロセスの効率及び効果を測定し,ソフトウェアのコストを管理することが可能な定量化手法を長
年求めてきた。この測定に関する要求の中で重要であるが,非常に扱いにくいものとしてソフトウェアの
規模を決定するというニーズがあった。過去におびただしいほどのソフトウェア規模測定法が提案されて
きた。これらにはプログラムコードのソース行数及びソフトウェアの技術特性から得られるさまざまな測
定がある。
これらの手法は,次のような理由で限界があった。
− ソフトウェア開発プロセスの初期工程で常に適用できるとは限らない。
− ソフトウェアライフサイクルを通して,一様に適用できるとは限らない。
− ソフトウェアの利用者から意味あるものとして理解されるとは限らない。
機能規模測定(FSM)の考え方は,焦点を,ソフトウェアの実現法を測定することから,利用者が要求す
る機能に関して規模を測定するという具合に移すことによって,これらの制約を克服するように設計され
た。1979年に,IBMのAllan J. Albrechtによって,このような概念に基づく最初の手法として,“ファンク
ションポイント法”が公表された。
ファンクションポイント法の公表以来,Albrecht,その他の人の考え方に基づいて多くの手法が開発され
てきた。これらの規模測定手法は,基本的なFSMの考え方に関する共通の認識なしに開発されたため,手
法間の一貫性の欠如が生まれたのはごく当然である。これらの一貫性のなさは,これらのどの手法をもソ
フトウェアの機能規模測定のための標準的手法として利用することの可能性及び魅力を減少させた。
この規格は,FSMの基本的な概念を定義し,FSM原理の一貫した解釈を普及することを目的とする。
この規格の本文は,ソフトウェア規模測定法の候補の手法がこの規格に適合するかどうかを検査するこ
とを容易にする構成にしてある。
注記 JIS X 0135規格類には,JIS X 0135-1:2010,JIS X 0135-2:2004,ISO/IEC TR 14143-3:2003,
ISO/IEC TR 14143-4:2002,ISO/IEC TR 14143-5:2004及びJIS X 0135-6:2008がある。
日本工業規格では,部で構成する規格がある場合,この部編成の規格全体を総称して,“規格
群”と呼ぶ。この規格では,日本工業規格になっていない標準報告書を含めて,規格全体を総
2
X 0135-1:2010 (ISO/IEC 14143-1:2006)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
称する場合は,“規格類”と呼ぶ。
1
適用範囲
この規格は,機能規模測定(FSM)の基本的な概念について規定する。この規格では,次の項目に関する
具体的な規則は与えない。
− 特定手法を用いたソフトウェアの機能規模の測定方法
− 特定手法によって得られる結果の利用方法
− 特定手法の選定方法
この規格は,あるソフトウェア規模測定手法がFSM手法であるかどうかを決めるときに利用できる。こ
の規格は種々の手法の開発を妨げるものではなく,むしろ特定の手法がFSMに適合するかどうかを評価す
るための基準を提供するものである。
この規格は,ソフトウェアの取得,開発,利用,支援,保守及び監査にかかわる人々による利用を意図
している。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO/IEC 14143-1:2006,Information technology−Software measurement−Functional size
measurement−Part 1: Definition of concepts (IDT)
なお,対応の程度を表す記号(IDT)は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,一致していることを示
す。
2
引用規格
この規格には,引用規格はない。
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
3.1
基本機能要素 (Base Functional Component, BFC)
利用者機能要件の基本単位。測定を目的としてFSM手法において定義され,利用される。
例 “顧客情報の管理”というのは,利用者機能要件の例である。この利用者要件の中には,次のよ
うなBFCが含まれる。“新しい顧客を追加する”,“顧客の購入品を報告する”,“顧客に関する詳
細情報を変更する”。さらに,“顧客に関する詳細情報”などのような,調査しているソフトウェ
アが維持管理する論理的に関連したビジネスデータの集合を含むこともある。
3.2
BFC型 (BFC Type)
定義されたBFCの種類。
例 BFC型の例としては,“外部入力”,“外部出力”,“論理トランザクション”,“内部論理ファイル”
などの蓄積データがある。
3.3
境界 (boundary)
測定対象ソフトウェアとその利用者との間の概念的なインタフェース。
3
X 0135-1:2010 (ISO/IEC 14143-1:2006)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
3.4
FSM手法 (FSM Method)
この規格の要求事項に適合したFSMの具体的な実現で,規則の集合によって定義されるもの。
3.5
機能領域 (Functional Domain)
FSMに適合した利用者機能要件の特性に基づいたソフトウェアの分類。
3.6
機能規模 (Functional Size)
利用者機能要件を定量化して得られるソフトウェアの規模。
3.7
機能規模測定 (Functional Size Measurement, FSM)
機能規模を測定するプロセス。
3.8
利用者機能要件 (Functional User Requirements, FUR)
利用者要件の部分集合。利用者機能要件は,業務及びサービスの観点から,ソフトウェアが何をするか
を記述する。
注記 利用者機能要件には次のものがあるが,これに限るものではない。
− データ転送(例 顧客情報を入力する。制御信号を送信する。)
− データ変換(例 銀行金利を計算する。平均温度を算出する。)
− データ記憶(例 顧客の注文を記憶する。周辺温度を時系列で記録する。)
− データ検索(例 在職中の従業員を一覧表示する。航空機の現在位置を取得する。)
利用者機能要件ではない利用者要件には,次のものがあるが,これに限るものではない。
− 品質制約(例 使用性,信頼性,効率,移植性)
− 組織制約(例 操作場所,稼動ハードウェア,規格の準拠)
− 環境制約(例 相互運用性,セキュリティ,プライバシー,安全性)
− 実装制約(例 開発言語,納入日程)
3.9
特定用途向け改定手法 (local customization)
特定の用途で利用するために,変更前の手法とは異なった機能規模を生成するように改定されたFSM手
法。
3.10
FSMの範囲 (Scope of FSM)
特定のFSMに含まれる利用者機能要件の集合。
注記 FSMの範囲は,ソフトウェアを測定する目的によって決まる。例えば,ある組織でソフトウェ
ア資産の規模を知る必要がある場合,FSMの範囲は現在利用されているすべての利用者機能要
件を含む。しかし,プロジェクト管理者が特定の版の規模を求める必要がある場合には,FSM
の範囲は,そのプロジェクトによって影響される利用者機能要件だけを含む。
3.11
利用者 (user)
ソフトウェアとやり取りをする又は相互に影響し合う人,又はもの。
4
X 0135-1:2010 (ISO/IEC 14143-1:2006)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
例 “もの”の例には,ソフトウェアアプリケーション,動物,センサ,その他のハードウェアなど
があるが,これに限るものではない。
3.12
利用者要件 (User Requirements)
ソフトウェアに対する利用者ニーズの集合。
注記 利用者要件は,利用者機能要件及び利用者非機能要件と称する二つの部分集合からなる。
4
略語
FSM−機能規模測定(Functional Size Measurement)
BFC−基本機能要素(Base Functional Component)
5
特性及び要求事項
5.1
特性
5.1.1
FSM手法の特性
5.1.1.1 FSM手法は,次の特性をもたなければならない。
a) 利用者の観点からの利用者機能要件の表現に基づくものである。
b) 利用者機能要件が定義され,それが利用可能である間,適用可能である。
c) 基本機能要素の評価(5.2.2参照)によって機能規模を導き出す。
5.1.1.2 FSM手法は,特定のソフトウェア開発手法又は技術からできる限り独立であることが望ましい。
注記 これはFSM手法のより広い利用に役立つ。
5.1.2
基本機能要素の特性
BFCは,次の特性をもたなければならない。
a) 利用者機能要件だけを表現する。
b) 一つ,それもただ一つのBFC型に分類される。
5.1.3
機能規模の特性
機能規模は,次の特性をもたなければならない。
a) 測定対象のソフトウェアを開発するために必要な工数から導かれない。
b) 測定対象のソフトウェアの利用を支援するために必要な工数から導かれない。
c) 測定対象のソフトウェアを開発するために利用される手法から独立である。
d) 測定対象のソフトウェアの利用を支援するために利用される手法から独立である。
e) 測定対象のソフトウェアの物理要素から独立である。
f)
測定対象のソフトウェアの技術要素から独立である。
5.2
要求事項
5.2.1
FSM手法の要求事項
5.2.1.1 FSM手法は,次の事項を満たさなければならない。
a) BFCの属性を定義している。
b) BFCを評価するために利用される規則を定義している。
c) 機能規模を表現する単位を定義している。
例 ファンクションポイント(FP)
d) 当該FSM手法が適用可能な機能領域を示している。
5
X 0135-1:2010 (ISO/IEC 14143-1:2006)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
注記 機能領域の記述を支援する手引として,ISO/IEC TR 14143-5:2004がある。
5.2.1.2 FSM手法は,次の事項を満たすことが望ましい。
a) 当該FSM手法を適用可能とするために必要な情報の種類を示している。
b) 特定のFSMを文書化する方法の指針を与えている。
c) FSM手法の利用者が機能規模をどのような目的で利用するときに,当該FSM手法が最も有効性を発
揮できるかを示している。
d) 他の規模測定手法への変換可能度合を示している。
注記 “変換可能度合”には次のものがあるが,これに限るものではない。
− 完全に変換可能 機能規模がアルゴリズム又は数学的モデルによって,すべての条件下
で他の規模尺度に変換できる。
− 制約付きで変換可能 機能規模がアルゴリズム又は数学的モデルによって,ある条件下
で他の規模尺度に変換できる。例えば,限られた規模の範囲,特定の精度内などである。
− 変換不可能 機能規模は,他の規模尺度に変換できない。
5.2.2
基本機能要素評価の要求事項
注記1 次に規定するBFC評価の要求事項の記述順序は,各FSM手法で決めてよい。
FSM手法は,次の事項を満たさなければならない。
a) BFC型を定義する。
b) どの利用者機能要件がFSMの範囲内に含まれるかを識別する方法を記述する。
c) 利用者機能要件内でBFCを識別する方法を記述する。
d) 二つ以上のBFC型がある場合,それぞれのBFCをBFC型に分類する方法を定義する。
e) BFC型に従って各BFCに数値を割り付ける方法を定義する。
注記2 このような定義の例には,“出力は,一つ以下のファイルにアクセスするのであれば値5
を,二つ以上のファイルにアクセスするのであれば値8を割り付けるようなBFC型”など
がある。
f)
BFC型と境界との間に何らかの関係があるならば,その関係を定義する。
注記3 BFC型と境界との間の関係の例 “内部論理ファイルは,境界のソフトウェア側になけれ
ばならない。”
g) BFC型間に何らかの相互関係があるならば,その関係を定義する。
注記4 BFC型間の相互関係の例 “内部論理ファイルは,一つ以上の外部入力によって維持管理
されなければならない。”
注記5 BFC型間の相互関係の例 “各論理トランザクションは,入力,処理及び出力の要素が含
まれなければならない。”
5.2.3
機能規模の表示規約
FSM手法は,次の事項で規定される“機能規模を報告するときに用いられる規約”を記述しなければな
らない。
a) FSM手法が使う単位。
b) FSM手法の名称。
例1 機能規模 = 300ファンクションポイント(XYZ v2.0)
c) 特定用途向け改定手法の場合,特定のFSM手法の特定用途向け改定手法が利用されたことの表示。
例2 XYZ法2.0版の特定用途向け改定手法 = XYZ v2.0c
6
X 0135-1:2010 (ISO/IEC 14143-1:2006)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
6
FSM手法の適用プロセス
FSM手法は,機能規模を導き出すために次の活動を含まなければならない。
a) FSMの範囲を決定する。
b) FSMの範囲内にある利用者機能要件を識別する。
c) 利用者機能要件の中でBFCを識別する。
d) 可能な場合,BFCをBFC型に分類する。
e) 各BFCに定められた数値を割り付ける。
f)
機能規模を計算する。
7
FSM手法の命名規約
FSM手法は,次の事項を満たさなければならない。
a) 既存の他のFSM手法から当該FSM手法を区別できる名前を付ける。
例1 手法名 = XYZ
b) 複数の版がある場合,当該手法の他の版と区別できるように,手法名に版番号を付加する。
例2 XYZ法の2.0版 = XYZ v2.0
7
X 0135-1:2010 (ISO/IEC 14143-1:2006)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
参考文献
JIS X 0135-2:2004 ソフトウェア測定−機能規模測定−第2部:ソフトウェア規模測定手法のJIS X
0135-1:1999への適合性評価
JIS X 0135-6:2008 ソフトウェア測定―機能規模測定―第6部:JIS X 0135規格類及び関連規格の利
用指針
ISO/IEC TR 14143-3:2003,Information technology−Software measurement−Functional size measurement
−Part 3: Verification of functional size measurement methods
ISO/IEC TR 14143-4:2002,Information technology−Software measurement−Functional size measurement
−Part 4: Reference model
ISO/IEC TR 14143-5:2004,Information technology−Software measurement−Functional size measurement
−Part 5: Determination of functional domains for use with functional size measurement