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X 0028 : 1999  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日

本工業規格である。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

X 0028 : 1999 

情報処理用語−人工知能− 

基本概念及びエキスパートシステム 

Information technology−Vocabulary− 

Artificial intelligence−Basic concepts and expert systems 

序文 この規格は,1995年12月に第1版として発行されたISO/IEC 2382-28,Information technology−

Vocabulary−Part 28 : Artificial intelligence−Basic concepts and expert systemsを翻訳し,その技術的内容を変

更することなく作成した日本工業規格である。ただし,幾つかの用語につき,対応国際規格が技術的に不

正確又は時代遅れと判断されるところがあったため,最新の用法に合致するよう一部修正を加えた。 

1. 適用範囲 この規格は,情報処理における人工知能に関する主な用語,定義及び対応英語について規

定する。 

備考1. この規格の関連規格を,付表1に示す。 

2. 参考は,対応国際規格にない事項である。 

2. 分類 用語は,次のとおり分類する。 

a) 一般概念(28.01参照) 

b) 知識構造及び知識表現(28.02参照) 

c) 推論(1)及び問題解決(28.03参照) 

d) エキスパートシステム(28.04参照) 

3. 表記法 この規格は,各用語を番号,用語,定義及び対応英語の四つの欄に分けて規定する。それぞ

れの欄における表記法及び解釈を,次に示す。 

a) 番号 番号は,6個の数字によって表す。最初の2けたの数字は,情報処理用語の規格番号の末尾2

けたを示す。 

次の2けたの数字は,この規格での分類を示す。最後の2けたは,同一分類内の一連番号を示す。 

b) 用語 

1) 同一の意味を示す用語が二つ以上ある場合は,表記した順に従って優先使用する。 

2) 用語の一部が丸括弧 ( ) で囲まれている場合は,その部分を省略してもよいことを表す。この場

合は,括弧内を省略したときとしないときの間に優先順位はない。 

3) 同一の用語が別の定義をもつ場合には,用語の前に(1),(2), …を付ける。 

例 “(1)人工知能”(28.01.01参照)と“(2)人工知能”(28.01.02参照) 

ただし,定義文中でその用語を参照する場合は,用語の後ろに(1),(2),…を付ける。 

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X 0028 : 1999  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

4) 同じ用語が,情報処理用語に関する他の日本工業規格で別の意味で定義されている場合には,用語

に引き続く丸括弧 ( ) 内に,使用分野がこの規格の適用範囲に限定されることを示す。 

例 “知識(人工知能における)”(28.01.03参照) 

5) 用語に引き続く丸括弧 ( ) は,用法を示す場合もある。 

例 “AI(省略形)”(28.01.01参照) 

6) 常用漢字表音訓欄にない漢字は仮名で書き換えてあるが,仮名文字表現だけでは意味が分かりにく

い場合には,対応する漢字を丸括弧 ( ) で示す。 

例 “演えき(繹)”(28.03.02参照) 

C) 定義 

1) 文中で下線の引いてある語は,情報処理用語に関する日本工業規格に規定されていることを示す。 

2) 丸括弧 ( ) の使い方は,b)と同様とする。 

d) 対応英語 

1) この欄の英語は,対応国際規格に規定されている用語であって,規定されている定義と対応する。 

2) 丸括弧 ( ) の使い方は,b)と同様とする。 

4. 情報処理用語−人工知能 

28.01 一般概念 

番号 

用語 

定義 

対応英語 

28.01.01 (1)人工知能, 

AI(省略形) 

一般に人間の知性と結び付けて考えられる,推論(1),学
習などの機能を遂行するモデル及びシステムを取り扱う
学際分野。通常は,計算機科学に属するものとみなされる。 

備考 これは,JIS X 0001 : 1994に規定されている定

義をこの分野に合わせて変更したものである。 

artificial intelligence(1), 
AI(省略形) 

28.01.02 (2)人工知能, 

AI(省略形) 

一般に人間の知性と結び付けて考えられる,推論(1),学
習などの機能を遂行する,機能単位の能力。 

artificial intelligence(2), 
AI(省略形) 

28.01.03 知識(人工知能におけ

る) 

系統だって使用することができるように整理された,事
実,事象,信念及び規則の集合。 

knowledge(人工知能にお

ける) 

28.01.04 領域(人工知能におけ

る), 
対象領域, 
ドメイン 

知識又は専門的知識の特定の分野。 

domain(人工知能におけ

る) 

28.01.05 知識ベースシステム, 

KBS(省略形) 

知識ベースからの推論(2)によって,特定の領域又は応用
分野の問題を解決するように設計されている情報処理シ
ステム。 

備考1. 用語“知識ベースシステム”は“エキスパー

トシステム”と同じ意味で使用されることが
あるが,後者は通常,専門家の知識に限定さ
れる。 

2. 知識ベースシステムには,学習能力を備えた

ものもある。 

knowledge-based system, 
KBS(省略形) 

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番号 

用語 

定義 

対応英語 

28.01.06 エキスパートシステ

ム, 
ES(省略形) 

人間の専門的知識で構築された知識ベースからの推論(2)
によって,特定の領域又は応用分野の問題を解決するよう
に設計されている知識ベースシステム。 

備考1. 用語“エキスパートシステム”は“知識ベー

スシステム”と同じ意味で使用されることも
あるが,後者と異なり,専門家の知識に重点
が置かれることに注意する必要がある。 

2. エキスパートシステムには,過去の問題処理

の経験を通じて自らの知識ベースを改良し
たり,新しい推論(2)規則を作りだしたりする
能力を備えたものがある。 

3. これは,JIS X 0001 : 1994に規定されている

定義をこの分野に合わせて変更したもので
ある。 

expert system, 
ES(省略形) 

28.01.07 知識工学 

当該領域の専門家(エキスパート)及びその他の知識源か
ら知識を獲得して知識ベースに組み込むことに関する学
問分野。 

備考 用語“知識工学”は,特にエキスパートシステ

ム,その他の知識ベースシステムの設計,構築
及び保守の技術を指すことがある。 

knowledge engineering 

28.01.08 知識表現 

知識をコード化して知識ベースに記憶する過程,又はその
結果。 

knowledge representation 

28.01.09 知識獲得 

知識を探し出し,収集し,洗練し,知識ベースシステムが
更に処理できる形式に交換する過程。 

備考 知識獲得は,通常知識技術者の介入を意味する

が,機械学習の重要な要素でもある。 

knowledge acquisition 

28.01.10 認知モデル化 

人間の知覚,行動,記憶及び推論(1)を情報処理の観点か
らモデル化すること。 

cognitive modeling 

28.01.11 

(1)推論 

人間又は計算機が,仮説を設定したり,分析,分類,診断,
問題解決,又は推論(2)を行ったりするときに実行する過
程。 

reasoning 

28.01.12 問題解決 

達成したい目標につながり得る操作,又は動作の系列を決
定すること。 

備考 問題解決とは,しばしば初期状態から出発して

到達したい目標を見つけるために,問題空間を
探索するプロセスを意味する。問題解決の成功
は,初期状態,到達したい目標のもとで許容さ
れる結果,及び問題空間を定義する要素又は操
作を知っているかどうかに依存する。 

problem solving 

28.01.13 パターン認識 

機能単位を使用して,物理的パターン若しくは抽象的パタ
ーン,構造又は形状を識別すること。 

備考 これは,JIS X 0012 : 1994に規定される定義を

この分野に合わせて変更したものである。 

pattern recognition 

28.01.14 画像認識 

機能単位を使用して,画像及びその構成要素並びに構成要
素の特性及び空間的な位置関係を知覚し,分析すること。 

備考 画像認識には,場面分析を含む。 

image recognition 

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番号 

用語 

定義 

対応英語 

28.01.15 音声認識, 

自動音声認識 

機能単位を使用して,人間の声によってもたらされる情報
を知覚し,分析すること。 

備考 認識する情報には,特定の語順の単語,特定の

言語の音素などがある。声の特性から話者を同
定する場合もある。 

speech recognition,  
automatic speech 

recognition,  

ASR(省略形) 

28.01.16 合成(人工知能におけ

る) 

機能単位を使用して,人工の声,テキスト,音楽,画像な
どを生成すること。 

synthesis(人工知能にお

ける) 

28.01.17 画像理解 

機能単位を使用して,与えられた画像及びそれが表現する
ものの記述を作成すること。 

備考 画像理解は,幾何学的モデリング,知識表現及

び認知モデル化という手段によって,視覚デー
タを統合して情報を作成することである。 

image understanding,  
image comprehension 

28.01.18 自然言語理解 

機能単位を使用して,自然言語で伝達されるテキスト又は
発話から情報を抽出すること,及び与えられたテキスト又
は発話とそれが表現するものの記述を作成すること。 

natural-language 

understanding,  

natural-language 

comprehension 

28.01.19 コンピュータビジョ

ン 

視覚データを獲得・処理・解釈する機能単位の能力。 

備考1. コンピュータビジョンでは,電気的又はディ

ジタル的に視覚場面の画像を創造するため
に視覚センサを使用する。 

2. マシンビジョンと混同してはならない。 

computer vision,  
artificial vision 

28.01.20 マシンビジョン 

コンピュータビジョンを機械,ロボット,プロセス,又は
品質管理に適用すること。 

備考 マシンビジョンはエンジニアリング分野で使

用される。コンピュータビジョンと混同しては
ならない。 

machine vision 

28.01.21 機械学習, 

自動学習 

機能単位が新しい知識・技能を獲得すること,又は既存の
知識・技能を再構成することによって,自身の性能を向上
させる過程。 

machine learning,  
automatic learning 

28.01.22 ニューラルネツトワ

ーク, 
ニューラルネット, 
NN(省略形) 

原始的な処理要素が調整可能な重み付きリンクで結合さ
れたネットワーク。各要素は,複数のリンクからの入力値
に非線形関数を適用して値を生成し,それを他の要素へ送
信し,又は出力として提供する。 

備考 ニューラルネットワークは,神経系の神経細胞

の機能をモデルにしている。 

neural network,  
neural net,  
NN(省略形) 

28.02 知識構造及び知識表現 

番号 

用語 

定義 

対応英語 

28.02.01 事実(人工知能におけ

る) 

実世界又は概念世界で,一般的に正しいと認められている
実体に関する記述。 

備考 事実は,高い確信度をもつ信念と見ることもで

きる。 

fact(人工知能における) 

28.02.02 信念(人工知能におけ

る) 

実世界又は概念世界で,その正しさが確信度という尺度で
計ることのできる実体に関する記述。 

備考1. 信念は,不完全な知識から結論を引き出すこ

とに使われる。 

2. 高い確信度をもつ信念は,事実とみなすこと

もできる。 

belief(人工知能におけ

る) 

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番号 

用語 

定義 

対応英語 

28.02.03 確信度 

仮説,推論規則,又は推論の結論の文の妥当性を表現する
数値。 

備考 確信度は,完全な誤りから完全な正しさまでの

幅をもつことができる。 

certainty factor,  
confidence factor 

28.02.04 ファジィ集合 

各要素が,通常0から1までの,その集合への帰属の度合
いを示す数値と関連付けられるという特性をもつ非古典
的な集合。 

fuzzy set 

28.02.05 ファジィ論理, 

ファジィ集合論理 

事実,推論規則,及び限量詞に対し確からしさの度合いが
与えられている非古典的な論理。 

fuzzy logic,  
fuzzy-set logic 

28.02.06 オブジェクト(人工知

能における) 

一つ以上の属性をもつ,物理的又は概念的な実体。 

備考 オブジェクトは,通常,記号推論又は関係によ

って記憶されている他のオブジェクトと関連
付けられる。 

object(人工知能におけ

る) 

28.02.07 スキーマ(人工知能に

おける) 

単純概念,実体,又はオブジェクトのクラスについての知
識を,その可能な使い方を基に表現する定式化法。 

備考 スキーマは,概念の使い方を示すのであり,そ

の概念の典型例を示すのではない。 

schema(人工知能におけ

る) 

28.02.08 パターン(人工知能に

おける) 

与えられた文脈の中で,実体を認識するために使われる,
特徴の集合及び特徴間の関係。 

備考 特徴には,幾何学的形状,音,絵,信号,テキ

ストなどがある。 

pattern(人工知能におけ

る) 

28.02.09 テンプレート 

認識されるべき実体の全体又は一部と比較される参照パ
ターン。 

備考 テンプレートは,文字認識,目標検知,音声認

識などで使用される。 

template 

28.02.10 意味ネットワーク, 

意味ネット 

オブジェクト又は状態が,互いの関係を示すリンクによっ
て結ばれているノードとして表現される,概念指向の知識
表現。 

semantic network,  
semamtic net 

28.02.11 

知識木 

木構造的な有向グラフによって表現される階層的な意味
ネットワーク。 

knowledge tree 

28.02.12 継承(人工知能におけ

る) 

階層的な知識表現において,一つ以上のサブクラスにまた
がってクラス特性を非明示的に獲得すること。 

inheritance(人工知能にお

ける) 

28.02.13 フレーム(人工知能に

おける) 

オブジェクトと,スロットと呼ばれる区画に記憶された特
性の集合とを関連づける,データ指向の知識表現。 

参考 オブジェクト,スキーマ及びフレームは,同じ

意味で使われることがある。 

frame(人工知能におけ

る) 

28.02.14 スロット(人工知能に

おける) 

フレームの構成要素であって,オブジェクト名,ファセッ
トと呼ばれる特定の属性,値,他フレームへのポインタな
どの記憶に使用されるもの。 

slot(人工知能における) 

28.02.15 スクリプト, 

シナリオ, 
台本 

既知の実体間の相互作用の結果を決定するために,あらか
じめ定義された一連の事象で使用する知識表現。 

備考1. 事象は,シーン,設定,主題の役及び支持者

によって表現される。 

2. データ指向で,一時点を参照するフレームと

は異なり,スクリプトは,事象指向である。 

script,  
scenario 

28.02.16 主題の役 

実体がスクリプトの実行中に遂行する機能の集合。 

備考 主題の役はアクターに割り付けられる。 

thematic role 

28.02.17 支持者 

スクリプトの実行中にそれ自体は行動をしない実体。 

prop 

28.02.18 設定, 

セッティング 

支持者を含むスクリプトの特定の文脈。 

setting 

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番号 

用語 

定義 

対応英語 

28.02.19 シーン(人工知能にお

ける), 
エピソード(人工知能
における), 
場面(人工知能におけ
る) 

スクリプトに基づいた知識表現における一連の典型的な
行動又は事象。 

備考 レストランスクリプトでは,次のようなシーン

が考えられる:入場,注文,飲食,支払,退出。 

scene(人工知能におけ

る), 

episode 

28.02.20 行動(人工知能におけ

る) 

スクリプトに基づいた知識表現において,アクターによっ
て実行される操作。 

action(人工知能におけ

る) 

28.02.21 アクター, 

役者 

スクリプトにおいて,主題の役を割り当てる実体。 

例 エージェント,コエージェント,受益者,患者。 

actor 

28.02.22 宣言的知識 

事実,規則及び定理で表現される知識。 

備考 通常,宣言的知識は,前もって手続的知識に変

換しない限り,処理することはできない。 

参考 宣言的知識には,信念,述語,フレームなどを

含むことがある。 

declarative knowledge 

28.02.23 手続的知識 

問題を解決したり,目標に到達したりするために実行され
る段階を,明示的に示す知識。 

procedural knowledge 

28.02.24 コンパイルされた知

識 

計算機が直ちに処理できるように,宣言的知識を手続的知
識に変換したもの。 

compiled knowledge 

28.02.25 メタ知識 

知識の構造,使用及び制御に関する知識。 

備考 メタ知識は,エキスパートシステム及び他の知

識ベースシステムにおいて制御機構として有
効な場合がある。 

metaknowledge 

28.02.26 if-then規則, 

if-thenルール, 
if-then文 

前提又は条件を表すif部と,if部が真である場合に実行さ
れる結論又は動作を表すthen部とから構成される規則。 

if-then rule,  
if-then statement 

28.02.27 左辺, 

前提部, 
条件部 

if-then規則の“if”部にある事実又は文の集合。 

left-hand side,  
premise part,  
condition part 

28.02.28 右辺, 

帰結部, 
結論部, 
動作部 

if-then規則の“then”部にある事実又は文の集合。 

right-hand side,  
conclusion part,  
action part 

28.02.29 プロダクション規則, 

プロダクションルー
ル 

ルールベースシステムにおいて,知識を表現するために用
いられるif-then規則。 

production rule 

28.02.30 メタ規則, 

メタルール 

他の規則又は規則の集合を適用する条件,順序及び方法を
規定する規則。 

備考 メタ規則は,エキスパートシステム及びルール

ベースシステムにおいて,制御機構として有効
な場合がある。 

metarule 

28.02.31 制約規則, 

制約ルール 

探索を問題空間の指定する部分に制限する規則。 

備考 制約規則は,エキスパートシステム及びルール

ベースシステムにおいて,制御機構として有効
な場合がある。 

constraint rule 

28.02.32 発火する 

規則の条件部が満たされることによって,その動作部を開
始する。 

to fire 

28.02.33 多重発火 

同一の相談において,知識を繰り返しアクセスするため
に,規則を2回以上発火させること。 

multiple firing 

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X 0028 : 1999  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語 

28.02.34 活性化(人工知能にお

ける), 
アクティベーション
(人工知能における) 

規則の発火又はプログラム若しくは副プログラムの起動
を可能とする操作。 

activation(人工知能にお

ける) 

28.02.35 追跡機構(人工知能に

おける) 

知識指向のプログラム言語又はプログラミングツールに
おいて,実行された規則を,使用された変数と一緒に表示
する手段。 

tracing facility(人工知能

における) 

28.02.36 デーモン 

変更,追加,削除などの事象が発生するたびに,明示的に
呼び出されることなく起動される手続。 

demon,  
daemon 

28.02.37 アジェンダ 

仕掛かり中の活動を優先順位を付けて並べたリスト。 

備考 人工知能においては,何らかの知識を適用する

操作を活動という。 

agenda 

28.03 推論(1)及び問題解決 

番号 

用語 

定義 

対応英語 

28.03.01 (2)推論 

結論が,既知の前提から導かれるような推論(1)。 

備考1. 人工知能においては,事実又は規則が前提と

して扱われる。 

2. 用語“推論”(2)は,過程にも結果にも適用さ

れる。 

inference 

28.03.02 演えき(繹), 

演えき(繹)的推論 

特定の前提の集合から論理的な結論を導く推論(2)。 

備考 演えき(繹)は,真理を保存するただ一つの推

論(2)である。 

deduction,  
deductive inference 

28.03.03 帰納, 

帰納推論 

与えられた事実から出発して,一般的な仮説を結論する推
論(2)。 

induction,  
inductive inference 

28.03.04 発想, 

アブダクション, 
発想推論 

個々の事実から,それらのもっともらしい説明を導き出す
推論(2)。 

abduction,  
abductive inference 

28.03.05 モデル駆動推論, 

モデル駆動型推論 

対象領域モデルを使用する推論(2)。 

備考 モデルに基づくエキスパートシステム 

(28.04.15) を参照。 

model-driven inference 

28.03.06 インスタンシエイシ

ョン, 
具体化 

変数に値を代入したり,クラスからその例を生成したりす
ること。 

例 特定の病人は,一般的オブジェクト“患者”のイ

ンスタンシエイションである。 

備考 ルールベースシステムでは,知識ベースの内容

に対して規則を成功り(裡)に対応させた結果
をインスタンシエイションという。 

参考 日本では通常,具体化した結果をインスタンシ

エイション又は具体例と呼ぶ。 

instantiation 

28.03.07 前向き連鎖 

既定の事実から出発して,ルールベースシステムが目標に
到達するか新しい可能性を調べ尽くしたときに終了する
ように,推論(2)が行われる順序を規定する反復手続。 

forward chaining 

28.03.08 後向き連鎖 

真偽を決定すべき目標から出発して,後向きにルールベー
スシステムをさかのぼるように推論(2)が行われる順序を
規定する反復手続。この場合,質問が答えられたり,以前
に記憶された結果が見つかったり,矛盾が見つかったり,
真偽が決定できないことが判明したりしたときに,処理が
終了する。 

backward chaining 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語 

28.03.09 発見的規則, 

ヒューリスティック
ルール 

問題を解決するために専門家が使う知識及び経験を形式
化する目的で書かれたそれ専用の規則。 

heuristic rule 

28.03.10 状態(人工知能におけ

る) 

問題を解決する段階の一つにおける,その問題の記述。 state(人工知能における) 

28.03.11 

探索空間 

問題解決において初期状態から目標状態に至るまでに取
り得るすべての段階の集合。 

search space 

28.03.12 問題空間 

種々の要素間の相互作用の解析に使用することができる
状態及び特定の問題を解決するに当たり,考慮される操作
のすべてによって定義される概念的又は形式的領域。 

problem space 

28.03.13 解空間 

特定の問題のための解を構成するすべての状態によって
定義される概念的又は形式的領域。 

solution space 

28.03.14 評価関数 

解の探索中に,問題空間の中間状態の値又は重みを決定す
る関数。 

evaluation function 

28.03.15 問題分割, 

問題簡約 

一つの問題をより解きやすい複数の小問題に分解する操
作による問題解決。 

problem reduction 

28.03.16 手段目標解析 

各段階で現在の状態と既知の目標状態との差を最も縮め
る操作を探索し適用することによる問題解決。 

means-ends analysis,  
means-end analysis 

28.03.17 生成・検査 

複数の可能解を生成することと,与えられた評価基準を満
たさないものを枝刈りして削除することとによる問題解
決。 

generate-and-test 

28.03.18 黒板モデル 

複数の知識源からアクセスされる黒板と呼ばれる共有の
作業記憶を使用した問題解決モデル。黒板は,中間結果又
は新しいデータを伝達するために使用される。 

blackboard model 

28.03.19 パターンマッチング 

あるパターンとあらかじめ用意された複数のパターンと
を比較し,与えられた評価基準に基づき最も似たものを選
択するパターンの識別方法。 

pattern matching 

28.03.20 テンプレートマッチ

ング 

テンプレートを使用したパターンマッチング。 

template matching 

28.03.21 ルールマッチング 

前提が真である一連のif-then規則を連続して適用するこ
とによって,与えられた問題の諸要素を目標に対応づける
こと。 

rule matching 

28.03.22 競合解消 

最適な規則を選択することによって,ルールベースシステ
ムにおいて複数の規則が適用可能な状態を解消すること。 

備考 パターンマッチング又は規則の左辺では,互い

に矛盾する結論を導くような複数の一致が発
生することがあり得る。 

conflict resolution 

28.03.23 探索木 

探索の間に適用される規則,探索される節点,及び得られ
る結果を表現する,木状のグラフ。 

search tree 

28.03.24 縦型探索 

探索木の探索であって,その最高点で選択可能な枝の一つ
を最初に選択し,その枝に沿って下向きに,目標,あらか
じめ決められた深さ,又は行き止まりに到達するまで進む
もの。 

備考 目標に到達しなかったときは,探索は,それま

でに選ばれなかった枝に戻り,同様に進行す
る。 

depth-first search 

28.03.25 横型探索 

探索木の上位から下位へ進む探索であって,目標又はあら
かじめ決められた状態に到達するまで,一つのレベルにお
いてすべての節点を検査し,その後に次の下位に進むも
の。 

breadth-first search 

background image

X 0028 : 1999  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語 

28.03.26 双方向探索 

前向き連鎖と後ろ向き連鎖とを同時に開始し,その二つの
探索の道が解空間で出会ったとき,又はすべての可能性を
調べつくしたときに停止する探索。 

bidirectional search 

28.03.27 発見的探索, 

ヒューリスティック
探索 

受け入れられる解を得るために使用される,成功する保証
のない,経験及び判断に基づく探索。 

heuristic search 

28.03.28 最良優先探索 

探索の各段階において,そこから目標までのすべての可能
な枝をあらかじめ決められた基準に照らして評価し,その
結果に基づいて最良の経路を選択する探索。 

best-first search 

28.03.29 バックトラッキング, 

後戻り 

受け入れられない解に至った場合,他を選択するために以
前の状態に後戻りする探索手順。 

備考 既に実行された命令の結果,不可逆の副作用が

生じているかもしれないので,以前の状態が再
現できるとは限らない。 

backtracking 

28.03.30 枝刈り, 

カットオフ, 
刈込み 

探索木の一つ以上の枝を無視するという,問題解決を効率
化する技法。 

pruning,  
cut-off 

28.03.31 計画立案(人工知能に

おける), 
プランニング(人工知
能における) 

目標に到達するための方法,及び行動の順序をあらかじめ
決定する過程。 

備考 計画立案は,探索効率向上及び目標競合の解決

という目的を達成する。 

planning(人工知能におけ

る) 

28.03.32 階層的計画立案, 

階層的プランニング 

階層表現を生成することによって,計画の漠然とした断片
をより詳細な部分計画に区分する計画立案。 

hierarchical planning 

28.03.33 非階層的計画立案 

階層的計画立案の手法を使用しない計画立案。 

参考 非階層的計画立案は,階層的計画立案と背反の

関係にある。 

nonhierarchical planning 

28.03.34 機会主義的計画立案, 

機会主義的プランニ
ング 

作成中の計画に機会主義的な問題解決行動を含んでいる
計画立案。 

opportunistic planning 

28.04 エキスパートシステム 

番号 

用語 

定義 

対応英語 

28.04.01 知識技術者, 

知識エンジニア, 
ナレッジエンジニア 

ある領域の専門家及び他の知識源から知識を得て,知識ベ
ースとして組み立てる人。 

備考 知識工学 (28.01.07) 参照。 

knowledge engineer 

28.04.02 知識工学ツール 

知識ベースシステムの迅速な開発を促進するように設計
された機能的ツール。 

備考 知識工学ツールは,典型的な問題を容易に取り

扱うような基本的なモデル構造と,知識表現,
推論(2)及び制御に対する特定の戦略とを備え
ている。 

knowledge engineering 

tool 

28.04.03 知識源, 

知識ソース 

特定の種類の問題に対して知識ベースが作成されている
情報の源。 

knowledge source 

28.04.04 領域知識, 

ドメイン知識 

特定の領域内で蓄積された知識。 

domain knowledge 

28.04.05 領域モデル, 

ドメインモデル 

知識又は専門的知識の特定分野におけるモデル。 

domain model 

background image

10 

X 0028 : 1999  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語 

28.04.06 知識ベース, 

KB(省略形) 

ある領域における人間の経験及び専門的知識に関する推
論(2)規則と情報とから構成されるデータベース。 

備考1. 自己改良型システムにおいては,知識ベース

は,以前に遭遇した問題の解から得られる情
報を付加的に含むようになる。 

2. ISO/IEC 2382-1 : 1993に新しい省略形が追加

された。 

knowledge base,  
K-base(省略形), 
KB(省略形) 

28.04.07 推論機構 

エキスパートシステムの構成要素で,知識ベースに記憶し
た情報の表現から結論を導くために推論(1)の原理を適用
するもの。 

inference engine 

28.04.08 エキスパートシステ

ム開発ツール, 
シェル 

特定の分野の専門知識を組み込むための空のエキスパー
トシステム。 

備考 典型的なエキスパートシステム開発ツールは,

知識表現のための高機能言語,一つ以上の推論
機構,及びインタフェース プログラムから構
成される。 

expert-system shell,  
shell 

28.04.09 説明機能 

知識ベースシステムの構成要素で,どのように解が導かれ
たか,解に至る段階がどのように正当化されるかを説明す
る機能。 

explanation facility 

28.04.10 対話機能 

知識ベースシステムの構成要素で,利用者と会話モードに
おいて情報交換を行う機能。 

dialog component 

28.04.11 

相談(人工知能におけ
る), 
コンサルテーション
(人工知能における) 

知識ベースシステムと,支援を求める利用者との間のオン
ラインのやりとり。通常,質問及び応答からなる対話で構
成される。 

consultation(人工知能に

おける) 

28.04.12 真理維持システム, 

TMS(省略形) 

信念間の依存関係を監視することによって,知識ベースの
真理性を維持する知識ベースシステム。 

備考 真理性の維持は,主に,誤った推論(2)の基とな

った知識要素の削除によって行われる。 

truth maintenance system,  
TMS(省略系) 

28.04.13 不確実性, 

不確定性 

推論(1)の実行中にある値を決定することができない状
態,又は知識ベース中の事実若しくは規則が疑わしい状
態。 

uncertainty 

28.04.14 ルールベースシステ

ム, 
ルール型システム, 
プロダクションシス
テム 

与えられた手順に従い,if-then規則の集まりを事実の集
まりに適用することによって推論(2)を行う知識ベースシ
ステム。 

rule-based system,  
production system 

28.04.15 モデルに基づくエキ

スパートシステム, 
モデルに基づくシス
テム 

領域モデルの構造及び機能を組み入れたエキスパートシ
ステム。 

model-based expert 

system,  

model-based system 

28.04.16 助言システム 

指示よりも助言に重点を置いたエキスパートシステム。 advisory system 

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X 0028 : 1999  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

付表1 JIS X 0028関連規格 

JIS X 0028の関連規格を,次に示す。 

関連規格 JIS X 0001 : 1994 情報処理用語−基本用語 

備考 ISO/IEC 2382-1 : 1993 Information technology−Vocabulary−Part1 : Fundamental termsが,こ

の規格と一致している。 

JIS X 0012 : 1990 情報処理用語(データ媒体,記憶装置及び関連装置) 

備考 ISO/IEC 2382-12 : 1988 Information processing systems−Vocabulary−Part 12 : Peripheral 

equipmentが,この規格と一致している。 

JIS X 0028原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

平 井 通 宏 

株式会社日立製作所汎用コンピュータ事業部 

橋 爪 邦 隆 

通商産業省工業技術院標準部 

上 元 重 美 

富士通株式会社パーソナル・システム事業部 

久保田 浩 敬 

沖電気工業株式会社情報システム事業本部 

志 賀   稔 

三菱電機株式会社情報技術総合研究所 

竹 田 克 己 

株式会社日立製作所汎用コンピュータ事業部 

寺 野 隆 雄 

筑波大学大学院 

中 島 泰 宏 

日本電気株式会社第1コンピュータ事業本部 

橋 本 繁 晴 

財団法人日本規格協会 

比田井   裕 

株式会社東芝マルチメディア技術研究所 

広 瀬 紳 一 

日本アイ・ビー・エム株式会社東京基礎研究所 

森   宗 正 

規格調整専門委員 

(事務局) 

三 田 真 弓 

社団法人情報処理学会情報規格調査会