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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

X 0020-1992 

情報処理用語(システム開発) 

Glossary of terms used in information processing (System development)  

1. 適用範囲 この規格は,情報処理におけるシステム開発に関する主な用語,定義及び対応英語につい

て規定する。 

備考1. 対応国際規格を,次に示す。 

ISO/IEC 2382-20 : 1990 Information technology−Vocabulary−Part 20 : System development 

2. この規格は,番号の右肩に星印*が付いている用語を除き,1990年3月に発行されたISO/IEC 

2382-20を翻訳し,その技術的内容を変更することなく作成した日本工業規格である。番号

の右肩に星印*が付いている用語は日本工業規格独自の用語であり,その対応英語は参考とす

る。 

2. 分類 用語は,次のとおり分類する。 

(1) 一般概念(20.01参照) 

(2) 検討及び解析(20.02参照) 

(3) システム設計(20.03参照) 

(4) 実現(20.04参照) 

(5) 品質保証(20.05参照) 

(6) システム文書(20.06参照) 

(7) プロジェクトの管理及び制御(20.07参照) 

3. 表記法 この規格は,各用語を番号,用語,定義及び対応英語の四つの欄に分けて規定する。それぞ

れの欄における表記法及び解釈を,次に示す。 

(1) 番号 

(1.1) 番号は,6個の数字によって表す。最初の2けたの数字は,情報処理用語の規格番号の末尾2けた

を示す。次の2けたの数字は,この規格での分類を示す。最後の2けたは,同一分類内の一連番号

を示す。 

(1.2) 番号の右肩の星印*は,その用語が日本工業規格独自のものであることを表す。 

(2) 用語 

(2.1) 同一の意味を表す用語が二つ以上ある場合は,表記した順に従って優先使用する。 

(2.2) 用語の一部が丸括弧 ( ) で囲まれている場合は,その部分を省略してもよいことを表す。この場

合は,括弧内を省略したときとしないときの間に優先順位はない。 

例 “仕様(書)”は,“仕様”又は“仕様書”を表す(20.01.03参照)。 

(2.3) 類似の意味をもち,しかもその記述がほとんど同一である二つ以上の用語は,角括弧 [ ] を用い

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X 0020-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

て一つにまとめて規定する。この場合,用語の欄の [ ] に対して,定義及び対応英語の欄の対応

する [ ] を採る。 

例 次の(a)と(b)とは同じである(20.01.15参照)。 

(a) 

用語 

定義 

応用ソフトウェア[プログ
ラム], 
適用業務ソフトウェア[プ
ログラム] 

特定の応用問題を解くためのソフトウェア[プログラム]。 

(b) 

用語 

定義 

応用ソフトウェア 
適用業務ソフトウェア 

特定の応用問題を解くためのソフトウェア。 

応用プログラム, 
適用業務プログラム 

特定の応用問題を解くためのプログラム。 

(2.4) 用法を用語に引き続く丸括弧 ( ) 内に示す。 

例 “QA(省略形)”(20.05.01参照) 

(3) 定義 

(3.1) 文中で下線の引いてある語は,情報処理用語に関する日本工業規格に規定されていることを示す。 

(3.2) 角括弧 [ ] 及び丸括弧 ( ) の使い方については,(2)と同様とする。 

(4) 対応英語 

(4.1) この欄の英語は,対応国際規格に規定されている用語であって,規定されている定義と対応する。

ただし,番号の右肩に星印*が付いているものを除く。 

(4.2) 角括弧 [ ] 及び丸括弧 ( ) の使い方については,(2)と同様とする。 

20. システム開発 

20.01 一般概念 

番号 

用語 

定義 

対応英語 

20.01.01 

システム開発 

通常,要求分析,システム設計,実現,文書化及び品質
保証を含む過程。 

system development 

20.01.02 

要件,要求,要求事項 システムが満たさなければならない必す(須)条件。 requirement 

20.01.03 

仕様(書) 

システムの開発又は妥当性確認のためにそのシステム
を明確に規定する,文書化された詳細な記述。 

specification 

20.01.04 

形式仕様(書) 

実現の妥当性を数学的に証明するため,又は実現を数学
的に導くために用いられる仕様。 

formal specification 

20.01.05 

システムライフサイ
クル 

システムの概念形成から使用終了に至るまでの発展上
の諸変化の全過程。 

system life cycle 

20.01.06 

データインベントリ 

情報処理システムにおけるすべてのデータとそれらの
相互依存性を含む特性の集合。 

data inventory 

20.01.07 

パイロットプロジェ
クト 

実際的ではあるが限定された運用条件のもとで,情報処
理システムの暫定版を試験するように計画されるプロ
ジェクトであって,後にそのシステムの最終版を試験す
るために使用されるもの。 

pilot project 

20.01.08 

プロトタイプ 

システム設計,性能及び実現・運用可能性を評価する,
又は要件をよりよく理解若しくは決定するのに適した
モデル又は暫定的な実現。 

prototype 

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X 0020-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語 

20.01.09 

シミュレーション, 
模擬(実験) 

物理的又は抽象的なシステムの選択された動作特性を
表現するために,データ処理システムを用いること。 

例 様々な速度,温度及び空気圧における翼のまわ

りの空気流を表現すること。 

備考 01.06.01と同一用語。 

simulation 

20.01.10 

トップダウン,下向き 最も抽象度の高い段階から始め,最も抽象度の低い段階

へと進めていく方法又は手順に関する用語。 

top-down 

20.01.11 

ボトムアップ,上向き 最も抽象度の低い段階から始め,最も抽象度の高い段階

へと進めていく方法又は手順に関する用語。 

bottom-up 

20.01.12 

システム支援 

実現されたシステムの使用及び改善に必要なサービス
及び物資の継続的な提供。 

system support 

20.01.13 

適用業務問題, 
応用問題 

最終利用者が提示した問題であって,それを解決するた
めに情報処理を必要とするもの。 

application problem 

20.01.14 

システムソフトウェ
ア 

応用ソフトウェアの開発及び実行を支援する,応用に依
存しないソフトウェア。 

system software 

20.01.15 

応用ソフトウェア[プ
ログラム], 
適用業務ソフトウェ
ア[プログラム] 

特定の応用問題を解くためのソフトウェア[プログラ
ム]。 

application software 

[program]  

20.01.16 

ソフトウェアパッケ
ージ 

はん(汎)用的な応用問題を解くため,又ははん用的な
機能を果たすための,文書のそろったプログラム一式で
あって,複数の利用者に供給され得るもの。 

備考 特定の応用向けに変更できるソフトウェア

パッケージもある。 

software package 

20.02 検討及び解析 

番号 

用語 

定義 

対応英語 

20.02.01 

機会検討 

問題を調査し,対象期間中に解く必要があるかどうかを
決めるための検討。 

備考 機会検討は通常,限られた資源を優先度の高

い問題に割り当てるようにして,機会費用を
最小にするために行う。 

opportunity study 

20.02.02 

実現可能性検討, 
実現可能性調査, 
フィージビリティス
タディ 

実行可能性,費用及び効果の観点から,問題とそれに対
し考えられる解を明確にし,分析するための検討。 

feasibility study 

20.02.03 

問題定義, 
問題記述 

問題の明確な記述。問題を解決するのに使われるデー
タ,方法,手順及び算法の記述を含んでもよい。 

problem definition, 

problem description 

20.02.04 

要求分析 

システムを定義するのに必要な利用者要件の体系的な
調査。 

requirements analysis 

20.02.05 

システム分析 

既存又は計画中のシステムを体系的に調査し,そのシス
テムに要求される情報,そのシステムの処理過程,それ
らの相互関係及び他のシステムとの関係を明らかにす
ること。 

system analysis, 
systems analysis 

20.02.06 

機能分析 

既存又は計画中のシステムの機能の体系的な調査。 

functional analysis 

20.02.07 

情報分析 

既存又は計画中のシステム内の情報及びその流れの体
系的な調査。 

information analysis 

20.02.08 

データ分析 

既存又は計画中のシステム内のデータ及びその流れの
体系的な調査。 

data analysis 

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X 0020-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語 

20.02.09 

システムフォローア
ップ,開発後評価 

システムが安定した運用状態に達した後に実施される,
そのシステムの効果の調査。 

system follow-up, 
post-implementation 

review, 
post-development 
review 

20.03 システム設計 

番号 

用語 

定義 

対応英語 

20.03.01 

システム設計 

システムが所定の要件を満たすように,ハードウェア及
びソフトウェアのアーキテクチャ,構成要素,モジュー
ル,インタフェース及びデータを定義する過程。 

system design 

20.03.02 

システム概念設計 

システム構成,処理過程及びシステム内の情報の流れの
論理的側面を規定するためのシステム設計活動。 

conceptual system design 

20.03.03 

機能設計 

システムの構成要素の機能と構成要素間の動作上の関
係を規定すること。 

備考 03.03.01と同一用語。 

functional design 

20.03.04 

ウォークスルー 

システムの全体又はその一部の要件,設計又は実現につ
いて検査資格を有する要員が体系的に行う検査。 

(structured) walk-through 

20.04 実現 

番号 

用語 

定義 

対応英語 

20.04.01 

実現, 
インプリメンテーシ
ョン 

システム開発の段階の一つであって,システムのハード
ウェア,ソフトウェア及び運用手順を動作可能にするこ
とを目的とするもの。 

implementation (of a 

system)  

20.04.02 

(システム)インテグ
レーション, 
(システム)統合 

システムの構成要素を順次結合していって,一つの全体
システムを構築すること。 

(system) integration 

20.04.03 

切替えシステム 

稼働中のシステムから後継システムへの移行を容易に
するために,一時的に用いる情報処理システム。 

change-over system 

20.04.04 

カットオーバ 

システムの機能を後継システムに所定の時点で移すこ
と。 

cutover 

20.04.05 

並列運転 

ある情報処理システムとその置換システムとを,相互比
較して置換え可能性の確証を得るために,同じ応用,同
じ原始データで動作させること。 

parallel run 

20.05 品質保証 

番号 

用語 

定義 

対応英語 

20.05.01 

品質保証, 
QA(省略形) 

定められた技術的な要件にシステム又は構成要素が適
合していることを保証するために必要な,計画的かつ体
系的な活動。 

quality assurance, QA 

20.05.02 

机上検査, 
机上チェック 

機能又は構文上の間違いがないかどうか,原始プログラ
ムをステップごとに調べながら,人手によって模擬的に
実行すること。 

desk checking 

20.05.03 

検証(試験) 

システム開発の特定の段階で,そのシステムが所定の要
件のすべてを満たしていることを立証すること。 

verification (test)  

20.05.04 

妥当性確認(試験), 
確認(試験) 

実現されたシステムが所定の要件を満たしているかど
うかを決める試験。 

validation (test)  

20.05.05 

単体試験 

分析上又はプログラミング上の間違いがないことを確
認するために,個々のプログラム又はモジュールに対し
て行う試験。 

unit test 

20.05.06 

統合試験, 
結合試験 

プログラム又はモジュールが,全体システムにおいて正
しく機能することを確認するために,それらを段階的に

integration test 

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X 0020-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語 

結合し,試験すること。 

20.05.07 

受入れ試験 

契約上の要求事項が満足されていることを確認するた
めに,設置後購入者の構内において,納入者も参加して
購入者によって通常実施されるシステム又は機能単位
の試験。 

備考 08.01.08と同一用語。 

acceptance test 

20.05.08 

使用性試験 

実現されたシステムが利用者の定める機能上の目的を
満たしているかどうかを判定する試験。 

usability test, 
fitness-for-use test 

20.05.09 

システム保守 

障害の修復,性能向上又は環境若しくは要件の変化への
適応の目的でシステムを変更すること。 

system maintenance 

20.06 システム文書 

番号 

用語 

定義 

対応英語 

20.06.01 

システム文書 

情報処理システムに関して,要件,能力,限界,設計,
操作,運用及び保守について記述する文書の集まり。 

system documentation 

20.06.02 

評価報告書 

システムの目標をどのようにして達成したかを記述し,
残された課題を明らかにし,将来の開発に役立てる目的
で作成されるシステムフォローアップ報告書。 

evaluation report 

20.06.03 

利用者マニュアル, 
ユーザマニュアル 

機能単位の使用法を記述する文書であって,機能単位の
利用者,所有者及び納入者の権利及び責任の記述を含む
こともあるもの。 

user manual,  
user's guide 

20.06.04 

システム記述 

システムに関して,構成,本質的特性,並びにハードウ
ェア及びソフトウェアに対する要件を定義する,システ
ム設計の結果として得られる文書。 

system description 

20.06.05 

決定表 

問題の分析に際して考慮すべき条件と,各条件について
とるべき動作とをまとめた表。 

備考 01.05.01と同一用語。 

decision table 

20.06.06 

プログラム仕様(書) プログラムの作成を可能にし,その保守を容易にするた

め,詳細にプログラムの構造及び機能を記述した文書。 

program specification 

20.06.07 

開発基本線 

開発中のシステムに関して,与えられた時点で効力をも
つ仕様。 

developmental baseline 

20.06.08 

プログラム保守マニユ
アル, 
プログラム保守説明書 

プログラムの保守に必要な情報を提供する文書。 

program maintenance 

manual 

20.06.09 

試験計画(書), 
システム試験・評価計
画(書) 

システムの試験及び評価に関して,全般的計画,要件,
基準,全般的方法論及び責任を定めた計画又は計画書。 

test plan,  
system test and evaluation 

plan 

20.07 プロジェクトの管理及び制御 

番号 

用語 

定義 

対応英語 

20.07.01 

プロジェクト 

目標,規模及び期間を定めて行う仕事。 

project 

20.07.02 

プロジェクト管理 

プロジェクト立案及びプロジェクト制御に関する諸活
動。 

project management 

20.07.03 

プロジェクト立案, 
プロジェクト計画 

プロジェクトの構成要素,実施時期,資源及び実施手順
を決めることに関連する諸活動。 

project planning 

20.07.04 

プロジェクト制御, 
プロジェクト統制 

プロジェクトの進ちょく(捗),方向,品質及び資源の
使い方を,計画と比較しながら監視することに関連する
諸活動。 

project control 

20.07.05 

ネットワーク図 

プロジェクト制御において,事象及び活動並びにその間
の関係を記述し,工程計画をたてるために用いる有向グ
ラフ。 

network chart 

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X 0020-1992  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

定義 

対応英語 

20.07.06 

ネットワーク計画 

プロジェクトの立案,工程計画及び制御のためにネット
ワーク図を利用する技法。 

network planning 

20.07.07 

プロジェクト仕様
(書) 

プロジェクトの目的,要件,範囲及び他のプロジェクト
との関係を詳細に規定する文書。 

project specification 

20.07.08 

構成制御委員会 

現行の開発基本線に対するすべての変更提案を評価し,
それらを承認又は却下する,専門家からなる委員会。 

configuration control 

board 

20.07.09* 

構成管理 

システムの構成要素の機能的及び物理的特性を文書化
し,それらの特性の変更を管理し,変更の過程及び実現
状況を記録・報告し,指定された要件が満たされること
を検証すること。 

configuration 

management 

20.07.10* 

構成制御 

構成管理の一部であって,構成要素の変更を他の変更と
の関係を含め評価し,承認するか却下するか決定するこ
と。 

configuration control 

情報処理用語システム開発JIS原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

平 井 通 宏 

株式会社日立製作所神奈川工場 

上 元 重 美 

富士通株式会社川崎工場本体事業部電算機第2開発部

第1開発課 

境   則 彰 

日本電気株式会社コンピュータ技術本部製品技術部 

佐 藤 文 孝 

東芝コンピュータエンジニアリング株式会社名古屋

技術センタ準備室 

志 賀   稔 

三菱電機株式会社情報電子研究所エンジニアリング

コンピュータ開発部 

下 田 宏 一 

日本ユニシス株式会社技術情報サービス部 

西 川 泰 蔵 

通商産業省機械情報産業局電子機器課 

野 原 三 郎 

社団法人日本事務機械工業会技術部 

古 山 恒 夫 

NTT株式会社ソフトウェア研究所ソフトウェア基礎

技術研究部 

丸 川   章 

工業技術院標準部情報規格課 

三 井 正 樹 

沖電気株式会社コンピュータシステム開発本部ハー

ドウェア開発第1部開発第2課 

安 井 清 享 

日本アイ・ビー・エム株式会社製造統括本部 

和 田 英 夫 

株式会社日立製作所神奈川工場開発第1部 

(事務局) 

斉 藤 彰 夫 

社団法人情報処理学会情報規格調査会