2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
X 0006-1989
情報処理用語
(データの準備及び取扱い)
Glossary of Terms Used in Information Processing
(Preparation and Handling of Data)
1. 適用範囲 この規格は,情報処理におけるデータの準備及び取扱いに関する主な用語とその読み方,
意味及び対応英語について規定する。
備考 この規格は,国際規格ISO 2382/6-1987に準拠している。
対応国際規格:ISO 2382/6-1987 Information processing systems−Vocabulary−Part 06 :
Preparation and handling of data
2. 表記法 この規格では,各用語を,番号,用語及び読み方,意味並びに対応英語の四つの欄に分けて
記述する。それぞれの欄における表記法を次に示す。
(1) 番号に関する表記法 番号は,6個の数字によって表す。最初の2けたの数字は,情報処理用語規格
番号の末尾2けたを,次の2けたの数字は,同一分類のこの規格の区分を意味する。最後の2けたの
数字は,同一区分の一連番号とする。
(2) 用語及び読み方に関する表記法
(2.1) 同一の意味を表す用語が二つ以上ある場合は,その順位に従って優先使用する。
(2.2) 用語の一部が丸括弧( )で囲まれている場合は,その部分を省略してもよいことを表す。この場
合は,括弧内を省略したときと省略しないときとの間に優先順位はない。
例1:“自動(的)”は,“自動”又は“自動的”を表す(01.01.04参照)。
例2:“(計算機)プログラム”は,“計算機プログラム”又は“プログラム”を表す(01.04.01参照)。
(2.3) 用語が幾つもの類似の意味をもつ場合には,それらを個々に規定し,用語の前に(1),(2),……を付
ける。
例:“(1)引き数”(02.02.02参照),“(2)引き数”(02.02.03参照)
(2.4) 類似の意味をもち,しかもその記述がほとんど同一である二つ以上の用語は,角括弧[ ]を用い
て一つにまとめて規定する。この場合,用語及び読み方欄の[ ]に対して,意味欄の対応する[ ]
を採るものとする。
例: 次の(a)と(b)とは同じ(02.10.05参照)。
(a)用語及び読み方
意味
2項[N項]演算
2個[N個]のオペランドに対する演算。
2
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(b)用語及び読み方
意味
2項演算
2個のオペランドに対する演算。
N項演算
N個のオペランドに対する演算。
(2.5) 用語の使用分野を限定する場合には,用語に引き続く丸括弧( )内にそのことを示す。
例1:“情報(データ処理及び事務機械における)”(01.01.02参照)
例2:“呼出し(プログラミングにおける)”(07.09.04参照),“呼出し(データ網における)”(09.06.08
参照)
(2.6) 文法上の用法又は省略形などを,用語に引き続く丸括弧( )内に示す。
例:“SYSGEN(頭字語)”(10.02.18参照),“DP(省略形)”(01.01.03参照)
(2.7) 漢字が常用漢字表にない場合には,仮名で示し,それに引き続く山括弧< >内に該当する漢字を
示す。
例:“はん<汎>用レジスタ”(11.02.08参照)
(2.8) 用語の読み方は,振り仮名によって示す。ただし,用語が英字からなり,その読み方が各英字の読
み方どおりの場合には,振り仮名は付けない。
例1:(データ)しょり
処理(01.01.03参照)
例2:
こぼる
COBOL(07.02.22参照)
例3:DP(01.01.03参照)
(3) 意味に関する表記法
(3.1) 文中で下線(実線)の引いてある語は,情報処理用語に関する日本工業規格に規定されている用語
であることを示す。
(3.2) 角括弧[ ]の使い方については,(2.4)を参照のこと。
(4) 対応英語に関する表記法
(4.1) この欄の英語は,国際規格ISO 2382/6-1987に規定されている用語であって,規定されている意味
と対応する。
(4.2) 対応英語について使用上の注意事項がある場合には,対応英語に引き続く丸括弧( )内に示す。
(4.3) 対応英語に付けられた括弧内の注記の意味は,次のとおりとする。
(使用しないほうがよい。):国際規格及びこの規格では,この英語を使用しないので,使用しな
いほうがよいことを示す。
例: 02.04.01 logic function(使用しないほうがよい。)
(使用してはいけない。):国際規格及びこの規格では,用語統一の見地から,この英語を使用し
てはいけないことを示す。
(この意味では使用しないほうがよい。):国際規格及びこの規格では,他の意味で使われている
ため,この英語を使用しないほうがよいことを示す。
(××だけ):この英語は××(国名)だけで通用することを示す。
例: 02.02.07 range(オーストラリアだけ)
また,角括弧及び使用分野を限定する丸括弧の用法は,“用語及び読み方”の欄と同様とする。
3. 情報処理用語(データの準備及び取扱い) 主な用語について,次のとおり定める。
06.01 一般用語
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語及び読み方
意味
対応英語
06.01.01
よ読みと取る
記憶装置,データ媒体又は他の情報源からデータを得る
こと。
to read
06.01.02
か書きこ込む
記憶装置又はデータ媒体にデータを永久的又は一時的に
記録すること。
備考 “読み込む”及び“読み取る”と,“書き込む”
及び“書き取る”とは,記述上の見方の相違
にすぎない場合が多い。例えば,内部記憶か
ら外部記憶へデータの1ブロックを転送する
ことは,“外部記憶に書き込む”,“内部記憶
から読み取る”又はその両方を指すと考えて
よい。
to write
06.01.03
ふくしゃ
複写する,
コピーする
情報源のデータ媒体からデータを読み取り,そのデータ
はそのまま残し,同じデータを書込み先のデータ媒体に
書き込むこと。書込み先のデータ媒体は,必ずしも情報
源のデータ媒体と同じ種類でなくてもよい。
例: 磁気テープから磁気ディスクにファイルを複
写する。
to copy
06.01.04
ふくせい
複製する
情報源のデータ媒体から,同じ物理的な形態をもつ書込
み先のデータ媒体に複写すること。
例: ある磁気テープから別の磁気テープにファイ
ルを複製する。
to duplicate
06.02 入力及び出力
番号
用語及び読み方
意味
対応英語
06.02.01
にゅうりょく
入力(データ)
計算機の構成要素が受け取るデータ。
input (data)
06.02.02
にゅうりょく
入力(しょり
処理)
計算機の構成要素がデータを受け取る処理。
input (process)
06.02.03
にゅうりょく
入力
入力処理にかかわる装置,処理若しくはチャネル,又は
これらにかかわるデータ若しくは状態に関する用語。
備考 “入力”という用語は,文脈上明らかな場合
には,“入力データ”,“入力信号”又は“入力
処理”の代わりに用いてもよい。
input
06.02.04
しゅつりょく
出力(データ)
計算機の構成要素が作り出すデータ。
output (data)
06.02.05
しゅつりょく
出力(しょり
処理)
計算機の構成要素がデータを作り出す処理。
output (process)
06.02.06
しゅつりょく
出力
出力処理にかかわる装置,処理若しくはチャネル,又は
これらにかかわるデータ若しくは状態に関する用語。
備考 “出力”という用語は,文脈上明らかな場合
には,“出力データ”,“出力信号”又は“出力
処理”の代わりに用いてもよい。
output
06.02.07
にゅうしゅつりょく
入出力,
I/O
同時的か否かを問わず入力処理,出力処理又はその両方
にかかわる装置,処理若しくはチャネル又はこれらにか
かわるデータ若しくは状態に関する用語。
備考 “入出力”という用語は,文脈上明らかな場
合には,“入出力データ”,“入出力信号”又は
“入出力処理”の代わりに用いてもよい。
input-output,
I/O
06.02.08 データしゅうしゅう
収集
計算機で使用するために,一つ以上の箇所からデータを
集める処理。
例: 計算センタで使用するために,支社で発生し
たトランザクションをデータ網によって収集す
る。
data collection
06.02.09 データにゅうりょく
入力
機械で読取り可能な媒体にデータを入力する処理。
例: 端末からフレキシブルディスク上の給与ファ
data entry
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番号
用語及び読み方
意味
対応英語
イルにデータを入力する。
06.02.10 データしゅとく
取得
データを収集及び入力する処理。
data acquisition
06.03 転送及び交換
番号
用語及び読み方
意味
対応英語
06.03.01
てんそう
転送する
データをある記憶場所から他の記憶場所へ送ること。
to transfer
06.03.02 ブロックてんそう
転送
1回の操作で一つ以上のデータのブロックを転送する処
理。
備考 ブロック転送は,元の記憶場所からデータを
消去してもよいし,しなくてもよい。
block transfer
06.03.03 ロードする
データを記憶装置又は作業用レジスタに転送すること。 to load
06.03.04
へんけい
変形する
指定された規則に従って,意味を著しく変えずにデータ
の表現を変えること。
to transform
06.03.05
ほんやく
翻訳する
あるプログラム言語で表現されたプログラムを,他のプ
ログラム言語,又は実行に適した他の表現に変えること。
to translate
06.03.06
へんかん
変換する
伝える情報の内容を変えずに,データの表現をある形か
ら別の形に変えること。
例: コード変換,基数変換,アナログからディジ
タルへの変換,媒体変換。
to convert
06.03.07
じやく
字訳する
データを文字ごとに変換すること。
to transliterate
06.03.08
ふごうか
符号化する,
コード化する
元の形に再変換できるように,コードを使って,データ
を変換すること。
to encode
06.03.09
ふくごう
複号する
以前に符号化された結果を元に戻すようにデータを逆に
変換すること。
to decode
06.03.10
てんき
転記する
あるデータ媒体から他のデータ媒体へ,必要に応じてデ
ータを受け取る側の媒体に受け入れられる形に変換し
て,複写すること。
to transcribe
06.03.11
パックする
データ及び記憶媒体の既知の特性を利用して,元の形に
復元できるように,データを記憶媒体上に圧縮した形に
変換すること。
例: 他の目的には使用しないと思われるビット位
置又はバイト位置の記憶場所を利用する。
to pack
06.03.12 パッキング
データをパックする操作。
packing
06.03.13 アンパックする
パックされたデータを元の形に復元すること。
to unpack
06.03.14
あっしゅく
圧縮する
繰り返し出現している文字を符号化又は削除することに
よって,データ媒体上の使用領域を減らすこと。
to compress,
to compact
06.03.15
てんかい
展開する,
しんちょう
伸張する
圧縮されたデータを元の形に戻すこと。
to expamd
06.04 探索
番号
用語及び読み方
意味
対応英語
06.04.01
たんさく
探索
与えられた性質をもつデータ要素を見つけるために行
う,ある集合に属する一つ以上のデータ要素の検査。
search
06.04.02
たんさく
探索サイクル
探索のための一連の事象であって,各データ要素に対し
て繰り返されるもの。
search cycle
06.04.03
たんさく
探索かぎ
データの探索に使用するかぎ。
search key
06.04.04
にぶんたんさく
2分探索
データ要素の順序付けられた集合に対して行う探索であ
って,集合を共通部分のない二つに分けて,その一方を
捨て,受け入れられた部分に対して,探索が完了するま
でこの処理を繰り返す方法によるもの。
dichotomizing search
06.04.05
にとうぶんたんさく
2等分探索
2分探索の一種であって,探索の各段階でデータ要素のbinary search
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番号
用語及び読み方
意味
対応英語
集合を同数のデータ要素をもつ二つの部分に分けるも
の。集合のデータ要素の数が奇数の場合には,一方の集
合にデータ要素を一つ余分に含めればよい。
06.04.06 フィボナッチたんさく
探索
2分探索の一種であって,集合に属するデータ要素の数
がフィボナッチ数に等しいか,又は次に大きいフィボナ
ッチ数に等しいと仮定し,探索の各段階においてデータ
要素の集合をフィボナッチ数列に一致するように分割す
る方法によるもの。
備考1. フィボナッチ数列とは,数列0,1,1,2,3,
5,8,…のように,各々の項が先行する2項
の和であるような数列である。
2 フィボナッチ探索は2等分探索に比べ,磁気
テープなど順次アクセスするデータ媒体の
移動量の平均値をわずかに少なくする点で
利点がある。
Fibonacci search
06.04.07
そうさ
走査
データの組織的検査。
scanning
06.04.08
せんけいたんさく
線形探索,
じゅんじたんさく
順次探索
データの集合の中を順次に走査する探索。
linear search
06.04.09
れんさ
連鎖リストたんさく
探索,
れんけつ
連結リストたんさく
探索
連鎖リストを用いる探索。
chained list search
06.04.10
きたんさく
木探索
木構造をもつ集合に対して行う探索であって,各段階ご
とに木のどの部分を探索しなくてよいかを決めることが
できるもの。
tree search
06.04.11
ハッシュひょうたんさく
表探索
所要データ要素の記憶場所をハッシュ表から得る探索。
記憶場所のアドレスが重複する場合には適切な手順に従
う。
hash table search
06.05 順序付け,分類及び照合
番号
用語及び読み方
意味
対応英語
06.05.01
じゅんじょづ
順序付ける
指定された規則に従った順に項目を配置すること。
to order
06.05.02
じゅんじょ
順序
順序付ける際に用いられる指定された並べ方。
備考 順番と違って順序は必ずしも線形である必要
はない。例えば,項目が階層構造をもつ場合
の順序付けがそうである。
order
06.05.03
じゅんばんづ
順番付ける
自然数の順序に従った順に項目を配置すること。
備考 通常の線形順序は,適当な方法及び手順を指
定することによって,自然数上に写像できる。
したがって,この拡張として,順番付けが,
例えばアルファベット順や年代順であっても
よい。
to sequence
06.05.04
れつ列,
じゅんばんれつ
順番列
順番付けられた一連の項目。
sequence
06.05.05
さくいん
索引
ファイル又は文書の内容を示す表であって,その内容の
位置を示すためのかぎ又は参照情報を含んでいるもの。
index
06.05.06
ぶんるい
分類する
指定された基準に従って項目をグループに分けること。
各グループ内では,項目を必ずしも順序付ける必要はな
い。
to sort
06.05.07
へいごう
併合する
与えられた同じ順序をもつ二つ以上のデータの集合に属
する項目を,その順序に従って結合して一つの集合にす
ること。
to merge
06.05.08
しょうごう
照合する(せん孔カー二つ以上のデータの集合を,あらかじめ決められた順序to collate
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語及び読み方
意味
対応英語
ドシステムにおける) に従って一つの集合に並べ換えること。
06.05.09
しょうごうじゅんばん
照合順番(せん孔カ
ードシステムにおけ
る)
照合する際に用いられる指定された並べ方。
collating sequence
06.06 データの準備
番号
用語及び読み方
意味
対応英語
06.06.01
へんしゅう
編集する
後の操作のためにデータを準備すること。
備考 編集にはデータの並び換え,データの追加又
は修正,不必要なデータの削除,書式制御,
コードの変換及びゼロ抑制のような標準的な
処理の適用などが含まれる。
to edit
06.06.02
ちゅうしゅつ
抽出する
項目のグループから一定の基準に合う項目を選んで取り
出すこと。
to extract
06.06.03 マスク
ある文字パターンの幾つかの部分を保持するか否かの制
御のために使われる文字パターン。
mask
06.06.04 クリアする,
しょうきょ
消去する
一つ以上の記憶場所をある決められた状態,通常ゼロ又
は間隔文字に相当する状態にすること。
to clear
06.06.05 ゼロじゅう
充てんする
使用されていない記憶場所に,ゼロを表す文字を書き込
むこと。
to zerofill
06.06.06
いちちょうせい
位置調整する
データの指定された側の端の文字がレジスタ内の特定の
位置にくるように,レジスタの内容をけた送りすること。
to justify
06.06.07
ひだりよ
左寄せする[みぎよ
右寄せす
る]
左[右]に位置調整すること。
to left-justify
[right-justify]
06.06.08 ゼロよくせい
抑制
数表示における意味のないゼロの除去。
zero suppression