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日本工業規格

JIS

 W

4606

-1995

航空ターボシャフトエンジン及び

ターボプロップエンジン通則

General specification of turboshaft and turboprop engines for aircraft

1.

適用範囲

1.1

適用範囲  この規格は,ターボシャフトエンジン及びターボプロップエンジンに対する性能,作動

特性,設計の特徴,詳細なインタフェース形態の定義及び装備範囲について規定する。

また,エンジンの予備飛行定格試験 (PFRT) と認定試験 (QT) の満足な完了と領収のために発注者が要

求する実証,試験,報告書,検査手順その他のデータについても規定する。更に,この規格は,両者のモ

デルエンジン量産型製品の領収試験 (AT) を満足に完了するために必要な試験手続及びデータについて規

定する。PFRT,QT 又は AT のため,この規格が規定するエンジンの性能又は作動特性の個々の点の試験

による立証に対する要求事項にかかわらず,エンジンの製造業者又は受注者は,環境条件と運転範囲の全

域にわたって,エンジンのすべての特徴,特性及び性能に対して,該当する契約によって要求される範囲

まで,継続して十分に責任を負わなければならない。この規格は,また,6.5 に従ってエンジン仕様書を作

成するに当たって,エンジン受注者が用いるべき内容と形式について規定する。

備考  この規格の中で{  }を付けて示してある単位及び数値は,メートル系従来単位によるもので

あって,参考として併記したものである。

参考  こ の 規 格 の 内 容 は , MIL-E-8593 A (Engines, Aircraft, Turboshaft and Turboprop, General

Specification for)

に相当する。

2.

関連規格

2.1

この規格の関連規格を次に示す。これらの規格を使用するときは,最新版による。

MIL-BULLETIN-343

  Documents Applicable to Aircraft Engines and Propellers, Use of

3.

要求事項

3.1

項目の定義  エンジンの顕著な特徴を,エンジン仕様書に,簡潔に記述する。圧縮機の段数・可変

機構・加速中の抽気,燃料噴射方式を含む燃焼器の形式,タービン構成部品の段数・冷却方式,ジェット

ノズル,減速装置,エンジン制御方式,補機歯車装置,潤滑及び排油系統の種類,始動及び点火系統,主

軸受の個数及び位置,計装及び性能指示装置などの構成部品の記述で該当するものはこの記述に含む。性

能定格を,

表 及び表 に従ってエンジンの仕様書に規定しなければならない。表 及び表 に示すよう

な詳細なエンジン特性の概要を含む。

用語,

記号及びその定義は 6

章と ARP 755 に従わなければならない。

3.1.1

品目図表 (Item diagram)   品目図表は,使用機関が要求するときは,提出しなければならない。


2

W 4606-1995

3.1.2

インタフェースの定義  インタフェース要求事項には,エンジンの装着に必要なすべての物理的な

装着要求事項と性能要求事項を含める。すべてのインタフェースの定義は,エンジンの形態 (configuration)

及び外形 (envelope) 図又は該当する機能系統を記述する文書中に示さなければならない。

3.1.2.1

図面  次の図面を,エンジン仕様書の一部に図として入れなければならない。これらの図の縮小

版を,エンジン仕様書に入れなければならない。

(a)

エンジンの形態及び外形図  この図面には,エンジンの物理的インタフェースの特徴を示し,更に,

識別するため,すべての面の詳細な外形を示さなければならない。図面には,エンジンとすべての装

備品に対する取付けの詳細と許容差,個々に取外しを必要とする補機と構成部品との装着と取外しの

ためのすきま,調整その他の整備作業のための接近,及び完成した裸エンジンの重心を示さなければ

ならない。この図面には,許容差並びに製作,熱の影響,振動,運用荷重及び外部から加わる荷重に

よる寸法変化を起こしたエンジンが必要とする最大空間を示さなければならない。

(b)

電気装備接続図  この図面は,すべてのエンジンシステムの外部電気回路要求事項と装備インタフェ

ース接続部の詳細とを示し,識別するものでなければならない。

3.1.2.2

実大模型  使用機関が要求するときには,実物大模型を製作しなければならない。実大模型の検

査は ANA Bulletin No.406 に従って行わなければならない。

3.1.2.3

装着インタフェース  エンジン装着インタフェースに影響するエンジンの特徴を明確にし,エン

ジン仕様書に示さなければならない。

3.1.2.4

慣性モーメント  エンジン仕様書に,次の事項を規定しなければならない。

(a)

重心に原点を置く互いに垂直な 3 軸の周りの,完備した乾燥エンジンの最大有効質量慣性モーメント。

(b)

各エンジンロータ系統の合成回転軸周りの最大有効質量慣性モーメントを,その慣性の有効回転方向

並びに合成回転軸の方向及び位置によって示すこと。歯車付きロータ系統をもつエンジンに対しては,

各ロータ系統のすべての慣性が代数学的に基準とした軸を規定しなければならない。

(c)

出力軸の回転速度を基準とした全出力系統(減速歯車列を含む。

)の最大有効質量慣性モーメント。

3.1.2.5

外部から加わる力  エンジンは,3.1.2.5.23.1.2.6 及び図 に規定する条件のもとで,満足に機

能を果たし,しかも,永久変形がなく,これらの条件に耐えなければならない。

また,エンジンは,それらの値の 1.5 倍に相当する静荷重を受けたとき,破損してはならないが,その

後,満足に作動する必要はない。エンジンに装着するすべての補機と作動流体を考慮し,この特定の質量

だけ増加させたエンジンの乾燥質量からなる質量要素 (mass factor) に基づいて,制限荷重を定めなければ

ならない。機体構成部品がエンジンによって支持される装備では,これらの構成部品の質量を質量要素に

含める。この要求事項のために,該当するならば,プロペラはエンジン補機と考えなければならない。報

告書は PFRT の開始前に使用機関に提出しなければならない。この報告書には,この箇条,3.1.2.5.13.1.2.5.2

及び 3.1.2.6 に規定する荷重に耐える能力に関して,エンジン全体についての詳細な構造解析を含めなけれ

ばならない。

3.1.2.5.1

ジャイロモーメント  少なくとも最大許容定常状態ロータ回転速度までのすべての回転速度で,

ジャイロモーメントが次の条件で課せられたとき,エンジンは満足に作動しなければならない。

(a)

+1G か−1G のどちらかの垂直荷重倍数と組み合わせて,ロータ軸に垂直な平面内の任意の軸周りに

3.5rad/s

の定常角速度が合計 15 秒間働いたとき。

(b)

ロータ軸に垂直な平面内の任意の軸周りに 1.4rad/s の定常角速度と

図 に示す最大荷重倍数が,無限

回数働いたとき。


3

W 4606-1995

3.1.2.5.2

エンジンプロペラ荷重  エンジンがプロペラを軸出力吸収装置として使用するように設計され

ている場合には,各運用条件に対する荷重倍数と組み合わせて,合成最大許容エンジン・プロペラモーメ

ント及び荷重を適用しなければならない。これらの数値は,エンジン仕様書に規定し,更に,3.1.2.14 に定

めるプロペラ特性に基づいていなければならない。

3.1.2.6

エンジンマウント  各々の取付け点の位置,インタフェース寸法及び最大許容荷重限界を,エン

ジンの形態及び外形図に示さなければならない。エンジンマウント装置は,振動絶縁装置を装着するのに

適当なものでなければならない。

3.1.2.6.1

地上取扱い用マウント  エンジンに取り付けるすべての機器,補機及び構成部品並びに作動流

体のための増加したエンジンの質量を支持するために,エンジンに地上取扱い用マウントを備えなければ

ならない。地上取扱い用マウントは,上に定義したエンジンの質量に基づいて,荷重倍数が軸方向に 4G,

横方向に 2G,垂直方向に 3G の荷重に,永久変形なしに,耐えなければならない。それぞれの地上取扱い

用マウントの位置と寸法は,エンジンの形態及び外形図に示さなければならない。使用機関が規定する地

上取扱い用機器と両立できるような配置でなければならない。

3.1.2.6.2

エンジンの剛性  出力軸の外側端部に加えられる荷重とモーメントに抗するエンジン取付け点

に関係したエンジンの推定剛性を,エンジン仕様書に示さなければならない。エンジンの横と垂直の方向

の支持なし状態における第一次の曲げモードを規定しなければならない。

3.1.2.7

パッド及び駆動装置  エンジン構成部品及び航空機補機の取付け及び駆動に適するパッドと駆

動装置は,エンジン仕様書に規定する基本形態と定格要求事項に従い,更に,

表 に示すように表さなけ

ればならない。エンジン構成部品駆動系統と補機駆動系統(エンジン補機駆動歯車装置とパワーテークオ

フ駆動装置)は,各駆動装置が個々の駆動装置に対して規定されている最大許容トルク又は定格出力を受

けるとき,すべての駆動装置が同時に作動できなければならない。すべての駆動スプライン軸は,回転速

度計発電機駆動スプライン軸を除き,エンジン滑油によって強制的に潤滑しなければならない。駆動パッ

ドの完備寸法と詳細を,すきま範囲とともに,エンジン形態及び外形図に示さなければならない。歯車装

置のどの部分も,これらの駆動装置に取り付けられている補機のどの一つを独立に取り外すことを妨げて

はならない。補機と構成部品とに対するパッドと駆動装置は,該当する MS 3325

MS 3329 規格に適合し

なければならない。回転速度計駆動軸は,AND 20005 の規定に適合しなければならない。回転速度計発電

機駆動パッドの歯車は,最大連続ロータ回転速度限界で,4 200±25rpm の速度を与えなければならない。

3.1.2.7.1

パワテークオフ (PTO)   航空機補機を駆動するために,パワーテークオフ軸を設けた場合に

は,定格,すきま範囲,寸法,パッドと接続部との詳細,及び接近性と心合わせとの要求事項を,エンジ

ン仕様書とエンジン形態及び外形図に規定しなければならない。

出力抽出軸の設計と形態は,

3.1.2.7

と 3.7.9

の該当部分の規定に適合しなければならない。


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W 4606-1995

3.1.2.8

エンジンの表面温度及び放熱  エンジンの最大運転表面温度と放熱率を,エンジン仕様書の附属

書で規定しなければならない。補機パッド荷重,圧縮機抽気条件,滑油系統冷却要求事項及びエンジンケ

ースフランジと分割線 (split lines) からの空気とガスの漏れのような要因は,エンジン放熱率を定める際

に考慮しなければならない。

表面温度と放熱率は,

図 に示すようなグラフ形式で示さなければならない。

エンジンの周囲の条件,エンジン出力の状態及び滑油系統温度を表面温度に対応させて示さなければなら

ない。エンジンの表面上の構成部品と補機に対しては,規定の構成部品と補機の表面温度と発熱曲線は,

図 に破線で示すようにエンジン温度と異なってもよい。エンジン表面の放射率は,図 に示すように表

さなければならない。放熱と表面温度のデータは,次に記載する条件に対して示さなければならない。次

に記載するものと異なる飛行又は地上運転条件中の放熱率が,最も過酷か又は制限的であれば,そのデー

タもまた示さなければならない。

(a)

最大出力,海面上,静止で 52℃日中

(b)

最大出力,海面上,周囲温度 39℃,最大よどみ点入口空気温度

(c)

最大出力,11km 又は最高高度,最大よどみ点入口空気温度

3.1.2.8.1

エンジン構成部品制限温度  エンジンに取り付けるエンジン構成部品は,次の条件の下で,静

止空気中で,その許容温度を超えてはならない。

(a)

最大よどみ点温度の大気における連続運転。

(b)

飛行中の最も不利な条件からエンジンを停止して,最大よどみ点温度の大気中に連続放置。

(c)

強制換気,冷凍又はロータの回転のような特別の冷却をしないで,海面上標準大気温度で地上におけ

るエンジン停止。

各構成部品の最大周囲空気温度とすべての構成部品の制限表面温度の表を,作成しなければならない。

これらの温度は,最大よどみ点温度とエンジン表面温度との加熱の影響を反映しなければならない。構成

部品の 3 座標軸に関して,周囲空気温度と表面温度とが最大である特定の測定点を,エンジン仕様書に規

定しなければならない。受注者は,構成部品ごとに,エンジンの環境条件と運転範囲内で最も過酷な条件

に該当する表面及び空気の温度並びに時間間隔を,表で示さなければならない。

3.1.2.8.2

放熱及び冷却試験報告書  エンジン放熱及び冷却要求事項試験報告書は,PFRT の開始前に,使

用機関に提出しなければならない。試験データに基づくこの報告書は,3.1.2.8 に述べる放熱及び表面温度

との解析データを立証しなければならない。構成部品とステーション位置を示し,更に,温度限界を含む

エンジン放熱及び冷却系統図を,放熱及び冷却報告書に含めなければならない。

3.1.2.9

空気及びガスの漏れ  エンジンの漏れの場所,その量,温度及び圧力を,エンジン仕様書に規定

しなければならない。漏れの流れが,使用機関の判断で,安全性に危険を与えるか又は装備要求事項に影

響するほどの高い温度で集中して吹き付けるような場所があってはならない。

3.1.2.10

エンジン空気取入口系統

3.1.2.10.1

空気取入口の設計及び寸法  使用機関が特に規定しない限りエンジンには,空気取入口取付け

フランジを備え,更に,このフランジは,軸方向通しボルト又は急速着脱式クランプのいずれかが取り付

くように設計しなければならない。取入口ダクトの取付け寸法を,エンジン形態及び外形図に示さなけれ

ばならない。

3.1.2.10.2

取入口結合部の許容応力  エンジン入口フランジにおけるせん断荷重,軸方向荷重及び片持ち

モーメント荷重についての最大許容値を,エンジン仕様書に規定しなければならない。

3.1.2.10.3

入口空気流ディストーション限界  入口空気流ディストーション限界を定めるために,使用機

関の随意によって,次の手順のうちの一つを用いる。


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W 4606-1995

手順 I 

入口流れのディストーションデータと対応するエンジン運転条件の 5 組以上を定義し,エンジン仕様書

に規定しなければならない。これらの条件に対して,エンジンは安定に作動しなければならない。定義し,

規定するインレットディストーションの基準は,使用機関の選択によって,次の中の一つ以上から定めな

ければならない。すなわち,

(1)

機体受注者とエンジン受注者との間の技術的調整

(2)

発注者の指定

(3)

エンジン受注者に決定を委任

規定の条件における圧縮機サージ又はストールは,飛行安全項目と考えなければならず,

容認できない。

規定された入口流れのディストーションデータの各組に対して,マッハ数,高度,出力設定,客用抽気,

抽出動力などの項目のうち該当するものによって,エンジンインタフェース運転条件を決定しなければな

らない。エンジン入口全圧,温度及び流量変化の測定は,エンジン仕様書に定めるエンジンと空気取入口

の空気力学的インタフェースで,行わなければならない。空気流量,圧力及び温度の測定に使用するすべ

ての入口の計装,配置,箇所,応答及び計測精度を,エンジン仕様書に定義し,規定しなければならない

規定された入口流れのディストーションデータの各組に対して,全空気流量,平均全圧回復度及び各個の

検出器に現れる圧力と温度を,エンジン仕様書に表として示さなければならない。

手順 II 

(a)

エンジンが,運転範囲全域にわたって,サージを起こさないで作動する最大のディストーション限界

を示すディストーション指数 (index) を,エンジン仕様書に定めなければならない。この指数は,定

常状態のときと時間とともに変わるときとの入口空気の全圧と全温度の変化量によって表す。エンジ

ンのジェットノズルの背圧の効果が,入口空気圧力の変化に対するエンジンの許容値に影響する場合

には,その効果を,エンジン仕様書に規定しなければならない。

また,エンジンがサージを起こさずに作動する最大定常圧力ディストーション限界を,インレット

ディストーション状態に対し,更に,次に定義するディストーションパラメータで,エンジン仕様書

に規定しなければならない。

(1)

定常状態の円周方向の圧力ディストーションに対しては,

(

)( )

( )

( )

[

]

2

1

2

1

Reference

2

P

q

P

q

P

q

K

û

ù

ë

é

=

π

θ

θ

ここに,  ディストーション時定数[ (

θ

/2x) (q/P)

1/2

]Reference

θ

=90°と 180°

の扇形で定義され,更に

θ

=  平均より小さい全圧をもつ圧縮機面での部分扇形の角度

P

q

=  ディストーションされた扇形の中の全圧と圧縮性動圧

P

,

q

=  圧縮機面での平均全圧及び圧縮性動圧

(2)

定常状態のハブとチップの半径方向の圧力ディストーションに対しては,

(

)

( )

(

) (

)

Surge

Tip

&

Hub

Surge

Tip

&

Hub

1

2

n

t

t

r

r

r

r

r

r

P

P

サージにおけるハブとチップのディストーションの半径方向範囲を定める。

ここに,

=

P

P

(

)

P

P

P

min

r

h

r

t

圧縮機第一段ハブとチップの半径

r

1

r

2

圧縮機ハブに最も近い及びハブから最も遠い低圧域の


6

W 4606-1995

半径方向の境界

r

低圧域の中心までの半径方向の距離

(b)

安定な作動が行われる入口流れのディストーションデータと対応するエンジン運転条件の

5

個以上の

組をエンジン受注者が定め,エンジン仕様書に規定されなければならない。規定の条件のもとでの圧

縮機サージ又は失速は,容認できない。規定された入口流れのディストーションデータの各組に対し

て,マッハ数,高度,出力設定値,客用空気抽気,抽出動力などの項目のうち該当するもので,エン

ジンインタフェース運転条件を定めなければならない。エンジン入口全圧,温度及び流量変化の測定

は,

エンジン仕様書に定めるエンジン又は入口の空気力学的インタフェースで行わなければならない。

空気流量,圧力及び温度の測定に使用するすべての入口の計装,配置,箇所,応答及び計測精度を,

エンジン仕様書に定義し,規定しなければならない。規定された入口流れのディストーションデータ

の各組に対して,全空気流量,平均全圧回復及び各個の検出器に現れる圧力と温度を,エンジン仕様

書に表として示さなければならない。

3.1.2.10.4

圧力及び温度変化率

  失速,サージ,フレームアウト又は機械的損傷が起こらないエンジン入

口全圧と全温度の最大許容変化率を,エンジン仕様書に規定しなければならない。

3.1.2.10.5

特殊ガスの吸込み

  特殊ガスを吸入しても,エンジンが失速,サージ,フレームアウト又は機

械的損傷を起こすことなしに作動しなければならない。特殊ガスによって発生する機能不良を防止するた

め,エンジンに取り入れるいかなる手段も,エンジン仕様書に規定しなければならない。使用機関が特に

指定しない限り,実証のためのエンジン運転条件と特殊ガスの状態と特性は,次のとおりでなければなら

ない。

(a)

エンジン出力        中間

高度

 11km

マッハ数

 0.7

ロケット質量流量

 13.608kg/s

ロケット燃焼時間

 0.1s

ロケットの位置

ロケット排気がエンジン面に垂直で,エンジン入口の中心線上にあり,エンジ

ン入口面から

4.572m

推進薬の特性

アルミニウムを添加しないダブルベース

(b)

次の点以外は,上記

(a)

と同じ。

推進薬の特性

アルミニウムを添加したコンポジット

(c)

エンジン出力        中間

高度

 1km

マッハ数

 0.2

ロケット質量流量

 36.29kg/s

ロケット燃焼時間

 0.1s

ロケットの位置

ロケットの排気がエンジン面に垂直で,エンジン入口の中心線上にあり,エン

ジン入口面から

4.572m

推進薬の特性

アルミニウムを添加しないダブルベース

(d)

次の点以外は,上記

(c)

と同じ。

推進薬の特性

アルミニウムを添加したコンポジット


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W 4606-1995

3.1.2.11

抽気系統

  エンジンには,航空機に使用するため,圧縮機から客用抽気を行うことに対し備えが

なければならない。すべての客用抽気口の位置とインタフェース寸法は,エンジン形態及び外形図に示さ

なければならない。客用空気抽出中は,環境条件とエンジンの運転範囲内でエンジンの安定性と限界を維

持するために,制御レバーの調整を必要としてはならない。すべての運航高度,空気入口温度及び飛行速

度においてアイドルから最大出力までの客用抽気の圧力と温度,及び抽気口を幾つ使ってこの抽気を行う

ときでもエンジン性能に及ぼす影響を

3.2.1.2.1

の性能計算機プログラムに含めなければならない。抽気の

最高温度と最高圧力及び抽気が行われる段(ステージ)は,エンジン仕様書に規定しなければならない。

各抽気口の最大連続流量の能力は,全流量の百分率で,エンジン仕様書に規定しなければならない。高圧

の抽気が低圧の抽気口に入らないような対策を取らなければならない。航空機の抽気系統に単一の故障が

起こった場合に,エンジンの故障とはならないように,すべての抽気口の寸法を定めなければならない。

外面の温度が

370

℃を超える抽気ダクトは,可燃性液体の漏れによる危険を防止するため,保護しなけれ

ばならない。抽気口の内部抽出点は,砂とダスト,油,水分又は抽気に入るおそれがある空気中に混在す

るその他の異物が最も入りにくい場所に置かなければならない。エンジンに設けられる抽気抽出系統は,

エンジンの上流の機能不良によって,規定の汚染限界を超えないことを保証しなければならない。

3.1.2.11.1

抽気継手部許容荷重

  客用抽気継手部において許容できる軸方向荷重,せん断及びモーメント

荷重の最大値をエンジン仕様書に規定しなければならない。

3.1.2.11.2

始動及び加速抽気

  加速抽気空気流が必要な場合には,対策を講じなければならない空気流の

条件を,エンジン仕様書に規定しなければならない。配管の取付詳細は,エンジン形態及び外形図に示さ

なければならない。圧縮機のサージを避けるために,サージに敏感な領域でのエンジンの定常運転中に連

続作動する圧縮機抽気については,関係する運転範囲と燃料消費率の損失に関して,エンジン仕様書に定

めなければならない。

3.1.2.11.3

抽気の汚染

  客用抽気に含まれるエンジン生成物質は,次に規定する初期限界値以下でなけれ

ばならない。エンジンの製造業者は,抽気のサンプルの分析によって,物質に対して規定された初期限界

を超過しないことを実証しなければならない。記載したもの以外の物質が,エンジン運転による抽気に入

っている場合には,エンジンの製造業者は,最大限界を決定するため使用機関に,その物質と質量百万分

 (ppm)

で汚染度を報告しなければならない。

2

種類以上のエンジン生成物質が存在するときには,その

組み合わせた影響を決定し,報告しなければならない。これとは反対に,情報がない場合には,異なる物

質の組合せの影響は,それぞれの和と考えなければならない。通常のエンジン整備中に使用する洗浄液に

ついて規定してあるときには,その液が抽気の汚染に与えるその影響を考慮する必要がある。

物質

ppm

炭酸ガス

 5

000.0

一酸化炭素

 50.0

エタノール

 1

000.0

ふっ素(ふっ化水素として)

 0.1

過酸化水素

 1.0

航空燃料

 250.0

メチルアルコール

 200.0

臭化メチル

 20.0

窒素酸化物

 5.0

アクロレン

 0.1


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W 4606-1995

油分解生成物

アルデヒド)

 0.1

オゾン

 1.0

空気中に含まれる

1

µm

以下のエンジン生成粒子は,合計

5mg/m

3

以下でなければならない。

3.1.2.12

レーダ断面積

  エンジン入口と排気系統の最大レーダ断面積

 (RCS)

を,

2

18GHz

の周波数範囲

にわたり,

m

2

の単位でエンジン仕様書に規定しなければならない。

10

度間隔上の

RCS

の中央値は,規定

値より小さくなければならない。中央値が得られる

10

度の間隔は,前方の半球については入口でエンジン

中心線から,後方の半球については排気の位置でエンジン中心線で測定するとき,方位角と仰角とも,少

なくとも±

60

度の範囲に広がらなければならない。赤外線抑制装置がノズル系統に組み込まれている場合

には,受注者は,系統の作動に適当な各モードで,これらの装置に対する

RCS

値を規定しなければならな

い。

RCS

を減少するための特別な装置があれば,エンジン仕様書に記載しなければならない。

3.1.2.13

接続部

  エンジン形態及び外形図に示される計装,燃料,滑油,空気及び電気のすべての接続部

を指示するため,エンジンに永久的に消えないマークを施さなければならない。相互に極めて近くに置か

れている接続部は,物理的に互換性がないように造らなければならない。

3.1.2.14

軸出力吸収装置

  軸出力吸収装置には,出力軸トルクを吸収する何らかの機構を備えていなけれ

ばならない。エンジンの製造業者は,軸出力吸収装置を用いて運転し,しかも,その制御装置がエンジン

仕様書に規定されているとおりであるとき,その制御装置で完備エンジンが満足に作動することに責任を

もたなければならない。エンジンが軸出力吸収装置としてのプロペラを駆動するように意図されている場

合には,エンジンは,プロペラを作動させるために適当な油を供給できなければならない。

3.1.2.14.1

エンジンに対する出力吸収装置のインタフェースの特性

  エンジンに対する出力吸収装置のイ

ンタフェースにおける軸出力吸収装置の特性の許容範囲は,エンジン仕様書に完全に定めなければならな

い。

3.1.2.14.2

手動フェザ

  プロペラとともに使用することを意図しているエンジンは,いかなる運転条件か

らも,手動によって開始したプロペラのフェザリングによって課されるすべての荷重と温度に耐えなけれ

ばならない。もし同時に燃料の遮断が必要ならば,それは,エンジン制御系統で自動的に行わなければな

らない。

3.1.2.14.3

逆ピッチ運転

  プロペラとともに使用することを意図しているエンジンは,エンジン仕様書に

規定するエンジン限界まで,逆ピッチにあるプロペラとともに作動させなければならない。

3.1.3

主要構成部品表

  構成部品認定試験を要するエンジンの主要構成部品又は構成部品の機能部分系

統を,エンジン仕様書に示さなければならない。

3.1.4

発注者支給品表

  発注者支給品は,エンジンの設計に組み入れるべきではない。

3.1.5

発注者貸与品表

  発注者貸与品は,エンジンの設計に組み入れるべきではない。

3.2

特性

3.2.1

性能特性

  エンジン受注者によってエンジン仕様書の中に定められているエンジン性能特性は,エ

ンジン受注者が使用機関に納入する予定のエンジンで,最も性能が劣るエンジンのものでなければならな

い。特に指定がない限り,エンジン性能特性は,次の各項に基づかなければならない。

(a)

燃料は,

42 800kJ/kg

の低発熱量をもち,その他は

3.7.3.2.1

に規定する燃料と,

3.7.7.2.1

に規定する滑

油に適合するものであること。

(b)

アメリカ合衆国標準大気 1962 (ASTIA 401813) (JIS W 0201)  

(c)

入口空気ディストーションがないこと。

(d)

入口圧力回復度が

100%

のこと。


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W 4606-1995

(e)

排気管は指定されたものであること。

(f)

客用抽気がないこと。

(g)

エンジンの連続運転に必要なもの以外には,補機出力は抽出しないこと。

(h)

制御系統は,仕様書に規定されたものであること。規定する性能は,最小性能を出す制御系統に対す

る公差に基づいて,決定しなければならない。

(i)

軸出力吸収装置は,

3.1.2.14

に規定する特性をもつこと。

3.2.1.1

定格性能

  定格性能は,

表 1

及び

表 2

に従って,エンジン仕様書に規定しなければならない。

3.2.1.2

性能表示−定常状態

  エンジン性能データは,二つの形式で作成しなければならない。一つは,

エンジン仕様書における標準日曲線の形式で,他の一つは,自動ディジタル計算機の使用に適した計算機

プログラムの形式とする。計算機プログラムは,エンジン仕様書中の主要なものであり,更に,それはエ

ンジン仕様書の一部をなし,また,エンジン仕様書において明確にしなければならない。

性能データは,エンジンの運転範囲全域にわたらなければならない。

表 1

及び

表 2

のエンジン定格点と

曲線は計算機プログラムと一致しなければならない。定格性能の各点は,曲線上で明確にしなければなら

ない。エンジン仕様書には,

6

の記号一覧表と位置(ステーション)の添字を示す図解を含めなければ

ならない。この記号と位置の添字は

ARP 755

に従わなければならない。

3.2.1.2.1

性能表示ディジタル計算機プログラム

  定常状態の性能計算プログラムを作成し,使用機関に

提出する。この計算機プログラムは,エンジン仕様書の一部をなし,更に,エンジン型式名称など適当な

識別と日付を備えなければならない。使用機関は,公式のエンジン性能データを得るためにそのプログラ

ムを使用する計算機の製造業者,型式及び配置をエンジン仕様書に規定しなければならない。使用機関の

領収前に計算機プログラムの編集

 (compilation)

と実行を,規定の計算機において実施しなければならない。

計算機プログラムは,次に示す修正事項のほか,

AS 681

の要領に従って作成しなければならない。

(a)

プログラム要求事項

  性能プログラムは,その中に構成部品の同一性が維持される熱力学サイクルシ

ミュレーションでなければならない。例えば,圧縮機,タービン及び燃焼器は,正確なシミュレーシ

ョンがなされ,維持されるために必要な限り,モデルロジックの中でそれぞれが識別されなければな

らない。計算機プログラムは,規定される計算機と両立できる原始言語

 (source language)

を用いて,

提出しなければならない。プログラムの内部と外部とも名称は,

ARP 755

に従わなければならない。

(b)

プログラムの能力

  プログラムは,エンジン運転範囲全域にわたり適用することができなければなら

ない。プログラムは,また,

110kPa

までの周囲静圧で適用することができなければならない。各々異

なる適用に対して編集

 (compilation)

が必要であってはならない。機体への装備の影響を計算できる能

力が,計算機プログラムに含まれていなければならない。ディストーション,相対湿度,ラム圧回復

度,客用抽気,客用抽出動力,エンジン防氷,風車及び可変機構の影響を該当エンジンに対して含め

なければならない。

(c)

文書要求事項

  使用者用マニュアルと原始プログラムデッキを提出しなければならない。

(1)

使用者用マニュアル

AS 681

に規定の項目に加えて,使用者マニュアルには,シミュレーション方

法の概要の記述,全体モデルの概略的な流れ図並びにすべてのエンジン構成部品に対する計算過程

及び関連する仮定の明確な説明を含めなければならない。エンジン仕様書に記載されているすべて

のパラメータの制限値の一覧表とすべてのエンジン制限値の引用,

例えば測定温度,

毎分回転数を,

使用者マニュアルに含めなければならない。更に,使用者マニュアルには,使用するすべての実験

的に求めた機能のグラフ,正規化されたパラメータの基準値

 (Reference values) ,

それらの入力,出力

及び機能を含むサブルーチンの索引並びにすべてのテストケースのプログラム入力及びそれに対応


10

W 4606-1995

して求められる出力のリストを含めなければならない。

(2)

原始プログラム

  原始プログラムのカードイメージテープとプログラムリストとを提出しなければ

ならない。これらには,サブルーチンとその機能を明確にするため,注釈カードイメージ

 (comment

cards image)

を付けたすべてのプログラムサブルーチンを含めなければならない。計算過程を明ら

かにするため,プログラムコードに十分な注釈カードイメージを示さなければならない。テープの

最初のカードイメージは,受注者,エンジン型式名称,プログラム番号及び日付を示す注釈カード

でなければならない。カードイメージテープの形式は,使用機関が指定するとおりでなければなら

ない。

(d)

入力及び出力

  プログラムの出力作表は,入力データが出力データとは別個に印字されるように組ま

なければならない。プログラムの出力作表には,エンジン名称,デッキ番号及び日付を示さなければ

ならない。プログラムには,出力シート上にホレリス

 (Hollerith)

データ入力カードによって秘密解除

と権利を印字できる

1

行を用意しなければならない。プログラム入力は,名称リストによるものでな

ければならない。名称リストの用語は,

ARP 755

に従わなければならない。すべてのプログラム入力

は独立に変化でき,そのプログラムは,計算機入力の多重な数値変化を連続して容認できるものでな

ければならない。

AS 681

に記載されている入力に加えて,プログラムには,燃料発熱値と測定温度に

ついての入力を備えなければならない。プログラムは,

AS 681

に規定されている定格コードと出力レ

バー角度又は出力コードを任意に選択するほかに,出力軸回転速度に関する測定温度と出力軸回転速

度に関する軸出力の入力のオプションを用いて,

AS 681

の要求出力パラメータのすべてを計算できな

ければならない。

プログラムは,国際規格

ISO 1000

による

SI

単位で入力を受け,更に,出力を供給する能力をもた

なければならない。

構成部品の性能評価と計算に用いるすべての空力熱力学サイクルパラメータは

AS 

681

に規定される分類共通事項で使用できなければならないが,それらは単なる情報であり,仕様書

のデータとみなしてはならない。

3.2.1.2.2

性能曲線

  海面上及び

1km

2km

4km

6km

の高度並びにそれより高い高度ではエンジンの絶

対高度まで

2km

の間隔で,

3.2.1

による最小性能曲線を,エンジン仕様書に示さなければならない。

また,

11km

が運転範囲内にあるときは,

11km

を含める。これらの曲線は,

図 4

又はその代わりに

図 4A

図 4B

に従って書かなければならない。

3.2.1.3

性能の立証

  運転範囲全域にわたりエンジン性能を立証する基礎として,

3.2.1

3.2.1.2

の性能

表示を使用しなければならない。立証データと解析結果を一緒に比較する方法は,予備飛行定格試験

(PFRT)

の開始前に使用機関に提出し,承認を得なければならない。

3.2.1.4

運転限界

  すべてのエンジンの定常状態と過度状態での運転限界(最大,最小)を規定しなけれ

ばならない。規定する限界は,エンジンの最も不利な許容差で,決定しなければならない。

3.2.1.4.1

運転範囲 (operating envelope) 

  空力熱力学的と機械的の限界によって定まるエンジン運転限

界を,

図 7

図 8

に示す形式に従って,エンジン仕様書に規定しなければならない。これらの運転範囲限

界は,その中でエンジンがすべての定常と過渡の性能特性を満足しなければならない条件である。

3.2.1.4.2

海面上運転限界

  標準日と

MIL-STD-210

の低温日と高温日での海面上運転に対するエンジン

マッハ数限界を,エンジン仕様書に規定しなければならない。

3.2.1.4.3

絶対高度

  標準日状態で適用できるエンジンの絶対高度とマッハ数範囲を,エンジン仕様書に

規定しなければならない。


11

W 4606-1995

3.2.1.4.4

始動限界

  始動と運転の限界を,

図 7

図 8

に従って,エンジン仕様書に規定しなければなら

ない。エンジンは,海面上から少なくとも

5km

まで,ラムがない条件で始動しなければならない。最低の

容認できる空中始動高度限界は,使用機関が規定するとおりでなければならない。

“高温”

 (hot)

と“低温”

(cold)

エンジンに対する高度始動限界の差異をエンジン仕様書に規定しなければならない。

“低温”エンジ

ンとは,始動が行われる前にエンジン燃焼器出口温度がエンジン入口温度の+

55

℃以内になるまで,規定

の試験条件で風車回転させられたエンジンとして定義しなければならない。

“高温”エンジンとは,フレー

ムアウト又は停止の後,

10

秒以内に始動を行う場合のエンジンとして,定義しなければならない。エンジ

ン仕様書には,また,客用の最大抽気量と客用の最大抽出動力に対する始動限界を規定しなければならな

い。

3.2.1.4.5

エンジン温度限界

(a)

燃焼器出口温度

  燃焼器出口面積上で平均した燃焼器出口における最大許容定常ガス温度をエンジン

仕様書に規定しなければならない。この温度は,

表 1

及び

表 2

の定格性能を得るために必要な最高燃

焼器出口温度より少なくとも

30

℃高くなければならない。

また,エンジン受注者は,起こる可能性がある最高燃焼器出口温度とそれに対応するエンジン運転

条件(圧縮機入口の温度と圧力を含む。

)をエンジン仕様書に規定しなければならない。

(b)

測定温度

  最大許容定常燃焼器出口温度に対応する最大許容定常測定(ガス又は金属)温度とそれを

測定する位置を,エンジン仕様書に規定しなければならない。

また,始動と加速中の最大許容過渡測定(ガス又は金属)温度を,エンジン仕様書に規定しなけれ

ばならない。

3.2.1.4.6

ロータ速度限界

  最大許容定常及び過渡ロータ回転速度(機械)限界を,エンジン仕様書に規

定しなければならない。

3.2.1.4.7

燃料流量限界

  最大と最小のエンジン燃料流量を,エンジン仕様書に規定しなければならない。

3.2.1.4.8

滑油圧力及び温度限界

  最大と最小の作動中の滑油圧力限界と,最大過渡と最大許容定常との

滑油温度限界を,エンジン仕様書に規定しなければならない。−

54

℃で始動と初期運転中の

20 000mm

2

/s

(20 000cSt)

の滑油粘度に基づく最大と最小の滑油圧力を,エンジン仕様書に規定しなければならない。始

動と初期運転中の最小と最大の滑油圧力は,

2.5

分を超えて継続させてはならない。

3.2.1.4.9

滑油消費限界

  あらゆる形態の滑油の損失を含む滑油消費量は,エンジン仕様書に規定する量

を超えてはならない。認定試験中の平均滑油消費量が,規定値の

3

1

より少ないときは,仕様書の滑油消費量

は,認定試験の平均の

3

倍以下の値に修正しなければならない。

3.2.1.4.10

振動限界

  エンジンの圧縮機とタービンのケース,補機歯車装置ケース,回転速度減速装置及

び適用できれば内部構造などの各加速度計の取付位置における最大許容エンジン振動限界[全周波数域の

速度で表した限界値(真の

rms

値)

]を,エンジン仕様書に規定しなければならない。各加速度計に対して

規定する全周波数域の速度限界値は,

10 000Hz

の周波数まで適用できなければならない。最大許容速度は,

構造強度の立場とエンジンから発生する速度の点でエンジンが受容することができるものを両方とも規定

しなければならない。

3.2.1.4.11

出力トルク限界

  最大許容定常トルク(機械)限界値は,定格値より少なくとも

20%

大きくな

ければならない。

3.2.1.4.12

出力軸回転速度限界

  最大許容定常出力軸回転速度(機械)限界値は,定格値より少なくとも

5%

大きくなければならない。


12

W 4606-1995

3.2.1.4.13

客用抽気及び補機抽出動力限界

  補機パッド又は客用抽気によるエンジン負荷のすべての限界

値を,エンジン仕様書に規定しなければならない。限界は,各抽気口又はパッドに個々に,また,すべて

の可能な組合せに対して規定しなければならない。

3.2.1.5

運転特性

3.2.1.5.1

運転姿勢及び条件

  エンジンは,

図 9

に示される非斜線部の区域では,満足な連続運転が,斜

線の区域では,少なくとも

30

秒間の運転ができなければならない。エンジンは,負の“

g

”の条件で少な

くとも

60

秒間,ゼロの“

g

”の条件で少なくとも

30

秒間満足に作動しなければならない。エンジンは,

9

の非斜線部の区域内で示されるどのような姿勢でも,始動,停止及び格納できなければならない。エン

ジンの姿勢の変化を必要とする垂直又は短距離離着陸機

 (V/STOL)

に適用されるエンジンについては,始

動と停止の姿勢限界は機首上げ

105

°以上,機首下げ

20

°以上及び両側にそれぞれ

30

°以上でなければな

らない。

3.2.1.5.2

始動

3.7.9

参照。

3.2.1.5.3

停止

  エンジンの停止(燃料の流れの停止)は,

0.5

秒未満の単独の制御レバーの操作で,達成

されなければならない。

また,どのような運転状態からでも,この方法でエンジンを停止できなければならない。前述の方法で

の燃料供給の遮断から,又はエンジン入口接続部への燃料供給の遮断から,エンジンのどのような運転状

態中にもエンジンに対する損傷が発生してはならない。エンジンの正規の停止装置が,機械式以外の系統

を含む場合には完成エンジンへの燃料の流れをすべて遮断できる完全に機械式の非常装置を付加的に備え

なければならない。エンジンを停止する場合に,軸出力吸収装置の負荷を調整することが必要であっては

ならない。仕様書には正規の停止方法を,また,該当するときには,非常装置を示さなければならない。

3.2.1.5.4

低出力状態

3.2.1.5.4.1

アイドル

  アイドルは,エンジンの最小の適切な自立状態であり,エンジン出力レバーの位

置によって設定されなければならない。アイドル出力におけるエンジンガスジェネレータ回転速度を,

5A

に従ってエンジン仕様書に規定しなければならない。アイドルにおけるエンジン出力軸トルクを,

5B

に従ってエンジン仕様書に規定しなければならない。フリー出力タービンを備えたエンジンに対しては,

海面上,

2km

4km

6km

及び

8km

の高度に対し,約

20%

の速度増分でゼロから最大出力軸回転速度限界

までの出力軸回転速度に対して出力軸トルクを示さなければならない。

また,そのエンジンは,アイドル出力で少なくとも

10

分間ゼロ出力軸回転速度で満足に運転できなけれ

ばならない。

3.2.1.5.4.2

無負荷状態

  無負荷状態は,エンジン仕様書に規定するとおりのエンジン運転条件であり,

更に,

3km

までの高度においてゼロ出力軸トルクで規定の出力吸収装置が作動しているとき,調速された

定格出力軸回転速度を維持するように設定されなければならない。無負荷におけるエンジンガスジェネレ

ータ回転速度を,

図 6

に従ってエンジン仕様書に規定しなければならない。

3.2.1.5.5

安定性

  定常運転状態では,全環境条件と全運転範囲にわたって,エンジン軸出力の変動は,

アイドルと最大連続出力状態の間で,最大連続軸出力の±

1.0%

を超えてはならない。最大連続出力以上の

運転中には,変動は,その状態で得られる出力の±

1.0%

を超えてはならない。抽気系統の作動中の安定性

に関する追加の要求事項については,

3.1.2.11

に示す。

3.2.1.5.6

エンジン出力の変移特性


13

W 4606-1995

3.2.1.5.6.1

最小要求事項

  出力レバーの位置を選ぶとき,又は出力軸に負荷を加えるか若しくは負荷を

取り除くとき,どのような順序でもまた,どのような速さで行っても,規定の変移限界を超える過回転速

度又は過昇温度がなく,しかも,バーナ又は圧縮機の不安定があってはならない。出力レバーを

0.5

秒以

下で動かしたとき,出力の変化が

95%

に達するまでに要する時間は,下記の

(a)

(f)

に規定する値を超えて

はならない。規定されるすべての変移時間は,標準日状態で,客用抽出動力,客用抽気又はエンジン防氷

空気抽気はないが,すべての他のエンジン抽気要求事項(例えば,加速空気抽気,冷却空気抽気)は“あ

る”という条件に基づかなければならない。規定した出力変移状態をそれぞれ完了して安定した運転に達

するまでに要する全時間は,

記述した時間に

10

秒を加えた時間以下でなければならない。

安定した運転は,

3.2.1.5.5

に定義するとおりでなければならない。

(a)

アイドルから中間出力までは,マッハ

0.0

からマッハ

0.20

までで海面上から高度

3km

までにおいて

12

秒。

(b)

無負荷から中間出力までは,

マッハ

0.0

からマッハ

0.20

までで海面上から高度

3km

までにおいて

5

秒。

(c)

中間出力から無負荷までは,

マッハ

0.0

からマッハ

0.20

までで海面上から高度

3km

までにおいて

5

秒。

(d)

無負荷から中間出力までは,マッハ

0.0

からマッハ

0.20

までで高度

3km

からエンジン仕様書に規定さ

れた最大高度までにおいて

10

秒。

(e)

中間出力から無負荷までは,マッハ

0.0

からマッハ

0.20

までで

3km

からエンジン仕様書に規定された

最大高度までにおいて

10

秒。

(f)

中間出力からもし該当すれば最大逆出力までは,

マッハ

0.0

からマッハ

0.20

までで海面上から高度

3km

までにおいて

3

秒。

出力変移時間は,次のどのような条件の単独又はどのような組合せのもとでも,上記

(a)

から

(f)

の条件に

対する時間の

125%

を超えてはならない。環境条件と運転範囲の全域にわたる非標準日状態,客用抽出動

力,客用抽気,エンジン防氷空気抽気,インレットディストーション,氷結環境。

3.2.1.5.6.2

推定値

  変移性能の推定値を,

図 10A

図 10B

に従って,エンジン仕様書に示さなければな

らない。

3.2.1.5.7

エンジン風車能力

  エンジンは,エンジンに損傷なく,滑油の過大な消耗がなく,また,空中

再始動と運転の能力に影響することなく,全運転範囲にわたって,少なくとも

5

時間の連続風車運転がで

きなければならない。次の事項は,エンジン仕様書に規定しなければならない。

(a)

風車運転の限界。

(b)

風車運転中の滑油消費量。

(c)

滑油供給を停止した後の風車運転の最小持続時間と限界。

(d)

風車運転中に得られる客用抽出動力と客用抽気。

3.2.2

物理的特性

3.2.2.1

完成エンジンの乾燥質量

  完成エンジンの乾燥質量は,エンジン仕様書に規定した質量を超えて

はならない。仕様書の値が,公式の認定試験エンジンの乾燥質量を

2%

以上超えるときは,仕様書の値は,

試験エンジンの乾燥質量の

1.5%

以内に減らすように改めなければならない。エンジンに取り付けられてい

ないエンジン構成部品の質量は,表にして,エンジン乾燥質量に含めなければならない。

3.2.2.2

残留液体質量

  エンジンの主ロータ軸が水平面に対して規定されたただ一つの姿勢にある状態

で運転を終了し,ドレン排出後,エンジン内に残留する液体の質量をエンジン仕様書に規定しなければな

らない。


14

W 4606-1995

3.2.3

信頼性

  エンジンの故障モードと影響解析は,

PFRT

前に実施し,

QT

前に必要ならば修正しなけ

ればならない。解析には,各故障モードに割り当てた故障頻度の予想値を示さなければならない。すべて

の認定試験の完了後に,受注者は,全開発及び認定活動に基づき,また,受注者の信頼性プログラムによ

って集めたデータに基づき信頼性報告書を作成しなければならない。使用機関が要求するときには,エン

ジン仕様書に規定され,

表 6

に示すように表された信頼度数値を実証しなければならない。

信頼度数値は,

6

に規定する故障の定義と除外項目に従うものでなければならない。

3.2.4

整備性

  エンジンは,補給と整備が容易にできるように設計しなければならない。エンジンは,規

定の手順と人員・資材に従って整備を実施するとき,規定の時間内に作動できる状態や使用に適する状態

に維持できるか,又は修復できるような設計特性をもたなければならない。

3.2.4.1

数値上の要求事項

  使用機関が要求する場合には,整備性値は,エンジン仕様書に規定し,

表 7

表 8

に示すように表さなければならない。これらの値は,系統整備性の配分から定め,更に,計画する

航空機システムの使用率と任務の頻度

 (mission mix)

に基づかなければならない。使用機関が要求する場

合には,これらの値は,使用機関が指定した条件の下で実証しなければならない。整備性を数量的に評価

するに当たり主要なパラメータは,エンジン飛行時間当たりの整備工数

 (MMH/EFH)

でなければならない。

整備性に適用する他の用語と意味は,

MIL-STD-721

による。

3.2.4.1.1

適用する整備作業

  次の整備,修理及び検査の各作業は,整備指数

 (index)

を決定するときに

適用しなければならない。

(a)

飛行前と飛行後の検査

(b)

高温部分の検査を含む定期検査

(c)

故障探究

 (trouble shooting)

,調整,修理及び(又は)取外し,交換に要する時間を含め,不定期の組

織的,中間水準の整備

(d)

すべてのエンジンオーバホールと構成部品の修理

(e)

エンジンの整備補給

3.2.4.1.2

除外する整備作業

  次の整備と修理の作業は,整備指数計算からは除外しなければならない。

(a)

エンジン性能の向上その他の仕様書の要求事項の変更に関係する場合の技術指令や期限付技術指令に

従う作業。

(b)

エンジン整備を実施するため,エンジン以外の支給機器の取外しと装着(例えば,航空機システム受

注者によるエンジンやナセルに装着するアークセスパネルや部品)

(c)

エンジン燃料の補給

(d)

航空機におけるエンジン取外しや交換。ただし次の理由によって要求される場合を除く。

(1)

エンジン自体に責任があるエンジンの故障や機能不良。

(2)

エンジンの設計上必要な点火装置,燃料フィルタ,滑油フィルタなどのような品目に日常の整備を

実施するための取外し。

(e)

エンジンに起因しない故障や不具合から起こるすべての整備作業。

(f)

地上器材の配置や航空機の移動に必要なすべての整備作業。

3.2.4.2

整備,検査及び修理の周期

  補給所オーバホールを含む整備,検査及び修理の推定周期を,これ

らの作業を実施するに要する延べ時間数で推定した時間とともに,エンジン仕様書に規定しなければなら

ない。

3.5.1.1

で示されるモジュール及び燃料ポンプ,燃料制御装置,点火プラグなどのような個々に取外

しができ,エンジンの外側に取り付けられているすべての構成部品について,取外しと交換に要する時間

を表にして,エンジン仕様書に示さなければならない。


15

W 4606-1995

3.2.5

環境条件

3.2.5.1

周囲温度条件

  完全なエンジンは,次の条件で,エンジン仕様書に規定する燃料と滑油を使用し

て,満足に始動し,作動しなければならない。

(a)

海面上から始動範囲に対して規定された最高高度まで,

71

℃の周囲温度に

10

時間さらした後,

71

℃の

燃料と

52

℃の入口空気を供給するとき。

また,

海面上から始動範囲に対して規定された最高高度まで

135

℃の周囲温度に

15

分間さらした後,

71

℃の燃料と

52

℃の入口空気を供給するとき,満足に再始動し作動すること。

(b)

海面上から始動範囲に対して規定された最高高度まで,

54

℃の周囲温度に

10

時間さらした後,

滑油,

空気及び

MIL-T-5624

のグレード

JP-4

燃料をすべて−

54

℃で供給するとき。

また,

MIL-T-5624

でグレード

JP-4

以外の燃料が指定されている場合は,エンジンは,海面上から

始動範囲に対して規定された最高高度まで,

10

時間さらした後,空気と規定の燃料を,

12mm

2

/s (12cSt)

以上の燃料動粘度に対応する温度で供給するとき,満足に始動し,作動しなければならない。

(c)

  MIL-STD-210

表 2

及び

表 3

に示す周囲空気温度範囲全域にわたり,更に,エンジン仕様書に規定す

る対気速度と高度運転限界全域にわたり,

MIL-T-5624

の燃料を,−

54

℃又は

12mm

2

/s (12cSt)

の燃料

動粘度に対応する温度のいずれか高い方とエンジン仕様書に規定された燃料入口最高温度との間のす

べての温度で供給するとき。

3.2.5.2

着氷条件

  エンジンは,

図 11

図 12

及び

表 13

に示す気象条件の下で満足に作動しなければなら

ない。このとき,

50%

最大連続出力設定値以上のすべての運転条件で,利用できる軸出力の

5%

以下の全損

失と,燃料消費量の全増加量が

5%

以下であること。

50%

未満の最大連続出力における運転は,

50%

最大連

続出力を超える要求出力の

95%

を規定する加速時間内で達成することができるようなものでなければなら

ない。着氷条件が終わったとき,エンジンに性能劣化が残っていてはならない。規定する環境条件の下で,

上記の性能を満足するために,防氷系統が要求されるときには,防氷系統は,

3.7.1

に従わなければならな

い。

3.2.5.3

かび条件

  エンジン構成部品は,耐かび性がなければならないが,これは,かびに対して抵抗力

がある非滋養材料の選定によって,また,構成部品の認定を満足に完遂することによって判定する。

3.2.5.4

湿度条件

  エンジン構成部品は,長期間

95%

以上の高い湿度の状態に置く場合,機能不良や,劣

化に耐えなければならない。これは,構成部品の認定を満足に完遂することによって実証しなければなら

ない。

3.2.5.5

腐食性大気条件

  塩分を含んだ空気中で運転されるとき,若しくはそれにさらされた後,又は

95%

以上の湿度の状態にさらされた後にも,エンジンは,満足に性能を発揮し,また,耐久性と耐用寿命

が不利な影響を受けてはならない。選定した材料と表面被覆とについて,エンジンの運転,取扱い及び貯

蔵中のエンジンの最終使用を適切に模擬したエンジンの環境条件の下で,腐食試験を行わなければならな

い。この試験の報告書は,

PFRT

の開始前に,使用機関に提出しなければならない。受注者は,材料試験

の開始前に,試験計画案を提出しなければならない。

3.2.5.6

環境上の吸込み能力


16

W 4606-1995

3.2.5.6.1

鳥の吸込み

  使用機関が要求するときには,エンジンは,次に規定するような鳥の速度とエン

ジン回転速度で,規定の羽数と大きさの異なる鳥を吸い込むことができなければならない。

(a)

(b)

及び

(c)

の条件で,

エンジン部品に損傷が起きてもよいが,

エンジンを停止させるような故障を生じてはならない。

エンジンフレームアウトは起こってはならず,更に,

(a)

(b)

及び

(c)

の各項に対してエンジン仕様書に規定

する時間内に,鳥吸込み前の運転条件に,エンジンが回復しなければならない。

(d)

項に対しては,航空機

に損傷をもたらす可能性があるエンジン故障が生じてはならない。

吸い込まれる鳥の羽数は,圧縮機正面の面積に基づかなければならない。吸い込まれる鳥の羽数は,

300cm

2

ごと又はその

50%

より大きい端数ごとに

50

100g

の鳥

1

羽,

1 500cm

2

ごと又はその

50%

より大き

い端数ごとに

1kg

の鳥

1

羽,更に,

3 000cm

2

ごと又はその

50%

より大きい端数ごとに

2kg

の鳥

1

羽でなけ

ればならない。鳥は,不規則な間隔で吸い込まれ,しかもエンジン入口面積上に不規則に分散されなけれ

ばならない。もし上記の大きさの鳥のどれかが入口を通ることができないならば,その部分の要求事項は

適用してはならない。

(a)

質量

50

100g

の鳥(一度に最大

16

羽)と質量

1kg

の鳥(一度に

1

羽)が,離陸飛行速度に等しい鳥

の速度で,最大定格回転速度のエンジンに吸い込まれる。

(b)

質量

50

100g

の鳥(一度に最大

16

羽)と質量

1kg

の鳥(一度に

1

羽)が,巡航飛行速度に等しい鳥

の速度で,最大連続回転速度のエンジンに吸い込まれる。

(c)

質量

50

100g

の鳥(一度に最大

16

羽)と質量

1kg

の鳥(一度に

1

羽)が,降下飛行速度に等しい鳥

の速度で,対応するエンジン回転速度にあるエンジンに吸い込まれる。

(d)

質量

2kg

の鳥が,最も不利な飛行速度に等しい鳥の速度で,最大定格回転速度にあるエンジンに吸い

込まれる。

3.2.5.6.2

異物による損傷 (FOD) 

  圧縮機の動翼と静翼が応力集中係数

 (kt) 3

以上の損傷を与える異物

を吸い込んだ後,エンジンは,少なくとも

1

検査間隔の

2

倍又はエンジン仕様書に規定する時間の間,作

動しなければならない。

3.2.5.6.3

氷の吸込み

  フレームアウト,出力回復に対する長時間の消費,その運転状態での出力の

10%

を超える持続的出力損失又はエンジンを故障させる可能性がある主要構造損傷を起こすことなしに,エン

ジンは,氷の吸込みができなければならない。出力回復に要する時間を,エンジン仕様書に規定しなけれ

ばならない。使用機関が要求するときには,エンジンは,また,氷板を吸い込むことができ,しかも

4.6.4.6(b)

の氷板の吸込み試験を行わなければならない。

3.2.5.6.4

砂の吸込み

  空気

1m

3

当たり砂

53mg

までの濃度の砂とダストを含有する空気をもつ地上環境

条件で,エンジンは,すべての構成部品を含めて,その運転範囲にわたり満足に作動しなければならない。

砂とダストの規定の濃度の状態で,少なくとも全部で

10

時間,

5%

以下の出力の損失,

5%

以下の燃料消費

表の増加,しかも出力を変移する能力に被害がなく,エンジンとその構成部品は,最大連続出力で運転で

きなければならない。規定の砂の含有量は,次のような全粒子寸法の分布をもつ粉砕した石英から構成さ

れなければならない。


17

W 4606-1995

粒子の大きさ

µm

量,指定した大きさより

細かい粒子の質量  %

1 000

100

900 98

∼99

600 93

∼97

400 82

∼86

200 46

∼50

125 18

∼22

75 3

∼7

3.2.5.6.5

大気中の水滴の吸込み

  エンジンは,最高高度まで,アイドルから最大出力までの出力設定で,

全運転範囲にわたり全空気流質表の

50%

までの水(液体と蒸気)で,しかもその液水の

50%

が入口面積の

3

1

に等しい部分を通ってエンジン入口に入る状態で,満足に作動しなければならない。

3.2.5.7

騒音レベル

  エンジンは,すべての運転条件で,エンジンの全騒音の分離周波数

 (discrete

frequency)

と広帯域の騒音成分が最小になるように作動しなければならない。

表 1

の定格における近地点

と遠地点のエンジン騒音レベルを,エンジン仕様書に規定しなければならない。

3.2.5.8

排気ガス汚染

3.2.5.8.1

排気煙放出

  エンジンは,エンジンに対して規定されている主燃料を使用するとき,環境条件

とエンジン運転範囲にわたり,いかなる出力設定でも,目に見える排煙を放出してはならない。

図 13

から

決定されるように,また,

SAE-ARP 1179

の方法によって測定し,更に,体積で

17%

の芳香族炭化水素を

含有する

MIL-T-5624

のグレード

JP-5

の燃料を用いるときの最大許容煙放出レベルを,エンジン仕様書に

規定しなければならない。要求される芳香族炭化水素含有量に達するため,トルエンを燃料に加えてもよ

い。

3.2.5.8.2

目に見えない排気の放出質量

  最大,中間,最大連続,

75%

及び

25%

最大連続並びにアイドル

の各出力設定で,燃料

1kg

中の炭化水素,一酸化炭素及び酸化窒素の各放出量を

kg

で,エンジン仕様書に

規定しなければならない。エンジンが放出する排気の成分の量を測定する手順は,

ARP 1256

に規定すると

おりでなければならない。炭化水素はメタンを,また,酸化窒素は,二酸化窒素を基礎に規定しなければ

ならない。体積で最小

17%

の芳香族炭化水素を含有する

MIL-T-5624

のグレード

JP-5

の燃料を使用しなけ

ればならない。要求される芳香族炭化水素含有量に達するため,トルエンを燃料に加えてもよい。

3.2.6

輸送性

  エンジンは,使用機関が指定する標準航空エンジン用輸送トレーラ上での移動が適切で,

しかもそれと両立できなければならない。エンジンの寸法と質量特性が,標準の取扱い器材の能力を超え

ていないときには上記の要求事項を適用しなければならない。適切な定置式と可動式の地上設備の上に取

り付けることができ,また,それを使用できるように,適切な地上取扱い用パッドなどを備えていなけれ

ばならない。

3.3

設計及び製造

3.3.1

材料,工程及び締結部品


18

W 4606-1995

3.3.1.1

材料及び工程

  材料と工程に関するエンジンの製造業者の文書が使用されるときには,その文書

は,

PFRT

の開始前に,使用機関によって審査されなければならない。そして個別に不承認にならない限

り,文書は

PFRT

QT

の承認によって発行許可される。発注者のものでない文書の使用は,発注者の検

査権を放棄することになってはならない。使用機関は,製造のいかなる工程も,また,すべての工程を検

査する権利を保有する。マグネシウムの使用は,使用機関の個別使用承認を必要とする。

MIL-STD-889

 (JIS 

W 2015

)

で定義する異種金属は,相互に直接接触させて使用してはならない。

3.3.1.1.1

接着剤及びシーラント

  いかなる箇所でも,接着剤又はシーラントコンパウンドの使用は,エ

ンジンの設計に取り入れる前に,使用機関の個別使用承認によってだけ許可され,しかも少なくとも

MS 

18069

に記載される制限によって管理しなければならない。

3.3.1.1.2

弾性材料

  老化しやすい弾性材料は,エンジン部品の設計及び製造に使用してはならない。

3.3.1.1.3

O

リングシール及びパッキン

  エンジンに使用するすべての非金属

O

リングシールとパッキン

は,専門業者供給構成部品を含み,

MS 33666

MS 33668

に示す該当寸法と許容差に従わなければならな

い。燃料や滑油にさらされる材料は,燃料又は滑油系統の繰返し温度の全範囲にわたり,このような液体

と両立できなければならない。このとき,適正な機能を害するか又は機能を害しないようにするため交換

を必要とする膨張,収縮その他の形式の材料の劣化が起こってはならない。

3.3.1.1.4

腐食防止

  完成エンジンの設計と製造に用いる材料,被覆及び工程は,耐腐食性でなければな

らない。エンジン受注者は,エンジン仕様書にすべての防食処理を明確に示さなければならない。

3.3.1.1.5

非金属ホース

  非金属ホースを使用するときには,

MIL-H-27267

に従わなければならない。ホ

ースアセンブリは,

MIL-H-25579

の規定に適合しなければならない。可燃性液体を送るホースは,

3.3.6.1

の規定に適合しなければならない。

3.3.1.2

締結部品

3.3.1.2.1

戻り止めボルト

MIL-B-23964

による戻り止めボルトは,制御系統の継手や単一の取付け部に,

及びボルトの喪失が飛行の安全性やエンジンを制御する能力に影響する箇所に使用しなければならない。

戻り止めボルトは,

MS 33602

に従って使用しなければならない。

3.3.1.2.2

締結部品の固定

  安全線(からげ線)又はコッタピンで締結部品を固定する場合には

MS 33540

に示す要領に従わなければならない。

MS 33588

に規定する戻り止めナットの一般的設計と使用制限を適用

しなければならない。

3.3.1.2.3

クランプ

  管支持用クランプは,使用機関が承認したとおりでなければならない。

3.3.1.2.4

ねじの十字穴

  すべてのねじの十字穴は,

MS 33750

又は

MS 9006

の規定に適合するものとす

る。

3.3.1.2.5

外側駆動レンチ

  外側駆動レンチは,

12

ポイント駆動に対しては

SAE AS 870

,スプライン駆動

に対しては

MS 33787

及び

6

角頭駆動に対しては

AS 1132

の規定に適合していなければならない。

3.3.1.2.6

ヘリカルコイルインサートの取付け

  ヘリカルコイルインサートとともに使用する意図がある

母材のねじの寸法と許容差は,

MS 33537

の規定に適合しなければならない。

3.3.1.2.7

ねじ

  すべてのねじは,

MIL-S-8879

のクラス

3A

又は

3B

の要求事項に適合しなければならな

い。次のものに使用するねじに対しては,

MIL-S-7742

の使用は随意とする。

(a)

電気接続部

(b)

直径が

0.350cm

以下のねじ

(c)

植込みボルトの取付け端部又はインサートのおねじ及びそれらのはめあいタップ穴のような用途に

MIL-S-7742

ねじが適当な場合の,締りばめなどの適用。


19

W 4606-1995

ねじの形だけが異なる同一形状の部品は,認めない。

3.3.2

電 磁 干 渉  (EMI) 

  す べて の エ ン ジ ン の 電 気 ・ 電 子 の 系 統 と 構 成 部 品 は ,

MIL-STD-461

MIL-STD-462

の機器クラス

1D

の規定に適合しなければならない。エンジンは,

MIL-STD-461

のクラス

1D

に規定する限界を超えて干渉を起こしたり,妨害に敏感であったりしてはならない。

MIL-STD-461

よって要求される

EMI

制御計画と

EMI

又は

EMC

(電磁制御)試験計画は,

PFRT

QT

の前に作成しなけ

ればならない。

3.3.3

銘板及び製品の表示

3.3.3.1

製品の識別及び表示

  機器,組立品,モジュール及び部品には,

MIL-STD-130

に従って識別のた

め表示をしなければならない。エンジンデータ板には

(a)

製造業者の名称

(b)

エンジンの一連番号

  (MIL-STD-1559)  

(c)

注文番号又は契約番号

(d)

エンジンの型式名称

  (MIL-STD-879)  

を含めなければならない。

使用サイクル又は使用時間に限度がある部品には,一連番号を付け,更に,サイクル回数と各オーバホ

ール時期の間の累積時間を表示するために指定したスペースを設けなければならない。

3.3.3.2

図面改訂記号

  識別表示に加えて,部品の製造図面の改訂符号を,すべての部品に表示しなけれ

ばならない。

3.3.4

ワークマンシップ

  ワークマンシップは,該当する契約要求事項に従わなければならない。

3.3.5

互換性

  同じ製造業者部品番号をもつすべての部品は,装着と性能に関して相互に,機能的及び寸

法的に,互換性と置換性がなければならない。ただし,必要な場合には,組合せ部品又は選択はめあいの

使用を認める。組合せ部品と選択はめあいの使用は,最少にとどめなければならない。このような組合せ

部品や選択はめあい部品は,識別し,しかも一覧表を

PFRT

QT

前に,使用機関に提出しなければなら

ない。

3.3.6

安全性

  使用機関が要求するときには,

MIL-STD-882

の安全性基準と考慮事項を,エンジンの安

全性設計の特徴を設定するのに使用する。

3.3.6.1

可燃性流体系統

  可燃性流体を導くすべての外部管路,継手及び構成部品は,第二種耐火性(

1

090

℃で

5

分間)でなければならない。ただし,滑油系統と油圧系統の構成部品は,第一種耐火性(

1 090

15

分間)でなければならない。上述の条件にさらされた状態で,管路と構成部品は,環境条件とエンジ

ンの運転範囲との全域中の最悪な場合の流れ状態(すなわち,最低流量,最高圧力及び最高温度)で,流

体を導くことができなければならない。

3.3.6.2

防火壁の取付け

  使用機関が要求するときには,防火壁の取付けのため,エンジンに準備しなけ

ればならない。取付けの種類,位置,寸法及び取付け面における許容荷重を,エンジン形態及び外形図に

示さなければならない。

3.3.6.3

防爆性

  電気構成部品(点火プラグ電極を除く。

)は,その機器をとり巻くいかなる爆発性混合

物にも点火するものであってはならない。

3.3.6.4

流体の漏れ

  エンジンのいかなる部分からも,漏れがあってはならない。ただし,この目的のた

めに設けられたドレンにおける漏れを除く。

3.3.6.5

に規定する場合を除き,すべてのドレンからの漏れの

全量は,

5cm

3

/min

を超えてはならない。


20

W 4606-1995

3.3.6.5

可燃性流体ドレン

  各始動の失敗の後に燃焼区域から可燃性流体を自動的に取り除くため及び

エンジンを水平位置,

15

度機首上げ及び

20

度機首下げの状態でエンジン停止後,余分の可燃性流体が燃

焼区域に入ることを防止するための手段を講じなければならない。

また,エンジンの運転中又は運転後に,可燃性流体が集積する可能性があるすべての通気区域その他の

くぼみ,又は区画室の排出のため,手段を講じなければならない。使用機関が要求するときには,垂直位

置にあるエンジンに対して,これらの同じ手段を講じなければならない。正規の運転からエンジンを停止

した後,エンジンのドレンから排出する可燃性流体の最大許容量を,エンジン仕様書に規定しなければな

らない。

3.3.6.6

地上安全性

  該当するときには,高電圧電源,放射性装置及び爆発性装置に対して,警告表示板

を設けなければならない。

3.3.6.7

残存性及びぜい弱性(削除)

3.3.7

人間工学

  人間工学の理論,判断基準及び手順は,適用される契約事項に従って,エンジンの設計

に適用しなければならない。

3.3.8

構造性能

3.3.8.1

構造寿命

  エンジンは,系統寿命要求事項と矛盾しない構造寿命をもつように,修理を考慮して

設計しなければならない。受注者は,エンジン仕様書に,構造寿命を時間で規定しなければならない。運

用上の要求事項が定められているときには,構造寿命は,その系統に対し使用機関が規定する適当な使用

率に基づかなければならない。系統運用上の要求事項が定められていないときには,構造寿命は,

表 9

規定する要求事項と使用率とに対する出力設定の分布,

及び

図 14

に示す周囲温度分布に対する出力設定の

分布に基づかなければならない。受注者は,仕様書に,次のような消耗部品に対して,時間で表した部品

寿命を含めなければならない。

点火プラグ

O

リング

ガスケットとシール

フィルタエレメント

3.3.8.2

高サイクル疲労寿命

  エンジンのすべての部品は,少なくとも次の高サイクル疲労寿命をもって

いなければならない。

(a)

鋼製部品

 10

7

周期

(b)

非鉄合金部品

3

×

10

7

周期

3.3.8.3

低サイクル疲労寿命

  エンジンの最小運用低サイクル疲労

 (LCF)

寿命は,

表 9

に規定するとお

りでなければならない。

LCF

寿命要求事項は,エンジンのすべての部品に適用し,しかも圧力と温度のサ

イクルの影響のいずれをも含む。完全なエンジンとエンジン構成部品に対しては,

LCF

試験を実施しなけ

ればならない。完全なエンジンに対する試験は,

1LCF

寿命と同等の期間まで実施しなければならない。

LCF

試験を必要とするすべての構成部品は,

LCF

寿命に対し

表 9

に規定する寿命値の

2

倍まで試験しなけ

ればならない。構成部品の修理は,

1

寿命の完了したとき許可する。

3.3.8.4

エンジンの圧力釣合い

  エンジンの運転範囲の全域にわたるすべての出力設定において,軸受に

滑り損傷を生じさせないため,エンジンの圧力釣合い系統には,十分な

1

方向のスラスト荷重を与えなけ

ればならない。荷重の解析を行い,これらの荷重を立証する報告書を,

PFRT

前に使用機関に提出しなけ

ればならない。


21

W 4606-1995

3.3.8.5

エンジン圧力容器及びケースの設計

  各エンジンケースとガス圧力が加わるエンジンの各構成

部品は,破壊することなく,その最大作動圧力の少なくとも

2

倍の圧力に耐えなければならない。

3.3.8.6

強度及び寿命解析

  強度と寿命の解析を実施し,更に,

PFRT

前に単なる情報として報告書を提

出し,

QT

前に最新のものに改めなければならない。応力解析には,エンジンケース,ディスク,ベーン,

ブレード,マウント,燃焼器ライナ,軸受支持部,歯車,ブラケット及び配管などの品目を含めなければ

ならない。報告書には,エンジンの

LCF

試験に対して必要な

LCF

試験の使用率と使用時間を設定した根

拠を示さなければならない。

3.3.8.7

設計材料特性

  材料の許容強度と寿命特性は,負の

3

σ値に基づかなければならない。材料を選ぶ

ときには,破壊じん性

  (fracture toughness properties)

を考慮しなければならない。

3.3.8.8

クリープ

  エンジンの静止及び回転部品は,

表 9

に規定する運転条件と寿命時間に対して,エン

ジンの運転ができない程度に,クリープしてはならない。

また,クリープは,エンジンの分解と再組立に影響を与えてはならない。認定試験の耐久試験と

LCF

験で運転時間とともに変化する部品はその伸び率

  (rate of part growth)

を,エンジン仕様書に規定しなけれ

ばならない。

3.3.8.9

コンテインメント及びロータ構造の完全性

3.3.8.9.1

コンテインメント

  エンジンは,最大許容変移ロータ回転速度で,プラットフォーム上の翼面

フィレットから圧縮機又はタービンの動翼が破損した場合に,破損翼を外部に出してはならない。更に,

エンジンは,単独の翼の破損によって損傷し,放出されたすべての部品をエンジンの外部に出してはなら

ない。エンジンは,大事故を防止するため,次の各項を含め,フェールセーフ設計を取り入れなければな

らない。

(a)

圧縮機とタービンのディスクは,過回転速度又は過昇温度の機能不良のときに,まず翼を破損させる

ことによって,保護しなければならない。

(b)

主ロータ軸軸受又は潤滑系統の故障が軸の分離又は連結の外れを起こしてはならない。

(c)

軸の連結が外れた場合に,タービンの過回転速度を防止するため,タービンを止めるように,タービ

ン動翼は,タービンノズル翼に接触しなければならない。

(d)

回転質表を支持する構造は,ロータ軸受の故障の場合に,エンジン回転部品の全体の偏心を生じる確

率が最小になるように設計しなければならない。

3.3.8.9.2

ロータの完全性

  ロータの構造の完全性に必要な余裕を与えるため,ロータは,次の異常な状

態に耐えるに十分な強度をもたなければならない。

(a)

  5

分間,最大許容測定温度で,最大許容定常回転速度の

115%

のロータ回転速度。

(b)

  5

分間,最大許容測定温度を少なくとも

45

℃超えた測定温度で最大許容定常ロータ回転速度。

3.3.8.9.3

ディスク破断回転速度

  荷重を受けるディスクの破断回転速度は,ディスクがその構成部品に

起こさせるような最大温度こう配と最大材料温度を課されたときの最大許容定常回転速度の

122%

以上で

なければならない。


22

W 4606-1995

3.3.8.10

振動

  エンジンの環境条件と運転範囲の全域にわたり,定常及び過渡運転を含むすべてのエンジ

ン回転速度と出力で,エンジンには,破壊的な振動があってはならない。エンジンの機械的振動限界は,

3.2.1.4.10

に規定しなければならない。規定の振動数範囲外のエンジンによって起こる振動は,エンジンの

運転に有害であってはならない。限界は,次の動力学的特性をもつ懸架装置に取り付けられているエンジ

ンに基づかなければならない。すなわちエンジンを装着した懸架装置の固有振動数は,ロータの残留不釣

合によって誘発される可能性があるすべてのモードの振動で,ガスジェネレータ・ロータのアイドル回転

速度の

80%

以下でなければならない。加速度のスペクトル図は,運転範囲(明確に定めなければならない)

における最高の振動水準とエンジンの各定格点で作成しなければならない。これらのスペクトル図は,エ

ンジンの振動監視のため,エンジン形態及び外形図に示す各加速度計から得られるべきものとする。エン

ジンの重要な構成部品は,各スペクトル図で識別しなければならない。各スペクトル図は,

5Hz

10kHz

の周波数範囲にわたり,また,

rms

値の代わりにピーク加速度で加速度データを示さなければならない。

3.3.8.10.1

危険回転速度

  最大運転速度を超える基本危険回転速度をもつ設計に対しては,最大運転速度

を危険速度との間に,少なくとも

20%

の余裕がなければならない。もしエンジンがアイドル以下の危険回

転速度を通過するならば,適切な減衰の手段を講じなければならない。

3.3.8.10.2

振動及び応力解析

  圧縮機とタービンの軸,その他の高い振動と応力が生じる構成部品を含め

て,圧縮機とタービンの翼,ディスク及びベーンの設計には,振動と応力の解析を実施しなければならな

い。振動応力の分布と複合モードを含む種々の振動モードを求めなければならない。危険回転速度,励振

周波数,及び振動応力分布と節の配置に対する応力値とを決定し,更に,それらを強度と寿命の解析と関

連づけなければならない。報告書には,実際のエンジン運転の結果,又はそれができないときには,構成

部品の試験と解析研究による結果を含めなければならない。データの解析には,ケーシング,ブレード,

ベーン,ディスク,軸,スペーサ,エンジンマウント,その他の計測される部品の高応力部分の測定応力

値と基準応力値を含めなければならない。使用したすべての解析方法に対する方程式と計算例とを,報告

書に含めなければならない。データは,エンジンの運転範囲全域にわたって,振動が応力水準に及ぼす影

響を示さなければならない。報告書には,各構成部品の設計に対して,修正グッドマン線図とキャンベル

線図を示さなければならない。主要な次数の励振と振動のモードを示す励振周波数対ロータ回転速度のグ

ラフには測定応力と基準応力を示す点を図示しなければならない。すべての危険回転速度の要約を報告書

に示さなければならない。振動及び応力解析報告書は,

PFRT

の耐久試験前に提出し,

QT

前に最新化して

再提出しなければならない。

3.3.9

設計管理

3.3.9.1

標準化

  エンジンの設計や性能と妥協することなく,できる限り最大限に,標準化の原理,標準

の部品,材料,工程,治工具,部分系統及び構成部品を使用しなければならない。発注者,業界又は受注

者の標準として認められているか否かにかかわらず,すべての部品,材料及び工程は,ここに規定する認

定の一部としてその用途に対して認定しなければならない。既に発注者の目録にある品目は,その目的に

適当な場合には,できる限り最大限に使用しなければならない。類似の構成部品又は部品のばらつきは,

極力最小限に保たなければならない。工業所有権がある設計は,最小限にとどめるようにしなければなら

ない。生産の経済性が標準化の目標と矛盾する場合には,後者(標準化)のグループを優先するか,又は

使用機関に,使用に適した構成部品を選択することを要求しなければならない。

3.3.9.1.1

設計標準

  適用できる場合には,

MS

AND

の設計規格を使用しなければならない。


23

W 4606-1995

3.3.9.1.2

標準部品

  航空エンジンに使用するため特別に開発された発注者の標準部品は,いかなる他の

発注者の標準部品よりも優先させなければならない。外形寸法又は認定品目表

 (QPL)

によって定まる一

般用標準部品を最も重要な箇所又は高強度を要する所に使用する場合には,それらは,専門業者又はエン

ジン製造業者の部品番号によって識別しなければならない。検査又は選定に基づくだけで,一般用標準部

品から得られる部品は,エンジンの製造業者の部品番号によって識別し,更に,すべての以前の識別表示

を取り除かなければならない。

3.3.9.2

部品表

PFRT

QT

のいずれかを完了し合格したエンジンの部品表は,使用機関に納入する同

じ種類と型式の後続のいずれのエンジンの承認部品表も構成しなければならない。承認済みのエンジン部

品表に対する変更は,該当する契約要求事項に従わなければならない。

3.3.9.3

構成部品及び部品の組立て

  構造的又は機能的に互換性がない機器,部品及び構成部品は,物理

的に互換性があってはならない。部品と構成部品は,それらを後ろ向きに,上下反対に,組立を逆に又は

組立で間違った位置に取り付けることが物理的に不可能であるように設計しなければならない。相互に近

接して位置する接続部は物理的に互換性がないようにしなければならない。

3.3.9.4

設計及び製造の変更

3.3.9.4.1

設計変更

  承認されたエンジン部品表に記載の部品には,何らの設計又は材料の変更を行って

はならない。ただし,このような変更が適用する契約要求事項に従うものであるときは,この限りではな

い。

3.3.9.4.2

専門業者又は製造工程の変更

  認定試験に用いられる部品の専門業者,製造元又は製造工程の

変更は,次の手順に従わなければならない。

代替の専門業者の製造元又は工程を認定するために立証試験を要する部品,構成部品及び組立品の一覧

表は,受注者が作成し,使用機関に提出しなければならない。エンジン部品として認定するために必要と

される個別試験は,明確に定め,使用機関に提案しなければならない。この一覧表には,選定した専門業

者の構成部品の製造元と工程を含める。この一覧表には,その完全さと試験の妥当性に関して,使用機関

による審査と承認を受ける。その後,その立証一覧表にあるすべての部品,構成部品及び組立品が認定さ

れている製造元と工程の規定に適合していること,及びそれらの製造元や工程の変更が有効に管理されて

いることを,受注者は,責任をもって保証しなければならない。受注者は,満足な代替の専門業者や製造

元,又は工程を設定するための立証試験を実施することに責任をもたなければならない。製造元とは,部

品,構成部品又は組立品を生産する主たる物理的源泉を意味する。個別の専門業者の他の工場へというよ

うな製造場所の変更は,製造元の変更とみなさなければならない。

3.4

文書

  提出すべき文書は,該当する契約要求事項に従わなければならない。

3.5

後方補給

3.5.1

整備

3.5.1.1

モジュールの概念

  使用機関が要求するときには,エンジンは,モジュールの概念を導入して,

主要なエンジン部分の交換を容易にするように設計しなければならない。個々のモジュールは,エンジン

仕様書に一覧表にしなければならない。


24

W 4606-1995

3.5.1.2

整備検査手法

  エンジンは,非破壊検査及び一般の試験・検査装置を最大限に使用できるように

設計しなければならない。エンジンの圧縮機,燃焼器及びタービン部分に関しては,ボアスコープ(又は

同等の装置)で,装着エンジンの検査ができなければならない。ボアスコープ検査を容易にするため,ロ

ータ系統をゆっくりと回転させることができるような確実な手段を講じなければならない。完全に組み立

てられたエンジンに対しては,放射線透過検査ができなければならない。上記の手法によって可能な検査

の範囲を,仕様書に記述しなければならない。装着エンジンに対して,ポートの接近と放射線検査のため

の接近が容易にできるように,検査ポートなどの位置を定めなければならない。接近範囲を含む検査手段

を,エンジン形態及び外形図に示さなければならない。

3.5.1.3

補給整備及び接近性

  定例保守,点検調整又は頻繁な交換を要するエンジンの部品には,他の部

品や構成部品を取り外さず,また,エンジンを分解しないでも容易に接近できなければならない。

3.5.1.4

工具

  エンジンは,補給整備,調整,組立及び分解に対して,標準工具(使用機関が指示するも

の)を最大限に使用するように設計しなければならない。標準工具が使えない場合には,使用機関が示す

ように,入手でき,しかも他の使用中の推進系統に用いている特殊工具や試験装置を,可能な限り設計上

指示しなければならない。新しい特殊工具,ジグ及び試験装置に対する要求は,絶対的に最小限にとどめ

なければならない。

3.5.1.5

修理手順及び摩耗限界

QT

の前に受注者は,運転後摩耗の限界と標準及び部品修理手順を設定

しなければならない。

3.5.2

補給

  補給体制は,該当する契約要求事項に従わなければならない。

3.5.3

施設及び設備

  現在の施設に対する変更又は新しい設備が必要な場合には,該当する契約要求事項

に従わなければならない。

3.6

要員及び訓練

  要員と訓練に関する要求事項は,該当する契約要求事項に従わなければならない。

3.7

主要構成部品の特性

3.7.1

防氷系統

  エンジン防氷系統は,

3.2.5.2

に規定する着氷状態で運転するとき,入口空気流の中に突

出しているエンジンに装着されている,すべての軸やケーシングを含め,いかなるエンジン部品にも氷が

たい積するのを防止しなければならない。

3.2.5.2

に規定する

5%

の性能の全損失には,着氷環境における

運転の影響と防氷系統の作動の影響とを含めなければならない。

無着氷環境中の防氷系統の作動の影響を,

エンジン仕様書に規定しなければならない。

3.7.1.1

防氷インタフェース

3.7.1.1.1

防氷系統の作動

  系統の作動は,自動又は手動のいずれかによって行い,また系統の作動に対

する信号要求事項を,エンジン仕様書に規定しなければならない。着氷検出器がエンジンから物理的に離

れて設けてあるときには,エンジン防氷系統を自動的に作動させる方法を要求しなければならない。系統

が自動的に作動するときには,手動のオーバライド装置を備えなければならない。防氷系統は,その防氷

系統が作動していることを示す信号を出さなければならない。

3.7.1.2

防氷の種類

  系統の記述を,エンジン仕様書に含めなければならない。防氷系統に故障が起こっ

たときには,この系統は,防氷モードを続けるか,又は防氷モードに戻らなければならない。全運転範囲

にわたって防氷系統を連続作動しても,エンジンを損傷してはならない。防氷抽気を使用するときのエン

ジンの加速性能は,

3.2.1.5.6

に規定するとおりでなければならない。電気式防氷系統に対しては,エンジ

ンは,その防氷系統とすべてのその他のエンジン電気系統との同時作動が可能でなければならない。


25

W 4606-1995

3.7.2

エンジン制御系統

  エンジン制御系統には,燃料制御装置,圧縮機抽気又は幾何形状制御装置,温

度制御装置,入口案内翼制御装置,軸出力吸収装置の調整構成部品及びエンジンの適正で完全な自動又は

手動制御に必要なその他の制御機器など,すべての制御機器を含めなければならない。エンジン制御系統

は,エンジンの完全な自動制御装置及び使用機関が要求するときにはエンジンの手動制御装置を備えなけ

ればならない。自動と手動の系統とも,完全に自立していて,しかも機体電気系統からの外部電源を必要

としてはならない。運用中に必要なすべての調整に対する遠隔操作装置が容易に取付けが可能であるよう

に,エンジン制御系統には手段を講じなければならない。使用機関が要求するときは,電子式出力制御構

成部品には,妨害電波装置に対する保護装置を付けなければならない。エンジン制御系統は,エンジン仕

様書で説明し,更に,各制御機器をその機能とともにエンジン仕様書に一覧表としなければならない。

3.7.2.1

制御信号

  エンジン制御系統には,使用機関によって要求された場合には,外部からの入力信号

を設けておかなければならない。エンジン制御系統は,また使用機関が要求する場合には,エンジンの外

部に使用のため,出力信号を設けておかなければならない。制御入力信号及び出力信号の変数並びに関係

機能は,エンジン仕様書に規定しなければならない。制御入力信号が機械式位置入力であるときは,それ

は,

3.7.2.1.1

3.7.2.1.4.4

の規定に適合しなければならない。

3.7.2.1.1

制御レバーのトルク

  エンジンのいかなる制御レバーを回転するのに必要なトルクも,その回

転の全範囲を通して,

3Nm {0.3kgf

m}

を超えてはならない。制御レバーは,外部トルクが加えられてい

ないときには,運転しているエンジンに対して回転してはならない。制御レバーの全運転範囲にわたり,

このレバーを回転するのに,操作トルクに急激な変化があってはならない。

また,トルク変化の最大許容量は

1Nm {0.1kgf

m}

を超えてはならない。もしエンジンが回転していな

いときにトルクが異なる場合にはこれをエンジン仕様書に規定しなければならない。制御レバートルクと

制御レバー角度の関係は,

図 15

のように示さなければならない。最大許容軸方向荷重,最大許容ねじりモ

ーメント及び片持ちモーメントをエンジン仕様書に規定しなければならない。制御レバーがストッパに突

き当たるときの最大許容制御レバー荷重は,

Nm

でエンジン仕様書に規定しなければならない。

3.7.2.1.2

制御レバーの組立調整

  各制御レバーには,容易に目視できる目盛板を備えなければならない。

各制御レバーは,間違った調整を積極的に防止できる手段を用いて装備しなければならない。

3.7.2.1.3

リンク装置

  すべてのエンジン装備のリンク装置には,すべての取付け点で,戻り止め溝付き

ナットをもつ確実な回り止めのボルトを備えていなければならない。

3.7.2.1.4

制御レバー

3.7.2.1.4.1

出力レバー

  出力レバーは,全回転角が

123

±

1

°で,しかも,

0

°位置と

123

°位置に確実な

ストッパを備えていなければならない。アイドル出力位置,最大出力位置その他必要な位置には,組立調

整(リギング)ピン挿入箇所を備えなければならない。ドウエルバンドの幅は,

3.00

±

0.25

°でなければな

らない。

(a)

ターボプロップエンジンに対しては,出力レバードウエルバンドは,次のとおりに配置しなければな

らない。

最大出力

 120

123

°

無負荷出力

 45

48

°

アイドル出力

 27

30

°

最大逆出力

0

3

°

(b)

ターボシャフトエンジンに対しては,出力レバードウエルバンドは,次のとおりに配置しなければな

らない。


26

W 4606-1995

最大出力

 120

123

°

アイドル出力

 27

30

°

閉止

0

3

°

3.7.2.1.4.2

シャットオフレバー

  出力レバーに閉止(シャットオフ)位置が設けられていないときは,

燃料閉止用に別のシャットオフレバーを設けなければならない。シャットオフレバーは,全回転角が

90

±

1

°で,しかも,

0

°位置と

90

°位置に確実なストッパを備えていなければならない。燃料は,

0

°∼

40

°

の閉止位置で閉止され,閉止弁(シャットオフバルブ)は,

55

°∼

90

°の位置で開き,燃料を流さなけれ

ばならない。

3.7.2.1.4.3

負荷要求レバー  (load demand lever) 

  必要なときには,急速な出力吸収装置の負荷変動を予

想して,負荷要求レバーを設けなければならない。この負荷要求レバーの全回転角は

90

±

1

°で,しかも,

0

°位置と

90

°位置に確実なストッパを備えていなければならない。負荷要求レバー入力は,本質的に出

力吸収装置負荷と比例関係になければならない。最小負荷位置は,負荷要求レバー角

0

°にあり,また,

最大負荷位置は負荷要求レバー角度

90

°になければならない。

3.7.2.1.4.4

出力回転速度レバー  (output speed lever) 

  必要なときには,出力軸回転速度を制御するため

に,出力回転速度レバーを設けなければならない。出力回転速度レバーは,全回転角が

90

±

1

°で,しか

も,

0

°位置と

90

°位置に確実なストッパを備えていなければならない。出力回転速度レバーの位置に対

する調速された出力軸回転速度の関係は,本質的に比例関係になければならない。最小調整出力軸回転速

度位置は,出力回転速度レバー角度

0

°にあり,また,最大調整出力軸回転速度位置は,回転速度レバー

角度

90

°になければならない。

3.7.2.2

エンジン制御系統の性能

  エンジン制御系統は,エンジン仕様書に規定する定常及び変移エンジ

ン性能をもつように,エンジン運転を制御しなければならない。エンジン制御系統は,エンジンの全環境

条件と全運転範囲にわたり,エンジンがその限界のいずれも超えることを自動的に防止しなければならな

い。これには,エンジンの全環境条件と全運転範囲にわたり,どのような回転速度又は負荷の急激な変化

を適用してもその適用中には,すべてのエンジン変数をその規定の変移限界内に維持することを含めなけ

ればならない。電気的故障が生じた場合,発生軸出力の

20%

を超える低下があってはならず,しかも,加

速又は減速特性に悪影響を及ぼしてはならない。

エンジン制御系統は,出力レバー位置と制御するエンジン変数の間に適正な関係を与えなければならな

い。出力レバー位置の許容差は,制御変数に与えられたどのような値に対しても,±

2.5

°でなければなら

ない。

3.7.2.2.1

出力の調整

  出力と出力レバー位置との関係は,十分に調整された種類のもので,急激な変化

がなく,また,本質的に比例関係になければならない。

3.7.2.2.2

機能を制限する制御の領域

  高温,標準及び低温の周囲条件に対する高度とマッハ数の関数と

しての,

中間出力と最大出力における機能を制限する制御の領域は,

図 16

のように示さなければならない。

種々の領域を設定するために使用する制限値は,図上で規定しなければならない。

3.7.2.2.3

手動燃料制御

  使用機関が手動燃料制御を要求するときには,次に定める範囲まで,自動系統

とは独立に,燃料流量を制御しなければならない。

(a)

標準状態で海面上から高度

10km

まで正規に得られる中間出力の

5%

90%

の間で,エンジン出力を調

節できなければならない。

(b)

エンジンを空中始動させ,更に,その後,

(a)

に従ってそれを運転できなければならない。

(c)

設定した限界を超えてエンジンが作動することを防止できなければならない。防止作動は,エンジン


27

W 4606-1995

に損傷が起こらないような時間内で可能でなければならない。

3.7.2.3

エンジン制御系統の設計

  エンジン制御系統の設計には,調整の簡単さや接近の容易さを備えな

ければならない。燃料制御装置の設計は,その装置をいかなる入力系統(入口温度受感系統のような)か

らも別個にエンジンから取り外しでき,しかも,このような入力系統との校正又は整合を行うことなく交

換できるものでなければならない。

3.7.2.3.1

エンジン制御系統の調整

  制御装置に対する外部調整は,組み立てたエンジンに対して正しく

実施でき,また,地上におけるエンジンの運転特性だけを用いて正確に実施できる調整に限定しなければ

ならない。これらの調整は,中央トリムパネルで行い,また,このパネルは,明確に表示され,接近でき,

エンジンを運転しながら調整できなければならない。

また,調整部は,

AS 848

に従い,しかも,すべての運転条件で,戻り止めになっていなければならない。

他のすべての調整は,手を触れないように保護しなければならない。一たん調整すれば,エンジンの全環

境条件と全運転範囲にわたって限界内の運転を行うようにするために,

更に調整を必要としてはならない。

すべての調整の手段は,エンジン形態及び外形図に示さなければならない。

3.7.2.3.1.1

燃料等級に対する調整

  エンジン仕様書に規定する燃料を用いて運転を行う場合には,いか

なる調整も必要としてはならない。

3.7.2.3.1.2

アイドル回転速度の調整

  アイドル回転速度は,規定のアイドル回転速度の±

5%

の範囲内に

調整できなければならない。この調整は,最大回転速度設定値とは独立で,しかも,それに影響を及ぼし

てはならない。

3.7.2.3.1.3

最大回転速度の調整

  最大エンジンロータ回転速度は,中間定格値の±

5%

の範囲内に調整で

きなければならない。エンジンが

2

個以上のロータをもち,更に,各ロータの回転速度が調整できるとき

には,エンジン仕様書に,調整の範囲と調整の方法を規定しなければならない。

3.7.2.3.1.4

測定温度の調整

  調整可能なときには,最大測定温度は,中間定格値の±

5%

の範囲内に調整

できなければならない。

3.7.2.3.2

冷却装置

  エンジンが

3.1.2.8.1

の要求事項を満足するため,構成部品環境制御系統

 (ECS)

を必

要とするときは,受注者は,その種類を規定し,更に,使用する系統を記述しなければならない。

3.7.2.3.3

エンジン超過回転速度系統

  どのようなロータ系統でも,その最大変移回転速度を超えたとき,

是正措置を取るようなエンジン超過回転速度装置を備えなければならない。この装置に用いるロータ系統

の回転速度を測定するには,歯車,たわみ軸又はクラッチのような中間の機械装置を用いないで,ロータ

系統の回転速度を直接に検出する装置によって行わなければならない。

3.7.3

燃料系統

3.7.3.1

燃料系統のインタフェース

3.7.3.1.1

燃料流量計

  エンジン燃料系統で燃焼室への全計量エンジン燃料流量を測定できる箇所に,燃

料流量計発信器を取り付けるための手段を講じなければならない。流量計の種類,装着の準備及び装着形

状をエンジン仕様書に記述し,更に,エンジン形態及び外形図に示さなければならない。

3.7.3.1.2

最大燃料流量

  全運転範囲にわたり加速オーバシュート要求事項に対し必要な流量を含む最大

流量を,エンジン仕様書に規定しなければならない。

3.7.3.1.3

燃料入口

3.7.3.1.3.1

燃料入口の寸法

  エンジン燃料入口接続部の位置とインタフェース寸法を,エンジン形態及

び外形図に示さなければならない。


28

W 4606-1995

3.7.3.1.3.2

燃料入口接続部許容荷重

  燃料入口接続部にかかる最大許容荷重を,エンジン仕様書に規定

しなければならない。

3.7.3.1.3.3

燃料の入口圧力及び温度

  燃料の最大及び最小入口圧力を,エンジン仕様書に規定しなけれ

ばならない。連続運転に対し許容できる燃料の最大入口温度は,

71

℃以上とし,エンジン仕様書に規定し

なければならない。燃料の最小入口温度は,

3.2.5.1

に従わなければならない。

3.7.3.2

燃料

3.7.3.2.1

主燃料

  エンジン仕様書に規定するグレードに関する

MIL-T-5624

に適合し,しかも,

MIL-T-5624

が許容する特性上のいかなる変化をもつ燃料を使用するときにも,エンジンは,すべての定常

及び変移運転条件に対して,その環境条件と運転範囲にわたり満足に機能を果たさなければならない。

3.7.3.2.2

代替燃料

  使用機関の要求があるときに,エンジンは,規定する代替燃料を使用して始動と運

転ができなければならない。代替燃料を使用するとき,エンジン仕様書に規定する運転限界,出力及び出

力変移が,悪影響を受けてはならない。代替燃料を使用するとき,エンジンの性能特性に及ぼす影響,燃

料消費量

 (SFC)

の変化,始動及び停止時間の変化並びに航空機の任務に及ぼす影響を規定しなければなら

ない。

3.2.4.2

に規定する時間がエンジンに対して設定したオーバホール間隔に影響を及ぼしてはならない。

3.7.2.3.1.1

で許される外部調整だけは,

この要求事項を満足するために許さなければならない。

MIL-I-27686

による防氷添加物を体積濃度で

0.15%

まで加えた規定の代替燃料で,エンジンは,満足に機能を果たさな

ければならない。

3.7.3.2.3

非常燃料

  使用機関の要求があるときには,エンジンは,また,規定する非常燃料を使用して

始動と運転ができなければならない。

MIL-G-5572

MIL-G-3056

及び

VV-G-6

の規定に適合する燃料を使

用するとき,エンジンは,海面上から高度

10km

まで,少なくともアイドルから最大出力の

90%

までの範

囲にわたって,仕様書の定格又は予測の燃料消費量の

120%

以下で,少なくとも

6

時間満足に機能を果た

さなければならない。

3.7.2.3.1

で許される外部調整だけは,この要求事項を満足するために,許容される。

該当するときは,この燃料を使用する結果として必要な運転限界,特別検査又は整備作業を規定しなけれ

ばならない。

3.7.3.3

燃料系統の性能

3.7.3.3.1

燃料系統校正限界

  燃料系統構成部品に対して燃料流量の校正が必要なときには

MIL-C-7024

タイプ

II

による試験液を使用したときのこの校正に適用する限界を,

使用機関に提供しなければならない。

3.7.3.3.2

燃料の汚染

表 10

に規定する範囲までのいかなる量で汚染された燃料でも,これを使用すると

き,エンジンは,満足に機能を果たさなければならない。

3.7.3.3.3

外部の補助をもつ燃料系統の性能

  エンジン燃料系統は,始動を含む全運転範囲にわたり,エ

ンジンの運転に必要な圧力で,必要な量の燃料を,エンジンの燃料入口接続部において次の条件で,供給

できなければならない。

(a)

燃料温度

  最低の−

54

℃(

MIL-T-5624

のグレード

JP-4

燃料を使用するとき)又は

12mm

2

/s (12cSt)

燃料動粘度に対応する温度(

HL-T-5624

のグレード

JP-5

燃料を使用するとき)から,

3.7.3.1.3.3

に規

定する最高温度まで。

(b)

燃料圧力

  最小は,燃料の真の蒸気圧を

35kPa {0.36kgf/cm

2

}

超える圧力から,最大は,蒸気/液体比

が零で

350kPa {3.6kgf/cm

2

}

まで。

3.7.3.3.4

外部の補助がない燃料系統の性能

  エンジン燃料系統は,次の条件で,海面上から高度

10km

までのエンジン運転と,高度

5km

までの地上と空中での始動に対して必要な圧力で,必要な量の燃料を供

給できなければならない。


29

W 4606-1995

(a)

エンジン入口条件は,高度

10km

までのエンジンの標準日運転範囲によって定める。

(b)

燃料温度は,燃料入口接続部において少なくとも

57

℃までとする。

(c)

燃料の蒸気液体比は,エンジン燃料入口接続部において

0

から

0.45

までとする。

3.7.3.3.4.1

ポンプのプライミング

  燃料リード蒸気圧力が

20kPa {0.20kgf/cm

2

}

を超えず,また,燃料温

度が少なくとも

38

℃までの状態で,ポンプ入口で入口絶対圧力が

30kPa {0.31kgf/cm

2

}

において,

0.3m

乾燥揚程を課したとき,エンジン燃料ポンプは,それ自体で燃料を供給できなければならない。この箇条

の要求事項は,非常燃料による運転には適用する必要はない。

3.7.3.3.5

過度の燃料蒸気の状態での燃料系統の性能

  燃料入口で

0.45

を超える蒸気液体比の状態では,

エンジン燃料系統には,

エンジン運転に対し必要な量の燃料を供給することができなくてもよい。

ただし,

3.7.3.3.4

に規定する条件が再設定された後は,通常の始動を実施できなければならない。

3.7.3.3.6

耐燃料性

  エンジンと構成部品に使用する材料と設計は,

TT-S-735

タイプ I

III

の試験液を

用いて試験するとき,どの順序で使用しても,満足なものでなければならない。

3.7.3.4

燃料フィルタ

1 500

µm

より微細な燃料ろ過を必要とするときには,燃料フィルタをエンジンの

部品として装備しなければならない。エンジンの主燃料フィルタの種類及びろ過定格を,エンジン仕様書

に規定しなければならない。フィルタは,

表 10

に規定するように汚染された燃料を清浄化することなく使

用して,

海面上の中間出力で最小

12

時間の連続エンジン運転に相当する累積燃料流量を通すのに十分な容

量をもたなければならない。フィルタ組立は,圧カリリーフバイパスを備え,更に,バイパスを通ってフ

ィルタの汚染要因物質が放出するのを防止する設計でなければならない。フィルタ組立は,フィルタバイ

パスの遠隔表示のための信号を備えなければならない。フィルタ組立は,また,赤色の指針を上げて,バ

イパスが近づいたことの目視警報を与える差圧作動のポップアウト装置を内蔵しなければならない。一た

ん作動すれば,赤色の指針は,フィルタエレメントを取り外した後,内部で手動で再設定するまで,引き

続いてその状態を保持しなければならない。フィルタエレメント室を排液し,また,フィルタエレメント

の交換に引き続いて燃料系統から空気を抜くため,フィルタ組立の近い所にドレン弁を設けなければなら

ない。

3.7.4

電気系統

3.7.4.1

電力

  エンジンの始動中と,全環境条件と全運転範囲にわたり,エンジンの点火及び制御系統の

作動に必要な主要電力を,エンジンによって供給しなければならない。

3.7.4.1.1

直流発電機又は交流発電機

  エンジンの直流発電機又は交流発電機は,規定の最小着火速度か

ら最大エンジン回転速度まで,必要な電力を供給しなければならない。直流発電機又は交流発電機は,す

べての電気負荷がかかった状態で,最大許容エンジン回転速度の

106%

に相当する直流発電機又は交流発

電機回転数の連続作動によって,悪影響を受けず,また,電気負荷がない状態で,最大許容定常エンジン

回転速度の

115%

に相当する過速度で

5

分間の作動に耐えなければならない。直流発電機又は交流発電機

のケースは,最大設計回転速度で作動するとき,機械的破損が起こった場合,すべての損傷を完全に包み

込まなければならない。

3.7.4.2

代替電力

  自蔵の電源系統に電力故障が起こった場合には,エンジンは,外部の電源に切り換え

ることができ,通常の運転に戻れなければならない。エンジンの電気機器は,外部電力を使用するときに

MIL-STD-704

 (JIS W 7001)

の使用カテゴリ

B

に定める電力で動作しなければならない。この状態での

エンジンの電気的要求事項を,エンジン仕様書に規定しなければならない。

3.7.4.3

電気的インタフェース


30

W 4606-1995

3.7.4.3.1

外部電力

  通常,外部電力を使用するエンジン電気機器は,

MIL-STD-704

 (JIS W 7001)

の使用

カテゴリ

B

に定める電力で動作しなければならない。この電気機器が必要とする外部電源から得る電力の

種類と量を,エンジン仕様書に規定しなければならない。外部供給電力を失った場合に,エンジンは,満

足に空中始動を達成し,また,アイドル以上のすべてのエンジン回転速度において,更に,全出力範囲に

わたり,安全に作動しなければならない。外部供給電力を失うことによって起こる機能のすべての制限又

は損失を,エンジン仕様書に規定しなければならない。

3.7.4.3.2

電気コネクタ及びケーブル

  電気コネクタは,

MIL-STD-454

の要求事項

10

に適合しなければ

ならない。−

54

℃の温度で,日常の整備中に電気ケーブルや導線に損傷を与えずにこれらを曲げること,

更に,通常の整備手順を用いて電気コネクタを接続又は切断することができなければならない。

3.7.4.4

電気及び電子機器

  すべての電気及び電子構成部品は,

4

に規定するとおり,構成部品認定試

験を課さなければならない。定期点検又は日常の点検を必要とする電気及び電子機器は,接近が容易なよ

うに,エンジンに配置し,しかもエンジンから取り外さないで点検が容易にできるように試験用接続部を

設けなければならない。

3.7.4.5

電気的ボンディング

  内部と外部のボンディングと接地の要求事項と設計を,エンジン仕様書に

記述しなければならない。

3.7.4.6

充てん剤

  充てん剤は,すべて使用承認を得るため使用機関に提出しなければならない。

3.7.5

点火系統

3.7.5.1

点火系統インタフェース

  エンジン点火系統には,その外部からの作動と停止が行える手段を備

えなければならない。インタフェース要求事項を,電気装備結線図に示さなければならない。

3.7.5.2

点火系統の性能

  エンジン点火系統は,外部電力を必要としないで,電気的に自立したものでな

ければならない。点火系統は,最少

2

個の別々の点火装置と

2

個の独立の励振器出力回路を備えなければ

ならない。

また,各別個の点火装置と回路は,すべての地上と空中の始動要求事項に対して十分なエネルギーを出

さなければならない。エンジン点火系統は,連続使用能力をもたなければならない。点火系統は,エンジ

ンの全環境条件と全運転範囲にわたって満足に機能を果たさなければならない。点火系統を動作させない

ようにする方法を設け,それをエンジン仕様書に記述しなければならない。点火系統とその電源について

は,スパーク当たりのジュールとスパークの周波数で各点火装置に対する充電エネルギー水準と放電エネ

ルギー水準を示す定格を含めて,エンジン仕様書に記述しなければならない。

また,スパーク当たりのジュールで表した最小充電エネルギー及び最小放電エネルギー並びにスパーク

の最小周波数を,これらの最小特性が起こる始動範囲の中の点で,規定しなければならない。

3.7.5.3

自動再着火

  使用機関が要求するときには,エンジンには,フレームアウトが起こった後,直ち

にバーナの作動を再設定する自動急速再着火系統を装備しなければならない。系統の応答時間,感度及び

作動開始後の点火持続時間を,エンジン仕様書に規定しなければならない。

3.7.6

計器系統

3.7.6.1

計器のインタフェース

3.7.6.1.1

状態の表示

  エンジンには,安全なエンジンの運転と設定した運転限界内の運転を行わせるた

めの,情報を提供することを要求された感知器(センサ)

(圧力,温度,量,警報など)を備えなければな

らない。計器の範囲,系統の精度,時間応答及び各変数に対する電気特性を,エンジン仕様書に表の形式

で示さなければならない。


31

W 4606-1995

3.7.6.1.2

エンジンの状態の監視

  エンジンには,飛行中のエンジンの機械的状態と性能とを監視するた

め及び地上での解析能力と状態点検能力とを与えるために,使用機関が要求する感知器用機器又は装置を

設けなければならない。早期に故障の兆候や性能の低下を発見し,欠点を隔離させ,更に,長期の故障の

傾向に関する情報を与えるために,十分なエンジンパラメータが入手できなければならない。状態感知器

の範囲,限界,出力信号特性及び精度は,それらの位置とともに,エンジン仕様書に規定しなければなら

ない。電気接続と回路の詳細は,電気装備結線図に示さなければならない。

3.7.6.2

圧力接続部

  燃料,滑油及び作動油の圧力発信器を取り付けるためのエンジンの接続部は,

MS 

33649-12

の規定に適合し,また,

MS 33587

によるすきま範囲を備えなければならない。空気圧力を発信

するためのエンジンの接続部は,

MS 33649-4

の規定に適合しなければならない。

3.7.6.3

特殊整備用計測装備

  使用機関が要求するときは,領収試験とオーバホール試験で,エンジンの

性能を評価するために必要な,特殊な計測感知装置に対する準備を行わなければならない。

3.7.6.4

温度受感系統

  エンジンの温度受感系統は,航空機の計器系統に信号を与え,また,要求される

ときは,エンジンの出力制御と状態監視の系統に信号を与えなければならない。温度信号入力を必要とす

る各構成部品又は系統には,電気的に独立な温度受感系統を設けなければならない。温度の関数としての

感知装置の出力と通常の動作範囲を,

エンジン仕様書に示さなければならない。

熱電対を使用するときは,

温度と出力信号との関係は,国家機関の該当する校正に従わなければならない。実際の測定温度に関する

信号の精度と過渡時間応答特性を規定しなければならない。エンジン仕様書には,回路,構成,熱電対の

個数又は測定装置の個数及びそれらの位置を含む各受感系統の簡単な記述を含めなければならない。ガス

温度の測定のためのマルチプローブ熱電対系統を設けるときは,その系統は,整備上の温度分布の点検と

故障探究のため,個々の熱電対プローブの読みを与えなければならない。地上試験装置と接続するのに便

利な場所にある熱電対ハーネスには,コネクタを設けなければならない。光高温計又は放射高温計の温度

受感系統は,清浄化又は再校正のため,頻繁に取外しを必要としてはならない。清浄化の間隔は,エンジ

ン仕様書に規定しなければならない。

3.7.6.5

振動測定

  エンジンの振動は,加速度計振動検出器を用いて測定しなければならない。エンジン

にはエンジンケースと補機歯車装置の適当な位置において,

互いに直角な

3

平面内の振動を測定するため,

準備(ブラケット,取付け架台)をしなければならない。外部又は内部の追加の場所(例えば,主軸受の

位置)を特別のエンジン設計に対して必要に応じて規定してもよい。振動検出器の取付け点を,エンジン

形態及び外形図に示さなければならない。エンジン受注者は,エンジンの部品としてのいずれの振動感知

器についても出力信号特性を規定しなければならない。

3.7.6.6

トルクの表示

  エンジンには,トルク感知器と,実際のエンジントルクを線形解釈するのに必要

なその他の構成部品と補償器とを備えていなければならない。出力信号は,エンジン仕様書に完全に記載

しなければならない。信号の全精度は,次の限界内になければならない。

(a)

最大連続定格トルク以上では,測定値の±

1.25%

(b)

最大連続定格トルク未満では,最大連続定格トルクで得る値の±

1.25%

(c)

傾斜と線形性は,エンジン仕様書に規定した値の±

2

1

%

以内

3.7.6.7

低サイクル疲労計数器

  使用機関が要求するときは,エンジンには,エンジン低サイクル疲労

(LCF)

のサイクルを記録するディジタル計数器を設けなければならない。

LCF

計数器は,

表 9

に記載のよ

うな有意な

LCF

事象を別々に数えるための手段をもたなければならない。計数器は,地上の整備要員にと

って読取りが便利であるように位置させなければならない。計数器と系統の簡単な記述と,計数器を動作

させる方法を,エンジン仕様書に示さなければならない。


32

W 4606-1995

3.7.6.7.1

相対的損傷図表

  受注者は,そのロータ系統で最も重要な構成部品に基づいて各ロータ系統に

対して,離陸損傷の百分率で,

表 9

の各

LCF

事象に関する損傷評価(マイナの法則を用いて)を示す相対

的損傷図表を提出しなければならない。この図表は,

QT

の開始前に提出しなければならない。

3.7.6.8

回転速度の表示 (rpm) 

  エンジンは,ロータ回転速度の表示のため信号を出さなければならな

い。信号は,

MIL-G-26611

の規定に適合する標準回転計直流発電機からの信号と同じ特性をもつものでな

ければならない。標準回転計直流発電機を用いるときには,駆動は,

3.1.2.7

に従わなければならない。多

ロータエンジンに関しては,

rpm

信号は,各ロータ系統から得なければならない。

3.7.7

エンジン潤滑系統

  潤滑系統は,潤滑剤の交換なしに,エンジンの全運転範囲にわたり,エンジン

を満足に潤滑しなければならない。完備した潤滑系統は,滑油冷却器と滑油リザーバを含み,エンジンの

一部として装備されなければならない。エンジン滑油系統は

3.1.2.14

の要求事項を除いて,その他の機体

用の補機又は構成部品のための機能を与えてはならない。エンジン潤滑系統は,燃料その他の流体が滑油

系統へしみ出て,滑油を汚染するのを防止するように設計しなければならない。

3.7.7.1

潤滑系統インタフェース

3.7.7.1.1

滑油系統の装備及び補給

  滑油リザーバ注入口ふた,圧力充てん口,ドレン,滑油レベル指示

及び通気のような滑油系統インタフェースの位置並びに関連がある特徴を,エンジン形態及び外形図に示

さなければならない。

3.7.7.2

潤滑剤

  潤滑剤の選定は,

MIL-STD-838

に従わなければならない。

3.7.7.2.1

滑油

  エンジンには,

MIL-L-7808

MIL-L-23699

の規定に適合し,しかも特性において,こ

の滑油の規格が許容する何らかの変動をもつ滑油を使用しなければならない。エンジンに対する全環境温

度範囲と運転範囲にわたり,始動と運転に関して,滑油予熱器や滑油希釈器のような特殊な装置を必要と

してはならない。ただし,

MIL-L-23699

の滑油に関しては,滑油の動粘度が

13 000mm

2

/s (13 000cSt)

に対

応する温度より下の滑油温度で,運転は要求しない。

3.7.7.3

潤滑系統の性能

  滑油リザーバに“使用不能”と定義する滑油の量を超える滑油があるときは,

エンジンは,エンジンの全環境条件と,

3.1.2.5

3.2.1.5.1

の飛行運動力と姿勢のいかなるものも含むエン

ジンの全運転範囲とにわたり満足に機能を果たさなければならない。潤滑系統は,

3.2.1.4.8

の滑油の圧力

と温度の限界内で機能を果たし,しかも

3.2.1.4.9

に規定する滑油消費量を超えてはならない。

3.7.7.3.1

滑油流量及び放熱

  滑油系統の熱平衡のサンプル計算を含む滑油系統と関連する冷却装置の性

能と冷却要求事項とを,エンジン仕様書に記述しなければならない。滑油流量並びに

3.1.2.8.1

の最高制限

温度に基づく放熱データ及び通気空気流量をエンジン仕様書に示さなければならない。滑油−空気熱交換

器を用いるときには,すべての適用対気速度,高度及び周囲温度条件に対して必要な空気流量と圧力降下

を規定しなければならない。燃料−滑油冷却器を用いるときには,熱平衡データは,可能な最良の計画燃

料消費率をもつエンジンが遭遇する各運転条件に対する最小燃料流量とともに,エンジンの燃料入口接続

部における温度が

15

℃,

57

℃及び最高燃料温度に基づかなければならない。完全な滑油系統の熱平衡は,

3.1.2.8.1

の最高制限温度並びに

15

℃,

57

℃及びエンジン仕様書に規定する最高滑油冷却器冷媒温度を用い

て,エンジン仕様書に示さなければならない。

また,熱平衡は,補機歯車装置の最大荷重の影響,エンジン内部冷却要求事項の変化,抽気及び系統に

関する最大の冷却要求事項を課す見込みがある条件を考慮しなければならない。エンジン仕様書に示す熱

平衡解析を立証する報告書は,認定耐久試験の開始前に使用機関に提出しなければならない。滑油系統の

性能を評価するための計装要求事項と感知器の位置は,エンジン仕様書に規定しなければならない。


33

W 4606-1995

3.7.7.3.2

滑油の内部漏れ

  潤滑系統は,エンジン内の滑油の漏れが,エンジン停止に続く始動時にエン

ジンからの滑油の流出を生じないもの,滑油の供給量の測定に悪い影響を与えないもの,抽気の汚染をも

たらさないもの,エンジン内に残留火災を起こさないもの,又はたい積物の原因とならないものでなけれ

ばならない。

3.7.7.3.3

滑油流れの中断

  エンジンは,エンジン滑油ポンプ入口に

30

秒間滑油を供給しないで,中間出

力で作動しなければならない。この作動の結果として,滑油流れの中断時間中又はその後のエンジン運転

中に,エンジンに有害な影響があってはならない。

3.7.7.3.4

滑油ぬれ面

  滑油ぬれ面と通気口とにおける流れの特性と温度は,炭化物汚泥のたい積を防止

するようなものでなければならない。

3.7.7.4

潤滑系統の構成部品及び特徴

3.7.7.4.1

滑油リザーバ

  エンジンに取り付ける滑油リザーバと取付け架台は,リザーバの加圧によって

生じる応力,エンジンの振動並びに周囲圧力及びリザーバの内圧の変動によって生じる周期的応力に,永

久変形を生じることなく,耐えることができる耐食材料から製作しなければならない。滑油リザーバは,

正と負の

100kPa {1.02kgf/cm

2

}

の差圧又はエンジンの運転範囲内の最大リザーバ作動差圧の

2

倍のいずれ

か大きい方に,目視できる漏れや変形を生じることなく,耐えなければならない。

また,リザーバは,目視できる漏れや,永久変形を起こすことなく,エンジンの運転範囲内の最大リザ

ーバ作動圧力で,

10 000

回の圧力反転に満足に耐えなければならない。滑油リザーバは,

3.3.6.1

の要求事

項を満足しなければならない。

3.7.7.4.1.1

滑油リザーバの容量

  滑油リザーバの全包囲容量,使用可能滑油容積,ガルピング

 (gulping)

滑油容積,使用不能滑油容積及び膨張空間をリットルで,エンジン仕様書に規定しなければならない。滑

油リザーバは,リザーバの全滑油量の

20%

以上の膨張空間をもたなければならない。滑油リザーバは,次

の事項を満足するのに十分な容量をもたなければならない。

(a)

エンジン仕様書に規定する

1

時間当たり最大滑油消費量の少なくとも

12

倍に等しい“使用可能”滑油

量を供給すること。

(b)

“使用可能”滑油供給量の最大

2

1

を消費するまで,

3.1.2.5

及び

3.2.1.5.1

の力と姿勢で,エンジン運転範

囲内では,低液面警報が作動しないことを保証すること。

3.7.7.4.1.2

滑油リザーバの外部的特徴

  滑油リザーバは,滑油レベルを決定し,ドレンとリザーバを整

備補給のために必要な次の外部的特徴をもたなければならない。

(a)

使用機関が規定する大きさで,機外へのドレンをもった排油口と

MIL-C-38373

によるポートキャップ

を含む重力給油ポート。

(b)

タンクに補給する必要があるとき,整備要員に知らせる表示装置で,滑油リザーバの上又は中にある

表示装置。

(c)

遠隔給油とオーバフローの装置。圧力給油接続部は,

MS-24476-1

に従い,オーバフロー戻り接続部は,

MS-24476-2

に従わなければならない。

(d)

低液面滑油警報装置を設け,滑油リザーバに組み入れなければならない。この装置は,

1

時間分の“使

用可能”滑油がリザーバに残っているとき,操縦室の警報灯に警報信号を送らなければならない。

(e)

使用機関が指定するときには,操縦室の数量読取り計器と接続するように装備する連続的滑油量測定

系統を備えなければならない。この系統は,

“使用可能”滑油量を超える測定範囲内と“使用可能”滑

油容積の±

4%

以内の精度とをもたなければならない。設ける系統の種類を,エンジン仕様書に記載し

なければならない。


34

W 4606-1995

(f)

滑油リザーバを排油するために,容易に接近できる戻り止めドレン弁を設けなければならない。

3.7.7.4.2

滑油のドレン

  エンジンが水平姿勢から

15

度機首上げと

20

度機首下げの範囲の姿勢にあると

き,エンジン滑油を排油するため,滑油系統の適当な低い点に排油口を設けなければならない。分光分析

用の滑油の代表的サンプルを得るために,滑油系統の最適の位置に,容易に接近できる戻り止めドレン弁

を設けなければならない。使用機関が要求する場合には,エンジンが垂直位置にあるとき,エンジン滑油

を排油するための手段を講じなければならない。これらのドレンの位置は,エンジン形態及び外形図に示

さなければならない。

3.7.7.4.3

滑油フィルタ

  エンジン滑油系統には,滑油フィルタを設けなければならない。エレメントの

種類,

µm

によるろ過定格及び容量を,エンジン仕様書に規定しなければならない。フィルタ組立は,圧

力リリーフバイパスをもち,また,バイパスを通ってフィルタの汚染要因物質が排出するのを防止する設

計でなければならない。フィルタケースは,フィルタボールを取り外したとき,滑油の排出を防止する自

動遮断装置を備えなければならない。フィルタ組立は,エレメント前後の差圧が規定の値を超えるとき,

赤色の指針を上げて,切迫したバイパスについて目視できる警報を与える差圧作動のポップアウト装置を

備えなければならない。一たん作動すれば,赤色の指針は,フィルタエレメントを取り外した後,内部で

手動で再設定するまで,引き続きその状態を保持しなければならない。

3.7.7.4.4

チップ検出器

  電気的連続性の点検ができるという特徴をもつ自閉路設計の磁気チップ検出器

を,すべての滑油排油口又は滑油の中の鉄磁性粒子が最もたい積しそうな重要な箇所に取り付けなければ

ならない。これらのチップ検出器の電気的特性を,エンジン仕様書に記載しなければならない。

3.7.7.4.5

滑油冷却器

  滑油系統に使用する滑油冷却器の種類と個数を,エンジン仕様書に規定しなけれ

ばならない。滑油冷却器は,圧力リリーフバイパス弁を備え,洗浄と検査のため冷却器の分解ができる特

徴を備えなければならない。

3.7.7.4.6

摩耗率の解析

  特定モデルのエンジンで,化学成分に対する滑油の分光分析についての指導方

針と傾向解析データを与える報告書を,

PFRT

QT

の耐久試験前に,使用機関に提出しなければならない。

この報告書には,滑油の分光分析を含む試験と整備作業との間に使用するため,滑油にぬれるすべての系

統内における化学成分とこれらの成分の位置とを一覧表にしなければならない。

3.7.8

エンジン油圧及び空気圧系統

3.7.8.1

油圧系統

  エンジン油圧系統は,エンジンの一部分として設け,また,それはエンジン燃料又は

滑油のいずれかを使用しなければならない。

3.1.2.5

3.2.1.5.1

及び

3.2.5.1

のそれぞれのエンジン飛行運動

荷重,運転姿勢及び環境の極限のもとでのエンジン環境で,系統は適正に作動しなければならない。エン

ジン油圧系統の簡潔な記述をエンジン仕様書に含めなければならない。

3.7.8.1.1

油圧系統インタフェース

3.7.8.1.1.1

油圧試験の準備

  油圧系統には,容易に接近でき,また,地上試験装置を取り付けるためエ

ンジン上の便利な位置に,一組のセルフシール継手とシールキャップを備えなければならない。

3.7.8.1.1.2

作動油圧力及び温度の表示

  使用機関が要求するときには,油圧系統は,作動油の作動圧力

と温度を表示するための手段を備えなければならない。その位置とインタフェース接続部をエンジン形態

及び外形図に示さなければならない。

3.7.8.1.2

油圧系統の性能及び限界

  系統作動圧力の呼び値及び最大値並びに最大運転作動油温度を,エ

ンジン仕様書に規定しなければならない。系統の作動のいかなる段階から生じるピーク圧力(小波動又は

サージ)も,最大系統作動圧力の

135%

を超えてはならない。油圧系統は,最大系統作動圧力の

2

倍まで

の保証圧力試験に耐えなければならない。


35

W 4606-1995

3.7.8.1.3

油圧系統の火災及び安全上の危険

  油圧系統の設計は,系統の配管と構成部品とが熱源や電気

機器に接近していることによって起こる火災の危険を最小にするようなものでなければならない。管路と

機器との着脱継手からの可燃性流体の不用意な漏えい源を防護し,流体が点火しないようにしなければな

らない。可燃性流体を運ぶすべての管路と構成部品とは,

3.3.6.1

の要求事項を満足しなければならない。

エンジンの安全な運転に不可欠なすべての油圧作動装備は,冗長性をもった設計にするか,又は緊急作動

に対する準備をしていなければならない。

3.7.8.1.4

作動油

  油圧系統に用いる作動油を,エンジン仕様書に規定しなければならない。

3.7.8.1.5

油圧系統の設計

  滞留した空気が油圧系統の適正な作動を妨げる場合には,この空気を取り除

くための手段(ブリーダ弁のような)を設けなければならない(管路の接続を外したり,管継手を緩めた

りすることは,容認できない。

。機器と系統の形態は,実施できる限り,作動が影響されないで放出が容

易に実施できるリザーバ又はその他の集合点に自動的に自由空気を排出するように,設計しなければなら

ない。動力作動ポンプを用いる系統は,圧力調整装置と独立な過大圧力制限手段とを使用しなければなら

ない。

3.7.8.1.5.1

作動油フィルタ

  油圧系統のフィルタは,次のように設けなければならない。

(a)

系統圧力管路中のフィルタは,エンジンポンプと地上試験装置圧力接続部からのすべての作動油が系

統の構成部品に入る前に,ろ過されるように位置すること。

(b)

戻り回路中のフィルタは,すべての作動油が,戻り管路リリーフ弁,ポンプ又はリザーバに入る前に,

フィルタを通って循環するように位置すること。

(c)

フィルタの保護が必要な場合には,重要な構成部品の場所に追加のフィルタを設けなければならない。

µm

で示すフィルタのろ過定格の呼び値と絶対値をエンジン仕様書に規定しなければならない。各フィ

ルタケースには,フィルタエレメントの取外し中の液体の排出を防止するため,自動遮断装置を設けなけ

ればならない。各フィルタ組立は,エレメント前後の差圧が規定の値を超えるとき,赤色の指針を上げて,

目視できる警報を与える一体構造の差圧作動のポップアウト装置を備えなければならない。一たん作動す

れば,赤色の指針は,ボールを取り外した後,内部で手動で再設定するまで,引き続きその状態を保持し

なければならない。

3.7.8.1.5.2

作動油リザーバ

  作動油リザーバの全容積と使用可能量を,リットルでエンジン仕様書に規

定しなければならない。

3.7.8.2

空気圧系統

  空気圧系統を使用するときには,エンジンの一部分として,完備した系統を備えな

ければならない。この系統については,エンジン仕様書に記述し,これには圧力,温度及び流量の要求事

項を示さなければならない。

3.7.8.2.1

空気圧系統の空気汚染

  圧縮空気を必要とする空気圧系統構成部品は,

3.2.5.6

に定めるエンジ

ン入口空気汚染度で満足に作動しなければならない。上の要求事項を満足するために,空気フィルタを使

用してもよい。

3.7.9

始動系統

3.7.9.1

始動系統のインタフェース

3.7.9.1.1

始動トルク及び回転速度の要求事項

  必要なスタータトルクと駆動速度を,エンジン仕様書に

含め,更に,

図 17

に示すように表さなければならない。図には,エンジン抗力,分離

 (breakaway)

トルク,

エンジン補機抗力及び客用補機歯車装置の抗力を明確にし,含めなければならない。図には,周囲温度,

海面上から

5km

までの高度及び代替燃料の影響を,単独及び組合せで示さなければならない。図は,次の

各々に対して表さなければならない。


36

W 4606-1995

(a)

客用抽気なし,客用抽出動力なし。

(b)

最大許容抽気で,客用抽出動力なし。

(c)

客用抽気なし,客用抽出動力はエンジン仕様書に規定のとおり。

(d)

最大許容抽気で,客用抽出動力はエンジン仕様書に規定のとおり。

3.7.9.1.2

回転部品の慣性モーメント

  スタータ駆動装置に関係して,スタータによって回転されるエン

ジン回転部品の最大有効質量慣性モーメントと,スタータパッドと駆動されるロータ系統の間の速度比と

をエンジン仕様書に規定しなければならない。

3.7.9.1.3

ねじりばね定数

  スタータ駆動パッドにおけるエンジン始動駆動系統のねじりばね定数

 (N

m/rad)

を,エンジン仕様書に規定しなければならない。

3.7.9.1.4

始動装置列バックラッシ

  スタータ駆動パッドにおける始動駆動系統の最大バックラッシは,

ラジアン

 (rad)

で規定しなければならない。

3.7.9.2

始動要求事項

3.7.9.3

の始動手順を用いて,

3.2.1.4.4

3.2.1.5.1

及び

3.2.5.1

の運転範囲,高度,

姿勢,温度,抽気及び抽出動力限界の中で,エンジンは,常に満足な始動を行わなければならない。満足

な始動とは,次の条件で,

3.7.9.3

に規定する手順を用いるとき,静止又は風車回転速度からアイドル回転

速度までエンジンロータが加速される始動でなければならない。

(a)

エンジンは,運転限界内にある。

(b)

海面上から高度

5km

まで,ラムなしで行う始動の全始動時間は,

図 18

に規定する値以下でなければ

ならない。

(c)

空中始動の全始動時間は,

60

秒以下とする。

30

秒以内でエンジンが着火し,全経過時間が

60

秒以内

でアイドル回転速度に加速するときだけ,空中始動は容認できるとみなす。始動時間は,始動手順の

開始から安定した未修正エンジンアイドルロータ回転速度へ到達するまで測定しなければならない。

空中始動中は,エンジンロータ荷重は,

表 5

に示す駆動装置に対して規定する全最大補機駆動荷重の

少なくとも

5%

でなければならない。

(d)

最小援助トルクを,エンジン仕様書に規定のとおり,スタータ又はラム空気によって与える。

3.7.9.2.1

再始動時間

  エンジンの停止から地上始動までの間の最小許容時間,又はエンジンの制限事項

によって定まる始動の間の最小許容時間をエンジン仕様書に規定しなければならない。規定する時間は,

いかなる場合でも,駆動されるロータ系統が回転を停止した後

30

秒を超えてはならない。

3.7.9.3

始動手順

  始動手順は,簡単なものであって,危険なタイミング

 (critical timing)

を必要としては

ならない。通常の始動に対しては,出力レバーをアイドル位置にして,始動手順の開始後,制御装置は,

地上と空中での始動と,

安定したアイドル運転状態まで満足な加速を与えなければならない。

エンジンは,

出力レバーをアイドルとそれ以上に置いて始動し,始動手順の開始後,直ちに選択したいかなる定常運転

状態にも加速できなければならない。これは,規定するエンジン運転限界内で,しかも,エンジンの耐久

性又は構造完全性に有害な影響を及ぼすことなく実施できなければならない。すべての始動の間に,スイ

ッチやレバー若しくはそれらの組合せの同時手動操作又は作動を必要としてはならない。


37

W 4606-1995

3.7.9.4

始動駆動装置列

  エンジンの始動駆動装置列には,エンジン始動駆動系統の最も弱い点であるせ

ん断断面を含めなければならない。このせん断断面は,エンジン始動トルク受入れ能力を少なくとも

10%

超えるせん断強度をもたなければならない。エンジン始動トルク受入れ能力は,

3.7.9.1.1(d)

で規定され,

更に,海面上静止,

15

℃に基づく条件で,始動開始から最小スタータ切り放し回転速度までの

15

秒間の加

速を行うのに必要な始動トルクの少なくとも

3.33

倍でなければならない。スタータ駆動パッドの特性は,

表 5

に含めなければならない。その回転の方向は,エンジン上の始動パッドに向かい合ったとき,時計方

向でなければならない。

3.7.10

ジェットノズル系統

3.7.10.1

ジェットノズルの取付け

3.7.10.1.1

排気系統接続部許容荷重

  エンジンと,エンジンと一緒には供給されない排気系統の部品との

間のいかなる接続部に対しても,最大許容せん断荷重,軸方向荷重及び片持ちモーメントを,エンジン仕

様書に規定しなければならない。ジェットノズルの取付けは,使用機関が要求するとおりでなければなら

ない。

3.7.10.2

ジェットノズル

  ジェットノズルについては,取付けの方法も含めて,簡単な記述をエンジン仕

様書に含めなければならない。エンジン仕様書で与えられる性能が,エンジンの一部として供給されない

ジェットノズル,すなわち試験用ノズルに基づくときは,エンジン仕様書で,ガス通路について寸法上完

全に説明しなければならない。

3.7.10.2.1

ジェット後流ダイアグラム

  海面上静止でアイドル,中間及び最大出力設定値で,ジェット後

流中の温度と速度の輪郭を示すジェット後流ダイアグラムを,エンジン仕様書に示さなければならない。

3.7.10.3

赤外線放射 (IR) 

  次の方位角,仰角,バンドパス,高度及びエンジン出力設定値に対する最大

IR

レベルは,

PFRT

の開始前に使用機関に提出しなければならない。

(a)

方位角

0

°,

5

°,

10

°,

15

°,

20

°,

30

°,

40

°,

60

°,

90

°,

135

°及び

180

°(エンジンの後方

への中心線の延長が,方位角

0

°及び仰角

0

°の位置と定義しなければならない。方位角

0

°,仰角

0

°

及び中心線は,水平地平面に平行な平面内にあるものと定義する。放射パターンが中心線の周りに対

称ならば,対称を示す表示法をもつ極座標を使用してもよい。

(b)

仰角

0

°,

5

°,

10

°,

15

°,

20

°,

30

°,

40

°,

60

°及び

90

°(水平面の上及び下)

(c)

 IR

バンドパス条件

1

3

µm

及び

3

5

µm

8

10

µm

10

12

µm

並びに

12

14

µm

(d)

高度  海面上,

11km

及びエンジンに対する絶対高度。

(e)

エンジン出力設定  最大,中間及び最大連続。

測定装置とその校正に用いる標準放射源の両方を規定しなければならない。

3.7.10.3.1

赤外線抑止系統

  使用機関が赤外線抑止系統を要求するときには,

3.7.10.3

に従い抑止する場合

と,抑止しない場合の最大

IR

レベルを,エンジン仕様書に含めなければならない。作動の方法,抑止モー

ドの作動限界及びフェールセーフの手段を含んで系統を説明しなければならない。

IR

抑止系統の作動が出

力,

SFC

及び他の性能変数に及ぼす詳細な影響は,

エンジン性能計算プログラムに含めなければならない。

3.7.11

エンジンブレーキ系統

3.7.11.1

出力シャフトブレーキ

  出力シャフトブレーキのトルク容量を,エンジン仕様書に規定しなけれ

ばならない。

3.7.11.1.1

地上ブレーキ

  プロペラと一緒に使用しようとするエンジンは,そのプロペラの投影面積の下

半分が覆い隠され,更に,エンジンが停止された状態で,いかなる方向から

90km/h

の風が当たったとき

も,プロペラが回転しないだけの十分なブレーキを備えていなければならない。


38

W 4606-1995

3.7.11.1.2

飛行ブレーキ

  プロペラと一緒に使用しようとするエンジンは,マッハ数

0.5

までフェザされ

たプロペラが回転しないだけの十分なブレーキを備えていなければならない。

3.7.12

水噴射系統

  使用機関が許可するときには,水噴射系統を設けてもよい。

3.7.12.1

水噴射系統のインタフェース

  水噴射系統に対して必要なインタフェース寸法を,エンジン形態

及び外形図に示し,また,電気接続と回路の詳細は,電気装備結線図に示さなければならない。

3.7.12.2

噴射系統の特性

  水噴射系統の記述を,エンジン仕様書に含め,その中には次のような情報を含

めなければならない。水噴射系統流量限界,精度,調整,温度と圧力の限界及び系統の制限事項。

3.7.12.3

流体

  水噴射系統に使用する流体については,エンジン仕様書に規定しなければならない。流体

を調製するのに使用する水は,次の純度限界を超えてはならない。

不純物

全固形物(最大)ppm 35

溶解固形物(最大)ppm 25

pH

指数 6.5∼7.5

3.7.13

洗浄系統

  エンジン入口には,完全な洗浄系統を備えなければならない。洗浄媒体の必要な成分,

圧力及び流量を,エンジン仕様書に規定しなければならない。エンジン仕様書には,現地使用で用いるべ

き洗浄手順を記載しなければならない。

3.7.14

負トルク制限装置

  エンジンの機能不良又は故障の結果生じる可能性がある過度の負トルクを防

止するために,自動的手段を講じなければならない。エンジンは,軸出力吸収装置制御系統に負トルク状

態を示す信号を与えなければならない。

また,負トルク制限装置は,機能不良や故障が是正されたか又は制限装置が変移負トルク状態によって

最初に作動されていた場合に,エンジンの通常作動に戻さなければならない。用いる方法,負トルクの大

きさと持続時間及び該当するときは軸出力吸収装置信号を,エンジン仕様書に規定しなければならない。

3.7.14.1

多出力部エンジン

  多出力部エンジンに対しては,どのような不作動部も,残りの作動部と軸出

力吸収装置からの出力を吸収しないような手段を講じなければならない。

3.8

優先順位

  この規格は,エンジンに対する要求事項を設定するものであり,参照する文書より優先

させなければならない。

3.9

品質の立証

3.9.1

技術評価試験

  解析を支持し,また,

PFRT

QT

を満足に完了することができるエンジン形態を

確定するために,計算結果を実証するデータ(安全,装備,整備性,品質などに関する)を得る目的で,

技術評価試験を実施しなければならない。各供試品の形態と,それと

PFRT

又は

QT

用エンジンの形態と

の相違は,各試験報告書で識別し,更に,正当であることを証明しなければならない。技術評価試験報告

書は,各試験に関する該当試験要求事項若しくは試験項目によって要求されるとおりに提出するか,又は

個別の納入期日が指定されていないときは,

PFRT

QT

のどちらか該当する方の試験の完了前に提出しな

ければならない。すべての必要な技術評価試験を,エンジン仕様書の

4.4

に規定しなければならない。

3.9.2

予備飛行定格試験 (PFRT) 

  実験飛行試験に用いるエンジンの合格可能性は,

4.5

によるすべての

PFRT

試験の満足な完了と,使用機関が

PFRT

に要求するすべての試験報告書と解析との容認に基づいて判

定しなければならない。

3.9.3

認定試験

  量産型としての完成エンジンの認定は,

4.6

によるすべての認定試験の満足な完了と,

すべての要求された認定試験報告書,検査報告書及び解析の使用機関による容認に基づいて判定しなけれ

ばならない。どのような試験でも,故障又は欠陥は,そのエンジン型式の認定ができないものとみなす。


39

W 4606-1995

3.9.4

領収試験

  発注者に納入する各エンジンには,試験を実施し,また,試験は,

4.7

に規定する領収

試験要求事項から構成しなければならない。技術評価試験,

PFRT

又は

QT

を受けるエンジンは,領収試験

を受ける必要はない。エンジン受注者は,

4.7

に従って詳細な領収試験手順を作成し,発注者に提出して承

認を得なければならない。

4.

品質保証条項

4.1

一般

  エンジンが

3

に規定する要求事項を満足していることを立証するには,検査,解析,実証

又は試験によって行い,また,それは,この章に規定するとおりでなければならない。

4.1.1

責任

  エンジン受注者は,すべての立証要求事項と品質保証条項の実施に対して責任を負う。

4.2

品質確認検査

  エンジン,構成部品及び試験装置は,必要な情報が与えられている認可された発注

者の職員と,この規格の規定に適合することが確認されている設備による検査を受けなければならない。

4.2.1

品質証拠

  品質証拠

 (quality evidence)

とそれらの記録は,該当する契約書によって要求されたと

おりに保存しなければならない。

4.3

試験及び報告の方法

4.3.1

試験の監督

  ここで記述する各々の試験と実証は,認可された発注者の代表者によって立会いを受

けなければならない。試験の前の都合が良い時期と分解検査の間に,エンジンと構成部品がそれらの製造

の根拠である契約書と仕様書のすべての要求事項に適合していることを判定するために審査を行わなけれ

ばならない。

PFRT

又は

QT

の期間中のどの時期においても,エンジン又は構成部品のどの部品も発注者の

代表者の事前承認なしに分解,調整,洗浄,取替え又は取外しを行ってはならない。

4.3.2

供試品の形態

  各供試品の形態は個別部品表で明確にしなければならない。各供試品の形態とその

PFRT

又は

QT

用耐久エンジンの形態との相違点は,各詳細試験手順中において明確にし,しかも正当であ

ることを示さなければならない。

PFRT

試験を首尾よく完了したエンジンの部品表は,

PFRT

エンジン型式

に対する公式の部品表を構成しなければならない。また,

QT

試験を首尾よく完了したエンジンの部品表

は,

QT

エンジン型式に対する公式の部品表を構成しなければならない。開発試験によって立証した,設

計の修正や改善は,各試験エンジンの部品の相違を明示することによって許可される。しかし,ディスク

に組み込んだ翼のような同じ又は異なる設計の部品の混合や,分割ステータ組立のような多くの構成要素

からなる組立品に異なる専門業者の構成部品や部品を混合することは許されない。

4.3.2.1

試験エンジン

  個々の試験又は実証に用いる特定のエンジンは,試験開始前に受注者が公式に指

定しなければならない。

4.3.3

試験装置

4.3.3.1

自動記録装置

  時間に対してエンジンの変化を評価する必要がある試験の部分を実施している

期間中,データを記録するのに自動連続記録装置を使用しなければならない。


40

W 4606-1995

4.3.3.2

振動測定装置及び応答特性

  エンジンの振動は,加速度計型振動検出器によって測定しなければ

ならない。振動測定及び解析装置は,少なくとも

5Hz

から

10 000Hz

の周波数帯にわたって動作し,しか

も実証された精度の信頼水準が

95%

で加速度スペクトル記録を作らなければならない。スペクトル解析装

置の最大許容有効フィルタ帯域幅は,

30Hz

でなければならない。振動測定装置は,完全な系統の状態で校

正しなければならない。加速度計ピックアップに既知の正弦波運動を用いて校正したとき,系統の周波数

応答は,

5Hz

から

10 000Hz

までの周波数の既知の正弦波形入力から±

3dB

を超える偏差があってはならな

い。振動測定システムで全体速度レベルを測定するときに,もしも高域フィルタが必要となれば,それは,

次の特性をもたなければならない。フィルタは,オクターブ当たり少なくとも

18dB

のロールオフで

30Hz,

70Hz, 110Hz

のうち該当する周波数で

3dB

下がらなければならない。高域フィルタは,加速度スペクトル

記録を作るのに使用してはならない。

4.3.3.3

試験架台の動的特性

  振動の速度と加速度は,次に示す動的特性をもつ試験架台上で運転するエ

ンジンで測定しなければならない。エンジンを搭載した試験架台の固有振動数は,ロータの残留不釣合い

によって励振されるおそれがあるすべての運動モードにおいて,アイドルロータ回転速度の

80%

以下でな

ければならない。

4.3.3.4

スタータ

PFRT

QT

の期間中始動は,

図 17

に示す最小必要トルクの

5%

以内のトルク特性を

もつスタータで実施しなければならない。

4.3.4

試験条件

4.3.4.1

補給

4.3.4.1.1

滑油の補給

  滑油系統は,個別のエンジンの試験又は実証の開始時に排油し,新しい滑油を注

入しなければならない。滑油は発注者の代表者によって認可されたときだけ,系統から排出しなければな

らない。外部滑油フィルタの使用を許可してはならない。

4.3.4.2

入口ダクト及び排気ダクトの接続部

4.6.1

4.6.6.6

の試験中に,入口ダクト及び排気ダクト接

続部には,

3.1.2.10.2

3.7.10.1.1

に規定するとおりに,負荷しなければならない。

4.3.4.3

抽気接続部

4.6.1

4.6.6.6

の試験中に,抽気接続部の荷重は,

3.1.2.11.1

で規定するとおりでな

ければならない。

4.3.4.4

補機駆動歯車装置

4.5.1.3

4.6.1.3

の試験中,エンジン歯車装置と

PTO

には,

3.1.2.7

に規定す

る定格荷重と片持ちモーメントを負荷しなければならない。

4.3.4.5

規定試験時間  (Accreditable Test Time) 

  より短い時間が試験要求事項である場合を除き,

15

より短い増加分による試験時間を当該時間の増加分として認可してはならない。

4.3.4.6

試験用燃料の性質

PFRT

QT

に使用する燃料は,特定の試験項目に特記されている場合を除

表 11

によらなければならない。

4.3.5

データ

  次の細目箇条に従って,試験中にデータを提出又は記録しなければならない。

4.3.5.1

試験前のデータ

  次に示すデータは,

4.4

,  4.5

及び

4.6

で要求されていて個別の試験用エンジン,

試験構成部品又は試験構成部品組立品について実施する各試験又は各実証の開始前に使用機関に提出し承

認を受けなければならない。各試験に対して一つの文書が必要であり,これには次のものを含める。

(a)

試験要員が試験実施中に用いる詳細試験手順。

(b)

  4.3.2

によるエンジン,構成部品又は組立品の適切な形態の明示。

4.3.5.2

予備データ

  乾燥エンジン質量,重心位置,写真その他の関連資料は,そのエンジンの試験準備

中に入手し記録しなければならない。質量は,燃料又は滑油をエンジンに補給する前に測定しなければな

らない。


41

W 4606-1995

4.3.5.3

データの精度

  すべてのエンジンと構成部品の校正と試験又は実証に対する報告データは,以下

に示す許容差の範囲内で安定した状態の精度を維持しなければならない。変移データの精度とそれに対応

する計器の校正方法は,使用機関の承認を受け試験報告書に記載しなければならない。すべての計器と装

置は,要求された範囲の精度を維持していることを保証するために必要な場合には校正しなければならな

い。

データの項目

トルク

中間定格で得られた値の±0.5%

ロータ回転速度

中間定格で得られた値の±0.2%

中間定格以下における燃料流量

中間定格で得られた値の±1.0%

空気流量

測定値の±0.5%

温度 200℃までは±0.5℃

200

℃を超えれば±3.0℃

エンジン質量

測定質量の±0.5kg 又は±0.1%のどちらか

大きい方

振動速度

エンジン規定限界の±5.0%

その他のすべてのデータ

中間定格で得られた値の±2.0%

4.3.5.4

定常データ

  各々の規定定常状態で運転中で,しかも性能の安定後のデータを

表 12

に規定する

とおりに記録しなければならない。

4.3.5.5

変移データ

  出力変移運転中に実施する各変移に対しては,

表 12

に規定するとおりにデータを

記録しなければならない。

4.3.5.6

始動データ

  それぞれの始動中,

表 12

に規定するとおりにデータを記録しなければならない。

4.3.5.7

その他のデータ

  日付,試験項目,エンジン型式名称及び製造番号を,各記録用紙に記録しなけ

ればならない。

4.3.5.8

試験記録 (test notes) 

  漏れ,振動その他加速中のフラットスポットのようなエンジンや装置の

機能不良などに関するすべての運転中の出来事と採用した是正方法を記録用紙に記録しなければならない。

4.3.5.9

気圧計の読み

  気圧計の読みは,温度に対して修正し,更に,

3

時間を超えない間隔で読み,記

録しなければならない。

4.3.5.10

相対湿度データ

  水蒸気圧力の示度を,

3

時間を超えない間隔で取らなければならない。

4.3.5.11

燃料及び滑油データ

4.5.1

4.6.1

の試験の始めと終り,

及び他の試験で該当するものに対して,

燃料と滑油の試料を採取しなければならない。燃料と滑油の試料は,該当する燃料及び滑油の仕様書並び

表 11

の規定に適合していることを確認するために,物理的及び化学的性質を分析しなければならない。

これらの分析結果は,該当する試験報告書の一部として含めなければならない。

4.3.6

報告書

4.3.6.1

試験報告書

  別々のエンジンや構成部品の試験や実証,又はいかなる単一組立品や構成部品に対

して行われた一連の試験や実証の完了の後にも,報告書を提出しなければならない。発注者の代表者が試

験の適正な実施であると証明したこれらの報告書は,個別の試験の承認のための基礎となる。各々の報告

書は,次の項目を含まなければならないが,これに限るものではない。

(a)

表紙(報告書の表題,報告書の番号,報告書の出所,日付,著者名及び契約番号)

(b)

表題ページ(報告書の表題,報告書の番号,報告書の出所,日付,著者名及び契約番号)

(c)

要約(目的を含む,報告書の内容の簡潔な説明)

(d)

目次の表

(e)

付図の一覧表(すべて付図に,図番と題名を付けること。写真,図表及びグラフは,付図として扱い,


42

W 4606-1995

図番を付ける必要がある。

(f)

概要(エンジン仕様書の該当箇条を参照しながら,目的,手順,結果,結論及び推奨事項を含む実施

した試験の簡単な要約)

(g)

報告書の主体

(1)

エンジン又は構成部品の簡潔で一般的な説明と,もしあれば前の型式から異なるすべての特徴の詳

細な説明。

(2)

すでに試験の承認を得ている構成部品又は組立品との類似性に基づいて,試験をしないで承認を得

ようとする場合には,その構成部品に対する試験要求事項についての物理的又は機能的な非類似性

又は相違と承認された構成部品の試験報告書の引用句とを含めなければならない。

(3)

試験の方法(試験実施のために使用された試験設備,装置及び方法の一般的な記述)

(4)

試験の記録(すべての試験に関するあらゆる事象や出来事の日付順の履歴で,それにはすべての漏

れ,振動その他の異常な機能,並びにすべての調整修理,部品の交換及びそれに対応するエンジン

の運転時間についての詳細も含む。

(5)

結果の解析(故障又は異常な摩耗に対する想定される理由,前の型式との性能の比較,一般的な作

動の解析及び工学的見地からの重要なあらゆる事項などの,すべての試験段階における完全な記述)

(6)

合格限界を含む校正及び再校正データ(もし該当すれば,無修正及び修正データを適切な曲線で示

さなければならない。

3

平面の振動特性の図表は,校正と再校正運転の両方に対して作成しなけれ

ばならない。

(7)

  4.5.3

4.6.3

に規定する高空試験に対しては,

3.2.1.3

において規定するとおりに性能を立証しなけ

ればならない。

(8)

試験中に読み取ったすべての必要な計器の読みと,すべての要求されている計器の読みの表示デー

タ。

(9)

分解検査におけるエンジン又は構成部品の状態の説明。各々の確認された不具合に対して,完了し

た分解検査と材料の不具合の説明を行わなければならない。

(10)

エンジン又は構成部品の試験の承認に関する結論と推奨事項で,それは,また,それらを正当化す

るために必要な文書によって補われたもの。

(h)

附属書(承認された最終の試験手順)

4.3.6.2

概要報告書 (Summary Reports) 

  ここに規定する予備飛行定格要求事項と認定要求事項につい

ての試験の完了後に,それぞれに対して概要報告書を作成しなければならない。これらの報告書には,次

に示す項目を必ず含めなければならない。

(a)

表紙(報告書の表題,報告書の番号,報告書の出所,日付,秘密表示)

(b)

表題ページ(報告書の表題,報告書の番号,報告書の出所,著者名,契約番号)

(c)

要約(目的を含む報告書の内容の簡潔な説明)

(d)

目次の表

(e)

概要(各試験の題目,試験報告書番号,試験項目,試験の日時及び結果の一般的な説明を述べる実施

した各試験の簡潔な概要)

(f)

結論及び推奨事項

4.4

技術評価試験


43

W 4606-1995

4.4.1

客用抽気

  耐久試験エンジンと実質的に同じ部品表と形態をもつエンジンには,

3.1.2.11

に従って

航空機系統用として供給することができる全圧,全温度及び有効抽気流量を確認するために,抽気試験を

課さなければならない。海面上,入口空気温度が−

54

℃から

52

℃(最低

5

種の試験温度)に対して,アイ

ドルから中間出力まで確認を行わなければならない。試験は,有効な抽気量が加速やエンジン防氷のよう

なエンジン系統に対して必要な量を超えることを実証する方法で行う。最終報告書は,予備飛行定格耐久

試験を開始する前に提出しなければならない。

4.4.2

エンジンの放熱及び滑油の冷却

  滑油系統を含むエンジン放熱及び冷却要求事項のデータは,

PFRT

耐久試験エンジンと実質的に同じ部品表と形態をもつエンジンから入手する。このデータには,冷

却要求事項,放熱率並びに種々のエンジン構成部品及びエンジン位置に対しそれに対応する表面温度を含

めなければならない。装着状態の冷却要求事項を規定するのに必要なデータは,種々のエンジンの作動状

態,客用抽出動力,並びに環境条件及びエンジン作動範囲全域における抽気状態に対して入手しなければ

ならない。計算例を含めた報告書を

3.1.2.8.2

3.7.7.3.1

の要求事項に従って提出しなければならない。

4.4.3

滑油遮断試験

PFRT

耐久試験エンジンと実質的に同じ部品表と形態をもつエンジンは,滑油遮断

試験を受けなければならない。このエンジンは,滑油ポンプ入口に空気だけを供給し,中間出力に設定し

た状態で

30

秒間作動しなければならない。エンジンは,滑油遮断期間中,損傷なく作動し,その後正常な

潤滑に回復させて

30

分間損傷なく作動しなければならない。エンジンは,分解し,損傷が生じていないこ

とを確認するため検査をしなければならない。

4.4.4

エンジン電力故障試験

PFRT

耐久試験エンジンと実質的に同じ部品表と形態をもつエンジンは,

3.7.2.2

3.7.4.2

及び

3.7.4.3.1

の規定に適合することを実証するため,以下の試験を受けなければならない。

(a)

中間出力で

5

分間エンジンを作動させ,制御系統への電力を切ること。エンジンが安定し,中間出力

で通常得られる軸出力の

80%

以上で

5

分間作動させた後代替電力に切り替え,

5

分間で安定した中間

出力に戻すこと。最大連続出力に減速し,エンジンが供給する電力にスイッチを戻すこと。

(b)

加速中,最も過酷な点

  (most critical point)

で制御装置への電力を切ること。電力が切られている間に

はエンジンは,その限界のいずれをも超えてはならない。

(c)

減速中,最も過酷な点で制御装置への電力を切ること。電力が切られている間には,エンジンは,そ

の限界のいずれをも超えてはならない。

(d)

アイドル以上でエンジンを作動させ,通常供給される外部電力を切り,機能の限界又は喪失を点検す

ること。

(e)

エンジンを停止した後,エンジンの電力を切り,更に,代替電力を入れて再始動し,アイドルまで加

速すること。中間出力まで加速し,そこで

5

分間作動させること。アイドルまで減速し,アイドルで

2

分間作動した後停止すること。この部分の試験中に,エンジンは,その限界のいずれも超えてはな

らない。

4.4.5

エンジン振動調査

3.2.1.4.10

3.3.8.10

の要求事項に適合していることを実証する振動調査を実

施し,

PFRT

の耐久試験の開始前に使用機関に報告書を提出しなければならない。振動調査には,作動範

囲で最も振動の高い点(識別しなければならない)と各エンジン定格点で,各加速度計位置と内部に取り

付けられた各加速度計に対して真の

rms

速度スペクトル記録とピーク加速度スペクトル記録を示すデータ

を含めなければならない。ただし,それだけに必ずしも限定されるものではない。スペクトル記録は,少

なくとも

5Hz

から

10 000Hz

までの振動範囲を示さなければならない。エンジンの重要な構成部品は,速

度と加速度の両スペクトル記録で明らかにしなければならない。速度スペクトル記録から全周波数域の真

速度

rms

値と最大許容全周波数域真速度

rms

値限界を定める方法を記述しなければならない。


44

W 4606-1995

4.4.6

始動トルク

PFRT

を開始する前に,エンジンは,

3.7.9.1.1

の始動トルクと回転速度の要求事項の

規定に適合していることを実証するために試験を行わなければならない。この実証を行うための手順は,

試験開始前に使用機関に提出し承認を得なければならない。試験報告書は,

PFRT

開始前に使用機関へ提

出しなければならない。

4.4.7

エンジン圧力の釣合いの立証

3.3.8.4

に規定するエンジン圧力の釣合いの解析を立証するため,試

験を行わなければならない。

PFRT

の開始前に使用機関に報告書を提出しなければならない。

4.4.8

整備性及び整備の実証

  整備性と整備の実証は,

3.2.4

3.5.1

の規定に適合していることを実証す

るため,実質的に

QT

耐久エンジンと同一で,累積運転時間が

300

時間以上をもつエンジンについて,受

注者が行わなければならない。実証活動は,個別に取外しができるエンジンモジュールやエンジン構成部

品の取外しや交換に要した時間と手順の実証を含めて,エンジンの完全な分解から再組立までを行わなけ

ればならない。この実証中には,エンジンの分解と再組立に使用できる標準工具の範囲とすべての特殊工

具の適当性も実証しなければならない。

ボアスコープ,放射線その他の特殊な検査装置を含むエンジン整備用検査装置の実証は,位置や接近が

適切な検査ができるようなものであることを実証するために実施しなければならない。

エンジンの再組立後に,使用機器,点検手順及び許容差の範囲を評価するために,エンジン組立調整手

順(制御装置,案内翼など)の実証を行わなければならない。そのほかに,燃料と滑油のフィルタ,点火

プラグ,滑油タンク,給油キャップなどのように使用中において,定期的に又は比較的に高頻度で取外し

や交換を必要とするすべての構成部品について,少なくとも

100

回の取外しと再組立を行わなければなら

ない。

上記実証の完了直後,再組立したエンジンは,試験架台に装着し,満足な定常状態と変移状態の性能を

確認するために必要な時間をかけて試験運転を行わなければならない。

4.4.9

材料腐食試験

  材料腐食試験は,

3.2.5.5

に従って選定された材料や皮膜について行わなければなら

ない。試験後,試験片には反応生成物があってはならない。

4.5

予備飛行定格試験 (PFRT) 

4.5.1

耐久試験

4.5.1.1

試験前確認事項

4.5.1.1.1

エンジン乾燥質量

  校正運転を始める前に,

3.2.2.1

に規定されたエンジンの乾燥質量を

4.3.5.2

に従って確認しなければならない。

4.5.1.1.2

電磁干渉及び妨害感受性試験

PFRT

耐久試験の開始に先立って,エンジンのすべての電気・電

子の構成部品又は系統に対して,電磁干渉及び妨害感受性試験を行わなければならない。エンジンは,

MIL-STD-461

に記載されている測定装置を使用し,その規格に述べる機器のクラス

1D

に対する要求事項

と試験限界を満足しなければならない。この試験は,

MIL-STD-462

の方法,手順及び技法に従って行わな

ければならない。

4.5.1.1.3

制御レバーのトルク

  耐久試験を始める前に,制御レバーのトルクを,

3.7.2.1.1

の立証のため

に測定しなければならない。

4.5.1.2

校正 (PFRT) 

4.5.1.2.1

温度受感系統の校正

  エンジン温度受感系統は,エンジンの作動状態全域にわたって,その適

正な機能や校正を確証するために台上とエンジン上で検査しなければならない。その性能は,

3.7.6.4

の許

容値と熱応答特性を満足しなければならない。


45

W 4606-1995

4.5.1.2.2

エンジン制御系統の校正

4.5.1.2.3

に規定するエンジンの校正を始める前に,すべての燃料ノ

ズル及びエンジン制御系統の構成部品は,

3.7.3.3.1

による試験流体を使って台上校正を行わなければなら

ない。系統は,適用する設計仕様書で要求する設計許容範囲に適合しなければならない。

4.5.1.2.3

エンジンの校正

  エンジンの校正中の手順は,完成エンジンの性能特性を確立するものでなけ

ればならない。校正を始める前にエンジンは

3.7.13

に規定する洗浄手順を用いて清浄化し,すべてのエン

ジン制御装置を調整し,校正の間には再調整をしてはならない。校正は,最初は連続エンジン運転に必要

なもの以外の客用補機抽出動力や抽気がない状態で行わなければならない。校正中は,エンジン入口空気

は,エンジン定格に対して規定された温度に制御しなければならない。校正に対して

4.3.5.4

4.3.5.5

に指

示するデータを記録しなければならない。

校正中に

3.3.6.4

の漏えい要求事項と

3.3.6.5

のエンジン停止ドレ

ン要求事項に適合することを実証しなければならない。次のデータを取得しなければならない。

(a)

エンジン仕様書の

表 1

の海面上の性能定格の規定に適合していることを立証するため及びトルク感知

器信号の精度を立証するために必要なデータ。

(b)

  3.2.1.5.6

(エンジン出力の変移)と

3.7.9

(始動)の規定に適合していることを立証するために必要な

データ。

(c)

最大許容抽気量での項目

(a)

(b)

の繰返し。

(d)

使用機関が規定した補機抽出動力の状態で項目

(c)

の繰返し。

4.5.1.2.3.1

客用抽気分析

  客用抽気は,最大連続出力運転中に,それぞれの抽出空気出口からサンプル

を採らなければならない。エンジンの入口に入る空気のサンプルは,抽気サンプルと同時に取り出さなけ

ればならない。サンプルは,汚染レベルが

3.1.2.11.3

で規定する限界内にあるか否かを確認するために実験

室での分析を通して適正に分類し,処理しなければならない。分析の結果と使用した方法や試験装置は,

エンジン試験報告書に詳細に記述しなければならない。

4.5.1.2.4

ターボプロップエンジンの校正

  ターボプロップエンジンに対しては,

4.5.1.2.3

4.5.1.2.3.1

校正に加えて,別の校正を実施しなければならない。この校正中の手順は,エンジン仕様書に規定する出

力吸収装置を取り付けたターボプロップエンジンの性能特性を立証し,更に,次の箇条の規定に適合して

いることを立証するようなものでなければならない。

(a)

  3.1.2.14.2

  手動フェザ

(b)

  3.1.2.14.3

  逆ピッチ運転

(c)

  3.2.1.5.5

  安定性

4.5.1.3

耐久試験の手順

  校正運転に続き,エンジンは,

3.2.1.4.5

で規定する最大許容定常状態測定温度

より少なくとも

8

℃高い定常状態測定温度で運転できるように調整しなければならない。この値は,各サ

イクルの始めに再設定しなければならない。必要な調整回数を記録しなければならない。

耐久試験のためには,最大試験出力における運転は,最大許容燃焼器出口温度に系統の不正確度限界を

加えた温度で行わなければならない。

耐久試験のためには,中間試験出力における運転は,

表 1

の中間定格に与えられる測定温度に対応する

燃焼器出口温度に,系統の不正確度限界と,

表 1

及び

表 2

の最高定格に対する最大許容燃焼器出口温度と

燃焼器出口温度の間の差とを加えた温度で行わなければならない。

耐久試験のためには,最大連続試験出力における運転は,

表 1

の最大連続定格に与えられる測定温度に

対応する燃焼器出口温度に,系統の不正確度限界と,

表 1

及び

表 2

の最高定格に対する最大許容燃焼器出

口温度と燃焼器出口温度の間の差とを加えた温度で行わなければならない。

耐久試験のためには,最小出力軸回転速度は,出力軸トルクが該当出力状態のトルク限界以上である出


46

W 4606-1995

力軸回転速度か又は最小出力軸調速回転速度のいずれか最初に起こる方の速度と解釈しなければならない。

最大出力軸回転速度は,出力軸最大回転速度限界値又は出力軸最大調速回転速度のどちらか最初に起こる

方の速度と解釈しなければならない。

エンジンには,エンジン仕様書に規定する滑油と燃料を使用して,次に示すスケジュールに従ってそれ

ぞれ

6

時間ずつの

10

サイクルで構成する耐久試験を課さなければならない。

各々のサイクルの前に

2

時間

エンジンを停止しなければならない。各々のサイクルの試験運転は,与えられた順序で行わなければなら

ない。出力を変化するのに要する時間は,低い設定出力の時間に加えなければならない。すべての制御レ

バーの動きに対しては,これらのレバーを

0.5

秒以内で前進又は後退させなければならない。エンジンに

最大定格がないときには,試験スケジュールを通じて最大試験出力の代わりに中間試験出力を用いなけれ

ばならない。

2

サイクル目と

7

サイクル目は,最大許容抽気の状態(エンジン系統と客用)で行わなければならない。

滑油圧力は,もし調整可能であれば試験開始前に

3.2.1.4.8

に規定する最小定常状態値に調整しなければ

ならない。それ以上の調整は,使用機関によって認可された場合を除いて,試験中には行ってはならない。

滑油消費量は,各サイクルの後で測定し,報告しなければならない。校正運転の後と各耐久サイクルの完

了時に滑油のサンプルを取り,分光分析を行わなければならない。いずれの一つのサンプルの分析と報告

も,実際のサンプリングから

3

サイクルを超えて遅らせてはならない。分析のために抜いた滑油は,エン

ジン滑油消費量とはしないで,同じ量の新しい滑油を補給しなければならない。

エンジン制御系統が手動制御を含んでいる場合は,エンジンは,

5

番目のサイクルごとの

(a)

(e)

の運転

の際に決められた回数を手動モード制御で運転しなければならない。

点火系統は,正規の始動順序が完了した後は,いつでも作動していなければならない。

補機パッドには,定格荷重と片持ちモーメントを課さなければならない。耐久試験中に課した実際のト

ルク荷重と片持ちモーメントは,試験報告書に記載しなければならない。

出力吸収装置駆動軸のエンジン出力軸に対する偏心角度は,

3.1.2.14.1

に規定する最大許容偏心角度以上

でなければならない。

エンジンの内部洗浄装置は,

各サイクル中に

1

度実証しなければならない。

内部洗浄装置の実証手順は,

エンジン仕様書に規定しなければならない。

耐久運転の完了時に,

3.7.7.4.2

に規定するエンジンの滑油ドレン装置を実証しなければならない。この

実証ではまた,分光分析用の滑油サンプルを得るために設けたポートの適切さと,磁気チップ検出器用ド

レン位置を立証しなければならない。

各々のサイクルの終わりに,エンジン過速度装置と負トルク制限装置は,その機能全域にわたりサイク

ルさせなければならない。

複式の出力部をもつエンジンに対しては,

耐久試験に

6

時間のサイクルを

2

回追加しなければならない。

3

サイクル目と

8

サイクル目は,出力部の一つを不作動の状態で運転しなければならない。

4

サイクル目と

9

サイクル目は,もう一方の出力部を不作動にして運転しなければならない。

各々のサイクルは,次の運転で構成しなければならない。

(a)

最大−アイドル運転

  この運転は,それぞれ

10

分間の連続

6

周期から構成しなければならない。各周

期には,

表 1

の最大定格に対して規定されている出力軸回転速度において最大試験出力で

5

分間,次

にアイドル運転状態で

5

分間を含めなければならない。エンジンが防氷装置を備えている場合は,最

大試験出力での各周期の終わりに,出力設定を変える前に最大防氷抽気で

1

分間,防氷制御装置を作

動させなければならない。

5

番目と

10

番目のサイクル中には,各

5

分間の最大試験出力のうちの最初


47

W 4606-1995

3

分間は,手動モードで制御して運転しなければならない。変移データ記録系統は,制御装置を自

動モードから手動モードへ切り替えるときと手動モードから自動モードへ戻すときに作動させる。

(b)

トルク増加運転  この運転は,次のものを含む

96

分から構成しなければならない。

(1)

最大出力軸回転速度と最大試験出力で得られる出力軸トルク又は最大連続トルク限界のいずれか小

さい方で

8

分間。

(2)

最小出力軸回転速度と最大連続出力軸トルク限界における

8

分間。

(3)

最大出力軸回転速度と最大連続出力軸トルク限界の

90%

における

8

分間。

(4)

最小出力軸回転速度と最大連続出力軸トルク限界の

90%

における

8

分間。

(5)

最大出力軸回転速度と最大連続出力軸トルク限界の

80%

における

8

分間。

(6)

最小出力軸回転速度と最大連続出力軸トルク限界の

80%

における

8

分間。

(7)

最大出力軸回転速度と最大連続出力軸トルク限界の

60%

における

4

分間。

(8)

最小出力軸回転速度と最大連続出力軸トルク限界の

60%

における

4

分間。

(9)

最大出力軸回転速度と最大連続出力軸トルク限界の

40%

における

4

分間。

(10)

最小出力軸回転速度と最大連続出力軸トルク限界の

40%

における

4

分間。

(11)

最大出力軸回転速度と最大連続出力軸トルク限界の

20%

における

4

分間。

(12)

最小出力軸回転速度と最大連続出力軸トルク限界の

20%

における

4

分間。

(13)

最大出力軸回転速度と最大連続出力軸トルク限界の

10%

における

4

分間。

(14)

最小出力軸回転速度と最大連続出力軸トルク限界の

10%

における

4

分間。

(15)

最大出力軸回転速度とゼロ出力軸トルクにおける

4

分間。

(16)

最小出力軸回転速度とゼロ出力軸トルクにおける

4

分間。

(17)

アイドルでゼロ出力軸トルクにおける

4

分間。

(18)

アイドルでゼロ出力軸回転速度における

4

分間。

もし,試験データによって,アイドルと最大試験出力の間のエンジンの運転速度範囲内で危険な

圧縮機又はタービンの振動状態が存在することが明らかになった場合には,使用機関の随意によっ

て,

48

分間のトルク増加運転の代わりに使用機関が選定する次の運転を行わなければならない。

(1)

危険な振動状態を生じるガスジェネレータロータと出力軸の回転速度で

16

分間。

(2)

危険な振動状態を生じる回転速度より

2%

大きいガスジェネレータロータと出力軸の回転速度で

8

分間。

(3)

危険な振動状態を生じる回転速度より

2%

大きいガスジェネレータロータ回転速度と

2%

小さい出力

軸回転速度で

8

分間。

(4)

危険な振動状態を生じる回転速度より

2%

小さいガスジェネレータロータと出力軸の回転速度で

8

分間。

(5)

危険な振動状態を生じる回転速度より

2%

小さいガスジェネレータロータ回転速度と

2%

大きい出力

軸回転速度で

8

分間。

(c)

出力変移運転  この運転は,次の

39

分間の出力変移運転から構成しなければならない。

(1)

無負荷状態で

4

分間,続いて

表 1

の最大定格に対して規定された出力軸回転速度における最大試験

出力で

1

分間。上記を合計

20

分間繰り返すこと。

(2)

残りの

19

分間の運転は,

表 1

の最大定格に対して規定された出力軸回転速度における最大試験出力

と,これに続いて無負荷状態へ急速に減少させる

1

分から構成しなければならない。エンジンが無

負荷状態に達すると直ちにエンジンの出力は,前の状態に伴う燃焼器出口温度と出力軸回転速度ま


48

W 4606-1995

で増加させ,サイクルを繰り返す前に

1

分間この出力水準に保持させなければならない。

(d)

逆ピッチ作動運転  この運転は,

9

分間の作動からなり,状態と持続時間の順序は,次のように行わ

なければならない。

1

分間のアイドル,

3

分間の最大逆ピッチ,

表 1

の最大定格に対して規定されている出力軸回転速度

における最大試験出力で

1

分間,

3

分間の最大逆ピッチ及び

1

分間のアイドル。もし,エンジンが逆

ピッチを備えていないときには,この運転の最大逆ピッチを中間試験出力に置き換えること。

(e)

中間運転  この運転は,次の

30

分で構成しなければならない。

(1)

最大許容出力軸回転速度における中間試験出力で

15

分間。

(2)

最大許容トルクにおける中間試験出力で

15

分間。

5

番目と

10

番目のサイクルでは,この周期の最

初の

26

分間は,手動モードの制御で運転しなければならない。変移データ記録系統は,制御を自動

モードから手動モードに切り替えるときと,手動モードから自動モードへ戻すとき動作させる。

(f)

最大連続運転  この運転は,次の

20

分で構成しなければならない。

(1)

最大許容出力軸回転速度における最大連続試験出力で

10

分間。

(2)

最大許容トルクにおける最大連続試験出力で

10

分間。

(g)

中間運転  この運転は,

中間定格出力軸回転速度における中間試験出力での

15

分間から構成しなけれ

ばならない。

(h)

最大連続運転  この運転は,

最大連続定格出力軸回転速度における最大連続試験出力での

15

分間で構

成しなければならない。

(i)

中間−最大運転  この運転は,次の運転をそれぞれ交互に行う

5

分間の

6

周期から構成しなければな

らない。

(1)

中間定格出力軸回転速度における中間試験出力で

5

分間。

(2)

最大定格出力軸回転速度における最大試験出力で

5

分間。

(j)

最大連続運転  この運転は,

最大連続定格出力軸回転速度における最大連続試験出力での

16

分間から

構成しなければならない。

(k)

中間−最大運転  この運転は,次の

30

分間で構成しなければならない。

(1)

中間定格出力軸回転速度における中間試験出力で

15

分間。

(2)

最大定格出力軸回転速度における最大試験出力で

15

分間。

最大出力が

15

分未満の持続時間に制限されているときには,最大試験出力は,その持続時間運転

し,残りの時間は中間試験出力で運転しなければならない。運転中に

5

分間隔で,防氷制御装置を

最大防氷抽気の状態で

1

分間作動させなければならない。


49

W 4606-1995

4.5.1.3.1

始動

  最小

100

回の始動を,耐久試験エンジンで行わなければならない。

100

回の耐久試験始

動に加えて,

10

回の誤始動(着火させないが始動が成功するような始動手順で,許容エンジンドレン時間

経過の直後に行われるもの)と

10

回の再始動(停止から最大

14

分間以内の始動)を行わなければならな

い。各試験サイクルでエンジンを停止し,

6

回以上始動を行わなければならない。全部で

100

回の始動耐

久試験を行うために必要な追加始動は,耐久運転の終わりに行ってもよい。これらの追加始動の間に,エ

ンジンがアイドル回転速度に達した直後に行う最大定格までの加速は,出力吸収装置に負荷した状態でエ

ンジン出力レバーをアイドルから最大出力レバー位置までに

0.5

秒以内で動かすことによって達成しなけ

ればならない。エンジンは,最大定格で

30

秒間保持し,それから直ちに停止しなければならない。

18

の追加始動の間の停止時間は,

5

分,

10

分及び

15

分間で,その後

90

分まで各々の停止期間に対して

5

の増分で増加させなければならない。

残りの始動の間の停止時間は,

少なくとも

45

分はなければならない。

始動は,使用機関が容認できるスタータで実施しなければならない。

4.5.1.4

再校正

4.5.1.4.1

エンジンの再校正

4.5.1.3

4.5.1.3.1

で規定する試験の完了後,

4.5.1.2.3

の要求事項に従う再

校正は,耐久試験エンジンで行わなければならない。再校正は,定格入口温度状態のもとで,最初の校正

中に得られた出力値を生じるように調整されたエンジンで行わなければならない。再校正は,

3.7.13

の洗

浄手順を適用している間に行われる規定された運転の後に実施してもよい。使用する燃料と滑油は,最初

の校正のときに使用したものと同じものでなければならない。

4.5.1.4.2

温度受感系統の再校正

  エンジンの再校正完了後,エンジン温度受感系統は,

4.5.1.2.1

に従っ

て適正な機能と校正を確証するために再点検しなければならない。性能は,

3.7.6.4

の許容範囲と熱応答特

性を満足しなければならない。

4.5.1.4.3

エンジン制御系統の再校正

  エンジンの再校正完了後,燃料ノズルを含むエンジン制御系統の

全構成部品には,適用する設計仕様書で要求された設計許容範囲の規定に適合していることを確認するた

めに台上再校正を課さなければならない。この再校正に対しては,エンジン制御装置の外部調整は,それ

らの台上校正に先立ち,物理的な設定で実施しなければならない。

4.5.1.4.4

ターボプロップエンジンの再校正

4.5.1.3

4.5.1.3.1

の試験完了後,

4.5.1.2.4

の要求事項に従

う再校正を耐久試験エンジンで実施しなければならない。この再校正は最初の校正中に得られたトルクと

出力軸回転速度を生じるように調整されたエンジンについて,

4.5.1.2.4

の校正で使用した出力吸収装置を

用いて行わなければならない。使用する燃料と滑油は,最初の校正中に用いたものと同じものでなければ

ならない。

4.5.1.5

エンジンの分解及び検査

  耐久試験を完了したエンジンは,全部品の検査のため完全に分解しな

ければならない。洗浄前に,エンジン部品は,漏れ,滑油炭化物,異常な加熱模様及び異常状態の有無の

“洗浄前検査”を行わなければならない。

“洗浄前検査”は,あらゆる部品を洗浄する前に完了しなければ

ならない。次にエンジン部品を洗浄し,それから“洗浄後検査”を実施しなければならない。過度の摩耗

や変形の検査のため,必要に応じてエンジン部品の測定を行わなければならない。これらの測定値は,エ

ンジン製造業者の図面の寸法及び公差並びに試験前に行った同じような測定値と比較しなければならない。

また,検査法は,次のものを含むが,これに限定しなくてもよい。すなわち,磁気粉末検査法,蛍光浸

透検査法,放射線検査法及び超音波検査法である。

“洗浄後検査”中に,目視検査と状態検査を行わなければならない。

“洗浄後検査”の完了後,非破壊検

査のすべての結果や欠陥部品の修正又は再設計に関する推奨事項を使用機関に提出しなければならない。

それぞれの検査に先立って,検査開始日を使用機関に通知しなければならない。両方の検査中に次の資料


50

W 4606-1995

を使用機関が使用できるようにしなければならない。

(a)

観察したすべての欠陥を一覧表にした受注者記入の検査表

(b)

欠陥が発見されたすべての部品の表

(c)

試験された構成部品又は系統の詳細な形態一覧表

(d)

試験日誌と試験事象の一覧表

(e)

滑油の分光分析報告書

(f)

その他要求されたもの

4.5.1.6

耐久試験の完了

  耐久試験は,以下の場合に,満足に完了したとみなすものとする。

エンジンが

4.5.1

の耐久試験を完了し,しかも,エンジン校正の間に,定常状態測定温度は,初期校正

で得られた測定温度にエンジン仕様書に規定された最大許容定常状態測定温度と

表 1

表 2

の定格性

能を得るように規定した最高測定温度との差の

30%

の値を加えた値を超えないとき。

修正燃料消費率が初期校正値の

102.5%

を超えないとき。

エンジンが校正手順によって点検できるその他のすべての規定された性能要求事項を満足するとき。

使用機関の判断によって,試験エンジンと構成部品は,試験の終わりに満足に作動しており,再校正

で過度の性能劣化を示さず,また分解検査で部品の破損が現れないか又は飛行の安全を危うくするお

それがある切迫した故障が見つからないとき。

部品は,

60

時間の耐久試験全体を満足に完了するまでは,耐久試験に合格したと判定しない。測定温度

の低下や燃料消費率の悪化は,同じ定格軸出力値で確認しなければならない。

4.5.2

エンジン構成部品試験

PFRT

の耐久試験に使用されたのと同じ部品表と形態による構成部品に対

し,次の試験を実施しなければならない。

4.5.2.1

既承認の構成部品

  構成部品が他のエンジンに使用するため,以前に使用機関によって承認され

ている場合は,ここで規定する試験を必要とするエンジン構成部品は,使用機関の随意によって,これら

の試験を行わなくてもよい。すべてのそのような構成部品は,以前に承認された構成部品と同じ部品表及

び形態に適合させなければならない。

4.5.2.2

耐爆性試験

  気密にシールされていない電気コネクタを含むすべての電気構成部品には,

MIL-STD-810

方法 511

手順 I

に従って爆発性雰囲気試験を課さなければならない。試験の間,構成部

品には,最大入力電圧を加え,その最大負荷で連続動作させなければならない。各高度の状態中に,すべ

ての入断接点は,少なくとも

10

回動作させなければならない。過電圧電力供給変移状態を各高度の状態で

少なくとも

4

回構成部品に加えなければならない。少なくとも

4

回のこの電力供給変移状態を入断接点の

動作中に加えなければならない。電力供給変移は,

MIL-STD-704

 (JIS W 7001)

に規定する回数だけ,過電

圧を加えることによって行わなければならない。過電圧を加えるために選ばれた

4

点は,次の

10%

以内の

点を含めなければならない。交流では,

rms

値で,線・中性点間

150

140

130

及び

125V

,又は直流では,

80

60

40

及び

35V

。点火構成部品又は系統は,連続的に動作しなければならない。火花点火装置の電極

は,

試験槽内の爆発性蒸気に触れないように装着しなければならない。

電気的に自立できる点火系統には,

電源変移の適用を免除しなければならない。試験不合格判定基準は,

MIL-STD-810

方法 511

に規定のと

おりでなければならない。

4.5.2.3

燃料ポンプ高度試験

  エンジンの燃料入口からエンジン燃料ポンプまでのエンジン燃料系統の

部分を試験組立品で模擬しなければならない。これには,ポンプに影響を及ぼす可能性があるポンプの下

流の燃料系統のあらゆる要素以外に,管路,管継手,フィルタ及びエンジン燃料入口と燃料ポンプ入口の

間のその他の品目で該当するものを含めなければならない。


51

W 4606-1995

すべての独立で別々に交換できる燃料ポンプは,高度

10km

の標準大気状態で設計最大エンジン性能が

必要とする流量と圧力の条件に対応する流量と圧力の条件において

5

時間作動させなければならない。こ

の試験の途中で,エンジン燃料入口でポンプに

0.45

以上の蒸気液体

 (V/L)

比を課さなければならない。

試験の途中のポンプの性能と校正運転で測定される性能低下は,適用する設計仕様書によって設定されて

いる要求事項に適合し,しかも,エンジン性能に悪影響を及ぼしてはならない。

V/L

比の定義や計算は,

ARP 492

に基づかなければならない。

4.5.2.4

滑油リザーバの圧力試験

  給油キャップを装備しているタンクには,

3.7.7.4.1

に従って

30

分間,

正の差圧と負の差圧を課さなければならない。漏れや変形が起こってはならない。

4.5.2.5

耐火試験 (Fire Test) 

  エンジンとともに供給される滑油タンクを含む可燃性流体を導く管路,

管継手及び構成部品は,

3.3.6.1

の規定に適合していることを立証するため試験を実施しなければならない。

個々の管路,管継手,構成部品又は組立品は,全エンジン作動範囲にわたり起こり得る最低流量,最高系

統圧力及び最高流体温度で流体を導きながら,

ARP 1055

に規定されているとおり試験を行わなければなら

ない。もし試験終了時に漏れがなければ,

3.3.6.1

の要求事項は,立証されたものとみなさなければならな

い。

4.5.3

高空試験

  耐久試験エンジンと同じ部品表と形態に適合するエンジンには,エンジンに対して規定

した作動限界範囲内の幾つかの選定した状態と,

少なくとも

図 19

に示すようなエンジン仕様書中に指定す

る状態で,作動と空中始動の試験からなる高空試験を課さなければならない。試験点は,抽出動力,入口

ラム回復度及び抽気がエンジンの性能と安定性に与える影響を含めなければならない。試験中に取得し記

録すべきデータは,

表 12

に規定するとおりでなければならない。制御系統の調整は,発注者の代表者の承

認なしに行ってはならない。高空試験は,

表 11

による

JP-5

燃料とエンジン仕様書に規定する滑油を用い

て実施しなければならない。燃料温度は,すべての予想されるエンジン作動環境を含む十分な範囲にわた

り変化させなければならない。連続点火系統は,始動順序が終わった後は,いつでも作動状態になければ

ならない。

全周波数域の真の

rms

速度の測定値と加速度スペクトル記録は,エンジンケースや補機歯車装置ケース

に装着された個々の加速度計によって,試験のために選んだエンジンの回転速度と出力に対して得なけれ

ばならない。選ばれた測定点には,少なくとも高空定格点と作動範囲内で最高のエンジン振動水準が発生

する点とを含めなければならない。エンジンの最も危険な構成部品は,個々のスペクトル記録で識別しな

ければならない。使用機関が選定した運転中に,

4.5.1.2.3.1

に従って客用抽気のサンプルを取り,これを分

析しなければならない。

4.5.3.1

高空エンジン校正

4.5.3.2

に記述した試験の開始前に,エンジンは,

4.5.1.2.3

4.5.1.2.3.1

に従

って校正しなければならない。この校正の始めに最初の調整を行った後は,制御装置の再調整を行っては

ならない。

4.5.3.2

高空試験手順

  各試験点での運転では,エンジンを安定させ,エンジンの性能と作動特性を確証

するのに十分な時間作動させなければならない。制御系統中に手動制御モードが含まれている場合は,こ

の特徴を評価し,

エンジンの性能と作動特性に及ぼすその影響を試験運転の間に確認しなければならない。

以下のデータを得るために運転を行わなければならない。

(a)

高空定格点

  試験条件は,エンジン仕様書の

表 2

の中の高空定格に対して規定されたものでなければ

ならない。定格状態での作動及び性能特性を確証するために,追加した十分な数のエンジン出力の設

定を各々の規定の高空試験点に対して,選定しなければならない。抽気と抽出動力の定常性能へ及ぼ

す影響を,各々の規定試験点で取得しなければならない。安定性の立証のために,アイドル,最大連


52

W 4606-1995

続,中間及び最大の設定出力について経過時間に対するエンジン回転速度,測定温度及び燃料流量を

取得しなければならない。安定性の立証のための時間は,各々の設定出力において最低

5

分でなけれ

ばならない。

(b)

変移作動

3.2.1.5.6

で規定された対応する変移性能を各定格状態で実証しなければならない。変移性

能に及ぼす最大の抽気と抽出動力との単独と組合せにおける影響を確認しなければならない。

(c)

機能試験

  エンジンの作動範囲は,作動範囲の端でエンジンを運転することによって立証しなければ

ならない。エンジンの定常及び変移特性は,設定出力範囲上の各試験点で確認しなければならない。

エンジン作動特性の確認は,客用の抽気と動力の抽出とを行う場合と行わない場合について行わなけ

ればならない。

(d)

始動及び再始動

  エンジン仕様書に規定された方法によって,点火系統が不動作の状態でフレームア

ウトを行わなければならない。客用の抽気と動力の抽出とを行う場合と行わない場合について,次の

試験を実施しなければならない。

(1)

図 19

に指定する各々の始動点において,エンジンの始動と再始動を行わなければならない。

(2)

もし連続点火系統又は自動再着火系統が設けられている場合には,同じ点において,かつ同じフレ

ームアウト方法を用い,

これらの系統を動作させた状態で追加の実証試験を行わなければならない。

エンジンが,その出力レバーにいかなる操作も施すことなく,再点火し,安定した運転に戻ること

を実証しなければならない。各再着火試験状態は,次の四つの設定出力になければならない。すな

わち,無負荷,最大連続,中間及び最大である。

4.5.3.3

高空試験の完了

  エンジン仕様書の規定に適合することを確認するために,使用機関に容認でき

る方法で,試験中に得られた測定データと規定された性能や作動特性との比較を行わなければならない。

使用機関の判断によって,次の場合には試験は満足に完了したとみなさなければならない。

(a)

エンジン性能が少なくとも定常状態性能計算機プログラムで規定されている性能であり,しかも高空

での測定性能の海面上の測定性能に対する比が,規定高空性能の海面上の規定性能に対する比の±

5%

以内にあるとき。

(b)

試験中行われた高空での始動と変移が,エンジン仕様書の要求事項に従っているとき。

(c)

機能試験点で,満足なエンジン作動が実証され,定常状態性能計算機プログラム,高空始動データ又

は変移データといかなる不一致も示さないとき。

4.5.4

構造試験

PFRT

の耐久試験エンジンと部品表と形態が同じエンジン又は構成部品を,次の試験に

使用しなければならない。

4.5.4.1

エンジン耐圧試験

  各エンジンケースと圧縮機出口圧力を受けるすべてのガス圧力が負荷され

るエンジンの構成部品は,最大作動圧力の

2

倍まで試験し破壊してはならない。これらの試験は,構成部

品の最大運用温度で実施するか,又は試験圧力を試験温度における材料特性に合わせなければならない。

4.5.4.2

ロータの構造完全性

4.5.4.2.1

過回転速度

  タービンと圧縮機のロータには,最大許容測定温度で,最大許容定常状態回転速

度の

115%

で,少なくとも

5

分間の安定した時間,エンジン運転を課さなければならない。

試験後,部品と組立品は,許容寸法限界内にあり,切迫した故障の徴候があってはならない。

4.5.4.2.2

過昇温度

4.5.4.2.1

の過回転速度試験を成功裏に完了したとき,同じエンジンを最大許容平均

定常状態測定温度より少なくとも

45

℃高い測定温度で,しかも最大許容定常状態回転速度以上で

5

分間作

動させなければならない。試験後,部品と組立品は,許容寸法限界内にあり,切迫した故障の徴候があっ

てはならない。


53

W 4606-1995

4.5.4.2.3

ディスク破断試験

  エンジンのすべての重要な回転ディスク構成部品については,スピンピッ

 (spin pit)

試験を行わなければならない。その構成部品は,ボア部の金属がその最大設計温度で,最大

許容定常状態回転速度の最低

122%

まで,故障や切迫した故障の徴候がなく作動しなければならない。

4.5.4.3

エンジン静荷重試験

  耐久エンジンの形態のエンジンケースとマウントには,

3.1.2.5

3.1.2.6

要求事項を立証するため,静的試験を課さなければならない。エンジンとその支持部について,

3.1.2.5

規定する最大外部荷重に対していかなる構成部品も永久変形することなく耐え,また,それらの荷重の

1.5

倍でいかなる構成部品も破損せずに耐える能力を実証するために,適用エンジンの静止構造を利用して静

的装置

 (static rig)

試験を行わなければならない。この試験では,最大スラスト荷重,加速度荷重,ジャイ

ロモーメント,トルク及びエンジンの反作用荷重を,別々に及びその後で組み合わせて加える。応力と変

形データは,解析と事前の塗膜を用いた応力試験で決定した標定箇所で得る。

4.5.4.4

姿勢試験

  エンジンは,

3.2.1.5.1

3.7.7.3

の要求事項に適合することを実証するために,姿勢試

験を受けなければならない。エンジンを始動し,

図 9

の空白部分内に示す各々の試験点で,少なくとも

30

分間,

表 1

に規定する中間定格ロータ回転速度で作動しなければならない。エンジンは,また,

図 9

の斜

線部分内に示す各々の試験点で,中間定格ロータ回転速度で少なくとも

30

秒間作動しなければならない。

使用機関の判断によって,エンジンが満足に始動し,すべての作動限界内に維持され,機械的損傷の証拠

がない場合に,この試験は満足に完了したとみなす。

4.6

認定試験 (QT) 

4.6.1

耐久試験

  耐久試験は,

2

台のエンジンそれぞれについて実施する

150

時間の二つの部分から構成

しなければならない。使用機関の随意によって,耐久試験は,

2

台のエンジンのそれぞれについて実施す

150

時間の一つの部分から構成してもよい。耐久試験は,次に述べる校正と耐久試験のスケジュールと

手順とに従わなければならない。

1

台のエンジンについては,一つの燃料と滑油を用いて試験を行い,

2

台目のエンジンは,他の燃料と滑油を用いて試験しなければならない。

4.6.1.1

試験前確認事項

4.6.1.1.1

エンジン乾燥質量

  校正運転を始める前に,

3.2.2.1

に規定するエンジンの乾燥質量は,

4.3.5.2

に従って確認しなければならない。

4.6.1.1.2

電磁干渉及び妨害感受性試験

QT

耐久試験の開始に先立ち,エンジンのすべての電気・電子の

構成部品又は系統に対して,電磁干渉及び妨害感受性試験を行わなければならない。エンジンは,

MIL-STD-461

に記載されている測定装置を使用し,その規格に述べる機器のクラス

1D

に対する要求事項

と試験限界を満足しなければならない。試験は,

MIL-STD-462

の方法,手順及び技法に従って実施しなけ

ればならない。

4.6.1.1.3

制御レバーのトルク

  耐久試験の開始に先立ち,

3.7.2.1.1

を立証するために,制御レバートル

クを測定しなければならない。

4.6.1.2

校正

4.6.1.2.1

温度受感系統の校正

  エンジンの温度受感系統を,エンジンの作動状態全域にわたって,その

適正な機能や校正を確立するために,台上とエンジンにおいて検査しなければならない。その性能は,

3.7.6.4

に規定する許容値と熱応答特性を満足しなければならない。

4.6.1.2.2

エンジン制御系統の校正

4.6.1.2.3

に規定するエンジンの校正を始める前に,すべての燃料ノ

ズル及びエンジン制御系統の構成部品は,

3.7.3.3.1

による流体を使って台上校正を行わなければならない。

制御系統は,適用する設計仕様書で要求する設計許容範囲に適合しなければならない。


54

W 4606-1995

4.6.1.2.3

エンジンの校正

  エンジンの校正中の手順は,完成エンジンの性能特性を確立するようなもの

でなければならない。校正の開始に先立ち,エンジンを

3.7.13

に規定する洗浄手順を用いて洗浄し,すべ

てのエンジン制御装置を調整し,校正中には再調整してはならない。校正は,最初はエンジンの連続運転

に必要なもの以外の客用補機抽出動力や抽気流量なしで行わなければならない。校正中は,エンジン入口

空気は,エンジン定格に対する温度に制御しなければならない。校正に対して

4.3.5.4

4.3.5.5

に指示する

データを記録しなければならない。

校正中に

3.3.6.4

の漏れに関する要求事項と

3.3.6.5

のエンジン停止ドレ

ン要求事項に適合していることを実証しなければならない。

次のデータを取得しなければならない。

(a)

エンジン仕様書の

表 1

の海面上の定格性能の規定に適合していることを実証するため及びトルク感知

器信号の精度を立証するために必要なデータ。

(b)

  3.2.1.5.6

(エンジン出力の変移)と

3.7.9

(始動)の規定に適合していることを立証するために必要な

データ。

(c)

最大許容抽気量での項目

(a)

(b)

の繰返し。

(d)

使用機関が規定した補機抽出動力の状態で項目

(c)

の繰返し。

4.6.1.2.3.1

客用抽気の分析

  客用抽気は,最大連続出力運転中に,それぞれの抽気出口から抜き取らな

ければならない。抽気のサンプルを採ると同時に,エンジン入口から入る空気のサンプルも採らなければ

ならない。サンプルは,その汚染レベルが

3.1.2.11.3

に規定する限界内にあるか否かを確認するために,実

験室での分析を通して適正に分類し,処理しなければならない。分析結果,使用した方法及び試験装置は,

エンジンの試験報告書に詳細に記述しなければならない。

4.6.1.2.4

ターボプロップエンジンの校正

  ターボプロップエンジンに対しては,

4.6.1.2.3

4.6.1.2.3.1

校正に加えて,別の校正を実施しなければならない。この校正中の手順は,エンジン仕様書に規定する出

力吸収装置を取り付けたターボプロップエンジンの性能特性を立証し,更に,次の箇条の規定に適合して

いることを立証するようなものでなければならない。

(a)

  3.1.2.14.2

  手動フェザ

(b)

  3.1.2.14.3

  逆ピッチ運転

(c)

  3.2.1.5.5

  安定性

4.6.1.3

耐久試験手順校正

  運転に続き,エンジンは,

3.2.1.4.5

で規定する最大許容定常状態測定温度よ

り少なくとも

8

℃高い定常状態測定温度で運転できるように調整しなければならない。この値は,各サイ

クルの始めに再設定しなければならない。必要な調整回数を記録しなければならない。

耐久試験のためには,最大試験出力における運転は,最大許容燃焼器出口温度に系統の不正確度限界を

加えた温度で行わなければならない。

耐久試験のためには,中間試験出力における運転は,

表 1

の中間定格に与えられる測定温度に対応する

燃焼器出口温度に,系統の不正確度限界と,

表 1

及び

表 2

の最高定格に対する最大許容燃焼器出口温度と

燃焼器出口温度の間の差とを加えた温度で行わなければならない。

耐久試験のためには,最大連続試験出力における運転は,

表 1

の最大連続定格に与えられる測定温度に

対応する燃焼器出口温度に,系統の不正確度限界と,

表 1

及び

表 2

の最高定格に対する最大許容燃焼器出

口温度と燃焼器出口温度の間の差とを加えた温度で行わなければならない。

耐久試験のためには,最小出力軸回転速度は,出力軸トルクが該当出力状態のトルク限界以上である出

力軸回転速度か,又は最小出力軸調速速度のいずれか最初に起こる方の速度と解釈しなければならない。

最大出力軸回転速度は,出力軸最大回転速度限界値又は出力軸最大調速回転速度のいずれか最初に起こる


55

W 4606-1995

方の速度と解釈しなければならない。

エンジンにはエンジン仕様書に規定する滑油と燃料を使用して,次に示すスケジュールに従ってそれぞ

6

時間ずつの

25

サイクルで構成する耐久試験を課さなければならない。

各々のサイクルの前に

2

時間エ

ンジンを停止しなければならない。各々のサイクルの試験運転は,与えられた順序で行わなければならな

い。出力を変化するのに要する時間は低い設定出力の時間に加えなければならない。すべての制御レバー

の動きについては,これらのレバーを

0.5

秒以内で前進又は後退させなければならない。エンジンに最大

定格がないときには,試験スケジュールを通じて最大試験出力の代わりに中間試験出力を用いなければな

らない。

入口燃料は,試験の全期間中,最小規定燃料圧力に保たなければならない。耐久試験のうち連続

5

サイ

クルについては,燃料温度は,

3.7.3.1.3.3

に規定する最高温度に保たなければならない。

4

9

14

19

及び

24

番目のサイクルは,許容最大抽気(エンジン系統と客用の抽気)で行わなければ

ならない。連続エンジン運転に必要な抽気量及び上記のサイクル中に取り出される最大許容抽気量並びに

抽気の温度及び圧力を試験報告書に記載しなければならない。

(e)

から

(k)

の運転中のすべての運転に対しては,滑油温度は,

3.2.1.4.8

に規定する最大滑油温度以上に保

たなければならない。

滑油圧力は,もし調整可能であれば試験開始時に

3.2.1.4.8

に規定する最小定常状態値に調整しなければ

ならない。それ以上の調整は,使用機関によって認可された場合を除いて,試験中には行ってはならない。

滑油消費量は,各サイクルの後で測定し,報告しなければならない。校正運転の後と各耐久サイクルの完

了時に,滑油のサンプルを採り,分光分析を行わなければならない。いずれの一つのサンプルの分析と報

告も,実際のサンプリングから

3

サイクルを超えて遅らせてはならない。分析のために抜いた滑油は,エ

ンジン滑油消費量とはしないで,同じ量の新しい滑油を補給しなければならない。

エンジン制御系統が手動制御を含んでいる場合は,エンジンは,

5

番目のサイクルごとの

(a)

(e)

の運転

の際に決められた回数を手動モード制御で運転しなければならない。

点火系統は,各サイクル中にはいつでも作動していなければならない。

補機パッドには,定格荷重及び片持ちモーメントを課さなければならない。耐久試験中に課した実際の

トルク荷重と片持ちモーメントは,試験報告書に記載しなければならない。

試験中に,排気ダクト,空気取入口ダクト及び抽気ダクトの接続部に,エンジン仕様書に規定するとお

りに負荷しなければならない。

もし,エンジンが赤外線抑制系統を備えている場合には,

(e)

(f)

の運転中に,それを連続的に動作させ

なければならない。もし,エンジンが燃料加熱器,表示灯及びスイッチ機能装置を備えている場合には,

これらの品目は,使用機関が承認した詳細試験手順に規定のとおり,選定した試験運転中に動作させなけ

ればならない。もし,エンジンがエンジン状態監視系統を備えている場合には,この系統は耐久試験中は

絶えず動作させていなければならない。

出力吸収装置駆動軸のエンジン出力軸に対する偏心角度は,

3.1.2.14.1

に規定する最大許容偏心角度以上

でなければならない。

エンジンの内部洗浄装置は,

各サイクル中に

1

度実証しなければならない。

内部洗浄装置の実証手順は,

エンジン仕様書に規定しなければならない。

耐久運転の完了時に,

3.7.7.4.2

に規定するエンジンの滑油ドレン装置を実証しなければならない。この

実証ではまた,分光分析用の滑油サンプルを採るために設けたポートの適切さと磁気チップ検出器用ドレ

ンの位置を立証しなければならない。


56

W 4606-1995

各々のサイクルの終わりに,エンジン過速度装置と負トルク制限装置は,その機能全域にわたりサイク

ルさせなければならない。

複式の出力部をもつエンジンに対しては,

耐久試験に

6

時間のサイクルを

2

回追加しなければならない。

3

サイクル目と

16

サイクル目は,出力部の一つを不作動の状態で運転しなければならない。

6

サイクル目

17

サイクル目は,もう一方の出力部を不作動にして運転しなければならない。

各々のサイクルは,次の運転で構成しなければならない。

(a)

最大−アイドル運転

  この運転は,それぞれ

10

分間の連続

6

周期から構成しなければならない。各周

期には,

表 1

の最大定格に対して規定されている出力軸回転速度において最大試験出力で

5

分間,次

にアイドル運転状態で

5

分間を含めなければならない。エンジンが防氷装置を備えている場合は,最

大試験出力での各周期の終わりに,出力設定を変える前に最大防氷抽気で

1

分間,防氷制御装置を作

動させなければならない。

5

番目と

10

番目のサイクル中には,各

5

分間の最大試験出力のうちの最初

3

分間は,手動モードで制御して運転しなければならない。変移データ記録系統は,制御装置を自

動モードから手動モードへ切り替えるときと,

手動モードから自動モードへ戻すときにも作動させる。

(b)

トルク増加運転

  この運転は,次のものを含む

96

分から構成しなければならない。

(1)

最大出力軸回転速度と最大試験出力において得られる出力軸トルク又は最大連続トルク限界のいず

れか小さい方において

8

分間。

(2)

最小出力軸回転速度と最大連続出力軸トルク限界における

8

分間。

(3)

最大出力軸回転速度と最大連続出力軸トルク限界の

90%

における

8

分間。

(4)

最小出力軸回転速度と最大連続出力軸トルク限界の

90%

における

8

分間。

(5)

最大出力軸回転速度と最大連続出力軸トルク限界の

80%

における

8

分間。

(6)

最小出力軸回転速度と最大連続出力軸トルク限界の

80%

における

8

分間。

(7)

最大出力軸回転速度と最大連続出力軸トルク限界の

60%

における

4

分間。

(8)

最小出力軸回転速度と最大連続出力軸トルク限界の

60%

における

4

分間。

(9)

最大出力軸回転速度と最大連続出力軸トルク限界の

40%

における

4

分間。

(10)

最小出力軸回転速度と最大連続出力軸トルク限界の

40%

における

4

分間。

(11)

最大出力軸回転速度と最大連続出力軸トルク限界の

20%

における

4

分間。

(12)

最小出力軸回転速度と最大連続出力軸トルク限界の

20%

における

4

分間。

(13)

最大出力軸回転速度と最大連続出力軸トルク限界の

10%

における

4

分間。

(14)

最小出力軸回転速度と最大連続出力軸トルク限界の

10%

における

4

分間。

(15)

最大出力軸回転速度とゼロ出力軸トルクにおける

4

分間。

(16)

最小出力軸回転速度とゼロ出力軸トルクにおける

4

分間。

(17)

アイドルとゼロ出力軸トルクにおける

4

分間。

(18)

アイドルとゼロ出力軸回転速度における

4

分間。

もし,試験データによって,アイドルと最大試験出力の間のエンジンの運転速度範囲内で危険な

圧縮機又はタービンの振動状態が存在することが明らかになった場合には,使用機関の随意によっ

て,

48

分間のトルク増加運転の代わりに使用機関が選定する次の運転を行わなければならない。

(1)

危険な振動状態を生じるガスジェネレータロータと出力軸の回転速度で

16

分間。

(2)

危険な振動状態を生じる回転速度より

2%

大きいガスジェネレータロータと出力軸の回転速度で

8

分間。

(3)

危険な振動状態を生じる回転速度より

2%

大きいガスジェネレータロータ回転速度と

2%

小さい出力


57

W 4606-1995

軸の回転速度で

8

分間。

(4)

危険な振動状態を生じる回転速度より

2%

小さいガスジェネレータロータと出力軸の回転速度で

8

分間。

(5)

危険な振動状態を生じる回転速度より

2%

小さいガスジェネレータロータ回転速度と

2%

大きい出力

軸の回転速度で

8

分間。

(c)

出力変移運転

  この運転は,次の

39

分間の出力変移運転から構成しなければならない。

(1)

無負荷状態で

4

分間,続いて

表 1

の最大定格に対して規定された出力軸回転速度における最大試験

出力で

1

分間。上記を合計

20

分間繰り返す。

(2)

残りの

19

分間の運転は,

表 1

の最大定格に対して規定された出力軸回転速度における最大試験出力

とこれに続いて無負荷状態へ急速に減少させる

1

分から構成しなければならない。エンジンが無負

荷状態に達すると直ちにエンジンの出力は,前の状態に関連する燃焼器出口温度と出力軸回転速度

まで増加させ,そのサイクルを繰り返す前に

1

分間この出力水準に保持させなければならない。

(d)

逆ピッチ作動運転

  この運転は,

9

分間の作動からなり,状態及び持続時間の順序は次のように行わ

なければならない。

1

分間のアイドル,

3

分間の最大逆ピッチ,

表 1

の最大定格に対して規定されている出力軸回転速度

における最大試験出力で

1

分間,

3

分間の最大逆ピッチ及び

1

分間のアイドル。もし,エンジンが逆

ピッチを備えていないときには,この運転の最大逆ピッチを中間試験出力に置き換える。

(e)

中間運転

  この運転は,次の

30

分で構成しなければならない。

(1)

最大許容出力軸回転速度における中間試験出力で

15

分間。

(2)

最大許容トルクにおける中間試験出力で

15

分間。

5

番目と

10

番目のサイクル中には,この周期の

最初の

26

分間は,手動モードの制御で運転しなければならない。変移データ記録系統は,制御を自

動モードから手動モードに切り替えるときと,手動モードから自動モードへ戻すとき作動させる。

(f)

最大連続運転

  この運転は,次の

20

分で構成しなければならない。

(1)

最大許容出力軸回転速度における最大連続試験出力で

10

分間。

(2)

最大許容トルクにおける最大連続試験出力で

10

分間。

(g)

中間運転

  この運転は,

中間定格出力軸回転速度における中間試験出力での

15

分間から構成しなけれ

ばならない。

(h)

最大連続運転

  この運転は,

最大連続定格出力軸回転速度における最大連続試験出力での

15

分間で構

成しなければならない。

(i)

中間−最大運転

  この運転は,次の運転をそれぞれ交互に行う

5

分間の

6

周期から構成しなければな

らない。

(1)

中間定格出力軸回転速度における中間試験出力で

5

分間。

(2)

最大定格出力軸回転速度における最大試験出力で

5

分間。

(j)

最大連続運転

  この運転は,

最大連続定格出力軸回転速度における最大連続試験出力での

16

分間から

構成しなければならない。

(k)

中間−最大運転

  この運転は,次の

30

分間で構成しなければならない。

(1)

中間定格出力軸回転速度における中間試験出力で

15

分間。

(2)

最大定格出力軸回転速度における最大試験出力で

15

分間。

最大出力が

15

分未満の持続時間に制限されているときには,最大試験出力は,その持続時間運転

し,残りの時間は中間試験出力で運転しなければならない。運転中に

5

分間隔で,防氷制御装置を


58

W 4606-1995

最大防氷抽気の状態で

1

分間作動させなければならない。

4.6.1.3.1

始動

  耐久試験エンジンの各

150

時間の運転中に最小

300

回の始動を行わなければならない。

300

回の耐久試験始動に加えて,

10

回の誤始動(着火させないが始動が成功するような始動手順で,許容

エンジンドレン時間経過の直後に行われるもの)と

10

回の再始動(停止から最大

14

分間以内の始動)を

行わなければならない。各試験サイクルでエンジンを停止し,

6

回以上始動を行わなければならない。全

部で

300

回の始動耐久試験を行うために必要な追加始動は,耐久運転の終わりに行ってもよい。これらの

追加始動の間に,エンジンがアイドル回転速度に達した直後に行う最大定格までの加速は,出力吸収装置

に負荷した状態でエンジン出力レバーをアイドルから最大出力レバー位置までに

0.5

秒以内で動かすこと

によって達成しなければならない。エンジンは,最大定格で

30

秒間保持し,それから直ちに停止しなけれ

ばならない。

18

回の追加始動の間の停止時間は,

5

分,

10

分及び

15

分間で,その後

90

分まで各々の停止

期間に対して

5

分の増分で増加させなければならない。残りの始動の間の停止時間は,少なくとも

45

分は

なければならない。始動は,使用機関が容認できるスタータで実施しなければならない。

4.6.1.4

再校正

4.6.1.4.1

エンジンの再校正

4.6.1.3

4.6.1.3.1

で規定する試験の完了後,

4.6.1.2.3

4.6.1.2.3.1

の要求事

項に従う再校正は,耐久試験エンジンで行わなければならない。再校正は,定格入口温度状態のもとで最

初の校正中に得られた出力値を生じるように調整されたエンジンで行わなければならない。再校正は,

3.7.13

の洗浄手順を適用している間に行われる規定された運転の後に実施してもよい。使用する燃料と滑

油は,最初の校正のときに使用したものと同じものでなければならない。

4.6.1.4.2

温度受感系統の再校正

  エンジンの再校正完了後,エンジン温度受感系統は,

4.6.1.2.1

に従っ

た適正な機能と校正を確証するために再点検しなければならない。性能は,

3.7.6.4

の許容範囲と熱応答特

性を満足しなければならない。

4.6.1.4.3

エンジン制御系統の再校正

  エンジンの再校正完了後,燃料ノズルを含むエンジン制御系統の

全構成部品には,適用する設計仕様書で規定された許容使用限界の規定に適合することを確認するために

台上再校正を課さなければならない。この再校正に対しては,エンジン制御装置の外部調整は,それらの

台上校正に先立ち,物理的な設定で実施しなければならない。

4.6.1.4.4

ターボプロップエンジンの再校正

4.6.1.3

4.6.1.3.1

の試験完了後,

4.6.1.2.4

の要求事項に従

う再校正を耐久試験エンジンで実施しなければならない。この再校正は,最初の校正中に得られたトルク

と出力軸回転速度を生じるように調整されたエンジンに対して,

4.6.1.2.4

の校正で使用した出力吸収装置

を用いて行わなければならない。使用する燃料と滑油は,最初の校正中に用いたものと同じものでなけれ

ばならない。

4.6.1.5

エンジンの分解及び検査

  耐久試験を完了したそれぞれのエンジンは,全部品の検査のため完全

に分解しなければならない。洗浄前に,エンジン部品は,漏れ,滑油炭化物,異常な加熱模様及び異常状

態の有無の“洗浄前検査”を行わなければならない“洗浄前検査”は,あらゆる部品を洗浄する前に完了

しなければならない。次にエンジン部品を洗浄し,それから“洗浄後検査”を実施しなければならない。

過度の摩耗や変形の検査のため必要に応じてエンジン部品の測定を行わなければならない。これらの測定

値は,エンジン製造業者の図面の寸法及び公差並びに試験前に行った同じような測定値と比較しなければ

ならない。

また,検査法は,次のものを含むが,これに限定しないでもよい。すなわち,磁気粉末検査法,蛍光浸

透検査法,放射線検査法及び超音波検査法である。

“洗浄後検査”中に,目視検査と状態検査を行わなければならない。

“洗浄後検査”の完了後,非破壊検


59

W 4606-1995

査のすべての結果や,

欠陥部品の修正又は再設計に関する推奨事項を使用機関に提出しなければならない。

それぞれの検査に先立って,検査開始日を使用機関に通知しなければならない。両方の検査中に次の資料

を使用機関が使用できるようにしなければならない。

(a)

観察したすべての欠陥を一覧表にした受注者記入の検査表

(b)

欠陥が発見されたすべての部品の表

(c)

試験された構成部品又は系統の詳細な形態一覧表

(d)

試験日誌と試験事象の一覧表

(e)

滑油の分光分析報告書

(f)

その他要求されたもの

4.6.1.6

エンジンの再組立及び再試験

  洗浄後分解検査に引き続いて,それぞれのエンジンは再組立し,

4.6.1.2

4.6.1.3

及び

4.6.1.4

に従って

2

回目の耐久試験を課さなければならない。再組立中には,使用機関

の承認なしにどのような部品も交換してはならない。

また,どのような部品も更新してはならない。

2

回目の耐久試験完了後各エンジンは,

4.6.1.5

に従って

2

回目の分解検査を受けなければならない。

4.6.1.7

耐久試験の完了

  耐久試験は,以下の場合に,満足に完了したとみなす。

エンジンが

4.6.1

の耐久試験の両方の試験を完了し,しかも各エンジンの最終校正の間に,定常状態測定

温度は,初期校正で得られた測定温度にエンジン仕様書に規定された最大許容定常状態測定温度と

表 1

表 2

の定格性能を得るように規定した最高測定温度との差の

30%

の値を加えた値を超えないとき。

修正燃料消費率が初期校正値の

102.5%

を超えないとき。

エンジンが校正手順によって点検できるその他のすべての規定された性能要求事項を満足するとき。

使用機関の判断によって,試験エンジンと構成部品は,試験の終わりに満足に作動しており,再校正で

過度の性能劣化を示さず,また分解検査で部品の破損や切迫した故障が見つからないとき。

部品は,各エンジンについて

150

時間の耐久試験の両方とも満足に完了するまでは,耐久試験に合格し

たと判定しない。測定温度の低下や燃料消費率の悪化は,同じ定格出力値で確認しなければならない。

4.6.2

エンジン構成部品試験

  エンジン仕様書の

3.1.3

であげられているすべての構成部品に対して,次

の試験を実施しなければならない。すべての構成部品は,耐久試験エンジンに使用されたものと同じ部品

表と形態に適合しなければならない。

4.6.2.1

既承認の構成部品

  ここに規定する試験を必要とするエンジン構成部品は,もしその構成部品を

他のエンジンに使用することが,既に使用機関によって承認されている場合には,使用機関の随意によっ

てこれらの試験を中止してもよい。すべてのそのような構成部品は,既に承認された構成部品と同じ部品

表と形態に適合させなければならない。

4.6.2.2

構成部品の模擬運転試験

  次の試験は,燃料系統,点火系統,エンジン防氷系統,油圧系統並び

に温度受感構成部品及び作動構成部品を含むエンジン制御系統に関連する。試験は,記載した順序で行わ

なければならない。すべての模擬運転試験は,エンジンにおける通常の関係と機能を模擬するように配置

し結合した関連する構成部品のグループからなる同じ試験組立品について行わなければならない。

しかし,

ある系統の部分組立品又は構成部品は,もしそれを分離することが,構成部品又は部分組立品の完全な機

能を模擬することを妨げないならば,別々に試験してもよい。できる限り,構成部品は,エンジンに取り

付けられているのと同じように正規の位置に取り付けなければならない。いかなる調整も,構成部品の校

正の後には行ってはならない。


60

W 4606-1995

4.6.2.2.1

構成部品の校正

  模擬運転試験の開始に先立って,入力と出力の関係を確立する機能をもった

各構成部品は,校正を行わなければならない。校正は,エンジンにおける構成部品のエンジンの定常状態

と動的状態の全運転範囲にわたるように十分広範囲なもので,また,構成部品が設計の許容範囲に適合し

ていることを示さなければならない。エンジン制御用構成部品は,構成部品試験手順に述べる精度,安定

性及び応答性の要求事項に適合していることを示さなければならない。それぞれの校正は,記録しなけれ

ばならない。校正を受けない構成部品は,満足に機能を果たすことを実証するために,通常の作動条件の

もとで作動させなければならない。校正の開始に先立って,受注者は,校正を必要としないと考える構成

部品の一覧表を使用機関に提出しなければならない。この一覧表は,使用機関の承認を受けなければなら

ない。

4.6.2.2.2

構成部品試験の手順

  試験の開始に先立って,すべての構成部品は,滑油,グリースその他の

保管の準備に使用した腐食防止剤を洗浄しなければならない。試験組立品又は構成部品には,エンジン上

で受ける荷重を模擬した作動荷重を課さなければならない。各構成部品の性能を示すためと,適用される

試験スケジュールが要求するとおりに構成部品相互の機能上の関係が維持されていることを示すために,

十分な計装を行わなければならない。校正した構成部品が,許容使用限界を超えてその校正が変化してい

ないことと,校正されなかった構成部品の機能が低下していないことを示すために,各々の試験又は一連

の試験の終わりの時点,又は受注者の随意によって他の時点で,機能の点検を行わなければならない。す

べての構成部品には,

通常それらに使用するか,

又は接触しているような流体を供給しなければならない。

ただし,通常燃料に接触している構成部品には,個別の試験に対して規定されている試験流体を供給しな

ければならない。すべての軸駆動補機は,駆動パッドで最大許容軸方向偏心と角度のずれがある状態で作

動させなければならない。

4.6.2.2.3

構成部品試験のサイクル

  燃料ポンプ,エンジン制御系統及び点火系統を除くすべてのエンジ

ン構成部品には,受注者によって定められ,試験前のデータとして使用機関に提出された試験サイクルを

課さなければならない。試験サイクルは,次の要求事項と矛盾してはならない。

(a)

各構成部品は,それぞれのサイクル中に少なくとも

1

回はその機能の最大の範囲を通過しなければな

らない。

(b)

試験組立品中の構成部品は,エンジンにおけるそれらの正規の運転順序で機能を果たさなければなら

ない。

(c)

サイクルは,試験組立品又は構成部品に対する模擬入力を変化させることによって制御しなければな

らない。制御レバー位置のような操縦者が制御する入力は,それらの範囲一ぱいにわたって一段階で

変化させ,すべての変数が要求値に達するまでは再び変化させてはならない。エンジンが与える入力

は,構成部品の出力に対する通常の関係をもって変化させなければならない。

(d)

高空圧力のような,他の制御入力から実質上独立している入力変数は,これらの独立変数のそれぞれ

の値において,あらゆる構成部品が結果的にその機能のそれぞれの部分を達成するために,基本的な

機能上のサイクルより速いか又は遅い速度で周期変化させなければならない。

(e)

ある作動モードから他の作動モードヘの手動又は自動の変換手段が講じられている場合には,サイク

ル中に変換を行うために,この手動又は自動手段を使わなければならない。

(f)

エンジンがその運転限界を超えることを防ぐために設計されているが,正常な運転では作動しない構

成部品は,その入力変数をその作動を必要とする値の範囲に到達させることによって,それぞれのサ

イクルにおいて少なくとも

1

回は作動させなければならない。


61

W 4606-1995

4.6.2.2.3.1

燃料ポンプの試験サイクル

  燃料ポンプの試験に使うサイクルは,ここに規定するとおりで

なければならない。燃料流量は,燃料ポンプへの入口で測定する。燃料圧力は,ポンプの入口と出口の両

方で測定する。ポンプの回転速度,加速燃料流量その他の規定されていない変数は,過渡的な外乱に対し

て正常に応答することを妨げてはならない。過渡変化は,規定された定常燃料流量状態を達成するために

通常の系統に対する入力を変えることによって達成しなければならない。ポンプの入力から実質上独立し

ている高度,圧力,燃料温度などの入力変数は,これらの独立変数のそれぞれの値において,ポンプが結

果的にその機能のそれぞれの部分を達成するために,基本的な機能上のサイクルより速いか,又は遅い速

度で周期的変化をさせなければならない。試験組立品の中の燃料ポンプは,エンジンにおけるのと同様に

ほぼその正規の作動順序で機能を果たさなければならない。二重の要素,すなわちバックアップポンプ系

統のような特殊な非常用の装置をポンプが含んでいる場合には,これらの装置は

  4.6.2.2.6(b)

における

300

時間に加えて,室温で

100

時間の周期的変化をさせる。

(a)

定容量形ポンプについては,サイクルは,次に規定するとおりでなければならない。各

12

分間のサイ

クルのうち

10

分間は,認定運転時間である。過渡状態について以下に規定された時間は,認定運転時

間には入れてはならない。

(1)

エンジン作動範囲内のあらゆる点においてエンジンが必要とする最大回転速度及び(又は)最大流

量の

0

から

60%

まで,回転速度及び(又は)流量を

45

±

5

秒間に直線的に増加し,更に,この点で

2

分間保持すること。

(2)

エンジン作動範囲内のあらゆる点においてエンジンが必要とする最大回転速度及び(又は)最大流

量の

60%

から

100%

まで,回転速度及び(又は)流量を

25

±

5

秒間に直線的に増加し,更に,この

点で

2

分間保持すること。

(3)

エンジン作動範囲内のあらゆる点においてエンジンが必要とする最大回転速度及び(又は)最大流

量の

100%

に,回転速度及び(又は)流量を

1

分間保持すること。

(4)

エンジン作動範囲内のあらゆる点においてエンジンが必要とする最大回転速度及び(又は)最大流

量の

100%

から

90%

まで,回転速度及び(又は)流量を,

10

±

5

秒間に直線的に減少し,更に,この

点で

1

分間保持すること。

(5)

エンジン作動範囲内のあらゆる点においてエンジンが必要とする最大回転速度及び(又は)最大流

量の

90%

から

60%

まで,回転速度及び(又は)流量を,

15

±

5

秒間に直線的に減少し,更に,この

点で

2

分間保持すること。

(6)

エンジン作動範囲内のあらゆる点においてエンジンが必要とする最大回転速度及び(又は)最大流

量の

60%

から

0%

まで,回転速度及び(又は)流量を,

45

±

5

秒間以内に直線的に減少し,更に,最

2

分間停止状態を保つこと。

(b)

可変流量又は可変容量形燃料ポンプでは,

10

分間の認定運転時間をもつ試験サイクルをエンジン受注

者が試験前のデータ中に定めて,使用機関に提出しなければならない。このサイクルでは,すべての

バルブ,クラッチその他ポンプのいかなる可変流量又は可変容量の特徴も,それらの正常な作動を模

擬させるような方法で周期変化させなければならない。

4.6.2.2.3.2

エンジン制御系統の試験サイクル

  エンジン制御系統は,その主要な機能がエンジンを制御

することである構成部品のグループとみなさなければならない。エンジン制御系統が必要とするすべての

入力装置又は感知器は,試験の中に含めなければならない。エンジン受注者は,次の要求事項に合致して

いる

10

分間のサイクルを定め,試験前のデータ中に記載し,使用機関に提出しなければならない。

(a)

すべての入力変数は,

試験前のデータ中に述べるサイクルに従って,

周期変化させなければならない。


62

W 4606-1995

それぞれの制限機能は,

10

サイクルごとに少なくとも

1

回は,設計が要求するとおりの制限を与える

ことを実証しなければならない。

(b)

エンジンから独立している入力変数(エンジン入口の全温や全圧など)は,あらゆる構成部品がこの

独立変数のそれぞれの値で,その機能の各部分を結果的に達成させるために,その基本的な機能上の

サイクルより早いか又は遅い速度で周期変化させなければならない。

(c)

サイクルは,試験組立品又は構成部品に対する模擬入力を変化させることによって制御しなければな

らない。操縦者が制御する入力(制御レバー位置など)は,それらの全範囲にわたって

1

回の変化で

変え,しかも,すべての変数がそれらの要求値に達するまでは,再び変化させてはならない。エンジ

ンが与える入力は,構成部品の出力に対して通常の入力の関係において変化させなければならない。

(d)

ある運転状態から他の状態への自動変換装置が装備されている場合には,サイクル中に変換を行うた

めに,その自動装置を使用しなければならない。

試験前のデータには,周期変化する入力,各入力に対応する範囲及び試験で用いる手順の一覧表を

含めなければならない。燃料圧力や抽気量の変動などのかく乱作用を,入力のリスト中に含めなけれ

ばならない。試験の全期間にわたり,時間に対する入力と出力の変数を記録している連続的なデータ

を取得しなければならない。

4.6.2.2.3.3

点火系統の試験サイクル

  内蔵式点火系統又は試験用構成部品組立品を,次のような

4

時間

のサイクルに従って試験しなければならない。これらの試験のために,最小と最大の電圧と周波数は,点

火系統に満足に機能を果たさせることに対してエンジンに許される極限状態に対応しなければならない。

エンジンの受注者は,点火系統の出力特性を,試験報告書の中に示さなければならない。点火系統は,エ

ンジンに用いられているのと同じ本数の点火装置を連結して試験しなければならない。点火装置は,適当

な槽(チャンバ)内に取り付け,この槽は,試験前のデータ中に規定する速度で空気又は窒素で清浄にし

なければならない。槽の圧力は,最低の風車圧力からエンジン作動範囲内で点火装置が遭遇する最大圧力

までのエンジンの内部圧力を模擬するように調整しなければならない。完成した点火系統を,高温試験中

に,

95

±

5%

の相対温度の条件を模擬するような適当な槽内に置かなければならない。それぞれのサイクル

は,次のものから構成しなければならない。

オン

オフ

(1)

定格電圧

1

時間

 20

(2)

最高電圧

 40

 20

(3)

最低電圧

 30

 20

(4)

定格電圧

 40

 10

4.6.2.2.4

促進老化

  構成部品の校正を完了した後,非金属部品を含むすべての構成部品は,空気炉中で

乾燥した状態に置き,最小

168

時間,

71

℃以上の周囲温度に保持しなければならない。構成部品は,個々

に又は試験組立品の中で,老化させてもよい。

4.6.2.2.5

高温

  促進老化を完了したうえで,必要な試験組立品は組み立て,各試験組立品又は構成部品

は,次の項目に規定するように作動させなければならない。通常,燃料に触れている構成部品は,エンジ

ン仕様書に規定している少なくとも

25%

の芳香族化合物含有量をもつ燃料を供給しなければならない。必

要な芳香族化合物含有量に達するため,燃料にトルエンを加えてもよい。

(a)

エンジン構成部品

(燃料ポンプ,エンジン制御系統及び点火系統を除く。

)  各試験組立品又は構成部

品は,

100

時間又は

600

サイクルのどちらか長い期間の方で,適切な試験サイクルに従って作動させ

なければならない。このサイクル中,周囲温度と流体温度は次のように保持しなければならない。


63

W 4606-1995

(1)

周囲温度は,

71

℃に

60

分間保持しなければならない。それから周囲温度は,

1

分以内に,エンジン

仕様書に規定する構成部品の最高温度まで上昇し,この温度に,

120

分間保持しなければならない。

それから周囲温度は,

5

分以内に

71

℃へ戻さなければならない。この手順は,試験の完了まで繰り

返さなければならない。

(2)

通常燃料に触れている構成部品には,

3.7.3.1.3.3

に規定する最高温度に制御されている燃料を供給し

なければならない。

(3)

冷却や制御のために使用する他の流体は,それらの最高許容温度に保持しなければならない。

(b)

燃料ポンプ

  各燃料ポンプは,

4.6.2.2.3.1

に規定する試験サイクルに従って

100

時間又は

600

サイクル

のどちらか長い期間の方で作動させなければならない。

このサイクル中では,

周囲温度と流体温度は,

上記

(a)

で述べたとおりに保持しなければならない。

(c)

エンジン制御系統

  エンジン制御系統は,

4.6.2.2.3.2

に従って,

100

時間又は

600

サイクルのどちらか

長い期間の方で作動させなければならない。このサイクル中では,周囲温度と流体温度は,上記

(a)

述べたとおりに保持しなければならない。

(d)

点火系統

  点火系統は,

3.1.2.8.1

で指定する構成部品最高制限温度で,

4.6.2.2.3.3

で概説した該当スケ

ジュールに従って,

300

時間のサイクルを動作させなければならない。各サイクル後,

3.1.2.8.1(c)

の要

求事項に対応する温度条件で,

2

時間停止を行わなければならない。試験の終わりに,絶縁抵抗,過

電圧能力,点火装置出力エネルギー及び火花発生率

 (spark rate)

を点検しなければならない。

4.6.2.2.6

室温

  各試験組立品又は構成部品には,次の項目に従って,機能サイクル試験を課さなければ

ならない。通常燃料に触れている構成部品を含む試験組立品には,流体タンクの下流で少なくとも

3.7.3.3.2

で規定する汚染要因物質量で汚染された

TT-S-735

タイプ I

の規定に適合する流体を供給しなければならな

い。固形の汚染要因物質は,再循環させてはならない。上記の試験中には,燃料フィルタは,もしエンジ

ン燃料系統に設けてある場合には,エンジン製造業者が推奨するとおりに,しかも累積燃料流量が,中間

定格出力での

12

時間の連続作動において得られる累積燃料流量以上に相当する流量を表す間隔で,

保守し

なければならない。

抽気を利用するか,又は空気圧入力信号を必要とする構成部品は,エンジン作動範囲全域を通して起こ

る圧力と温度に対応する圧力と温度の値の空気にさらさなければならない。試験の最初の

1

時間目とそれ

に続く各

10

時間目において,この空気は,次のように汚染されなければならない。

(1)

エンジン滑油の

3

質量

ppm

(2)

空気の

0.2

質量

ppm

の塩濃度(塩は

4%

水溶液を使用して導入しなければならない)

(3)

 101.3kPa

{1.033kgf/cm

2

}

の周囲絶対圧力で,

52

℃で空気を飽和させた蒸留水。

(4)

粉砕された石英。石英の質量は空気の質量

1kg

当たり

146mg

粒度

µm

含有率

%

0

5 39

±

2

5

10 18

±

3

10

20 16

±

3

20

40 18

±

3

40

80 9

±

3

(a)

エンジン構成部品

(燃料ポンプ,エンジン制御系統及び点火系統を除く。

)  各試験組立品又は構成部

品には,少なくとも

300

時間又は

1 800

サイクルのどちらか長い期間の方で,機能サイクル試験を課

さなければならない。この試験サイクルは,

4.6.2.2.3

に従わなければならない。周囲温度又は流体温


64

W 4606-1995

度の制御は,この試験中に要求してはならない。

(b)

燃料ポンプ

  燃料ポンプには,少なくとも

300

時間又は

1 800

サイクルのどちらか長い期間の方で機

能サイクル試験を課さなければならない。試験サイクルは,

4.6.2.2.3.1

に従わなければならない。周囲

温度又は流体温度の制御は,この試験中に要求してはならない。この試験中に,各組立品の最初のポ

ンプの入口圧力は,燃料の真の蒸気圧力プラス

35kPa

の圧力を超えてはならない。

(c)

エンジン制御系統

  エンジン制御系統は,

4.6.2.2.3.2

に従って,

300

時間又は

1 800

サイクルのどちら

か長い期間の方で作動させなければならない。次の手順は,室温試験に適用する。

(1)

エンジン制御系統は,サイクル耐久の前に,

120

時間,

95

±

5%

の相対湿度と

60

±

4

℃の温度にさら

さなければならない。

(2)

  4.6.2.2.3.2

によって,

100

時間又は

600

サイクルのどちらか長い期間の方で,エンジン制御系統を作

動させる。温度と湿度の制御は必要としない。

(3)

温度を

120

時間

21

±

4

℃にすることを除いて,

(1)

を繰り返す。

(4)

  (2)

を繰り返す。

(5)

  (1)

を繰り返す。

(6)

  (2)

を繰り返す。

(d)

点火系統

  点火系統は,

4.6.2.2.3.3

で示す該当スケジュールに従って,

周囲温度が

38

℃と

16

℃の間で,

100

時間のサイクルを作動させなければならない。

4.6.2.2.7

低温

  室温試験の完了後に,各試験組立品又は構成部品は,最低

10

時間,−

54

℃未満の周囲温

度に浸せきしなければならない。浸せきが完了した後に,各試験組立品又は構成部品を,次に詳述するよ

うに作動させる間,浸せき温度を−

54

℃に保持しなければならない。全低温試験中

TT-S-735

タイプ I

規定に適合する流体は,通常燃料と接触している各試験組立品又は構成部品の部品中に存在しなければな

らない。各サイクル期間に先立って,試験流体温度は,−

54

℃未満に低下させなければならない。その他

の流体温度は,類似の周囲状態での使用作動において予想されるように上昇させてもよい。もしサイクル

期間の完了前に,−

34

℃に達したならば,サイクルは停止し,流体の温度が−

54

℃未満に低下したとき,

再始動しなければならない。

(a)

エンジン構成部品

(燃料ポンプ,エンジン制御系統及び点火系統を除く。

)  各組立品又は構成部品に

は,

少なくとも合計

20

時間又は

120

サイクルのどちらか長い期間の方で機能サイクル試験を課さなけ

ればならない。試験は,

4.6.2.2.3

で明確にした各運転の作動サイクルの順序で,少なくとも

10

回の別々

の運転から構成しなければならない。

(b)

燃料ポンプ

  燃料ポンプには,

少なくとも合計

20

時間又は

120

サイクルのどちらか長い期間の方で機

能サイクル試験を課さなければならない。試験は,

4.6.2.2.3.1

で明確にした各運転の作動サイクルの順

序で,少なくとも

10

回の別々の運転から構成しなければならない。

(c)

エンジン制御系統

  エンジン制御系統には,

少なくとも合計

20

時間又は

120

サイクルのどちらか長い

期間の方で機能サイクル試験を課さなければならない。試験は,

4.6.2.2.3.2

で明確にした各運転の作動

サイクルの順序で少なくとも

10

回の別々の運転から構成しなければならない。

(d)

点火系統

  点火系統は,−

54

℃の周囲温度で

24

時間試験しなければならない。この系統は,

4.6.2.2.3.3

で示す該当スケジュールに従って,

12

時間のサイクリングを行い,それに続いて

10

時間の最小不作

動浸せき期間を置いてから最後の

12

時間のサイクリングを行わなければならない。


65

W 4606-1995

4.6.2.2.8

燃料ポンプのキャビテーション

  燃料ポンプのキャビテーション試験に対しては,エンジンの

燃料入口からエンジン燃料ポンプまでのエンジン燃料系統の部分は,試験組立品で模擬しなければならな

い。この試験組立品には,ポンプに影響を与えるおそれがあるポンプ下流の燃料系統のあらゆる要素はも

ちろん,エンジン燃料入口と燃料ポンプ入口の間にある管路,管継手,フィルタ及び該当するその他の品

目を含めなければならない。この試験を始める前に,系統は,最大連続エンジン燃料流量で

2

時間,

3.7.3.3.2

で規定する汚染量の少なくとも

2

倍に汚染された燃料を通過させておかなければならない。風雨にさらさ

れない清浄な燃料は,試験の実施に使用してもよい。その燃料は,

MIL-T-5624

グレード JP-4

に従わな

ければならない。主ポンプ及び補助ポンプは,中間定格回転速度で,海面標準高度状態とラム圧力比

1.15

とでエンジンが必要とする最大流量と吐出し圧力で

47

時間作動させなければならない。

キャビテーション

試験中は,燃料タンクの圧力は,絶対圧力

67.5kPa

に保持する。必要な蒸気/液体比を与えるために,エ

ンジン燃料入口の前に絞りを追加する。その燃料の蒸気/液体比は,エンジン燃料入口で

0.45

以上に保持

しなければならない。更に,燃料の温度は,少なくとも

57

℃でなければならない。

上記以外は,試験手順は,

ARP 492

に従わなければならない。

4.6.2.2.9

再校正

  前述の試験の完了後,構成部品の校正をもう一度行い,いかなる構成部品も試験前の

データで規定された許容限界を超えてその校正値を変化させなかったことを示さなければならない。校正

を受けない構成部品は,満足に機能を果たすことを実証するために,正規の作動状態で作動させなければ

ならない。

再校正中では校正におけるものと同じ流体,

入力及び作動サイクルを使用しなければならない。

そしてすべての構成部品は,完全に分解し,損傷又は極端な摩耗の有無を検査しなければならない。各再

校正は,記録しなければならない。

4.6.2.2.10

構成部品試験の完了

  模擬した作動試験は,使用機関の判断によって,次の場合に満足に完了

したとみなさなければならない。

(a)

試験中,構成部品の性能と機能が設定限界内にあった場合。

(b)

試験中,エンジン仕様書で規定された性質と量の漏れ以外に,いかなる構成部品からも流体が漏れな

かった場合。

(c)

再校正で,構成部品は許容使用限界を超えて,その校正値に変化がなかったことを示している場合。

(d)

構成部品の分解検査で,損傷したり,過度に摩耗したり,変形したり,弱くなったりした部品の形跡

がない場合。この分解検査中には,構成部品は,すべての部品の検査のために,完全に分解し,過度

に摩耗したり,変形したり又は弱くなったりした部品を明らかにするために必要に応じて測定しなけ

ればならない。これらの測定値は,エンジン受注者の図面の寸法と公差,及び試験の前になされた同

様な測定値と比較しなければならない。

4.6.2.3

構成部品の環境試験

  次に述べる試験は,電気コネクタを含む電気的構成部品又は部分構成部品

並びにエンジン制御系統の電気的及び電子的部分に適用する。エンジンに装着されていない電気的構成部

品又は部分構成部品にも,これらの環境試験を課さなければならない。そのほかにも,エンジン仕様書の

3.1.3

で表に記載されているすべての非電気的構成部品に,

4.6.2.3.9

の振動試験を課さなければならない。

付加的構成部品の試験は,エンジン仕様書に規定されているときは,実施しなければならない。同じ形態

の構成部品は,次の試験のすべてを受けなければならない。受注者の随意によって,これらの試験は,新

しくしかも前にいかなる試験も課されていない試験組立品又は個別の構成部品について実施してもよい。


66

W 4606-1995

4.6.2.3.1

構成部品の校正

  次の各試験の前後で,校正を受けるべき各構成部品は,校正しなければなら

ない。これらの校正は,各構成部品がその設計公差範囲内で作動していることを示さなければならない。

校正を受けない構成部品は,満足な機能を実証するために,最大と最小の入力電圧で作動しなければなら

ない。校正の開始に先立ち,受注者は,校正が必要でないとみなす構成部品の一覧表を使用機関に提出し

なければならない。

4.6.2.3.2

構成部品試験の手順

  いかなる試験もその開始に先立ち,すべての構成部品は,保管保護のた

めに使用したあらゆる腐食防止剤を洗浄しなければならない。構成部品には,エンジンが遭遇する最大作

動荷重を模擬する運用荷重を課さなければならない。電源過渡応答は,ここで必要とする場合は,

MIL-STD-704

 (JIS W 7001)

で規定する回数の過電圧を加えなければならない。過電圧性能のために選択し

た四つの点は,次のものの

10%

以内の点を含めなければならない。すなわち,

rms

値で線・中性点間交流

150

140

130

及び

125V

,又は直流

80

60

40

及び

35V

。過渡スパイク電圧は,

5

×

10

5

秒間に+

200V

と−

170V

のスパイク電圧と,

1

×

10

5

秒間に±

600V

のスパイク電圧を

1

分以内に各々

5

回印加することか

ら構成しなければならない。単一の気密にシールされた構成部品を以下の一連の試験で使用したとき,こ

の構成部品は,このような一連の最後の試験が完了するまで,検査のために分解する必要はない。このと

きに,構成部品は,実施したあらゆる試験中にこうむった欠陥や損傷に対する検査をする。更に気密にシ

ールされた構成部品は,耐爆性試験,砂じん(ダスト)試験及びかび試験を受ける必要はない。分解前に,

気密シールの完全性を確認する試験を実施しなければならない。いかなる試験もその実施中に気密シール

が故障すれば,その構成部品の認定を取り消さなければならない。

4.6.2.3.3

湿度

  構成部品は,

15

日間ここで規定するような条件とサイクルで,清浄な水蒸気の雰囲気中

で試験しなければならない。最初の

12

時間の試験サイクルの直後に,すべての構成部品は,最高規定電圧

で,適正な動作について点検しなければならない。

15

日間の試験の最後のサイクル中で,各構成部品は,

規定された各周囲状態の下で,その全作動範囲を通して作動させなければならない。

15

日間の試験の終わ

りに,構成部品は,

50%

以上の相対湿度で

21

℃未満の空気中で

12

時間,強制対流なしで,乾燥させなけ

ればならない。この周期の終わりに,四つの電源過電圧の過渡電圧と過渡スパイク電圧とを,構成部品へ

加えなければならない。再校正後,構成部品は,分解し検査しなければならない。構成部品の機能又は構

造強度に影響する腐食その他の欠陥があってはならない。

湿度状態試験サイクル

試験期間 
(時間)

相対湿度 

(%)

周囲温度 

(

℃)

8 95

±5 54±3

4

槽の湿気量を一定に保つ。

54

±3 から徐々に 21±3 へ低下させる。

8

槽の湿気量を一定に保つ。

21

±3

4 95

±5 まで,槽の湿気量を

一定に保つか,又は要求値

に 達 す る ま で 蒸 気 を 加 え
る。

21

±3 から均一に 54±3 へ上げる。

4.6.2.3.4

かび

  構成部品は,

MIL-STD-810

方法 508

に従って,かび試験を行わなければならない。使

用機関が承認した場合は,使用するすべての材料が,かびの生長を助長するものでないという証拠は,こ

の試験の免除に対する理由を構成するものとしなければならない。構成部品は,試験前と試験後の校正又

は機能点検のいずれか該当する試験に供さなければならない。しかし試験中は,動作する必要はない。試

験合格の判定基準は,

MIL-STD-810

方法 508

で規定するとおりにしなければならない。


67

W 4606-1995

4.6.2.3.5

耐爆性

  気密にシールされていないすべての電気的構成部品は,

MIL-STD-810

方法 511

順 I

に従って,爆発性保証試験に供さなければならない。試験中に,構成部品は,それに最大入力電圧を

加え,それの最大負荷で連続的に動作させなければならない。各高度状態中に,すべての開閉接点は,少

なくとも

10

回動作させなければならない。過電圧電源の過渡電圧は,各高度状態中で,少なくとも

4

回構

成部品に加えなければならない。これらの電源の過渡電圧のうち少なくとも

4

回は,開閉接点動作中に加

えなければならない。電源の過渡現象は,

4.6.2.3.2

で規定しているとおりでなければならない。点火構成

部品又は系統は,連続的に動作させなければならない。火花点火装置の電極は,試験槽内の爆発性蒸気に

接触しないような方法で装着しなければならない。電気的に自立した点火系統は,電源過渡現象の適用を

免除しなければならない。不合格判断基準は,

MIL-STD-810

方法 511

で規定するとおりでなければなら

ない。

4.6.2.3.6

砂じん(ダスト)

  構成部品は,

MIL-STD-810

方法 510

に従って,砂じん試験に供さなけれ

ばならない。構成部品は,試験中に動作させる必要はない。しかし,試験の終わりと構成部品のいかなる

洗浄前にも,過渡範囲を包含する四つの電源の過渡電圧を,構成部品に加えなければならない。試験合格

基準は

MIL-STD-810

方法 510

に規定するとおりでなければならない。

4.6.2.3.7

持続加速

  構成部品は,

MIL-STD-810

方法 513

に従って,加速試験に供さなければならない。

試験項目は,

飛行機又はヘリコプタのカテゴリのいずれか該当するものに対する

手順 II

表 II

に従って,

動作試験だけを課さなければならない。試験時間は,適正な動作を判定するために必要な場合は,規定し

た最小時間を超えて増加してもよい。

4.6.2.3.8

衝撃

  構成部品は,

MIL-STD-810

方法 516

手順 I

に従って,衝撃試験に供さなければなら

ない。衝撃パルスの形状は,

図 1

の振幅

a

と持続時間

c

に従わなければならない。試験は,室内大気状態

で実施しなければならない。構成部品は,試験前と試験後の校正又は機能点検のいずれか該当するものに

供さなければならないが,試験中に,動作させる必要はない。試験後の検査手順は,

MIL-STD-810

方法

516

に従わなければならない。

4.6.2.3.9

振動

  構成部品は,

MIL-STD-810

方法 514

手順 I

に従って,振動試験に供さなければなら

ない。試験は,

表 II

図 2

の“

F

”と“

L

”とに従って実施しなければならない。構成部品は,試験組立品

の中で,又は個々のユニットとして試験してもよい。試験中に,構成部品には,エンジン仕様書に規定す

る構成部品の最大制限温度を課さなければならない。

4.6.2.3.10

点火系統の汚れ

  次の試験は,その他の環境試験に加えて,すべての点火系統に適用でき,更

に,点火系統が汚れている状態で,エンジンをいつでも始動できることを実証するために要求される。試

験のための電力入力は,

4.6.2.2.3.3

で定める最低でなければならない。

4.6.2.3.10.1

炭素汚れ

  点火系統試験組立品の点火装置は,

MIL-T-5544

の黒鉛ペトロラタム混合物を十分

に使用して,火花すきまを覆い,満たし又は連絡して,点火性能を実証しなければならない。エンジン仕

様書に規定するとおりに供給された最小入力電力で,点火系統が,満足に動作することを実証しなければ

ならない。これらの炭素の汚れの状態で,火花発生率は,最小設計値以上でなければならない。

4.6.2.3.10.2

水汚れ

  エンジンにおける装着位置を模擬するような位置に置いた点火装置に,仕様書で規

定する最小入力電力を供給しなければならない。点火系統試験組立品の点火装置は,極限の大気状態を模

擬するために,完全に水でぬらさなければならない。このとき,この点火系統は,火花発生率が最小設計

値以上であって,満足に動作することを実証しなければならない。

4.6.2.4

個別構成部品試験


68

W 4606-1995

4.6.2.4.1

滑油リザーバ

  滑油タンクはエンジンに設置する場合と類似の方法で取り付け,給油キャップ

その他の継手を装着し,更に,全体の試験組立品は,次の試験に供さなければならない。

(a)

繰返し疲労試験

  滑油タンクは,

3.7.7.4.1

の最小と最大の差圧限界の間で,最低

10 000

1

分間に

4

回以下の割合で繰り返さなければならない。繰返し疲労試験に用いる差圧は,試験前のデータの中で

規定しなければならない。

この試験の目的に対して,差圧

  (

P)

は,滑油タンクの内部と外部との圧力の差の絶対値を意味す

るものでなければならない。最初の

5 000

回の間,滑油リザーバは,呼び作動温度に保持し,最後の

5

000

回の間は,リザーバの温度は,最大滑油作動温度に保持しなければならない。

この疲労試験の全期間を通じて,滑油リザーバ,給油キャップ又は継手の漏れ又は永久変形が起き

てはならない。

(b)

保証圧力試験

  繰返し疲労試験が首尾よく終了した後に,同じ滑油リザーバ組立品は,

3.7.7.4.1

の規

定に適合していることを実証するために,保証圧力試験に供さなければならない。保証圧力は,最大

滑油作動温度における滑油リザーバの壁温で最小

10

分間保持しなければならない。受注者は,保証圧

力試験に使用すべき圧力を試験前のデータに規定しなければならない。滑油リザーバ,給油キャップ

又は継手の漏れや永久変形が起きてはならない。

(c)

弁試験

  滑油リザーバ組立品が調圧弁や圧力リリーフ弁を備えている場合は,この組立品は,適正に

機能を果たしていることを実証するような方法で試験しなければならない。受注者は,使用すべき手

順を試験前のデータに規定しなければならない。

4.6.2.4.2

補機駆動及びパワーテークオフ

  エンジン駆動トレイン並びにエンジン構成部品及び客用補機

又はパワーテークオフを駆動する外部エンジン歯車装置は,

300

時間の実験室耐久試験に供さなければな

らない。この耐久運転に先立って,歯車装置には,静的トルク試験を課さなければならない。この試験で

は,入力シャフトは,静止状態を保ち,しかも,すべてのパッド駆動装置には,スタータのパッドを除い

て,エンジン仕様書に規定する最大静トルク値の

150%

までの負荷を

5

秒間,同時にかけなければならな

い。この

5

秒の間に,スタータ駆動装置は,エンジン仕様書中でこのパッドに対して規定している最大起

動トルクの

250%

の負荷をかけ,しかも,その方向は,補機駆動トレインのいかなる他の構成部品からも

負荷を取り除く方向であってはならない。

この静的トルク試験に引き続いて,すべての補機と構成部品を装着した歯車装置には,最大定格パッド

荷重を含む荷重を変えながら,アイドルから最大回転速度までの回転速度で運転している間に振動調査と

共振検査を課さなければならない。この耐久試験は,すべての補機と構成部品を歯車装置に取り付けた状

態で,

3.2.1.4.8

で規定する最大滑油入口温度並びに最小滑油流量及び圧力で,

3.1.2.8

に規定する温度にさ

らされている規定した滑油を使用して運転しなければならない。試験中,すべての駆動部には,少なくと

もこの駆動部の最大定格片持ちモーメントを負荷し,しかも,少なくともエンジン仕様書で許容された最

大スプライン偏心を課さなければならない。フィルタや滑油リザーバのようなエンジン潤滑系統の構成要

素や構成部品は,系統の特性を模擬するために試験設備に取り付けてもよい。該当する場合には,パッド

シールの排油漏れは,試験中の全期間にわたり監視しなければならない。記録すべきデータと記録の頻度

は,試験前のデータに規定するとおりでなければならない。歯車装置の耐久試験には,次のスケジュール

に従って運転しなければならない。

(a)

最大定格回転速度運転

  試験のこの部分は,最大定格エンジン回転速度に相当する回転速度での

20

時間の連続運転からなり,このとき,すべてのパッド駆動部には,この回転速度条件に対する最大許

容トルク値まで負荷しなければならない。


69

W 4606-1995

(b)

アイドル回転速度運転

  試験のこの部分は,エンジンアイドル回転速度に相当する回転速度での

15

時間の連続運転からなり,このとき,すべてのパッド駆動部には,

表 5

の定格トルク値の

25%

まで負

荷しなければならない。この運転中,客用の補機パッド駆動部には,試験前のデータで定める

5

秒間

の過荷重条件を

5

回課さなければならない。

(c)

回転速度変移運転

  試験のこの部分は,次のような

15

時間の運転から構成しなければならない。すな

わち,この間に歯車装置には,すべてのパッド駆動部に定格トルク値の

25%

まで負荷した状態で,連

続する

5

分間の運転を

180

回課す。各

5

分間の運転中に,歯車装置駆動部の回転速度は,

7

秒以内に

一度アイドルから最高許容回転速度まで加速し,

3

分間最大許容回転速度に保持し,それからその運

転の残りの間にアイドル回転速度まで減速しなければならない。

(d)

回転速度増加運転

  試験のこの部分は,歯車装置に連続する

5

時間の運転を

10

回課す

50

時間の運転

から構成しなければならない。各々の

5

時間の運転は,すべての駆動パッドに各速度状態に対して,

最大許容トルク値に負荷した状態で,アイドル回転速度から最大許容回転速度まで,ほぼ等しい回転

数増加分で行う歯車装置の運転で構成しなければならない。最大許容回転速度の運転中には,最大回

転速度の

115%

までの過回転速度の

5

分周期を

3

回達成しなければならない。過回転速度の試験中に

は,すべての歯車装置パッド駆動部は,定格トルク値の

25%

まで負荷しなければならない。アイドル

と最大回転速度の間の状態で,振動調査中に測定されたような重要なピーク振動点がある場合には選

択された増加分の個数は,使用機関の随意によって,運転時間の配分を増加運転の合計時間の

50%

超えない範囲まで,ピーク振動点が得られる回転速度と荷重に対応する回転速度と荷重に対して配分

するように変えてもよい。

(e)

連続回転速度運転

  試験のこの部分は,すべての歯車装置パッド駆動部に,エンジン仕様書に規定す

る最大連続定格トルクまで負荷した状態で,最大定格エンジン回転速度の

70%

に相当する速度での

50

時間の連続運転で構成しなければならない。

(f)

最大回転速度運転

  この部分は,最大許容エンジン回転速度に相当する回転速度で,しかも,すべて

の歯車装置パッド駆動部にこの回転速度状態に対する最大許容定格トルク値まで負荷した状態での

150

時間の連続運転で構成しなければならない。ただし,各

10

時間の増加分の間に,エンジン仕様書

に規定する過負荷定格トルク値まで

5

分間の過負荷状態を課する。この運転中に,歯車装置の外面は

歯車装置に対してエンジン仕様書で規定する構成部品の最高温度に維持しなければならない。

試験に引き続いて,排油フィルタとマグネティックプラグ残留物は収集し,磁性材料と非磁性材料

に分けなければならない。それからこの材料は,質量を測り分析し,その結果を報告しなければなら

ない。試験完了後,歯車装置は,完全に分解し,洗浄し,部品を検査しなければならない。材料の欠

陥,過度の摩耗又は切迫した破損についての形跡があってはならない。

3.3.6.4

の流体漏れの要求事項

に適合することをこの試験中に実証しなければならない。

4.6.2.4.3

直流発電機及び交流発電機の試験

  環境試験のほか,次に述べる試験を各々の直流発電機と交

流発電機について実施しなければならない。

(a)

過回転速度

  直流発電機と交流発電機は,最大許容エンジン回転速度の

115%

に相当する回転速度で

5

分間動作させなければならない。試験終了時に,機械的又は電気的な損傷や故障の形跡があってはな

らない。

(b)

負荷試験

  直流発電機と交流発電機は,最大定格電気負荷をかけた状態でエンジン最高許容回転速度

106%

に相当する回転速度で,

1

時間動作させなければならない。この試験中,交流発電機には,そ

の構成部品の最高制限温度を課さなければならない。試験の終了時に,機械的又は電気的な損傷や故


70

W 4606-1995

障の形跡があってはならない。

(c)

コンテインメント

  直流発電機と交流発電機は,ロータ(回転子)系統の機械的な破損を起こすよう

に,最大設計回転速度で動作させなければならない。すべての損傷は,直流発電機と交流発電機のハ

ウジングに包み込まなければならない。

4.6.2.4.4

熱交換器

  エンジンの流体や構成部品の冷却用又は加熱用の熱交換器には,次の試験を課さな

ければならない。もし,熱交換器組立品の中に非金属部品が含まれている場合は,

4.6.2.2.4

の要求事項に

よって全組立品には,促進老化試験を課さなければならない。

熱交換器組立品がバイパス弁,レギュレータ又は指示装置を備えている場合は,機能を正しく果たすこ

とを実証するために適切な試験を行い,この試験を試験前のデータに規定しなければならない。

(a)

流量,圧力及び温度の繰返し試験

  熱交換器は,一設計寿命の間,流量,圧力及び温度の繰返し試験

に供さなければならない。この繰返し数は,次のように規定されたサイクルに従って,試験前のデー

タに規定しなければならない。すなわち,周囲の温度と圧力にある両流体を熱交換器へ同時に導きそ

れから作動範囲内で遭遇する最高値まで流量を増加させている間に,流体の温度と圧力をそれらに相

当する最高値まで上げること。一たん,出口の流れの状態を安定させた後で,流量を作動範囲内で遭

遇する最低値に減少させ始め,それとともに流体の温度と圧力をこれらの周囲の値まで減少させ始め

ること。一たん,出口の流れの状態が安定したとき,両流体の流れを止めなければならない。試験サ

イクルの

25%

は,熱交換器の構成部品の最高制限温度にある熱交換器を取り囲む周囲の空気中で運転

し,残りのサイクルは,周囲温度にある周囲の空気中で運転しなければならない。この試験の完了時

に,漏れや永久変形の形跡があってはならない。

(b)

熱交換器の保証圧力

  流量,圧力及び温度サイクルが満足に完了した後に,同じ熱交換器を,保証圧

力試験に供さなければならない。熱交換器の各流体側には,個々に少なくとも連続

2

回,その最大作

動圧力の

2

倍の圧力を課し,更に,各加圧状態で

2

分間保持しなければならない。一方の側に圧力を

加えている間に,他方の要素は空で,大気圧になければならない。このとき外部漏れや乾燥側への内

部漏れの形跡があってはならない。この試験に引き続いて,熱交換器の両側には,少なくとも連続

2

回同時にこれらの最高作動圧力を課し,更に,各加圧状態で

2

分間保持しなければならない。この試

験の完了時に,漏れや永久変形の形跡があってはならない。

4.6.2.4.5

耐火試験

  可燃性流体を運ぶ管路,管継手及び構成部品は,エンジンとともに供給される滑油

タンクを含み,

3.3.6.1

の規定に適合していることを実証するため試験を行わなければならない。個々の管

路,管継手,構成部品又は組立品は,エンジンの環境条件と作動範囲にわたって予想される最小流量,最

高系統圧力及び最高流体温度で流体を運びながら,

ARP 1055

に規定されているとおりに試験を行わなけれ

ばならない。試験終了時に漏れがなければ,

3.3.6.1

の要求事項は,実証されたとみなさなければならない。

上記の試験は,

4.5.2.5

の試験を満足に完了したものと同一の構成部品に対しては行わなくてもよい。

4.6.2.4.6

油圧系統

  完備した油圧系統は,

3.7.8.1.2

の要求事項に適合していることを実証するため試験

を行わなければならない。油圧系統の試験は,完備した系統のリグ試験か,又は認定耐久試験エンジンと

実質的に同じエンジンに装備した状態のどちらで行ってもよい。油圧系統の高圧側は,少なくとも連続

2

回最大作動圧力の

2

倍の圧力までの保証圧力試験に供し,更に,各々の圧力を受けている状態で

2

分間保

持しなければならない。油圧試験の流体は,最大系統作動温度に維持しなければならない。機器は,試験

圧力を加圧している間に,その正規の機能で作動させなければならない。試験完了時に,外部の漏れ,過

度のひずみ,又は永久変形の形跡があってはならない。異なった要素に,様々な試験圧力を必要とする構

成部品には,試験前のデータに規定したとおり,これらの圧力を別々に又は同時に加えてもよい。


71

W 4606-1995

4.6.3

高空試験

  耐久試験エンジンと同じ部品表と形態に適合するエンジンで,高空試験を行わなければ

ならない。この高空試験は,そのエンジンに対して規定された作動範囲全域を通して選定された条件と少

なくとも

図 19

に示すようなエンジン仕様書中に指定されている条件における作動と空中始動の確認とか

ら構成しなければならない。試験点には,抽出動力入口ラム回復度,抽気及びインレットディストーショ

ンのエンジンの性能と安定性に及ぼす影響を含めなければならない。制御系統の調整は,発注者の代表者

の承認なしに行ってはならない。高空試験は,エンジン仕様書に規定するすべての滑油と燃料を用いて達

成しなければならない。燃料温度は,すべての予想されるエンジン作動環境を包含するのに十分な範囲に

わたって,変化させなければならない。連続点火系統は,始動過程が完了した後も常時作動していなけれ

ばならない。すべての出力抽出パッドは,特定の試験段階に対しては,使用機関が規定するとおりに負荷

しなければならない。試験中に採取・記録すべきデータは,

表 12

に規定するとおりでなければならない。

全周波数域の真の

rms

速度測定値と加速度スペクトル記録は,エンジンケースと補機歯車装置ケースに

取り付けられた各加速度計について,その試験のために選ばれたエンジン回転速度と出力に対して,取得

しなければならない。選定された点は,少なくとも高空定格点と作動範囲中最高のエンジン振動レベルが

生じる点とを含めなければならない。エンジンの最も過酷な構成部品は,各スペクトル記録で識別しなけ

ればならない。

客用抽気は,使用機関が選定した運転を行っている間に,

4.6.1.2.3.1

に従って抜き取り,分析しなければ

ならない。

4.6.3.1

高空エンジン校正

4.6.3.2

に述べる試験の開始に先立って,エンジンは,

4.6.1.2.3

4.6.1.2.3.1

に従って,校正しなければならない。校正の始めに,最初の調整をした後は,制御装置の再調整を行って

はならない。

4.6.3.2

高空試験手順

  各試験点での運転は,エンジンを安定させ,エンジンの性能と作動特性を確立す

るのに十分な時間をかけなければならない。制御系統に手動制御モードが含まれているときは,試験スケ

ジュール中にこの特徴を評価し,

エンジン性能と作動特性にそれが及ぼす影響を確認しなければならない。

次のデータを得るために,運転を行わなければならない。

(a)

高空定格点

  試験点は,エンジン仕様書の

表 2

の高空定格に対して規定されたものでなければならな

い。各規定の高空試験条件に対して,各定格点における作動と性能の特性を確立するために,追加し

た十分の数のエンジンの出力設定を選定しなければならない。抽気と抽出動力とが定常性能に及ぼす

影響は,各規定の試験点で得なければならない。アイドル,連続最大中間及び最大の出力設定での安

定性を立証するために,経過時間とエンジン回転速度,測定温度及び燃料流量との関係を取得しなけ

ればならない。安定性立証のための時間は,各出力設定において最低

5

分でなければならない。

(b)

変移作動

3.2.1.5.6

で規定する適用変移性能は,各定格条件において立証しなければならない。変移

性能に及ぼす最大の抽気と抽出動力の影響を単独に及び組み合わせて確認しなければならない。

(c)

機能試験

  エンジンの作動範囲は,作動範囲の端でエンジンを運転することによって立証しなければ

ならない。エンジンの定常及び変移特性は,出力設定の範囲にわたる各試験点で確認しなければなら

ない。エンジンの作動特性の決定は,客用の抽気と抽出動力のある場合とない場合について行わなけ

ればならない。

(d)

インレット  ディストーション

  エンジンの空気流れのインレット  ディストーション限界は,

3.1.2.10.3

で規定する入口条件で実証しなければならない。インレット  ディストーションの変移作動

と定常状態性能に及ぼす影響を確認しなければならない。

また,客用の抽気と抽出動力とが,空気流れのインレット  ディストーションに対するエンジンの


72

W 4606-1995

許容値に及ぼす影響も確認しなければならない。

(e)

始動及び再始動

  点火系統が作動していない状態でのフレームアウトは,エンジン仕様書に規定する

方法で達成しなければならない。次の試験は,客用の抽気と抽出動力がある場合とない場合について

行わなければならない。

(1)

エンジンの始動と再始動は,

図 19

に規定するそれぞれの始動点で達成しなければならない。

(2)

もし,連続点火系統又は自動再着火系統を備えているならば,同じ点で,同じフレームアウト手法

を用いて,しかもこれらの系統は作動させて,追加の実証を行わなければならない。エンジンは,

エンジンの出力レバーを操作することなしに再点火し,安定作動に戻ることを実証しなければなら

ない。各再着火試験条件は,次の四つの出力設定で達成しなければならない。すなわち,無負荷,

最大連続,中間及び最大。

(f)

高空風車試験

  高空風車試験は,

3.2.1.5.7

(a)

(b)

及び

(d)

の要求事項を立証するために,風車包絡線

内で実施しなければならない。加えて,滑油系統が試験前のデータで定められたような適正な潤滑を

行い,風車作動の間,過度の滑油損失がなく作動することを立証するため,試験を行わなければなら

ない。エンジンの軸は,いかなる適当な外部の手段で駆動してもよい。

4.6.3.3

高空試験の完了

  エンジン仕様書の規定に適合していることを確認するために,使用機関に容認

できる方法で,試験中に得られた測定データを規定された性能や作動特性との比較を行わなければならな

い。使用機関の判断によって,次の場合には,試験は,満足に完了したものとみなさなければならない。

(a)

エンジン性能が少なくとも定常状態性能計算機プログラムで規定されている性能であり,しかも,高

空での測定性能の海面上の測定性能に対する比が,規定高空性能の海面上の規定性能に対する比の±

5%

以内にあるとき。

(b)

試験中行われた高空での始動と変移が,エンジン仕様書の要求事項に従っているとき。

(c)

機能試験点で,満足なエンジンの作動が実証され,定常状態性能計算機プログラム,高空始動データ

又は変移データといかなる不一致も示さないとき。

(d)

エンジンが,試験のために規定されたディストーションや風車状態のもとで満足に作動するとき。

4.6.4

エンジンの環境及び吸込み試験

  次の細目箇条の試験は,

4.6.1

の耐久試験エンジンと同じ部品表

と形態をもつエンジンについて行わなければならない。個別試験で特に指定がない限り,エンジンは,各

試験の前に校正し,試験の後に再校正をしなければならない。ただし,試験の過程中に起こった定常又は

変移性能能力のあらゆる劣化を確認するのに必要な範囲にとどめなければならない。すべての始動は,

4.3.3.4

によるスタータを用いて行わなければならない。特定の試験に対して特に指定がない限り,試験は

その試験場における一般的な周囲条件で行わなければならない。

4.6.4.1

低・高温始動及び加速試験

  試験エンジンには,

3.2.1.4.8

3.2.1.5.6

3.2.5.1

3.7.9.2

及び

3.7.9.3

の規定に適合していることを実証するために,低温・高温試験を課さなければならない。

4.3.5.6

で要求す

る全データを,各始動の間記録しなければならない。始動と作動の能力は,エンジン仕様書に規定すると

おりの補機駆動パッドに加えるトルク負荷をかけ,また客用抽気なしで達成されるものでなければならな

い。再校正は,要求してはならない。エンジンの浸せき温度を決定するために,エンジンの中で温度を測

定する点をエンジン仕様書に規定しなければならない。

(a)

低温試験

  エンジンは,エンジン仕様書中に規定する滑油を供給して,−

54

℃の周囲温度で少なくと

10

時間の間浸せきしなければならない。

10

時間の浸せき時間は,エンジン仕様書に規定する点が

54

℃に達した後に開始しなければならない。低温浸せき期間の終わりには,

3.7.4.3.2

の要求事項を

立証するために電気コネクタを外し,再び接続しなければならない。更に,滑油リザーバの給油キャ


73

W 4606-1995

ップやすべてのその他の補給の特徴を,低温浸せき条件の下での適正な機能を立証するため,機能的

に点検しなければならない。浸せき時間が終わり,−

54

℃の燃料と入口空気が供給されたとき,出力

レバーをアイドル位置に置いて始動しなければならない。

エンジンがアイドル回転速度に達した直後,

最大出力までの加速は,エンジン出力レバーを

0.5

秒以内にアイドルから最大出力レバー位置まで動

かすことによって達成しなければならない。その後エンジンをアイドルに戻し,停止しなければなら

ない。上記手順は浸せき時間も含めて

2

回繰り返さなければならない。

もし,エンジン仕様書中に二つ以上の燃料又は滑油が規定されていれば,上記の完全な試験をこれ

らの燃料又は滑油を用いて繰り返さなければならない。浸せき空気,滑油,空気及び燃料の温度は,

それぞれ

3.2.5.1

3.7.7.2.1

の燃料又は滑油温度の制限を受けなければならない。

試験は,使用機関の判断で,次の場合に,満足に完了したものとみなす。

上記の三つの連続した始動が,

図 18

で規定する時間限界内に満足に達成されたとき。

エンジンが始動又は作動限界を何ら超えることなく最大出力までの加速能力を立証したとき。

燃料又は滑油の漏れがないとき。

電気コネクタや補給装置の機能的点検の結果,損傷や作動中の困難さが見つからなかったとき。

(b)

高温試験

  エンジンは,エンジン仕様書中に規定する滑油を供給して,

71

℃の周囲温度で少なくとも

10

時間浸せきしなければならない。

10

時間の浸せき時間は,エンジン仕様書に規定する点が

71

℃に

達した後に開始しなければならない。

浸せき時間が終わり,

71

℃の燃料と

52

℃の空気が供給されたとき,出力レバーをアイドル位置に置

いて始動しなければならない。エンジンがアイドル回転速度に達した直後,最大出力までの加速は,

エンジン出力レバーを

0.5

秒以内にアイドルから最大出力レバー位置まで動かすことによって達成し

なければならない。上記の手順は,浸せき時間も含めて繰り返さなければならない。

もし,エンジン仕様書中に二つ以上の燃料又は滑油が規定されていれば,上記の完全な試験を,こ

れらの燃料又は滑油を用いて繰り返さなければならない。

この試験は,使用機関の判断で,次の場合に,満足に完了したとみなす。

上記二つの連続した始動が,

図 18

で規定する時間限界内に満足に達成されたとき。

エンジンが始動又は作動限界を何ら超えることなく最大出力までの加速能力を立証したとき。

燃料や滑油の漏れがないとき。


74

W 4606-1995

4.6.4.2

環境着氷試験

  エンジンには,

3.2.5.2

の規定に適合していることを実証するために,環境着氷試

験を課さなければならない。この試験に対して,エンジンは,

表 13

に示す自由空気の条件下で作動しなけ

ればならない。各試験運転に対して,液体水分含有量と水滴の大きさを,エンジンの入口面から

1.5m

内で,しかもエンジン入口ダクト内にある位置で測定しなければならない。この位置で測定した液体水分

含有量は,

表 13

に規定する自由空気条件に修正しなければならない。この気象データは,各試験運転中適

当な間隔で記録しなければならない。水滴の寸法と水分の収集を測定する方法と手順は,試験前のデータ

中に規定しなければならない。試験中,トルク,毎分回転数及び振動を連続的に記録し,更に,エンジン

入口の高速度写真撮影を行わなければならない。エンジンの性能損失を決定する基準線は,エンジンを客

用抽気又は抽出動力なしで,更に,

80

100%

の相対湿度で液体水分含有量が零の空気で

表 13

の入口温度

条件の下で作動させることによって確立しなければならない。発生軸出力と燃料消費率の損失は,

表 13

で定める着氷条件で作動しているエンジン性能を,前記基準線の値と比較することによって決定しなけれ

ばならない。滑油温度は,すべての運転中にエンジン仕様書に規定する最小作動滑油温度以下に維持しな

ければならない。ただし,滑油をエンジン入口空気と同じ温度に維持する無負荷条件の場合はこの限りで

はない。試験は,次の二つの部分から構成しなければならない。

(a)

この部分は,

表 13

部分 1

の各条件の下で,幾つかのエンジン出力設定のそれぞれにおける二つの運

転から構成しなければならない。エンジンの出力設定には,アイドル,連続最大の

25%, 50%, 75%,

続最大,中間及び最大を含めなければならない。各着氷条件と各設定出力で,エンジンは

10

分以上の

間,作動させなければならない。各期間中,着氷後間隔をおいて,エンジンは,最大出力へ急加速を

行い,加速応答性を実証しなければならない。

(b)

この部分は,スロットルを動かさずにアイドルで

1

時間運転した後,その期間の最後に最大出力まで

加速するという運転から構成しなければならない。この運転中,エンジンは,

表 13

部分 2

に示され

る条件の下で作動しなければならない。

防氷系統をもつエンジンの場合には,上記試験は防氷系統を用いて行い,

3.2.5.2

3.7.1

の要求事項

を実証しなければならない。

試験は,使用機関の判断で,エンジンへの損傷がなく,性能が

3.2.5.2

3.7.1

の要求事項の中にあ

るとき,満足に完了したとみなす。

4.6.4.3

腐食性試験

  新製又は新たにオーバホールされた試験エンジンは,

3.2.5.5

の規定に適合している

ことを実証するため,腐食性試験に供さなければならない。この試験は,合計持続時間が

1 200

時間で,

そのうちエンジン運転時間が

150

時間でなければならない。試験の開始に先立って,エンジンを十分に分

解し,通常,大気条件にさらされる全部品の表面状態を検査しなければならない。これらの部品の詳細な

写真撮影を行わなければならない。再組立され性能検査を受けた後,エンジンには,

表 14

に従ってそれぞ

48

時間の

25

サイクルの試験を課さなければならない。

腐食性試験で,性能が性能点検中に測定されたものより

5%

低下した場合には,

3.7.13

に従い水を用いて

洗浄しなければならない。もし水を用いて洗浄しても性能を回復できない場合には,エンジンを分解して

検査し,腐食性試験が性能低下に及ぼす影響を判定しなければならない。この試験中に,エンジンは,エ

ンジン仕様書に規定する間隔で,

内部部品の腐食又は腐食の進行についてあらゆる形跡を検出するために,

内部検査を行わなければならない。

試験が完了した後,性能点検を行い,更に,エンジンを分解して腐食の形跡の有無を検査しなければな

らない。腐食の形跡を示すすべての部品について詳細な写真を撮影しなければならない。受注者は,発見

された腐食の種類を完全に識別できる試験片の証拠や金属学上の分析結果を提出しなければならない。試


75

W 4606-1995

験は,回復できない性能低下が

5%

を超えないとき,及び使用機関の判断で腐食の程度が構造完全性や構

成部品の作動に有害か,又はエンジンの耐久性若しくは部品の寿命を著しく低下させる原因となるような

程度でないときは,満足に完了したものとみなす。

4.6.4.4

鳥の吸込み試験

  試験エンジンは,

3.2.5.6.1

の要求事項を立証するような方法で行う鳥の吸込み

試験に供さなければならない。鳥(複数)は,一群との遭遇を模擬するために,不規則な順序で吸い込ま

れ,入口面積にわたって分散させなければならない。使用機関が承認する場合は,人造の“鳥”を試験に

用いてもよい。受注者は,試験前のデータ中に,各鳥の大きさに対する標定目標領域と鳥の吸込みに用い

る手順とを規定しなければならない。入口の高速度撮影が,吸込み試験の間必要である。使用機関の判断

によって,

3.2.5.6.1

の性能基準が満たされ,エンジンの故障の原因となるおそれがある主たる構造上の損

傷の証拠がないとき,試験は満足に完了したとみなす。

4.6.4.5

異物による損傷試験

  試験エンジンは,

3.2.5.6.2

の規定に適合していることを実証するために,

異物による損傷試験に供さなければならない。模擬した異物による損傷を,

3

枚の第

1

段翼に対して前縁

1

か所以上の断面で,エンジンの最大回転速度時の定常と振動の高応力が生じる位置に,与えなければ

ならない。与える損傷は,最低限,応力集中係数

 (Kt) 3

を生じさせるものでなければならない。異物によ

る損傷の適用に続いて,エンジンには損傷翼を組み込んで

4.6.1.3

の作動サイクルに従って,

6

時間の運転

サイクルを

1

回課さなければならない。この試験には,校正又は再校正は,要求してはならない。運転の

完了時に,異物による損傷の結果としての翼の破損や割れの証拠があってはならない。使用機関の承認を

受ければ,異物による損傷試験は,完成エンジンの試験の代わりに個々の翼に対する台上試験や,実物大

のファンや圧縮機構成部品に対するリグ試験で行ってもよい。

試験を構成部品に対して行う場合には,

試験の詳細を試験前のデータに示さなければならない。

しかし,

試験の条件,持続時間及び厳格さは,上述した完成エンジンの試験と同等としなければならない。

4.6.4.6

氷吸込み試験

  試験エンジンは,

3.2.5.6.3

の要求事項に適合していることを実証するために,氷

の吸込み試験に供さなければならない。氷の種類と吸込みの条件は,次のとおりでなければならない。

(a)

代表的な離陸(最大)

,巡航及び降下条件において,エンジン前面入口面積の各

0.25m

2

ごとに,又は

それより小さい面積に対して,比重

0.80

0.90

の“ひょう”で直径

5cm

のもの

1

個と,直径

2.5cm

もの

2

個。

(b)

入口のダクトとリップの氷の形成に対して,使用機関が承認した代表的な大きさ,形及び厚さで,離

陸と巡航の状態中に吸い込まれそうな量の比重

0.80

0.90

の氷板。

受注者は,試験前のデータにおいて,エンジン入口での氷の導入に用いるべき手順と氷やひょうが

吸い込まれるときのエンジンの出力設定と回転速度を規定しなければならない。エンジンの出力回復

の時間を記録しなければならない。試験中,入口の高速度撮影が必要である。試験は,使用機関の判

断によって

3.2.5.6.3

の基準が満たされたとき満足に完了したとみなす。


76

W 4606-1995

4.6.4.7

砂吸込み試験

  試験エンジンには,

3.2.5.6.4

による砂汚染要因物質をエンジン入口に導いた状態

で,最大連続出力で

10

時間の運転を課さなければならない。各

1

時間の運転の間に,

0.5

秒以内のスロッ

トル操作でアイドルまでの減速と最大連続出力までの加速を少なくとも

1

回行わなければならない。最初

1

時間の間,もし備えられていれば防氷系統の

1

分間作動を

10

回行わなければならない。試験の全期間

中,最大客用抽気をエンジンから抽出しなければならない。この空気は,絶えずろ過し,付着物の全量を

測定し,結果を報告しなければならない。

10

時間の運転と試験後の性能点検に続いて,エンジンは,砂に

よる侵食の範囲と砂がエンジンの内部空冷系統の最も重要な部分に入ったかもしれない程度を検査するた

めに必要なだけ分解しなければならない。使用機関の判断によって,

3.2.5.6.4

の性能基準が満たされ,分

解検査で故障や切迫した故障の証拠が現れないとき,試験は,満足に完了したとみなすものとする。

4.6.4.8

大気中の水分吸込み試験

  試験エンジンは,

3.2.5.6.5

の要求事項に適合していることを実証する

ために,水分吸込み試験に供さなければならない。エンジンが最大出力で作動している状態で,全空気流

質量の

2

3.5

及び

5%

の水分(液体と蒸気)をエンジン入口に導き,その液水の

50%

が入口面積の

3

1

に等し

い部分を通ってエンジン入口に入らなければならない。エンジンは,各条件で

5

分間作動しなければなら

ない。上記手順は,エンジンがアイドルで作動している状態で繰り返さなければならない。試験の間,水

分の吸込みがエンジンの性能に及ぼす影響を書きとめ記録しなければならない。試験の完了時に,エンジ

ンを停止し,試験後の性能点検を行う前に周囲温度まで冷却させなければならない。性能点検に引き続い

て,エンジンは,検査のために十分に分解しなければならない。この試験は,使用機関の判断によって適

切なすきまが維持されたために,試験中損傷を生じる摩擦又は有害な摩擦が起こらず,性能が劣化せず,

更にガス流路の部品に損傷がないとき,満足に完了したとみなさなければならない。

4.6.4.9

特殊ガス吸込み試験

  試験エンジンは,

3.1.2.10.5

の規定に適合していることを実証するために,

特殊ガス吸込み試験に供さなければならない。エンジン仕様書中に特に指定がない限り,エンジンの運転

条件と特殊ガスの状態と特性は,

3.1.2.10.5

に従わなければならない。この試験終了後,再校正を要求して

はならない。使用機関の判断によって,

3.1.2.10.5

の要求事項が満足させられたとき,この試験は満足に完

了したとみなされる。

4.6.4.10

騒音調査

  エンジンは,その最も低い部分と地面との間に最低

2.5m

の間隔を設けて野外試験台

に装着しなければならない。マイクロホンは,過度の地面吸収特性がない比較的平たんな地形に置かなけ

ればならない。エンジンの騒音場に重大な影響を及ぼす障害物があってはならない。天候は,

30%

から

90%

までの相対湿度で降水はなく,

0

℃から

30

℃の間の周囲温度,

2.8m/s

未満の風速で温度の逆転や風の異常

な状態があってはならない。試験後のエンジン再校正は必要としない。関心の対象となる周波数範囲内の

3

1

オクターブバンドで,信号レベルは,暗騒音レベルより少なくとも

10dB

大きくなければならない。

(a)

データ表示法

  エンジン騒音レベルのデータは,次のように表示しなければならない。

(1)

図 20

図 21

に示すような等全周波数域音圧レベル曲線(基準音圧は

20

µPa

とする)

(2)

図 22

に規定する点

A

から

G

で,中心周波数

20Hz

10 000Hz

3

1

オクターブ周波数スペクトルを一

覧表にしなければならない。すべての近距離場音圧レベルはエンジンの整備その他の操作の間に,

要員を配置しなければならない場所の頭の高さにおける測定に基づかなければならない。更に,修

正していないデータ(例えば,天候,地形などに対して修正していないデータ)の形での中心周波

数が

20Hz

10 000Hz

3

1

オクターブバンド音圧レベルを,すべての出力条件に対し,また,

19

の位

置に対して一覧表にしなければならない。この

19

の位置は,エンジンの真正面で

0

度から始まって

エンジンの真後ろで

180

度で終わる

10

度ずつの間隔で,エンジンの排気面中心から放射状に

75m

の所の測定に基づかなければならない。


77

W 4606-1995

(3)

 250

500

及び

1 000Hz

の中心周波数をもつオクターブバンドに対して作図した等音圧レベル曲線は,

最大と最大連続との出力状態だけについて

図 22

に示すようなものでなければならない。

(4)

 5dB

ずつ増加させた等価騒音レベル(純音補正した)曲線をすべての出力状態について

図 23

に示さ

なければならない。

(5)

入口騒音と排気騒音に対する

20Hz

から

10 000Hz

までの

3

種の狭帯域スペクトル図を示さなければ

ならない。これらの狭帯域スペクトル図は,解析帯域幅の変更を説明するために,データを標準化

するスペクトル密度の形(例えば,音圧スペクトルレベル)で表さなければならない(

3

1

オクターブ

スペクトルの調査に対し,狭帯域データ用の位置と出力設定を決定する必要がある。

(6)

最大出力状態で生じた合計音響出力(

dB

の基準は

10

12

W

(7)

受注者は,報告書の中で,いかなる出力設定においても,エンジン騒音特性の推定を可能にする十

分なデータを提供しなければならない。必要なデータにはロータ回転速度,翼枚数,ハブ・チップ

比,直径,排出全温,圧力比,出口速度,排気質量流量並びに周囲温度及び周囲圧力を含める必要

がある。

(b)

測定系統

  音響測定系統は,次のものに相当する承認された器材から構成しなければならない。

(1)

下記

(c)

に述べる測定及び解析系統精度と両立できる周波数応答をもったマイクロホン系統。

(2)

測定する音との干渉を最小にする三脚又は類似のマイクロホン保持具。

(3)

下記

(c)

の応答と精度の要求事項と両立できる特性,周波数応答及びダイナミックレンジをもった録

音・再生装置。

(4)

既知の音圧レベルの正弦波又は広帯域騒音を使った音響校正器。もし広帯域騒音を使う場合は,信

号は非過負荷信号レベルに対する平均と最大の

rms

値の形で記述しなければならない。

(5)

下記

(d)

の応答と精度の要求事項を備えた解析装置。

(c)

検出,録音及び再生装置

  エンジンで生じる音は,完全なデータの経歴が残るような方法で記録しな

ければならない。磁気テープ録音装置は,容認する。

(1)

系統の特性は,マイクロホンと増幅器の特性に関する国際電気標準会議の

IEC PUB 179

で定められ

た推奨事項に適合しなければならない。

(2)

平面でんぱ(伝播)と認められる一定振幅の正弦波に対する完全な系統の応答は,対象となる周波

数範囲にわたって,

IEC PUB 179

に規定された公差限界内になければならない。

(3)

装置は,自由音場校正用の設備を用いて,音響的に校正し,また下記

(d)

に述べるように電子的に校

正しなければならない。

(d)

解析装置

  音響信号の周波数解析は,

IEC PUB 225

で定めた勧告に適合している

3

1

オクターブフィルタ

を用いて実施しなければならない。

(1)

解析器指示装置は,アナログ,ディジタル又は両者の組合せでなければならない。信号処理の優先

順序は,次のとおりとする。

(a)

3

1

オクターブフィルタの出力を

2

(b)

合計の平均と線形から対数への変換

(2)

指示装置は,最小波局率容量

  (crest factor capacity) 3

をもち,±

1.0dB

の許容差内で,各

3

1

オクターブ

バンド内で信号の真の

rms

値のレベルを測定するものでなければならない。もし真の

rms

値指示装

置以外のものを使用するならば,それは非正弦信号に対して校正しなければならない。校正には,

その出力レベルを真の

rms

値に変換するための方法を講じなければならない。

(3)

解析器の振幅分解能は,少なくとも

0.25dB

でなければならない。


78

W 4606-1995

(4)

解析器からの各出力レベルは,すべての系統誤差を除いた後で,入力信号に関して±

1.0dB

以内の

精度でなければならない。各出力レベルに対する系統的な全誤差は±

3dB

を超えてはならない。連

続フィルタ系統に対しては,隣接する

3

1

オクターブチャネルの間の系統的な補正は,

4dB

を超えなく

てもよい。

(5)

解析器のダイナミックレンジは,解析器の最大出力レベルと最大雑音レベルとの間の差で表して,

少なくとも

55dB

でなければならない。

(6)

完成した電子系統には,マイクロホンが与える信号レベルの範囲にわたる既知の振幅の,関心の範

囲を包含する周波数における正弦波信号又は広帯域信号を用いて,周波数と振幅の電気的な校正を

課さなければならない。もし広帯域信号を用いるならば,それは非過負荷信号レベルに対する平均

と最大の

rms

値の形で記述しなければならない。

(7)

狭帯域解析は,

20

500Hz

の周波数範囲では

5Hz

500

5 000Hz

の周波数範囲では

20Hz

,また,

5 000

10 000Hz

の周波数範囲では

100Hz

の最大帯域幅で行わなければならない。

(e)

騒音測定手順

  ターボプロップエンジン及びターボシャフトエンジンの音響試験に関し,均一な実施

を保証するために,次の手順を必要とする。

(1)

各試験の直前と直後に,系統感度を検査し,音響レベルデータ解析のための音響基準レベルを供給

するために,音響校正器を用いて,系統の録音音響校正を現場で行わなければならない。

(2)

装置や操作者の誤差を最小にするために,エンジンの音響試験データの録音の直前と直後にマイク

ロホンの入力点に既知の信号を入れるための,挿入電圧装置の使用を現場での校正に追加しなけれ

ばならない。

(3)

音響的な暗騒音と測定系統の電気的雑音の両者を含んだ周囲騒音を,エンジン騒音を測定する高さ

において測定系統の利得を設定し,試験領域を定め,記録しなければならない。

(f)

測定データの報告及び修正

  物理的測定値や測定したデータの修正値を示すデータは,恒久的な形に

記録し,最終報告書に含めなければならない。最終データを得るのに用いた各々の操作に固有の個別

の誤差について,見積りをしなければならない。

(1)

測定したり,修正したりした音圧レベルは,前の箇条で述べた標準に適合する装置を用いて得られ

3

1

オクターブバンドレベルで表さなければならない。

(2)

すべての音響,気象及びエンジン性能のデータの測定と解析に用いた装置の種類は,報告しなけれ

ばならない。

(3)

代表的なマイクロホン位置で,次の大気環境データを測定しなければならない。

(a)

セルシウス度での気温と百分率で表した相対湿度

(b)

 kt

で表した最大,最小及び平均の風速並びにエンジン中心軸に対する風向

(c)

 kPa

で表した大気圧

(4)

局地的の地形,地表面状態及び録音の妨げとなるおそれがある事象についての意見を報告しなけれ

ばならない。

(5)

すべてのデータは,次に従って修正しなければならない。

(a) 

海面上気圧

101.3kPa {1.033kgf/cm

2

}   

(b) 

周囲温度

25

 (ISA

10

)   

(c) 

相対湿度

70% 

(d) 

風速零

4.6.4.11

排気ガス放出試験


79

W 4606-1995

4.6.4.11.1

排気煙放出

  エンジンは,

3.2.5.8.1

の要求事項に適合していることを実証するために,排気煙

放出試験に供さなければならない。エンジン排気煙の測定は,

ARP 1179

に述べてある装置,計装及び試験

手順を適用して行わなければならない。煙のレベルは,

4

種類のエンジン出力設定,すなわち,中間,最

大連続,

75%

最大連続及びアイドルに対して測定する。特定の出力設定での抜取りに先立って,その出力

設定で,

10

分間の安定化運転を行う。この試験の後,性能検査を行う必要はない。

4.6.4.11.2

目に見えない排気の放出質量

4.6.4.11.1

の試験中,エンジン排気ガスは,目に見えない汚染に

ついて,

ARP 1256

に述べてある装置,計装及び手順を使用して分析しなければならない。この試験は,エ

ンジン仕様書の

3.2.5.8.2

に規定する目に見えない排気の放出質量のレベルを実証するために,

最大,

中間,

最大連続,

75%

最大連続,

25%

最大連続及びアイドルの出力設定で行わなければならない。この試験の後,

性能検査を行う必要はない。

4.6.4.12

耐放射線試験

  エンジンは,エンジン仕様書に規定する放射線に対する残存性とぜい弱性の要求

事項を満足させる能力を確認するための試験に供さなければならない。試験要求事項は,試験前のデータ

で規定された通りでなければならない。

4.6.5

エンジン特性及び燃料試験

  次の細目箇条の試験は,

4.6.1

の耐久試験エンジンと同じ部品表と形

態をもつエンジンについて行わなければならない。個別試験において特に指定がない限り,エンジンを各

試験の前に校正することと試験後再校正することは必要としない。特定の試験に対して特に指定がない限

り,試験は,試験場における一般的な周囲条件でエンジン仕様書に規定された燃料を用いて行わなければ

ならない。

4.6.5.1

始動トルク

  エンジンには,

3.7.9.1.1

の始動トルクと回転速度とに対する要求事項を実証するた

め,試験を課さなければならない。測定手順と試験装置の校正や使用法は,試験前のデータの中で明確に

しなければならない。

4.6.5.2

レーダ断面積 (RCS) 

  エンジンの

RCS

は,エンジン仕様書の

3.1.2.12

に規定するレベルを実証

するために,エンジンの入口と出口のレーダ反射性を測定することによって決定しなければならない。レ

ーダ反射性の測定は,静止と運転中の両方のエンジンを用いて屋外試験場で行わなければならない。エン

ジンの装着に先立ち,すべての支柱をその場所に立てた状態で背景反射

 (background)

を測定し,それは,

測定された

10

°中央値量の少なくとも

20dB

以下でなければならない。校正標準は,球体又は円筒でなけ

ればならない。

RCS

の測定は,

規定された周波数範囲にわたってオクターブ当たり少なくとも

1

周波数で,

しかも,使用機関が規定した周波数で実施しなければならない。エンジンにおけるレーダ照射場は,詳細

に測定し,エンジン垂直面内のパワー密度の変動は,平均値の周りに±

0.5dB

未満でなければならない。

前方の半球に対してはエンジン入口中心線に関し,また,後方の半球に対しては模擬したジェットノズル

作動位置でエンジン中心線に関し,方位角と仰角の両方について±

60

°で制限された範囲内で

10

°間隔に

わたって

RCS

の中央値の表を作成するために十分なデータを取らなければならない。

m

2

で表した(前方

と後方の)各半球に対する最大

RCS

値は,上述した表の中に含まれる中央値の算術平均を求めることで決

定しなければならない。

4.6.5.3

赤外線放射試験

  エンジンのピーク赤外線放射と放射パターンは,

3.7.10.3

の要求事項を実証す

るために測定しなければならない。

IR

(赤外線放射)特性は,未装着エンジンに対して実際の放射の総和

[高温部品+反射+プルーム

 (plume)

]として測定しなければならない。

IR

装置の赤外線強度とスペクト

ル応答は,赤外線試験測定の前後の校正で確認し,これらのデータを記録しなければならない。測定器は,

IR

試験の間の赤外線放射に対する実際の応答を確認するために,野外標準

IR

源を用いて校正しなければ

ならない。


80

W 4606-1995

放射パターンと測定装置の両者の基準として用いる標準源を規定しなければならない。

大気条件

[温度,

湿度,降水量,雲の形成,気象範囲

 (meteorological range)

太陽の位置及び試験場所]は,現場の標準

IR

放射やエンジンの実際の

IR

放射を計算する助けとするため記録しなければならない。測定方法は,背景か

らの外部放射を最小にするようなものでなければならない。エンジンは,野外試験設備に装着し,

3.7.10.3

で規定する出力状態で運転しなければならない。各出力状態は,

IR

の読みを取る前に,排気系統の構成部

品温度が安定するまで,保持しなければならない。赤外線放射の測定は,ピーク放射と全放射パターンを

決定するために,要求される増加分である

3.7.10.3

に規定する角度で行わなければならない。総合

IR

特性

は,

1

3

3

5

8

10

10

12

及び

12

14

µm

の波長に敏感な放射計を用いて帯域ごとに立証しなけれ

ばならない。更に,スペクトル測定は,排気ガスの“プルーム”寄与を確認するために

0

度から

180

度ま

での各アスペクト角度で少なくとも

0.05

µm

の分解能をもつ分光計で行わなければならない。特殊な

IR

制系統の特徴が組み込まれたエンジンについては,上記の試験は,抑制モードになっているときと,なっ

ていないときに運転するエンジンを用いて実施しなければならない。

4.6.5.4

代替燃料試験

  試験用エンジンは,エンジン仕様書に規定された代替燃料を用い,それぞれが

4.6.1.3

に従った

6

時間ずつの

10

サイクルからなる

60

時間試験運転に供さなければならない。

エンジンは,

定常状態又は変移状態の性能における何らかの劣化を確認するのに必要な範囲まで,試験の前に校正し,

その後に再校正しなければならない。試験完了時,高温部の検査を行うのに必要な範囲まで,エンジンを

分解しなければならない。試験は,使用機関の判断によって,エンジン性能が

3.7.3.2.2

に規定する要求事

項を満足し,高温部の検査の結果,異常な高温部不具合がないときには,満足に完了したものとみなす。

4.6.5.5

非常燃料試験

  エンジンは,エンジン仕様書に規定された非常燃料を用いて,

4.6.1.3

に従う一つ

6

時間耐久試験サイクルからなる非常燃料試験に供さなければならない。非常燃料の使用による性能変

化は,試験に先立つ主燃料と非常燃料を用いた校正と,試験後に両方の燃料を用いた再校正によって決定

しなければならない。校正は性能レベルを確定するのに必要な範囲まで,また,試験前のデータに規定す

るとおりに行わなければならない。試験完了時,エンジンは,高温部の検査を行うのに必要な範囲まで分

解しなければならない。この試験は,使用機関の判断によって,エンジン性能が

3.7.3.2.3

に規定する要求

事項を満足し,しかも,高温部の検査の結果,異常な高温部不具合がないときには満足に完了したものと

みなす。

4.6.6

構造試験

QT

耐久試験エンジンの部品表と形態に適合するエンジン又は構成部品を,次の試験に

用いなければならない。

4.6.6.1

エンジン耐圧試験

  各々のエンジンケースと,すべての圧縮機出口圧力を受けるエンジンのガス

圧力が加わる構成部品は,最大作動圧力の少なくとも

2

倍までの保証試験を行い,破壊してはならない。

これらの試験は,構成部品の最高作動温度で行うか,又は圧力を試験温度における材料の性質に合わせて

調整しなければならない。

4.5.4.1

の試験を満足に完了したものと同じ構成部品については,上記の試験は

行わなくてもよい。

4.6.6.2

低サイクル疲労試験

4.6.6.2.1

低サイクル疲労構成部品試験

  部品は,

3.3.8.3

の要求事項に適合していることを試験し,

表 9

の適当なデューティサイクルに示される低サイクル疲労

 (LCF)

繰返し寿命値の少なくとも

2

倍に相当す

る損傷サイクルを課さなければならない。個別の試験手順は,試験前のデータに規定するとおりでなけれ

ばならない。この試験の間,最初の寿命相当時間の間は修理してはならない。

また,最初の寿命相当時間後の許容できる構成部品修理間隔を,エンジン仕様書に規定しなければなら

ない。これらの試験は,燃焼器について行う試験を除いて,高温で,しかもエンジンと運動との荷重条件


81

W 4606-1995

を模擬する適当な荷重か,又はその試験温度における材料特性に対して調整した荷重のいずれかで行わな

ければならない。燃焼器は,高温条件でだけ試験しなければならない。

4.6.6.2.2

低サイクル疲労エンジン試験

表 9

に従ってエンジンに,少なくとも繰返し寿命時間の

1

回分

を課す繰返し耐久試験を実施しなければならない。

その試験に先立ち,

エンジン制御燃料スケジュールを,

始動,再始動及び加速できるように,更に,すべて定格値又は最大値のいずれか該当する方の値以上で始

動温度と加速温度を得るように調整しなければならない。減速燃料スケジュールは,最大熱衝撃を与える

ように前もって設定しなければならない。客用抽気は,最大許容抽気流量を供給するように固定オリフィ

スを使って設定しなければならない。補機と客用抽出動力のパッドには,最大連続荷重が加わるように負

荷しなければならない。

すべての修理と部品交換について,記録し,報告しなければならない。実際の繰返し数,デューティ時

間及び冷却停止時間は,

3.3.8.6

の調査に基づくものでなければならず,更に,少なくとも試験エンジンに

強度と寿命の解析で予想される

1

作動寿命時間と同じ

LCF

損傷を与えるために必要なものでなければなら

ない。この

1

寿命についての試験実証は,ある種の部品が

1

寿命時間を超える損傷を受けることを要求す

るかもしれない。もし,それらの部品のこの損傷がその部品の要求された作動寿命を超える場合は,試験

を続けるために,部品交換又は修理を実施してもよい。この試験の完了に引き続き,エンジンは分解し,

割れの徴候を検査し,しかもエンジンは,寸法許容限界内になければならない。

デューティサイクルは,

エンジン受注者が規定する時間によって,

次のように定義しなければならない。

合計時間

スケジュール時間

項目

――秒

――秒

エンジンを始動しアイドルまで加速

――秒

――秒

アイドルで運転

――秒

――秒

最大回転速度まで加速し規定しただけ保持

――秒

――秒

最大回転速度からアイドルまで減速し規定しただけ保持

――秒

――秒

エンジンの燃料停止と停止までの惰性運転−冷却

4.6.6.3

コンテインメント

3.3.8.9.1

の要求事項は,実物大エンジン試験又はロータ組立品スピンピット

試験で実証しなければならない。この試験は,解析で最も危険であると判定されて選ばれた翼の断面にあ

らかじめ定めた回転速度で破損するように切込みを入れた圧縮機とタービンの翼を用いて最大許容ロータ

回転速度と構成部品の最大作動温度以上で行わなければならない。この試験は,使用機関の判断で,すべ

ての損傷が包含された場合,満足に完了したものとみなす。

4.6.6.4

ロータの構造完全性

4.6.6.4.1

過回転速度

  タービンと圧縮機のロータは,最大許容測定温度で最大許容定常回転速度の

115%

で,少なくとも安定してから

5

分間,エンジン運転に供さなければならない。

その試験に続き,部品と組立部品は,寸法許容限界内にあり,しかも切迫した破損の徴候があってはな

らない。この試験は,

4.5.4.2.1

の試験を満足に完了している構成部品と同じ構成部品については行わなく

てもよい。

4.6.6.4.2

過昇温度

4.6.6.4.1

の過回転速度試験を満足に完了した後,同じエンジンを,測定温度が最大

許容定常測定温度を少なくとも

45

℃超える温度で,しかも,最大許容定常回転速度以上で

5

分間作動させ

なければならない。

この試験後,部品と組立部品は,寸法許容限界内にあり,切迫した破損の徴候があってはならない。こ

の試験は,

4.5.4.2.2

の試験を満足に完了している構成部品と同じ構成部品については行わなくてもよい。


82

W 4606-1995

4.6.6.4.3

ディスク破断試験

QT

エンジン形態の中の,すべての過酷な回転ディスク構成部品についてス

ピンピット試験を行わなければならない。構成部品は,ボア金属が最大設計金属温度で破損又は切迫した

破損の徴候がなく,最大許容定常回転速度の最低

122%

まで作動しなければならない。これは,

4.5.4.2.3

試験を満足に完了している構成部品と同じ構成部品については行わなくてもよい。

4.6.6.5

エンジン静荷重試験

  耐久エンジン形態のエンジンケースとマウントは,

3.1.2.5

3.1.2.6

の要求

事項を立証するため静的試験に供さなければならない。適用エンジンの静的構造を利用する静的リグ試験

は,

エンジンとその支持部が

3.1.2.5

に規定する最大外力に対し,

どの構成部品も永久変形することなしに,

また,これらの力の

1.5

倍でどの構成部品も破損することなしに耐える能力があることを実証するために

行わなければならない。この試験では最大スラスト荷重,加速度荷重,ジャイロモーメントトルク及びエ

ンジン反作用荷重を個々に,更に,組み合わせて加える。応力と変位のデータは,解析と予備応力塗料試

験で決定した過酷な箇所で取得する。この試験は,

4.5.4.3

の試験を満足に完了したものと同じ構成部品に

ついては行わなくてもよい。

4.6.6.6

振動及び応力試験

  振動及び応力試験は,

3.3.8.10.2

の振動及び応力調査報告書並びに

3.3.8.6

要求事項を実証するデータを得るために,エンジンについて行わなければならない。その試験に先立ち,

エンジンは,試験用計装を行うために十分なところまで分解しなければならない。圧縮機各段の十分な数

の動翼と静翼には,連続的なひずみゲージデータを得るために,ひずみゲージを取り付けなければならな

い。各ひずみゲージは,動翼又は静翼上の振動と応力の解析から定めた最高の応力が発生する場所に取り

付けなければならない。主軸受の適当な位置に軸受荷重,ゲージの回転及びロータのたわみの測定を可能

にするために,十分な計装を行わなければならない。組立のとき,エンジンは,エンジン回転構成部品と

組立品に対して規定した少なくとも最大許容不平衡状態で組み立てなければならない。燃料制御装置,燃

料ポンプ,バルブ,配管類などのような外部構成部品には,試験前のデータに詳述したとおり,加速度計

振動装置を適切な位置に装着しなければならない。組立後,エンジンは,エンジン受注者が定めたエンジ

ン支持装置と試験台動特性をもち,使用機関の承認を受けた試験台に装着しなければならない。この試験

で,解析によって相当な応力又は振動状態がいずれかの構成部品に生じるすべての過酷なエンジン回転速

度を点検しなければならない。振動と応力の測定は,すべてのエンジン作動モードで行い,しかも,最大

インレットディストーション,失速,該当するときは可変機構行程の境界,最大圧縮機抽気及び抽出動力,

エンジンの最高入口圧力及び温度能力,並びにそれらの組合せの状態を含めなければならないが,これら

に限るものではない。

この試験で,全周波数域の真の

rms

速度測定値と加速度スペクトル記録を,エンジンコアと外部補機構

成部品に取り付けた各加速度計によって取得しなければならない。この試験は,使用機関の判断によって

振動応力及び荷重測定値が容認できる限界内にあるとき満足に完了したとみなす。

4.6.6.7

ジャイロ試験

  エンジンは,

3.1.2.5.1

の要求事項に適合していることを実証するために,ジャイ

ロ試験に供さなければならない。試験に先立ち,エンジンは,翼(ブレード)とケースの間のすきま並び

に遠心ロータと軸流ロータのすきまとを測定し記録することに特別の重点をおいて組み立てなければなら

ない。ラブプローブ

 (rub probe)

を圧縮機とタービンケースの周囲の,対称位置と翼先端位置とに試験前

のデータに指定したとおりに装着しなければならない。計装は,ジャイロ荷重が作用した場合のロータの

たわみと変位を十分に測定できるものでなければならない。過酷な箇所での応力を測定するために,ひず

みゲージ計装を備えなければならない。試験中に滑油系統の排油能力と適正に機能を果たす能力を評価す

るために,十分な滑油系統の計装を備えなければならない。試験中採取すべき計算データには,上記の所

要データに加えて,

3.7.6.5

で規定する位置での振動測定値を含めなければならない。


83

W 4606-1995

エンジンは,試験前のデータで指定する入口形態でジェットノズルを付けてジャイロ試験台に装着しな

ければならない。その試験に先立ち,エンジンには,エンジン性能検査を課さなければならない。

試験は,

0.5rad/s

の段階的増加量で

0.5rad/s

から

3.5rad/s

まで階段状に作動するジャイロリグを使って行

わなければならない。

各段階で,エンジンは,次のとおり運転しなければならない。

(a)

  1

分間のアイドル

(b)

アイドルから最大許容定常ロータ回転速度までの

30

秒以内の加速。

(c)

 10

秒又はデータを記録するのに十分な時間だけの最大許容定常ロータ回転速度での保持。

(d)

最大許容定常ロータ回転速度からアイドルまで

30

秒以内の減速。

(e)

こすれ

 (rub)

の目視検査のためのリグとエンジンの停止。

備考 1.5rad/s

を超えるジャイロ荷重では,長時間かけないために急加減速を行ってもよい。

上記試験は,一方向に回転するジャイロリグを用いて行い,次に反対方向に回転するリグを使って試験

を繰り返さなければならない。試験完了後,エンジンは試験後の性能検査を行い,その後,検査のために

分解しなければならない。

試験は,使用機関の判断で,試験後の校正で,重大な性能劣化がないことが示され,試験の間エンジン

とその系統が適正に作動し,構造荷重が許容限界内にあり,分解検査で過度の翼のこすれや切迫した破損

の形跡がないことが示された場合には,満足に完了したとしなければならない。

4.7

領収試験

  ここに規定する領収試験は,納入する各エンジンについて実施しなければならない。エ

ンジン受注者は,詳細な領収試験手順を作成し,提出して使用機関の承認を受けなければならない。

PFRT

又は認定試験に供するエンジンは,領収試験を受ける必要はない。

4.7.1

試験装置

4.7.1.1

自動記録装置

  エンジン試験のうち,時間に対するエンジン変数の評価を必要とする部分を実施

中はデータを記録するために,自動連続記録装置を使用しなければならない。

4.7.1.2

振動測定装置及び応答特性

  エンジンの振動は,加速度計型振動検出器によって測定しなければ

ならない。振動測定及び解析装置は,少なくとも

5Hz

から

10 000Hz

の周波数帯域にわたって動作し,し

かも,

95%

の実証精度信頼水準で加速度スペクトル記録を作成しなければならない。スペクトル解析装置

の最大許容有効フィルタ帯域幅は,

30Hz

でなければならない。振動測定装置は,完全な系統として校正し

なければならない。加速度計ピックアップに既知の正弦波形運動を加えて校正したとき,系統の周波数応

答は,

5Hz

から

10 000Hz

までの周波数において既知の正弦波形の入力から±

3dB

を超えて離れてはならな

い。振動測定系統が全体の速度レベルを測定するときに,高域フィルタが必要な場合,それらは,次のよ

うな特性をもたなければならない。すなわち,フィルタは,オクターブ当たり少なくとも

18dB

のロール

オフをもち,

30Hz

70Hz

又は

110Hz

の周波数のうち,該当するもので

3dB

低下しなければならない。加

速度スペクトル記録を作成するのに,高域フィルタを使用してはならない。

4.7.1.3

試験セル及び試験装置

  エンジンには,使用機関にとって容認できる試験セルと試験装置を用い

て領収試験を課さなければならない。エンジンを取り付けた試験台の固有振動数は,ロータの残留不釣合

いによって励振される可能性があるすべてのモードの運動において,アイドルロータ回転速度の

80%

以下

でなければならない。

4.7.1.4

スタータ

  始動は,

図 17

に示す最小必要トルクの

5%

以内のトルク特性をもつスタータで実施し

なければならない。

4.7.2

試験条件


84

W 4606-1995

4.7.2.1

補給

4.7.2.1.1

滑油の補給

  領収試験に用いる滑油は,エンジン仕様書に規定するとおりでなければならない。

すべての滑油フィルタの検査結果をエンジンの記録中に記録しなければならない。

4.7.2.1.2

燃料の補給

  領収試験に用いる燃料は,エンジン仕様書に規定するとおりでなければならない。

4.7.2.2

電気干渉,電子干渉及び妨害感受性検査

  生産エンジンの電気・電子の系統又は構成部品には,

連続

3

個の同じような系統又は構成部品が修理しないで試験に合格するまで,

4.5.1.1.2

に従って干渉試験

を課さなければならない。その後で,発注者の代表者が試験用として各ロットから

1

台のエンジンをラン

ダムに選定する。

1

ロットは,同じ電気・電子の系統を使用している型の連続

25

台以上のエンジンから構

成しなければならない。使用機関の判断によって,干渉レベルに影響を及ぼすおそれのある変更が行われ

た場合,その変更を行ったエンジン,系統又は構成部品は,連続

3

個の同様なエンジン系統又は構成部品

が修理しないで試験に合格するまで,

4.5.1.1.2

に従って試験を行わなければならない。その後で,発注者

の代表者がこの試験用として各ロットから

1

台のエンジンをランダムに選定する。

どのような系統又は構成部品も干渉試験と妨害感受性試験に合格できない場合には,そのロットのすべ

ての同様の系統又は構成部品は,連続

3

個の系統又は構成部品が修理しないで試験に合格するまで,

4.5.1.1.2

に従って試験を行わなければならない。不合格となった系統又は構成部品は,修理して欠陥を是

正し,再試験を受けてもよい。修理する前に,不合格に関する詳細事項と最初の欠陥を是正するために提

案する措置を発注者の代表者に提出して承認を受けなければならない。

4.7.2.3

エンジン制御装置の校正

  すべての燃料ノズルと燃料を使用するエンジンの構成部品とは,

MIL-C-7024

,

タイプ II

による流体を用いて校正しなければならない。

4.7.2.4

エンジン温度受感系統の校正

  エンジン温度受感系統は,エンジン仕様書の

3.7.6.4

に従ってその

機能を確認するため検査しなければならない。この系統の実際の熱応答を報告しなければならない。

4.7.3

試験の記録

4.7.3.1

領収試験の記録用紙

  次の情報をそれぞれのエンジン運転について,試験記録用紙に記録しなけ

ればならない。

(a)

日付

(b)

エンジンの種類と型式

(c)

エンジンの製造番号

(d)

セルの番号

(e)

ベルマウスの製造番号と面積,

cm

2

(f)

ジェットノズルの製造番号と面積,

cm

2

(g)

使用燃料の種類

(h)

使用滑油の種類

(i)

燃料の低発熱量

(j)

総運転時間と総始動回数

(k)

振動(

4.7.4

において記録された最大値)

(l)

  4.7.4

に要求されているすべてのデータ

受注者は,各エンジンと出力部

 (power section)

についての領収試験の記録用紙の写しを,

2

年間保存し

なければならない。試験の記録用紙の写しは,要求に応じて使用機関に提出しなければならない。

4.7.4

試験データ

  次の細目箇条中のデータを,領収試験中に取得し,領収試験の記録用紙に記録しなけ

ればならない。


85

W 4606-1995

4.7.4.1

予備データ

  エンジンの質量を測定し,記録しなければならない。一たんエンジンに燃料と滑油

を供給し,その後,排油した後に,エンジン質量を測定する場合には,乾燥質量は,

3.2.2.2

に規定する残

留流体の質量を,測定したエンジン質量から差し引くことによって計算してもよい。

4.7.4.2

定常状態のデータ

  規定した各定常状態における運転中と性能が安定した後とに,各試験期間中

に一度,次の最低限のデータを記録しなければならない。

(a)

時刻

(b)

総運転時間

(c)

出力レバー位置

(d)

エンジンロータ回転速度,

rpm

(e)

軸出力,

kW {kgf

m/s}  

(f)

燃料消費量,

kg/h

(g)

空気流量を定めるためのデータ

(h)

エンジン入口全圧,

kPa {kgf/cm

2

}  

(i)

エンジン入口全温,℃

(j)

圧縮機抽気量,

kg/s

(k)

排気静圧,

kPa {kgf/cm

2

}  

(l)

プリーザ圧力,

kPa {kgf/cm

2

}  

(m)

装備図上に示した点における滑油温度,℃

(n)

装備図上に示した点における滑油圧力,

kPa {kgf/cm

2

}  

(o)

燃料系統入口における燃料圧力,

kPa {kgf/cm

2

}  

(p)

装備図上に示した点における燃料圧力,

kPa {kgf/cm

2

}  

(q)

測定定常状態温度,℃

(r)

滑油出口温度,℃

(s)

補機パッドにおける滑油の漏れ

(t)

補機室温度,℃

(u)

装備図上に示した点におけるエンジンケースの振動,

cm/s

,真の

rms

速度

(v)

使用機関が要求する追加データ

4.7.4.3

変移状態データ

  出力変移運転中と該当する場合は逆ピッチ運転中に,実施するそれぞれの変移

について,出力レバー角度,測定温度,エンジン回転速度,燃料流量及び軸出力を,変移期間中,時間に

対して連続的に記録しなければならない。

4.7.4.4

始動データ

  それぞれの実施する始動について,始動の開始から点火までと,スタータの切断ま

でと安定したエンジンアイドル回転速度までとに必要な時間,更に,上記のそれぞれが起こる時点のエン

ジン回転速度,最大測定温度及び加速曲線上のどのような顕著なフラットスポットも記録しなければなら

ない。

4.7.4.5

その他のデータ

  すべての停止及びコーストダウン

 (coast down)

時間を測定して記録しなけれ

ばならない。各試験中に少なくとも

1

回は,気圧,周囲空気温度,水蒸気圧及び燃料の比重を読み取らな

ければならない。全試験運転の滑油消費量を測定し記録しなければならない。各運転の終わりに,滑油の

分光分析用試料を採取し分析しなければならない。漏れ,異常な振動,及びエンジンその他の異常な作動

のような運転のすべての事象は,実施した是正処置とともに記録用紙に書き留めなければならない。


86

W 4606-1995

4.7.4.6

データの精度

  すべてのエンジン領収試験に対して,報告するデータは,下に示すような許容差

内の定常状態精度をもたなければならない。変移データの精度とそれに対応する計器の校正方法は,使用

機関の承認を受け,試験手順中に述べなければならない。

すべての計器と装置は,要求精度を維持していることを保証するために,必要に応じて校正しなければ

ならない。

データの項目

トルク

中間定格における測定値の±

0.5%

ロータ回転速度

中間定格における測定値の±

0.2%

中間定格以下における燃料流量

中間定格における測定値の±

1.0%

空気流量

測定値の±

0.5%

温度

 200

℃までは±

0.5

200

℃を超えれば±

3

エンジン質量

±

0.5kg

又は測定した質量の±

0.1%

のいずれか大きい方

振動速度

規定されたエンジン限界値の±

5.0%

その他のすべてのデータ

中間定格における測定値の±

2.0%

4.7.5

試験手順

  領収試験は,以下に規定する初期運転と最終運転によって構成しなければならない。次

の試験スケジュールの下では機能を果たさないような特殊なエンジンの特徴を備えている場合には,これ

らの特徴は,使用機関が承認した方法で試験しなければならない。各出力状態で記録した時間は,その出

力状態を得るのに必要な出力レバーの動きが完了したときから始めなければならない。最終運転の開始に

先立って,標準海面上静止状態で定格出力又はそれより高い出力と定格燃料消費率又はそれより低い燃料

消費率を得るために,その定格に関係する測定温度とロータ回転速度の制限内で,現地での日常の調整を

行うだけで,エンジン制御装置をエンジンに装備した状態で調整しなければならない。エンジン又はその

構成部品の調整が更に必要となった場合には,すでに完了した試験運転のそれらの部分の再運転を要求し

なければならない。

4.7.5.1

初期運転

  エンジンは,次の運転スケジュールに従って,初期運転を行わなければならない。海

面上静止定格性能を立証するために必要な安定した性能データを得る必要がある場合には,エンジン受注

者の随意によって定常状態出力の時間を増加してもよい。逆ピッチ作動をしないエンジンについては,こ

こに規定する逆ピッチの時間は削除してもよい。

すべての出力レバーの作動は,

他に規定した場合を除き,

0.5

秒以内に達成しなければならない。初期運転前の点検,調整及び運転の種類と範囲は,受注者が規定し

なければならない。

(a)

中間及び最大出力変移運転

  この運転は,

次のような出力状態と保持時間の順序で

13

分間の運転から

構成しなければならない。

(1)

アイドルで

4

分間。

(2)

すべて中間出力に対して規定された最大許容測定温度に系統の不正確度限界を加えた温度と定格出

力軸回転速度における

3

分間。

(3)

すべての最大出力に対して規定された最大許容測定温度に系統の不正確度限界を加えた温度と定格

出力軸回転速度における

3

分間。

(4)

  (2)

を繰り返すこと。

(b)

逆ピッチ−最大出力運転

  この運転は,次のような出力状態と保持時間の順序で

11

分間の運転から構

成しなければならない。

2

分間のアイドル,

4

分間の最大逆ピッチ,

3

分間の最大出力及び

2

分間の最


87

W 4606-1995

大逆ピッチ。

(c)

変移運転

  この運転は,次のような約

19

分間の出力変移から構成しなければならない。

(1)

無負荷状態における

3

分間と,これに続く最大許容測定温度に系統の不正確度限界を加えた温度と

定格出力軸回転速度(すべて最大定格とそれに続き無負荷まで減少させる運転に対して規定されて

いる)における

1

分間。

(2)

無負荷における

3

分間の運転と,これに続く最大許容測定温度に系統の不正確度限界を加えた温度

と定格出力軸回転速度(すべて中間定格とそれに続き無負荷まで減少させる運転に対して規定され

ている)における

1

分間。更にこの出力状態を

3

分間保持する。

(3)

最大許容測定温度に系統不正確度限界を加えた温度と定格出力軸回転速度(すべて中間定格とそれ

に続き無負荷状態まで速やかに減少させる運転に対して規定されている)における

3

分間。エンジ

ン回転数が無負荷状態に達すると直ちに,エンジン出力をその前の中間出力状態に伴う測定温度と

出力軸回転数の状態まで増加させ,

1

分間この出力レベルに保持しなければならない。

(4)

上記

(3)

を繰り返すこと。ただし,中間定格を最大定格に置き換えなければならない。

(d)

短い変移運転

  この運転は,

次のような出力状態と保持時間の順序で

12

分間の運転から構成しなけれ

ばならない。

(1)

無負荷で

3

分間。

(2)

最大定格出力状態に対する最大許容測定温度に系統の不正確度限界を加えた温度と定格出力軸回転

速度における

3

分間。

(3)

 50%

最大連続定格出力状態に対する最大許容測定温度に系統の不正確度限界を加えた温度と定格出

力軸回転速度における

3

分間。

(4)

中間定格出力状態に対する最大許容測定温度に系統の不正確度限界を加えた温度と定格出力軸回転

数における

3

分間。

(e)

中間・最大出力変移運転

  この運転は,次のような出力状態と持続時間の順序で

10

分間の運転から構

成しなければならない。

(1)

アイドルで

4

分間。

(2)

中間出力状態に対する最大許容測定温度に系統の不正確度限界を加えた温度と定格出力軸回転速度

における

2

分間。

(3)

最大出力状態に対する最大許容測定温度に系統の不正確度限界を加えた温度と定格出力軸回転速度

における

2

分間。

(4)

  (2)

を繰り返す。

複式出力部をもつエンジンに対しては,

(e)

10

分間で,次の運転から構成しなければならない。

(1)

アイドルで

2

分間。

(2)

出力部の一つは停止し,他は中間出力状態に対する最大許容測定温度に系統の不正確度限界を加え

た温度と定格出力軸回転速度における

2

分間。

(3)

出力部の一つは停止し,他は最大出力状態に対する最大許容測定温度に系統の不正確度限界を加え

た温度と定格出力軸回転速度における

2

分間。

(4)

第二の出力部について

(2)

を繰り返す。

(5)

第二の出力部について

(3)

を繰り返す。

(f)

性能運転

  この運転は,

次のような出力状態と持続時間の順序で

28

分間の運転から構成しなければな

らない。


88

W 4606-1995

(1)

アイドルで

3

分間。

(2)

 75%

最大連続出力状態に対する最大許容測定温度に系統の不正確度限界を加えた温度と,定格出力

軸回転速度における

5

分間。

(3)

  (2)

と同じ,ただし

90%

最大連続出力状態にあること。

(4)

  (2)

と同じ,ただし最大連続出力状態にあること。

(5)

中間定格出力状態に対する最大許容測定温度に系統の不正確度限界を加えた温度と定格出力軸回転

速度で

5

分間。

(6)

最大定格出力状態に対する最大許容測定温度に系統の不正確度限界を加えた温度と定格出力軸回転

速度における

5

分間。

(g)

緩い変移運転

  この運転は,次のような

7

分間の運転から構成しなければならない。アイドルで

3

間の後,出力レバーの動きを均一な速さで動かして,最大出力定格状態に対して規定された最大許容

測定温度に系統の不正確度限界を加えた温度と,定格出力軸回転速度まで

90

秒間でエンジンを加速し,

上記最大出力状態で

1

分間運転した後,

出力レバーを均一な速さで動かして

90

秒でエンジンをアイド

ルまで減速しなければならない。この運転の間中,

4.7.1.2

による振動測定装置を用いて,エンジンの

振動を連続的に記録しなければならない。エンジンの振動は,

3.2.1.4.10

に規定する水準を超えてはな

らない。

4.7.5.1.1

初期運転後の検査

  初期運転の完了後に,すべての重要な作動部品の詳細検査ができるように,

エンジンを十分に分解しなければならない。分解の範囲は,発注者の代表者が定めるべきである。いかな

る部品も欠陥があることが発見された場合,承認されている部品をそれと交換するために供給しなければ

ならない。更に,発注者の代表者の判断で,適当な時間の罰則運転を行わなければならない。

4.7.5.1.2

罰則運転

  罰則運転の持続時間は,発注者の代表者が決定しなければならない。罰則運転は,

最大でも初期運転の完全な繰返しとしなければならない。交換した部品を順応させるために,受注者の随

意によって,罰則運転前に追加運転を行ってもよい。

4.7.5.1.3

罰則運転後の検査

  罰則運転の完了後に,発注者の代表者の判断によって,エンジンの検査が

できるようにエンジンを分解しなければならない。

4.7.5.2

最終運転

  最終運転は,

4.7.5.1

の初期運転の繰返しとしなければならない。

4.7.5.3

不合格及び再試験

  エンジンが機能不良やエンジン仕様書の要求事項を満足していない証拠が

ある場合にはいかなる場合でも,試験を続行する前に,発注者の代表者が満足するまで,その不具合を調

査し,その原因を是正しなければならない。そのような調査のために,エンジン又はその構成部品のいず

れかの分解が必要な場合,

エンジンは不合格とみなさなければならない。

発注者の代表者の随意によって,

完全な再試験又はその不具合が生じる前の試験の部分の繰返しを行わなければならない。

4.7.5.3.1

エンジンの振動

  どのようなエンジンも,エンジン仕様書に規定する振動限界値を超える場合,

これは,機能不良とみなさなければならない。

4.7.5.3.2

過昇温度

  どのような時でも,温度が仕様書に規定する最大許容測定温度を超える場合には,

これは,機能不良とみなさなければならない。

4.7.5.3.3

停止

  エンジンの機能不良以外のいかなる原因による中断又は停止も,その中断又は停止が起

こった特定期間の繰返しを要求しなければならない。

4.7.5.3.4

流体の漏れ

3.3.6.4

に規定する限度を超えた流体の漏れが発見された場合,その漏れを直した

後に,発注者の代表者の判断で,点検運転又は完全な再試験を行わなければならない。


89

W 4606-1995

4.7.5.3.5

最大運転時間

4.7.5

のすべての運転,点検及び調整並びに初期運転前のどのような運転,点検

及び調整も含めて,

16

時間を超える総運転時間又は全部で

25

回を超える始動を行ったどのようなエンジ

ンも,不合格としなければならない。これらの不合格のエンジンからの部品と構成部品は,そのエンジン

の以前の不合格に関して発注者の代表者に十分に詳細を知らせることによって,新製の部品と構成部品に

必要な検査を再び実施するならば,製作中の他のエンジンに用いてもよい。

4.7.6

試験の完了

4.7.5

の条件を満足し,データによって次のエンジン仕様書の要求事項の適用部分に

適合していることが実証された場合には,領収試験は,満足に完了したとみなさなければならない。

(a)

  3.2.1

−性能特性

(b)

  3.2.1.4.8

−滑油の圧力と温度の限界

(c)

  3.2.1.4.9

−滑油消費量

(d)

  3.2.1.4.10

−振動限界

(e)

  3.2.1.5.3

−停止

(f)

  3.2.1.5.5

−安定性

(g)

  3.2.1.5.6

−エンジン出力の変移

(h)

  3.2.2.1

−完備エンジンの乾燥質量

(i)

  3.3.6.4

−流体の漏れ

(j)

  3.7.9

−始動系統

4.7.7

サンプリング計画

  サンプリング計画を実施する場合,選定したサンプルエンジンは,

4.7.5.1

4.7.5.2

によって運転しなければならない。残りのすべてのエンジンは,

4.7.5.2

によって運転を行う。

5.

引渡し準備

5.1

保管及び発送の準備

  エンジンは,

MIL-E-5607

に従って保管と発送との準備をしなければならない。

エンジンの保存の程度,エンジンの発送コンテナの型式及びエンジンの履歴記録の備え付けは,契約書の

要求事項に従わなければならない。エンジンに装着されてはいないが,エンジンとともに出荷するすべて

の構成部品や工具を含んでいる各々のエンジンには,包装一覧表を備え付けなければならない。

6.

注記

6.1

用途

  この規格によって規定するエンジンは,航空機の推進用である。

6.2

用語の定義及び記号

  この規格とエンジン仕様書に用いる用語の定義と記号は,以下に規定すると

おりとする。

6.2.1

用語の定義

6.2.1.1

予備飛行定格試験  (Preliminary Flight Ratimg Test) (PFRT) 

  予備飛行定格試験とは,実験用航

空機の飛行試験に限定して使用されるエンジンモデルの適切性を実証するため,エンジンと構成部品に対

して行われる試験,実証及び解析活動の総合をいう。参照のため,

PFRT

に対して要求される試験,実証

及び解析項目を

附属書 A

に一覧表として示す。

6.2.1.2

認定試験 (Qualification Test) (Qt) 

  認定試験とは,生産と運用に対するエンジンモデルの適切性

を実証するため,認定用に提供されたエンジン,構成部品に対して行われる試験,実証及び解析活動の総

合をいう。参照のため,

QT

に要求される試験,実証及び解析を,

附属書 B

に一覧表として示す。

6.2.1.3

領収試験  (Acceptance Test) (AT) 

  領収試験とは,エンジン仕様書中に規定された範囲まで正し

い組立と性能を実証するため,契約に基づいて領収用に提供されたエンジンに対して行う試験をいう。


90

W 4606-1995

6.2.1.4

発注者 (Procuring Service) 

  発注者とは,エンジンの契約を協議する機関をいう。

6.2.1.5

使用機関 (Using Service) 

  使用機関とは,

MIL-STD-879

に従い,エンジンに対し,その機関の

モデルダッシュ番号が指定された機関をいう。

6.2.1.6

定格 (Rating) 

  定格とは,エンジン仕様書の

表 1

又は

表 2

に規定された性能特性値をいう。

6.2.1.7

最大出力 (Maximum Power) 

  最大出力とは,少なくともエンジンの仕様書に規定された段階的

持続時間の間,エンジンが作動できる運転状態をいう。

6.2.1.8

中間出力 (Intermediate Power) 

  中間出力とは,少なくとも段階的持続時間が

30

分の間,エン

ジンが作動できる運転状態をいう。

6.2.1.9

最大連続出力  (Maximum Continuous Power) 

  最大連続出力とは,エンジンが連続して作動でき

る運転状態をいう。

6.2.1.10

最大逆出力 (Maximum Reverse Power) 

  最大逆出力とは,少なくともエンジンの仕様書に規定

されている段階的持続時間の間作動できる運転状態をいう。

6.2.1.11

定格トルク (Rated Torque) 

  定格トルクとは,エンジンを

表 1

又は

表 2

の出力定格で運転して

いるときの定格出力軸回転速度における発生出力軸トルクをいう。

6.2.1.12

最大許容トルク (Maximum Allowable Torque) 

  定常状態又は変移状態のどちらかで規定する最

大許容トルクとは,それを超えたエンジンの作動が許容されない限界トルクをいう。

6.2.1.13

アイドル (Idle)

3.2.1.5.4.1

を参照のこと。

6.2.1.14

無負荷 (No Load)

3.2.1.5.4.2

を参照のこと。

6.2.1.15

発生軸出力  (Delivered Shaft Power) 

  発生軸出力とは,発生トルク及び出力軸回転速度によって

測定された出力軸に発生する出力をいう。

6.2.1.16

最大許容回転速度 (Maximum Allowable Speed) 

  定常状態又は変移状態のどちらかで規定する

最大許容回転速度とは,それを超えたエンジンの作動は許容されない限界回転速度をいう。

6.2.1.17

定格ガスジェネレータ回転速度  (Rated Gas Generator Speed) 

  定格ガスジェネレータ回転速度

とは,定格測定温度以下で,

表 1

又は

表 2

の指定された定格値に達するために許容される最大回転速度を

いう。

6.2.1.18

定格出力軸回転速度  (Rated Output Shaft Speed) 

  定格出力軸回転速度とは,

表 1

又は

表 2

の出

力定格で作動中に,エンジンが定格トルクを発生しているときの出力軸の回転速度をいう。

6.2.1.19

最大許容測定温度 (Maximum Allowable Measured Temperature) 

  定常状態又は変移状態のどち

らかで規定する最大許容測定温度とは,それを超えた温度ではエンジンの作動が許容されない限界温度を

いう。

6.2.1.20

定格測定温度 (Rated Measured Temperature) 

  定格測定温度とは,定格ガスジェネレータ回転

速度以下で

表 1

又は

表 2

の指定された定格値に達するために,許容された最大測定温度をいう。

6.2.1.21

燃料消費率  (Specific Fuel Consumption) (SFC) 

SFC

とは,単位出力当たり単位時間に消費され

る燃料の質量をいう。

6.2.1.22

サージマージン (Surge Margin) 

  サージマージンとは,所要の定常状態と変移状態における性

能を維持している間の,不利な作動状態に対するエンジンの計算した許容値と実証した許容値又はそのど

ちらか一方の許容値をいう。

6.2.1.23

失速 (Stall) 

  失速とは,機能の全体的な喪失を招かないエンジン圧縮系統における内部の空力

的じょう乱をいう。


91

W 4606-1995

6.2.1.24

サージ (Surge) 

  サージとは,機能の全体的な喪失を招くエンジン圧縮系統における内部の空力

的じょう乱をいう。

6.2.1.25

標準状態 (Standard Condition) 

  標準状態とは,

ASTIA Document No.401813

,アメリカ合衆国

標準大気−1962 (JIS W 0201)

に示された大気温度と大気圧力の数値をいう。この規格においての標準湿度

とはすべての高度における零蒸気圧をいう。仕様書中に記されたすべての高度は,ジオポテンシャル高度

でなければならない。

6.2.1.26

絶対高度 (Absolute Altitude) 

  絶対高度とは,エンジン仕様書で規定されたラム圧力比のもとで,

満足に機能を果たす最高高度をいう。

6.2.1.27

風車抗力 (Windmilling Drag) 

  風車抗力とは,圧縮機に流入する空気の運動量から,定められ

た出口ダクトとノズルから流出する空気の運動量を差し引いたものをいう。

6.2.1.28

満足に (Satisfactorily) 

  エンジン仕様書中に記述されたエンジンの作動や性能に関する語や用

語に関連して,この規格で用いられる“満足に”や“満足な”という語は,次のことを意味しなければな

らない。すなわち,規定された条件で,作動範囲全域にわたってエンジンの作動特性と性能が影響されず,

仕様書に示された作動限界と物理的限界を超えず,しかも,エンジンに永久変形やその他の損傷が起こら

ないこと。

6.2.1.29

破局的エンジン故障  (Catastrophic Engine Failure) 

  エンジンの停止やエンジンの広範囲な損傷

を招く故障。これは,単なる能力の部分的低下や長期間にわたる漸進的劣化を生じる故障とは区別する。

6.2.1.30

客用抽気 (Customer Air Bleed) 

  客用抽気とは,エンジン外部の任意の系統に使用するためエン

ジンから抽出してもよい空気で,これは,エンジンの加速,エンジンの防氷その他のあらゆるエンジン系

統の要求事項に対して必要とする抽気のほかに利用できる量である。

6.2.1.31

エンジン構成部品 (Engine Components) 

  エンジン構成部品とは,エンジンの一部として供給さ

れ,しかも,エンジンとともに認定された機器に関する品目をいい,その大きさや形態や動的又は静的特

性は,エンジン仕様書に規定されたエンジン性能を達成するために不可欠である。

燃料ポンプ,エンジン制御装置,可変ガイドベーン作動器,防氷弁及び温度受感系統又は装置が,この

範ちゅうに入る。構成部品について,個々の認定,校正又は調整を要求してもよい。

6.2.1.32

補機 (Accessories) 

  補機とは,航空機の運航のため,又はエンジン作動のための附属品として

必要な機器で,エンジン製造業者から供給されないエンジンに取り付ける機器の品目をいう。

6.2.1.33

ガルピング体積 (Gulping Volume) 

  ガルピング体積とは,滑油温度が

15

℃でエンジンの回転速

度が零のときの滑油リザーバ容積と,エンジンが安定した最大連続回転速度のときの滑油リザーバ容積と

の差をいう。ガルピング体積は,エンジンの始動時ごとの潤滑系統の管路,ポンプ,油だめ,軸受の空間

などを満たすのに必要な滑油の初期量を示す。

6.2.1.34

使用不能滑油 (Unusable Oil) 

  使用不能滑油とは,エンジン仕様書に規定された運動力と姿勢の

下で,作動範囲全域にわたってエンジン潤滑要求事項を満足させるのに役立たない潤滑系統中の滑油の最

大量をいう。

6.2.1.35

任務 (Mission) 

  任務とは,飛行に先立つエンジンの始動に始まり,飛行完了時のエンジンの停

止で終わる期間をいう。

6.2.1.36

ミッションプロフィール (Mission Profile) 

  ミッションプロフィールとは,対気速度,高度,出

力レバー設定位置及び持続時間を含む飛行状態で表した個別の任務の表現をいう。

6.2.1.37

任務の頻度 (Mission Mix) 

  任務の頻度とは,各ミッションプロフィールが規定された時間内に

現れる相対的頻度(回数)をいう。


92

W 4606-1995

6.2.1.38

エンジン設計デューティサイクル  (Engine Design Duty Cycle) 

  エンジン設計デューティサイク

ルとは,ミッションプロフィールと任務の頻度から導かれる合成サイクルをいう。

6.2.1.39

エンジンの整備性 (Engine Maintainability) 

  エンジンの整備性とは,整備工数,要員の技術レ

ベル,試験装置及び整備支援設備を過剰に使用しないで,規定された時間内で,整備(検査,調整,取外

し,試験,修理及びオーバホール)ができる,エンジン及びその部品の能力(すなわち固有の設計特性)

をいう。

6.2.1.40

計画整備 (Scheduled Maintenance) 

  計画整備とは,計画時に行う整備作業で,修正作業と,検

査の“目視段階

 (look phase)

”と“調整段階

 (fix phase)

”とからなる整備作業をいう。目視段階は予防整

備であり,調整段階は目視段階の結果,必要となる事後整備

 (Corrective maintenance)

その他の整備である。

6.2.1.41

計画外整備 (Unscheduled Maintenance) 

  計画外整備とは,計画整備の周期の間に起こる整備を

いう。

6.2.1.42

非同時作動不可能時間率  [Non Concurrent Downtime Rate (NCDR)] 

  非同時作動不可能時間率

とは,ある種の整備作業又は使用機関が作動不可能時間作業として規定した種類の作業に対する時間率の

和をいう。各作業に対して,一作業当たりの時間に単位時間(飛行時間,作動時間などの規定された時間)

当たりの作業数として表現した作業頻度を乗じたものとする。

6.2.1.43

オーバホール間隔  (Time Between Overhaul) 

  オーバホール間隔とは,基地でのオーバホールの

間に(又は製造と初めてのオーバホールとの間に)各個のエンジンが実際に飛行した時間数の和を,最小

時間の取外しでオーバホールしたものも含むオーバホール回数で割ったものをいう。

6.2.1.44

信頼性に関する用語の意味 (Reliability Definitions) 

6.2.1.44.1

エンジンの故障 (Engine Failure) 

  信頼性の判定に対して,エンジンの故障は,次のように定

義しなければならない。

(a)

エンジン構成部品の故障の結果,

任意の要求レベルの出力を得るか又は維持することができないこと。

故障が起きたある特定の出力設定に対して飛行中の出力が通常利用できる最小出力の

10%

以上低下す

れば,これはこの特性を測るためには故障となるとする。

(b)

エンジンの運転停止の決定,又は適正な要求値の

10%

を超えてエンジン出力を減少させるためにスロ

ットルを後退させるという決定をせざるをえない状態で,エンジンに直接的に原因がある場合。フレ

ームアウトがエンジンに原因がある場合は,エンジンフレームアウトは(たとえ,再始動に成功して

も)故障に含まれる。

(c)

エンジンに直接に原因があって,最初の試みから

15

分以内に始動できないこと。

(d)

飛行後の測定で低い滑油レベルは,もしその滑油の消耗率から

12

時間の飛行を推定した場合,低滑油

警報を発する可能性が十分であれば,故障とみなす。

(e)

高い振動は,もしそのレベルが合格可能限界を超え,しかも,これが原因で続いてエンジンが修理さ

れたり不合格とされたり,また,交換された場合には,故障とみなす。

(f)

もし,欠陥が構成部品の交換によってすぐに修正されるならば,たとえその構成部品の台上試験で,

構成部品の故障を確証できなくても,故障とみなす。

(g)

単独の故障を是正するため多数の部品を取り外しても,

これはエンジンに対する一つの故障とみなす。

(h)

継手又は接続部から

3.3.6.4

に規定する量を超える流体の漏れがあり,この漏れに起因する故障は,エ

ンジンの責任とみなす。

(i)

エンジンの機能不良又は切迫した機能不良の証拠によるエンジンの運転停止。

6.2.1.44.2

除外する故障 (Excluded Failure) 


93

W 4606-1995

(a)

輸送,保管,検査,整備,修理,装着,オーバホール又は交換を,現在適用している要領や航空機の

品質に関するワークマンシップの合理的標準に反して,不適正に行った結果生じた故障。

(b)

エンジンの仕様書に規定された環境条件と時間サイクル限界を超えてエンジンを作動させるか,適用

仕様書の規定に適合していない燃料や滑油を用いてエンジンを作動させた場合に,これらが原因で生

じた故障。

(c)

異物による損傷

 (FOD)

に起因する故障のように,主な故障原因が,エンジンの設計又は品質に直接

には起因しない場合の故障。

(d)

エンジンの始動を最初に試行した後

2

分間以内に始動を達成し,しかも,整備活動が行われなかった

場合の始動故障。

(e)

エンジン受注者が供給していない機器の故障で,この規格に規定する限界内で,エンジンが適正な機

能又はインタフェースを供給できない結果として生じたのではない故障。

(f)

汚染レベルがこの規格に規定する限界を超えた場合に,燃料系統の汚染の結果生じた故障。ただし,

汚染がエンジンが原因で生じたという証拠がある場合を除く。

(g)

操縦者又は乗員によって報告されたあらゆる機能不良で,その後の調査,飛行又は地上試験で立証す

ることができない機能不良。

(h)

該当する使用機関がエンジンの是正的設計変更又は作動手順変更を技術的に承認した故障は,承認日

以後は故障とみなさない。ただし,上記の処置が採られ,しかも,規定された是正措置手順を使用す

ると決定しない場合は除く。

6.2.1.44.3

平均故障間隔 (Mean Time Between Failure) 

  平均故障間隔とは,測定期間内で累積された全

エンジン作動時間を測定期間中の故障回数で割ったものをいう。

6.2.1.44.4

修正平均故障間隔  (Adjusted Mean Time Between Failure) 

  修正平均故障間隔とは,技術変更

提案

 (ECP)

に述べている個別の故障事象の発生時以前に提出され,承認された

ECP

に規定する故障に対

する観測故障率に調整を施した後に計算された平均故障間隔をいう。

6.2.1.45

急加速 (Speed Burst) 

  急加速とは,

0.5

秒以内で出力軸回転速度レバーを急速に進めることをい

う。

6.2.1.46

急減速 (Speed Chop) 

  急減速とは,

0.5

秒以内で出力軸回転速度レバーを後退させることをいう。

6.2.1.47

ロードバースト (Load Burst) 

  ロードバーストとは,出力軸に負荷を急速に加えることをいう。

6.2.1.48

ロードチョップ (Load Chop) 

  ロードチョップとは,出力軸に加わっている負荷を急速に取り

除くことをいう。

6.2.1.49

ターボシャフトエンジン (Turboshaft Engine) 

  ターボシャフトエンジンとは,軸出力を供給す

るあらゆるガスタービンエンジンをいう。

6.2.1.50

ターボプロップエンジン (Turboprop Engine) 

  ターボプロップエンジンとは,航空機のプロペ

ラを駆動するための軸出力を供給するあらゆるガスタービンエンジンをいう。

6.2.1.51

制御レバー [Conrol Lever (s)] 

  制御レバーとは,エンジンを制御するため,又はプロペラやそ

の他の軸出力吸収装置に対して作動を調整するために必要なあらゆるレバーをいう。

6.2.1.52

軸出力吸収装置 (Shaft Power Absorber) 

  軸出力吸収装置とは,エンジンの出力軸トルクと回転

速度を吸収するあらゆる装置又は負荷伝達機構をいう。

動力計,

プロペラ及びヘリコプタの回転翼系統が,

この範囲に入る。


94

W 4606-1995

6.2.1.53

定格発生軸出力  (Rated Delivered Shaft Power) 

  定格発生軸出力とは,指定された定格に対して,

エンジンの定格の温度,燃料消費量及び回転速度を超えない状態で,発生する出力値をいう。この出力は,

種々の定格点のそれぞれに対して,エンジン仕様書の

表 1

2

に規定される出力とする。

6.2.1.54

ジェットノズル面積 (Exhaust Nozzle Area) 

  ジェットノズル面積とは,排気ガスが排気ダクト

を通過するとき通る最小開口部の実際の面積をいう。

6.2.1.55

測定温度 (Measured Temperature) 

  測定温度とは,燃焼器出口平均ガス温度,又はエンジンの

作動範囲全域にわたって適用できるような単独の最大許容限界値を設定できるように燃焼器出口平均ガス

温度と関係付け得るその他の温度をいう。

6.2.1.56

風車 (Windmilling) 

  風車とは,通常のスタータ機構以外のあらゆる外部の手段によって,いず

れかの軸又はすべての軸が回転することをいう。

6.2.1.57

完全に負荷された補機パッド (Fully Loaded Accessory Pads) 

  完全に負荷された補機パッドと

は,すべての補機パッドに最大定格トルクを加えることをいう。

6.2.1.58

エンジンの環境条件と作動(運転)範囲  (Environmental Conditions and Operating Envelope of the 

Engine) 

  エンジンの環境条件と作動範囲とは,外部から加えられる負荷や姿勢などの極限と限界及び環

境の極限であって,エンジン仕様書の適用範囲内で個々に及びすべての組合せで同時に課されるものをい

う。

6.2.1.59

追加機器 (Additional Equipment) 

  追加機器とは,エンジンとともに出荷される品目で,補機で

も構成部品でもないあらゆる品目をいう。

6.2.1.60

圧縮機入口面積 (Compressor Inlet Area) 

  圧縮機入口面積とは,第

1

段ロータの翼断面付根前

縁によって定まる位置における流路面積をいう。

6.2.1.61

エンジン正面面積 (Engine Fronal Area) 

  エンジン正面面積とは,エンジンに取り付けられた構

成部品を含めて,エンジンの正面投影に基づく面積をいう。

6.2.1.62

エンジン入口面積 (Engine Inlet Area) 

  エンジン入口面積とは,航空機の空気取入口ダクトとエ

ンジンの前面との結合部における空気流通路に垂直な平面内の正味の面積をいう。

6.2.1.63

増強 (Augmentation) 

  増強とは,質量流量を増加することによって軸出力の増加が得られるこ

とをいう。

6.2.1.64

重心  (Center of Gravity) 

  重心とは,エンジンの乾燥質量が集中したと仮定し得る点をいう。

6.2.1.65

エンジン軸 (Engine Axes) 

  エンジン軸とは,縦方向,横方向及び垂直方向におけるエンジンを

通る幾何学的基準線をいう(エンジン座標系を参照のこと。

6.2.1.66

エンジン座標系  (Engine Coordinate System) 

  エンジン座標系とは,

X

Y

及び

Z

軸を用いて位

置を指示する体系をいう。この座標系の原点は,エンジンの重心とする。エンジンの後部から見たとき,

正の方向は次のとおりにしなければならない。

X

軸――原点から前方へ

Y

軸――原点の左方へ

Z

軸――原点の上方へ

6.2.1.67

乾燥質量 (Dry Mass) 

  乾燥質量とは,エンジンとその構成部品でその系統の中に液体がない状

態のときの物的な合計質量をいう。これには補機や追加機器の質量を含めない。

6.2.1.68

最大試験出力  (Maximum Test Power) 

  最大試験出力とは,少なくともエンジン仕様書で最大出

力に対して規定されている段階的な持続時間の間の作動能力を保証するために,

PFRT

QT

においてエン

ジンを作動させる運転状態をいう。この出力水準は,

4.5.1.3

4.6.1.3

に定められている。


95

W 4606-1995

6.2.1.69

中間試験出力 (Inermediate Test Power) 

  中間試験出力とは,少なくとも

30

分間の段階的な持続

時間に対する作動能力を保証するために,

PFRT

QT

においてエンジンを作動させる運転状態をいう。こ

の出力水準は,

4.5.1.3

4.6.1.3

に定められている。

6.2.1.70

最大連続試験出力  (Maximum Continuous Test Power) 

  最大連続試験出力とは,連続作動能力を

保証するため,

PFRT

QT

においてエンジンを作動させる運転状態をいう。この出力水準は,

4.5.1.3

4.6.1.3

に定められている。

6.2.1.71

系統の不正確度限界 (System Inaccuracy Limit) 

  系統の不正確度限界とは,試験計測で読み取

るデータの数値とエンジンで実際に物理的に生じる数値の最大の可能な相違をいう。

6.2.1.72

空中始動 (Air Starting) 

  空中始動とは,規定された範囲の対気速度,高度,大気温度及び温度

浸せき条件の下で,飛行中に行うエンジン始動をいい,エンジン仕様書に規定されている始動方法(風車

やスタータの援助)と手順を用いて行う。

6.2.2

記号,添え字及び略語

  この規格で用いる記号,添え字及び略語は,

ARP 755

に従い,エンジン仕

様書に一覧表として示さなければならない。

6.3

注文データ

6.3.1

調達要求事項

  使用機関は,この中のいかなる希望の選択権を行使してもよい。調達文書には,次

の事項を指示すべきである。

(a)

この規格の表題,番号及び発行年

(b)

使用機関が要求した場合には,現尺実大模型(

3.1.2.2

参照)

(c)

エンジンの保存の程度と発送コンテナの型式(

5.1

参照)

6.3.2

受注者データの要求事項

6.3.2.1

構造荷重解析

3.1.2.5

の要求事項による構造荷重解析を

PFRT

の開始前に提出しなければならな

い。

6.3.2.2

エンジン放熱及び冷却報告書

3.1.2.8.2

の要求事項によるエンジン放熱及び冷却報告書を

PFRT

6

か月前に提出しなければならない。

6.3.2.3

性能の立証

3.2.1.3

に従って,性能を立証するのに必要なエンジンの試験データと解析結果は,

PFRT

耐久試験の開始前に提出し,

QT

耐久試験の開始前に更新しなければならない。

6.3.2.4

故障モード及び影響解析

3.2.3

による故障モードと影響解析を

PFRT

の開始前に提出し,

QT

開始前に更新しなければならない。

6.3.2.5

信頼性解析報告書

3.2.3

によるエンジン信頼性報告書を

QT

の完了時に提出しなければならない。

6.3.2.6

耐腐食性

3.2.5.5

に要求するとおり,選定されたすべての材料と被覆の試験に関する報告書は,

PFRT

の開始前に提出しなければならない。

6.3.2.7

材料及び工程に関する文書

3.3.1.1

に要求するとおり,エンジン製造業者の材料と工程に関する

文書は,

PFRT

の開始前に使用機関に提出しなければならない。

6.3.2.8

電磁干渉

3.3.2

による電磁干渉制御計画と

EMI

又は

EMC

試験計画は,

PFRT

6

か月前と

QT

6

か月前に使用機関に提出しなければならない。

6.3.2.9

互換性及び置換性

  組合せ部品又は選択はめあい部品を識別する一覧表は,

3.3.5

に従って,

PFRT

QT

の前に使用機関に提出しなければならない。

6.3.2.10

強度及び寿命の解析

  強度と寿命の解析報告書は,

3.3.8.6

に要求するとおり,

PFRT

の前に使用

機関に提出し,

QT

の前に更新しなければならない。


96

W 4606-1995

6.3.2.11

振動及び応力の報告書

3.3.8.10.2

による振動と応力の解析報告書は,

PFRT

の開始前に使用機関

に提出し,

QT

前に更新して再提出しなければならない。

6.3.2.12

燃料系統校正限界

3.7.3.3.1

による報告書を,使用機関に提出しなければならない。

6.3.2.13

滑油流量及び放熱に関する報告書

3.7.7.3.1

に従って滑油流量と放熱に関する報告書を,

QT

耐久

試験の開始前に使用機関に提出しなければならない。

6.3.2.14

赤外線放射報告書

3.7.10.3

による赤外線放射報告書を,

PFRT

の開始前に提出しなければならな

い。

6.3.2.15

試験前のデータ

4.3.5.1

に規定する試験前のデータは,

4.4

4.5

及び

4.6

に要求された各試験の

開始前に使用機関に提出し,承認を得なければならない。

6.3.2.16

エンジン放熱及び滑油冷却報告書

  受注者は,

4.4.2

に要求される放熱と冷却の要求事項に関する

データを含む報告書を使用機関に提出しなければならない。

6.3.2.17

滑油遮断試験報告書

  受注者は,

4.4.3

に要求される滑油遮断試験報告書を使用機関に提出しなけ

ればならない。

6.3.2.18

エンジン電力故障試験

PFRT

の前に,エンジン電力故障試験に関する最終報告書を使用機関に

提出しなければならない。この報告書のデータは,

4.4.4

の結果でなければならない。

6.3.2.19

エンジン振動調査報告書

4.4.5

に従って,振動調査報告書を

PFRT

の耐久試験の前に使用機関に

提出しなければならない。

6.3.2.20

始動トルク実証手順

PFRT

の開始前に,始動トルクと回転速度の要求事項を実証するための手

順を使用機関に提出し,承認を受けなければならない。

手順の承認後,実際の実証に関する報告書は,

4.4.6

の要求に従って使用機関に提出しなければならない。

6.3.2.21

整備性及び整備実証報告書

4.4.8

の実証と試験運転との手順と結果とを記載した報告書を,

QT

の完了前に使用機関に提出しなければならない。

6.3.2.22

赤外線放射試験報告書

4.6.5.3

に従って,赤外線放射試験報告書を

QT

の完了前に使用機関に提

出しなければならない。

6.3.2.23

試験報告書

4.5

4.6

の各々の個別試験について記載している

4.3.6.1

に従って作成した個別の

試験報告書は,その個別試験の完了後

30

日以内に使用機関に提出しなければならない。

6.3.2.24

概要報告書

  ここに規定する予備飛行定格試験と認定試験の結果を要約した別個の試験報告書

を,

4.3.6.2

に従って作成し,最終の個別試験の完了後

30

日以内に使用機関に提出しなければならない。

6.3.2.25

エンジン圧力平衡報告書

3.3.8.4

に規定する荷重を立証する報告書は,

PFRT

に先立って使用機

関に提出しなければならない。

6.3.2.26

専門業者又は製造工程の変更

  受注者は,

3.3.9.4.2

に規定するとおり,エンジン部品として部品

を認定するために必要な個別試験の一覧表のほかに,代わりの専門業者の製造元や工程を認定するための

立証試験を要する部品,構成部品及び組立品の一覧表を作成し,使用機関に提出しなければならない。

6.3.2.27

修理手順及び摩耗限界

QT

に先立って,受注者は,

3.5.1.5

で要求される修理手順と摩耗限界を

使用機関に提出しなければならない。

6.3.2.28

相対的損傷図表

  受注者は,

QT

の開始前に,

3.7.6.7.1

表 9

の要求事項を満足する相対的損傷図

表を使用機関に提出しなければならない。

6.3.2.29

摩耗率解析報告書

PFRT

QT

の耐久試験に先立って,

3.7.7.4.6

で要求される摩耗率解析報告書

を使用機関に提出しなければならない。


97

W 4606-1995

6.3.2.30

包装一覧表

5.1

で要求されるとおり,エンジンとともに出荷するすべての構成部品と工具とを

含む包装一覧表を,各々のエンジンに備え付けなければならない。

6.3.2.31

性能表示ディジタル計算機プログラム

3.2.1.2

で規定するとおり,定常状態性能計算機プログラ

ムを作成し,使用者マニュアルと原始プログラムとともに使用機関に提出しなければならない。

6.4

国際標準化

(削除)

6.5

エンジン仕様書の作成

  ここに述べる作成要領の規定に適合する完全なエンジン仕様書は,受注者

が作成し,使用機関に提出して,承認を得なければならない。

6.5.1

作成要領

  エンジン仕様書は,次のとおりに作成しなければならない。

(a)

箇条の題名と番号は,この規格のそれに対応しなければならない。

(b)

ここで記述した箇条をそのまま適用できるものは,仕様書にそのまま記載しなければならない。どの

ような変更,追加又は削除も,余白の部分に識別符号や記号を付けることによって,識別しなければ

ならない。

(c)

この規格で特別のエンジンの設計には適用しない箇条は,該当する箇条番号と題名の次に“適用しな

い”という語を入れなければならない。

(d)

特別の設計を明確にするために修正を必要とする箇条は,その特別なエンジンと型式の特性を記述す

るのに必要な範囲だけを修正しなければならない。

(e)

新規要求事項や追加事項は,論理的な順序と位置に,追加の箇条や新しい箇条として追加しなければ

ならない。

(f)

表,図,図面,図表,附属書などの項目は,仕様書中に完全な形で示さなければならない。これらの

項目を呼び出すすべての説明は,仕様書の本文中に含めなければならない。

(g)

すべての曲線は,必要な補間ができるように適切な数のます目をもつグラフ用紙上に示さなければな

らない。

(h)

作成した仕様書は,容易に接近し,参照できるように,主な章や索引の間に仕切りページを入れなけ

ればならない。

(i)

仕様書番号とエンジン型式名は,文書の表紙の背の部分に表示しなければならない。

(j)

エンジンの海面上と高度の性能表は,それぞれ

表 1

表 2

のように示さなければならない。もし仕様

書が,例えば

YT

T

のように異なる性能の二つのエンジンを規定する場合は,追加したエンジンの

海面上と高度の性能表は,それぞれ

表 1A

表 2A

のように示さなければならない。

(k)

エンジン仕様書に記載するすべての変数は

International Standard ISO 1000

 (JIS Z 8203)

による

SI

位で示さなければならない。使用機関の判断で,

kgf-m

単位系やポンドーフィート単位系をあとに括

弧書きしてもよい。

Kgf-m

単位系やポンドーフィート単位系で示すものは,単なる情報で,

SI

単位で

示すデータが唯一の仕様書のデータとみなさなければならない。

6.5.2

承認の状況

  エンジン仕様書の最初のページには,左上隅にその仕様書の承認状況を示す情報を含

めなければならない。もし承認が得られている場合は,

“承認済”という語を入れ,承認通知を引用しなけ

ればならない。

もし仕様書が,まだ承認されていない場合には,

“未承認”という語を入れなければならない。

6.5.3

仕様書の日付

  仕様書の日付は,右上隅に記入しなければならない。


98

W 4606-1995

6.5.4

改訂

  改訂が行われた場合,それは,仕様書番号の後の

1

文字をその改訂日付とともに使用して示

し,しかも,それは,エンジン仕様書の

1

ページ目だけに示さなければならない。該当する場合は仕様書

番号と,改訂接尾文字だけを後続のページに示さなければならない。以前に提出したエンジン仕様書に,

改訂ページを作成して挿入することによって改訂を行うという方法を用いてはならない。

6.5.5

立証表

  この規格に含まれる

PFRT

QT

の立証表(

附属書 A

附属書 B

)の要求事項は,エンジ

ン仕様書に含めなければならない。

6.5.6

箇条と曲線図表の索引

  箇条と曲線図表の索引は,エンジン仕様書の一部として受注者が作成し,

使用機関に提出して承認を受けなければならない。

6.6

エンジン概要の作成要領

  エンジン概要(

表 3

表 4

参照)の作成要領は,次のとおりでなければ

ならない。

区画①

機密の等級

  概要に示されているデータのうちの最も高い等級を示す。現在適用している機密

の規定に従って,自動的に時間で区切られた格下げと機密解除の方式で,その状態を識別する特殊な記号

を含める。

区画②

名称

  公式の名称を示す。何も指定がない場合は,そのエンジンを識別するその他のすべての

名称を示す。

区画③

受注者の名称

  そのエンジンに対する受注者が付けた名称とエンジンの一般的な名称を示す。

該当しないときは,

“なし”と記入する。

区画④

仕様書のデータ

  受注者の名称,住所(市と県)

,そのデータのもとになっている型式仕様書番

号(ない場合は,報告書番号,公報又は経過報告書などのデータの出所と日付を示すこと)

,その仕様書の

最新の日付と担当検定機関によって承認されているかいないかを記入する。

区画⑤

絵で表したデータ

  ジェットノズルを右側にした鮮明な写真(側面図)を付ける。もし入手で

きなければ線図,青焼き図面又は画家のスケッチで差し支えない。この絵で表したデータは,その原形で

示してもよい。

区画⑥

後援機関

  そのプロジェクトを最初から後援している発注者機関の名称を示す。もし発注者の

後援がない場合は,責任ある受注者を示す。

区画⑦

一般的説明

  一般的な説明と冷却,液体噴射,アフターバーニング,信頼性,特殊性,制限事

項,エンジン寿命の予想,前の型式に対する発展,類似点などのうち該当するものに関する特殊なデータ

を示す。

区画⑧

入手可能性

(a)

計画開始……(計画開始の年と月を示す。

(b)

開発契約……(契約の年と月を示す。該当しない場合は“なし”と記入する。

(c)

エンジン実大模型の検査……(公式の完成予定の年と月を示す。該当しない場合は,

“なし”と記入す

る。

(d)

試験用エンジン……(完全な組立品としての最初の運転予定の年と月を示す。該当しない場合は“な

し”と記入する。試験用エンジンとは,基本的には,予備飛行定格試験を完了していないエンジンを

意味する。

(e)

航空機用実大模型……(公式の完成予定の年と月を示す。該当しない場合は,

“なし”と記入する。

(f)

装備エンジン……(最初の飛行エンジンを原型の機体に取り付けるために入手できたか,又は入手で

きる年と月を示す。該当しない場合は,

“なし”と記入する。

(g)

予備飛行定格試験

 (PFRT)

……(公式の完了予定の年と月を示す。該当しない場合は“なし”と記入す


99

W 4606-1995

る。

(h)

認定試験……(公式の完了予定の年と月を示す。該当しない場合は,

“なし”と記入する。実証又は航

空局の証明だけが必要な場合は,予定の年と月を示し,認定試験の行の下に記入する。

区画⑨

契約(調達)

  実証用,試験用又は研究用エンジンの場合は,すべての契約番号,契約範囲及

び全契約価格を示す。生産用又は運用試験用エンジンの場合は,すべての契約番号,契約当たりの数量及

び単価を示す。

区画⑩

状況

  現在の状況,すなわち,設計段階では実施中の構成部品の開発,最初の着火日付,製造

では製造完了の(年と月)

,現在実施中の製造の強化,今までに製造されたエンジンの台数などのうち,該

当するものを示す。

また,契約の開始後,エンジンが入手できるまでの概略の期間を示す。現在の状況,開発の段階及び入

手可能性を完全に説明するのに必要なすべての事項を示す。

区画⑪

個別の特徴

  すべての適用性能及び特性変数は,海面上静止標準日状態に基づく。

(a)

(単軸ロータ圧縮機の場合,以下の事項を示す。

圧縮機……          (種類,単軸ロータ,段数,可変機構などを示す。

          (

2

軸ロータ圧縮機の場合,以下の事項を示す。

圧縮機……

  低圧ロータ……

  高圧ロータ……

  (圧縮機の種類,

2

軸ロータ,各ロータの段数,可変機構などを示す。

(b)

(単軸ロータ圧縮機の場合,以下の事項を示す。

最大設計圧力比{海面上静止

 (SLS)

  全体……

1

    (

0.1

単位まで表す。

    (

2

軸ロータ圧縮機の場合,以下の事項を示す。

最大設計圧力比

 (SLS)

  低圧ロータ……

1

  高圧ロータ……

1

  全体……………

1

  (

0.1

の位まで表す。

(c)

最大許容抽気量……

%

(圧縮機抽気流量を最大定格出力時の圧縮機空気流量で割った値に

等しい。

0.1

の位まで表す。

(d)

最大定格空気流量

 (SLS)

……

kg/s

(e)

燃焼器……          (種類,数,流量などを示す。

(f)

(単軸ロータタービンの場合,以下の事項を示す。

タービン……          (種類,単軸ロータ,段数,可変機構などを示す。

            (

2

軸ロータタービンの場合,以下の事項を示す。

タービン……

  低圧ロータ……

  高圧ロータ……

    (タービンの種類,

2

軸ロータ,各ロータの段数,可変機構などを示す。


100

W 4606-1995

(g)

タービン冷却(種類,すなわち,空気,液体,無冷却などを示す。

(h)

最大許容定常状態温度(燃焼器出口)……          ℃

(i)

最大許容定常状態測定温度(測定位置を指示する)……          ℃

(j)

最大定格タービン入口温度

 (SLS)

……          ℃

(k)

ジェットノズル……          (種類,可変性,固定面積,出口面積などを示す。

(l)

再燃機構……          (種類,位置,なしなどを示す。

(m)

最大定格排気温度

 (SLS)

……          ℃

(n)

電気系統……          (電圧,周波数及び最大電流の要求事項を示す。

(o)

点火機構……          (種類,点火装置の数などを示す。

(p)

燃料制御……          (電気式,油圧式,空気圧式,ディジタルコンピュータなどの種類を示す。

(q)

燃料……          (主燃料と代替燃料の両方に対する指定の種類と規格を一覧表にする。

(r)

滑油……          (指定種類,等級及び規格を一覧表にする。

(s)

最大滑油消費量……

(t)

プロペラ軸……

(u)

減速歯車比……

(v)

トルク検出器……

(w)

補機駆動装置……          (装備されている駆動装置の数を一覧表にする。

区画⑫

寸法と質量

  すべてのデータは,室温における値を示す。

(a)

全長……

cm

(エンジンの中心軸と平行に

0.01

の位まで表す。

(b)

呼び直径……

cm

(エンジンの中心軸に垂直に

0.01

の位まで表す。

(c)

最大半径投影……

cm

(エンジンの中心軸に垂直に

0.01

の位まで表す。

(d)

乾燥質量……

kg

(エンジン構成部品でないがエンジンに備え付けられている品目を含めて

はならない。最も近い

kg

値で表す。

(e)

ウェット質量……

kg

(乾燥質量に運転とドレンの後残っている流体を加えたものに等しい。

最も近い

kg

値で表す。

区画⑬

利用

  ニックネームと呼びの両方によって機体への搭載を示す。機体搭載当たりエンジン数を

含め,更に,各機体の使用機関を示す。

区画⑭

日付

  概要の発行を示す日付をつけ加える。

区画⑮

性能

  適用エンジン仕様書の定格表に基づく性能を示す。

区画⑯

グラフで示した性能

  選ばれた海面上高度及び飛行速度に対して発生抽出力対

SFC

の曲線を

示す。飛行高度とマッハ数の選択は,エンジン能力と同じように機体への搭載要求事項に基づくべきであ

る。基礎データは,一般に,適用エンジン仕様書に示す定格表と

G&A

(地上と飛行中の)性能曲線から得

る。

区画⑰

注記

  もし必要ならば,エンジンの説明又は能力を完全に示すために必要であると思われるす

べての追加情報に対して使用する。


101

W 4606-1995

図 1  外部から加わる力

3.1.2.5 参照)


102

W 4606-1995

図 2  エンジンの表面温度対エンジンの長さ

3.1.2.8 参照)


103

W 4606-1995

図 3  エンジンの熱放射率の解析と計算の基礎

3.1.2.8 参照)

断面

材料

放射率

1

2

1.

(データに対する制限や条件)

2.

3.


104

W 4606-1995

図 4  (エンジンモデル)最小性能曲線

(該当する場合には,定格性能を示さなければならない)

3.2.1.2.2 参照)


105

W 4606-1995

図 4A  (エンジンモデル)最小性能曲線 

(該当する場合には,定格性能を示さなければならない。

3.2.1.2.2 参照)


106

W 4606-1995

図 4B  (エンジンモデル)最小性能曲線

(該当する場合には,定格性能を示さなければならない)

3.2.1.2.2 参照)


107

W 4606-1995

図 5A  アイドルガスジェネレータ回転速度

3.2.1.5.4.1 参照)


108

W 4606-1995

図 5B  アイドル出力軸トルク 

3.2.1.5.4.1 参照)


109

W 4606-1995

図 6  無負荷ガスジェネレータ回転速度

3.2.1.5.4.2 参照)


110

W 4606-1995

図 7  (エンジンモデル〉始動範囲と運転範囲

3.2.1.4.13.2.1.4.4 参照)


111

W 4606-1995

図 8  エンジン運転限界

3.2.1.4.13.2.1.4.4 参照)


112

W 4606-1995

図 9  エンジン姿勢限界

3.2.1.5.14.5.4.4 参照)

備考

(1)

エンジンは,起こり得るすべての加速条件において作動できなければならない。しかし,エンジンの重心から
の加速度ベクトルの方向を明確にするために,この図では重力以外の加速度は考えない。

(2)

*……地面を基準とする。

(3)

エンジン中心線は紙面に垂直とする。

(4)

白紙の部分は連続作動。

(5)

斜線部分は 30 秒間の作動。

(6)

記号○は試験点を示す。


113

W 4606-1995

図 10A  推定加速時間対高度

3.2.1.5.6.2 参照)


114

W 4606-1995

図 10B  推定加速時間(中間出力まで)

3.2.1.5.6.2 参照)


115

W 4606-1995

図 11  連続最大着氷条件

3.2.5.2 参照)


116

W 4606-1995

図 12  断続最大着氷条件

3.2.5.2 参照)


117

W 4606-1995

図 13  排気の目視不可能限界

3.2.5.8.1 参照)


118

W 4606-1995

図 14  周囲温度の分布

3.3.8.1 参照)


119

W 4606-1995

図 15  制御レバー角度対制御レバートルク

3.7.2.1.1 参照)


120

W 4606-1995

図 16  機能を制限する制御の領域

3.7.2.2.2 参照)

備考  すべての限界は機能に応じ個別に明確にすべきである。


121

W 4606-1995

図 17  始動トルクと回転速度要求事項

(海面上静止状態)

3.7.9.1.14.3.3.44.7.1.4 参照)

備考  図の中の文字記号の意味は,次のとおりとする。

a.

着火前に必要な回転速度

(該当する場合は,

エンジン製造業者は最小時間と回転数又は着火前に満足しなければならないあらゆる条

件の組合せを記述しなければならない)

着火速度での最大必要クランキング時間……秒

b.

スタータ駆動部の定常トルク

1.

未着火エンジン(−54℃における曲線は,回転開始時後の抵抗トルクを示す。

2.

着火エンジン

c.

最小スタータ切り放し回転速度……rpm

d.

最大スタータ切り放し回転速度……rpm(最大切り放し回転速度は,最小切り放し回転速度より少なくとも

10%

大きくあるべきである。

e.

エンジンアイドル状態


122

W 4606-1995

図 18  エンジン地上始動時間対周囲空気温度 

(静止,ラム圧力なし,海面上から 5km まで)

3.7.9.24.6.4.1 参照)


123

W 4606-1995

図 19  (エンジンモデル)エンジン高度試験点及び始動試験点 

4.5.34.5.3.24.6.34.6.3.2 参照)

備考  この図で指定する試験点は,エンジン運転範囲の重要な全領域を覆うように選定しなければならない。選定し

た試験点は,使用機関が同意したものでなければならない。


124

W 4606-1995

図 20  近距離場全周波数域音圧レベル曲線 

(基準音圧は 20

µPa 

4.6.4.10 参照)

図 22  近距離場オクターブバンド音圧レベル曲線 

(基準音圧は 20

µPa 

中心周波数 250Hz

4.6.4.10 参照)


125

W 4606-1995

図 21  遠距離場全周波数域音圧レベル曲線 

(基準音圧は 20

µPa 

4.6.4.10 参照)

図 23  遠距離場全周波数域知覚騒音レベル曲線 

(基準音圧は 20

µPa 

4.6.4.10 参照)


126

W 4606-1995

表 1  (エンジンモデル)定格性能(標準日,海面上,静止状態において)

ジェットパイプ面積          cm

2

3.13.2.1.13.2.1.23.2.1.4.5

3.2.5.74.5.1.2.34.5.1.34.5.1.64.5.4.44.6.1.34.6.1.76.2.1 参照)

表 2  (エンジンモデル)定格性能 

高度状態において

ジェットパイプ面積          cm

2

3.13.2.1.13.2.1.23.2.1.4.54.5.1.34.5.1.64.5.3.24.6.1.34.6.1.74.6.3.26.2.1 参照)


127

W 4606-1995

表 3  ターボシャフトエンジン特性概要

3.16.6 参照)


128

W 4606-1995

表 3  ターボシャフトエンジン特性概要(続き)

3.16.6 参照)


129

W 4606-1995

表 4  ターボプロップエンジン特性概要

3.16.6 参照)


130

W 4606-1995

表 4  ターボプロップエンジン特性概要(続き)

3.16.6 参照)


131

W 4606-1995

表 5  歯車装置のパッド及び駆動装置

3.1.2.73.7.9.23.7.9.44.6.2.4.2 参照)

表 6  信頼性数値

3.2.3 参照)


132

W 4606-1995

表 7  組織的な現地レベルの総合 

最大許容整備性推定値 

(ミッションミックス) 

3.2.4.1 参照)

表 8  運用上の適合性を立証するため予想 

される中間的な組織的整備

3.2.4.1 参照)


133

W 4606-1995

表 9  設計デューティサイクル

3.3.8.13.3.8.33.3.8.83.7.6.73.7.6.7.14.6.6.2 参照)

低サイクル疲労要求事項(サイクル)

応力破壊・クリープ要求事項

システム 
区分

固定翼

運用寿命 
(時間)

S-L

  T-O

(

2

)

T&G

(

3

)

逆スラスト

出力設定

高度

(km)

マッハ数

時間

%(

4

)

1.

貨物機−侵攻

低温部品

1 000

4 000

1 000

高温部品

5 000

2 000

500

2.

貨物機−中型と
大型

最大

海面上

(

1

) 4

低温部品

30 000

9 000

5 000

最大連続

10

(

1

) 87

高温部品

15 000

4 500

2 500

アイドル

(

1

)   9

3.

多用途機

低温部品

15 000

7 500

2 500

高温部品

7 500

3 700

1 300

4.

練習機

最大

海面上

(

1

) 1

最大

(

1

)

(

1

) 3

中間 3

(

1

) 25

低温部品

5 000

5 000

7 500

最大連続

(

1

)

(

1

) 64

高温部品

2 500

2 500

2 500

アイドル

(

1

)   7

(

1

)

使用機関が指示する。

(

2

)

海面上離陸

(

3

)

着陸復航

(

4

)

地上運用時間は,この時間に含めてある。

表 9  設計デューティサイクル(続き)

低サイクル疲労要求事項(サイクル)

応力破壊・クリープ要求事項

システム

区分 
ヘリコプタ

運用寿命

(時間)

S-L

  T-O

(

2

)

T&G

(

3

)

逆スラスト

出力設定

高度

(km)

マッハ数

時間

%(

4

)

1.

攻撃機

最大

海面上

(

1

) 5

最大連続

海面上

(

1

) 22

低温部品

6 000

9 000

最大連続

(

1

)

(

1

) 68

高温部品

3 000

4 500

無負荷

海面上

 5

最大

海面上

(

1

) 3

2.

貨物機−小型と

中型

最大連続

海面上

(

1

) 22

低温部品

12 000

12 000

最大連続

(

1

)

(

1

) 72

高温部品

6 000

6 000

無負荷

海面上

 3

3.

捜索救難機

最大

海面上

(

1

) 4

最大連続

海面上

(

1

) 18

低温部品

15 000

10 000

最大連続

(

1

)

(

1

) 74

高温部品

7 500

5 000

無負荷

海面上

 4


134

W 4606-1995

表 9  設計デューティサイクル(続き)

3.3.8.13.3.8.33.3.8.83.7.6.73.7.6.7.14.6.6.2 参照)

低サイクル疲労要求事項(サイクル)

応力破壊・クリープ要求事項

システム 
区分

ヘリコプタ

運用寿命 
(時間)

S-L

  T-O

(

2

)

T&G

(

3

)

逆スラスト

出力設定

高度

(km)

マッハ数

時間

%(

4

)

4.

多用途機

最大

海面上

(

1

) 5

最大連続

海面上

(

1

) 25

低温部品

6 000

9 000

最大連続

(

1

)

(

1

) 65

高温部品

3 000

4 500

無負荷

海面上

 5

最大

海面上

(

1

) 5

5.

貨物機−大型−
つり上げ

最大連続

海面上

(

1

) 20

低温部品 5

000

10

000

最大連続

(

1

)

(

1

) 70

高温部品

2 500

5 000

無負荷

海面上

 5

6.

練習機

最大

海面上

(

1

) 7

最大連続

海面上

(

1

) 22

低温部品 5

000

10

000

最大連続

(

1

)

(

1

) 65

高温部品

2 500

5 000

無負荷

海面上

 6

表 9  設計デューティサイクル(続き)

低サイクル疲労要求事項(サイクル)

応力破壊・クリープ要求事項

システム 
区分 
垂直・短距離

離着陸機

運用寿命 
(時間)  S-L  T-O

(

2

)

T&G

(

3

)

逆スラスト

出力設定

高度

(km)

マッハ数

時間

%(

4

)

1.

短距離

最大

海面上

(

1

) 2

離着陸機−小型

最大

(

1

)

(

1

) 3

低温部品

15 000

10 000

10 000

最大連続

5

(

1

) 90

高温部品

7 500

5 000

5 000

アイドル

海面上

 5

2.

短距離

最大

海面上

(

1

) 2

離着陸機−大型

最大

(

1

)

(

1

) 3

低温部品

10 000

10 000

10 000

最大連続

7

(

1

) 90

高温部品

5 000

5 000

5 000

アイドル

海面上

 5

表 9  設計デューティサイクル(続き)

3.3.8.13.3.8.33.3.8.83.7.6.73.7.6.7.14.6.6.2 参照)

低サイクル疲労要求事項(サイクル)

応力破壊・クリープ要求事項

システム 
区分 
垂直・短距離

離着陸機

運用寿命 
(時間)

垂直上昇

T&G

(

3

)

垂直降下

出力設定

高度

(km)

マッハ数

時間

%(

4

)

3.

垂直離着陸機

最大

海面上

(

1

) 5

最大

(

1

)

(

1

) 5

低温部品 10

000

6

700

− 6

700

最大連続

7

(

1

) 85

高温部品

5 000

3 400

− 3

400

アイドル

海面上

 5


135

W 4606-1995

表 10  燃料汚染要因物質

3.7.3.3.23.7.3.4 参照)

汚染要因物質

粒子の大きさ

含有量

鉄一酸化第二鉄

(Ferroso

−Ferric Iron Oxide)

[Fe

3

O

4

(黒色)磁鉄鉱]

0

∼  5

µm 3.70mg/l

酸化第二鉄

  (Ferric Iron Oxide)

[Fe

2

O

3

,赤鉄鉱]

0

∼  5

µm 3.83mg/l

酸化鉄 (Iron Oxide)

5

∼10

µm 0.396mg/l

石英粒

1

000

∼ 1  500

µm 0.066

1mg/l

石英粒

420

∼ 1  000

µm 0.463mg/l

石英粒

300

∼ 420

µm 0.264mg/l

石英粒

150

∼ 300

µm 0.264mg/l

調製したじんあい

参 考   A. C. Spark Plug Co. 部 品 番 号

1543637

(荒目のアリゾナ道路ダスト)

に適合するじんあい。

次のものの混合物

  0

∼  5

µm (12%)

  5

∼ 10

µm (12%)

10

∼ 20

µm (14%)

20

∼ 40

µm (23%)

40

∼ 80

µm (30%)

80

∼200

µm ( 9%)

2.11mg/l

綿くず (Cotton Linters)

7

ステープル (Staple) 未満(アメリカ

合衆国農務省等級基準 SRA-AMS 180

及び 251

0.026 4mg/l

天然ナフテン酸

 (Crude Naphthenic Acid)

容積比で 0.03%

蒸留水に塩を溶かして作った塩水,又は
全部で 200ppm 以下の固体を含むその他

の水

質量で NaCl 4%,H

2

O 96%

容積比で 0.01%


136

W 4606-1995

表 11  試験用燃料の性質

4.3.4.64.3.5.114.5.3 参照)

燃料は次を除き,

MIL-T-5624H

Amendment 1 (1971-7-30)

を加えたもの]の規定に適合していなければ

ならない。

要求事項

JP-4

JP-5

最小

最大

最小

最大

蒸留:

回収燃料  10%

98.9

℃ (210°F)

204

(400)

回収燃料  20%

82.2 (180)

110 (230)

196 (385)

213 (415)

回収燃料  50% 110  (230)

143 (290)

210 (410)

227 (440)

回収燃料  90% 163  (325)

204 (400)

238 (460)

260 (500)

最終点

 243

(470)  288

(550)

比重  API

50.0    43.0

硫黄,合計重量パーセント

0.004  0.004

凝固点

−50℃  (−67°F)

−40℃  (−40°F)

−34.4℃  (−30°F)  における動
粘度

mm

2

/s (cSt)

 10.0

(10.0)

芳香族,体積%

10.0  10.0

煙点  mm

 

21

引火点

38.9

℃ (120°F)

腐食防止剤

なし

上記に個別の限界値が指定していない場合には,

MIL-T-5624

の限界値を適用する。


137

W 4606-1995

表 12  データ記録要求事項

4.3.5.44.3.5.54.3.5.64.5.34.6.3 参照)

エンジンの始動

定常状態

1サイクルに1回

30分に1回、又は

変移中連続的

校正又は再校正

PFRT又はQT

1.

日時

X X    X X

2.

合計耐久時間

3.

出力設定

X X    X X

4.

可変形状位置

 X  X

5.

エンジンロータ回転速度  rpm

X X X X X

6.

アイドル時のロータ回転速度  rpm

X  

7.

点火時のロータ回転速度  rpm

X  

8.

スタータ切り離し時のロータ回転速度  rpm

X  

9.

燃料消費量  kg/h

  X X X X

10.

発生軸出力  kW

  X X X X

11.

空気流量算出用のデータ

 X  X

12.

エンジン入口平均絶対圧  kPa

X

X

X

13.

エンジン入口平均全温度  ℃

X X    X X

14.

圧縮機出口絶対全圧  kPa

  X X X X

15.

客用抽気絶対全圧  kPa

  X X X

16. 

圧縮機抽気絶対全圧(加速)  kPa

X  X

17.

圧縮機出口全温度  ℃

  X X X X

18.

客用抽気絶対静圧  kPa

  X X X X

19.

圧縮機抽気絶対静圧(加速)  kPa

X  

20.

圧縮機抽気全温度(すべてのポート)  ℃

X

X

X

21.

圧縮機抽気流量(すべてのポート)  kg/s

X

X

X

22.

タービン出口平均絶対全圧  kPa

X

X

X

23.

ジェットノズル出口絶対全圧  kPa

 X  X

24.

ジェットノズル絶対静圧  kPa

X

X

X

25.

ジェットノズル全温度  ℃

X

X

X

26.

滑油流量  kg/min

X

X

27.

滑油ポンプ入口における滑油入口温度  ℃

X X    X X

28.

滑油ポンプ入口における滑油圧力  kPa

X X    X X

29.

滑油ポンプ出口における滑油圧力  kPa

X X    X X

30.

排油ポンプ出口における滑油圧力  kPa

X

X

X

31.

排油ポンプ出口における滑油温度  ℃

X

X

X

32.

燃料又は滑油冷却器出口における滑油温度  ℃

X

X

X

33.

滑油通気口の絶対圧力  kPa

X

X

X

34. PFRT

と QT の各サイクルに対する滑油消費量

 X    X

35.

燃料系統入口における燃料圧力  kPa

X X    X X

36.

エンジン形態外形図に示す位置の燃料圧力  kPa

X X    X X

37.

燃料系統入口における燃料温度  ℃

X X    X X

38.

燃料又は滑油冷却器における燃料温度  ℃

X

X

X

39.

測定温度  ℃

X X X X X

40.

最大測定温度  ℃

X  

41.

ガスジェネレータタービン出口全温度  ℃

X  X X

42.

液体噴射流量(例えば水)  kg/h

X

X

X


138

W 4606-1995

エンジンの始動

定常状態

1サイクルに1回

30分に1回、又は

変移中連続的

校正又は再校正

PFRT又はQT

43.

エンジン形態外形図に示す位置のエンジンの振動速度

cm/s

X X X X X

44.

補機室温度(該当する場合)  ℃

X

X

X

45.

冷却空気入口温度  ℃

X

X

X

46.

冷却空気出口温度  ℃

X

X

X

47.

エンジン状態監視系統のデータ(各変数を一覧表にする

こと)

 X  X X

48.

セル絶対静圧  kPa

X X    X X

49.

点火装置電源電圧と電流(外部電力を使用している場合)

X X  X

50.

補機パッドにおける滑油の漏れ

X

X

X

51.

始動番号

X    X

52.

点火作動までの時間  s

X  

53.

着火までの時間  s

X  

54.

スタータ切り離しまでの時間  s

X  

55.

安定したアイドル rpm までの時間  s

X  

56.

滑油圧力が指示されるまでの時間(エンジン形態外形図
に示す位置において)

X  

57.

正規滑油圧力に安定するまでの時間(エンジン形態外形

図に示す位置において)

X  

58.

使用機関が要求する追加データ

X X X X X

59.

抽出動力  kW

  X X X X

表 13  海面上防氷条件

3.2.5.24.6.4.2 参照)

部分 1

部分 2

エンジン入口全温度

−20±1℃

−5±1℃

−5±1℃

速度

0

∼110km/h 0∼110km/h 0∼110km/h

高度

0

∼150m 0∼150m 0∼150m

平均有効水滴直径 20±5

µm 20±5µm 30±5µm

液体水分含有量

(連続)

1

±0.25g/m

3

2

±0.25g/m

3

 0.4

±0.1g/m

3


139

W 4606-1995

表 14  塩霧(塩水噴霧)注入耐久サイクルスケジュール

4.6.4.3 参照)

エンジン周囲空気

段階 
番号

(

3

)

段階持続

時間

h

試験エンジンの
作動

注入する

塩溶液濃度

(ppb)

温度

相対湿度

1 3(

1

)(

5

)

作動 200(

4

) 10

℃以上 73%以上

2 2

停止 0

大気温度

大気湿度

3 7

停止 200(

2

)(

4

) 10

℃以上 73%以上

4 12

停止 0

43

±5℃ 90%以上

5 3(

1

)(

6

)

作動 200(

4

) 10

℃以上 73%以上

6 2

停止 0

大気温度

大気湿度

7 7

停止 200(

2

)(

4

) 10

℃以上 73%以上

8 12

停止 0

43

±5℃ 90%以上

(

1

)

燃料を遮断してエンジンがアイドルから減速されている間は,塩水はロータが停止するまでエン

ジンに噴霧し続けなければならない。

(

2

)

試験設備の送風システムは,エンジンのガス通路を通り,更にエンジンの外部表面上に塩水を含
んだ噴霧空気流を供給する。

(

3

)

エンジン入口と排気開口部は,試験サイクルの全段階を通じて開放しておかなければならない。

(

4

)

エンジンに吸い込まれる塩水の溶液は下記の(

7

)

の規定に適合し,塩水注入を要求する各サイクル

の段階中に 200PPb の一定の塩の質量濃度を供給するように調節しなければならない。各作動サイ

クル中に濃度レベルを決定するため,塩水のサンプリングシステムを用いなければならない。

(

5

)

段階 1 のエンジン作動サイクル(全累積時間−3 時間)

(1)

最大出力の 5 分間に続くアイドルの 5 分間の運転からなる 10 分間のサイクルを 4 回。エンジン

に最大出力定格がないときは,中間出力を用いなければならない。

(2)

最大連続出力で 110 分間

(3)

中間出力で 30 分間

(

6

)

段階 5 のエンジン作動サイクル(全累積時間−3 時間)

(1)

最大連続出力で 10 分間

(2)

アイドルの 2.5 分間に続く中間出力の 2.5 分間の運転からなる 5 分間のサイクルを 6 回。

(3)

最大連続出力の 90%で 130 分間。

(4)

最大連続出力で 10 分間。

(

7

)

指定されたサイクル中に注入する噴霧溶液は,塩水の噴霧溶液 1を作るため十分な蒸留水で溶解

された次の物質から構成しなければならない。

化学製品名

噴霧溶液 1当たりの量

NaCl

(化学的に純粋の) 23g

Na

2

SO

4

・10H

2

O 8g

貯蔵液[(

8

)

参照] 20ml

(

8

)

貯蔵液は,貯蔵液1 を作るため十分な蒸留水で溶解された次の物質から構成しなければならない。

化学製品名

噴霧溶液 1当たりの量

KCl

(化学的に純粋の) 10g

KBr 45g

MgCl

2

・6H

2

O

(化学的に純粋の)

550g

CaCl

2

・6H

2

O

(化学的に純粋の) 110g


140

W 4606-1995

附属書 A  予備飛行定格試験 (PFRT) 要求事項

(X は該当項目を示す。

箇条番号

要求事項

解析

実証

試験

3.1.2.5

外部から加わる力 X

A

3.1.2.8.2

放熱及び冷却試験報告書 X

A

3.2.3

信頼性 X

B

3.2.5.5

腐食性大気条件

X  X

C

3.3.1.1

材料及び工程 X

D

3.3.2

電磁干渉 (EMI)

X

E

3.3.5

互換性 X

F

3.3.8.4

エンジンの圧力釣合い X

A

3.3.8.6

強度及び寿命解析 X

A

3.3.8.10.2

振動及び応力解析 X

A

3.7.7.4.6

摩耗率の解析 X

R

3.7.10.3

赤外線放射 (IR)

X

R

3.9.1

技術評価試験 X

G

4.3.5.1

試験前のデータ X

H

4.3.6.1

試験報告書 X

I

4.3.6.2

概要報告書 X

J

4.4.1

客用抽気

X

K

4.4.2

エンジンの放熱及び滑油の冷却

X

L

4.4.3

滑油遮断試験

X

G

4.4.4

エンジン電力故障試験

X

G

4.4.5

エンジン振動調査 X

M

4.4.6

始動トルク

X

N, S

4.4.7

エンジン圧力の釣合いの立証

X  X

S

4.4.9

材料腐食試験

X

C

4.5.1.1.1

エンジン乾燥質量

X

O

4.5.1.1.2

電磁干渉及び妨害感受性試験

X

4.5.1.1.3

制御レバーのトルク

X

4.5.1.2.1

温度受感系統の校正

X

4.5.1.2.2

エンジン制御系統の校正

X

P

4.5.1.2.3

エンジンの校正

4.5.1.2.3.1

客用抽気分析

X  X

Q

4.5.1.2.4

ターボプロップエンジンの校正

X

4.5.1.3

耐久試験の手順

4.5.1.3.1

始動

4.5.1.4.1

エンジンの再校正

X

4.5.1.4.2

温度受感系統の再校正

X

4.5.1.4.3

エンジン制御系統の再校正

X

4.5.1.4.4

ターボプロップエンジンの再校正

X

4.5.1.5

エンジンの分解及び検査 X

4.5.1.6

耐久試験の完了 X

4.5.2

エンジン構成部品試験

X

4.5.2.2

耐爆性試験

4.5.2.3

燃料ポンプ高度試験

X

4.5.2.4

滑油リザーバの圧力試験

X

4.5.2.5

耐火試験 (Fire Test)

X


141

W 4606-1995

(X は該当項目を示す。

箇条番号

要求事項

解析

実証

試験

4.5.3

高空試験

4.5.3.1

高空エンジン校正

X

4.5.3.2

高空試験手順

4.5.3.3

高空試験の完了 X

4.5.4

構造試験

4.5.4.1

エンジン耐圧試験

X

4.5.4.2

ロータの構造完全性

X

4.5.4.2.1

過回転速度

4.5.4.2.2

過昇温度

4.5.4.2.3

ディスク破断試験

X

4.5.4.3

エンジン静荷重試験

X

4.5.4.4

姿勢試験

注 A.  報告書は,PFRT の開始前に使用機関に提出しなければならない。

B.

エンジン故障モード及び影響解析は,PFRT に先立って実施しなければならない。

C.

材料及び皮膜試験計画案は,材料試験の開始前に使用機関に提出しなければならない。

また,材料試験の報告書は,PFRT の開始前に使用機関に提出しなければならない。

D.

エンジン製造業者の文書が材料及び工程に関して使用される場合,そのような文書は,

PFRT

の開始前に使用機関の審査を受けなければならない。

E.  MIL-STD-461

によって要求される EMI 制御計画並びに EMI 及び EMC 試験計画は,

PFRT

の前に作成しなければならない。

F.

組合せ部品又は選択はめあい部品は識別し,更に,一覧表を PFRT の前に使用機関に提出

しなければならない。

G.

試験報告書は,PFRT の完了前に提出しなければならない。

H.

試験前のデータは,PFRT に対して要求される各試験又は実証試験の開始前に使用機関に

提出し,承認を得なければならない。

I.

試験報告書は,PFRT に対して要求される各試験又は実証試験の完了に続き使用機関に提
出し,承認を得なければならない。

J.

概要報告書は,PFRT の完了に続き,使用機関に提出しなければならない。

K.

報告書は,PFRT 耐久試験の開始前に提出しなければならない。

L.

エンジン仕様書中に示す放熱解析及び表面温度解析を立証する報告書は,PFRT の開始前

に使用機関に提出しなければならない。

M.

振動調査報告書は,PFRT 耐久試験の開始前に使用機関に提出し,承認を得なければなら
ない。

N.

始動トルク実証試験を実施する手順は,試験開始前に使用機関へ提出し,承認を得なけれ
ばならない。

O.

エンジン質量は,校正の開始に先立ちエンジンに燃料又は滑油を供給する前に,測定しな

ければならない。

P.  4.5.1.2.3

のエンジンの校正の前に実施しなければならない。

Q.

客用抽気分析の結果,方法及び使用した試験装置は,エンジン試験報告書に詳細に説明し

なければならない。

R.

規定された方位角,仰角,バンドパス,高度及びエンジン出力設定値に対する最大 IR レ
ベルは,PFRT の開始前に使用機関に提出しなければならない。

S.

試験報告書は,PFRT の開始前に使用機関に提出しなければならない。


142

W 4606-1995

附属書 B  認定試験 (QT) 要求事項

(X は該当項目を示す。

箇条番号

要求事項

解析

実証

試験

3.2.3

信頼性

X

  A

3.3.2

電磁干渉

(EMI)

X

  B

3.3.5

互換性

X

  C

3.3.8.6

強度及び寿命解析

X

  D

3.3.8.8

クリープ

X

 

3.3.8.10.2

振動及び応力解析

X

  Q

3.5.1.5

修理手順及び摩耗限界

X

  E

3.7.6.7.1

相対的損傷図表

X

  F

3.7.7.3.1

滑油流表及び放熱

X

  G

3.7.7.4.6

摩耗率の解析

X

  P

3.9.1

技術評価試験

X

  H

4.3.5.1

試験前のデータ

X

  I

4.3.6.1

試験報告書

X

  J

4.3.6.2

概要報告書

(Summary

Reports)

X

  K

4.4.2

エンジンの放熱及び滑油の冷却

X

G

4.4.8

整備性及び整備の実証

X

4.6.1

耐久試験

X

4.6.1.1.1

エンジン乾燥質量

X

L

4.6.1.1.2

電磁干渉及び妨害感受性試験

X

4.6.1.1.3

制御レバーのトルク

X

4.6.1.2.1

温度受感系統の校正

X

4.6.1.2.2

エンジン制御系統の校正

X

N

4.6.1.2.3

エンジンの校正

X

4.6.1.2.3.1

客用抽気の分析 X

X

M

4.6.1.2.4

ターボプロップエンジンの校正

X

4.6.1.3

耐久試験手順

X

4.6.1.3.1

始動

X

4.6.1.4.1

エンジンの再校正

X

4.6.1.4.2

温度受感系統の再校正

X

4.6.1.4.3

エンジン制御系統の再校正

X

4.6.1.4.4

ターボプロップエンジンの再校正   X

4.6.1.5

エンジンの分解及び検査

X

 

4.6.1.6

エンジンの再組立及び再試験

X

4.6.1.7

耐久試験の完了

X

 

4.6.2

エンジン構成部品試験

X

4.6.2.2

構成部品の模擬運転試験

X

4.6.2.2.1

構成部品の校正

X

4.6.2.2.2

構成部品試験の手順

X

4.6.2.2.3

構成部品試験のサイクル

X

O

4.6.2.2.3.1

燃料ポンプの試験サイクル

X

4.6.2.2.3.2

エンジン制御系統の試験サイクル   X

O

4.6.2.2.3.3

点火系統の試験サイクル

X

4.6.2.2.4

促進老化

X

4.6.2.2.5

高温

X

4.6.2.2.6

室温

X


143

W 4606-1995

(X は該当項目を示す。

箇条番号

要求事項

解析

実証

試験

4.6.2.2.7

低温

X

4.6.2.2.8

燃料ポンプのキャビテーション

X

4.6.2.2.9

再校正

X

4.6.2.2.10

構成部品試験の完了

X

 

4.6.2.3

構成部品の環境試験

X

4.6.2.3.1

構成部品の校正

X

4.6.2.3.2

構成部品試験の手順

X

4.6.2.3.3

湿度

X

4.6.2.3.4

かび

X

4.6.2.3.5

耐爆性

X

4.6.2.3.6

砂じん(ダスト)

X

4.6.2.3.7

持続加速

X

4.6.2.3.8

衝撃

X

4.6.2.3.9

振動

X

4.6.2.3.10

点火系統のよごれ

X

4.6.2.3.10.1

炭素よごれ

X

4.6.2.3.10.2

水よごれ

X

4.6.2.4

個別構成部品試験

X

4.6.2.4.1

滑油リザーバ

4.6.2.4.2

補機駆動及びパワーテークオフ

X

4.6.2.4.3

直流発電機及び交流発電機の試験   X

4.6.2.4.4

熱交換器

X

4.6.2.4.5

耐火試験

X

4.6.2.4.6

油圧系統

X

4.6.3

高空試験

X

4.6.3.1

高空エンジン校正

X

4.6.3.2

高空試験手順

X

4.6.3.3

高空試験の完了

X

 

4.6.4

エンジンの環境及び吸込み試験

X

4.6.4.1

低・高温始動及び加速試験

X

4.6.4.2

環境着氷試験

X

4.6.4.3

腐食性試験

X

4.6.4.4

鳥の吸込み試験

X

4.6.4.5

異物による損傷試験

X

4.6.4.6

氷吸込み試験

X

4.6.4.7

砂吸込み試験

X

4.6.4.8

大気中の水分吸込み試験

X

4.6.4.9

特殊ガス吸込み試験

X

4.6.4.10

騒音調査

X

4.6.4.11.1

排気煙放出

X

4.6.4.11.2

目に見えない排気の放出質量

X

4.6.4.12

耐放射線試験

X

4.6.5

エンジン特性及び燃料試験

  X X

4.6.5.1

始動トルク

X

4.6.5.2

レーダ断面積 (RCS)

X

4.6.5.3

赤外線放射試験

X

4.6.5.4

代替燃料試験

X

4.6.5.5

非常燃料試験

X

4.6.6

構造試験

X

4.6.6.1

エンジン耐圧試験

X


144

W 4606-1995

(X は該当項目を示す。

箇条番号

要求事項

解析

実証

試験

4.6.6.2.1

低サイクル疲労構成部品試験

X

4.6.6.2.2

低サイクル疲労エンジン試験

X

4.6.6.3

コンテインメント

X

4.6.6.4.1

過回転速度

X

4.6.6.4.2

過昇温度

X

4.6.6.4.3

ディスク破断試験

X

4.6.6.5

エンジン静荷重試験

X

4.6.6.6

振動及び応力試験

X

4.6.6.7

ジャイロ試験

X

注 A.  エンジン故障モード及び影響解析は,QT 前に必要によって修正しなければならない。

B.  MIL-STD-461

によって要求される EMI 制御計画並びに EMI 及び EMC 試験計画は,QT

の前に作成しなければならない。

C.

組合せ部品又は選択はめあい部品は,識別し,一覧表を QT 前に使用機関に提出しなけれ
ばならない。

D.

強度及び寿命解析報告書は,QT 前に更新しなければならない。

E.

受注者は,QT の前に,運転後の摩耗の限界と標準及び部品の修理手順を設定しなければ
ならない。

F.

相対的損傷図表は,QT の開始前に,提出しなければならない。

G.

エンジン仕様書中に示す熱平衡解析を立証する報告書は,認定耐久試験を開始する前に使
用機関に提出しなければならない。

H.

報告書は,QT の完了前に提出しなければならない。

I.

試験前のデータは,QT に対して要求される各試験又は実証試験の開始前に使用機関に提
出し,承認を得なければならない。

J.

試験報告書は,QT に対して要求される各試験又は実証試験の完了に引き続き,使用機関

に提出し,承認を得なければならない。

K.

概要報告書は,QT の完了に引き続き,使用機関に提出しなければならない。

L.

エンジン質量は,校正の開始に先立ちエンジンに燃料又は滑油を供給する前に,測定しな

ければならない。

M.

客用抽気分析の結果,方法及び使用した試験装置は,エンジン試験報告書中に詳細に説明
しなければならない。

N.  4.6.1.2.3

のエンジンの校正の前に実施しなければならない。

O.

試験サイクルは,受注者が定め,試験前のデータの中に含めて使用機関に提出しなければ
ならない。

P.

報告書は,QT の耐久試験の前に使用機関に提出しなければならない。

Q.

振動及び応力解析報告書は,QT の前に更新すべきである。


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W 4606-1995

航空規格原案作成委員会構成表

氏名

所属

(委員長)

竹  中  規  雄

日本大学理工学部

土  屋  武  二

横浜ゴム株式会社航空部品事業部

渡  辺      修

通商産業省機械情報産業局航空機武器課

大久保  和  夫

通商産業省工業技術院標準部機械規格課

加  藤      晋

運輸省航空局技術部検査課

井  村      勇

海上保安庁警備救難部

瀬  倉  久  男

防衛庁装備局調達補給課

山  根  晧三郎

科学技術庁航空宇宙技術研究所

横  田  友  宏

日本定期航空操縦士会

中  西  正  義

社団法人日本航空技術協会

白  浜  洋  海

日本航空株式会社技術部技術企画室

佐  治  康  雄

全日本空輸株式会社整備本部技術部技術管理課

内  田  憲  夫

東亜国内航空株式会社整備本部技術部

藤  嶋  敏  夫

航空規格調査会

播  磨  克  彦

富士重工業株式会社航空機技術本部設計管理課

金  田  利  泰

三菱重工業株式会社名古屋航空機製作所第

2

技術部

久  米  健二郎

川崎重工業株式会社航空機事業本部航空機技術本部管理業務課

石  塚  伊左夫

石川島播磨重工業株式会社航空エンジン事業部技術

2

山  田  正  道

住友精密工業株式会社第

1

技術部

田      隆  吉

三菱電機株式会社電子システム業務部

竹  内  誠一郎

株式会社東芝特定機器部

立  石      弘

株式会社島津製作所航空機器事業部第

1

工場第

1

技術課

(事務局)

番  匠  敦  彦

社団法人日本航空宇宙工業会

小  林  繁  雄

社団法人日本航空宇宙工業会