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日本工業規格

JIS

 W

3102

-1994

航空機用空気圧系統構成部品通則

Pneumatic system components, aeronautical, general specification for

1.

総則

1.1

適用範囲  この規格は,MIL-P-5518 に基づく航空機空気圧系統に用いる空気圧構成部品の一般的要

求事項について規定する。

備考1.  この規格の引用規格を,次に示す。

JIS B 0601

  表面粗さ−定義と表示

2.

この規格の中で{  }を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであって,

参考として併記したものである。

参考  この規格の内容は,MIL-P-8564D (1970-11-18)  に相当する。

1.2

種類  この規格に規定される航空機空気圧系統の構成部品は,形式により次の 2 種類とする。

形式 I  環境温度範囲  −54∼+71℃  (−65∼+160

°F)

形式 II  環境温度範囲  −54∼+135℃  (−65∼+275

°F)

2.

関連文書

2.1

この規格の関連文書を,次に示す。

備考  これらの関連文書を使用するときは,最新版による。

仕様書 

Federal 

QQ-C-320

Chromium Plating (Electrodeposited)

QQ-N-290

Nickel Plating (Electrodeposited)

QQ-P-416

Plating, Cadmium (Electrodeposited)

QQ-S-365

Silver Plating, Electrodeposited, General Requirement for

QQ-Z-325

Zinc Coating, Electrodeposited, Requirement for

Military 

MIL-D-1000

Drawings, Engineering and Associated

MIL-L-4343

Lubricating Grease, Pneumatic System

MIL-C-5015

Connectors, Electric “AN” Type

MIL-E-5272

Environmental Testing, Aeronautical and Associated Equipment, General

Specification for

MIL-G-5514

Gland Design, Packings, Hydraulic, General Requirements for

MIL-P-5517

Plastic Parts in Aircraft Hydraulic Equipment, General Tests for

MIL-P-5518

Pneumatic Systems, Aircraft ; Design Installation and Data Requirements for


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W 3102-1994

MIL-C-5541

Chemical Films and Chemical Film materials for Aluminum and Aluminum

Alloys

MIL-I-6866

Inspection, Penetrant Method of

MIL-I-6868

Inspection Process, Magnetic Particle

MIL-P-6906 Plate,

Identification, Aircraft

MIL-S-7742

Screw Threads, Standard, Optimum Selected Series, General Specification for

MIL-M-7969

Motors, Alternating Current, 400-Cycle, 115/200-Volt System, Aircraft, General

Specification for

MIL-M-8609

Motors, Direct Current, 28-Volt System, Aircraft, General Specification for

MIL-A-8625

Anodic Coatings, for Aluminum and Aluminum Alloys

MIL-T-10727

Tin Plating, Electrodeposited or Not-Dipped, for Ferrous and Nonferrous Metals

MIL-C-26074

Coating, Electroless Nickel, Requirement for

MIL-C-26500

Connector, General Purpose, Electrical Miniature, Circular, Environment

Resisting, 200 Degree C Ambient Temperature

規格 

Military 

MIL-STD-129

Marking for Shipment and Storage

MIL-STD-130

Identification Marking of U.S. Military Property

MIL-STD-143

Specifications and Standards, Order of Precedence for the Selection of

MIL-STD-704

Electric Power, Aircraft, Characteristics and Utilization of

MIL-STD-889 Dissimilar

Metals

MS 9058

Ring-Back-Up, Boss Connections, AMS 3651

MS 20659

Terminal, Lug, Crimp Style, Copper, Uninsulated, Ring Tongue, Type I, Class I

MS 20995 Wire,

Lock

MS 28772

Packing, “D” Ring, Shock Strut

MS 28774

Retainer, Packing Backup, Single Turn, Tetrafluoroethylene

MS 28778

Packing, Preformed, Straight Thread Tube Fitting Boss

MS 28782

Retainer, Packing, Back-Up, Teflon

MS 28783

Ring, Gasket, Back-Up, Teflon

MS 33514

Fitting End, Standard Dimensions for Flareless Tube Connection and Gasket Seal

MS 33515

Fitting End, Standard Dimensions for Bulkhead Flareless Tube Connections

MS 33540

Safety Wiring and Cotter Pinning, General Practices for

MS 33547

Pins, Spring, Functional Limitations of

MS 33566

Fitting, Installation of Flareless Tube, Straight-threaded Connectors

MS 33649

Boss, Fluid Connection

−International Straight Thread

MS 33656

Fitting End, Standard Dimension for Flared Tube Connection and Gasket Seal

MS 33657

Fitting End, Standard Dimension for Bulkhead Flared Tube Connections

Air Force-Navy Aeronautical 

AN 814

Plug and Bleeder

−Screw Thread

AN 6227

Packing, “O” Ring, Hydraulic


3

W 3102-1994

AN 6230

Gasket, “O” Ring, Hydraulic

AND 10064

Fitting

−Installation of Flared Tube, Straight Threaded Connectors

AND 10074 Boss

−Spacing−Hydraulic

AND 10476 Washer

−Limitation on Usage of Lock

その他の出版物 

ANA  (Air Force-Navy Aeronautical Bulletin) No.147 Specifications and Standards of

non-Government Organizations Released for Flight Vehicle Construction

ANSI  (American National Standard Institute) B 46.1-1962 Surface Texture, Surface Roughness,

Waviness and Lay (JIS B 0601)

3.

要求事項

3.1

一般構成部品に対する受注者規格  受注者と発注者との間の相互の協定によって,この規格を直ち

に特定の空気圧系統に適用することができないか,又は必要な例外処置のためこの規格の適用ができなく

なるような場合には,受注者は,この規格に準じた一般構成部品規格を作成し,それを承認のため発注者

に提出しなければならない。

その規格は,空気圧系統の全構成部品に対する性能,設計及び試験の要求を指示し,また,適用個別構

成部品仕様書によって規定されない構成部品を管理するものでなければならない。

3.2

材料  材料は,関連規格に適合し,ここに指定するものでなければならない。関連規格に規定され

ない材料又はここに特に記載されていない材料も,それらの使用によってより優れた製品となることを証

明できれば使用してもよい。

3.2.1

金属  すべての金属は,その構成部品がさらされる空気媒体,目的とする温度,機能,使用及び貯

蔵の各状態に適応しなければならない。金属は,適正な耐食性をもつか,又は異種金属の組合せ,湿気,

塩水噴霧及び高温劣化によって起きる腐食に耐えるよう,

表 に示されたものと同等の皮膜を用いること

により,十分保護しなければならない。皮膜のクラスやタイプが指示されていない場合は,それは製造業

者に任されているものとし,発注者の承認を受けなければならない。異種金属については,MIL-STD-889

に定義されている。

表 1  金属皮膜

皮膜

関連文書

カドミウムめっき

Federal QQ-p-416

タイプ II

クラス 2

亜鉛めっき

Federal QQ-Z-325

タイプ II

クラス 2

クロムめっき

Federal QQ-C-320

ニッケルめっき

Federal QQ-N-290

銀めっき

Federal QQ-S-365

すずめっき

MIL-T-10727

タイプ I

非電解ニッケル

MIL-C-26074

3.2.1.1

すべての銅合金は,

表 から適当な皮膜を選んで防食処理を施さなければならない。ただし,摩

擦を受けるものは,カドミウム及び亜鉛めっきを施してはならない。発注者に十分であることが実証され

ておれば,非電解ニッケル,電着 85%すず・15%カドミウム合金など他の金属皮膜を使用してもよい。

すべてのアルミニウム合金は,MIL-A-8625 タイプ II の皮膜に合致した陽極処理を施さなければならな

い。ただし,摩擦を受けない箇所に適用する場合には,タイプ I の皮膜でもよいし,また,MIL-C-5541

に合致した化学皮膜でもよい。


4

W 3102-1994

3.2.1.2

形式 構成部品  鋼製部品は,12%以上のクロムを含むか,又は 3.2.13.2.1.1 及び表 の規定に

よって腐食に対して十分保護しなければならない。マグネシウムは,形式 I 構成部品に使用してはならな

い。

3.2.1.3

形式 II 構成部品  鋼製部品は,12%以上のクロムを含むか,又は 3.2.13.2.1.1 及び表 の規定に

よって腐食に対して十分保護しなければならない。マグネシウムは,形式 II の構成部品に使用してはなら

ない。

3.2.1.4

残留磁気  磁石としての機能を目的としないもので,磁気残留性のある材料で作られた部品は,

磁性汚染物の蓄積による機能不良をも含んで,系統又は構成部品の機能不良を防止するために,十分脱磁

しなければならない。

3.2.2

プラスチック部品  プラスチック部品の使用は,その使用に対して発注者の承認を受けなければな

らない。

3.2.3

材料の選択  すべての材料及び部品に対する仕様書及び規格並びに工程及び設備に対する発注者

の検定及び承認に関する仕様書及び規格で,ここで特別に指示されていなくて,この規格を実施するのに

必要なものは,次の項に規定するものを除き,MIL-STD-143 及び ANA No.147 によって選択しなければな

らない。

3.2.3.1

標準部品  標準部品(MS 又は AN)は,使用目的に適した所に用い,それらの部品番号を用い

て図面に指示しなければならない。ねじ,ボルト,ナット,割りピンなどの一般市販部品は,適正な性質

を有し,なんら変更なしに標準部品(MS 又は AN)に交換することができ,かつ,該当する標準部品番号

を部品表及びできれば受注者の図面に記載してあれば使用してもよい。適当な該当標準部品がない場合は,

この規格及び個別仕様書のすべての要求に適合すれば,市販品を用いてよい。

3.2.4

保存寿命  正規保存の後,満足に使用できることを保証する材料を選択するため,できる限りの努

力をしなければならない。

3.3

設計及び構造

3.3.1

一般  標準部品の構成,寸法及びその他の設計の詳細は,該当する AN 又は MS によらなければな

らない。非標準部品は,MIL-P-5518 によって管理される製造業者の適用図面に適合しなければならない。

設計に際しては,機能試験の方法及び装置が標準設計のものによれるよう,できる限りの努力をしなけれ

ばならない(3.9 参照)

3.3.2

温度範囲  構成部品は,個別仕様書に規定された温度範囲内で十分満足に作動するような設計及び

構成でなければならない。

3.3.3

ねじ  平行ねじは,MIL-S-7742 に適合するユニファイ細目ねじ UNF-3A 又は 3B を用いなければ

ならない。管用ねじは使用してはならない。

3.3.4

空気媒体  構成部品は,空気,窒素又は発注者によって指示されたその他のガスを用いて作動する

ように設計しなければならない。

3.3.5

オリフィス  穴径 1.78mm (0.070in)  未満のすべてのオリフィスは,詰まりによる系統の機能不良を

起こさないよう,0.20∼0.30mm (0.008∼0.012in)  の目の開きをもつろ過エレメントで保護しなければなら

ない。オリフィスとろ過エレメントは,系統設計流量と圧力に対し十分耐え,破壊や過度の変形を起こす

ことのない強度をもつものでなければならない。

3.3.6

シール


5

W 3102-1994

3.3.6.1

一般  構成部品は,部品類の組立時,O リング及びバックアップリングがねじ部や鋭角部を通る

とき,傷が付かないで構成部品の組立てができるよう,十分なすきまをもつように設計しなければならな

い。MIL-G-5514AND 10064 及び MS 33566 は,形式 I 及び形式 II の系統のパッキン取付けに対して適用

する。

3.3.6.2

形式 の系統構成部品  すべてのパッキン及びガスケットは,MS 28778AN 6227AN 6230 

は MS 28772 によらなければならない。バックアップリングは,MS 28774MS 28782MS 28783 又は MS 

9058

によらなければならない。

3.3.6.3

形式 II の系統構成部品  バックアップリングは,MS 28774 又は MS 9058 によらなければならな

い。

3.3.7

ゆるみ止め  ロックワイヤ穴を持たない標準部品を除き,すべてのねじ部品は,からげ線,もどり

止めナット又は他の認められた方法で確実にゆるみ止めをしておかなければならない。からげ線は,MS 

33540

によって取り付け,MS 20995 に適合するものでなければならない。歯付き座金及び薄形ナットは,

もどり止め装置として使用してはならない。止め座金の使用は,AND 10476 に示す制限に従わなければな

らない。

3.3.8

止め輪  リテーナリング又はスナップリングは,みぞから抜け出ないように確実に止められている

場合を除き,それが破損した場合に内圧によって部品が抜け出して四散するような箇所に使用してはなら

ない。

また,すきまや製作公差の集積によって組立品に有害な軸方向の遊びを生じ,その結果パッキンやガス

ケットの破損,圧こん,又は部品の疲れ破壊を引き起こすような箇所にも使用してはならない。

リテーナリング又はスナップリングを空気圧のかからない構成部品の保持,例えば圧力のかからないエ

ンドキャップを保持するのに使用するような場合には,リングは,標準のピン形プライヤ又は指定のリテ

ーナリング用に作られた標準工具で取付け,取り外しができるようにしなければならない。

3.3.9

スプリングピン  スプリングピンの使用は望ましくない。発注者の特別な許可がなければ,スプリ

ングピンは MS 33547 に示された制限に従わなければならない。

3.3.10

対称形構成部品  対称な構成部品は,取付け部やポートの位置などの方法によって,逆の取付けが

できないように設計しなければならない。

3.3.11

構造強度  構成部品は,空気圧,温度変化,作動又は使用及び管継手の接続に対するトルク負荷な

どのすべての負荷,

又はそれらの組合せによる負荷に耐えるよう,

十分な強度を持たせなければならない。

MS

又は AN の形式 II の標準構成部品は,135℃ (275

°F)  で 1 000 時間の時効によって生じる材料の強度低

下の後に,4.5.3.1 及び 4.5.3.2 にそれぞれ規定する保証圧力及び破裂圧力試験に耐えるように設計しなけれ

ばならない。

また,形式 II の非標準構成部品は,135℃ (275

°F)  で個別仕様書に規定する時間の時効によって生じる

材料の強度低下の後に,4.5.3.1 及び 4.5.3.2 にそれぞれ規定する保証圧力及び破裂圧力試験に耐えるように

設計しなければならない。

3.3.12

強さ  手動制御用レバーなどが構成部品の一部として用いられている場合,レバー機構及びストッ

パは,

制御レバーの長さ が 7.62cm (3in)  未満では 2.23R N・m (50R in-lbf) {22.7R kgf・cm},

R

が 7.62∼15.2cm

(3

∼6in)  では 3.33R  N・m (75R in-lbf) {34.0R kgf・m},及び 15.2cm (6in)  を超える R に対しては 6.67R  N・m

(150R in-lbf) {68.0R kgf

・cm}  の制限トルクに耐えるものでなければならない。構成部品がストッパをもっ

ているが,しかし制御レバーなどが組み込まれていない場合には,ストッパは 204N・m (1 800in-lbf)

{2079kgf

・cm}  の制限トルクに耐えなければならない。


6

W 3102-1994

3.3.13

定格流量  定格流量及び流れに伴う圧力差に耐え得る能力は,適用細部図面又は仕様書に規定され

たとおりでなければならない。

3.3.14

定格流量時の圧力降下  構成部品は,この規格の他の要求に矛盾しない流量に対して抵抗を最小に

するよう設計しなければならない。定格流量での圧力降下は,適用細部図面又は仕様書に規定された値を

超えてはならない。

3.3.15

空気抜き  構成部品の形状は,水又は余分の潤滑剤のような閉じ込められた異物を除きやすいよう

にしなければならない。

3.3.16

機能調整ねじ  機能調整ねじを使用する場合は,振動や作動のすべての要求条件のもとで調整が狂

わないような設計及び構造にしなければならない。摩擦形式のもどり止めの装置の使用は最小にとどめ,

かつ,発注者の承認を受けなければならない。もし,摩擦形式のものを使用する場合は,全調整範囲にわ

たって個別仕様書に規定する回数だけ調整を行い,更に振動試験を受けた後に調整が狂ってはならない。

調整ねじは,標準のスパナやねじ回しで調整及び固定ができるものでなければならない。

また,もしできれば,最大系統圧のもとで,空気媒体の損失が極く少量で調整できるものでなければな

らない。

調整ねじは,封印をして(からげ線をして)設定圧力を永久的に表示しなければならない。設定変更を

する場合には,この封印及び設定圧力の表示が壊されるようにしなければならない。

また調整装置は,内部に収めるか,又は不用意に触られないように,カバー又はそれに類するものによ

って保護しなければならない。

3.3.17

管接続

3.3.17.1

ボス  接続継手用及び AN 814 のプラグ用のめねじを切ったすべてのボスは,MS 33649 に適合し

なければならない。接続継手用のポートの間隔は,AND 10074 によらなければならない。ユニバーサル継

手を使用するときは,ボスの中に深くねじ込まれ過ぎたときに内部機構を破損したり,空気媒体の流れを

阻害しないように,ボスは十分に深くするか,又は適当なストッパを設けなければならない。

3.3.17.2

外部管接続  外部おねじ管接続を使用するときは,MS 33656 及び MS 33657,又は MS 33514 

び MS 33515 によらなければならない。20.6MPa (3 000psi) {210kgf/cm

2

}

用構成部品に用いるおねじフレア

継手端部は,12.7mm (

1

/

2

in)

未満の管寸法には鋼製のものを用いなければならないが,12.7mm (

1

/

2

in)

及び

それ以上の管の呼び寸法には,アルミニウム合金又は鋼のいずれを使ってもよい。組立が繰り返される箇

所の場合は,一体構造の継手を破損して使用不能にさせてしまうことがあるので,アルミニウム合金の使

用には注意をする必要がある。

3.3.17.3

管接続の表示  管接続に対するすべてのポートは,MIL-STD-130 に従い,そこに行われる接続を

示すために,名称を用いて明りょうに永久的な表示をしなければならない。できれば流れの方向も示さな

ければならない。略語を用いることは避けなければならないが,もし用いる場合は,表示用として一般工

業で受け入れられた略語を使用しなければならない。表示として,圧力に“P”

,シリンダに“C”のよう

な 1 文字の使用はしてはならない。デカルは,永久的表示と考えてはならない。

3.3.18

プラグ  構成部品の寿命中に取り外す必要のない永久的に取り付けたプラグ以外のすべてのプラ

グは,形式 I 及び形式 II の系統に対して AN 814 によらなければならない。管用ねじは,使用してはなら

ない。

3.3.19

案内  すべてのプランジャ,ポペット,球,ピストンなどは,それらの座に対しての座りの不良や

チャタリングを防止するため,正確に案内されなければならない。

3.3.20

電気制御構成部品


7

W 3102-1994

3.3.20.1

電圧範囲  電気的に作動させる構成部品は,直流 28V 又は交流 400Hz の 115V 単相若しくは 200V

三相で,MIL-TD-704 に規定されている特性を有する航空機の電気系統に適用して作動するように設計し

なければならない。構成部品は,

表 に規定されているクラスに対して,温度,空気圧力及び電圧の同時

極限のもとで作動するように設計しなければならない。

表 2  温度,圧力及び電圧

電圧 V

クラス

温度

系統圧力

直流

交流

A, B, C, D

(最小)4 時間浸せき

(最大)

(最小)

18

(最大)

92

(最大)

A, B, C, D

室温

21

∼32℃

(70

∼90

°F)

(最大)

(最小)

18

(最大)

92

(最大)

A, B, C, D

室温

21

∼32℃

(70

∼90

°F)

1.5

倍 24(最大) 110(最大)

A

(最大)プラス温度上昇

(最大)

(最小)

18

(最大)

92

(最大)

B

(最大)プラス温度上昇

(最大)

(最小)

24

(最大) 110(最大)

C

(最大)プラス温度上昇

(最大)

(最小)

29

(最大) 122(最大)

D

(最大)

(最大)

(最小)

18

(最大)

92

(最大)

3.3.20.1.1

クラス 及びクラス 構成部品  クラス A 及び B の構成部品は,常時通電・連続定格形式の

ものである。これらの構成部品は,コイル温度が安定するまで個別仕様書に規定する最高周囲温度及び高

度状態で,直流 29V 又は交流 122V のいずれか該当する電圧で励磁した後,規定された電圧で作動する能

力をもっていなければならない。もし,実際の系統中に何らかの形式のコイル温度制御が用いられている

場合には,試験にもそれを採用しなければならない。

3.3.20.1.2

クラス 構成部品  クラス C の構成部品は,常時通電・連続定格形式のものである。これらの

構成部品は,コイル温度が安定するまで個別仕様書に規定する最高周囲温度及び高度状態で,個別仕様書

に規定する電圧で励磁した後,同じ電圧並びに個別仕様書に規定する温度及び高度で再サイクルし得る能

力をもっていなければならない。もし,実際の系統中に何らかの形式のコイル温度制御が用いられている

場合には,試験にもそれを採用しなければならない。

3.3.20.1.3

クラス 構成部品  クラス D の構成部品は,常時無通電・断続定格形式のものであって,無通

電状態で温度が安定した後,個別仕様書に規定する最高温度及び高度条件で,規定された電圧で試験しな

ければならない。

通電時間と休止時間は,個別仕様書の規定によらなければならない。

3.3.20.1.4

構成部品のクラスは,個別仕様書で規定しなければならない。

3.3.20.2

ソレノイド作動構成部品  ソレノイドは,航空機に使用した場合に遭遇する機械的衝撃や応力に

耐えるよう,コンパクトな設計で十分に強い構造のものでなければならない。ソレノイドは,適用に応じ

連続又は断続定格として設計し,単一コイル巻きとしなければならない。ソレノイドは,湿気が電気巻線

に接触するのを防ぐために,完全に密閉しなければならない。コイルは,振動によってひき起こされる導

線の終極的な破損を防止するため,フレームにしっかりと固定しなければならない。

3.3.20.2.1

コイル  コイルは,均一に巻かれ,規定された性能要求に合致するように絶縁しなければなら

ない(3.3.20.2.7 参照)

コイルは,フレーム又は他の構成部品から完全に絶縁しなければならない。コイルは,適当にテープで

巻き,充てんし,構成部品に対して規定された湿度,塩水噴霧,振動その他の試験条件のもとで損傷する

のを防止するために,フレームに固く締め付けなければならない(4.参照)


8

W 3102-1994

3.3.20.2.2

端子  ソレノイドのコイルは,MIL-C-5015 又は MIL-C-26500 に適合する電気コネクタ又は適

用個別仕様書若しくは図面に表示してある植込みねじ形の端子に接続しなければならない。端子は,耐食

材料又は適当にめっきした材料で構成され,MS 20659 によるケーブル端子を使用するために,座金,止め

座金及びねじ又はナットを備えなければならない。

3.3.20.2.3

耐電圧  すべてのソレノイドは,商用周波数で 1500V (rms) 以上の電圧に,ソレノイドの最大

作動温度で端子とケースとの間で 1 分間耐える能力をもたなければならない(4.5.14 参照)

3.3.20.2.4

温度上昇  最大温度及び高度の状態で試験したとき,抵抗法で計算して平衡に達する温度は,

ソレノイドに使用される電気絶縁材その他の材料の連続定格温度を超えてはならない(4.5.7 参照)

3.3.20.2.5

耐久  電磁弁は,その構成部品の個別仕様書に規定された耐久試験に耐えなければならない

4.5.8 及び 4.6.1 参照)

3.3.20.2.6

姿勢  電磁弁は,どのような姿勢に取り付けられても,この規格のすべての要求に適合しなけ

ればならない。

3.3.20.2.7

性能  ソレノイドは,次の環境条件又はそれらが自然に組み合わさった条件のもとで,構成部

品を作動する能力がなければならない。

(a)

大気圧範囲  海面上から個別仕様書に規定された最大高度までに相当する圧力範囲。

(b)

温度範囲  構成部品に対する空気媒体及び周囲温度の限界として規定されているのと同一範囲。

4.5.6.4

による試験を受ける。

(c)

湿度  4.5.10 に規定された試験を受けたときに遭遇する条件。

(d)

砂じん  4.5.12 に規定された試験を受けたときに遭遇する条件。

(e)

振動  4.5.9 に規定された試験を受けたときに遭遇する条件。

(f)

かび抵抗性(4.5.11 参照)

(g)

塩水噴霧(4.5.13 参照)

3.3.20.3

電動機作動構成部品  空気圧構成部品を作動するための電動機の特性は,一般に,直流用は

MIL-M-8609

,交流用は MIL-M-7969 に適合し,更に耐油及び防爆要求を含めた個別仕様書に適合しなけ

ればならない。

3.3.20.4

クラッチ又はブレーキ  行程の行き過ぎを制限するためにクラッチ又はブレーキを使用する組

立品では,クラッチ又はブレーキの表面に油が付いても,構成部品の機能不良を引き起こすような行程の

行き過ぎが起こらないような設計にしなければならない。確実な機械的ストッパを使用して,正確な位置

で止めるようにしなければならない。

3.3.21

信頼性  各々の構成部品は,平均故障間隔 (MTBF) 又はそれと同等の規定された信頼性数値要求

に合致するよう設計・構成されなければならない。

構成部品の個別仕様書には,信頼度係数又はそれと同等の係数を含む必要な信頼性数値要求を規定しな

ければならない。

3.4

互換性  同一製造業者の同一部品番号をもつすべての部品は,取付け及び性能に関して互換性をも

つようにしなければならない。製造業者部品番号の変更は,MIL-D-1000 の図面番号要求によって管理し

なければならない。選択組合せ構成部品で作られた部品組立品は,組立品として交換可能とし,製造業者

の図面にそのように指示しなければならない。このような組立品の個々の構成部品は,互換性をもつ必要

はない。


9

W 3102-1994

3.5

潤滑剤  発注者により特に承認されない限り,形式 I 構成部品においては,ゴムと金属間の潤滑剤

として MIL-L-4343 に適合する潤滑剤だけを使用しなければならない。

形式 II 構成部品に対する潤滑剤は,

個別仕様書の要求事項に合う適当なものでなければならない。他の潤滑剤が必要な場合は,潤滑の方法と

使用する潤滑油は発注者の承認を受けなければならない。潤滑は,耐久試験又は正規の使用寿命中に再潤

滑のため分解する必要がないように行わなければならない。

3.6

重量  重量は,この規格の要求に合致し,できるだけ軽くしなければならない。組み立てられた構

成部品の重量は,製造業者の組立図面に規定しなければならない。

3.7

仕上げ(表面粗さ)  必要な箇所については表面粗さを決めて,これを JIS B 0601 (ANSI B46.1)  

従って製造業者の組立図に指定しなければならない。表面粗さの測定は,測定しようとする水準において

±15%の精度をもつ表面粗さ測定機,触針分析コンパレータその他適当な比較装置で行われなければなら

ない。

もし,表面欠陥が許されない場合には,すべての欠陥は指定限界内にあること,又はあらかじめ規定し

た特別検査基準に従うことを個別に指示した規定がなければならない。少なくとも 0.4a 又はこれより細か

い粗さ区分値が指定されている表面については,守るべき要求事項の一部をなす表面計測のほかに,それ

を作り出すために欠くことのできない工程の記述を加えなければならない。

また,必要があれば,うねりや加工模様も指定しなければならない。

3.8

物理的欠陥検査  すべての磁性のある高応力部品は,MIL-I-6868 に従った磁気検査を受けなければ

ならない。アルミニウム又はアルミニウム合金部品で MIL-C-5541 の材料で処理されているものは,処理

後 MIL-I-6866 に適合する工程で検査しなければならない。このような検査が必要な箇所は,製造業者の

図面にそれを示さなければならない。検査によって発見された割れその他の有害な欠陥は,不合格の原因

としなければならない。MIL-C-5541 に規定する材料を,陽極処理されている部品に修正塗りするのに使

用した箇所には,上記の検査工程は要求されない。

3.9

特殊工具  構成部品の正規の整備と検査のために特殊な又は一般でない工具を必要としないような

設計でなければならない。

3.10

生産品の識別  構成部品は,MIL-STD-130 に従って識別しなければならない。

3.10.1

銘板  各構成部品は,MIL-P-6906 に適合する丈夫な銘板によって識別しなければならない。銘板

はねじ,リベット,溶接又は他の承認された方法で各々の構成部品に確実に取り付けなければならない。

銘板を接着剤で取り付けようとするときは,発注者の事前の承認を必要とする。銘板は,取付け後,打刻

してはならない。

3.11

工作方法  工作方法は,適正な作動と使用寿命を確保するため,全般に高度のものでなければなら

ない。

4.

品質保証条項

4.1

検査の責任  契約又は購買指示書に特に指示がなければ,受注者はここに指示されたすべての検査

要求の実施に対して責任を負う。特に指示された場合を除き,受注者は,自己の設備又は発注者が承認す

る民間の研究所を利用してもよい。発注者は,供給品及び役務が規定の要求事項に合致していることを保

証するために必要と考えられる場合には,仕様書に定められたいかなる検査をも実施させる権利を保有す

る。

4.2

試験の種類  試験の種類は,個別仕様書に規定するとおりとする。


10

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4.3

試験試料  試験は,各構成部品について 2 個又はそれ以上の試料に対して実施しなければならない。

規定のどれかの試験に通ることに失敗したどの構成部品も不合格としなければならない。発注者が免除し

ない限り,この 2 個の試料は,次のとおり最も不利な寸法公差のものを準備しなければならない。

4.3.1

最小すきま試料  第一の試料は,極限温度での機能不良を起こすような可動部分と非可動部分間の

直線方向及び直径方向の公差に関するすきまが,製造業者図面で許される最小設計すきまの 110%以内と

なるように選択した部品で組み立てなければならない。ばねで作動するピストンなどのように,パッキン

の摩擦が構成部品の性能に影響する滑りシールの場合には,予想されるパッキンの最大摩擦が試料内に誘

起されなければならない。これらの場合,O リングパッキンのグランドは,最も不利な O リングの太さと

高膨潤性空気圧潤滑剤の影響も含めて,O リングの最大設計つぶししろが得られるように製作しなければ

ならない。この試料には,

“MIN”  と表示しなければならない。

4.3.2

最大すきま試料  第二の試料は,長時間の作動に伴う摩耗の結果機能不良を起こすような可動部分

と非可動部分の直線方向及び直径方向の公差に関するすきまが,製造業者図面で許される最大設計すきま

の 90%以上となるように選択した部品で組み立てなければならない。この試料には,

“MAX”  と表示しな

ければならない。

4.3.3

公差に対する考慮  これらの試料を加工する際,表面仕上げは,量産品よりも特によくしてはなら

ない。パッキングランドは,標準寸法に製作してもよい。ラップ仕上げ部品又は選択はめあい部品は,最

も不利な両限界寸法に作る必要はない。最も不利な公差の機器の製作を容易にするため,その限界すきま

を作るのに必要な組合せ部品のうち一方は,でき上がったすきまが指示の範囲内に収まるならば,図面公

差からはずれても差し支えない。

また,設計すきま自身が極端に公差の狭いものである場合は,発注者が判断した場合にだけ,すきまに

対する 10%の制限を緩和するか,又は全面的に免除してもよい。最も不利な公差試料が免除された場合に

は,試験は,2 個の代表的生産試料について実施し,試験報告書において,最も不利な公差条件の影響を

解析しなければならない。

4.3.4

試験条件  個別仕様書で修正又は追加がなければ,次の試験条件を適用する。

4.3.4.1

試験媒体  試験は,空気又は窒素を媒体として行わなければならないが,破裂圧力試験は,液体

で行ってもよい。この仕様書で標準空気とは,乾燥ガス 0.45kg (1lb)  当たり水蒸気 0.12g 以下を含み,温度

が 21℃ (69

°F)  で絶対圧力が 98.1kPa (14.7psi) {1kgf/cm

2

}

のときに質量が約 1.20kg/m

3

 (0.075lb/ft

3

)

のもの

と定義する。

4.3.4.2

温度  すべての室温(極限温度に対して)試験は,周囲温度及び試験媒体の入口温度が 21∼49℃

(70

∼120

°F)  で実施しなければならない。試験媒体と周囲の実際の温度を記録しなければならない。

4.3.4.3

ろ過  試験媒体は,絶えず 10

µm の標準フィルタエレメントに相当するエレメントで連続ろ過し

なければならない。使用するフィルタとエレメントは,遭遇する温度範囲に対して満足なもので,詰まり

を避けるため定期的に清浄又は交換しなければならない。より細かいろ過が要求される場合は,個別仕様

書に規定する。

4.4

品質確認試験  個別仕様書で他に規定されていなければ,形式 I 又は形式 II の構成部品に対する品

質確認試験は,次のもので構成しなければならない。

(a)

外観検査(4.5.1)

(b)

保証圧力(4.5.3.1)

(c)

漏れ試験(4.5.4)

(d)

圧力降下(4.5.5)


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4.4.1

品質確認試験条件  個別仕様書に他に規定がなければ,次の試験条件を適用しなければならない。

4.4.1.1

品質確認試験媒体  試験は,空気又は窒素を媒体として行わなければならない。

4.4.1.2

品質確認試験温度  他に規定がなければ,試験媒体と周囲温度は,21℃ (70

°F)  と 49℃ (120°F)  の

間でなければならない。

4.4.1.3

品質確認試験ろ過  他に規定がなければ,試験媒体は 10

µm(公称)の標準エレメントに相当す

るフィルタエレメントで絶えずろ過しなければならない。フィルタとエレメントは,詰まりを防止するた

め,定期的に清浄又は交換しなければならない。

4.5

試験方法−形式 構成部品

4.5.1

製品検査  各構成部品は,設計,重量,工作方法,表示について,この規格の要求事項に合致して

いること,適用 AN 又は MS 図面及び製造業者図面に合致していること,並びに目視し得る欠陥について,

入念に検査しなければならない。

4.5.2

プラスチック部品の浸せき  AN 又は MS 標準部品以外のプラスチック部品を含む構成部品は,こ

こに規定した試験に加えて,MIL-P-5517 に適合することを試験しなければならない。ただし,すべての

試験は,浸せき媒体として,作動油の代わりに水を用いて実施しなければならない。

MS 9058

MS 28774MS 28782 及び MS 28783 によるバックアップリングは,この仕様書の目的からみ

て“プラスチック部品”とは考えない。

4.5.3

圧力試験

4.5.3.1

保証圧力  MIL-P-5518 又は個別仕様書に規定する保証圧力を,個別仕様書に規定する温度で少

なくとも連続して 2 回負荷し,各回とも 2 分間保持しなければならない。構成部品は,この 2 回の負荷の

中間で作動させ,正常な機能を示さなければならない。個別仕様書に定められているような過度の外部漏

れ,過度のひずみ又は永久変形の兆候があってはならない。この試験は室温で行わなければならない。

4.5.3.2

破裂圧力  MIL-P-5518 又は個別仕様書に規定する液体破裂静圧力をすべての他の試験が終了し

た後室温で,最高毎分 172MPa (25 000psi) {1 750kgf/cm

2

}

の圧力上昇率で構成部品に負荷しなければなら

ない。構成部品は,この圧力で破裂してはならない。圧力は,実際の破裂圧力のデータをとるために,規

定圧以上に上げてもよい。構成部品は,他の試験を行ったり再使用されることを警告し,かつ,防止する

ため,この試験終了後赤く塗るか,さもなければ目立つように表示しなければならない。

4.5.4

漏れ試験

4.5.4.1

外部漏れ  外部漏れについての特定の試験を必ずしも行う必要はないが,この規格に列挙したす

べての試験を通じて,すべての点のシールからの外部漏れは,個別仕様書に規定されているより多くては

ならない。許容できる最大量を超える漏れは不合格とする。

4.5.4.2

内部漏れ

4.5.4.2.1

認定又は生産先行試験  この試験は,構成部品を最も漏れやすい位置に保持して実施しなけれ

ばならない。個別仕様書で特に規定のない限り,34kPa (5psi) {0.35kgf/cm

2

}

,作動圧力の 50%及び 100%の

圧力を構成部品に負荷し,それぞれ 30 分間保持して漏れ試験をする。漏れ測定は,要求圧力の加圧後 2

分目から始める。構成部品は,圧力加圧の中間で作動させなければならない。漏れの割合は個別仕様書に

規定する値を超えてはならない。各々の試験の初めの 2 分間の間,漏れは,流れの状態から完全にシート

された状態の程度に急速に減少しなければならない。漏れ試験に使用した装置及び漏れの蓄積方法は,試

験報告書に記述しなければならない。


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4.5.4.2.2

品質確認試験  この試験は,その構成部品を最も漏れやすい位置に保持して実施しなければな

らない。個別仕様書に特に指示がなければ,34kPa (5psi) {0.35kgf/cm

2

}

及び作動圧力でそれぞれ 5 分間保

持する。いずれの場合も漏れの測定は,5 分間の最後の 3 分間で行う。漏れの割合は,個別仕様書で規定

されている値を超えてはならない。

漏れ試験に使用した装置及び漏れの蓄積方法は,試験報告書に記述しなければならない。

4.5.5

圧力降下  構成部品に対し,個別仕様書の規定に従って,定格流量の 0∼150%の間の流量範囲に対

して,圧力降下特性を測定しなければならない。圧力降下は,個別仕様書で許容される値を超えてはなら

ない。圧力降下試験に使用した装置は,試験報告書に記述しなければならない。

4.5.6

極限温度機能試験

4.5.6.1

低温  構成部品は,低圧又は常用作動圧力のうちから過酷な条件の方を負荷する。この装置は,

温度が−54℃  (−65

°)  に安定してから,−54℃  (−65°F)  以下に 3 時間保持する。この期間の後に,構成

部品を少なくとも 2 回作動させる。適用し得る作動力又は制御の変動は,個別仕様書に許容された値を超

えてはならない。漏れに対する品質確認試験は,各作動後に実施し,個別仕様書の要求を満足しなければ

ならない。

4.5.6.2

中間温度  低温試験  (4.5.6.1)  に引き続いて,直ちに試験装置を 71℃ (160

°F)  の温度にまで急速

に暖める。温度上昇中構成部品を,最大 20℃ (36

°F)  の温度上昇ごとに作動させ,この温度範囲全般で満

足に作動することを確認しなければならない。これらの確認試験は,全構成部品の温度が安定するまで待

たずに実施する。

4.5.6.3

高温  温度は,構成部品の全部分がその温度に達するのに十分な長い時間 71℃ (160

°F)  に保持し

なければならない。その後構成部品は,71℃ (160

°F)  で少なくとも 2 回作動させなければならない。圧力

作動又は圧力制御の場合には,室温における作動又は制御状態からの変動量は,個別仕様書で許される値

を超えてはならない。毎回の作動後に,漏れに対する品質確認試験  (4.5.4)  を実施し,個別仕様書の要求

事項を満足しなければならない。

4.5.6.4

温度範囲  ソレノイドは,MIL-E-5272 に規定する高温試験の方法 II 及び低温試験の方法 II に従

って試験を行わなければならない。

4.5.7

温度上昇  個別仕様書の規定に従い,28V 直流のソレノイドは 29V の直流で,115V 交流のソレノ

イドは 122V で試験しなければならない。

交流 122V での作動前及び作動直後にコイル抵抗を測定するには,

直流試験電源を使用しなければならない。

また,温度上昇を測定するには,直流抵抗法を用いなければならない。

4.5.8

耐久

4.5.8.1

一般  構成部品は個別仕様書に従い,サイクル作動及びもし適用できるならば空気圧衝撃のよう

な疲労試験を行わなければならない。個別仕様書には,サイクル数,サイクルスケジュール,サイクル速

度,ストローク,流量,負荷,温度,衝撃ピークなどを指示しなければならない。適用できる場合には,

漏れ及び機能は,要求サイクル数の 25,50,75 及び 100%の時点で検査しなければならない。耐久試験終

了後,構成部品は満足に作動しなければならない。

また,構成部品は,分解して入念に検査を行い,いずれの部品にも過度の摩耗の兆候があってはならな

い。

4.5.8.2

航空機への適用  選択したサイクル数は,特定の航空機の予想寿命を超える使用サイクルに適用

できるものでなければならないが,一般的な手引として示した

表 に規定したものより少ない値であって

はならない。


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表 3  耐久試験

構成部品の形式と使用

サイクル数

AN

又は MS 標準品

(個別仕様書参照)

標準外部品−非常用

000

          −使用頻度小(1 飛行につき 10 サイクル未満) 20

000

          −使用頻度大(1 飛行につき 10 サイクル以上) 50

000

          −操縦装置,ステアリング,アンチスキッド等

(個別仕様書参照)

4.5.9

振動  振動により悪い影響を受ける構成部品は,MIL-E-5272 に規定する振動試験の方法 XII 又は

個別仕様書に規定された振動試験を行わなければならない。発注者が認めた確実な機械的方法で固定が施

されていない機能調整装置は,振動試験実施に先立ち,15 回又は個別仕様書に規定された回数だけ完全に

緩めて再締付けを繰り返した後,最もつらい圧力設定に調節しなければならない。

4.5.10

湿度  MIL-E-5272 に規定する湿度試験の方法 I に従って,耐湿性を立証しなければならない。こ

の試験の終わりに,構成部品は定格電圧で 25 サイクル正常に作動しなければならない。ソレノイドは,

4.5.14

に規定する耐電圧試験を行わなければならない。

4.5.11

かび  電気的要素をもつ構成部品は,MIL-E-5272 に規定するかび抵抗性試験の方法 I に従って試

験を行わなければならない。

4.5.12

砂じん  構成部品は,MIL-E-5272 に規定する砂じん試験の方法 I に従って試験を行わなければな

らない。この試験は,もし構成部品のすべての可動部分が内部の空気媒体にだけさらされるときは,省略

してもよい。

4.5.13

塩水噴霧  構成部品は,それに適用される個別仕様書で要求される場合にだけ,MIL-E-5272 に規

定する塩水噴霧試験の方法 II に従って試験を行わなければならない。もし,要求される場合には,塩水噴

霧試験後に耐電圧試験  (4.5.14)  を行わなければならない。

4.5.14

耐電圧  もし,絶縁試験を湿度試験又は塩水噴霧試験に引き続いて行う場合は,ソレノイドは絶縁

試験を受ける前に,個別仕様書に規定されている最大周囲温度で 6 時間乾燥しなければならない。すべて

のソレノイドは,商用周波数で 1 500V (rms)  以上の試験電圧を,ソレノイドの最大作動温度で端子とケー

ス間で 1 分間負荷し,これに耐えなければならない。

4.5.14.1

組み立てた空気圧構成部品に対する絶縁試験又はソレノイドに対する環境試験後の絶縁試験は,

上記電圧の 75%で 1 分間実施する。フラッシオーバ又は漏れ電流の不安定は,破壊したものとみなす。試

作品と量産品との間で試験電圧に差があってはならない。

4.5.15

信頼性  MTBF を含む信頼性要求事項に合致することを立証するために,個別仕様書の規定に従っ

て試験を実施しなければならない。

4.6

試験方法−形式 II 構成部品  一般に,4.5.14.5.4 及び 4.5.5 に規定された形式 I の構成部品に対す

る試験方法は,形式 II の構成部品にも適用する。4.5.6 に規定の極限温度機能試験もまた,形式 II の構成

部品に適用されるが,4.5.6.3 の試験は,71℃ (160

°F)  の代わりに 135℃ (275°F)  で実施しなければならな

い。保証圧力及び破裂圧力試験は,4.5.3.1 及び 4.5.3.2 の規定により実施するが,構成部品の温度は 135℃

(275

°F)  に維持しなければならない。

4.6.1

耐久  形式 II の構成部品の耐久試験は,4.5.8 に規定した形式 I の構成部品に対する試験方法と同

様に,下記の一般試験サイクルにより行わなければならない。以下の試験は,指示する順序で実施しなけ

ればならない。

一般試験サイクル−形式 II 構成部品

(a)

大気圧及び 135℃ (275

°F)  の温度で 72 時間放置する。


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W 3102-1994

(b)  4.5.3.1

に規定する試験を 135℃ (275

°F)  で実施する。

(c)  4.5.6.1

に規定する試験を−54℃  (−65

°F)  で 10 サイクル以上実施する。試験を実施する前に少なく

とも 4 時間−54℃  (−65

°F)  に試料を保持する。作動による試験中の温度上昇は許される。

(d)  4.5.6.1

に規定する−54℃  (−65

°F)  の試験後直ちに,試験装置を急速に 135℃ (275°F)  に暖める。こ

の間構成部品を約 21℃ (38

°F)  の温度上昇ごとに作動させて,満足に作動することを確認しなけれ

ばならない(温度を別として 4.5.6.2 と同様に試験する。

(e)  4.5.6.3

に規定する試験を 135℃ (275

°F)  で 10 サイクル以上実施する。

(f)  4.5.8

に規定する試験サイクルの 25%以上を 135℃ (275

°F)  で実施する。

(g)

構成部品を 135℃ (275

°F)  に 2 時間浸せきする。圧力は初めの 1 時間保持し,次の 1 時間でほぼ 0

に下げる。

(h)  4.5.6.1

に規定する低温試験を−54℃  (−65

°F)  で繰り返す。その後 4.5.6.2 及び 4.5.6.3 に規定する中

間温度試験及び高温試験を 21∼49℃ (70∼120

°F)  で繰り返す。

(i)  4.5.8

に規定する試験サイクルの 75%を 107℃ (225

°F)  で実施する。

(j)

低温試験  (4.5.6.1)  を繰り返す。この試験の終了後,構成部品は完全に作動しなければならないし,

また,漏れは過度であってはならない。構成部品を分解し,注意深く検査し,どの部分にも過度の

摩耗の兆候があってはならない。

4.7

包装及び表示  発送の準備が,5.に適合するかどうかを検査しなければならない。

5.

発送準備

5.1

保管及び包装  保管及び包装の要求は,個別仕様書又は発注者の規定によらなければならない。

5.2

表示  受注者の指示又は個別仕様書により要求される特別の表示のほかに,内装及び外部出荷容器

は,MIL-STD-129 に従って表示しなければならない。

5.2.1

再検査表示  再検査表示は,発注者の指示によらなければならない。

参考

1. 

使用目的  航空機用空気圧構成部品は,MIL-P-5518 に適合する航空機空気圧系統に使用する。

2.

定義  この規格で“構成部品”という用語は,バルブ,作動筒又は空気圧系統の同様の装置を意味し

て用いられる。

標準構成部品とは,適用発注者文書で規定されている構成部品に関する全要求事項に合致しているとい

うことで,MS 又は AN の部品番号を与えられているものをいう。


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W 3102-1994

航空部会  空気系統の検査専門委員会  構成表(昭和 48 年 3 月 1 日改正のとき)

氏名

所属

(委員会長)

戸  田  康  明

日産自動車株式会社宇宙航空部

加  嶋  耕之助

通商産業省重工業局

川  井      力

運輸省航空局

上  山  忠  夫

科学技術庁航空宇宙技術研究所

江  戸  太  郎

防衛庁技術研究本部

福  島  公  夫

工業技術院標準部

木  下      実

株式会社島津製作所航空事業部

林      駿  郎

住友精密工業株式会社製造部

長  岡  親  友

川崎重工業株式会社技術部

池  谷  昌  彦

新明和工業株式会社航空機製作所

福  永  保  郎

日本航空機製造株式会社第 1 技術部

長  尾  明  敏

富士重工業株式会社航空機技術本部

相  田  英  勝

三菱重工業株式会社航空機製作所

平  沢  秀  雄

日本航空株式会社整備本部

林      武  治

日本航空工業会

(専門委員)

相  原      守

工業技術院標準部

(事務局)

桜  井  俊  彦

工業技術院標準部機械規格課

橋  本  孔  佐

工業技術院標準部機械規格課

(事務局)

矢  島  武  憲

工業技術院標準部機械規格課(昭和 51 年 2 月 1 日改正のとき)

(事務局)

笹  尾  照  夫

工業技術院標準部機械規格課(平成 6 年 7 月 1 日改正のとき)