日本工業規格
JIS
W
2913
-1982
航空機用油圧系統構成部品通則
Hydraulic System Components, Aircraft, General Specification for
1.
適用範囲
1.1
適用範囲 この規格は,航空機油圧系統(6.1 参照)に用いる大部分の油圧構成部品(6.2 参照)に
共通の一般要求事項について規定する。
備考 この規格の中で{ }を付けて示してある単位及び数値は,重力単位系によるものであって,
参考として併記したものである。
参考 この規格の内容は,MIL−H-8775D (1) (1976-7-28) に相当する。
1.2
種類 この規格で規定する構成部品を使用する航空機油圧系統は,指定に従い,次のタイプのもの
でなければならない。
タイプ I:作動油温度範囲 −54∼+71℃ (−65∼+160°F)
タイプ II:作動油温度範囲 −54∼+135℃ (−65∼+275°F)
2.
関連規格
2.1
この規格の関連規格を次に示す。これらの規格を使用するときは,最新版による。
仕様書
Federal
−C-320 Chromium Plating (Electrodeposited)
−N-290 Nickel Plating (Electrodeposited)
−P-416 Plating, Cadmium (Electrodeposited)
−S-365 Silver Plating, Electrodeposited, General Requirements for
−Z-325 Zinc Coating, Electrodeposited, Requirements for
Military
MIL
−C-5015 Connectors, Electric “AN” Type
MIL
− H-5440 Hydraulic Systems, Aircraft Types Iand II, Design, Installation, and Data,
Requirements for
〔JIS W 2914(航空機油圧系統の設計及び装備基準)
〕
MIL
−C-5501 Cap and Plug, Protective, Dust and Moisture Seal
MIL
−P-5510 Packing, Preformed, Straight Thread Tube Fitting Boss
MIL
−G-5514 Gland Design, Packings, Hydraulic, General Requirements for
〔JIS W 2006(航空機油圧用パッキンのグランド設計通則)
〕
MIL
−C-5541 Chemical Conversion Coatings on Aluminum and Aluminum Alloys
MIL
−H-5606 Hydraulic Fluid, Petroleum Base, Aircraft, Missile, and Ordnance
2
W 2913-1982
MIL
−H-6083 Hydraulic Fluid, Petroleum Base, for Preservation and Operation
MIL
−I-6866 Inspection, Penetrant Method of
MIL
−I-6868 Inspection Process, Magnetic Particle
MIL
− M-7969 Motor, Alternating Current, 400-Cycle, 115/200-Volt System, Aircraft, General
Specification for
MIL
−M-8609 Motors, Direct Current, 28-Volt System, Aircraft, General Specification for
MIL
−A-8625 Anodic Coatings, for Aluminum and Aluminum Alloys
MIL
−R-8791 Retainer, Packing, Hydraulic, and Pneumatic, Tetrafluoroethylene Resin
MIL
−S-8879 Screw Threads, Controlled Radius Root with Increased Minor Diameter,
General Specification for
MIL
−T-10727 Tin Plating, Electrodeposited or Hot−Dipped, for Ferrous and Nonferrous Metals
MIL
−H-25475 Hydraulic Systems, Missile, Design, Installation Tests, and Data Requirements,
General Requirements for
MIL
−P-25732 Packing, Preformed, Petroleum Hydraulic Fluid Resistant, 275 Deg. F.
MIL
−C-26074 Coating, Electroless Nickel, Requirements for
MIL
−F-27656 Filter Unit, Fluid, Pressure MXU-408/M, Absolute 5 Micron, Hydraulic
MIL
−C-38999 Connector, Electrical, Circular, Miniature, High Density Quick Disconnect
MIL
−G-81322 Grease, Aircraft, General Purpose Wide Temperature Range
MIL
−S-81733 Sealing and Coating Compound, Corrosion Inhibitive
MIL
−F-81836 Filter and Disposable Element, Fluid Pressure, Hydraulic, 3 Micron Absolute
MIL
−H-83282 Hydraulic Fluid, Fire Resistant Systhetic Hydrocarbon Base, Aircraft
MIL
−P-83461 Packings, Preformed, Petroleum Hydraulic Fluid Resistant, Improved Performance of
275 Degrees F., Sizes and Tolerances
MIL
−C-83982 Compound, Sealing, Fluid Resistant
規格
Federal
FED
−STD-791 Lubricant, Liquid Fuel and Related Products, Methods of Testing
Military
MIL
−STD-100 Engineering Drawing Practices
MIL
−STD-129 Marking for Shipment and Storage
MIL
−STD-130 Identification Marking of U. S. Military Property
MIL
−STD-143 Standards and Specifications, Order of Precedence for the Selection of
MIL
−STD-454 Standard General Requirements for Electronic Equipment
MIL
−STD-461 Electromagnetic Interference Characteristics, Requirements for Equipment
MIL
−STD-462 Electromagnetic Interference Characteristics, Measurement of
MIL
−STD-463 Definition and System of Units, Electromagnetic Interference Technology
MIL
−STD-490 Specification Practices
MIL
−STD-704 Electric Power, Aircraft, Characteristics and Utilization of
〔JIS W 7001(航空機の電源特性)
〕
MIL
−STD-785 Reliability Program for Systems and Equipment Development and Production
3
W 2913-1982
MIL
−STD-810 Environmental Test Methods
MIL
−STD-889 Dissimilar Metals
〔JIS W 2015(航空機における異種金属の取扱方法)
〕
MIL
−STD-961 Outline of Forms and Instructions for the Preparation of Military Standards and
Association Documents
MS 20659
Terminal, Lug, Crimp Style, Copper, Uninsulated, Ring Tongue, Type I, Class I
MS 20995
Wire, Safety or Lock
MS 21209
Insert, Screw Thread, Coarse and Fine, Screw Locking, Helical Coil, Cres
MS 21343
Boss Spacing−Hydraulic Design, Standard for
MS 21344
Fitting−Installation of Flared Tube, Straight Threaded Connectors, Design Standard for
MS 27595
Retainer, Packing Backup, Continuous Ring, Tetrafluoroethylene
MS 28772
Packing, “D” Ring, Shock Strut
MS 28774
Retainer, Packing Backup, Single Turn Tetrafluoroethylene
MS 28775
Packing, Preformed, Hydraulic, Plus 275 Deg. F. ( “O” Ring)
MS 28778
Packing, Preformed, Straight Thread Tube Fitting Boss
MS 28782
Retainer, Packing, Back−Up, Teflon
MS 28783
Ring, Gasket, Back−Up, Teflon
MS 33514
Fitting End, Standard Dimensions for Flareless Tube Connection and Gasket Seal
MS 33515
Fitting End, Standard Dimensions for Bulkhead Flareless Tube Connections
MS 33540
Safety Wiring and Cotter Pinning, General Practices for
MS 33547
Pin, Spring, Functional Limitiations of
MS 33649
Boss, Fluid Connection−Internal Straight Thread
MS 33656
Fitting End, Standard Dimensions for Flared Tube Connection and Gasket Seal
MS 33657
Fitting End, Standard Dimensions for Bulkhead Flared Tube Connections
Air Force
−Navy Aeronautical
AN 814
Plug and Bleeder−Screw Thread
AN 6227
Packing, “O” Ring Hydraulic
AN 6230
Gasket, “O” Ring Hydraulic
AND 10476
Washer−Limitations on Usage of Lock
刊行物
Military Bulletin
MIL Bulletin 147
Specifications and Standards of Non−Government Organizations Released for
Flight Vehicle Construction
Military Handbook
MIL
−HDBK-5 Metallic Materials and Elements for Aerospace Vehicle Structures
MIL
−HDBK-221 Fire Protection Design Handbook for U.S. Navy Aircraft Powered by Turbine
Engines
2.2
その他の関連文書を次に示す。
American National Standards Institute
ANSI B 46.1-1962
Surface Texture (Surface Roughness, Waviness and Lay)
4
W 2913-1982
〔JIS B 0601(表面粗さ)
〕
Society of Automotive Engineers, Inc.
ARP 603
Impulse Testino of Hydraulic Hose Assemblies, Tubing and Fittings
ARP 1383
Impulse Testing of Hydraulic Actuators, Valves, Pressure Containers and Similar Fluid
System Components
National Aerospace Standards Association, Inc.
NAS 1638
Cleanliness Requirements for Parts Used in Hydraulic Systems
3.
要求事項
3.1
受注者の構成部品一般仕様書 この規格がそのままでは特定の油圧系統に適用できないか,又は多
くの離反事項を必要とするためこの規格が実用的でないと思われる場合には,受注者と発注者の相互間の
合意によって,受注者は,MIL
−STD-490 及び MIL−STD-961 に従って,この規格に準じた構成部品一般
仕様書を作成し,それを発注者に提出して承認を受けなければならない。その仕様書は,油圧系統の全構
成部品に対する性能,設計及び試験の要求事項を指示し,更に,適用個別構成部品仕様書によって規定さ
れない構成部品に対する管理文書となるものでなければならない。
3.2
材料 油圧系統構成部品の製作に使用する材料は,良質で,目的に適し,適用公共規格の規定に適
合するものでなければならない。受注者の仕様書の規定に適合する材料は,それが作動特性に関して公共
規格と少なくとも同等であり,かつ,それによって質量又は価格の低減が達成できることが明らかに実証
できるならば使用してもよい。受注者の仕様書は,発注者にとって満足なもので,かつ適切な試験条項を
含むものでなければならない。受注者の仕様書を使用しても,それによって発注者の検査を免除されるこ
とにはならないものとする。
3.2.1
金属 すべての金属は,その構成部品がさらされる流体並びに意図する温度,機能,使用及び貯蔵
の諸条件と両立できるものでなければならない。金属は,個別仕様書で指定されたものに限定しなければ
ならない。
金属は,適切な耐食性をもつものであるか,又は,異種金属の組合せ,水分,塩水噴霧,高温劣化など
の諸条件によって生じる腐食に耐えるよう,
表 1 に記載するのと同等の被覆を用いて,適切に保護されて
いなければならない。クラス及びタイプが示されていないものは,これを製造業者の任意とし,発注者の
承認を受けるものとする。
異種金属の定義は,MIL
−STD-889 (JIS W 2015) による。
また,ここに規定されていない限り,すべての金属の物理的性質は,MIL
−HDBK-5 の最小要求事項を
満足しなければならない。
3.2.1.1
銅及びアルミニウム合金 軸受面を除くすべての銅合金は,表 1 から選定した被覆を用いて,適
切に保護しなければならない。ただし,カドミウムめっき及び亜鉛めっきは,摩耗を受ける箇所には用い
てはならない。
表 1 以外の金属被覆(例えば,すず 85%・カドミウム 15%合金の電気めっき)で,発注者
にとって満足なものであることが実証されたものは,用いてもよい。
すべてのアルミニウム合金は,MIL
−A-8625 のタイプ II に従って陽極処理しなければならない。ただし,
摩耗条件のない箇所については,陽極処理は,適用できる場合にはタイプ I としてもよく,又は MIL
−
C-5541
の化学皮膜としてもよい。
5
W 2913-1982
表 1 金属被覆
被覆
規格
カドミウムめっき
−P-416,タイプ II,クラス 2
亜鉛めっき
−Z-325,タイプ II,クラス 2
クロムめっき
−C-320
ニッケルめっき
−N-290
銀めっき
−S-365
すずめっき
MIL
−T-10727,タイプ I
非電解ニッケル
MIL
−C-26074
3.2.1.2
タイプ I 構成部品 作動油に常時接触する内面を除き,鉄鋼は,12%以上のクロムを含有するも
のか,又は 3.2.1,3.2.1.1 及び
表 1 の規定に従い,腐食に対して適切に保護したものでなければならない。
更に,カドミウムめっき及び亜鉛めっきは,内部部品,又は作動油と接触したりその蒸気にさらされたり
する内面には,用いてはならない。外部シール用 O リング溝は,作動油に常時接触する内面とみなしては
ならない。
マグネシウムの使用は,発注者の承認を受けなければならない。
3.2.1.3
タイプ II 構成部品 鉄鋼は,12%以上のクロムを含有するものか,又は 3.2.1,3.2.1.1 及び表 1
の規定に従い,内外面とも,腐食に対して保護したものでなければならない。更に,カドミウムめっき及
び亜鉛めっきは,内部部品,又は作動油と接触したりその蒸気にさらされたりする内面には,用いてはな
らない。
タイプ II 構成部品に対しては,マグネシウムは用いてはならない。
3.2.1.4
残留磁気 残留磁気を保持する能力のある材料で作られた部品で,磁石としての機能を意図しな
いものは,磁性汚染物の蓄積による機能不良も含めて,系統又は構成部品の機能不良を防止するために,
十分に脱磁しなければならない。構成部品又は系統が残留磁気による機能不良を受けやすい場合には,構
成部品の個別仕様書には,最大許容磁束密度を規定しなければならない。
3.2.1.5
磁石 永久磁石及び電磁石は,系統又は構成部品の機能不良を防止するために必要な場合には,
シールドしなければならない。個別仕様書には,シールドの外側における最大許容磁束密度を規定しなけ
ればならない。
3.2.2
プラスチック部品 プラスチック部品の使用は,その個々の使用箇所について,発注者の承認を受
けなければならない。
3.2.3
材料,部品及び工程の選択 この規格では個別に指定されていないが,しかしこの規格を実行する
のに必要とするすべての材料,部品,並びに工程及び設備に対する発注者の検定及び承認に関する仕様書
及び規格は,次に規定する場合を除き,MIL
−STD-143 及び MIL Bulletin 147 に従って選択しなければな
らない。
3.2.3.1
標準部品 標準部品(MS,AN 又は MIL 仕様書シート)は,目的に適する場合には常にこれを
使用し,図面上にその(MS,AN 又は MIL 仕様書シートの)部品番号を用いて識別しなければならない。
小ねじ,ボルト,ナット,割ピンなどの市販一般部品は,それが適当な性質をもっていて,変更を加えず
に標準部品(MS,AN 又は MIL 仕様書シート)と交換することができ,かつ,その対応標準部品番号を
部品表及びできれば受注者図面に記載するならば,使用してもよい。もし,入札案内の時点で適当な対応
標準部品がない場合には,市販部品がこの規格及び個別仕様書のすべての要求事項に適合するならば,そ
れを使用してもよい。
3.3
設計及び構造
6
W 2913-1982
3.3.1
一般 標準構成部品の構造,寸法その他の設計の詳細は,該当する MS,AN 又は MIL 仕様書シー
トの規定に適合するものでなければならない。
また,標準外構成部品は,MIL
−H-5440 (JIS W 2914) 又は MIL−H-25475 の規定によって管理される
適用製造業者図面又は受注者図面に適合しなければならない。
3.3.2
温度範囲 構成部品は,個別仕様書に規定する温度範囲内で満足な作動を保証するような設計及び
構造でなければならない。
3.3.3
ねじ 平行ねじは,MIL−S-8879 のユニファイ細目ねじのクラス UNJF-3A 及び UNJF-3B の規定に
適合しなければならない。これ以外の種類のねじは,発注者の承認を受けなければならない。管用ねじは,
永久装着のプラグ用以外には,用いてはならない。
3.3.4
流体 構成部品は,MIL−H-5606 の作動油で作動するように設計しなければならない。個別仕様
書で指定されるか,又は発注者が承認した場合には,MIL
−H-83282 のような難燃性作動油を用いなけれ
ばならない。
3.3.5
オリフィス 直径が 0.30mm (0.012in) を超え 1.78mm (0.070in) 未満のオリフィスは,直径 0.20∼
0.30mm (0.008
∼0.012in) の目の開きをもったストレーナエレメントを隣接して取り付けて保護しなければ
ならない。
上記の範囲よりも小さいオリフィスは,発注者の承認を得た上で,オリフィスよりも小さい目の開きを
もったストレーナエレメントを隣接して取り付けて保護してもよい。オリフィス及びストレーナエレメン
トは,閉そく流れまでを含む系統の設計流量及び圧力に,破裂を生じることなく耐えるだけの十分な強度
をもっていなければならない。
3.3.6
パッキン
3.3.6.1
一般 構成部品は,部品を組立てる際に,O リング又はバックアップリングがねじ部や鋭いかど
を通過するときに傷が付かないで構成部品の組立てができるよう,十分なすきまをもっているように設計
しなければならない。タイプ I 系統のパッキン装着に対しては,MIL
−G-5514 (JIS W 2006) 及び MS 21344
を用いなければならない。
また,タイプ II 系統のパッキン装着に対しては,MIL
−G-5514 (JIS W 2006) 及び MS 21344 を手引きと
して用いなければならない。
3.3.6.2
タイプ I 系統構成部品 すべてのパッキン及びガスケットは,MS 28778,AN 6227,AN 6230,
MS 28772
又は MS 28775 に従わなければならない。
バックアップリングは,
MS 28774
,
MS 28782
,
MS 28783
又は MS 27595 に従わなければならない。
パッキン(ボスに用いるものを除く)は,MIL
−P-25732 の規定に適合しなければならない。ボスに用
いるパッキンは,MIL
−P-5510 の規定に適合しなければならない。
3.3.6.3
タイプ II 系統構成部品 MIL−P-25732 の規定に適合するパッキンを,その認定要求事項及び試
験の規定に対応する性能制限内で使用しなければならない。
また,発注者の承認を受けた上で,標準外のパッキン又は MIL
−P-83461 のパッキンを,使用してもよ
い。
MIL
−P-25732 の主な性能制限は,要約すれば次のとおりである。
3.3.6.3.1
最高油温 107℃ (225°F) の場合 最高油温が 107℃ (225°F) を超えない場合は,MIL−
P-25732
の耐久試験 B の規定に対応する通常寿命に対して,標準シールが適当である。
7
W 2913-1982
3.3.6.3.2
最高油温 107∼135℃ (225∼275°F) の場合 最高油温が 107∼135℃ (225∼275°F) の場合に
は,標準シールの期待寿命は,MIL
−P-25732 の耐久試験 B の規定に対応する通常寿命から,耐久試験 A
の規定に対応する短縮寿命まで,比例的に減少させなければならない〔認定試験中に 135℃ (275°F) に暴
露される総累積時間は,約 80 時間である。
〕
。この減少させた期待寿命は,これをすべての適用刊行物中に
明記しなければならない。
ボスに用いるパッキンは,発注者の承認を受けなければならない。
3.3.6.4
バックアップリング バックアップリングは,MIL−R-8791 の規定に適合するものでなければな
らない。
3.3.7
ゆるみ止め すべてのねじ部品は,ロックワイヤ,もどり止めナット,その他の承認された方法に
よって,確実にゆるみ止めを施さなければならない。ロックワイヤは,MS 33540 に従って施し,かつ MS
20995
によるものでなければならない。歯付き座金及び薄形ナットは,もどり止め装置として用いてはな
らない。止め座金の使用は,AND 10476 に規定する制限に従わなければならない。
3.3.7.1
油室内部部品のゆるみ止め ロックワイヤや割ピンのような折損するおそれのある永久変形も
どり止め装置は,油室の内部には用いてはならない。
3.3.7.2
ねじインサート 取付け用小ねじ又はボルトに用いる非鉄金属部品のすべてのねじ穴には,MS
21209
によるもどり止めインサートを備えなければならない。
3.3.8
止め輪 止め輪(リテーナリング又はスナップリング)は,個々の使用箇所について発注者の承認
を受けない限り,使用してはならない。使用が承認された場合には,次の要求事項が適用される。
3.3.8.1
移動 止め輪の移動又は止め輪及び関連部品(例えば座金,ロックワイヤなど)の破損が,構成
部品又は系統からの作動油の損失の原因になったり,それを助成したり,又は航空機のいかなる構成部品
の機能不良の原因にもなってはならない。
3.3.8.2
荷重制限 止め輪には,油圧荷重,構造荷重,機械荷重,その他止め輪が軸方向に移動したり破
損したりする原因となるようないかなる形の荷重(振動・衝撃荷重,温度変化による膨張・収縮などを含
む。
)も又はそれらの組合せも加わってはならない。
3.3.8.3
取付けすきま及び公差 止め輪は,すきま及び製作公差の累積が組立品に破壊的な軸方向の遊び
を生じさせて,それがパッキン若しくはガスケットの破損,又は部品のブリネリング若しくは疲れ破損を
ひき起こすか又はそれらの一因となるような箇所には,使用してはならない。
3.3.8.4
取付け及び取外し 止め輪は,標準のピン形プライヤその他止め輪用に開発された標準工具を用
いて取付け及び取外しができなければならない。
3.3.9
スプリングピン スプリングピンの使用は好ましくなく,発注者の個別承認のない限り,MS 33547
の意図に反するいかなる箇所にも用いてはならない。
3.3.10
逆の装着 すべての構成部品は,航空機又はその部分組立内において逆向き又は誤まった装着が起
こり得ないように設計しなければならない。逆向き又は軸周り位置を違えた組立てによって機能不良又は
破損を生じるような内部部品は,正しくない組立てが不可能となるように設計しなければならない。
3.3.11
構造強度 構成部品は,油圧,振動,温度変動,操作又は作動,及び MS 21344 に従った管継手接
続のトルク荷重に起因するすべての荷重又は荷重の組合せに耐えるよう,十分な強度を持っていなければ
ならない。
タイプ II の標準構成部品は,135℃ (275°F) で 1000 時間の時効によって材料の強度が低下した後にお
いても,4.5.3.1 及び 4.5.3.2 にそれぞれ規定する 135℃ (275°F) の保証圧力試験及び破裂圧力試験に耐え
るように設計しなければならない。
8
W 2913-1982
また,タイプ II の標準外構成部品は,135℃ (275°F) で個別仕様書に規定する時間の時効によって材料
の強度が低下した後においても,4.5.3.1 及び 4.5.3.2 にそれぞれ規定する 135℃ (275°F) の保証圧力試験
及び破裂圧力試験に耐えるように設計しなければならない。
3.3.12
強さ 手動操作用レバーなどが構成部品の一部として組み込まれている場合には,そのレバー,機
構及びストッパは,半径が 2.0cm (0.8in) を超える場合には,3.34RN・m {34Rkgf・cm} (75Rlbf・in) の制限ト
ルクに耐える能力をもっていなければならない。構成部品にストッパが設けられているが,しかし一体組
込みの操作具を備えていない場合には,ストッパは,203N・m {2074kgf・cm} (1800lbf・in) の制限トルクに
耐える能力をもっていなければならない。
備考 R はレバーの半径で,単位は cm (in) とする。
3.3.13
定格流量 定格流量は,適用個別図面又は個別仕様書に規定するとおりでなければならない。
3.3.14
定格流量時の圧力降下 構成部品は,この規格の他の要求事項と矛盾しないで,流れに対して抵抗
が最小となるように設計しなければならない。定格流量時の圧力降下は,適用個別図面又は個別仕様書に
規定する値を超えてはならない。
3.3.15
空気抜き 構成部品の構成は,閉じ込められた空気及び水又は余分の潤滑剤などの異物を排出する
ようになっていなければならない。必要な場合には,補助空気抜きポートを設けなければならない。
3.3.16
機能調整ねじ 機能調整ねじを使用する場合は,振動,衝撃,温度及び作動のすべての要求条件の
もとで,
調整が狂わないような設計及び構造にしなければならない。
摩擦形式のもどり止め装置の使用は,
最少にとどめ,かつ発注者の承認を受けなければならない。もし,摩擦形式のものを使用する場合には,
調整ねじは,その全範囲にわたって 15 回又は個別仕様書に規定する回数だけ調整を行い,更に振動試験を
受けた後に,調整が狂ってはならない。
調整ねじは,標準のスパナ又はねじ回しを用いて調整及び固定ができなければならない。また,もしで
きれば,最大系統圧力のもとで,作動油の損失が無視できる程度で調整が可能でなければならない。
調整ねじは,できれば,封印しなければならない。もし,構成部品に何種類もの設定値がある場合には,
封印には設定値を表示しなければならない。
なお,調整装置は,内部に収めるか,又は不用意に手を触れないようカバー又は類似の方法によって保
護しなければならない。
3.3.17
流体接続部 永久管継手は,MIL−H-5440 (JIS W 2914) に規定する制限事項に従って用いなけれ
ばならない。
3.3.17.1
ボス 流体接続継手及び AN 814 プラグ用のすべてのめねじ形ボスは,MS 33649 の規定に適合し
なければならない。
流体接続継手用ポートの間隔は,
MS 21343
の規定に適合しなければならない。
ボスは,
ユニバーサル継手がボス内に深くねじ込まれ過ぎたときに,内部機構を破損させたり作動油の流れを制限
したりするのを防止するため,十分に深くするか,又は継手のストッパを設けなければならない。
3.3.17.2
外部管接続 おねじ形外部管接続部は,MS 33656 及び MS 33657,又は MS 33514 及び MS 33515
の規定に適合しなければならない。20.6MPa {210kgf/cm
2
} (3000psi)
構成部品のおねじ形フレア管継手端部
は,管の呼び径 12.7mm (
2
1
in)
未満に対しては,鋼製としなければならない。
また,管の呼び径 12.7mm (
2
1
in)
以上に対しては,アルミニウム合金製又は鋼製のいずれでもよい。ただ
し,継手が構成部品と一体構造になっていて,それが組立ての繰返しにより損傷を受けて使用不能になる
可能性がある場合には,そのような箇所にアルミニウム合金を使用することについて注意を払うべきであ
る。
9
W 2913-1982
3.3.17.3
流体接続の表示 配管接続用のすべてのポートには,MIL−STD-130 に従って,そこに行われる
接続を示すために,名称を用いて,明りょうに永久的表示を施さなければならない。
また,該当する場合には,流れ方向を示さなければならない。略語の使用は避けるべきであるが,もし
用いる場合には,表示用として一般産業界で容認されているものでなければならない。圧力に P,シリン
ダに C のような 1 文字の表示は,容認できない。デカルコマニアは,永久的表示とみなしてはならない。
3.3.18
プラグ 構成部品の寿命期間中は取り外す必要のない永久装着プラグを除き,すべてのプラグは,
タイプ I 及びタイプ II 系統とも,AN 814 によるものでなければならない。
なお,その方が有利と思われる場合には,MS 28775 によるパッキンをプラグと共に用いてもよい。
3.3.19
心合せ すべてのプランジャ,ポペット,球,ピストンなどは,それらの座に対する心合せ不良や
チャタリングを防止するよう,正確に案内されていなければならない。
3.3.20
電気作動構成部品
3.3.20.1
電圧範囲 電気作動構成部品は,MIL−STD-704 (JIS W 7001) に規定する特性をもった航空機及
び飛しょう体の電気系統で作動するように設計しなければならない。構成部品は,該当するクラスに対し
て
表 2 に規定する温度,作動油圧力及び電圧の同時極限のもとでも作動するように設計しなければならな
い。MIL
−STD-704 (JIS W 7001) で定義する電圧のうち最も不利なものを決定する際には,過大電圧,過
小電圧,ひずみ(リプル)
,サージ及び非常モード作動などの要因の影響を考慮しなければならない。
表 2 温度,圧力及び電圧
クラス
温度
系統圧力
航空機又は飛しょう体の電
気系統からの供給電圧
(MIL
−STD-704 参照)
A, B, C, D
最低値(4 時間浸せき)
最大値,最小値
供給最低電圧
A, B, C, D
室温 21∼32℃ (70∼90°F)
最大値,最小値
供給最低電圧
A, B, C, D
室温 21∼32℃ (70∼90°F) 1.5 倍
定常状態範囲の下限値
A
最高値+温度上昇
最大値,最小値
供給最低電圧
B
最高値+温度上昇
最大値,最小値
定常状態範囲の下限値
C
最高値+温度上昇
最大値,最小値
定常状態範囲の上限値
D
最高値
最大値,最小値
定常状態範囲の下限値
3.3.20.1.1
構成部品のクラスは,A, B, C 又は D とし,個別仕様書に指定するとおりでなければならない。
3.3.20.1.2
クラス A 及び B 構成部品 クラス A 及び B の構成部品は,常時通電・連続定格形のものであ
る。このクラスの構成部品は,コイル温度が安定するまで個別仕様書に規定する最高周囲温度及び高度条
件に暴露して,MIL
−STD-704 (JIS W 7001) に規定する定常状態電圧範囲の上限値で励磁した後,表 2 に
規定する電圧で作動する能力をもっていなければならない。もし,実際の系統中に何らかの形式のコイル
温度制御が用いられている場合には,試験セットアップにもそれを取り入れなければならない。
3.3.20.1.3
クラス C 構成部品 クラス C の構成部品は,常時通電・連続定格形のものである。これらの構
成部品は,コイル温度が安定するまで個別仕様書に規定する最高周囲温度及び高度状態に暴露して,
表 2
に規定する電圧で励磁した後,同じ電圧並びに個別仕様書に規定する温度及び高度で再サイクルできる能
力をもっていなければならない。もし実際の系統中に何らかの形式のコイル温度制御が用いられている場
合には,試験セットアップにもそれを取り入れなければならない。
3.3.20.1.4
クラス D 構成部品 クラス D の構成部品は,常時無通電・断続定格形のものであって,無通電
状態で温度が安定した後,個別仕様書に規定する最高温度及び高度条件で,
表 2 に規定する電圧で試験し
なければならない。通電時間及びサイクル間の休止時間は,個別仕様書で規定するとおりとしなければな
らない。
10
W 2913-1982
3.3.20.2
ソレノイド作動構成部品 ソレノイドは,コンパクトな設計で,しかも航空機に使用したときに
遭遇する機械的衝撃及び応力並びに 3.3.20.2.7 に規定する性能要求事項に耐えるような十分に丈夫な構造
のものでなければならない。ソレノイドは,連続定格又は断続定格として設計し,単一コイル巻線のもの
でなければならない。
ソレノイドは,水分が電気巻線に接触するのを防止するため,完全密閉としなければならない。コイル
は,
振動によって生じるリード線の切断を防止するため,
フレームにしっかりと固定しなければならない。
電気構成部品に使用するポッティングコンパウンドは,発注者の承認を受けなければならない。
ソレノイドは,個別仕様書に規定する時間内で作動しなければならない。
3.3.20.2.1
コイル コイルは,一様に巻かれ,規定の性能要求事項(3.3.20.2.7 参照)を満足するように絶
縁しなければならない。コイルは,
フレームその他の構成部品から完全に絶縁されていなければならない。
また,コイルは,湿度,塩霧,振動,その他構成部品に対して規定した試験条件(4.参照)のもとでの
損傷を防止するよう,必要に応じ適当にテープを巻き,含浸を施し,フレームに固定しなければならない。
3.3.20.2.2
端子 ソレノイドのコイルは,MIL−C-5015 又は MIL−C-38999 の規定に適合する電気コネク
タに端末を接続しなければならない。端子は,耐食性材料又は適当にめっきした材料で構成され,MS 20659
の規定に適合するケーブル端子を使用するために,座金,止め座金及び小ねじ又はナットを備えていなけ
ればならない。
3.3.20.2.3
耐電圧 すべてのソレノイドは,端子をケースの間に,次の実効値を有する商用周波数の交流
試験電圧を 1 分間印加したとき,漏れ電流が 1mA 未満でなければならない。
(a)
室温及び室内気圧のもとで 1500V
(b)
最高作動温度及び高度のもとで 1000V
3.3.20.2.4
温度上昇 最高温度及び高度の状態で試験したとき,抵抗法で計算して平衡に達する温度は,
ソレノイドの構造に使用する電気絶縁材その他の材料の連続定格温度を超えてはならない(4.5.7 参照)
。
3.3.20.2.5
耐久 ソレノイド弁は,当該構成部品個別仕様書で規定する耐久試験に耐えなければならない
(4.5.8 及び 4.6.1 参照)
。
3.3.20.2.6
姿勢 ソレノイド弁は,どのような姿勢に取り付けても,この規格のすべての要求事項に適合
しなければならない。
3.3.20.2.7
性能 ソレノイドは,次の環境条件又はそれらの自然の組合せ条件のもとで,構成部品を作動
させる能力をもっていなければならない。
(a)
大気圧範囲 海面上から個別仕様書に規定する最大高度までに相当する圧力範囲
(b)
温度限界 構成部品に対して作動油温度及び周囲温度限界として規定されたものに同じ。4.5.6.5 に従
って試験すること。
(c)
湿度 4.5.10 に規定する試験を行ったときに遭遇する条件
(d)
砂じん 4.5.12 に規定する試験を行ったときに遭遇する条件
(e)
振動,衝撃及び加速度 4.5.9 に規定する試験を行ったときに遭遇する条件
(f)
かび抵抗性 (4.5.11 参照)
(g)
塩霧 (4.5.13 参照)
3.3.20.2.7.1
ドロップアウト電圧 ソレノイド作動構成部品は,ドロップアウト電圧未満では,無通電時
と同じ状態になっていなければならない。ドロップアウト電圧は,公称作動電圧の 10%よりも高く,個別
仕様書に規定する最小動作電圧よりも低くなければならない。
11
W 2913-1982
3.3.20.3
電動機作動構成部品 油圧構成部品を作動させるための電動機の特性は,一般に直流用は MIL
−M-8609,交流用は MIL−M-7969 の規定に適合し,更に耐油及び防爆要求事項も含めて,個別仕様書の
規定に適合しなければならない。
3.3.20.4
クラッチ又はブレーキ 行程の行き過ぎを制限するためにクラッチ又はブレーキを使用する組
立品では,クラッチ又はブレーキの表面に油が付いても,構成部品の機能不良をひき起こすような行程の
行き過ぎが起こらないような設計にしなければならない。確実な機械的ストッパを使用して,正確な位置
で止まるようにしなければならない。
3.3.20.5
防爆 潜在的点火源をもっている電気作動構成部品の個別仕様書には,MIL−STD-810 による適
用防爆試験を規定しなければならない。
また,電気作動構成部品の表面温度は,MIL
−HDBK-221 に定める環境の自然発火温度より低くなけれ
ばならない。
3.3.20.6
電磁干渉 電磁干渉をひき起こす電気作動構成部品の個別仕様書には,MIL−STD-461,MIL−
STD-462
及び MIL
−STD-463 に従った電磁干渉試験を規定しなければならない。
3.3.21
系統圧力以上での動作 構成部品は,それが装着される回路の熱膨張リリーフ弁又は系統リリーフ
弁の最大設定値に等しい圧力のもとで,いかなるかみ付きも,過大な入力荷重も,規定最大ターンオン電
圧を超える電圧又は最大定格値を超える電流も生じることなく,動作したり動作解除する能力をもってい
なければならない。ターンオン電圧は,公称電圧の 80%を超えてはならない。
また,最悪の場合の環境及び最大ターンオン電圧に基づく最大電流定格(連続及び断続)を構成部品仕
様書で規定しなければならない。
3.3.22
信頼性 各構成部品は,平均故障間隔 (MTBF) 又はこれと同等の尺度で表した規定の定量的信頼
性要求事項を満足するような設計及び構造でなければならない。重要構成部品(MIL
−STD-785 参照)の
個別仕様書には,信頼係数を含む所要の信頼性要求事項を満足していることを実証するための個別試験計
画を記載しなければならない。
3.3.23
清浄度 油圧系統構成部品の内部清浄度は,NAS 1638 の表 I クラス 8 と同等以上でなければなら
ない(4.5.21 参照)
。
3.4
互換性 同一部品番号をもったすべての部品は,取付け及び性能に関して,互いに直接かつ完全な
互換性をもっていなければならない。製造業者又は発注者部品番号の変更は,MIL
−STD-100 の図面番号
要求事項によって管理しなければならない。構成品目を選択組み合わせて構成した部分組立品は,組立品
として互換性をもつようにし,適用図面にその旨指示しなければならない。このような組立品の個々の構
成品目は,互換性をもたせる必要はない。
3.5
潤滑剤 油圧系統構成部品の取付け及び組立て中にシールを潤滑するには,3.3.4 で選定した作動油
を用いなければならない。また,MIL
−G-81322 の規定に適合するグリースの薄膜又は MIL−H-6083 の規
定に適合する作動油(MIL
−H-5606 の系統に対し)も用いてよい。
もし,その他の潤滑を必要とする場合には,潤滑方法及び使用する潤滑剤について,発注者の承認を受
けなければならない。
潤滑は,耐久試験中又は正規の運用寿命中に再潤滑のための分解を必要とせずに,達成されなければな
らない。MIL
−G-81322 のグリースを多量に用いることは,避けなければならない。
3.6
質量 質量は,この規格の要求事項と矛盾しないで,できる限り軽くしなければならない。組み上
がった構成部品の質量は,製造業者の組立図に規定しなければならない。
3.7
仕上げ
12
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3.7.1
表面粗さ 必要な箇所については,表面粗さを決めて,これを ANSI B46.1 (JIS B 0601) の規定に
従って製造業者の組立図に指定しなければならない。表面粗さの測定は,測定しようとする水準において
±15%の正確さをもったプロフィロメータ,触針分析コンパレータその他適当な比較装置で行わなければ
ならない。
もし表面欠陥が許されない場合には,すべての欠陥は指定限界内にあること,又はあらかじめ規定した
特別検査手順に従うことを個別に指示しなければならない。少なくとも 0.4
µm (16µin) 又はこれより細か
い中心線平均粗さ区分値が指定されている表面については,遵守すべき要求事項の一部をなす表面計測の
ほかに,その粗さを作り出すために欠くことのできない工程の記述を加えなければならない。また必要が
あれば,うねりや加工模様も指定しなければならない。
3.7.2
被覆 発注者の要請により,受注者は,構成部品に用いた材料及びめっき被覆が意図する使用に適
していることを実証するために必要と考えられる試験データを提供するか,又は特定の試験を実施しなけ
ればならない。
3.8
物理的欠陥検査 すべての磁性のある高応力部品は,MIL−I-6868 に従って磁気探傷検査を受けな
ければならない。アルミニウム又はアルミニウム合金部品で,MIL
−C-5541 の材料で処理されたものは,
処理後 MIL
−I-6866 の規定に適合する工程で検査しなければならない。このような検査が必要な箇所は,
製造業者の図面にそれを示さなければならない。
検査によって発見されたクラックその他の有害な欠陥は,
不合格の原因としなければならない。MIL
−C-5541 に規定する材料を,陽極処理されている部品に修正塗
りするのに使用した箇所には,上記の検査工程は要求されないものとする。
3.9
特殊工具 構成部品は,通常の整備及び検査のために特殊工具又は一般でない工具を必要としない
ような設計でなければならない。
3.10
製品の識別表示 構成部品は,MIS−STD-130 に従って識別表示しなければならない。
3.10.1
銘板 各構成部品は,MIL−STD-130 の規定に適合する耐久性の銘板を用いて,識別表示しなけれ
ばならない。銘板は,小ねじ,リベット,溶接,その他承認された方法を用いて,各構成部品に確実に取
り付けなければならない。機械的に締結した銘板の下には,腐食を防止するため,MIL
−C-83982 又は MIL
−S-81733 の規定に適合する合わせ面シーラントを用いなければならない。
接着剤を用いて取り付ける銘板は,発注者の事前承認を必要とするものとする。銘板には,取り付け後
に打刻してはならない。
3.11
ワークマンシップ ワークマンシップは,正常な作動及び運用寿命を保証するよう,全般に高度の
ものでなければならない。
4.
品質保証条項
4.1
検査の責任 契約書又は注文書で特に指定のない限り,受注者は,ここに規定するすべての検査要
求事項を実施する責任がある。契約書又は注文書で特に指定された場合を除き,受注者は,発注者が不承
認としない限り,ここに規定する検査要求事項を実施するのに適するものであれば,自己の設備を用いて
も,又は他のいかなる設備を用いてもよい。発注者は,供給品及び役務が規定の要求事項に適合している
ことを保証するために必要と考える場合には,仕様書に定められたいかなる検査をも実施する権利を留保
する。
4.2
試験の種類 試験の種類(認定試験,初回製品試験又は品質確認試験)は,個別仕様書に指定する
とおりとしなければならない。試験方法は,4.5,4.6 及び 4.7 に記載されている。
13
W 2913-1982
4.3
認定試験又は初回製品試験の条件 認定試験又は初回製品試験の供試品は,各構成部品について少
なくとも 2 個で構成しなければならない。個別仕様書で特に修正又は追加されない限り,認定試験又は初
回製品試験には,次の試験条件を適用する。
4.3.1
不利な許容差条件 構成部品は,不利な許容差の部品を用いて組み立てたとき,構成部品の性能又
は寿命の低下を生じることなく機能を発揮する能力をもっていなければならない。受注者は,この要求事
項に適合していることを,数学的解析によって立証しなければならない。
4.3.2
試験流体 試験流体には,3.3.4 で選定した作動油を用いなければならない。
なお,品質確認試験には,MIL
−H-5606 の作動油の代わりに,MIL−H-6083 の作動油を用いてもよい。
4.3.3
温度条件 特に指定のない限り,周囲温度及び出口油温は,それぞれ個々の試験に指示された範囲
内になければならない。リリーフ弁,ソレノイド作動機器などのようにかなりの熱を発生する特性をもっ
た構成部品に対しては,出口油温は指定されたとおりとし,入口油温及び周囲温度はこの熱発生を補償す
るように低くしてもよい。しかし,入口油温又は周囲温度は,いかなる場合でも 14℃ (25°F) 以上低くし
てはならない。流量のない状態の試験に対しては,周囲温度は指定されたとおりでなければならない。周
囲温度,入口油温及び出口油温を試験報告書に記述しなければならない。油温は,構成部品のポートにで
きるだけ近いところで計測しなければならない。すべての浸せき期間中,系統は空気抜きを行って,作動
油で充満させなければならない。特に指定のない限り,4.に規定する各試験を通じて引用される次の基準
温度に対して適用する許容差は,それぞれ次のとおりとする。
135
±3℃ (275±5°F), 38±3℃ (100±5°F), 107±3℃ (225±5°F),
−54
0
3
−
℃ (−65
0
5
−
°F), 71
3
0
+
°C (160
5
0
+
°F)
4.3.4
ろ過 認定試験に対しては,試験流体は,航空機又は飛しょう体の系統に用いるフィルタエレメン
トのミクロン定格と同等のミクロン定格をもったフィルタエレメントを通して,連続的にろ過しなければ
ならない。
4.3.5
類似機器の認定 油圧系統中で同一の一般機能に供しようとする一連の機器の場合には,もしすべ
ての内部作動部品が既認定機器の対応する内部作動部品と詳細な点まで同一であり,かつ保証圧力,破裂
圧力及び認定者の指定する作動要求事項を満足するならば,認定者の判断により,シリーズ中の一つの機
器の認定をそのシリーズ中の他のいずれかの機器に適用してもよい。例えば,ポートのサイズ,ポートの
位置,本体外部寸法及び本体外部形態に関してのみ既認定機器と異なっている機器に対しては,すべてこ
の方式の認定が適用できるものとする。類似機器についてのこのような認定は,シリーズ中の一つの機器
に対して自動的に行われるのではなく,認定者の判断によるものとする。
4.3.6
試験の適用 ここに記載するすべての試験は,各供試構成部品に対して,個別仕様書で規定する順
序で実施しなければならない。
4.4
品質確認試験 個別仕様書で特に指定のない限り,タイプ I 又はタイプ II の構成部品に対する品質
確認試験は,次のもので構成しなければならない。
(a)
製品検査 (4.5.1)
(b)
保証圧力 (4.5.3.1)
(c)
漏れ試験 (4.5.4)
(d)
圧力降下 (4.5.5)
4.4.1
品質確認試験条件 個別仕様書で特に指定のない限り,次の試験条件を適用しなければならない。
14
W 2913-1982
4.4.1.1
品質確認試験温度 特に指定のない限り,油温及び周囲温度は,21∼49℃ (70∼120°F) でなけ
ればならない。
4.4.1.2
品質確認試験のためのろ過 特に指定のない限り,試験流体は,MIL−F-27656 又は MIL−
F-81836
のいずれか指定される方と同等のフィルタを通して,連続的にろ過しなければならない。
4.5
試験方法−タイプ I 構成部品
4.5.1
製品検査 各構成部品は,設計,質量,ワークマンシップ及び表示に関してこの規格の要求事項に
適合していること,並びに,目視できる欠陥に関して適用 AN 又は MS 図面,発注者及び製造業者の図面,
仕様書及び規格の規定に適合していることを判定するために,入念に検査しなければならない。
4.5.2
浸せき
4.5.2.1
非金属部品 プラスチック部品又は MIL−G-5514 (JIS W 2006) の規定に適合するグランド内に
装着した MS 又は AN 標準シールを除き,その他の非金属部品を含む構成部品は,この規格又は個別仕様
書に規定する認定試験の実施に先立って,
70
±1℃ (158+2°F) の作動油に 7 日間浸さなければならない。
すべての内部部品は,この期間中作動油に接触していなければならない。
もし標準外のパッキン装着を用いているためにこの試験が必要となる場合,又は,もしパッキンが穴,
ポート,径の段違い部,ねじ部などを通過する場合,及びもしシールの内径,外径又は側面がその正常な
作動中のある時点で拘束を受けなくなる場合には,供試品に使用するパッキンは,QPL-5516 に登録され
た既認定の AN パッキンコンパウンドのうちの最高の膨潤度をもつもので製作したものとし,また作動油
は,QPL-5606 に登録されたもののうち標準合成ゴムに対して 26∼28%の膨潤を与えるものでなければな
らない(発注者は,認定者の要求があれば,適用する高膨潤度のパッキンコンパウンド及び作動油を指定
するものとする。
)
。
上述の浸せき後,構成部品は,試験準備ができるまで,通常の室温のもとで,その高膨潤性の作動油に
浸しておかなければならない。
また構成部品は,試験中わずかな時間でも空気にさらしてはならない。
4.5.3
圧力試験
4.5.3.1
保証圧力 MIL−H-5440 (JIS W 2914),MIL−H-25475 又は個別仕様書に規定する保証圧力を,
個別仕様書に規定する温度で少なくとも連続して 2 回負荷し,各回とも 2 分間保持しなければならない。
このときの圧力上昇率は,毎分 172MPa {1750kgf/cm
2
} (25000psi)
を超えてはならない。機器は,この 2 回
の負荷の中間で作動させ,正常な機能を示さなければならない。シール部における油滴とならないわずか
の湿り以外に,外部漏れ,過度のひずみ又は永久変形の兆候があってはならない。異なった部分に異なっ
た試験圧力を要求される構成部品に対しては,これらの試験圧力は,個別仕様書の指定に従い,別個又は
同時のいずれで負荷してもよい。
逆止め弁,閉止弁又はアキュムレータのように逆方向にも圧力を受ける構成部品に対しては,個別仕様
書の指定に従い,別個又は同時のいずれかで,両方向に圧力を加えなければならない。
4.5.3.2
破裂圧力 MIL−H-5440 (JIS W 2914),MIL−H-25475 又は個別仕様書に規定する破裂圧力を,
個別仕様書に規定する温度において,最高毎分 172MPa {1750kgf/cm
2
} (25000psi)
の圧力上昇率で構成部品
に負荷しなければならない。構成部品は,この圧力で破裂したり,又はこの規格に規定する外部漏れ試験
で許される漏れ量を超えてはならない。圧力は,実際の破裂圧力のデータをとるために,規定圧以上に上
げてもよい。これは破壊性のものであるから,最後に実施する試験とすべきである。異なった部分に異な
った試験圧力を要求される構成部品に対しては,別個又は同時のいずれか過酷な方で負荷しなければなら
ない。
15
W 2913-1982
逆止め弁,閉止弁又はアキュムレータのように逆方向にも圧力を受ける構成部品に対しては,個別仕様
書の指定に従い,別個又は同時のいずれかで,両方向に圧力を加えなければならない。
4.5.4
漏れ試験
4.5.4.1
外部漏れ この規格に記載するすべての試験の間,静止シール部からの油滴とならないわずかな
湿りを除き,
外部漏れは不合格の原因としなければならない。
外部動的シールが用いられている箇所では,
それらのシール部を通る許容漏れは,個別仕様書に規定する量以下でなければならない。
4.5.4.2
内部漏れ
4.5.4.2.1
認定試験又は初回製品試験 この試験は,構成部品を最も漏れやすい位置に保持して実施しな
ければならない。個別仕様書で特に指定のない限り,構成部品は,34kPa {0.35kgf/cm
2
} (5psi) ,
常用圧力の
50%
,常用圧力,及び熱膨張リリーフ弁設定値又は保証圧力に等しい圧力を加え,それぞれ 30 分間保持し
て,漏れを試験しなければならない。
漏れ測定の期間は,要求圧力を加えてから 2 分目に開始しなければならない。構成部品は,圧力負荷と
負荷の中間で作動させなければならない。漏れ率は,個別仕様書で規定する値を超えてはならない。各試
験の最初の 2 分間には,漏れは,流れ状態から完全着座状態での漏れ率にまで急速に減少しなければなら
ない。
4.5.4.2.2
品質確認試験 この試験は,その構成部品を最も漏れやすい位置に保持して実施しなければな
らない。個別仕様書に特に指定のない限り,34kPa {0.35kgf/cm
2
} (5psi)
及び常用圧力でそれぞれ 5 分間保
持しなければならない。いずれの場合も漏れの測定は,5 分間の負荷時間のうちの最後の 3 分間で行う。
漏れの割合は,認定又は初回製品試験に対して,個別仕様書で規定する値を超えてはならない。
4.5.5
圧力降下 構成部品に対し,定格流量の 0∼150%の間,又は個別仕様書で指定する流量範囲に対し
て,圧力降下特性を測定しなければならない。圧力降下の値が小さくてその使用が可能な場合には,正確
な測定を行うために,構成部品の両端間でピエゾメータ又はマノメータを使用してもよい。定格流量での
圧力降下は,個別仕様書で許される値を超えてはならない。
4.5.6
極限温度機能試験
4.5.6.1
低温 構成部品は,試験作動油で静圧液柱 0.3∼0.9m (1∼3ft) 又は定格作動圧力のどちらか過酷
な方の圧力を負荷する。この状態を温度が−54℃ (−65°F) に安定してから,−54℃ (−65°F) 以下に 3
時間保持する。この期間終了後,構成部品を少なくとも 2 回作動させる。作動力又は制御値の変動は,個
別仕様書で許される値を超えてはならない。毎回の作動後に,漏れに対する品質確認試験を実施し,個別
仕様書の要求を満足しなければならない。
4.5.6.2
中間温度 低温試験 (4.5.6.1) に引き続いて,直ちに試験装置を 71℃ (160°F) の温度にまで急速
に暖める。温度上昇中,最大 20℃ (36°F) の温度上昇ごとに構成部品を作動させ,この温度範囲全体を通
じて満足に作動することを確認しなければならない。この確認試験は,構成部品全体の温度が安定するま
で待つことなく実施しなければならない。
複雑な構成部品の場合には,機能試験を行う時間を確保するため,個別仕様書において,上述の 20℃
(36
°F) の間隔を広げてもよい。
16
W 2913-1982
4.5.6.3
高温 AN 又は MS 標準構成部品の場合は 71℃ (160°F) に,標準外構成部品の場合には遭遇す
ると予想される最高温度に,構成部品の全部品がその温度に達するのに十分な時間保持する。この試験の
試験温度は,いかなる場合でも,71℃ (160°F) より低くしてはならない。その後,構成部品は,少なく
とも 2 回作動させる。圧力作動又は圧力調整の場合には,室温時の作動値又は制御値からの変動は,個別
仕様書で許される値を超えてはならない。毎回の作動後に,漏れに対する品質確認試験 (4.5.4) を実施し,
個別仕様書の要求事項を満足しなければならない。
4.5.6.4
温度差 二つの系統からの作動油を利用する構成部品の場合には,その二つの系統の油温を 89℃
(160
°F) の温度差又は個別仕様書で指定する温度差(系統間に生じ得る最大温度差)に保って,構成部品
を作動させる。構成部品は,少なくとも 2 回作動させる。作動力又は調整値の変動は,その温度差に対し
て個別仕様書で許される値を超えてはならない。
4.5.6.5
温度限界 ソレノイドは,MIL−STD-810 の高温及び低温試験手順に従わなければならない。
4.5.7
温度上昇 直流構成部品は 29V で試験し,交流構成部品は,単相又は三相に対してそれぞれ 122V
又は 212V で個別仕様書に規定する周波数で試験しなければならない。交流 122V 又は 212V での作動前及
び作動直後にコイル抵抗を測定するには,直流試験電源を使用しなければならない。また,温度上昇を測
定するには,直流抵抗法を用いなければならない。
4.5.8
耐久
4.5.8.1
一般 構成部品は,個別仕様書の要求事項に従い,サイクル作動,及び油圧衝撃のようなその他
の疲労試験を行わなければならない。個別仕様書には,サイクル数,サイクルスケジュール,サイクル速
度,ストローク,流量,負荷,温度,衝撃ピーク値などを指示しなければならない。適用できる場合には,
漏れは,要求サイクル数の 25,50,75 及び 100%の時点で検査しなければならない。耐久試験終了時に,
構成部品は満足に作動しなければならない。
また,構成部品は,分解して入念に検査を行い,いかなる部分にも過度の摩耗の徴候があってはならな
い。
4.5.8.2
航空機への適用 選定するサイクル数は,航空機又は構成部品のいずれか大きい方の予想寿命に
適正な安全率を乗じた期間の作動サイクルを基礎としたものでなければならない。どの場合にも,そのサ
イクルは
表 3 に規定した値以上でなければならない。
表 3 耐久試験
構成部品の形式及び使用
サイクル数
AN
又は MS 標準品
個別仕様書参照
標準外部品− 非常用 5000
− 使用頻度小(1 飛行につき 10
サイクル未満)
20000
− 使用頻度大(1 飛行につき 10
サイクル以上)
50000
− 操縦装置,操向装置,アンチス
キッド装置等
個別仕様書参照
4.5.8.3
飛しょう体への適用 選定するサイクル数は,定期的な飛しょう体の訓練及び信頼性点検サイク
ルを含め,飛しょう体の寿命中にその構成部品が受ける推定サイクル数の 4 倍としなければならない。た
だし,すべての構成部品に対して最少 2000 サイクルは実施しなければならない。
4.5.8.4
油圧衝撃
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W 2913-1982
4.5.8.4.1
アクチュエータ,バルブ,圧力容器及びこれに類する構成部品 これらの構成部品に対しては,
ARP 1383
の規定及び個別仕様書の規定に従って,油圧衝撃試験を行わなければならない。ARP と個別仕
様書の規定が相違する場合は,個別仕様書を優先させなければならない。
4.5.8.4.2
ホースアセンブリ,配管,継手,急速継手,フィルタ及びその他伝達管路構成部品 これらの
構成部品に対しては,ARP 608 の規定及び個別仕様書の規定に従って,油圧衝撃試験を行わなければなら
ない。ARP と個別仕様書の規定が相違する場合は,個別仕様書を優先させなければならない。
4.5.9
振動,衝撃及び加速度 構成部品は,個別仕様書で指定された場合には,MIL−STD-810 に定める
振動(方法 514)
,衝撃(方法 516)及び加速度(方法 513)の各試験を受けなければならない。
4.5.10
湿度 MIL−STD-810 の湿度試験方法に従って,耐湿性を立証しなければならない。構成部品は,
この試験の終わりに,
定格電圧で 25 サイクル正常に作動しなければならない。
また,
ソレノイドに対して,
4.5.19
に規定する耐電圧試験を行わなければならない。
4.5.11
かび MIL−STD-454 の要求事項 4 による“かび不活性”に分類されない材料を含む構成部品は,
MIL
−STD-810 方法 508 のかび抵抗性試験を受けなければならない。
4.5.12
砂じん 構成部品は,MIL−STD-810 に定めるダスト試験を受けなければならない。この試験は,
もし構成部品のすべての可動部品が内部作動油にのみさらされる場合には,省略してもよい。
4.5.13
塩霧 構成部品は,発注者がこの試験は不要と決定しない限り,MIL−STD-810 に定める塩霧試験
を受けなければならない。
4.5.14
氷結 構成部品は,もしその設計が外面又は通気穴内面への氷の付着によって機能不良をひき起こ
すおそれがある場合には,氷結試験を行わなければならない。この試験を要求される場合には,試験は,
個別仕様書の規定に従って実施しなければならない。
4.5.15
防爆 潜在的着火源をもっている構成部品は,MIL−STD-810 に規定する爆発性大気試験方法に従
って,防爆試験を受けなければならない。
4.5.16
電磁干渉 電磁干渉をひき起こす構成部品は,MIL−STD-461, MIL−STD-462 及び MIL−STD-463
に従って,電磁干渉試験を受けなければならない。
4.5.17
系統圧力以上での作動 構成部品は,それが取り付けられている回路の熱膨張リリーフ弁の最大設
定圧力に等しい圧力で作動を試験しなければならない。この試験は,個別仕様書の規定に従って実施しな
ければならない。
4.5.18
信頼性 MTBF 又はこれと同等の尺度を含む信頼性要求事項に適合することを実証するため,個
別仕様書の規定に従って,試験を実施しなければならない。
4.5.19
耐電圧 もし,湿度試験又は塩霧試験に引き続いて耐電圧試験を行う場合には,ソレノイドは,耐
電圧試験を受ける前に,個別仕様書に規定する最高周囲温度で 6 時間加熱乾燥させなければならない。す
べてのソレノイドは,端子とケースの間に,次の実効値をもった商用周波数の交流電圧を 1 分間印加しな
ければならない。
(a)
室温及び室内気圧のもとで 1500V
(b)
最高作動温度及び高度のもとで 1000V
この試験中,漏れ電流は 1mA を超えてはならない。
4.5.19.1
組み立てた油圧構成部品に対する組み立て後の耐電圧試験,又はソレノイドに対する環境試験後
の耐電圧試験は,上記電圧の 75%を 1 分間加えて実施しなければならない。フラッシオーバ電流又は漏れ
電流が 1mA を超えたときは,不合格としなければならない。試作品と量産品との間で,試験電圧に差を付
けてはならない。
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4.5.20
ドロップアウト電圧試験 ソレノイド作動構成部品は,まず公称作動電圧を加え,ついでその印加
電圧を公称作動電圧の 10%まで徐々に減少させて,ドロップアウト電圧を試験しなければならない。ソレ
ノイドは,公称作動電圧の 10%と個別仕様書に規定する最小動作電圧との間でドロップアウトしなければ
ならない。
4.5.21
構成部品の清浄度 構成部品は,構成部品内から採った作動油の代表試料に対し,FED−STD-791
の方法 3009 による微粒子計数を行って,内部清浄度を試験しなければならない。構成部品は,もし可能な
らば,試料採取中に作動させなければならない。清浄度レベルは,NAS 1638 の
表 I クラス 8 と同等以上で
なければならない。もし,この方法が実用的でない場合には,個別仕様書に構成部品清浄度試験を規定し
なければならない。
4.6
試験方法−タイプ II 構成部品 タイプ I 構成部品用として記載した試験方法は,以下の例外規定を
除き,タイプ II 構成部品にも適用しなければならない。
4.5.2
の試験は,135℃ (275°F) で 72 時間実施する。
4.5.3.1
,4.5.3.2 及び 4.5.6.3 の試験は,71℃ (160°F) の代わりに,135℃ (275°F) で実施する。
4.5.6.4
の試験は,最大温度差で実施する。
4.6.1
耐久 タイプ II 構成部品の耐久試験は,4.5.8 に規定したタイプ I 構成部品に対する試験方法と同
様に,下記の一般試験サイクルに従って行わなければならない。以下の試験は,ここに記載する順序で実
施しなければならない。
一般試験サイクル−タイプ II 構成部品
(a)
構成部品を機器の全油量の 90%の作動油で満たす。ポートにふたをして,周囲温度を 135℃ (275°F)
に維持した加熱槽内に構成部品を置く。135℃ (275°F) の周囲温度に構成部品を 72 時間保持する。
(b) 4.5.3.1
に規定する試験を 135℃ (275°F) で実施する。
(c) 4.5.6.1
に規定する試験を−54℃ (−65°F) で 10 サイクル以上実施する。供試品は,試験を実施する
前に少なくとも 4 時間−54℃ (−65°F) に保持する。作動による試験中の温度上昇は許される。
(d) 4.5.6.2
に規定する 71℃ (160°F) の試験後直ちに,試験装置を急速に 135℃ (275°F) に暖める。この
間構成部品を約 20℃ (36°F) の温度上昇ごとに作動さぜて,満足に作動することを確認しなければな
らない。
(e) 4.5.6.3
に規定する試験を 135℃ (275°F) で 10 サイクル以上実施する。
(f) 4.6.1.1
の結果としていずれかの条件が修正されない限り,所要の時間 135℃ (275°F) に暴露させて,
4.5.8
に規定する試験サイクルの 25%を 135℃ (275°F) で実施する。
(g)
構成部品を 135℃ (275°F) に 2 時間浸せきする。初めの 1 時間は圧力を保持し,次の 1 時間は圧力を
ほぼ 0 に下げる。
(h) 4.5.6.1
に規定する低温試験を−54℃ (−65°F) で繰り返す。その後 4.5.6.3 に規定した高温試験を
135
℃ (275°F) で繰り返す。
(i) 4.6.1.1
の結果として修正されない限り,4.5.8 に規定する試験サイクルの 75%を 107℃ (225°F) で実
施する。
4.6.1.1
タイプ II 構成部品に対しては,受注者は,構成部品が高温で作動するサイクルの百分比,及び構
成部品の寿命又は航空機の寿命のどちらか長い方の期間における構成部品の累積高温暴露時間を決定しな
ければならない。構成部品の高温耐久サイクリングの範囲は,この決定を基礎にしなければならない。
4.7
包装,こん包及び表示 引渡し準備が 5.の規定に適合しているかどうかを検査しなければならない。
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5.
引渡し準備
5.1
保存処置,包装及びこん包 保存処置,包装及びこん包の要求事項は,個別仕様書で規定するか,
又は発注者が指示するとおりとしなければならない。油圧系統構成部品は,MIL
−C-5501 の規定に適合す
るふたを用いて密閉しなければならない。
参考 米国海軍機に対しては,NAVAIR 01-1A-17 の要求事項に従うことと,MIL−C-5501 の規定に適
合する金属ぶただけが要求されている。
5.2
出荷用表示 契約書,注文書又は個別仕様書で要求される特別表示のほかに,内部包装及び外部出
荷容器には,MIL
−STD-129 に従って表示を施さなければならない。
5.2.1
再検査表示 再検査表示は,発注者が指示するとおりとしなければならない。
6.
注
6.1
用途 この規格で規定する航空機及び飛しょう体油圧系統構成部品は,MIL−H-5440 (JIS W 2914)
及び MIL
−H-25475 の規定に適合する航空機油圧系統に使用するためのものである。
6.2
用語の意味 この規格の目的に対して,
“構成部品”の語は,バルブ,作動筒又はこれに類する油圧
系統機器を意味するのに用いる。
6.2.1
標準構成部品とは,
MS
,
AN
又は MIL 仕様書シートによる部品番号を与えられた構成部品をいう。
自動車 航空部会 航空機装備品専門委員会 構成表
氏名
所属
(委員会長)
玉 井 浩
株式会社島津製作所産業機械事業部
米 本 恭 二
運輸省航空局
佐 藤 進
郵政省電波監理局
大 塚 至 毅
海上保安庁警備救難部
藤 井 一 夫
防衛庁装備局
鈴 木 孝 雄
科学技術庁航空宇宙技術研究所
坂 本 吉 弘
通商産業省機械情報産業局
大久保 和 夫
工業技術院標準部
正 木 方 夫
日本航空株式会社技術部
小 堺 朝 毅
全日本空輸株式会社整備本部
官 沢 朗
東亜国内航空株式会社航務整備部門
竹 内 和 男
社団法人日本航空宇宙工業会技術部
竹 内 誠一郎
東京芝浦電気株式会社小向工場
渡 辺 義 郎
横浜ゴム株式会社航空部品工場
林 駿 郎
住友精密工業株式会社技術開発部
小宮山 勝 彦
株式会社小糸製作所航空部品製造部
(事務局)
松 川 東 一
工業技術院標準部機械規格課
鈴 木 一 規
工業技術院標準部機械規格課