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W 2014 : 2002 (MIL-STD-7179 : 1997)

(1) 

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日

本工業規格である。これによって,JIS W 2014 : 1989 は改正され,この規格に置き換えられる。

今回の改正は,準拠規格である MIL-F-7179F が(MIL-F-7179G への改正を経て)MIL-STD-7179 に更

新されたことに伴うものである。


W 2014 : 2002 (MIL-STD-7179 : 1997)

(1) 

目次

ページ

序文

1

1.

  適用範囲

1

1.1

  適用範囲

1

2.

  引用規格

1

2.1

  一般事項

1

2.2

  国家規格

1

2.2.1

  仕様書,規格及びハンドブック

1

2.3

  民間規格

3

2.4

  優先順位

3

3.

  定義

3

3.1

  外面

3

3.2

  極限状態区域

3

3.3

  合わせ面

3

3.4

  艇体の底部

3

3.5

  水上機

3

3.6

  航空宇宙システム

3

4.

  一般要求事項

4

4.1

  一般

4

4.2

  例外事項

4

4.3

  受注者による保護仕上げ仕様書の調製

4

4.3.1

  特殊処理

4

4.3.2

  対照表

4

4.3.3

  代替材料

4

4.3.4

  標準外の塗装及び仕上げ

4

4.4

  一般注意事項

4

4.4.1

  金属粒

4

4.4.2

  研磨材料の使用

5

4.4.2.1

  金属ウール

5

4.4.2.2

  ワイヤブラシ

5

4.4.2.3

  ワイヤブラシの一般的選択

5

4.4.3

  溶接,ろう付け及びはんだ付け

6

5.

  詳細要求事項

6

5.1

  保護仕上げ系の要求事項

6

5.1.1

  表面処理

6

5.1.2

  有機仕上げ材の塗布

6


W 2014 : 2002 (MIL-STD-7179 : 1997)

目次

(2) 

5.1.3

  内面

6

5.1.4

  外面

6

5.1.5

  塗膜厚さ

6

5.2

  特定部品に適用する要求事項

6

5.2.1

  合わせ面,接合部及び継ぎ目

6

5.2.1.1

  同種金属の表面

6

5.2.1.1.1

  欠陥部の充てん

8

5.2.1.2

  異種金属の表面

8

5.2.2

  シーリング

9

5.2.3

  滑りはめ合い (slip fit)

9

5.2.4

  圧入によるはめ合い (press fit)

9

5.2.5

  切断面の縁

9

5.2.6

  機能面

9

5.2.7

  操縦ケーブル及び操縦チェーン

10

5.2.8

  密巻きばね

10

5.2.9

  油又はグリース中の部品

10

5.2.10

  金属製タンク

10

5.2.10.1

  一時使用及び補助燃料タンク

10

5.2.10.2

  溶接組立燃料タンク(外部補助燃料タンクを含む。)

10

5.2.10.3

  インテグラル燃料タンク及びリベット付け燃料タンク

10

5.2.10.4

  潤滑油及び作動油タンク

10

5.2.10.5

  種々のアルミニウム合金製タンク

10

5.2.11

  管

10

5.2.11.1

  非構造用管

10

5.2.11.1.1

  酸素配管

11

5.2.11.1.2

  アルミニウム管及び管路

11

5.2.11.1.3

  取付け後の管結合部の保護

11

5.2.11.2

  構造用鋼管

12

5.2.11.2.1

  構造用炭素鋼管

12

5.2.11.2.2

  構造用アルミニウム合金管

13

5.2.11.2.3

  構造用の銅合金管,耐食合金管及び耐熱合金管

13

5.2.11.3

  機械的結合部材

13

5.2.12

  取付部品及び締結部品

13

5.2.12.1

  一般仕上げ

13

5.2.12.2

  精密公差ボルト

13

5.2.12.3

  調整可能部品

14

5.2.12.4

  補修塗り

14

5.2.12.5

  座金

14

5.2.13

  腐食性流体にさらされる区域

14

5.2.14

  水上機の締結金具及び支柱端部

14


W 2014 : 2002 (MIL-STD-7179 : 1997)

目次

(3) 

5.2.15

  フロートバンパ

14

5.2.16

  電気部品

14

5.2.16.1

  接続部

14

5.2.16.2

  電線管及び配線箱

14

5.2.16.3

  電気コネクタのピン及びソケット

14

5.2.17

  高温にさらされる表面及び構成部品

15

5.2.17.1

  遮炎塗装

15

5.2.17.2

  温度抑制用塗装

15

5.2.18

  艇体及びフロートの底部

15

5.2.19

  木材及びフェノール材の表面

15

5.2.20

  プラスチック及びセラミック成形品

15

5.2.21

  ダクトの塗装

16

5.2.22

  強化プラスチック製構成部品

16

5.2.23

  金属製前縁

16

5.2.24

  ヘリコプタのロータブレード前縁

16

5.2.25

  ゴム(天然ゴム及び合成ゴム)

16

6.

  注記

16

6.1

  用途

16


日本工業規格

JIS

 W

2014

 : 2002

 (MIL-STD-7179

 : 1997

)

航空宇宙システム保護用

表面仕上げ,塗装及びシーリング

Finishes, coatings and sealants for the

protection of aerospace systems

序文

この規格は,航空宇宙システムの保護のための表面処理に用いる方法についての最小限の要求事

項を規定する。この規格には,航空宇宙システムの表面仕上げ,保護塗装及びシーリングに使用する材料

の規格を明記している。代替の材料又は工程を要望する場合には,購入者の許可が必要である。

この規格は,1997 年に MIL-F-7179G を更新するものとして発行された MIL-STD-7179 を翻訳し,技術的

内容は変更することなく,しかし我が国の国情に適するよう規定事項の削除・追加等を行ったうえで,1984

年に発効された MIL-F-7179F Finishes, Coatings and Sealants for the Protection of Aerospace Weapons Systems

に準拠した JIS W 2014 : 1989 を改正したものである。

1.

適用範囲

1.1

適用範囲  この規格は,航空宇宙システム(6.1 参照)の保護に使用する表面仕上げ,保護塗装及び

シーリングに対する最小限の要求事項について規定する。

備考  この規格の対応外国規格を次に示す。

MIL-STD-7179

  Finishes, Coatings, and Sealants, for the Protection of Aerospace Weapons Systems

2.

引用規格

2.1

一般事項  次に掲げる規格は,この規格の 3.4.及び 5.に引用されることによって,この規格の規定

の一部を構成する。この規格の 3.4.及び 5.以外の箇条に示す文書,又は参考若くは例示として推奨する

文書は,引用規格に含まない。ここに列記した規格に漏れがないよう努力されてはいるが,この規格の使

用者は,明記されているか否かにかかわらず,この規格の 3.4.及び 5.で引用されている規格のすべてを

満足しなければならないことに留意する。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

2.2

国家規格

2.2.1

仕様書,規格及びハンドブック

仕様書 

Federal 

A-A-58054

  Abrasive Mats, Non-Woven, Non-Metalic

ASTM D260

  Specification for Boiled Linseed Oil

TT-P-28

  Paint, Aluminum, Heat Resisting (1200°F)

TT-P-1757

  Primer Coating, Alkyd Base, One Component


2

W 2014 : 2002 (MIL-STD-7179 : 1997)

TT-P-2756

  Polyurethane Coating : Self-Priming Topcoat, Low Volatile Organic Compounds (VOC) Content

TT-P-2760

  Primer Coating : Polyurethane, Elastomeric, High Solids

VV-L-800

  Lubricating Oil, General Purpose, Preservative (Water-Displacing, Low Temperature)

Department of Defense 

MIL-PRF-3043

  Resin Coating, Permanent Unpigmented, for Engine Components and Metal Parts

MIL-S-5002

  Surface Treatments and Inorganic Coatings for Metal Surfaces of Weapons Systems

MIL-C-5056

  Coating, Permanent Resin, Process for Application of, to Aircraft Parts

MIL-C-5541

  Chemical Conversion Coatings on Aluminum and Aluminum Alloys

MIL-C-6529

  Corrosion Preventive, Aircraft Engine

MIL-C-8514

  Coating Compound, Metal Pretreatment, Resin-Acid

MIL-A-8625

  Anodic Coatings, for Aluminum and Aluminum Alloys

MIL-C-8779

  Colors, Interior, Aircraft, Requirements for

MIL-C-11796

  Corrosion Preventive Compound, Petrolatum, Hot Application

MIL-PRF-16173

  Corrosion Preventive Compound, Solvent Cutback, Cold-Application

MIL-F-18264

  Finishes : Organic, Weapons System, Application and Control of

MIL-PRF-22750

  Coating, Epoxy, High Solids

MIL-PRF-23377

  Primer Coatings : Epoxy, High Solids

MIL-L-23398

  Lubricant, Solid Film, Air-Cured, Corrosion Inhibiting, NATO Code NumberS-749

MIL-C-27725

  Coating, Corrosion Preventive, for Aircraft Integral Fuel Tanks

MIL-S-29574

  Sealing Compound, Polythioether, For Aircraft Structures, Fuel and High Temperature

Resistant, Fast Curing at Ambient and Low Temperatures

MIL-L-46010

  Lubricant, Solid Film, Heat Cured, Corrosion Inhibiting

MIL-PRF-46081

  Coating Compound, Thermal Insulating (Intumescent)

MIL-A-46146

  Adhesives-Sealants, Silicone, RTV, Non-corrosive (For Use with Sensitive Metals and

Equipment)

MIL-C-46168

  Coating, Aliphatic Polyurethane, Chemical Agent Resistant

MIL-P-53022

  Primer, Epoxy Coating, Corrosion Inhibiting, Lead and Chromate Free

MIL-P-53030

  Primer Coating, Epoxy, Water Reducible, Lead and Chromate Free

MIL-C-53039

  Coating, Aliphatic, Polyurethane, Single Component, Chemical Agent Resistant

MIL-C-53072

  Chemical Agent Resistant Coating (CARC) System Applicantion Procedures and Quality

Control Inspection

MIL-PRF-63460

  Lubricant, Cleaner and Preservative for Weapons and Weapons Systems

MIL-C-81309

  Corrosion Preventive Compounds, Water Displacing, Ultra-thin Film

MIL-PRF-81733

  Sealing and Coating Compound, Corrosion Inhibitive

MIL-A-83377

  Adhesive Bonding (Structural) for Aerospace and Other Systems, Requirements for

MIL-C-83231

  Coating Polyurethane, Rain Erosion Resistant, for Exterior Aircraft and Missile Plastic Parts

MIL-C-83445

  Coating System, Polyurethane, Non-Yellowing White, Rain Erosion Resistant, Thermally

Reflective

MIL-PRF-83483

  Thread Compound, Antiseize, Molybdenum Disulfide-Petrolatum

MIL-C-85054

  Corrosion Preventive Compound, Water Displacing Clear (Amlguard)


3

W 2014 : 2002 (MIL-STD-7179 : 1997)

MIL-PRF-85285

  Coating : Polyurethane, High Solids

MIL-PRF-85322

  Coating, Elastomeric, Polyurethane, Rain Erosion

MIL-PRF-85582

  Primer Coatings : Epoxy, Waterborne

規格 

Federal 

FED-STD-595

  Colors Used in Government Procurement

Department of Defense 

MIL-STD-171

  Finishing of Metal and Wood Surfaces

MIL-STD-464

  Electromagnetic Environmental Effects Requirements for Systems

日本工業規格 

JIS W 2015

  航空機における異種金属の取扱方法

備考  MIL-STD-889, Dissmilar Metals がこの規格と一致している。

2.3

民間規格

SAE

規格  (SOCIETY OF AUTOMOTIVE ENGINEERS)

SAE-AMS 3276

  Sealing Compound, Integral Fuel Tanks And General Purpose, Intermittent Use To 360°F

(182

℃)

SAE-AMS 3374

  Aircraft Firewall, Sealing Compound, One-Part Silicone

SAE-AMS-S-8802

  Sealing Compound, Temperature-Resistant, Integral Fuel Tanks and Fuel Cell Cavities,

High-Adhesion

2.4

優先順位  この規格の内容と引用規格の内容とが相違するときには,この規格の内容を優先させな

ければならない。しかし,個別に免除を得ている場合を除いて,適用すべき法律及び規則に優先する箇条

は,含んでいない。

3.

定義

3.1

外面 (exterior surfaces)   飛行中又は地上で,通常外部環境にさらされる航空宇宙システムのすべて

の表面,及び水又は他の腐食性流体で定期的にぬれるおそれがあるすべての内部の表面。これらの表面に

は,車輪及び降着装置,脚室及びそれらのフェアリング,急降下ブレーキ,翼フラップ,翼の折りたたみ

部分,蓄電池室,便所を備えた航空機の汚水たまり部分,などが含まれる。

3.2

極限状態区域 (extreme conditions)   排気通路,ロケット噴流区域,艇体底部,翼前縁,排気・ロケ

ット噴流からの煙霧がこもるか又はそれらにさらされることがある区域。これらの区域には,熱放射,空

力加熱又はその他の熱源によって 121℃ (250°F) を超える温度にさらされる表面などが含まれる。

3.3

合わせ面 (faved surface)   結合又は密着した二つ以上の面。

3.4

艇体の底部 (hull bottom)   水上機の全備重量喫水線の上方 31cm (12in)  の線から下の胴体部分の表

面。

3.5

水上機 (seaplanes)   飛行艇,フロート形の降着装置を備えた航空機,水上スキーをもつ飛行機,水

陸両用機又は水陸転用機のように,常時又は一時的に水上から運行する航空機。

3.6

航空宇宙システム (aerospace system)   すべての型の航空機及び飛しょう体。


4

W 2014 : 2002 (MIL-STD-7179 : 1997)

4.

一般要求事項

4.1

一般  この箇条は,航空宇宙システム(3.6 参照)の極限状態にさらされる区域(3.2 参照)が,想

定される環境に適していることが証明された塗料及び仕上げ材によって保護されることを保証するために

必要な腐食防護の方法を規定する。

4.2

例外事項  特定の品目及び/又は補機の仕様書又は図面に特に指示がない限り,この規格は,プロ

ペラ,動力装置,計器,電子機器きょう体若しくはシャシ,又は電動機,発電機,スイッチ,油圧弁及び

類似の部品のような受注者が購入する補機には適用しない。このような機器又は補機の色及び仕上げ系が

受注者及び発注者又はその代行者にとって容認できるものであれば,受注者は,再仕上げを要求されるこ

とはない。

4.3

受注者による保護仕上げ仕様書の調製  受注者は,調達品の清浄化及び表面処理を含めて,防食仕

上げを規定する仕様書をまとめなければならない。ここに規定する要求事項から逸脱した事項は,すべて

明確にし,かつ,該当する技術データ及び情報を添付しなければならない。機器の一部分に対してワイヤ

ブラシを用いようとする場合には,受注者の仕上げ仕様書に記載しなければならない(4.4.2.3 参照)

。塗膜

厚さの要求事項を満たすことができない部分については(5.1.5 参照)

,受注者は,要求事項からの変更箇

所について仕上げ仕様書の中に明示しなければならない。

4.3.1

特殊処理  仕上げ仕様書の中には,その航空宇宙システムの詳細な部品の一覧表は必要としない。

しかし,詳細な保護処理に関してシステム中のすべての部品を適切に分類できるように,十分な例を記載

しなければならない。処理が不明確な部品,特殊な処理を必要とする 4.1 に規定する区域及び部品又は組

立品でそれら仕様書によって最大限の防食処理が必要であることを特記してあるものは,すべて仕上げ仕

様書に記載しなければならない。

4.3.2

対照表  受注者の仕上げ仕様書が,製造者の材料仕様書及び/又はその他仕上げ工程仕様書,若し

くは他の文書を引用しているときには,それらが現行の公共規格と同等であることを示す対照表を付けな

ければならない。受注者が起案した引用文書は,すべてその写しを提案する仕上げ仕様書とともに提出し

なければならない。

4.3.3

代替材料  この規格で塗料及び/又は仕上げ材料,又はこれらのための行程を選択する場合には,

受注者は,使用を意図するものだけを明示した仕上げ仕様書を作成しなければならない。その他の代替材

料は,発注者の文書による許可を得ないで使用してはならない。

4.3.4

標準外の塗装及び仕上げ  受注者による仕上げ仕様書の調製(4.3 参照)においては,この規格に

指定された要求事項と異なった又は追加した必要事項は,すべて星印を用いて明示しなければならない。

これらのものは,標準外と見なす。これらが影響する材料又は工程は,想定した運用環境に適しているこ

とが証明された塗料又は仕上げ系のもので代えておかなければならない。

4.4

一般注意事項

4.4.1

金属粒  切粉,切断くず及びやすりくずのような金属粒若しくは金属片,又はその他の異物を構造

物内に残留させない製作手順及び組立手順を確立しなければならない。近づきにくい区域で頻繁に清浄作

業をするには,強い吸引力をもつ真空掃除機を使用してもよい。受入れ済み組立品に金属切削又はやすり

がけをすることは,発注者が特別に承認する場合を除いては,許されない。それが認められる場合には,

その箇所は,部品の塗装細部計画に従って補修塗りしなければならない。


5

W 2014 : 2002 (MIL-STD-7179 : 1997)

4.4.2

研磨材料の使用  正しい研磨材の材料及び粒度は,処理する材料又は表面,及びその研磨材料を使

用する目的によって選定する。研磨片の管理や除去が航空宇宙システムの故障の原因となる区域では,研

磨材料を使用してはならない。研磨材料を選定する前に,適用できる技術指示書,技術通達又は説明書を

検討しなければならない。部品の疲労寿命を低下させるような表面仕上げとなってしまう研磨材は,使用

してはならない。ある一つの金属や合金に使用した研磨材は,その研磨材を再生する過程で,損傷性汚染

物が取り除かれることが発注者に対して証明できない限り,異なる種類の金属や合金に対して使用しては

ならない。

4.4.2.1

金属ウール  ある特定の材料又は表面に使用するために選定した金属ウールは,その材料又は表

面と電食特性が適合するものでなければならない。スチールウールは,低合金鋼に対して使用してもよい。

アルミニウムウールは,アルミニウム,アルミニウム合金,マグネシウム及びマグネシウム合金に対して

使用してもよい。銅ウールは,銅合金,青銅及び黄銅に対して使用してもよい。ステンレス鋼ウールは,

ステンレス鋼に対して使用してもよい。ある材料又は表面に対して金属ウールを使用した後は,その材料

や表面から残留物を除去しなければならない。除去されなかった残留物は,電食の潜在要因になる。

4.4.2.2

ワイヤブラシ  ワイヤブラシを用いた表面仕上げがその疲労寿命を低下させるような部品に対

しては,

ワイヤブラシを使用してはならない。

ある特定の材料に使用するために選定したワイヤブラシは,

その材料と電食特性が適合するものでなければならない。オーステナイト系ステンレス鋼の表面に対して

は,オーステナイト系ステンレス鋼のブラシだけが使用できる。オーステナイト系ステンレス鋼のブラシ

を使用するときは,異種材料間の汚染を避けるために,与えられた一つの材料だけに対して使用しなけれ

ばならない。直径が 0.25mm (0.01in)  を超える剛毛のワイヤブラシを使用することは,禁止する。アルミニ

ウムやマグネシウムのような軟質金属にワイヤブラシを使用した後は,その表面を,粒の細かい研磨紙又

は A-A-58054 

タイプ のグレード 若しくはグレード の研磨マット(不織布)を使用して磨き仕上げ

しなければならない。

4.4.2.3

ワイヤブラシの一般的選択  ある特定の金属合金に使用するワイヤブラシを選択する際の一般的

な適合性に関する指針として,

表 を用いてもよい。ただし,この表は,機器及び材料に対するワイヤブ

ラシの使用に関して,すべてが網羅されているものではなく,また包括的な承認を与えるものでもない。

表 1  正しいブラシ選択の指針

ワイヤブラシの構成

合金の構成

ステンレス鋼

アルミニウム

炭素鋼

黄銅

アルミニウム

マグネシウム

鉄鋼(非ステンレス)

ステンレス鋼及びニッケル

チタン

クロム,ニッケル,すず又は銅をめっきした合金

カドミウム又は亜鉛をめっきした合金(

1

)

(

1

)

カドミウムめっき又は亜鉛めっきした合金にワイヤブラシを使用することは,推奨できない。


6

W 2014 : 2002 (MIL-STD-7179 : 1997)

4.4.3

溶接,ろう付け及びはんだ付け  仕上げ,検査及び受入れの後に組立品に溶接,ろう付け又ははん

だ付けを行うことが許可された場合には,表面の再仕上げを行わなければならない。溶接,ろう付け又は

はんだ付け作業に関連する前清浄化又は後清浄化工程は,

引き続いて行われる仕上げ工程及び接合材料

(溶

加材,はんだ,フラックス又はろう)と両立できるものでなければならない。表面再仕上げは,接合作業

によって生じたいかなる損傷をも確実に修復しうるよう十分広い範囲に実施しなければならない。接合部

に対する仕上げ要求事項は,元の部品に対する仕上げ要求事項と同等でなければならない。

5.

詳細要求事項

5.1

保護仕上げ系の要求事項

5.1.1

表面処理  塗装が要求されているか又は特別に塗装の要求から除外されているかにかかわらず,す

べての金属表面は,MIL-S-5002 の規定に従って表面処理しなければならない。ただし,5.2.1.1c)の規定に

よって変更を受ける場合を除く。

5.1.2

有機仕上げ材の塗布  ここに規定する有機系塗料及び仕上げ材の塗布は,MIL-F-18264 又は

MIL-C-53072

の該当する方に従わなければならない。

5.1.3

内面  該当する場合,内面には,表 及び表 に規定する下塗り及び上塗りを,MIL-F-18264 又は

MIL-C-53072

の該当する方に従って施さなければならない。下塗りは,乾燥塗膜厚さが 5.1.5 並びに

表 2

及び

表 のとおりになるように施さなければならない。ただし,上塗りは,5.2.1 の要求事項に従って,最

終組立後に施してもよい。流体の進入防止や外観の向上などのために,内面に対して上塗りが必要であり,

しかもその面に組立前に下塗りと上塗りが施してある場合には,さらに最終組立後にも仕上げ塗りを施さ

なければならない。航空宇宙システムの内面の色は,MIL-C-8779 に従わなければならない。

5.1.4

外面  外面には,5.1.5 並びに表 及び表 で規定するとおりに,かつ MIL-F-18264 又は

MIL-C-53072

の該当する方に従って下塗り及び上塗りをしなければならない。航空宇宙システムの外面の

色は,発注者の要求に従う。

5.1.5

塗膜厚さ  表 の塗装に対する乾燥塗膜最大厚さは,表 に規定する。乾燥塗膜最少厚さは,表 3

に規定する。ただし,すべての種類の材料の内面及びマグネシウム材の外面に対しては,塗装の乾燥塗膜

厚さが

表 に規定する厚さの 150%を超えてはならない。

5.2

特定部品に適用する要求事項  この箇条で規定する要求事項を適用する場合に,より一般的に用い

られる航空機用金属材料のグループ化は,JIS W 2015 に従って選択しなければならない。ただし,取付部

品及び締結部品(5.2.12 参照)に対して特別に適用する保護要求事項がある場合には,それを優先しなけ

ればならない。

5.2.1

合わせ面,接合部及び継ぎ目

5.2.1.1

同種金属の表面  JIS W 2015 で定義する同種金属の合わせ面(3.3 参照)のすべての継ぎ目は,

最低限,5.2.1 並びに

表 及び表 に従った下塗りを各面に施して,保護しなければならない。下塗りの乾

燥塗膜厚さは,内面に対して規定したとおりとしなければならない(5.1.3 及び 5.1.5 並びに

表 及び表 3

参照)

。ただし,次の場合は,この限りではない。

a)

5.1.5

並びに

表 及び表 で,合わせ面に特定厚さの下塗り塗布が規定されている場合には,接合する

各面に対してその下塗りの厚さの 1/2 ずつを塗布してもよい。

b)

抵抗溶接される合わせ面には,下塗りは,しない。発注者が承認した溶接用シーリング材だけを施さ

なければならない。スポット溶接後に合わせ面に下塗りをし,すべての外縁をシールしなければなら

ない。


7

W 2014 : 2002 (MIL-STD-7179 : 1997)

c)

接着される合わせ面は,対象とする組立てに関して発注者承認済みの接着手順書の規定,又は

MIL-A-83377

の該当する方に従って,表面清浄及び表面処理を行った後,接着しなければならない。

d)

チタン対チタン及び耐食鋼対耐食鋼の構造物は,合わせ面に下塗り(5.1.5 並びに

表 及び表 参照)

又は,SAE-AMS-S-8802MIL-S-29574 若しくは MIL-PRF-81733 又は SAE-AMS 3276 の規定に適合

するシーリング材を塗布して保護しなければならない。上記の形式の構造物について微動摩耗

(fretting)

に対する保護が必要な場合には,受注者は,保護の方法を発注者に提案して承認を得なけれ

ばならない。

e)

外面にあるすべての合わせ面,継ぎ目及び縁は,必要な下塗りに加え,SAE-AMS-S-8802

MIL-S-29574

MIL-PRF-81733

又は SAE-AMS 3276 の規定に適合するシーリング材によってシールしなければなら

ない。シーリングを有効にするため,外面(3.1 参照)の突合せ接合部には 0.5mm (0.02in)  以上のすき

まを必要とする。

表 2  下塗り塗料と上塗り塗料との組合せの適合性

上塗り塗料

下塗り塗料

MIL-PRF-227

50(

6

)

MIL-C-46168

(

2

)(

7

)

MIL-C-53039

(

2

)(

7

)

MIL-PRF-852

85(

6

)(

7

)

TT-P-2756(

4

)

(

7

)

MIL-PRF-23377 

(

4

)(

6

)

(

1

)

MIL-P-53022 

(

2

)(

5

)(

7

)

(

1

)

MIL-P-53030 

(

2

)(

5

)(

6

)(

8

)

(

1

)

MIL-PRF-85582 

(

4

)(

6

)(

8

)

(

1

)

TT-P-2760 

(

3

)(

4

)(

6

)

(

1

)

(

1

)  TT-P-2756

は,下塗り不要形 (self priming) の上塗り塗料であるから,下塗りの塗布を必要としない。しかし,

FED-STD-595

の色数36495を用いる場合には,必要である。また,赤外線反射防止のためには,TT-P-2760

タイプ II,  MIL-PRF-23377のタイプ II 又は MIL-PRF-85582のタイプ II の下塗りを用いる必要がある。
TT-P-2756

は,アルミニウム,アルミニウム合金及びポリマーマトリックス複合材料構造物に対してだけ,使

用が認可されている。TT-P-2756は,上表に記載したすべての下塗りと適合性がある。TT-P-2756を施そうと
する物品が下塗り塗布済みである場合には,TT-P-2756を施す前にその下塗りを除去する必要はない。

TT-P-2756

は,乾燥塗膜厚さ51∼66

µm (0.002 0∼0.002 6in)  に施さなければならない。

(

2

)

(対応原規格の規定を不採用とした。

(

3

)  TT-P-2760

の下塗りは,主として,航空機上で,構造たわみが大きい部分に用いるものである。TT-P-2760 は,

乾燥塗膜厚さ 38∼51

µm (0.001 5∼0.002 0in)  に施さなければならない。

(

4

)

この塗料は,アルミニウム及びポリマーマトリックス複合材料の生地に最適である。

(

5

)

この塗料は,鉄鋼及びマグネシウムの生地に最適である。

(

6

)

この塗料の少なくとも一つのタイプ又はクラスは,最大 340g/l (2.8lb/gal)  の揮発性有機化合物 (VOC) を含ん

でいる。

(

7

)

この塗料の少なくとも一つのタイプ又はクラスは,最大 420g/l (3.5lb/gal)  の揮発性有機化合粒 (VOC) を含ん
でいる。

(

8

)

この材料は,裸の生地面には,フラッシュさびを生じさせることがあるから,使用目的に対して満足である
ことが証明されない限り,裸の生地面には用いない。 


8

W 2014 : 2002 (MIL-STD-7179 : 1997)

表 3  保護仕上げ系の要求事項

乾燥塗膜最小厚さ

µm (10

3

in)

下塗り(

3

)

上塗り

項目

材料

外面

内面

外面

内面

1

すべてのアルミニウム合金。

(ただし,底部及び後縁操だ面の

内部には 7.を適用する。

(

4

)

15 (0.6)

30 (1.2)

43 (1.7)

2

非耐食性金属に施した犠牲金属皮膜及び非犠牲金属皮膜

3

チタン合金(

1

)

4

マグネシウム合金

30 (1.2)

30 (1.2)

43 (1.7)

43(1.7)

5

(対応原規格の規定を不採用とした。

6

耐食合金

15 (0.6)

15 (0.6)

43 (1.7)

7

1.

6.に該当しないすべての金属

23 (0.9)

38 (1.5)

43 (1.7)

8

ポリマーマトリックス複合材(

4

) 15

(0.6)

30(1.2)(

2

) 43

(1.7)

(

1

)

チタン合金に対しては,合わせ面を5.2.1の規定どおりにするほかは,防食用の下塗り及び上塗りを必要とし
ない。しかし,隣接面と滑らかにつなぐために,下塗り及び上塗りを施してもよい(2.の要求事項を用いる。

(

2

)

内面への下塗りの塗布は,異種金属との境界面に対してだけに必要とする[5.2.1.2c)参照]

(

3

)

表 の注(

3

)

参照。

(

4

)  TT-P-2756

を使用してよい[

表 の注(

1

)

参照]

表 4  乾燥塗膜の最大厚さ

塗料

乾燥塗膜最大厚さ

µm (10

3

in)

MIL-PRF-23377 

23 (0.9)

MIL-P-53022 

38 (1.5)

MIL-P-53030 

38 (1.5)

MIL-PRF-85582 

23 (0.9)

TT-P-2760 

51 (2.0)

MIL-PRF-22750 

58 (2.3)

MIL-C-46168 (

1

MIL-C-53039 (

1

)

MIL-PRF-85285 

58 (2.3)

TT-P-2756 

66 (2.6)

(

1

)  MIL-C-53072

参照

5.2.1.1.1

欠陥部の充てん  切りきず,打ちきず,擦りきず及び見栄えが悪い接合部を埋めて隠すために,

充てん材料を使用してはならない。

5.2.1.2

異種金属の表面  JIS W 2015 に規定する異種金属の各表面には,5.2.1.1c)に規定する場合を除き,

表 に従って 15

µm (0.000 6in)  以上の下塗りを塗布しなければならない。合わせ面が異種金属である場合

には,SAE-AMS-S-8802MIL-S-29574MIL-PRF-81733 又は SAE AMS 3276 の規定に適合するシーリン

グ材を用いてシールし,かつ,各面に塗布する下塗りの厚さは,5.1.5 及び

表 に従わなければならない。

さらに,次の処理を講じなければならない。

a)

異種 金属 の合 わせ 面の 片 方の 金属 がマ グネ シウ ム であ る場 合,MIL-S-29574 

タイプ II 又は

MIL-PRF-81733

の規定に適合するシーリング材を両面の間に塗布し,すべての境界からはみ出すよう

にしなければならない。余分のシーリング材は,すべての縁がフィレット状(帯状にすみ肉が残って

いる状態)になるように除去しなければならない。ブシュを取り付ける場合を除き,フィレットの幅

は,6.4mm (0.25in) 以上でなければならない。ブシュに対しては,フィレットをできるだけ大きくし

なければならない。水がたまるおそれがある接合区域は,

シーリング材を充てんしなければならない。

b)

外面にある異種金属から成る突合せ接合部は,継ぎ目に幅 2.3±0.8mm (0.09±0.03in)  の溝を設け,シ


9

W 2014 : 2002 (MIL-STD-7179 : 1997)

ーリング材を充てんして保護しなければならない。溝の深さは,硬化形のシーリング材を保持するの

に十分なものでなければならず,しかもシーリング材を充てんした後,隣接の異種金属面と同じ高さ

になるよう平滑に仕上げなければならない。

c)

炭素繊維強化複合材とアルミニウム又は JIS W 2015 で定義する異種金属とから成る接合部には,複合

材の最終の層にはその複合材と同じ樹脂マトリックスで構成し,しかもアルミニウムとの電食特性が

適合する材料で強化した境界面がなければならない。この最終層は,金属部材を越えて 6.4mm (0.25in)

の所まで延びていなければならない。境界面のそれぞれには,厚さ 30∼46

µm (0.001 2∼0.001 8in)  の

下塗りを施し,永久接合部は,SAE-AMS-S-8802MIL-S-29574MIL-PRF-81733 又は SAE-AMS 3276

の規定に適合するシーリング材でシールした合わせ面としなければならない。通常の整備段階で分離

する必要がある接合部は,合わせ面シーリングの代わりに成形材によるシールを行ってもよい。

5.2.2

シーリング  外面(3.1 参照)にある,航空機の飛行に不必要な開口部(低い点にあるドレン穴は

除く。

)は,外部からの液体の浸入を防止するためにシールしなければならない。点検口のふた(蓋)(access

plate)

の周囲のシーリングは,成形シーリング材又は周囲の金属を損傷することなく点検口のふたを取り

外すことができるような方法で,構造物にシーリング材を塗布して仕上げなければならない。成形シール

用シーリング材の最小厚さは 0.76mm (0.030in)  でなければならない。

5.2.3

滑りはめ合い (slip fit)   滑りはめ合い部分は,MIL-PRF-23377 のタイプ 若しくはタイプ II,  ク

ラス 若しくはクラス N,  又は TT-P-1757 の規定に適合する下塗り又は MIL-S-29574 のタイプ II 若しくは

MIL-PRF-81733

の規定に適合するシーリング材を塗布し,乾かないうちに組み立てなければならない。設

計上,分解する必要がある部分は,MIL-PRF-23377 

タイプ 若しくはタイプ II,  クラス 若しくはクラ

ス N,  又は TT-P-1757 の規定に適合する下塗りを塗布した後,十分に乾燥させたうえで組み立てなければ

ならない。これらの材料が部品又は組立品の機能に適合しないときには,MIL-PRF-16173 

グレード 

グレード に適合する防食剤を使用しなければならない。

5.2.4

圧入によるはめ合い (press fit)   グリース又は油の中に永久的に収容する部品を除き,圧入は,

MIL-PRF-23377

タイプ 若しくはタイプ II,クラス 若しくはクラス N,又は TT-P-1757 の規定に適合

する下塗り又は MIL-PRF-81733,又は MIL-S-29574 

タイプ II の規定に適合するシーリング材のどれか

を塗布し,乾かないうちにシーリングを完了させなければならない。圧入によるはめ合いの外縁は,

SAE-AMS-S-8802

MIL-S-29574MIL-PRF-81733 又は SAE-AMS 3276 の規定に適合するシーリング材を

用いてシールしなければならない。ただし,厚さが 2.4mm (0.094in)  以下の薄肉のブシュに対しては,下塗

りでシール(5.1.5 及び

表 参照)しても差し支えない。処理後の組立品全体は,5.1.5 及び表 に規定する

とおりに仕上げなければならない。グリース又は油の中に永久的に収容する部品は,そのハウジングの中

で使用するグリース又は油を塗布した状態で組み立てなければならない。

5.2.5

切断面の縁  すべての金属の縁は,使用する塗料又はシーリング材が適切な厚さで付着するよう,

角を取らなければならない。縁の角を取った後,塗料又はシーリング材の使用に先立って,適切な化学表

面処理を施さなければならない。

5.2.6

機能面  ペイント系塗料は,機能面,作動面,しゅう(摺)動面,潤滑面,調整ねじのねじ部,注

油穴,ドレン穴,軸受面,滑り面,その他正常に機能するためには清浄な生地面でなければならない面と

こすれ合うことがあり得る表面,又は部品若しくはシステムに機能不良を生じさせるとみられる他のどの

ような表面にも,適用してはならない。ただし,ドレン穴壁は,腐食を防止するため塗装しなければなら

ない。


10

W 2014 : 2002 (MIL-STD-7179 : 1997)

5.2.7

操縦ケーブル及び操縦チェーン  操縦(又は操作)ケーブル及び操縦(又は操作)チェーンは,塗

装してはならないが,操縦(又は操作)ケーブルは,取付け前に,MIL-PRF-16173 

グレード に適合す

る防食剤を用い浸し塗り (dip coating) によって保護しなければならない。ただし,機能上潤滑を必要とす

る表面については,清浄化した後,防食剤の代わりに,所要の潤滑剤を塗布しなければならない。取付け

後,ケーブルの検査を行い,もし防食剤の補修塗りが必要ならば,取付け前に用いたのと同じ材料を用い

て補修塗りしなければならない。ナイロン被覆ケーブルは,露出した端末金具を除き,処理する必要はな

い。

5.2.8

密巻きばね  内面をめっきしにくい,ち(緻)密に巻いたばね又は他の理由でめっきしないばねは,

MIL-PRF-23377

若しくは MIL-PRF-85582 の規定に適合する下塗りを最小厚さ 31

µm (0.001 2in)  に施すか,

又は MIL-PRF-16173 

グレード 若しくは MIL-C-11796 のクラス の防食剤を塗布しなければならない。

5.2.9

油又はグリース中の部品  潤滑油,作動油又はグリースの中に収容する部品には,MIL-PRF-3043

の規定に適合する焼付け樹脂塗装を MIL-C-5056 に従って施さなければならない。異種金属と接触しない

限り,耐食金属製の部品は塗装する必要はない。軸受面のような機能面は,塗装してはならない。

5.2.10

金属製タンク

5.2.10.1

一時使用及び補助燃料タンク  アルミニウム合金製タンクの内面は,MIL-C-5541 のクラス 1A 

は MIL-A-8625 

タイプ II に従って表面処理を施さなければならないが,塗装してはならない。鋼製タン

クの内面は,MIL-PRF-3043 の焼付け樹脂塗料を,MIL-C-5056 の規定に従って施さなければならない。発

注者の認可を得た場合には,MIL-PRF-3043 の代わりに SAE-AMS 3276 又は MIL-S-29574 

タイプ II 

規定に適合するシーリング剤を使用してもよい。

5.2.10.2

溶接組立燃料タンク(外部補助燃料タンクを含む。)  アルミニウム製タンクの内面は,十分に

清浄化した後,MIL-C-5541 

クラス に従って化成皮膜処理を施しさらに MIL-C-6529 のタイプ II の規

定に適合する防食剤を入れて揺り動かした後,排液しなければならない。ただし,塗装してはならない。

鋼製落下タンクの内面は,MIL-PRF-3043 の規定に適合する焼付け樹脂仕上げ剤を用いて MIL-C-5056 

規定に従って施すか,又は SAE-AMS 3276 若しくは MIL-S-29574 

タイプ II の規定に適合するシーリン

グ剤を用いて仕上げなければならない。

5.2.10.3

インテグラル燃料タンク及びリベット付け燃料タンク  インテグラル又はリベット付けタンク

の内面は,腐食及び燃料漏れを防止するため,SAE-AMS-S-8802MIL-S-29574 又は SAE-AMS 3276 の規

定に適合するシーリング剤を塗布してシールしなければならない。シールの有無にかかわらず,内部の合

わせ面には,MIL-C-27725 の規定に適合する防食塗装を 0.023∼0.038mm (0.000 9∼0.001 5in)  の厚さに施

さなければならない。しかし,外面には MIL-C-27725 を塗布してはならない。

5.2.10.4

潤滑油及び作動油タンク  耐食金属製潤滑油タンクの内面は,塗装してはならない。その他の材

料のタンクは,MIL-PRF-3043 の規定に適合する焼付け樹脂塗料を,MIL-C-5056 の規定に従って施さなけ

ればならない。

5.2.10.5

種々のアルミニウム合金製タンク  種々のアルミニウム合金製タンク(飲料水タンクを除く。)

の内面は,MIL-A-8625 

タイプ II 又は MIL-C-5541 のクラス に従って表面処理しなければならない。

飲料水タンクの内面には,塗装や化成処理を施してはならない。

5.2.11

5.2.11.1

非構造用管  チタン合金製,耐食鋼製,耐熱鋼製,その他ここで指定するものを除き,すべての

非構造用の管及び管路は,その管の外面に,完全な内面用又は外面用のどちらか該当する方の塗装系を施

し,更に,

表 に従って保護しなければならない。


11

W 2014 : 2002 (MIL-STD-7179 : 1997)

5.2.11.1.1

酸素配管  酸素配管の内面には,塗装,下塗り,電気塗装などの表面仕上げ,及び陽極処理又

は非電気化学的なクロメート処理若しくはリン酸塩処理皮膜などの化成処理を施してはならない。酸素配

管は,二重中ぐりのような機械的工程を行うのに先立ち,すべての汚染物を完全に取り除いて清浄化しな

ければならない。

5.2.11.1.2

アルミニウム管及び管路  アルミニウム合金製の管及び管路の内面及び外面は,MIL-C-5541

クラス 1A 又は MIL-A-8625 のタイプ II の規定に従って表面処理しなければならない。燃料タンク内の

アルミニウム管路の外面には,MIL-C-27725 の規定に適合する防食塗装を施す必要がある。大気速度計配

管その他の検出用管路の内面には塗装してはならない。ハロゲン化薬剤を使用する消火系統のアルミニウ

ム管には,内面及び外面に,MIL-PRF-3043 の規定に適合する焼付け樹脂塗料を,MIL-C-5056 の規定に従

って施さなければならない。

5.2.11.1.3

取付け後の管結合部の保護  管組立品を取り付けた後,通常,使用中に取り外すことがないシ

ールされていない結合部は,すべて SAE-AMS-S-8802MIL-S-29574MIL-PRF-81733 又は SAE-AMS 3276

の規定に適合するシーリング剤で塗装した後,適切な上塗りを施さなければならない。通常の使用中に取

り外さなければならないシールされていない結合部は,すべて MIL-PRF-16173 

グレード 又は

MIL-C-85054

の規定に適合する防食剤を塗布して部品間のすべての露出部分をも被覆しなければならな

い。1 時間後には,同じ材料による 2 回目の塗布を,同一部分に行わなければならない。受注者が作成す

る整備基準には,使用中にこの材料を定期的に再塗布する要求を規定しなければならない。


12

W 2014 : 2002 (MIL-STD-7179 : 1997)

表 5  配管のカテゴリ及び必要とする塗装

カテゴリ

内容

下塗り(

1

)

仕上げ塗装系(

2

)

I

分離できる接続具を両端にもつ

単一管。

すべての必要な成形作業が完了

した後,組立作業を行う前に下
塗りをしなければならない。

製品加工後,取付け前に適切な

上塗りを施す。

II

分離できないタイプの継手(ろ
う付け,溶接及びスエージング
によって組み立てたもの)で永

久的に結合した個々の管からな
り,その両端の解放口で分離で
きるタイプの接続具をもつ組立

品。

すべての必要な曲げ作業と永久
結合作業とが完了した後,最終
組立作業を行う前に下塗りし,

SAE-AMS-S-8802

MIL-S-29574

, MIL-PRF-81733

又は SAE-AMS 3276)を塗布す
る。

カテゴリ と同じ。

III

単 一 又 は 複 数 の 組 立 品 で あ っ

て,分離できないタイプの接続
具によって永久的に接続される

1

か所以上の解放口があるもの。

カテゴリ II と同じ。 
下塗りがあると組付けに支障を
生じる永久結合工程を用いる管
組立品では,影響を受ける解放

口から発注者が容認できる距離
まで下塗りを省略してもよい。

カテゴリ と同じ。 
下塗りを部分的にしか施してい
ない管組立品については,必要
に応じて,下塗りを追加し,す

べての分離できない結合部をシ
ーリング材(SAE-AMS-S-8802

MIL-S-29574

, MIL-PRF-81733

又は SAE-AMS 3276)を塗布し
た後,所要の外面塗装を施さな
ければならない。

IV

カテゴリ I,カテゴリ II 又はカ
テゴリ III 以外のタイプの管組
立。 
この類別については,受注者は,
発注者が容認できるような保護

塗装系を決定しなければならな
い。

適用しない。

適用しない。

(

1

)

1及び表2に従って下塗りしなければならない。

カテゴリ I,カテゴリ II 及びカテゴリ III の管組立品で,スリーブ又はフェルール(接合部補強用のリン

グ状金具)を分離可能な結合部に使用し,しかも密着するまでの部材の片方又は両方を変形させることによ
ってスリーブ又はフェルールが所定の位置に固定されるものは,密着の始点から先は下塗りする必要はない。

フレア継手を使用する管は,管の端部まで下塗りしなければならない。

(

2

)

装着の際に生じた仕上げ系の損傷には,補修塗りをしなければならない。アルミニウム配管については,

5.2.11.1.2

を参照。

5.2.11.2

構造用鋼管

5.2.11.2.1

構造用炭素鋼管  端部を完全に溶接又は縁曲げしない構造用炭素鋼管のすべての内面及び外面

は,5.2.5

表 及び表 並びに該当する場合には下記に従って仕上げなければならない。

a)

溶接によって完全に密封される組立品又は溶接密封されていない端末を縁曲げした管若しくは組立て

後に熱処理される管のように,下塗りできないか,又は下塗りしても効果的でない組立品は,組立て

後(熱処理する場合は,その完了後),ASTM D260 の規定に適合する亜麻仁油の高温加熱液 [71℃

(160°F)]

又は MIL-C-11796 

クラス 若しくはクラス 1A,又は MIL-PRF-16173 のグレード 若しく

グレード の規定に適合する防食剤で処理しなければならない。処理液は,中空部材にドリルであ

けた穴を通して圧入するか,又は処理液の浴中に部品を浸せき(漬)させて塗布しなければならない。

b)

大形の管構造物は,a)に示した防食剤を循環させるために種々の部材間にドリルで連絡穴をあけても


13

W 2014 : 2002 (MIL-STD-7179 : 1997)

よい。

c)

部品を防食油液に浸せきするときには,空気だまりができないよう操作し,気泡の発生がやむまで浴

中に浸せきしておかなければならない。処理後,部材から完全に排液しなければならない。また,部

材にあけたすべてのドリル穴は,カドミウムめっきを施したタッピンねじ又はブラインドリベットで

ふさがなければならない。このタッピンねじ又はブラインドリベットは,MIL-PRF-81733 又は

MIL-S-29574

タイプ II のシーリング材を塗布してそれが乾かないうちに取り付け,取付け後同じシ

ーリング材で上塗りしなければならない。管組立品の外面は,規定の仕上系を適用する前に,完全に

脱脂及び汚れ取りをしておかなければならない。

5.2.11.2.2

構造用アルミニウム合金管  構造用アルミニウム合金管の内面は,5.1.5 並びに表 及び表 

従って保護しなければならない。溶接によって密封される構造用アルミニウム合金管の内面は,ドリルで

適切にあけた穴から MIL-PRF-23377 

タイプ 若しくはタイプ II,クラス 若しくはクラス の規定に

適合する下塗り,又は MIL-PRF-16173 

グレード 若しくはグレード の規定に適合する防食剤を塗布

しなければならない。

5.2.11.2.3

構造用の銅合金管,耐食合金管及び耐熱合金管  構造用の銅合金管,耐食合金管及び耐熱合金

管の内面及び外面は,塗装する必要はない。ただし,異種金属との接触に関する要求がある場合を除く。

5.2.11.3

機械的結合部材  機械的に取り付けられた継手をもつ管状部品は,結合部のすべての縁を

SAE-AMS-S-8802

MIL-S-29574MIL-PRF-81733,又は SAE-AMS 3276 の規定に適合するシーリング材

を用いてシールしなければならない。

5.2.12

取付部品及び締結部品

5.2.12.1

一般仕上げ  ねじ,ナット,ボルト,ブシュ,スペーサ,座金,リベット,ハイシヤーリベット,

タッピンねじ,耐振スタッド用スリーブ,戻り止めナット,スピードナット及びクランプのような取付部

品及び締結部品は,個別に塗装する必要はない。ただし,結合する材料の中に異種金属が含まれる場合は

除く。すべての結合部品又はこれらと接触する表面は,MIL-PRF-23377 

タイプ 若しくはタイプ II,  ク

ラス 若しくはクラス 又は TT-P-1757 の規定に適合する下塗り,又は MIL-PRF-81733 若しくは

MIL-S-29574

タイプ II の規定に適合するシーリング材を塗布し,乾かないうちに取り付けなければなら

ない。構造用締結部品のトルク要求値が被覆なしで規定されているときは,下塗り又はシーリング材を,

構造用締結部品のねじ部分に塗布してはならない。アルミニウム構造物に取り付けられたすべての鋼製,

カ ド ミ ウ ム め っ き 締 結 部 品 及 び 非 ア ル ミ ニ ウ ム 製 締 結 部 品 は , SAE-AMS-S-8802 , MIL-S-29574 

MIL-PRF-81733

又は SAE-AMS 3276 の規定に適合するシーリング材を塗布しなければならない。シーリ

ング材の乾燥塗膜厚さは,0.15mm (0.006in) 以上でなければならない。マグネシウムと異種金属との組合

せに対しては,5.2.1.2 を適用しなければならない。


14

W 2014 : 2002 (MIL-STD-7179 : 1997)

5.2.12.2

精密公差ボルト  精密公差ボルトは,頻繁に取外す必要があるものを除き,取り付ける前に,

MIL-PRF-23377

タイプ 若しくはタイプ II,  クラス 若しくはクラス 又は TT-P-1757 の規定に適合す

る下塗り用塗料又は MIL-PRF-81733 の規定に適合するシーリング材の塗布をしなければならない。頻繁

に取り外す必要がある精密公差ボルトには,MIL-C-11796 

クラス 若しくは MIL-PRF-16173 の規定に

適合する防食剤を塗布するか,又は MIL-L-46010 若しくは MIL-L-23398 の規定に適合する腐食抑制用固

体皮膜潤滑剤を塗布しなければならない。MIL-L-46010 は加熱硬化形であり,アルミニウム合金には用い

てはならない。MIL-C-23398 は自然硬化形であり,すべての種類の金属部品に用いてよい。固体皮膜潤滑

剤を用いる場合には,組み立てる前に塗布して,完全に硬化させなければならない。次いで,ボルトは,

MIL-PRF-81733

の規定に適合するシーリング材を塗布してそれが乾かないうちに組み付け,その後,その

シーリング材ですみ肉を付けてシールしなければならない。

5.2.12.3

調整可能部品  タイロッド及びターンバックルのような調整可能部品のねじは,組み立てる前と

組 み 立 て た 後 に , MIL-PRF-83483 の 規 定 に 適 合 す る か じ り 付 き 防 止 剤  (anti-seize compound) ,

MIL-PRF-63460

の規定に適合する潤滑油若しくは MIL-PRF-16173 

グレード の規定に適合する防食剤

を用いて潤滑・保護するか,又は VV-L-800 の規定に適合する潤滑油を塗布した後に,MIL-PRF-16173 

グレード の規定に適合する防食剤を用いて保護しなければならない。

5.2.12.4

補修塗り  すべての取付部品は,取り付けた後,最終塗装を施さなければならない。必要があれ

ば,隣接する外面と色合せをするため,下塗りの上に上塗りを施さなければならない。後で潤滑する継手

のナット及びボルト頭部には,最終塗装を施す必要はない。

5.2.12.5

座金  小ねじ,皿頭ファスナ,ボルト頭部及びナットがマグネシウム材と接触する場合には,ア

ルミニウム合金 5356 若しくは 5052 製又はフェノール樹脂高圧積層材製座金を使用しなければならない。

これらの部品及び座金は,MIL-PRF-81733 の規定に適合するシーリング材を塗布してそれが乾かないうち

に組み付け,その後,シーリング材のすみ肉を付けてシールしなければならない。

5.2.13

腐食性流体にさらされる区域  漏れがない耐食性材料で作られた蓄電池室は,それ以上塗装する必

要はない。蒸気及び液体のしずくにさらされるその他のすべての蓄電池室及びその隣接区域は,発注者が

承認したポリウレタン注型樹脂を塗布しなければならない。すべての底部,便器から 61cm (24in) 以内並

びに洗面所及び調理室の下のすべての表面は,5.1.5 並びに

表 及び表 の外面に対する規定に従って,

TT-P-2760

の規定に適合する下塗りを乾燥塗膜厚さ 0.051mm (0.002in)  以上,又は MIL-PRF-23377 若しく

は MIL-PRF-85582 の規定に適合する下塗りを厚さ 0.023mm (0.000 9in)  以上塗布し MIL-PRF-85285 の規定

に適合する上塗りを施さなければならない。

5.2.14

水上機の締結金具及び支柱端部  海水又は塩霧にさらされる水上機(3.5 参照)のすべての締結金

具,支柱端部,その他類似の部品は,MIL-PRF-16173 

グレード の規定に適合する防食剤の 1 回塗りを

行って追加保護しなければならない。端部が開放したすべての支柱は,塗装後,MIL-PRF-16173 

グレー

ド の規定に適合する防食剤に浸せきして塗布し,排液した後,取り付ける前に外面をふき取らなければ

ならない。もし,浸せきによって部品を完全に塗布することができない場合には,はけ又はスプレーを用

いて完全に塗布してもよい。

5.2.15

フロートバンパ  バンパパッドの下のフロート又は艇体の前面,及びパンパのすべての部品は,

5.1.5

並びに

表 及び表 が要求する保護に加え,MIL-PRF-16173 のグレード の規定に適合する防食剤

を 1 回塗布しなければならない。

5.2.16

電気部品


15

W 2014 : 2002 (MIL-STD-7179 : 1997)

5.2.16.1 

接続部  MIL-STD-464 の規定に適合する電気的ボンディング及び接地の接続部の周囲は,取り付

けた後に 5.2 及び

表 に従って仕上げなければならない。ジャンパ及び接地用スタッドのような永久的な

電気的接続物は,すべて取り付けた後に SAE-AMS-S-8802MIL-S-29574MIL-PRF-81733 又は SAE-AMS 

3276

の規定に適合するシーリング材でシールしなければならない。永久的シールが施されていないコネク

タは,内面及び外面とも,MIL-C-81309 

タイプ III の防食剤を用いて保護しなければならない。

5.2.16.2

電線管及び配線箱  電線管及び接続箱,又はリレー箱は,5.1.5 並びに表 及び表 に従って保護

しなければならない。プラスチック被覆及び編組した電線は,塗装を施してはならない。

5.2.16.3

電気コネクタのピン及びソケット  電気コネクタのピン及びソケットは,コネクタをはめ合わせ

る前に,コネクタのピン及びピン受口の端に,MIL-C-81309 

タイプ III の防食剤の薄い連続皮膜を施さ

なければならない。次いで,コネクタをはめ合わせた後,コネクタのシェルに,MIL-C-81309 

タイプ III

の防食剤を塗布しなければならない。

5.2.17

高温にさらされる表面及び構成部品  高温にさらされる区域及び構成部品は,次のとおりに処理す

る。

a)

地上又は飛行中のどちらかで,149∼204℃ (300∼400°F)  の温度にさらされる(瞬間的な影響を除く。

区域及び構成部品は,

5.1.5

並びに

表 及び表 に従って適切な色及び光沢に仕上げなければならない。

121

∼177℃ (250∼350°F)  の作動温度にさらされる区域及び構成部品には,SAE-AMS 3374 又は

SAE-AMS 3276

の規定に適合するシーリング材を用いなければならない。作動温度が最大 149℃

(300°F)

の区域には,MIL-S-29574 のシーリング材を用いてもよい。

b) 204

∼260℃ (400∼500°F)  の温度にさらされる場合には,下塗り (wash primer) 及び下塗り (primer

coating)

は省略して,表面処理した金属の上にシリコン仕上げ系を直接施さなければならない。色彩

は,航空宇宙システムに対する色彩設計 (color scheme) に従わなければならない。232℃ (450°F) 以

下の温度に対しては,発注者が認可した場合には,MIL-A-46146 のシーリング材を用いてもよい。

c) 260

℃ (500°F) を超える温度にさらされる場合には,TT-P-28 の規定に適合する耐熱仕上げを適用して

もよい。ただし,その適用ごとに発注者の承認を得なければならない。

5.2.17.1

遮炎塗装  エンジン室その他の通常 149℃ (300°F) 未満の温度で運用する区画内であって,可燃

性液体の漏えいによって火災が発生しやすい区域及び 149℃ (300°F) を超える温度の空気を含んでいる区

域であって抽気ダクト,バルブなどに隣接している区域では,加熱によって爆発して火力を強めてしまう

流体容器(空気ボトル,酸素容器,油圧の作動油リザーバ,アキュムレータ及びシリンダのようなもの。

は,すべて MIL-PRF-23377 又は MIL-PRF-85582 の規定に適合する下塗りの 15

µm (0.000 6in)  以上の塗布

と MIL-PRF-46081 の規定に適合する断熱塗料による厚さ 0.51mm (0.020in) 以上の乾燥塗膜とから成る塗

装仕上げ系(通常の内面仕上げ要求事項を適用。

)によって保護しなければならない。

5.2.17.2

温度抑制用塗装  隣接の高温構成部品からの放射熱又は何らかの熱衝撃にさらされる表面は,熱

を吸収しにくい塗料で仕上げなければならない。温度上昇抑制用塗料の使用に際しては,事前に発注者の

承認を必要とする。承認申請には,塗装系の有効性を立証する資料とともにすべて提案する材料及び適用

に関する必要な技術情報を含めなければならない。

5.2.18

艇体及びフロートの底部  飛行艇の艇体の底部及びフロートの底部は,表 及び表 に従って仕上

げ,高速の水の流れによる浸食に耐え,しかも空力的に滑らかな仕上げを施さなければならない。外板上

にあるリベット,ボルト及びねじの頭の下には,ゴム製グロメットを使用してはならない。防汚塗料が指

定されている箇所の仕上げは,その都度,発注者の承認を得なければならない。


16

W 2014 : 2002 (MIL-STD-7179 : 1997)

5.2.19

木材及びフェノール材の表面  木材及びフェノール樹脂の表面には,ワニス又はエナメルを 2 回以

上塗り,金属表面に接触しているか,又は外面にある場合には,更に 2 回追加塗りを行って MIL-STD-171

で規定するとおりに仕上げなければならない。

5.2.20

プラスチック及びセラミック成形品  透明なプラスチック部品には,塗装してはならない。その他

のプラスチック部品[ガラス繊維積層品,アンテナ及び機上磁気探知機 (MAD) のハウジング及びレドー

ムを除く。

]は,塗装する必要はない。ただし,色を合わせる目的の場合を除く。

(無線アンテナなどの)

プラスチック又はセラミック製の絶縁体には塗装してはならないが,外面の場合は,取り付けた後,その

縁を SAE-AMS-S-8802MIL-S-29574MIL-PRF-81733 又は SAE-AMS-3276 の規定に適合するシーリング

材でシールしなければならない。

5.2.21

ダクトの塗装  MIL-A-8625 のタイプ II の規定に従って陽極処理され封孔処理されているアルミニ

ウム合金製の加熱ダクト及び冷却ダクトの内面は,塗装する必要はない。MIL-C-5541

クラス 1A の規定に

従って処理したアルミニウム合金製ダクト工作物の内面は,必要に応じて塗装しなければならない(

表 2

及び

表 参照)。材質に関係なく断熱を要するダクト工作物は,断熱材を施す前に外面を,その系統の温度

及び環境に耐える材料で塗装しなければならない。チタン合金及びニッケル基合金は塗装する必要はない。

5.2.22

強化プラスチック製構成部品  繊維強化プラスチック製部品は,浸食に対する保護を目的として仕

上げなければならない。空気流にさらされる繊維強化プラスチック製のレドーム,アンテナ,機上磁気探

知機 (MAD) のハウジング及び他の構成部品の前縁は,MIL-C-83231MIL-C-83445 又は MIL-PRF-85322

に規定する耐雨滴浸食塗装で仕上げなければならない。

MIL-PRF-85322

の塗料を用いる場合には,MIL-C-8514 の規定に適合する下塗り (wash primer) を使用

しなければならない。発注者の承認を得たうえで耐浸食・耐熱材料製ブーツのような別の保護方法を使用

してもよい。

外面にある構成部品は,

縁を SAE-AMS-S-8802

MIL-S-29574

MIL-PRF-81733

又は SAE-AMS 

3276

の規定に適合するシーリング材でシールしなければならない。ガラス又はプラスチックのどちらも透

明な構成部品には,塗装してはならない。上記以外のプラスチック製の部品及び表面には,色を合わせる

ために塗装してもよい。

5.2.23

金属製前縁  500kt を超える速度にさらされる金属製前縁の外面は,MIL-F-18264 に従って耐雨滴

浸食塗装で仕上げなければならない。外面は,空気力学的に滑らかでなければならない。

5.2.24

ヘリコプタのロータブレード前縁  ヘリコプタのロータブレード前縁に施す仕上げは,生地の劣化

を防止し,雨滴,砂,海水のしぶき及び昆虫による浸食に耐えるものでなければならない。前縁がニッケ

ルめっきを施したステンレス鋼のような耐食材料及び耐浸食材料で作られている場合には,上記の仕上げ

は不要である。

5.2.25

ゴム(天然ゴム及び合成ゴム)  天然ゴム及び合成ゴムには,塗装又はグリース若しくは油の塗布

を行ってはならない。

6.

注記  (この箇条は,有益な一般的又は説明的情報を示すが,規定事項ではない。)

6.1

用途  この規格は,航空宇宙システム部品(補用品を含む。)及び組立品(胴体,主翼,カウリング,

尾翼,ロータブレード,フロートなど)の保護用表面処理に用いる方法及び材料について規定する。しか

し,この規格は,固体皮膜潤滑剤についての仕上げ方法を記述するものではない。この規格は,品目仕様

書又は図面で個別に引用しない限り,プロペラ,電気・電子機器,動力装置及び計器のような機器や,電

動機,発電機,スイッチ,油圧弁,その他類似の部品のような受注者が購入する標準的な補機に対しては

適用しない。


17

W 2014 : 2002 (MIL-STD-7179 : 1997)

6.2

6.5(対応原規格の規定を不採用とした。)

関連規格  SAE-AMS 3138  Materials, Coating, Fluorocarbon (FKM), Elastmeric


18

W 2014 : 2002 (MIL-STD-7179 : 1997)

原案作成委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

松  木  正  勝

日本工業大学

(副委員長)

渡  辺    晃

日本飛行機株式会社開発部

(委員)

柴生田  敦  夫

通商産業省機械情報産業局

池  川  澄  夫

通商産業省工業技術院標準部

殿  谷  正  行

運輸省航空局

寺  田  敏  洋

海上保安庁装備技術部

寺  岡  憲  吾

防衛庁装備局

伊  藤  誠  一

科学技術庁航空宇宙技術研究所

小  泉  一  哉

社団法人日本航空技術協会

中  込  常  雄

日本工業標準調査会

久木田  実  守

航空宇宙産業技術研究所

高  橋  賢  一

日本航空株式会社整備本部

木  原  政  則

株式会社日本エアシステム整備本部

服  部      博

石川島播磨重工業株式会社航空宇宙事業本部

麹  盛  謙  二

川崎重工業株式会社航空宇宙事業本部

谷  口  哲  夫

株式会社島津製作所航空機器事業部

多和田  幸  造

帝人製機株式会社航空機技術部

曽  我      章

日本航空電子工業株式会社航機事業部

飯  塚  芳  夫

富士重工業株式会社航空宇宙事業本部

清  田  紀  男

三菱電機株式会社鎌倉製作所

八  代  充  造

三菱重工業株式会社名古屋航空宇宙システム製作所

宇田川  知  行

横河電機株式会社航空宇宙特機事業部

播  磨  克  彦

アエロスペック研究会

山  田  秀次郎

社団法人日本航空宇宙工業会

(事務局)

井  上  一  彦

社団法人日本航空宇宙工業会技術部

日本工業標準調査会標準部会  航空・宇宙機技術専門委員会  構成表

氏名

所属

(委員会長)

久保田  弘  敏

東京大学大学院工学系研究科

(委員)

秋  山  義  孝

防衛庁管理局

有  好  一  宏

株式会社東芝小向工場

石  川  富  雄

全日本空輸株式会社整備本部技術部

井  上  定  夫

株式会社日本エアシステム整備本部生産管理部

上  田  俊  彦

三菱重工業株式会社名古屋航空宇宙システム製作所

金  子      敦

川崎重工業株式会社航空宇宙カンパニー

酒  井  忠  雄

日本航空株式会社整備本部技術部

谷      寧  久

国土交通省航空局技術部

永  尾      徹

富士重工業株式会社航空宇宙事業本部宇都宮製作所

播  磨  克  彦

アエロスペック研究会

真  家      孝

石川島播磨重工業株式会社航空宇宙事業本部技術管理部

山  田  秀次郎

社団法人日本航空宇宙工業会

和  仁  喜三郎

社団法人日本航空技術協会