2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
W 0109-1977
航空用語(エンジン)
Glossary of Terms for Aircraft
(Engine)
1. 適用範囲 この規格は,航空機のエンジンに用いる主な用語について規定する。
2. 分類 分類は次のとおりとする。
(1) 形式・種類に関する用語
(2) エンジンに関する一般用語
(3) ガスタービンエンジンに関する用語
(4) ピストンエンジンに関する用語
3. 番号・用語・読み方及び意味 番号,用語,読み方及び意味は,次のとおりとする。
なお,対応英語を参考として示す。
(1) 形式・種類に関する用語
番号
用語
読み方
意味
対応英語(参考)
101
航空エンジン
こうくうえんじ
ん
航空機の推進力又は揚力を発生させる
動力を得るために使用するエンジン。
aero-engine,
aircraft engine
102
ガスタービンエンジ
ン
気体を連続的に圧縮・加熱・膨張させ
て,その保有する熱エネルギーを機械
的エネルギー又はジェットエネルギー
として使用するエンジン。
備考 通常圧縮機,燃焼器,ター
ビンなどから構成されてい
る。
gas-turbine engine
103
ピストンエンジン
気体を断続的に圧縮・加熱・膨張させ
て,その保有する熱エネルギーを機械
的エネルギーとして使用するエンジ
ン。
備考 通常シリンダ,ピストン,
クランク,クランク軸など
から構成されている。
piston engine,
reciprocating engine
104
ラムジェットエンジ
ン
前進速度によるラム圧力を利用してダ
クトの中で圧縮された気体の中で燃料
を燃焼させ,ノズルで膨張させること
によりスラストを得るエンジン。
ramjet engine
105
ロケットエンジン
システムの中に持っている推進剤の燃
焼などで得たガスの噴射でスラストを
得るエンジン。
rocket engine
(motor)
2
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番号
用語
読み方
意味
対応英語(参考)
106
リフトエンジン
スラストの方向が航空機の進行方向と
ほぼ直交し,主に機体を浮上させるた
めに使用するエンジン。
備考 VTOL機又はSTOL機に使
用される。
lift engine
107
ベクタード スラス
ト エンジン
スラストの方向を連続的に変えるため
のベクタード スラスト ノズルを持
つエンジン。
vectored thrust engine
108
補助動力装置
ほじょどうりょ
くそうち
推進エンジンとは独立で航空機の油圧
源,動力源,空気源などを駆動する動
力を供給する装置。
auxiliary power unit
(APU)
(2) エンジンに関する一般用語
番号
用語
読み方
意味
対応英語(参考)
201
スラスト
航空エンジンが発生する推す力。
thrust
202
軸出力
じくしゅつりょ
く
航空エンジンが発生する軸動力。
brake horsepower,
shaft horsepower
203
エンジン定格
えんじんていか
く
決められた条件でエンジンを運転する
場合,保証されている性能特性値。
engine rating
204
離陸定格
りりくていかく
地上又は飛行状態において,エンジン
に決められた時間,連続して出すこと
が保証されている最大の性能特性値。
take-off rating
205
最大連続定格
さいだいれんぞ
くていかく
地上又は飛行状態において,エンジン
に連続して出すことが保証されている
最大の性能特性値。
maximum continuous
rating
206
最大上昇定格
さいだいじょう
しょうていかく
上昇時に保証されているエンジンの最
大の性能特性値。
maximum climb rating
207
最大巡航定格
さいだいじゅん
こうていかく
巡航時に保証されているエンジンの最
大の性能特性値。
maximum cruising
rating
208
アイドル
地上又は飛行状態において,エンジン
の決められた運転可能な最小の状態。
idle
209
緊急定格
きんきゅうてい
かく
緊急時にエンジンに連続又は決められ
た時間出すことが保証されている最大
の性能特性値。
contingency rating
210
燃料消費率
ねんりょうしょ
うひりつ
単位正味スラスト又は軸出力につき単
位時間当たりエンジンで消費される燃
料の量。
specific fuel
consumption
3
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番号
用語
読み方
意味
対応英語(参考)
211
修正燃料消費率
しゅうせいねん
りょうしょうひ
りつ
任意の大気状態での燃料消費率を標準
大気状態又は所定条件に修正した値。
備考 ガスタービンエンジンの場
合には次の式で表す。
T
T
sfc
sfc
=
=
θ
θ,
ここに
sfc* : 修正燃料消費率
sfc : 計測時の燃料消
費率
T* : 標準状態又は所
定条件での絶対
温度
T : 計測時の熱力学
温度の量。
corrected specific fuel
consumption
212
燃料消費量
ねんりょうしょ
うひりょう
単位時間にエンジンで消費される燃料
の量。
fuel consumption rate
213
滑油消費率
かつゆしょうひ
りつ
単位正味スラスト又は軸出力につき単
位時間当たりエンジンで消費される潤
滑油の量。
specific oil
consumption
214
滑油消費量
かつゆしょうひ
りょう
単位時間にエンジンで消費される潤滑
油の量。
oil consumption rate
215
乾燥質量
かんそうしつり
ょう
燃料及び潤滑油などの液体を含まない
エンジンの質量。
dry mass
216
スラスト質量比
すらすとしつり
ょうひ
エンジンスラストとエンジン質量との
比をいう。
備考 これはエンジン単位質量当
たりのエンジンスラストの
値。
thrust mass ratio
217
出力質量比
しゅつりょくし
つりょうひ
エンジン軸出力とエンジン質量との比
をいう。
備考 これはエンジン単位質量当
たりのエンジン軸出力の
値。
power mass ratio
218
修正スラスト
しゅうせいすら
すと
任意の大気状態で得られたスラストを
標準大気状態又は所定条件に修正した
値。
備考 ガスタービンエンジンの場
合には次の式で表す。
=
=
p
p
F
F
δ
δ,
ここに
F* : 修正スラスト
F : 計測スラスト
p* : 標準状態又は所
定条件での絶対
圧力
p : 計測時の絶対圧
力
corrected thrust
219
静止スラスト
せいしすらすと
エンジンが静止した状態で発生するス
ラスト。
static thrust
4
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番号
用語
読み方
意味
対応英語(参考)
220
修正静止スラスト
しゅうせいせい
しすらすと
任意の大気状態で得られた静止スラス
トを標準大気状態又は所定条件に修正
した値。
備考 ガスタービンエンジンの場
合には修正式は218の備考
に準ずる。
corrected static thrust
221
正味スラスト
しょうみすらす
と
エンジンが発生する有効なスラスト。
net thrust
222
修正正味スラスト
しゅうせいしょ
うみすらすと
任意の大気状態で得られた正味スラス
トを標準大気状態又は所定条件に修正
した値。
備考 ガスタービンエンジンの場
合には次の式で表す。
=
=
p
p
Fm
Fm
δ
δ,
ここに
Fm* : 修正正味スラス
ト
Fm : 計測正味スラス
ト
p* : 標準状態又は所
定条件での絶対
圧力
p : 計測時の絶対圧
力
corrected net thrust
223
比スラスト
ひすらすと
作動流体の単位質量流量当たり得られ
るスラスト。
specific thrust
224
修正軸出力
しゅうせいじく
しゅつりょく
任意の大気状態で得られた軸出力を標
準大気状態又は所定条件に修正した
値。
備考 ガスタービンエンジンの場
合には次の式で表す。
=
=
=
T
T
p
p
shp
shp
θ
δ
θ
δ
,
,
ここに
shp*: 修正軸出力
shp : 計測時の軸出力
p* : 標準状態又は所
定条件での絶対
圧力
p : 計測時の絶対圧
力
T* : 標準状態又は所
定条件での絶対
温度
T :計測時の熱力学温
度
corrected brake (horse)
power,
corrected shaft (horse)
power
225
相当軸出力
そうとうじくし
ゅつりょく
プロペラを駆動する軸出力のほか排気
によるスラストが得られる場合には,
このスラストを軸出力に換算してプロ
ペラ軸出力に加算した値。
(total) equivalent
brake (horse) power,
equivalent shaft
(horse) power
5
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番号
用語
読み方
意味
対応英語(参考)
226
総合効率
そうごうこうり
つ
機体の推進に用いられた有効推進仕事
とエンジンに供給された燃料エネルギ
ーとの比で,次の式で表す。
総合効率(ηo)
供給燃料エネルギー
有効推進仕事
=
ー
エンジン出力エネルギ
有効推進仕事
=
供給燃料エネルギー
ー
エンジン出力エネルギ
×
=推進効率(ηp)×熱効率(ηtH)
overall efficiency
227
推進効率
すいしんこうり
つ
機体の推進に用いられた有効推進仕事
とエンジン出力エネルギーとの比で,
次の式で表す。
推進効率(ηp)
ー
エンジン出力エネルギ
有効推進仕事
=
propulsion efficiency
228
熱効率
ねつこうりつ
エンジン出力エネルギーと供給燃料エ
ネルギーとの比で,次の式で表す。
熱効率(ηtH)
供給燃料エネルギー
ー
エンジン出力エネルギ
=
thermal efficiency
229
機械効率
きかいこうりつ
機械の有効仕事と作動流体の発生する
仕事との比。
mechanical efficiency
230
空燃比
くうねんひ
燃焼に関与する空気流量と燃料流量と
の比。
air-fuel ratio
231
エンジン回転速度
えんじんかいて
んそくど
エンジンの単位時間当たりの回転数。
engine speed
232
修正エンジン回転速
度
しゅうせいえん
じんかいてんそ
くど
任意の大気状態におけるエンジン回転
速度を標準大気状態又は所定条件に修
正した値。
備考 ガスタービンエンジンの場
合には次の式で表す。
θ
N
N=
=TT
θ
ここに
N* : 修正エンジン回
転速度
N : 計測時のエンジ
ン回転速度
T* : 標準状態又は所
定条件での絶体
温度
T : 計測時の熱力学
温度
corrected engine speed
233
エンジン圧力比
えんじんあつり
ょくひ
タービン出口全圧と,エンジン入口全
圧との比。
備考 スラストの大きさを表すパ
ラメータとして使用する。
engine pressure ratio
234
軸トルク
じくとるく
エンジンの出力軸で得られるトルク。
engine torque
6
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番号
用語
読み方
意味
対応英語(参考)
235
吸気系統
きゅうきけいと
う
エンジンに空気を吸入するための一連
の装置。
備考 空気取入口,空気取入ダク
ト,エアフィルタ,空気取
入スクリーンなどから構成
されている。
induction system,
inlet system
236
空気取入口
くうきとりいれ
ぐち
空気のエンジンへの取入口。
air intake
237
エア フィルタ
空気中の浮遊物や空気中に巻き上げら
れた異物がエンジン内に吸い込まれる
のを防ぐためのフィルタ。
air filter
238
空気取入口スクリー
ン
くうきとりいれ
ぐちすくりーん
空気取入口から異物を吸い込むのを防
止するための金網。
備考 固定式のものと地上運転中
とか離陸中だけ用い,飛行
中は引き込めてしまう引込
み式のものとがある。
intake screen
239
防氷装置
ぼうひょうそう
ち
氷がエンジンの空気取入口部に付着す
るのを防止する装置。
備考 圧縮機からの抽気を利用し
たものと電熱を利用したも
のとがある。
anti-ice system
240
吸入空気流量
きゅうにゅうく
うきりゅうりょ
う
エンジンに吸い込まれる空気の流量
で,単位時間当たりの量で表す。
intake air flow
241
修正吸入空気流量
しゅうせいきゅ
うにゅうくうき
りゅうりょう
任意の大気状態における吸入空気流量
を標準大気状態又は所定条件に修正し
た値。
備考 ガスタービンエンジンの場
合には次の式で表す。
=
=
×
=
T
T
p
p
W
W
a
a
θ
δ
δ
θ
,
ここに
wα* : 修正吸入空
気流量
wa : 計測時の吸入空
気流量
p* : 標準状態又は所
定条件での絶対
圧力
p : 計測時の絶対圧
力
T* : 標準状態又は所
定条件での絶対
温度
T : 計測時の熱力学
温度
corrected intake air
flow
242
吸気温度
きゅうきおんど
指定された点で測定した吸入空気温
度。
intake air temperature
7
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番号
用語
読み方
意味
対応英語(参考)
243
ラム圧力
らむあつりょく
飛行速度によって生ずる圧力。
ram pressure
244
燃料系統
ねんりょうけい
とう
燃料を燃焼器に供給するための一連の
装置で,主燃料,点火用燃料,非常用
燃料及び再熱用燃料の各系統がある。
備考 フィルタ,ポンプ,各種弁,
燃料制御装置,燃料噴射ノ
ズル,これらを結ぶ配管な
どで構成され,機体側の燃
料系統に接続される。
fuel system
245
燃料ポンプ
ねんりょうぽん
ぷ
燃料を加圧して送るもので,用途別で
は主ポンプ,非常用ポンプ,ブースタ
ポンプなどがあり,また形式別では歯
車式,プランジャ式,遠心式などがあ
る。
fuel pump
246
燃料制御装置
ねんりょうせい
ぎょそうち
スロットルレバーの位置,大気条件,
エンジン圧力,温度,回転速度などの
値に従って燃焼器に供給する燃料を制
御する装置。
fuel control unit
247
燃料しゃ断弁
ねんりょうしゃ
だんべん
燃料の流れをしゃ断する弁。
fuel shut-off valve
248
燃料フィルタ
ねんりょうふぃ
るた
燃料中に混入した異物などをろ過する
もの。
fuel filter
249
燃料加熱器
ねんりょうかね
つき
燃料を加熱する装置。
fuel heater
250
滑油系統
かつゆけいとう
軸受,歯車などを潤滑及び冷却するた
めの一連の装置。
備考 滑油タンク,ブースタポン
プ,主ポンプ,フィルタ,
調圧弁,冷却器,空気分離
器,排油ポンプなどで構成
されている。
(lubricating) oil
system
251
滑油タンク
かつゆたんく
滑油を貯蔵する容器。
備考 滑油はこの容器からエンジ
ンに供給され,エンジンの
滑油系統を一巡してこの容
器にもどる。
(lubricating) oil tank
252
滑油ポンプ
かつゆぽんぷ
軸受,歯車などに滑油を加圧して送り
出すためのポンプ。
(lubricating) oil pump,
pressure pump
253
排油ポンプ
はいゆぽんぷ
軸受,歯車などを潤滑及び冷却した後
の滑油を吸引し,滑油タンクにもどす
ためのポンプ。
scavenge pump
254
滑油フィルタ
かつゆふぃるた
滑油中に混入した異物などをろ過する
もの。
(lubricating) oil filter
255
滑油冷却器
かつゆれいきゃ
くき
滑油を冷却するためのもの。
(lubricating) oil cooler
256
排気系統
はいきけいとう
排気ガスをエンジン外部へ排出するた
めの一連の装置。
exhaust system
257
冷却系統
れいきゃくけい
とう
エンジンの各部を冷却するための一連
の装置。
cooling system
8
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番号
用語
読み方
意味
対応英語(参考)
258
電気系統
でんきけいとう
始動,点火,弁作動,火災報知などに
必要な電気回路を構成する一連の装
置。
electric system
259
点火系統
てんかけいとう
燃料と空気の混合気に着火するための
一連の装置。
ignition system
260
始動系統
しどうけいとう
エンジンを始動させるための一連の装
置。
starting system
261
スタータ
エンジンを始動させ,自立運転できる
まで駆動する装置。
starter
262
減速装置
げんそくそうち
回転速度を減速して動力を伝達する装
置。
speed decreasing gear,
reduction gear
263
プロペラ軸
ぷろぺらじく
プロペラを駆動する軸。
propeller shaft
264
補機歯車装置
ほきはぐるまそ
うち
エンジン及び機体用補機類を駆動する
ための歯車装置。
accessory gearbox
265
補機
ほき
エンジンを作動するための各種の機能
品。
備考 燃料制御装置,燃料ポンプ,
滑油ポンプ,排油ポンプ,
スタータなどが主なもので
ある。
accessories,
auxiliaries
266
抽出動力
ちゅうしゅつど
うりょく
機体用補機等を駆動するために,エン
ジンより抽出する動力で,空気動力も
含む。
power extraction
267
抽気量
ちゅうきりょう
圧縮機部より機体の防氷,空調等の目
的で抽出する空気の流量。
bleed air flow
268
水噴射
みずふんしゃ
エンジンのスラスト又は出力増強のた
めに,エンジン内部へ水などを噴射す
ること。
water injection
269
エンジンマウント
エンジンを機体に取り付け,エンジン
を支えスラストを機体に伝達する装
置。
engine mount
270
使用時間
しようじかん
エンジン,装備品及び部品が作動した
時間をいうが,時間記録管理上,これ
らが作動していなくても装備されてい
た間の,番号272に規定された飛行時
間をもってその使用時間とする。ただ
し補助動力装置は,作動時間記録計を
有しているのでその作動時間をもって
使用時間とする。
time,
operating time
271
総使用時間
そうしようじか
ん
新品製造時からの使用時間の総計。
total time (TT)
272
飛行時間
ひこうじかん
航空機が浮揚してから接地するまでの
時間。
flight time
273
ブロックタイム
飛行のために自力で動き始めた時点か
ら着陸後静止するまでの時間。
block time
274
オーバホール
予防整備の考え方に基づき,エンジン
などを分解して各部分をくまなく検査
し,不良箇所は交換又は修理して,再
び組み立てるような分解手入れ作業。
(engine) overhaul
(OH)
9
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番号
用語
読み方
意味
対応英語(参考)
275
エンジン ヘビーメ
ンテナンス
エンジンの信頼性を総合的に常時監視
し,必要な故障対策を機能的にとり得
る信頼性管理が行われていることを前
提として,エンジンを定期的に機体か
ら取り卸し,各構成単位ごとに定めら
れた検査,交換及び修理要目に従い分
解して行う重整備で,これにサンプリ
ング・インスペクション・プログラム
が組み合わされて構成される。
engine heavy
maintenance
(EHM)
276
スレッシュホールド
サンプリング
新たに開発された機材の設計上の問題
点を発見し,今後の整備方式を決める
ために,初期の一定使用時間の後に行
うサンプリング検査。
threshold sampling
277
オン コンディショ
ンメンテナンス
定期的な分解検査やオーバホールを行
わずに,機上で定期的に目視検査,計
測,機能試験などを実施し,その結果
に基づいて整備を行う方式。
備考 当該装備品の信頼性管理が
行われていること,装備品
の構造が機上での検査,計
測,試験などが可能な設計
になっていることが前提条
件となる。
on condition
maintenance
278
コンディションモニ
タリングメンテナン
ス
予防整備とは異なり,信頼性管理体制
の下に故障データや機材の品質に関す
るデータを監視分析して問題領域を発
見し,これに基づいて処理対策を講ず
るような整備方式。
condition monitoring
maintenance
279
モジュールメンテナ
ンス
エンジンが幾つかのモジュールに分割
できるような設計の場合に,問題のあ
るモジュール又は検査の必要項目のあ
る部分のモジュールを交換することに
よりエンジンを使用可能状態にするた
めモジュール単位で管理を行う整備方
式。
備考 モジュールとはメンテナン
スに利便を図るため分割さ
れた単位。
module maintenance
280
高温部点検
こうおんぶてん
けん
燃焼器やタービンなど高温部分の検
査。
hot section inspection
(HSI)
281
経年抜取検査
けいねんぬきと
りけんさ
使用時間と劣化の傾向の関係をつかむ
ため,所定の使用時間に達したグルー
プからサンプルを取って行う検査。
age sampling
(inspection)
(AS)
282
滑油分光分析検査
かつゆぶんこう
ぶんせきけんさ
エンジンの不具合を故障の初期の段階
で検知するため,定期的に滑油の分光
分析を行い,滑油の中に含まれる金属
元素の種類と量を求め,損傷箇所の推
定を行う検査。
spectrometric oil
analysis program
(SOAP)
283
オーバホール後使用
時間
おーばほーるご
しようじかん
前回のオーバホールからの使用時間の
累計。
time since overhaul
(TSO)
10
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番号
用語
読み方
意味
対応英語(参考)
284
ヘビーメンテナンス
後使用時間
へびーめんてな
んすごしようじ
かん
前回のヘビーメンテナンスからの使用
時間の累計。
time since heavy
maintenance
285
装着後使用時間
そうちゃくごし
ようじかん
最後に機体に取り付けられてからの使
用時間の累計。
time since installation
286
整備時間限界
せいびじかんげ
んかい
前回の整備から次の整備までの間に許
される最大使用時間。
maintenance time
limit,
maintenance period
287
オーバホール時間限
界
おーばほーるじ
かんげんかい
前回のオーバホールから,次のオーバ
ホールまでの間に許される最大使用時
間。
time between overhaul
(TBO),
overhaul period
288
廃棄限界
はいきげんかい
部品の使用可能限界。
備考 各部品に定められた所定の
使用時間,使用サイクル,
ランディングサイクルなど
を超えないうちに,その部
品を廃棄しなければならな
い。
life limit,
service life limit
289
部品総使用時間
ぶひんそうしよ
うじかん
部品の新品からの使用時間の累計。
parts total time
(PTT)
290
エンジン監視システ
ム
えんじんかんし
しすてむ
エンジンの作動状態,滑油消費率,滑
油分光分析検査及びエンジン内部検査
結果などを総合的に監視し,不具合を
早期に発見し,又は事前に予測し,対
策を講じるシステム。
engine monitoring
system
291
ハードタイムメンテ
ナンス
整備時間限界,廃棄限界などを定めて
行う予防整備の一方式。
hard time maintenance
292
エンジンオペレイテ
ィングサイクル
離陸定格出力を出した回数。
備考 着陸復行や整備の目的で離
陸定格出力を使用した場合
には,記録の便宜上考慮し
ない場合もある。
engine operating cycle
293
飛行中エンジン停止
率
ひこうちゅうえ
んじんていしり
つ
飛行中,不具合のためにエンジンが止
まったり,又は止めることを余儀なく
された場合のエンジンの使用時間の累
計に対する発生率。
備考 通常1000使用時間当たりの
発生回数で表す。
in-flight (engine)
shutdown rate
(IFSDR)
294
エンジン計画外取卸
率
えんじんけいか
くがいとりおろ
しりつ
エンジンの使用時間の累計に対するエ
ンジンの故障に起因した整備時間限界
到達以前の取り卸しの発生率。
備考 通常1000使用時間当たりの
発生回数で表す。
unscheduled engine
removal rate
(URR), (UER)
295
平均故障間隔
へいきんこしょ
うかんかく
故障するまでの平均使用時間。
備考 同一グループに属する装備
品,部品などのある期間の
総使用時間を,同一期間内
でそのグループに発生した
故障数で除して表す。
mean time between
failure
(MTBF)
(3) ガスタービンエンジンに関する用語
11
W 0109-1977
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
読み方
意味
対応英語〈参考〉
301
ターボジェットエン
ジン
作動流体の保有する熱エネルギーを推
進ノズルからのジェットエネルギーと
してスラストを発生するガスタービン
エンジン。
turbojet engine
302
ターボファンエンジ
ン
ターボジュットのうち,作動流体の保
有する熱エネルギーの一部でファンを
駆動して得られるファンジェット流
を,残りのエネルギーで発生する高温
ジェットと分離又は混合して噴出し,
スラストを発生するガスタービンエン
ジン。
turbofan engine
303
ターボシャフトエン
ジン
作動流体の保有する熱エネルギーを機
械的エネルギーに変換して,出力軸か
ら取り出すガスタービンエンジン。
turboshaft engine
304
ターボプロップエン
ジン
ターボシャフトエンジンのうち主にプ
ロペラを駆動するために使用するガス
タービンエンジン。
turboprop engine
305
一軸エンジン
いちじくえんじ
ん
圧縮機ロータとタービンロータが機械
的に結合されて一軸上にあり,それ以
外に主回転軸を持たないガスタービン
エンジン。
single spool (shaft)
engine
306
多軸エンジン
たじくえんじん
圧縮機ロータ及びタービンロータの組
合せが,互いに機械的に独立した2軸
以上からなるガスタービンエンジン。
備考 フリータービン軸を有する
場合も含む。
multi spool (shaft)
engine
307
フリータービンエン
ジン
圧縮機を駆動しない出力タービンを持
つガスタービンエンジン。
free turbine engine
308
ガスジェネレータ
圧縮機,燃焼器及びタービンからなる
高温,高圧ガスを発生するガスタービ
ンの主要構成部分。
gas generator
309
コア エンジン
ターボファンエンジンの中心をなす部
分で,圧縮機,燃焼器及び圧縮機ター
ビンから構成される。
core engine
310
バイパス比
ばいぱすひ
ターボファンエンジンにおいてコア
エンジンをバイパスする空気流量とコ
ア エンジンを通る空気流量との比。
bypass ratio
311
ファン
ターボファンエンジンで,主にバイパ
ス側の空気を圧縮するために使用する
軸流ファン。
fan
312
圧縮機
あっしゅくき
作動流体を圧縮し,高圧空気を得るた
めの回転機械で,軸流式及び遠心式が
ある。
compressor
313
燃焼器
ねんしょうき
ガスタービンにおいて,圧縮過程の後
で作動流体を加熱する目的で,燃料を
噴射し,燃焼させ,高温ガスを発生す
る装置。
combustor
314
タービン
作動流体を膨張させ,その熱エネルギ
ーを機械仕事として取り出す回転機
械。
turbine
12
W 0109-1977
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
読み方
意味
対応英語〈参考〉
315
アフタ バーナ
ターボジェットエンジンの排ガスの中
に燃料を追加噴射し,燃焼させ,スラ
ストの増強を行う装置。
after-burner
316
スラスト リバーサ
推進ノズルに装着され,スラストの方
向を逆向きに変更するか,又はほとん
ど零にする装置。
thrust reverser
317
消音装置
しょうおんそう
ち
エンジンの吸排気部に装着され,エン
ジンの騒音を低減させる装置。
noise suppressor
318
ファン動翼
ふぁんどうよく
ファンディスクに取り付ける翼。
fan rotor blade
319
ファン静翼
ふぁんせいよく
ファンケーシングに取り付ける翼。
fan stator blade,
fan stator vane
320
軸流圧縮機
じくりゅうあっ
しゅくき
回転軸方向の流路をもつ圧縮機。
axial (flow)
compressor
321
遠心圧縮機
えんしんあっし
ゅくき
主に遠心力により昇圧する半径方向へ
の流路をもつ圧縮機。
centrifugal compressor
322
圧縮機動翼
あっしゅくきど
うよく
軸流圧縮機ディスク又はロータに取り
付ける翼。
compressor rotor blade
323
圧縮機静翼
あっしゅくきせ
いよく
軸流圧縮機ケーシングに取り付ける
翼。
compressor stator
blade,
compressor stator vane
324
ファンケーシング
ファンの外形を構成し,ファン静翼な
どを支持するもの。
fan casing
325
圧縮機ケーシング
あっしゅくきけ
ーしんぐ
圧縮機の外形を構成し,軸流圧縮機で
は静翼を支持するもの。
compressor casing
326
ファンロータ
ファンの回転部分の総称。
備考 動翼が取り付けられていな
い組立軸をロータというこ
ともある。
fan rotor
327
圧縮機ロータ
あっしゅくきろ
ーた
圧縮機の回転部分の総称。
備考 軸流圧縮機で動翼が取り付
けられていない組立軸をロ
ータということもある。
compressor rotor
328
ファンディスク
ファン動翼を保持して回転する円板状
のもの。
fan disk (disc)
329
圧縮機ディスク
あっしゅくきで
ぃすく
軸流圧縮機動翼を保持して回転する円
板状のもの。
compressor disk (disc)
330
圧縮機ホイール
あっしゅくきほ
いーる
軸流圧縮機のディスクに動翼が取り付
けられたもの。
備考 通常一体のものをいうこと
が多い。
compresser wheel
331
入口案内翼
いりぐちあんな
いよく
圧縮機の1段目動翼の前にある静翼
で,一般に軸方向の流れに旋回を与え
るもの。
inlet guide vane
332
可変静翼
かへんせいよく
取付角を変化させることができる圧縮
機静翼。
variable stator (vane)
333
インペラ
遠心圧縮機で羽根を有する回転体。
impeller
334
インデューサ
遠心圧縮機でインペラ入口の流れに回
転速度を与える部分で,インペラと一
体のものと,分離したものとがある。
inducer
13
W 0109-1977
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
読み方
意味
対応英語〈参考〉
335
ディフューザ
流れを減速し,運動エネルギーを静圧
に変換することを目的とした流路形状
部。
diffuser
336
ファン圧力比
ふぁんあつりょ
くひ
ファンの出口の圧力を入口の圧力で割
った値。絶対圧力で示した全圧を用い
る。
fan pressure ratio
337
圧縮機圧力比
あっしゅくきあ
つりょくひ
圧縮機の出口の圧力を入口の圧力で割
った値。絶対圧力で示した全圧を用い
る。
compressor pressure
ratio
338
抽気
ちゅうき
圧縮機の中間段又は出口から空気を抜
き出すこと。
備考 ほかに空気を使用する目的
の場合と圧縮機のサージン
グを防止する目的の場合と
がある。
bleed
339
旋回失速
せんかいしっそ
く
軸流圧縮機で,円環状の翼列の一部が
失速し,この失速領域が回転方向に伝
ぱんし,旋回する現象。
rotating stall
340
サージング
圧縮機を含めた流路内で,気体が自励
振動を起こし,特定の周期で流量及び
圧力が大きく変動する現象。
surging
341
インレット ディス
トーション
ファンや圧縮機の入口の流れが一様で
ないことで,流れの速度,方向,圧力
及び温度のいずれの分布に対してもい
う。
inlet distortion
342
直流形燃焼器
ちょくりゅうが
たねんしょうき
燃焼器に入って来る空気と出て行くガ
スの流れの方向が同じ燃焼器。
straight-flow
combustor
343
逆流形燃焼器
ぎゃくりゅうが
たねんしょうき
燃焼器に入って来る空気と出て行くガ
スの流れの方向が逆の燃焼器。
reverse (retun) -flow
combustor
344
環状燃焼器
かんじょうねん
しょうき
エンジンの軸と同心に燃焼器ケーシン
グの内壁と外壁があり,その間に環状
の燃焼空間を形成する燃焼器ライナを
もつ燃焼器。
annular-type
combustor
345
筒形燃焼器
つつがたねんし
ょうき
筒形の燃焼器ケーシングの中に,それ
と同心に燃焼器ライナがある燃焼器。
can-type combustor
346
環状多筒形燃焼器
かんじょうたと
うがたねんしょ
うき
環状燃焼器と筒形燃焼器の中間の型の
もので,エンジンの回転軸と同心に内
側及び外側ケーシングがあり,その中
に数個の筒形燃焼器ライナが配列され
ている燃焼器。
cannular-type
combustor
347
燃焼器ケーシング
ねんしょうきけ
ーしんぐ
燃焼器の外壁を構成し,内部の圧力に
耐えるもの。
combustor casing
348
燃焼器ライナ
ねんしょうきら
いな
燃焼器の内筒で,燃焼領域,混合領域
及びタービン入口に向かう燃焼ガス流
路を形成するもの。
combustor liner,
flame tube
349
燃料ノズル
ねんりょうのず
る
燃料を燃焼器に噴射する装置。
fuel nozzle
350
燃料マニホールド
ねんりょうまに
ほーるど
燃料を燃料ノズルに分配する分岐管。
fuel manifold
351
フレームアウト
燃焼が不意に停止すること。
flame-out
14
W 0109-1977
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
読み方
意味
対応英語〈参考〉
352
燃焼効率
ねんしょうこう
りつ
燃焼器における実際の全エンタルピ増
加と燃料が等圧完全燃焼した場合のエ
ンタルピ増加の比。
combustion efficiency
353
軸流タービン
じくりゅうたー
びん
回転軸方向の流路をもつタービン。
axial (flow) turbine
354
ラジアル タービン
主に半径方向に流路をもつタービン。
radial (flow) turbine
355
圧縮機タービン
あっしゅくきた
ーびん
多軸式のエンジンで圧縮機を駆動する
タービン。
compressor turbine
356
フリータービン
多軸式のエンジンで圧縮機と連結して
いない出力タービン。
free turbine
357
出力タービン
しゅつりょくた
ーびん
有効動力を取り出すタービン。
power turbine
358
タービン動翼
たーびんどうよ
く
軸流タービンでタービンディスクに取
り付ける翼。
turbine rotor blade,
turbine bucket
359
タービンノズル翼
た一びんのずる
よく
タービンケーシングに取り付けタービ
ンノズルを形成する翼。
turbine nozzle blade,
turbine stator vane
360
タービンノズル
タービン動翼に対し有効に速度エネル
ギーを与えるための噴出口で,ノズル
翼を環状に並べたもの。
turbine nozzle
361
タービンロータ
タービンの回転部の総称。
備考 動翼が取り付けられていな
い組立軸をロータというこ
ともある。
torbine rotor
362
タービンケーシング
タービンの外形を構成し,タービンノ
ズルなどを支持するもの。
turbine casing
363
タービンディスク
軸流タービンでタービン動翼を保持し
て回転する円板状のもの。
turbine disk (disc)
364
タービンホイール
軸流タービンではタービンディスクに
動翼が取り付けられたもので,通常は
一体のものをいうことが多い。
また,ラジアルタービンでは羽根を有
する回転体をいう。
turbine wheel
365
タービン軸
たーびんじく
タービンディスクを支持する軸。
turbine shaft
366
タービン膨張比
たーびんぼうち
ょうひ
タービン入口全圧と出口全圧との比。
turbine expansion ratio
367
排気コーン
はいきこーん
排気ガスをタービンの出口から排気ダ
クトに導く部分で円すい状のもの。
exhaust cone,
tail cone
368
排気ダクト
はいきだくと
排気ガスを導くためのダクト。
exhaust duct,
jet pipe
369
ジェットノズル
排気ダクト又はエンジンの後端に取り
付けられ,ガスを噴出するノズル。
jet nozzle,
exhaust nozzle
370
可変面積ノズル
かへんめんせき
のずる
流路面積を変えることのできるジェッ
トノズル。
variable-area jet
nozzle
(4) ピストンエンジンに関する用語
番号
用語
読み方
意味
対応英語(参考)
401
対向形エンジン
たいこうがたえ
んじん
シリンダがクランク軸に対して1対ず
つ(少しずれて)向かい合って配置さ
れたエンジンで,その1対のピストン
は対称的な運動をする。
opposed engine
15
W 0109-1977
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
読み方
意味
対応英語(参考)
402
星形エンジン
ほしがたえんじ
ん
シリンダがククランク軸に対し,直角
な面内に放射状に配置されたエンジ
ン。
radial engine
403
直列形エンジン
ちょくれつがた
えんじん
シリンダがクランク軸を含む面内に直
列に配置されたエンジン。
inline engine
404
空冷エンジン
くうれいえんじ
ん
シリンダの冷却を空気流によって行う
エンジン。
air cooled engine
405
液冷エンジン
えきれいえんじ
ん
シリンダの冷却を水などの液体によっ
て行うエンジン。
liquid cooled engine
406
ピストン
シリンダ内で運動して作動流体を圧縮
し,また爆発膨張による力を受ける部
品。
piston
407
シリンダ
ピストンと共に作動流体を密閉する部
品で,ふた状の部分(ヘッド)と円筒
状の部分(バレル)から成る。
cylinder
408
コネクチングロッド
ピストンのピストンピンとクランク軸
のクランクピンとをリンクとして連結
する棒状の部品。
connecting rod
409
クランク軸
くらんくじく
主軸受で支えられて回転する軸と偏心
したクランクピンを持ち,ピストンと
コネクチングロッドによりつながって
エンジンの軸出力を取り出す部品。
crankshaft
410
クランクケース
クランク軸を入れて,その主軸受及び
シリンダを固定し,エンジンの軸出力
を取り出す時にその反力を支える部
品。
crankcase
411
弁機構
べんきこう
シリンダの吸気弁,排気弁をクランク
軸の回転と同調させて開閉する機構。
valve system
(mechanism)
412
カム軸
かむじく
クランク軸と同調して回転するカム部
分を持ち,弁機構を動かす部品。
cam shaft
413
タペット
カムに従って動き,弁に運動を伝える
弁機構の部品。
tappet
414
プッシュロッド
タペットに従って動き,弁に運動を伝
える棒状の弁機構の部品。
push rod
415
ロッカーアーム
一端をプッシュロッドで動かされる
と,他端で弁を動かす弁機構の部品。
rocker arm
416
吸気弁
きゅうきべん
シリンダに未燃焼の新気を導入する
弁。
intake valve
417
排気弁
はいきべん
シリンダから燃焼済みの排気を排出す
る弁。
exhaust valve
418
吸気マニホールド
きゅうきまにほ
ーるど
シリンダの吸気弁に新気を導く管で枝
分れしたもの。
intake manifold (tube)
419
排気マニホールド
はいきまにほー
るど
シリンダの排気弁から排気を導く管で
枝分れしたもの。
exhaust manifold
(tube)
420
気化器
きかき
シリンダに吸入する空気に燃料を気化
させて混合する装置。
carburettor
421
スロットルバルブ
シリンダに吸入する新気の流量を制限
することにより,エンジンの軸出力を
制御する弁。
throttle valve
16
W 0109-1977
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
読み方
意味
対応英語(参考)
422
ミックスチャコント
ロール
シリンダに吸入する空気と燃料との混
合比を制御する装置。
mixture control (MC)
423
過給器
かきゅうき
自然吸入でなく,大気を圧縮加圧して
シリンダに供給するための圧縮機。
supercharger
424
ホットエアマフラ
排気管又は排気マニホールドの周囲を
包んだ形で,空気を加熱するための熱
交換器。
hot-air muffler
425
マグネト
永久磁石で励磁された交流発電機で,
クランク軸と同調回転させ,点火用電
流を発生させるもの。
備考 点火用磁石発電機。
magneto
426
スパークプラグ
シリンダヘッドにねじ込まれ,絶縁さ
れた中心電極と接地された周囲電極と
の間に火花放電させて未燃焼の新気に
点火する装置。
spark plug
427
行程容積
こうていようせ
き
ピストンが下死点にある時と上死点に
ある時とのシリンダ内容積の差。
stroke volume
428
圧縮比
あっしゅくひ
ピストンが下死点にある時と上死点に
ある時とのシリンダ内容積の比。
compression ratio
429
吸気圧力
きゅうきあつり
ょく
吸気弁の上流における吸入管又はマニ
ホールド内の一定の場所の絶対圧力。
manifold (air) pressure
(MAP)
430
シリンダ温度
しりんだおんど
シリンダヘッドの指定の場所の温度。
cylinder temperature
431
オクタン価
おくたんか
ガソリンのアンチノック性を評価する
数値で,ノッキング強さを検出する装
置を持った標準試験エンジンでイソオ
クタンとノルマルヘプタンを混合した
標準燃料と比較試験をして,試料と同
じノッキング状態となるような標準燃
料のイソオクタンの成分百分比をオク
タン価数値とする。
octane number
432
パーフォマンス価
ぱーふぉまんす
か
ガソリンのアンチノック性を評価する
数値で,過給圧を変えて出力を計測で
きる標準試験エンジンで,希薄混合気
の場合と濃混合気の場合につき運転状
態を標準燃料と比較し,同じ出力状態
を示す標準燃料の二つの数値で示す。
数値100以下の標準燃料はオクタン価
と同じ。100以上の標準燃料はイソオ
クタンに四エチル鉛を加えたもので,
純イソオクタンに対する出力百分比を
数値とする。
performance number
433
臨界高度
りんかいこうど
クランク軸から歯車により駆動する遠
心式過給機を持つエンジンで,吸気圧
力が制限されているため,地上付近で
は,スロットルバルブが全開できない
場合,それが全開できる高度をいい,
ここで出力は最大となり,高度が上が
っても下がっても出力は低下する。
critical height
(altitude)
17
W 0109-1977
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
航空部会 航空用語(エンジン)専門委員会 構成表
氏名
所属
(委員会長)
八 田 桂 三
東海大学工学部
松 木 正 勝
科学技術庁航空宇宙技術研究所
鳥 崎 忠 雄
科学技術庁航空宇宙技術研究所
大 島 士 郎
運輸省航空局
神 津 正 男
防衛庁技術研究本部
若曾根 和 之
工業技術院標準部
藤 嶋 敏 夫
社団法人日本航空宇宙工業会
浜 中 全 美
石川島播磨重工業株式会社
谷 村 篤 秀
川崎重工業株式会社
待 山 義 彦
三菱重工業株式会社
金 子 益 男
日本航空株式会社
石 塚 勝 一
全日本空輸株式会社
高 草 孝 夫
ゼノア株式会社
(事務局)
矢 島 武 憲
工業技術院標準部機械規格課