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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

W 0107 - 1987 

航空用語 

(航空機用電気及び灯火系統) 

Glossary of Terms for 

Aircraft Electrical and Lighting Systems 

1. 適用範囲 この規格は,航空用語のうち航空機の電気系統(負荷となるもの及び発電機の電気系統を

除く。)及び灯火系統に用いる主な用語について規定する。 

2. 分類 用語の分類は,次のとおりとする。 

(1) 電気系統に関する用語 

(2) 電源機器に関する用語 

(3) 配電に関する用語 

(4) 灯火に関する用語 

3. 用語・意味 用語及び意味は,次のとおりとする。 

なお,参考のため対応英語を示す。 

備考1. 用語欄で二つの用語を並べてある場合は,その順位に従って優先的に使用する。 

2. 用語欄で( )を付けて示してある用語は,( )内を省略してもよい。 

(1) 電気系統に関する用語 

番号 

用語 

意味 

対応英語(参考) 

101 

電気系統 

制御及び保護装置を含む発電回路,並びに配電回路の総称。 

electrical system 

102 

交流電源方式 

交流を主電源とする航空機の電源方式。 

備考 機器を主体に考える場合は,交流電源系統ともいう。 

AC power system 

103 

直流電源方式 

直流を主電源とする航空機の電源方式。 

備考 機器を主体に考える場合は,直流電源系統ともいう。 

DC power system 

104 

並列運転 

2台以上の発電機などを並列に接続して運転すること。並行運転ともい
う。 

parallel running, 
parallel operation 

105 

自動並列接続 

交流発電機を並列運転する際,電圧・位相・周波数がすべて等しくなっ
たときに自動的に接続されること。 

auto-paralleling 

106 

定常状態 

特性が長時間にわたって無視できる程度の変化しか示さないような状
態。 

steady state 

107 

非常動作 

電気系統が主発電機から独立している限定された電源によって,限定し
た配電機器及び利用機器に電力を供給している状態。 

emergency operation 

108 

始動動作 

航空機の推進エンジンの始動中における電気系統の状態。 

starting operation 

109 

保護動作 

電気系統に機能不良又は故障が起こった場合,系統の他の部分に機能不
良や故障が及ばないように,電気系統の保護装置が動作した状態。 

protected operation 

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W 0107 - 1987  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

意味 

対応英語(参考) 

110 

切換え動作 

外部電源との切換えを含め,電源の切換えが行われているときに生じる
電気系統の状態。 

transfer operation 

111 

(相間)電圧不
平衡 

利用機器端子における各相電圧に差が生じている状態。 

voltage unbalance 

112 

電圧位相差 

隣り合った任意の二つの相電圧の波形の基本成分間の電気角度の差を,
その瞬間値が負の方向から正の方向に移るときに0レベル(又は直流レ
ベル)を横切る交点間で取った値。 

voltage phase 

difference 

113 

ひずみ率 

(1) 交流の場合,基本成分の波形を除いた交流波形の実効値と基本成分

の実効値の比。交流ひずみ率という。 

(2) 直流の場合,直流に重畳されている交流成分電圧の実効値と直流平

均電圧との比。直流ひずみ率という。 

distortion factor 

114 

ひずみスペクト
ル 

交流ひずみ及び直流ひずみの大きさを,各周波数成分の振幅で数量化し
たもの。ひずみスペクトルは交流波形の調波成分及び非調波成分のほか
に,振幅変調及び周波数変調から生じる成分も含む。 

distortion spectrum 

115 

波高率 

交流波形のピーク値と実効値との比。 

crest factor 

116 

周波数偏移 

交流の基本波の周波数の最大値と最小値との差。 

frequency deviation 

117 

周波数ドリフト
率 

制御された周波数が環境効果及び経時効果によって,定常状態の限界内
で緩やかで継続的に変化する量の時間に対する割合。 

frequency drift rate 

118 

リップル振幅 

脈動する単方向波の平均値と瞬時値との差の最大値。 

ripple amplitude 

119 

周波数過渡状態 交流の基本波の周期の逆数で表される値(周波数)が,定常状態から離

れる場合に,それが連続して変化していく軌跡。 

frequency transient 

120 

過電圧 

定常状態と過渡状態とを組み合わせた限界値の上限より高い電圧。 

overvoltage 

121 

不足電圧 

定常状態と過渡状態とを組み合わせた限界値の下限より低い電圧。 

undervoltage 

122 

保護協調 

保護器具又はそれらを組み合わせた保護装置の動作特性曲線が,保護さ
れる線路又は機器の損傷曲線の下にあって,これと交わることがなく,
保護器具が負荷の始動電流又は短時間過負荷に対して動作しないとき,
保護装置と被保護装置との間に保たれている状態。 

coordination 

123 

最大連続負荷 

指定条件の下で連続して使用できる最大の負荷。 

maximum continuous 

electrical load 

124 

電磁適合性 

指定された任務遂行中に遭遇する全電磁環境の下で,システム及び関連
するすべてのサブシステム又は機器が,要求された有効度を保ちなが
ら,品質低下を起こさないで性能を発揮する能力。 

electromagnetic 

compatibility 

125 

電磁環境 

システム,サブシステム又は機器がその任務遂行中に人工及び自然の電
磁エネルギーを含む合成電磁エネルギーにさらされている状態。 

electromagnetic 

environment 

126 

電磁干渉 

望ましくない応答,容認できない応答,機能不良又は性能低下を生じた
り,相手側からの早期で望ましくない捜索や探知や発見を受ける原因と
なるような電気的又は電子的な妨害,現象,信号又は放射(人工又は自
然の)。ただし,故意に発生させる干渉を除く。 

electromagnetic 

interference 

(2) 電源機器に関する用語 

番号 

用語 

意味 

対応英語(参考) 

201 

(機上)発電機 航空機に必要な電力を供給するため,その航空機上に装備される発電機

の総称。 

(aircraft) generator, 
(airborne) generator 

202 

交流発電機 

交流電力を発生する発電機。 
周波数の制御状態によって,不定周波数形及び一定周波数形の二つの形
式に分けられる。 

AC generator, 
alternator 

203 

直流発電機 

直流電力を発生する発電機。 

DC generator, 
generator 

204 

始動発電機 

エンジン始動時は始動用電動機として用いられ,始動後は電源用発電機
として用いられる形式の発電機。 

starter-generator 

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W 0107 - 1987  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

意味 

対応英語(参考) 

205 

エンジン駆動発
電機 

主エンジンに直結,又は定速駆動装置を介して機械的に結合された発電
機。 

engine driven 

generator 

206 

ラムエアタービ
ン発電機 

駆動力としてラムエアタービンを使用した緊急用の発電機。 

ram air turbine 

generator 

207 

ブラシレス発電
機 

ブラシを使用しないで同軸上に励磁用の交流発電子を置き,その出力を
軸上に設けた半導体整流器で整流し,回転磁極を励磁する発電機。 

brushless generator 

208 

パーマネントマ
グネット発電機 

永久磁石を利用した交流発電機。 
交流発電機の励磁又はエンジン回転速度計などに用いられる。 

permanent magnet 

generator (PMG) 

209 

コンバータ 

通常,交流を直流へ,又は直流相互を変換する機器。 

converter 

210 

インバータ 

直流電力を交流電力に変換する機器。 
スタティック形とロータリ形との二つがある。 

inverter 

211 

整流器 

交流電力を直流電力に整流する機器。 

rectifier 

212 

ゼネレータコン
トロールパネル 

発電機系統の動作状態を監視し,発電機の動作,出力を制御し,併せて
出力をバスへ接続する継電器又はコンタクタを制御する装置。 

generator control 

panel (GCP), 

generator control unit 

(GCU) 

213 

ゼネレータフィ
ールドリレー 

発電機の界磁電流を開閉する継電器。 

generator field relay 

(GFR), 

filed relay (FR) 

214 

ゼネレータコン
タクタ 

発電機の出力回路を開閉する接触器 

generator (line) 

contacter (GC), 

generator breaker 

(GB) 

215 

定速駆動装置 

エンジン駆動の交流発電機において,一定周波数を得るために,エンジ
ンの回転速度が変化しても発電機の入力軸の回転速度を一定に保つた
めの装置。 

constant speed drive 

unit (CSD) 

216 

変圧整流器 

交流電力を変圧させるとともに整流をも行う装置。 

transformer rectifier 

unit (T-R unit) 

217 

外部電源受け口 外部電源からの電力を取り入れるための機体側の受け口。 

external power 

receptacle 

218 

(機上)蓄電池 航空機に搭載される蓄電池。 

(aircraft) battery, 
 (airborne) battery 

219 

ニッケルカドミ
ウム蓄電池 

ニッケル及びカドミウムを主体とした材料を陽極及び陰極にそれぞれ
使用した蓄電池。 

nickel-cadmium 

battery (Ni-Cd 
battery) 

(3) 配電に関する用語 

番号 

用語 

意味 

対応英語(参考) 

301 

バス, 
母線 

電源回路を分岐し又は統合し,電力を配分するための単一又は複数の電
線及び供給回路が接続される導体。 

bus, 
bus bar 

302 

エッセンシャル
バス 

航空機の航行の安全に欠くことができない負荷を接続しているバス。 essential bus 

303 

スタンドバイバ
ス 

エッセンシャルバスに障害が生じた場合に切り換えて用いられるバス。 stand by bus, 

emergency bus 

304 

タイバス 

電力供給の組換えを行うために,あるバスを他のバスに接続するのに用
いられるバス(並列運転に用いる場合もある。)。 

tie bus 

305 

バッテリバス 

機上蓄電池に接続するバス。 

battery bus 

306 

ホットバッテリ
バス 

回路保護装置なしに機上蓄電池に直接接続するバス。 

hot battery bus 

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W 0107 - 1987  

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番号 

用語 

意味 

対応英語(参考) 

307 

バスタイブレー
カ 

タイバスを切り離すための遮断器。 

bus tie breaker (BTB) 

308 

バスタイリレー バス相互間の電力供給を遮断又は接続するための継電器。 

bus tie relay (BTR) 

309 

回路遮断器 

電気回路に障害が発生したとき,回路を自動的に遮断するもの。 

circuit breaker 

310 

負荷バンク 

電気負荷を模擬するための装置。 

load bank 

311 

電気的ボンディ
ング 

機器相互間又は機器と機体構造との間に所要の導電性をもたせるよう
な手段。 

electrical bonding 

(bonding) 

(4) 灯火に関する用語 

番号 

用語 

意味 

対応英語(参考) 

401 

外部照明 

航空機の外面に取り付けられ,外部を照明し,又は自己の位置,飛行方
向などを示す灯火の総称。 

exterior lighting 

402 

航空灯 

航空機の所在又は飛行方向を示すための外部灯火。 

position light, 
navigation light 

403 

翼端灯 

両翼端(回転翼航空機では機体の左右の最も外側の部分)に装備され,
機体の位置を表示する航空灯。 

wing tip light 

404 

尾灯 

機体の後部に装備される航空灯。 

tail light 

405 

衝突防止灯 

航空機相互の衝突を防止するため,航空機の周囲の全重要区域を投光す
るせん光外部灯火。 

anticollision light 

406 

停泊灯 

水上機又は水陸両用機が水上に停泊しているとき,その存在を示すため
機体に取り付ける外部灯火。 

riding light 

407 

着陸灯 

夜間の離着陸の際,前方視界を得るために航空機の前方を照射する外部
灯火。 

landing light 

408 

タクシーライト 
(走行灯) 

地上又は水上を誘導滑走する際,前方を照射する外部灯火。 

taxi light 

409 

ターンオフライ
ト 

地上滑走の際,滑走路から誘導路へ入りやすくするため,航空機の斜め
前方を照射する外部灯火。 

turn-off light 

410 

翼照明灯 

停留中に翼上面における作業,及び飛行中,翼面の状況を点検するため
に翼面を照射する外部灯火。 

wing illuminating 

light, 

wing scan light 

411 

ロゴライト 

大形輸送機において垂直尾翼面の航空会社標識を照射する外部灯火。 logographic light 

412 

内部照明 

航空機の機室内に備えられ,室内の全般又はその一部を照明する灯火の
総称。 

interior lighting 

413 

室内灯 

機室内の全般を照明する内部灯火。 

room light 

414 

ドアライト 

機室内入口のドア付近に取り付け,ドア付近の足もとを照明する内部灯
火。 

door light 

415 

通路灯 

客室の通路を照明する灯火。 

aisle light 

416 

計器照明 

各計器の指示並びに各スイッチ及び装置類の作用及び位置を乗員に判
読させるための灯火の総称。 

instrument lighting 

417 

計器灯 

計器の指示を乗員に判読させるために計器を照明する灯火。 

instrument light 

418 

アナンシエータ 現象が発生した装置,系統,場所などを文字で表示する灯火。 

annunciator 

419 

表示灯 

特定回路の作動状況を表示する灯火。 

indicator light 

420 

ライティングパ
ネル 

文字,記号など内部から発光させる灯火をもつ盤。 

lighting panel 

421 

非常照明 

主照明系統から独立し,緊急時に機体外部及び客室内を照明する灯火の
総称。 

emergency lighting 

422 

外部非常灯 

胴体外側部に取り付け,緊急脱出の際,各翼面上の脱出口,脱出通路,
地表面などを照明する灯火。 

exterior emergency 
light,  
exterior evacuation 
light 

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W 0107 - 1987  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

番号 

用語 

意味 

対応英語(参考) 

423 

室内非常灯 

緊急時に客室内全般,非常脱出口区域などを照明する灯火。 

interior emergency 

light, 

interior evacuation 

light 

424 

非常脱出口表示
灯 

非常脱出口の標識及び非常脱出口の位置を表示する灯火。 

exit light 

425 

主翼着氷監視灯 (1) 主翼のうち着氷によって危険を生じるおそれがある部分を照明す

る外部灯火。 

(2) 主翼の着氷の有無を監視するための外部灯火。 

wing ice inspection 

light 

426 

床面非常脱出通
路標識灯 

機内で火災が発生し,煙によって客室通路上一定の高さより上方にある
すべての照明源が遮へいされたとき,乗客の脱出を誘導するために通路
床面付近及び非常脱出口下方付近に装備する灯火。 

floor proximity 

emergency escape 
path light 

航空規格原案作成委員会 構成表 

氏 名 

所 属 

(委 員 長) 

竹 中 規 雄 

日本大学理工学部 

(副委員長) 

土 屋 武 二 

横浜ゴム株式会社航空部品事業部 

伊佐山 建 志 

通商産業省機械情報産業局航空機武器課 

横 溝 眞一郎 

工業技術院標準部機械規格課運輸航空規格室 

加 藤   晋 

運輸省航空局技術部検査課 

井 村   勇 

海上保安庁警備救難部 

瀬 倉 久 男 

防衛庁装備局調達補給課 

山 根 晧三郎 

科学技術庁航空宇宙技術研究所機体第一部荷重研究室 

横 田 友 宏 

日本定期航空操縦士会 

中 西 正 義 

社団法人日本航空技術協会常務理事 

白 浜 洋 海 

日本航空株式会社技術部技術企画室 

佐 治 康 雄 

全日本空輸株式会社整備本部技術部技術管理課 

内 田 憲 夫 

東亜国内航空株式会社整備本部技術部 

藤 嶋 敏 夫 

航空規格調査会 

播 磨 克 彦 

富士重工業株式会社航空機技術本部設計管理課 

金 田 利 泰 

三菱重工業株式会社名古屋航空機製作所第二技術部 

足 立 三 郎 

川崎重工業株式会社航空機事業本部航空機技術本部管理業務課 

宇 野 威 信 

石川島播磨重工業株式会社航空エンジン事業部技術課 

植 田 隆 之 

住友精密工業株式会社第一技術部 

田   隆 吉 

三菱電機株式会社電子システム業務部 

(主  査) 

竹 内 誠一郎 

株式会社東芝特定機器部 

立 石   弘 

株式会社島津製作所航空機器事業部第1工場第1技術課 

(事 務 局) 

番 匠 敦 彦 

社団法人日本航空宇宙工業会 

小 林 繁 雄 

社団法人日本航空宇宙工業会