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T 9259:2010  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

1 適用範囲 ························································································································· 1 

2 引用規格 ························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 1 

4 種類······························································································································· 1 

5 設計,外観及び構造 ·········································································································· 2 

5.1 設計 ···························································································································· 2 

5.2 外観 ···························································································································· 2 

5.3 構造 ···························································································································· 2 

6 性能······························································································································· 3 

7 材料······························································································································· 3 

8 試験条件 ························································································································· 4 

8.1 試験環境 ······················································································································ 4 

8.2 試験装置 ······················································································································ 4 

9 試験······························································································································· 5 

9.1 一般 ···························································································································· 5 

9.2 安定性試験 ··················································································································· 5 

9.3 静的強度試験及び耐久性試験···························································································· 6 

9.4 落下試験 ······················································································································ 6 

9.5 耐温水性試験 ················································································································ 7 

10 検査 ····························································································································· 7 

10.1 検査の種類及び検査項目 ································································································ 7 

11 表示 ····························································································································· 7 

12 取扱説明書 ···················································································································· 7 

附属書A(参考)ハザードリスト ···························································································· 8 

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(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,日本福祉用具・生活支援用具協会(JASPA)

及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があ

り,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責

任はもたない。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格 

JIS 

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福祉用具−浴槽内いす 

Bathseats for a bathtub use 

適用範囲 

この規格は,福祉用具のうち,浴槽への出入り又は浴槽内での立ち上がりを容易にする浴槽内いす(以

下,いすという。)について規定する。ただし,昇降機能をもつもの及び浴槽縁をまたぐものは除く。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。この引用

規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS K 6253 加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−硬さの求め方 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。 

3.1 

座面 

人体を支えるために,垂直に作用する力を支持する面となる部材。 

3.2 

フレーム 

座面を支えるための部材。 

種類 

種類は,表1によって区分する(図1参照)。 

表1−種類 

種類 

説明 

吸盤式 

脚先に吸盤が付いたもので,浴槽底に吸着させて固定するいす。 

据置式 

浴槽底に置いて使用するいす。洗い場側に置いて,踏み台として兼用
できるものもある。 

浴槽縁式 

浴槽上縁面につ(吊)り下げ,浴槽内でシャワーを浴びるためのいす。 

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図1−いすの種類及び各部の名称 

設計,外観及び構造 

5.1 

設計 

5.1.1 

リスクマネジメントによる設計 

リスクマネジメントによる設計は,すき間に足の指が挟まるリスクについて実施し,実施手順及び結果

は,製造業者又は販売事業者によって文書化し維持しなければならない。また,関連するハザードとして

附属書Aに記載した事項についても,リスクマネジメントによる設計を行うことが望ましい。 

5.1.2 

人間工学的要素 

設計時には,高齢者・障害者を考慮して設計(例えば,安定性など。)しなければならない。 

注記 JIS Z 8071の9.(心身の機能と障害の影響に関する詳細)などが参考となる。 

5.2 

外観 

外観は,次による。 

a) 外観の仕上げは良好で,使用上有害なきず,狂い,接合部の外れなど著しい欠点があってはならない。 

b) 人体の触れる部分には,危険な突起,鋭い角,使用上有害なささくれなどがなく,かつ,外部に現れ

るボルト・ナットなどの先端は,著しく突き出してはならない。 

c) 塗装面の見えがかり部分は,光沢及び色調が均等で,塗りむら,垂れなどがあってはならない。 

5.3 

構造 

構造は,次による。ただし,該当する部材及び部品がない場合には,その項目は適用しない。 

a) 木材を使用する場合は,組み立て後,使用上有害な割れ,狂いなどの欠点が生じにくい構造とする。 

b) 接合部は,溶接,継手などによって堅ろうに接合する。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

c) ねじ類,その他の金属を用いて組み立てる場合は,結合部が容易に緩まない構造とする。 

d) 操作部がある場合は,容易に扱うことができ,かつ,耐久性に優れていなければならない。 

e) 取外し可能な部品及び部材は,確実に固定できなければならない。 

f) 

折り畳み機構は,円滑かつ確実に操作でき,使用中に容易に折り畳まれない構造とする。 

g) 高さ調節機構がある場合は,高さ調節が容易で,使用中に容易に緩まない構造とする。 

h) 設置面との接触部分及び座面には,滑り止め対策(例えば,脚ゴム,表面加工。)を施し,使用中に滑

りにくい構造とする。 

i) 

座面及びフレームのすき間などに足,指などを挟まない構造とする(表2参照)。 

なお,座面の指の挟み込みを回避するには5 mm未満とすることが望ましいが,水抜き穴の寸法は

操作性などを考慮してリスクマネジメントに基づいて設定する。5 mm以上の場合には取扱説明書に

そのリスクを記載する。 

注記 BS EN 12182参照。 

表2−固定部品間の安全距離a) 

項目 

成人のための安全距離 

子供のための安全距離 

指の挟み込み 

8 mm未満又は 

25 mmを超え 

5 mm未満又は 

12 mmを超え 

注a) 用具が通常の使用目的を満たすには,穴サイズ及び固定部品間のす

き間におけるリスク要因の発生が不可避である場合,その用具を安
全に操作する方法について,警告及び指示を製造業者が作成した取
扱説明書に記載しなくてはならない。 

j) 

浴槽内いすは,水中で浮き上がってはならない。 

性能 

性能は,箇条9によって試験をしたとき,表3の規定に適合しなければならない。 

表3−性能 

項目 

性能 

試験箇条 

安定性 

据置式及び吸盤
式の安定性 

20°で転倒しない。 

9.2.1 

吸盤の吸着力 

25 Nで吸盤の外れがない。また,35 Nで横滑りがない。 

9.2.2 

静的強度及び 
耐久性 

静的強度 

使用上支障のある破損,変形,緩み及び外れがない。 

9.3.1 

耐久性 

9.3.2 

落下 

9.4 

耐温水性 

使用上支障のあるそり,ひび割れ,はく離,ゆるみ,変形
及び変色がない。 

9.5 

材料 

材料は,次による。 

a) 使用する材料は,人体に有害な物質を含まないものとする。 

なお,人体に有害な物質としては,ホルムアルデヒド,カドミウム,鉛,水銀,セレン,ひ素,六

価クロムがある。 

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b) 金属製,合成樹脂製の部品などの材料は,それぞれの機能を果たせる十分な強さをもち,かつ,耐食

性に優れた材料又はさび止め処理を施したものとする。 

試験条件 

8.1 

試験環境 

試験環境条件は特に指定がない場合,温度20±15 ℃,湿度 (65±20) %で行う。 

8.2 

試験装置 

試験装置は,次による。 

a) 試験床 試験床は,水平で平たん(坦)な面とする。落下試験(9.4)では,厚さが2 mmのテストラ

バーをコンクリート面上に敷く。 

なお,テストラバーの材質は,天然ゴム(NR)又はスチレンブタジエンゴム(SBR)とし,硬さは,

JIS K 6253に規定するタイプAデュロメータを用いて,硬さA85±5のものとする。 

b) 座面当て板 直径は,200 mmの剛性の円盤で,表面は半径300 mmの球状とし,縁を半径12 mmに

丸める(図2参照)。 

c) 支持台 上面の幅は,50±5 mmで,側面は上面に垂直とし,平らなステンレス製の台(図3参照)。 

d) 局部当て板 直径は,100 mmの剛性の円盤で,表面は平らとし,縁を半径12 mmに丸める。 

単位 mm 

図2−座面当て板 

図3−支持台 

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試験 

9.1 

一般 

安定性試験及び強度試験では,一定の大きさの力を加えるか又は力を徐々に増大させるものとする。一

定の大きさの力を加える場合は,その装置としておもりを用いることができる。 

なお,強度試験では,試験体に動的な荷重を発生させないように,ゆっくりと力を加えなければならな

い。 

9.2 

安定性試験 

9.2.1 

据置式及び吸盤式の安定性試験 

剛性のある傾斜台の上に置き,中央前縁から50 mmの位置に50 Nの垂直力を座面に加えた後,傾斜台

を傾けて転倒の有無を調べる(図4参照)。脚の高さが調節できるものは,最高の高さに設定する。 

ただし,吸盤式は試験に先立ち木製の傾斜台の上にステンレス板を置き,座面中央に直径100 mmの局

部当て板[8.2 d)]を介して160 Nの力を垂直に負荷した後に試験を行う。 

図4−据置式及び吸盤式の安定性試験 

9.2.2 

吸盤の吸着力試験 

浴槽内いすから支柱に吸盤の付いた吸盤脚1本を準備し,40±5 ℃の温水中に30分放置後,温水中で,

ステンレス板上に40 Nの力で吸盤を取り付けた後,吸着面から高さ100 mmの位置で吸盤脚を水平に引っ

張り,吸盤の外れ及び横滑りの有無を調べる(図5参照)。試験中に支柱が吸盤から抜ける場合には,支柱

と吸盤とを固定して試験をする。 

なお,ステンレス板は平たんで試験中に変形しないものを用いる。 

図5−吸盤の吸着力試験 

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9.3 

静的強度試験及び耐久性試験 

9.3.1 

静的強度試験 

座面の中央に座面当て板[8.2 b)]を用いて1 500 Nの垂直力を10回加える。垂直力は各回ごとに少な

くとも10秒間維持する。試験後,力を取り除き各部の異常の有無を調べる。浴槽縁式については,支持台

に設置して試験する。 

なお,この場合の垂直力は,使用者の体重が100 kgを超える製品の場合には,[最大使用者体重(kg)

×15](N)の垂直力を加える。 

9.3.2 

耐久性試験 

座面の中央に座面当て板[8.2 b)]を用いて950 Nの垂直力を,毎分40回を超えない速さで12 500回加

える。試験後,力を取り除き各部の異常の有無を調べる。浴槽縁式については,支持台に設置して試験す

る。 

9.4 

落下試験 

落下試験は,次による。 

a) 吸盤式及び据置式 一つの脚に対して,その脚と対角線上反対側にある脚を結ぶ直線が水平に対し約

10°傾き,残りの両足を結ぶ直線が水平になるように支え,500 mm以上の高さから試験床[8.2 a)]

に10回落下させ,試験後,各部の異常の有無を調べる(図6参照)。 

図6−吸盤式及び据置式の落下試験 

b) 浴槽縁式 500 mm以上の高さで座面を水平に保ち,試験床[8.2 a)]に10回落下させ,試験後,各部

の異常の有無を調べる(図7参照)。 

図7−浴槽縁式の落下試験 

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9.5 

耐温水性試験 

耐温水性試験は,60±2 ℃の温水に7時間浸せきし,取り出して17時間常温室内に放置することを15

回繰り返し,試験後,各部の異常の有無を調べる。 

なお,吸盤式は試験後,9.2.2の試験を行い,吸盤の外れ及び横滑りの有無を調べる。 

10 検査 

10.1 検査の種類及び検査項目 

いすの検査は,形式検査1)と受渡検査2)とに区分し,検査の項目は,それぞれ次のとおりとする。 

なお,形式検査及び受渡検査の抜取検査の方式は,受渡当事者間の協議によって定める。 

注1) 製品の品質が設計で示したすべての特性を満足するかどうか判定するための検査。 

2) 既に形式検査に合格したものと同じ設計・製造による製品の受渡しに際して,必要と認める特

性を満足するものであるかどうかを判定するための検査。 

a) 形式検査項目 

1) 外観 

2) 性能 

3) 構造 

4) 表示及び取扱説明書 

b) 受渡検査項目 

1) 外観 

2) 表示及び取扱説明書 

11 表示 

いすには,次の事項を表示しなければならない。 

a) 規格名称又は規格番号,及び種類。ただし,種類は省略してもよい。 

b) 製造年又はその略号 

c) 製造事業者名又はその略号 

d) いす又は製品を特定できる品番 

e) 寸法,材質,耐熱耐冷温度,使用上の注意(例えば,直射日光を避けるなど),製造業者名及びその住

所又は電話番号。 

12 取扱説明書 

取扱説明書には,次の事項を記載しなければならない。 

a) 使用方法 

b) 取扱説明書を必ず読み,読んだ後保管する旨。 

c) 取扱上の注意事項(吸盤式いすは平滑な浴槽の底で使用する,60 ℃以上のお湯をかけないなど。) 

d) 各部の名称(図で示す。) 

e) 手入れの方法(吸盤は直射日光で乾燥させないなど。) 

f) 

諸元表(各部の寸法,質量,材質,最大使用者体重など。) 

g) 製造業者,輸入業者又は販売業者の名称,住所,電話番号及びファクシミリ番号。 

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附属書A 

(参考) 

ハザードリスト 

A.1 福祉用具に関連して起こる可能性があるハザード及び関連する要因の例 

福祉用具に関連して起こる可能性があるハザード及び関連する要因に関しては,JIS T 14971を参考にリ

ストを示す。ただし,すべてを網羅しているわけではなく,ハザードを特定する手助けとなる。 

A.1.1 エネルギーのハザード及び関連する要因 

エネルギーのハザード及び関連する要因は,次を含む。 

a) 熱 

b) 機械的な力 

c) 可動部分(手足,指などの挟み込み) 

A.1.2 生物学的なハザード及び関連する要因 

生物学的なハザード及び関連する要因は,次を含む。 

a) 生物的汚染 

b) アレルギー誘発性 

A.1.3 環境的なハザード及び関連する要因 

環境的なハザード及び関連する要因は,次を含む。 

a) 指定された環境条件外での保管又は操作 

b) 偶発的な機械的損害 

c) 廃棄物及び/又は福祉用具の廃棄による汚染 

A.1.4 福祉用具の使用に関連するハザード及び関連する要因 

福祉用具の使用に関連するハザード及び関連する要因は,次を含む。 

a) 不適切なラベリング 

b) 不適切な操作説明,例えば, 

1) 使用前点検の不適切な仕様 

2) 複雑すぎる操作説明 

3) サービス及び保守の不適切な仕様 

4) 使いにくい,まとまりのない取扱説明書 

c) 不適切な附属品の仕様書 

d) 未熟な要員による使用及び未訓練者による使用 

e) 合理的に予見できる誤使用 

f) 

消耗品,附属品,その他の福祉用具との不適合性 

g) 鋭い角又は先端 

h) 介助者,子供などが手足又は指を挟み込む機構の存在 

i) 

意図しない動き 

j) 

利用者を支える装置の故障 

k) 認知症及び使用者の身体状況による使用 

l) 

設置対象の不適合による要因 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

m) 改良及び改造による要因 

A.1.5 不適切,不十分又は複雑すぎるユーザインタフェース(マン/マシンコミュニケーション) 

不適切,不十分又は複雑すぎるユーザインタフェースは,次を含む。 

a) 不十分な視認性 

A.1.6 機械的故障,保守及び老朽化によってもたらされるハザード及び関連する要因 

機械的故障,保守及び老朽化によってもたらされるハザード及び関連する要因は,次を含む。 

a) 不適切な保守 

b) 反復使用による機能の劣化 

参考文献 JIS T 14971 医療機器−リスクマネジメントの医療機器への適用 

JIS Z 8071 高齢者及び障害のある人々のニーズに対応した規格作成配慮指針 

BS EN 12182:1999,Technical aids for disabled persons−General requirements and test methods