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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

T 9233-1997 

ストーマ用品の試験方法 

Testing methods for ostomy aids 

1. 適用範囲 この規格は,ストーマ用品のうち,ストーマ装具,板状皮膚保護剤(以下,皮膚保護剤と

いう。)及びストーマ用洗腸具の試験方法について規定する。 

備考1. この規格の引用規格を,次に示す。 

JIS B 7503 ダイヤルゲージ 

JIS B 7516 金属製直尺 

JIS K 6250 加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの物理試験方法通則 

JIS K 6253 加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの硬さ試験方法 

JIS K 6258 加硫ゴムの浸せき試験方法 

JIS K 6718 メタクリル樹脂板 

JIS K 6735 ポリカーボネート板 

JIS K 7100 プラスチックの状態調節及び試験場所の標準状態 

JIS K 7126 プラスチックフィルム及びシートの気体透過度試験方法 

JIS T 9232 ストーマ用品に関する用語 

JIS Z 0237 粘着テープ・粘着シート試験方法 

JIS Z 8102 物体色の色名 

JIS Z 8401 数値の丸め方 

JIS Z 8802 pH測定方法 

2. この規格の中で { } を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであって,

参考として併記したものである。 

2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS T 9232によるほか,次による。 

(1) 試験容量 規定された試験で得られた最大の容量。 

(2) 静的耐久性 荷重の増加の仕方又は試料の変形速度が極めて徐々であって,外力と応力が常に平衡を

保ちつつ変形する状況下における耐久性。 

(3) かん(嵌)合式袋接合部 かん合方式による袋と面板とのかみ合わせ部分。 

(4) 粘着 接着の一種で,一時的な接着。一般には,永久接着に対して用いる語。 

(5) 粘着特性 粘着力,タック及び保持力で表現される3基本物性。 

(6) 粘着力 粘着面と被着体の面との接触によって生じる力。 

(7) 引きはがし粘着力 試験片を試験板にはり付け,圧着後,引きはがすのに要する力。 

なお,この測定の場合,引きはがし角度は,90度と180度とがある。 

(8) タック 非常に軽い力で短時間に被着体に粘着する力。 

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T 9233-1997  

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(9) 保持力 被着体の長さ方向に静荷重をかけたとき,粘着剤がずれに耐える力。一般に,一定時間にず

れる距離又は一定距離ずれる時間で表す。 

(10) ストーマ袋の防臭性 ストーマ袋が収集した便又は尿から発生し,かつ,変化した結果生成した臭気

源の気体(硫化水素,メルカプタン,スカトール,アンモニアなど)の透過を防止する性質。 

(11) 試験板 粘着力及び保持力の測定めために用いられる一定の材質,寸法及び表面状態の板。主として

ステンレス鋼板が用いられるが,フェノール樹脂積層板,アクリル樹脂塗装板なども用いられる。 

(12) 表面pH 板状皮膚保護剤の表面接皮側における水素イオン濃度。 

3. ストーマ装具の試験方法 

3.1 

試験項目 

(1) ストーマ袋の試験容量測定 

(2) ストーマ袋の厚さ,形状寸法,色名,透明性の測定及び観察 

(3) ストーマ袋の無負荷静的耐久性の試験 

(4) ストーマ袋の負荷静的耐久性の試験 

(5) 二品系ストーマ装具のかん合式袋接合部の負荷静的耐久性の試験 

(6) 接皮側の一般粘着特性の試験 

(7) ストーマ袋の防臭性の試験 

3.2 

試験の一般条件 

3.2.1 

試験場所の標準状態 試験は,JIS K 7100の2.2(標準温度状態の級別)に規定する標準温度状態

2級 (23±2℃) とする。 

3.2.2 

試料の標準状態 3.2.1の標準状態において,試料を3時間以上放置し試験に供する。 

3.2.3 

試験成績の丸め方 各試験によって得られた試験成績は,JIS Z 8401によって丸め,表1のけた数

で表す。 

表1 試験成績の丸め方 

試験項目 

求める試験成績 

試験容量 

ml 整数位 

厚さ 

μm 整数位 

形状寸法 

cm 整数位 

色名・透明性(官能観察) 

 色名,透明性 

ストーマ袋の無負荷静的耐久性(官能観察) 

 漏水の有無,時期,場所 

ストーマ袋の負荷静的耐久性(官能観察) 

 漏水の有無 

二品系の負荷静的耐久性(官能観察) 

 漏水の有無,時期,場所 

接皮側の一般粘着特性 

  

180度引きはがし粘着力 

N/cm {gf/cm} 少数点以下2けた{整数

位} 

保持力(ずれ長さ) 

mm 小数点以下1けた 

(落下時間) 

min 整数位 

傾斜式ボールタック 

 整数位 

三橋法 

N {gf} 小数点以下1けた{整数

10位} 

防臭性 

透過度 mol/m2・s・Pa {cm3/cm2・24h・atm} 

有効数字3けた 

透過係数 mol・m/m2・s・Pa {cm3・cm/cm2・s・cmHg} 

有効数字3けた 

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3.2.4 

記録 試験成績には,用いた条件を記録しなければならない。 

3.3 

ストーマ袋の試験容量測定方法 

3.3.1 

装置 試験装置の例を,図1に示す。設置板の作成及びその表面の清浄方法は,次によって行う。 

(1) 設置板は,JIS K 6718の一般用又はJIS K 6735の一般用に規定する厚さ5mm,幅25cm,長さ40cm

の板を用いる。 

(2) 設置板は,上端から13cmの位置,幅方向中央に直径10mmの流入孔をもつ。3方向バルブを介して

内径10mmの柔軟なチューブを接続する。設置板は垂直に保持し,流入孔の中心を通って水平に細線

を引く[図1(2)参照]。 

(3) 設置板の表面にエタノール(1)を塗り,新しいガーゼなど(2)で設置板の表面をふく。乾いてから再度エ

タノールでふき,更に新しいガーゼなどで乾燥するまでよくふく。その結果目視によって清浄になっ

たとみられるまで,この操作を3回以上繰り返して行う。 

なお,使用に当たっては,次の事項に注意する。 

(a) 設置板表面の汚染が消えない場合は,使用しないこと。 

(b) 設置板表面の清浄化操作は,試験の都度行うこと。 

注(1) 試薬用のものを用いる。 

(2) 使用中に繊維が切れたり,短繊維などの脱離しないもので,エタノール(1)に可溶な添加物を含

まないものを用いる。 

図1 ストーマ袋の試験容量測定装置 

3.3.2 

準備 

(1) 試料の準備 試料の準備は,次による。 

(a) 接皮側に直径10mm以上のストーマ孔があけられていないストーマ装具については,接皮側中央に

直径10mmのストーマ孔をあける。 

(b) 二品系ストーマ装具は,製造業者又は販売業者が推薦する方法で接合し装着する。 

(c) 非粘着式ストーマ装具の場合は,メチレンブルーで着色した試験水の流入によって液漏れを起こさ

ないようにするため,接着剤又は両面粘着テープを使用する。 

(d) 下部開放式ストーマ袋をもつストーマ装具の場合は,製造業者又は販売業者が推薦する方法によっ

て密閉する。ただし,密閉される位置は,装具下端から3±0.5cmでなければならない。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(e) ストーマ装具に含まれる空気はすべて排出する。ただし,成形品部分など通常の使用方法で保留さ

れている空気は排出しなくてよい。 

(f) 排気口のある場合は,その部分を粘着テープなどによって試験水の漏れが起こらないように密閉す

る。 

(2) 試料の装着 ストーマ装具は,接皮側のストーマ孔の中心を通って水平に細線を引く。この細線と設

置板の細線が重なるように,また接皮側のストーマ孔と設置板の流入孔が同心円状になるように装着

する。 

3.3.3 

操作 

(1) ストーマ装具の設置された設置板を±1gの精度でひょう量する。 

(2) 柔軟性チューブから試験水を25±5ml/秒の流速で注入する。 

(a) 逆流防止弁のないストーマ装具の場合,水面がストーマ孔の中央にくるまで注入する。 

(b) 逆流防止弁のあるストーマ装具の場合,逆流防止弁下の貯留部を充てんし,更に逆流防止弁の上1cm

まで水面がくるよう注入する。 

(3) チューブを外し,試験水が充てんされた装具を,設置板ごと±1gの精度でひょう量する。 

(4) (3)と(1)のひょう量差から試験水の密度を1として試験容量を求める。 

3.3.4 

記録 測定結果については,次の事項を記録しなければならない。 

(1) 試料名 

(2) 測定結果 

(3) 測定年月日 

(4) その他必要とする事項 

3.4 

ストーマ袋の厚さ,寸法,色名,透明性の測定と観察 

3.4.1 

厚さ ストーマ袋の厚さ(3)の測定は,次のとおりとする。 

注(3) ここでいう厚さとは,ストーマ袋の単層を測定器具の2枚の平行円盤の間に挟んで,一定の力を

加えたときの厚さとする。 

(1) 測定の器具及び方法 測厚器は,0.001mmの目盛をもち,かつ,加圧面が平滑であって,直径5±0.01mm

の円形のものでなければならない。測厚器の加圧力は,原則として0.123 6N {125gf} とし,測定範囲

内で±15%以上変化してはならない。ダイヤルゲージを使用する場合は,JIS B 7503に規定するダイ

ヤルゲージ又はこれと同等以上の精度のものとする。 

(2) 測定箇所 厚さの測定は,ストーマ袋の単層のなるべく離れた5か所を測定し,平均値を求める。 

なお,袋が2種類以上の材料から構成されている場合は,それぞれの構成材料について測定する。 

3.4.2 

寸法 

(1) 測定器具 測定器具は,JIS B 7516による1級直尺又はこれと同等以上の精度のものとする。 

(2) 測定位置 測定位置を図2に示す。 

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図2 寸法の測定位置 

(3) 測定方法 試料を水平な板の上に静置し測定する。ただし,折込み式ストーマ袋の場合には,両側を

伸ばしたときの長さを測定する。初孔又は既製孔のあるストーマ装具については,この口径を測定す

る。 

なお,この孔が円形でない場合は,長径及び短径を測定する。 

(4) 記録 測定結果については,次の事項を記録しなければならない。 

(a) 試料名 

(b) 測定結果 

(c) 測定年月日 

(d) その他必要とする事項 

3.4.3 

色名・透明性 

(1) 観察方法 目視による。 

(2) 色名の区別 JIS Z 8102による。 

(3) 記録 観察結果については,次の事項を記録しなければならない。 

(a) 試料名 

(b) 観察結果 

(c) 観察年月日 

(d) その他必要とする事項 

3.5 

ストーマ袋の無負荷静的耐久性の試験 

3.5.1 

装置 3.3.1に規定する設置板を用いる。 

3.5.2 

準備 3.3.2による。 

3.5.3 

操作 

(1) 設置板に設置し,メチレンブルーで着色した試験水を試験容量まで充てんする。 

(2) 設置面を上側にして水平に静置する。 

(3) 17±1時間後漏れの有無を調べる。 

(4) (3)で漏れない場合,垂直に4±1時間静置する。 

(5) 漏れの有無を調べる。 

3.5.4 

記録 

(1) 漏れの有無 

(2) 漏れがあった場合,漏れの起きた操作段階と場所 

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3.6 

ストーマ袋の負荷静的耐久性の試験 

3.6.1 

装置 試験装置の例を図3に示す。本体は水平に設置された2枚の板からなる。板は試験中変形や,

たわみが生じない硬さをもち,ストーマ装具がはみ出さない十分な大きさをもつ。上部板は水平を維持し

ながら上下に可動しなければならない。 

図3 ストーマ袋の負荷静的耐久性の試験装置 

3.6.2 

操作 

(1) 上部板の質量を量る。 

(2) メチレンブルーで着色した試験水を試験容量まで充てんする。 

(3) 初孔又は既製孔のあるストーマ装具については,試験水が漏れないよう粘着テープなどで密閉する。 

(4) 下部板からはみ出さないように,試験水を充てんしたストーマ装具を設置する。 

(5) 上部板によって衝撃のないように,200±5N {20.39±0.51kgf} の力を60±5秒間加える。 

(6) 漏れの有無を調べる。 

3.6.3 

記録 

(1) 漏れの有無 

(2) 漏れがあった場合,漏れの起きた場所 

3.7 

二品系ストーマ装具のかん合式袋接合部の負荷静的耐久性の試験 

3.7.1 

装置 3.3.1のとおり。 

3.7.2 

準備 3.3.2のとおり。 

3.7.3 

操作 

(1) 設置板に設置し,メチレンブルーで着色した試験水を試験容量まで充てんする。 

(2) 設置板を垂直に静置し,袋の下部を下方向に20±1N {2.04±0.10kgf} の力で衝撃を与えないように60

秒間引っぱる。ただし,この際の力に装具及び試験水の質量は含まない。 

(3) 漏れの有無を調べる。 

(4) (3)で漏れがない場合,袋の上部を上方向に20±1N {2.04±0.10kgf} の力で衝撃を与えないように60

秒間引っぱる。 

(5) 漏れの有無を調べる。 

(6) (5)で漏れがない場合,設置面を上側にして水平に30分間静置する。 

(7) 漏れの有無を調べる。 

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3.7.4 

記録 

(1) 漏れの有無 

(2) 漏れがあった場合,漏れの起きた操作段階と場所 

3.8 

接皮側の一般粘着特性の試験 

3.8.1 

試料の前処理 JIS Z 0237の4.2.1(試料の前処理)による。 

3.8.2 

試験片の採取方法 試料を3.8.1の前処理条件に保持した後,各試験方法に規定の寸法及び数量の

試験片を採取する。 

3.8.3 

試験結果の数値の丸め方 JIS Z 0237の4.3(試験結果の数値の丸め方)による。 

3.8.4 

180度引きはがし粘着力 

(1) 試験片 JIS Z 0237の8.1(試験片)による。ただし,長さ250mmが採取できない場合,粘着部分が

重ならないように,継ぎ足して測定を行う。 

(2) 装置 JIS Z 0237の8.2.1(引張試験機),8.2.2(試験板)及び8.2.3(圧着装置)による。 

(3) 試験方法 JIS Z 0237の8.3.1(180度引きはがし法)による。 

3.8.5 

保持力 JIS Z 0237の11.(保持力)によって測定する。ただし,圧着回数を5回とし,力は9.807N 

{1 000gf},時間60分,測定温度は23±2℃,又は40±2℃,試験片の長さは約150mmとする。ただし,

150mmが採取できない場合は,粘着部分が重ならないように,継ぎ足して測定する。すべての条件を記録

する。 

3.8.6 

タック 傾斜式ボールタックによる。ただし,三橋法(4)を採用してもよい。 

(1) 傾斜式ボールタック JIS Z 0237の12.(傾斜式ボールタック)によって測定する。角度,鋼球径(ボ

ール番号)を記録する。ただし,長さ400mmの試験片が採取できない場合,粘着部分が重ならない

ように,継ぎ足して測定する。 

(2) 三橋法(4) 

(2.1) 試験片 試験片の寸法は,幅15〜20mm長さ100mmのものを1枚採取する。ただし,100mmが採

取できない場合,粘着部分が重ならないように,継ぎ足して測定する。測定装置の例を図4に示す。 

注(4) 三橋法とは,改良型のピックアップ式タックメーターを使用する方法をいう。 

(2.2) 操作 

(a) 接着部円盤(直径50mm,厚さ14mm,アルミニウム製)の表面をヘキサンなどの有機溶媒で清浄

し,室温で30分間乾燥させる。 

(b) 試料を両面テープで固定板にはり付ける。このとき,固定板との間に空気の混入,しわの発生がな

いように注意する。 

(c) 測定装置のスタートボタンを押し,接着部円盤を下げ,試料と接触させる。荷重0.490 3N {500gf} で

2秒間接触の後,30mm/分の速度で引き上げる。 

(d) 接着部円盤と試料が離れるときの力を読み取る。 

(e) 測定は毎回測定部位を変えて5回行い,その平均値を測定値とする。 

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図4 三橋法の測定装置の一例 

3.9 

ストーマ袋の防臭性の試験 

3.9.1 

試験方法 JIS K 7126の6.[A法(差圧法)]による。ただし,使用する気体は窒素とする。 

3.9.2 

記録 透過した窒素の透過度と透過係数を記録する。 

4. 皮膚保護剤の試験方法 

4.1 

試験項目 

(1) 寸法の測定 

(2) 表面pHの測定 

(3) 耐水性試験 

(4) 接皮側の一般粘着特性の試験 

4.2 

試験の一般条件 

4.2.1 

試験場所の標準状態 試験は,JIS Z 0237の4.1(試験場所の標準状態)に規定する温度23±2℃,

相対湿度 (65±5) %を標準とする。 

4.2.2 

試料の前処理 4.2.1の条件で,2時間以上放置する。 

4.2.3 

試験成績の丸め方 JIS Z 8401によって丸め,表2のけた数で表す。 

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4.2.4 

記録 試験成績には,用いた条件を記録しなければならない。 

表2 試験成績の丸め方 

試験項目 

求める試験成績 

寸法 

mm 整数位 

[厚さだけJIS K 6250の6.6(厚さ及び幅の測定)による。] 

表面pH 

 小数点以下1けた 

耐水性 

% 整数位 

接皮側の一般粘着特性 

  

粘着力(180度引きはがし法)N/cm {gf/cm} 小数点以下2けた{整数位} 
保持力(ずれ長さ) 

mm 小数点以下1けた 

(落下時間) 

min 整数位 

傾斜式ボールタック 

 整数位 

三橋法 

N {gf} 小数点以下1けた{整数10位} 

4.3 

寸法の測定 

4.3.1 

円盤状の場合 JIS K 6250の6.6(厚さ及び幅の測定)によって,外径,孔部径及び厚さを測定す

る。径はmm精度のスケール,厚さは0.01mm精度の測厚器を使用する。 

4.3.2 

平板状の場合 4.3.1と同じ方法で,縦,横及び厚さを測定する。 

4.4 

表面pHの測定 JIS Z 8802によって測定する。ただし,測定に用いる電極は,接皮側(粘着面)に

十分接触させるためにフラット形のものを使用する。 

4.5 

耐水性試験 

4.5.1 

質量変化の測定 JIS K 6258の4.5.2(操作方法)及び4.6.1(質量変化率及び体積変化率)によっ

て測定し計算する。ただし,試験用液体は生理食塩水とする。この測定時に皮膚保護剤が吸水し,変形又

は崩壊するために,不織布で袋を作り,これに入れて測定する。このときの袋の質量及び吸水量を測定す

る。 

なお,皮膚保護剤は片面吸水とし,3時間後と24時間後に測定する。 

4.5.2 

形状変化 

(1) 試験片 試験片は10×10cm以上の大きさをもち,中心に直径24mm以上の円形の孔をあける。これ

を1枚採取する。 

(2) 操作 

(a) 試験に用いる皮膚保護剤の中心部に直径24mmの孔をあけ,はく離ライナを取り除き,ポリエステ

ル,ポリエチレンなどのフィルムをはる。 

(b) 粘着式ストーマ袋の粘着面に,直径24mmの孔をあけ,皮膚保護剤にあけた孔と合わせて,皮膚保

護剤の非接皮側に接着面から水が漏れないようにはり付ける。 

(c) 粘着式ストーマ袋に37℃の生理食塩水を100ml注入した後,この注入口から生理食塩水が漏れない

ように密閉する。 

(d) この試験物を受け皿に入れ,37℃の恒温槽に入れ,24時間後及び48時間後における皮膚保護剤ス

トーマ孔の溶解又は膨潤の面積を図5に従い測定する。 

(e) 形状変化の値は直径24mmの円の面積に対する%で表示する。 

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図5 膨潤部及び溶解部の測定部分 

備考 

この部分の面積を測定する。 

4.6 

接皮側の一般粘着特性の試験 3.8による。 

5. ストーマ用洗腸具の試験方法 

5.1 

部品の構成 洗腸具は,次の部品から構成される。 

(1) 

洗腸液袋 

(2) 

チューブ 

(3) 

流量調節器 

(4) 

コネクタ 

(5) 

洗腸液注入部品 

(6) 

洗腸排液部品 

(7) 

流量監視器 

(8) 

面板 

(9) 

固定具 

5.2 

試験項目 この規格に規定する試験項目は,次のとおりである。 

(1) 水漏れ試験 

(2) 流量試験 

(3) 構成部品の材料安全衛生試験 

(4) 洗腸液袋の容量の測定 

(5) 寸法の測定 

(a) チューブの全長 

(b) チューブの内径 

(c) 洗腸液注入部品の長さ 

(d) 洗腸排液部品 

(e) 面板ストーマ孔の直径 

(f) 固定具の全長 

(6) 洗腸排液部品の固定強度試験 

(7) 固定具引掛け強度試験 

(8) 洗腸液注入部品の硬度試験 

5.3 

試験の一般条件 

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11 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

5.3.1 

試験場所の標準状態 試験は,JIS K 7100の2.2(標準温度状態の級別)に規定する標準温度状態

2級 (23±2℃) とする。 

5.3.2 

試料の前処理 すべての構成部品を通常の使用状態に接続し,5.3.1の状態に1時間以上放置する。 

なお,この際に,流量調節器は全開の状態とし,構成部品相互が接触しないようにする。 

5.3.3 

試験成績の丸め方 JIS Z 8401によって丸め,表3のけた数で表す。 

5.3.4 

記録 試験成績には,用いた条件を記録しなければならない。 

表3 試験成績の丸め方 

試験項目 

求める試験成績 

水漏れ(流量調節器) 

漏れの有無 

(構成部品全体) 

漏れの有無 

流量 

ml 整数位 

材料安全衛生性 

  

pH差 

 小数点以下1けた 

重金属 

 比色 

過マンガン酸カリウムの消費量 

ppm 整数位 

蒸発残留物 

ppm 整数位 

洗腸液袋容量 

l 小数点以下1けた 

寸法 (a) チューブ全長 

cm 整数位 

 (b) チューブ内径 

mm 小数点以下1けた 

 (c) 洗腸液注入部品の長さ 

mm 整数位 

 (d) 洗腸排液部品 

mm 整数位 

 (e) 面板ストーマ孔の直径 

mm 整数位 

 (f) 固定具の全長 

mm 整数位 

洗腸排液部品の固定強度 

破損の有無 

固定具の引掛け強度 

破損の有無 

洗腸液注入部品の硬度 

整数位(目盛) 

5.4 

水漏れ試験 

5.4.1 

流量調節器の水漏れ試験 洗腸液袋から洗腸液注入部品までを直線的につるした後,流量調節器を

完全に閉じて(5),37±2℃のメチレンブルーで着色した試験水を洗腸液袋に入れる。試験水の量は,洗腸液

袋の表示された最大容量の90%以上となるようにする(6)。チューブ内の空気抜きをした後30分間放置し,

試験水の流出の有無を調べる。試験水を流量調節器まで接触させるための空気抜きの方法は,次のいずれ

かとする。 

(1) 注射器を使用する方法 流量調節器上部のなるべく近いところのチューブに,注射針付きシリンジ(1

〜2mlの小さいものがよい。)を刺し,空気を抜くと同時に,刺したところより下部の流量調節器のと

ころまで試験水を送り込む。空気抜きが終わり,十分に試験水が満たされたら針を抜き,孔のあいた

部分を洗腸液袋より上まで持っていき,シアノアクリレート系接着剤で孔を埋める。 

(2) 流量調節器下部のチューブカット方法 流量調節器の下部約5cmのところでチューブを切り,一度流

量調節器をあけて試験水を流し,空気抜きを十分に行う。流量調節器を完全に閉じ,流量調節器より

下部に試験水が残らぬよう,綿棒などを用いてふき取る。 

注(5) 流量調節器の位置を移動できるものでは,洗腸液注入部品の先端から約30cmのところに固定す

る。 

(6) 試験水は1l又は2lのメスシリンダーで計量する。 

5.4.2 

構成部品全体の水漏れ試験 

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T 9233-1997  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(1) 試験用具 洗腸液注入部品の試験水の出口を遮断するためのゴム栓と,試験水を流出させたときの受

け具としての水捕集用容器を用意する。 

(2) 試験操作 流量調節器をあけ,約100mlの試験水を流出させて空気抜きを行い,全体が水に接触して

いる状態とした後,洗腸液注入部品の試験水の出口にゴム栓をして流出を完全に止める。直線状につ

るして30分間放置し,試験水の漏れの有無を調べる。 

5.5 

流量試験 

5.5.1 

試験用具 0.1秒が計測可能な時計,水捕集用容器及びメスシリンダー (500ml) を用いる。 

5.5.2 

試験操作 

(1) 流量調節器を完全に閉じた状態で,洗腸液袋に表示された最大容量の水を入れた後,図6のように,

洗腸液袋の下端のチューブ接続部から,洗腸液注入部品の先端までの高低差を60±5cmになるように

する。このとき,チューブが折れ曲がって,チューブ内径が小さくならないように固定する。また,

流量測定中に,洗腸液袋から洗腸液注入部品までのすべての構成部品が動かぬように固定する。 

(2) 水捕集用の容器を洗腸液注入部品の下に置き,流量調節器を全開にして若干の水が流出した時点で洗

腸液注入部品の水の出口を指で押さえる(7)。このとき,チューブから洗腸液注入部品まで水がいきわ

たっている状態とする。 

(3) 水捕集用の容器を空にして,計時開始と同時に指を放して水を流出させる。30秒経過後流出を止め,

その時の流量を500mlメスシリンダーを用いて測定する。 

注(7) このときの洗腸液袋の水の量は,表示された最大容量の90%以上となるようにする。 

図6 流量試験のレイアウト 

5.6 

構成部品の材料安全衛生試験 

5.6.1 

pH差 厚生省告示第301号のV.(2).ア(外観及びpH)による。 

5.6.2 

重金属 厚生省告示第301号のV.(2).イ(重金属)による。 

5.6.3 

過マンガン酸カリウムの消費量 厚生省告示第301号のV.(2).ウ(過マンガン酸カリウム還元性物

質)による。 

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T 9233-1997  

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5.6.4 

蒸発残留物 厚生省告示第301号のV.(2).エ(蒸発残留分)による。 

5.7 

洗腸液袋の容量測定 流量調節器を完全に閉じた後,洗腸液袋をつり下げ,洗腸液袋に表示されて

いる最大容量の目盛まで水を入れる。洗腸液袋に入った水の量を500mlのメスシリンダーを用いて測定す

る。水位は目盛の中心とする。 

5.8 

寸法の測定 

5.8.1 

チューブの全長 洗腸液袋の下端のチューブ接続部から洗腸液注入部品先端までの寸法を測定す

る。 

5.8.2 

チューブの内径 チューブの内径を任意の位置でノギスを用いて測定する。 

5.8.3 

洗腸液注入部品の長さ 洗腸液注入部品の直径30mmのところの位置から,洗腸液注入部品先端ま

での長さを定規によって測定する。直径30mmの孔のあいたプレートに洗腸液注入部品を差し込み,その

位置からの長さとする。 

5.8.4 

洗腸排液部品 全長,ストーマ孔の中心から下端までの長さ,最上部及び最下部の全幅(折り込み

がある場合,広げた状態での全幅)を定規で測定する。 

5.8.5 

面板 ストーマ孔の直径を定規で測定する。 

5.8.6 

固定具 無荷重状態での引掛け具間の全長,29.4N {3kgf} の力を加えたときの全長を定規で測定す

る。長さ調節のできる固定具は,最大の長さのときと最小の長さのときの両方を測定する。 

5.9 

洗腸排液部品の固定強度試験 洗腸排液部品と,面板をはめ合わせ式又は粘着剤式で接合した後,

面板を直角に固定し,洗腸液排出部品の面板より下部の位置に,9.8N {1kgf} の力を加える。30分間放置

後,接合部の異常の有無を調べる。 

5.10 固定具の引掛け強度試験 固定具の引掛け具を面板側の引掛け具に固定し,固定具の引掛け具のと

ころに49N {5kgf} の力を掛ける。30分間放置後,異常の有無を調べる。 

5.11 洗腸液注入部の硬度試験 JIS K 6253の5.(デュロメータ硬さ試験)における,タイプAデュロメ

ータを用いて測定する。 

備考 硬度測定の試験片の厚さは,6mm以上が望ましい。それ以内の場合は,積み重ねて6mm以上

にして測定する。 

また,試験片は,デュロメータの加圧面に密着できる大きさ,平滑な表面をもっていなけれ

ばならない。 

関連法規及び関連規格 厚生省告示第301号 ディスポーザブル輸血セット及び輸液セット基準 

BS 7127 Ostomy Collection Bags 

NF S 90-631 Ostomy Collection Bags 

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T 9233-1997  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

JIS T 9233 原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

穴 澤 貞 夫 

東京慈恵会医科大学 

(試験法小委員会委員長) 

沖 倉 元 治 

ラテックス技術コンサルタント 

久 保 善 規 

アルケア株式会社 

新 島 邦 雄 

元 中央ラテックス技術研究会 

吉 川 隆 造 

アルケア株式会社 

(用語小委員会委員長) 

進 藤 勝 久 

近畿大学医学部 

石 川 眞里子 

東京都狛江保健相談所 

大 村 裕 子 

東京オストミーセンター 

尾 崎 晴 美 

東邦薬品株式会社 

加 藤 知 行 

愛知県がんセンター 

河 合 恒 雄 

癌研究会付属病院 

斉 藤 敏 夫 

ブリストル・マイヤーズ・スクイブ株式会社 

田 沢 賢 次 

富山医科薬科大学 

星 野 宏 光 

コロプラスト株式会社 

松 本 恵 一 

昭和大学藤が丘病院 

古 市 正 敏 

通商産業省工業技術院標準部 

加 山 英 男 

財団法人日本規格協会 

(事務局) 

木 村 嘉四郎 

社団法人日本リハビリテーション医学会