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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

T 9222-1995 

手継手 

Wrist units 

1. 適用範囲 この規格は,重作業用を除く成人用面摩擦式手継手(以下,手継手という。)について規定

する。 

備考1. この規格の引用規格を,次に示す。 

JIS B 0205 メートル並目ねじ 

JIS B 0207 メートル細目ねじ 

JIS G 4303 ステンレス鋼棒 

JIS T 9217 能動フック 

2. この規格の中で{ }を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであって参

考として併記したものである。 

2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次による。 

なお,手継手の部品名称は,付図1による。 

(1) 最小トルク値 (Tmin)  手継手をしっかり締めた状態で,フックが回旋し始めるのに要する力に,手継

手中心からフックの制御レバー作動中心までの距離を掛けた値。 

(2) 最大トルク値 (Tmax)  手継手を締める方向に140度回旋させた状態で,フックが回旋し始めるのに要

する力に,手継手中心からフックの制御レバー作動中心までの距離を掛けた値。 

3. 種類及び記号 種類及び記号は,本体の材料によって表1のとおりとする。 

表1 種類及び記号 

種類 

記号 

備考 

アルミニウム合金 

Al 

アルミニウム合金の手継手 

ステンレススチール 

SS 

ステンレス鋼の手継手 

プラスチック 

プラスチック製の手継手 

4. 性能 

4.1 

一般条件 手継手は,手先具を容易にねじ込むことができ,必要な許容角度の範囲で手先具を回旋

し,しっかり手先具を固定しなければならない。 

4.2 

静的強度及び耐久性 静的強度及び耐久性は,8.の試験を行ったとき,表2の性能を満足しなければ

ならない。 

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T 9222-1995  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表2 静的強度及び耐久性 

項目 

性能 

試験方法 

引張強度 

1 000N {100kgf} 以上であること。 

8.2 

トルク値 

最大トルク値 (Tmax) は,最小トルク値 (Tmin) の6倍以
下であること。 

8.3 

耐久性 

0度位置での最小トルクの減少率が20%以内であるこ
と。時計回り方向に140度回旋させた位置でのトルク値
が,初期最大トルク値の±50%にあること。 

8.4 

5. 寸法及び質量 

5.1 

手継手の厚さ及び直径 手継手は,厚さ (d) 及び直径 (R) によって区分し,表3のとおりとする。 

表3 手継手の厚さ及び直径 

単位 mm 

区分 

厚さ d 

直径 R 

大 (L) 

35以下 

46以上50未満 

小 (S) 

46未満 

5.2 

質量 手継手の質量は,Alは85g以下,SSは140g以下とする。 

5.3 

取付けねじ 手継手の取付けねじは,JIS B 0207に規定するメートル細目ねじで,M12×1.5,長さ

10mm以上とする。 

また,その材料は,JIS G 4303のSUS 304又はこれと同等の強度をもつものを用いること。 

6. 外観 手継手の外観は,次のとおりとする。 

(1) 手継手の表面に,著しいきず,さび及び汚れがあってはならない。 

(2) 手継手の本体には,プラスチック製義手前腕部との接着性をよくするために,ローレット加工を行わ

なければならない。 

なお,ローレット駒は,22山又は24山を使用すること。 

7. 部品 手継手の部品に使用する材料は,人体に対して無害であって,不快な臭気がなく,また,耐食

性,耐湿性及び耐候性があって,次の各号を満足しなければならない。 

(1) ゴム ゴムの組成は均一で,その使用箇所に十分耐えること。 

(2) ねじ ねじは,原則としてJIS B 0205又はJIS B 0207に規定するメートル並目ねじ又はメートル細目

ねじを用いること。 

(3) その他の部品 金属材料,プラスチックなどの材料を用いる部品は,その使用箇所に耐えるものであ

ること。 

8. 試験 

8.1 

試験場所の状態 試験場所の状態は,温度状態20±10℃,湿度状態65±30%の室内とする。 

8.2 

引張強度試験 引張強度試験(1)は,手継手を鉛直方向に固定し,図1のように1 000N {100kgf} の引

張力を加え,インサート部と本体の間に緩みがないかどうかを調べる。 

注(1) プラスチック製 (P) だけに適応する。 

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T 9222-1995  

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図1 引張強度試験方法 

8.3 

トルク測定試験 手継手のトルク値は,次によって測定する。 

(1) 手継手にJIS T 9217に規定する能動フックをしっかりねじ込み,フックの先端のつまみ力が

15N{1.5kgf} になるようにゴムバンドの強さを調節する。 

(2) フックの制御レバーに取り付けたコントロールケーブルを,フックの開閉が最も効率のよい方向に引

っ張り,フックの先端を開かせるのに必要な最小力 (Fm) を設定する(図2参照)。 

図2 フックを開くための最小力 (Fm) の測定方法 

(3) フックを真下に向けた状態に置き,コントロールケーブルに引張力 (Fm) を図2のP2の方向に加えて

もフックが回旋しない箇所まで手継手にフックをねじ込む。 

(4) プッシュ・プルゲージを用いて,コントロールケーブルをフックの中心軸に対して直角に緩める方向

に引っ張る(図3参照)。フックが回旋し始めるのに必要な力 (F) を5回求め,その平均値 (Fa) に手

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T 9222-1995  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

継手の中心からフックの制御レバー作動中心までの距離 (l) を掛けた値を手継手の最小トルク値 

(Tmin) とする。 

図3 最小トルクの測定方法 

(5) 次に,手継手を締める方向にフックを140度回旋させた状態で,(4)と同じ方法で手継手の最大トルク

値 (Tmax) を求める。 

8.4 

耐久性試験 手継手を140度の範囲で連続往復回旋運動を行わせる試験装置を用い,手継手の耐久

性を調べる。装置の一例を図4に示す。 

図4 手継手試験装置 

(1) 手継手に,フックに対応するジグ(M12×1.5,長さ10mmのねじ部をもつJIS G 4303のSUS 304に相

当するステンレス鋼棒)を8.3(4)に規定する最小トルク値を加えてしっかりねじ込み,試験機の0度

位置にセットする。この際,ねじ部に機械油などの潤滑剤を使用してはならない。 

(2) ジグを,手継手の最小トルク位置から140度時計回り方向に回旋させ,続いて元の角度まで反時計回

り方向に反転させる。 

(3) 手継手の140度往復回旋運動を毎分20回の速度で行わせ,5 000回に達するまで試験を行う。 

(4) 試験が終了した後に,8.3(4)及び8.3(5)に規定する方法によって,最小トルク値及び最大トルク値を測

定する。 

9. 検査 

9.1 

抜取検査 抜取検査は,性能,寸法及び質量について行い,4.及び5.の規定に適合しなければならな

い。 

なお,この場合の抜取方法は,受渡当事者間の協定による。 

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T 9222-1995  

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9.2 

全数検査 全数検査は,外観について目視によって行い,6.の規定に適合しなければならない。 

10. 包装 包装に使用する材料は,防水,防食効果のあるものとし,手継手を運搬中及び保存中に損傷し

ないように包装しなければならない。 

11. 製品の呼び方 製品の呼び方は,規格名称,種類及び区分による。 

12. 表示 

12.1 製品の表示 手継手には,見やすい箇所に,容易に消えない方法で,次の事項を表示しなければな

らない。 

(1) 義肢部品製造業者名又はその略号 

(2) 製造年月又はその略号 

12.2 包装の表示 包装には,次の事項を表示しなければならない。 

(1) 規格名称 

(2) 種類 

(3) 手継手の厚さ及び直径による区分 

(4) JIS B 0205及びJIS B 0207に規定するメートル並目ねじ及びメートル細目ねじ以外のねじを用いた場

合は,ねじ山の径とピッチ 

(5) 義肢部品製造業者名又はその略号 

(6) 製造年月又はその略号 

T 9222-1995  

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関連規格 JIS T 0101 福祉関連機器用語[義肢・装具部門] 

JIS Z 8203 国際単位系 (SI) 及びその使い方 

手継手JIS原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

加倉井 周 一 

帝京大学医学部 

青 山   孝 

労働福祉事業団労災リハビリテーション工学センター 

秋 山 昌 英 

株式会社小原工業 

川 村 一 郎 

社団法人日本義肢協会 

久 保   茂 

東京都補装具研究所 

佐 藤 政 義 

有限会社佐藤製作所 

鋤 園 栄 一 

日本義肢装具技術者協会 

数 藤 康 雄 

国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所 

浅 井 一 郎 

株式会社近畿義肢製作所 

中 島 咲 哉 

兵庫県リハビリテーションセンター附属中央病院 

浜 田 哲 夫 

株式会社啓愛義肢装具材料販売所 

河 野 康 徳 

厚生省社会局 

岡 山   茂 

労働省労働基準局 

中 田 哲 雄 

通商産業省機械情報産業局 

平 野 隆 之 

工業技術院標準部 

斉 藤 真 人 

工業技術院総務部