2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
T 9216-1991
金属製下肢装具用ひざ(膝)継手
Metallic knee joints for lower extremity orthoses
1. 適用範囲 この規格は,金属製下肢装具用ひざ(膝)継手(ロック付き)(以下,ひざ継手という。)
について規定する。
備考1. この規格の引用規格を,次に示す。
JIS B 0205 メートル並目ねじ
JIS B 0207 メートル細目ねじ
2. この規格の中で{ }を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであって,
参考として併記したものである。
2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次のとおりとする。
(1) 継手部 ひざ継手のうち支柱を除いた部分。
(2) 大たい(腿)支柱 人体の大たい部に取り付ける支柱。
(3) 下たい(腿)支柱 人体の下たい部に取り付ける支柱。
(4) リングロック式 大たい支柱と下たい支柱が重なっている部分にリングをはめて,両者を完全に固定
する方式のひざ継手(付図1参照)。
(5) レバーロック式 レバーの先端部のつめで,大たい支柱と下たい支柱を完全に固定する方式のひざ継
手(付図2参照)。
(6) プランジャーロック式 大たい支柱に取り付けたロッドを下たい支柱の溝に挿入することによって,
両者を完全に固定する方式のひざ継手(付図3参照)。
3. 種類及び記号 種類及び記号は,表1のとおりとする。
表1 種類及び記号
種類
支柱材料
記号
リングロック式
鋼系
SR
軽合金系
ALR
レバーロック式
鋼系
SL
軽合金系
ALL
プランジャーロック式 鋼系
SP
軽合金系
ALP
4. 性能 性能は次のとおりとする。ただし,プランジャーロック式は,ロック機構のある側についてだ
け適用する。
(1) 一般条件 継手部のロックを外してひざ継手を屈曲・伸展させた場合,滑らかに作動し,その間異常
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音を生じてはならない。
また,完全伸展時に,ロック機構は滑らかに作動しなければならない。
(2) 継手部の初期遊び(がた)量 継手部の初期遊び(がた)量は,9.1によって測定したとき,0.2 mm
以下でなければならない。
(3) 静的強度 ひざ継手は,9.2によって試験したとき,大きな遊び(がた),永久変形,破損などの著し
い異常があってはならない。
(4) 耐久性 ひざ継手は,9.3で規定する方法によって試験した後,次の規定を満足しなければならない。
(a) 大きな遊び(がた),永久変形,破損などの著しい異常があってはならない。
(b) 9.1によって測定したとき,遊び(がた)量の差が0.2 mm以下でなければならない。
(c) ひざ継手を屈伸させたとき,異常音を生じてはならない。
5. 形状・寸法
5.1
支柱の幅と厚さ 支柱の幅 (w) と厚さ (t) は,図1及び表2の斜線部のとおりとする。
なお,寸法許容差は±0.3 mmとする。
図1 支柱の幅と厚さ
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表2 支柱の幅と厚さ
5.2
支柱の長さ 大たい支柱の長さl1及び下たい支柱の長さl2は,300mm以上とする。
5.3
継手部の厚さ 継手部の厚さは,17mm以下とする。
5.4
質量 一対のひざ継手の質量は,表3のとおりとする。
表3 質量
単位 kg
記号
質量
SR, SL, SP
ALR, ALL, ALP
1.4以下
0.9以下
6. 外観 ひざ継手の表面は滑らかで,傷,さび,鋭い突起や縁があってはならない。
7. 材料
7.1
金属材料 金属材料は,使用上必要な機械的性質をもち,耐食性のある材料又はさび止め処理を施
したものとする。
7.2
ねじ ねじは,原則としてJIS B 0205及びJIS B 0207に規定するメートル並目ねじ及びメートル細
目ねじとする。
8. 試験場所の状態 試験場所の状態は,温度状態20±10℃,湿度状態65±30%の室内とする。
9. 試験方法
9.1
継手部の遊び(がた)量の測定方法 ひざ継手の大たい支柱を固定し,下たい支柱の矢状面内の屈
曲・伸展方向に引張力を加え,変位量と引張力を検出できる装置を用いて行う。装置の一例を図2に示す。
継手部を完全に固定し,継手部の中心から100mm離れた下たい支柱の一点に1N {100gf} の引張力を屈
曲・伸展方向に作用させ,継手部の中心から50mm離れた下たい支柱の一点の変位量を測定する。
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図2 継手部の遊び(がた)量の測定方法
9.2
静的曲げ試験方法 ひざ継手の静的強度を調べるために,集中荷重を徐々に加えることのできる三
点曲げ試験装置を用いて,矢状面と前額面について行う。試験条件は次のとおりとする。
(1) ひざ継手を完全にロックする。
(2) 負荷の方向と大きさは,表4のとおりとする。
表4 負荷の方向と大きさ
負荷の方向
負荷の大きさ
N {kgf}
備考
矢状面内屈曲方向
前額面内内側方向
(鼓ねじヘッド側から)
1 000 { 100}
250 { 25}
図3(1)
図3(2)
図3 負荷の方向
(3) 支えから継手部の中心までの距離lは100 mmとする。
備考 支えと押し金具の軸は,互いに平行とする。
(4) 押し金具の先端部と支えは円筒面の形状とし,円筒面の半径 (r1, r2) は10mm以上,幅は支柱の幅よ
り大きいものとする。
(5) 負荷は所定の大きさまで徐々に加え,その後徐々に除荷する。
9.3
耐久試験法
(1) 試験装置 継手部と支柱の耐久性を調べるため,立脚期のひざ継手に加わる垂直圧縮力・曲げモー
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メント・ねじりモーメントと同等の負荷を与えることができる装置を用いて行う。装置の一例を図4
に示す。
図4 試験装置(一例)
(2) 試験条件試験条件は,次のとおりとする。
(a) ひざ継手を完全にロックする。
(b) 負荷は表5のとおりとする。
表5 負荷
垂直圧縮力
ねじりモーメント
曲げモーメント
400N {40kgf}
10Nm {1kgm}
50Nm {5kgm}
(c) ひざ継手は,大たい支柱・下たい支柱とも長さ150mmのところにチャックを取り付ける(1)。この
とき,継手軸と上下チャックの軸は平行であること。
注(1) チャック部には,例えばスリーブなどを入れ応力集中が生じないように十分注意する。
(d) 繰返し周期は,0.3〜0.5秒(繰返し周波数2.0〜3.3Hz)とする。
(e) 繰返し試験回数は,10万回とする。
10. 検査
10.1 抜取検査 抜取検査は,性能及び形状・寸法について5.及び9.によって行い,4.及び5.の規定に適合
しなければならない。
なお,この場合の抜取方式及び合否判定方式は,受渡当事者間の協定による。
10.2 全数検査 全数検査は,外観について目視によって行い,6.の規定に適合しなければならない。
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11. 包装 防水・防食効果のあるものとし,運搬中及び保存中に損傷しないように包装しなければならな
い。
また,次の事項を記入した表示を入れなければならない。
(1) 規格名称
(2) 種類又は記号若しくはその略号
(3) 寸法(支柱の幅,厚さ及び長さ)
(4) 左右の別(2)
注(2) プランジャーロック式だけに適用する。
(5) JIS B 0205及びJIS B 0207に規定するメートル並目ねじ及びメートル細目ねじ以外のねじ部品を用い
た場合は,ねじの径とピッチ
(6) 製造年月(装具部品製造業者名)又はその略号
(7) 装具部品製造業者名又はその略号
12. 製品の呼び方 製品の呼び方は,規格名称,種類,寸法及び左右の別(2)とする。
13. 表示 ひざ継手には,見やすい箇所に容易に消えない方法で,次の事項を表示しなければならない。
(1) 製造年月(装具部品製造業者名)又はその略号
(2) 装具部品製造業者名又はその略号
付図1 リングロック式
付図2 レバーロック式
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付図3 プランジャーロック式
関連規格 JIS T 0101 福祉関連機器用語[義肢・装具部門]
医療安全用具部会 義肢装具専門委員会 構成表(昭和61年8月1日制定のとき)
氏名
所属
(委員会長)
加倉井 周 一
東京都補装具研究所
井 口 信 洋
早稲田大学理工学部
太 田 健一郎
工業技術院標準部
土 屋 和 夫
日本リハビリテーション医学会(労働福祉事業団労災リハビ
リテーション工学センター)
初 山 泰 弘
厚生省国立身体障害者リハビリテーションセンター
松 村 秩
社団法人日本理学療法士協会(東京都養育院附属医院)
小 原 正次郎
小原工業所
亀 井 守 弘
株式会社啓愛義肢材料販売所
川 村 一 郎
川村義肢株式会社
田 澤 宗 吉
社団法人日本義肢協会(株式会社田沢製作所)
(事務局)
中 谷 節 男
工業技術院標準部電気・情報規格課
釜 土 祐 一
工業技術院標準部電気・情報規格課
(事務局)
柾 谷 栄 吾
工業技術院標準部電気規格課(平成3年8月1日改正のとき)
金 地 隆 志
工業技術院標準部電気規格課(平成3年8月1日改正のとき)