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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

T 9214-1991 

金属製下肢装具用足継手 

Metallic ankle joints for lower extremity orthoses 

1. 適用範囲 この規格は,金属製下肢装具用足継手(以下,足継手という。)について規定する。 

備考1. この規格の引用規格を,次に示す。 

JIS B 0205 メートル並目ねじ 

JIS B 0207 メートル細目ねじ 

JIS B 1501 玉軸受用鋼球 

JIS B 2702 熱間成形コイルばね 

JIS B 2707 冷間成形圧縮コイルばね 

JIS T 9215 金属製下肢装具用あぶみ 

2. この規格の中で{ }を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであって,

参考として併記したものである。 

2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次のとおりとする。 

なお,各部の名称は,付図による。 

(1) 継手部 足継手のうち支柱とあぶみを除いた部分。 

(2) 制御ばね 足継手(1方向ばね制御付き),足継手(2方向ばね制御付き)に使用する足関節の底屈又

は背屈制御用コイルばね。 

(3) 鋼球 足継手(1方向ばね制御付き),足継手(2方向ばね制御付き)の制御ばねと共に使用する玉軸

受用鋼球。 

(4) 一体形 継手部と支柱が一体構造の足継手。 

(5) 分離形 継手部と支柱が分離できる足継手。 

3. 種類及び記号 種類及び記号は,表1のとおりとする。 

表1 種類及び記号 

種類 

構造 

記号 

備考 

遊動足継手 

一体形 

FI 

付図1参照 

分離形 

FS 

− 

足継手(1方向ばね制御付き) 

一体形 

SI 

付図2参照 

分離形 

SS 

− 

足継手(2方向ばね制御付き) 

一体形 

DI 

− 

分離形 

DS 

付図3参照 

4. 性能 

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T 9214-1991  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

4.1 

静的強度 足継手は,9.2によって試験したとき,破損,永久変形,動作不良などの異常があっては

ならない。 

4.2 

耐久性 

4.2.1 

可動域内耐久性 

(1) 足継手は,9.3によって試験したとき,破損,永久変形,動作不良などの異常があってはならない。 

(2) 足継手は,9.3の試験前と試験終了時に,9.5及び9.6によって測定した遊び(がた)量の差が,1.0mm

以下でなければならない。 

4.2.2 

可動制限部耐久性 

(1) 足継手は9.4によって試験したとき,破損,変形,動作不良などの異常があってはならない。 

(2) 足継手は9.4の試験終了時に,9.7によって測定した可動域の差が,1.5mm以下でなければならない。 

4.3 

異常音 9.3及び9.4の試験終了時に,足継手を屈伸させたとき,異常音を生じてはならない。 

5. 形状・寸法 

5.1 

支柱の幅と厚さ 支柱の幅 (w) と厚さ (t) は,図1及び表2の斜線部のとおりとする。 

なお,寸法許容差は±0.3mmとする。 

図1 支柱の幅と厚さ 

表2 支柱の幅と厚さ 

5.2 

支柱の長さ 支柱の長さは,350mm以上でなければならない。ただし,表2の太枠内については,

300mm以上とする。 

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T 9214-1991  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

5.3 

継手部の厚さ 継手部の厚さは,15mm以下とする。 

5.4 

割の幅 継手部の割の幅は,2.5

0.1
0

mm, 3.0

0.1
0

mm, 3.5

0.1
0

mm, 4.0

0.1
0

mmのいずれかとする。 

5.5 

軸の径 軸の径は,6.0

00.05

mm, 7.0

00.05

mm, 8.0

00.05

mmのいずれかとする。 

5.6 

鋼球の直径 足継手(1方向ばね制御付き),足継手(2方向ばね制御付き)に用いる鋼球の直径は,

4mm, 5mm, 6mmのいずれかとする。 

5.7 

質量 足継手のあぶみを除き一対の質量は,表3のとおりとする。 

表3 質量 

単位 kg 

支柱材料 

継手部材料 

質量 

軽合金系 

軽合金系 

0.3以下 

軽合金系 

鋼系 

0.5以下 

鋼系 

鋼系 

0.8以下 

6. 外観 足継手の表面は滑らかで,傷,さび,鋭い突起・縁があってはならない。 

7. 材料 

7.1 

金属材料 金属材料は,使用上必要な機械的性質をもち,耐食性のある材料又はさび止め処理を施

したものとする。 

7.2 

鋼球 足継手(1方向ばね制御付き及び2方向ばね制御付き)に用いる鋼球は,JIS B 1501に規定す

る玉軸受用鋼球とする。 

7.3 

制御ばね 足継手(1方向ばね制御付き及び2方向ばね制御付き)に用いる制御ばねは,JIS B 2702

又はJIS B 2707に規定する熱間成形コイルばね又は冷間成形圧縮コイルばねとする。 

7.4 

ねじ ねじは,原則としてJIS B 0205及びJIS B 0207に規定するメートル並目ねじ及びメートル細

目ねじとする。 

8. 試験場所の状態 試験場所の状態は,温度状態20±10℃,湿度状態65±30%の室内とする。 

9. 試験方法 

9.1 

一般条件 足継手の試験及び測定は,JIS T 9215に規定する各々の足継手部に適合するあぶみ(1)と

組み合わせて行う。 

注(1) A形を使う場合は,適当な長さに切断して使用する。 

9.2 

静的曲げ試験方法 足継手の静的強度を調べるために,集中荷重を徐々に加えることのできる三点

曲げ試験装置を用いて矢状面と前額面について行う。試験条件は,次のとおりとする。 

(1) 遊動足継手は,屈曲・伸展がほとんどできない状態で試験する。 

(2) 足継手(2方向ばね制御付き)は,制御ばねと鋼球を鋼球の直径に等しい磨き鋼棒に代え,ばね調節

ねじの先端を平面に加工し,屈曲・伸展が生じない状態で試験する。 

(3) 負荷の方向と大きさは,表4のとおりとする。 

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表4 負荷の方向と大きさ 

種類 

負荷の方向 

負荷の大きさ 

N {kgf} 

備考 

遊動足継手 

矢状面内屈曲又は伸展方向 

1 000 {100} 

図2(1) 

足継手(1方向ばね制御付き) 矢状面内ばね制御のない方向 
足継手(2方向ばね制御付き) 矢状面内屈曲又は伸展方向 
遊動足継手 
足継手(1方向ばね制御付き) 
足継手(2方向ばね制御付き) 

前額面内内側方向(鼓ねじのヘッド側から) 

200 {20} 

図2(2) 

図2 負荷の方向 

(4) 負荷は所定の大きさまで徐々に加え,その後徐々に除荷する。 

(5) 支えから足継手軸中心までの距離lは100mmとする。 

備考 支えと押し金具の軸は,互いに平行であること。 

(6) 押し金具の先端部と支えは円筒面の形状とし,円筒面の半径 (r1, r2) は10mm以上,幅は支柱の幅よ

り大きいものとする。 

9.3 

可動域内耐久試験方法 足継手の可動部における遊び(がた)の発生を調べるために,可動域内で

継手の屈伸繰返し試験を行う。試験に用いる装置の一例を図3に示す。試験条件は次のとおりとする。 

(1) 足継手の可動域が10度になるように,あらかじめあぶみを加工する。 

(2) 繰返し試験中に垂直負荷及びねじり負荷が作用しないように配慮する。 

(3) 繰返し周期は,0.3〜0.5秒(繰返し周波数2.0〜3.3Hz)とする。 

(4) 繰返し試験回数は,10万回とする。 

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図3 試験装置(一例) 

9.4 

可動制限部耐久試験方法 遊動足継手の可動制限部(ストッパ)の衝撃によるつぶれなどを調べる

ために,可動制御部の繰返し衝撃試験を行う。試験に用いる装置の一例を図3に示す。試験条件は,次の

とおりとする。 

(1) 遊動足継手の可動域が±3度になるように,あらかじめあぶみを加工する。 

(2) 繰返し試験中に,垂直負荷及びねじり負荷が作用しないように配慮する。 

(3) 可動制限部に作用する最大衝撃応力が,約50N/mm2 {5kgf/mm2} になるように調整する。 

(4) 繰返し周期は0.3〜0.5秒(繰返し周波数2.0〜3.3Hz)とする。 

(5) 繰返し試験回数は,10万回とする。 

9.5 

継手軸方向の遊び(がた)量の測定方法 図4に示すように足継手軸中心から上方100mmの位置で

支柱をしっかり固定し,足継手軸中心から下方100mmの位置であぶみを外側方向に1N {100gf} の力で引

っ張り,足継手軸中心から下方50mmの位置にあるダイヤルゲージの数値を読み取る。次に内側に同様の

方法で引っ張り,ダイヤルゲージの数値を読み取り,変位量を測定する。 

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図4 継手軸方向の遊び(がた)量の測定方法 

9.6 

継手軸と直角方向の遊び(がた)量の測定方法 図5に示すように支柱をしっかり固定し,あぶみ

へ2N {200gf} の力を重力方向及び逆方向へ負荷したときのダイヤルゲージの数値を読み取り,変位量を

測定する。 

図5 継手軸と直角方向の遊び(がた)量の測定方法 

9.7 

継手軸可動方向の遊び(がた)量の測定方法 図6に示すように足継手軸中心から上方100mmの位

置で支柱をしっかり固定し,足継手軸中心から下方100mmの位置であぶみを屈曲・伸展方向に分銅,プ

ーリ及び軟らかいひもを用いて1N {100gf} の力で引っ張り,足継手軸中心から下方50mmの位置にある

ダイヤルゲージの数値を読み取り,変位量を測定する。 

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図6 継手軸可動方向の遊び(がた)量の測定方法 

10. 検査 

10.1 抜取検査 抜取検査は,性能及び形状・寸法について5.及び9.によって行い,4.及び5.の規定に適合

しなければならない。 

なお,この場合の抜取方式及び合否判定方式は,受渡当事者間の協定による。 

10.2 全数検査 全数検査は外観について目視によって行い,6.の規定に適合しなければならない。 

11. 包装 防水・防食効果のあるものとし,運搬中及び保存中に損傷しないように包装しなければならな

い。 

また,次の事項を記入した表示を入れなければならない。 

(1) 規格名称 

(2) 種類又は記号若しくはその略号 

(3) 寸法(支柱の幅・厚さ及び長さ) 

(4) JIS B 0205及びJIS B 0207に規定するメートル並目ねじ及びメートル細目ねじ以外のねじ部品を用い

た場合は,ねじの径とピッチ。 

(5) 製造年月(装具部品製造業者名)又はその略号 

(6) 装具部品製造業者名又はその略号 

12. 製品の呼び方 製品の呼び方は,規格名称,種類及び寸法とする。 

13. 表示 足継手には,見やすい所に容易に消えない方法で,次の事項を表示しなければならない。 

(1) 製造年月(装具部品製造業者名)又はその略号 

(2) 装具部品製造業者名又はその略号 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

付図1 遊動足継手 

付図2 足継手(1方向ばね制御付き) 

付図3 足継手(2方向ばね制御付き) 

関連規格 JIS T 0101 福祉関連機器用語[義肢・装具部門] 

T 9214-1991  

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医療安全用具部会 義肢装具専門委員会 構成表(昭和61年8月1日制定のとき) 

氏名 

所属 

(委員会長) 

加倉井 周 一 

東京都補装具研究所 

井 口 信 洋 

早稲田大学理工学部 

太 田 健一郎 

工業技術院標準部 

土 屋 和 夫 

日本リハビリテーション医学会(労働福祉事業団労災リハビ
リテーション工学センター) 

初 山 泰 弘 

厚生省国立身体障害者リハビリテーションセンター 

松 村   秩 

社団法人日本理学療法士協会(東京都養育院附属医院) 

小 原 正次郎 

小原工業所 

亀 井 守 弘 

株式会社啓愛義肢材料販売所 

川 村 一 郎 

川村義肢株式会社 

田 澤 宗 吉 

社団法人日本義肢協会(株式会社田沢製作所) 

(事務局) 

中 谷 節 男 

工業技術院標準部電気・情報規格課 

釜 土 祐 一 

工業技術院標準部電気・情報規格課 

(事務局) 

柾 谷 栄 吾 

工業技術院標準部電気規格課(平成3年8月1日改正のとき) 

金 地 隆 志 

工業技術院標準部電気規格課(平成3年8月1日改正のとき)