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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

T 9213-1997 

義足ひざ(膝)部 

Artificial knees 

1. 適用範囲 この規格は,ハイブリッド制御ひざ(膝)部を除く成人用義足ひざ部(以下,ひざ部とい

う。)について規定する。 

備考1. この規格の引用規格を,次に示す。 

JIS B 0205 メートル並目ねじ 

JIS B 0207 メートル細目ねじ 

JIS T 0101 : 1997 福祉関連機器用語[義肢・装具部門] 

JIS T 0111-1 : 1997 義肢−義足の構造強度試験−第1部 試験負荷原理 

JIS T 0111-2 : 1997 義肢−義足の構造強度試験−第2部 試験試料 

JIS T 0111-3 : 1997 義肢−義足の構造強度試験−第3部 主要構造強度試験方法 

JIS T 0111-4 : 1997 義肢−義足の構造強度試験−第4部 主要構造強度試験の試験負荷パラメータ 

JIS T 0111-5 : 1997 義肢−義足の構造強度試験−第5部 その他の構造強度試験方法 

JIS T 0111-6 : 1997 義肢−義足の構造強度試験−第6部 その他の構造強度試験の試験負荷パラメー

タ 

JIS T 0111-7 : 1997 義肢−義足の構造強度試験−第7部 試験依頼書 

JIS T 0111-8 : 1997 義肢−義足の構造強度試験−第8部 試験報告書 

JIS Z 2101 木材の試験方法 

2. この規格の中で{ }を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであって,

参考として併記したものである。 

2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS T 0101によるほか,次による。 

(1)  ロック付ひざ部 前止め固定ひざ,横引き固定ひざ,輪止め固定ひざなど,ひざ固定装置をもつひ

ざ部。 

(2)  圧縮剛性 素材の剛性のうち,圧縮力に対する剛性。 

(3)  圧縮剛性比 試験終了後の圧縮剛性を試験開始直後の圧縮剛性で除した値。 

(4)  ねじり剛性 素材の剛性のうち,ねじり力に対する剛性。 

(5)  ねじり剛性比 試験終了後のねじり剛性を試験開始直後のねじり剛性で除した値。 

(6)  ひざ軸トルク−角度リサージュ面積 ひざ軸周りの回転エネルギー損失。ひざ軸トルクは附属書に

よる。 

(7)  ひざ軸トルク−角度リサージュ面積比 試験終了後のひざ軸トルクと角度のリサージュ図形の面積

を,試験開始直後のリサージュ図形の面積で除した値。 

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T 9213-1997  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

3. 種類及び記号 構造及び機能によって,表1のとおりとする。 

表1 種類及び記号 

機能 

記号 

骨格構造 木製殻構造 板金殻構造 

遊脚相・立脚相
の制限なし 

定摩擦調節なし 

0M 

0W 

0P 

遊脚相制御 

調節可能な定摩擦 

1M 

1W 

1P 

調節可能な可変摩擦 

2M 

2W 

2P 

調節可能な可変抵抗 
(歩速応答型) 

3M 

3W 

3P 

遊脚相・立脚相
制御 

調節可能な定摩擦 

4M 

4W 

4P 

調節可能な可変摩擦 

5M 

5W 

5P 

調節可能な可変抵抗 
(歩速応答型) 

6M 

6W 

6P 

備考 ロック付ひざ部には,Lを付記する。 

例 2ML 

4. 性能 

4.1 

静的強度 ひざ部は,JIS T 0111-1〜8で規定する方法による試験したときに破損,動作不良など著

しい異常があってはならない。 

4.2 

耐久性 

4.2.1 

立脚相耐久性 ひざ部は,JIS T 0111-1〜8で規定する方法による試験終了時に,次の規定を満足し

なければならない。 

(1) 破損,動作不良などの異常があってはならない。 

(2) 圧縮剛性比は,表2の範囲内になければならない。 

圧縮剛性比は,最大垂直圧縮力Wに対する圧縮変位Cから圧縮剛性Gcを,式(1)によって計算し,

試験開始前と試験終了後の比を求める。 

C

W

Gc=

··················································································· (1) 

表2 圧縮剛性比 

構造 

圧縮剛性比 

下限 

上限 

骨格構造 

0.6 

1.4 

木製殻構造 

1.6 

板金殻構造 

0.7 

1.5 

(3) ねじり剛性比は,表3の範囲内でなければならない。 

ねじり剛性比は,最大ねじりモーメントQに対する上下アームの偏角θから,ねじり剛性Gtを,式

(2)によって計算し,試験開始前と試験終了後の比を求める。 

θ

Q

Gt=

 ··················································································· (2) 

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T 9213-1997  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表3 ねじり剛性比 

構造 

ねじり剛性比 

下限 

上限 

骨格構造 

0.6 

1.4 

木製殻構造 

1.5 

板金殻構造 

1.1 

4.2.2 

遊脚相耐久性 ひざ部は,9.1で規定する方法による試験したときに,次の項目を満足しなければ

ならない。 

(1) 大きな永久変形,破損,動作不良などの異常があってはならない。 

(2) ひざ軸トルク−角度リサージュ面積とピーク値は再調整によって,トルクの最大ピーク値は初期値と

同じに,リサージュ面積比は初期値の±30%以内に回復できなければならない。 

4.2.3 

ひざ軸遊び量 ひざ部は,9.2で規定する方法によって試験したとき,ひざ軸の前額面,内側,外

側方向の遊び量が,表4の範囲内になければならない。 

表4 ひざ軸遊び量 

構造 

ひざ軸遊び量上限値 mm 

骨格構造 

5.0 

木製殻構造 

10.0 

板金殻構造 

1.0 

4.2.4 

異常音 耐久試験中に,ひざ部に異常音が生じてはならない。 

5. 形状・寸法 

(1) ひざ部の形状・寸法は,図1のとおりとする。 

図1 ひざ部の形状・寸法 

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(2) ひざ部の質量は,表5の規定に適合しなければならない。 

表5 ひざ部の質量 

構造 

質量 kg 

備考 

骨格構造 

1.8以下 

骨格構造義足パイプの質量は除く。 

木製殻構造 

2.1以下 

− 

板金殻構造 

2.0以下 

ソケット及び足部との取付け部品を除く。 

6. 外観 外観は,次のとおりとする。 

(1) プラスチックは,著しい変色を生じてはならない。 

(2) 金属材料の表面にきず,さび及び汚れがあってはならない。 

7. 材料 材料は無毒性で不快な臭気がなく,耐食,耐湿及び耐候性がなければならない。 

(1) 木材 木材は割れ,腐れ,虫食い,反り,くるいなどの欠陥がなく,含水率(1)が15%以下でなければ

ならない。 

注(1) JIS Z 2101による。 

なお,電気式水分測定器によって行ってもよい。 

(2) 金属材料 金属材料は,必要な機械的性質をもち,使用目的に十分耐えなければならない。 

(3) ねじ ねじは,JIS B 0205,JIS B 0207に規定するメートル並目ねじ及びメートル細目ねじを用いなけ

ればならない。 

(4) その他の材料 プラスチック,ゴム,ベルト,皮革,縫糸,木材接着剤などは,すべて使用目的に耐

えるものでなければならない。 

8. 試験場所の状態 試験場所の状態は,温度20±10℃,湿度(65±30)%の室内とする。 

9. 遊脚相耐久試験方法 

9.1 

遊脚相耐久試験 遊脚相のひざ部におけるひざ軸トルク−角度リサージュ面積比を計測する耐久試

験である。遊動式ひざ部についてだけ実施する。 

(1) ひざ部取付方法 木製殻構造のものはひざ部にFRP加工を行い,板金殻構造のものは両端に金属ブロ

ックをすきまなくかん(嵌)合ねじ止めしたうえ,大たい部又は下たい部を固定し,下たい部(又は

大たい部)をひざ軸まわりに矢状面内で屈曲・伸展できるようにひざ部を取り付ける。多軸ひざの場

合には,ひざ軸の仮想的な中心は製造業者の指定による。 

(2) 試験方法 大たい部又は下たい部をひざ軸周りに矢状面内で屈曲・伸展させたときのひざ軸の屈曲角

度とトルクを検出できる試験装置を用いる。装置の一例を図2に示す。 

(3) 駆動方法 ひざ伸展位 (θ=0°) からひざ屈曲位 (θ=60°) を経て再びひざ伸展位 (θ=0°) に戻る

までを1サイクルとし,繰返し周波数1Hzの正弦波で300万回動作させる。ひざ軸を回転させるため

の駆動軸は,ひざ軸と同一直線上にあること。 

(4) 試験条件 可変摩擦ひざ部は,出荷状態の調整位置に設定して試験すること。 

(5) 測定方法 測定は,試験開始直後と,試験終了後に行い,その方法は,附属書による。 

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図2 遊脚相耐久試験装置(一例) 

9.2 

ひざ軸遊び量試験 ひざ軸の前額面内側・外側方向の遊び量を計測する方法は,次のとおりとする。

大たい部を固定し,前額面の内側方向と外側方向とに引張力を加え,各方向の変位と,加えた力とを検出

できる試験装置を用いる。装置の一例を図3(1)に示す。前額面の内側・外側方向とも,ひざ軸から250mm

離れたところに40N {4kgf} の引張力を作用させる。引張力速度は,できる限り遅い速度で作動させる。

前額面の内側・外側方向の変位は,ひざ軸から250mm離れたところで計測する。これ以外の場所で計測

する場合は,250mmの位置での変位量に換算することとする。内側・外側での,引張力に対する変位を図

3(2)に示すような曲線を記録し,ABの長さをひざ軸の遊び量とする。ただし,図3(2)の測定曲線は1測定

点当たり5回の計測結果の平均値を用いて描くこととする。計測は試験終了後行う。 

なお,ロック付ひざ部は,ロックした状態で試験を行う。 

図3 ひざ軸遊び量試験装置(一例) 

T 9213-1997  

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10. 検査 

10.1 抜取検査 抜取検査は,9.1及び9.2について行い,4.の規定に適合しなければならない。 

なお,この場合の抜取方式及び合否判定方式は,受渡当事者間の協定による。 

10.2 全数検査 全数検査は,目視によって行い,6.の規定に適合しなければならない。 

11. 包装 包装は,防水・防食効果のあるものとし,運搬中損傷しないように適当な方法で行う。 

12. 製品の呼び方 製品の呼び方は,規格名称及び機能・構造による種類又は記号による。 

13. 表示 

13.1 製品の表示 ひざ部には,見やすい箇所に容易に消えない方法で,次の事項を表示しなければなら

ない。 

(1) 製造年月(義肢部品製造業者による。)又はその略号 

(2) 義肢部品製造業者名又はその略号 

13.2 包装の表示 次の事項を記入した表示をしなければならない。 

(1) 規格名称 

(2) 種類[従来呼称は( )内に併記すること。] 

(3) 寸法(図1の寸法) 

(4) マニュアル・ロック部の場合には左右の別(R又はL) 

(5) JIS B 0205,JIS B 0207に規定するメートル並目ねじ及びメートル細目ねじ以外のねじ部品を用いた場

合には,ねじの径とピッチ 

(6) 製造年月(義肢部品製造業者による。)又はその略号 

(7) 義肢部品製造業者名又はその略号 

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T 9213-1997  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書 

1. ひざ軸トルク ひざ軸トルクは附属書図1に示す各量を測定し,下たい部又は大たい部の重心及び慣

性モーメントの影響を式(1)によって補正する。 

各試験サイクルにおけるひざ屈曲角度とひざ軸トルクとによって,直交座標軸内でリサージュ像を描か

せ,その面積を測定する。試験前に測定したリサージュ像面積との比を求め,ひざ軸トルク−角度リサー

ジュ面積比とする。 

01

2

1

1

)

2

cos

1(

6

sin

2

cos

6

M

t

t

h

g

m

M

+

=

π

π

π

λ

π

 ··················· (1) 

ただし,M01は義足を取り付けたときのトルク計算力M01+M02と義足を外したときのトルク計出力M02

の差として求める。また,tは時刻(秒),λは下たい部微少振動周期を示す。 

附属書図1 

T 9213-1997  

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JIS T 9212義足足部・JIS T 9213義足ひざ(膝)部改正原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

加倉井 周 一 

東京大学医学部付属病院 

相 川 孝 訓 

国立身体障害者リハビリテーションセンター 

秋 山 昌 英 

株式会社小原工業 

川 村 一 郎 

川村義肢株式会社 

久 保   茂 

東京都補装具研究所 

高 橋 一 史 

株式会社啓愛義肢材料販売所 

中 川 昭 夫 

兵庫県立福祉のまちづくり工学研究所 

西 岡 研 一 

株式会社今仙技術研究所 

別 当 有 光 

株式会社高崎義肢 

森 本 正 治 

労災リハビリテーション工学センター 

安 達 俊 雄 

通商産業省機械情報産業局 

冨 岡   悟 

厚生省社会・援護局 

朝 倉 健太郎 

東京大学工学部 

古 市 正 敏 

通商産業省工業技術院標準部 

加 山 英 男 

財団法人日本規格協会 

木 村 嘉四郎 

社団法人日本リハビリテーション医学会