2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
T 9212-1997
義足足部・足継手
Artificial feet and ankle joints
1. 適用範囲 この規格は,固定足部を除いた成人用義足足部(足継手,かかと高調整装置,パイプ接続
金具などを含む。以下,足部という。)について規定する。
備考1. この規格の引用規格を,次に示す。
JIS B 0205 メートル並目ねじ
JIS B 0207 メートル細目ねじ
JIS S 5037 靴のサイズ
JIS T 0101 : 1997 福祉関連機器用語[義肢・装具部門]
JIS T 0111-1 : 1997 義肢−義足の構造強度試験−第1部 試験負荷原理
JIS T 0111-2 : 1997 義肢−義足の構造強度試験−第2部 試験試料
JIS T 0111-3 : 1997 義肢−義足の構造強度試験−第3部 主要構造強度試験方法
JIS T 0111-4 : 1997 義肢−義足の構造強度試験−第4部 主要構造強度試験の試験負荷パラメータ
JIS T 0111-5 : 1997 義肢−義足の構造強度試験−第5部 その他の構造強度試験方法
JIS T 0111-6 : 1997 義肢−義足の構造強度試験−第6部 その他の構造強度試験の試験負荷パラメー
タ
JIS T 0111-7 : 1997 義肢−義足の構造強度試験−第7部 試験依頼書
JIS T 0111-8 : 1997 義肢−義足の構造強度試験−第8部 試験報告書
JIS Z 2101 木材の試験方法
2. この規格の中で,{ } を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであって,
参考として併記したものである。
2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS T 0101によるほか,次による。
(1) 組立式足部 使用に際して,標準組立方法に従って一部加工した足部。
(2) 無軸足部 果関節機能を代償する継手がなく,底屈機能を代償する足部の総称。
(3) 有軸足部 単軸足部,多軸足部及び機能足部の総称。
(4) 足継手 足部と下たい(腿)部を接続する部品。有軸足部では足継手軸を含む。
なお,足部の部品名称は,付図1による。
3. 種類及び記号 種類及び記号は,表1のとおりとする。
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表1 種類及び記号
種類
記号
構造
接続方式
無軸足
部
ボルト接
続
NB
木部接続
NW
パイプ接
続
NPY
単軸足
部
木部接続
SW
パイプ接
続
SPY
金属接続
SM
多軸足
部
ボルト接
続
PB
木部接続
PW
パイプ接
続
PPY
4. 性能
4.1
かかと及びつま先の硬さ 歩行繰返し試験の前後に,9.1によってかかと及びつま先の外力に対する
変形量を計測する。
4.2
足部の性能 足部は,9.2によって歩行繰返し試験を行い,破損,変形及び動作不良などの異常があ
ってはならない。
また,試験中に異常音を生じてはならない。
4.3
かかと高調整装置及びパイプ接続金具 かかと高調整装置及びパイプ接続金具は,JIS T 0111-1〜8
を満足しなければならない。
5. 形状・寸法
5.1
寸法 足部の寸法(1)は,図1による。
注(1) 足部は,JIS S 5037に規定するサイズの靴が履け,歩行中に脱げてはならない。
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図1 足部の寸法
単位 mm
サイズ
全長 (l)
21
205±5
22
215±5
23
225±5
24
235±5
25
245±5
26
255±5
27
265±5
5.2
下たい(腿)部との取付け方法 ボルト接続による場合は,JIS B 0205に規定するメートル並目ね
じのM10を用いる。
5.3
質量 足部の質量は,表2のとおりとする。
表2 足部の質量
区分
質量 g
備考
無軸足部
650以下 くるぶしブロック,取付けボルト及び座金を除
く。
900以下 パイプ接続式,接続金具を含む。
単軸足部
900以下 木部接続式,金属接続式
1 000以下 パイプ接続式,かかと高調整装置を含む。
多軸足部 1 000以下
−
6. 外観 外観は,次のとおりとする。
(1) かかと,つま先及び目に触れる部分に用いるプラスチックは,著しい変色を生じてはならない。
(2) 足部の表面にきず,汚れ及びさびがあってはならない。
(3) キール,くるぶしブロックなどにひびがあってはならない。
7. 材料 材料は,無毒性で,不快な臭気がなく,耐湿性がなければならない。
(1) 木材 木材は,割れ,腐れ,虫食い,反り,くるいなどの欠陥がなく,含水率(2)が15%以下でなけれ
ばならない。
注(2) 含水率は,JIS Z 2101による。
なお,電気式水分測定器によって行ってもよい。
(2) ゴム ゴムは,使用箇所に十分耐えるように調整し,組成は均一なものでなければならない。
(3) ねじ ねじは,JIS B 0205,JIS B 0207に規定するメートル並目ねじ及びメートル細目ねじを用いなけ
ればならない。
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(4) その他の材料 金属材料,プラスチック,皮革,縫糸,布ベルトなどの材料は,使用目的に耐えるも
のでなければならない。
8. 試験場所の状態 試験場所の状態は,温度20±10℃,湿度 (65±30) %の室内とする。
9. 試験方法
9.1
外力に対する変形量 かかと及びつま先に外力を与えて変形量を試験する場合は,図2に示す角度
に足部を保持し,そのままの状態で下方へ一定速度で平行移動し,床面へかかと,若しくはつま先を押し
つけ,かつ,垂直荷重及び変位を検出することができる装置(例えば,一般材料試験用圧縮試験機)を用
いて行う。
(1) 垂直荷重は,600N {60kgf} とし,所要値に達した後,直ちに除荷する。
(2) 負荷及び除荷速度は,毎分100mmとする。
(3) 足部は,図2の方法によって取り付け,θは20°,φは15°とする。
(4) 床面は,リノリウムなど滑りやすい材料とする。
(5) つま先及びかかとへの荷重は,それぞれ1回限りとする。
(6) 垂直荷重が作用し始めたときから,600N {60kgf} に達するまでの変位を読み取り,つま先及びかかと
に与える外力に対する変形量とする。
図2 足部保持角度
9.2
歩行繰返し試験 健康人の足関節及び足部の動きに類似し,かつ,歩行時に作用するのと同等の負
荷が作用する立脚相と,負荷が作用しない遊脚相からなる周期をもつ装置を用いて行う。装置の一例を図
3に示す。
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図3 歩行繰返し試験装置(一例)
試験は,次のとおりとする。
(1) かかと接地時に,下たい長軸が鉛直線となす角度を20°とする。
(2) つま先離れ時に,下たい長軸が鉛直線となす角度を25°とする。
(3) 繰返し周波数(3)は1Hz以下とする。
注(3) 1周期における立脚相と遊脚相の時間配分は,3 : 2とするのが望ましい。
(4) 1周期に加わる垂直負荷は,原則として図4に示す波形を基準とする。ただし,負荷パターンが変形
した場合には,基線と負荷パターンで囲む力積が,基本の力積より20%を超えてはならない。
図4 垂直荷重
(5) 繰返し試験回数は,100万回とする。
(6) 繰返し試験中に,適当な休止期間を置いてもよい。
(7) 足部には,靴及び靴下を装着してはならない。
(8) 組立式足部は,試験終了時に皮革カバーをはがして,後方バンパなど内部構造に異常がないことを確
認する。
10. 検査
10.1 抜取検査 抜取検査は,9.1〜9.2について行い,4.,5.及び7.の規定に適合しなければならない。
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なお,この場合の抜取方式及び合否判定方式は,受渡当事者間の協定による。
10.2 全数検査 全数検査は,目視によって行い,6.の規定に適合しなければならない。
11. 包装 防水,防食効果のあるものとし,運搬中並びに保存中に損傷しないよう包装を行わなければな
らない。
12. 製品の呼び方 製品の呼び方は,規格名称,種類,サイズ,左右の別,かかとの高さ(4)による。
注(4) かかと高調整装置のついた足部では,かかと高さを省略してもよい。
13. 表示
13.1 製品の表示 足部には,見やすい箇所に,容易に消えない方法で次の事項を表示しなければならな
い。
(1) 製造年月(義肢部品製造業者による。)又はその略号
(2) 義肢部品製造業者名又はその略号
13.2 包装の表示 次の事項を記入した表示をしなければならない。ただし,かかと高調整装置及びパイ
プ接続金具を別に取り付ける構造の足部では,*印を除く事項を表示しなければならない。
(1) 規格名称
(2) 種類*
(3) サイズ*
(4) 左右の別*
(5) かかとの変位量*
(6) かかとの高さ(4)*
(7) JIS B 0205,JIS B 0207に規定するメートル並目ねじ及び細目ねじ以外のねじ部品を用いた場合には,
ねじの径とピッチ
(8) 製造年月(義肢部品製造業者による。)又はその略号
(9) 義肢部品製造業者名又はその略号
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付図1 足部の各部の名称
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JIS T 9212義足足部・JIS T 9213義足ひざ(膝)部改正原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
加倉井 周 一
東京大学医学部付属病院
相 川 孝 訓
国立身体障害者リハビリテーションセンター
秋 山 昌 英
株式会社小原工業
川 村 一 郎
川村義肢株式会社
久 保 茂
東京都補装具研究所
高 橋 一 史
株式会社啓愛義肢材料販売所
中 川 昭 夫
兵庫県立福祉のまちづくり工学研究所
西 岡 研 一
株式会社今仙技術研究所
別 当 有 光
株式会社高崎義肢
森 本 正 治
労災リハビリテーション工学センター
安 達 俊 雄
通商産業省機械情報産業局
冨 岡 悟
厚生省社会・援護局
朝 倉 健太郎
東京大学工学部
古 市 正 敏
通商産業省工業技術院標準部
加 山 英 男
財団法人日本規格協会
木 村 嘉四郎
社団法人日本リハビリテーション医学会